JP4399703B2 - 誘電体セラミック、及び積層セラミックコンデンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は誘電体セラミック、及び積層セラミックコンデンサに関し、特に高周波や高電圧又は大電流(以下、単に「高電圧」という)、更には高温負荷時での使用に適した誘電体セラミック、及び該誘電体セラミックを使用して製造された積層セラミックコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年における電子機器の小形・大容量化に伴い、セラミック焼結体の内部に内部電極を埋設させた積層セラミックコンデンサが広く使用されている。
【0003】
そして、この種の積層セラミックコンデンサでは、最近、コストの低減化を図る観点から、前記内部電極用導電性材料として、AgやPd等の高価な貴金属材料に代えて、NiやCu等の安価な卑金属材料が多用されてきている。
【0004】
しかしながら、上記卑金属材料を内部電極に使用した場合、卑金属材料が酸化されない還元性雰囲気で焼成処理を行なう必要がある一方で、誘電体材料としてBaTiO3(チタン酸バリウム)を使用した場合、前記還元性雰囲気下で焼成処理を行なうと前記BaTiO3が還元され、その結果半導体化してしまうためコンデンサとして機能しなくなる。
【0005】
そこで、従来より、例えば、一般式Bak−xMxOkTiO2(MはMg、Zn、Sr、及びCaの少なくとも1種)からなる基本成分にB2O3及びSiO2を添加した誘電体磁器組成物が提案されている(特許文献1)。
【0006】
特許文献1では、上記基本成分100重量部に対し、25〜90モル%のB2O3及び10〜75モル%のSiO2を0.2〜10.0重量部添加することにより、+20℃を基準とした静電容量の温度変化率ΔC/C20が−25℃〜+85℃の温度範囲で±10%以内に抑制され、したがってJISで規定するB特性(以下、単に「B特性」という)を充足し、しかも1200℃以下の低温で焼成可能な誘電体磁器組成物を得ることができる。
【0007】
また、他の従来技術としては、一般式(1−γ)(Bak−(x+y)MxLy)OkTi1−zRzO2−z/2+JZrO3+αAO5/2+βD(MはMg及び/又はZn、LはCa及び/又はSr、RはSc、Y、Gd等の特定の希土類元素、JはCa及び/又はBa、AはP及び/又はV、DはCr、Mn、Fe、Co、Ni)からなる基本成分にLi2O、SiO2、及びBaO等の添加成分を含有させた誘電体磁器組成物が提案されている(特許文献2)。
【0008】
特許文献2では、上記基本成分100重量部に対し、0.2〜5.0重量部の添加成分を含有させることにより、前記B特性を充足すると共に、+25℃を基準とした静電容量の温度変化率ΔC/C25が−55℃〜+125℃の温度範囲で±15%以内に抑制され、したがってEIA(米国電子工業会)で規定するX7R特性(以下、単に「X7R特性」という)を充足し、しかも、比誘電率εrが300以上、誘電損失tanδが2.5%以下、抵抗率ρが1×106Ω・cm以上の誘電特性を有し、かつ1200℃以下の低温で焼成することができる誘電体磁器組成物を得ることができる。
また、Ba、Ca、Srを含む複合ペロブスカイト型セラミック体としては、一般式(Sr1−x−yBaxCay)m(Ti1−zZrz)O3からなる複合酸化物が提案されている(特許文献3)。
【0009】
特許文献3では、xを0.1〜0.9、yを0.5〜0.9(但し、x+y=1)、zを0〜0.7、mを0.95〜1.07とし、かつCaを含む粒子の混合度を一定の変動係数範囲内にある混合物を使用することにより、結晶組成の均一性が向上し、特性のバラツキを抑制することができる。
【0010】
また、該特許文献3では、還元雰囲気下での焼成処理で焼結体の半導体化を防止するためには、Nb、Ta、Y、La、及びWの酸化物成分のうちの少なくとも1種を含有させている。
【0011】
【特許文献1】
特開昭60−119010号公報(明細書第(2)頁、左上欄第6行目〜右上欄第5行目)
【特許文献2】
特開平7−272971号公報(請求項1、段落番号〔0014〕)
【特許文献3】
特開平6−199570号公報(請求項1、請求項3、及び段落番号〔0027〕)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1及び2の誘電体磁器組成物を使用した積層セラミックコンデンサでは、温度特性に関してはB特性やX7R特性を充足することができるが、高周波・高電圧下で使用した場合、誘電損失が大きくなって発熱量が増加するという問題点があった。
【0013】
すなわち、近年、高周波かつ高電圧で使用することのできる積層セラミックコンデンサの需要が高まってきているが、上記特許文献1及び2の誘電体磁器組成物を使用して積層セラミックコンデンサを製造した場合、高周波・高電圧下の使用では誘電損失が大きくなって発熱量が増加し、このため積層セラミックコンデンサ自体の耐久性が低下する。しかも、回路内で温度上昇が生じるため、周辺機器の誤動作等を招くという問題点があった。
【0014】
また、上記特許文献1及び2の誘電体磁器組成物は、耐還元性を有するため低酸素分圧下での焼成処理を行なうことができ、したがって卑金属材料を内部電極用導電性材料に使用することが可能であるが、斯かる低酸素分圧下で焼成処理を行なっても、所望の高品質な誘電特性を有する積層セラミックコンデンサを高効率で得るのは困難であり、また高電圧直流下で使用した場合、静電容量や絶縁抵抗が低下して信頼性低下を招くという問題点があった。
【0015】
すなわち、近年、高電圧直流下で積層セラミックコンデンサを使用することが増えてきているが、特許文献1及び2の誘電体磁器組成物を使用した積層セラミックコンデンサでは、比較的低い電界強度下で使用されることが意図されており、このため、高い電界強度下で使用すると、静電容量、絶縁性、絶縁耐力及び信頼性が極端に低下するという問題点があった。
【0016】
さらに、特許文献3では、焼結体の半導体化を回避するために、複合酸化物にNb、Ta、Y、La、及びWの酸化物成分のうちの少なくとも1種を含有させているが、これらNb、Ta、Y、La、及びWの酸化物成分が複合酸化物に固溶した結晶構造を有しており、このため静電容量の温度特性が安定した積層セラミックコンデンサを得るのは困難であるという問題点があった。
【0017】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであって、良好な温度特性を確保することができると共に、高周波かつ高電圧下で使用しても良好な誘電特性及び絶縁性を有し、信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを得ることのできる誘電体セラミック、及び該誘電体セラミックを使用して製造された積層セラミックコンデンサを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明者が鋭意研究したところ、(Ba,Sr,Ca)mTiO3−MO(MはMn、Ni、Mg、又はZn)−Re2O3(Reは特定の希土類元素)系誘電体磁器組成物に所定量の焼結助剤を添加し、さらに、セラミックの結晶粒子を(Ba,Sr,Ca)mTiO3で構成し、その他の成分、すなわち、M、Re、及び焼結助剤を結晶粒界に存在させることにより、温度特性を損なうこともなく、高周波・高電圧下や高温負荷時においても所望の優れた誘電特性や絶縁性を有し、かつ信頼性にも優れた積層セラミックコンデンサが製造可能な誘電体セラミックを得ることができるという知見を得た。
【0019】
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る誘電体セラミックは、基本成分が、一般式(Ba1−x−ySrxCayO)mTiO2+αMO+βReO3/2(α、βはモル比、MはMn、Ni、Mg、及びZnの中から選択された少なくとも1種以上の元素、ReはSm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbの中から選択された少なくとも1種以上の元素をそれぞれ示す)で表されると共に、x、y、m、α、及びβが、それぞれ、0.30≦x+y≦0.50、0.30≦x/y≦0.80、0.950≦m≦1.050、0.002≦α≦0.30、0.002≦β≦0.30の範囲内とされ、かつ、前記基本成分100重量部に対し、0.2〜8.0重量部の焼結助剤が含有され、さらに、結晶粒子の組成が一般式(Ba1−x−ySrxCayO)mTiO2で表されると共に、前記M、前記Re、及び前記焼結助剤が結晶粒界に存在していることを特徴としている。
【0020】
また、焼結助剤としては、SiO2を主成分としたものを使用するのが好ましい。
【0021】
また、本発明に係る積層セラミックコンデンサは、複数の誘電体層を積層したセラミック積層体からなるセラミック焼結体と、該セラミック焼結体の内部に並列状に埋設された複数の内部電極と、前記セラミック焼結体の外表面に形成された外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサにおいて、前記セラミック焼結体が、上述した誘電体セラミックで形成されていることを特徴としている。
【0022】
上記積層セラミックコンデンサは、セラミック焼結体が、上述した誘電体セラミックで形成されているので、還元性雰囲気で1200℃以下の低温で焼成処理を施しても半導体化することなく所望の焼結処理を施すことができ、良好な温度特性を有すると共に、高周波・高電圧条件下や高温負荷時で使用しても誘電特性や絶縁性に優れ、信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【0023】
すなわち、上記積層セラミックコンデンサによれば、比誘電率(εr)が600以上で誘電損失(tanδ)が0.2%以下であり、直流高電圧を印加したときの比誘電率(以下、「高電圧時比誘電率」という)(εr′)が350以上、かつ高周波高電圧時での誘電損失(以下、「高周波高電圧時誘電損失」という)(tanδ′)が0.7%以下であり、さらに直流高圧下でも抵抗率(logρ)が13.0Ω・cm以上であり、高温高電圧下での平均寿命(以下、「高温負荷時平均寿命」という)(τ)が200時間以上であり、さらには静電容量の温度変化もB特性やX7R特性を満足する信頼性の優れた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【0024】
また、本発明の積層セラミックコンデンサは、前記内部電極が、Ni、Ni合金、Cu、及びCu合金の中から選択された少なくとも1種以上の導電性材料で形成されていることを特徴としている。
【0025】
上記積層セラミックコンデンサによれば、内部電極材料としてNi、Ni合金、Cu、及びCu合金等の卑金属材料を使用した場合であっても、上述した信頼性の高い高品質な積層セラミックコンデンサを高効率で得ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
【0027】
図1は本発明に係る誘電体セラミックを使用して製造された積層セラミックコンデンサの一実施の形態を模式的に示した断面図である。
【0028】
該積層セラミックコンデンサは、本発明の誘電体セラミックからなるセラミック焼結体1に内部電極2(2a〜2f)が埋設されると共に、該セラミック焼結体の両端部には外部電極3a、3bが形成され、さらに該外部電極3a、3bの表面には第1のめっき皮膜4a、4b及び第2のめっき皮膜5a、5bが形成されている。
【0029】
具体的には、各内部電極2a〜2fは積層方向に並設されると共に、内部電極2a、2c、2eは外部電極3aと電気的に接続され、内部電極2b、2d、2fは外部電極3bと電気的に接続されている。そして、内部電極2a、2c、2eと内部電極2b、2d、2fとの対向面間で静電容量を形成している。
【0030】
上記誘電体セラミックは、主成分が、下記一般式(1)で表されるペロブスカイト型複合酸化物(以下、単に「複合酸化物」という)で構成されると共に、基本成分が、前記複合酸化物に所定の金属酸化物及び希土類酸化物が添加された一般式(2)で表され、さらに該誘電体セラミックには、前記基本成分100重量部に対し、0.2〜8.0重量部の焼結助剤が含有されている。
【0031】
(Ba1−x−ySrxCayO)mTiO2 …(1)
(Ba1−x−ySrxCayO)mTiO2+αMO+βReO3/2 …(2)
ここで、α、βはモル比、MはMn、Ni、Mg、及びZnの中から選択された少なくとも1種以上の元素、ReはSm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbの中から選択された少なくとも1種以上の元素を示している。
【0032】
そして、前記複合酸化物(一般式(1))におけるAサイト成分(Ba,Sr,Ca)中のSrのモル比xとCaのモル比yとが数式(3)、(4)の関係を有し、前記Aサイト成分の総含有モル量とBサイト成分であるTiの含有モル量との比(モル比)mが数式(5)の範囲に設定され、さらに、金属酸化物MO及び希土類酸化物ReO3/2の添加量は、それぞれモル比α、βで数式(6)、(7)の範囲に設定されている。
【0033】
0.30≦x+y≦0.50 …(3)
0.30≦x/y≦0.80 …(4)
0.950≦m≦1.050 …(5)
0.002≦α≦0.30 …(6)
0.002≦β≦0.30 …(7)
しかも、誘電体セラミックは、結晶粒子の組成が、主成分である複合酸化物(一般式(1))からなると共に、その他の成分、すなわち金属成分M、希土類成分Re、及び焼結助剤成分は結晶粒界に存在している。
【0034】
そして、このような誘電体セラミックを使用することにより、還元性雰囲気で焼成してもセラミック材料が半導体化することもなく1200℃以下の温度で焼成処理を行なうことができ、内部電極の連続性を保持することができ、セラミック層と内部電極との界面が平滑となり、高周波・高電圧時でも良好な誘電特性、温度特性、及び絶縁性を有し、信頼性に優れたセラミックコンデンサを得ることができる。
【0035】
すなわち、上記誘電体セラミックを使用して製造することにより、比誘電率(εr)が600以上で誘電損失(tanδ)が0.2%以下であり、高電圧時比誘電率(εr′)が350以上、かつ高周波高電圧時誘電損失(tanδ′)が0.7%以下であり、さらに直流高電圧下でも抵抗率(logρ)が13.0Ω・cm以上であり、高温負荷時平均寿命(τ)が200時間以上であり、また静電容量の温度特性もB特性やX7R特性を充足する信頼性の優れた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【0036】
以下、x、y、m、α、β、及び焼結助剤の含有量を上述の数値に限定した理由を詳述する。
【0037】
(1)Srのモル比x及びCaのモル比y
複合酸化物のAサイト成分として、Baの一部をSrやCaに置換することにより、還元性雰囲気での焼成処理に好都合なものとなるが、Srのモル比xとCaのモル比yの合計(x+y)が0.30未満になると、直流高電圧印加時の比誘電率(εr′)が低下し、また誘電損失(tanδ)が大きくなって発熱量が増加する等、誘電特性の低下を招く。一方、前記(x+y)が0.50を超えると、比誘電率(εr)や高電圧時比誘電率(εr′)が低下する。
【0038】
また、Srのモル比xとCaのモル比yとの比x/yが0.30未満となると比誘電率(εr)及び高電圧時比誘電率(εr′)が低下する。一方、前記モルx/yが0.80を超えると高温時における静電容量の容量変化率が大きくなって温度特性の悪化を招来する。
【0039】
そこで、本実施の形態では、0.30≦x+y≦0.50、0.30≦x/y≦0.80となるようにAサイト成分のモル組成を調整している。
【0040】
(2)Aサイト成分の含有量とBサイト成分の含有量とのモル比m
前記モル比mは、化学量論的には1.000であるが、必要に応じてAサイト成分の含有モル量を増加させたり、Bサイト成分の含有モル量を増加させ、複合酸化物を作製するのが好ましい。
【0041】
しかしながら、モル比mが0.950未満になると、抵抗率(logρ)が低下して絶縁性が悪化し、また高温負荷時での寿命低下が著しくなる。一方、モル比mが1.050を超えると焼結助剤を添加しても焼結温度が高くなり、しかも高温時における静電容量の容量変化率が大きくなって温度特性が悪化し、温度特性がB特性やX7R特性を充足しなくなり、また高温負荷時平均寿命(τ)の低下も著しくなる。
【0042】
そこで、本実施の形態では、モル比mが、0.950≦m≦1.050となるようにAサイト成分及びBサイト成分の成分組成を調整している。
【0043】
(3)金属酸化物MOのモル比α
誘電特性や温度特性を改善するためにMnO、NiO、MgO、ZnOの中から選択された1種以上の金属酸化物MOが誘電体セラミックに含有されるが、金属酸化物MOの含有量がモル比αで0.002未満になると、金属酸化物MOの含有量が少ないため抵抗率(logρ)が低下して絶縁性が悪化し、また、温度特性も悪化する。一方、前記モル比αが0.30を超えた場合も抵抗率(logρ)が低くなって絶縁性が悪化したり、温度特性が悪化し、さらにこの場合は高温負荷時平均寿命(τ)の低下が著しくなる。
【0044】
そこで、本実施の形態では、金属酸化物MOのモル比αが、0.002≦α≦0.30となるように金属酸化物MOの含有量を調整している。
【0045】
(4)希土類酸化物ReO3/2のモル比β
高温負荷時の耐久性向上や、各種誘電特性の向上を目的として、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、及びYb2O3の中から選択された1種以上の希土類酸化物を添加している。
【0046】
しかしながら、希土類酸化物ReO2/3の含有量がモル比βで0.002未満になると、所期の作用効果を奏することができず、信頼性向上を図ることができない。一方、前記モル比βが0.30を超えると、高温時における静電容量の容量変化率が大きくなって温度特性の悪化を招来する。
【0047】
そこで、本実施の形態では、希土類酸化物ReO3/2のモル比βが、0.002≦β≦0.30となるように希土類酸化物ReO3/2の含有量を調整している。
【0048】
(5)焼結助剤の含有量
焼結助剤は1200℃以下の低温での焼成処理を可能にすべく誘電体セラミックに添加されるが、上記一般式(1)で表される基本成分100重量部に対し、その含有量が0.2重量部未満になると、焼結温度が1200℃を超え、所望の低温焼成を行うことができなくなる。一方、焼結助剤の含有量が、基本成分100重量部に対し8.0重量部を超えると低温での焼成は可能になるものの、高温負荷時平均寿命(τ)の低下を招来する。
【0049】
そこで、本実施の形態では、焼結助剤の含有量を、基本成分100重量部に対し0.2〜8.0重量部に調整している。
【0050】
尚、焼結助剤としては、SiO2、B2O3、Li2O等の中から選択された1種を単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用することができるが、焼結性を促進する観点からは、SiO2を主成分として含有しているのが好ましい。
【0051】
そして、上記誘電体セラミックは、一般式(1)で表される複合酸化物を作製した後、金属酸化物MO、希土類酸化物ReO2/3、及び焼結助剤を前記複合酸化物と混合し、焼成処理を施すことにより、結晶粒子の組成は一般式(1)で表される構造を有し、その他の成分、すなわち金属成分M、希土類元素成分R、及び焼結助剤成分は結晶粒界に存在させることができる。
【0052】
次に、上記積層セラミックコンデンサの製造方法を詳説する。
【0053】
まず、BaCO3、SrCO3、CaCO3、及びTiO2を所定量秤量してボールミルに投入し、湿式粉砕した後、乾燥し、その後1000℃以上の温度で焼成処理を施し、上記数式(3)〜(5)を充足した一般式(1)で表される微粉状の複合酸化物を作製する。
【0054】
また、金属酸化物としてMnO、NiO、MgO、及びZnOの中から選択された任意の少なくとも1種、並びに、希土類酸化物としてSm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、及びYb2O3の中から選択された任意の少なくとも1種を準備しておく。
【0055】
次いで、焼結助剤の成分となるSiO2、B2O3、Li2CO3、BaCO3、及びCaCO3を適宜所定量秤量し、該秤量物を混合粉砕する。そしてこの後、粉砕物を温度1500℃まで加熱し、急冷した後、粉砕し、これにより微粉末状の焼結助剤を作製する。
【0056】
次に、生成される誘電体セラミックが、上記数式(6)(7)を充足するように上記複合酸化物、金属酸化物MO、希土類酸化物ReO2/3を秤量すると共に、一般式(2)で表される基本成分100重量部に対し、含有量が0.2〜8.0重量部となるように焼結助剤を配合する。
【0057】
次いで該配合物をバインダや有機溶剤と共にボールミルに投入して湿式混合し、セラミックスラリーを作製し、ドクターブレード法等によりセラミックスラリーに成形加工を施し、セラミックグリーンシートを作製する。
【0058】
そして、Ni、Cuやこれら合金を主成分とした卑金属材料を導電性材料としてスクリーン印刷法や真空蒸着法、或いはめっき法等、任意の膜形成方法を使用して前記セラミックグリーンシートの表面に導電膜を形成する。
【0059】
次いで、導電膜が形成されたセラミックグリーンシートを所定方向に複数枚積層し、導電膜の形成されていないセラミックグリーンシートで挟持・圧着し、所定寸法に切断してセラミック積層体を作製する。そしてこの後、還元性雰囲気下、温度350〜500℃で脱バインダ処理を行ない、さらに、酸素分圧が10−9〜10−12MPaに制御されたH2−N2−H2Oガスからなる還元性雰囲気下、温度1000〜1200℃で約2時間焼成し、これにより内部電極2が埋設されたセラミック焼結体1を作製する。
【0060】
そして、セラミック焼結体1の両端面に導電性ペーストを塗布し、還元性雰囲気下、焼付処理を行い、外部電極3a、3bを形成する。
【0061】
尚、外部電極3a、3bを形成する導電性材料は、特に限定されるものではなく、例えば、内部電極2a〜2fと同様の卑金属材料や、Ag、Pd、Ag−Pd等の貴金属材料を使用することができる。そして、外部電極用の導電性ペーストとしては、前記卑金属材料又は貴金属材料にB2O3−Li2O−SiO2−BaO系、B2O3−SiO2−BaO系、Li2O−SiO2−BaO系、B2O3−SiO2−ZnO系等の種々のガラス成分とを配合した導電ペーストを使用することができ、これら導電性ペーストの材料組成は、積層セラミックコンデンサの用途や使用場所に応じて適宜決定される。
【0062】
また、外部電極の形成方法として、セラミック積層体の両端面に外部電極用導電性ペーストを塗布した後、セラミック積層体と同時に焼成処理を施すようにしてもよい。
【0063】
そして、最後に、電解めっきを施して外部電極3a、3bの表面にNi、Cu、Ni−Cu合金等からなる第1のめっき皮膜4a、4bを形成し、さらに該第1のめっき皮膜4a、4bの表面にはんだやスズ等からなる第2のめっき皮膜5a、5bを形成し、これにより積層セラミックコンデンサが形成される。
【0064】
このように本実施の形態では、一般式(2)で表される基本成分が数式(3)〜(7)を充足すると共に、基本成分100重量部に対しSiO2を主成分とする焼結助剤を0.2〜8.0重量部含有し、さらに、結晶粒子は一般式(1)で表される複合酸化物構造を有すると共に、金属成分M、希土類元素成分Re、及び焼結助剤成分が結晶粒界に存在しているため、良好な温度特性を有すると共に、高周波高電圧下でも良好な誘電特性を有し、かつ絶縁性や高負荷時の耐久性にも優れた安価で信頼性の高い積層セラミックコンデンサを高効率で得ることができる。
【0065】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、複合酸化物は、BaCO3、SrCO3、CaCO3、TiO2を出発原料した固相法により作製しているが、加水分解法や水熱合成法等の湿式合成法により作製してもよい。また、原料粉末の結晶構造も特に限定されるものではなく、SrやCaの一部がTiに固溶した粉末を使用してもよい。
【0066】
また、添加成分である金属酸化物MO、希土類酸化物ReO2/3、及び焼結助剤は、原料としてアルコキシド、有機金属などの溶液を使用してもよい。
【0067】
また、内部電極の焼結を抑制する目的で内部電極中にZrO2などを必要に応じて添加してもよい。
【0068】
【実施例】
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0069】
まず、下記一般式(1)で表される微粉状の複合酸化物を作製した。
【0070】
(Ba1−x−ySrxCayO)mTiO2 …(1)
すなわち、BaCO3、SrCO3、CaCO3、及びTiO2を用意し、表1に示した組成の(Ba1−x−ySrxCayO)mTiO2が得られるように、BaCO3、SrCO3、CaCO3、及びTiO2を所定量秤量し、該秤量物をボールミルに投入した後、湿式粉砕し、その後、乾燥した。次いで、1000℃以上の温度で焼成処理を施し、平均粒径が0.1〜0.5μmの一般式(1)で表される複合酸化物を作製した。
【0071】
また、金属酸化物として、MnO、NiO、MgO、及びZnOを用意し、希土類酸化物として、Sm2O3、Eu2O3、Gd2O3、Dy2O3、Ho2O3、Er2O3、Tm2O3、及びYb2O3を用意した。
【0072】
次いで、表1に示した組成の焼結助剤が得られるように、SiO2、B2O3、Li2O、BaCO3、及びCaCO3を所定量秤量し、該秤量物を混合粉砕した。そしてこの粉砕物を白金坩堝中で温度1500℃まで加熱し、急冷した後、粉砕し、これにより平均粒径0.5μm以下の4種類の焼結助剤a〜dを作製した。
【0073】
【表1】
次に、表2に示す組成物が得られるように、上記複合酸化物、上記金属酸化物、上記希土類酸化物を秤量すると共に、これら基本成分(複合酸化物、金属酸化物、希土類酸化物)100重量部に対し含有量が0.1〜8.1重量部となるように焼結助剤を秤量した。
【0074】
次いで、これら秤量物をポリビニルブチラール系バインダや有機溶剤としてのエチルアルコールと共にボールミルに投入して湿式混合し、セラミックスラリーを作製し、さらにドクターブレード法等によりセラミックスラリーに成形加工を施し、厚み1.5μmの矩形状セラミックグリーンシートを作製した。
【0075】
そして、Niを主成分とした導電性ペーストを前記セラミックグリーンシートにスクリーン印刷し、該セラミックグリーンシートの表面に導電膜を形成した。
【0076】
次いで、導電膜が形成されたセラミックグリーンシートを所定方向に複数枚積層し、導電膜の形成されていないセラミックグリーンシートで挟持・圧着し、所定寸法に切断してセラミック積層体を作製した。そしてこの後、窒素雰囲気下、温度350℃で脱バインダ処理を行ない、さらに、酸素分圧が10−9〜10−12MPaに制御されたH2−N2−H2Oガスからなる還元性雰囲気中で、温度1000〜1380℃で2時間焼成処理を施し、内部電極が埋設されたセラミック焼結体を作製した。
【0077】
その後、B2O3−Li2O−SiO2−BaO系ガラス成分を含有したAgペーストをセラミック焼結体の両端面に塗布し、窒素雰囲気下、温度600℃で焼付処理を施し、外部電極を形成し、実施例1〜10及び比較例1〜12の試料を作製した。
尚、これら各試料の形状はいずれも同一であり、外形寸法は、縦3.2mm、横4.5mm、厚み1.0mm、内部電極間に介在する誘電体セラミック層の厚みは1.0μmであった。また、有効誘電体セラミック層の積層枚数は10であり、1層あたりの対向電極面積は8.8×10−6m2であった。
【0078】
また、上記各試料について、TEM(Transmission Electron Microscope:透過型電子顕微鏡)で観察された結晶粒子及び結晶粒界をEDX(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:エネルギー分散型X線分析法)で分析したところ、結晶粒子が上記一般式(1)からなる構造を有し、金属成分、希土類成分、及び焼結助剤成分は結晶粒界に存在していることが確認された。
【0079】
表2は各実施例及び比較例の成分組成を示している。
【0080】
【表2】
次に、自動ブリッジ式測定器を使用し、静電容量(C)、高電圧時静電容量(C′)及び誘電損失(tanδ)、高周波高電圧時誘電損失(tanδ′)を測定し、静電容量(C)、高電圧時静電容量(C′)から比誘電率(εr)、高電圧時比誘電率(εr′)をそれぞれ算出した。
【0081】
すなわち、周波数1kHz、実効電圧1Vrmsの条件で静電容量(C)及び誘電損失(tanδ)を測定し、静電容量(C)から比誘電率(εr)を算出した。
【0082】
また、周波数1kHz、実効電圧1Vrmsの条件で20kV/mmの直流高電圧を印加したときの静電容量(C′)を測定し、高電圧時比誘電率(εr′)を算出した。
【0083】
さらに、温度25℃で周波数300kHzの高周波、かつ100Vp−pの高電圧交流を印加したときの誘電損失、すなわち高周波高電圧時誘電損失(tanδ′)を測定した。
【0084】
また、絶縁抵抗計を使用し、温度25℃で30kV/mmの直流高電圧を2分間印加したときの絶縁抵抗(R)を測定し、抵抗率(logρ)を算出した。
【0085】
温度変化による静電容量の変化率は、+20℃での静電容量を基準とした−25℃から+85℃範囲での容量変化率(ΔC/C20)、及び+25℃での静電容量を基準とした−55℃から+125℃の範囲での容量変化率(ΔC/C25)を測定して評価した。
【0086】
さらに、高温負荷試験を行い、高温負荷時の平均寿命τを算出した。すなわち、実施例及び比較例の試験片各18個について、温度150℃の高温下、40kV/mmの直流高電圧を印加し、絶縁抵抗の経時変化を測定した。そして、絶縁抵抗Rが105Ωに低下した時点を寿命と判断し、その平均値を平均寿命(τ)として評価した。
【0087】
表3は各実施例及び比較例における焼成温度と各測定結果を示している。
【0088】
【表3】
尚、表3中、焼成温度及び各測定結果は、以下を基準として評価している。
【0089】
(1)焼成温度:1200℃以下
(2)比誘電率(εr):600以上
(3)高電圧時比誘電率(εr′):350以上
(4)誘電損失(tanδ):0.20%以下
(5)高周波高電圧時誘電損失(tanδ′):0.70%以下
(6)抵抗率(logρ):13.0Ω・cm以上
(7)容量変化率(ΔC/C20):±10%以内
(8)容量変化率(ΔC/C25):±15%以内
(9)高温負荷時平均寿命(τ):200時間以上
この表3から明らかなように比較例1は、モル比(x+y)が0.29であり、0.30未満であるため、高電圧時比誘電率(εr′)が290と小さくなり、また高周波高電圧時誘電損失(tanδ′)が1.50%と0.70%を超え、発熱量が増加することが分かった。また、容量変化率(ΔC/C20)も+85℃で−12.3%となって−10%よりも負側に偏位し、さらに容量変化率(ΔC/C25)も+125℃で−22.5%となって−15%よりも負側に偏位し、温度特性がB特性及びX7R特性を満足しないことが分かった。
【0090】
比較例2は、モル比(x+y)が0.51であり、0.50を超えているため、比誘電率(εr)が500と小さく、また高電圧時比誘電率(εr′)も290と小さくなった。
【0091】
比較例3は、モル比x/yが0.29であり、0.30未満であるため、比誘電率(εr)が520と小さく、また高電圧時比誘電率(εr′)も285と小さくなった。
【0092】
比較例4は、モル比x/yが0.81であり、0.80を超えているため、容量変化率(ΔC/C20)が+85℃で−12.0%となって−10%よりも負側に偏位し、また容量変化率(ΔC/C25)が+125℃で−19.6%となって−15%よりも負側に偏位し、温度特性がB特性及びX7R特性を満足しないことが分かった。
【0093】
比較例5は、モル比mが0.949であり、0.950未満であるため、抵抗率(logρ)が10.5Ω・cmと低くなって絶縁性が悪化し、また高温負荷時平均寿命(τ)が10時間となって信頼性低下が著しいことが分かった。
【0094】
比較例6は、モル比mが1.051であり、1.050を超えているため、焼成温度が1380℃と1200℃を超えて高くなった。また、容量変化率(ΔC/C20)が−25℃〜+85℃で±10%を超え、容量変化率(ΔC/C25)も−55℃〜+125℃で±15%を超え、温度特性がB特性及びX7R特性を満足しないことが分かった。しかも、この比較例6では高温負荷時平均寿命(τ)も15時間となって信頼性低下が著しいことが分かった。
【0095】
比較例7は、金属酸化物MOのモル比αの総計が0.001であり、0.002未満であるため、抵抗率(logρ)が11.3Ω・cmと低くなって絶縁性が悪化した。また、容量変化率(ΔC/C20)が−25℃〜+85℃で±10%を超え、容量変化率(ΔC/C25)も−55℃〜+125℃で±15%を超え、温度特性がB特性及びX7R特性を満足しないことが分かった。
【0096】
比較例8は、金属酸化物MOのモル比αの総計が0.31であり、0.30を超えているため、抵抗率(logρ)が10.2Ω・cmと低くなって絶縁性が悪化した。さらに、容量変化率(ΔC/C20)が−25℃〜+85℃で±10%を超え、また容量変化率(ΔC/C25)も−55℃〜+125℃で±15%を超え、温度特性がB特性及びX7R特性を満足しなくなった。しかも、この比較例8では高温負荷時平均寿命(τ)も15時間となって信頼性低下が著しいことが分かった。
【0097】
比較例9は、希土類酸化物ReO3/2のモル比βの総計が0.001であり、0.002未満であるため、高温負荷時平均寿命(τ)が75時間となって信頼性低下が著しいことが分かった。
【0098】
比較例10は、希土類酸化物ReO3/2のモル比βの総計が0.31であり、0.30を超えているため、温度特性がB特性およびX7R特性を満足しないことが分かった。
【0099】
比較例11は、焼結助剤dを添加しているが、基本成分100重量部に対し、0.1重量部と少ないため、焼結温度が1250℃と高いことが分かった。
【0100】
比較例12は、焼結助剤bを基本成分100重量部に対し、8.1重量部と8.0重量部を超えて添加しているため、焼成温度は1000℃と低くなるが、高温負荷時平均寿命(τ)が180時間となって200時間以下となり、信頼性が低下することが分かった。
【0101】
これに対し実施例1〜10は、x、y、m、α、β、及び焼結助剤の含有量が本発明範囲内であるため、1200℃以下の温度で焼成することができ、比誘電率(εr)が600以上、高電圧時比誘電率(εr′)が350以上、誘電損失(tanδ)が0.20%以下、高周波高電圧時誘電損失(tanδ′)が0.70%以下となって良好な誘電特性を有し、また抵抗率(logρ)も13.0Ω・cm以上となって絶縁性に優れ、さらにB特性やX7R特性を満足した良好な温度特性を有し、信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを得ることのできることが確認された。
【0102】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係る誘電体セラミックは、基本成分が、一般式(Ba1−x−ySrxCayO)mTiO2+αMO+βReO3/2(α、βはモル比、MはMn、Ni、Mg、及びZnの中から選択された少なくとも1種以上の元素、ReはSm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbの中から選択された少なくとも1種以上の元素をそれぞれ示す)で表されると共に、x、y、m、α、及びβが、それぞれ、0.30≦x+y≦0.50、0.30≦x/y≦0.80、0.950≦m≦1.050、0.002≦α≦0.30、0.002≦β≦0.30の範囲内とされ、かつ、前記基本成分100重量部に対し、0.2〜8.0重量部のSiO2を主成分とした焼結助剤が含有され、さらに、結晶粒子の組成が一般式(Ba1−x−ySrxCayO)mTiO2で表されると共に、前記M、前記Re、及び前記焼結助剤が結晶粒界に存在しているので、良好な温度特性を確保することができると共に、高周波・高電圧下でも良好な誘電特性や絶縁性を有し、信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを製造することができる。
【0103】
また、本発明に係る積層セラミックコンデンサは、複数の誘電体層を積層したセラミック積層体からなるセラミック焼結体と、該セラミック焼結体の内部に並列状に埋設された複数の内部電極と、前記セラミック焼結体の端面に形成された外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサにおいて、前記セラミック焼結体が、上記誘電体セラミックで形成されているので、比誘電率(εr)が600以上で誘電損失tanδが0.2%以下であり、高電圧時比誘電率(εr′)が350以上、かつ高周波高電圧時誘電損失(tanδ′)が0.7%以下であり、さらに直流高圧下でも抵抗率(logρ)が13.0Ω・cm以上であり、高温負荷時の平均寿命(τ)が200時間以上であり、さらに静電容量の温度特性もB特性やX7R特性を満足する信頼性に優れた積層セラミックコンデンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の誘電体セラミックを使用して製造された積層セラミックコンデンサの一実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 セラミック焼結体
2 内部電極
3 外部電極
Claims (4)
- 基本成分が、一般式(Ba1−x−ySrxCayO)mTiO2+αMO+βReO3/2(α、βはモル比、MはMn、Ni、Mg、及びZnの中から選択された少なくとも1種以上の元素、ReはSm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、及びYbの中から選択された少なくとも1種以上の元素を示す)で表されると共に、x、y、m、α、及びβが、それぞれ、
0.30≦x+y≦0.50、
0.30≦x/y≦0.80、
0.950≦m≦1.050、
0.002≦α≦0.30、
0.002≦β≦0.30、
の範囲内とされ、
かつ、前記基本成分100重量部に対し、0.2〜8.0重量部の焼結助剤が含有され、
さらに、結晶粒子の組成が一般式(Ba1−x−ySrxCayO)mTiO2で表されると共に、前記M、前記Re、及び前記焼結助剤が結晶粒界に存在していることを特徴とする誘電体セラミック。 - 前記焼結助剤は、SiO2を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の誘電体セラミック。
- 複数の誘電体層を積層したセラミック積層体からなるセラミック焼結体と、該セラミック焼結体の内部に並列状に埋設された複数の内部電極と、前記セラミック焼結体の外表面に形成された外部電極とを備えた積層セラミックコンデンサにおいて、
前記セラミック焼結体が、請求項1又は請求項2記載の誘電体セラミックで形成されていることを特徴とする積層セラミックコンデンサ。 - 前記内部電極が、Ni、Ni合金、Cu、及びCu合金の中から選択された少なくとも1種の導電性材料で形成されていることを特徴とする請求項3記載の積層セラミックコンデンサ。
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