JP3194702B2 - ポリアセタール樹脂用発泡剤マスターバッチ、その製造方法及びそれを用いた発泡成形品の製造方法 - Google Patents

ポリアセタール樹脂用発泡剤マスターバッチ、その製造方法及びそれを用いた発泡成形品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリアセタール樹
脂用発泡剤マスターバッチ、この発泡剤マスターバッチ
の製造方法、およびこの発泡剤マスターバッチを用いて
ポリアセタール樹脂発泡成形品を製造する方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアセタール樹脂に熱分解型発泡剤を
配合し、射出成形法において、ショートショット法によ
って発泡倍率が1.1〜2.5の発泡成形品を製造する
方法、およびフルショット法によって発泡倍率が1.0
1〜1.03の極低発泡の成形品を製造する方法は、い
ずれも公知である。このような発泡成形品を製造する際
に、ポリアセタール樹脂の粉末またはペレットに粉末状
の発泡剤をブレンドし、成形に供した場合には、(a)粉
末状の発泡剤が飛散しやすく、作業環境を悪化させ、ま
た(b)均一に混合されたポリアセタール樹脂のペレット
と粉末状の発泡剤とが、直径、比重の差などにより、ブ
レンド物を輸送中または成形機のホッパーに投入したと
きに両者の組成比が変化したり、甚だしいときは両者の
分離が起こり、均一に発泡した成形品が得られない、な
どの欠点があった。
【0003】上記(a)ないし(b)の欠点を解決する手法と
して、ポリアセタール樹脂に粉末状の発泡剤を混合する
際に、多価アルコールを添加し、両者の密着性、混合性
を向上させる方法が提案されている(特開昭61−57
631号公報参照)。しかし、この提案の方法は、(c)
粉末状の発泡剤と多価アルコールとがペースト状の塊に
なることがあり、発泡剤の組成比にバラツキが生じるこ
とは避けられず、また、(d)多価アルコールが成形機の
ホッパー内面に付着し、この清掃除去作業の負担が増
す、などの別の問題があり、有利な方法とは言い難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記(c)ないし(d)の欠
点を解決する手法として、あらかじめ多量の発泡剤を基
体樹脂に練り込んだ発泡樹脂組成物、いわゆる発泡剤マ
スターバッチを調製しておき、これとポリアセタール樹
脂の粉末またはペレットとをブレンドして成形する方法
が提案され、実用化されている。従来、ポリアセタール
樹脂用の発泡剤マスターバッチ調製用に使用されていた
基体樹脂は、低密度ポリエチレン(LDPE)が一般的
である。この方法によれば、上記(a)ないし(d)の問題は
総て解消されるが、ポリアセタール樹脂と低密度ポリエ
チレンとの親和性、相溶性が悪いため、成形品の表面に
層状剥離が生じたり、両者の界面が破壊の起点となり成
形品の機械的物性が低下するという欠点がある。
【0005】本発明者等は、かかる状況に鑑み鋭意検討
した結果、特定の発泡剤マスターバッチを用いることに
より、微細で均一な気泡を有し、層状剥離などの表面欠
陥のない、かつ優れた機械的物性を有するポリアセター
ル樹脂発泡成形品が得られること、特に発泡倍率が1.
01〜2.5倍で、優れた機械的物性を有するポリアセ
タール樹脂発泡成形品が得られることを見い出し、本発
明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第一
によれば、オレフィン系重合体を主鎖成分(a)とし、
これにビニル系重合体をグラフト成分(b)としてグラ
フトさせたグラフト共重合体(A)100重量部に対
し、温度20℃で固体であり、かつ分解温度が170℃
以上の熱分解型発泡剤(B)1〜100重量部が配合さ
れ、溶融混練されてなるポリアセタール樹脂用発泡剤マ
スターバッチが提供される。
【0007】また、本発明の第二によれば、オレフィン
系重合体の主鎖成分(a)と、ビニル系重合体のグラフ
ト成分(b)とをグラフトさせたグラフト共重合体
(A)100重量部に対し、温度20℃で固体であり、
かつ分解温度が170℃以上の熱分解型発泡剤(B)1
〜100重量部を配合し、ついで、熱分解型発泡剤
(B)の熱分解以下の温度で溶融混練することを特徴と
するポリアセタール樹脂用発泡剤マスターバッチの製造
方法が提供される。
【0008】さらに、本発明の第三によれば、ポリアセ
タール樹脂(C)100重量部に対し、前記本発明の第
一のポリアセタール樹脂用発泡剤マスターバッチ0.1
〜20重量部を混合し、発泡剤マスターバッチに含まれ
る発泡剤の分解温度以上に加熱して成形することを特徴
とする、ポリアセタール樹脂発泡成形品の製造方法が提
供される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、グラフト共重合体(A){以下、共重
合体(A)と称すこともある}は熱分解型発泡剤(B)
{以下、発泡剤(B)と称すこともある}の分解温度以
下で溶融し、発泡剤(B)を分解させずに保持する基体
樹脂の機能を果たし、同時に、成形用のポリアセタール
樹脂(C){以下、樹脂(C)と称すこともある}と優
れた親和性、相溶性を高める機能を果たす。
【0010】この共重合体(A)は、オレフィン系重合
体を主鎖成分(a)とし、これにビニル系重合体をグラ
フト成分(b)として、高分子間反応によって分岐構造
的に、または架橋構造的に化学結合したグラフト共重合
体である。
【0011】共重合体(A)の主鎖成分(a)を構成す
るオレフィン系重合体としては、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ポリブテンなどの単一重合体(ホモポリマ
ー)、これら重合体を構成する単量体同士の共重合体、
およびこれら単量体を主成分とし、これと他の共重合性
単量体との共重合体などが挙げられる。他の共重合性単
量体としては、アクリル酸グリシジルエステル、メタア
クリル酸グリシジルエステル、メタアクリル酸グリシジ
ルエステルなどのα,β−不飽和酸のグリシジルエステ
ル類、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和カ
ルボン酸及びそれらのアルキルエステル類などが挙げら
れる。共重合体の具体例としては、エチレン・プロピレ
ン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン
・エチルアクリレート共重合体、エチレン・α,β−不
飽和酸のグリシジルエステル共重合体などが挙げられ
る。上に例示した主鎖成分(a)を構成するオレフィン
系重合体の中では、ポリエチレン、エチレン・α,β−
不飽和酸のグリシジルエステル共重合体が最も好まし
い。
【0012】上記主鎖成分(a)にグラフトさせること
ができるグラフト成分(b)は、ビニル系重合体であ
り、主鎖成分(a)にグラフト成分(b)を高分子間反
応によってグラフトさせることにより、共重合体(A)
と成形用のポリアセタール樹脂(C)との親和性、相溶
性が大幅に改良される。
【0013】ビニル系重合体としては、ポリアクリル酸
エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチ
ル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸2−エ
チルヘキシル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、
アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリル酸ブチ
ル・メタクリル酸メチル共重合体、アクリル酸ブチル・
スチレン共重合体などが挙げられる。これらは、1種で
も2種以上の混合物であってもよい。グラフト成分
(b)として特に好ましいのは、ポリメタクリル酸メチ
ル、アクリロニトリル・スチレン共重合体などである。
【0014】共重合体(A)は、通常知られているラジ
カル反応によって、容易に製造することができる。具体
的な製造法としては、(i)主鎖成分(a)を構成するオ
レフィン系重合体に、グラフト成分(b)を構成する単
量体とラジカル触媒とを溶融混練してグラフト反応させ
る方法、(ii)主鎖成分(a)を構成するオレフィン系重
合体に過酸化物などの触媒を加えてフリーラジカルを生
成させ、これにグラフト成分(b)の重合体を加えて溶
融混練してグラフト反応させる方法、(iii)グラフト成
分(b)の重合体に過酸化物などの触媒を加えてフリー
ラジカルを生成させ、これを主鎖成分(a)を構成する
オレフィン系重合体と溶融混練してグラフト反応させる
方法などが挙げられる。
【0015】共重合体(A)を製造する際の主鎖成分
(a)とグラフト成分(b)との混練割合は、95:5
〜5:95の範囲で選ぶのがよい。グラフト成分(b)
の割合が少ないと、共重合体(A)と成形用ポリアセタ
ール樹脂(C)との親和性、相溶性が改良されないので
好ましくなく、グラフト成分(b)の割合が多すぎる
と、熱分解型発泡剤(B)を分解させずに溶融混練する
ことが困難になり、好ましくない。上記範囲の中でも好
ましいのは80:20〜20:80であり、とりわけ好
ましいのは60:40〜40:60である。
【0016】本発明者らの実験によれば、発泡剤(B)
を分解させずに共重合体(A)に保持させ、かつポリア
セタール樹脂用発泡剤マスターバッチとして機能させる
には、共重合体(A)の溶融温度は170℃以下のもの
が好ましいことが分かった。共重合体(A)の溶融温度
を170℃以下にするには、主鎖成分(a)またはグラ
フト成分(b)の選択、および両者の混練割合により容
易に達成することができる。
【0017】本発明において、熱分解型発泡剤(B)は
成形用ポリアセタール樹脂(C)の成形時に、熱分解し
て成形品を発泡させる機能を果たす。この熱分解型発泡
剤(B)は、温度20℃で固体であり、かつ分解温度が
170℃以上である必要がある。温度20℃で固体であ
ると、共重合体(A)と混合し発泡剤マスターバッチを
調製する際に、前記(c)〜(d)の問題が発生しない。ま
た、分解温度が170℃以上であると、発泡剤マスター
バッチを調製する際には熱分解せず、発泡効率のよい発
泡剤マスターバッチが得られる。
【0018】熱分解型発泡剤(B)として使用できるも
のは、上記要件を満たすものであれば、従来から知られ
ている有機系発泡剤、無機系発泡剤などであってよく、
目的、用途に応じて選択、使用される。
【0019】有機系発泡剤としては、アゾ化合物、ニト
ロソ化合物、スルホニル化合物、テトラゾール化合物等
が知られており、具体例としては、アゾジカルボンアミ
ド、5−フェニルテトラゾール、ジニトロソペンタメチ
レンテトラミンなどが挙げられる。また、無機系発泡剤
としては、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、重炭酸ソーダ、クエン
酸ソーダなどが挙げられる。これらは単独でも、2種以
上の混合物であってもよく、例示されていない他の発泡
剤と併用することもできる。中でも好ましいのは、アゾ
ジカルボンアミド、テトラゾール系化合物、重炭酸ソー
ダ、クエン酸ソーダの単独またはこれらから選ばれた2
種以上の組合せなどである。
【0020】発泡剤マスターバッチを調製する際に、発
泡剤の分解温度を調整するために、必要に応じ、他の助
剤を配合することができる。他の助剤としては、サリチ
ル酸、ステアリン酸、アジピン酸、尿素、ステアリン酸
カルシウム、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸亜
鉛などが挙げられる。これらは単独でも、2種以上の混
合物であってもよい。また、発泡剤マスターバッチを調
製する際に、必要に応じ、発泡剤の分散性向上剤、核
剤、潤滑剤、着色剤、防錆剤などを配合することもでき
る。
【0021】本発明に係る発泡剤マスターバッチを調製
するには、まず、基体となる共重合体(A)100重量
部に対し、発泡剤(B)1〜100重量部の範囲で配合
する。共重合体(A)に対する発泡剤(B)の配合量が
1重量部未満であると、発泡剤の量が少なすぎて、成形
品製造時に多量配合する必要があり、マスターバッチの
機能を果たさないので好ましくない。共重合体(A)に
対する発泡剤(B)の配合量が100重量部を越える
と、発泡剤(B)の量が多すぎ発泡剤マスターバッチの
調製が困難となるので好ましくない。上記範囲の中で
は、共重合体(A)100重量部に対し、発泡剤(B)
5〜50重量部の範囲が好ましく、とりわけ好ましいの
は、共重合体(A)100重量部に対し、発泡剤(B)
10〜30重量部の範囲である。
【0022】本発明に係る発泡剤マスターバッチを調製
するには、配合した共重合体(A)と発泡剤(B)と
を、発泡剤(B)の熱分解以下の温度で溶融混練する。
発泡剤マスターバッチを調製する際に、高温にすると発
泡剤(B)が熱分解してしまい、生成物は発泡剤マスタ
ーバッチとして機能しなくなるからである。溶融混練す
る際に使用できる混練機には制限がなく、Σ羽根型混練
機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、高速二軸
連続ミキサー、押出機などの従来から知られているもの
が挙げられる。
【0023】発泡剤(B)を熱分解させないで発泡剤マ
スターバッチを調製するには、例えば押出機により溶融
混練させ、次に示す方法によることができる。 (1)押出機のシリンダー温度を140〜170℃に設
定する。 (2−1)フルフライトスクリューを装備した一軸押出
機を用いて混練する。 (2−2)二軸押出機の場合には、2本のスクリューの
相互剪断作用による樹脂の発熱を抑制するために、フル
フライト半噛み合いスクリューを装備し、相互に異方向
に回転させる。 (3)共重合体(A)はホッパーに投入して溶融させ、
発泡剤(B)をシリンダーの中間に穿設した穴から投入
して、共重合体(A)に溶融混練させて押出しペレット
とする。
【0024】上記の方法により調製した発泡剤マスター
バッチを使用して、ポリアセタール樹脂発泡成形品を製
造するには、まず、成形用ポリアセタール樹脂(C)1
00重量部に対し、上記発泡剤マスターバッチを0.1
〜20重量部を混合する。樹脂(C)100重量部に対
する前記発泡剤マスターバッチの配合量が0.1重量部
未満の場合は、樹脂(C)に対する発泡剤の量が少なす
ぎて、目的とする発泡倍率が1.01以上の成形品が得
られない。発泡剤マスターバッチの配合量が20重量部
を越えるときは、樹脂(C)に対する発泡剤の量が多す
ぎて、発泡倍率が高くなりすぎ、好ましくない。発泡剤
マスターバッチの配合量は、上記範囲の中では、0.5
〜5重量部が好適である。
【0025】樹脂(C)に発泡剤マスターバッチを混合
する際に使用できる混合機には制限がなく、ボールミ
ル、ブレンダー、タンブラー、ヘンシェルミキサー、ら
い潰機などの従来から知られているものが挙げられる。
【0026】樹脂(C)は発泡成形品の原料樹脂であ
り、成形用ポリアセタール樹脂を指す。成形用ポリアセ
タール樹脂は、オキシメチレン単位のみからなる単一重
合体(ホモポリマー)と、オキシメチレン単位を主成分
としこれに副成分としてオキシエチレン単位などの他の
共重合単位を含む共重合体(コポリマー)とが知られて
いる。また、公知の方法で架橋させた重合体、またはグ
ラフト共重合させたものであってもよい。
【0027】樹脂(C)に前記発泡剤マスターバッチを
混合する際に、必要に応じ、通常の各種樹脂添加剤を配
合することができる。配合できる樹脂添加剤としては、
酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、離型剤、
染料や顔料などの着色剤、潤滑剤、可塑剤、結晶化促進
剤、耐熱安定剤、耐候性安定剤、紫外線吸収剤、防錆
剤、ガラス繊維や炭素繊維などの充填剤などが挙げられ
る。樹脂添加剤は、これら例示されたものに限定される
ものではない。これらの樹脂添加剤は、樹脂(C)に予
め混練により配合しておくことも可能である。
【0028】上記の方法により調製した発泡剤マスター
バッチと樹脂(C)との混合物を使用して、ポリアセタ
ール樹脂発泡成形品を製造するには、つぎに、発泡剤マ
スターバッチに含まれる発泡剤の分解温度以上に加熱し
て成形する。発泡成形品を製造する方法は、射出成形法
が代表的であるが、これに限られるものではなく、成形
品の種類、形状に応じて、熱可塑性樹脂の他の成形方
法、例えば押出成形法、溶融圧縮成形法などによっても
よい。
【0029】射出成形法によって発泡成形品を製造する
には、樹脂(C)、発泡剤マスターバッチ、必要に応じ
て他の樹脂添加剤を配合・混合した混合物を、ホッパー
に投入し、温度を例えば190〜220℃に設定したシ
リンダー内で加熱し、金型に射出圧入し、冷却して目的
の成形品とする。成形品の種類には制限がなく、電気・
電子部品、家電製品部品、機械部品、自動車部品、事務
機器部品、日用雑貨製品などが挙げられる。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の例に
限定されるものではない。
【0031】[実施例1〜6,比較例1〜3] <発泡剤マスターバッチの調製>表−1に示した特性を
有する共重合体(A)、または低密度ポリエチレン各1
00重量部に、熱分解型発泡剤(B)としてアゾジカル
ボンアミド系発泡剤(分解温度約190℃)を各25重
量部を秤量し、タンブラーで混合して混合物を得た。
【0032】得られた混合物をフルフライトスクリュー
が装備されている一軸押出機(押出機1)、フルフライ
トスクリューが半噛み合い状態に装備されており、異方
向回転する二軸押出機(押出機2)、または、三条ネジ
が完全噛み合い状態に装備されており、同方向回転する
二軸押出機(押出機3)によって、表−2に示した温度
条件で、溶融混練して、発泡剤マスターバッチのペレッ
トA〜Eを調製した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】<発泡成形品製造用ブレンド物の調製>ポ
リアセタール樹脂(C)として融点が165℃、メルト
インデックス値(ASTM D1238に準拠して測定
した温度190℃、荷重2.16Kgにおける値)が
9.2(g/10分)のポリアセタール共重合体に、上
記方法で調製した発泡剤マスターバッチA〜Eを、表−
3に示す割合で配合し、タンブラーで混合して発泡成形
品製造用ブレンド物を得た。なお、比較例2、比較例3
にあっては発泡剤マスターバッチに代えて発泡剤(B)
のみ(比較例2)を、発泡剤(B)とグリセリンとを
(比較例3)、それぞれ表−3に示す割合で配合した。
いずれの場合も、発泡剤1重量部に対し樹脂成分104
重量部{発泡剤を除く成分の和}になるように配合割合
を選んだ。
【0036】<発泡成形品の製造>得られたブレンド物
を、射出成形機を使用し、ショートショット法およびフ
ルショット法によって、成形品、試験片を製造し、成形
品、試験片につき以下に記載の方法で評価を行った。 (A)ショートショット法 成形品の製造条件は、シリンダー温度195℃、射出速
度100mm/秒、溶融樹脂射出量は金型キャビティ容
積の約8割、金型温度30℃、冷却時間40秒とした。
成形品の発泡倍率は1.25倍である。 (B)フルショット法 成形品の製造条件は、シリンダー温度195℃、射出速
度100mm/秒、溶融樹脂射出量は金型キャビティ容
積と同量、溶融樹脂の金型キャビティへの射出後の保圧
力は500kgf/cm2、金型温度30℃、冷却時間
40秒とした。成形品の発泡倍率は1.02倍である。
【0037】<発泡成形品の評価> (a)成形品の表面状態(剥離) 40mm×40mm×20mmの大きさの成形品をショ
ートショット法で成形し、その表面を、目視観察するこ
とによって評価する方法である。樹脂(C)と発泡剤マ
スターバッチに含まれる樹脂との相溶性、親和性が良好
であれば、成形品表面の剥離はない。評価結果は、次の
ように表示した。表面剥離が認められない:○、表層が
浮き加減:△、表面が完全に剥離している:×
【0038】(b)成形品の表面状態(平滑性) 上記成形品表面を指先で触り、触感で評価する方法であ
る。発泡力が充分であれば、成形品表面が金型キャビテ
ィ面に強く押圧されるので、成形品の表面は平滑にな
る。評価結果は、次のように表示した。表面が平滑であ
る:○、表面が粗い:×、両者の中間:△
【0039】(c)発泡構造 ショートショット法で成形した40mm×40mm×2
0mmの大きさの成形品を切断し、切断面に表れた発泡
セルの大きさ、分布、均一性を目視観察することによっ
て評価する方法である。評価結果は、次のように表示し
た。発泡セルの大きさ、分布状態が均一である:○、発
泡セルの大きさ、分布状態が均一でない:×、両者の中
間:△
【0040】(d)引張り強さ(単位:kgf/cm2) ショートショット法で成形した試験片につき、ASTM
D638に準拠して測定した。 (e)引張り伸び(単位:%) ショートショット法で成形した試験片につき、ASTM
D638に準拠して測定した。
【0041】(f)引張り強さ(ウエルドライン有)(単
位:kgf/cm2) 2箇所にゲートを持ち、試験片中央部にウエルドライン
(溶融樹脂流端部接合部)が生ずる金型を使用し、フル
ショット法で成形した試験片につき、ASTMD638
に準拠して測定した。 (g)引張り伸び(ウエルドライン有)(単位:%) 上と同じ金型を使用し、フルショット法で成形した試験
片につき、ASTMD638に準拠して測定した。(f)
と(g)の試験片には、肉眼で明確なウエルドラインが観
察された。上記(a)〜(g)の評価結果を、表−3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】表−3より、次のことが明らかになる。 (1)本発明に係る発泡剤マスターバッチを使用して製造
した成形品は、表面状態、発泡構造に優れ、かつ成形品
の機械的物性も優れている(実施例1〜実施例6参
照)。中でもマスターバッチ用樹脂として低密度ポリエ
チレンにアクリルニトリル・スチレン共重合体をグラフ
トさせたグラフト共重合体を用い、フルフライトスクリ
ューを装備した一軸押出機またはフルフライトスクリュ
ーが半噛み合い状態に装備され、異方向回転する二軸押
出機を使用して調製した発泡剤マスターバッチを使用し
た場合、一段と優れた成形品が得られる(実施例4〜5
参照)。 (2)これに対して、発泡剤マスターバッチの基体樹脂と
してLDPEを使用した比較例1のものは、成形品表面
に剥離が生じ、かつ評価項目(d),(f),(g)において、実
施例のものに比較して劣る。 (3)さらに、発泡剤を成形用ポリアセタール樹脂に直接
配合したもの(比較例2)は、発泡構造が一定せず、安
定した発泡成形品を得るという本発明の目的に合わな
い。また表には示していないが、粉末状発泡剤の飛散、
発泡剤の分離による組成比の変化等の傾向も見られた。 (4)発泡剤を多価アルコールとともに成形用ポリアセタ
ール樹脂に直接配合したもの(比較例3参照)は、気泡
の大きさ、分布が一定せず発泡構造が均一でなく、これ
も安定した発泡成形品を得るという本発明の目的に合わ
ない。これは、発泡剤の一部がペースト状の塊になり、
発泡構造の均一性、物性に悪影響を与えることを示して
いる。また表には示していないが、発泡剤が多価アルコ
ールと共に成形機のホッパーに付着する挙動が見られ
た。
【0044】[実施例7〜10]発泡剤(B)をテトラ
ゾール系化合物、重炭酸ソーダ、クエン酸ソーダおよび
アゾジカルボンアミドと重炭酸ソーダの混合物に代え、
実施例4と同様にして発泡剤マスターバッチの調製、発
泡成形品製造用ブレンド物の調製および発泡成形品の製
造を行った。得られた発泡成形品について実施例4と同
様の評価を行った結果を表−4に示す。表−4より、実
施例7〜10においても、実施例4と同様の優れた発泡
成形品が得られることが分かる。なお、これらの発泡剤
を用いて比較例1〜3と同様の方法で製造した発泡成形
品は、比較例1〜3と実質的に同じ結果であった。
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】本発明は、次のような有利な効果を奏
し、その産業上の利用価値は極めて大である。 1.本発明に係る発泡剤マスターバッチは、発泡剤が飛
散して作業環境を悪化させるようなことがない。 2.本発明に係る発泡剤マスターバッチは、成形用ポリ
アセタール樹脂と、直径、比重に差がないので、ブレン
ドした後の輸送中または成形機のホッパーに投入したと
きに、ブレンド状態が変化することがない。 3.本発明に係る発泡剤マスターバッチを使用して得ら
れる発泡成形品は、界面に破壊が生じないので、成形品
の機械的物性も優れる。

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オレフィン系重合体を主鎖成分(a)と
    し、これにビニル系重合体をグラフト成分(b)として
    グラフトさせたグラフト共重合体(A)100重量部に
    対し、温度20℃で固体であり、かつ分解温度が170
    ℃以上の熱分解型発泡剤(B)1〜100重量部が配合
    され、溶融混練されてなることを特徴とする、ポリアセ
    タール樹脂用発泡剤マスターバッチ。
  2. 【請求項2】 グラフト共重合体(A)を構成する主鎖
    成分(a)がポリエチレンまたはエチレンとα,β−不
    飽和酸のグリシジルエステルとの共重合体からなる、請
    求項1に記載のポリアセタール樹脂用発泡剤マスターバ
    ッチ。
  3. 【請求項3】 グラフト共重合体(A)を構成するグラ
    フト成分(b)がポリメタクリル酸メチルまたはアクリ
    ロニトリル・スチレン共重合体からなるものである、請
    求項1に記載のポリアセタール樹脂用発泡剤マスターバ
    ッチ。
  4. 【請求項4】 グラフト共重合体(A)を構成する主鎖
    成分(a)がポリエチレンまたはエチレンとα,β−不
    飽和酸のグリシジルエステルとの共重合体からなり、グ
    ラフト成分(b)がポリメタクリル酸メチルまたはアク
    リロニトリル・スチレン共重合体からなるものである、
    請求項1に記載のポリアセタール樹脂用発泡剤マスター
    バッチ。
  5. 【請求項5】 グラフト共重合体(A)が、ポリエチレ
    ンにアクリロニトリル・スチレン共重合体をグラフトさ
    せたものである、請求項1に記載のポリアセタール樹脂
    用発泡剤マスターバッチ。
  6. 【請求項6】 熱分解型発泡剤(B)が、アゾジカルボ
    ンアミド、テトラゾール系化合物、重炭酸ソーダおよび
    クエン酸ソーダから選ばれた1種または2種以上の混合
    物である、請求項1に記載のポリアセタール樹脂用発泡
    剤マスターバッチ。
  7. 【請求項7】 オレフィン系重合体の主鎖成分(a)
    と、ビニル系重合体のグラフト成分(b)とをグラフト
    させたグラフト共重合体(A)100重量部に対し、温
    度20℃で固体であり、かつ分解温度が170℃以上の
    熱分解型発泡剤(B)1〜100重量部を配合し、つい
    で、熱分解型発泡剤(B)の熱分解以下の温度で溶融混
    練することを特徴とするポリアセタール樹脂用発泡剤マ
    スターバッチの製造方法。
  8. 【請求項8】 グラフト共重合体(A)と熱分解型発泡
    剤(B)とを、フルフライトスクリューを装備した一軸
    押出機を用いて溶融混練するか、または、フルフライト
    スクリューを半噛み合い状態に装備した二軸押出機をス
    クリューを相互に異方向に回転させて溶融混練する、請
    求項7に記載の発泡剤マスターバッチの製造方法。
  9. 【請求項9】 ポリアセタール樹脂(C)100重量部
    に対し、請求項1に記載のポリアセタール樹脂用発泡剤
    マスターバッチ0.1〜20重量部を混合し、発泡剤マ
    スターバッチに含まれる発泡剤の分解温度以上に加熱し
    て成形することを特徴とする、ポリアセタール樹脂発泡
    成形品の製造方法。
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