JP4401255B2 - 加工装置と処理方法と成形加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は発熱部を具備する装置と処理方法において、環境雰囲気からの塵埃などの異物を加工物や製品に付着させてしまうことを防止できる装置と方法に関する。
型開き自在な金型を用いて金型のキャビティに溶融樹脂材料を射出し、その射出された溶融樹脂材料を金型内で冷却し、固化させた後、金型を型開きして成形品を取り出して成形品を得るための射出成形機が知られている。この射出成形機は一般に、金型の型開きのための駆動機構と、金型に溶融樹脂を射出するための射出機構と、この射出機構に樹脂材料を供給するための供給機構を具備して構成されている。
この種の成形機において成形品の成形精度や品質が向上すると、成形品に塵埃等の微細な異物の混入が問題とされるようになり、成形機自体をクリーンルームに設置したり、成形機の設置箇所の天井にクリーンエア供給装置を設けて成形機の設置場所回りの空気のクリーン化を図るなどの対策がなされている。
また、成形機のクリーン化対策の一環として、金型と、前記金型を開閉する駆動部と、前記金型のキャビティに溶融材料を射出する射出部と、型開きした前記金型から成形品を取り出し前記金型の開閉に干渉しない位置に移動させ停滞させる空間を前記射出部が設けられている外部空間から隔離する隔壁と、前記隔壁の内部空気をクリーンエアで換気する換気部とを備えた構成の射出成形機が知られている。(例えば特許文献1参照)
特開2003−117948号公報
前記成形品に対する異物の混入を避ける目的で成形機の全体をクリーンルームに収容するという手段を採用すると、成形機を設置するために高価なクリーンルームを設ける必要が生じて設備コストが大幅に向上するという問題がある。また、射出成形自体は成形時に必然的に樹脂材料からなるバリや塵が発生する製造方法であるので、例え高清浄度のクリーンルームの内部で成形加工したとしても、加工に伴う発塵に起因するクリーン度の低下は避けられないものである。
また、前記特許文献1に開示されている射出成形機は、成形品に異物が入るというコンタミネーションをコントロールするために、射出成形機の金型を開閉するための駆動部が移動するための必要な空間部を確保できるように隔壁を設けて金型の主要部を隔壁で外界から隔離し、隔壁で覆った部分の空気をクリーンエアで置換する構成を採用している。
ところが、射出成形という製造方法は、溶融樹脂材料を射出成形するという作業を繰り返し多数回行って大量の成形品を製造する方法であり、1回の射出成形が終了した後、型開きして成形品を金型から成形品を取り出し、成形品の取り出し後に繰り返し同じような射出工程を施すものであり、この繰り返しの工程の間に、キャビティまわりに付着した溶融樹脂の残物や金型の開閉時に生じる塵埃や塵、成型物に付属するバリ等の分離物など、様々な異物が金型回りに必然的に生じるものである。従って成形機の金型周りの部分あるいはその下の基台や床の上には、先の成型物やバリ、塵埃等に起因する種々の異物が成形加工の度に付着するか、あるいは堆積することが一般的である。
これらの付着物や堆積物などの異物は、成形作業を繰り返すうちに空気中に舞い上がったり浮遊することがあり、金型周りに自然に存在するので、これらの異物については、例え成形機をクリーンルームに設置したとしても、繰り返し成形作業を行う間に必然的に発生し、成型物に混入してしまう問題がある。
また、成形機を設置した部屋の天井にクリーンエア供給部を設け、天井から金型周りにクリーンエアを吹き付けたとしても、金型自身が発熱体であり、発熱体からの熱の発生に伴って部屋内に上昇気流が生じていると、この上昇気流と先の天井からのクリーンエアの吹き出し方向が対向するので、発熱部まで満足にクリーンエアが到達せず、場合によっては上昇気流と下向きのクリーンエアとが衝突して金型周りに空気の乱流を発生させ、先の異物を舞い上がらせる原因となるか、あるいは、異物を金型に到達させてしまうという問題があった。また、クリーンエア供給部として高精度のエアフィルタを用いてクラス100以下のクリーンエア(清浄空気)を天井部から下向きに金型に吹き付け得るように構成したとしても、金型の周囲に異物の堆積や付着物が生じていると、この異物が床から舞い上がるおそれがあり、成型物に対する異物の混入を防止するという目的達成には不足であった。
また、液晶表示装置の製造プロセスなどにおいて、絶縁膜や配向膜あるいはオーバーコート層やカラーフィルタ層などのように各種の成膜処理を施した基板を加熱して熱処理するための加熱装置(例えば焼成炉)は、一般に、本加熱温度よりも少し低い温度に設定した予熱ゾーンと、目的の加熱処理を目的の温度で施すための本加熱処理ゾーンと、本加熱処理ゾーンよりも若干低い温度とした冷却ゾーンとを区別して設け、被処理物である膜付きの基板を予熱ゾーンから本加熱処理ゾーンと冷却ゾーンに順番に送ることで加熱処理を行っているが、これらの加熱装置においても先の成形機と同様に、加熱装置の周囲や底部などに塵埃等の異物が存在していることがあり、これらの異物が場合によっては加熱処理中に基板上の膜に付着し、膜質を悪化させてしまう問題があった。
なお、これらの問題を解消するために加熱装置をクリーンルームに設置したのでは、設備が大掛かりとなり、設備コストの面で著しく不利になる問題がある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであって、繰り返し加工を行う成形機や加熱装置において、クリーンルームへの設置などのように設備コストを大幅に向上させることがなく、成型物や膜に異物が混入することを防止することができる加工装置と処理装置の提供を目的とする。
また、本発明は、繰り返し加工を行う成形機や加熱装置などを用いて加工するか処理する方法において、クリーンルームへの設置などのように設備コストを大幅に向上させることがなく、成型物や膜に異物が混入することを防止することができる加工方法と処理方法の提供を目的とする。
本発明の加工装置は、基台部と、該基台部上に設けられた成形機とが具備され、該成形機が、金型を有して発熱がなされる発熱部と、前記金型に樹脂を注入するための注入機構とが具備され、前記発熱部の下側の基台部内に該発熱部に対してクリーンエアを供給するためのクリーンエア供給部が設けられたことを特徴とする。
クリーンエアを基台部側からの上昇気流に応じて発熱部に供給することで、クリーンエアを上から下向きに吹き付ける場合に比較し、発熱部周りでの空気の乱流発生を抑制することができ、発熱部におけるクリーン度の低下を抑制でき、発熱部における成形作業の支障となる異物の混入を抑制できる。
本発明の加工装置は、前記発熱部の下側の基台部に前記クリーンエア供給部からのクリーンエアを通過させるための流通路が設けられ、該流通路の前記発熱部側の開口部からの上昇気流を利用して前記クリーンエアを前記発熱部回りに供給自在とされてなることを特徴とする。
クリーンエアを上昇気流に応じて発熱部に供給することで、クリーンエアを上から下向きに吹き付ける場合に比較し、発熱部周りでの空気の乱流発生を抑制することができ、発熱部におけるクリーン度の低下を抑制でき、発熱部における成形作業の支障となる異物の混入を抑制できる。
本発明の加工装置は、前記発熱部の下側の基台部に前記クリーンエア供給部からのクリーンエアを通過させるための流通路が形成され、該流通路の前記発熱部側の部分に、該発熱部の下側に位置して該発熱部にクリーンエアを噴出させるための開口部と、前記発熱部の側方に位置して該発熱部の側方側にクリーンエアを吹き付けるための吹出口が形成されてなることを特徴とする。
開口部からのクリーンエアの上昇気流に加えて吹出口からのクリーンエアの上昇気流を発熱部周りに供給することで、発熱部を含めたその周囲のより広い範囲をクリーンエアで覆うことができ、発熱部における異物の混入をより確実に抑制できる。
本発明の処理方法は、発熱部としての金型と、該金型に樹脂を注入するための注入機構を具備してなる装置を用い、該発熱部としての金型の発熱時に発生する上昇気流を利用して前記発熱部としての金型にクリーンエアを供給し、前記発熱部としての金型及びその周囲をクリーンエアで覆いながら前記金型に樹脂の注入処理することを特徴とする。
本発明の成形加工方法は、樹脂を注入して成形するための金型を発熱部として有し、前記金型に樹脂を注入するための注入機構を基台部に備えた成形機を用い、該金型にその周囲からクリーンエアを供給して該金型及びその周囲をクリーンエアで覆いながら前記注入機構により金型に樹脂を注入して成形加工することを特徴とする。
前記の方法において、クリーンエアを上昇気流に応じて発熱部の被処理物周りに供給することで、クリーンエアを上から下向きに吹き付ける場合に比較し、被処理物周りでの空気の乱流発生を抑制することができ、発熱部におけるクリーン度の低下を抑制でき、発熱部における処理の支障となる異物の混入を抑制できる。



本発明によれば、発熱部に対してその周囲からクリーンエアを供給することで、発熱部におけるクリーン度の低下を抑制でき、発熱部における成形作業の支障となる異物の混入を抑制できる。また、本発明において、クリーンエアを上昇気流に応じて発熱部に供給することで、クリーンエアを上から下向きに吹き付ける場合に比較し、発熱部周りでの空気の乱流発生を抑制することができ、発熱部におけるクリーン度の低下を抑制でき、発熱部における成形作業の支障となる異物の混入を抑制できる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするために各構成要素の厚さや寸法等の比率などは適宜異ならせて示してある。
図1は、本発明を適用した射出成形装置の一実施形態を示す図であり、図2と図3はその射出成形装置の作動状態と射出成形装置要部での空気の流れを示すものである。
本実施の形態に係る(射出)成形装置Cは、図1に示すように、横長の基台部(架台部)1と、その基台部1の中央上部側に設置される金型本体部2と、該金型本体部2の左側に設置されて金型本体部2を動作させる金型開閉機構部3と、前記金型本体部2の右側に設置されて金型本体部2に樹脂材料を供給するための材料射出供給部(注入機構)5を主体として構成されている。
前記基台部1は、側壁1A、1Aと天井部1B、1Cと底壁1Dとを具備して横長の中空の箱状に構成され、図1に示す基台部1の左側上部に位置する天井部1Bの上側に、金型本体部2と金型開閉機構部3とが設置されている。
前記金型本体部2は、型開き自在な構成とされた金属ブロックから成る金型本体(発熱部)6を取付ベース7の側部側に備えたものであり、この図に示す例では金型本体6の周囲に案内ロッド8、8が設けられていて、これらの案内ロッド8、8に沿って移動自在に設けられた取付ベース7とともに金型本体6も左右に移動できるように構成されている。
先の取付ベース7は、その左側に設けられている油圧プレス機構9を主体とする金型開閉機構部3によって左右に移動自在に支持されたものであり、この形態の構造では図2に示すように取付ベース7はベース盤7A、7Bの2つに分離可能とされ、一方のベース盤7Aに2つ割り可能な金型本体6の一方の型6Aが取り付けられ、他方のベース盤7Bに金型本体6の他方の型6Bが取り付けられ、ベース盤7Aが案内ロッド8、8によって移動自在に支持され、更にベース盤7Bが他の案内ロッド4によって移動自在に支持され、ベース盤7A、7Bを移動してそれらの位置を変えることにより型6A、6Bを合わせてそれらの間に成形キャビティを形成したり、型6A、6Bを分離して金型本体6を離型することができるように構成されている。
また、基台部1の上に、金型本体部2と金型開閉機構部3をそれらの左右側から挟むように側板10、10が設けられ、更に側板10、10の上部側であって金型開閉機構部3の上に位置するように天井板11が設けられ、更に側板10、10の外側に、金型本体部2の側方と金型開閉機構部3の側方との間でスライド移動自在に扉体12が設けられている。先の側板10、10の金型本体部2側の部分と、金型開閉機構部3側の部分には、個々に金型本体部2あるいは金型開閉機構部3をそれらの外側から視認できるような大きさの窓部15、16が形成され、先の扉体12にも同様な窓部17が形成されている。
なお、天井板11は金型開閉機構部3の上方側に位置し、金型開閉機構部3の上部側のみを覆っていて、金型本体部2の上方側空間は開放されている。
次に、図1に示す基台部1の右側に設けられている天井部1Cの上には、先の金型本体部2に樹脂材料を射出成形するための材料射出供給部5が設けられているが、この材料射出供給部5は射出用のスクリュウ(図示略)を内蔵した射出部18と、この射出部18に樹脂材料を供給するためのホッパ19と、射出部18内のスクリュウを駆動するためのモータ部20とを具備して成り、射出部18の先端部側から前記金型本体6側に溶融状態の樹脂材料を射出することができるように構成されている。前記射出部18の先端部側は、金型本体部2の右端部側に設置された取付盤(プラテン)14に接続されていて、この取付盤14に先のベース盤7Bが当接され、この状態でベース盤7Bに取り付けられている型6Bの成形キャビティに接続している射出口に先に説明した射出部18の先端部が接続するように構成されている。
次に、前記金型本体6及び取付ベース7が位置している部分の下側に位置する天井部1Bには、中空の基台部1の内部空間に開口するとともに、金型本体6の幅と奥行きをカバーできる程度の大きさの矩形状の(金型本体6の平面形状よりも若干大きな矩形状の)開口部1E(図2B参照)が形成されている。
また、基台部1の内部空間は側壁1A、1Aと天井部1Bと底壁1Dとが区画する空気の流通路1Fとされており、基台部1の内部側であって、金型本体部2と金型開閉機構部3との境界部分の下側には、流通路1Fの途中部分を閉じるようにHEPAフィルタなどのエアーフィルタを備えたクリーンモジュール(クリーンエア供給部)21が設置され、更に先の取付盤14の下方に位置して流通路1Fを閉じる形の隔壁1Gが形成されていて、基台部1の流通路1Fを通過する空気をクリーンモジュール21に通すことで清浄化したクリーンエア(清浄空気)を基台部1の開口部1Eから金型本体6に向けて上向きに噴出することができるように構成されている。
なお、基台部1の上部側において金型本体6の両側を挟むように設けられている側板10、10の基部側には、基台部1の側方側の外部空間に開口する吸入口25、25が形成され、この吸入口25を介して基台部1の側方側の空気を吸入できるように構成されている。また、クリーンモジュール21は、この形態では送風機を内蔵しており、この送風機からクリーンモジュール21を介して基台部1の開口部1E側に流通路1Fを介して空気を送ることができるように構成されている。
ここで用いるクリーンモジュール21は、クリーンモジュール21に空気を通過させることで例えば0.5μm以上の粒径の異物が通過後の空気中に100個以下存在する程度の高清浄化した空気にすることができる能力を有するエアーフィルタを有する構成とすることが好ましい。勿論、本発明ではこのようなクラス100対応のエアーフィルタに限らず、更に高清浄度対応のクラス10対応レベルのエアーフィルタを用いても良い。
図1、2に示す如く構成された成形装置Cにより射出成形を行うには、図3に示すようにベース盤7A、7Bを接近させて型6A、6Bを合わせた状態として型締めし、金型本体6の内部に形成されている成形キャビティに通じる射出口に対して射出部18の先端部を接続しておく。この状態において、ホッパ19から樹脂材料を加熱状態の射出部18に供給するとともに射出部18内のスクリュウを駆動して溶融状態の樹脂材料を射出部18の先端部から金型本体6の成形キャビティに射出し、固化させて成形品を製造する。
また、射出成形が終了したならば、ベース盤7Aを移動させてベース盤7Aをベース盤7Bから離し、型6A、6Bを離型する。この状態において型6Aと型6Bを分離してそれらの間の空間部に成形品を露出させることができるので型から成形品を取り出すことができる。この成形品を取り出すには、ベース盤7A、7Bに内蔵化した図示略のイジェクターピンなどを利用して成形品を突き出すことなどの操作により容易に取り出すことができる。
ところで、先の成形作業においては、基台部1の流通路1Fに図示略の送風機から空気を送り込み、クリーンモジュール21で空気中の異物を除去し、クラス10〜100などのように清浄化したクリーンエアとしてから、そのクリーンエアを基台部1の開口部1Eから上向きに金型本体6に対して噴出させながら、成形作業と離型作業を行うものとする。この場合に送風機からクリーンモジュール21を介して風速0.4〜1.0m/秒程度の範囲の風速でクリーンエアが噴出するように風量調節を行うことが好ましい。
前記開口部1Eから上向きに噴出したクリーンエアは、金型本体6及びその周囲のベース盤7A、7Bと案内ロッド4、8に吹き当たりながら上方に、かつ、金型本体6の両側に位置している側壁12、12の間の空間部を上方に移動する。従って金型本体6とその周囲の部分はクリーンエアに囲まれた状態で清浄な異物のない雰囲気を保つことができ、この環境で成形工程を行うことができる。従って金型本体6を用いて製造した成形品に対して成形時に塵埃等の異物を混入させてしまうおそれを少なくすることができる。
また、図2に示すようにベース盤7A、7Bを離間して型6A、6Bを離型した状態で成形品を取り出す場合、クリーンエアは図2の矢印で示すように分離した型6A、6Bの間の空間部を通過して円滑に上向きに移動し、成形品の周囲をクリーンエアで包むことができるので、成形品を取り出す際にも成形品に塵埃等の異物を付着させてしまうおそれを少なくすることができる。この際上向きに流動するクリーンエアは分離した型6A、6Bの間の空間部で風速が最大となるので、この部分に位置する成形品を流速の大きなクリーンエアで包み込むことができ、成形品をクリーンエアで確実に覆いながら取り出すことができる。
先の構成の成形装置Cであるならば、型6A、6Bは溶融樹脂が射出されるので、射出する溶融樹脂の温度に応じて、必然的に加熱された状態となり、型6A、6Bが発熱部となり、型6A、6Bが発熱すると型6A、6Bの周囲に空気の上昇気流が生じるが、先の開口部1Eから上向きにクリーンエアを流すことは、先の上昇気流と流れる方向を一致させることができるので、型6A、6Bの周囲で上向きのクリーンエアに乱流を生じさせることなく型6A、6Bの設置環境をクリーンエアで囲むことができる。このため、より効果的に型6A、6B周りの空気を清浄化できるので成形品に異物を付着させてしまうおそれを防止できる。個々で仮にクリーンエアに乱流を生じるようであると、生じた乱流が金型本体6の周囲に存在する微粒子状の異物などを巻き込むおそれが生じるので、クリーンエアを供給している状態であっても乱流を生じないようにすることが好ましい。
先のクリーンエアを流す際の風速は、低すぎると型6A、6Bをクリーンエアで囲むという効果が少なく、高すぎると金型の表面温度を低下させて成形不良を引き起こしたり、逆に異物の混入確率を高くするおそれがあるので、適度な範囲とすることが好ましい。
選択可能な望ましい風速の範囲としては、0.4m/秒以上、1m/秒以下の範囲、より好ましい範囲として0.6〜0.7m/秒程度の範囲を例示することができる。
図4は本発明に係る成形装置の第2実施形態を示すもので、この第2実施形態の(射出)成形装置Dは、基台部1の側壁1Aを図2、図3に示す構造の成形装置Cの場合よりも若干上広がり状に傾斜させて設け、側壁1Aの内側に形成されている流通路1Hを横断面視逆台形状に形成し、基台部1の天井部1Bの両側部に流通路1Hに通じる吹出口26を設けることで、先の流通路1Hを通過するクリーンエアを開口部1Eから金型本体6側に吹き付けるのに加えて、金型本体6の両側下方に位置する吹出口26、26からも吹き出すことができるように構成した装置である。本形態の成形装置Dの他の構成は先の第1実施形態の成形装置Cと同等である。
この形態の成形装置Dでは、開口部1Eからの上向きのクリーンエアの流れに加えて吹出口26、26からもクリーンエアの流れを出して金型本体6の側方側空間にクリーンエアを供給できるので、金型本体6での成形作業時に異物を混入してしまう問題を先の第1実施形態の成形装置Cよりもより効率的に抑制することができる。
図5と図6は本発明に係る成形装置の第3実施形態を示すもので、この第3実施形態の(射出)成形装置Eは、基台部1の側壁1Aを図2、図3に示す構造の成形装置Cの場合よりも若干上広がり状に傾斜させて設け、側壁1Aの内側に形成されている流通路1Hを横断面視逆台形状に形成し、基台部1の天井部1Bの両側部に流通路1Hに通じる吹出口26を設けることで、先の流通路1Hを通過するクリーンエアを開口部1Eから吹き出す構成に加えて、吹出口26、26からも吹き出すことができるように構成するとともに、各吹出口26の外側に設けられている吸入口25を遮蔽部材27で閉塞した構成の装置である。ここで遮蔽部材27が塞ぐ吸入口25とは、詳細にはプラテン14の下側において基台部1との間に形成されている隙間の部分を含むものとする。本形態の成形装置Eの他の構成は先の第1実施形態の成形装置Cと同等である。
この形態の成形装置Eでは、開口部1Eからの上向きのクリーンエアの流れに加えて吹出口26、26からもクリーンエアの流れを出して金型本体6の側方側にクリーンエアを供給できるが、吸入口25から外部の汚れた空気を吸引してしまうおそれが少ないので、金型本体6での成形作業時に異物を混入してしまう問題を先の第1実施形態の成形装置Cよりも効率的に抑制することができる。また、この形態では金型本体6の周囲に存在する吸入口25を閉じていて、基台部1の外側の空気を金型本体6側に吸引する作用を防止できるので、金型本体6側への異物の混入を更に抑制できる。
図7は、図5と図6に示した形態の射出成形装置Eの場合の金型本体6まわりのクリーンエアの流れを示すが、このクリーンエアの流れを見ると、側板10、10と金型本体6の間の上部空間が開口されているので、この開口部分から外部の汚れた空気を引き込む可能性がある。
図8は、側板10、10の上部開口側からの空気の吸入を抑制する目的で一部を改良した第4実施形態の構成を示すもので、この形態の(射出)成形装置Fでは側板10、10の上端部に、金型本体6側に向かって水平に延出される形の板状のカバー部材29、29を設けている。
このカバー部材29は金型本体6の上部側まで延出させてしまうと金型本体6の周囲を通過するクリーンエアの流れに影響を与えるか、クリーンエアの流れを部分的に阻止してしまうおそれがあるので、カバー部材29の先端部がその下側の吹出口26の真上位置よりも若干金型本体側に位置するような長さ程度とすることが好ましい。
このように、側板10の上部側にカバー部材29、29を設けることで側板10、10の上部側からの空気の吸入を抑制することができるとともに、先の遮蔽部材27、27を設けることで、側板10、10の外側の汚れた空気を吸入してしまうおそれをできる限り少なくすることができる。
図10は本発明を焼成炉(処理装置)に適用した一実施形態を示すもので、この例の焼成炉30は、箱形の焼成炉本体31を具備し、その一側にスリット状の入口部32が、その他側にスリット状の出口部33が形成され、焼成炉本体31の内部が本焼成ゾーン34、35とそれらのゾーンよりも低温に保持される予熱ゾーン36と冷却ゾーン37とに区画されている。また、各ゾーン34〜36の上部には各ゾーン内部の空気を排出するための排気部38が形成され、各ゾーン34〜36の下部には各ゾーンに空気を供給するための給気部39が形成され、各給気部39は1本のエアーダクト40に接続され、各給気部39の内部に先に説明した実施例のクリーンモジュール21と同等のエアーフィルタが内蔵されていて、エアーダクト40に空気を送り込むことで各給気部40からクリーンエアを各ゾーン34、35、36に個別に送ることができるように構成されている。なお、各給気部40から各ゾーンに供給するクリーンエアは予め加温しておくことが好ましい。
前記構成の焼成炉30においては、絶縁膜や配向膜あるいはオーバーコート層やカラーフィルタ層などのように各種の成膜処理を施した基板41を焼成炉本体31の入口部32から焼成炉本体31に投入し、予熱ゾーン36で予備加熱し、本焼成ゾーン34、35において本焼成し、冷却ゾーン37にて徐冷してから出口部33から取り出すことで目的の加熱処理あるいは焼成処理を行うことができる。
これら各ゾーンにおける焼成処理において、各ゾーンに塵埃等の微細な異物などが存在していると、焼成中の膜に付着し、膜質を劣化させるか、次工程において欠陥発生の原因となる。
この点において図10に示す構成の焼成炉30であるならば、各ゾーン36、34、35においてエアーフィルタを介したクリーンエアを供給して異物を少なくしているので、焼成処理中の被処理物41の膜に異物を付着させてしまうことを防止できる。
また、焼成炉本体30の各ゾーン36、34、35においてクリーンエアは熱対流によって生じる上向きの排気流に沿って上向きに流動し、排気部38から自然に排気されるので、必然的に焼成炉本体31の内部は負圧となり、この焼成炉30においても先の金型本体6の場合と同様にクリーンエアを各ゾーンの上昇気流に乗せて供給することができるので、各ゾーン内での乱流の発生を抑制することができ、乱流による異物巻き込みを防止することができ、被処理物41に異物を付着させるおそれを少なくすることができる。
図1に示す成型装置において基台部の天井部に金型本体の真下に位置するように縦60cm×横60cmの開口部を形成し、金型本体の中央上部位置に風速計を設置して金型本体の中央部を通過する上向きの風速を計測した。
この成型装置の金型本体の両側に位置する側板の間隔は150cm、取付ベース(プラテン)と金型開閉機構部の端部の間隔は20cmとした構成の成形装置を用いてクリーン度を測定する試験を行った。また、基台部の内部は縦60cm、横120cmの矩形状の流通路を形成し、金型開閉機構部の金型本体側の端部下方に流通路を閉じるようにHEPAフィルタ(松下精工株式会社製、BV−100CRF−T)を配置し、HEPAフィルタの部分を介して流通路に0.4〜0.5m/秒の風速でクリーンエアを流入させて、状態に応じたクリーン度を浮遊粒子密度計測装置を用いて測定した。なお、クリーンエアの流れを生じさせる以前の状態で金型本体中央上部のクリーン度を測定した結果は10046であった。
図2に示すように金型本体を型開きしてクリーン度を測定した結果は、クリーン度85であり、金型本体の直下からクリーンエアの流れを生じさせることが有効であることは明らかとなった。
図3に示すように型を閉じた状態で測定したクリーン度は3622〜5300を示し、型の開閉によりクリーン度が著しく低下していることが明らかとなったが、クリーンエアを供給する前の状態のクリーン度よりは各段に向上している。
図4に示すように成形機において基台部の側壁を傾斜させて基台部の天井部の両側部に流通路に通じる吹出口(幅10cm、長さ50cm)を設けた構造として図4に示すように型を閉じた状態で測定したクリーン度は368となり、先の例よりもクリーン度を著しく改善することができた。
図5、6に示すように成形機において基台部の側壁を傾斜させて基台部の天井部の両側部に流通路に通じる吹出口(幅10cm、長さ50cm)を設けた構造とするとともに、金型本体の両側の側板の下部側に遮蔽部材を配置して側板下部の外側からの空気の吸入を阻止した構成として、図6に示すように型を閉じた状態で測定したクリーン度は80となり、先の例よりも更にクリーン度を改善することができた。
次に、実際に先の図5に示す構成の成形装置を用い、溶融させる樹脂材料としてシクロオレフィン系樹脂を用い、射出部の射出圧力100MPa、射出温度300℃にて射出成形試験を行ない、射出ショット数に対応した成形装置のクリーン度の変化を測定した。その結果を図10に示す。
図10に示す如く、クリーン度10000を示す従来装置では200ショット(200回繰り返し成形)で不良が発生するようになった。これに対して本発明に係る成形装置を用いてクリーン度を300とした成形装置では4000ショットまで不良が発生せず、クリーン度を100とした成形装置では10000ショットまで不良が発生しなかった。
このことからも金型本体周りのクリーン度を向上させることで異物固着による欠陥不良を引き起こすことなく繰り返し射出成形ができることが判明した。
図1は本発明に係る成形装置の第1の実施形態の全体構成を示すもので、図1Aは側面図、図1Bは一部を略した平面図。 図2は同成形装置の作動状態を示すもので、図2Aは型締め状態を示す側面略図、図2Bは型締め状態を示す部分断面略図。 図3は同成形装置の作動状態を示すもので、図2Aは側面略図、図2Bは部分断面略図。 図4は本発明に係る成形装置の第2の実施形態の作動状態を示すもので、図4Aは型締め状態を示す側面略図、図4Bは型締め状態を示す部分断面略図。 図5は本発明に係る成形装置の第3の実施形態の作動状態を示すもので、図5Aは型締め状態を示す側面略図、図5Bは型締め状態を示す部分断面略図。 図6は本発明に係る成形装置の第3の実施形態の作動状態を示すもので、図6Aは型開き状態を示す側面略図、図6Bは型開き状態を示す部分断面略図。 図7は成形装置におけるクリーンエアの送風方向の一例を示す図。 図8は本発明に係る成形装置の第5の実施形態の送風状態を示す図。 図9は本発明に係る加熱装置の一形態を示す構成略図。 図10は射出成形を行った際に射出ショット数に対応した成形装置のクリーン度の変化を測定した結果を示す図である。
符号の説明
C、D、E…成形装置、1…基台部、1A…側壁、1B、1C…天井部、1E…開口部、1F…流通路、2…金型本体部、3…金型開閉機構部、5…材料射出供給部(注入機構)、6…金型本体(発熱部)、21…クリーンエア供給部、26…吹出口。



Claims (7)

  1. 台部と、該基台部の上側に設けられた成形機とが具備され、該成形機が、金型を有して発熱がなされる発熱部と、前記金型に樹脂を注入するための注入機構とが具備され、前記発熱部の下側の基台部内に該発熱部に対してクリーンエアを供給するためのクリーンエア供給部が設けられたことを特徴とする加工装置。
  2. 前記発熱部の下側の基台部に前記クリーンエア供給部からのクリーンエアを通過させるための流通路が設けられ、該流通路の前記発熱部側の開口部からの上昇気流を利用して前記クリーンエアを前記発熱部回りに供給自在とされてなることを特徴とする請求項に記載の加工装置。
  3. 前記発熱部の下側の基台部に前記クリーンエア供給部からのクリーンエアを通過させるための流通路が形成され、該流通路の前記発熱部側の部分に、該発熱部の下側に位置して該発熱部にクリーンエアを噴出させるための開口部と、前記発熱部の側方に位置して該発熱部の側方側にクリーンエアを吹き付けるための吹出口が形成されてなることを特徴とする請求項に記載の加工装置。
  4. 発熱部としての金型と、該金型に樹脂を注入するための注入機構を具備してなる装置を用い、該発熱部としての金型の発熱時に発生する上昇気流を利用して前記発熱部としての金型にクリーンエアを供給し、前記発熱部としての金型及びその周囲をクリーンエアで覆いながら前記金型に樹脂の注入処理することを特徴とする処理方法。
  5. 樹脂を注入して成形するための金型を発熱部として有し、前記金型に樹脂を注入するための注入機構を基台部に備えた成形機を用い、該金型にその周囲からクリーンエアを供給して該金型及びその周囲をクリーンエアで覆いながら前記注入機構により金型に樹脂を注入して成形加工することを特徴とする成形加工方法。
  6. 前記発熱部の下側に基台部を設け、該基台部にクリーンエア供給部からのクリーンエアを通過させるための流通路を設け、該流通路の前記発熱部側の開口部からの上昇気流を利用して前記クリーンエアを前記発熱部回りに供給しながら成形加工することを特徴とする請求項に記載の成形加工方法。
  7. 前記発熱部の下側に基台部を設け、該基台部にクリーンエア供給部からのクリーンエアを通過させるための流通路を設け、該流通路の前記発熱部側の開口部からの上昇気流を利用して前記クリーンエアを前記発熱部回りに供給しながら、前記発熱部の側方に位置して該発熱部の側方側からクリーンエアを吹き付けつつ成形加工することを特徴とする請求項に記載の成形加工方法。
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