JP2000074675A - 角速度センサ - Google Patents

角速度センサ

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JP2000074675A
JP2000074675A JP10260924A JP26092498A JP2000074675A JP 2000074675 A JP2000074675 A JP 2000074675A JP 10260924 A JP10260924 A JP 10260924A JP 26092498 A JP26092498 A JP 26092498A JP 2000074675 A JP2000074675 A JP 2000074675A
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Japan
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vibrator
angular velocity
frequency
vibrators
electrode
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JP10260924A
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English (en)
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Masaya Tamura
昌弥 田村
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加速度が加わったときでも、加速度による影
響を受けることなく角速度を検出し、角速度の検出感度
を高める。 【解決手段】 基板2上には、支持部4、第1の支持梁
5、第1の振動子6、第2の支持梁7、第2の振動子8
からなる可動部3を設け、第2の振動子8をZ軸方向に
振動可能な振動体9,10から構成する。この振動体
9,10はそれぞれ異なる値をもった固有振動数を有
し、第1の振動子6を振動させる振動発生部18の振動
周波数を、これらの固有の固有振動数の間に位置させ
る。これにより、Y軸回りに角速度Ωが加わったとき
に、振動体9,10をZ軸方向に交互に振動させ、この
変位を検出することにより、角速度センサ1に加わる角
速度のみを検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば移動する物
体、回転体等に作用する角速度を検出するのに用いて好
適な角速度センサに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、従来技術による角速度センサと
しては、第1の振動子と、該第1の振動子に支持された
第2の振動子と、前記第1の振動子と第2の振動子とを
振動周波数で第1の軸方向に振動させる振動発生手段
と、該振動発生手段により前記第1の振動子と第2の振
動子とを第1の軸方向に振動させた状態でこの第1の軸
方向と直交する第2の軸回りに角速度が作用したとき、
第2の振動子が第1,第2の軸に直交する第3の軸方向
へ変位するときの変位を検出する変位検出手段とから大
略構成したものがある(例えば、特開平5−31257
6号公報、特開平7−239339号公報等)。
【0003】ここで、この角速度センサでは、振動発生
手段により第1の振動子と第2の振動子とを振動周波数
で第1の軸方向に振動させている状態で、この軸に直交
する第2の軸回りに角速度が加わると、第2の振動子は
第3の軸方向に振動する。そして、変位検出手段では、
該第2の振動子が第3の軸方向に振動するときの変位を
検出することにより、センサ全体に加わった角速度を測
定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術による角速度センサでは、第3の軸方向に加速度
が加わったときには、この加速度によって第2の振動子
が第3の軸の方向に変位する。このとき、変位検出手段
は、このような加速度による第2の振動子の変位も角速
度によるものとして検出してしまう。即ち、第2の軸回
りに角速度が加わっていないときであっても、第3の軸
方向に加速度が加わったときには、第2の振動子が第3
の軸方向に変位し、変位検出手段ではこの変位を角速度
として検出してしまう。
【0005】このように、第3の軸の方向に加速度が加
わったときには、この加速度による第2の振動子の変位
が、センサから出力される信号にノイズとして加わって
しまうため、角速度の検出精度が低下してしまうという
問題がある。
【0006】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みな
されたもので、本発明は加速度が加わったときでも、セ
ンサに加わる角速度を高精度に検出することのできる角
速度センサを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1による発明では、第1の振動子と、該
第1の振動子に支持された第2の振動子と、前記第1の
振動子と第2の振動子とを第1の軸方向に振動させる振
動発生手段と、該振動発生手段により前記第1の振動子
と第2の振動子とを第1の軸方向に振動させた状態でこ
の第1の軸方向と直交する第2の軸回りに角速度が作用
したとき、第2の振動子が第1,第2の軸に直交する第
3の軸方向に変位するときの変位を検出する変位検出手
段とを備えてなる角速度センサにおいて、前記第2の振
動子は2つの振動体によって構成し、一方の振動体を前
記第1の振動子の振動周波数よりも高い固有振動数を有
し、他方の振動体を前記第1の振動子の振動周波数より
も低い固有振動数を有したことを特徴としている。
【0008】このように構成したことにより、第1,第
2の振動子は、振動発生手段で第1の軸方向に振動させ
た状態で、第2の軸回りに角速度が加わると、第3の軸
方向に同じ振動周波数のコリオリ力が発生する。このコ
リオリ力により、第2の振動子は第3の軸方向に変位
し、この変位を変位検出手段で検出することにより角速
度を検出する。
【0009】そして、第2の振動子を2つの振動体によ
って構成し、一方の振動体を前記第1の振動子の振動周
波数よりも高い固有振動数を有し、他方の振動体を前記
第1の振動子の振動周波数よりも低い固有振動数を有し
て構成したから、振動体の固有振動数が振動周波数より
も低い場合には角速度によって発生したコリオリ力と同
位相で振動し、振動体の固有振動数が振動周波数よりも
高い場合には角速度によって発生したコリオリ力と逆位
相で振動する。
【0010】このため、第1の振動子の振動周波数を各
固有振動数の間の値とすることにより、第2の軸回りに
角速度が加わったとき、一方の振動体と他方の振動体と
は、互いに逆位相の振動を第3の軸方向に対して行う。
そして、変位検出手段でこの変位を検出し、各信号を演
算することにより、第3の軸方向に加速度が加わった場
合でも、この加速度分を相殺することができる。
【0011】請求項2の発明では、第1の振動子が枠形
状を有し、この第1の振動子の枠形状内に第2の振動子
を配置したことにある。
【0012】このように、第2の振動子を第1の振動子
の枠形状内に配置しているから、振動発生手段によって
第1,第2の振動子を第1の軸方向に振動し、第2の振
動子を構成する2つの振動体も同様に第1の軸方向に振
動する。第1,第2の振動子を第1の軸方向に振動させ
た状態で、第2の軸回りに角速度が加わると、2つの振
動体は第3の軸方向に向けて交互に変位し、この変位を
変位検出手段で検出して演算することにより、第3の軸
方向に加速度が加わった場合でも、この加速度分を相殺
することができる。
【0013】請求項3の発明では、第1の振動子の振動
周波数と2つの振動体の固有振動数とのうち、少なくと
も1つの周波数を調整する周波数調整手段を設けたこと
にある。
【0014】このように、周波数調整手段によって、例
えば第1の振動子の振動周波数を、一方の振動体の固有
振動数と他方の振動体の固有振動数との間に設定させる
ことができる。そして、第1,第2の振動子を第1の軸
方向に振動させた状態で、第2の軸回りに角速度を加え
ることにより、第2の振動子を構成する2つの振動体
は、第3の軸方向に互いに逆位相となる振動を行うこと
ができる。
【0015】請求項4の発明では、周波数調整手段を、
2つの振動体のうち少なくとも一方の振動体に対向する
位置に設けた調整電極と、該調整電極と振動体との間に
バイアス電圧を印加するバイアス電圧印加手段とから構
成したことにある。
【0016】このような構成とすることにより、例えば
一方の振動体と調整電極との間にバイアス電圧印加手段
からバイアス電圧を印加すると、一方の振動体と調整電
極との間には静電引力が発生し、該一方の振動体を調整
電極側に引っ張る。このとき、一方の振動体を支持梁に
よって支持している場合には、この支持梁のばね定数は
見掛け上小さくなり、固有振動数を下げることができ
る。そして、一方の振動体の固有振動数をずらすことに
より、一方の振動体の固有振動数と他方の振動体の固有
振動数との間に、振動周波数を設定することができる。
【0017】請求項5の発明では、調整電極を、2つの
振動体の両方に共通して対向する位置に設けたことにあ
る。
【0018】このような構成とすることにより、調整電
極と2つの振動体との間にバイアス電圧を印加すること
により、2つの振動体をそれぞれ支持する支持梁のばね
定数を同時に調整することができ、例えば第1の振動子
の振動周波数に対して、一方の振動体の固有振動数と他
方の振動体の固有振動数とを同時にずらし、各固有振動
数の間に振動周波数を設定することができる。
【0019】請求項6の発明は、調整電極を、2つの振
動体のそれぞれに対向する位置に個別に設けたことにあ
る。
【0020】このように構成することにより、調整電極
と各振動体との間にバイアス電圧をそれぞれ印加するこ
とにより、各振動体を支持する支持梁のばね定数をそれ
ぞれ別個に調整することができ、各固有振動数の間に振
動周波数を設定することができる。
【0021】請求項7の発明では、2つの振動体を、高
い固有振動数と低い固有振動数とが近接した値をもった
形状に構成したことにある。
【0022】このように、一方の振動体が有する高い固
有振動数と他方の振動体が有する低い固有振動数とを近
づけることにより、2つの振動体を大きな振幅で振動さ
せることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る角速度センサ
の実施の形態を、図1ないし図20を参照しつつ詳細に
説明する。
【0024】まず、図1ないし図6に基づいて、第1の
実施の形態による角速度センサについて述べる。
【0025】1は本実施の形態に適用される角速度セン
サで、該角速度センサ1は、後述する基板2と、該基板
2上に設けられた第1の振動子6、振動体9,10を有
する第2の振動子8等からなる可動部3とから大略構成
されている。
【0026】2は角速度センサ1の基台をなす矩形状に
形成された基板で、該基板2は例えばガラス材料によっ
て形成され、該基板2の表面には矩形状の凹陥部2Aが
形成されている。
【0027】3は基板2上にP,S,Sb等がドーピン
グされた低抵抗なポリシリコン、単結晶シリコン等によ
って形成された可動部で、該可動部3は後述する支持部
4、第1の支持梁5、第1の振動子6、第2の支持梁
7、第2の振動子8等から構成されている。
【0028】4,4は基板2上の左,右に位置して設け
られた2個の支持部で、該各支持部4は略四角形状をな
す可動部3の左,右両側に配置されている。そして、各
支持部4の両端には、第1の支持梁5の基端側がそれぞ
れ取付けられ、これら合計4本の支持梁5は中央部に向
けてY軸方向(第2の軸方向)に延びている。また、各
第1の支持梁5の先端には第1の振動子6が設けられ、
該第1の振動子6は、各支持梁5によりX軸方向(第1
の軸方向)に振動可能に支持されている。
【0029】6は第1の支持梁5によってX軸方向に振
動可能に支持された第1の振動子で、該第1の振動子6
は長方形の枠状に形成されている。また、該第1の振動
子6の枠内には第2の支持梁7、第2の振動子8等が配
設されている。さらに、第1の振動子6の長尺辺には、
後述する可動側振動電極11,11が枠外に向けて突出
形成されている。
【0030】7,7,…はY軸方向に延びる8本の第2
の支持梁で、該各支持梁7は、基端側が第1の振動子6
の短尺辺に取付けられ、先端側には第2の振動子8が取
付けられている。また、各第2の支持梁7は、図5に示
すように、第2の振動子8(振動体9,10)の厚さ寸
法dよりも薄い厚さ寸法d0 としているから、第2の振
動子8をZ軸方向(第3の軸方向)に振動可能に支持し
ている。
【0031】8は第2の支持梁7によって支持された第
2の振動子で、該第2の振動子8は2つの矩形状の振動
体9,10からなり、該振動体9,10の左,右両側は
それぞれY軸方向に延びる4本づつの支持梁7によって
第1の振動子6に連結されている。そして、該振動体
9,10は枠状の第1の振動子6内に配置されている。
【0032】11,11は第1の振動子6の前,後の長
尺辺に形成された可動側振動電極で、該各可動側振動電
極11は例えば6枚の電極板11Aをくし状に配置する
ことによって構成されている。そして、該可動側振動電
極11は後述する固定側振動電極15と共に振動発生部
18を構成している。
【0033】12,13は可動側検出電極で、該可動側
検出電極12,13は、図3に示すように、振動体9,
10の裏面によって形成されている。そして、該可動側
検出電極12,13は後述する固定側検出電極16,1
7と共に変位検出部19,20を構成している。
【0034】ここで、可動部3は、2個の支持部4によ
って基板2の両側に固着されている。そして、可動部3
を構成する第1の支持梁5、第1の振動子6、第2の支
持梁7および第2の振動子8は、基板2の凹陥部2Aに
よって、該凹陥部2Aの底部から所定間隔を離間した状
態にある。各第1の支持梁5はY軸方向に伸長している
からX軸方向に撓ませることにより、第1の振動子6を
X軸方向に変位させる。一方、各第2の支持梁7はX軸
方向に延びると共に、Z軸方向の厚さを薄肉に形成して
いるから、Z軸方向に撓ませることにより、第2の振動
子8(振動体9,10)をZ軸方向に変位させることが
できる。
【0035】さらに、第2の振動子8では、第2の支持
梁7と一方の振動体9によってZ軸方向への一方の振動
系を構成し、第2の支持梁7と他方の振動体10によっ
てZ軸方向への他方の振動系を構成している。これによ
り、一方の振動系は、一方の振動体9の質量、支持梁7
のばね定数等の形状によって固定的に定められる固有振
動数f1 を有し、他方の振動系は、他方の振動体10の
質量、支持梁7のばね定数等の形状によって固定的に定
められる固有振動数f2 を有している。
【0036】14,14は振動用固定部で、該各振動用
固定部14は第1の振動子6を前,後から挟むように基
板2上に設けられている。15,15は固定側振動電極
で、該各固定側振動電極15は、可動側振動電極11の
各電極板11Aと隙間をもって交互に対面するように、
振動用固定部14に突出形成された例えば6枚の電極板
15Aからなる。
【0037】16は一方の振動体9側の固定側検出電極
で、該固定側検出電極16は基板2の凹陥部2Aの底面
に位置して、図4に示すように、振動体9と対向する位
置に形成されている。また、17は他方の振動体10側
の固定側検出電極で、該固定側検出電極17は基板2の
凹陥部2Aの底面に位置して、振動体10と対向する位
置に形成されている。そして、該固定側検出電極16,
17は、基板2上に形成したパターン配線を介して外側
に位置した電極パッドに接続されている。
【0038】18,18は振動発生部で、該各振動発生
部18は可動側振動電極11と固定側振動電極15とに
よって構成され、該可動側振動電極11の各電極板11
Aと、固定側振動電極15の各電極板15Aとの間に
は、それぞれ等しい隙間が形成されている。ここで、可
動側振動電極11と固定側振動電極15との間に逆位相
となった振動周波数f0 のパルス波または正弦波等の駆
動信号を印加すると、前後に位置した電極板11A,1
5A間には静電引力が交互に発生し、各振動発生部18
で近接、離間を繰り返す。これにより、各振動発生部1
8は、第1の振動子6、第2の振動子8等をX軸方向
(第1の軸方向)に振動させる。なお、振動周波数f0
は、第1の支持梁5、第1の振動子6、第2の振動子8
によって設定されるX軸方向の固有振動数にほぼ一致さ
せることにより、第1の振動子6をX軸方向に大きな振
幅で振動させることができる。
【0039】19は一方の振動体9側の変位検出部で、
該変位検出部19は、図3、図5に示すように、可動側
検出電極12と固定側検出電極16とによって構成さ
れ、該可動側検出電極12と固定側検出電極16との間
には隙間が形成され、検出用の平行平板コンデンサとし
て構成されている。そして、変位検出部19は、電極1
2,16間の離間寸法の変化を静電容量の変化として検
出信号VA を出力する。また、20は他方の振動体10
側の変位検出部で、該変位検出部20は、可動側検出電
極13と固定側検出電極17とによって構成され、該可
動側検出電極13と固定側検出電極17との間には隙間
が形成され、検出用の平行平板コンデンサとして構成さ
れている。そして、変位検出部20は、電極13,17
の離間寸法の変化を静電容量の変化としの検出信号VB
を出力するものである。
【0040】ここで、2つの振動体9,10は、一方の
振動体9を第1の振動子6の振動周波数f0 よりも高い
固有振動数f1 を有し、他方の振動体10を振動周波数
f0よりも低い固有振動数f2 を有する形状に構成して
いる。これにより、一方の振動体9の固有振動数f1
と、他方の振動体10の固有振動数f2 と、第1の振動
子6を振動させる振動周波数f0 とを、後述する周波数
の関係とすることにより、Y軸回りに角速度が加わった
ときに振動体9,10はZ軸方向に交互に振動する。そ
して、変位検出部19,20から出力される検出信号V
A ,VB の値は逆位相となって交互に大小を繰り返す。
【0041】本実施の形態による角速度センサ1は、上
述した如くに構成され、次にZ軸回りに角速度Ωを加え
た場合の基本的な検出動作について説明する。
【0042】まず、前,後に位置した振動発生部18,
18に逆位相となる駆動信号を印加すると、各電極板1
1A,15A間に静電引力が前,後の振動発生部18,
18に対して交互に作用し、第1の振動子6と第2の振
動子8はX軸方向に振動を発生する。この場合、各第1
の支持梁5がX軸方向に撓むだけで、第2の支持梁7は
X軸方向には撓まないから、第2の振動子8(振動体
9,10)もX軸方向にのみ振動する。
【0043】この状態で、Y軸(第2の軸)回りに角速
度Ωが加わると、Z軸方向(第3の軸方向)に下記の数
1に示すコリオリ力F(慣性力)が発生する。
【0044】
【数1】F=2mΩv ただし、m:振動体9,10の質量 Ω:角速度 v:第2の振動子8のX軸方向の速度
【0045】そして、このコリオリ力Fによって、第2
の振動子8はZ軸方向に振動し、この第2の振動子8の
振動変位を、変位検出部19,20では、可動側検出電
極12,13と固定側検出電極16,17との間の静電
容量の変化としてそれぞれ検出し、Y軸回りの角速度Ω
を検出することができる。
【0046】次に、本実施の形態の特徴について述べ
る。即ち、第2の振動子8を2つの振動体9,10から
構成し、一方の振動体9による固有振動数f1 と、他方
の振動体10による固有振動数f2 との間に差を持た
せ、この周波数の間に振動周波数f0 を位置させる(図
6参照)。
【0047】一般に、振動子の固有振動数が外から加わ
る振動周波数よりも低い場合には外力と同位相で振動す
るものの、振動子の固有振動数が振動周波数よりも高い
場合には外力と逆位相で振動することが知られている
(例えば、佐藤秀紀ほか2名,機械振動学,第68〜6
9頁(1993年),株式会社工業調査会)。
【0048】そこで、前述した如く、振動周波数f0 を
固有振動数f1 ,f2 との間に位置させることにより、
コリオリ力Fによる振動体9,10の動きは、同じ周波
数ではあるものの互いに逆位相の振動(図5中の矢示
a,b参照)を基板2側に向けて行い、一方の振動体9
が上側に変位しているときには、他方の振動体10が下
側に変位することになる。
【0049】即ち、角速度ΩがY軸回りに加わり、図5
に示すように、例えば左側に位置した一方の振動体9が
下側に変位し、右側に位置した他方の振動体10が上側
に変位した場合には、変位検出部19,20から出力さ
れる検出信号VA ,VB は下記の表1のようになる。な
お、右段にはY軸回りに角速度Ωに加えてZ軸方向に加
速度が加わった場合の検出信号の値を示す。
【0050】
【表1】
【0051】そして、一方の変位検出部19による検出
信号VA から他方の変位検出部20による検出信号VB
を後述する数2のように減算することにより、(2×Δ
Vt)の信号を得ることができ、これにより、角速度Ω
の検出感度を高めることができる。
【0052】
【数2】 VA −VB =+ΔVt −(−ΔVt )=2×ΔVt
【0053】一方、Z軸方向に加速度が加わったとして
も、この加速度の影響は、振動体9,10のZ軸方向に
同様に影響するから、変位検出部19,20にも同じ大
きさのノイズ(ΔVa )として検出信号VA ,VB に加
算される。
【0054】しかし、前述した如く、変位検出部19,
20から出力される検出信号VA ,VB を、数3のよう
に減算することにより、振動体9,10に加わる角速度
を相殺することができ、角速度Ωの高精度に検出するこ
とができる。
【0055】
【数3】 VA −VB =(+ΔVt +ΔVa )−(−ΔVt +ΔVa ) =2×ΔVt
【0056】さらに、本実施の形態による角速度センサ
1では、センサ全体が前後で対称構造となっているか
ら、振動体9,10に外来ノイズが加わったとしても、
全てキャンセルでき、角速度センサ1の信頼性を高める
ことができる。
【0057】かくして、本実施の形態による角速度セン
サ1では、一方の振動体9の固有振動数f1 と他方の振
動体10の固有振動数f2 とのずれを利用して、第1の
振動子6を振動させる振動周波数f0 を、この固有振動
数f1 ,f2 の間にくるように調整する。
【0058】これにより、角速度センサ1では、第1の
振動子6と第2の振動子8をX軸方向に振動させた状態
で、Y軸回りに角速度Ωを加えることにより、第2の振
動子8を構成する振動体9,10はZ軸方向に交互に変
位し、変位検出部19,20でこの振動体9,10のZ
軸方向への変位を検出する。そして、変位検出部19,
20から出力される検出信号VA ,VB を減算すること
により、Z軸方向に加わる加速度等のノイズを除去し、
角速度Ωを高精度に検出することができる。
【0059】次に、図7ないし図10に基づいて、本発
明による第2の実施の形態に適用される角速度センサに
ついて述べる。本実施の形態の特徴は、2つの振動体の
固有振動数を同時に調整する周波数調整手段を設けたこ
とにある。なお、本実施の形態では、前述した第1の実
施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説
明を省略するものとする。
【0060】31,32は固定側検出電極で、図7ない
し図9に示すように、該固定側検出電極31,32は振
動体9,10と対向する基板2の凹陥部2Aに設けられ
ている。また、固定側検出電極31,32にはコ字状に
切欠かれた凹部31A,32Aが形成されている。
【0061】33は後述する周波数調整部36を構成す
る調整電極で、該調整電極33は、2つの振動体9,1
0の両方に共通して対向する基板2の凹陥部2Aの底面
に設けられ、固定側検出電極31,32の凹部31A,
32Aとの間に配置されている。また、該調整電極33
は固定側検出電極31,32とは電気的に非接触状態で
設けられている。また、固定側検出電極31は振動体9
の可動側検出電極12と共に変位検出部34を構成し、
固定側検出電極32は振動体10の可動側検出電極13
と共に変位検出部35を構成している。
【0062】36は周波数調整部で、該周波数調整部3
6は調整電極33と該調整電極33と対向する振動体
9,10の部分によって構成され、該周波数調整部36
は、後述する直流電源37からバイアス電圧が印加され
ることにより、調整電極33と振動体9,10との間に
静電引力を発生させるものである。
【0063】37は周波数調整部36と共にバイアス電
圧印加手段を構成する直流電源で、該直流電源37は調
整電極33と第2の振動子8との間にバイアス電圧を印
加することにより、振動体9,10と調整電極33との
間に静電引力を発生させ、該振動体9,10を基板2側
に引き寄せるものである。
【0064】ここで、周波数調整について述べる。直流
電源37によって周波数調整部36にバイアス電圧を印
加すると、調整電極33と可動側検出電極12,13と
の間には静電引力が発生し、振動体9,10を基板2側
に引っ張る。このため、振動体9,10はZ軸方向に変
位し易くなり、該振動体9,10を支持する第2の支持
梁7のばね定数を見掛け上小さくなる。しかも、一般的
に固有振動数fは、下記の数4によって設定される。
【0065】
【数4】 ただし、m:振動体の質量 k:支持梁のばね定数
【0066】本実施の形態による角速度センサでは、上
述の如き構成を有するもので、その基本的作動について
は第1の実施の形態で述べた角速度センサ1とほぼ同様
に動作するものの、図10に示すように、振動体9の固
有振動数f1 と振動体10の固有振動数f2 とが振動周
波数f0 よりも上側にずれていた場合には、直流電源3
7によってバイアス電圧を周波数調整部36に印加する
ことにり、固有振動数f1 ,f2 を図10に示すよう
に、左側に移動させることができ、振動周波数f0 を固
有振動数f1 とf2 との間に設定することができる。
【0067】そして、Y軸回りに角速度を加えたとき
に、図9中の矢示a,bに示すように、振動体9,10
は基板2に対して交互に振動し、角速度の検出感度を高
めることができる。
【0068】しかも、外部の直流電源37によって固有
振動数f1 ,f2 を調整するようにしたから、角速度セ
ンサの歩留を高めることができると共に、計時劣化等に
よって振動体9,10の固有振動数f1 ,f2 が変化し
た場合でも調整を可能とし、長期に亘って角速度を正確
に検出することができる。
【0069】次に、図11ないし図14に基づいて本発
明による第3の実施の形態について述べる。本実施の形
態の特徴は、2つの振動体のうち一方の固有振動数のみ
を調整する周波数調整手段を設けたことにある。なお、
本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の
構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するもの
とする。
【0070】41は一方の振動体9側の固定側検出電極
で、該固定側検出電極41は、図11ないし図13に示
すように、振動体9と対向する基板2の凹陥部2Aに設
けられ、コ字状に切欠かれた凹部41Aが形成されてい
る。また、42は他方の振動体10側の固定側検出電極
で、該固定側検出電極42は、振動体10と対向する基
板2の凹陥部2Aに設けられ、固定側検出電極42に
も、前記固定側検出電極41と面積をほぼ等しくするた
めに、コ字状に凹部42Aが形成されている。
【0071】43は調整電極で、該調整電極43は、一
方の振動体9に対向する基板2の凹陥部2Aの底面に形
成され、固定側検出電極41の凹部41A内に配置され
ている。
【0072】44は一方の振動体9側の変位検出部で、
該変位検出部44は、図11、図13に示すように、可
動側検出電極12と固定側検出電極41とによって構成
され、該可動側検出電極12と固定側検出電極41との
間には隙間が形成され、検出用の平行平板コンデンサと
して構成されている。また、45は他方の振動体10側
の変位検出部で、該変位検出部45は、可動側検出電極
13と固定側検出電極42とによって構成され、該可動
側検出電極13と固定側検出電極42との間には隙間が
形成され、検出用の平行平板コンデンサとして構成され
ている。
【0073】46は周波数調整部で、該周波数調整部4
6は調整電極43と該調整電極43と対向する振動体9
の部分によって構成されている。
【0074】47は周波数調整部46と共にバイアス電
圧印加手段を構成する直流電源で、該直流電源47は調
整電極43と振動体9との間にバイアス電圧を印加する
ことにより、振動体9と調整電極43との間に静電引力
を発生させ、該振動体9を基板2側に引き寄せるもので
ある。
【0075】そして、直流電源47から周波数調整部4
6に印加されるバイアス電圧を調整することにより、振
動体9と調整電極43との間に発生する静電引力を調整
する。これにより、振動体9を支持する第2の支持梁7
のばね定数を、見掛け上調整し、振動体9の固有振動数
f1 を変化させることができる。
【0076】然るに、本実施の形態による角速度センサ
では、図14に示すように、振動体9の固有振動数f1
が、振動体10の固有振動数f2 と振動周波数f0 より
も大きく上側にずれていた場合には、直流電源47によ
って周波数調整部46にバイアス電圧を印加することに
より、固有振動数f1 を矢印のように左側に移動させる
ことができ、固有振動数f1 を振動周波数f0 と固有振
動数f2 に近づけることができる。
【0077】かくして、本実施の形態による角速度セン
サは、第1の実施の形態で述べた角速度センサ1とほぼ
同様に動作させることができ、Y軸回りに角速度が加わ
ると、図13中の矢示a,bに示すように、振動体9,
10をZ軸方向に交互に振動させることにより、角速度
を高精度に検出することができる。
【0078】さらに、図15ないし図18に基づいて本
発明による第4の実施の形態について述べる。本実施の
形態の特徴は、2つの振動体の固有振動数をそれぞれ調
整する周波数調整手段を設けたことにある。なお、本実
施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成
要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとす
る。
【0079】51は一方の振動体9側の固定側検出電極
で、該固定側検出電極51は、図15ないし図17に示
すように、振動体9と対向する基板2の凹陥部2Aに設
けられ、コ字状に切欠かれた凹部51Aが形成されてい
る。また、52は他方の振動体10側の固定側検出電極
で、該固定側検出電極52は、振動体10と対向する基
板2の凹陥部2Aに設けられ、コ字状に切欠かれた凹部
52Aが形成されている。
【0080】53は一方の振動体9側の調整電極で、該
調整電極53は、振動体9に対向する基板2の凹陥部2
Aの底面に形成され、固定側検出電極51の凹部51A
内に配置されている。また、54は他方の振動体10側
の調整電極で、該調整電極54は、振動体10に対向す
る基板2の凹陥部2Aの底面に調整電極53と離間して
形成され、固定側検出電極52の凹部52A内に配置さ
れている。
【0081】55は一方の振動体9側の変位検出部で、
該変位検出部55は、図15、図17に示すように、可
動側検出電極12と固定側検出電極51とによって構成
され、該可動側検出電極12と固定側検出電極51との
間には隙間が形成され、検出用の平行平板コンデンサと
して構成されている。また、56は他方の振動体10側
の変位検出部で、該変位検出部56は、可動側検出電極
13と固定側検出電極52とによって構成され、該可動
側検出電極13と固定側検出電極52との間には隙間が
形成され、検出用の平行平板コンデンサとして構成され
ている。
【0082】57は一方の振動体9側の周波数調整部
で、該周波数調整部57は、調整電極53と、該調整電
極53と対向する振動体9の部分とによって構成されて
いる。また、58は他方の振動体10側の周波数調整部
で、該周波数調整部58は、調整電極54と、該調整電
極54と対向する振動体10の部分とによって構成され
ている。
【0083】59は一方の振動体9側の周波数調整部5
7と共にバイアス電圧印加手段を構成する直流電源で、
該直流電源59は周波数調整部57にバイアス電圧を印
加することにより振動体9と調整電極53との間に静電
引力を発生させる。また、60は他方の振動体10側の
周波数調整部58と共にバイアス電圧印加手段を構成す
る直流電源で、該直流電源60は周波数調整部58にバ
イアス電圧を印加することにより振動体10と調整電極
54との間に静電引力を発生させる。
【0084】そして、直流電源59から周波数調整部5
7に印加されるバイアス電圧を調整することにより、振
動体9と調整電極53との間に発生する静電引力を調整
し、直流電源60から周波数調整部58に印加されるバ
イアス電圧を調整することにより、振動体10と調整電
極54との間に発生する静電引力を別個に調整する。こ
れにより、振動体9,10を支持する第2の支持梁7の
ばね定数を、見掛け上調整し、振動体9,10の固有振
動数f1 ,f2 を別個に変化させることができる。
【0085】然るに、本実施の形態による角速度センサ
では、図18に示すように、バイアス電圧を制御して振
動体9,10の固有振動数f1 ,f2 を別個に調整する
ことにより、固有振動数f1 ,f2 を矢印のようにそれ
ぞれ移動させることができ、振動周波数f0 を固有振動
数f1 と固有振動数f2 間に近づけて設定することがで
きる。
【0086】かくして、本実施の形態による角速度セン
サは、第1の実施の形態で述べた角速度センサ1とほぼ
同様に動作させることができ、Y軸回りに角速度を加え
ると、図17中の矢示a,bに示すように、振動体9,
10をZ軸方向に交互に振動させることにより、角速度
を高精度に検出することができる。
【0087】しかも、振動体9,10の固有振動数f1
,f2 とが近接した値をもって形成したことにより、
該振動体9,10を大きな振幅で振動させることがで
き、角速度の検出感度をより高めることができる。
【0088】次に、図19に基づいて第5の実施の形態
について説明するに、本実施の形態の特徴は、第2の振
動子(2つの振動体)の振動方向を基板に水平な軸方向
としたものである。なお、本実施の形態では、前述した
第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付
し、その説明を省略するものとする。
【0089】61は本実施の形態に適用される角速度セ
ンサで、該角速度センサ61は、ガラス材料によって表
面に凹陥部62Aが形成された基板62と、該基板62
上に形成され、支持部64、第1の支持梁65、第1の
振動子66、第2の支持梁67、振動体68,69等の
可動部63とから大略構成されている。
【0090】ここで、可動部63は基板2の左右両側に
位置して基板2上に設けられた2個の支持部64と、該
各支持部64から中央部に向けてY軸方向(第3の軸方
向)に延びる4本の第1の支持梁65と、該第1の支持
梁65によってX軸方向(第1の軸方向)に振動可能に
形成されたH字状の第1の振動子66と、該第1の振動
子66からX軸方向に延びる8本の第2の支持梁67
と、前記第1の振動子66に対して左右に位置し、該各
第2の支持梁67によりY軸方向に振動可能に設けられ
た第2の振動子となる2つの振動体68,69とから構
成されている。
【0091】また、第1の振動子66の前,後には、X
軸方向に延びる例えば6枚の電極板70Aからなる可動
側振動電極70,70が形成され、一方の振動体68の
前,後には、X軸方向に延びる例えば3枚の電極板71
Aからなる可動側検出電極71,71が形成され、さら
に他方の振動体69の前,後には、X軸方向に延びる例
えば3枚の電極板72Aからなる可動側検出電極72,
72が形成されている。
【0092】さらに、可動部63の前,後に位置した基
板2上には、該可動部63を挟むように振動用固定部7
3,73が形成され、該各振動用固定部73には例えば
6枚の電極板74Aからなる固定側振動電極74が形成
されている。また、振動体68の前,後に位置した基板
2上には、該振動体68を挟むように検出用固定部7
5,75が形成され、該各検出用固定部75には例えば
3枚の電極板76Aからなる固定側検出電極76が形成
されている。一方、振動体69の前,後に位置した基板
2上には、該振動体69を挟むように検出用固定部7
7,77が形成され、該各検出用固定部77には例えば
3枚の電極板78Aからなる固定側検出電極78が形成
されている。
【0093】また、対向する可動側振動電極70と固定
側振動電極74によって振動発生部79を構成し、対向
する可動側検出電極71と固定側検出電極76によって
一方の変位検出部80を構成し、対向する可動側検出電
極72と固定側検出電極78によって他方の変位検出部
81を構成している。
【0094】そして、変位検出部80,81では、対向
する電極板71Aと76A、対向する電極板72Aと7
8Aとの離間寸法の変化を静電容量の変化として検出す
るものである。
【0095】なお、この角速度センサ61についても、
前述した角速度センサ1と同様に、一方の振動体68に
よる固有振動数f1 と他方の振動体69による固有振動
数f2 との間に、第1の振動子66を振動させるときの
振動周波数f0 が位置するようにしている。
【0096】次に、本実施の形態による角速度センサ6
1の角速度の検出動作について述べる。各振動発生部7
9に外部から振動周波数f0 の信号を印加し、第1の振
動子66をX軸方向(第1の軸方向)に振動させる。こ
のとき、第2の振動子となる振動体68,69も同様
に、X軸方向に振動周波数f0 で振動する。
【0097】この状態で、Z軸(第2の軸)回りに角速
度Ωが加わると、コリオリ力Fによって振動体68,6
9はY軸方向(第3の軸方向)に振動し、この振動を第
1の振動子66の左,右に位置した変位検出部80,8
1によって検出する。
【0098】しかも、一方の振動体68は固有振動数f
1 を有し、他方の振動体69は固有振動数f2 を有して
いるから、第1の振動子66の振動周波数f0 を、振動
体68,69の固有振動数f1 ,f2 との間に設定する
ことにより、コリオリ力Fによる振動体68,69の動
きは、同じ周波数ではあるものの互いに逆位相の振動を
Y軸方向(第3の軸方向)に向けて交互に行う。即ち、
一方の振動体68が右側に変位しているときには、他方
の振動体69は左側に変位するものである。
【0099】これにより、角速度センサ61では、第1
の振動子66をX軸方向に振動させた状態で、Z軸回り
に角速度Ωを加えることにより、第2の振動子を構成す
る振動体68,69はY軸方向に交互に変位し、変位検
出部80,81でこの振動体68,69のY軸方向への
変位を検出する。そして、変位検出部80,81から出
力される信号を減算することにより、Y軸方向に加速度
等のノイズが加わった場合でも、そのノイズを除去し、
角速度Ωを高精度に検出することができる。
【0100】次に、図20に第6の実施の形態による角
速度センサについて述べるに、本実施の形態の特徴は、
第1〜第5の実施の形態で述べた基板上にシリコンを加
工して形成した角速度センサとは異なり、立体的に形成
したものである。
【0101】91は本実施の形態による角速度センサ
で、該該角速度センサ91はX軸とZ軸の平面上に延び
る板体からなる第1の振動子92と、該第1の振動子9
2のZ軸方向の端面に位置してY軸とZ軸の平面上に延
びる板体からなり、それぞれ平行に配置された第2の振
動子をなす振動体93,94と、前記第1の振動子92
の表面に設けられ、振動周波数f0 の電圧を印加するこ
とにより第1の振動子92をY軸方向に振動させる振動
発生素子95と、前記振動体93,94の表面に設けら
れ、該振動体93,94のX軸方向の撓みを検出する変
位検出手段としての検出素子96(一方のみ図示)とか
ら構成されている。
【0102】また、振動体93は質量とその剛性によっ
て固有振動数f3 を有し、振動体94は質量とその剛性
によって固有振動数f4 を有している。そして、振動発
生素子95に印加される振動周波数f0 は、固有振動数
f3 ,f4 との間に設定されている。
【0103】このように構成される角速度センサ91で
は、第1の振動子92をY軸方向(第1の軸方向)に矢
示cで振動させた状態で、Z軸(第2の軸)回りに角速
度Ωが加わると、振動体93,94はX軸方向(第3の
軸方向)に矢示d,eとして近接、離間を交互に繰り返
す振動を発生し、各検出素子96によってこの振動を検
出する。そして、各検出素子96から出力される信号を
減算することにより、X軸方向に加わる加速度等のノイ
ズを除去し、角速度Ωを高精度に検出することができ
る。
【0104】なお、実施の形態では、可動側振動電極1
1,70の電極板11A,70Aを例えば6枚、固定側
振動電極15,74の電極板15A,74Aを例えば6
枚とした場合を例に示したが、本発明はこれに限らず、
7枚以上にしてもよく、枚数を増やすことにより、振動
発生部18,79で発生する静電引力を増やすことがで
きる。
【0105】また、実施の形態では、例えば振動体9,
10、各支持梁7はほぼ同一形状になるように設定され
ているものの、シリコン加工による製造時に製造誤差が
発生し、振動体9,10の質量、支持梁7のばね定数が
若干相違してしまうことがある。このような場合、振動
体9,10の固有振動数f1 ,f2 にずれが生じるが、
本願の角速度センサにおいては、このような誤差による
固有振動数のずれを利用することができ、製造上の歩留
を向上することができる。
【0106】
【発明の効果】以上詳述した如く、請求項1の発明によ
れば、第2の振動子を2つの振動体によって構成し、一
方の振動体を第1の振動子の振動周波数よりも高い固有
振動数を有し、他方の振動体を第1の振動子の振動周波
数よりも低い固有振動数を有する構成としたから、振動
体の固有振動数が振動周波数よりも低い場合には第1の
振動子と同位相で振動し、振動体の固有振動数が振動周
波数よりも高い場合には第1の振動子と逆位相で振動す
る。
【0107】これにより、第1の振動子の振動周波数を
各固有振動数の間に設定することにより、第2の軸回り
に角速度を加えた場合には、一方の振動体と他方の振動
体とは、互いに逆位相の振動を第3の軸方向に対して行
う。そして、変位検出手段でこの変位を検出し、各信号
を演算することにより、第3の軸方向に加速度が加わっ
た場合でも、この加速度分を相殺でき、角速度のみを高
精度に検出することができる。
【0108】請求項2の発明では、第1の振動子を枠形
状と有し、この第1の振動子の枠形状内に第2の振動子
を配置しているから、振動発生手段によって第1,第2
の振動子を第1の軸方向に振動させ、第2の振動子を構
成する2つの振動体も同様に第1の軸方向に振動させ、
この状態で、第2の軸回りに角速度が加わった場合、2
つの振動体は、第3の軸方向に向けて交互に変位し、こ
の変位を変位検出手段で検出して演算することにより、
第3の軸方向に加速度が加わったときでもその加速度分
を相殺でき、第2の軸回りに加わる角速度のみを検出す
ることができる。
【0109】請求項3の発明では、周波数調整手段によ
って、例えば第1の振動子の振動周波数を、一方の振動
体の固有振動数と他方の振動体の固有振動数との間に設
定する。これにより、第1,第2の振動子を振動発生手
段によって第1の軸方向に振動させた状態で、第2の軸
回りに角速度を加えることにより、第2の振動子を構成
する2つの振動体は、第3の軸方向に互いに逆位相とな
る振動を行うことができ、角速度センサの歩留を向上す
ることができる。
【0110】請求項4の発明では、周波数調整手段を、
2つの振動体のうち少なくとも一方の振動体に対向する
位置に設けた調整電極と、該調整電極と振動体との間に
バイアス電圧を印加するバイアス電圧印加手段とから構
成したから、例えば一方の振動体と調整電極との間にバ
イアス電圧印加手段から電圧を印加すると、一方の振動
体と調整電極との間には静電引力が発生し、該一方の振
動体を調整電極側に引っ張る。このとき、一方の振動体
を支持する支持梁のばね定数は見掛け上小さくなり、固
有振動数を下げることができる。しかも、バイアス電圧
を調整することにより、固有振動数を変えることができ
る。
【0111】請求項5の発明では、調整電極を2つの振
動体の両方に共通して対向する位置に設けたから、調整
電極と2つの振動体との間にバイアス電圧を印加するこ
とにより、2つの振動体をそれぞれ支持する支持梁のば
ね定数を同時に調整する。これにより、例えば第1の振
動子の振動周波数に対して、一方の振動体の固有振動数
と他方の振動体の固有振動数とを同時にずらし、各固有
振動数の間に振動周波数を設定することができる。
【0112】請求項6の発明は、調整電極を2つの振動
体のそれぞれ対向する位置に個別に設けたから、調整電
極と各振動体との間にバイアス電圧をそれぞれ印加する
ことにより、各振動体を支持する支持梁のばね定数をそ
れぞれ別個に調整することができ、各固有振動数の間に
振動周波数を設定することができる。
【0113】請求項7の発明では、2つの振動体を、高
い固有振動数と低い固有振動数とが近接した値をもった
形状に構成したから、2つの振動体を共振状態に近づけ
ることがき、第1,第2の振動子を大きな振幅で振動さ
せることができ、角速度の検出感度を高めることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施の形態による角速度セ
ンサを示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態による角速度センサの平面図
である。
【図3】図2中の矢示III −III 方向からみた縦断面図
である。
【図4】基板上に形成された固定側検出電極を拡大して
示す平面図である。
【図5】図3中の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図6】駆動周波数と固有振動数との関係を、周波数と
共振の鋭さとの関係で示す特性線図である。
【図7】第2の実施の形態による角速度センサを示す縦
断面図である。
【図8】基板上に形成した固定側検出電極、調整電極を
拡大して示す平面図である。
【図9】図7の要部を拡大して示す縦断面図である。
【図10】駆動周波数と固有振動数との関係を、周波数
と共振の鋭さとの関係で示す特性線図である。
【図11】第3の実施の形態による角速度センサを示す
縦断面図である。
【図12】基板上に形成した固定側検出電極、調整電極
を拡大して示す平面図である。
【図13】図11の要部を拡大して示す縦断面図であ
る。
【図14】駆動周波数と固有振動数との関係を、周波数
と共振の鋭さとの関係で示す特性線図である。
【図15】第4の実施の形態による角速度センサを示す
縦断面図である。
【図16】基板上に形成した固定側検出電極、調整電極
を拡大して示す平面図である。
【図17】図15の要部を拡大して示す縦断面図であ
る。
【図18】駆動周波数と固有振動数との関係を、周波数
と共振の鋭さとの関係で示す特性線図である。
【図19】第5の実施の形態による角速度センサを示す
平面図である。
【図20】第6の実施の形態による角速度センサを示す
斜視図である。
【符号の説明】
1,61,91 角速度センサ 5,65 第1の支持梁 6,66,92 第1の振動子 7,67 第2の支持梁 8 第2の振動子 9,10,68,69,93,94 振動体 18,79 振動発生部 19,20,80,81 変位検出部 33,43,53,54 調整電極 36,46,57,58 周波数調整部 37,47,59,60 直流電源(バイアス電圧印加
手段)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の振動子と、該第1の振動子に支持
    された第2の振動子と、前記第1の振動子と第2の振動
    子とを第1の軸方向に振動させる振動発生手段と、該振
    動発生手段により前記第1の振動子と第2の振動子とを
    第1の軸方向に振動させた状態でこの第1の軸方向と直
    交する第2の軸回りに角速度が作用したとき、第2の振
    動子が第1,第2の軸に直交する第3の軸方向に変位す
    るときの変位を検出する変位検出手段とを備えてなる角
    速度センサにおいて、 前記第2の振動子は2つの振動体によって構成し、一方
    の振動体を前記第1の振動子の振動周波数よりも高い固
    有振動数を有し、他方の振動体を前記第1の振動子の振
    動周波数よりも低い固有振動数を有したことを特徴とす
    る角速度センサ。
  2. 【請求項2】 前記第1の振動子が枠形状を有し、該第
    1の振動子の枠形状内に前記第2の振動子を配置してな
    る請求項1記載の角速度センサ。
  3. 【請求項3】 前記第1の振動子の振動周波数と前記2
    つの振動体の固有振動数とのうち、少なくとも1つの周
    波数を調整する周波数調整手段を設けてなる請求項1な
    いし2記載の角速度センサ。
  4. 【請求項4】 前記周波数調整手段は、前記2つの振動
    体のうち少なくとも一方の振動体に対向する位置に設け
    た調整電極と、該調整電極と振動体との間にバイアス電
    圧を印加するバイアス電圧印加手段とから構成してなる
    請求項3記載の角速度センサ。
  5. 【請求項5】 前記調整電極は、前記2つの振動体の両
    方に共通して対向する位置に設けてなる請求項4記載の
    角速度センサ。
  6. 【請求項6】 前記調整電極は、前記2つの振動体のそ
    れぞれに対向する位置に個別に設けてなる請求項4記載
    の角速度センサ。
  7. 【請求項7】 前記2つの振動体は、高い固有振動数と
    低い固有振動数とが近接した値をもった形状に構成して
    なる請求項1記載の角速度センサ。
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