以下、添付図面を参照しながら本発明の画像形成装置を詳細に説明する。
図1は本発明を適用したフルカラーレーザビームプリンタの一例を示す概略構成である。このレーザビームプリンタはイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色毎にトナー像を形成する4基の作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkを備えると共に、各作像エンジンからトナー像が一次転写される中間転写ベルト20を備え、かかる中間転写ベルト20に多重転写されたトナー像を記録シートPに二次転写してフルカラー画像を形成するように構成されている。
前記中間転写ベルト20は無端状に形成されると共に駆動ロール21を含む3本のベルト搬送ロール21〜23に架け回されており、矢線方向に回動しながら各色作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkで形成されたトナー像の一次転写を受けるように構成されている。また、中間転写ベルト20を挟んでベルト搬送ロール23と対向する位置には二次転写ロール30が配設されており、記録シートPは互いに圧接する転写ロール30と中間転写ベルト20との間に挿通されて、かかる中間転写ベルト20からトナー像の二次転写を受けるようになっている。すなわち、前記ベルト搬送ロール23は転写ロール30のパックアップロールとして機能しており、これら転写ロール30及びベルト搬送ロール23によって二次転写部が構成されている。
この中間転写ベルト20は3本のベルト搬送ロール21〜23に張架されており、ベルト搬送ロール21,22の間に略水平な受像スパンが形成される一方、この受像スパンの直下に前記二次転写ロール30と対向する第3のベルト搬送ロール23が配設されており、全体として逆三角形状に張られている。
前記中間転写ベルト20の受像スパン上には前述した4基の作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkが並列的に配設されており、各色の画情報に応じて形成したトナー像を中間転写ベルト20に一次転写するようになっている。これら4基の作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkは中間転写ベルト20の回動方向に沿ってイエロー10Y、マゼンタ10M、シアン10C及びブラック10Bkの順に配設されており、最も頻繁に使用されるであろうブラックの作像エンジン10Bkが最も二次転写部の近傍に配置されている。また、これら作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkは、各作像エンジンに具備された感光体ドラム11を画情報に応じて露光するラスタ走査ユニット12を夫々備えており、各色の画情報に応じて変調されたレーザ光Bmが各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkの感光体ドラム11を露光するようになっている。
また、各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム11と、この感光体ドラム11を一様な背景部電位にまで帯電させる帯電器13Y,13M,13C,13Bkと、前記レーザ光Bmの露光によって感光体ドラム11上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像器14と、トナー像を中間転写ベルト20に転写した後の感光体ドラム11の表面から残留トナーや紙粉を除去するドラムクリーナ15とを備えており、感光体ドラム11上に各色の画情報に応じたトナー像を形成し得るように構成されている。
各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkの感光体ドラム11と対向する位置には、中間転写ベルト20を挟むようにして一次転写ロール17Y、17M、17C、17Bkが配設されており、これら転写ロール17Y、17M、17C、17Bkに対して所定の転写バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム11と転写ロール17Y、17M、17C、17Bkとの間に電界が形成され、感光体ドラム11上で電荷を帯びているトナー像がクーロン力で中間転写ベルト20に転写されるようになっている。
従って、このカラーレーザビームプリンタによるフルカラー画像の形成に当たっては、先ず、各色の画情報に応じてラスタ走査ユニット12が各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkの感光体ドラム11を所定のタイミングで露光し、これによって各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkの感光体ドラム11上には画情報に応じたトナー像が形成される。各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkで形成されたトナー像は回動する中間転写ベルト20に対して順次転写され、かかる中間転写ベルト20上には各色トナー像が重なり合った多重トナー像が形成される。
一方、記録シートPは給紙ロール41によって給紙カセット40から一枚ずつ引き出された後、図中に破線で示す所定のシート給送通路46を経て中間転写ベルト20と二次転写ロール30とが接する二次転写部に給送される。二次転写部の手前側にはレジストレーションロール42が設けられており、記録シートPはこのレジストレーションロール42によって二次転写部に対する突入タイミングが制御され、中間転写ベルト20上に一次転写されたトナー像との位置合わせがなされる。
中間転写ベルト20を挟んで二次転写ロール30と対向するバックアップロール23は絶縁性ロールの表面を半導電性シートで被覆して形成されており、その表面には所定の転写バイアス電圧が印加された導電性のコンタクトロール50が当接している。従って、このコンタクトロール50に対してトナー像と同極性の転写バイアス電圧を印加し、バックアップロール23の表面に対して電荷を付与すると、記録シートPの裏面側に位置する転写ロール30と中間転写ベルト20の裏面側に位置するバックアップロール23との間に転写電界が形成され、中間転写ベルト20上に保持されていたトナー像は記録シートPに静電転写される。
トナー像の二次転写がなされた記録シートPは中間転写ベルト20から剥離された後、直列的に配置された二連のシート搬送ベルト43によって定着器44へと搬送される。そして、記録シートPは定着器44によってトナー像の定着がなされたのち、排紙トレイ45に排出され、これによって記録シートPに対するフルカラー画像の形成が完了する。また、このプリンタでは記録シートPの画像面を下向きにした所謂フェイスダウン排出を可能にするため、定着器44と排紙トレイ45との間に記録シートPの表裏を反転させるためのインバータ通路47が形成されている。更に、このインバータ通路47はシート再送通路48によって前述のシート給送通路46と繋がれており、インバータ通路47において表裏反転した記録シートPを再度二次転写部に送り込むことによって、記録シートPの表裏両面に記録画像を形成することが可能となっている。
この図1に示すプリンタはフルカラーモードとモノクロモードを備え、フルカラーモードでは前述した4基の作像エンジン10Y,10M,10C,10Bkを総て駆動してフルカラー画像を形成する一方、モノクロモードではブラックの作像エンジン10Bkのみを駆動してモノクロ画像を形成するようになっている。モノクロ画像の生産性を高めるため、モノクロモードにおける画像形成速度(プロセススピード)はフルカラーモードにおけるそれよりも高速に設定されている。このため、ブラックの作像エンジン10Bkに備えられた帯電器13Bkは高速のプロセススピードでも感光体ドラム11を所定の背景部電位にまで安定して帯電させることができるよう、非接触型の帯電器であるスコロトロンが用いられている。これに対し、イエロー、シアン及びマゼンタの作像エンジン10Y,10M,10Cの帯電器10Y,13M,13Cには接触型帯電器である帯電ロールが用いられており、オゾンの発生量の低減化が図られている。
各作像エンジン10Y(又は10M,10C,10Bk)はドラムユニット18Y(又は18M,18C,18Bk)と現像器14とから構成されており、前記ドラムユニット18Y(又は18M,18C,18Bk)には感光体ドラム11、帯電器13Y(13M,13C,13Bk)及びドラムクリーナ15が含まれている。各ドラムユニット18Y,18M,18C,18Bkは感光体ドラム11の軸方向に沿ってプリンタの装置筐体に対して着脱自在に構成されており、かかるドラムユニット18Y,18M,18C,18Bkを装置筐体の所定の位置に押し込むと、装置筐体側に設けられたドラムシャフト(図示せず)が感光体ドラム11を貫通し、感光体ドラム11が駆動モータ(図示せず)に連結されるようになっている。図2はイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各ドラムユニット18Y,18M,18C,18Bkが装置筐体に装着され、所定の位置に整列した状態を示すものである。
各作像エンジン10Y,10M,10C,10Bkの帯電器13Y,13M,13C,13Bkの夫々には清掃手段が設けられており、これら清掃手段を定期的に駆動することにより、各帯電器13Y,13M,13C,13Bkに付着したトナーや該トナーの外添剤、放電生成物、紙粉等が取り除かれ、各帯電器13Y,13M,13C,13Bkによる感光体ドラム11の帯電性能が維持されるようになっている。各ドラムユニット18Y,18M,18C,18Bkの帯電器13Y,13M,13C,13Bkは清掃手段そのものは具備しているが、この清掃手段を駆動するための駆動源は有しておらず、かかる駆動源はプリンタの装置筐体側に設けられている。装置筐体側に設けられた駆動源は、図2に示すように、清掃モータMと、この清掃モータMの回転を適切な運動形態に変換して各ドラムユニット18Y,18M,18C,18Bkの清掃手段へ伝達する伝達部5とから構成されており、各ドラムユニット18Y,18M,18C,18Bkをプリンタの装置筐体に装着すると、各ドラムユニット18Y,18M,18C,18Bkの清掃手段が前記伝達部5と連結され、前記清掃モータMの回転によって各ドラムユニット18Y,18M,18C,18Bkの帯電器13Y,13M,13C,13Bkを一斉に清掃することができるようになっている。
図3は、シアンのドラムユニット18Cをプリンタの装置筐体に装着した状態(図2の状態)を示す断面図であり、イエロー及びマゼンタのドラムユニット18Y,18Mを装置筐体に装着した場合もこれと同じである。帯電ロール13Cは導電性の軸芯部材60の周囲に抵抗値を調整した弾性層61を設け、更にこの弾性層61の周面を保護層で被覆したものであり、感光体ドラム11に接触すると共に、かかる感光体ドラム11の回転に対して連れ回るように構成されている。この帯電ロール13Cは感光体ドラム11に向けて開口したカバー部材62の内部に取り付けられており、かかるカバー部材62は帯電ロール13Cに対して上下動自在に設けられると共に、スプリング63によって帯電ロール13Cの回転軸から離間する方向へ付勢されている。また、前記カバー部材62の内部には帯電ロール13Cの周面を摺擦する清掃ブラシ64が設けられており、かかる清掃ブラシ64はカバー部材62の上下動に応じて帯電ロール13Cの周面と接触又は離間するようになっている。すなわち、これらカバー部材62、スプリング63及び清掃ブラシ64が帯電ロール13Cの清掃手段を構成しており、カバー部材62が前記スプリング63の付勢力によって帯電ロール13Cから上方へ持ち上がっている状態においては、前記清掃ブラシ64が帯電ロール13Cの周面から離間する一方、前記スプリング63の付勢力に抗してカバー部材62を押し下げると、前記清掃ブラシ64が帯電ロール13Cの周面に接触するようになっている。尚、イエロー及びマゼンタのドラムユニット18Y,18Mにおける帯電ロール13Y,13Mにも同一構造の清掃手段が設けられている。
一方、前記カバー部材62内に取り付けられた清掃ブラシ64を帯電ロール13Cに対して適宜接離させるため、プリンタの装置筐体側には前記伝達部5の一部をなすリンクレバー65と押し下げバー66とが設けられている。かかるリンクレバー65は図2に示されるようにイエロー、シアン、マゼンタの各ドラムユニット18Y,18M,18Cの一端側において、その配列方向に延びており、前記清掃モータMの回転に応じ、その延伸方向へ往復運動するようになっている。また、前記押し下げバー66は、帯電ロール13Y,13M,13Cのカバー部材62を外側から押圧する作用アーム67と、この作用アーム67の両端から屈曲状に連続すると共に、ブラケット68を介して装置筐体に回転自在に支承される一対の支軸部69と、一方の支軸部69から屈曲状に連続すると共に前記リンクレバー65に係合した基端アーム70とから構成されている。図3に示すように、前記リンクレバー65を矢線A方向へ往復動させると、かかるリンクレバー65に係合する基端アーム70が矢線B方向へ揺り動かされることになるが、押し下げバー66はその支軸部69がブラケット68によって回転自在に支承されていることから、基端アーム70が揺り動かされると、支軸部69を挟んで基端アーム70と反対側に位置する作用アーム67が揺り動かされることになる。その結果、リンクレバー65を往復動させると、揺り動かされた作用アーム67が帯電ロール13Y,13M,13Cのカバー部材62を上方から押圧することになり、カバー部材62が作用アーム67に押圧されて下降すると、かかるカバー部材62の内部に設けられた清掃ブラシ64が帯電ロール13Y,13M,13Cの周面に接触することになる。すなわち、リンクレバーを図3に示す位置から左方向へ引っ張った後に元の位置に戻すと、かかるリンクレバー65の往復動に起因して、カバー部材62内の清掃ブラシ64が帯電ロール13Y,13M,13Cに接触した後に再び離間することになり、感光体ドラム11を回転させながらリンクレバー65の往復動を行うことにより、帯電ロール13Y,13M,13Cの周面に付着した異物を清掃ブラシ64で払い落とすことができるようになっている。
前記押し下げバー66は一対のブラケット68によってプリンタの装置筐体に取り付けられており、前記ドラムユニット18Y,18M,18Cを装置筐体に装着すると、押し下げバー66の作用アーム67が帯電ロール13Y,13M,13Cのカバー部材62の真上に位置するようになっている。この押し下げバー66はイエロー、シアン、マゼンタの各ドラムユニット18Y,18M,18C毎に設けられており、前記リンクレバー65を往復動させることにより、各ドラムユニット18Y,18M,18Cのカバー部材62が一斉に押し下げられ、イエロー、シアン、マゼンタの各作像エンジン10Y,10M,10Cの帯電ロール13Y,13M,13Cを同時に清掃することができるようになっている。
次に、ブラックの作像エンジン10Bkの帯電器であるスコロトロン13Bkに設けられた清掃手段について説明する。スコロトロン13Bkは、感光体ドラム11に向けて開放されたチャネル状のシールドケース71と、このシールドケース71の内部に感光体ドラム11の軸方向に沿って張設されたコロナ放電ワイヤ72と、このコロナ放電ワイヤ72と感光体ドラム11とを離隔するように前記シールドケース71の開口端に設けられたグリッド電極73とから構成されており、コロナ放電ワイヤ72に高電圧を印加すると共に前記グリッド電極73に任意の直流電圧を印加することにより、感光体ドラム11をグリッド電極73の印加電圧に応じた背景部電位に一様帯電させることができるようになっている。このスコロトロン13Bkに設けられる清掃手段は、前記シールドケース71内をコロナ放電ワイヤ72の張設方向に沿って自在に移動可能なクリーニングキャリッジ74と、前記シールドケース71の長手方向に沿って配設されると共に、前記クリーニングキャリッジ74が螺合したリードシャフト75と、前記クリーニングキャリッジ74に搭載されると共にコロナ放電ワイヤ72に適宜接触する清掃パッド76とから構成されている。図2に示されるように、前記リードシャフト75は、ドラムユニット18Bkをプリンタの装置筐体に装着した際に、カップリング77を介して前記清掃モータMと連結されるように構成されており、清掃モータMによってリードシャフト75を回転させると、その回転に応じてクリーニングキャリッジ74がシールドケース71内を移動するようになっている。
前記クリーニングキャリッジ74のホームポジションHPはドラムユニット18Bkの装置筐体に対する挿入方向の奥側であり、プリントジョブの実施中、プリントジョブ待ちのスタンバイ中等はこのホームポジションHPにクリーニングキャリッジが設定されている。また、ホームポジションHPと反対側のシールドケース71の端部はクリーニング開始ポジションSPであり、スコロトロン13Bkのコロナ放電ワイヤ72の清掃を開始する条件として、先ずはクリーニンク開始ポジションSPへクリーニングキャリッジ74を設定することが必要とされている。
図4はクリーニングキャリッジ74がホームポジションHPに設定されている状態を示す側面拡大図である。前記クリーニンクキャリッジ74には支軸80を中心として揺動自在な略V字状のリンクアーム81が設けられており、前記清掃パッド76はこのリンクアーム81の一端に設けられている。一方、リンクアーム81の他端はクリーニングキャリッジ74に対してスライド自在に設けられたロッド82に係合しており、このロッド82はクリーニングキャリッジ74がホームポジションHPに設定され、あるいはクリーニング開始ポジションSPへ設定される度に、シールドケース71の両端に設けられたインシュレータブロック79に押圧されてその設定位置を変更するように構成されている。これにより、リンクアーム81の先端に設けられた清掃パッド76は、クリーニングキャリッジ74がホームポジションHPに設定されるとコロナ放電ワイヤ72から離間し、クリーニングキャリッジ74がクリーニング開始ポジションSPに設定されると、コロナ放電ワイヤ72に接触するように構成されている。
すなわち、図4に示すようにクリーニングキャリッジ74がホームポシジションHPに設定されている状態では、ロッド82がクリーニングキャリッジ74の進行方向へ突出しており、この状態では清掃パッド76がコロナ放電ワイヤ72から離間している。コロナ放電ワイヤ72の清掃を行うためには、クリーニングキャリッジ74をホームポジションHPからクリーニング開始ポジシションSPへ設定変更する必要があり、リードシャフト75を回転させることによって、クリーニングキャリッジ74はホームポジションHPからクリーニング開始ポジシションSPへと送られる。図5はクリーニングキャリッジ74がクリーニング開始ポジシションSPに設定される直前の状態を示すものであり、ロッド82は未だシールドケース71のインシュレータブロック79に接触していない。従って、清掃パッド76もコロナ放電ワイヤ72に接触していない。この状態からクリーニングキャリッジ74が更に進行し、かかるクリーニングキャリッジ74がクリーニング開始ポジシションSPに設定されると、図6に示すように、ロッド82はシールドケース71のインシュレータブロック79に押圧されてクリーニングキャリッジ74の反対側へ突き出し、その設定位置が変更される。それに伴ってリンクアーム81が揺動し、かかるリンクアーム81の先端に設けられた清掃パッド76はコロナ放電ワイヤ72に接触する。
このようにしてクリーニング開始ポジションSPに設定されたクリーニングキャリッジ74をホームポジシションHPへ向けて移動させると、清掃パッド76がコロナ放電ワイヤ72に付着した異物を拭き取ることになり、コロナ放電ワイヤ72の清掃を行うことができる。クリーニングキャリッジ74がホームポジションHPに復帰すると、図4に示すように、ロッド82は再びシールドケース71のインシュレータブロック79に押圧されてクリーニングキャリッジ74の反対側へ突き出し、その設定位置が変更される。それに伴ってリンクアーム81はクリーニング開始ポジションSPにおける揺動方向とは逆方向へ揺動し、清掃パッド76はコロナ放電ワイヤ72から離間する。
この実施例におけるスコロトロン13Bkの清掃手段では、クリーニングキャリッジ74をホームポジションHPとクリーニング開始ポジションSPとの間で往復動させても、クリーニング開始ポジションSPからホームポジションHPへ戻ってくる復路でのみコロナ放電ワイヤ72の清掃が行われるようになっている。これは、図7に示すように、コロナ放電ワイヤ72がクリーニング開始ポジションSP側でスプリング83により張設されていることから、清掃パッド76がクリーニング開始ポジションSPからホームポジションHPへ向けてコロナ放電ワイヤ72を拭き取ることにより、コロナ放電ワイヤ72に作用する拭き取り力を前記スプリング83によって吸収し、コロナ放電ワイヤ72がクリーニング中に意図せずして破断してしまうのを防止するためである。もっとも、ホームプジションHP側にコロナ放電ワイヤ72を張設する弾性部材が設けられている場合には、ロッド82の設定位置に対するリンクアーム81の設定位置を逆転させ、ホームポジションHPからシールドケース71の他端側へクリーニングキャリッジ74を移動させる際に、コロナ放電ワイヤ72の清掃を行っても差し支えない。
図8は、前記リンクレバー65とリードシャフト75を駆動するための伝達部5の詳細を示すものである。清掃モータMの回転は2組の減速ギヤ列85,86を介してリンクレバー65とリードシャフト75に伝達されている。先ず、第1のギヤ列85の最終段にはカム87が設けられており、このカム87のカム面をなぞって揺動するアーム88の先端に前記リンクレバー65が連結されている。従って、清掃モータMの回転が前記カム87に伝達されて該カム87が1回転すると、リンクレバー65が矢線方向へ1回だけ往復動するようになっている。すなわち、かかるカム87の1回転によって、イエロー、シアン、マゼンタの各ドラムユニット18Y,18M,8Cに具備された帯電器13Y,13M,13Cでは、カバー部材62が押し下げバー66の揺動によって一旦押し下げられてから元の位置に上昇し、清掃ブラシ64が帯電ロール13Y,13M,13Cを摺擦してから離間する。このため、清掃モータMの回転によってカム87が連続的に数回転すると、回転数と同じ回数だけリンクレバー65が往復動し、清掃ブラシ64も帯電ロール13Y,13M,13Cの摺擦及び離間を同じ回数だけ繰り返すことになる。
但し、減速ギヤ列85とカム87の間にはワンウェイクラッチ(図示せず)が介装されており、清掃モータMの正回転は前記カム87に伝達されるが、逆回転はカム87に伝達されないようになっている。従って、清掃モータMが図8に示す方向へ正回転した後、図9に示す方向へ逆回転すると、かかる逆回転ではリンクレバー65は往復動することなく停止し、清掃ブラシ64による帯電ロール13Y,13M,13Cの摺擦も行われない。
また、第2のギヤ列86の最終段にはカップリング89が設けられており、リードシャフト75の先端に設けられたカップリング77が噛み合い、清掃モータMの回転をリードシャフト75に伝達するように構成されている。この第2のギヤ列86にはワンウェイクラッチは設けられておらず、清掃モータMの回転は図8に示す正回転、図9に示す逆回転の両方向がリードシャフト75に伝達される。ここで、リードシャフト75の巻き方向は、清掃モータMの正回転の際に前記クリーニングキャリッジ74をホームポジションHPからクリーニング開始ポジションSPへ送る方向であり、清掃モータMの逆回転の際に前記クリーニングキャリッジ74をクリーニング開始ポジションSPからホームポジションHPへ送る方向である。
そして、以上説明してきた構成においては、前記清掃モータMを所定時間だけ正方向へ回転させ、更に逆方向へ回転させることにより、イエロー、シアン及びマゼンタのドラムユニット18Y,18M,18Cに備えられた帯電ロール13Y,13M,13Cの清掃を一斉に行うと共に、ブラックのドラムユニット18Bkに備えられたスコロトロン13Bkの清掃をも行うことができる。例えば、プリンタの主電源がユーザによって投入されると、各作像エンジン10Y,10M,10C,10Bkのウォームアップのために感光体ドラム11が所定時間だけ駆動されるが、この時に前記清掃モータMを回転させて各作像エンジン10Y,10M,10C,10Bkの帯電器13Y,13M,13C,13Bkの清掃を一斉に行う。先ずは清掃モータMを所定回転数だけ正方向へ回転させる。この時の清掃モータMの回転数は、スコロトロン13Bkにおけるクリーニングキャリッジ74をホームポジションHPからクリーニング開始ポジションSPへ設定するのに十分な回転数であり、ホームポジションHPとクリーニング開始ポジションSPとの距離及びリードシャフト75の1回転におけるクリーニングキャリッジ74の移動量から求めることができる。そして、このように清掃モータMを正方向へ回転させてクリーニングキャリッジ74をホームポジションHPからクリーニング開始ポジションSPへ移動させると、これと同時にリンクレバー65が往復動して清掃ブラシ64が作像エンジン10Y,10M,10Cの帯電ロール13Y,13M,13Cの清掃を行うことになる。
クリーニングキャリッジ74がクリーニング開始ポジションSPに達すると、清掃モータMの正方向回転は停止し、今度は逆方向への回転が開始される。クリーニングキャリッジ74がクリーニング開始ポジションSPに設定されたことにより、前記清掃パッド76はコロナ放電ワイヤ72に接触しており、清掃モータMを逆方向へ回転させると、クリーニングキャリッジ74はコロナ放電ワイヤ72の清掃を行いながらホームポジションHPへ戻ってくることになる。このとき、リンクレバー65は清掃モータMの逆方向回転によっては往復動しないことから、作像エンジン10Y,10M,10Cの帯電ロール13Y,13M,13Cの清掃は行われない。
すなわち、この実施例のプリンタでは、清掃モータMの正方向回転及び逆方向回転を1セットとして作像エンジン10Y,10M,10Cの帯電ロール13Y,13M,13Cの清掃、作像エンジン10Bkのスコロトロン13Bkの清掃が行われるようになっているが、正方向回転の際には前記帯電ロール13Y,13M,13Cの清掃が行われると共にスコロトロン13Bkの清掃準備が行われ、逆方向回転ではスコロトロン13Bkの清掃のみが行われるようになっている。これにより、一つの清掃モータMで複数の帯電器の清掃をまとめて行うことができ、帯電器毎に清掃モータを設ける場合と比較して省スペース化及び低コスト化が達成される他、清掃モータMの正方向回転と逆方向回転を使い分けて清掃を行っているので、清掃モータMの回転に対して極端に大きな負荷が作用することがなく、かかる清掃モータMの小型化を図ることができるものである。また、清掃モータMの正方向回転と逆方向回転を使い分けているので、各回転方向に関して清掃モータMの回転速度を異ならせることにより、帯電ロール13Y,13M,13Cの清掃時間とスコロトロン13Bkの清掃時間とを異ならせることもでき、各帯電デバイスを最適な清掃時間、清掃スピードで清掃することも可能となる。
もっとも、イエロー、マゼンタ、シアンの作像エンジン10Y,10M,10Cに設けられた帯電ロール13Y,13M,13Cと比較し、ブラックの作像エンジン10Bkに設けられたスコロトロン13Bkは感光体ドラム11に接触していないことから、コロナ放電ワイヤ72が急激に汚れてしまうことなく、帯電ロール13Y,13M,13Cと同程度の頻度で清掃を行う必要はない。例えば前述の如く、プリンタの主電源の投入時にのみ行えば十分である。一方、帯電ロール13Y,13M,13Cは感光体ドラム11に接触して連れ回っていることから、トナーの外添剤や転写残留トナーが付着して汚れ易く、かかる汚れによって感光体ドラム11を帯電させる能力が著しく低下する傾向にある。このため、帯電ロール13Y,13M,13Cはスコロトロン13Bkよりも頻繁に清掃を行う必要があり、例えば、プリントジョブが終了する度に清掃を行うのが好ましい。しかし、スコロトロン13Bkを帯電ロール13Y,13M,13Cと同じ頻度で清掃したのでは、コロナ放電ワイヤ72を拭き取る清掃パッド76が早期に摩耗し、十分なクリーニング性能を発揮できなくなる懸念がある。
そこで、例えば各プリントジョブの終了時にはイエロー、マゼンタ、シアンの作像エンジン10Y,10M,10Cに具備された帯電ロール13Y,13M,13Cのみを清掃して、ブラックの作像エンジン10Bkのスコロトロン13Bkの清掃は行わず、主電源の投入時、あるいは数回のプリントジョブに対して1回の割合で前記スコロトロン13Bkの清掃を行うようにしても良い。その場合、帯電ロール13Y,13M,13Cを清掃するために清掃モータMを正方向へ回転させると、スコロトロン13Bkのクリーニングキャリッジ74がホームポジションHPからクリーニング開始ポジションSPへ向けて移動してしまうため、帯電ロール13Y,13M,13Cの清掃完了後に、清掃パッド76をコロナ放電ワイヤ72に接触させることなく、クリーニングキャリッジ74をホームポジションHPに戻すことが必要となる。
具体的には、清掃モータMの正方向回転によってクリーニングキャリッジ74がホームポジションHPからクリーニング開始ポジションSPへ移動する際、かかるクリーニングキャリッジ74がクリーニング開始ポジションSPに設定される直前(図5に示す状態)で清掃モータMの回転を停止させ、清掃モータMを逆回転させる。クリーニングキャリッジ74の移動量はリードシャフト75の回転数から一義的に決定されるので、清掃モータMの回転速度と回転時間のみを予め決定してあれば、クリーニングキャリッジ74をクリーニング開始ポジションSPの手前で停止させることは困難なことではない。このようにクリーニングキャリッジ74をクリーニング開始ポジションSPの直前で引き返すように設定すれば、クリーニング開始ポジションSPにおいてロッド82が押圧されることがないので、清掃パッド76がコロナ放電ワイヤ72と離間した状態を保ったまま、クリーニングキャリッジ74を往復動させることができ、清掃モータMを正方向及び逆方向へ往復回転させても、スコロトロン13Bkの清掃は行われず、帯電ロール13Y,13M,13Cのみが清掃されることとなる。これにより、帯電ロール13Y,13M,13Cの清掃頻度は増やしつつも、スコロトロン13Bkの清掃パッド76の摩耗を防止することが可能となる。
すなわち、本実施例のプリンタでは、各作像エンジン10Y,10M,10C,10Bkの帯電器13Y,13M,13C,13Bkに共通して一基の清掃モータMを設けると共に、かかる清掃モータMの回転速度と回転時間を2モード設けることにより、一方のモードでは清掃モータMの往復回転によって総ての帯電器13Y,13M,13C,13Bkの清掃を行い、他方のモードでは清掃モータMの往復回転によって特定の帯電器13Y,13M,13Cの清掃のみが行われるようになっている。従って、一つの清掃モータMという簡易な構成を採用しながらも、複数の帯電器の清掃を必要とされる清掃頻度に応じて清掃することができ、常に高品位の記録画像の形成を行い得ると共に、部品の無駄な消耗を抑えることが可能となっている。