JP2003130648A - 角速度センサ - Google Patents

角速度センサ

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JP2003130648A
JP2003130648A JP2002231243A JP2002231243A JP2003130648A JP 2003130648 A JP2003130648 A JP 2003130648A JP 2002231243 A JP2002231243 A JP 2002231243A JP 2002231243 A JP2002231243 A JP 2002231243A JP 2003130648 A JP2003130648 A JP 2003130648A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単純な構造で三次元の各軸まわりの角速度を
独立して検出する。 【解決手段】 XY平面に沿って配置された板状の圧電
素子520の上下両面に、X軸に沿って4組の電極L1
〜L4およびM1〜M4を形成し、同様にY軸に沿って
も4組の電極対を形成する。更に、XY平面上の任意の
W軸に沿って4組の電極対を形成する。圧電素子520
の下面に形成された電極は、可撓基板510の上面に接
合され、可撓基板510の外周部は台座560によって
固定される。可撓基板510の下面には、振動子550
が接合される。所定軸に沿って配置された4組の電極対
に所定位相の交流を加えることにより、振動子550を
第1軸方向に振動させ、そのとき作用するコリオリ力に
基づいて生じる振動子550の第2軸方向の変位を別な
4組の電極間に生じる電圧により求め、第3軸まわりの
角速度を決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は角速度センサに関
し、特に、XYZ三次元座標系における各軸まわりの角
速度を独立して検出することのできる多軸角速度センサ
に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車産業や機械産業などでは、運動す
る物体の加速度や角速度を正確に検出できるセンサの需
要が高まっている。一般に、三次元空間内において自由
運動をする物体には、任意の向きの加速度および任意の
回転方向の角速度が作用する。このため、この物体の運
動を正確に把握するためには、XYZ三次元座標系にお
ける各座標軸方向ごとの加速度と各座標軸まわりの角速
度とをそれぞれ独立して検出する必要がある。
【0003】従来から多次元の加速度センサは種々のも
のが提案されている。たとえば、特許協力条約に基づく
国際公開第WO88/08522号公報(米国特許第4
967605号/同第5182515号)には、半導体
基板上に形成された抵抗素子を用い、作用した加速度を
各座標軸方向ごとに検出する加速度センサが開示されて
いる。また、特許協力条約に基づく国際公開第WO91
/10118号公報(米国特許出願第07/76177
1号)には、自己診断機能をもった多軸加速度センサが
開示されている。更に、特許協力条約に基づく国際公開
第WO92/17759号公報(米国特許出願第07/
952753号)には、静電容量素子あるいは圧電素子
を用い、作用した加速度を各座標軸方向ごとに検出する
加速度センサが開示されている。また、特願平2−27
4299号および特願平2−416188号明細書(米
国特許出願第07/764159号)にも、同様の多軸
加速度センサが開示されている。特願平3−30658
7号明細書(米国特許出願第07/960545号)に
は、同様の多軸加速度センサにおける新規な電極配置が
開示されており、特許協力条約に基づく国際出願PCT
/JP92/00882号明細書には、また別なタイプ
の圧電素子を用いた多軸加速度センサが開示されてい
る。これらの加速度センサの特徴は、複数の抵抗素子/
静電容量素子/圧電素子を、可撓性をもった基板の所定
位置に配置し、抵抗素子の抵抗値の変化/静電容量素子
の容量値の変化/圧電素子の発生電圧の変化に基づい
て、作用した加速度を検出する点にある。可撓性をもっ
た基板には、重錘体が取り付けられており、加速度が作
用するとこの重錘体に力が加わり、可撓性基板に撓みが
生じる。この撓みを上述した抵抗値/容量値/発生電荷
の変化に基づいて検出すれば、加速度の各軸方向成分を
求めることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これに対して、多次元
の角速度センサについての文献は、本願発明者の知る限
りにおいて見受けられない。通常、角速度センサは車両
の動力軸などの角速度を検出するために利用されてお
り、ある特定の一軸まわりの角速度を検出する機能しか
もたない。このような動力軸の回転速度を求めるような
場合には、一次元の角速度センサを用いれば十分であ
る。しかしながら、三次元空間内において自由運動する
物体についての角速度を検出するには、XYZ三次元座
標系におけるX軸,Y軸,Z軸の各軸まわりの角速度を
それぞれ独立して検出する必要がある。従来利用されて
いる一次元の角速度センサを用いてX軸,Y軸,Z軸の
各軸まわりの角速度を検出するには、この角速度センサ
を3組用意し、それぞれを各軸まわりの角速度を検出で
きるような特定の方向に取り付ける必要がある。このた
め、全体としての構造は複雑になり、コストも高いもの
になる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、比較的
単純な構造をもち、XYZ三次元座標系におけるX軸,
Y軸,Z軸の各軸まわりの角速度をそれぞれ独立して検
出することができる新規な角速度センサを提供すること
にある。
【0006】本発明において利用されている基本原理
は、XYZ三次元座標系に置かれた振動子に対して第1
の座標軸まわりの角速度ωが作用している場合、この振
動子を第2の座標軸方向に振動させると、角速度ωの大
きさに比例したコリオリ力が第3の座標軸方向に発生す
るという原理である。この原理を利用して角速度ωを検
出するには、振動子を所定の座標軸方向に振動させる手
段と、コリオリ力の作用により振動子に生じた所定の座
標軸方向の変位を検出する手段と、が必要になる。しか
も、X軸まわりの角速度ωx、Y軸まわりの角速度ω
y、Z軸まわりの角速度ωzのすべてを検出するには、
振動子を3軸方向に振動させる手段と、振動子に生じた
3軸方向の変位を検出する手段と、が必要になる。本発
明は、このような手段を備えたセンサを提供するもので
あり、次のような特徴をもっている。
【0007】(1) 本発明の第1の特徴は、三次元座標
系における各座標軸まわりの角速度を検出する多軸角速
度センサにおいて、質量をもった振動子と、この振動子
を収容するセンサ筐体と、振動子を、各座標軸方向に移
動できるような自由度をもった状態で、センサ筐体に接
続する接続手段と、振動子を、各座標軸方向に振動させ
る励振手段と、振動子の各座標軸方向への変位を検出す
る変位検出手段と、を設けたものである。
【0008】(2) 本発明の第2の特徴は、上述の第1
の特徴をもった多軸角速度センサにおいて、振動子を第
1の座標軸方向に振動させるように励振手段に対して指
示を与えるとともに、振動子の第2の座標軸方向への変
位を検出するように変位検出手段に対して指示を与え、
検出された変位に基いて第3の座標軸まわりの角速度を
求める第1の検出動作と、振動子を第2の座標軸方向に
振動させるように励振手段に対して指示を与えるととも
に、振動子の第3の座標軸方向への変位を検出するよう
に変位検出手段に対して指示を与え、検出された変位に
基いて第1の座標軸まわりの角速度を求める第2の検出
動作と、振動子を第3の座標軸方向に振動させるように
励振手段に対して指示を与えるとともに、振動子の第1
の座標軸方向への変位を検出するように変位検出手段に
対して指示を与え、検出された変位に基いて第2の座標
軸まわりの角速度を求める第3の検出動作と、を実行す
る制御手段を更に設けたものである。
【0009】(3) 本発明の第3の特徴は、上述の第2
の特徴をもつ多軸角速度センサにおいて、振動子をいず
れの方向にも振動させないように励振手段に対して指示
を与えるとともに、振動子の第1〜第3のすべての座標
軸方向への変位を検出するように変位検出手段に対して
指示を与え、検出された変位に基づいて各座標軸方向に
作用した加速度を求める第4の検出動作を、制御手段に
更に実行させるようにしたものである。
【0010】(4) 本発明の第4の特徴は、三次元座標
系における各座標軸まわりの角速度を検出する多軸角速
度センサにおいて、可撓性をもった可撓基板と、この可
撓基板の上方に所定の距離を保って対向するように配置
された固定基板と、可撓基板の下面に固着された振動子
と、可撓基板および固定基板を支持するとともに振動子
を収容するセンサ筐体と、振動子を、各座標軸方向に振
動させる励振手段と、振動子の各座標軸方向への変位を
検出する変位検出手段と、を設けたものである。
【0011】(5) 本発明の第5の特徴は、三次元座標
系における各座標軸まわりの角速度を検出する多軸角速
度センサにおいて、可撓性をもった可撓基板と、この可
撓基板の上方に所定の距離を保って対向するように配置
された固定基板と、可撓基板の下面に固着された振動子
と、可撓基板および固定基板を支持するとともに振動子
を収容するセンサ筐体と、可撓基板の上面に形成された
複数の下部電極と、固定基板の下面に形成され、複数の
下部電極のそれぞれに対向する位置に配置された複数の
上部電極と、互いに向かい合った所定の下部電極と上部
電極との間に交流信号を供給することにより、振動子を
各座標軸方向に振動させる手段と、互いに向かい合った
所定の下部電極と上部電極との間の静電容量を求めるこ
とにより、振動子の各座標軸方向への変位を検出する手
段と、を設けたものである。
【0012】(6) 本発明の第6の特徴は、上述の第5
の特徴をもった多軸角速度センサにおいて、可撓基板の
主面に対して平行な平面上でX軸およびY軸が交わるよ
うなXYZ三次元座標系を定義し、第1の下部電極およ
び第1の上部電極をX軸の正の領域に配置し、第2の下
部電極および第2の上部電極をX軸の負の領域に配置
し、第3の下部電極および第3の上部電極をY軸の正の
領域に配置し、第4の下部電極および第4の上部電極を
Y軸の負の領域に配置し、第5の下部電極および第5の
上部電極を原点に対応する位置に配置したものである。
【0013】(7) 本発明の第7の特徴は、上述の第6
の特徴をもった多軸角速度センサにおいて、第5の下部
電極および第5の上部電極間に交流信号を供給して振動
子をZ軸方向に振動させた状態において、第3の下部電
極および第3の上部電極間の静電容量と、第4の下部電
極および第4の上部電極間の静電容量と、の差を求め、
この差に基づいてX軸まわりの角速度を検出する第1の
検出動作と、第1の下部電極および第1の上部電極間、
ならびに第2の下部電極および第2の上部電極間に、そ
れぞれ逆位相の交流信号を供給して振動子をX軸方向に
振動させた状態において、第5の下部電極および第5の
上部電極間の静電容量を求め、この静電容量に基づいて
Y軸まわりの角速度を検出する第2の検出動作と、第3
の下部電極および第3の上部電極間、ならびに第4の下
部電極および第4の上部電極間に、それぞれ逆位相の交
流信号を供給して振動子をY軸方向に振動させた状態に
おいて、第1の下部電極および第1の上部電極間の静電
容量と、第2の下部電極および第2の上部電極間の静電
容量と、の差を求め、この差に基づいてZ軸まわりの角
速度を検出する第3の検出動作と、を実行する制御手段
を更に設けたものである。
【0014】(8) 本発明の第8の特徴は、上述した第
5〜第7の各特徴をもった多軸角速度センサにおいて、
電極の配置を変えたものである。すなわち、可撓基板の
主面に対して平行な平面上でX軸およびY軸が交わるよ
うなXYZ三次元座標系を定義し、第1の下部電極およ
び第1の上部電極をXY平面についての第1象限領域に
配置し、第2の下部電極および第2の上部電極をXY平
面についての第2象限領域に配置し、第3の下部電極お
よび第3の上部電極をXY平面についての第3象限領域
に配置し、第4の下部電極および第4の上部電極をXY
平面についての第4象限領域に配置し、第5の下部電極
および第5の上部電極を原点に対応する位置に配置した
ものである。
【0015】(9) 本発明の第9の特徴は、上述した第
5〜第8の各特徴をもった多軸角速度センサにおいて、
可撓基板上にピエゾ抵抗素子を配し、静電容量を検出す
る手段の代わりに、これらピエゾ抵抗素子の抵抗値の変
化を検出する手段を設け、抵抗値の変化により振動子の
各座標軸方向の変位を検出するようにしたものである。
【0016】(10) 本発明の第10の特徴は、上述した
第5〜第8の各特徴をもった多軸角速度センサにおい
て、対向する各上部電極と各下部電極との間に、圧電素
子を介在させるようにし、この圧電素子に交流信号を供
給することにより振動子を各座標軸方向に振動させるよ
うにするとともに、この圧電素子によって発生した電圧
を検出することにより振動子の各座標軸方向への変位を
検出するようにしたものである。
【0017】(11) 本発明の第11の特徴は、三次元座
標系における各座標軸まわりの角速度を検出する多軸角
速度センサにおいて、板状の圧電素子と、この圧電素子
の上面に形成された複数の上部電極と、圧電素子の下面
に形成され、複数の上部電極のそれぞれに対向する位置
に配置された複数の下部電極と、下部電極の下面に固着
され、可撓性をもった可撓基板と、可撓基板の下面に固
着された振動子と、可撓基板を支持するとともに振動子
を収容するセンサ筐体と、互いに向かい合った所定の下
部電極と上部電極との間に交流信号を供給することによ
り振動子を各座標軸方向に振動させる手段と、互いに向
かい合った所定の下部電極と上部電極との間に発生する
電圧を測定することにより振動子の各座標軸方向への変
位を検出する手段と、を設けたものである。
【0018】(12) 本発明の第12の特徴は、上述した
圧電素子を利用する多軸角速度センサにおいて、圧電素
子の分極特性を部分的に反転するようにしたものであ
る。
【0019】(13) 本発明の第13の特徴は、上述した
圧電素子を利用する多軸角速度センサにおいて、物理的
に分割された複数の圧電素子を用いるようにしたもので
ある。
【0020】(14) 本発明の第14の特徴は、上述した
各多軸角速度センサにおいて、複数の下部電極または複
数の上部電極のいずれか一方を、単一の電極層によって
構成したものである。
【0021】(15) 本発明の第15の特徴は、上述した
第14の特徴をもった多軸角速度センサにおいて、可撓
基板または固定基板を導電性材料によって構成し、この
基板自身を単一の電極層として用いるようにしたもので
ある。
【0022】(16) 本発明の第16の特徴は、三次元座
標系における各座標軸まわりの角速度を検出する多軸角
速度センサにおいて、座標系の原点位置に配置された磁
性材料からなる振動子と、この振動子を収容するセンサ
筐体と、この振動子を、各座標軸方向に移動できるよう
な自由度をもった状態で、センサ筐体に接続する接続手
段と、座標系の第1の座標軸の正および負の位置におい
てセンサ筐体に取り付けられた第1のコイル対と、座標
系の第2の座標軸の正および負の位置においてセンサ筐
体に取り付けられた第2のコイル対と、座標系の第3の
座標軸の正および負の位置においてセンサ筐体に取り付
けられた第3のコイル対と、各コイル対に所定の交流信
号を供給することにより、振動子を各座標軸方向に振動
させる励振手段と、各コイル対のインピーダンスの変化
に基づいて、振動子の各座標軸方向への変位を検出する
変位検出手段と、を設けたものである。
【0023】(17) 本発明の第17の特徴は、上述した
第16の特徴をもった多軸角速度センサにおいて、第1
のコイル対に交流信号を供給して振動子を第1の軸方向
に振動させた状態において、第2のコイル対のインピー
ダンスの変化を求め、このインピーダンスの変化に基づ
いて第3の軸まわりの角速度を検出する第1の検出動作
と、第2のコイル対に交流信号を供給して振動子を第3
の軸方向に振動させた状態において、第3のコイル対の
インピーダンスの変化を求め、このインピーダンスの変
化に基づいて第1の軸まわりの角速度を検出する第2の
検出動作と、第3のコイル対に交流信号を供給して振動
子を第3の軸方向に振動させた状態において、第1のコ
イル対のインピーダンスの変化を求め、このインピーダ
ンスの変化に基づいて第2の軸まわりの角速度を検出す
る第3の検出動作と、を実行する制御手段を更に設けた
ものである。
【0024】(18) 本発明の第18の特徴は、三次元座
標系における少なくとも2つの座標軸まわりの角速度を
検出する多軸角速度センサにおいて、質量をもった振動
子と、この振動子を収容するセンサ筐体と、振動子を、
3つの各座標軸方向に移動できるような自由度をもった
状態で、センサ筐体に接続する接続手段と、振動子を、
少なくとも2つの座標軸方向に振動させる励振手段と、
振動子の少なくとも2つの座標軸方向への変位を検出す
る変位検出手段と、を設けたものである。
【0025】(19) 本発明の第19の特徴は、上述した
第18の特徴をもった多軸角速度センサにおいて、振動
子を第1の座標軸方向に振動させるように励振手段に対
して指示を与えるとともに、振動子の第2の座標軸方向
への変位を検出するように変位検出手段に対して指示を
与え、検出された変位に基いて第3の座標軸まわりの角
速度を求める第1の検出動作と、振動子を第2の座標軸
方向に振動させるように励振手段に対して指示を与える
とともに、振動子の第3の座標軸方向への変位を検出す
るように変位検出手段に対して指示を与え、検出された
変位に基いて第1の座標軸まわりの角速度を求める第2
の検出動作と、を更に設けたものである。
【0026】(20) 本発明の第20の特徴は、三次元座
標系における2つの座標軸まわりの角速度を検出する多
軸角速度センサにおいて、質量をもった振動子と、この
振動子を収容するセンサ筐体と、振動子を、3つの各座
標軸方向に移動できるような自由度をもった状態で、セ
ンサ筐体に接続する接続手段と、振動子を、第1の座標
軸方向に振動させる励振手段と、振動子の第2の座標軸
方向および第3の座標軸方向への変位を検出する変位検
出手段と、を設け、変位検出手段によって検出された第
2の座標軸方向への変位に基づいて第3の座標軸まわり
の角速度を求め、変位検出手段によって検出された第3
の座標軸方向への変位に基づいて第2の座標軸まわりの
角速度を求めるようにしたものである。
【0027】(21) 本発明の第21の特徴は、三次元座
標系における2つの座標軸まわりの角速度を検出する多
軸角速度センサにおいて、質量をもった振動子と、この
振動子を収容するセンサ筐体と、振動子を、3つの各座
標軸方向に移動できるような自由度をもった状態で、セ
ンサ筐体に接続する接続手段と、振動子を、第1の座標
軸方向および第2の座標軸方向に振動させる励振手段
と、振動子の第3の座標軸方向への変位を検出する変位
検出手段と、を設け、振動子が第1の座標軸方向に振動
しているときに変位検出手段によって検出された第3の
座標軸方向への変位に基づいて第2の座標軸まわりの角
速度を求め、振動子が第2の座標軸方向に振動している
ときに変位検出手段によって検出された第3の座標軸方
向への変位に基づいて第1の座標軸まわりの角速度を求
めるようにしたものである。
【0028】(22) 本発明の第22の特徴は、三次元座
標系における各座標軸まわりの角速度を検出する多軸角
速度センサにおいて、質量をもった振動子と、この振動
子を収容するセンサ筐体と、振動子を、3つの各座標軸
方向に移動できるような自由度をもった状態で、センサ
筐体に接続する接続手段と、振動子を、第1の座標軸方
向および第2の座標軸方向に振動させる励振手段と、振
動子の第2の座標軸方向への変位および第3の座標軸方
向への変位を検出する変位検出手段と、を設け、振動子
が第1の座標軸方向に振動しているときに変位検出手段
によって検出された第2の座標軸方向への変位に基づい
て第3の座標軸まわりの角速度を求め、振動子が第1の
座標軸方向に振動しているときに変位検出手段によって
検出された第3の座標軸方向への変位に基づいて第2の
座標軸まわりの角速度を求め、振動子が第2の座標軸方
向に振動しているときに変位検出手段によって検出され
た第3の座標軸方向への変位に基づいて第1の座標軸ま
わりの角速度を求めるようにしたものである。
【0029】
【発明の実施の形態】<<< Section 0 基本原理
>>> <0.1> 一軸の角速度センサ
【0030】はじめに、本発明に係る多軸角速度センサ
の基本となる一軸の角速度センサによる角速度の検出原
理を簡単に説明しておく。第1図は、日本国特許庁監修
の雑誌「発明(THE INVENTION)」、vol.90,No.3(19
93年)の60頁に開示されている角速度センサの基本
原理を示す図である。いま、角柱状の振動子10を用意
し、図示するような方向にX,Y,Z軸を定義したXY
Z三次元座標系を考える。このような系において、振動
子10がZ軸を回転軸として角速度ωで回転運動を行っ
ている場合、次のような現象が生じることが知られてい
る。すなわち、この振動子10をX軸方向に往復運動さ
せるような振動Uを与えると、Y軸方向にコリオリ力F
が発生する。別言すれば、振動子10を図のX軸に沿っ
て振動させた状態で、この振動子10をZ軸を中心軸と
して回転させると、Y軸方向にコリオリ力Fが生じるこ
とになる。この現象は、フーコーの振り子として古くか
ら知られている力学現象であり、発生するコリオリ力F
は、 F=2m・v・ω で表される。ここで、mは振動子10の質量、vは振動
子10の振動についての瞬時の速度、ωは振動子10の
瞬時の角速度である。
【0031】前述の雑誌に開示された一軸の角速度セン
サは、この現象を利用して角速度ωを検出するものであ
る。すなわち、第1図に示すように、角柱状の振動子1
0の第1の面には第1の圧電素子11が、この第1の面
と直交する第2の面には第2の圧電素子12が、それぞ
れ取り付けられる。圧電素子11,12としては、ピエ
ゾエレクトリックセラミックからなる板状の素子が用い
られている。そして、振動子10に対して振動Uを与え
るために圧電素子11が利用され、発生したコリオリ力
Fを検出するために圧電素子12が利用される。すなわ
ち、圧電素子11に交流電圧を与えると、この圧電素子
11は伸縮運動を繰り返しX軸方向に振動する。この振
動Uが振動子10に伝達され、振動子10がX軸方向に
振動することになる。このように、振動子10に振動U
を与えた状態で、振動子10自身がZ軸を中心軸として
角速度ωで回転すると、上述した現象により、Y軸方向
にコリオリ力Fが発生する。このコリオリ力Fは、圧電
素子12の厚み方向に作用するため、圧電素子12の両
面にはコリオリ力Fに比例した電圧Vが発生する。そこ
で、この電圧Vを測定することにより、角速度ωを検出
することが可能になる。
【0032】<0.2> 多軸の角速度センサ 上述した従来の角速度センサは、Z軸まわりの角速度を
検出するためのものであり、X軸あるいはY軸まわりの
角速度の検出を行うことはできない。本発明は、第2図
に示すように、所定の物体20について、XYZ三次元
座標系におけるX軸まわりの角速度ωx、Y軸まわりの
角速度ωy、Z軸まわりの角速度ωz、のそれぞれを別
個独立して検出することのできる多軸角速度センサを提
供するものである。その基本原理を、第3図〜第5図を
参照して説明する。いま、XYZ三次元座標系の原点位
置に振動子30が置かれているものとする。この振動子
30のX軸まわりの角速度ωxを検出するには、第3図
に示すように、この振動子30にZ軸方向の振動Uzを
与えたときに、Y軸方向に発生するコリオリ力Fyを測
定すればよい。コリオリ力Fyは角速度ωxに比例した
値となる。また、この振動子30のY軸まわりの角速度
ωyを検出するには、第4図に示すように、この振動子
30にX軸方向の振動Uxを与えたときに、Z軸方向に
発生するコリオリ力Fzを測定すればよい。コリオリ力
Fzは角速度ωyに比例した値となる。更に、この振動
子30のZ軸まわりの角速度ωzを検出するには、第5
図に示すように、この振動子30にY軸方向の振動Uy
を与えたときに、X軸方向に発生するコリオリ力Fxを
測定すればよい。コリオリ力Fxは角速度ωzに比例し
た値となる。
【0033】結局、XYZ三次元座標系における各軸ご
との角速度を検出するには、振動子30をX軸方向に振
動させる機構、Y軸方向に振動させる機構、Z軸方向に
振動させる機構、のそれぞれと、振動子30に作用する
X軸方向のコリオリ力Fxを検出する機構、Y軸方向の
コリオリ力Fyを検出する機構、Z軸方向のコリオリ力
Fzを検出する機構、のそれぞれとが必要になる。
【0034】<0.3> 振動機構/検出機構 上述したように、本発明に係る多軸角速度センサでは、
振動子を特定の座標軸方向に振動させるための機構と、
振動子に作用した特定の座標軸方向のコリオリ力を検出
するための機構とが必要になる。振動機構としては、次
のような各機構を利用することができる。
【0035】(1) クーロン力を利用した機構:振動子側
に第1の電極を、センサ筐体側に第2の電極を、それぞ
れ形成し、これら一対の電極を対向させるように配置す
る。両電極に同じ極性の電荷を供給すれば反発力が作用
し、異なる極性の電荷を供給すれば吸引力が作用する。
そこで、両電極間に反発力と吸引力とを交互に作用させ
るようにすれば、振動子はセンサ筐体に対して振動す
る。
【0036】(2) 圧電素子を利用した機構:第1図に示
す一軸の角速度センサに用いられている機構である。圧
電素子11に交流電圧を供給することにより、振動子1
0を振動させる。
【0037】(3) 電磁力を利用した機構:磁性材料から
なる振動子を用い、センサ筐体側にコイルを配置し、こ
のコイルに電流を流して電磁力を作用させ、振動子を振
動させる。
【0038】一方、コリオリ力の検出機構としては、次
のような各機構を利用することができる。
【0039】(1) 静電容量の変化を利用する機構:振動
子側に第1の電極を、センサ筐体側に第2の電極を、そ
れぞれ形成し、これら一対の電極を対向させるように配
置する。振動子にコリオリ力が作用して変位が生じる
と、両電極の間隔が変化するため、両電極によって構成
される静電容量素子の静電容量値が変化する。この容量
値の変化を測定することにより、作用したコリオリ力を
検出する。
【0040】(2) 圧電素子を利用した機構:第1図に示
す一軸の角速度センサに用いられている機構である。圧
電素子12にコリオリ力Fが作用すると、圧電素子12
はコリオリ力Fに比例した電圧を発生する。この発生電
圧を測定することにより、作用したコリオリ力を検出す
る。
【0041】(3) 差動トランスを利用した機構:磁性材
料からなる振動子を用い、センサ筐体側にコイルを配置
する。振動子にコリオリ力が作用して変位が生じると、
振動子とコイルとの距離が変化するため、コイルのイン
ダクタンスが変化する。このインダクタンスの変化を測
定することにより、作用したコリオリ力を検出する。
【0042】(4) ピエゾ抵抗素子を利用した機構:コリ
オリ力の作用により撓みが生じるような基板を設けてお
く。この基板上にピエゾ抵抗素子を形成しておき、基板
に生じた撓みをピエゾ抵抗素子の抵抗値の変化として検
出する。すなわち、抵抗値の変化を測定することによ
り、作用したコリオリ力を検出する。
【0043】以上、本発明に係る多軸角速度センサの基
本原理について簡単に述べたが、このような基本原理に
基づいて動作する単純な構造をもったセンサの具体例を
以下に詳述する。
【0044】<<< Section 1 第1の実施例 >>
> <1.1> 第1の実施例に係るセンサの構造 まず、本発明の第1の実施例に係る多軸角速度センサに
ついて説明する。この第1の実施例は、振動機構として
クーロン力を利用した機構を用い、検出機構として静電
容量の変化を利用する機構を用いたセンサである。
【0045】第6図は、この第1の実施例に係る多軸角
速度センサの側断面図である。可撓基板110および固
定基板120は、いずれも円盤状の基板であり、所定の
間隔を保って互いに平行に配置されている。可撓基板1
10の下面には、円柱状の振動子130が固着されてい
る。また、可撓基板110の外周部分および固定基板1
20の外周部分は、いずれもセンサ筐体140によって
支持されている。固定基板120の下面には、5枚の上
部電極層E1〜E5(第6図には、その一部だけが示さ
れている)が形成され、同様に可撓基板110の上面に
は、5枚の下部電極層F1〜F5(やはり、その一部だ
けが示されている)が形成されている。ここで、固定基
板120は十分な剛性をもち、撓みを生じることはない
が、可撓基板110は可撓性をもち、いわゆるダイヤフ
ラムとして機能する。振動子130は、安定した振動を
生じるのに十分な重量をもった材質で構成されており、
ここでは、説明の便宜上、この振動子130の重心位置
Oを原点としたXYZ三次元座標系を考えることにす
る。すなわち、図の右方向にX軸、上方向にZ軸、そし
て紙面に垂直な方向にY軸を定義する。第6図は、この
センサをXZ平面で切った断面図ということになる。な
お、この実施例では、可撓基板110および固定基板1
20は、いずれも絶縁性の材料によって構成されてい
る。これらの基板を金属などの導電性の材料で構成した
い場合には、絶縁膜を介して各電極層の形成を行い、電
極層同士が短絡しないようにすればよい。
【0046】下部電極層F1〜F5の形状および配置
は、第7図に明瞭に示されている。第7図は、可撓基板
110の上面図であり、扇状の下部電極層F1〜F4と
円形の下部電極層F5が配置されている様子が明瞭に示
されている。一方、上部電極層E1〜E5の形状および
配置は、第8図に明瞭に示されている。第8図は、固定
基板120の下面図であり、扇状の上部電極層E1〜E
4と円形の上部電極層E5が配置されている様子が明瞭
に示されている。上部電極層E1〜E5と下部電極層F
1〜F5とは、それぞれ同じ形状をしており、互いに向
かい合った位置に形成されている。したがって、対向す
る一対の電極層により静電容量素子が形成され、合計5
組の静電容量素子が形成される。ここでは、これらをそ
れぞれ静電容量素子C1〜C5と呼ぶことにする。たと
えば、上部電極層E1と下部電極層F1とによって形成
される素子を、静電容量素子C1と呼ぶ。
【0047】<1.2> 振動子の振動機構 いま、このセンサの所定の電極層間に電圧を供給した場
合にどのような現象が起こるかを検討する。まず、電極
層E1,F1間に所定の電圧を印加した場合を考える。
たとえば、第9図に示すように、電極層E1側が正、F
1側が負となるように電圧を供給すると、両電極層間に
はクーロン力に基づく吸引力が作用する。前述したよう
に、可撓基板110は可撓性をもった基板であり、この
ような吸引力により撓みが生じることになる。すなわ
ち、第9図に示すように、電圧を印加した電極層E1,
F1間の距離が縮まるように、可撓基板110は機械的
に変形する。可撓基板110にこのような機械的変形が
生じると、振動子130はX軸の正の方向にΔXだけ変
位を生じることになる。
【0048】今度は、電極層E2,F2間に所定の電圧
を印加した場合を考える。たとえば、第10図に示すよ
うに、電極層E2側が正、F2側が負となるように電圧
を供給すると、これらの間に吸引力が作用し、電極層E
2,F2間の距離が縮まるように可撓基板110は機械
的に変形する。この結果、振動子130はX軸の負の方
向にΔXだけ変位を生じることになる。結局、電極層E
1,F1間に電圧を印加すれば、振動子130はX軸の
正の方向に変位し、電極層E2,F2間に電圧を印加す
れば、振動子130はX軸の負の方向に変位することに
なる。したがって、電極層E1,F1間への電圧印加
と、電極層E2,F2間への電圧印加と、を交互に行え
ば、振動子130をX軸方向に往復運動させることがで
きる。
【0049】ところで、第7図および第8図に示されて
いるように、上述した電極層E1,F1,E2,F2は
X軸上に配置された電極層である。これに対し、電極層
E3,F3,E4,F4はY軸上に配置されている。し
たがって、電極層E3,F3間への電圧印加と、電極層
E4,F4間への電圧印加と、を交互に行えば、振動子
130をY軸方向に往復運動させることができること
は、容易に理解できるであろう。
【0050】続いて、電極層E5,F5間に所定の電圧
を印加した場合を考える。たとえば、第11図に示すよ
うに、電極層E5側が正、F5側が負となるように電圧
を供給すると、これらの間に吸引力が作用し、電極層E
5,F5間の距離が縮まるように可撓基板110は機械
的に変形する。電極層E5,F5はいずれも各基板の中
央に位置するため、可撓基板110は傾くことなく、Z
軸方向へ平行移動するような変位を生じることになる。
この結果、振動子130はZ軸の正の方向にΔZだけ変
位を生じることになる。両電極層E5,F5への電圧印
加をやめれば、振動子130はもとの位置(第6図に示
す位置)へ復帰する。したがって、両電極層E5,F5
への電圧印加を断続的に行えば、振動子130をZ軸方
向に往復運動させることができる。
【0051】以上のように、特定の電極層の組に対し
て、特定のタイミングで電圧印加を行えば、振動子13
0をX軸,Y軸,Z軸に沿って振動させることができ
る。なお、上述の説明では、上部電極層E1〜E5側に
正、下部電極層F1〜F5側に負の電圧を印加している
が、極性を逆にしてもやはり吸引力が作用するため同じ
現象が起こる。
【0052】結局、振動子130についてX軸方向の振
動Uxを起こさせるには、第12図に示すような波形を
もった電圧V1を電極層E1,F1間に供給するととも
に、電圧V2を電極層E2,F2間に供給すればよい。
このような波形の電圧を供給すれば、期間t1,t3,
t5において振動子130には第9図に示すような変位
ΔXが生じ、期間t2,t4において振動子130には
第10図に示すような変位−ΔXが生じることになる。
同様に、振動子130についてY軸方向の振動Uyを起
こさせるには、第13図に示すような波形をもった電圧
V3を電極層E3,F3間に供給するとともに、電圧V
4を電極層E4,F4間に供給すればよい。また、振動
子130についてZ軸方向の振動Uzを起こさせるに
は、第14図に示すような波形をもった電圧V5を電極
層E5,F5間に供給すればよい。このような波形の電
圧V5を供給すれば、期間t1,t3,t5において振
動子130には第11図に示すような変位ΔZが生じ、
期間t2,t4において振動子130は、可撓基板11
0の復元力により第6図に示す位置に復帰する(このと
き、慣性力に応じた変位−ΔZが発生する)。
【0053】<1.3> コリオリ力の検出機構 1.3.1 X軸まわりの角速度ωxに基づくコリオリ力 続いて、このセンサに作用するコリオリ力を、静電容量
の変化を利用して検出する機構について説明する。はじ
めに、このセンサにX軸まわりの角速度ωxが作用した
場合の現象について考える。たとえば、第2図に示す物
体20が、X軸まわりに角速度ωxで回転運動している
場合、この物体20にこのセンサを搭載しておけば、振
動子130に対してX軸まわりの角速度ωxが作用する
ことになる。ところで、第3図で説明したように、X軸
まわりの角速度ωxが作用している状態において、振動
子に対してZ軸方向の振動Uzを与えると、Y軸方向に
コリオリ力Fyが発生する。したがって、このセンサの
電極層E5,F5間に、第14図に示すような波形をも
った電圧V5を供給し、振動子130にZ軸方向の振動
Uzを与えれば、Y軸方向にコリオリ力Fyが発生する
はずである。
【0054】第15図は、このコリオリ力Fyによっ
て、可撓基板110に機械的変形が生じた状態を示す側
断面図である。このセンサ全体が、X軸(図の紙面に垂
直な方向)まわりに角速度ωxで回転している状態にお
いて、振動子130をZ軸方向に振動させると、Y軸方
向にコリオリ力Fyが発生し、振動子130をY軸方向
に動かす力が加わる。この力により、可撓基板110は
図のように変形する。このようなY軸方向に偏った変形
は、電極層間のクーロン力によるものではなく、コリオ
リ力Fyに起因したものである。電極層間の印加電圧に
関しては、上述したように、電極層E5,F5間に第1
4図に示すような電圧V5が供給されているだけであ
り、他の電極層間には何ら電圧供給は行われていない。
ここで、発生したコリオリ力Fyは角速度ωxに比例し
たものになるので、コリオリ力Fyの値を測定すること
ができれば、角速度ωxを検出することができる。
【0055】そこで、静電容量の変化を利用して、次の
ような方法でこのコリオリ力Fyを測定する。いま、上
部電極層E1〜E5と、下部電極層F1〜F5と、の距
離について考える。振動子130は第15図の上下方向
に振動しているので、両電極層間の距離は縮んだり広が
ったりを周期的に繰り返すことになる。したがって、上
部電極層E1〜E5と下部電極層F1〜F5とで構成さ
れる容量素子C1〜C5の容量値(同じ符号C1〜C5
で表すことにする)は、いずれも周期的に増えたり減っ
たりを繰り返すことになる。ところが、コリオリ力Fy
の作用により、可撓基板110には常にY軸方向に偏っ
た変形が生じることになり、このような変形を保ったま
ま振動子130は上下に振動することになる。すなわ
ち、容量素子C3の電極間隔は、容量素子C4の電極間
隔よりも常に小さくなり、容量値C3と容量値C4との
間には、常にC3>C4の関係が保たれる。この容量値
C3とC4との差ΔC34は、Y軸方向への偏りの程度
に依存するため、コリオリ力Fyの大きさを示す量とな
る。別言すれば、コリオリ力Fyが大きければ大きいほ
ど、差ΔC34も大きくなる。
【0056】以上述べたX軸まわりの角速度ωxの検出
手順をまとめると次のようになる。まず、電極層E5,
F5間に第14図に示すような波形の電圧V5を供給し
て振動子130にZ軸方向の振動Uzを与え、その時点
での容量素子C3,C4の容量値の差ΔC34を求め
る。こうして求めた差ΔC34が求める角速度ωxの検
出値となる。振動を与えるために用いる電極層E5,F
5と、容量値の差を測定するために用いる電極層E3,
F3,E4,F4とは、電気的に完全に独立しているた
め、振動機構と検出機構との間に干渉が生じることはな
い。
【0057】1.3.2 Y軸まわりの角速度ωyに基づく
コリオリ力 次に、このセンサにY軸まわりの角速度ωyが作用した
場合の現象について考える。第4図で説明したように、
Y軸まわりの角速度ωyが作用している状態において、
振動子に対してX軸方向の振動Uxを与えると、Z軸方
向にコリオリ力Fzが発生する。したがって、このセン
サの電極層E1,F1間および電極層E2,F2間に、
第12図に示すような波形をもった電圧V1および電圧
V2を供給し、振動子130にX軸方向の振動Uxを与
えれば、Z軸方向にコリオリ力Fzが発生するはずであ
る。
【0058】第16図は、このコリオリ力Fzによっ
て、可撓基板110に機械的変形が生じた状態を示す側
断面図である。このセンサ全体が、Y軸(図の紙面に垂
直な方向)まわりに角速度ωyで回転している状態にお
いて、振動子130をX軸方向に振動させると、Z軸方
向にコリオリ力Fzが発生し、振動子130をZ軸方向
に動かす力が加わる。この力により、可撓基板110は
図のように変形する。このようなZ軸方向に偏った変形
は、電極層間のクーロン力によるものではなく、コリオ
リ力Fzに起因したものである。電極層間の印加電圧に
関しては、上述したように、電極層E1,F1,E2,
F2間に第12図に示すような電圧V1,V2が供給さ
れているだけであり、他の電極層間には何ら電圧供給は
行われていない。ここで、発生したコリオリ力Fzは角
速度ωyに比例したものになるので、コリオリ力Fzの
値を測定することができれば、角速度ωyを検出するこ
とができる。
【0059】コリオリ力Fzの値は、上部電極層E5お
よび下部電極層F5によって形成される容量素子C5の
容量値C5に基づいて求めることができる。なぜなら、
コリオリ力Fzが大きくなれば、両電極層間の距離は縮
まり容量値C5は大きくなり、逆に、コリオリ力Fzが
小さくなれば、両電極層間の距離は広がり容量値C5は
小さくなる関係が得られるからである。なお、振動子1
30はX軸方向に振動しているが、この振動Uxは容量
値C5の測定に何ら影響を及ぼさない。振動子130が
X軸の正方向または負方向に変位を生じると、上部電極
層E5と下部電極層F5とは非平行の状態になるが、両
電極層間の距離は、部分的に縮まり部分的に広がるた
め、全体としては振動Uxは容量値C5に影響を与えな
いのである。
【0060】以上述べたY軸まわりの角速度ωyの検出
手順をまとめると次のようになる。まず、電極層E1,
F1,E2,F2間に第12図に示すような波形の電圧
V1および電圧V2を供給して振動子130にX軸方向
の振動Uxを与え、その時点での容量素子C5の容量値
を求める。こうして求めた容量値C5が求める角速度ω
yの検出値となる。振動を与えるために用いる電極層E
1,F1,E2,F2と、容量値を測定するために用い
る電極層E5,F5とは、電気的に完全に独立している
ため、振動機構と検出機構との間に干渉が生じることは
ない。
【0061】1.3.3 Z軸まわりの角速度ωzに基づく
コリオリ力 最後に、このセンサにZ軸まわりの角速度ωzが作用し
た場合の現象について考える。第5図で説明したよう
に、Z軸まわりの角速度ωzが作用している状態におい
て、振動子に対してY軸方向の振動Uyを与えると、X
軸方向にコリオリ力Fxが発生する。したがって、この
センサの電極層E3,F3間および電極層E4,F4間
に、第13図に示すような波形をもった電圧V3,V4
を供給し、振動子130にY軸方向の振動Uyを与えれ
ば、X軸方向にコリオリ力Fxが発生するはずである。
【0062】第17図は、このコリオリ力Fxによっ
て、可撓基板110に機械的変形が生じた状態を示す側
断面図である。このセンサ全体が、Z軸まわりに角速度
ωzで回転している状態において、振動子130をY軸
方向(紙面に垂直な方向)に振動させると、X軸方向に
コリオリ力Fxが発生し、振動子130をX軸方向に動
かす力が加わる。この力により、可撓基板110は図の
ように変形する。このようなX軸方向に偏った変形は、
電極層間のクーロン力によるものではなく、コリオリ力
Fxに起因したものである。このコリオリ力Fxは角速
度ωzに比例したものになるので、コリオリ力Fxの値
を測定することができれば、角速度ωzを検出すること
ができる。
【0063】このコリオリ力Fxは、コリオリ力Fyと
同様に、静電容量の変化を利用して測定することができ
る。すなわち、前述したコリオリ力Fyは容量値C3と
C4との差ΔC34によって求めることができたが、こ
れと全く同じ原理により、コリオリ力Fxは容量値C1
とC2との差ΔC12によって求めることができる。
【0064】以上述べたZ軸まわりの角速度ωzの検出
手順をまとめると次のようになる。まず、電極層E3,
F3間および電極層E4,F4間に第13図に示すよう
な波形の電圧V3および電圧V4を供給して振動子13
0にY軸方向の振動Uyを与え、その時点での容量素子
C1,C2の容量値の差ΔC12を求める。こうして求
めた差ΔC12が求める角速度ωzの検出値となる。振
動を与えるために用いる電極層E3,F3,E4,F4
と、容量値の差を測定するために用いる電極層E1,F
1,E2,F2とは、電気的に完全に独立しているた
め、振動機構と検出機構との間に干渉が生じることはな
い。
【0065】<1.4> コリオリ力の検出回路 上述したように、この第1の実施例に係るセンサでは、
X軸まわりの角速度ωxは容量値C3とC4との差ΔC
34を求めることにより検出され、Y軸まわりの角速度
ωyは容量値C5を求めることにより検出され、Z軸ま
わりの角速度ωzは容量値C1とC2との差ΔC12を
求めることにより検出される。そこで、ここではこのよ
うな容量値あるいは容量値の差を測定するのに適した回
路の一例を開示しておく。
【0066】第18図は、容量素子Cの容量値を測定す
るための回路の一例である。入力端子T1に与えられた
信号は2つの経路に分岐し、インバータ151および1
52を通る。下の経路では、インバータ152を通った
信号は、抵抗153と容量素子Cとによって構成される
遅延回路を経て、排他的OR回路154の一方の入力信
号となる。上の経路では、インバータ151を通った信
号は、そのまま排他的OR回路154の他方の入力信号
となる。排他的OR回路154の論理出力は、出力端子
T2に与えられる。ここで、インバータ152は、抵抗
153と容量素子Cとによって構成される遅延回路に対
する十分な駆動能力を与える目的で設けられた素子であ
る。また、インバータ151は、上下の経路を同じ条件
にする目的で設けられた素子であり、インバータ152
と同じ動作特性をもった素子である。
【0067】このような回路において、入力端子T1に
所定周期の交流信号を供給した場合に、出力端子T2に
どのような信号が得られるかを考える。第19図は、入
力端子T1に半周期fの矩形交流信号を供給した場合
に、各部に表れる波形を示すタイミングチャートである
(実際には、矩形波になまりが生じるが、ここでは説明
の便宜上、純粋な矩形波として示してある)。排他的O
R回路154の一方の入力端であるノードN1における
波形は、入力端子T1に与えた波形に対して、インバー
タ151を通過するために必要な時間aだけ遅延した反
転波形となる。一方、排他的OR回路154のもう一方
の入力端であるノードN2における波形は、入力端子T
1に与えた波形に対して、インバータ152を通過する
ために必要な時間aと、抵抗153および容量素子Cに
よって構成される遅延回路を通過するために必要な時間
bと、の合計時間(a+b)だけ遅延した反転波形とな
る。この結果、出力端子T2に得られる排他的OR回路
154の出力波形は、図に示すように、パルス幅b、周
期fをもった波形となる。ここで、容量素子Cの容量値
が変化すると、抵抗153と容量素子Cとによって構成
される遅延回路の遅延時間bに変化が生じる。したがっ
て、得られるパルス幅bは、容量素子Cの容量値を示す
値となる。
【0068】第20図は、2つの容量素子C1,C2の
容量値の差ΔCを測定するための回路の一例である。入
力端子T3に与えられた信号は2つの経路に分岐し、イ
ンバータ161および162を通る。上の経路では、イ
ンバータ161を通った信号は、抵抗163と容量素子
C1とによって構成される遅延回路を経て、排他的OR
回路165の一方の入力信号となる。下の経路では、イ
ンバータ162を通った信号は、抵抗164と容量素子
C2とによって構成される遅延回路を経て、排他的OR
回路165のもう一方の入力信号となる。排他的OR回
路165の論理出力は、出力端子T4に与えられる。こ
こで、インバータ161,162は、後段の遅延回路に
対する十分な駆動能力を与える目的で設けられた素子で
あり、両者は同じ動作特性をもつ。
【0069】このような回路において、入力端子T3に
所定周期の交流信号を供給した場合に、出力端子T4に
どのような信号が得られるかを考える。第21図に示す
ように、入力端子T3に矩形交流信号を供給すると、排
他的OR回路165の一方の入力端であるノードN3に
おける波形は、所定の遅延時間d1をもった反転波形と
なる。同様に、もう一方の入力端であるノードN4にお
ける波形は、所定の遅延時間d2をもった反転波形とな
る。この結果、出力端子T4に得られる排他的OR回路
165の出力波形は、図に示すように、パルス幅dをも
った波形となる。ここで、パルス幅dは、遅延時間d1
とd2との差に相当する値であり、2つの容量素子C
1,C2の容量値の差ΔCに対応する値となる。こうし
て、容量値の差ΔCをパルス幅dとして得ることができ
る。
【0070】<1.5> 変形例1 上述した第1の実施例に係るセンサでは、クーロン力に
基づく吸引力を作用させて振動子130を振動させてい
る。たとえば、振動子130をX軸方向に振動させる場
合は、第9図に示すように両電極層E1,F1に逆極性
の電荷を供給して吸引力を作用させた第1の状態と、第
10図に示すように両電極層E2,F2に逆極性の電荷
を供給して吸引力を作用させた第2の状態と、が交互に
繰り返されるようにすればよい。しかしながら、このよ
うな振動をより安定させるには、吸引力とともに排斥力
を作用させるのが好ましい。たとえば、第22図に示す
ように、上部電極層E1に正の電荷を、下部電極層F1
に負の電荷を、それぞれ供給して、両電極層間に吸引力
を作用させるのと同時に、上部電極層E2および下部電
極層F2の両方に負の電荷を供給し(両方に正の電荷を
供給してもよい)、両電極層間に排斥力を作用させる
と、振動子130をX軸の正方向にΔXだけ変位させる
動作をより安定して行うことができる。第9図に示す状
態と、第22図に示す状態とは、振動子130に変位Δ
Xを生じさせるという点では同じであるが、前者は1か
所に作用する力に依存しているのに対し、後者は2か所
に作用する力に依存しており、後者の方が前者より安定
する。
【0071】同様に、第10図に示すように、振動子1
30をX軸の負方向に−ΔXだけ変位させる場合にも、
第23図に示すように、上部電極層E2に正の電荷を、
下部電極層F2に負の電荷を、それぞれ供給して、両電
極層間に吸引力を作用させるのと同時に、上部電極層E
1および下部電極層F1の両方に負の電荷を供給し(両
方に正の電荷を供給してもよい)、両電極層間に排斥力
を作用させると、動作をより安定させることができる。
結局、第22図に示す第1の状態と、第23図に示す第
2の状態と、が交互に繰り返されるように、各電極層に
所定の極性の電荷を所定のタイミングで供給するように
すれば、振動子130をX軸方向に安定して振動させる
ことができるようになる。振動子130をY軸方向に振
動させる場合も全く同様である。
【0072】次に、振動子130をZ軸方向に振動させ
る場合を考える。前述した実施例では、第11図に示す
ように、上部電極層E5に正の電荷を、下部電極層F5
に負の電荷を、それぞれ供給して両電極層間に吸引力を
作用させた第1の状態と、第6図に示すように、いずれ
の電極層にも電荷供給を行わない中立の状態と、が交互
に繰り返されるようにして振動Uzを発生させていた。
この場合にも、両電極層間の排斥力を利用すると、動作
をより安定させることができる。すなわち、第24図に
示すように、上部電極層E5および下部電極層F5の両
方に正の電荷を供給し(両方に負の電荷を供給してもよ
い)、両電極層間に排斥力を作用させると、振動子13
0はZ軸の負の方向に変位−ΔZを生じることになる。
そこで、第11図に示す第1の状態と、第24図に示す
第2の状態と、が交互に繰り返されるように、各電極層
に所定の極性の電荷を所定のタイミングで供給するよう
にすれば、振動子130をZ軸方向に安定して振動させ
ることができるようになる。
【0073】しかしながら、対向する一対の電極層に逆
極性の電荷を供給することは容易にできるが、同極性の
電荷を供給するには工夫が必要である。すなわち、逆極
性の電荷を供給するには、両電極層間に所定の電圧を印
加すればよいが、同極性の電荷を供給するには、そのよ
うな方法は適用できない。この問題を解決するために
は、各電極層を誘電体を介した二層構造にする方法が利
用できる。第25図は、このような構造を採ったセンサ
の側断面図である。下部電極層F1〜F5は、誘電体基
板171の上面に形成され、この誘電体基板171と可
撓基板110との間には、補助電極層F1a〜F5aが
形成されている。補助電極層F1a〜F5aは、それぞ
れ下部電極層F1〜F5と同じ形状をしており同じ位置
に配置されている。同様に、上部電極層E1〜E5は、
誘電体基板172の下面に形成され、この誘電体基板1
72と固定基板120との間には、補助電極層E1a〜
E5aが形成されている。補助電極層E1a〜E5a
は、それぞれ上部電極層E1〜E5と同じ形状をしてお
り同じ位置に配置されている。
【0074】このような二層構造にしておけば、特定の
電極層間に吸引力を作用させることも、排斥力を作用さ
せることも、自由にできるようになる。これを具体例で
示す。第26図は、第25図に示すセンサにおける各電
極層および各誘電体基板の部分のみを抽出して示した図
である。たとえば、電極層E1,F1間に吸引力を作用
させたい場合には、図に示すように、両電極層間に電圧
Vを印加して逆極性の電荷を供給すればよい。これに対
して、電極層E2,F2間に排斥力を作用させたい場合
には、図に示すように、補助基板E2a,F2aと電極
層E2,F2との間に電圧Vを印加すればよい。誘電体
基板171を挟んで電圧Vが印加されるため、電極層F
2に負の電荷が、補助電極層F2aに正の電荷が発生
し、同様に、誘電体基板172を挟んで電圧Vが印加さ
れるため、電極層E2に負の電荷が、補助電極層E2a
に正の電荷が発生する。こうして結果的に、両電極層E
2,F2に同極性の電荷が供給されることになり、両者
間に排斥力を作用させることができる。
【0075】<1.6> 変形例2 上述の変形例1は、第6図に示すセンサに比べて構造は
やや複雑になる。これに対して、ここに述べる変形例2
は、第6図に示すセンサの構造をより単純化したもので
ある。すなわち、この変形例2のセンサでは、第27図
に示すように、上部電極層E1〜E5の代わりに単一の
共通電極層E0が形成されている。この共通電極層E0
は、下部電極層F1〜F5のすべてに対向するような大
きさの円盤状の電極層である。このように、一方の電極
層を1枚の共通電極層にしても、常にこの共通電極層側
を基準電位にとるようにすれば、このセンサの動作には
何ら支障は生じない。たとえば、振動子130に振動を
与えるために、特定の電極層間に電圧を印加する場合、
共通電極層E0側をアースにして、下部電極層F1〜F
5のうちの所定の電極層に電圧を供給すればよい。ま
た、容量値の変化に基づいてコリオリ力の検出を行う場
合も同様に、共通電極層E0側をアースにして各容量素
子C1〜C5を取り扱うようにすればよい。
【0076】このように、5枚の上部電極層E1〜E5
を単一の共通電極層E0に置き換えることにより、セン
サの機械的な構造や、必要な配線はより単純になる。ま
た、固定基板120を金属などの導電性の材料で構成す
るようにすれば、固定基板120の下面を共通電極層E
0として用いることができるため、わざわざ固定基板1
20の下面に別体として共通電極層E0を形成する必要
がなくなり、構造は更に単純になる。
【0077】以上は、上部電極層E1〜E5側を共通電
極層E0に置き換えた例であるが、逆に、下部電極層F
1〜F5側を共通電極層F0に置き換えることも可能で
ある。
【0078】<<< Section 2 第2の実施例 >>
> <2.1> 第2の実施例に係るセンサの構造 続いて、本発明の第2の実施例に係る多軸角速度センサ
について説明する。この第2の実施例も、振動機構とし
てクーロン力を利用した機構を用い、検出機構として静
電容量の変化を利用する機構を用いた点において、前述
した第1の実施例のセンサと同様である。ただ、その構
造は複数の基板を積層したものになっており、より大量
生産に向いたものとなっている。
【0079】第28図は、この第2の実施例に係る多軸
角速度センサの側断面図である。このセンサの主たる構
成要素は、第1の基板210、第2の基板220、第3
の基板230である。この実施例では、第1の基板21
0はシリコン基板から構成されており、第2の基板22
0および第3の基板230はガラス基板から構成されて
おり、各基板は互いに陽極接合によって接合されてい
る。。第1の基板210は、このセンサの中枢をなす役
割を果たす基板であり、第29図はこの第1の基板21
0の上面図である。第29図に明瞭に示されているよう
に、第1の基板210には、L字型の開口部H1〜H4
が設けられている。各開口部H1〜H4は、下面にゆく
ほど幅が広がるようなテーパ状になっている。第29図
における切断線28−28に沿って切った側断面図が第
28図であり、切断線30−30に沿って切った側断面
図が第30図である。第30図には、開口部H3,H4
のテーパ状の断面が示されている。第29図において、
4つのL字型開口部H1〜H4によって囲まれた内側の
正方形状の部分が振動子211を構成し、L字型開口部
H1〜H4の外側部分がこの振動子211についての支
持枠213を構成している。振動子211は、支持枠2
13に対して4か所で連結されている。この4か所の連
結部分が架橋部212である。別言すれば、正方形状の
振動子211は、4か所で架橋部212によって吊られ
た状態になっている。しかも架橋部212は、第28図
あるいは第30図に示されているように、第1の基板2
10の本来の厚みに比べて非常に薄い板状の部材であ
り、可撓性を有する。このため、振動子211は架橋部
212に吊られた状態で、ある程度の自由度をもって動
くことができる。振動子211の上面には、第29図に
示されているように、5枚の下部電極層G1〜G5が形
成されている。これらの下部電極層G1〜G5は、前述
した第1の実施例のセンサにおける下部電極層F1〜F
5と同様に、振動子211に対して振動を発生させる機
能と、振動子211に作用するコリオリ力を検出する機
能とを果たすことになる。
【0080】第2の基板220は、第1の基板210の
周囲部分を支えるための台座として機能する。そのた
め、第2の基板220の上面の周囲以外の部分には、窪
み221が形成されている。この窪み221の形成によ
り、振動子211は第2の基板に接触することなしに宙
吊りの状態を保つことができる。
【0081】第3の基板230は、第1の基板210の
上面を覆う蓋として機能している。この第3の基板23
0の下面図を第31図に示す。この第3の基板230の
下面は、周囲のわずかな部分を除いて切削されており、
切削面231には上部電極層G0が形成されている。上
部電極層G0は正方形状をしており、第28図あるいは
第30図の側断面図に示されているように、下部電極層
G1〜G5のすべてに対して向かい合った状態となる。
この下部電極層G0は、前述した第1の実施例において
変形例2として示した第27図のセンサの共通電極層E
0に相当する。
【0082】このような3枚の基板からなるセンサは、
大量生産に適している。すなわち、各基板に対してそれ
ぞれ別個に機械加工(あるいは、エッチングなどの化学
加工)を施し、電極層や配線層を形成した後、これらを
接合して組み立てればよい。第1の基板210としてシ
リコン基板を用いれば、電極層G1〜G5は拡散層で形
成することができる。また、電極層G0はアルミニウム
などの蒸着層で形成すればよい。このようにして、電極
層や配線層は一般的な半導体プレーナプロセスによって
形成することができる。
【0083】<2.2> 振動子の振動機構 さて、振動子211上に形成された5枚の下部電極層G
1〜G5と、これに対向する上部電極層G0と、の間に
所定のタイミングで所定の電圧を供給することにより、
両電極層間にクーロン力を作用させ、その結果として、
振動子211を所定の方向に振動させることができる点
は、前述の第1の実施例のセンサと同様である。ただ、
この第2の実施例のセンサと、前述した第1の実施例の
センサとでは、電極層の配置が若干異なっている。第1
の実施例のセンサでは、第7図に示すように、X軸上に
電極層F1,F2が配され、Y軸上に電極層F3,F4
が配されている。これに対して、ここで述べる第2の実
施例のセンサでは、第29図に示すように、電極層G1
〜G4はいずれもX軸上あるいはY軸上には配されてい
ない。すなわち、電極層G1〜G4は、それぞれXY平
面についての第1象限〜第4象限に配されている。この
ため、振動子211を特定の方向に振動させるために必
要な電圧の印加方法は、前述の例とは若干異なる。以
下、これを具体的に説明する。
【0084】振動子211をX軸方向に振動させるに
は、次のようにする。ここでは、上部電極層G0の電位
を基準電位としてアースにとり、この基準電位に対して
所定の電圧(たとえば、+5V)を下部電極層G1〜G
5に印加することにする。まず、下部電極層G1とG4
との両方にそれぞれ+5Vの電圧を印加すれば、電極層
G1,G0間および電極層G4,G0間にそれぞれ吸引
力が作用することになる。これにより、振動子211は
X軸の正の方向に変位ΔXを生じた状態になる。次に、
下部電極層G1,G4の電位を基準電位に戻し、下部電
極層G2とG3との両方にそれぞれ+5Vの電圧を印加
する。すると、電極層G2,G0間および電極層G3,
G0間にそれぞれ吸引力が作用することになる。これに
より、振動子211はX軸の負の方向に変位−ΔXを生
じた状態になる。この2つの状態が交互に繰り返される
ように、各電極層へ所定の電圧を所定のタイミングで印
加すれば、振動子211をX軸方向に振動させることが
できるようになる。
【0085】振動子211をY軸方向に振動させる場合
も同様である。まず、下部電極層G1とG2との両方に
それぞれ+5Vの電圧を印加すれば、電極層G1,G0
間および電極層G2,G0間にそれぞれ吸引力が作用す
ることになる。これにより、振動子211はY軸の正の
方向に変位ΔYを生じた状態になる。次に、下部電極層
G1,G2の電位を基準電位に戻し、下部電極層G3と
G4との両方にそれぞれ+5Vの電圧を印加する。する
と、電極層G3,G0間および電極層G4,G0間にそ
れぞれ吸引力が作用することになる。これにより、振動
子211はY軸の負の方向に変位−ΔYを生じた状態に
なる。この2つの状態が交互に繰り返されるように、各
電極層へ所定の電圧を所定のタイミングで印加すれば、
振動子211をY軸方向に振動させることができるよう
になる。
【0086】また、振動子211をZ軸方向に振動させ
るには、前述した第1の実施例のセンサと同じ方法を採
ればよい。すなわち、下部電極層G5に+5Vを供給し
たり、0Vに戻したり、という操作を繰り返し行えばよ
い。
【0087】<2.3> コリオリ力の検出機構 この第2の実施例に係るセンサにおいて、振動子211
に作用したコリオリ力を検出する原理は、前述の第1の
実施例に係るセンサと同様に、静電容量の変化を利用す
るものである。ただ、電極層の配置に若干の相違がある
ため、検出対象として用いる容量素子の組み合わせに若
干の違いがある。以下、これを具体的に説明する。な
お、ここでは、説明の便宜上、下部電極層G1〜G5と
上部電極層G0との組み合わせによって構成される5組
の容量素子を、それぞれ容量素子C1〜C5と呼び、こ
れら容量素子の容量値も同じくC1〜C5と呼ぶことに
する。
【0088】まず、X軸方向に作用するコリオリ力Fx
を検出する方法を検討する。第29図に示す電極層配置
によれば、振動子211にX軸正方向へのコリオリ力F
xが作用すると、容量素子C1,C4の電極層間隔は縮
み、容量素子C2,C3の電極層間隔は広がることが容
易に想像できる。したがって、容量値C1,C4は増
え、容量値C2,C3は減ることになる。そこで、(C
1+C4)−(C2+C3)なる差を求めれば、この差
がコリオリ力Fxに対応した値となる。
【0089】次に、Y軸方向に作用するコリオリ力Fy
を検出する方法を検討する。第29図に示す電極層配置
によれば、振動子211にY軸正方向へのコリオリ力F
yが作用すると、容量素子C1,C2の電極層間隔は縮
み、容量素子C3,C4の電極層間隔は広がることが容
易に想像できる。したがって、容量値C1,C2は増
え、容量値C3,C4は減ることになる。そこで、(C
1+C2)−(C3+C4)なる差を求めれば、この差
がコリオリ力Fyに対応した値となる。
【0090】Z軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出
する方法は、前述した第1の実施例のセンサにおける検
出方法と同様である。すなわち、容量素子C5の容量値
C5が、コリオリ力Fzを示す値となる。
【0091】なお、この実施例のセンサでは、同一の電
極層を振動機構と検出機構との両方に同時に用いること
になるため、振動を与えるための電圧供給回路と、コリ
オリ力に基づいて変化する容量値を検出する回路とは、
互いに干渉しないようにする必要がある。
【0092】<2.4> 変形例1 第32図に示すセンサは、第28図に示した第2の実施
例に係るセンサの変形例である。この変形例では、第1
の基板210、第2の基板220、第3の基板230、
の他に、更に第4の基板240が用いられている。第4
の基板240は、振動子241と台座242とによって
構成されている。振動子241は上から見ると正方形状
をしたブロックであり、台座242はその周囲を囲うよ
うな形状をしたフレームである。第4の基板の振動子2
41は第1の基板の振動子211に接合されており、振
動子211および241は全体が1つの振動子として機
能する。このように第4の基板240を付加することに
より、振動子の質量を増加させることができ、より感度
の高い検出が可能になる。なお、この変形例では、5つ
の下部電極層G1〜G5に対向する電極層として、共通
の上部電極層G0を設ける代わりに、5つの上部電極層
G6〜G10が設けられている。
【0093】<2.5> 変形例2 第33図に示すセンサは、第28図に示した第2の実施
例に係るセンサのまた別な変形例である。このセンサの
中枢として機能する基板は可撓基板250である。第3
4図は、この可撓基板250の上面図である。図に破線
で示されているように、可撓基板250の下面には、円
環状の溝が形成されており、この溝が形成された部分は
肉厚が薄いために可撓性をもっている(第33図に、可
撓部252として示されている)。ここでは、この円環
状の可撓部252に囲まれた内側の部分を作用部251
と呼び、可撓部252の外側の部分を固定部253と呼
ぶことにする。作用部251の下面には、ブロック状の
振動子260が固着されている。また、固定部253
は、台座270によって支持されており、台座270は
ベース基板280に固定されている。結局、振動子26
0は、台座270によって囲まれた空間内において宙吊
りの状態となっている。肉厚の薄い可撓部252が可撓
性をもっているため、振動子260は、ある程度の自由
度をもってこの空間内で変位できる。また、可撓基板2
50の上部には、蓋基板290が所定の空間を確保しな
がら覆うように取り付けられている。
【0094】第34図に示すように、可撓基板250の
上面には、5枚の下部電極層F1〜F5が形成されてい
る。これらの電極層は、第6図に示す第1の実施例に係
るセンサにおける下部電極層F1〜F5と同形状、同配
置のものである。また、蓋基板290の下面には、この
5枚の下部電極層F1〜F5のすべてに対向する共通の
上部電極層E0が形成されている。なお、このセンサの
動作は、第27図に示すセンサの動作と同等であるた
め、ここでは詳しい説明は省略する。
【0095】<<< Section 3 第3の実施例 >>
> <3.1> 第3の実施例に係るセンサの構造 続いて、本発明の第3の実施例に係る多軸角速度センサ
について説明する。この第3の実施例は、振動機構とし
てクーロン力を利用した機構を用いる点においては、前
述した第1の実施例および第2の実施例のセンサと同様
であるが、検出機構としてはピエゾ抵抗素子を利用した
機構を用いている点に特徴がある。
【0096】第35図は、この第3の実施例に係る多軸
角速度センサの側断面図である。このセンサの主たる構
成要素は、第1の基板310、第2の基板320、第3
の基板330、第4の基板340である。この実施例で
は、第1の基板310と第3の基板330とはシリコン
基板で構成され、第2の基板320と第4の基板340
とはガラス基板で構成されている。このような4層の基
板からなる構造は、前述した第2の実施例における第3
2図に示す変形例と実質的に同じものである。第1の基
板310は、このセンサの中枢をなす役割を果たす基板
であり、第36図はこの第1の基板310の上面図であ
る。図に破線で示されているように、第1の基板310
の下面には、円環状の溝が形成されており、この溝が形
成された部分は肉厚が薄いために可撓性をもっている
(第35図に、可撓部312として示されている)。こ
こでは、この円環状の可撓部312に囲まれた内側の部
分を作用部311と呼び、可撓部312の外側の部分を
固定部313と呼ぶことにする。第2の基板320は、
ブロック状の振動子321と、その周囲を取り囲むよう
なフレーム状の台座322とによって構成されている。
振動子321は、作用部311の底面に固着されてい
る。また、台座322は固定部313の底面に固着され
ている。
【0097】第3の基板330は、台座322を支持す
るためのベース基板としての役割を果たす。そのため、
第3の基板330の上面の周囲以外の部分には、窪み3
31が形成されている。この窪み331の形成により、
振動子321は第3の基板330に接触することなしに
支持される。結局、振動子321は、台座322によっ
て囲まれた空間内において宙吊りの状態となっている。
第1の基板310において肉厚の薄い可撓部312が可
撓性をもっているため、振動子321は、ある程度の自
由度をもってこの空間内で変位できる。また、第1の基
板310の上部には、第4の基板340が所定の空間を
確保しながら覆うように取り付けられている。
【0098】第36図に示すように、第1の基板310
の上面には、5枚の下部電極層F1〜F5が形成されて
いる。これらの電極層は、第6図に示す第1の実施例に
係るセンサにおける下部電極層F1〜F5と等価のもの
である。ただし、後述するように、この第1の基板31
0の上面には、複数のピエゾ抵抗素子Rが形成されてお
り、下部電極層F1〜F4の形状は、これらピエゾ抵抗
素子Rの形成領域を避けるために、第6図に示すセンサ
における下部電極層F1〜F4の形状とは若干異なって
いる。また、第4の基板340の下面には、この5枚の
下部電極層F1〜F5のすべてに対向する共通の上部電
極層E0が形成されている。
【0099】ピエゾ抵抗素子Rは、シリコンからなる第
1の基板310の上面の所定位置に、不純物を注入する
ことによって形成された素子であり、機械的な応力の作
用により電気抵抗が変化する性質を有する。第36図に
示すように、このピエゾ抵抗素子Rは、X軸に沿って4
個、Y軸に沿って4個、そしてY軸に対して45°の傾
きをもった斜方軸に沿って4個、合計で12個が配置さ
れている。いずれも、肉厚の薄い可撓部312の部分に
配置されており、振動子321の変位により可撓部31
2に撓みが生じると、この撓みに応じて抵抗値が変化す
るようになっている。なお、第35図の側断面図におい
ては、図が繁雑になるのを避けるためこれらピエゾ抵抗
素子Rの図示は省略している。ここでは、第37図に示
すように、この12個の抵抗素子について、X軸に沿っ
て配置された4個をRx1,Rx2,Rx3,Rx4と
呼び、Y軸に沿って配置された4個をRy1,Ry2,
Ry3,Ry4と呼び、斜方軸に沿って配置された4個
をRz1,Rz2,Rz3,Rz4と呼ぶことにする。
【0100】<3.2> 振動子の振動機構 このセンサにおいて、振動子321を所定の軸方向に振
動させる機構は、第6図に示した第1の実施例に係るセ
ンサと全く同様である。第36図に示す5枚の下部電極
層F1〜F5は、第7図に示す5枚の下部電極層F1〜
F5と、形状に若干の違いはあるものの本質的な機能の
点では全く等価である。したがって、この5枚の下部電
極層F1〜F5と、これに対向する共通の上部電極層E
0と、の間に所定のタイミングで所定の電圧を供給する
ことにより、両電極層間にクーロン力を作用させ、その
結果として、振動子321をXYZ三次元座標系におけ
るX軸,Y軸,Z軸のいずれの方向にも振動させること
ができる。
【0101】<3.3> コリオリ力の検出機構 この第3の実施例に係るセンサの特徴は、ピエゾ抵抗素
子を用いてコリオリ力の検出を行う点にある。この検出
方法を以下に説明する。いま、第38図に示すように、
振動子321にX軸正方向のコリオリ力Fxが作用した
場合を考える(図が繁雑になるのを避けるため、この図
では、各電極層は図示を省略してある)。コリオリ力F
xが作用すると、第1の基板310の可撓部312に図
のような撓みが生じる。そして、このような撓みは、X
軸に沿って配置された4個のピエゾ抵抗素子Rx1〜R
x4の抵抗値を変化させる。具体的には、ピエゾ抵抗素
子Rx1,Rx3の抵抗値は増え(図には“+”符号で
示す)、ピエゾ抵抗素子Rx2,Rx4の抵抗値は減る
(図には“−”符号で示す)。しかも増減の程度は、作
用したコリオリ力Fxの大きさに比例する。また、X軸
負方向のコリオリ力−Fxが作用した場合は、増減の関
係が逆転する。したがって、これら各ピエゾ抵抗素子の
抵抗値の変化を検出すれば、作用したコリオリ力Fxを
求めることができる。
【0102】実際には、4個のピエゾ抵抗素子Rx1〜
Rx4によって、第39図に示すようなブリッジ回路を
形成し、電源350によって所定の電圧を供給する。そ
して、電圧計361によってブリッジ電圧Vxを測定す
るようにする。ここで、コリオリ力が作用しない基準状
態(第35図に示す状態)において、このブリッジ回路
が平衡する(ブリッジ電圧Vxが零になる)ように設定
しておけば、電圧計361によって測定されたブリッジ
電圧Vxがコリオリ力Fxを示すことになる。
【0103】一方、Y軸方向のコリオリ力Fyが作用す
ると、Y軸に沿って配置された4個のピエゾ抵抗素子R
y1〜Ry4について同様の抵抗値変化が起こる。した
がって、これら4個のピエゾ抵抗素子によって、第40
図に示すようなブリッジ回路を形成し、電源350によ
って所定の電圧を供給すれば、電圧計362によって測
定されたブリッジ電圧Vyがコリオリ力Fyを示すこと
になる。
【0104】また、Z軸方向のコリオリ力Fzが作用す
ると、斜方軸に沿って配置された4個のピエゾ抵抗素子
Rz1〜Rz4について抵抗値変化が起こる。たとえ
ば、Z軸正方向のコリオリ力が作用すると、ピエゾ抵抗
素子Rz1,Rz4の抵抗値は減り、ピエゾ抵抗素子R
z2,Rz3の抵抗値は増える。したがって、これら4
個のピエゾ抵抗素子によって、第41図に示すようなブ
リッジ回路を形成し、電源350によって所定の電圧を
供給すれば、電圧計363によって測定されたブリッジ
電圧Vzがコリオリ力Fzを示すことになる。
【0105】このように、コリオリ力の検出をピエゾ抵
抗素子を用いて行うようにすれば、振動子321を所定
の軸方向に振動させる機構(電極層間のクーロン力を利
用)と、コリオリ力を検出する機構と、が完全に独立し
た機構となり、相互の干渉は全く生じることがない。
【0106】<3.4> 変形例 上述したセンサにおける各下部電極層F1〜F4は、前
述した第1の実施例に係るセンサと同様に、X軸および
Y軸上に配されている。これに対し、第29図に示した
第2の実施例に係るセンサにおける下部電極層G1〜G
4のように、XY平面についての第1象限〜第4象限に
配置することも可能である。また、4個のピエゾ抵抗素
子Rz1〜Rz4を配置する軸の向きは任意でよく、X
軸あるいはY軸に平行な軸に沿って配置してもかまわな
い。
【0107】<<< Section 4 第4の実施例 >>
> <4.1> 第4の実施例に係るセンサの構造 ここでは、本発明の第4の実施例に係る多軸角速度セン
サについて説明する。この第4の実施例は、振動機構お
よび検出機構の双方に圧電素子を利用した機構を用いた
センサである。
【0108】第42図は、この第4の実施例に係る多軸
角速度センサの側断面図である。このセンサは、第6図
に示した第1の実施例に係るセンサと非常によく似た構
造をもち、次のような各構成要素からなる。すなわち、
基本的には、円盤状の可撓基板410および円盤状の固
定基板420の間に、同じく円盤状をした圧電素子43
0が介挿された構造となっている。可撓基板410の下
面には、円柱状の振動子440が固着されている。ま
た、可撓基板410の外周部分および固定基板420の
外周部分は、いずれもセンサ筐体450によって支持さ
れている。圧電素子430の上面には、5枚の上部電極
層E1〜E5(図42には、その一部だけが示されてい
る)が形成され、同様に下面には5枚の下部電極層F1
〜F5(やはり、その一部だけが示されている)が形成
されており、上部電極層E1〜E5の上面は固定基板4
20の下面に固着され、下部電極層F1〜F5の下面は
可撓基板410の上面に固着されている。ここで、固定
基板420は十分な剛性をもち、撓みを生じることはな
いが、可撓基板410は可撓性をもち、いわゆるダイヤ
フラムとして機能する。ここでは、説明の便宜上、振動
子440の重心位置Oを原点としたXYZ三次元座標系
を考えることにする。すなわち、図の右方向にX軸、上
方向にZ軸、そして紙面に垂直な方向にY軸を定義す
る。図42は、このセンサをXZ平面で切った断面図と
いうことになる。なお、上部電極層E1〜E5および下
部電極層F1〜F5の形状および配置は、第6図に示す
第1の実施例のセンサと全く同じである(第7図および
第8図参照)。また、この実施例では、可撓基板410
および固定基板420は、いずれも絶縁性の材料によっ
て構成されている。これらの基板を金属などの導電性の
材料で構成したい場合には、これらの基板と各電極層と
の間に絶縁膜を形成し、電極層同士が短絡しないように
すればよい。
【0109】一般に、圧電素子には、外部から圧力を加
えると、圧電素子内部の所定方向に電圧が発生する第1
の性質と、逆に、外部から電圧を加えると、圧電素子内
部の所定方向に圧力が発生する第2の性質と、が備わっ
ている。この2つの性質は表裏一体の関係にある。どの
方向に圧力/電圧を加えると、どの方向に電圧/圧力が
発生するかは、個々の圧電素子によって固有のものであ
り、ここでは、このような方向性の性質を「分極特性」
と呼ぶことにする。この実施例のセンサに用いられてい
る圧電素子430は、第43図に示すような分極特性を
もった圧電セラミックスが用いられている。すなわち、
前述した第1の性質の観点からみれば、第43図(a) に
示すように、厚み方向に伸ばす方向の力が作用した場合
には、上部電極層E側に正の電荷が、下部電極層F側に
負の電荷が、それぞれ発生し、第43図(b) に示すよう
に、厚み方向に縮める方向の力が作用した場合には、上
部電極層E側に負の電荷が、下部電極層F側に正の電荷
が、それぞれ発生するような分極特性をもっている。逆
に、前述した第2の性質の観点からみれば、第43図
(a) に示すように、上部電極層E側に正の電荷を、下部
電極層F側に負の電荷を、それぞれ供給すれば、厚み方
向に伸ばす方向の力が発生し、第43図(b) に示すよう
に、上部電極層E側に負の電荷を、下部電極層F側に正
の電荷を、それぞれ供給すれば、厚み方向に縮める方向
の力が発生するような分極特性をもっている。
【0110】<4.2> 振動子の振動機構 いま、このセンサの所定の電極層に所定の極性をもった
電荷を供給した場合にどのような現象が起こるかを検討
する。電極層E1に負、F1に正の電荷を供給すると、
第43図(b) に示す性質により、この両電極層に挟まれ
た圧電素子の一部分には、厚み方向に縮む方向の力が発
生する。また、電極層E2に正、F2に負の電荷を供給
すると、第43図(a) に示す性質により、この両電極層
に挟まれた圧電素子の一部分には、厚み方向に伸びる方
向の力が発生する。この結果、圧電素子430は、第4
4図に示すように変形し、振動子440はX軸正方向に
変位することになる。ここで、電極層E1,F1,E
2,F2に供給していた電荷の極性を逆転させると、圧
電素子の伸縮状態も逆転することになり、振動子440
はX軸負方向に変位する。この2つの変位状態が交互に
起こるように、供給電荷の極性を交互に反転させてやれ
ば、振動子440をX軸方向に往復運動させてやること
ができる。別言すれば、振動子440に対して、X軸方
向に関する振動Uxを与えることができる。
【0111】このような電荷供給は、対向する電極層間
に交流信号を印加することにより実現できる。すなわ
ち、電極層E1,F1間に第1の交流信号を印加し、電
極層E2,F2間に第2の交流信号を印加する。そし
て、第1の交流信号および第2の交流信号として、互い
に周波数は同じで位相が反転した信号を用いるようにす
れば、振動子440をX軸方向に振動させることができ
る。
【0112】振動子440に対して、Y軸方向に関する
振動Uyを与える方法も全く同様である。すなわち、電
極層E3,F3間に第1の交流信号を印加し、電極層E
4,F4間に第2の交流信号を印加すればよい。
【0113】次に、振動子440に対して、Z軸方向に
関する振動Uzを与える方法について考えてみる。い
ま、電極層E5に負、F5に正の電荷を供給すると、第
43図(b) に示す性質により、この両電極層に挟まれた
圧電素子の一部分には、厚み方向に縮む方向の力が発生
する。この結果、圧電素子430は、第45図に示すよ
うに変形し、振動子440はZ軸正方向に変位すること
になる。ここで、電極層E5,F5に供給していた電荷
の極性を逆転させると、圧電素子の伸縮状態も逆転する
ことになり、振動子440はZ軸負方向に変位する。こ
の2つの変位状態が交互に起こるように、供給電荷の極
性を交互に反転させてやれば、振動子440をZ軸方向
に往復運動させてやることができる。別言すれば、振動
子440に対して、Z軸方向に関する振動Uzを与える
ことができる。このような電荷供給は、対向する電極層
E5,F5間に交流信号を印加することにより実現でき
る。
【0114】以上のように、特定の電極層の組に対し
て、所定の交流信号を供給すれば、振動子430をX
軸,Y軸,Z軸に沿って振動させることができる。
【0115】<4.3> コリオリ力の検出機構 続いて、この第4の実施例に係るセンサにおいて各軸方
向に作用したコリオリ力の検出方法について説明する。
なお、紙面を節約する上で、前述した振動子の振動方法
の説明に用いた第44図および第45図を、このコリオ
リ力の検出方法の説明においても用いることにする。
【0116】まず、第44図に示すように、振動子44
0に対してX軸方向のコリオリ力Fxが作用した場合を
考える(第5図に示す原理によれば、このようなコリオ
リ力Fxの測定は、Y軸方向への振動Uyを与えた状態
で行われるため、振動子440は第44図における紙面
に垂直な方向に振動していることになるが、このような
Y軸方向への振動現象は、X軸方向のコリオリ力Fxの
測定には影響を与えない)。このようなコリオリ力Fx
の作用により、ダイヤフラムの機能を果たす可撓基板4
10に撓みが生じ、圧電素子430の右半分には厚み方
向に縮む力が、左半分には厚み方向に伸びる力が、それ
ぞれ作用することになる。Y軸方向のコリオリ力Fyが
作用した場合も、軸の方向が90°ずれるだけで、これ
と同様の現象が起こることになる。また、Z軸方向のコ
リオリ力Fzが作用した場合は、第45図に示すよう
に、圧電素子430が全体的に厚み方向に縮む力を受け
ることになる。
【0117】圧電素子430に上述したような圧力が加
わると、第43図に示す性質により、各電極層に所定の
極性の電荷が発生する。そこで、この発生した電荷を検
出すれば、作用したコリオリ力を検出することができ
る。具体的には、各電極層に対して、第46図〜第48
図に示すような配線を施すことにより、作用したコリオ
リ力Fx,Fy,Fzを検出することができる。たとえ
ば、X軸方向のコリオリ力Fxは、第46図に示すよう
に、端子Tx1と端子Tx2との間に生じる電圧差Vx
として検出することができる。この理由は、第44図に
示すような撓みにより、各電極層に発生する電荷の極性
を考えれば容易に理解できる。すなわち、電極層E2,
F2に関しては、これらに挟まれた圧電素子430の一
部分が厚み方向に伸びる力を受けているので、第43図
(a) に示したように、上部電極層E2には正の電荷が、
下部電極層F2には負の電荷が、それぞれ発生する。一
方、電極層E1,F1に関しては、これらに挟まれた圧
電素子430の一部分が厚み方向に縮む力を受けている
ので、第43図(b) に示したように、上部電極層E1に
は負の電荷が、下部電極層F1には正の電荷が、それぞ
れ発生する。したがって、第46図に示すような配線を
施しておけば、正の電荷はすべて端子Tx1に集まり、
負の電荷はすべて端子Tx2に集まり、両端子間の電位
差Vxがコリオリ力Fxを示すものになる。全く同様
に、Y軸方向のコリオリ力Fyは、上部電極層E3,E
4および下部電極層F3,F4に対して、第47図に示
すような配線を施せば、端子Ty1と端子Ty2との間
の電位差Vyとして検出することができる。また、Z軸
方向のコリオリ力Fzは、第48図に示すように、端子
Tz1と端子Tz2との間に生じる電位差Vzとして検
出することができる。この理由は、第45図に示すよう
な撓みにより、各電極層に発生する電荷の極性を考えれ
ば容易に理解できる。すなわち、電極層E5,F5に関
しては、これらに挟まれた圧電素子430の一部分が厚
み方向に縮む力を受けているので、第43図(b) に示し
たように、上部電極層E5には負の電荷が、下部電極層
F5には正の電荷が、それぞれ発生する。そこで、第4
8図に示すように、正の電荷を端子Tz1に集め、負の
電荷を端子Tz2に集めるような配線を施しておけば、
両端子間の電位差VzがZ軸方向のコリオリ力Fzを示
すものになる。
【0118】<4.4> 角速度の検出 本発明に係る多軸角速度センサの目的は、§0において
説明したように、第1の軸まわりの角速度ωを検出する
ために、振動子に対して第2の軸方向の振動Uを与え、
そのときに第3の軸方向に発生するコリオリ力Fを検出
することにある。上述したように、この第4の実施例に
係るセンサでは、所定の電極層間に交流信号を印加する
ことにより、振動子430をX軸,Y軸,Z軸のいずれ
かの軸方向に沿って振動させることができ、そのときに
発生した各軸方向のコリオリ力Fx,Fy,Fzを、そ
れぞれ電位差Vx,Vy,Vzとして検出することがで
きる。したがって、第3図〜第5図に示す原理により、
X軸,Y軸,Z軸のいずれかの軸まわりの角速度ωを検
出することができる。
【0119】ただ、この実施例に係るセンサでは、振動
機構および検出機構の双方に圧電素子を利用した機構が
用いられている。別言すれば、同一の電極層が、振動を
発生させるための電荷を供給する役割(振動機構として
の役割)を果たすこともあれば、コリオリ力によって発
生した電荷を検出する役割(検出機構としての役割)を
果たすこともある。同一の電極層によって、同時にこれ
ら2つの役割を果たすことができるようにすることは比
較的困難である。しかしながら、このセンサでは、各電
極層について次のような役割分担が行われるため、同一
の電極層に同時に2つの役割が与えられることはない。
【0120】まず、第3図に示す原理に基づいて、X軸
まわりの角速度ωxを検出する動作について考えてみよ
う。この場合、振動子に対してZ軸方向の振動Uzを与
えたときに、Y軸方向に発生するコリオリ力Fyを検出
する必要がある。第42図に示すセンサにおいて、振動
子430に振動Uzを与えるには、電極層E5,F5間
に交流信号を供給すればよい。また、振動子430に作
用するコリオリ力Fyを検出するには、第47図の回路
図に示されているように、電極層E3,F3,E4,F
4に発生する電荷を検出すればよい。残りの電極層E
1,F1,E2,F2は、この検出動作では使用されな
い。
【0121】続いて、第4図に示す原理に基づいて、Y
軸まわりの角速度ωyを検出する動作について考えてみ
よう。この場合、振動子に対してX軸方向の振動Uxを
与えたときに、Z軸方向に発生するコリオリ力Fzを検
出する必要がある。第42図に示すセンサにおいて、振
動子430に振動Uxを与えるには、電極層E1,F1
間およびE2,F2間にそれぞれ位相が逆転した交流信
号を供給すればよい。また、振動子430に作用するコ
リオリ力Fzを検出するには、第48図の回路図に示さ
れているように、電極層E5,F5に発生する電荷を検
出すればよい。残りの電極層E3,F3,E4,F4
は、この検出動作では使用されない。
【0122】最後に、第5図に示す原理に基づいて、Z
軸まわりの角速度ωzを検出する動作について考えてみ
よう。この場合、振動子に対してY軸方向の振動Uyを
与えたときに、X軸方向に発生するコリオリ力Fxを検
出する必要がある。第42図に示すセンサにおいて、振
動子430に振動Uyを与えるには、電極層E3,F3
間およびE4,F4間にそれぞれ位相が逆転した交流信
号を供給すればよい。また、振動子430に作用するコ
リオリ力Fxを検出するには、第46図の回路図に示さ
れているように、電極層E1,F1,E2,F2に発生
する電荷を検出すればよい。残りの電極層E5,F5
は、この検出動作では使用されない。
【0123】以上のように、このセンサを用いて角速度
ωx,ωy,ωzのいずれか1つを検出する場合、各電
極層についての役割分担が都合よくなされ、支障なく検
出が行われることがわかる。もっとも、角速度ωx,ω
y,ωzのうちの複数を同時に検出することはできない
ので、3つの角速度を検出する場合には、後述するよう
に時分割処理を行い、1つずつ順に検出を行う必要があ
る。
【0124】<4.5> 変形例1 上述した第4の実施例に係るセンサによれば、XYZ三
次元座標系におけるコリオリ力Fx,Fy,Fzを、そ
れぞれ電位差Vx,Vy,Vzとして求めることができ
る。そして、これらの電位差に基づいて角速度の検出が
可能である。しかしながら、これらの電位差を検出する
ためには、各電極層に対して、第46図〜第48図の回
路図に示すような配線を行う必要がある。この配線は、
上部電極層と下部電極層とが入り乱れたものとなってお
り、このセンサを大量生産する場合、製品の全コストに
比べて配線のためのコストが無視できなくなる。この変
形例1は、圧電素子の分極特性を部分的に変えることに
より、配線を単純化し製造コストを低減するようにした
ものである。
【0125】一般に、任意の分極特性をもった圧電素子
を製造することは、現在の技術で可能である。たとえ
ば、上述した第4の実施例に係るセンサにおいて用いら
れている圧電素子430は、第43図に示すような分極
特性をもったものであった。これに対して、第49図に
示すような分極特性をもった圧電素子460を製造する
ことも可能である。すなわち、第49図(a) に示すよう
に、厚み方向に伸ばす方向の力が作用した場合には、上
部電極層E側に負の電荷が、下部電極層F側に正の電荷
が、それぞれ発生し、逆に、第49図(b) に示すよう
に、厚み方向に縮める方向の力が作用した場合には、上
部電極層E側に正の電荷が、下部電極層F側に負の電荷
が、それぞれ発生するような分極特性をもっている。こ
こでは、便宜上、第43図に示すような分極特性をタイ
プI、第49図に示すような分極特性をタイプIIと呼ぶ
ことにする。タイプIの分極特性をもった圧電素子43
0と、タイプIIの分極特性をもった圧電素子460と
は、上面および下面に発生する電荷の符号が逆転してい
ることになる。もっとも、圧電素子430の上下を逆に
すれば圧電素子460になるので、両者は単体としてみ
れば全く同じ圧電素子ということができ、両者を区別す
る意味はあまりない。しかしながら、1つの圧電素子の
一部分にタイプIの分極特性をもたせ、別な一部分にタ
イプIIの分極特性をもたせることも可能である。ここで
述べる変形例は、このような局在的な分極処理を施した
圧電素子を用いることにより、多軸角速度センサの構造
を単純化することに特徴がある。
【0126】いま、第50図に示すような圧電素子47
0を考える。この圧電素子470は、形状は上述した第
42図のセンサにおいて用いられている圧電素子430
と全く同じ円盤状をした素子である。しかしながら、そ
の分極特性は圧電素子430とは異なっている。圧電素
子430は、前述したように、すべての部分がタイプI
の分極特性をもつ素子であった。これに対し、圧電素子
470は、第50図に示すように、5つの領域A1〜A
5においてタイプIまたはタイプIIのいずれかの分極特
性をもつ。すなわち、領域A2,A4においてはタイプ
Iの分極特性を示し、領域A1,A3,A5においては
タイプIIの分極特性を示す。ここで、領域A1〜A5
は、それぞれ上部電極層E1〜E5あるいは下部電極層
F1〜F5が形成される領域に対応する。
【0127】さて、第42図のセンサにおいて、圧電素
子430の代わりに、第50図に示すような局在的分極
特性をもった圧電素子470を用いた場合、各電極層に
発生する電荷の極性がどのように変わるかを考えてみ
る。すると、タイプIIの分極特性をもった領域に形成さ
れている上部電極層E1,E3,E5、および下部電極
層F1,F3,F5に発生する電荷の極性が、圧電素子
430を用いたセンサに対して反転することが理解でき
よう。このため、各電極層に対して、第51図〜第53
図に示すような配線を施しておけば、コリオリ力Fx,
Fy,Fzを、それぞれ電位差Vx,Vy,Vzとして
求めることができるようになる。たとえば、X軸方向の
コリオリ力Fxに関しては、電極層E1,F1に発生す
る電荷の極性が前述の例に対して逆転するため、第46
図に示す配線は第51図に示す配線に置き換えられる。
同様に、Y軸方向のコリオリ力Fyに関しては、電極層
E3,F3に発生する電荷の極性が逆転するため、第4
7図に示す配線は第52図に示す配線に置き換えられ
る。更に、Z軸方向のコリオリ力Fzに関しては、電極
層E5,F5に発生する電荷の極性が逆転するため、第
48図に示す配線は第53図に示す配線に置き換えられ
る。
【0128】なお、局在的分極特性をもった圧電素子4
70を用いた場合、振動子430を振動させるために印
加する交流信号の極性も、必要に応じて変えねばならな
い。すなわち、第50図に示す分極特性分布をもった圧
電素子470を用いた場合、領域A1に形成された電極
層E1,F1と、領域A2に形成された電極層E2,F
2と、に対して位相が同じ交流信号を与えれば、振動子
430をX軸方向に振動させることができ、同様に、領
域A3に形成された電極層E3,F3と、領域A4に形
成された電極層E4,F4と、に対して位相が同じ交流
信号を与えれば、振動子430をY軸方向に振動させる
ことができることが理解できよう。
【0129】第46図〜第48図に示す配線に対して、
第51図〜第53図に示す配線は、実際のセンサを製造
する上で重大なメリットを有する。第51図〜第53図
に示す配線の特徴は、X軸,Y軸,Z軸のいずれの方向
のコリオリ力が作用した場合であっても、各軸の正方向
にコリオリ力が作用したのであれば、必ず上部電極層側
に正の電荷が、下部電極層側に負の電荷が、それぞれ発
生する点にある。この特徴を利用すれば、センサ全体の
配線を単純化することが可能になる。たとえば、第51
図〜第53図における端子Tx2,Ty2,Tz2を、
センサ筐体450に接続して基準電位(アース)にとっ
た場合を考える。この場合、5枚の下部電極層F1〜F
5は互いに導通状態になる。このようにしても、X軸方
向のコリオリ力Fxを示す電位差Vxは端子Tx1のア
ースに対する電圧として得られ、Y軸方向のコリオリ力
Fyを示す電位差Vyは端子Ty1のアースに対する電
圧として得られ、Z軸方向のコリオリ力Fzを示す電位
差Vzは端子Tz1のアースに対する電圧として得られ
るので、このセンサは何ら支障なく動作する。しかも5
枚の下部電極層F1〜F5についての配線は、互いに導
通させるだけでよいので、非常に単純な配線ですむ。
【0130】<4.6> 変形例2 上述した変形例1のように、局在的な分極特性をもった
圧電素子470を用いた場合、5枚の下部電極層F1〜
F5を導通させる配線が可能になる。このように、下部
電極層F1〜F5を導通させることができるのであれ
ば、あえてこれら5枚の電極層を、それぞれ独立した電
極層にしておく必要はない。すなわち、第54図の側断
面図に示されているように、共通の下部電極層F0を1
枚だけ設けるようにすればよい。共通の下部電極層F0
は、1枚の円盤状の電極層であり、5枚の上部電極層E
1〜E5のすべてに対向した電極となる。
【0131】<4.7> 変形例3 上述した変形例2の構造を更に単純化するには、可撓基
板410の代わりに、導電性の材料(たとえば、金属)
からなる可撓基板480を用いればよい。こうすれば、
第55図の側断面図に示されているように、特別な下部
電極層F0を用いずに、圧電素子470の下面を可撓基
板480の上面に直接接合した構造が実現できる。この
場合、可撓基板480自身が共通の下部電極層F0とし
て機能することになる。
【0132】また、上述の変形例2,3では、下部電極
層側を共通の単一電極層としているが、逆に上部電極層
側を共通の単一電極層とすることも可能である。
【0133】<4.8> その他の変形例 上述したセンサは、いずれも物理的に単一の圧電素子4
30あるいは470を用いているが、これらを物理的に
複数の圧電素子で構成してもかまわない。たとえば、第
50図において、領域A1〜A5のそれぞれを別個独立
した圧電素子で構成し、合計で5個の圧電素子を用いる
ようにしてもかまわない。このように、物理的にいくつ
の圧電素子を用いるかは、設計上適宜変更できる事項で
ある。
【0134】また、上述したセンサでは、可撓基板41
0,480の外周部分はセンサ筐体450によって支持
されているが、可撓基板は必ずしもセンサ筐体に固着す
る必要はない。たとえば、第56図に示すように、可撓
基板480の代わりに直径が少し小さな可撓基板490
を用い、可撓基板490の周囲を自由端としておくこと
も可能である。
【0135】<<< Section 5 第5の実施例 >>
> <5.1> 第5の実施例に係るセンサの構造 ここでは、本発明の第5の実施例に係る多軸角速度セン
サについて説明する。この第5の実施例も、前述した第
4の実施例と同様に、振動機構および検出機構の双方に
圧電素子を利用した機構を用いたセンサである。
【0136】第57図は、この第5の実施例に係る多軸
角速度センサの上面図である。可撓基板510はいわゆ
るダイヤフラムとして機能する可撓性をもった円盤状の
基板であり、この可撓基板510の上には、いわゆるド
ーナツ盤状をした圧電素子520が配置されている。こ
の圧電素子520の上面には、それぞれ図示したような
形状をした16枚の上部電極層L1〜L16が、それぞ
れ図示した位置に形成されている。また、この圧電素子
520の下面には、上部電極層L1〜L16のそれぞれ
と全く同じ形状をした16枚の下部電極層M1〜M16
(第57図には示されていない)が、上部電極層L1〜
L16のそれぞれと対向する位置に形成されている。第
58図は、このセンサの側断面図である(図が繁雑にな
るのを避けるため、各電極層については、断面切り口部
分のみを描いてある。以下の側断面図も同様)。この図
に明瞭に示されているように、ドーナツ盤状の圧電素子
520は、16枚の上部電極層L1〜L16(第58図
には、L1〜L4のみ示されている)と、16枚の下部
電極層M1〜M16(第58図には、M1〜M4のみ示
されている)と、によって挟まれ、いわゆるサンドイッ
チの状態になっている。そして、下部電極層M1〜M1
6の下面が可撓基板510の上面に固着されている。一
方、可撓基板510の下面には、振動子550が固着さ
れており、可撓基板510の周囲部分はセンサ筐体56
0によって固着支持されている。この実施例では、可撓
基板510は絶縁性の材料によって構成されている。可
撓基板510を金属などの導電性の材料によって構成し
た場合には、その上面に絶縁膜を形成することにより、
16枚の下部電極層M1〜M16が短絡するのを防ぐよ
うにする。
【0137】ここでは、説明の便宜上、可撓基板510
の中心位置Oを原点としたXYZ三次元座標系を考える
ことにする。すなわち、第57図の右方向にX軸、下方
向にY軸、そして紙面に垂直な方向にZ軸を定義する。
第58図は、このセンサをXZ平面で切った断面図とい
うことになり、可撓基板10、圧電素子20、各電極層
L1〜L16,M1〜M16は、いずれもXY平面に平
行に配置されていることになる(この第5の実施例で
は、説明の便宜上、側断面図における下方向をZ軸の正
方向にとってある)。また、第57図に示すように、X
Y平面上において、X軸あるいはY軸と45°の角をな
す方向にW1軸およびW2軸を定義する。W1軸および
W2軸はいずれも原点Oを通る。このような座標系を定
義すると、上部電極層L1〜L4および下部電極層M1
〜M4は、X軸の負方向から正方向に向かって順に配置
されており、上部電極層L5〜L8および下部電極層M
5〜M8は、Y軸の負方向から正方向に向かって順に配
置されており、上部電極層L9〜L12および下部電極
層M9〜M12は、W1軸の負方向から正方向に向かっ
て順に配置されており、上部電極層L13〜L16およ
び下部電極層M13〜M16は、W2軸の負方向から正
方向に向かって順に配置されていることになる。
【0138】さて、圧電素子の上面および下面にそれぞ
れ電極層を形成し、この一対の電極層間に所定の電圧を
印加すると、この圧電素子内部に所定の圧力が発生し、
逆に、この圧電素子に所定の力を加えると、一対の電極
層間に所定の電圧が発生する性質があることは、既に述
べたとおりである。そこで、上述した16枚の上部電極
層L1〜L16と、16枚の下部電極層M1〜M16
と、これらによって挟まれた圧電素子520の16個の
部分と、によって、それぞれ16組の局在素子D1〜D
16が形成されたものと考えることにする。たとえば、
上部電極層L1と下部電極層M1と、これらに挟まれた
圧電素子520の一部分と、によって局在素子D1が形
成されることになる。結局、16組の局在素子D1〜D
16は、第59図の上面図に示されるように配置されて
いることになる。
【0139】ここで、このセンサにおける圧電素子52
0としては、第60図に示すような分極特性をもった圧
電セラミックスが用いられている。すなわち、第60図
(a)に示すように、XY平面に沿って伸びる方向の力が
作用した場合には、上部電極層L側に正の電荷が、下部
電極層M側に負の電荷が、それぞれ発生し、逆に、第6
0図(b) に示すように、XY平面に沿って縮む方向の力
が作用した場合には、上部電極層L側に負の電荷が、下
部電極層M側に正の電荷が、それぞれ発生するような分
極特性をもっている。ここでは、このような分極特性を
タイプIIIと呼ぶことにする。このセンサにおける16
組の局在素子D1〜D16は、いずれもタイプIIIの分
極特性をもった圧電素子を有することになる。
【0140】<5.2> 振動子の振動機構 続いて、このセンサの所定の電極層に所定の極性をもっ
た電荷を供給した場合にどのような現象が起こるかを検
討する。いま、X軸上に配置された4つの局在素子D1
〜D4を構成する各電極層に、第61図に示すような極
性の電荷を供給した場合を考える。すなわち、電極層L
1,M2,L3,M4には正の電荷を、電極層M1,L
2,M3,L4には負の電荷を、それぞれ供給する。す
ると、局在素子D1およびD3については、第60図
(a) に示す性質によりXY平面に沿って伸びることにな
る。逆に、局在素子D2およびD4については、第60
図(b) に示す性質によりXY平面に沿って縮むことにな
る。その結果、可撓基板510は、第61図に示すよう
に変形し、振動子550はX軸正方向に変位することに
なる。ここで、各電極層に供給していた電荷の極性を逆
転させると、圧電素子の伸縮状態も逆転することにな
り、振動子550はX軸負方向に変位する。この2つの
変位状態が交互に起こるように、供給電荷の極性を交互
に反転させてやれば、振動子550をX軸方向に往復運
動させてやることができる。別言すれば、振動子550
に対して、X軸方向に関する振動Uxを与えることがで
きる。
【0141】このような電荷供給は、対向する電極層間
に交流信号を印加することにより実現できる。すなわ
ち、電極層L1,M1間および電極層L3,M3間に第
1の交流信号を印加し、電極層L2,M2間および電極
層L4,M4間に第2の交流信号を印加する。そして、
第1の交流信号および第2の交流信号として、互いに周
波数は同じで位相が反転した信号を用いるようにすれ
ば、振動子550をX軸方向に振動させることができ
る。
【0142】振動子550に対して、Y軸方向に関する
振動Uyを与える方法も全く同様である。すなわち、電
極層L5,M5間および電極層L7,M7間に第1の交
流信号を印加し、電極層L6,M6間および電極層L
8,M8間に第2の交流信号を印加する。そして、第1
の交流信号および第2の交流信号として、互いに周波数
は同じで位相が反転した信号を用いるようにすれば、振
動子550をY軸方向に振動させることができる。
【0143】次に、振動子550に対して、Z軸方向に
関する振動Uzを与える方法について考えてみる。い
ま、W1軸上に配置された4つの局在素子D9〜D12
を構成する各電極層に、第62図に示すような極性の電
荷を供給した場合を考える。すなわち、電極層L9,M
10,M11,L12には正の電荷を、電極層M9,L
10,L11,M12には負の電荷を、それぞれ供給す
る。すると、局在素子D9およびD12については、第
60図(a) に示す性質によりXY平面に沿って伸びるこ
とになる。逆に、局在素子D10およびD11について
は、第60図(b)に示す性質によりXY平面に沿って縮
むことになる。その結果、可撓基板510は、第62図
に示すように変形し、振動子550はZ軸正方向に変位
することになる。ここで、各電極層に供給していた電荷
の極性を逆転させると、圧電素子の伸縮状態も逆転する
ことになり、振動子550はZ軸負方向に変位する。こ
の2つの変位状態が交互に起こるように、供給電荷の極
性を交互に反転させてやれば、振動子550をZ軸方向
に往復運動させてやることができる。別言すれば、振動
子550に対して、Z軸方向に関する振動Uzを与える
ことができる。
【0144】このような電荷供給も、対向する電極層間
に交流信号を印加することにより実現できる。すなわ
ち、電極層L9,M9間および電極層L12,M12間
に第1の交流信号を印加し、電極層L10,M10間お
よび電極層L11,M11間に第2の交流信号を印加す
る。そして、第1の交流信号および第2の交流信号とし
て、互いに周波数は同じで位相が反転した信号を用いる
ようにすれば、振動子550をZ軸方向に振動させるこ
とができる。
【0145】第59図に示されているように、このセン
サには、更に、W2軸に沿った4つの局在素子D13〜
D16が設けられている。この4つの局在素子は、必ず
しも必要なものではないが、この実施例では、Z軸方向
の振動動作をより安定させ、後述するZ軸方向のコリオ
リ力Fzの検出精度をより高める目的で設けてある。こ
の4つの局在素子D13〜D16は、上述した4つの局
在素子D9〜D12と全く同じ機能を果たす。すなわ
ち、局在素子D9〜D12に供給するのと同じ交流信号
を、局在素子D13〜D16に供給すれば、Z軸方向の
振動動作を8個の局在素子D9〜D16によって行うこ
とができるようになるので、より安定した振動動作が可
能になる。
【0146】以上のように、特定の局在素子に対して、
所定の交流信号を供給すれば、振動子550をX軸,Y
軸,Z軸に沿って振動させることができる。
【0147】<5.3> コリオリ力の検出機構 続いて、この第5の実施例に係るセンサにおいて各軸方
向に作用したコリオリ力の検出方法について説明する。
なお、紙面を節約する上で、前述した振動子の振動方法
の説明に用いた第61図および第62図を、このコリオ
リ力の検出方法の説明においても用いることにする。
【0148】まず、第61図に示すように、振動子55
0の重心Gに対してX軸方向のコリオリ力Fxが作用し
た場合を考える(第5図に示す原理によれば、このよう
なコリオリ力Fxの測定は、Y軸方向への振動Uyを与
えた状態で行われるため、振動子550は第61図にお
ける紙面に垂直な方向に振動していることになるが、こ
のようなY軸方向への振動現象は、X軸方向のコリオリ
力Fxの測定には影響を与えない)。このようなコリオ
リ力Fxの作用により、ダイヤフラムの機能を果たす可
撓基板510に撓みが生じ、第61図に示すような変形
が起こる。この結果、X軸に沿って配置された局在素子
D1,D3はX軸方向に伸び、同じくX軸に沿って配置
された局在素子D2,D4はX軸方向に縮むことにな
る。これら各電極層に挟まれた圧電素子は、第60図に
示すような分極特性を有するので、これら各電極層に
は、第61図に小円で囲った記号「+」または「−」で
示すような極性の電荷が発生する。また、Y軸方向のコ
リオリ力Fyが作用した場合は、Y軸に沿って配置され
た局在素子D5〜D8を構成する各電極層について、同
様に所定の極性をもった電荷が発生する。
【0149】次に、Z軸方向のコリオリ力Fzが作用し
た場合を考える。この場合は、ダイヤフラムの機能を果
たす可撓基板510が第62図に示すように変形し、W
1軸に沿って配置された局在素子D9,D12はW1軸
方向に伸び、同じくW1軸に沿って配置された局在素子
D10,D11はW1軸方向に縮むことになる。このた
め、局在素子D9〜D12を構成する各電極層には、第
62図に小円で囲った記号「+」または「−」で示すよ
うな極性の電荷が発生する。W2軸に沿って配置された
局在素子D13〜D16を構成する各電極層にも、同様
に所定の極性をもった電荷が発生する。
【0150】このような現象を利用すれば、各電極層に
対して、第63図〜第65図に示すような配線を施すこ
とにより、コリオリ力Fx,Fy,Fzの検出を行うこ
とができる。たとえば、X軸方向のコリオリ力Fyは、
第63図に示すように、端子Tx1と端子Tx2との間
に生じる電圧差Vxとして検出することができる。この
理由は、第61図に示すような撓みにより、各電極層に
発生する電荷の極性を考えれば容易に理解できる。第6
3図のような配線を施しておけば、正の電荷はすべて端
子Tx1に集まり、負の電荷はすべて端子Tx2に集ま
り、両端子間の電位差VxがX軸方向のコリオリ力Fx
を示すものになる。全く同様に、Y軸方向のコリオリ力
Fyは、局在素子D5〜D8を構成する各電極層に対し
て、第64図に示すような配線を施せば、端子Ty1と
端子Ty2との間の電位差Vyとして検出することがで
きる。また、Z軸方向のコリオリ力Fzは、局在素子D
9〜D16を構成する各電極層に対して、第65図に示
すような配線を施せば、端子Tz1と端子Tz2との間
に生じる電圧差Vzとして検出することができる。もっ
とも、局在素子D13〜D16は必ず必要なものではな
く、局在素子D9〜D12の4つだけを用いても、Z軸
方向のコリオリ力Fzの検出は可能である。
【0151】<5.4> 角速度の検出 以上述べたように、この第5の実施例に係る多軸角速度
センサでは、所定の局在素子に交流信号を印加すること
により、振動子550をX軸,Y軸,Z軸のいずれかの
軸方向に沿って振動させることができ、そのときに発生
した各軸方向のコリオリ力Fx,Fy,Fzを、それぞ
れ電位差Vx,Vy,Vzとして検出することができ
る。したがって、第3図〜第5図に示す原理により、X
軸,Y軸,Z軸のいずれかの軸まわりの角速度ωを検出
することができる。
【0152】ただ、この第5の実施例に係るセンサは、
前述した第4の実施例に係るセンサと同様に、振動機構
および検出機構の双方に圧電素子(局在素子)を利用し
た機構が用いられている。そこで、各角速度の検出動作
における各局在素子の役割分担を検討しておく。
【0153】まず、第3図に示す原理に基づいて、X軸
まわりの角速度ωxを検出する動作について考えてみよ
う。この場合、振動子に対してZ軸方向の振動Uzを与
えたときに、Y軸方向に発生するコリオリ力Fyを検出
する必要がある。振動子550に振動Uzを与えるに
は、W1軸およびW2軸上に配された局在素子D9〜D
16に交流信号を供給すればよい。また、振動子550
に作用するコリオリ力Fyを検出するには、Y軸上に配
された局在素子D5〜D8に発生する電圧を検出すれば
よい。残りの局在素子D1〜D4は、この検出動作では
使用されない。
【0154】続いて、第4図に示す原理に基づいて、Y
軸まわりの角速度ωyを検出する動作について考えてみ
よう。この場合、振動子に対してX軸方向の振動Uxを
与えたときに、Z軸方向に発生するコリオリ力Fzを検
出する必要がある。振動子550に振動Uxを与えるに
は、X軸上に配された局在素子D1〜D4に交流信号を
供給すればよい。また、振動子550に作用するコリオ
リ力Fzを検出するには、W1軸およびW2軸上に配さ
れた局在素子D9〜D16に発生する電圧を検出すれば
よい。残りの局在素子D5〜D8は、この検出動作では
使用されない。
【0155】最後に、第5図に示す原理に基づいて、Z
軸まわりの角速度ωzを検出する動作について考えてみ
よう。この場合、振動子に対してY軸方向の振動Uyを
与えたときに、X軸方向に発生するコリオリ力Fxを検
出する必要がある。振動子550に振動Uyを与えるに
は、Y軸上に配された局在素子D5〜D8に交流信号を
供給すればよい。また、振動子550に作用するコリオ
リ力Fxを検出するには、X軸上に配された局在素子D
1〜D4に発生する電圧を検出すればよい。残りの局在
素子D9〜D16は、この検出動作では使用されない。
【0156】以上のように、このセンサを用いて角速度
ωx,ωy,ωzのいずれか1つを検出する場合、各局
在素子についての役割分担が都合よくなされ、支障なく
検出が行われることがわかる。もっとも、角速度ωx,
ωy,ωzのうちの複数を同時に検出することはできな
いので、3つの角速度を検出する場合には、後述するよ
うに時分割処理を行い、1つずつ順に検出を行う必要が
ある。
【0157】<5.5> 変形例1 上述した第5の実施例に係るセンサによれば、XYZ三
次元座標系におけるコリオリ力Fx,Fy,Fzを、そ
れぞれ電位差Vx,Vy,Vzとして求めることができ
る。そして、これらの電位差に基づいて角速度の検出が
可能である。しかしながら、これらの電位差を検出する
ためには、各電極層に対して、第63図〜第65図の回
路図に示すような配線を行う必要がある。この配線は、
上部電極層と下部電極層とが入り乱れたものとなってお
り、このセンサを大量生産する場合、製品の全コストに
比べて配線のためのコストが無視できなくなる。この変
形例1は、圧電素子の分極特性を部分的に変えることに
より、配線を単純化し製造コストを低減するようにした
ものである。
【0158】既に述べたように、任意の分極特性をもっ
た圧電素子を製造することは、現在の技術で可能であ
る。たとえば、上述した第5の実施例に係るセンサにお
いて用いられている圧電素子520は、第60図に示す
ようなタイプIIIの分極特性をもったものであった。こ
れに対して、第66図に示すようなタイプIVの分極特性
をもった圧電素子530を製造することも可能である。
すなわち、第66図(a)に示すように、XY平面に沿っ
て伸びる方向の力が作用した場合には、上部電極層L側
に負の電荷が、下部電極層M側に正の電荷が、それぞれ
発生し、逆に、第66図(b) に示すように、XY平面に
沿って縮む方向の力が作用した場合には、上部電極層L
側に正の電荷が、下部電極層M側に負の電荷が、それぞ
れ発生するような分極特性をもった圧電素子530を製
造することが可能である。また、1つの圧電素子の一部
分にタイプIIIの分極特性をもたせ、別な一部分にタイ
プIVの分極特性をもたせることも可能である。ここに述
べる変形例は、このような局在的な分極処理を施した圧
電素子を用いることにより、センサの構造を単純化する
ものである。
【0159】いま、第67図に示すような圧電素子54
0を考える。この圧電素子540は、形状は上述した第
57図のセンサにおいて用いられている圧電素子520
と全く同じドーナツ盤状をした素子である。しかしなが
ら、その分極特性は圧電素子520とは異なっている。
圧電素子520は、前述したように、すべての部分がタ
イプIIIの分極特性をもつ素子であった。これに対し、
圧電素子540は、第67図に示すように、16個の各
領域においてタイプIIIまたはタイプIVのいずれかの分
極特性をもつ。すなわち、局在素子D1,D3,D5,
D7,D9,D12,D13,D16の領域においては
タイプIIIの分極特性を示し、局在素子D2,D4,D
6,D8,D10,D11,D14,D15の領域にお
いてはタイプIVの分極特性を示す(第59図と第67図
とを参照)。
【0160】さて、前述した第57図のセンサにおい
て、圧電素子520の代わりに、第67図に示すような
分極特性をもった圧電素子540を用いた場合、各電極
層に発生する電荷の極性がどのように変わるかを考えて
みると、タイプIVの分極特性をもった領域に形成されて
いる上部電極層L2,L4,L6,L8,L10,L1
1,L14,L15,および下部電極層M2,M4,M
6,M8,M10,M11,M14,M15に発生する
電荷の極性が反転することがわかる。たとえば、X軸方
向のコリオリ力Fxが作用した場合、前述した第57図
のセンサでは第61図に示すような極性の電荷が発生す
るのに対し、この変形例のセンサでは第68図に示すよ
うな極性の電荷が発生する。また、Z軸方向のコリオリ
力Fzが作用した場合、前述した第57図のセンサでは
第62図に示すような極性の電荷が発生するのに対し、
この変形例のセンサでは第69図に示すような極性の電
荷が発生する。このため、各電極層に対して、第70図
〜第72図に示すような配線を施しておけば、コリオリ
力Fx,Fy,Fzを、それぞれ電位差Vx,Vy,V
zとして求めることができるようになる。
【0161】たとえば、X軸方向のコリオリ力Fxの検
出動作に関しては、電極層L2,M2およびL4,M4
に発生する電荷の極性が逆転するため、第63図に示す
配線は第70図に示す配線に置き換えられる。同様に、
Y軸方向のコリオリ力Fyの検出動作に関しては、電極
層L6,M6およびL8,M8に発生する電荷の極性が
逆転するため、第64図に示す配線は第71図に示す配
線に置き換えられる。更に、Z軸方向のコリオリ力Fz
の検出動作に関しては、電極層L10,M10、L1
1,M11、L14,M14、およびL15,M15に
発生する電荷の極性が逆転するため、第65図に示す配
線は第72図に示す配線に置き換えられる。
【0162】なお、局在的分極特性をもった圧電素子5
40を用いた場合、振動子550を振動させるために印
加する交流信号も単純化される。すなわち、X軸方向に
振動させる場合には、第68図に示すように、局在素子
D1〜D4のすべてに同相の交流信号を供給すればよ
く、同様に、Y軸方向に振動させる場合には、局在素子
D5〜D8のすべてに同相の交流信号を供給すればよ
い。また、Z軸方向に振動させる場合には、第69図に
示すように、局在素子D9〜D16のすべてに同相の交
流信号を供給すればよい。
【0163】第63図〜第65図に示す配線に対して、
第70図〜第72図に示す配線は、実際のセンサを製造
する上で重大なメリットを有する。第70図〜第72図
に示す配線の特徴は、X軸,Y軸,Z軸のいずれの方向
にコリオリ力が作用した場合であっても、各軸の正方向
にコリオリ力が作用したのであれば、必ず上部電極層側
に正の電荷が、下部電極層側に負の電荷が、それぞれ発
生する点にある。この特徴を利用すれば、センサ全体の
配線を単純化することが可能になる。たとえば、第70
図〜第72図における端子Tx2,Ty2,Tz2を、
センサ筐体560に接続して基準電位(アース)にとっ
た場合を考える。この場合、16枚の下部電極層M1〜
M16は互いに導通状態になる。このようにしても、X
軸方向のコリオリ力Fxを示す電位差Vxは端子Tx1
のアースに対する電圧として得られ、Y軸方向のコリオ
リ力Fyを示す電位差Vyは端子Ty1のアースに対す
る電圧として得られ、Z軸方向のコリオリ力Fzを示す
電位差Vzは端子Tz1のアースに対する電圧として得
られるので、このセンサは何ら支障なく動作する。しか
も16枚の下部電極層M1〜M16についての配線は、
互いに導通させるだけでよいので、非常に単純な配線で
すむ。
【0164】<5.6> 変形例2 上述した変形例1のように、局在的な分極特性をもった
圧電素子540を用いた場合、16枚の下部電極層M1
〜M16を導通させる配線が可能になる。このように、
下部電極層M1〜M16を導通させることができるので
あれば、あえてこれら16枚の電極層を、それぞれ独立
した電極層にしておく必要はない。すなわち、第73図
の側断面図に示されているように、共通の下部電極層M
0を1枚だけ設けるようにすればよい。共通の下部電極
層M0は、1枚のドーナツ盤状の電極層であり、16枚
の上部電極層L1〜L16のすべてに対向した電極とな
る。
【0165】<5.7> 変形例3 上述した変形例2の構造を更に単純化するには、可撓基
板510の代わりに、導電性の材料(たとえば、金属)
からなる可撓基板570を用いればよい。こうすれば、
第74図の側断面図に示されているように、特別な下部
電極層M0を用いずに、圧電素子540の下面を可撓基
板570の上面に直接接合した構造が実現できる。この
場合、可撓基板570自身が共通の下部電極層M0とし
て機能することになる。
【0166】また、上述の変形例2,3では、下部電極
層側を共通の単一電極層としているが、逆に上部電極層
側を共通の単一電極層とすることも可能である。
【0167】<5.8> その他の変形例 上述したセンサは、いずれも物理的に単一の圧電素子5
20あるいは540を用いているが、これらを物理的に
複数の圧電素子で構成してもかまわない。たとえば、第
59図において、局在素子D1〜D16のそれぞれを別
個独立した圧電素子を用いて構成し、合計で16個の圧
電素子を用いるようにしてもかまわない。また、たとえ
ば、局在素子D1,D2について単一の圧電素子を用
い、局在素子D3,D4について別な圧電素子を用い
る、というように、2つの局在素子について1つの局在
素子を用い、合計8個の圧電素子を用いるようにするこ
ともできる。このように、物理的にいくつの圧電素子を
用いるかは、設計上適宜変更できる事項である。
【0168】<<< Section 6 第6の実施例 >>
> <6.1> 第6の実施例に係るセンサの原理 ここで述べる第6の実施例に係る多軸角速度センサは、
振動機構として電磁力を利用した機構を用い、検出機構
として差動トランスを利用した機構を用いたセンサであ
る。はじめに、第75図に基づいて、その原理を簡単に
説明する。いま、磁性材料からなる振動子610の重心
位置に原点Oをとり、XYZ三次元座標系を定義する。
そして、この振動子610を挟むように、X軸上に一対
のコイルJ1,J2を設け、Y軸上に一対のコイルJ
3,J4を設け、Z軸上に一対のコイルJ5,J6を設
ける。
【0169】このように6個のコイルを配置しておけ
ば、磁性材料からなる振動子610を、X軸,Y軸,Z
軸の任意の軸方向に振動させることが可能である。たと
えば、X軸方向の振動Uxを与えるためには、X軸上に
配されたコイルJ1,J2に交互に通電すればよい。コ
イルJ1に通電されたときは、振動子610はコイルJ
1の発生する磁力によりX軸正方向に移動し、コイルJ
2に通電されたときは、振動子610はコイルJ2の発
生する磁力によりX軸負方向に移動する。したがって、
交互に通電を行えば、振動子610はX軸方向に往復運
動をすることになる。同様に、Y軸方向の振動Uyを与
えるためには、Y軸上に配されたコイルJ3,J4に交
互に通電すればよく、Z軸方向の振動Uzを与えるため
には、Z軸上に配されたコイルJ5,J6に交互に通電
すればよい。
【0170】一方、このように配置された6個のコイル
により、磁性材料からなる振動子610の変位を検出す
ることも可能である。たとえば、振動子610がX軸の
正方向に変位した場合、振動子610とコイルJ1との
距離は近付き、振動子610とコイルJ2との距離は離
れる。一般に、コイルに対する磁性材料の距離に変化が
生じると、そのコイルのインダクタンスに変化が生じ
る。したがって、コイルJ1のインダクタンス変化と、
コイルJ2のインダクタンス変化とを検出すれば、振動
子610のX軸方向の変位を認識することができる。同
様に、コイルJ3のインダクタンス変化と、コイルJ4
のインダクタンス変化とにより、振動子610のY軸方
向の変位を認識することができ、コイルJ5のインダク
タンス変化と、コイルJ6のインダクタンス変化とによ
り、振動子610のZ軸方向の変位を認識することがで
きる。そこで、コリオリ力によって振動子610に変位
が生じるような構造にしておけば、各コイルのインダク
タンス変化により、各軸方向のコリオリ力を検出するこ
とができる。
【0171】このように、コイルJ1〜J6は振動子6
10を振動させる役割と振動子610の変位を検出する
役割とを兼ねることになるが、振動用コイルと検出用コ
イルとを別々に設けるようにしてもよい。
【0172】<6.2> 具体的なセンサの構造と動作 第76は、上述した原理に基づく多軸角速度センサの具
体的な構造を示す側断面図である。鉄などの磁性材料か
らなる円柱状の振動子610は、センサ筐体620内に
収容されている。センサ筐体620の上面には、仕切り
板630が接合されており、この仕切り板630の上面
には、皿状のダイヤフラム640が伏せた状態で取り付
けられている。このダイヤフラムの中心には、連結棒6
50の上端が固着されている。仕切り板630の中央に
は貫通孔が形成されており、連結棒650はこの貫通孔
を挿通している。連結棒650の下端には、振動子61
0が取り付けられており、振動子610はセンサ筐体6
20内において、連結棒650によって宙吊りの状態に
なっている。また、仕切り板630の上方には、ダイヤ
フラム640を覆うように保護カバー660が取り付け
られている。
【0173】ここで、振動子610の重心位置に原点O
をとり、第76図の右方にY軸を、上方にZ軸を、紙面
に垂直な方向にX軸をとる。そして、センサ筐体620
の内側に、6個のコイルJ1〜J6を図のように配置す
る(コイルJ1,J2は第76図には示されていない
が、振動子610の手前側にコイルJ1が、向こう側に
コイルJ2が、それぞれ配置される)。この配置は、第
75図に示す配置と同じである。
【0174】上述したように、所定のコイルに通電を行
うことにより、振動子610を所定の軸方向に振動させ
ることができ、また、所定のコイルのインダクタンス変
化を検出することにより、所定の軸方向に作用したコリ
オリ力を検出することができる。したがって、第3図〜
第5図に示す基本原理に基づき、所定の軸まわりの角速
度を検出することが可能になる。
【0175】<<< Section 7 検出動作 >>> <7.1> 加速度の検出 以上述べてきた種々の実施例は、いずれも多軸角速度セ
ンサであるが、実はこれらのセンサは、多軸加速度セン
サとしての機能も兼ね備えている。これを第1の実施例
のセンサについて示そう。第15図は、この第1の実施
例のセンサにおいて、X軸まわりの角速度ωxを検出す
る動作を説明する図である。角速度ωxを検出するに
は、振動子130に対してZ軸方向の振動Uzを与えた
状態で、Y軸方向に作用するコリオリ力Fyを測定すれ
ばよい。ところで、このようなY軸方向のコリオリ力F
yが発生するのは、角速度ωxが作用した状態におい
て、振動子130をZ軸方向に意図的に振動させたため
である。もし、振動子130を振動させなかったら、コ
リオリ力Fyは発生しない。しかしながら、振動子13
0を振動させていないにもかかわらず、振動子130を
Y軸方向に動かそうとする力Fyが発生する場合があ
る。これは、振動子130にY軸方向の加速度が作用し
た場合である。力学の基本法則によれば、質量をもった
物体に加速度が作用すると、この加速度と同じ方向に、
物体の質量に比例した力が作用する。したがって、振動
子130に対して、Y軸方向の加速度が作用した場合に
は、この振動子130の質量に比例した大きさをもった
Y軸方向の力Fyが作用することになる。このように加
速度に起因した力Fyも、コリオリ力Fyも、力として
は全く同じであり、コリオリ力の検出方法と全く同様の
方法により加速度に起因した力を検出することができ
る。
【0176】結局、上述した各実施例のセンサにおい
て、振動子を所定の軸方向に意図的に振動させた状態で
所定の軸方向に検出される力は、コリオリ力であり、こ
のコリオリ力の大きさは所定の軸まわりの角速度に対応
した値となる。ところが、振動子を振動させない状態で
所定の軸方向に検出される力は、その軸方向に作用して
いる加速度に基づく力であり、この力の大きさはその軸
方向の加速度に対応した値となる。このように、上述し
た各実施例のセンサは、振動子を振動させた状態で測定
を行えば角速度センサとして機能するが、振動子を振動
させない状態で測定を行えば加速度センサとして機能す
ることになる。
【0177】<7.2> 時分割検出動作 上述したように、本発明に係るセンサは、多軸角速度セ
ンサとしての機能と多軸加速度センサとしての機能を兼
ね備えている。そこで、実際には、第77図の流れ図に
示すような時分割検出動作を行うことにより、X軸方向
の加速度αx,Y軸方向の加速度αy,Z軸方向の加速
度αz,X軸まわりの角速度ωx,Y軸まわりの角速度
ωy,Z軸まわりの角速度ωz、という6つの成分の検
出を行うことができる。
【0178】まず、ステップS1において、各軸方向の
加速度αx,αy,αzの検出を同時に行う。すなわ
ち、振動子を振動させないで、コリオリ力の検出と同等
の検出処理を行えばよい。このときに検出された力は、
実はコリオリ力ではなく、加速度に基づいて発生した力
である。加速度については、3軸成分を同時に検出する
ことが可能である。なぜなら、振動子に振動を与える作
業を行う必要がないので、各電極層は、振動機構として
の役割を果たす必要はなく、検出機構としての役割だけ
を果たせばよいからである。たとえば、第42図に示す
第4の実施例に係るセンサの場合、コリオリ力の検出の
ために、第46図〜第48図に示すような回路が形成さ
れている。加速度の検出を行う場合には、振動を与える
ための交流信号の供給は必要ないため、これらの回路に
示された電極層E1〜E5およびF1〜F5のいずれに
対しても、交流信号を与える必要はない。したがって、
これらの回路によって検出された電位差Vx,Vy,V
zが、そのまま加速度αx,αy,αzを示すことにな
る。
【0179】続いて、ステップS2において角速度ωx
の検出を行い、次のステップS3において角速度ωyの
検出を行い、続くステップS4において角速度ωzの検
出を行う。角速度については、既に述べたように、3軸
まわりの各角速度を同時に検出することはできない。し
たがって、このような時分割により各角速度の検出を順
に行うことになる。
【0180】最後に、ステップS5から再びステップS
1へと戻り、検出動作を継続して実行する限り、同様の
動作が繰り返し実行されることになる。
【0181】<7.3> 検出回路 続いて、前述のような時分割検出動作を行うための検出
回路の基本構成を第78図に示す。ここで、ブロック7
00は、これまで述べてきた多軸角速度センサの種々の
実施例に対応するものであり、機能の観点から、振動部
710と検出部720との2つの部分に分けて示してあ
る。振動部710は、内蔵した振動子を所定の軸方向に
振動させる機能をもった部分であり、図にX,Y,Zと
示した各端子に駆動信号を供給すると、振動子はそれぞ
れX軸,Y軸,Z軸方向に振動する。また、検出部72
0は、内蔵した振動子の変位を示す検出信号を出力する
機能をもった部分であり、図にX,Y,Zと示した各端
子から、それぞれX軸,Y軸,Z軸方向についての変位
の検出信号が出力される。実際のセンサにおいては、1
つの電極層が振動部710側の機能と、検出部720側
の機能とを兼ねる場合もあり、センサを構成する各部
を、振動部710か検出部720かのいずれかにはっき
りと分類することは困難であるが、ここでは便宜上、こ
のセンサを機能的にとらえることによりブロック700
のような単純なモデルで表現することにする。
【0182】振動発生回路711は、振動部710の各
端子X,Y,Zに供給する駆動信号を発生する回路であ
り、具体的には、たとえば交流信号を発生する装置であ
る。マルチプレクサ712は、スイッチSW1,SW
2,SW3を有し、振動発生回路711で発生した駆動
信号を、振動部710のいずれの端子X,Y,Zへ供給
するかを制御する。一方、検出部720の各端子X,
Y,Zから出力された検出信号は、マルチプレクサ72
2を経て、変位検出回路721へ与えられる。マルチプ
レクサ722は、スイッチSW4,SW5,SW6を有
し、変位検出回路721へ与える検出信号の選択を行
う。変位検出回路721は、与えられた検出信号に基づ
いて、具体的な変位量を検出し、これを検出値出力回路
730へ与える。コントローラ740は、マルチプレク
サ712,722の動作を制御するとともに、検出値出
力回路730に対して制御信号を与える。
【0183】以上が、この検出回路の構成である。な
お、この第78図は、実際の電流経路を示す具体的な回
路図ではなく、検出回路の構成の概略を示した図であ
る。したがって、図に示された1本の線は、ひとまとま
りの制御信号あるいは検出信号の経路を示しているもの
であり、電流経路そのものを示しているわけではない。
たとえば、スイッチSW1と振動部710の端子Xとの
間には1本の制御信号線が描かれているだけであるが、
実際には、振動子をX軸方向に振動させるためには複数
の電極層に所定の位相をもった交流信号を供給する必要
があり、複数の電流経路が必要になる。
【0184】さて、このような検出回路を構成しておけ
ば、第77図の流れ図に示す検出動作は、次のように実
行される。まず、コントローラ740は、ステップS1
として、加速度αx,αy,αzを検出する処理を行
う。すなわち、コントローラ740は、スイッチSW
1,SW2,SW3をいずれもOFFにし、スイッチS
W4,SW5,SW6をいずれもONにする指示を、マ
ルチプレクサ712,722に与える。その結果、振動
部710には駆動信号は供給されず、振動子に対する意
図的な励振は行われない。したがって、このとき検出部
720の各端子X,Y,Zから出力される検出信号は、
コリオリ力ではなく加速度の作用に基づく力によって生
じた変位を示す信号となる。スイッチSW4,SW5,
SW6はいずれもONとなっているので、3つの信号が
すべて変位検出回路721に与えられ、ここで、X,
Y,Zの3軸方向の変位量が検出される。コントローラ
740は、検出値出力回路730に対して、検出された
3つの変位量を加速度の値として出力するよう指示す
る。こうして、変位検出回路721において検出された
3軸方向の変位量は、検出値出力回路730から、それ
ぞれ加速度値αx,αy,αzとして出力される。
【0185】続いて、コントローラ740は、ステップ
S2として、角速度ωxを検出する処理を行う。すなわ
ち、コントローラ740は、第3図に示す原理に基づ
き、 スイッチSW1:OFF スイッチSW4:OFF スイッチSW2:OFF スイッチSW5:ON スイッチSW3:ON スイッチSW6:OFF とする指示を、マルチプレクサ712,722に与え
る。その結果、振動部710は振動子にZ軸方向の振動
Uzを与え、検出部720はこのとき発生するコリオリ
力Fyの作用による振動子のY軸方向の変位を示す検出
信号を端子Yから出力する。変位検出回路721は、こ
の検出信号に基づきY軸方向の変位量を検出する。コン
トローラ740は、検出値出力回路730に対して、検
出された変位量をX軸まわりの角速度ωxの値として出
力するよう指示する。こうして、変位検出回路721に
おいて検出されたY軸方向の変位量は、検出値出力回路
730から、角速度ωxとして出力される。
【0186】次に、コントローラ740は、ステップS
3として、角速度ωyを検出する処理を行う。すなわ
ち、コントローラ740は、第4図に示す原理に基づ
き、 スイッチSW1:ON スイッチSW4:ON スイッチSW2:OFF スイッチSW5:OFF スイッチSW3:OFF スイッチSW6:OFF とする指示を、マルチプレクサ712,722に与え
る。その結果、振動部710は振動子にX軸方向の振動
Uxを与え、検出部720はこのとき発生するコリオリ
力Fzの作用による振動子のZ軸方向の変位を示す検出
信号を端子Zから出力する。変位検出回路721は、こ
の検出信号に基づきZ軸方向の変位量を検出する。コン
トローラ740は、検出値出力回路730に対して、検
出された変位量をY軸まわりの角速度ωyの値として出
力するよう指示する。こうして、変位検出回路721に
おいて検出されたZ軸方向の変位量は、検出値出力回路
730から、角速度ωyとして出力される。
【0187】更に、コントローラ740は、ステップS
4として、角速度ωzを検出する処理を行う。すなわ
ち、コントローラ740は、第5図に示す原理に基づ
き、 スイッチSW1:OFF スイッチSW4:OFF スイッチSW2:ON スイッチSW5:OFF スイッチSW3:OFF スイッチSW6:ON とする指示を、マルチプレクサ712,722に与え
る。その結果、振動部710は振動子にY軸方向の振動
Uyを与え、検出部720はこのとき発生するコリオリ
力Fxの作用による振動子のX軸方向の変位を示す検出
信号を端子Xから出力する。変位検出回路721は、こ
の検出信号に基づきX軸方向の変位量を検出する。コン
トローラ740は、検出値出力回路730に対して、検
出された変位量をZ軸まわりの角速度ωzの値として出
力するよう指示する。こうして、変位検出回路721に
おいて検出されたX軸方向の変位量は、検出値出力回路
730から、角速度ωzとして出力される。
【0188】以上の処理が、ステップS5を経て繰り返
し実行される。したがって、このセンサを運動する物体
に搭載しておけば、各時点における3軸方向の加速度お
よび3軸まわりの角速度を連続的に検出することが可能
になる。
【0189】<7.4> 角速度の別な検出原理 多軸角速度の検出に関するこれまでの説明は、いずれ
も、第3図〜第5図に示す基本原理に基づくものであっ
た。これに対し、第79図〜第81図に示す基本原理に
基づく検出も可能である。たとえば、X軸まわりの角速
度ωxを検出する場合、第3図に示す基本原理によれ
ば、振動子にZ軸方向の振動Uzを与えたときにY軸方
向に発生するコリオリ力Fyを検出することになるが、
第79図に示す基本原理によれば、振動子にY軸方向の
振動Uyを与えたときにZ軸方向に発生するコリオリ力
Fzを検出すればよい。同様に、Y軸まわりの角速度ω
yを検出する場合、第4図に示す基本原理によれば、振
動子にX軸方向の振動Uxを与えたときにZ軸方向に発
生するコリオリ力Fzを検出することになるが、第80
図に示す基本原理によれば、振動子にZ軸方向の振動U
zを与えたときにX軸方向に発生するコリオリ力Fxを
検出すればよい。また、Z軸まわりの角速度ωzを検出
する場合、第5図に示す基本原理によれば、振動子にY
軸方向の振動Uyを与えたときにX軸方向に発生するコ
リオリ力Fxを検出することになるが、第81図に示す
基本原理によれば、振動子にX軸方向の振動Uxを与え
たときにY軸方向に発生するコリオリ力Fyを検出すれ
ばよい。
【0190】要するに、本発明に係る多軸角速度センサ
は、互いに直交する3軸の原点に位置する振動子につい
て、第1の軸まわりに角速度ωが作用している場合、第
2の軸方向の振動Uを与えれば、第3の軸方向にコリオ
リ力が作用する、という自然法則を利用したものであ
り、第3図〜第5図に示すような軸の選択を行っても、
第79図〜第81図に示すような軸の選択を行っても、
いずれでもかまわないのである。したがって、これまで
述べてきたすべての実施例について、第79図〜第81
図に示す基本原理を適用した検出を行うことが可能であ
る。
【0191】<7.5> 基本原理の組み合わせによる
検出 上述したように、本発明による角速度検出においては、
第3図〜第5図に示す基本原理に基づく検出と、第79
図〜第81図に示す基本原理に基づく検出と、のいずれ
も可能であるが、更に、両者を組み合わせた検出も可能
である。ここで、理解を容易にするために、各基本原理
を整理してみると、次の表に示すような6とおりの検出
動作が可能であることがわかる。 ここで、Uの欄は振動子を励振する軸方向を示し、Fの
欄は振動子に作用するコリオリ力を検出する軸方向を示
し、ωの欄は検出対象となる角速度に関する軸を示す。
第3図〜第5図に示す基本原理に基づく検出は、上掲の
表の偶数番目の3つの検出動作を行うものであり、第7
9図〜第81図に示す基本原理に基づく検出は、奇数番
目の3つの検出動作を行うものである。このような3つ
の検出動作により、XYZの3つの軸まわりの角速度が
検出できることは既に述べたとおりである。
【0192】ところで、このような3軸まわりの角速度
を検出するための組み合わせは、偶数番目および奇数番
目の組み合わせだけに限らない。たとえば、前半の検出
動作1〜3という組み合わせでもXYZの3軸まわりの
角速度が検出できるし、後半の検出動作4〜6という組
み合わせでもXYZの3軸まわりの角速度が検出できる
(上掲の表のωの欄参照)。しかも、このような組み合
わせを採ると、振動機構および検出機構の一部を省略す
ることができる。たとえば、上掲の表における検出動作
1〜3を実行するには、振動子の励振軸はX軸およびY
軸だけでよい(Uの欄参照)。別言すれば、振動子をZ
軸方向に振動させる必要はないのである。また、コリオ
リ力の検出軸はY軸およびZ軸だけでよい(Fの欄参
照)。別言すれば、X軸方向のコリオリ力を検出する必
要はないのである。結局、振動機構としては、X軸およ
びY軸の2つの軸方向に振動させることができれば十分
であり、検出機構としては、Y軸およびZ軸の2つの軸
方向の検出ができれば十分である。これまでに述べてき
た種々の実施例は、いずれも、XYZの3軸方向に振動
させる振動機構と、XYZの3軸方向のコリオリ力を検
出する検出機構と、を備えることを前提としたものであ
ったが、このように基本原理をうまく組み合わせること
により、2軸方向の振動機構と2軸方向の検出機構とに
よって、3軸についての角速度の検出が可能である。
【0193】また、これまでの実施例は、いずれもXY
Zの3軸についての角速度を検出する三次元角速度セン
サについてのものであったが、これら3軸のうちの特定
の2軸についての角速度だけを検出すれば足りる場合に
は、振動機構あるいは検出機構の一部を更に省略した二
次元角速度センサを用いることができる。たとえば、上
掲の表における検出動作1および検出動作2だけを考え
てみる。これら2つの検出動作を行うためには、X軸方
向への振動機構と、Y軸およびZ軸方向についての検出
機構とがあれば十分であり、その結果として、Z軸まわ
りの角速度とY軸まわりの角速度とが検出できる。した
がって、1軸方向への振動機構と2軸についての検出機
構とによって、二次元角速度センサが実現できることに
なる。
【0194】あるいは、次のような組み合わせも可能で
ある。今度は、上掲の表における検出動作2および検出
動作3だけを考えてみる。これら2つの検出動作を行う
ためには、X軸およびY軸方向への振動機構と、Z軸方
向についての検出機構とがあれば十分であり、その結果
として、Y軸まわりの角速度とX軸まわりの角速度とが
検出できる。したがって、2軸方向への振動機構と1軸
についての検出機構とによって、二次元角速度センサが
実現できることになる。
【0195】なお、本発明に係る角速度センサにおいて
振動子を振動させる場合、各振動子のもつ固有の共振周
波数で振動させるのが好ましい。上述の実施例における
各振動子130,211,241,260,321,4
40,550,610は、いずれもそれぞれ固有の共振
周波数をもっている。各振動子を、このような固有の共
振周波数で振動させることにより、小さな供給エネルギ
ーで大きな振動を生じさせることができ、非常に効率が
良くなる。
【0196】
【発明の効果】本発明に係る多軸角速度センサは、XY
Z三次元座標系で運動する物体について、X軸まわりの
角速度ωx、Y軸まわりの角速度ωy、Z軸まわりの角
速度ωz、をそれぞれ別個独立して検出することができ
る。したがって、産業用機械、産業用ロボット、自動
車、航空機、船舶などに搭載し、運動状態の認識、ある
いは運動に対するフィードバック制御を行う上でのセン
サとして広く利用できるものである。また、カメラの撮
影時における手振れを補正する制御にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来提案されているコリオリ力を利用した一次
元角速度センサの基本原理を示す斜視図である。
【図2】本発明の検出対象となるXYZ三次元座標系に
おける各軸まわりの角速度を示す図である。
【図3】本発明によってX軸まわりの角速度ωxを検出
する基本原理を説明する図である。
【図4】本発明によってY軸まわりの角速度ωyを検出
する基本原理を説明する図である。
【図5】本発明によってZ軸まわりの角速度ωzを検出
する基本原理を説明する図である。
【図6】本発明の第1の実施例に係る多軸角速度センサ
の構造を示す側断面図である。
【図7】図6に示す多軸角速度センサの可撓基板110
の上面図である。
【図8】図6に示す多軸角速度センサの固定基板120
の下面図である。
【図9】図6に示す多軸角速度センサにおける振動子1
30をX軸方向に変位させた状態を示す側断面図であ
る。
【図10】図6に示す多軸角速度センサにおける振動子
130を−X軸方向に変位させた状態を示す側断面図で
ある。
【図11】図6に示す多軸角速度センサにおける振動子
130をZ軸方向に変位させた状態を示す側断面図であ
る。
【図12】図6に示す多軸角速度センサにおける振動子
130に対して、X軸方向の振動Uxを与えるための供
給電圧波形を示す図である。
【図13】図6に示す多軸角速度センサにおける振動子
130に対して、Y軸方向の振動Uyを与えるための供
給電圧波形を示す図である。
【図14】図6に示す多軸角速度センサにおける振動子
130に対して、Z軸方向の振動Uzを与えるための供
給電圧波形を示す図である。
【図15】図6に示す多軸角速度センサにおいて、振動
子130に振動Uzを与えたときに、角速度ωxに基づ
いてコリオリ力Fyが発生する現象を示す側断面図であ
る。
【図16】図6に示す多軸角速度センサにおいて、振動
子130に振動Uxを与えたときに、角速度ωyに基づ
いてコリオリ力Fzが発生する現象を示す側断面図であ
る。
【図17】図6に示す多軸角速度センサにおいて、振動
子130に振動Uyを与えたときに、角速度ωzに基づ
いてコリオリ力Fxが発生する現象を示す側断面図であ
る。
【図18】静電容量素子Cの容量値の変化を検出するた
めの回路の一例を示す回路図である。
【図19】図18に示す回路の動作を説明するタイミン
グチャートである。
【図20】一対の静電容量素子C1,C2の容量値の変
化を検出するための回路の一例を示す回路図である。
【図21】図20に示す回路の動作を説明するタイミン
グチャートである。
【図22】図6に示す多軸角速度センサの第1の変形例
の原理を説明する側断面図である。
【図23】図6に示す多軸角速度センサの第1の変形例
の原理を説明する別な側断面図である。
【図24】図6に示す多軸角速度センサの第1の変形例
の原理を説明する更に別な側断面図である。
【図25】図6に示す多軸角速度センサの第1の変形例
の具体的な構造を示す側断面図である。
【図26】図25に示す多軸角速度センサの各電極への
電圧の印加方法の一例を示す図である。
【図27】図6に示す多軸角速度センサの第2の変形例
の具体的な構造を示す側断面図である。
【図28】本発明の第2の実施例に係る多軸角速度セン
サの構造を示す側断面図である。
【図29】図28に示す多軸角速度センサの可撓基板2
10の上面図である。
【図30】図28に示す多軸角速度センサの別な位置に
おける断面を示す側断面図である。
【図31】図28に示す多軸角速度センサの固定基板2
30の下面図である。
【図32】図28に示す多軸角速度センサの第1の変形
例を示す側断面図である。
【図33】図28に示す多軸角速度センサの第2の変形
例を示す側断面図である。
【図34】図33に示す多軸角速度センサの可撓基板2
50の上面図である。
【図35】本発明の第3の実施例に係る多軸角速度セン
サの構造を示す側断面図である。
【図36】第35図に示す多軸角速度センサの可撓基板
310の上面図である。
【図37】図36に示されている抵抗素子Rの配置を示
す図である。
【図38】図35に示す多軸角速度センサにコリオリ力
Fxが作用した状態を示す側断面図である。
【図39】図35に示す多軸角速度センサに作用したX
軸方向のコリオリ力Fxを検出する回路の一例を示す回
路図である。
【図40】図35に示す多軸角速度センサに作用したY
軸方向のコリオリ力Fyを検出する回路の一例を示す回
路図である。
【図41】図35に示す多軸角速度センサに作用したZ
軸方向のコリオリ力Fzを検出する回路の一例を示す回
路図である。
【図42】本発明の第4の実施例に係る多軸角速度セン
サの構造を示す側断面図である。
【図43】図42に示す多軸角速度センサに用いられて
いる圧電素子の分極特性を示す図である。
【図44】図42に示す多軸角速度センサにX軸方向の
変位を生じさせた状態を示す側断面図である。
【図45】図42に示す多軸角速度センサにZ軸方向の
変位を生じさせた状態を示す側断面図である。
【図46】図42に示す多軸角速度センサに作用したX
軸方向のコリオリ力Fxを検出するための配線を示す配
線図である。
【図47】図42に示す多軸角速度センサに作用したY
軸方向のコリオリ力Fyを検出するための配線を示す配
線図である。
【図48】図42に示す多軸角速度センサに作用したZ
軸方向のコリオリ力Fzを検出するための配線を示す配
線図である。
【図49】図43に示す分極特性とは逆の分極特性を示
す図である。
【図50】図42に示す多軸角速度センサの第1の変形
例に用いられる圧電素子の分極特性の分布を示す平面図
である。
【図51】図50に示す圧電素子を用いた多軸角速度セ
ンサに作用したX軸方向のコリオリ力Fxを検出するた
めの配線を示す配線図である。
【図52】図50に示す圧電素子を用いた多軸角速度セ
ンサに作用したY軸方向のコリオリ力Fyを検出するた
めの配線を示す配線図である。
【図53】図50に示す圧電素子を用いた多軸角速度セ
ンサに作用したZ軸方向のコリオリ力Fzを検出するた
めの配線を示す配線図である。
【図54】図42に示す多軸角速度センサの第2の変形
例の構造を示す側断面図である。
【図55】図42に示す多軸角速度センサの第3の変形
例の構造を示す側断面図である。
【図56】図42に示す多軸角速度センサの第4の変形
例の構造を示す側断面図である。
【図57】本発明の第5の実施例に係る多軸角速度セン
サの構造を示す上面図である。
【図58】図57に示す多軸角速度センサの構造を示す
側断面図である。
【図59】図57に示す多軸角速度センサにおいて定義
された局在素子の配置を示す上面図である。
【図60】図57に示す多軸角速度センサに用いられて
いる圧電素子の分極特性を示す図である。
【図61】図57に示す多軸角速度センサにX軸方向の
変位を生じさせた状態を示す側断面図である。
【図62】図57に示す多軸角速度センサにZ軸方向の
変位を生じさせた状態を示す側断面図である。
【図63】図57に示す多軸角速度センサに作用したX
軸方向のコリオリ力Fxを検出するための配線を示す配
線図である。
【図64】図57に示す多軸角速度センサに作用したY
軸方向のコリオリ力Fyを検出するための配線を示す配
線図である。
【図65】図57に示す多軸角速度センサに作用したZ
軸方向のコリオリ力Fzを検出するための配線を示す配
線図である。
【図66】図60に示す分極特性とは逆の分極特性を示
す図である。
【図67】図57に示す多軸角速度センサの第1の変形
例に用いられる圧電素子の分極特性の分布を示す平面図
である。
【図68】図67に示す圧電素子を用いた多軸角速度セ
ンサにX軸方向のコリオリ力Fxが作用した状態を示す
側断面図である。
【図69】図67に示す圧電素子を用いた多軸角速度セ
ンサにZ軸方向のコリオリ力Fzが作用した状態を示す
側断面図である。
【図70】図67に示す圧電素子を用いた多軸角速度セ
ンサに作用したX軸方向のコリオリ力Fxを検出するた
めの配線を示す配線図である。
【図71】図67に示す圧電素子を用いた多軸角速度セ
ンサに作用したY軸方向のコリオリ力Fyを検出するた
めの配線を示す配線図である。
【図72】図67に示す圧電素子を用いた多軸角速度セ
ンサに作用したZ軸方向のコリオリ力Fzを検出するた
めの配線を示す配線図である。
【図73】図57に示す多軸角速度センサの第2の変形
例の構造を示す側断面図である。
【図74】図57に示す多軸角速度センサの第3の変形
例の構造を示す側断面図である。
【図75】本発明の第6の実施例に係る多軸角速度セン
サの基本原理を示す斜視図である。
【図76】本発明の第6の実施例に係る多軸角速度セン
サの具体的な構造を示す側断面図である。
【図77】本発明に係る多軸角速度センサにおける検出
動作の手順を示す流れ図である。
【図78】本発明に係る多軸角速度センサにおける検出
動作を行うための具体的な回路構成例を示す図である。
【図79】本発明によってX軸まわりの角速度ωxを検
出する別な基本原理を説明する図である。
【図80】本発明によってY軸まわりの角速度ωyを検
出する別な基本原理を説明する図である。
【図81】本発明によってZ軸まわりの角速度ωzを検
出する別な基本原理を説明する図である。
【符号の説明】
10…振動子 11,12…圧電素子 20…物体 30…振動子 110…可撓基板 120…固定基板 130…振動子 140…センサ筐体 151,152…インバータ 153…抵抗 154…排他的OR回路 161,162…インバータ 163,164…抵抗 165…排他的OR回路 171,172…誘電体基板 210…第1の基板 211…振動子 212…架橋部 213…支持枠 220…第2の基板 221…窪み 230…第3の基板 231…切削面 240…第4の基板 241…振動子 242…台座 250…可撓基板 251…作用部 252…可撓部 253…固定部 260…振動子 270…台座 280…ベース基板 290…蓋基板 310…第1の基板 311…作用部 312…可撓部 313…固定部 320…第2の基板 321…振動子 322…台座 330…第3の基板 331…窪み 340…第4の基板 350…電源 361〜363…電圧計 410…可撓基板 420…固定基板 430…圧電素子 440…振動子 450…センサ筐体 460…圧電素子 470…圧電素子 480…可撓基板 490…可撓基板 510…可撓基板 520…圧電素子 530…圧電素子 540…圧電素子 550…振動子 560…センサ筐体 570…可撓基板 610…振動子 620…センサ筐体 630…仕切板 640…ダイヤフラム 650…連結棒 660…保護カバー 700…角速度センサを示すブロック 710…振動部 711…振動発生回路 712…マルチプレクサ 720…検出部 721…変位検出回路 722…マルチプレクサ 730…検出値出力回路 740…コントローラ a…遅延時間 b…パルス幅/遅延時間 C1〜C5…容量素子/容量値 ΔC,ΔC12,ΔC34…容量値の差 D1〜D16…局在素子 d…パルス幅/遅延時間 d1,d2…遅延時間 E0,E1〜E5…上部電極層 E1a〜E5a…補助電極層 F0,F1〜F5…下部電極層 F1a〜F5a…補助電極層 F,Fx,Fy,Fz…コリオリ力 f…周期 G…重心 G0…上部電極層 G1〜G5…下部電極層 G6〜G10…上部電極層 H1〜H4…開口部 J1〜J6…コイル L1〜L16…上部電極層 M0,M1〜M16…下部電極層 N1〜N4…ノード R…ピエゾ抵抗素子 Rx1〜Rx4…ピエゾ抵抗素子 Ry1〜Ry4…ピエゾ抵抗素子 Rz1〜Rz4…ピエゾ抵抗素子 SW1〜SW6…スイッチ T1〜T4,Tx1,Ty1,Tz1,Tx2,Ty
2,Tz2…端子 t1〜t5…期間 U,Ux,Uy,Uz…振動 V,V1〜V5…電圧 Vx,Vy,Vz…ブリッジ電圧 W1,W2,X,Y,Z…座標軸 α,αx,αy,αz…加速度 ω,ωx,ωy,ωz…角速度
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/08 H01L 41/08 Z

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 XYZ三次元座標系におけるY軸まわり
    の角速度を検出する一次元角速度センサであって、 主面がXY平面に対して平行になり中心部においてZ軸
    と交差するように配置され、可撓性をもった可撓基板
    と、 前記可撓基板の下面に固着された振動子と、 前記可撓基板を支持するとともに前記振動子を収容する
    センサ筐体と、 前記振動子を所定の座標軸方向に振動させる励振手段
    と、 前記振動子の所定の座標軸方向への変位を検出する変位
    検出手段と、 を備え、 前記励振手段は、前記可撓基板の上面におけるX軸の正
    の領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられ
    た電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第1
    の駆動手段と、前記可撓基板の上面におけるX軸の負の
    領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられた
    電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第2の
    駆動手段と、これら各駆動手段に交流信号を供給するこ
    とにより前記振動子をX軸方向に振動させる振動発生回
    路と、を有し、 前記変位検出手段は、前記可撓基板の上面の所定位置に
    配置され、当該配置箇所における前記振動子の変位に起
    因して生じる変位もしくは撓みに基づいて、前記振動子
    のZ軸方向への変位を検出する検出手段と、検出したZ
    軸方向への変位をY軸まわりの角速度を示す電気信号と
    して出力する変位検出回路と、を有することを特徴とす
    る角速度センサ。
  2. 【請求項2】 XYZ三次元座標系におけるZ軸まわり
    の角速度を検出する一次元角速度センサであって、 主面がXY平面に対して平行になり中心部においてZ軸
    と交差するように配置され、可撓性をもった可撓基板
    と、 前記可撓基板の下面に固着された振動子と、 前記可撓基板を支持するとともに前記振動子を収容する
    センサ筐体と、 前記振動子を所定の座標軸方向に振動させる励振手段
    と、 前記振動子の所定の座標軸方向への変位を検出する変位
    検出手段と、 を備え、 前記励振手段は、前記可撓基板の上面におけるY軸の正
    の領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられ
    た電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第1
    の駆動手段と、前記可撓基板の上面におけるY軸の負の
    領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられた
    電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第2の
    駆動手段と、これら各駆動手段に交流信号を供給するこ
    とにより前記振動子をY軸方向に振動させる振動発生回
    路と、を有し、 前記変位検出手段は、前記可撓基板の上面におけるX軸
    の正の領域上に配置され、当該配置箇所における前記振
    動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づい
    て、前記振動子のX軸方向への変位に関係した第1の値
    を検出する第1の検出手段と、前記可撓基板の上面にお
    けるX軸の負の領域上に配置され、当該配置箇所におけ
    る前記振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓み
    に基づいて、前記振動子のX軸方向への変位に関係した
    第2の値を検出する第2の検出手段と、前記第1の値お
    よび前記第2の値の双方に基づいて前記振動子のX軸方
    向への変位を検出し、検出した変位をZ軸まわりの角速
    度を示す電気信号として出力する変位検出回路と、を有
    することを特徴とする角速度センサ。
  3. 【請求項3】 XYZ三次元座標系におけるX軸まわり
    の角速度を検出する一次元角速度センサであって、 主面がXY平面に対して平行になり中心部においてZ軸
    と交差するように配置され、可撓性をもった可撓基板
    と、 前記可撓基板の下面に固着された振動子と、 前記可撓基板を支持するとともに前記振動子を収容する
    センサ筐体と、 前記振動子を所定の座標軸方向に振動させる励振手段
    と、 前記振動子の所定の座標軸方向への変位を検出する変位
    検出手段と、 を備え、 前記励振手段は、前記可撓基板の上面の前記振動子をZ
    軸方向に変位させることが可能な所定位置に配置され、
    当該配置箇所に対して、与えられた電気信号に応じた変
    位もしくは撓みを生じさせる駆動手段と、この駆動手段
    に交流信号を供給することにより前記振動子をZ軸方向
    に振動させる振動発生回路と、を有し、 前記変位検出手段は、前記可撓基板の上面におけるY軸
    の正の領域上に配置され、当該配置箇所における前記振
    動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づい
    て、前記振動子のY軸方向への変位に関係した第1の値
    を検出する第1の検出手段と、前記可撓基板の上面にお
    けるY軸の負の領域上に配置され、当該配置箇所におけ
    る前記振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓み
    に基づいて、前記振動子のY軸方向への変位に関係した
    第2の値を検出する第2の検出手段と、前記第1の値お
    よび前記第2の値の双方に基づいて前記振動子のY軸方
    向への変位を検出し、検出した変位をX軸まわりの角速
    度を示す電気信号として出力する変位検出回路と、を有
    することを特徴とする角速度センサ。
  4. 【請求項4】 XYZ三次元座標系におけるY軸まわり
    の角速度およびZ軸まわりの角速度を検出する二次元角
    速度センサであって、 主面がXY平面に対して平行になり中心部においてZ軸
    と交差するように配置され、可撓性をもった可撓基板
    と、 前記可撓基板の下面に固着された振動子と、 前記可撓基板を支持するとともに前記振動子を収容する
    センサ筐体と、 前記振動子を所定の座標軸方向に振動させる励振手段
    と、 前記振動子の所定の座標軸方向への変位を検出する変位
    検出手段と、 を備え、 前記励振手段は、前記可撓基板の上面におけるX軸の正
    の領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられ
    た電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第1
    の駆動手段と、前記可撓基板の上面におけるX軸の負の
    領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられた
    電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第2の
    駆動手段と、これら各駆動手段に交流信号を供給するこ
    とにより前記振動子をX軸方向に振動させる振動発生回
    路と、を有し、 前記変位検出手段は、前記可撓基板の上面におけるY軸
    の正の領域上に配置され、当該配置箇所における前記振
    動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づい
    て、前記振動子のY軸方向への変位に関係した第1の値
    を検出する第1の検出手段と、前記可撓基板の上面にお
    けるY軸の負の領域上に配置され、当該配置箇所におけ
    る前記振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓み
    に基づいて、前記振動子のY軸方向への変位に関係した
    第2の値を検出する第2の検出手段と、前記可撓基板の
    上面の所定位置に配置され、当該配置箇所における前記
    振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づ
    いて、前記振動子のZ軸方向への変位を示す第3の値を
    検出する第3の検出手段と、前記第1の値および前記第
    2の値の双方に基づいて前記振動子のY軸方向への変位
    を検出し、検出した変位をZ軸まわりの角速度を示す電
    気信号として出力するとともに、Z軸方向への変位を示
    す前記第3の値をY軸まわりの角速度を示す電気信号と
    して出力する変位検出回路と、を有することを特徴とす
    る角速度センサ。
  5. 【請求項5】 XYZ三次元座標系におけるY軸まわり
    の角速度およびZ軸まわりの角速度を検出する二次元角
    速度センサであって、 主面がXY平面に対して平行になり中心部においてZ軸
    と交差するように配置され、可撓性をもった可撓基板
    と、 前記可撓基板の下面に固着された振動子と、 前記可撓基板を支持するとともに前記振動子を収容する
    センサ筐体と、 前記振動子を所定の座標軸方向に振動させる励振手段
    と、 前記振動子の所定の座標軸方向への変位を検出する変位
    検出手段と、 を備え、 前記励振手段は、前記可撓基板の上面の前記振動子をZ
    軸方向に変位させることが可能な所定位置に配置され、
    当該配置箇所に対して、与えられた電気信号に応じた変
    位もしくは撓みを生じさせる駆動手段と、この駆動手段
    に交流信号を供給することにより前記振動子をZ軸方向
    に振動させる振動発生回路と、を有し、 前記変位検出手段は、前記可撓基板の上面におけるX軸
    の正の領域上に配置され、当該配置箇所における前記振
    動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づい
    て、前記振動子のX軸方向への変位に関係した第1の値
    を検出する第1の検出手段と、前記可撓基板の上面にお
    けるX軸の負の領域上に配置され、当該配置箇所におけ
    る前記振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓み
    に基づいて、前記振動子のX軸方向への変位に関係した
    第2の値を検出する第2の検出手段と、前記可撓基板の
    上面におけるY軸の正の領域上に配置され、当該配置箇
    所における前記振動子の変位に起因して生じる変位もし
    くは撓みに基づいて、前記振動子のY軸方向への変位に
    関係した第3の値を検出する第3の検出手段と、前記可
    撓基板の上面におけるY軸の負の領域上に配置され、当
    該配置箇所における前記振動子の変位に起因して生じる
    変位もしくは撓みに基づいて、前記振動子のY軸方向へ
    の変位に関係した第4の値を検出する第4の検出手段
    と、前記第1の値および前記第2の値の双方に基づいて
    前記振動子のX軸方向への変位を検出し、検出した変位
    をY軸まわりの角速度を示す電気信号として出力すると
    ともに、前記第3の値および前記第4の値の双方に基づ
    いて前記振動子のY軸方向への変位を検出し、検出した
    変位をX軸まわりの角速度を示す電気信号として出力す
    る変位検出回路と、を有することを特徴とする角速度セ
    ンサ。
  6. 【請求項6】 XYZ三次元座標系における各座標軸ま
    わりの角速度を検出する三次元角速度センサであって、 主面がXY平面に対して平行になり中心部においてZ軸
    と交差するように配置され、可撓性をもった可撓基板
    と、 前記可撓基板の下面に固着された振動子と、 前記可撓基板を支持するとともに前記振動子を収容する
    センサ筐体と、 前記振動子を所定の座標軸方向に振動させる励振手段
    と、 前記振動子の所定の座標軸方向への変位を検出する変位
    検出手段と、 を備え、 前記励振手段は、前記可撓基板の上面におけるX軸の正
    の領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられ
    た電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第1
    の駆動手段と、前記可撓基板の上面におけるX軸の負の
    領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられた
    電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第2の
    駆動手段と、前記可撓基板の上面におけるY軸の正の領
    域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられた電
    気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第3の駆
    動手段と、前記可撓基板の上面におけるY軸の負の領域
    上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられた電気
    信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第4の駆動
    手段と、前記第1の駆動手段および前記第2の駆動手段
    に交流信号を供給することにより前記振動子をX軸方向
    に振動させるX軸方向励振動作と、前記第3の駆動手段
    および前記第4の駆動手段に交流信号を供給することに
    より前記振動子をY軸方向に振動させるY軸方向励振動
    作と、を選択的に実行する機能を有し、時分割を行うこ
    とにより、第1の検出期間には前記X軸方向励振動作を
    実行し、第2の検出期間には前記Y軸方向励振動作を実
    行する振動発生回路と、を有し、 前記変位検出手段は、前記可撓基板の上面におけるY軸
    の正の領域上に配置され、当該配置箇所における前記振
    動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づい
    て、前記振動子のY軸方向への変位に関係した第1の値
    を検出する第1の検出手段と、前記可撓基板の上面にお
    けるY軸の負の領域上に配置され、当該配置箇所におけ
    る前記振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓み
    に基づいて、前記振動子のY軸方向への変位に関係した
    第2の値を検出する第2の検出手段と、前記可撓基板の
    上面の所定位置に配置され、当該配置箇所における前記
    振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づ
    いて、前記振動子のZ軸方向への変位を示す第3の値を
    検出する第3の検出手段と、前記第1の検出期間には、
    前記第1の値および前記第2の値の双方に基づいて前記
    振動子のY軸方向への変位を検出し、検出した変位をZ
    軸まわりの角速度を示す電気信号として出力するととも
    に、Z軸方向への変位を示す前記第3の値をY軸まわり
    の角速度を示す電気信号として出力する動作を行い、前
    記第2の検出期間には、Z軸方向への変位を示す前記第
    3の値をX軸まわりの角速度を示す電気信号として出力
    する動作を行う変位検出回路と、を有することを特徴と
    する角速度センサ。
  7. 【請求項7】 XYZ三次元座標系における各座標軸ま
    わりの角速度を検出する三次元角速度センサであって、 主面がXY平面に対して平行になり中心部においてZ軸
    と交差するように配置され、可撓性をもった可撓基板
    と、 前記可撓基板の下面に固着された振動子と、 前記可撓基板を支持するとともに前記振動子を収容する
    センサ筐体と、 前記振動子を所定の座標軸方向に振動させる励振手段
    と、 前記振動子の所定の座標軸方向への変位を検出する変位
    検出手段と、 を備え、 前記励振手段は、前記可撓基板の上面におけるX軸の正
    の領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられ
    た電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第1
    の駆動手段と、前記可撓基板の上面におけるX軸の負の
    領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられた
    電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第2の
    駆動手段と、前記可撓基板の上面の前記振動子をZ軸方
    向に変位させることが可能な所定位置に配置され、当該
    配置箇所に対して、与えられた電気信号に応じた変位も
    しくは撓みを生じさせる第3の駆動手段と、前記第1の
    駆動手段および前記第2の駆動手段に交流信号を供給す
    ることにより前記振動子をX軸方向に振動させるX軸方
    向励振動作と、前記第3の駆動手段に交流信号を供給す
    ることにより前記振動子をZ軸方向に振動させるZ軸方
    向励振動作と、を選択的に実行する機能を有し、時分割
    を行うことにより、第1の検出期間には前記X軸方向励
    振動作を実行し、第2の検出期間には前記Z軸方向励振
    動作を実行する振動発生回路と、を有し、 前記変位検出手段は、前記可撓基板の上面におけるY軸
    の正の領域上に配置され、当該配置箇所における前記振
    動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づい
    て、前記振動子のY軸方向への変位に関係した第1の値
    を検出する第1の検出手段と、前記可撓基板の上面にお
    けるY軸の負の領域上に配置され、当該配置箇所におけ
    る前記振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓み
    に基づいて、前記振動子のY軸方向への変位に関係した
    第2の値を検出する第2の検出手段と、前記可撓基板の
    上面の所定位置に配置され、当該配置箇所における前記
    振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づ
    いて、前記振動子のZ軸方向への変位を示す第3の値を
    検出する第3の検出手段と、前記第1の検出期間には、
    前記第1の値および前記第2の値の双方に基づいて前記
    振動子のY軸方向への変位を検出し、検出した変位をZ
    軸まわりの角速度を示す電気信号として出力するととも
    に、Z軸方向への変位を示す前記第3の値をY軸まわり
    の角速度を示す電気信号として出力する動作を行い、前
    記第2の検出期間には、前記第1の値および前記第2の
    値の双方に基づいて前記振動子のY軸方向への変位を検
    出し、検出した変位をX軸まわりの角速度を示す電気信
    号として出力する動作を行う変位検出回路と、を有する
    ことを特徴とする角速度センサ。
  8. 【請求項8】 XYZ三次元座標系における各座標軸ま
    わりの角速度を検出する三次元角速度センサであって、 主面がXY平面に対して平行になり中心部においてZ軸
    と交差するように配置され、可撓性をもった可撓基板
    と、 前記可撓基板の下面に固着された振動子と、 前記可撓基板を支持するとともに前記振動子を収容する
    センサ筐体と、 前記振動子を所定の座標軸方向に振動させる励振手段
    と、 前記振動子の所定の座標軸方向への変位を検出する変位
    検出手段と、 を備え、 前記励振手段は、前記可撓基板の上面におけるX軸の正
    の領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられ
    た電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第1
    の駆動手段と、前記可撓基板の上面におけるX軸の負の
    領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられた
    電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第2の
    駆動手段と、前記可撓基板の上面の前記振動子をZ軸方
    向に変位させることが可能な所定位置に配置され、当該
    配置箇所に対して、与えられた電気信号に応じた変位も
    しくは撓みを生じさせる第3の駆動手段と、前記第1の
    駆動手段および前記第2の駆動手段に交流信号を供給す
    ることにより前記振動子をX軸方向に振動させるX軸方
    向励振動作と、前記第3の駆動手段に交流信号を供給す
    ることにより前記振動子をZ軸方向に振動させるZ軸方
    向励振動作と、を選択的に実行する機能を有し、時分割
    を行うことにより、第1の検出期間には前記Z軸方向励
    振動作を実行し、第2の検出期間には前記X軸方向励振
    動作を実行する振動発生回路と、を有し、 前記変位検出手段は、前記可撓基板の上面におけるX軸
    の正の領域上に配置され、当該配置箇所における前記振
    動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づい
    て、前記振動子のX軸方向への変位に関係した第1の値
    を検出する第1の検出手段と、前記可撓基板の上面にお
    けるX軸の負の領域上に配置され、当該配置箇所におけ
    る前記振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓み
    に基づいて、前記振動子のX軸方向への変位に関係した
    第2の値を検出する第2の検出手段と、前記可撓基板の
    上面におけるY軸の正の領域上に配置され、当該配置箇
    所における前記振動子の変位に起因して生じる変位もし
    くは撓みに基づいて、前記振動子のY軸方向への変位に
    関係した第3の値を検出する第3の検出手段と、前記可
    撓基板の上面におけるY軸の負の領域上に配置され、当
    該配置箇所における前記振動子の変位に起因して生じる
    変位もしくは撓みに基づいて、前記振動子のY軸方向へ
    の変位に関係した第4の値を検出する第4の検出手段
    と、前記第1の検出期間には、前記第1の値および前記
    第2の値の双方に基づいて前記振動子のX軸方向への変
    位を検出し、検出した変位をY軸まわりの角速度を示す
    電気信号として出力するとともに、前記第3の値および
    前記第4の値の双方に基づいて前記振動子のY軸方向へ
    の変位を検出し、検出した変位をX軸まわりの角速度を
    示す電気信号として出力する動作を行い、前記第2の検
    出期間には、前記第3の値および前記第4の値の双方に
    基づいて前記振動子のY軸方向への変位を検出し、検出
    した変位をZ軸まわりの角速度を示す電気信号として出
    力する動作を行う変位検出回路と、を有することを特徴
    とする角速度センサ。
  9. 【請求項9】 XYZ三次元座標系における各座標軸ま
    わりの角速度を検出する三次元角速度センサであって、 主面がXY平面に対して平行になり中心部においてZ軸
    と交差するように配置され、可撓性をもった可撓基板
    と、 前記可撓基板の下面に固着された振動子と、 前記可撓基板を支持するとともに前記振動子を収容する
    センサ筐体と、 前記振動子を所定の座標軸方向に振動させる励振手段
    と、 前記振動子の所定の座標軸方向への変位を検出する変位
    検出手段と、 を備え、 前記励振手段は、前記可撓基板の上面におけるX軸の正
    の領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられ
    た電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第1
    の駆動手段と、前記可撓基板の上面におけるX軸の負の
    領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられた
    電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第2の
    駆動手段と、前記可撓基板の上面におけるY軸の正の領
    域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられた電
    気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第3の駆
    動手段と、前記可撓基板の上面におけるY軸の負の領域
    上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられた電気
    信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第4の駆動
    手段と、前記第1の駆動手段および前記第2の駆動手段
    に交流信号を供給することにより前記振動子をX軸方向
    に振動させるX軸方向励振動作と、前記第3の駆動手段
    および前記第4の駆動手段に交流信号を供給することに
    より前記振動子をY軸方向に振動させるY軸方向励振動
    作と、を選択的に実行する機能を有し、時分割を行うこ
    とにより、第1の検出期間には前記Y軸方向励振動作を
    実行し、第2の検出期間には前記X軸方向励振動作を実
    行する振動発生回路と、を有し、 前記変位検出手段は、前記可撓基板の上面におけるX軸
    の正の領域上に配置され、当該配置箇所における前記振
    動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づい
    て、前記振動子のX軸方向への変位に関係した第1の値
    を検出する第1の検出手段と、前記可撓基板の上面にお
    けるX軸の負の領域上に配置され、当該配置箇所におけ
    る前記振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓み
    に基づいて、前記振動子のX軸方向への変位に関係した
    第2の値を検出する第2の検出手段と、前記可撓基板の
    上面の所定位置に配置され、当該配置箇所における前記
    振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づ
    いて、前記振動子のZ軸方向への変位を示す第3の値を
    検出する第3の検出手段と、前記第1の検出期間には、
    前記第1の値および前記第2の値の双方に基づいて前記
    振動子のX軸方向への変位を検出し、検出した変位をZ
    軸まわりの角速度を示す電気信号として出力するととも
    に、Z軸方向への変位を示す前記第3の値をX軸まわり
    の角速度を示す電気信号として出力する動作を行い、前
    記第2の検出期間には、Z軸方向への変位を示す前記第
    3の値をY軸まわりの角速度を示す電気信号として出力
    する動作を行う変位検出回路と、を有することを特徴と
    する角速度センサ。
  10. 【請求項10】 XYZ三次元座標系における各座標軸
    まわりの角速度を検出する三次元角速度センサであっ
    て、 主面がXY平面に対して平行になり中心部においてZ軸
    と交差するように配置され、可撓性をもった可撓基板
    と、 前記可撓基板の下面に固着された振動子と、 前記可撓基板を支持するとともに前記振動子を収容する
    センサ筐体と、 前記振動子を所定の座標軸方向に振動させる励振手段
    と、 前記振動子の所定の座標軸方向への変位を検出する変位
    検出手段と、 を備え、 前記励振手段は、前記可撓基板の上面におけるY軸の正
    の領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられ
    た電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第1
    の駆動手段と、前記可撓基板の上面におけるY軸の負の
    領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられた
    電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第2の
    駆動手段と、前記可撓基板の上面の前記振動子をZ軸方
    向に変位させることが可能な所定位置に配置され、当該
    配置箇所に対して、与えられた電気信号に応じた変位も
    しくは撓みを生じさせる第3の駆動手段と、前記第1の
    駆動手段および前記第2の駆動手段に交流信号を供給す
    ることにより前記振動子をY軸方向に振動させるY軸方
    向励振動作と、前記第3の駆動手段に交流信号を供給す
    ることにより前記振動子をZ軸方向に振動させるZ軸方
    向励振動作と、を選択的に実行する機能を有し、時分割
    を行うことにより、第1の検出期間には前記Y軸方向励
    振動作を実行し、第2の検出期間には前記Z軸方向励振
    動作を実行する振動発生回路と、を有し、 前記変位検出手段は、前記可撓基板の上面におけるX軸
    の正の領域上に配置され、当該配置箇所における前記振
    動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づい
    て、前記振動子のX軸方向への変位に関係した第1の値
    を検出する第1の検出手段と、前記可撓基板の上面にお
    けるX軸の負の領域上に配置され、当該配置箇所におけ
    る前記振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓み
    に基づいて、前記振動子のX軸方向への変位に関係した
    第2の値を検出する第2の検出手段と、前記可撓基板の
    上面の所定位置に配置され、当該配置箇所における前記
    振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づ
    いて、前記振動子のZ軸方向への変位を示す第3の値を
    検出する第3の検出手段と、前記第1の検出期間には、
    前記第1の値および前記第2の値の双方に基づいて前記
    振動子のX軸方向への変位を検出し、検出した変位をZ
    軸まわりの角速度を示す電気信号として出力するととも
    に、Z軸方向への変位を示す前記第3の値をX軸まわり
    の角速度を示す電気信号として出力する動作を行い、前
    記第2の検出期間には、前記第1の値および前記第2の
    値の双方に基づいて前記振動子のX軸方向への変位を検
    出し、検出した変位をY軸まわりの角速度を示す電気信
    号として出力する動作を行う変位検出回路と、を有する
    ことを特徴とする角速度センサ。
  11. 【請求項11】 XYZ三次元座標系における各座標軸
    まわりの角速度を検出する三次元角速度センサであっ
    て、 主面がXY平面に対して平行になり中心部においてZ軸
    と交差するように配置され、可撓性をもった可撓基板
    と、 前記可撓基板の下面に固着された振動子と、 前記可撓基板を支持するとともに前記振動子を収容する
    センサ筐体と、 前記振動子を所定の座標軸方向に振動させる励振手段
    と、 前記振動子の所定の座標軸方向への変位を検出する変位
    検出手段と、 を備え、 前記励振手段は、前記可撓基板の上面におけるY軸の正
    の領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられ
    た電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第1
    の駆動手段と、前記可撓基板の上面におけるY軸の負の
    領域上に配置され、当該配置箇所に対して、与えられた
    電気信号に応じた変位もしくは撓みを生じさせる第2の
    駆動手段と、前記可撓基板の上面の前記振動子をZ軸方
    向に変位させることが可能な所定位置に配置され、当該
    配置箇所に対して、与えられた電気信号に応じた変位も
    しくは撓みを生じさせる第3の駆動手段と、前記第1の
    駆動手段および前記第2の駆動手段に交流信号を供給す
    ることにより前記振動子をY軸方向に振動させるY軸方
    向励振動作と、前記第3の駆動手段に交流信号を供給す
    ることにより前記振動子をZ軸方向に振動させるZ軸方
    向励振動作と、を選択的に実行する機能を有し、時分割
    を行うことにより、第1の検出期間には前記Z軸方向励
    振動作を実行し、第2の検出期間には前記Y軸方向励振
    動作を実行する振動発生回路と、を有し、 前記変位検出手段は、前記可撓基板の上面におけるX軸
    の正の領域上に配置され、当該配置箇所における前記振
    動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓みに基づい
    て、前記振動子のX軸方向への変位に関係した第1の値
    を検出する第1の検出手段と、前記可撓基板の上面にお
    けるX軸の負の領域上に配置され、当該配置箇所におけ
    る前記振動子の変位に起因して生じる変位もしくは撓み
    に基づいて、前記振動子のX軸方向への変位に関係した
    第2の値を検出する第2の検出手段と、前記可撓基板の
    上面におけるY軸の正の領域上に配置され、当該配置箇
    所における前記振動子の変位に起因して生じる変位もし
    くは撓みに基づいて、前記振動子のY軸方向への変位に
    関係した第3の値を検出する第3の検出手段と、前記可
    撓基板の上面におけるY軸の負の領域上に配置され、当
    該配置箇所における前記振動子の変位に起因して生じる
    変位もしくは撓みに基づいて、前記振動子のY軸方向へ
    の変位に関係した第4の値を検出する第4の検出手段
    と、前記第1の検出期間には、前記第1の値および前記
    第2の値の双方に基づいて前記振動子のX軸方向への変
    位を検出し、検出した変位をY軸まわりの角速度を示す
    電気信号として出力するとともに、前記第3の値および
    前記第4の値の双方に基づいて前記振動子のY軸方向へ
    の変位を検出し、検出した変位をX軸まわりの角速度を
    示す電気信号として出力する動作を行い、前記第2の検
    出期間には、前記第1の値および前記第2の値の双方に
    基づいて前記振動子のX軸方向への変位を検出し、検出
    した変位をZ軸まわりの角速度を示す電気信号として出
    力する動作を行う変位検出回路と、を有することを特徴
    とする角速度センサ。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかに記載の角
    速度センサにおいて、 可撓基板に対向する位置に固定基板を設け、駆動手段と
    して、一方の電極が前記可撓基板上に形成され、他方の
    電極が前記固定基板上に形成された容量素子を用いるこ
    とを特徴とする角速度センサ。
  13. 【請求項13】 請求項1〜11のいずれかに記載の角
    速度センサにおいて、 可撓基板に対向する位置に固定基板を設け、検出手段と
    して、一方の電極が前記可撓基板上に形成され、他方の
    電極が前記固定基板上に形成された容量素子を用いるこ
    とを特徴とする角速度センサ。
  14. 【請求項14】 請求項12または13に記載の角速度
    センサにおいて、 複数の容量素子を構成するために可撓基板上に形成され
    た複数の電極または固定基板上に形成された複数の電極
    のいずれか一方が、単一の電極層によって構成されてい
    ることを特徴とする角速度センサ。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の角速度センサにお
    いて、 可撓基板または固定基板を導電性材料によって構成し、
    この基板自身を単一の電極層として用いることを特徴と
    する角速度センサ。
  16. 【請求項16】 請求項1〜11のいずれかに記載の角
    速度センサにおいて、 検出手段として、可撓基板上に形成されたピエゾ抵抗素
    子を用いることを特徴とする角速度センサ。
  17. 【請求項17】 請求項1〜11のいずれかに記載の角
    速度センサにおいて、 駆動手段として、可撓基板の上面に直接もしくは間接的
    に接合された圧電素子を用いることを特徴とする角速度
    センサ。
  18. 【請求項18】 請求項1〜11のいずれかに記載の角
    速度センサにおいて、 検出手段として、可撓基板の上面に直接もしくは間接的
    に接合された圧電素子を用いることを特徴とする角速度
    センサ。
  19. 【請求項19】 請求項17または18に記載の角速度
    センサにおいて、 単一の板状圧電素子の両面のそれぞれ対向する位置に複
    数の電極対を形成し、各電極対により挟まれた圧電素子
    の一部分をそれぞれ1つの駆動手段または検出手段とし
    て用いることを特徴とする角速度センサ。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載の角速度センサにお
    いて、 圧電素子の部分ごとに異なる分極処理が施されているこ
    とを特徴とする角速度センサ。
  21. 【請求項21】 請求項17または18に記載の角速度
    センサにおいて、 物理的に分割された複数の圧電素子を用いることを特徴
    とする角速度センサ。
  22. 【請求項22】 請求項17〜21のいずれかに記載の
    角速度センサにおいて、 異なる駆動手段または検出手段として利用される単一の
    圧電素子の各部分もしくは複数の圧電素子にそれぞれ形
    成される複数の電極が、単一の電極層によって構成され
    ていることを特徴とする角速度センサ。
  23. 【請求項23】 請求項22に記載の角速度センサにお
    いて、 可撓基板を導電性材料によって構成し、この基板自身を
    単一の電極層として用いることを特徴とする角速度セン
    サ。
  24. 【請求項24】 三次元座標系における各座標軸まわり
    の角速度を検出する多軸角速度センサであって、 質量をもった振動子と、 この振動子を収容するセンサ筐体と、 前記振動子を、前記各座標軸方向に移動できるような自
    由度をもった状態で、前記センサ筐体に接続する接続手
    段と、 前記振動子を、クーロン力、磁気力、または圧電素子に
    発生する応力を利用して、前記各座標軸方向に振動させ
    る励振手段と、 前記振動子の前記各座標軸方向への変位を検出する変位
    検出手段と、 を備えることを特徴とする多軸角速度センサ。
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