JP4398590B2 - 情報を伝送する方法およびそれに適したシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は情報伝送方法およびそれに適したシステムに関する。
【0002】
【発明の背景】
多くの技術分野において情報伝送のために波が利用される。その場合には例えば電磁波もしくは音波とすることができ、これらは特別な導体または与えられた伝送媒体(媒質)の中を自由に拡散し、そのようにして送信機もしくは送信ユニットから受信機または受信ユニットに達する。両ユニットが例えば対応する周波数もしくは情報伝送用に考慮された周波数領域に同調されるときに接続が形成される。この接続を介して様々な方法で情報を伝送することができる。
【0003】
そのために言語、文章、数列、音楽、画像データあるいはその他のデータとして適した形態で存在し得るソース(源)情報は、次に送信機から波形信号の形態で伝送媒体へ放射させるために変換もしくは符号化されなければならない。受信機はこれらの信号を受信し、これらの信号を再び元の形態へ変換すなわち前記信号を復号しかつソース情報に相当する情報を出力する。
【0004】
それぞれ情報が、どのような形態で波形に符号化されるかによって、アナログとディジタルの情報伝送の間で区別される。
【0005】
アナログ情報伝送において伝送される値は物理的状態の無段階の、連続的なスペクトルで表される。これは典型的に搬送波の振幅、周波数および/または位相変調の形態で行われる。それによって所定の時間間隔で非常に大きい情報量を伝送することができる。
【0006】
ディジタル情報伝送においては、逆に一定の離散的(不連続)状態に制限される。伝送速度に関しては、電磁波が使用される限りにおいて、しかし従来の実際の応用では該当する搬送波の周波数を非常に高くかつ異なったディジタル状態を極端に短い時間間隔で実現できるため、まだ何ら制限が生じていない。
【0007】
しかし例えば水のような幾つかの伝送媒体では電磁波を用いた情報伝送は、電磁波が僅かな到達距離を有するにすぎないため制限付きでのみ可能である。従ってその場合にはしばしば本質的により大きい距離を進むことができる情報伝送のための音波の使用が提供される。音波は類似の方法で ― 上述のように ― 変調することができる。しかしこの音波は機械的な圧力波であり、これは当然伝送可能な情報速度に影響を及ぼす著しく低い周波数を除けば、一般的な拡散に関しても区別される。つまり例えば前記音波の拡散速度はその時々の伝送条件に大きく左右される。
【0008】
音響情報伝送で発生することがある多様な問題を簡単に水中の音響信号の伝送の例で説明する。空間中で送信機から放出された音波の拡散時にそれらの一部が例えば水面からおよび/または水域の底部の深さ、種々の対象物、気泡、浮遊粒子および水中の層を成した不均一性に依存して反射しあるいはこれらによって回折されることがある。音波の種々の成分はその場合にそれぞれ進行距離、角度比および対応する境界面もしくは媒体の音響的な性状によって受信機に異なった振幅および位相状態で到来する。この干渉の結果、本来の信号は受信点で予想し得ない仕方で増幅、減衰、歪みが生じあるいはその上完全に消滅することがあり、もしくは受信がいわゆる残響によって妨害されることがある。
【0009】
この問題をより詳しく説明するために、まず第一に一定の周波数の非常に短いただ1つの信号、いわゆるCWP(連続波パルス)が送信されるときの簡単な場合を考察する。その場合に前記状態で受信機によって個別的信号のみならず、時間的に移動させかつ異なった強い個別的パルスの全群を得ることができる。この効果は「チャネル応答」と呼ばれる。この場合にはまだ受信側で該当する個別的パルスを区別し、例えばそれぞれ最も好適なパルスを「本来の信号」として選択することも可能である(それに基づいて別のパルスを次に一貫して「雑音信号」として解釈し、必要な場合にはそれに対応して処理することができる)のに対し、受信機が確かにまだソース信号と同じ周波数を有する概略のもしくは合成された信号のみを得るが、本来の信号および雑音(ノイズ)信号はその異なった振幅と位相状態とによって、予想し得ない振幅および位相状態の変動を生じることがあるように重畳されているため、前記のような分離はより長い波形パケットを伝達する際には通常もはや行うことができない。信号評価を困難にしあるいは事情によって全く不可能になることもある前記のような好ましくない効果は「符号間干渉」と呼ばれる。送信機および受信機が互いに相対的に移動しているとき、付加的な問題としてさらにドップラー効果による周波数シフトが加わることもある。
【0010】
山積するこれらの問題は例えば超音波を用いた潜水者の間および/または潜水船の間の水中通信および対応する水中機器類の遠隔操作を非常に困難にする。従来、特にアナログ情報伝送は非常に制限付きでのみ実施可能であることが証明されている。しかしこのアナログ情報伝送は過去でも現在でもしばしば言語を伝送するために使用されており、人間がその公知の単語および意味連関を非常に強い雑音のある受信時にも識別できることに利用されている。限られた語彙の対応する練習および取決めによってこの識別速度は幾らか改善することができる。しかしこの方法は例えばコンピュータ・データもしくはその他の情報を機械的に伝送するためには不適である。従って音響情報伝送の分野でも好適なディジタル方式が求められている。
【0011】
特に水中で使用するための技術的な今日のディジタル・システムは多少狭い周波数帯に固定された均一な高さの音響信号の連続的な伝送に基づいている。可能な限り大きい到達距離を達成しかつ音響的に隠れた周波数領域による情報損失を排除するために、幾つかのアプリケーション(適用)によって高いエネルギを用いて同時に広帯域の周波数で送信される。伝送が狭帯域の周波数または広帯域の周波数で行われるかには無関係に、符号化は直列の「クリック」によってただ1つの制限付きの情報伝送速度を可能にし、これが例えば水中カメラなどの画像の伝送時に多量の情報の伝送を困難にし、もしくは従来まだ不可能なことであった。「音響的な環境汚染」も意味する比較的大きいエネルギ・コストのほかに、従来公知の比較的「堅固な」システムもドップラー効果による大きい問題を有する。
【0012】
伝送技術に制限された歪みおよび損失を度外視すれば、さらに複雑な受信信号に含まれる情報が種々のその中に含まれる妨害をフェードアウトもしくは消去させかつ情報符号化に使用された信号パラメータを受信側で再構成できるように処理する著しい困難もある。しかし、データ伝送の分野には現在上記の問題の全体を充分かつ最適の方法で解決できる方法がない。
【0013】
本発明の課題は、大きい到達距離にわたって高い伝送速度を可能にする情報伝送のための方法もしくは好適なシステムを提供することである。
【0014】
さらに、上記妨害に対しても耐性がありかつ異なった伝送条件に適合可能である情報伝送方法もしくはシステムを提供することが目指される。
【0015】
特に多数のチャネル応答から成る符号間干渉を可能な限り最良に排除するための高い選択度で可能な限り常に最少の伝送損失を有する信号成分を分離し、解析することができる信号処理のための方法もしくは好適なシステムを提供することが目指される。
【0016】
さらに、また同じ文脈で可能な限り完全なドップラー効果の補償を保証する信号処理のための方法もしくは好適なシステムを提供することが目指される。
【0017】
さらに、可能な限り最良の信号処理の品質によって、例えば水中で移動する対象物との通信もしくはそれらの間での通信時のような複雑な伝送条件下でも伝送速度と必要な場合には到達距離も著しく向上させる前提条件を構築することが意図されている。
【0018】
【発明の概要】
これらの課題は、方法技術的に請求項1の特徴と装置技術的に請求項27の特徴とによって解決される。
【0019】
出願に従って少なくとも2つの信号成分、基準周波数チャネルで送信される少なくとも1つの基準成分(BK)と情報周波数チャネルで伝送される少なくとも1つの情報成分(IK)もしくは(I1;I2;・・・;IN)とから成る情報信号が発生されるため、複数の周波数チャネルもしくは成分が提供される。それらの同時使用によって単位時間当たりに複数の情報ユニットに伝達することができる。さらに、基準周波数チャネルもしくは基準成分も情報周波数チャネルもしくは情報成分もビット・パターンを形成する離散的(不連続)状態を提供する。例えば従来のラジオ技術との本質的な違いとして本願による方法では高周波搬送波が全く使用されず、低周波の波で変調される。その場合に情報伝送に援用される発生された情報信号は基準周波数チャネルと少なくとも1つの情報周波数チャネルとの重畳から成る波である。
【0020】
最も単純な場合でビット・パターンを提供するために情報周波数チャネルの周波数もしくはトーン(音)を入(オン)もしくは切(オフ)することができ、該当する信号周波数成分の存在または不存在が2値(バイナリ)のディジタル情報(オン/オフ)として、即ち1または0で評価される。それによってこの方法でこの情報周波数チャネルの各々で1ビットを伝送することができる。信号成分は併せて情報を任意の方法で符号化することができる1ビット・パターンを与える。
【0021】
この最も単純な場合は実質的に該当する情報信号の全てのパラメータに当てはまるのに対して、オン状態ではさらに付加的に別のディジタル状態を区別できるように様々な信号パラメータを変化させることができる。
【0022】
その他の好ましい実施形態は従属請求項の目的である。
【0023】
請求項2に従って最も簡単な方法でビット・パターンの時間的順序が発生される。
【0024】
請求項3は周波数チャネルが高調波系列を形成する好ましい基本変形を含む。
【0025】
請求項4に従って基準周波数チャネルが基本トーンもしくは基本波としてかつ情報周波数チャネルの少なくとも1つが基本トーンに対するオーバトーンもしくは高調波としてまたは、さらに、全ての情報周波数チャネルが基本トーンに対するオーバトーンとして形成されるとき、個々の周波数もしくはトーン(音)あるいは信号成分が高調波系列とそれによって和音系とを形成する。本願によるシステムの特殊性は基本トーンが最大の到達距離を有する最小周波数で情報伝送中に永続的に送信することができ、かつそれによって擬似的に送信ユニットと受信ユニットとの間に常時ブリッジを形成することである。基本トーンとして形成された基準周波数チャネルはその場合に本来の情報伝達ではなく常時の基準としてその他の情報周波数チャネルの同調に利用され、かつ必要な場合には後でさらに説明するように相対的な位相状態の決定に利用され、ならびにエネルギ供給者として非線形効果を利用する場合には全周波数システムの到達距離の増大に利用される。しかし、ここでは、基本的に低いトーンの代わりにこれが特定の環境の影響でまたは所定のアプリケーション(適用)にとってより好ましい場合、所定の周波数スペクトルの任意の別のトーンも基準トーンまたは基本トーンとして使用できることを指摘しておく。
【0026】
情報周波数チャネルが基準周波数チャネルに対して常に一定の距離を有する指定によって、対応する距離もしくは比例係数が知られている受信ユニットがそれに関して全ての他の能動的な情報周波数チャネルを識別しかつ常時操作上同調できるようにするため、単に基本トーンとして形成された基準周波数チャネルだけを見つけ出す必要のあることが保証される。この同調プロセスはこのシステムが大きい追加コストなしに様々な伝送条件に適合できるように自動化することができる。基本トーンの自動的な識別およびそれに対応する受信ユニット側の自動適合性の情報チャネルの同調は、例えば高調波(調和)周波数解析システムが利用されるとき、それによって従来の方法における例えばドップラー効果に起因する問題がなくなるため、特に移動する対象物との通信またはそれらの間の通信時に著しい長所を意味する。
【0027】
請求項5に従って基準周波数チャネルの周波数が伝送中に時間的に変化したとき、それに基づいて今や適合システムで受信側のみならず自然に制限された周波数シフト(ドップラー効果等)を補償するために常時の再調整を実施できることになる。むしろ今や送信ユニット側でも全く意識的に受信機への接続を損なうことなく調整された周波数スペクトルの時間的変化を発生させることができる。
【0028】
基準周波数チャネルの周波数の時間的変化が請求項6に従って段階的または連続的に行われたとき、1つもしくはそれ以上の周波数勾配を提供することができる。この過程は以下周波数勾配法(FGM、Frequenz-Gradienten-Methode)と呼ぶ。この方法によって、例えば反射もしくは雑音信号の除去が達成される。FGMを用いた基準成分もしくは情報成分の変化は以下VMT(可変式多チャネル伝送、Variable Mehrkanalige Transmission)とも呼ぶ。
【0029】
これらの成分の変化が常に互いに比例的に行われる場合は、pFGMもしくはpVMTを前提とし、それに対して平行に行われる成分の変化の場合はpaFGMもしくはpaVMTを前提とする。
【0030】
FGMの使用によって従来の技術よりも本質的により鮮明かつより信頼性のある信号解析が特に固定した周波数チャネルによる信号解析を可能にする。その場合に情報周波数チャネルの動作周波数が常に変化するため、異なった伝送路で所定の時点で受信ユニットに到来する全ての信号成分は今や異なった周波数を有する。この周波数差に基づいて本来の情報周波数チャネルが場合によって存在する雑音成分から分離することができる。即ち符号間干渉は広範囲に、さらには完全に除去することができ、それによって送信ユニットから放射された情報信号を、受信側で本質的により明確な形で再現することができる。
【0031】
FGMにおいては基準周波数チャネルの周波数とそれに同期して所定の比率による情報周波数チャネルとが殆ど任意の方法で変化させることができるため、本願による方法も本願によるシステムも非常に柔軟性がある。意識的に導入した周波数ドリフトによって複数の伝送システムの相互の重畳を回避することができ、場合によっては望ましくない盗聴を困難にする。
【0032】
さらに、また基準周波数チャネルおよび情報周波数チャネルの周波数のほかに別の信号パラメータがビット・パターンを発生させるために援用されるとき、符号化は簡単な方法でより複雑にして、情報速度をそれに対応して高めることができる。
【0033】
請求項7に従って情報信号が振幅変調されるとき、変調のために援用した振幅の振動ノードで、例えば情報信号の中にいわゆる「グリッチング」と呼ばれる妨害を生じさせることなく個々の情報周波数チャネルを変化させることができる時点を指定することができる。それによって伝送品質をさらに改善することができる。
【0034】
請求項8に従ってビット・パターンが所定の時間サイクルで発生されるとき、このビット・パターンは受信側でも簡単な方法で復号することができ、それによって伝送精度が向上する。
【0035】
請求項9に従ってビット・パターンがある時間サイクル以内に変化するとき、特にこの時間サイクル以内の最初の部分を、どの情報周波数チャネルが情報伝送のために基本的に使用されかつ例えば残りの部分がビット・パターン自体の発生のために使用されるかを識別するために使用することができる。さらに、この場合には最初の部分が基準周波数チャネルに追加してさらに参照され、それによって第2のクロック部分で伝達された信号成分のパラメータを非常に大きい精度で決定することができる。この方法によって伝送の安全性が向上する。
【0036】
請求項10による好ましい実施形態は異なった伝送環境と利用者要求とに適合される可能性を支援する。
【0037】
請求項11の措置によって伝送速度を高めることができることが達成される。
【0038】
特にFGMのアプリケーションによって達成可能な高い受信品質に基づき個々の信号成分の上述の入(オン)および切(オフ)と組合せてまたはその代わりに情報を特定の信号パラメータまたはパラメータの組合せのより微細な変化でも符号化することができる。受信した信号の中に周波数のほかに今や信号成分の振幅および位相角も初めに発生した信号に比べより強く規定された基準を有するため、実質的に全てのパラメータを符号化で考慮することができる。これは例えば段階状の変化によって行うことができる。
【0039】
その場合にこの方法の本質的な長所は、符号化のために信号内部の基準を所定の周波数システムで利用できることである。この相対化によってビット・パターンもしくはシンボルは、外部の基準量に対する付加的な参照を必要とせずに、1つまたは2つの受信した時間サイクルによって識別できることが達成される。
【0040】
つまり例えば位相角がそれぞれの時間サイクルによる現在の関係の形でその時々の情報成分とBKの間で決定することができる。この符号化方法は相対的位相角法、略してRPWMと呼ぶ。この方法では前の状態がもはや何の役割も果たさず、外部の時間が信号評価のためのその意義を失う。その代わりに例えば殆どBKの瞬間のサイクル時間によって読出しできる相対的なシステム内部の時間が進み、これは ― 外部から見たとき ― それぞれ現在の周波数に依存する。相対的な位相角は、例えば評価プロセスで全ての信号成分すなわち情報周波数チャネルと基準周波数チャネルとがまず初めに統一された周期時間に標準化されるとき、簡単な方法で決定することができる。しかし、それによって原理のみが明らかにされることになる。信号処理から射影(マッピング、写像)法および変換法の幅広い多様性が知られていて、これらは相対的な位相角の決定に援用することができる。それによって利用者は実質的な変換のための大きい余地を有する。しかし、本願による方法にとってはFGMおよび特にpFGMの結果において本質的に一連の雑音効果を除去することができるため、相対的な位相角をより大きい精度で算出することができ、これがより微細な離散性(不連続性)のために、つまりより多くのディジタル状態の区別とそれによりさらなる情報速度の向上とに利用することができる。
【0041】
もう1つの変形は例えば情報が直接BKまたはGTに関するその時々の成分の位相角で、いわゆる垂直の信号内部の基準としてではなく、この位相角と最後にその前に算出された同一成分の相対的な位相角との間の差分で、いわゆる水平の信号内部の基準として符号化されることである。この方法は相対的位相差分法、略してRPDMと呼ぶ。RPDMではそれぞれ第1時間サイクルが閉じた伝送シーケンスの中でもっぱら水平の基準として利用される。非常に複雑な伝送条件下ではRPDMを請求項9に記載の方法と組合せて使用することも好ましいとすることができる。それに対し非常に有利な伝送条件ではもっぱら水平の信号内部の基準を相対的な位相角の決定に利用することも充分とすることができる。その場合には基準周波数チャネルを同様に情報符号化に利用することができる。さらに、RPWMでもRPDMでも信号成分の不存在もしくは一定の振幅閾値の低下は付加的なディジタル状態を具現できることを指摘しておく。
【0042】
請求項12に従って情報チャネルの数が伝送路に依存して変化するとき、特に送信ユニットと受信ユニットとの間の距離の減少時に付加的な、典型的により高い周波数または従来のチャネル間にある例えば別の一定の周波数が利用され、それに対し他方で非常に大きい距離では主により低い周波数領域が利用されることが達成される。この措置によって波形信号の拡散特性の最適の活用が得られ、これが特に音響信号の使用時に大きい意義をもつ。この方法で例えば水中の領域でそれぞれ最大のビットレートおよび/または従来達成が困難であった伝送区間を実現することができる。もちろんこの柔軟性は、特別な伝送条件に同調された設定をそれによって所定の動作管理を良好に満たすことができる場合、基本標準として指定できることを含む。
【0043】
上述の信号パラメータの具体的な状態もしくは比例関係のほかにさらに所定の方法で情報を瞬間的な時間的変化すなわち動的特性でも符号化することができる。
【0044】
請求項13に従って個々の情報周波数チャネルがより幅広もしくは広帯域に、しかし重畳されずに設計されるとき、該当する信号成分の連続的な位相シフトを発生しかつこれを例えば情報符号化のために利用する可能性が構成される。この措置は位相勾配法または位相速度法PGMと呼ぶ。基本トーンに対する距離はその場合に典型的に対応するチャネルの平均値の特性曲線に関係する。情報伝送中に今やそれぞれの時間サイクルで個々の情報周波数チャネルの周波数が所定のチャネルの内部で僅かに ― 典型的にそれぞれ現在の目標値の0.5%未満 ― 移動させまたは連続的に変化させることができ、それによって連続的に一様のもしくは加速されたその時々の情報周波数チャネルの位相シフトを基本トーンもしくは基準周波数チャネルに対して生じさせることができる。受信ユニットは所定の時間サイクルで周波数が対応するチャネルで送信されたかを識別するのみならず、― ある周波数が存在する場合 ― 相対的な位相角および/または特性パラメータも決定し、それらの関数を例えば基本トーンもしくは基準周波数チャネルのそれぞれ現在のサイクル時間に依存して記述する。それによって本来の状態値もしくは比例値のほかにそれらの時間的変化も符号化のために使用することができる。そこから多様な変形および組合せの可能性が生じ、これらは情報伝送速度の向上に、異なった使用条件への伝送システムのより大きい適合性に、もしくは装置とそのコストの最適化のためにも利用することができる。
【0045】
情報信号の簡単な取扱いもしくは処理のために受信後基準成分が請求項16による少なくとも1つの情報成分から分離される。
【0046】
請求項17に従って、1つもしくはそれぞれ最も好適な基準成分もしくは参照成分を含むその時々の情報を担う信号成分の一対の処理によってドップラー効果の補償が達成される。副次的結果としてこの処理ステップは周波数安定化の提供を支援することができる。paFGMの場合、このステップは直接安定した、即ち定常中間周波数の形成をもたらすことができる。
【0047】
請求項18による新規な構成は定常中間周波数(Z′1;Z′2;・・・;Z′N+X)への信号成分の変換を保証し、その場合にはさらに好ましく処理することができる。これらの長所の1つは例えば定常中間周波数(Z1;Z2;・・・;ZN+X)が請求項20による後続のフィルタ段のために最適の周波数窓に配置できることであり、これが同時に特にシャープ(鮮明)なフィルタの使用も可能にする。
【0048】
pFGMもしくはpVMTの使用によって、請求項16乃至18による方式の選択肢として事前の信号成分の分離なしにかつヘテロダイン周波数を使用しないで例えば現在の時間サイクルの乗算によってのみ受信した信号を先行する時間サイクルの受信信号によって定常中間周波数を発生する可能性もある。請求項19による信号処理の変形は好ましくは差分位相符号化の使用と組合せて提供される。
【0049】
請求項20による新規な構成は今や種々のチャネル応答の周波数安定化スペクトルから各信号成分のためにそれぞれ最も好適な信号成分を分離し例えばフィルタで取り出し、その場合に可能な残りの信号分の雑音の影響を最小限にする課題を有する。後者はこの関連において、これが請求項16に従って行われずまたはまだ完全に行われない場合に信号成分を互いに分離できることも含まれる。
【0050】
そのために最も簡単な場合では特定のフィルタを使用することができる。それによって特にそれぞれ不要の、即ちまさに評価対象にならない成分をフェードアウトし、即ちそれぞれフィルタで除去することができる。その結果、情報を担持する各信号成分の明確に定義された表現が得られ、それによって情報符号化のために使用した信号パラメータ(例えば振幅および/または位相状態)を可能な限り最良の方法で再構成することができる。またこれも単に基本原理の説明である。
【0051】
もちろん一般に公知の、多様な信号処理のレパートリから、例えば信号分の識別のほかにそれに帰属するパラメータも提供するより複雑な方法を使用することもできる。
【0052】
請求項21による新規な構成によって、処理プロセスにより信号評価の中に誤りが全く生じないことが達成される。
【0053】
請求項22による新規な構成によって、それぞれ現在の伝送条件のために常に信号パラメータを最適な、即ち可能な限り最良の方法で決定できる信号分もしくはチャネル応答を識別できる長所が達成される。通常これは最も強い即ちエネルギが最も高い信号分であり、これが信号評価の可能な限り最良の品質を可能にする。チャネル・チューニングによって可能な限り厳密に所望の成分をフィルタで取り出しかつ他のチャネル応答の雑音の影響ならびに予想される側波帯を最適に抑制するために例えば可能な限り最良のフィルタ調整を算出することができる。後者は特に受信半径の拡大および/または情報速度の増加にも貢献することができる。受信信号が良好かつ確実になるほど、情報符号化のためのより微細な格付けまたは異なったパラメータ変化の組合せを使用する可能性もますます多く提供される。
【0054】
請求項23によるそれぞれ最も好適な受信成分のフィルタ調整もしくは連続的な識別の連続的な更新によって例えば急激に変化する伝送条件下でも最適の受信結果を達成することができ、前記方法の長所はチャネル・チューニングのために本来の情報伝送を全く中断する必要がないことである。
【0055】
請求項27に従えば、ドップラー補償が最適化される長所が得られる。
【0056】
請求項28による方法は、好ましくは強いドップラー負荷をもつ受信信号の処理のために適用され、ここでは各信号成分が本質的にただ1つのチャネル応答によって代表される。
【0057】
本発明のその他の好ましい実施形態はその他の従属請求項のためのものである。
【0058】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本願による目的の相異なる実施形態をより詳しく説明する。
【0059】
図1は、情報信号ISが例えば基準成分として形成された、この場合では基本トーンGTとしても形成された基準周波数チャネルBKと、例えば3つの情報成分として形成された情報周波数チャネルI1、I2、I3とからどのように構成されているかを示している。図1に示した情報周波数チャネルは基本トーンGTに対する高調波HK1、HK2およびHK3であり、これが重畳によって情報信号を形成する。この図からは、情報周波数チャネルの各々が存在または不存在(非存在)によって1または0に等しい2値(バイナリ)のディジタル情報を提供できることが読み取れる(図2bも参照)。
【0060】
図2aに、例えば時間サイクル(タクト、周期)の開始および終了時に、情報信号が情報周波数チャネルの時間的変化によって変化するとき、定常的(常時の)もしくは流動的な(非定常的)変換を補償するために図1からの情報信号ISの振幅変調を示した。
【0061】
前述のような変化は例えば図2bに示しており、情報信号の形態は時間サイクルから時間サイクルへと変化するため、例えば領域Iに基本トーンと第2および第3の高調波との重畳(GT+HK2+HK3)から成る情報信号ISが存在し、その次の時間サイクル(領域II)において定常的な第2および第3の高調波の不存在によって単一の基本トーン(GT)へと移行し、次いで次の時間サイクルで基本トーンと第1の高調波の重畳により別の符号化されたビット・パターンに相当する変化した情報信号を表示する(領域III参照)。この方法によって、これらの情報チャネルの各々でそれにより時間サイクル当たり1ビットを伝送することができる。それによって全体的に各時間サイクルにつき1ビット・パターンが生じ、その中で情報を任意の方法で符号化することができる。一般的にそれによって提供されるそれぞれの情報チャネルの数に応じてかつ使用した符号化システムに応じて例えば1キャラクタ(文字)または別のシンボル(記号)を符号化することができる。
【0062】
ここで、2、4、8、12、16およびその他の情報チャネルの使用時に電子データ処理の様々な慣例の方法に対して直接的な両立性(コンパチビリティ)が生じることを指摘しておく。
【0063】
図3に例えば単語「DolphinCom」が一般に公知のASCIIコードで4つの情報チャネルの使用時にどのように伝送できるかを示した。情報信号を形成する周波数システムは、この具体例では基本トーンGTとして使用した1つの基準周波数チャネルと、高調波としてその上に形成される4つの高調波情報周波数チャネル(I1、I2、I3およびI4)とから成り、これらは比例FGMによって時間的に変化される。符号化はこの例では高調波の入(オン)もしくは切(オフ)によってのみ行われる。垂直の線はここで常に同じ長さを有する時間サイクルを示す。各時間サイクルのためにシンボルと呼ばれる特定のビット・パターンが生じる。それぞれ2つのシンボルが組になってASCIIコードの中の1キャラクタを形成する。表示されたのは単語「DolphinCom」である。基本的には、伝送する情報とさらに各々任意の別のコードの符号化に使用することができ、これは利用者に専用のプログラミングの最大限の余地を可能にし、かつこの方法はEDVの殆ど全てのシステムに対して両立性を有する。図3に示したように、基準周波数チャネルが連続的に変化し、4つの情報周波数チャネル(I1、I2、I3およびI4)の周波数が比例してシフトする。一方、図4は同様にASCIIコードの単語「DolphinCom」を4つの情報チャネルの使用時に伝送することができ、図4のように基準周波数チャネルは連続的に変化するが、例えば基準周波数チャネルに対してはまず初めに高調波(調和)的に配置された情報周波数チャネルが常に基準周波数チャネルの変化と平行に(並行して)シフトする。
【0064】
図5は、例えば基準周波数チャネルがFGMの意味で連続的に変化するとき、本質的により明確(鮮明)かつ信頼性のある信号解析をどのように実施できるかを示している。図5に示した例においては、図3に準じて典型例として3つの情報周波数チャネルが選択されており、それらに本来の信号周波数の他にそれぞれ1つの先行および後続の周波数が雑音信号として受信機に到来し、その時々の時間オフセットが全ての3つの情報周波数チャネルに対して同じに選ばれている。この基本原理を具体的に示すために時間サイクルの表示は省略した。垂直の切断線(tiから開始)は、所定の時点tiで全ての受信した情報周波数が互いに異なることを具体的に示す。もちろんこの周波数差によって今や本来の信号周波数を雑音周波数から分離し、もしくは符号間干渉から広範囲に、さらには完全に除去できることが特に重要である。この関連においては、受信しかつそのように「処理された」信号成分の振幅および位相状態は基準周波数チャネルに対して明確な基準を有することが重要である。FGMの適用時に本来の信号周波数をその時々の雑音信号から分離するために特定の周波数フィルタを使用することができる。図5から、雑音信号と信号周波数の間隔が周波数変化の勾配df/dt即ちその時々の周波数速度が急峻になるほどますます大きくなることを明らかに識別できる。図5に示したシステムでは、全ての情報周波数チャネルが常に互いに比例して変化されるため、より高い情報周波数チャネルに対しより急峻な勾配とそれによって雑音信号からの現在の信号周波数の分離がより良好に形成される。
【0065】
図6は、1つの基準周波数チャネルとそれぞれ2つの隣接する雑音信号を有する4つの情報周波数チャネルとを有するシステムについて、概略的にこの機能方式もしくは効果を示している。図6に示した破線は通常用いられるフィルタの特性をシンボル化している。明らかに、フィルタの窓幅が一定でもより高い情報周波数に対してより良好な選択性が得られることが分かる。従来の方法に比べて全体的に明らかに良好な解像度が得られる。その場合、特に本願による方法によれば、特に、伝送区間で常に最も強く減衰され、その結果最小のエネルギで受信機に到達するより高い情報周波数チャネルも良好に雑音を除去できることを述べておく必要がある。この特性から例えば非常に密な本来の信号周波数の中に存在する妨害周波数を良好に分離するために目的に応じてより急峻な周波数勾配が選択され、即ち周波数のドリフト速度が上昇し、それに対してより大きい間隔ではより平坦な勾配で充分とすることができることが明らかである。前述のような適応については例えば周波数シフト・パターンの用意されたパレットを利用できるか、または周波数変化の勾配の動作上の適応のいずれかを行うことができる。後者は、例えば接続が双方向に利用されるとき、即ち送信ユニットが受信もできかつ受信ユニットが送信もできるときに容易に行える。この方法によって、例えば送信ユニットと受信ユニットの間でチャネル応答特性の解析を実施もしくは交換することができ、あるいはまた対応するパターン・トレーニングも実施することができ、それに基づいて周波数シフトに対してそれぞれ最適の勾配に調整される。もちろん妨害が無視しうるほど小さくそれに対応する好適な定常的伝送条件において勾配が極端な場合で零(ゼロ)になることもある。
【0066】
これに関連して、基本的に全信号をその中に含まれる個別的成分について解析するために常に一定数の振動周期だけが必要になるので、伝送速度の最大化にはサイクル(タクト)周波数を基準周波数チャネルの周波数高さに比例して変化させることが提供されることを述べておく。
【0067】
図7および図8aおよび図8bは、特に基準周波数チャネルの段階的な変化で現れる別の可能性を示している。この可能性は、特に信号周波数と妨害周波数の間の時間オフセットが例えば複数のミリ秒の範囲で充分大きい場合には、FGMに対する興味深い選択肢である。その場合、信号周波数と妨害周波数の間の良好な分離は、全てのチャネルが同時にサイクルからサイクルへまたは複数のサイクルへの信号要素で飛越状に少し高いまたは小さい周波数値へシフトされるが、この段階(ステップ)の内部で一定に保持される場合でもそれによって達成することができる。その場合にももちろん信号内部の比例が全ての段階で一様に定義されるように可能な限り周波数シフトを行うことが長所である。これは最も簡単に比例または平行の段階状の変化によって達成することができる。この選択肢は一般に周波数飛越法(Frequenz-Sprung-Methode)または周波数段階(ステップ)法(Frequenz-Stufen-Methode)、略してFSMと呼ばれる。図7および図8aおよび図8bにより、例えば付加的に相対的な位相符号化によってどのように個々の情報周波数チャネルの第5の符号化が発生されるかが明らかに分かる。その場合には、全ての情報周波数チャネルで各サイクルの開始時に信頼性を高めるため、第2のサイクル半部分で対応する符号化信号が続く基準(参照)信号が送信される。図7および図8aの側部の説明で示したように、それぞれ5つの状態の区別、即ち無信号(0)と4つのディジタル・ステップ(レベル)をRPDMを用いて実現できる。それによって、全体的に1つの基準周波数チャネル(BK)と3つの情報周波数チャネル(HK)とから成る情報信号によって、各サイクルに対して符号化に利用できる53=125の組合せの可能性が得られる。
【0068】
図8bは、例として情報周波数チャネルの第5の符号化の原理を示している。参照記号D1乃至D4で表示した点は信号成分であり、それによって、振幅が1つの閾値A0を超えかつ4種類の位相角Fもしくは4つの角度範囲が例えばRPWMまたはRPDMによってディジタルで識別(判別)することができ、かつ状態D5は信号成分の振幅が閾値A0より小さいことを含む。
【0069】
情報符号化のためのもう1つの方法は、例えば位相勾配法または位相速度法であり、以下PRMと略し、図9aおよび図9bならびに図10に具体的に示す。図9aおよび図9bはいわゆる比例位相速度法(pPGM)を表し、図10は付加的に非比例位相勾配法(nPGM)による関係を表している。
【0070】
PGMの上位の原理は、最も簡単に以下のソース(出力)構成を用いて説明することができる。
【0071】
情報周波数チャネルが常に1つの高調波系列(調和級数)を形成し、即ち周波数変化が比例FGMによってのみ実施されるシステムが与えられているものとする。しかし、対応する周波数が今は所定の時間サイクル間隔で精確にGTの高調波として送信されず、対応する「目標周波数」に比べ僅かに(典型的には目標値の0.5%未満)上方または下方へ離調された任意の情報周波数チャネルが取出されるものとする(図10の上列を参照)。基本的にその場合には周波数シフトが行われるが、これは、受信側での周波数解析だけでは変調信号として識別することが困難であり、その結果ディジタル状態量として解釈できないほど小さい。周波数はさらに該当する解析フィルタの選択度範囲にある。しかし、この周波数がその目標値より少し高いか低いかによって、GTと重畳した形で示した図9aもしくは図9bに、相対的な位相角が連続的に増加もしくは減少する像が生じる。情報周波数チャネルの周波数の位相はGTの位相に先行しまたはそれに対応して残留する。対応するサイクルでそれによって位相勾配が発生し、その方向はすでに肉眼で識別できかつ同様に問題なく決定することができる。GTの瞬間的な周期持続時間に対する位相勾配の評価ではその場合に一定の上昇が生じる。しかし、このような線形特性の前提条件は、全周波数システムの連続的な周波数変化で内部の、しかし所定の時間サイクル間隔で今や簡単に変化された比例が含まれることであり、即ちGTに対して情報周波数チャネルの周波数の相対的な離調が変化しないことである。この条件の充足は名称pPGMによって明らかにすることにし、その場合の小文字pは比例を表す。サイクルで見ると、pPGMの場合には基準周波数チャネルの位相に対して情報周波数位相の一様の右旋回もしくは左旋回が生じる。
【0072】
ところでこの効果は、旋回方向の信号解析において、即ち位相勾配の方向が本質的に例えば位相シフトの合計量より簡単に決定することができるため、情報符号化のために非常に好ましく利用することができる。これは数学的には単に情報周波数信号の周波数とGTとの間の相対的な位相シフトの第1の導関数(導出)の符号が決定されなければならないことを意味し、これは換言すれば相対的な位相速度が零(ゼロ)より大きいかまたは小さいかである(図10の上を参照)。
【0073】
このプロセスは各時間サイクルで各情報チャネルのために個別的に使用することができる。これを例えば前述の簡単な入(オン)および切(オフ)と組合せて利用すると、各情報チャネルのために所定の時間サイクルでGTに関して次の4種類までの離散的(不連続)状態が生じる。即ち、1.無信号、2.正の位相勾配を有する信号、3.負の位相勾配を有する信号、および4.位相勾配のない信号。必要な場合には第4の符号化が事実上第3の位相勾配符号化を含むので、実際上第4の状態が省かれ、これが場合によってはこれらのディジタル値の1つが単一の速度値(零)に関係するため2進値(バイナリ、2値)ほど確実に完全に実現されない。しかし、この問題は、その時々の受信品質に依存する。その理由は、送信側で全ての勾配を通常大きい精度で発生させることができるからである。いずれにしても、理論的には第1の場合で各チャネルで情報レート(速度)を簡単な入(オン)および切(オフ)に対して2倍にかつ第2の変形では3分の1向上させることができる。
【0074】
そのための選択肢としてそれに対応して多数の情報周波数チャネルを節約することができ、それによって周波数スペクトルを全体的により狭く保持することができ、これが同様に選択的に利用できる多くの長所をもたらす。その場合にはトランスデューサは完全に広帯域にする必要がなく、これが特にトランスデューサ・カスケードの使用時に個別的にまたは必要な場合は複数の要素を節約できるような影響を及ぼすことができる。これは例えば装置コストを低減するために役立てることができる。他方、さらに装置構成を変えない場合は、所定のより大きいシステムの可変性と適応性とを利用することができる。つまり、選択的に、低周波のカット(廃止)によりサイクル時間を短縮することによって情報レートを高めることができ、一方、より高い周波数の廃止によって長い伝送到達距離が得られる。それによって、可能な限り大きい基数(ディジタル段の数)を目指しかつそのようにして情報チャネルの情報密度を高めるための多数の良好な基盤(根拠、土台)がある。
【0075】
pPGMは、方向の他に、例えば情報周波数チャネルの周波数の異なる強さの離調によって発生させることができる線形位相勾配の異なった上昇も符号化に利用できるようにさらに拡張することができ、具体例において達成可能な離散性(不連続性)に応じて別の組合せおよび符号化の可能性が生じる。
【0076】
FGMと組合せて正または負の位相勾配をさらにこのような情報周波数チャネルの周波数変化によっても発生させることができ、これは完全に厳密には基本トーンの変化に比例して実施されるものではない(図10の下を参照)。
【0077】
pPGMと区別するためにこの変形はnPGMと呼ぶことにし、nは比例しないことを表す。nPGMは例えばその時々の情報周波数チャネルの周波数が所定のサイクル間隔で例えば比例FGMの基本変形を行うより僅かに速くまたは遅く変化されるように実現することができる。今やPGMの両変形が最も好適に比例FGMと組合せて高調波周波数系列に対して使用されることを明確に識別することができる。
【0078】
位相勾配を発生する対比した選択肢の方法の基本原理は、換言すると、今や各時間サイクルの内部でも各信号成分のために1つの小さい付加的な、典型的には線形の周波数勾配を発生できるように比例FGMを変更することである。その場合にはpPGMと異なりGTと重畳して線形位相ドリフトの代わりに少し別の特性すなわち典型的には加速された角運動に相当する2次曲線が生じるが、その方向および形状は目標曲線に対するその時々の周波数変化の開始および最終値の状態に依存する(図10参照)。しかし、nPGMにおいては、すでに第1および第2の導関数(導出)の符号によって相対的な位相角を6つの構成までGTのサイクル時間の関数として区別することができる。ここで両変形をまとめると、PGMのために全体的に8種類までの符号の組合せが生じる。
【0079】
さらに、nPGMで興味深いのは、必要な場合に符号に追加して特定の相対的な位相角、例えば開始または最終値の位相あるいは目標曲線との交点がRPWMの意味で利用できることである。
【0080】
図11は情報符号化のための送信ユニットの基本構成を示している。基本原理は符号化する情報が符号化器3に供給される情報ユニットを有する。この符号化器は情報ユニットから供給された情報を基準周波数チャネルと情報周波数チャネルとから成る周波数チャネルに従って必要な符号に符号化し、かつ符号化された情報を基準周波数チャネルと少なくとも1つの情報周波数チャネルとを発生するための手段に従って制御モジュール7によって駆動される発生器5の形態で供給する。発生器によって生成された所定の振幅、周波数および位相を有する波形成分は再び制御モジュールによって駆動可能であるミクサ9に供給される。
【0081】
この実施形態に従って、ミクサで作られた情報信号は必要な場合には出力増幅器11に供給され、これは情報信号を伝送媒体に従って適合した変換器もしくは変換器カスケードに供給する。
【0082】
この実施形態に従って、各周波数チャネルに対して発生器が設けられる。
【0083】
図12に示した好ましい送信ユニットの実施形態は、振幅変調が情報信号に対して行われる必要がある場合を表す。そのために、個別成分の中で基準周波数チャネルおよび情報チャネルに対して分解された情報信号がミクサに供給される前に、この情報信号を例えば各々1つの変調器を介して各情報周波数チャネルに対して制御モジュールによる駆動下で供給される。
【0084】
図13は、本願によるシステムの受信ユニットの実施形態を示している。伝送媒体に従って適合された変換器もしくは変換器カスケードは図13に音響信号として示した到来する情報信号を受け取り、これを増幅器23に供給する。増幅器の後段には個々の周波数チャネルの分離および解析用のかつ特に基準周波数チャネルのフィルタ取出し用のフィルタ25が設けられている。フィルタ、好ましくは低域通過フィルタから到来する信号は基準周波数と受信強度とを算出する基準周波数検出器27に供給される。これらのデータは受信ユニットの制御モジュール29に供給される。それと平行に情報信号が、到来する前に低域通過フィルタ25で中間取出しされ、個々の情報周波数チャネル用の駆動可能なフィルタ31に供給される。フィルタから出力された信号は駆動可能な閾値スイッチ33で解析されかつ初めに存在した情報を復号する復号器35に供給される。
【0085】
図14は、付加的に例えば比例もしくは非比例の位相速度法もしくは位相差分法のための位相検出器を表すもう1つの実施形態を示している。位相成分を解析するため、その場合に駆動可能な(被制御)フィルタ31と駆動可能な閾値スイッチ(制御器)33の間で位相検出器32が好ましくは算出される情報周波数チャネルの数に対応して配置され、位相決定のために参照として基準周波数が基本トーン検出器で中間取出しされる。
【0086】
好ましい信号処理に関しては、以下、図15乃至図24を参照して様々な信号処理用の実施形態について詳しく述べる。
【0087】
1 本願による方法は様々な方法で実現されおよび組合せによって、必要な場合は単独でも使用できる2つの本質的な基本機能を含む。この基本機能は、完全なドップラー補償、略してvDK、および「チャネル処理」、略してKR、と呼ばれるものである。それに対応する基本原理は、その場合に種々の方法技術上の変更および組合せの可能性について述べる前に、まず初めに別途説明する:
【0088】
ドップラー問題の第1の解決策:
vDKの基本原理を説明するために、ここでまず初めに最小周波数チャネルが基準成分を供給しかつ情報チャネルの周波数が高調波系列(調和級数)を形成する、即ち基準周波数に対して整数比となる簡単な例を選ぶ。送信機側で周波数が変化される場合、これはpVMTによるものである。受信機側で全ての信号成分が、同じ第1の信号要素で、例えばカスケードによって帯域通過フィルタ(BPF)から互いに分離される。簡略にするためにまず初めに理想的な伝送条件も想定することにし、各成分はただ1つのチャネル応答から成り、全成分が例えば同じ強度で送信および受信できるものとする。このような好ましい関係は例えば大気中の電磁波の伝播(拡散)時に現れることがある。この例でまず初めに説明すべきことは好適な処理によってどのように完全なドップラー補償を行うことができるかということである。
【0089】
ドップラー問題は送信機と受信機との間の相対的運動によって発生するが、これは、例えば相対的運動の速度が正確に知られていないためにしばしば正確に予想できないことである。しかし、またそれによって情報信号の位相状態をもはや正確に決定できず、これが位相符号化を使用する情報伝送の全ての形態にとり著しい制限を意味する。この問題は位相角自体ではなくその時間サイクルから時間サイクルへの変化だけが考察される差分位相符号化によって少し低減できるが、根本的に解決することはできない。しかし、個々の情報成分が好適な方法でそれぞれ基準成分と一緒に処理されるとき、殆ど100%のドップラー補償を達成することができる。好ましい解決策の1つは、様々な方法で実現できる一対のドップラー調整、略してpDAを含む。簡単な可能性は以下の例で少し詳しく説明する:
【0090】
他の全てのための典型例として、ここでは1つの時間サイクルに対する第1の情報成分の処理を表すことにし、その周波数fikとそれに従ってその角速度ωikも対応する基準成分の値fbおよびωbのように2倍の大きさになる。受信信号がディジタル形式で存在すると仮定すれば、その場合に送信機から出力された信号分send bおよびsend ikは次式の形で表すことができる:
【0091】
【数1】
【0092】
【数2】
【0093】
ここで、Nは所定のサイクル間隔のサンプリング(走査)の全数を表し、nはそれぞれ現在のサンプリングの番号を表し、tsはサンプリングが行われた時間間隔の長さを表し、かつntsはその結果としての離散的(不連続)な時間を表し、Eはエネルギを表し、θikは開始段階を表し、かつθinfは符号化に使用した情報成分の角度を表し、かつ係数kは比例VMTで能動的に作られた周波数シフトの急峻性を表す。
【0094】
一般にkは任意の好適な時間の関数とし、正または負の値を取りあるいは零(ゼロ)であってもよい。後者は、この値が一定の送信周波数の使用を特別な場合として考慮に入れていることを意味する。
【0095】
基準周波数の位相状態は送信側で変化せずかつ引き続き何の役割も果たさないので、式(1)で該当する値は同じく零(ゼロ)に設定された。
【0096】
ドップラー衝撃(衝突)の結果、受信した信号成分empfbおよびempfikは付加項によって送信された信号成分と異なる:
【0097】
【数3】
【0098】
【数4】
【0099】
ここで、Dは送信機と受信機との間の相対的速度の比(互いに接近するときは正の符号および遠ざかるときは負の符号)と伝送媒体中の信号拡散の速度とを含むドップラー係数を表す。
【0100】
上式の下線部の項によって、両信号成分のドップラー衝撃が対応する送信周波数の関係も定義する比例係数分だけ正確に区別されることが明らかである。この例ではこの比例係数は2に等しい。
【0101】
つまり比例係数が分かっているので、ドップラー効果に起因する位相シフトの正確な合計量は実質的に何の役割も果たさない。即ち基準成分がそれぞれ解析される情報成分と同じ周波数特性を得るようにこの基準成分が変換されるとき、両者にとって厳密に等しいドップラー・シフトが生じる。この例では基準成分からそれ自体との乗算によってこのような情報成分とドップラー同一の基準(参照)Rfを発生させることができる。乗算規則に従って次式が得られる:
【0102】
【外1】
【0103】
不要な側波帯のフィルタ除去と係数
【外2】
によるスケーリングとにより、我々は最終的に位相に関して式(5)で表した情報成分と異なる標準化された基準信号Rf′を得る:
【0104】
【数5】
【0105】
この基準信号はそれによってある程度信号内部のクロックとして使用することができ、それによって情報成分の位相角を決定することができる。
【0106】
類似の方法で、基準成分から、その他の全ての、受信信号の中に含まれた情報成分用にもそれぞれ必要な基準を発生させることができる。ただその場合には何度も乗算しかつ必要な場合には濾波(フィルタリング)も行わなければならない。一般にはもちろん情報成分も同様の方法で変換することができ、これは例えばここで選んだ例と異なり情報成分の周波数が基準成分の周波数よりも低くなり、あるいはそれに対して非整数比になるとき有効であることを証明することができる。後者の場合には同じプロセスを個別的にそれぞれ基準成分と情報成分とから形成される対の各側のために、両成分が満たされるまでしばしば使用することができる。しかし、各乗算によってその時々のスペクトルの中に含まれる周波数成分の数も乗算されるので、可能な限り少ない信号要素が一対のドップラー調整のために必要になるようにチャネルを置くことが目指される。
【0107】
一般に位相符号化された信号に対する全てのアプリケーションにおいて一対のドップラー調整に好適な方式の選択に関しては、情報成分の乗算で情報損失が例えば多義的(曖昧)な位相状態によって発生しないことにも留意する必要がある。
【0108】
以下に、前述の例を用いて、上述の信号処理に従ってここで簡単な方法でどのようにその時々の情報成分の位相状態を決定できるかの可能性を説明する。そのために例えば該当する情報成分の分解を以下に説明する帰属する基準信号Rf`[n]の求積法(Quadratur)関数で実施することができる。
【0109】
基準Rf`[n]はこの例ではすでに余弦(コサイン)形式で存在するため、我々は次のように書くことができる:
【外3】
RfC[n]=Rf`[n]
【0110】
対応する正弦(サイン)求積法成分RfS[n]は、その場合に例えばRfC[n]の第1の導関数(導出)と対応する振幅の標準化との形成によって得ることができる。
【0111】
ここで我々は、情報成分の射影(マッピング)のために基準の余弦求積法成分に展開する:
【外4】
【0112】
ここで、N1はその時々のサイクルの開始を表し、N2はその終了を表す。
【0113】
第2の総和ではこの関数値が零(ゼロ)に振動するので、合計では正および負の成分が相殺されるため、この項は全体的に零に向かい、かつそれによって大きい誤差なしに無視することができる:
【外5】
【0114】
それに対応して受信した情報成分の射影(マッピング)に関しても基準の正弦求積法成分で生じる:
【外6】
【0115】
以下、ここでCQおよびSQは直交座標系内の点のxもしくはy座標として考察することにした。その場合にこの点と座標原点との間の接続線および横座標が求めた位相角θである。これは好適なアルゴリズムで簡単に決定することができる。直観的な表示形式は例えば次式である:
【外7】
【0116】
受信した情報成分の位相はこの場合に送信波形の開始位相と符号化位相との間の差分として表され、即ちこの位相は各時間サイクルの内部で時間に対して不変(invariant)である。完全を期すために、同様に先行する時間サイクルと現在の時間サイクルとの間の位相差も符号化に利用できることを説明する。この時間サイクルを指数iもしくはi+1で表すと、差分の位相符号化のために次式が得られる:
【外8】
【0117】
類似の方法で、各時間サイクルに対して高い精度をもつその他の情報成分の位相状態も決定することができる。これは再び利用者にそれに対応する位相角の微細な離散性(不連続性)とそれにより情報速度の向上のための可能性を提供する。上述の位相角の決定方法は以下一般にCS射影(マッピング)と呼ぶ。
【0118】
vDKは特に請求項28に記載の方法の基礎を構成する。図23は、全体的概要で再度vDKの処理フローの最重要の要素を具体的に示している。この概要はさらに、種々の前記要素が類似の方法で別の好ましい実施形態にも使用できることを示す。
【0119】
2.チャネル処理:
KRは、符号間干渉の同時の最小化によってそれぞれ最良のチャネル応答の識別とその信号技術的な分離とを含む。これはKD側ですでに一連のアプリケーションに対してすでに充分とすることができる一部のドップラー補償を含むことができる。
【0120】
我々はここでドップラー効果が何ら本質的な役割を果たさないが、受信は種々のチャネル応答の重畳によって損なわれる場合を例として考察する。このような伝送条件は、特にしばしば水中でゆっくり移動する対象物または固定した対象物とのあるいはそれらの間の音響通信において遭遇することがある。その場合に、信号成分の各々はチャネル応答の全スペクトルによって表現されている(図5および図17aの概略的図解を参照)。信号処理のための本願による方法はそこで特に符号間干渉が最小限にされることを保証しなければならない。
【0121】
VMTの結果で種々のチャネル応答が受信機に異なった周波数で到来しているにもかかわらず、実際上はこれが殆ど非常に密に隣接しかつ周波数を決定しないので、各成分の同じ第1の信号要素でそれぞれ最適のチャネル応答を該当するスペクトルからフィルタで取出すことは殆ど不可能である(図18参照)。また併用される帯域通過フィルタもそのために充分明確(鮮明)に設定できるようにすることは困難である。しかし、我々は冒頭で基準および情報成分の対応するスペクトルを互いに分離することを可能にしなければならないことを前提にしていた(図17bおよび図17c)。
【0122】
その時々の情報成分(図17d)と基準成分の乗算によってそれぞれ2つの中間周波数のスペクトルが得られ、これは異なった高さにありかつ異なった速さで進行する(図17e)。これはそれぞれより低い周波数帯を例えば低域通過フィルタによって別の処理のためにフィルタで取出すことを提供する。この成分の中では可能なドップラー効果が低減されており、それに対しこれは他のスペクトル成分の中で増幅される。第2の側波帯が例えば充分な計算容量があるために妨害されない場合、これは携行すること(mitgefuehrt)もでき、即ちフィルタ段を節約することができる。
【0123】
次の処理信号要素では少なくとも1つの残留する周波数帯がシステム内部で発生された発振(局部発振)周波数(Hilfsfrequenz)と乗算され(図17f)、その特性は乗算の結果において第2の中間周波数の一方の成分を決定し、即ちこの該当する周波数を時間的にもはや変化させないように選ばれる(図17g)。
【0124】
その時々の発振周波数(H1;H2;・・・HN)の特性は、送信機と受信機との間で決定された同調から、または情報伝送に使用した信号構造
(構成)に関する操作上取決めた同調のいずれかから生じ、あるいはこの特性は情報伝送の前段階で実施された伝送チャネル(チャネルト・レーニング下記参照)の探測の枠内で決定される。
【0125】
図19は、まず初めに基準成分のみが情報成分かから分離できたときでも前記の段階が達成できることを具体的に示している。ヘテロダイン周波数の好適な選択はその場合にそれぞれ処理に考慮された情報成分の周波数(本例では第1の)を安定化させることができる。
【0126】
この方式の長所は好適なヘテロダイン周波数によって安定化した中間周波数の所望の成分が常に一定の窓に配置され、かつそれによって一定のフィルタ、例えば低域通過フィルタによって最適にフィルタ取出しできることである(図17h)。
【0127】
図20は、種々のチャネル応答が異なった時間で様々な強さで表現できるため、安定した中間周波数の前記のようなスペクトルの1つによってまた例えば位相状態に関する信頼できる言明をすることができない多数のチャネル応答を含む実用に近い例で具体的に示すものである。
【0128】
従って今や第2のフィルタ段が挿入され、そのフィルタ段で先行するチャネル・トレーニング(説明は下記参照)のプロセスで各成分のために可能な限り最良の選択度が全体的に最強のチャネル応答のために設定された。図17hの破線は、このフィルタのエッジが非常に急峻に設定できることを示すものである。その結果、残りのチャネル応答の影響は可能な限り最良の方法で最小限にすることができる(図17i)。
【0129】
図21は、このようなシャープなフィルタリングの結果として図20において多数のまだ変動するチャネル応答から明確な選択を行いかつ残りの成分の影響を抑制できる実用に近い例を具体的に示している。全てのこの関連において説明したプロセスを一部ドップラー補償によるチャネル処理と呼ぶ。
【0130】
パラメータの決定:
前記のように処理されかつ妨害するチャネルの影響を広範囲に処理した信号成分は今や詳細なパラメータ解析にかけることができる。その場合に情報伝送する信号成分の振幅も位相も可能な限り最大の精度と再現性とで算出することができる。様々な振幅値は例えば簡単な方法で閾値スイッチによって区別することができる。位相角の決定のためにC−S射影(マッピング)を実施する必要がある場合、必要な場合には成分分解に必要な基準振動(もしくはその正弦および余弦分)を人工的に発生させることができる。後者は、システムに最後の(シャープな)フィルタ段の設定とそれにより情報伝送する信号成分の周波数とが知られているため、技術的には全く問題がない。それぞれ使用した符号化形式によって、さらに利用者が公知のアルゴリズムの幅広いレパートリの中からそれぞれ最も好適に選択および使用することができる。
【0131】
上記の形態においてKRは好ましくはpVMT(図5参照)と組合せて使用することができる。これはさらに問題なくpaVMT(図15参照)にも適合させることができる。paVMTの場合には基準および情報成分の乗算が直接定常的中間周波数をもたらすため、場合によっては発振周波数との乗算は使用されない。このような中間段階がそれにもかかわらず例えば該当する周波数帯を一定のフィルタ窓へシフトするのに有効であるとき、これは容易にそれぞれ一定の発振周波数との乗算によって行うことができる。しかし、これは上記説明の範囲内にある。
【0132】
KRは、それによって基本的に能動的に発生された周波数変化の勾配が零(ゼロ)に等しくない全てのVMTの形式に適している。ここで説明した変形を以下の変更から区別するために、これをKR1と呼ぶ。ここで説明した本願による方法の好ましい実施形態は請求項18の基礎を構成する。この基礎となる方法の最も重要な要素は再度図23の概要に示した。
【0133】
上記のKRの変形は、例えば基準および情報成分がまず初めに互いに乗算されないように変更することができる。その場合には、安定した中間周波数の形成が直接1つの信号要素でそれぞれ好適な発振周波数とその時々の信号成分の乗算によって行われる。この方式は安定した中間周波数のスペクトルがもはや受信成分以外の成分を含まない長所をもたらす。各成分のためのそれぞれ最良のチャネル応答(チャネル・トレーニング)のフィルタ取出しによって、その場合にまだ少なくとも一部のドップラー補償を達成するために、もしくはvDKで説明した例に類似して位相角の決定を情報伝送する成分のC−S射影によって処理された基準信号の余弦および正弦求積法成分で実施するためにその時々の情報伝送する信号成分を基準を用いて処理する可能性がある。対応する基準の周波数適合は必要な場合に好適な発振周波数との乗算のフローに沿って行われるか、あるいは最後のフィルタ段の終了後にそれぞれ好適な一定の発振周波数との乗算によって行うことができる。第2の場合には基準成分は1度だけフィルタを通して進行させる必要がある。
【0134】
前記段落で説明した変更によってもう1つの好ましい実施形態が得られる。概略的に簡略にしたフロー図は概要図解(図23)でKR2と呼ばれる。
【0135】
しかし、ドップラー効果が全く何の役割も果たさない場合、基準成分は完全に省くかまたは付加的な情報成分として使用することができる。その場合にはいずれにしてもKR2のみ使用可能である。パラメータの決定はその場合にはもちろん再びKR1で説明した方式に類似して行わなければならない。
【0136】
完全を期すために、ここで再度冒頭に述べたが図示していない例えばpVMTの枠内で安定した中間周波数の段階が成分の事前の分離なしでも単に互いに連続する時間サイクルで受信した信号の乗算によって達成できる選択肢の解決策の参照を指示しておく。この信号要素は同様に一部ドップラー補償を含む。特殊性としては、それぞれの周波数高低に応じてその場合に該当するチャネルの安定した中間周波数のスペクトルを独立しているが多少密に隣接した窓にある場合に生じる。但し、このような変換の結果において非常に複雑な信号構造が得られる。特により多くの情報チャネルの数が使用されるとき、場合によって生じうる交差生成物(Kreuzprodukte)の重畳を回避するよう充分に留意しなければならない。チャネル応答を分離するために、その場合には例えばシャープな(鮮明な)フィルタのカスケードを使用することができる。
【0137】
最後に再度このフィルタシステムの説明によって単にこの方式の基本原理が具体的に示されているだけであることを指摘しておく。実用上ではそこからより複雑な、ここで説明した動作信号要素を類似または別の形態で含有する信号処理および信号解析の方法を使用することも考えられる。この原理はいずれの場合でも同じものである。
【0138】
完全な解決策:
初めに完全なドップラー補償と種々のチャネル処理の変形(一部は部分ドップラー補償を含む)に関する方法技術上の基礎を分けて説明したので、ここで受信機が種々のチャネル応答によっても強いドップラー効果によっても損なわれる適用事例を考察する。このような外乱量の組合せは例えばしばしば水中で移動する対象物との通信もしくはそれらの間の通信を困難にする。
【0139】
その場合のための解決法の可能性は例えばvDKとKR2を互いに組合せることである:
【0140】
基準および情報成分の分離によってまず初めに、vDKで説明したように、一対で考察する信号成分の少なくとも1つが、必要な場合にはその両者が、好適な方法で両者が厳密に同じ周波数応答を有し、それによって同じ強さでドップラー負荷されるように変換されることによって、一対のドップラー調整が実施される。オプションでそれぞれ不要の側波帯がフィルタ除去されかつ残りの信号分を再び標準化することができる。
【0141】
それによって両成分を互いに独立に典型的には同一の発振周波数(これは該当する成分と同じく上昇するが、少し平行にシフトする)との乗算によって乗算され、それによって安定した中間周波数に変換し、かつその場合にそれぞれ独立した後続のチャネル処理のためのフィルタ段にかけられる。そのためにシャープなフィルタを、必要な場合には各成分に対して個別に設定することができる。理想的な場合には該当するフィルタ調整を上述の発振周波数の同調によっても考慮することができる。
【0142】
その結果、情報成分についても基準についてもそれぞれ1つの符号間干渉から広範囲に処理された信号が得られる。この「処理」(必要な場合には閾値解析を含む)によって、パラメータの決定をその場合に例えばvDKもしくはKR2で説明した方式に従って行うことができ、帰属する基準を有するその時々の情報成分の一対の処理によって完全なドップラー補償が達成される。
【0143】
本願による方法の上述の実施形態は請求項8による方法の好ましい実施形態の基礎を形成する。図23の概略的概要ではこの実施態様がKompl.1と呼ばれる。
【0144】
もう1つの解決策の可能性はvDKとKR1の好適な組合せである(図23のフロー図のKompl.2の簡略図解を参照):
【0145】
この場合にも基準および情報成分の分離によってまず初めに一対のドップラー調整が行われる。それによって両成分の1つがこの場合では一定の、システム内で発生された発振周波数との乗算によって好適な合計量だけ平行にシフトされる。それに続き両方の相手方成分が互いに乗算され、それによって図17gに示した処理段、即ち安定した中間周波数のレベルが達成される。それによってこの方法は、両方のフィルタ段とKR1によるパラメータ決定とによって継続される。
【0146】
この第2の完全な解決策は、情報成分の射影(マッピング)によってドップラー同一基準に及ぼす移動に起因する周波数シフトの影響を完全に除去されることを含む。しかし、それによってこの基準が「使い果たされ(aufgebraucht)」ている。ところがこの基準はもはや不要である。この方式の本質的な長所は、安定した中間周波数の所望の側波帯を厳密にフィルタリングに最適の周波数窓の中に組み込むために、システム内部で単にそれぞれ一定の発振周波数を発生させる必要があることである。最も好適な場合では、全ての成分対に対して同一の発振周波数を場合によって使用することができる。原理的にはこの発振周波数を「処理」に続き位相解析のための基準としても利用する可能性がある。しかし、実用上はシャープなフィルタを個別的に各信号成分(これはこの場合すでに対応して処理されたその時々の情報および基準成分からの組合せを具現する)に対して調整することが試みられ、それによってフィルタ調整がシステムに知られているので、これが位相解析に必要になる場合、問題なくシステム内部でも厳密にそれに同調した基準(正弦および余弦求積法成分を含む)を人工的に発生させることができる(KR1参照)。
【0147】
チャネル・トレーニングおよびチャネル・チューニング:
既に何度も述べたチャネル・トレーニングによって、好適なテスト信号を用いてまず初めに信号構造が可能な限り最適にその時々の伝送条件に適合化されることが保証され、および/または少なくとも受信機が常に必要な範囲で成分分離を行うことができることが保証される。この前提条件が満たされたとき、請求項1に記載の方法にとってもチャネル処理を含む全ての別の変形にとっても無条件に推奨されるチャネル・チューニングを実施することができる。そのために少し長い、しかし、その他の場合にすでに情報伝送のために考慮した特性を有する符号化なしの信号を送信することが行われる。その場合には全ての周波数チャネルが同時に使用されるかどうか、あるいはチャネル・チューニングが相前後してそれぞれ1つの基準成分と1つまたはそれ以上の情報成分(群)とを含むテスト信号を用いて実施されるかどうかは利用者の判断である。その時々の方式はもちろん対応して選択した信号処理方法の変形に同調されなければならない。受信したテスト信号は、今や全ての該当する変形で考慮した処理段階で安定した中間周波数が形成されるまで伝播する。このレベルで評価のために考慮された信号成分(もしくはその時々の情報および基準成分から形成された混合成分)の各々に対して個別的にエネルギ密度分布の解析が所定の周波数スペクトルで実施される。このような解析のために例えばFFTを適用することができる。この評価結果によって次にそれぞれ最も好適なチャネル応答(典型的にはエネルギが最大のもの)が選択され、そのために今やそれぞれ可能な限り最良の「シャープな」フィルタの調整が実行および記憶される。該当する調整が全成分のために決定された後、本来の情報伝送を始めることができる。フィルタ調整はその場合に次のチャネル・チューニングまで維持される。
【0148】
特に水中での音響データ伝送では伝送条件がしばしば時間的に安定していない。そのような場合には少なくともチャネル・チューニングを好適な時間間隔で繰返し、即ちシャープなフィルタの調整を定期的に更新することが行われる。
【0149】
チャネル・チューニング用に長い非符号化信号を使用することは良好な統計的な安全性を示すが、これはその間に情報伝送を短く中断する必要があることを意味する。しかし、このような中断は場合によっては回避することができる。好ましい選択肢は請求項23に記載の方法が提供する。その場合には情報伝送中に操作上、即ち連続的に受信した信号によって本来の信号処理プロセスと平行に、あるいはその構成要素として前記フィルタ調整の連続的な更新とそれによって連続的なチャネル・チューニングとが実施される。そのためには複数の時間サイクルからの受信結果を評価に含めることが有効である。このような選択肢の解決策は、もちろん評価システムへの対応するより高い要求事項を課す。
【0150】
送信機と受信機の間の相対的速度の決定:
最後に、この受信信号から場合により送信機と受信機の間の現在の距離変化に関する有用な証言(Aussage、情報)を導き出すことができることを簡単に説明する。上記の方法による信号処理は各信号成分のために可能な限り最良の方法で(送信)パラメータ(特に位相角)を再構成することを目指している。そのためにはドップラー成分が除去されるように互いに成分を処理することが有効であった。後者は外乱量として処理された。しかし、このドップラー成分はドップラー係数D=v/c(式4および式5参照)の形で、確かに本来のデータ伝送とは何も関係がないが、送信機と受信機の間の瞬間的な相対的速度vに関する解明を与えることができる情報を含んでいる。ドップラー係数は信号処理の好適な方法によって決定することができる。信号拡散cの速度がほぼ知られていて、もしくはチャネル探測の枠内で測定できるので、vを評価しもしくは比較的正確に決定することができる。
【0151】
例としてここに可能な解決方法の概略を述べておく:
そのために任意の受信成分(合目的(実用的)には、例えば符号化されていない基準成分)を取り出すことができる。必要な場合には、この受信成分が再度別の対応するKR2を1つのチャネル応答に低減することができる。受信機には送信機が使用した信号構造が知られておりかつ上述の方法のいずれかによる信号解析によって位相状態も決定できるので、今やシステム内部で振幅標準化された基準信号を発生させることができ、これがその位相状態と周波数特性とに関して ― 確かにまだ知られていないドップラー成分を除いて ― 該当する受信成分に等しくなる。この基準およびフィルタリング(LPF)の正弦および余弦求積法成分への受信成分の射影(マッピング)によって、それぞれ純粋なドップラー成分が同一の振幅の簡単な正弦および余弦振動の形で得られる。アークタンジェント(arctan)関数は独立変数Dωntsを有する。ωntsが知られているので、除算Dが生じ、かつDはcと最後にvと乗算される(概略的フロー図は図23のドップラー決定を参照)。
【0152】
この価値ある追加情報を付加的な測定コストなしに得ることができることが多くのアプリケーション(適用例)にとって好ましいものである。
【0153】
さらに、ドップラー成分の認識(知識、情報)は本来の信号処理のさらなる改善にも貢献できることを指摘しておく。つまり例えばKRの枠内でシステム内部で発生された発振周波数をより正確にその時々の受信成分の構造に同調しかつそのようにして本来の信号解析で望ましくないドップラー影響をさらに良好にもしくはより簡単な方法で低減することができる。このような処理の集積、場合によってはその反復的適用によって評価結果の改善の他に少なくともその間に、ドップラー抵抗の増加によって例えばKR1およびKR2の可能な使用範囲も拡張されるため、方法の最適化を達成することもできる。それによって特に受信成分の乗算で時折回避できない急激なデータ増加を低減でき、必要な場合には中間フィルタを省きかつその経過を全体的に速くすることができる。この方法の核心部分における全ての簡略化はオンライン評価に役立つ。ドップラー評価がまず初めに追加コストを意味する場合であっても、場合によっては信号処理の核心経路選択が必要な場合にはより少ないハードウエアおよびソフトウエア容量で管理できるので全体的に節約することができる。
【0154】
さらに、最後に挙げた本願による方法の改善もしくは簡略化は少なくともその間に簡単な方法でそれぞれ現在のドップラー・シフトに関する情報がすでに処理された形で、例えば外部の測定システムの側で提供される場合にも実現することができる。
【0155】
図24は信号処理ユニットの基本構成を示している。この基本原理は、この実施形態において受信信号を基準成分と情報成分とに分割する2つの平行に接続された制御可能なフィルタ要素BPF1およびBPF2から成るフィルタ・ユニットを有する。
【0156】
この両信号成分が次に周波数変換用の手段によってまず初めに変換器1と変換器2とから成る変換器ユニットに供給され、その中で後に乗算器2によって好適な、発生器から供給された発振周波数もしくはヘテロダイン周波数を用いて定常的中間周波数へ変換させるために両成分が乗算器1によってまとめられる(合成される)前に一対のドップラー調整が行われる。
【0157】
この実施形態では、雑音成分を抑制するための手段としてまず初めにフィルタLPF1と場合によっては第2のフィルタLPF2とが利用され、これらがそれぞれ直列に乗算器に後置されて、かつ不要な側波帯をフィルタで取り除かれる。それによって直列に接続されたシャープなフィルタBPF3によってそれぞれ最も好適な信号成分の読出が行われ、これがそれに続きパラメータ解析用の手段、この実施形態ではパラメータ解析用モジュールへ転送される。必要な場合には、パラメータ解析用モジュールがBRF3と接続される基準信号用の発生器によって補完することができる。
【0158】
処理ユニットの終端では、次に各情報成分の符号化に使用した信号パラメータが出力される。
【0159】
図25は、同じ文脈(関係)で好ましく使用されるチャネル・チューニングの基本構成を示している。図24とは異なり、この実施形態においては信号成分がLPF2に続いてチューニング用の手段へ送られ、そこでこの場合にはFFTユニットが周波数スペクトル解析用のモジュールと、3で示したユニットが評価ユニットとを形成する。この結果は、次にそれぞれ最適のBPF3のためのフィルタ調整を行う制御モジュールに供給される。
【0160】
以下に本願による方法と本願によるシステムの別の可能性もしくはアプリケーションを詳しく説明する。
【0161】
別のオプションとしてこの方法で送信機と受信機の間の距離の縮小時に問題なく付加的に別の、元の周波数チャネルの間にあるもしくはそれより高い周波数チャネルも利用でき、あるいは全スペクトルをより高い周波数の方向へシフトさせることができる。その場合に伝送距離の縮小によって通常雑音の影響も減少する効果を利用することができる。そのために、送信機および受信機は対応する広帯域の周波数スペクトル用にのみ設計し、かつその符号化器も対応して再調整する性能を有する必要がある。受信機の側では、場合によって新たに加わる周波数の識別を自動的に行うことができるか、あるいは新たな動作管理への変更が受信機に送信機から好適な方法(例えば最後の情報パケットによって)のいずれかで通知される。しかし、個々の音響チャネルは、これらがその時々の伝送条件下に良好に受信機から区別できるまで互いに離さなければならない。逆に距離が拡大する場合は全スペクトルをより低い周波数へシフトさせる必要があり、あるいは上位チャネルに関する問題(課題)もしくは(特に雑音の影響が増加するとき)チャネル間の間隔の拡大が比例的な引離しまたは中間段階の飛越しを必要とすることがある。
【0162】
トーンもしくは周波数が協和しまたはトーンの整数倍(高調波)が最小周波数をもつようにこの方法の基本変形で考慮した周波数帯の選択は、エネルギ的に好適な配置の達成を目指している。
【0163】
周波数の高調波系列の使用時にはさらに音響拡散の非線形効果を利用しかつそのようにより長い距離にわたって信号伝送を達成する可能性が得られる。音波はより高い密度とより低い密度とを有する部分が交代(交番)する縦波である。しかし、音速は特に媒体(媒質)の密度に依存するので密な成分はより速く伝播する。元の正弦振動のエッジは徐々に非対称になり、即ち正弦振動がますます例えば鋸歯状振動の方向へ変形する。これは物理的に高調波へのエネルギ変換を意味する。水中ではこの効果が数キロメートルの経路長さによって初めて気づくことができる。同時に基本トーンで例えば1つまたはそれ以上の高調波が送信される場合、これらは調和関係に基づき前記非線形効果によって付加的なエネルギをそれぞれより深いトーンから得られる。結果においてこの高調波はそれほど速く減衰せず、より長く基本雑音レベルの上方にとどまり、かつそれによってより内外利用可能な到達距離に達する。この全システムの到達距離は第一にそれぞれ最大の周波数帯の到達距離によって決定されているため、全体的により大きい送信半径が生じる。そのためには基本トーンを永続的にかつこの基本トーンを、可能な限り他の全てのトーンも含めて高いエネルギで送信することが有効である。
【0164】
このシステムの大きい可変性に基づいて、場合によってはさらに別の伝送区間の性質を利用することができる。しばしば例えば水の層状の不均一性によって固有の振動特性を有する特定の伝送チャネルが形成される。それぞれ該当する固有値によってその場合には容易に、確かに通常比較的低い周波数を有するが、そのため非常に遠くへ搬送する種々のモードを励起することができる。原理的には、伝送システムの周波数帯をこのモードに同調することが可能である。但し、それに関して送信機と受信機とに好適な方法で通知されなければならない。
【0165】
送信機と受信機の間の相対的速度がドップラー効果を無視し得るほどに小さくなる場合、上述の比例FGMに対する選択肢として適切な、全体のシステムのために統一された周波数変化も実施することができる。その場合にはいわば「オフセット曲線」またはイメージで表言すれば「メロディー」が与えられ、もしくは操作上その時々の伝送条件の解析によって決定され、かつ付加的に全ての周波数チャネルに加算される(図4参照)。この方法は平行FGMと呼ばれる。この方法の特殊性は、全ての周波数チャネルのための平行シフトによって常に同一の勾配すなわち同一のドリフト速度が生じることであり、それによって理想的な場合には全スペクトルにわたって雑音成分のうち本来の信号の最適な分離を達成することができる。このように変更された方法は特に周波数スペクトルが基準周波数の上昇によって広がらない長所を有する。その場合にはより強い集束によって、そう簡単には高調波が小さすぎる拡散半径をもつ周波数領域に陥りかつそれによって遮断されるという危険を冒さない。それによって情報伝送の意味でより速い上部の周波数領域を良好に利用することができる。平行FGMは、しばしばトランスデューサがそれぞれ制限された周波数帯でのみ作動できかつ対応する変換器カスケードの使用も常に可能ではないため、おそらく実用的により簡単に実現することができる。
【0166】
当然ながらこの平行FGMでも受信機に好適な形態で、これが個々の周波数チャネルをGTを基準にどのように合わせる必要があるかを通知しなければならない。しかし、原理的には比例FGMと平行FGMの間の切換は、これが情報周波数チャネルの周波数の決定に関してGTを基準にして単に乗算と加算の間の変更を含むだけなので全く問題にならない。
【0167】
時間サイクル変換への位相飛越しが問題を生じるような場合、冒頭に述べた時間サイクルに関係する振幅変調を使用することができる。雑音の影響を最小限にするためのもう1つの方法は、情報チャネルにおいて連続する2つのサイクルにトーンが存在することを排除する符号化方法を使用することである。同じ効果は多重化によっても例えば直線および非直線の情報チャネルの交互の操作によっても達成することができる。種々の他のパラメータのほかに周波数に関係するその時々の伝送チャネルの速度特性も特定の探測によってまたは交互の通信のプロセスで算出しかつ信号発生で考慮できかつ考慮するべきであることは、自明のことである。
【0168】
さらに、基準周波数チャネルは必要な場合にかつ特別な伝送条件を可能にする限りで付加的な情報チャネルとして使用することが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、1つの基準周波数チャネルと3つの情報周波数チャネルとから成る本願による方法およびシステムに使用可能な情報信号の構造を示している。
【図2a】 図2aは振幅変調にかけられた第1図の情報信号を示している。
【図2b】 図2bは時間サイクルの情報信号の順序を示している。
【図3】 図3は情報の符号化用の概略図解を示している。
【図4】 図4は単に平行FGMによる第3図の符号化を示している。
【図5】 図5は、3つの互いに調和関係にある情報周波数チャネルに対する比例FGMによる先行および後続の雑音成分の時点tiでの信号解析を示している。
【図6】 図6は1つの基準周波数信号と4つの情報周波数チャネルの使用下に第5図に対応する雑音信号に関する信号解析を改善するための基本原理を示している。
【図7】 図7は時間サイクル内部の情報周波数チャネルの付加的な変更による段階的な周波数シフトの適用の概略図解を示している。それぞれ最初の時間サイクル半分がRPDMのための付加的な水平の基準を形成する。
【図8a】 図8aは符号化の、しかし2つのみの周波数段を有する概略図解を示している。。
【図8b】 図8bは例として情報周波数チャネルの第5の符号化の原理を示している。
【図9a】 図9aは2種類のpPGMによって発生した位相勾配の一方を示している。
【図9b】 図9bは2種類のpPGMによって発生した位相勾配の他方を示している。
【図10】 図10は、nPGM(上)およびpPGM(下)によって発生させることができる様々な位相勾配を示している。
【図11】 図11は本願によるシステムの送信ユニットの基本構成を示している。
【図12】 図12は、本願によるシステムの振幅変調を有する送信ユニットのもう1つの基本構成を示している。
【図13】 図13は、第1の実施形態による本願によるシステムの受信ユニットの概略的基本構成を示している。
【図14】 図14は、第2の実施形態による付加的な位相検出を有する受信ユニットのもう1つの基本構成を示している。
【図15】 図15は、3つの互いに調和関係にある情報周波数チャネルに関する平行FGMによる先行するおよび後続の雑音成分の時点tiでの信号解析を示している。
【図16】 図16は、様々なアプリケーションにおいて好適な周波数間隔のための幾つかの概略例を示している。
【図17】 図17は概略的に信号処理のための本願による方法の経過の基本変形を示す。
【図18】 図18は、殆ど理想的な伝送条件で1つの基準成分と3つの情報成分とから成るpVMT受信信号の周波数分の時間的変化の例を示している(最小限の符号間干渉)。
【図19】 図19は、ある中間周波数へ第1の情報を担う信号成分の変換後の図18による受信信号を示している。
【図20】 図20は、交互のチャネル応答によって所定の受信成分の種々のスペクトル分の強さが著しい時間的な変動を有することができる例について示している。
【図21】 図21は、シャープなフィルタ段の通過後の、既に図20に示した例を示している。
【図22】 図22は、概略的にチャネル・チューニングが実施される本願による方法の基本変形の経過を示している。
【図23】 図23は、信号処理のための方法の様々な好ましい実施形態で最も重要な処理ステップに関する概略的概要を示している。
【図24】 図24は、第3の実施形態の信号処理のための本願によるシステムの基本構成を示している。
【図25】 図25はチャネル・チューニングのための本願によるシステムの基本構成を示している。
Claims (40)
- 少なくとも1つの基準成分(BK)と少なくとも1つの情報成分(I1;I2;・・・;IN)とを同時に含む少なくとも1つの情報信号(IS)を発生し、
前記基準成分および情報成分のうちの少なくとも1つの成分が伝送中に時間的に連続する周波数変化を有するようにし、
前記基準成分(BK)、およびビット・パターンを表す情報成分(I1;I2;・・・;IN)の離散的状態を形成し、
周波数変化を有する前記少なくとも1つの成分を定常的な中間周波数に変換し、
前記定常的な中間周波数のスペクトルから最も好適な信号成分を選択し、
干渉部分から定常的な周波数としての前記最も好適な信号成分を分離し、
関連する情報パラメータに関して前記最も好適な信号成分を評価し、
前記少なくとも1つの情報成分(I1;I2;・・・;IN)から前記1つの基準成分(BK)を分離することによって受信後の前記情報信号を処理し、その際、前記1つの基準成分(BK)は変換済み基準成分(BK’)に変換され、前記少なくとも1つの情報成分(I1;I2;・・・;IN)は少なくとも1つの変換済み情報成分(I1’;I2’;・・・;IN’)に変換され、情報符号化に関係する信号パラメータは、それぞれ、前記変換済み基準成分(BK’)の正弦および余弦成分上への前記変換済み情報成分(I1’;I2’;・・・;IN’)の射影に基づいて決定されるものである、
情報伝送方法。 - 前記少なくとも1つの基準成分と前記少なくとも1つの情報成分とが伝送中に時間的に連続する周波数変化を有し、前記基準成分と前記情報成分の間に所定の時間関数に従って一定の周波数間隔が決定されている、請求項1に記載の方法。
- 前記周波数間隔が、時間的に一定であり、または時間に比例して変化する、請求項2に記載の方法。
- 前記少なくとも1つの成分の周波数が1つの伝送間隔において連続的に増加する、請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
- 前記少なくとも1つの成分の周波数が1つの伝送間隔において連続的に減少する、請求項1乃至4のいずれかに記載の方法。
- 周波数変化の勾配が符号間干渉を最小限にするために雑音周波数の状態に依存して個々の成分の周波数に対して調整され、または複数の伝送システムの不都合な相互の重畳を回避するために好適な周波数ドリフトが調整される、請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。
- 前記1つの成分の開始周波数が或る伝送間隔と次の伝送間隔の間で変化される、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。
- 周波数が変化される領域、即ち2つまたはそれ以上の成分の周波数帯が重畳される、請求項1乃至7のいずれかに記載の方法。
- 前記少なくとも1つの基準成分(BK)と前記少なくとも1つの情報成分(I1;I2;・・・;IN)とが別々の周波数帯にある、請求項1乃至8のいずれかに記載の方法。
- 前記ビット・パターンが、或る時間サイクルにおいて、周波数、振幅、位相角または動的位相特性の変化によって決定される、請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。
- 前記ビット・パターンが時間サイクル内で変化する、請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。
- 前記情報成分(I1;I2;・・・;IN)の数が伝送路に依存して変化する、請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
- 前記少なくとも1つの基準成分(BK)が付加的な情報成分(IN+1)として利用される、請求項1乃至12のいずれかに記載の方法。
- 前記少なくとも1つの基準成分(BK)と前記少なくとも1つの情報成分(I1;I2;・・・;IN)とが音波または電磁波として形成された、請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。
- 受信後の前記情報信号の処理において、前記少なくとも1つの基準成分(BK)が前記少なくとも1つの情報成分(I1;I2;・・・;IN)から分離される、請求項1乃至14のいずれかに記載の方法。
- 前記少なくとも1つの基準成分(BK)と前記少なくとも1つの情報成分(I1;I2;・・・;IN)とが一対の処理が行われる、請求項1乃至15のいずれかに記載の方法。
- 前記情報成分および基準成分または前記一対の処理された基準成分および情報成分が定常的な中間周波数(Z’1;Z’2;・・・;Z’N+X)へ変換される、請求項15または16のいずれかに記載の方法。
- 前記定常的な中間周波数が一対の処理によって発生される、請求項1乃至17のいずれかに記載の方法。
- 送信信号において使用された周波数勾配の上昇に依存して受信信号の中に含まれる多重成分の進行時間差が前記定常的な中間周波数への変換後に周波数差の形態で表され、分離のために利用され、かつ前記定常的な中間周波数(Z’1;Z’2;・・・;Z’N+X)のスペクトルからそれぞれ最も好適な信号成分が選ばれ、または相対的な情報パラメータが該当する信号成分から決定される、請求項16または18のいずれかに記載の方法。
- 一定の時間間隔でチャネル・チューニングが挿入される、請求項15乃至19のいずれかに記載の方法。
- 情報伝送中に連続的にそれぞれ最も好適な受信成分の識別またはフィルタ調整の更新が前記定常的な中間周波数のスペクトルの好適な解析によって実施され、それによって本来の情報伝送の中断なしに連続的なチャネル・チューニングが行われる、請求項15乃至20のいずれかに記載の方法。
- 伝送におけるドップラー周波数シフトが決定され、かつ発振周波数の発生時に考慮される、請求項15乃至21のいずれかに記載の方法。
- 前記一対の処理がそれぞれ適合した周波数特性を有する内部で発生した成分によって行われる、請求項15乃至22のいずれかに記載の方法。
- それぞれ
a)前記少なくとも1つの基準成分(BK)が変換済み基準成分(BK’)へ、かつ前記少なくとも1つの情報成分(I1;I2;・・・;IN)が変換済み情報成分(I1’;I2’;・・・;IN’)へ変換され、また
b)情報符号化のために重要な信号パラメータが前記変換済み情報成分(I1’;I2’;・・・;IN’)の射影によってそれぞれの前記変換済み基準成分(BK’)の正弦および余弦成分で決定される、請求項15乃至23に記載の方法。 - 前記少なくとも基準成分が、好適な変換によって、それぞれ処理される情報成分を用いてドップラー同一の参照成分(RF)へと、その両成分の乗算が周波数安定な信号を与えるように変換される、請求項24に記載の方法。
- a)前記変換済み情報成分(I1’;I2’;・・・;IN’)が参照成分(RF)と乗算されて第1の値(CQ)が生成され、
b)前記変換済み情報成分(I1’;I2’;・・・;IN’)が時間的に導出された参照成分(RF)と乗算されて第2の値(SQ)が生成され、さらに
c)前記第1と第2の値の間の関係を求めて、時間的に不変の情報パラメータにのみ依存する時間的に不変の最終値を得る、請求項24または25のいずれかに記載の方法。 - 請求項1乃至26のいずれかに記載の方法を実行するための、かつ1つの送信ユニットと1つの受信ユニットとを含み、前記送信ユニットと前記受信ユニットの間で1つの情報信号(IS)が伝送される、情報伝送システムであって、
− 前記送信ユニットが、時間的に連続する周波数変化を発生し、かつ1つのビット・パターンを与えるように、少なくとも1つの基準成分(BK)と少なくとも1つの情報成分(I1;I2;・・・;IN)とを発生する手段を有し、かつ
− 前記受信ユニットが、前記少なくとも1つの情報成分(I1;I2;・・・;IN)と前記少なくとも1つの基準成分(BK)とを同時に含む情報信号(IS)を検出する手段を有し、前記基準成分および情報成分のうちの少なくとも1つの成分が時間的に連続する周波数変化を有する、
情報伝送システム。 - 前記送信ユニットが、
− 前記少なくとも1つの基準成分(BK)と前記少なくとも1つの情報成分とを与える少なくとも1つの発生器と、
− 前記発生器に接続され、かつ周波数推移を決定する第1の制御モジュールと、
− 1つの符号化器もしくは前記制御モジュールに接続された、情報を信号技術的に変換する1つの変調器と、
− 前記発生器および前記符号化器もしくは前記変調器に後置された1つの混合ユニットと、
を含む、請求項27に記載のシステム。 - 前記受信ユニットが、少なくとも1つの入力と、1つの処理ユニットと、少なくとも1つの出力とを有し、
前記処理ユニットが、直列接続で、信号成分を分離および変換する手段と、雑音成分を分離もしくは抑制する手段と、パラメータ解析手段とを含む、
請求項27または28のいずれかに記載のシステム。 - 前記分離および変換する手段が少なくとも1つの乗算器を有し、それによって基準成分(BK)との少なくとも1つの情報成分(I1;I2;・・・;IN)のそれぞれ一対の乗算が行われ、この積が定常的な中間周波数のスペクトルを形成し、それらから少なくとも1つのフィルタユニットを有する後置された前記雑音成分を抑制する手段が所望の信号成分をフィルタで取出し、次いでこの信号成分が後置された前記パラメータ解析手段へ転送される、請求項29に記載のシステム。
- 前記受信ユニットに設けられた分離する手段が、乗算器に前置されており、かつ並列接続で少なくとも2つのフィルタ要素を含み、それらによって初めに少なくとも1つの成分が残りの信号成分から分離される、請求項29または30に記載のシステム。
- 前記分離および変換する手段が前記少なくとも1つの基準成分(BK)と前記少なくとも1つの情報成分(IK)の一対の処理のために設けられた乗算器の後に発振周波数を供給するモジュールを備えた別の1つのユニットを有し、これが定常的な中間周波数のそれぞれ所定の領域へ信号成分の変換を生ぜしめる、請求項30または31に記載のシステム。
- 前記分離および変換する手段が、少なくとも1つの乗算器と、1つまたはそれ以上の発生器または1つの呼出可能なメモリユニットの形態で発振周波数を供給する少なくとも1つのモジュールとを有し、これらを介して前記基準成分および前記情報成分が互いに別々に定常的な中間周波数のそれぞれ所定の領域に変換され、次いでこれに少なくとも1つのフィルタユニットを有する前記雑音成分を抑制する手段が後置されており、それらによってこの定常的な中間周波数のそれぞれのスペクトルから所望の信号成分がフィルタで取出され、かつそのようにして雑音成分から除去され、次いで後置された前記パラメータ解析手段に転送される、請求項29または31に記載のシステム。
- 前記受信ユニットに設けられた周波数変換手段がさらにドップラー調整のための少なくとも1つの変換器を有する、請求項29乃至33のいずれかに記載のシステム。
- 前記雑音成分を抑制する手段が付加的に制御可能なフィルタを有する、請求項29乃至34のいずれかに記載のシステム。
- 前記パラメータ解析手段が、少なくとも1つの基準振動を有するそれぞれ1つの情報を搬送する信号成分の一対の処理のための少なくとも1つの乗算器を有し、前記基準振動がシステム内部で発生器によって、もしくはメモリから、または前記基準成分によって、それらのいずれかで供給され、かつ1つの解析モジュールを有する、請求項29乃至35のいずれかに記載のシステム。
- 前記受信ユニットは、さらに、周波数変換手段に後置されたチューニング手段を有し、周波数スペクトルを解析する1つのモジュールと、1つの評価ユニットとを有し、かつ前記雑音成分を抑制する手段に接続されている、請求項29乃至36のいずれかに記載のシステム。
- 前記受信ユニットは、さらに、ドップラー解析のためのモジュールを有し、これが少なくとも1つの補助周波数発生器に、または前記送信ユニットと前記受信ユニットの間の距離変化の速度を決定する評価モジュールに接続されている、請求項29乃至37のいずれかに記載のシステム。
- 請求項27乃至38のいずれかに記載の情報伝送システムの一部として設計された送信ユニット。
- 請求項27乃至39のいずれかに記載の情報伝送システムの一部として設計された受信ユニット。
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