JP4397117B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、カソードとアノードの少なくとも一方に、酸化還元機能を備えた導電性有機重合体を電極触媒として有せしめてなり、高い出力を有する燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、固体高分子電解質を挟んでアノードとカソードとを配設して固体電解質/電極構造を構成し、これをセパレータにより挟んで単位セルを構成し、この単位セルを複数積層し、電気的に直列に接続してなる燃料電池が開発されている。この燃料電池は、クリーンで且つ高効率という特徴から、種々の用途、特に、電気自動車用電源や家庭用分散型電源等として注目されている。
【0003】
より詳細に説明すれば、このような固体高分子型燃料電池は、その基本構成として、プロトン伝導性イオン交換膜を挟んで、それぞれ電極触媒を有するアノードとカソードの一対の電極を配設してなり、このアノードの表面に水素等の還元剤(燃料)を接触させ、カソードの表面に酸化剤(酸素)を接触させて、電気化学反応を起こさせ、この反応を利用して、上記一対の電極の間から電気エネルギーを取り出すものである。上記プロトン伝導性イオン交換膜としては、フッ素樹脂系イオン交換膜が基本特性にすぐれているものとして、従来、よく知られており、また、アノードとカソードとしては、電極触媒として白金を担持させたカーボンシート等が広く知られている。
【0004】
一方、例えば、ポリアセチレンやポリピロール、ポリアニリン等に代表されるようなドーパントを有し、酸化還元機能(レドックス能)を備えた導電性有機重合体は、リチウム二次電池等における電極活物質として注目されていると共に(特許第1845557号)、速やかな放電機能を有する導電性高分子キャパシタとしての用途も提案されている(第39回電池討論会予稿集第173頁(1998年)、電気化学会第67回大会講演要旨集第147頁(2000年))。
【0005】
しかしながら、上述したような導電性有機重合体は、現在、実用化されている電極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO2 )やリチウムのような無機酸化物や金属材料に比べてエネルギー密度が低い。そこで、このような導電性有機重合体の低いエネルギー密度を補うために、導電性有機重合体を電極触媒として用い、この導電性有機重合体が接する電解液中に酸化剤や還元剤を溶解させて、電池を燃料電池のように使用する試みが提案されている(特開昭59−60967号公報、特開昭61−124070号公報)。
【0006】
しかし、これらの電池によれば、酸化剤と還元剤が共に溶液として供給されるので、電極への活物質の拡散が遅く、その放電特性は数mA/cm2 程度であって、高い出力電圧を得ることができないほか、電池システムも複雑であり、実用的ではない。
【0007】
他方、上述したように、従来の固体高分子型燃料電池は、電極触媒として白金を用いるので、コストが高く、また、酸性の液体の溶出や、アノードでの一酸化炭素被毒等、実用化に重要な障害となっており、しかも、白金以外に実用的な電極触媒は、未だ見出されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の燃料電池における上述した問題を解決するためになされたものであって、導電性有機重合体を電極触媒とし、高出力と高電圧を有する燃料電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、電解質膜を挟んでカソードとアノードとを配設し、このカソードに酸化剤を気体で供給し、アノードに還元剤を気体で供給する燃料電池において、少なくとも一方の電極に、酸化還元機能を備えた導電性有機重合体を電極触媒として有せしめてなることを特徴とする燃料電池が提供される。
【0010】
更に、本発明によれば、電解質膜を挟んでカソードとアノードとを配設し、このカソードに酸化剤を気体で供給し、アノードに還元剤を気体で供給する燃料電池において、少なくとも一方の電極に、酸化還元機能を備えた導電性有機重合体と無機酸化還元触媒との混合物を電極触媒として有せしめてなることを特徴とする燃料電池が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、カソードとアノードの少なくとも一方の電極に、酸化還元機能(レドックス能)を備え、好ましくは、ドーパントを有する導電性有機重合体を電極触媒として有せしめる。
【0012】
このような導電性有機重合体としては、例えば、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリインドール、ポリ−2,5−ジアミノアントラキノン、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリ(キノリニウム)塩、ポリ(イソキノリニウム)塩、ポリピリジン、ポリキノキサリン、ポリフェニルキノキサリン等を挙げることができる。これらの導電性有機重合体は、種々の置換基を有していてもよい。このような置換基の具体例として、例えば、アルキル基、水酸基、アルコキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホン酸基、ジアルキルアミノ基等を挙げることができる。これらの置換基は、導電性有機重合体の酸化還元電位を調整するのに有用である。
【0013】
また、上記ドーパントは、スルホン酸基を有するものが好ましく、例えば、ポリビニルスルホン酸やフェノールスルホン酸ノボラック樹脂等のようなイオン性のポリマースルホン酸や、また、ドデシルベンゼンスルホン酸等の低分子量有機スルホン酸化合物を挙げることができるが、なかでも、前者のようなイオン性のポリマー、特に、ポリマースルホン酸であることが好ましい。
【0014】
しかし、本発明においては、スルホン酸基を分子中に有するスルホン化ポリアニリンのような自己ドープ型の導電性有機重合体も、ドーパントを有する導電性有機重合体に含めることとする。
【0015】
本発明においては、導電性有機重合体としては、上述したなかでも、特に、酸化反応においてプロトンを放出し、還元反応においてプロトンを消費するものが好ましく、このような導電性有機重合体として、ポリアニリン、ポリアルキルアニリン、ポリインドール、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリピリジン、ポリキノキサリン、ポリフェニルキノキサリン等のように、分子内に窒素原子を有する導電性有機重合体を挙げることができる。
【0016】
本発明においては、カソードとアノードの両方に同じ導電性有機重合体を電極触媒として有せしめてもよく、相互に相違する導電性有機重合体を電極触媒として有せしめてもよい。しかし、本発明によれば、より高い電圧を得るために、カソードにはp型の導電性有機重合体を用い、アノードにはn型の導電性有機重合体を用いるのが好ましい。ここに、前述した導電性有機重合体のうち、p型のものは、ポリアニリン、ポリアルキルアニリン及びポリインドールであり、n型のものは、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリピリジン、ポリキノキサリン及びポリフェニルキノキサリンである。
【0017】
一般に、ある導電性有機重合体がp型とn型のいずれであるかを判定するには、既に、知られているように、例えば、導電性有機重合体の粉末をディスクに成形し、その2か所に電極を取付け、この電極に温度差を与えたときの低温側の電極の電位の正負を調べればよい。即ち、低温側の電極に正の電位が現れたとき、その導電性有機重合体はp型であり、反対に、低温側の電極に負の電位が現れたとき、その導電性有機重合体はn型である。また、別の方法として、その導電性有機重合体のサイクリックボルタモグラムを測定し、SCEに対して正の電位領域に酸化還元対を有するとき、その導電性有機重合体はp型であり、負の電位領域に酸化還元対を有するとき、その導電性有機重合体はn型である。
【0018】
更に、本発明によれば、一方の電極にのみ、導電性有機重合体を電極触媒として有せしめ、他方の電極には、従来のような白金触媒を用いてもよい。また、本発明によれば、カソードとアノードの少なくとも一方の電極に導電性有機重合体と無機酸化還元触媒との混合物を電極触媒として有せしめてもよい。
【0019】
このように、導電性有機重合体を電極触媒として用いるに際して、その使用量は、特に、限定されるものではないが、通常、電極面積当り、0.5〜100mg/cm2 の範囲である。
【0020】
上述したような導電性有機重合体は、既に知られている方法によって得ることができる。ポリマースルホン酸をドーパントとして有する導電性ポリアニリンを例にとって説明する。
【0021】
特開平3−28229号公報に記載の方法に従って、プロトン酸の存在下に酸化剤にてアニリンを化学酸化重合することによって、上記プロトン酸によってドープされた導電性ポリアニリン(導電性ポリアニリン組成物)粉末を得ることができ、これを適宜のアルカリ水溶液、例えば、アンモニア水中で脱ドープし、得られた粉末を濾過、乾燥すれば、脱ドープ状態で有機溶剤に可溶性のポリアニリン、即ち、酸化脱ドープ状態のポリアニリンの粉末を得ることができる。
【0022】
より詳細には、適宜のプロトン酸、例えば、塩酸の存在下に適宜の溶剤中、例えば、水やメタノール中にて、アニリンにペルオキソ二硫酸アンモニウムのような酸化剤を反応させ、析出した粉末を濾取することによって、上記プロトン酸でドープされた導電性ポリアニリン組成物を得る。次いで、この粉末を、例えば、アンモニアのようなアルカリ物質の水溶液に加えて、導電性ポリアニリン組成物を中和(即ち、脱ドープ)することによって、一般式(I)
【0023】
【化1】
Figure 0004397117
【0024】
(式中、m及びnはそれぞれ繰り返し単位中のキノンジイミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位のモル分率を示し、0<m≦1、0≦n<1、m+n=1である。)
で表わされる繰返し単位からなる酸化脱ドープ状態のポリアニリン粉末を得る。
【0025】
このようにして得られる脱ドープ状態のポリアニリンは、高分子量を有し、しかも、種々の有機溶剤に溶解する。通常、N−メチルピロリドン中、30℃で測定した極限粘度〔η〕が0.40dl/g以上を有し、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等の有機溶剤に溶解する。このような有機溶剤への脱ドープ状態のポリアニリンの溶解度は、その平均分子量や溶剤にもよるが、通常、ポリアニリンの0.5〜100%が溶解し、1〜30重量%濃度の溶液を得ることができる。特に、この脱ドープ状態のポリアニリンは、N−メチル−2−ピロリドンに高い溶解性を示し、通常、ポリアニリンの20〜100%が溶解し、3〜30重量%溶液を得ることができる。
【0026】
また、上記脱ドープ状態のポリアニリンにおいて、m及びnの値は、ポリアニリンを酸化又は還元することによって調整することができる。即ち、還元することによって、mを低減させ、nを増大させることができる。逆に、酸化すれば、mを増大させ、nを低減させることができる。ポリアニリンの還元によって、ポリアニリン中のキノンジイミン構造単位が減少すると、ポリアニリンの有機溶剤への溶解性が高められる。また、還元前に比べて、溶液の粘度は低下する。このような溶剤可溶性のポリアニリンの還元のためには、例えば、N−メチル−2−ピロリドンに溶解するが、N−メチル−2−ピロリドンを還元しない点から、フェニルヒドラジンが最も好ましく用いられる。
【0027】
他方、溶剤可溶性ポリアニリンの酸化のために用いられる酸化剤は、フェニレンジアミン構造単位を酸化し得るものであれば、特に、限定されるものではないが、例えば、穏和な酸化銀が好ましく用いられる。必要に応じて、過マンガン酸カリウムや重クロム酸カリウム等も用いることができる。
【0028】
次いで、強酸性型カチオン交換樹脂にて酸型としたポリマースルホン酸水溶液中に上記酸化脱ドープ状態のポリアニリンの粉末を投入し、数時間加熱すれば、上記ポリアニリンにポリマースルホン酸をドープすることができ、この後、このドープ状態のポリアニリン粉末を濾過、洗浄した後、真空乾燥することによって、ポリマースルホン酸をドーパントとする導電性ポリアニリン粉末を得ることができる。
【0029】
前述したように、導電性有機重合体と無機酸化還元触媒との混合物を少なくとも一方の電極に電極触媒として有せしめる場合、無機酸化還元触媒としては、接触水素添加触媒として、又は酸素自動酸化触媒として知られている白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ニッケル、鉄、銅、コバルト及びモリブデンから選ばれる少なくとも1種の遷移金属及び/又はその酸化物等を用いることができる。このような無機酸化還元触媒は、微粉末としてそのまま、導電性有機重合体粉末と混合してもよく、また、上記遷移金属の水溶性塩の水溶液に導電性有機重合体粉末を分散させ、攪拌、混合した後、還元又は酸化処理を行なって、上記遷移金属塩を金属又は酸化物に変換してもよい。
【0030】
導電性有機重合体と無機酸化還元触媒との混合物を電極触媒として用いる場合、無機酸化還元触媒は、導電性有機重合体100重量部に対して、通常、0.1〜30重量部の範囲で用いられる。また、電極面積における無機酸化還元触媒の担持量は、通常、0.001〜5mg/cm2 の範囲であるが、好ましくは、0.005〜1mg/cm2 の範囲であり、特に、好ましくは、0.01〜0.5mg/cm2 の範囲である。
【0031】
このように、本発明に従って、導電性有機重合体と無機酸化還元触媒との混合物を電極に電極触媒として有せしめることによって、導電性有機重合体のみを電極触媒として用いた場合に比べて、高出力の燃料電池を得ることができる。
【0032】
次に、本発明による燃料電池において用いる電極の製造について説明する。導電性有機重合体を電極触媒とするカソードは、例えば、次のようにして製造する。即ち、ポリマースルホン酸をドーパントとする導電性ポリアニリン粉末を必要に応じて導電剤(例えば、導電性カーボンブラック粉末)と混合した後、これを結着剤(例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂やポリテトラフルオロエチレン樹脂)の溶液を用いてペーストとし、このペーストを導電性多孔質基材(例えば、東レ(株)製カーボンペーパー)上に塗布し、乾燥し、この後、このように処理した導電性多孔質基材をプロトン交換性樹脂溶液(例えば、ナフィオン(登録商標)のようなデュポン社製パーフルオロスルホン酸樹脂溶液)を塗布、乾燥して、カソードを得る。
【0033】
導電性有機重合体と無機酸化還元触媒との混合物を電極触媒とするカソードは、例えば、次のようにして製造する。即ち、ポリマースルホン酸をドーパントとする導電性ポリアニリン粉末と無機酸化還元触媒粉末とを混合し、これに必要に応じて導電剤(例えば、導電性カーボンブラック粉末)を混合した後、これを結着剤(例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂やポリテトラフルオロエチレン樹脂)の溶液を用いてペーストとし、このペーストを導電性多孔質基材(例えば、東レ(株)製カーボンペーパー)上に塗布し、乾燥し、この後、このように処理した導電性多孔質基材にプロトン交換性樹脂溶液(例えば、ナフィオン(登録商標)のようなデュポン社製のパーフルオロスルホン酸樹脂溶液)を塗布し、乾燥して、カソードを得る。
【0034】
アノードは、上記カソードを還元することによって得ることができる。還元方法は特に限定されない。例えば、上記カソードを化学的に還元してもよいが、好ましい一例を挙げれば、上記ポリマースルホン酸水溶液中、適宜の参照電極を用いてサイクリック・ボルタモグラムを測定し、還元ピークの現れた電位にて電気化学的に上記カソードを還元するのが簡便である。
【0035】
このようにして得られたカソードとアノードとで電解質膜(即ち、プロトン交換膜)を挟み、必要に応じて、ホットプレス等により一体成形して、燃料電池用の電極−プロトン交換膜接合体を得る。
【0036】
本発明による燃料電池においては、電解質膜には、従来の固体高分子膜型電池に用いられているようなパーフルオロスルホン酸樹脂からなる陽イオン交換膜、例えば、ナフィオン(登録商標)が好適に用いられるが、しかし、これに限定されるものではない。従って、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂からなる多孔質膜に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を含浸させたものや、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜や不織布に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を担持させたものでもよい。
【0037】
本発明による燃料電池においては、カソードに酸化剤が気体で供給され、アノードに還元剤が気体で供給される。ここに、本発明によれば、好ましくは、酸化剤として酸素ガスや空気が用いられると共に、還元剤として水素ガスが用いられる。また、還元剤として、メタノールやジメチルエーテル等を用いることもできる。
【0038】
本発明による燃料電池は、40℃以上の温度で作動される。用いる導電性有機重合体や電解質膜によって適宜に選ばれるが、50〜120℃の範囲が好ましく、特に、60〜100℃の範囲が好ましい。作動温度が低すぎるときは、導電性有機重合体の反応速度が遅いために、高い出力を得ることができず、他方、作動温度が高すぎるときは用いる材料の劣化や剥離等が起こるおそれがある。
【0039】
【実施例】
以下に参考例と共に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0040】
参考例1
(アニリンの酸化重合による導電性ポリアニリン組成物の調製)
攪拌装置、温度計及び直管アダプターを備えた10L容量セパラブルフラスコに蒸留水6000g、36%塩酸360mL及びアニリン400g(4.295モル)をこの順序にて仕込み、アニリンを溶解させた。別に、氷水にて冷却しながら、ビーカー中の蒸留水1493gに97%濃硫酸434g(4.295モル)を加え、混合して、硫酸水溶液を調製した。この硫酸水溶液を上記セパラブルフラスコに加え、フラスコ全体を低温恒温槽にて−4℃まで冷却した。
【0041】
次に、ビーカー中にて蒸留水2293gにペルオキソ二硫酸アンモニウム980g(4.295モル)を加え、溶解させて、酸化剤水溶液を調製した。
【0042】
フラスコ全体を低温恒温槽で冷却して、反応混合物の温度を−3℃以下に保持しつつ、攪拌下にアニリン塩の酸性水溶液に、チュービングポンプを用いて、直管アダプターから上記ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を1mL/分以下の割合にて徐々に滴下した。最初、無色透明の溶液は、重合の進行に伴って緑青色から黒緑色となり、次いで、黒緑色の粉末が析出した。
【0043】
この粉末析出時に反応混合物において温度の上昇がみられるが、この場合にも、高分子量のポリアニリンを得るためには、反応系内の温度を0℃以下、好ましくは、−3℃以下に抑えることが肝要である。粉末析出後は、ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液の滴下速度を例えば8mL/分程度とやや速くしてもよい。しかし、この場合にも、反応混合物の温度をモニターしつつ、温度を−3℃以下に保持するように、滴下速度を調整することが必要である。かくして、7時間を要して、ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液の滴下を終了した後、更に1時間、−3℃以下の温度にて攪拌を続けた。
【0044】
得られた粉末を濾別し、水洗、アセトン洗浄し、室温で真空乾燥して、黒緑色の導電性ポリアニリン組成物の粉末430gを得た。これを直径13mm、厚さ700μmのディスクに加圧成形し、ファン・デル・ポー法によって、その電導度を測定したところ、14S/cmであった。
【0045】
(導電性ポリアニリン組成物の脱ドーピングによる有機溶剤に可溶性のポリアニリン(酸化脱ドープ状態のポリアニリン)の製造)
上記ドープされている導電性ポリアニリン組成物の粉末350gを2Nアンモニア水4L中に加え、オートホモミキサーにて回転数5000rpmにて5時間攪拌した。混合物は、黒緑色から青紫色に変化した。
【0046】
ブフナー漏斗にて粉末を濾別し、ビーカー中にて攪拌しながら、蒸留水にて濾液が中性になるまで繰り返して洗浄し、続いて、濾液が無色になるまでアセトンにて洗浄した。この後、粉末を室温にて10時間真空乾燥して、黒褐色の脱ドーピングしたポリアニリン(酸化脱ドープ状態のポリアニリン)の粉末280gを得た。
【0047】
このポリアニリンはN−メチル−2−ピロリドンに可溶性であって、溶解度は同溶剤100gに対して8g(7.4%)であった。また、これを溶剤として30℃で測定した極限粘度〔η〕は1.23dl/gであった。
【0048】
このポリアニリンは、ジメチルスルホキシド及びジメチルホルムアミドには1%以下の溶解度であった。テトラヒドロフラン、ピリジン、80%酢酸水溶液、60%ギ酸水溶液及びアセトニトリルには実質的に溶解しなかった。
【0049】
更に、上記脱ドープ状態の有機溶剤に可溶性のポリアニリンについて、N−メチル−2−ピロリドン用のGPCカラムを用いて、GPC測定を行なった結果、数平均分子量23000、重量平均分子量160000(いずれも、ポリスチレン換算)であった。
【0050】
実施例1
ポリビニルスルホン酸ナトリウム(アルドリッチ社製)を強酸性型カチオン交換樹脂(ダウケミカル社製ダウエックス50WX12)で処理して、酸型のポリビニルスルホン酸の水溶液を得た。次に、これをロータリーエバポレータを用いて濃縮した後、真空乾燥して、水飴状のポリビニルスルホン酸を得た。このポリビニルスルホン酸12.5gをイオン交換水70.8gに溶解させて、ポリビニルスルホン酸の15重量%濃度の水溶液を調製した。
【0051】
このポリビニルスルホン酸水溶液中に参考例1で得た酸化脱ドープ型ポリアニリン粉末10gを加え、湯浴上で70℃に加熱し、130分間保って、ポリアニリンにポリビニルスルホン酸をドープした。このドープされたポリアニリンを吸引濾過し、メタノールで洗浄した後、50℃で4時間真空乾燥して、ポリビニルスルホン酸をドーパントとして有する電導度11.5S/cmの導電性ポリアニリン粉末15.2gを得た。
【0052】
この導電性ポリアニリン粉末2gに導電性カーボンブラック粉末(アクゾ社製ケッチェンブラックEC)0.4gを加え、磁製乳鉢中ですりつぶしながら、均一になるまで10分間混合した。
【0053】
別に、ポリフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工業(株)製カイナー)0.27gをN,N−ジメチルホルムアミド10.53gに溶解して、2.5重量%溶液を調製し、これに上記導電性ポリアニリン粉末とカーボンブラック粉末との混合物を加え、更に、乳鉢を用いて混合して、ペーストとした。このペーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、熱風循環乾燥機中、80℃で60分間加熱、乾燥させた。次に、このように処理したカーボンペーパー上に5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)を塗布し、80℃で15分間、加熱、乾燥させて、このようにして得られた電極をカソードに用いた。
【0054】
上記電極を15重量%ポリビニルスルホン酸水溶液中に浸漬し、飽和カロメル電極(SCE)を参照電極として用い、直径0.5mmの白金線を対極として、北斗電工(株)製ポテンショスタット/ガルバノスタット(HA−501)及びファンクション・ジェネレータ(HB−105)を用いて、電位範囲−0.2〜0.5V vs. SCE、掃引速度20mV/秒の条件下にサイクリックボルタモグラムを得た。ポリアニリンの酸化ピークが0.5V vs. SCEに、また、ポリアニリンの還元ピークが−0.1V vs. SCEに現れた。そこで、ポテンショスタットの電位を−0.1Vに固定して、30分間電気化学的に還元した。このようにして得られた電極をアノードに用いた。
【0055】
このようにして作製したカソードとアノードとの間に酸型ナフィオン膜(デュポン社製ナフィオン(登録商標)117)をプロトン交換膜として置き、金型を用いて、温度130℃、圧力3MPaの条件下、ホットプレスにて電極−プロトン交換膜接合体を調製し、試験用の単層の燃料電池セルを組み立てた。
【0056】
この燃料電池セルを燃料電池評価装置(東陽テクニカ(株)製)に組み込み、セル温度70℃とし、加湿器温度70℃で酸素ガスを500mL/分の割合でカソードに供給すると共に、加湿器温度80℃で水素ガスを500mL/分の割合でアノードに供給した。そこで、先ず、電流を流さずに、起電力(開路電圧)のみを測定したところ、0.50Vであった。次に、燃料電池に負荷を加えたところ、電圧0.4Vのとき、0.73A(29mA/cm2 )の電流を得た。
【0057】
比較例1
実施例1と同様にして、アノードとカソードを作製した。ナフィオン117を隔膜として中央部に配設した二槽型アクリル樹脂製セルに上記アノードとカソードを組み入れた。次に、アノード槽とカソード槽にそれぞれ液体状態の還元剤と酸化剤を注いだ。還元剤としては、塩化第一スズ(SnCl2 )0.42重量%を含む1N塩酸水溶液を、また、酸化剤としては、塩化第二鉄(FeCl3 )0.61重量%を含む1N塩酸水溶液を用いた。塩化第一スズ(SnCl2 )と塩化第二鉄(FeCl3 )の標準電極電位はそれぞれ、0.07V vs.NHE(標準水素電極)及び0.77V vs.NHEである。このように構成した電池は、実施例1において、水素ガス(還元剤)と酸素ガス(酸化剤)の代わりに、液体の還元剤と酸化剤を用いたものに対応する。
【0058】
アノードとカソードを電池充放電装置(北斗電工(株)製HJ−201B)に接続し、1mA/cm2 にて定電流放電を行ない、放電曲線を電池充放電装置に接続した記録計にて記録した。
【0059】
この電池の起電力は、最初、0.4Vであったが、すぐに低下し始め、数分後には0.3Vとなり、その後も低下が続き、8時間後には、起電力は0Vとなった。定電流放電を止めると、電圧は0.5Vまで回復した。その後、電流密度を5mA/cm2 に上げたが、電圧がすぐに低下し、容量は激減した。
【0060】
実施例2
参考例1で得た酸化脱ドープ状態のポリアニリン粉末1.8gに導電性カーボンブラック粉末(アクゾ社製ケッチェンブラックEC)0.4gと共に、白金を20重量%担持させたカーボン(米国エレクトロケム社製EC−20−PTC)0.2gを加え、磁製乳鉢を用いて、すりすぶしながら、均一になるまで10分間混合した。
【0061】
別に、ポリフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工業(株)製カイナー)0.27gをN,N−ジメチルホルムアミド10.53gに溶解させて、2.5重量%溶液を調製し、これに上記酸化脱ドープ状態のポリアニリン粉末と導電性カーボンブラック粉末との混合物を加えて、更に、乳鉢を用いて混合してペーストとした。
【0062】
このペーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、熱風循環乾燥機中、80℃で60分間加熱、乾燥させた。次に、このように処理したカーボンペーパー上に5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)を塗布し、80℃で15分間、加熱、乾燥させて、このようにして得られた電極をカソードに用いた。
【0063】
次に、参考例1で得た酸化脱ドープ状態のポリアニリン粉末をヒドラジン一水和物のメタノール溶液に加え、8時間攪拌して還元した。得られた反応生成物をヌッチェと吸引瓶にて濾別し、メタノールで洗浄した後、真空乾燥機中、70℃で5時間乾燥させた。このようにして、還元型脱ドープ状態のポリアニリン粉末を得た。
【0064】
この還元型脱ドープ状態のポリアニリン粉末1.8gに導電性カーボンブラック粉末(アクゾ社製ケッチェンブラックEC)0.4gと共に、白金を20重量%担持させたカーボン(米国エレクトロケム社製EC−20−PTC)0.2gを加え、磁製乳鉢を用いて、すりすぶしながら、均一になるまで10分間混合した。
【0065】
別に、ポリフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工業(株)製カイナー)0.27gをN,N−ジメチルホルムアミド10.53gに溶解して、2.5重量%溶液を調製し、これに上記還元型脱ドープ状態のポリアニリン粉末とカーボンブラック粉末との混合物を加え、更に、乳鉢を用いて混合して、ペーストとした。このペーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、熱風循環乾燥機中、80℃で60分間加熱、乾燥させた。次に、このように処理したカーボンペーパー上に5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)を塗布し、80℃で15分間、加熱、乾燥させて、このようにして得られた電極をアノードに用いた。
【0066】
このようにして作製したカソードとアノードとの間に酸型ナフィオン膜(デュポン社製、ナフィオン(登録商標)117)をプロトン交換膜として置き、金型を用いて、温度130℃、圧力3MPaの条件下、ホットプレスにて電極−プロトン交換膜接合体を調製して、試験用の単層の燃料電池セルを組み立てた。
【0067】
この燃料電池セルを燃料電池評価装置(東陽テクニカ(株)製)に組み込み、セル温度70℃とし、加湿器温度70℃で酸素ガスを500mL/分の割合でカソードに供給すると共に、加湿器温度80℃で水素ガスを500mL/分の割合でアノードに供給した。そこで、先ず、電流を流さずに、起電力(開路電圧)のみを測定したところ、0.60Vであった。次に、燃料電池に負荷を加えたところ、電圧0.4Vのとき、0.85A(34mA/cm2 )の電流を得た。
【0068】
実施例3
フェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液(小西化学工業(株)製、遊離酸型、固形分45.9%、重量平均分子量22000(GPC法、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム標準)43.6gにイオン交換水56.4gを加えて希釈した。得られたフェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液に前記酸化脱ドープ状態のポリアニリン粉末12.0gを加え、80℃の湯浴上で2時間加熱した後、室温で一晩、放置した。黒褐色の酸化脱ドープ状態のポリアニリン粉末は、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液に加えた直後に黒緑色に変色して、ポリアニリンがフェノールスルホン酸ノボラック樹脂にてドープされたことが示された。
【0069】
このドープ状態のポリアニリン粉末をヌッチェを用いて吸引濾過にて濾取し、メタノールに分散させ、攪拌、洗浄する操作を3回繰返した後、濾取し、60℃で5時間、真空乾燥した。このようにして得られたドープ状態のポリアニリン粉末を錠剤成形器にてディスク状に成形し、ファン・デル・ポー法にて電導度を測定したところ、4.1S/cmであった。
【0070】
白金20重量%を担持させたカーボン(米国エレクトロケム社製EC−20−PTC)80mgと導電性カーボンブラック粉末(アクゾ社製ケッチェンブラックEC)160mgとを上記ドープ状態のポリアニリン粉末720mgに加え、磁製乳鉢を用いてすりつぶしながら、均一になるまで10分間混合した。得られた混合物に2.5重量%濃度のポリフッ化ビニリデンのジメチルホルムアミド溶液6gを加え、更に、乳鉢を用いて混合して、ペーストとした。
【0071】
このペーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、80℃で60分間加熱、乾燥させて、電極を調製した。重量増加は約234mgであった。これにより、白金の担持量は、電極面積当り、0.10mg/cm2 と算出された。このように処理したカーボンペーパー上に5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)を塗布し、80℃で15分間、加熱、乾燥させた。このようにして得られた電極をカソードとした。
【0072】
上記と同様にして調製した電極を20重量%のフェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液中に浸漬し、飽和カロメル電極(SCE)を参照電極として用い、直径0.5mmの白金線を対極として、北斗電工(株)製ポテンショスタット/ガルバノスタット(HA−501)及びファンクション・ジェネレータ(HB−105)を用いて、電位範囲−0.2〜0.6V vs. SCE、掃引速度20mV/秒の条件下にサイクリックボルタモグラムを得た。ポリアニリンの酸化ピークが0.5V vs. SCEに、また、ポリアニリンの還元ピークが−0.1V vs. SCEに現れた。そこで、ポテンショスタットの電位を−0.1Vに固定して、電気化学的に還元した。このようにして得られた電極をアノードに用いた。
【0073】
このようにして作製したカソードとアノードとの間に酸型ナフィオン膜(デュポン社製ナフィオン(登録商標)117)をプロトン交換膜として置き、金型を用いて、温度130℃、圧力3MPaの条件下、ホットプレスにて電極/プロトン交換膜接合体を調製し、試験用の単層の燃料電池セルを組み立てた。
【0074】
この燃料電池セルを燃料電池評価装置(東陽テクニカ(株)製)に組み込み、セル温度70℃とし、加湿器温度70℃で酸素ガスを500mL/分の割合でカソードに供給すると共に、加湿器温度80℃で水素ガスを500mL/分の割合でアノードに供給した。そこで、先ず、電流を流さずに、起電力(開路電圧)のみを測定したところ、0.69Vであった。次に、燃料電池に負荷を加えたところ、電圧0.4Vのとき、6.33A(253mA/cm2 )の電流を得た。
【0075】
実施例4〜12及び比較例2
実施例3において、白金20重量%を担持させたカーボンに代えて、パラジウムを10重量%担持させたカーボン、ルテニウムを5重量%担持させたカーボン、ロジウムを5重量%担持させたカーボンのほか、表1に示すように、種々の遷移金属やその酸化物を導電性有機重合体と共に用いた以外はすべて、実施例3と同様にしてアノード及びカソードを調製した後、この電極を用いて、電極−プロトン交換膜接合体を調製して、試験用の単層の燃料電池セルを組み立てた。漆原ニッケルは、「有機合成化学」第32巻第11号第951〜958頁(1974)に従って調製した。
【0076】
このようにして作製したカソードとアノードとの間に酸型ナフィオン膜(デュポン社製ナフィオン(登録商標)117)をプロトン交換膜として置き、金型を用いて、温度130℃、圧力3MPaの条件下、ホットプレスにて電極−プロトン交換膜接合体を調製し、試験用の単層の燃料電池セルを組み立てた。
【0077】
この燃料電池セルを燃料電池評価装置(東陽テクニカ(株)製)に組み込み、セル温度70℃とし、加湿器温度70℃で酸素ガスを500mL/分の割合でカソードに供給すると共に、加湿器温度80℃で水素ガスを500mL/分の割合でアノードに供給した。そこで、先ず、電流を流さずに、起電力(開路電圧)のみを測定した。次に、燃料電池に負荷を加え、電圧0.4Vのときの電流値を測定した。結果を表1に示す。
【0078】
比較のため、接触水素添加触媒でも、酸素自動酸化触媒でもない鉛粉末及び酸化鉛粉末を上記無機酸化還元触媒に代えて用いた場合の結果を比較例2として示す。
【0079】
【表1】
Figure 0004397117
【0080】
実施例13
実施例3と全く同様にして、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂でドープされたボリアニリン粉末、白金20重量%を担持させたカーボン(米国エレクトロケム社製EC−20−PTC)、導電性カーボンブラック粉末(アクゾ社製ケッチェンブラックEC)及びポリフッ化ビニリデンからなる混合物を5.8cm角のカーボンペーパー上に担持させて、電極を調製した。白金の担持量は、電極面積当たり、0.10mg/cm2 と算出された。このように処理したカーボンペーパー上に5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)を塗布し、80℃で15分間、加熱、乾燥させた。このようにして得られた電極をカソードとした。
【0081】
一方、アノードは、導電性高分子として、Chemistry Letters, 153-154(1988) の記載に従ってn型導電性高分子であるポリピリジンを調製し、これを用いて、次のようにして調製した。即ち、白金20重量%を担持させたカーボン(米国エレクトロケム社EC−20−PTC)44mgと導電性カーボンブラック粉末(アクゾ社製ケッチェンブラックEC)80mgをポリピリジン400mgに加え、磁製乳鉢中ですりつぶしながら、均一になるまで10分間混合した。このようにして得られた混合物に2.5重量%濃度のポリフッ化ビニリデンのジメチルホルムアミド溶液2.1gを加え、更に、乳鉢を用いて混合して、ぺーストとした。
【0082】
このぺーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TPG−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、80℃で60分間加熱、乾燥させて、電極を調製した。このように処理したカーボンペーパー上に5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)を塗布し、80℃で15分間、加熱、乾燥させた。
【0083】
このようにして得られた電極を20重量%のフェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液中に浸潰し、飽和カロメル電極(SCE)を参照電極として用い、直径0.5mmの白金線を対極として、北斗電工(株)製ポテンショスタット/ガルバノスタット(HA−501)及びファンクション・ジェネレータ(HB−105)を用いて、電位範囲−0.2〜0.5V vs.SCE、掃引速度20mV/秒の条件下にサイクリックボルタモグラムを得た。ポリピリジンの還元ピークが−0.2V vs.SCEに現れたが、正の電位領域での酸化ピークは認められなかった。これはポリピリジンがn型導電性高分子であることを示す。
【0084】
そこで、ポテンショスタットの電位を−0.2V vs.SCEに固定して、このポリピリジンを電気化学的に還元した。これによって、ポリピリジンは、これに酸性下に電子とプロトンが注入されて、式(II)
【0085】
【化2】
Figure 0004397117
【0086】
に示すような構造を有するに至ったものと推定される。このようにして得られた電極をアノードに用いた。
【0087】
このようにして作製したカソードとアノードとの間に酸型ナフイオン膜(デュポン社製ナフィオン117)をプロトン交換膜として置き、金型を用いて、温度130℃のホットプレスにて電極/プロトン交換膜接合体を調製し、試験用の単層の燃料電池セルを組み立てた。
【0088】
この燃料電池セルを燃料電池評価装置(東陽テクニカ(株)製)に組み込み、セル温度70℃とし、加湿器温度70℃で酸素ガスを500mL/分の割合でカソードに供給すると共に、加湿器温度80℃で水素カスを1000mL/分の割合でアノードに供給した。最初は、電流を流さず、起電力(開路電圧)のみを測定したところ、0.78Vであった。次に、燃料電池に負荷を加えたところ、電圧0.4Vのとき、7.82A(313mA/cm2 )の電流を得た。
【0089】
実施例14
フェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液中、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを酸化剤として用いて、インドールを化学酸化重合して、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂と一部硫酸がトープされたポリインドールからなる導電性高分子粉末を得た。これをヌッチェにて吸引濾過し、メタノール中で攪拌、洗浄した後、50℃で5時間、真空乾燥した。得られた粉末を錠剤成形器にて加圧成形して、直径13mm、厚み720μmのディスクを得た。このディスクの電導度をファン・デル・ポー法にて測定したところ、1.2×10-1S/cmであった。
【0090】
次に、白金20重量%を担持させたカーボン(米国エレクトロケム社製EC−20−PTC)44mgと導電性カーホンブラック粉末(アクゾ社製ケッチェンブラックEC)80mgを上記ポリインドール420mgに加え、磁製乳鉢中ですりつぶしながら、均一になるまで10分間混合した。このようにして得られた混合物に2.5重量%濃度のポリフッ化ビニリデンのジメチルホルムアミド溶液2.1gを加え、更に、乳鉢を用いて混合して、ぺーストとした。
【0091】
このぺーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TCP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、80℃で60分間加熱、乾燥させて、電極を調製した。このように処理したカーボンペーパー上に5重%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)を塗布し、80℃で15分間、加熱、乾燥させた。このようにして得られた電極をカソードとした。
【0092】
一方、アノードは、導電性高分子として、n型導電性高分子であるポリフェニルキノキサリンを用いて、次のようにして調製した。即ち、P. M. Hergenrother, H. H. Levine, J. Polymer Sci., Part A-1, 5, 1453-1466 (1967) の記載に従って、m−クレゾール中、3,4,3',4'−テトラアミノビフェニルと1,4−ビスベンジルを反応させることによって、ポリフェニルキノキサリンの高粘度溶液を得、これをm−クレゾールにて希釈した後、メタノール中に投入して、ポリフェニルキノキサリンの粉末を得た。これをヌッチェにて吸引濾過し、60℃にて真空乾燥した。
【0093】
次いで、白金20重量%を担持させたカーボン(米国エレクトロケム社製EC−20−PTC)40mgと導電性カーボンブラック粉末(アクゾ社製ケッチェンブラックEC)80mgを上記ポリフェニルキノキサリン435mgに加え、磁製乳鉢中ですりつぶしながら、均一になるまで10分間混合した。このようにして得られた混合物に2.5重量%濃度のポリフッ化ビニリデンのジメチルホルムアミド溶液2.1gを加え、更に、乳鉢を用いて混合して、ぺーストとした。
【0094】
このぺーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、80℃で60分間加熱、乾燥させて、電極を調製した。このように処理したカーボンペーパー上に5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)を塗布し、80℃で15分間、加熱、乾燥させた。 このようにして得られた電極を20重量%のフェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液中に浸潰し、飽和カロメル電極(SCE)を参照電極として用い、直径0.5mmの白金線を対極として、北斗電工(株)製ポテンショスタット/カルバノスタット(HA−501)及びファンクション・ジェネレータ(HB−105)を用いて、電位範囲−0.2〜0.5V vs.SCE、掃引速度20mV/秒の条件下にサイクリックボルタモグラムを得た。ポリフェニルキノキサリンの還元ピークが−0.10V vs.SCEに現れたが、正の電位領域には酸化ピークは認められなかった。これはポリフェニルキノキサリンがn型導電性高分子であることを示す。
【0095】
そこで、ポテンショスタットの電位を−0.10V vs.SCEに固定して、このポリフェニルキノキサリンを電気化学的に還元した。これによって、ポリフェニルキノキサリンは、これに酸性下に電子とプロトンが注入されて、式(III)
【0096】
【化3】
Figure 0004397117
【0097】
のような構造を有するに至ったものと推定される。このようにして得られた電極をアノードに用いた。
【0098】
このようにして作製したカソードとアノードとの間に醗型ナフイオン膜(デュポン社製ナフィオン117)をブロトン交換膜として置き、金型を用いて、温度130℃のホットプレスにて、電極/ブロトン交換膜接合体を調製し、試験用の単層の燃料電池セルを組み立てた。
【0099】
この燃料電池セルを燃料電池評価装置(東陽テクニカ(株)製)に組み込み、セル温度70℃とし、加湿器温度70℃で酸素ガスを500mL/分の割合でカソードに供給すると共に、加湿器温度80℃で水素カスを1000mL/分の割合でアノードに供給した。最初は、電流を流さず、起電力(開路電圧)のみを測定したところ、1.20Vであった。次に、燃料電池に負荷を加えたところ、電圧0.4Vのとき、24.6A(984mA/cm2 )の電流を得た。
【0100】
【発明の効果】
以上のように、本発明による燃料電池は、酸化還元機能を備えた導電性有機重合体を電極触媒として有し、カソードに酸化剤を気体で供給し、アノードに還元剤を気体で供給するので、高い起電力を示し、高い電流密度で放電することができ、かくして、高出力の燃料電池特性を示す。更に、電極触媒として、導電性有機重合体と共に無機酸化還元触媒を併用することによって、一層、高出力の燃料電池を得ることができる。

Claims (6)

  1. 電解質膜を挟んでカソードとアノードとを配設し、このカソードに酸化剤を気体で供給し、アノードに還元剤を気体で供給する燃料電池であって、少なくとも一方の電極に、ドーパントを含むと共に酸化還元機能を備えた導電性有機重合体を電極触媒として有せしめてなる燃料電池において、ドーパントがフェノールスルホン酸ノボラック樹脂であることを特徴とする燃料電池。
  2. 電極触媒が導電性有機重合体と無機酸化還元触媒との混合物からなる請求項1に記載の燃料電池。
  3. 導電性有機重合体がポリアニリン又はポリアルキルアニリンである請求項1又は2に記載の燃料電池。
  4. 導電性有機重合体がポリピリジン、ポリインドール又はポリフェニルキノキサリンである請求項1又は2に記載の燃料電池。
  5. 無機酸化還元触媒が白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ニッケル、鉄、銅、コバルト及びモリブデンから選ばれる少なくとも1種の遷移金属か、又はその酸化物である請求項2に記載の燃料電池。
  6. 酸化剤が酸素であり、還元剤が水素である請求項1に記載の燃料電池。
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