JP4397629B2 - ねじ締め具を較正するためのトルクセンサ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の背景】
この発明は、ダイナモメトリックキー（dynamometric key）またはインパクトねじドライバ等のねじ締め具を較正するためのトルクセンサに関する。
【０００２】
ねじ締め具は、較正されなければならない。この較正は、ダイナモメトリックキーが解除されるときのトルクを測定し、必要であれば、そのトルクを調整することを含み得る。しかしながら、ねじ締めされる接合部上にインパクトとしてかけられるトルクを測定する場合に、インパクトねじドライバまたはレンチ等の動作するねじ締め具を動的に較正することもまた望ましい。
【０００３】
【発明の開示】
したがって、この発明の目的は、ねじ締め具を較正するためのトルクセンサを提供することである。
【０００４】
この目的のために、それに対してトルクが測定されるべき軸を規定し、かつ、較正されるべきねじ締め具を係合するための取付手段を有する内側本体を含む、ねじ締め具を較正するためのトルクセンサが提供される。外側環状体が定置され、この外側環状体は、上述の内側本体と同軸であり、第１のタイプの半径方向のウェブおよび第２のタイプの半径方向のウェブを介して上述の内側本体に接続される。上述の第１のタイプのウェブは、円周方向に比較的大きな幅を有するが、軸方向の寸法は比較的小さい。上述の第２のタイプのウェブは、円周方向の幅が比較的小さいが、軸方向の寸法は比較的大きい。トルクセンサは、上述の内側本体にかけられるトルクによる捩れ変形を測定するために、上述の第１のタイプのウェブに取付けられる捩れ測定手段をさらに含む。
【０００５】
したがって、トルクセンサは、シャフト等が回転することによって伝えられるトルクを測定せず、したがって、トルクを伝えるアセンブリ内に固定式に設置されない。その代わりに、トルクセンサの環状体が定置される。較正されるべきねじ締め具が内側本体に結合される。次に、内側本体上のねじ締め具によってかけられるトルクが測定される。
【０００６】
ダイナモメトリックキーを較正する際に、かけられるトルクは、ダイナモメトリックキーが解除されるまで増大する。これは動的なプロセスである。ダイナモメトリックキーが解除される際にかけられるトルクは、正確に測定されなければならず、外乱トルクによって影響を受けてはならない。動作するねじ締め具を動的に較正する際に、トルクセンサの動的な挙動と、外乱トルクの抑止とが、特に重要である。
【０００７】
このような外乱トルクを補償するために、上述の第１のタイプのウェブは、上述の軸を中心として９０°の角度の間隔を置いて配置された第１のタイプの４つのウェブからなる第１の交差を形成することができる。上述の第２のタイプのウェブは、上述の軸を中心として９０°の角度を置いて配置された第２のタイプの４つのウェブからなる第２の交差を形成することができ、上述の第２の交差は、上述の第１の交差に対し、４５°の角度でずれている。上述の捩れ測定手段は、第１のタイプの４つのすべてのウェブ上に測定要素を含むことができ、上述の測定要素は、外乱トルクを実質的に補償しながら、上述の軸を中心として上述の内側本体にかけられるトルクを示す測定値をもたらすよう、相互接続される。
【０００８】
好ましくは、内側本体の有する慣性モーメントが非常に小さいために、動作するねじ締め具を動的に較正する際に、内側本体の慣性によって生じる慣性力は、第１のタイプのウェブにかけられる力に比べると無視できるものである。
【０００９】
このことは、異なる測定器によって達成することができる。このような測定器の１つは、環状体の半径方向寸法に比べて小さな半径方向寸法を有する内側本体を含む。別の測定器は、環状体の材料に比べて比重量の低い材料からなる上述の内側本体である。結果的に、上述の内側本体は、慣性モーメントを減じるために、規則的に配置される開口を有し得る。
【００１０】
好ましい実施例において、上述の内側本体の、上述の中央取付手段は、側面と縁端部とを有する矩形の開口を有するハブを含む。上述の矩形の開口の上述の側面が、上述の第１のタイプのウェブとアライメントされ、かつ、上述の矩形の開口の上述の縁端部が、上述の第２のタイプのウェブとアライメントされると、最適な測定結果が得られることが分かっている。
【００１１】
この発明の２つの実施例を、添付の図面を参照して以下に説明する。
【００１２】
【発明の好ましい実施例】
図１を参照すると、番号１０は、一般にトルクセンサを指す。トルクセンサ１０は、内側本体１２を有する。内側本体１２は、外側環状体１４によって同軸状に囲まれている。内側本体１２は、第１のタイプのウェブ１８および第２のタイプのウェブ１６を介して外側環状体に接続される。第１のタイプのウェブ１８は、第２のタイプのウェブ１６に比べ、円周方向に幅が広い。しかしながら、第１のタイプのウェブの軸方向の寸法は小さい。実際に、ウェブ１８は、トルクセンサの軸に垂直な面における平らなプレートである。第２のタイプのウェブ１６は、円周方向に幅が狭い。しかしながら、ウェブ１６の軸方向の寸法は、ウェブ１８に比べて大きく、これらのウェブは、外側環状体１４の深さ全体にわたって延びる。
【００１３】
外側環状体は定置される。このために、外側環状体は、内孔２４を貫通するボルト手段（図示せず）によって壁等の支持物に取付けられる。
【００１４】
ウェブ１８は、トルクセンサの軸を中心として作用するトルクを実質的に集める。そのため、トルクを測定するための測定要素２６が、歪みゲージの形態で、第１のタイプのウェブ１８に取付けられる。ウェブ１６は、軸方向の力に対してアセンブリを安定させるように働くが、円周方向においてトルクを集めることにはほとんど寄与しない。
【００１５】
第１のタイプの４つのウェブ１８が設けられる。これらのウェブ１８は、中心軸１９を中心として９０°の角度を置いて配置され、ウェブの第１の交差を形成する。さらに、第２のタイプの４つのウェブがあり、これらは、９０°の角度を置いて配置されて第２の交差を形成する。次いで、第２の交差は、第１の交差に対し、軸１９を中心として角度を置いてずれる。したがって、規則的な配置で、第１のタイプのウェブ１８と第２のタイプのウェブ１６とが交互に設けられる。測定要素２６を担持する第１のタイプのウェブ１８の各々は、測定要素が直径方向に対向して配置された同一のタイプのウェブを有する。測定要素２６を有するこのようなウェブ１８の直交する２つの対が形成される。
【００１６】
内孔２０と、それと通信する凹部２１とが内側本体１２の中央部に設けられる。この内孔２０および凹部２１は、較正されるべきねじ締め具（図示せず）の、トルクを伝達する軸形状の部分を収容する働きをする。トルクを伝える部分は、適切な手段によって内孔２０および凹部２１内に取付けられる。
【００１７】
内側本体１２の慣性モーメントを減じるために、内側本体１２は、規則的な配列の開口または内孔２２を有する。慣性モーメントをさらに減じるために、内側本体１２は、比重量の低い材料で形成される。この材料の比重量は、外側環状体１４の比重量よりも小さい。内側本体１２の半径方向の寸法もまた、慣性モーメントを減じるために、できるだけ小さく保たれている。
【００１８】
測定要素２６は、固定ケーブル３０を介し、信号処理回路３２に接続される。測定要素２６は、外乱トルクが補償された状態で、軸１９を中心として作用するトルクを示す測定値が得られるように、相互接続される。
【００１９】
図２〜図４は、内側本体１２と、定置された外側環状体１４とを有する同様のトルクセンサを示し、これらの２つの本体は、第１のタイプのウェブ１８と第２のタイプのウェブ１６とによって相互接続される。第１のタイプのウェブ１８は、第２のタイプのウェブ１６と同じく、９０°の角度を置いて配置される。ウェブ１８および１６は、２つの交差を形成し、これらは互いに４５°の角度でずれる。図１と同様に、図２〜図４においても、対応する要素には同じ参照番号が付される。
【００２０】
図２〜図４の実施例において、内側本体１２は、それを通る矩形の開口４２を有するハブである。矩形の開口４２は、その側面４４が第１のタイプのウェブ１８とアライメントされ、その縁端部４６は、第２のタイプのウェブ１６とアライメントされる。矩形の開口４２は、ダイナモメトリックキーまたはインパクトねじドライバ等のねじ締め具の矩形部を収容することかできる。また、図２〜図４の実施例において、内側本体の慣性モーメントは小さく保たれる。
【００２１】
図５は、図１および図２において一般に２６として示される測定要素の回路を示す。各測定要素２６は、第１のタイプのウェブ１８上において平行にかつ実質的に半径方向に配置された歪みゲージの対５０，５２と、５４，５６と、５８，６０と、６２，６４とを含む。各対の歪みゲージは、図５において、第１の端部、すなわち、半径方向に外側の端部において相互接続される。各歪みゲージの第２の端部、すなわち、図５における内側の端部は、隣接する対の歪みゲージの第２の端部と接続される。すなわち、歪みゲージ５２の第２の端部は、歪みゲージ５０，５２と直交する対の一方、すなわち、図５における左側の水平な対５４，５６の歪みゲージ５４の第２の端部に接続され、歪みゲージ５０の第２の端部は、歪みゲージ５０，５２と直交する対の他方、すなわち、図５における右側の水平な対６２，６４の第２の端部と接続される。対５０，５２の歪みゲージ５６の第２の端部は、対５４，５６と実質的にアライメントされる対５８，６０の歪みゲージ６０の第２の端部に接続される。対５８，６０の歪みゲージ５８の第２の端部は、対６２，６４の歪みゲージ６２の第２の端部に接続される。歪みゲージ５０，５２および５８，６０は、図２において垂直に配置された、直径方向に対向するウェブ１８に取付けられる。歪みゲージ５４，５６および６２，６４は、図２において水平に配置された、直径方向に対向するウェブ１８に取付けられる。歪みゲージはブリッジ回路を形成する。歪みゲージ５０，５２の第１の端部間に接続された端子６６と、歪みゲージ５８，６０の第１の端部間に接続された端子６８との間に、ブリッジ電圧が印加される。歪みゲージ５４，５６間に接続された端子７０と、歪みゲージ６２，６４間に接続された端子７２との間で、測定信号が捕捉される。
【図面の簡単な説明】
【図１】 ねじ締め具を較正するためのトルクセンサの斜視図である。
【図２】 トルクセンサの第２の実施例の正面図である。
【図３】 図２の線Ａ−Ａに沿った断面図である。
【図４】 トルクセンサの第２の実施例の、図１に類似した斜視図である。
【図５】 測定要素を含む回路の概略配線図である。
【符号の説明】
１０ トルクセンサ、１２ 内側本体、１４ 外側環状体、１８ 第１のタイプのウェブ、１６ 第２のタイプのウェブ。

Claims (8)

1. ねじ締め具を較正するためのトルクセンサであって、それに対してトルクが測定されるべき軸を規定し、かつ、較正されるべきねじ締め具を係合するための取付手段を有する内側本体と、定置された外側環状体とを含み、前記外側環状体は、前記内側本体と同軸であり、第１のタイプの半径方向のウェブおよび第２のタイプの半径方向のウェブを介して前記内側本体に接続され、前記第１のタイプのウェブは、円周方向に比較的大きな幅を有するが、軸方向の寸法は比較的小さく、前記第２のタイプのウェブは、円周方向に比較的小さな幅を有するが、軸方向の寸法は比較的大きく、前記トルクセンサはさらに、前記内側本体にかけられるトルクによる捩れ変形を測定するために、前記第１のタイプのウェブに取付けられる捩れ測定手段をさらに含む、トルクセンサ。
2. 前記第１のタイプのウェブは、前記軸を中心として９０°の角度を置いて配置された第１のタイプの４つのウェブからなる第１の交差を形成し、前記第２のタイプのウェブは、前記軸を中心として９０°の角度を置いて配置された第２のタイプの４つのウェブからなる第２の交差を形成し、前記第２の交差は、前記第１の交差に対して４５°の角度でずれており、前記捩れ測定手段は、第１のタイプの４つのすべてのウェブ上に測定要素を含み、前記測定要素は、外乱トルクを実質的に補償しながら、前記軸を中心として前記内側本体にかけられるトルクを示す測定値をもたらすよう相互接続される、請求項１に記載のトルクセンサ。
3. 前記内側本体の有する慣性モーメントが非常に小さいために、動作するねじ締め具を動的に較正する際に、前記内側本体の慣性によって生じる慣性力は、前記第１のタイプのウェブに作用する力に比べ無視できるものである、請求項１に記載のトルクセンサ。
4. 前記内側本体は、前記環状体の半径方向寸法に比べ、小さな半径方向寸法を有する、請求項３に記載のトルクセンサ。
5. 前記内側本体は、前記環状体の材料に比べ、比重量の低い材料からなる、請求項３に記載のトルクセンサ。
6. 前記内側本体は、前記慣性モーメントを減じるために、規則的に配置された開口を有する、請求項３に記載のトルクセンサ。
7. 前記内側本体の前記中央取付手段は、側面と縁端部とを有する矩形の開口を有するハブを含む、請求項１に記載のトルクセンサ。
8. 前記矩形の開口の前記側面は、前記第１のタイプのウェブとアライメントされ、前記矩形の開口の前記縁端部は、前記第２のタイプのウェブとアライメントされる、請求項７に記載のトルクセンサ。

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