JP4401184B2 - 圧延ロール - Google Patents
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Description
特許文献1には、圧延ロールにその軸芯方向において凹部と凸部とを備えるS字形状クラウン(左右非対称クラウン)をイニシャルクラウンとして与える技術が開示されている。
この圧延ロールを用い圧延を行うに際して、板クラウンを適切なものにするために、特許文献2には、奇数次関数と偶数次関数との積であり凹部と凸部とを有する関数(左右非対称曲線)に、後述するメカニカルクラウン制御能力には大きな影響を及ぼさない凸部のみを有する偶数次関数(左右対称曲線)を加算したものを、圧延ロールのイニシャルクラウンとして付与する技術が開示されている。この技術を採用した圧延ロールで圧延を行うと、板クラウンを小さくすることができる。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、圧延材の板クラウンを小さくすることができると共にメカニカルクラウン制御能力も非常によく、ロール径差も小さくなるようなイニシャルクラウンを有する圧延機の圧延ロールを提供することを目的とする。
すなわち、本発明における課題解決のための技術的手段は、圧延機に備えられ、且つイニシャルクラウンが軸芯方向で互いに左右反転状態に付与されている一対の圧延ロールにおいて、前記イニシャルクラウンは、凹部と凸部とを有する凹凸曲線からなる第1の左右非対称曲線に、凸部を有する左右対称曲線を圧延ロール軸芯方向にずらしてなる第2の左右非対称曲線を加算して得られる形状であって、前記第2の左右非対称曲線は、当該第2の左右非対称曲線の凸部が前記第1の左右非対称曲線の凹部側に対応するようにずらし量が設定されていることを特徴とする。
この重畳操作により、凹凸曲線の凹部をより多くかさ上げすることができるようになり、凹凸曲線の凹部の増加量δ3は、凸部の増加量δ4とより大きいものとなって、イニシャルクラウンの凸部頂上と凹部の底部との偏差、換言すれば圧延ロールのロール径差を小さくすることが可能となる。凹凸曲線に凸曲線を加えた曲線がイニシャルクラウンであるため、圧延機のメカニカルクラウン制御能力も非常によいものとなっている。
なお、好ましくは、前記イニシャルクラウンをCW(x)、第1の左右非対称曲線をCW1(x)、第2の左右非対称曲線をCW2(x)とし、当該CW(x)、CW1(x)、CW2(x)が次式で表されるとよい。
厚板等の圧延を行う圧延機は、一対の圧延ロール(上ワークロール1a、下ワークロール1b)と、それらを支えるバックアップロールを供えており、前記ワークロール1a、1b間を圧延材が通過し荷重を加えられることで圧延が行われる。
圧延材の板クラウン形状や、圧延材の中央部厚みと端部厚みとの差である板クラウンは、圧延材の品質を決める重要な項目であり、圧延工程においてはこれらを所定値にする必要がある。そのため、図1に示すように、ワークロール1a、1bのイニシャルクラウンは平坦ではなく、様々な曲線で付与される形状を備えている。
なお、ロール径差とは、一本のワークロールにおけるロールの最大径と最小径との差のことである。
前記凹凸曲線は正弦関数で与えられると共に凸曲線は余弦関数で付与し、当該正弦関数及び余弦関数の振幅と余弦関数のずらし量とを、許容されるロール径差又は圧延材の目標板クラウンに応じて設定している。
CW2(x)は、余弦関数で示された偶関数(f(−x)=f(x))であり、凸部のみを有し、Y軸に関して左右対称である。余弦関数の振幅b1は0.50mm、b3はロール胴長幅の略半分で2350mmである。
なお、式(2)は式(1)で、a3=0、b2=0とすることで導出できるものとなっている。
前記ずらし量dを、−500mm〜1000mmに変化させた状況をコンピュータシミュレーションし、その結果を図4に示している。
メカニカルクラウン制御能力が大きい場合、ワークロールの左右方向シフトによりロールクラウンCWmが大きく変化し、様々な圧延仕様に圧延機が対応できることになって、生産性の向上につながる。換言すれば、ロールクラウンCWm(x、S)の可変能力をメカニカルクラウン制御能力としている。なお、図中の説明ではメカニカルクラウン制御能力を単にクラウン制御能力と表記している。
また、メカニカルクラウン制御能力は、ずらし量dが増えるに従って、若干大きくなり0.5mmの値を示した後、その後緩やかに減少するようになっており、ロールクラウンは、ずらし量が増えると共に、0.4mmから0.3mmへと減っていくようになる。
次に本発明にかかる第2実施形態について説明する。
本実施形態では、凸関数をずらして凹凸関数に加えることは第1実施形態と略同様であるが、ロール径差を所定の範囲(圧延仕様から許容される値に)抑えつつ、圧延機のメカニカルクラウン制御能力を最大にするようなずらし量dを明らかにするものである。
CW1(x)は、正弦関数で示されY軸に関して左右非対称である。正弦関数の振幅a1は0.50mm、a2はロール胴長幅(幅長さ)4724mmの略半分で2600mmである。
CW2(x)は、余弦関数で示されY軸に関して左右対称である。余弦関数の振幅b1は0.50mm、b3はロール胴長幅(幅長さ)の略半分で2350mmである。
図5には、本実施形態のコンピュータシミュレーション結果を示している。横軸はずらし量d、縦軸はメカニカルクラウン制御能力である。
このシミュレーションにおいては、ロール径差は0.8mmで一定とし(条件i)、ワ
ークロール1a、1bの左右方向シフト量S=0の際のロールクラウンを0.5mmとして(条件ii)、ロールシフト量Sをー165〜165mmと変化させメカニカルクラウン
制御能力を考察してみた。その際、CW1,CW2の振幅であるa1,b1は条件i,条
件iiを満たすものとし、メカニカルクラウン制御能力を最大とするCW2のCW1に対す
るずらし量dを求めるようにした。
以上のことから、正弦関数で与えられる凹凸曲線の凹部側に、余弦関数で与えられる凸曲線の凸部が対応するように、凸曲線を圧延ロール軸芯方向にd=350mmずらした上で加え、ワークロール1a、1bのイニシャルクラウンとすることにより、ロール径差一定のもとで、メカニカルクラウン制御能力を最大とすることが可能であると判明した。
すなわち、凹凸曲線は3次式等の奇数次多項式で付与されてもよく、正弦関数と奇数次多項式との積や和などで得られる曲線としてもよい。凸関数は2次式等の偶数次多項式で付与されてもよく、余弦関数と偶数次多項式との積や和などで得られる曲線としてもよい。
また、式(1)でのa1〜a3、b1〜b3の値は、「凹凸曲線の凹部に凸曲線の凸部が対応するように重畳した曲線でワークロール1a、1bのイニシャルクラウンを与える」という技術思想の範囲であれば、適宜変更可能であり、圧延条件等を満たすように設定可能である。
1b 下ワークロール
Claims (3)
- 圧延機に備えられ、且つイニシャルクラウンが軸芯方向で互いに左右反転状態に付与されている一対の圧延ロールにおいて、
前記イニシャルクラウンは、凹部と凸部とを有する凹凸曲線からなる第1の左右非対称曲線に、凸部を有する左右対称曲線を圧延ロール軸芯方向にずらしてなる第2の左右非対称曲線を加算して得られる形状であって、
前記第2の左右非対称曲線は、当該第2の左右非対称曲線の凸部が前記第1の左右非対称曲線の凹部側に対応するようにずらし量が設定されていることを特徴とする圧延ロール。 - 前記第2の左右非対称曲線のずらし量が0mmより大きく500mm以下に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の圧延ロール。
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