JP4399053B2 - タッチ信号プローブの動作制御構造 - Google Patents

タッチ信号プローブの動作制御構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被測定物と接触する接触部を先端に有するスタイラスと、このスタイラスを支持するスタイラスホルダと、前記スタイラスを軸方向に周波数f1で共振させる加振手段と、この加振手段による前記スタイラスの振動の変化を検出する検出手段とを備えたタッチ信号プローブの動作制御を行うタッチ信号プローブの動作制御構造に関する。
【0002】
【背景技術】
被測定物の形状や寸法の測定を行う測定機器としてハイトゲージ(一次元測定器)、三次元測定機や輪郭測定器が知られている。これらの測定機器には、測定機器本体と被測定物との位置関係を検出するために各種プローブが使用される。これらのプローブは、非接触式プローブと接触式プローブに、あるいは連続測定プローブとタッチトリガプローブ等に分類される。
そして、三次元測定機用の接触式タッチトリガプローブとしては、特開平6−221806号公報で開示される超音波式タッチ信号プローブが知られている。
【0003】
前記公報に開示されるタッチ信号プローブは、被測定物と接触する接触部を先端に有するスタイラスと、このスタイラスを支持するスタイラスホルダと、スタイラスを軸方向に共振させる加振手段と、この加振手段によるスタイラスの振動の変化を検出する検出手段とを含んで構成される。
このようなタッチ信号プローブによれば、加振手段によりスタイラスを振動させた状態で先端部を被測定物の端面と接触させると、接触力によりスタイラスの振動の状態が変化するので、この変化を検出手段により検出することにより、被測定物の端面位置を検出することができる。
【0004】
一方、このような超音波式タッチ信号プローブを用いて小孔径等の測定を行うこともあり、小孔等を測定可能とするために、小型化が図られた超音波式タッチ信号プローブとして、特願平10−220474号に示されるタッチ信号プローブが提案されている。
このタッチ信号プローブ100は、図13に示すように、スタイラスホルダ101、スタイラス102、加振手段103A、および検出手段103Bを備えている。スタイラス102の先端には、被測定物と接触する接触部102Aが設けられるとともに、その基端にはカウンタバランス102Bが設けられ、スタイラス102の軸方向中央位置が重心位置とされている。そして、スタイラス102を軸方向に振動させると、振動の節はこの重心位置となる。
【0005】
このようなタッチ信号プローブ100は、小孔測定を可能とするために、スタイラス102を、細い棒状部材で構成するとともに、接触部102Aをこのスタイラス102に合わせて小径の球状体で構成している。また、スタイラスホルダ101は、このような細いスタイラス102を1カ所で支持するのは困難であるため、スタイラス102の重心位置を挟んで2カ所でスタイラス102を支持している。
【0006】
加振手段103Aおよび検出手段103Bは、スタイラスホルダ101の2カ所の支持部分にまたがるように配置される圧電素子103を二分割して構成される。そして、加振手段103Aによりスタイラス102を軸方向に沿って共振させると、振動の節は、スタイラス102の重心位置に生じ、スタイラスホルダ101のスタイラス102の支持部分は、この振動の節を挟むような位置とされる。
【0007】
このようなタッチ信号プローブ100によれば、スタイラスホルダ101がスタイラス102を振動の節を挟んで2カ所で支持しているので、スタイラス102を極めて細い棒状部材で構成しても、スタイラスホルダ101により支持させることができ、アスペクト比の大きい小孔の内面測定等を行うことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなタッチ信号プローブは、極めて小さい接触力の印加で敏感に検出信号が変化するので、被測定物との接触を高精度に検出できるという利点があるが、被測定物の端面が球状の接触部のどの経度位置(スタイラスの軸に直交する平面内の角度として規定される接触部表面の点)で接触したかが判別できない。従って、球状の接触部の経度方向について感度差異がなく、どの方向で被測定物の端面と接触しているか判らないため、被測定物の形状測定を行う倣い測定、連続測定用のプローブとしては必ずしも適切ではない。
【0009】
本発明の目的は、上述した超音波式タッチ信号プローブを倣い測定、連続測定用のプローブとして用いることができ、かつ被測定物の形状を高精度に測定することのできるタッチ信号プローブの動作制御構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明に係るタッチ信号プローブの動作制御構造は、
被測定物と接触する接触部を先端に有するスタイラスと、このスタイラスを支持するスタイラスホルダと、前記スタイラスを軸方向に周波数f1で振動させる加振手段と、この加振手段による前記スタイラスの振動の変化を検出する検出手段とを備えたタッチ信号プローブの動作制御を行うタッチ信号プローブの動作制御構造であって、
前記スタイラスホルダと機械的に結合され、駆動機構により三次元空間内を前記被測定物に対して所定の速度ベクトルで相対運動する支持体と、
前記スタイラスの軸方向に直交する平面内で前記スタイラスを周波数f2で振動させる加振素子、及びこの加振素子の振動方向を前記被測定物の端面に沿って制御する振動方向制御手段を有する第2加振手段と、
前記被測定物の端面に前記接触部を接触させ、前記第2加振手段により前記スタイラスを振動させた際、前記被測定物に接触していない状態における検出信号よりも小さな所定の値となるように、前記駆動機構を制御して前記支持体を動作させる制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0011】
このような構成のタッチ信号プローブの動作制御構造によれば、以下のようにして被測定物と接触する接触部の経度位置を検出しながら、超音波式タッチ信号プローブを倣い測定、連続測定に用いることが可能となる。
すなわち、今、図1(A)、(B)に示すように、スタイラス102の接触部102Aを被測定物Wの端面に接触させ、スタイラス102の軸方向振動の振幅Aを、検出手段で検出信号として検出し、その変化を考察する。すると、前記振幅Aは、接触部102Aが被測定物Wの端面に接触していない状態が最も大きく、接触部102Aを被測定物Wの端面に押し込み、接触力Fを次第に大きくしていくと、これに伴い、振幅Aも小さくなっていく。ここで、被測定物Wと接触部102Aとの接触が維持されながら、スタイラス102が損傷しない程度の接触力における振幅Aの値を所定の値(閾値)A0として設定する。
【0012】
検出信号が前記閾値A0を取るように、所定の接触力で被測定物Wの端面に接触させた状態でスタイラス102を第2加振手段によって周波数f2で振動させる。
第2加振手段の周波数f2による振動の振動方向が、図2(A)に示すように、被測定物Wの端面に沿った方向である場合、図2(B)のグラフG1に示すように、検出手段で検出される検出信号となる振幅Aは、スタイラス102の自由振動時の振幅を表すグラフG2の振幅よりも小さな一定の値A0を取ることとなる。さらに、第2加振手段による振動の振動方向M1に沿ってスタイラス102を移動させても、図2(B)に示す状態に変化はない。
【0013】
一方、第2加振手段の周波数f2による振動の振動方向M1が、図3(A)に示すように、被測定物Wの端面に対して若干の傾きがある場合、第2加振手段の振動により、接触部102Aの被測定物Wの端面に対する接触力が変化し、これに伴い検出手段で検出される振幅Aも変化する。これは、第2加振手段による振動前における接触部102A上の接触経度位置と、振動時における接触経度位置が異なり、接触力が変化するためである。
このため、第2加振手段による振動の振動方向M1に沿って、スタイラス102を相対移動させると、図3(B)のグラフG3に示すように、検出手段で検出される振幅Aは、被測定物Wの端面に接近する方向で小さくなり、被測定物Wの端面に離間する方向で大きくなる。
【0014】
そこで、本発明では、第2加振手段で被測定物の端面に沿ってスタイラスおよび被測定物を相対的に振動させた状態において、検出手段で検出される振幅Aに変化が生じた場合、検出信号である振幅Aの変化が一定となるように、制御手段によりタッチ信号プローブまたは被測定物の動作制御を行えば、タッチ信号プローブは被測定物Wの端面に沿った方向M2に移動して該被測定物Wの端面の連続測定を一定の接触力で行うことが可能となる。
【0015】
以上において、上述した第2加振手段は、被測定物の端面に沿ってスタイラスを周波数f2で振動させる手段であるから、被測定物が三次元形状を有する以上、第2加振手段は、三次元方向に振動可能に構成する必要がある。具体的には、X軸、Y軸、Z軸で表される空間座標系を用いて説明すれば、第2加振手段は、X軸方向にスタイラスを振動させるX軸振動機構、Y軸方向にスタイラスを振動させるY軸振動機構、およびZ軸方向にスタイラスを振動させるZ軸振動機構を含んで構成することができる。
【0016】
そして、このように第2加振手段を構成すれば、第2加振手段の振動方向を三次元的に制御することにより、複雑な三次元形状を有する被測定物の倣い測定、連続測定を行うことができる。尚、円筒状の被測定物の円周方向に沿って内側面測定を行う場合、第2加振手段は、X軸振動機構およびY軸振動機構のみで足り、Z軸振動機構までは要しない。要するに、被測定物の形状の複雑さに応じて、第2加振手段の構成は適宜決定すればよい。
【0017】
また、上述した制御手段は、第2加振手段によりスタイラスを被測定物の端面方向に相対振動させながら、被測定物の端面に接触部を接触させた際、被測定物に接触していない状態における検出信号よりも小さな所定の値となるように動作制御を行うように構成できる。
具体的には、制御手段は、被測定物を載置するXYテーブルのX軸方向、Y軸方向、およびXYテーブル面の法線方向となるZ軸方向に沿って支持体を相対移動させる駆動機構を制御するように構成し、検出信号の状態量を検出手段から取得し、検出信号が最小となるように各軸駆動機構の動作制御を行うように構成し、支持体または被測定物を被測定物の端面の方向に相対動作させればよい。
【0018】
すなわち、このような制御手段によれば、検出手段からの検出信号を取得しながら支持体または被測定物の動作制御を行っているので、接触部102Aを被測定物Wの端面に沿って移動させることが可能となり、最小の接触力で被測定物Wの倣い測定等が可能となる。
【0019】
さらに、上述したタッチ信号プローブの動作制御構造では、
前記第2加振手段は、前記スタイラスホルダを、前記スタイラスの軸線に対して直交する任意の方向に加振させ、
前記第2加振手段による振動方向を制御する振動方向制御手段を備え、
前記振動方向制御手段は、前記第2加振手段により前記スタイラスホルダを任意の方向に振動させ、前記検出手段からの検出信号が最小となった方向を振動方向として設定するのが好ましい。
【0020】
すなわち、このような振動方向制御手段を備えていれば、被測定物に接触していない状態における検出信号よりも小さな所定の値となるように、第2加振手段による相対振動の振動方向を被測定物の端面に沿った方向に修正できる。従って、被測定物と接触する接触部の周波数f2による振動方向を、常に被測定物の端面方向に維持することができるので、予め被測定物の概略形状を把握することなく、被測定物の倣い測定、連続測定を行うことができる。
【0021】
そして、上述したタッチ信号プローブの動作制御構造は、前記検出手段による前記被測定物に接触していない状態における検出信号よりも小さな所定の値が一定に維持できないとき、前記制御手段による前記駆動機構の制御を中止し、前記制御手段によって制御される前記スタイラスの移動方向とは反対方向に、前記スタイラスを移動させるように、前記駆動機構を制御する回避手段を備えているのが好ましい。
【0022】
すなわち、穴の底部やスタイラスの移動方向に壁のあるような被測定物の形状を測定する場合、接触部が壁に到達しているにもかかわらず制御手段によるスタイラスの移動を続けると、被測定物またはタッチ信号プローブの破損を招くことがある。従って、タッチ信号プローブの動作制御構造が上述した回避手段を備えていれば、制御手段による動作制御を中止し、接触部が被測定物の端面と非接触状態となるように支持体を動作させることができるので、被測定物またはタッチ信号プローブの破損を防止することが可能となる。尚、回避手段による支持体または被測定物の動作方向としては、例えば、制御手段によるスタイラスの相対移動方向と逆向きの方向が考えられる。
【0023】
また、上述した加振手段および第2加振手段としては、スタイラスの軸周りに、一定角度をなすように配置される2つ以上の加振素子から構成された加振手段および第2加振手段を採用することができる。
ここで、「一定角度をなすように配置される2つ以上の加振素子」とは、例えば、加振素子が2つであれば、スタイラスの軸周りに、互いに90°をなすように配置されること、加振素子が3つ以上であれば、スタイラスの軸周りに等配で配置されることを意味する。
さらに、上述した加振素子としては、圧電素子を採用することができる。
【0024】
このような加振手段および第2加振手段は、棒状のスタイラスが挿通される円筒体の表面に圧電素子を配置することにより構成することができ、該圧電素子2つを円筒表面に互いに90°をなすように設けたり、該圧電素子3つを円筒表面に互いに120°をなすように等配で設けるのが好ましい。
そして、各圧電素子を周波数f1、f2で動作させる2種類の電気信号を与えることにより、周波数f1を与える電気信号でスタイラスを軸方向に振動させ、かつ周波数f2を与える電気信号でスタイラスを曲げ方向に振動させることが可能となる。
【0025】
具体的には、周波数f1は、スタイラスを軸方向に共振させる固有振動数に設定し、周波数f2は、スタイラスを曲げ方向に振動させる固有振動数以下の振動数に設定する。
各圧電素子に周波数f1の電気信号を同期して与えれば、各圧電素子の軸方向力が相殺されることがないので、スタイラスを軸方向に共振させることが可能となる。
一方、スタイラスの軸周りに90°をなすように、または等配で配置される複数の圧電素子に周波数f2の電気信号を与えれば、各圧電素子のスタイラスの曲げ方向の力が合成されてスタイラスに作用するので、第2加振手段による振動の振動面をスタイラスの軸に直交する面内で任意の方向に設定することが可能となる。
【0026】
そして、上述した第2加振手段は、加振手段と別体で設けることもでき、スタイラスホルダをスタイラスの軸線に対して互いに直交する2方向に加振させるように構成することができる。
具体的には、第2加振手段は、スタイラスホルダおよび支持体の間に1方向に加振させる加振素子、および異なる方向に加振させる加振素子を直列に設けることで構成することができる。
【0027】
また、他の第2加振手段としては、加振手段が設けられたスタイラスホルダを支持する円筒体表面に複数の加振素子を並列に設けることにより構成することができる。
このような第2加振手段は加振手段と別体に設けられているので、従来公知の加振手段が設けられたタッチ信号プローブを用いて本発明を実施することが可能となるうえ、第2加振手段をそのままにしてスタイラスのみを簡単に交換することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分または部材と同一または類似の部分等については、同一または類似の符号を付してその説明を省略または簡略する。
図4には、本発明の第1実施形態に係るタッチ信号プローブの動作制御構造を組み込んだ倣い測定装置1が示されている。
【0029】
この倣い測定装置1は、測定器本体2、コントローラ3、駆動回路4、検出回路5、およびパーソナルコンピュータ6を含んで構成される。駆動回路4は、タッチ信号プローブ100をスタイラスの軸方向および軸に直交する方向に振動させるためのものであり、検出回路5は、スタイラスに設けられた検出手段からの電気信号を処理してコントローラ3に出力する部分である。また、パーソナルコンピュータ6は、コントローラ3に制御信号を出力して測定器本体2の動作制御を行うとともに、検出回路5からの検出信号Vがコントローラ3を介して入力され、該検出信号Vの演算処理を行って被測定物Wの外径形状等を取得する。
【0030】
測定器本体2は、被測定物Wを設置して該被測定物Wの表面形状を測定するものであり、該被測定物Wが設置されるXYZテーブル21と、このXYZテーブル21の端部に立設される支柱22と、この支柱22の延出方向に摺動自在に設けられる支持体23と、この支持体23に支持されるタッチ信号プローブ100とを含んで構成される。
【0031】
XYZテーブル21は、図4では図示を略したが、被測定物Wを所定の位置に設置するために、被測定物WをXYZテーブル21の面に沿って移動させるX軸調整機構およびY軸調整機構と、被測定物WをXYZテーブル21の面の法線方向に移動させるZ軸調整機構とを備えている。そして、被測定物WをXYZテーブル21に設置した後、これらの軸調整機構を操作して該被測定物Wの正確な正確な位置調整を行う。
支持体23は、図4では図示を略したが、タッチ信号プローブ100をXYZテーブル21の面に沿って移動させるX軸駆動機構およびY軸駆動機構と、支柱22に沿って上下に支持体23を移動させるZ軸駆動機構とを備え、これらの軸駆動機構は、後述するコントローラ3により動作制御される。
【0032】
タッチ信号プローブ100は、図5に示すように、スタイラスホルダ101、スタイラス102、接触部102A、カウンタバランス102B、加振手段103A、および検出手段103Bを備えている。そして、支持体23とこの支持体23に支持されるスタイラスホルダ101との間には、スタイラス102を該スタイラス102の軸に直交する平面内で周波数f2で振動させる第2加振手段110が設けられている。尚、スタイラス102の軸に直交する平面内で任意の方向に該スタイラス102を振動させるために、第2加振手段110は、互いに直交する方向に振動させるX軸加振素子110XおよびY軸加振素子110Yを備え、X軸加振素子110XおよびY軸加振素子110Yは、スタイラスホルダ101および支持体23の間に直列に配置されている。
【0033】
駆動回路4は、加振手段103Aおよび第2加振手段110を所定の周波数で振動させる電気信号を与える部分であり、加振回路41および第2加振回路42から構成されている。
加振回路41は、加振手段103Aが所定の振幅、所定の周波数で動作するような電気信号を発生させる発信器を備え、これにより、スタイラス102は周波数f1で軸方向に振動する。
【0034】
第2加振回路は、上述したX軸加振素子110XおよびY軸加振素子110Yを所定の振幅、所定の周波数で動作するような電気信号を発生させる発信器を備えている。尚、この発信器は、X軸加振素子110XおよびY軸加振素子110Yを同期して動作させるが、各加振素子110X、110Yの電気信号の振幅は、独立で調整可能となっている。そして、各加振素子110X、110Yに振幅の異なる電気信号を与えることにより、スタイラス102は任意の方向に振動し、両加振素子110X、110Yの振動の周波数を一致させ、位相を制御することにより、スタイラス102は、周波数f2でスタイラス102の軸に直交する平面内で任意の方向に振動する。
【0035】
図4において、コントローラ3は、支持体23を動作制御する部分であり、制御手段31、振動方向制御手段32、および回避手段33を備えている。
制御手段31は、パーソナルコンピュータ6からの測定開始信号に基づいて、測定器本体2の支持体23の動作制御を行うとともに、検出回路5からの接触していない状態における検出信号よりも小さな所定の値Vが一定となるように、支持体23の動作制御を行う。具体的には、制御手段31による支持体23の動作制御は、被測定物Wの端面の方向にスタイラス102を移動させるように行われる。
【0036】
振動方向制御手段32は、検出回路5から入力される検出信号Vに基づいて、第2加振手段110によるスタイラス102の振動方向を制御するものである。具体的には、振動方向制御手段32は、第2加振回路42に制御信号を与え、X軸加振素子110X、Y軸加振素子110Yの振幅を調整し、検出信号Vの変化が最小となるようなX軸加振素子110XおよびY軸加振素子110Yの組み合わせを見つけることにより、スタイラス102の振動方向の制御と被測定物Wの端面方向の検知を行う。
【0037】
回避手段33は、検出回路5からの被測定物Wに接触していない状態における検出信号よりも小さな所定の値を一定にできない場合、制御手段31による動作制御を中止し、制御手段31によるタッチ信号プローブ100の移動方向とは反対方向に支持体23を移動させる制御信号を出力する部分である。そして、この回避手段33が動作することにより、タッチ信号プローブ100は、被測定物Wと非接触状態となり、過大な接触力によるプローブまたは被測定物の損傷が防止される。
【0038】
次に、上述した倣い測定装置1の動作を説明する。
まず、パーソナルコンピュータ6からコントローラ3に制御信号を出力し、制御手段31によって支持体23を動作させ、所定の接触力が作用するように、接触部102Aを被測定物Wの端面に接触させる。尚、所定の接触力が作用しているか否かは、加振手段103Aによりスタイラス102を軸方向に振動させた状態で、検出回路5からの検出信号Vが所定の閾値となっているかによって判断される。
【0039】
次に、所定の接触力が作用した状態で、振動方向制御手段32から制御信号を第2加振回路42に出力して、第2加振手段110による振動を開始する。振動方向制御手段32は、検出回路5からの検出信号Vを監視しながら、第2加振回路42に制御信号を出力して、第2加振手段110の振動方向を調整し、前記検出信号Vの変化が最小となる部分を振動方向として設定する。
【0040】
具体的には、第2加振回路42は、X軸加振素子110XとY軸加振素子110Yの各々を、同一の周波数f2で振動させるが、このとき、接触部102Aの振動方向は、スタイラス102の軸に直交する面内で、X軸加振素子110Xによる振動とY軸加振素子110Yによる振動の合成振動となる。例えば、両者の周波数、位相、振幅が同一ならば、合成される振動の振動方向は、X軸に対して45°方向となり、その振幅は約1.4倍(2の平方根)となる。ここで、X軸加振素子110Xに印加する加振信号と、Y軸加振素子110Yに印加する加振信号の各々の振幅と位相の制御を振動方向制御手段32によって適切に行えば、振動方向を0°から180°の範囲にわたって変えることができ、かつ振動振幅を一定に保つことができる。
【0041】
このようにして振動方向を変えながら、前記検出信号Vの変化を観測し、その変化が最小となる時の振動方向を求めれば、その振動方向が被測定物Wの端面方向であることが検出できる。接触部102Aが被測定物Wに接触している際には、このように振動方向制御手段32は、適時、接触部102Aの振動方向を変化させることによって、被測定物Wの端面方向を検出するとともに、スタイラス102の振動方向を被測定物Wの端面方向に設定することができる。
【0042】
被測定物Wの概略形状が既知であった場合には、振動方向制御手段32へ被測定物Wの端面方向を指示して、接触部102Aの振動方向を設定することができる。一方、被測定物Wの概略形状が未知の場合には、振動方向検出手段32が検出した被測定物Wの端面方向から接触部102Aの振動方向を設定することができる。
【0043】
制御手段31は、振動方向制御手段32で設定された振動方向に沿って支持体23を動作させる制御信号を出力し、被測定物Wの端面の走査が開始される。
支持体23を動作させて被測定物Wの表面を走査している間、検出回路5からの検出信号Vが測定当初に比較して大きくなってきた場合、被測定物Wの端面が接触部102Aから遠ざかる方向に湾曲していると考えられる。そこで、制御手段31は、この被測定物Wに接触していない状態における検出信号よりも小さな所定の値Vとなるように、接触部102Aを被測定物Wの端面に接近させる方向に支持体23を動作させる制御信号を出力する。一方、検出信号Vが測定当初に比較して小さくなってきた場合、被測定物Wの端面が接触部102Aが接近する方向に湾曲していると考えられるので、制御手段31は、接触部102Aが被測定物Wの端面から離間する方向の制御信号を支持体23に出力する。
【0044】
このとき、接触部102Aが被測定物Wに接触している限りにおいて、被測定物Wに接触していない状態における検出信号よりも小さな所定の値Vとなるように制御手段31による制御を行えば、スタイラス102は被測定物Wに対して、最小の接触力を維持できる。また、接触部102Aが被測定物Wに接触していない場合は、図1(B)における検出信号Vの振幅Aが最大値を示すことや、あるいは振動方向を変化させても、検出信号Vの変化が生じないことからも、接触部102Aの被測定物Wへの非接触を検知することができる。尚、この制御手段31による支持体23の動作制御に伴い、検出信号Vの変化に基づいて、前記振動方向制御手段31によるスタイラス102の振動方向制御も行われる。
【0045】
以上のような手順による被測定物Wの表面の走査中、タッチ信号プローブ100の進行方向を遮るように被測定物Wの表面が屈曲して壁があり、接触部102Aが壁に到達し、被測定物Wに接触していない状態における検出信号よりも小さな所定の値Vを一定に維持できなくなると、制御手段31による支持体23の動作制御が中止され、回避手段33による支持体23の動作制御が行われる。尚、回避手段33からの制御信号は、制御手段31の制御信号に基づくタッチ信号プローブ100の進行方向とは逆向きの制御信号であり、回避手段33による制御信号は、接触部102Aと被測定物Wとが非接触状態になるまで出力される。
【0046】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、第2加振手段110により、スタイラス102を被測定物Wの端面に沿って振動させ、この際の検出回路5で検出された被測定物Wに接触していない状態における検出信号よりも小さな所定の値Vが一定となるように、制御手段31により支持体23の動作制御を行っているので、スタイラス102を被測定物Wの表面に沿って移動させることができ、タッチ信号プローブ100を用いて倣い測定を行うことができる。そして、このようなタッチ信号プローブ100を用いているので、被測定物Wの形状を高精度に測定することができる。
【0047】
また、倣い測定装置1が振動方向制御手段32を備えているので、被測定物Wに接触していない状態における検出信号よりも小さな所定の値Vに応じて、第2加振手段110による相対振動の振動方向を、被測定物Wの端面に沿った方向に修正することができる。従って、被測定物Wと接触する接触部102Aの周波数f2による振動方向を常に被測定物の端面方向に維持することができるので、予め被測定物Wの概略形状を把握することなく、被測定物Wの倣い測定、連続測定を行うことができる。
【0048】
さらに、上述した倣い測定装置1が回避手段33を備えているので、スタイラス102の移動方向に壁のあるような場合であっても、回避手段33による支持体23の動作制御を行うことにより、被測定物Wまたはタッチ信号プローブ100の破損を防止することができる。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
前述の第1実施形態に係るタッチ信号プローブの動作制御構造では、タッチ信号プローブ100は、加振手段103Aがスタイラスホルダ101上に設けられ、第2加振手段110が支持体23とスタイラスホルダ101との間に設けられ、両加振手段103A、110はそれぞれ独立した加振回路41、42によって駆動されていた。
【0050】
これに対して、第2実施形態に係るタッチ信号プローブの動作制御構造では、加振手段および第2加振手段がタッチ信号プローブを構成するスタイラスの軸周りに一体的に設けられている点が相違する。
すなわち、図6に示すように、第2実施形態に係るタッチ信号プローブ200は、スタイラスホルダ201と、スタイラスホルダ201に設けられる2つの支持片201Aに狭持され、スタイラス102が挿通される円筒体202を備えている。
【0051】
この円筒体202の外周には、図7に示すように、4つの圧電素子203A、203B、203C、203Dが設けられ、これらのうちスタイラス102の軸周りに互いに90°をなすように配置される2つの圧電素子203A、203Bが加振素子とされ、加振手段および第2加振手段を構成している。
そして、これらの圧電素子203A、203Bに対向配置される圧電素子203C、203Dは、検出手段として構成され、各圧電素子203C、203Dから出力される検出信号Vは、検出回路5により処理される。
尚、タッチ信号プローブ200のこれ以外の部分、およびこのタッチ信号プローブ200が装着される倣い測定装置の構造は、前記第1実施形態と同様なので、その説明を省略する。
【0052】
圧電素子203A、203Bは、図7では図示を略したが、加振回路からそれぞれ2種類の周波数f1、f2の電気信号で駆動されている。ひとつはスタイラス102の軸方向の固有振動数f1であり、もうひとつはスタイラス102の曲げ方向の振動数f2である。
固有振動数f1で圧電素子203A、203Bが振動するような力FA1、FB1は、同期しており、FA1=FB1となるためスタイラス102は軸方向に共振する。
【0053】
一方、同時に重畳された振動数f2によって生じる圧電素子203A、203Bのスタイラス102の軸に直交する方向の力FA2、FB2は、例えば、被測定物が図8に示すような小孔Wの内側面測定をする場合であれば、中心点Oを中心とする円S1上の測定開始点P0を基点とする時計周りの角度θから、以下のように与えられる。
FA2=F・sin(2π・f2・t)・cosθ
FB2=F・sin(2π・f2・t)・sinθ
【0054】
このようなタッチ信号プローブ200により、小孔Wの内側面測定を行う場合、第1実施形態と同様に振動方向制御手段によって支持体の動作とともに、検出信号Vの変化に応じて、逐次振動方向を修正するように構成してもよいが、予め三点測定等により小孔の内径の中心位置座標O、および半径Rを求めておき、スタイラス102が移動する概ねの軌道を振動方向制御手段に与えておいてもよい。そして、接触部102Aを小孔Wの内側面と接触させた状態で加振素子となる圧電素子203A、203Bにより、スタイラス102を軸方向および内側面に沿った方向に振動させる。
【0055】
このようなタッチ信号プローブ200を支持体に装着する際に注意すべきことは、上述したθ=0の向きである。これは、加振手段および第2加振手段を構成する圧電素子203A、203Bの配置により決定される構造的な問題であるから、支持体にタッチ信号プローブ200を装着する場合、スタイラス102の軸周りの位置を一義的に決定しておく必要がある。
【0056】
前述のような第2実施形態によれば、前記第1実施形態で述べた効果に加えて、次のような効果がある。
すなわち、圧電素子203A、203Bに周波数f1が同期して与えられているので、加振手段を構成する圧電素子203A、203Bの軸方向力FA1、FB1が相殺されることがなく、スタイラス102を軸方向に共振させることができる。
【0057】
また、第2加振手段を構成する圧電素子203A、203Bがスタイラス102の軸周りに90°をなすように配置されているので、各圧電素子203A、203Bのスタイラス102の曲げ方向の力FA2、FB2が合成されてスタイラス102に作用し、第2加振手段によるスタイラス102の振動の振動面をスタイラス102の軸周りの任意の方向に設定することができ、小孔Wの内側面の連続測定を行うことができる。
【0058】
さらに、加振手段および第2加振手段が円筒体202上に一体的に構成されているので、タッチ信号プローブ200の小型化を図ることができ、より小径の小孔測定を可能とすることができる。
そして、第1実施形態の場合と異なり、支持体23およびスタイラスホルダ101の間に別途第2加振手段を設ける必要がないので、種々の倣い測定装置で本発明に係るタッチ信号プローブの動作制御構造を実施することができ、その汎用性が著しく向上する。
【0059】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
前述の第2実施形態に係るタッチ信号プローブ200では、スタイラス102の周りに配置される円筒体202上に4つの圧電素子203A〜203Dが一体的に設けられ、互いに90°をなすように配置される圧電素子203Aおよび203Bが加振手段および第2加振手段を構成していた。
【0060】
これに対して、第3実施形態に係るタッチ信号プローブ300は、図9に示すように、スタイラスホルダ201、スタイラス102、接触部102A等については、第2実施形態に係るタッチ信号プローブ200と同様であるが、スタイラス102が挿通される円筒体302の外周に6つの圧電素子が等配で設けられている点が相違する。
【0061】
すなわち、図10に示すように、円筒体の外周には、圧電素子303A、303B、303C、303D、303E、303Fが等配で設けられ、互いにスタイラス102の軸周りに120°をなして等配で配置される3つの圧電素子303A、303C、303Eが加振素子とされ、加振手段および第2加振手段を構成し、これら3つの圧電素子303A、303C、303Eと対向配置される圧電素子303B、303D、303Fが検出手段を構成している。
【0062】
そして、加振手段および第2加振手段を構成する3つの圧電素子303A、303C、303Eには、スタイラス102を軸方向に振動させる周波数f1の信号が同期して与えられるとともに、スタイラス102を軸に直交する方向に振動させる周波数f2の電気信号が重畳されて与えられる。尚、スタイラス102の軸に直交する方向の力は、前記3つの圧電素子303A、303C、303Eの周波数f2の振動により生ずる力のベクトル合成力として与えられるので、振動方向と振幅の制御は容易である。
【0063】
このような第3実施形態に係るタッチ信号プローブ300によれば、第2実施形態で述べた効果に加えて、以下のような効果がある。
すなわち、スタイラス102の軸周りに圧電素子303A、303C、303Eが互いに120°をなすように等配で配置されているので、圧電素子303A、303C、303Eの配置によらず、スタイラス102の直交する方向であれば、任意の方向にスタイラス102を振動させることができる。
【0064】
また、圧電素子303A、303C、303Eが偏りなく軸対象に配置されているので、スタイラス102の振動方向を測定面内のどの方向であっても均一とすることができる。
さらに、このような構成とすれば、圧電素子303A、303C、303Eの特性のばらつきによる影響を少なくすることができる。
【0065】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
前述の第2実施形態に係るタッチ信号プローブ200は、スタイラス102の軸が挿通される円筒体202を有し、この円筒体202の外周部分に設けられる圧電素子203A、203Bが加振手段および第2加振手段の役割を備えていた。
これに対して、第4実施形態に係るタッチ信号プローブ400は、図11および図12に示すように、スタイラス102の軸が挿通される円筒体402上に設けられる複数の圧電素子403Aの他、スタイラス102の重心位置に別途圧電素子103Aが設けられ、圧電素子403Aが第2加振手段となり、圧電素子103Aが加振手段とされている点が相違する。
【0066】
すなわち、タッチ信号プローブ400は、図11に示すように、スタイラス102、接触部102A、カウンタバランス102B、スタイラスホルダ201、第2スタイラスホルダ401、円筒体402、および支持体としてのベース410を含んで構成される。円筒体402は、基端がベース410に固定されるとともに、先端に第2スタイラスホルダ401が取り付けられ、ベース410および第2スタイラスホルダ401により狭持される。
【0067】
円筒体402の外周には、複数の圧電素子403Aが並列に設けられ、これらが第2加振手段を構成している。尚、複数の圧電素子403Aは、円筒体402の外周に4〜6つ設けられ、スタイラス102の軸周り互いに等配で配置されている。
第2スタイラスホルダ401は、側面中間部分に段差が形成された円筒状体であり、外周半径の小さい段差上部に前記円筒体402が嵌合するとともに、スタイラスホルダ401の円筒側面に形成されるスリット401Aと、固定ビス401Bとを備えている。
【0068】
スタイラス102は、図12に示すように、軸方向振動の節となる重心位置を挟むように2カ所でスタイラスホルダ201によって支持され、スタイラスホルダ201には、圧電素子からなる加振手段103Aおよび検出手段103Bが設けられている。
そして、スタイラスホルダ201は、第2スタイラスホルダ401のスリット401Aに挿入され、固定ビス401Bにより第2スタイラスホルダ401に固定される。
第2加振手段を構成する圧電素子403Aには、不図示の第2加振回路から周波数f2の電気信号が与えられ、加振手段を構成する圧電素子103Aには、加振回路から周波数f1の電気信号が与えられる。尚、スタイラス102の軸方向に直交する方向の振動における振動面の方向は、前記第2実施形態と同様に、複数の圧電素子403Aの合成ベクトルとして与えられるので、その説明は省略する。
【0069】
このような第4実施形態に係るタッチ信号プローブ400によれば、前記第2実施形態で述べた効果に加えて、以下のような効果がある。
すなわち、円筒体402上に設けられる圧電素子403Aは、検出電極を必要としないので、その個数を比較的少なく済ませることができ、タッチ信号プローブ400の構造の簡素化を図ることができる。
【0070】
また、スタイラス102の軸方向振動を起こす圧電素子103Aと、軸に直交する方向の振動を起こす圧電素子403Aとが別体となっているので、スタイラス102の接触動作がスタイラス102の軸方向振動に影響することもなく、外乱のない軸方向振動を得られ、高精度の測定を行うことができる。
【0071】
さらに、スタイラス102の交換を考えた場合、第2加振手段がスタイラス102に一体的に設けられていないので、第2加振手段となる圧電素子403Aをそのままにしてスタイラス102の交換を行うことができ、部品コストの低減化が図られる。
そして、第2加振手段となる円筒体402上の圧電素子403Aと加振手段となる圧電素子103Aとが別体に設けられ、スタイラス102が固定ビス401Bにより第2スタイラスホルダ401に固定されているので、タッチ信号プローブとして従来公知のものを使用することができ、スタイラス102の交換も簡単にできる。
【0072】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含むものである。
前記各実施形態に係るタッチ信号プローブの動作制御構造は、小孔等の内側面に限られず、種々の形状の被測定物の倣い測定に応用することができる。すなわち、円筒状のワークの外周面や、他の複雑な三次元形状を有するワークの連続測定を行うために、本発明を利用してもよい。
【0073】
また、前記第2実施形態では、加振手段および第2加振手段を圧電素子203A、203Bから構成していたが、これに限らず、他の構造により加振手段および第2加振手段を構成してもよい。要するに、スタイラスを被測定物の端面に沿った方向に所定の周波数で振動させることができる加振手段および第2加振手段であれば、他の構成を採用してもよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【0074】
【発明の効果】
前述のような本発明のタッチ信号プローブの動作制御構造によれば、第2加振手段および制御手段を備えているので、超音波式タッチ信号プローブを倣い測定、連続測定に用いることにより、被測定物の形状を高精度に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の作用を説明するための模式図およびグラフである。
【図2】本発明の作用を説明するための模式図およびグラフである。
【図3】本発明の作用を説明するための模式図およびグラフである。
【図4】本発明の第1実施形態に係るタッチ信号プローブの動作制御構造を表す模式図である。
【図5】前記実施形態におけるタッチ信号プローブの構造を表す模式図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るタッチ信号プローブの動作制御構造のタッチ信号プローブの構造を表す概要斜視図である。
【図7】前記実施形態における加振手段および第2加振手段の配置を表す模式図である。
【図8】前記実施形態における測定手順を説明するための模式図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係るタッチ信号プローブの動作制御構造のタッチ信号プローブの構造を表す概要斜視図である。
【図10】前記実施形態における加振手段および第2加振手段の配置を表す模式図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係るタッチ信号プローブの動作制御構造のタッチ信号プローブの構造を表す概要斜視図である。
【図12】前記実施形態におけるスタイラスおよび加振手段の構造を表す概要斜視図である。
【図13】従来のタッチ信号プローブの構造を表す概要斜視図である。
【符号の説明】
23 支持体
31 制御手段
32 振動方向制御手段
33 回避手段
100、200、300、400 タッチ信号プローブ
101、201、401 スタイラスホルダ
102 スタイラス
102A 接触部
103A 加振手段
103B 検出手段
110 第2加振手段
203A、203B、303A、303C、303E 圧電素子(加振手段および第2加振手段)
403A 第2加振手段としての圧電素子
V 検出信号
W 被測定物

Claims (7)

  1. 被測定物と接触する接触部を先端に有するスタイラスと、このスタイラスを支持するスタイラスホルダと、前記スタイラスを軸方向に周波数f1で振動させる加振手段と、この加振手段による前記スタイラスの振動の変化を検出する検出手段とを備えたタッチ信号プローブの動作制御を行うタッチ信号プローブの動作制御構造であって、
    前記スタイラスホルダと機械的に結合され、駆動機構により三次元空間内を前記被測定物に対して所定の速度ベクトルで相対運動する支持体と、
    前記スタイラスの軸方向に直交する平面内で前記スタイラスを周波数f2で振動させる加振素子、及びこの加振素子の振動方向を前記被測定物の端面に沿って制御する振動方向制御手段を有する第2加振手段と、
    前記被測定物の端面に前記接触部を接触させ、前記第2加振手段により前記スタイラスを振動させた際、前記被測定物に接触していない状態における検出信号よりも小さな所定の値となるように、前記駆動機構を制御して前記支持体を動作させる制御手段とを備えていることを特徴とするタッチ信号プローブの動作制御構造。
  2. 請求項1に記載のタッチ信号プローブの動作制御構造において、
    前記振動方向制御手段は、前記第2加振手段により前記スタイラスホルダを任意の方向に振動させ、前記検出手段からの検出信号が最小となった方向を振動方向として設定することを特徴とするタッチ信号プローブの動作制御構造。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のタッチ信号プローブの動作制御構造において、
    前記制御手段は、前記支持体を前記被測定物の端面の方向に動作させるように前記駆動機構を制御することを特徴とするタッチ信号プローブの動作制御構造。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のタッチ信号プローブの動作制御構造において、
    前記加振手段および前記第2加振手段は、前記スタイラスの軸周りに、一定角度をなすように配置される2つ以上の加振素子から構成されていることを特徴とするタッチ信号プローブの動作制御構造。
  5. 請求項4に記載のタッチ信号プローブの動作制御構造において、
    前記加振素子は、圧電素子から構成されていることを特徴とするタッチ信号プローブの動作制御構造。
  6. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のタッチ信号プローブの動作制御構造において、前記第2加振手段は、前記スタイラスホルダを1方向に加振させる加振素子と、異なる方向に加振させる加振素子とを直列に配置して構成されることを特徴とするタッチ信号プローブの動作制御構造。
  7. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のタッチ信号プローブの動作制御構造において、前記第2加振手段は、前記スタイラスホルダを1方向に加振させる加振素子と、異なる方向に加振させる加振素子とを並列に配置して構成されることを特徴とするタッチ信号プローブの動作制御構造。
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