JP4398283B2 - 熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法、熱可塑性樹脂用発泡剤混合物及び熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ - Google Patents

熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法、熱可塑性樹脂用発泡剤混合物及び熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ Download PDF

Info

Publication number
JP4398283B2
JP4398283B2 JP2004058505A JP2004058505A JP4398283B2 JP 4398283 B2 JP4398283 B2 JP 4398283B2 JP 2004058505 A JP2004058505 A JP 2004058505A JP 2004058505 A JP2004058505 A JP 2004058505A JP 4398283 B2 JP4398283 B2 JP 4398283B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
foaming agent
weight
parts
copolymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2004058505A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004285345A (ja
Inventor
泰輔 二森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Original Assignee
Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd filed Critical Dainichiseika Color and Chemicals Mfg Co Ltd
Priority to JP2004058505A priority Critical patent/JP4398283B2/ja
Publication of JP2004285345A publication Critical patent/JP2004285345A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4398283B2 publication Critical patent/JP4398283B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、射出成形、押出成形等の各種発泡成形に際し、押出機スクリュー、スクリーン、金型等に堆積する発泡剤であるクエン酸モノナトリウムの分解残渣を低減させる熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法及び熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチに関するものである。
現在、射出成形、押出成形等の各種発泡成形により熱可塑性樹脂発泡成形品を製造する際、使用される熱分解型発泡剤としては、主に窒素ガスを発生するアゾジカルボンアミド、5−フェニルテトラゾール、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどの有機発泡剤、主に炭酸ガスを発生するクエン酸モノナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機発泡剤などが挙げられる。このうち、クエン酸モノナトリウムや炭酸水素ナトリウムは、いずれも白色で無臭であり安全性が高いことから、これら単独又は併用することで広く用いられている。また、これら発泡剤を含有する熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチは、例えば特許文献1の特開昭62−70429号公報、特許文献2の特表平9−507868号公報及び特許文献3の特開平9−77876号公報などに開示がある。
しかし、熱分解型発泡剤として、クエン酸モノナトリウムを直接又は該クエン酸モノナトリウムを含有する熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチを熱可塑性樹脂に混合し、該混合物を発泡剤の分解温度以上に加熱して射出成形、押出成形等の各種の発泡成形を長時間連続して行うと、次第に押出機スクリュー、スクリーン、成形金型等にクエン酸モノナトリウムの分解残渣が堆積することになる。この場合、分解残渣の堆積物が発泡成形品に不定期に混入して発泡成形品の品質を悪化させる。また、この発泡成形品の品質悪化を防止するため定期的に成形金型やスクリーンを取り外し清掃作業や交換作業を行うと生産効率が低下するという問題がある。
一方、特許文献4の特開平4−178484号公報には、クエン酸モノナトリウム無水物と酸化亜鉛又は酸化マグネシウムからなる発泡剤組成物は、金型の汚染を少なくし、金型の清掃による成形時間のロスを少なくすることや、成形後の成形品に白色斑点のブルーミングの発生がないことが開示されている。
特開昭62−70429号公報(特許請求の範囲) 特表平9−507868号公報(特許請求の範囲) 特開平9−77876号公報(特許請求の範囲) 特開平4−178484号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特開平4−178484号公報記載の発泡剤組成物において、金型の清掃による成形時間のロスを起こすのは、アゾジカルボンアミドの分解残渣によるものであり、クエン酸モノナトリウム無水物の分解残渣によるものではない。当該公報では、クエン酸モノナトリウム無水物の分解残渣による金型汚染はむしろ少ないとしており、クエン酸モノナトリウム無水物の配合に伴う成形品の白色斑点のブルーミングを問題としている。
従って、本発明の目的は、熱分解型発泡剤としてクエン酸モノナトリウムを熱可塑性樹脂に加熱混合し発泡成形する際、押出機スクリュー、スクリーン、金型等に堆積するクエン酸モノナトリウムの分解残渣を低減させる熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法、並びに該製造方法に用いる熱可塑性樹脂用発泡剤混合物及び熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチを提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、熱可塑性樹脂と(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物(以下、発泡剤(A)とも記載する。)を加熱混合し発泡成形する際、(B)エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の共重合体(以下、共重合体(B)とも記載する。)を、該発泡剤(A)に対して特定割合で配合させると、クエン酸モノナトリウムの分解残渣を熱可塑性樹脂中に高分散できるので、押出機スクリュー、スクリーン、金型等に堆積するクエン酸モノナトリウムの分解残渣を低減させることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(1)は、熱可塑性樹脂に、(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物、及び(B)エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の共重合体を混合して樹脂混合物を得、該樹脂混合物を前記(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物の分解温度以上に加熱して成形する熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法であって、前記(B)共重合体の配合量が、前記(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物100重量部に対して、2〜400重量部である熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、熱可塑性樹脂に、(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物、及び(B)エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の共重合体を含有する熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチを混合して樹脂混合物を得、該樹脂混合物を前記(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物の分解温度以上に加熱して成形する熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法であって、前記熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ中の前記(B)共重合体の配合量が、前記(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物100重量部に対して、2〜400重量部である熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法を提供するものである。
また、本発明(3)は、(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物、及び(B)エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の共重合体を含有するものであって、前記(B)共重合体の配合量が、前記(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物100重量部に対して、2〜400重量部である熱可塑性樹脂用発泡剤混合物を提供するものである。
また、本発明(4)は、(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物、及び(B)エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の共重合体を含有するものであって、前記(B)共重合体の配合量が、前記(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物100重量部に対して、2〜400重量部である熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチを提供するものである。
本発明の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法によれば、エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の共重合体を、発泡剤であるクエン酸モノナトリウム等に対して特定割合で配合させたため、該発泡剤及び該共重合体を熱可塑性樹脂に加熱混合し発泡成形する際、押出機スクリュー、スクリーン、金型等に堆積するクエン酸モノナトリウムの分解残渣を低減させることができる。このため、発泡成形品に堆積物の混入もなく、品質を悪化させる等の問題は生じない。また、本発明の熱可塑性樹脂用発泡剤混合物及び熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチは、該熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法に、好適に用いることができる。
本発明に係る第1の実施の形態の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法は、熱可塑性樹脂に、(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物(発泡剤(A))、及び(B)エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の共重合体(共重合体(B))を特定の配合割合で混合して樹脂混合物を得、該樹脂混合物を該A成分の混合物の分解温度以上に加熱して成形する。
本発明に係るクエン酸モノナトリウム又は炭酸水素ナトリウムは、公知の熱分解型発泡剤であり、いずれも白色で無臭であり安全性が高い。クエン酸モノナトリウムは、分解温度が約195℃であり、粒径としては、平均粒径が5〜150μm、好ましくは20〜50μmの範囲のものが挙げられる。平均粒径が150μmを超えるものは、発泡成形させた際に形成される発泡セルが粗くなり外観不良等を引き起こすため好ましくない。また、平均粒径が5μm未満のものを合成するには大幅なコストアップとなり実用的ではない。クエン酸モノナトリウムは、無水物であってもよい。
また、本発明に係る発泡剤(A)は、クエン酸モノナトリウム及び該炭酸水素ナトリウムを併用したものであってもよい。本発明は、発泡成形する際、押出機スクリュー、スクリーン、金型等に堆積するクエン酸モノナトリウムの分解残渣を低減することが目的であるため、クエン酸モノナトリウムを必須の成分とするのに対して、炭酸水素ナトリウムは、前述の如く、同様に白色で無臭であり安全性が高く、従ってこれを併用して用いればクエン酸モノナトリウムの配合量を低減することができる点で好ましい。炭酸水素ナトリウムの粒径としては、平均粒径が5〜200μm、好ましくは10〜100μmの範囲のものが挙げられる。平均粒径が200μmを超えるものは、発泡成形させた際に形成される発泡セルが粗くなり外観不良等を引き起こすため好ましくない。また、平均粒径が5μm未満のものを合成するには大幅なコストアップとなり実用的ではない。
該発泡剤(A)の配合量は、該樹脂混合物中、通常0.005〜12.3重量%、好ましくは0.01〜10.7重量%である。該樹脂混合物中、発泡剤(A)の配合量が0.005重量%未満であると、発泡成形が困難となり、また、12.3重量%を超えると、最終成形品へのクエン酸モノナトリウムの分解残渣の混入量が多くなり、最終成形品の品質が悪くなる原因となる。
本発明に係る(B)エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の共重合体は、公知の方法で製造されたものを使用することができる。エチレンアクリル酸共重合体は、例えばアクリル酸含量が7.0〜8.5%のものが使用できる。エチレンアクリル酸エステル共重合体としては、例えばエチレンアクリル酸エチル共重合体が挙げられる。エチレンアクリル酸エチル共重合体は、例えばアクリル酸エチルの含量が5.5〜34.0%のものが使用できる。エチレンメタクリル酸共重合体は、例えばメタクリル酸含量が7.0〜15.0%のものが使用できる。エチレンメタクリル酸エステル共重合体としては、例えばエチレンメタクリル酸メチル共重合体が挙げられる。エチレンメタクリル酸メチル共重合体は、例えばメタクリル酸メチルの含量が5.0〜30.0%のものが使用できる。該共重合体(B)は、これら単独又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。
該共重合体(B)の配合量は、該発泡剤(A)100重量部に対して、2〜400重量部であり、好ましくは5〜200重量部である。該共重合体(B)の配合量が、該発泡剤(A)に対して、2重量部未満だと、クエン酸モノナトリウムの分解残渣を熱可塑性樹脂中に高分散させることができず、分解残渣の堆積が起こり易くなる。また、400重量部を超えると、分散効果がそれほど上がらず、無駄な添加となる。このように、該共重合体(B)を、該発泡剤(A)に対して特定の配合割合となるように、該熱可塑性樹脂に配合することで、発泡成形させる際、クエン酸モノナトリウムの分解残渣を熱可塑性樹脂中に高度に均一分散させることができ、分解残渣の堆積を低減することができる。このため、分解残渣の堆積に伴う発泡成形品の品質不良等がなくなる。
該発泡剤(A)及び該共重合体(B)が混合される該熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、メタクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリウレタン及びアイオノマー等が挙げられる。このうち、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂が、熱可塑性樹脂発泡成形品の製造における加工性に優れ、また本発明の効果が特に顕著に表れると共に、該発泡製品の利用分野が広い点で好ましい。該熱可塑性樹脂は単独又は2種類以上の樹脂を組み合わせて使用することができる。
該熱可塑性樹脂に、該発泡剤(A)を混合する際の該発泡剤(A)の形態としては、特に制限されず、例えば、クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物の粉末、あるいは熱可塑性樹脂に該発泡剤(A)を分散させたもの、例えば、該発泡剤(A)を熱可塑性樹脂に混合し、該発泡剤(A)の熱分解温度未満の温度で溶融混練し、ペレット状に成形して得られる発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット等が挙げられる。なお、熱可塑性樹脂に該発泡剤(A)を分散させたもの、例えば、該発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットを用いる場合、該発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレット中の該発泡剤(A)の含有量は、特に制限されないが、好ましくは10〜70重量%、更に好ましくは20〜60重量%である。
該熱可塑性樹脂に、該発泡剤(A)及び該共重合体(B)を混合する方法としては、特に制限されないが、例えば、該発泡剤(A)及び該共重合体(B)を別々に加える方法、該発泡剤(A)及び該共重合体(B)を混合して得られる熱可塑性樹脂用発泡剤混合物を加える方法等が挙げられる。
該熱可塑性樹脂用発泡剤混合物は、発泡剤(A)及び共重合体(B)を含有するものであって、該共重合体(B)の配合量が、該発泡剤(A)100重量部に対して、2〜400重量部であり、好ましくは5〜200重量部である。また、必要に応じ、発泡剤(A)以外の発泡剤又は助剤を、更に含むことができる。
該熱可塑性樹脂用発泡剤混合物を得る方法としては、特に制限されず、例えば、該発泡剤(A)及び該共重合体(B)を、別に用意した容器に入れ振騰して混合する方法、攪拌機を備えた容器中で攪拌混合する方法、ラインミキサーを備えた混合ライン中で混合する方法等が挙げられる。また、必要に応じ、発泡剤(A)以外の発泡剤又は助剤を、更に加えて混合することができる。
該熱可塑性樹脂に、発泡剤(A)及び共重合体(B)を混合する際、使用する混合機としては、特に制限されず、例えばボールミル、ブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー及びらい潰機などが挙げられる。
該発泡剤(A)及び該共重合体(B)を、該熱可塑性樹脂に混合する際、有機発泡剤、及びクエン酸モノナトリウム、炭酸水素ナトリウム以外の無機発泡剤を添加することができる。有機発泡剤としては、アゾ化合物、ニトロソ化合物、スルホニル化合物、テトラゾール化合物等が知られており、具体例としては、アゾジカルボンアミド、5−フェニルテトラゾール、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどが挙げられる。また、クエン酸モノナトリウム、炭酸水素ナトリウム以外の無機発泡剤としては、酸化亜鉛、炭酸亜鉛などが挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、該発泡剤(A)及び該共重合体(B)を、該熱可塑性樹脂に混合する際、必要に応じ、通常の各種樹脂添加剤を配合することができる。これら樹脂添加剤としては、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、離型剤、染料や顔料などの着色剤、潤滑剤、可塑剤、結晶化促進剤、耐熱安定剤、耐候性安定剤、紫外線吸収剤、防錆剤、ガラス繊維や炭素繊維などの充填剤などが挙げられる。これらの樹脂添加剤は、該熱可塑性樹脂に予め混練により配合しておくこともできる。
次に、該樹脂混合物を、該発泡剤(A)の分解温度以上に加熱して成形して熱可塑性樹脂発泡成形品を得る。発泡成形品を製造する方法としては、特に限定されず、例えば射出成形法、押出成形法、溶融圧縮成形法などが挙げられる。
例えば射出成形法によって発泡成形品を製造するには、熱可塑性樹脂、発泡剤マスターバッチ及び必要に応じて他の樹脂添加剤を混合した混合物を、ホッパーに投入し、温度を例えば190〜220℃に設定したシリンダー内で加熱し、金型に射出圧入し、冷却して目的の成形品とする。従来の発泡剤にクエン酸モノナトリウムを用いる熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法では、この射出成形による発泡成形を長時間連続して行うと、次第に成形金型等にクエン酸モノナトリウムの分解残渣が堆積することになり、この分解残渣の堆積物が発泡成形品に不定期に混入して発泡成形品の品質を悪化させたり、成形金型等の定期的な清掃作業や交換作業を余儀なくしていた。しかし、本発明に係る第1の実施の形態の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法においては、共重合体(B)を発泡剤(A)に対して特定割合で配合しているため、クエン酸モノナトリウムの分解残渣を熱可塑性樹脂中に高度に均一分散でき、分解残渣の堆積を抑制することができる。このため、発泡成形品に堆積物の混入もなく、品質を悪化させる等の問題は生じない。また、成形品の種類には制限がなく、電気電子部品、家電製品部品、機械部品、自動車部品、事務機器部品及び日用雑貨製品などが挙げられる。
本発明に係る第2の実施の形態の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法は、熱可塑性樹脂に、前記発泡剤(A)及び前記共重合体(B)を含有する熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチを混合して樹脂混合物を得、該樹脂混合物を該発泡剤(A)の分解温度以上に加熱して成形するものである。該第2の実施の形態の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法において、前記第1の実施の形態の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法と同じ部分については説明を省略し、異なる部分について主に説明する。すなわち、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と主に異なる点は、前記発泡剤(A)及び前記共重合体(B)を、前記熱可塑性樹脂に混合することに代え、前記発泡剤(A)及び前記共重合体(B)を含有する熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチを、前記熱可塑性樹脂に混合する点にある。
該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチは、前記発泡剤(A)及び前記共重合体(B)を含有し、該共重合体(B)の配合量が、該発泡剤(A)100重量部に対して、2〜400重量部であるものであれば特に制限されず、具体的には、熱可塑性樹脂と、該発泡剤(A)及び該共重合体(B)の溶融混錬物であって、該共重合体(B)が該配合割合で配合してなるものである。
該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチにおいて、該発泡剤(A)及び該共重合体(B)が配合される基体となる熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、メタクリル、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリウレタン及びアイオノマー等が挙げられる。発泡剤マスターバッチの基体である熱可塑性樹脂は、該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチを混合する熱可塑性樹脂は同一樹脂であっても、なくてもよいが、同一樹脂であることが、発泡成形品の製造時に均一分散しやすい点で好ましい。このうち、低密度ポリエチレン(LDPE)が、マスターバッチ製造における加工性に優れ、また本発明の効果が特に顕著に表れると共に、この発泡剤マスターバッチを低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂に混合して得られる発泡製品の利用分野が広い点で好ましい。これら熱可塑性樹脂は単独又は2種類以上の樹脂を組み合わせて使用することができる。
該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ中の該発泡剤(A)の配合量は、通常5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%である。該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ中の該発泡剤(A)の配合量が5重量%未満であると、発泡成形品の製造時に熱可塑性樹脂と混合する発泡剤マスターバッチの添加量が多くなりコストアップとなるため好ましくない。また、70重量%を超えると、該発泡剤マスターバッチ製造時の混錬機への材料の食い込みが悪く、且つ最終成形品での樹脂と発泡剤マスターバッチの分配が悪くなり、発泡むらの原因となる。
該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ中の共重合体(B)の配合量は、該発泡剤(A)100重量部に対して、2〜400重量部、好ましくは5〜200重量部である。該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ中の該共重合体(B)の配合量が、該発泡剤(A)に対して、2重量部未満だと、クエン酸モノナトリウムの分解残渣を熱可塑性樹脂中に高分散させることができず、分解残渣の堆積が起こり易くなる。また、400重量部を超えると、分散効果がそれほど上がらず、無駄な添加となる。
該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチの特に好ましい形態としては、(A)クエン酸モノナトリウム、及び(B)エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の共重合体を低密度ポリエチレンに配合し、且つ(A)クエン酸モノナトリウムの配合量を該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ中、5〜70重量%、好ましくは10〜60重量%としたものである。このマスターバッチによれば、マスターバッチ製造における加工性に優れる。
該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチを調製するには、熱可塑性樹脂と発泡剤(A)を、発泡剤(A)の熱分解温度未満の温度で溶融混練する。発泡剤マスターバッチを調製する際に、高温にすると発泡剤(A)が熱分解してしまい、生成物は発泡剤マスターバッチとして機能しなくなる。溶融混練する際に使用できる混練機としては、特に制限されず、Σ羽根型混練機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、高速二軸連続ミキサー及び押出機などが挙げられる。
該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチを調製する際、有機発泡剤、及びクエン酸モノナトリウム、炭酸水素ナトリウム以外の無機発泡剤を添加することができる。有機発泡剤としては、前記第1の実施の形態の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法で述べたものと同様なので、その説明を省略する。
また、該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチを調製する際、発泡分解温度を調整するために、必要に応じ、他の助剤を配合することができる。他の助剤としては、前記第1の実施の形態の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法で述べたものと同様なので、その説明を省略する。
該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチの配合量は、該熱可塑性樹脂100重量部に対して、該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ0.1〜20重量部である。該熱可塑性樹脂100重量部に対する該発泡剤マスターバッチの配合量が0.1重量部未満では、該熱可塑性樹脂に対する発泡剤の量が少なすぎ、目的とする発泡倍率の成形品が得られない。また、該発泡剤マスターバッチの配合量が20重量部を超えると、熱可塑性樹脂に対する発泡剤の量が多すぎ、最終成形品での樹脂と発泡剤マスターバッチの分配が悪くなり、発泡むらの原因となる。該発泡剤マスターバッチの配合量は、上記範囲の中では、0.5〜7重量部が好適である。
該本発明に係る第2の実施の形態の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法においては、該共重合体(B)を該発泡剤(A)に対して特定の配合割合で配合していることに加え、該発泡剤(A)及び該共重合体(B)が、該熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ中で均一に混合しているため、前記第1の実施の形態の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法に比べ、クエン酸モノナトリウムの分解残渣を熱可塑性樹脂中への均一分散が更に高度になり、分解残渣の堆積を抑制する効果が更に高まる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットAの作成)
低密度ポリエチレン90重量部及びクエン酸モノナトリウム10重量部をシリンダー口径40mmの押出機にて約110℃で押出し、ペレタイザーにてペレット化して発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットAを得た。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
得た発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 4.55重量部及びアクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体(ノバテックEAA A210K;日本ポリケム社製)0.45重量部を、別に用意した容器中で振騰して混合し、高密度ポリエチレン100重量部に加え、シリンダー口径20mmの押出機にて約220℃で押出して発泡剤を分解させ、押出機ダイス部に装着した200メッシュのスクリーンを通過させて熱可塑性樹脂発泡成形品Aを得た。この発泡成形品のスクリーン通過に伴う圧力の上昇を、20分間5分毎に測定した。結果を表1に示す。表1中、配合量は重量部である。
(発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットBの作成)
低密度ポリエチレン90重量部及びクエン酸モノナトリウム10重量部の代わりに、低密度ポリエチレン80重量部、クエン酸モノナトリウム10重量部及び炭酸水素ナトリウム10重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行い、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットBを得た。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットAの代わりに、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットBとする以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Bを得た。その結果を表1に示す。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
アクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部に代えて、アクリル酸エチル含量が9%のエチレンアクリル酸エチル共重合体(エバフレックス−EEA A−701;三井・デュポンポリケミカル社製)0.45重量部とする以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Cを得た。その結果を表1に示す。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
アクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部に代えて、メタクリル酸含量が10%のエチレンメタクリル酸共重合体(ニュクレルN1035;三井・デュポンポリケミカル社製)0.45重量部とする以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Dを得た。その結果を表1に示す。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
アクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部に代えて、メタクリル酸メチル含量が10%のエチレンメタクリル酸メチル共重合体(アクリフトWD201;住友化学工業社製)0.45重量部とする以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Eを得た。その結果を表1に示す。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 4.55重量部及びアクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部を、別に用意した容器中で振騰して混合し、高密度ポリエチレン100重量部に加えることに代え、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 4.55重量部及びアクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部を、同時に、直接高密度ポリエチレン100重量部に加えること以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Fを得た。その結果を表1に示す。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 4.55重量部及びアクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部に代え、クエン酸モノナトリウム0.5重量部及び実施例1で用いたエチレンアクリル酸共重合体0.5重量部とする以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Gを得た。その結果を表2に示す。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 4.55重量部及びアクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部に代え、クエン酸モノナトリウム0.5重量部、炭酸水素ナトリウム0.5重量部及び実施例1で用いたエチレンアクリル酸共重合体1.0重量部とする以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Hを得た。その結果を表2に示す。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 4.55重量部及びアクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部に代え、クエン酸モノナトリウム0.5重量部及び実施例3で用いたエチレンアクリル酸エチル共重合体0.5重量部とする以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Iを得た。その結果を表2に示す。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 4.55重量部及びアクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部に代え、クエン酸モノナトリウム0.5重量部及び実施例4で用いたエチレンメタクリル酸共重合体0.5重量部とする以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Jを得た。その結果を表2に示す。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 4.55重量部及びアクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部に代え、クエン酸モノナトリウム0.5重量部及び実施例5で用いたエチレンメタクリル酸メチル共重合体0.5重量部とする以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Kを得た。その結果を表2に示す。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 4.55重量部及びアクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部を、別に用意した容器中で振騰して混合し、高密度ポリエチレン100重量部に加えることに代え、クエン酸モノナトリウム0.5重量部及び実施例1で用いたエチレンアクリル酸共重合体0.5重量部を、同時に、直接高密度ポリエチレン100重量部に加えること以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Lを得た。その結果を表2に示す。
<比較例1>
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 4.55重量部及びアクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部に代え、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 5重量部とする以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Mを得た。その結果を表3に示す。
<比較例2>
(発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットCの作成)
低密度ポリエチレン90重量部及びクエン酸モノナトリウム10重量部の代わりに、低密度ポリエチレン90重量部及び炭酸水素ナトリウム10重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で行い、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットCを得た。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 4.55重量部及びアクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部に代え、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットC 5重量部とする以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Nを得た。その結果を表3に示す。
<比較例3>
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 4.55重量部及びアクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部に代え、クエン酸モノナトリウム 0.5重量部とする以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Pを得た。その結果を表3に示す。
<比較例4>
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 4.55重量部及びアクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部に代え、炭酸水素ナトリウム0.5重量部とする以外は、実施例1と同様の方法で行い熱可塑性樹脂発泡成形品Qを得た。その結果を表3に示す。
<参考例>
ブランク試験として、発泡剤含有熱可塑性樹脂ペレットA 4.55重量部及びアクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体0.45重量部を用いることなく、高密度ポリエチレンのみを用いた以外は実施例1と同様の方法でスクリーンを通過させた。この場合、樹脂圧力は20分間に亘り、当初の14MPaで維持されていた。
Figure 0004398283
Figure 0004398283
Figure 0004398283
実施例1〜12はいずれも、樹脂圧力の上昇は僅かであり、金型を分解清掃する必要はなかった。一方、エチレンアクリル酸共重合体等の共重合体(B)を添加しない比較例1及び3は、実施例1〜12より樹脂圧力の上昇が顕著であった。また、クエン酸モノナトリウムを配合しない比較例2及び4は、樹脂圧力は実施例1〜12、比較例1及び3より低いまま推移した。従って、樹脂圧力の上昇はクエン酸モノナトリウムの分解物が原因であることがわかった。
(発泡剤マスターバッチAの製造)
クエン酸モノナトリウム10重量部、アクリル酸含量が7.0%のエチレンアクリル酸共重合体(ノバッテクEAA A210K;日本ポリケム社製)10重量部、および低密度ポリエチレン80重量部をシリンダー口径40mmの押出機にて約110℃で押出、ペレタイザーでペレット化して本発明の熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチAを得た。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
上記方法で得られた熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチA 5重量部、高密度ポリエチレン95重量部をシリンダー口径20mmの押出機にて約220℃で押出して発泡剤を分解させ、押出機ダイス部に装着した200メッシュのスクリーンを通過させて熱可塑性樹脂発泡成形品Rを得た。この発泡成形品のスクリーン通過に伴う圧力の上昇を、20分間5分毎に測定した。結果を表4に示す。表4中、配合量は重量部である。
(発泡剤マスターバッチBの製造)
押出機に投入する原材料のクエン酸モノナトリウム10重量部、エチレンアクリル酸共重合体10重量部、および低密度ポリエチレン80重量部の代わりに、クエン酸モノナトリウム10重量部、炭酸水素ナトリウム10重量部、エチレンアクリル酸共重合体10重量部、および低密度ポリエチレン70重量部を用いた以外は、実施例13と同様の方法で行ない熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチB得た。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチAの代わりに、熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチBを用いた以外は、実施例13と同様の方法で行ない熱可塑性樹脂発泡成形品Sを得た。その結果を表4に示す。
(発泡剤マスターバッチCの製造)
エチレンアクリル酸共重合体10重量部の代わりに、アクリル酸エチル含量が9%のエチレンアクリル酸エチル共重合体(エバフレックス-EEA A-701;三井・デュポンポリケミカル社製)10重量部を用いた以外は、実施例13と同様の方法で行ない熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチCを得た。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチAの代わりに、熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチCを用いた以外は、実施例13と同様の方法で行ない熱可塑性樹脂発泡成形品Tを得た。その結果を表4に示す。
(発泡剤マスターバッチDの製造)
エチレンアクリル酸共重合体10重量部の代わりに、メタクリル酸含量10.0%のエチレンメタクリル酸共重合体(ニュクレルN1035;三井・デュポンポリケミカル社製)10重量部を用いた以外は、実施例13と同様の方法で行ない熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチDを得た。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチAの代わりに、熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチDを用いた以外は、実施例13と同様の方法で行ない熱可塑性樹脂発泡成形品Uを得た。その結果を表4に示す。
(発泡剤マスターバッチEの製造)
エチレンアクリル酸共重合体10重量部の代わりに、メタクリル酸メチル含量10.0%のエチレンメタクリル酸メチル共重合体(アクリフトWD201;住友化学工業社製)10重量部を用いた以外は、実施例13と同様の方法で行ない熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチEを得た。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチAの代わりに、熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチEを用いた以外は、実施例13と同様の方法で行ない熱可塑性樹脂発泡成形品Vを得た。その結果を表4に示す。
<比較例5>
(発泡剤マスターバッチFの製造)
押出機に投入する原材料のクエン酸モノナトリウム10重量部、エチレンアクリル酸共重合体10重量部、および低密度ポリエチレン80重量部の代わりに、クエン酸モノナトリウム10重量部、炭酸水素ナトリウム10重量部、および低密度ポリエチレン80重量部を用いた以外は、実施例13と同様の方法で行ない熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチFを得た。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチAの代わりに、熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチFを用いた以外は、実施例13と同様の方法で行ない熱可塑性樹脂発泡成形品Wを得た。その結果を表5に示す。
<比較例6>
(発泡剤マスターバッチGの製造)
押出機に投入する原材料のクエン酸モノナトリウム10重量部、エチレンアクリル酸共重合体10重量部、および低密度ポリエチレン80重量部の代わりに、炭酸水素ナトリウム10重量部、および低密度ポリエチレン90重量部を用いた以外は、実施例13と同様の方法で行ない熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチGを得た。
(熱可塑性樹脂発泡成形品の製造及びスクリーンに対する圧力上昇試験)
熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチAの代わりに、熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチGを用いた以外は、実施例13と同様の方法で行ない熱可塑性樹脂発泡成形品Xを得た。その結果を表5に示す。
Figure 0004398283
Figure 0004398283
実施例13〜17はいずれも、樹脂圧力の上昇は僅かであり、金型を分解清掃する必要はなかった。エチレンアクリル酸共重合体等の共重合体(B)を添加しない比較例5は、実施例13〜17より樹脂圧の上昇が顕著であった。また、クエン酸モノナトリウムを配合しない比較例6は、樹脂圧力は実施例13〜17、比較例5より低いまま推移した。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂に、(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物、及び(B)エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の共重合体を混合して樹脂混合物を得、該樹脂混合物を前記(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物の分解温度以上に加熱して成形する熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法であって、前記(B)共重合体の配合量が、前記(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物100重量部に対して、2〜400重量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法。
  2. 熱可塑性樹脂に、(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物、及び(B)エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の共重合体を含有する熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチを混合して樹脂混合物を得、該樹脂混合物を前記(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物の分解温度以上に加熱して成形する熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法であって、前記熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ中の前記(B)共重合体の配合量が、前記(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物100重量部に対して、2〜400重量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法。
  3. 前記熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチの配合量が、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部であることを特徴とする請求項2記載の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法。
  5. (A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物、及び(B)エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の共重合体を含有するものであって、前記(B)共重合体の配合量が、前記(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物100重量部に対して、2〜400重量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂用発泡剤混合物。
  6. (A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物、及び(B)エチレンアクリル酸共重合体、エチレンアクリル酸エステル共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体及びエチレンメタクリル酸エステル共重合体から選ばれる1種以上の共重合体を含有するものであって、前記(B)共重合体の配合量が、前記(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物100重量部に対して、2〜400重量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ。
  7. 前記(B)共重合体の配合量が、前記(A)クエン酸モノナトリウム、又はクエン酸モノナトリウムと炭酸水素ナトリウムの混合物100重量部に対して、5〜200重量部であることを特徴とする請求項6記載の熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ。
JP2004058505A 2003-03-03 2004-03-03 熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法、熱可塑性樹脂用発泡剤混合物及び熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ Expired - Lifetime JP4398283B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004058505A JP4398283B2 (ja) 2003-03-03 2004-03-03 熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法、熱可塑性樹脂用発泡剤混合物及び熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003055285 2003-03-03
JP2004058505A JP4398283B2 (ja) 2003-03-03 2004-03-03 熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法、熱可塑性樹脂用発泡剤混合物及び熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004285345A JP2004285345A (ja) 2004-10-14
JP4398283B2 true JP4398283B2 (ja) 2010-01-13

Family

ID=33301969

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004058505A Expired - Lifetime JP4398283B2 (ja) 2003-03-03 2004-03-03 熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法、熱可塑性樹脂用発泡剤混合物及び熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4398283B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4766244B2 (ja) * 2005-12-08 2011-09-07 信越化学工業株式会社 導電性シリコーンゴム組成物及び導電性シリコーンゴムスポンジ
JP5226375B2 (ja) * 2008-04-24 2013-07-03 トヨタ紡織株式会社 熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法
JP5776469B2 (ja) * 2011-09-22 2015-09-09 東ソー株式会社 ポリアリーレンスルフィド樹脂用発泡剤マスターバッチ、その製造方法、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、及びそれからなる発泡成型品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004285345A (ja) 2004-10-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1890309A (zh) 由含有填料的可膨胀聚合物颗粒制成的珠粒泡沫模塑件
EP0143545B1 (en) Masterbatch composition containing a resin and a foaming agent
JP3330046B2 (ja) ポリプロピレン系複合材料着色用マスターバッチ
JP4398283B2 (ja) 熱可塑性樹脂発泡成形品の製造方法、熱可塑性樹脂用発泡剤混合物及び熱可塑性樹脂用発泡剤マスターバッチ
JP5171238B2 (ja) 発泡剤マスターバッチ
JP2005139431A (ja) マスターバッチを用いたポリスチレン系樹脂の成形方法、および、その成形方法によって得られる成形品
JPH09302099A (ja) ポリプロピレン系複合材料着色用マスターバッチ
US10465146B2 (en) Cleaning agent for cleaning polymer processing equipment, method for producing it and its use
JPWO2017164343A1 (ja) 射出発泡成形用のポリプロピレン系樹脂組成物、およびその射出発泡成形体
JP7187726B1 (ja) 樹脂加工機械用洗浄剤、その製造方法、及び樹脂加工機械内の洗浄方法
CN112358687A (zh) 一种阻燃聚丙烯组合物及其制备方法
JP5670816B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法
JPH0925447A (ja) 充填剤含有着色マスターバッチ
JP3194702B2 (ja) ポリアセタール樹脂用発泡剤マスターバッチ、その製造方法及びそれを用いた発泡成形品の製造方法
JPH10330560A (ja) 発泡成形用樹脂組成物及び発泡成形品
JPH0822928B2 (ja) マスタ−バッチの製造法
JP2001048992A (ja) 成形用マスターバッチ組成物とその製造方法
JPH07330935A (ja) 結晶性ポリオレフィン発泡体
JP2014196398A (ja) 発泡成形体表面におけるディンプルの抑制方法
JP2003206367A (ja) 木粉高充填発泡性オレフィン系樹脂組成物及びそれよりなる木粉高充填発泡成形体
JP7315179B2 (ja) 成形機用洗浄剤
JP2019059861A (ja) ポリプロピレン系射出発泡成形体
JP2010196054A (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡成形体
JP5034710B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物発泡成形体及びその製造方法
JPH10237206A (ja) 木質系熱可塑性樹脂組成物および該組成物用フィラー

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090909

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091019

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091022

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121030

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4398283

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131030

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250