JP2004087272A - 燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電性有機重合体を電極触媒とし、高い出力と高い電圧を有する燃料電池を提供する。
【解決手段】電解質膜を挟んでカソードとアノードとを配設し、このカソードに酸化剤を気体で供給し、アノードに還元剤を気体で供給する燃料電池において、酸化還元能を備えた導電性有機重合体を担持させた導電性粉体を電極触媒として少なくとも一方の電極に有せしめる。上記導電性有機重合体を担持させた導電性粉体と無機酸化還元触媒を担持させた導電性粉体とを電極触媒として電極に有せしめることによって、一層、高出力の燃料電池を得ることができる。
【選択図】なし
【解決手段】電解質膜を挟んでカソードとアノードとを配設し、このカソードに酸化剤を気体で供給し、アノードに還元剤を気体で供給する燃料電池において、酸化還元能を備えた導電性有機重合体を担持させた導電性粉体を電極触媒として少なくとも一方の電極に有せしめる。上記導電性有機重合体を担持させた導電性粉体と無機酸化還元触媒を担持させた導電性粉体とを電極触媒として電極に有せしめることによって、一層、高出力の燃料電池を得ることができる。
【選択図】なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、酸化還元機能を備えた導電性有機重合体を担持させた導電性粉体を電極触媒としてカソードとアノードの少なくとも一方に有せしめてなり、高い出力を有する燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、固体高分子電解質を挟んでアノードとカソードとを配設して固体電解質/電極構造を構成し、これをセパレータにより挟んで単位セルを構成し、この単位セルを複数積層し、電気的に直列に接続してなる燃料電池が開発されている。この燃料電池は、クリーンで且つ高効率という特徴から、種々の用途、特に、電気自動車用電源や家庭用分散型電源等として注目されている。
【0003】
より詳細に説明すれば、このような固体高分子型燃料電池は、その基本構成として、プロトン伝導性イオン交換膜を挟んで、それぞれ電極触媒を有するアノードとカソードの一対の電極を配設してなり、このアノードの表面に水素等の還元剤(燃料)を接触させ、カソードの表面に酸化剤(酸素)を接触させて、電気化学反応を起こさせ、この反応を利用して、上記一対の電極の間から電気エネルギーを取り出すものである。上記プロトン伝導性イオン交換膜としては、フッ素樹脂系イオン交換膜が基本特性にすぐれているものとして、従来、よく知られており、また、アノードとカソードとしては、電極触媒として白金を担持させたカーボンシート等が広く知られている。
【0004】
一方、例えば、ポリアセチレンやポリピロール、ポリアニリン等に代表されるように、ドーパントを有し、酸化還元機能(レドックス能)を備えた導電性有機重合体は、リチウム二次電池等における電極活物質として注目されていると共に(特許第1845557号)、速やかな放電機能を有する導電性高分子キャパシタとしての用途も提案されている(第39回電池討論会予稿集第173頁(1998年)、電気化学会第67回大会講演要旨集第147頁(2000年))。
【0005】
しかしながら、上述したような導電性有機重合体は、現在、実用化されている電極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO2 )やリチウムのような無機酸化物や金属材料に比べてエネルギー密度が低い。そこで、このような導電性有機重合体の低いエネルギー密度を補うために、導電性有機重合体を電極触媒として用い、この導電性有機重合体が接する電解液中に酸化剤や還元剤を溶解させて、電池を燃料電池のように使用する試みが提案されている(特開昭59−60967号公報、特開昭61−124070号公報)。
【0006】
しかし、これらの電池によれば、酸化剤と還元剤が共に溶液として供給されるので、電極への活物質の拡散が遅く、その放電特性は数mA/cm2 程度であって、高い出力電圧を得ることができないほか、電池システムも複雑であり、実用的ではない。
【0007】
他方、上述したように、従来の固体高分子型燃料電池は、電極触媒として白金を用いるので、コストが高く、また、酸性の液体の溶出や、アノードでの一酸化炭素被毒等、実用化に重要な障害となっており、しかも、白金以外に実用的な電極触媒は、未だ見出されていない。
【0008】
そこで、本発明者らは、既に、導電性有機重合体を電極触媒として用いた固体高分子型燃料電池を提案しているが(国際出願公開公報WO01/243215A1)、しかし、この燃料電池においては、導電性有機重合体をそのまま、電極触媒として用いるので、これと併用する電極触媒である無機酸化還元触媒や、更には、プロトン交換性樹脂、還元剤(水素ガス)や酸化剤(酸素や空気)等との接触面積が十分に大きくはないので、導電性有機重合体の酸化還元反応(レドックス反応)に基づく電気エネルギーを必ずしも有効に取り出すことができない憾みがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の燃料電池における上述した問題を解決するためになされたものであって、導電性有機重合体を担持させた導電性粉体電極触媒とし、高出力と高電圧を有する燃料電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、電解質膜を挟んでカソードとアノードとを配設し、このカソードに酸化剤を気体で供給し、アノードに還元剤を気体で供給する燃料電池において、酸化還元機能を備えた導電性有機重合体を担持させた導電性粉体を電極触媒として少なくとも一方の電極に有せしめてなることを特徴とする燃料電池が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、カソードとアノードの少なくとも一方の電極に、酸化還元機能(レドックス能)を備え、好ましくは、ドーパントを有する導電性有機重合体を電極触媒として有せしめる。
【0012】
このような導電性有機重合体としては、例えば、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリアニリン、ポリアルキルアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリインドール、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノン、ポリアミノジフェニル、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリ(キノリニウム)塩、ポリ(イソキノリニウム)塩、ポリピリジン、ポリキノキサリン、ポリフェニルキノキサリン等を挙げることができる。これらの導電性有機重合体は、種々の置換基を有していてもよい。このような置換基の具体例として、例えば、アルキル基、水酸基、アルコキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホン酸基、ジアルキルアミノ基等を挙げることができる。これらの置換基は、導電性有機重合体の酸化還元電位を調整するのに有用である。
【0013】
また、上記ドーパントは、一般に、プロトン酸である。このプロトン酸としては、塩酸、硫酸、過塩素酸、リン酸、ホウフッ化水素酸等の無機酸のほか、種々の有機酸を挙げることができる。このような有機酸は、脂肪族、芳香族、芳香脂肪族、脂環式等の一又は多塩基酸であってよく、例えば、酢酸、酒石酸、安息香酸等、種々の有機カルボン酸を挙げることができる。
【0014】
しかし、本発明によれば、プロトン酸は、スルホン酸基を有するものが好ましく、例えば、ポリビニルスルホン酸やフェノールスルホン酸ノボラック樹脂等のようなイオン性のポリマースルホン酸や、また、ドデシルベンゼンスルホン酸等の低分子量有機スルホン酸を挙げることができるが、なかでも、前者のようなイオン性のポリマー、特に、ポリマースルホン酸であることが好ましい。ここに、ポリマースルホン酸とは、分子中にスルホン酸基を有するポリマーをいうものとする。
【0015】
しかし、本発明においては、スルホン酸基を分子中に有するスルホン化ポリアニリンのような自己ドープ型の導電性有機重合体も、ドーパントを有する導電性有機重合体に含めることとする。
【0016】
本発明においては、導電性有機重合体としては、水素ガスから生成するプロトンを容易に移動させるために、酸化反応においてプロトンを放出し、還元反応においてプロトンを消費するものが好ましく、このような導電性有機重合体として、上述したなかでも、特に、ポリアニリン、ポリアルキルアニリン、ポリインドール、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリピリジン、ポリキノキサリン、ポリフェニルキノキサリン、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノン、ポリアミノジフェニル等のように、分子内に窒素原子を有する導電性有機重合体が好ましく用いられる。
【0017】
本発明によれば、このような導電性有機重合体を導電性粉体に担持させ、これを電極触媒として、電極に担持させる。上記導電性粉体は、好ましくは、10−2〜10−4S/cmの範囲の導電率を有すると共に、10〜4000m2/gの範囲の比表面積(BET法による。)を有する導電性炭素材料であることが好ましく、このような導電性炭素材料として、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック、活性炭、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン等を挙げることができる。特に、本発明によれば、このような導電性炭素材料は、比表面積が100〜2000m2/gの範囲にあるものが好ましく用いられる。しかし、導電性粉体は、上記炭素材料に限られず、例えば、ポリアセンのようなポリマー材料も導電性粉体として用いられる。
【0018】
このような導電性粉体への導電性有機重合体の担持量は、特に、限定されるものではなく、通常、2.5〜90重量%の範囲でよいが、好ましくは、5〜80重量%の範囲であり、特に、10〜60重量%の範囲が好ましい。
【0019】
本発明においては、カソードとアノードの両方に同じ導電性有機重合体を電極触媒として有せしめてもよく、相互に相違する導電性有機重合体を電極触媒として有せしめてもよい。しかし、本発明によれば、より高い電圧を得るために、カソードにはp型の導電性有機重合体を用い、アノードにはn型の導電性有機重合体を用いるのが好ましい。ここに、前述した導電性有機重合体のうち、p型のものは、ポリアニリン、ポリアルキルアニリン、ポリインドール及びポリ−1,5−ジアミノアントラキノンであり、n型のものは、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリピリジン、ポリキノキサリン及びポリフェニルキノキサリンである。
【0020】
一般に、ある導電性有機重合体がp型とn型のいずれであるかを判定するには、既に、知られているように、例えば、導電性有機重合体の粉末をディスクに成形し、その2か所に電極を取付け、この電極に温度差を与えたときの低温側の電極の電位の正負を調べればよい。即ち、低温側の電極に正の電位が現れたとき、その導電性有機重合体はp型であり、反対に、低温側の電極に負の電位が現れたとき、その導電性有機重合体はn型である。
【0021】
更に、本発明によれば、一方の電極にのみ、導電性有機重合体を担持させた導電性粉体を電極触媒として有せしめ、他方の電極には、従来のように、白金触媒を電極触媒として有せしめてもよい。また、本発明によれば、導電性有機重合体を担持させた導電性粉体と無機酸化還元触媒を担持させた導電性粉体との混合物を電極触媒としてカソードとアノードの少なくとも一方の電極に有せしめてもよい。
【0022】
このように、導電性有機重合体を電極触媒として用いるに際して、その電極のへの担持量は、特に、限定されるものではないが、電極面積当り、通常、0.5〜100mg/cm2 の範囲である。
【0023】
また、無機酸化還元触媒を担持させた導電性粉体を電極触媒として用いる場合、上記無機酸化還元触媒としては、接触水素添加触媒として、又は酸素自動酸化触媒として知られている白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ニッケル、鉄、銅、コバルト及びモリブデンから選ばれる少なくとも1種の遷移金属及び/又はその酸化物等を用いることができる。
【0024】
導電性有機重合体を担持させた導電性粉体と無機酸化還元触媒を担持させた導電性粉体との混合物を電極触媒として用いる場合、無機酸化還元触媒は、導電性有機重合体100重量部に対して、通常、0.1〜30重量部の範囲で用いられる。また、電極への無機酸化還元触媒の担持量は、電極面積当たり、通常、0.001〜5mg/cm2 の範囲であるが、好ましくは、0.005〜1mg/cm2 の範囲であり、特に、好ましくは、0.01〜0.5mg/cm2 の範囲である。
【0025】
このように、本発明に従って、導電性有機重合体を担持させた導電性粉体と無機酸化還元触媒を担持させた導電性粉体との混合物を電極触媒として電極に有せしめることによって、導電性有機重合体のみを導電性粉体に担持させ、これを単独にて電極触媒として用いた場合に比べて、高出力の燃料電池を得ることができる。
【0026】
次に、本発明による燃料電池において用いる電極の製造について説明する。導電性有機重合体を担持させたカーボンブラックからなる粉体を電極触媒とするカソードは、例えば、次のようにして製造する。即ち、例えば、電解酸化重合によって得られたポリインドールをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、これにカーボンブラックを所定量加え、攪拌、混合して、懸濁液とし、これを乾燥し、上記溶剤を除去して、導電性有機重合体を担持させたカーボンブラックを得る。次いで、プロトン交換性の樹脂の溶液(例えば、ナフィオン(登録商標)のようなデュポン社製パーフルオロスルホン酸樹脂の溶液)を結着剤として、これを上記導電性有機重合体を担持させたカーボンブラックと混合して、ペーストとし、このペーストを導電性多孔質基剤(例えば、東レ(株)製カーボンペーパー)上に塗布し、乾燥し、必要に応じて、ポリインドールを酸化して、カソードを得ることができる。
【0027】
一方、アノードは、例えば、上述したと同様に、ポリフェニルキノキサリンをカーボンブラックに担持させた後、プロトン交換性の樹脂の溶液(例えば、上記ナフィオン(登録商標)のようなパーフルオロスルホン酸樹脂の溶液)を結着剤として、これを上記導電性有機重合体を担持させたカーボンブラックと混合して、ペーストとし、このペーストを導電性多孔質基剤(例えば、東レ(株)製カーボンペーパー)上に塗布し、乾燥し、必要に応じて、ポリフェニルキノキサリンを還元して、アノードを得る。
【0028】
上記導電性有機重合体(例えば、ポリインドール)の酸化や上記導電性有機重合体(例えば、ポリフェニルキノキサリン)の還元の方法は、特に限定されるものではなく、従って、例えば、化学的な酸化や還元によってもよいが、しかし、好ましくは、例えば、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液に上記導電性有機重合体を担持させた電極を浸漬し、適宜の参照電極を用いて、サイクリックボルタモグラムを測定し、酸化(又は還元)ピークが観察された電位にて電気化学的に上記導電性有機重合体を酸化(又は還元)するのが簡便である。
【0029】
このようにして得られたカソードとアノードとで電解質膜(即ち、プロトン交換膜)を挟み、必要に応じて、ホットプレス等により一体成形して、燃料電池用の電極−プロトン交換膜接合体(MEA)を得る。
【0030】
本発明による燃料電池においては、電解質膜には、従来の固体高分子膜型電池に用いられているようなパーフルオロスルホン酸樹脂からなる陽イオン交換膜、例えば、ナフィオン(登録商標)が好適に用いられるが、しかし、これに限定されるものではない。従って、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂からなる多孔質膜に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を含浸させたものや、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜や不織布に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を担持させたものでもよい。
【0031】
本発明による燃料電池においては、カソードに酸化剤が気体で供給され、アノードに還元剤が気体で供給される。ここに、本発明によれば、好ましくは、酸化剤として酸素ガスや空気が用いられると共に、還元剤として水素ガスが用いられる。また、還元剤として、メタノールやジメチルエーテル等を用いることもできる。
【0032】
本発明による燃料電池は、40℃以上の温度で作動される。用いる導電性有機重合体や電解質膜によって適宜に選ばれるが、50〜120℃の範囲が好ましく、特に、60〜100℃の範囲が好ましい。作動温度が低すぎるときは、導電性有機重合体の反応速度が遅いために、高い出力を得ることができず、他方、作動温度が高すぎるときは用いる材料の劣化や剥離等が起こるおそれがある。
【0033】
【実施例】
以下に参考例と共に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0034】
実施例1
フェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液中、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを酸化剤として用いて、インドールを化学酸化重合して、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂と一部硫酸がトープされたポリインドールからなる導電性高分子(以下、導電性ポリインドールという。)粉末を得た。
【0035】
この導電性ポリインドール粉末をN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて、1.5重量%濃度の溶液を調製し、この溶液にカーボンブラック(キャボット社製バルカン(Vulcan)XC−72R、比表面積220m2/g)を上記導電性ポリインドールに対して80重量%加え、攪拌、混合して、懸濁液とした。この懸濁液を真空乾燥機を用いて40℃で4時間、真空乾燥させて、上記導電性ポリインドール20重量%を担持させたカーボンブラックを得た。
【0036】
この導電性ポリインドール20重量%を担持させたカーボンブラック720mgを5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)に加え、攪拌して、ペーストとした。ここに、導電性ポリインドールを担持させたカーボンブラックとナフィオン溶液の固形分との重量比は1:1とした。
【0037】
このペーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、80℃で60分間加熱、乾燥させて、電極を得た。ポリインドールの担持量(計算値)は、電極面積当たり、0.85mg/cm2 であった。
【0038】
上記電極を28重量%硫酸水溶液中に浸漬し、飽和カロメル電極(SCE)を参照電極として用い、直径0.5mmの白金線を対極として、北斗電工(株)製ポテンショスタット/ガルバノスタット(HA−501)及びファンクション・ジェネレータ(HB−105)を用いて、電位範囲−0.15〜1.5V vs. SCE、掃引速度20mV/秒の条件下にサイクリックボルタモグラムを測定した。ポリインドールのプロトンの吸蔵放出を伴う酸化ピークが0.85V vs. SCEに、また、還元ピークが0.75V vs. SCEに観察された。このときの酸化電流は、ポリインドールの重量に対して4.5mA/mgであった。そこで、ポテンショスタットの電位を0.85Vに固定して、電気化学的にポリインドールを酸化した。このようにして得られた電極をカソードに用いた。
【0039】
一方、アノードは、n型導電性高分子であるポリフェニルキノキサリンを用いて、次のようにして調製した。即ち、P. M. Hergenrother, H. H. Levine, J. Polymer Sci., Part A−1, 5, 1453−1466 (1967) の記載に従って、m−クレゾール中、3,4,3’,4’−テトラアミノビフェニルと1,4−ビスベンジルを反応させることによって、ポリフェニルキノキサリンの高粘度溶液を得、これをm−クレゾールにて希釈した後、メタノール中に投入して、ポリフェニルキノキサリンの粉末を得た。これをヌッチェにて吸引濾過し、60℃にて真空乾燥した。
【0040】
このようにして得られたポリフェニルキノキサリンの粉末をm−クレゾールに容易させて、0.5重量%濃度の溶液を調製した。この溶液にカーボンブラック(キャボット社製バルカン(Vulcan)XC−72R、比表面積220m2/g)を上記ポリフェニルキノキサリンに対して重量比で4倍量を加え、ホモジナイザーを用いて、30分間混合、攪拌して、ポリフェニルキノキサリンのm−クレゾール溶液中に分散させた。次いで、このようにして得られた分散液をトールビーカーに移し、熱風循環式乾燥機内で140℃で3時間加熱乾燥させて、ポリフェニルキノキサリン20重量%を担持させたカーボンブラックを得た。
【0041】
このようにして得られたポリフェニルキノキサリンを担持させたカーボンブラック720mgを5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)14400mgに加え、攪拌して、ペーストとした。ここに、ポリフェニルキノキサリンを担持させたカーボンブラックとナフィオン溶液の固形分との重量比は1:1とした。
【0042】
このペーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、80℃で60分間加熱、乾燥させて、電極を得た。この電極において、ポリフェニルキノキサリンの担持量(計算値)は、電極面積当たり、0.65mg/cm2 であった。
【0043】
この電極を55.4重量%硫酸水溶液中に浸漬し、飽和カロメル電極(SCE)を参照電極として用い、直径0.5mmの白金線を対極として、北斗電工(株)製ポテンショスタット/ガルバノスタット(HA−501)及びファンクション・ジェネレータ(HB−105)を用いて、電位範囲−0.2〜0.5V vs.SCE、掃引速度20mV/秒の条件下にサイクリックボルタモグラムを得た。ポリフェニルキノキサリンの還元ピークは0V vs. SCEに観察された。
【0044】
そこで、ポテンショスタットの電位を0V vs. SCEに固定して、ポリフェニルキノキサリンを電気化学的に還元した。これによって、ポリフェニルキノキサリンは、これに酸性下に電子とプロトンを注入されて、式(I)
【0045】
【化1】
【0046】
のような構造を有するに至ったものと推定される。このようにして得られた電極をアノードに用いた。
【0047】
このようにして調製したカソードとアノードとの間に酸型ナフイオン膜(デュポン社製ナフィオン117)をプロトン交換膜として置き、金型を用いて、温度130℃のホットプレスにて、電極/プロトン交換膜接合体を調製し、試験用の単層の燃料電池セルを組み立てた。
【0048】
この燃料電池セルを燃料電池評価装置(東陽テクニカ(株)製)に組み込み、セル温度70℃とし、加湿器温度70℃で酸素ガスを500mL/分の割合でカソードに供給すると共に、加湿器温度80℃で水素ガスを1000mL/分の割合でアノードに供給した。最初は、燃料電池セルに負荷を加えず、起電力(開路電圧)のみを測定したところ、0.85Vであった。次に、燃料電池セルに負荷を加えたところ、電圧0.4で電流3.67Aを得た。
【0049】
実施例2
実施例1において、ポリインドールをカーボンブラックに50重量%担持させ、また、ポリフェニルキノキサリンをカーボンブラックに50重量%担持させた以外は、実施例1と同様にして、カソードとアノードを得た。
【0050】
実施例1と同様にして、ポリインドールを担持させたカーボンブラックをナフイオンをバインダーとしてカーボンペーパーに担持させて電極を調製し、これを硫酸水溶液に浸漬して、サイクリックボルタモグラムを測定したところ、ポリインドールの重量当たりの酸化電流は0.66mA/mgであった。また、実施例1と同様にして、上記カソードとアノードを用いて、燃料電池セルを組み立て、その特性を評価したところ、回路電圧は0.85Vであり、燃料電池に負荷を加えたとき、電圧0.4Vで電流1.92Aを得た。
【0051】
実施例3
実施例1において、ポリインドールをカーボンブラックに80重量%担持させ、また、ポリフェニルキノキサリンをカーボンブラックに80重量%担持させた以外は、実施例1と同様にして、カソードとアノードを調製した。
【0052】
実施例1と同様にして、ポリインドールを担持させたカーボンブラックをナフイオンをバインダーとしてカーボンペーパーに担持させて電極を調製し、これを硫酸水溶液に浸漬して、サイクリックボルタモグラムを測定したところ、ポリインドールの重量当たりの酸化電流は0.43mA/mgであった。また、実施例1と同様にして、上記カソードとアノードを用いて燃料電池セルを組み立て、その特性を評価したところ、回路電圧は0.85Vであり、燃料電池に負荷を加えたとき、電圧0.4Vで電流1.53Aを得た。
【0053】
比較例1
実施例1において、ポリインドールとポリフェニルキノキサリンをそれぞれカーボンブラックに担持させることなく、そのまま、ナフィオンをバインダーとしてカーボンペーパーに担持させた後、それぞれ実施例1と同様にして、カソードとアノードを調製した。ポリインドール又はポリフェニルキノキサリンとナフィオン固形分との重量比はそれぞれ1:1とした。
【0054】
実施例1と同様にして、ポリインドールをナフイオンにてカーボンペーパーに担持させて電極を調製し、これを硫酸水溶液に浸漬して、サイクリックボルタモグラムを測定したところ、ポリインドールの重量当たりの酸化電流は0.08mA/mgであった。また、実施例1と同様にして、上記カソードとアノードを用いて燃料電池セルを組み立て、その特性を評価したところ、回路電圧は0.85Vであり、燃料電池セルに負荷を加えたとき、電圧0.4Vで電流0.91Aを得た。
【0055】
実施例4
実施例1と同様にして、ポリインドールを20重量%担持させたカーボンブラックを調製し、このポリインドールを20重量%担持させたカーボンブラック720mgと白金20重量%を担持させたカーボンブラック(米国エレクトロケム社製EC−20−PTC)72mgとの混合物を5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)に加え、攪拌して、ペーストとした。ここに、ポリインドールと白金との重量比は10:1とした。実施例1と同様にして、ポリインドールをナフイオンにてカーボンペーパーに担持させて電極を調製し、これを硫酸水溶液に浸漬して、サイクリックボルタモグラムを測定したところ、ポリインドールの重量当たりの酸化電流は0.45mA/mgであった。
【0056】
上記ペーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、80℃で60分間加熱、乾燥させて、電極を得た。ポリインドールの担持量(計算値)は、電極面積当たり、1.0mg/cm2 であり、白金の担持量(計算値)は、電極面積当たり、0.10mg/cm2 であった。この電極を実施例1と同様に電気化学的に酸化して、カソードとした。
【0057】
上記と同様にして、ポリフェニルキノキサリン20重量%を担持させたカーボンブラック720mgと白金20重量%を担持させたカーボンブラック(米国エレクトロケム社製EC−20−PTC)72mgとの混合物を5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)に加え、攪拌して、ペーストとした。ここに、ポリフェニルキノキサリンと白金との重量比は10:1とした。
【0058】
このペーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、80℃で60分間加熱、乾燥させて、電極を得た。ポリフェニルキノキサリンの担持量(計算値)は、電極面積当たり、1.0mg/cm2 であり、白金の担持量(計算値)は、電極面積当たり、0.10mg/cm2 であった。この電極に担持させたポリフェニルキノキサリンを実施例1と同様に硫酸水溶液中で電気化学的に還元して、アノードとした。
【0059】
このようにして、それぞれ導電性有機重合体を担持させたカーボンブラックと白金を担持させたカーボンブラックを電極触媒として有する電極を用いて燃料電池セルを組み立て、実施例1と同様にして、その特性を評価したところ、回路電圧は0.85Vであり、燃料電池セルに負荷を加えたとき、電圧0.4Vで電流27.1Aを得た。このように、電流値が大幅に増加した理由は、水素又は酸素ガスに対する白金の触媒作用によって、導電性有機重合体へのプロトン又は酸素イオンの供給量が大幅に増加したためである。
【0060】
実施例5
実施例1と同様にして、導電性ポリインドール粉末を得、これを用いて、導電性ポリインドール20重量%を担持させたカーボンブラックを得た。これを用いて、実施例4と同様にして、ポリインドールを担持させたカーボンブラックと白金を担持させたカーボンブラックを電極触媒として有するカソードを調製した。このカソードにおいて、ポリインドールの担持量(計算値)は、電極面積当たり、1.0mg/cm2 であり、白金の担持量(計算値)は、電極面積当たり、0.10mg/cm2 であった。また、実施例1と同様にして、硫酸水溶液中において、サイクリックボルタモグラムを測定したところ、ポリインドールの重量当たりの酸化電流は3.1mA/mgであった。
【0061】
次に、実施例1と同様にして、ポリフェニルキノキサリン20重量%を担持させたカーボンブラックを得、これを用いて、実施例4と同様にして、ポリフェニルキノキサリンを担持させたカーボンブラックと白金を担持させたカーボンブラックとを電極触媒として有する電極を調製した。この電極において、ポリフェニルキノキサリンの担持量(計算値)は、電極面積当たり、1.0mg/cm2 であり、白金の担持量(計算値)は、電極面積当たり、0.10mg/cm2 であった。
【0062】
この電極を20重量%フェノールノボラック樹脂水溶液に浸漬し、飽和カロメル電極(SCE)を参照電極として用い、直径0.5mmの白金線を対極として、北斗電工(株)製ポテンショスタット/ガルバノスタット(HA−501)及びファンクション・ジェネレータ(HB−105)を用いて、電位範囲−0.2〜0.5V vs. SCE、掃引速度20mV/秒の条件下にサイクリックボルタモグラムを得た。ポリフェニルキノキサリンの還元ピークは0V vs. Ag/AgClに観察された。
【0063】
そこで、ポテンショスタットの電位を0V vs. Ag/AgClに固定して、ポリフェニルキノキサリンを電気化学的に還元し、ポリフェニルキノキサリンにフェノールスルホン酸ノボラック樹脂をドーピングして、アノードを調製した。
【0064】
このようにして調製したカソードとアノードを用いて、実施例1と同様にして燃料電池セルを組み立て、実施例1と同様にして、その特性を評価したところ、回路電圧は0.85Vであり、燃料電池に負荷を加えたとき、電圧0..Vで電流30.8Aを得た。このように、電流値が大幅に増加した理由は、アノードの電極触媒として、白金と共に、ポリマースルホン酸をドーパントとして有する導電性有機重合体を用いることによって、ポリフェニルキノキサリンの耐水性が改善され、燃料電池の運転時に生成した水によるドーパントの導電性有機重合体からの脱ドープが抑制されて、導電性有機重合体の導電性が維持されるためである。
【0065】
実施例6
カソードは、導電性高分子として、K. Naoi, S. Suematsu, A. Manago, Journal of the Electrochemical Society, Vol. 147, pp. 420−426 (2000) の記載に従って、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンを調製し、これを用いて、次のようにして調製した。即ち、プロピレンカーボネートに過塩素酸テトラエチルアンモニウムを0.1モル/L、トリフルオロ酢酸を0.5モル/L濃度となるように溶解させた後、更に、1,5−ジアミノアントラキノン10mmolを加え、溶解させた。
【0066】
対極に直径1mmの白金線、作用極に面積1cm2 の白金板、参照極にAg/AgClを用い、北斗電工(株)製ポテンショスタット/ガルバノスタット(HA−501)を用いて、1.5V(vs.Ag/AgCl)の定電位にて電解酸化重合を行って、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンを得た。
【0067】
このようにして得られたポリ−1,5−ジアミノアントラキノンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて、0.5重量%濃度の溶液を調製し、これにカーボンブラック(キャボット社製バルカン(Vulcan)XC−72R)をポリ−1,5−ジアミノアントラキノンに対して80重量%加え、攪拌、混合して、懸濁液を得た。この懸濁液を真空乾燥機を用いて40℃で4時間、真空乾燥させて、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノン20重量%を担持させたカーボンブラックを得た。
【0068】
このようにした得られたポリ−1,5−ジアミノアントラキノン20重量%を担持させたカーボンブラック720mgと白金20重量%を担持させたカーボンブラック(米国エレクトロケム社製EC−20−PTC)72mgとの混合物を5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)に加え、攪拌して、ペーストとした。ここに、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンを担持させたカーボンと白金との重量比は10:1とした。
【0069】
このペーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、80℃で60分間加熱、乾燥させて、電極を得た。ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンの担持量(計算値)は、電極面積当たり、1.0mg/cm2 であり、白金の担持量(計算値)は、電極面積当たり、0.10mg/cm2 であった。
【0070】
この電極を20重量%フェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液硫酸水溶液中に浸漬し、Ag/AgClを参照電極として用い、電位範囲0〜0.9V vs. Ag/AgCl、掃引速度20mV/秒の条件下にサイクリックボルタモグラムを測定した。ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンのプロトンの吸蔵放出に伴う酸化ピークが0.6〜0.8V vs. Ag/AgClに、また、還元ピークが0.55〜0.75V vs. Ag/AgClに観察された。ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンの重量当たりの電流値は40.5mA/mgであった。
【0071】
そこで、ポテンショスタットの電位を0.8V vs. Ag/AgClに固定して、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンを電気化学的に酸化した。このようにして得られた電極をカソードに用いた。一方、アノードは、実施例1と同様にして調製した。
【0072】
このようにして得られたカソードとアノードを用いて、実施例1と同様にして、燃料電池セルを組み立て、その特性を評価したところ、回路電圧は0.85Vであり、燃料電池に負荷を加えたとき、電圧0.4Vで電流24.4Aを得た。
【0073】
比較例2
実施例6において、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンとポリフェニルキノキサリンをそれぞれカーボンブラックに担持させることなく、粉末状態にてそのまま、ナフィオンをバインダーとしてペーストを調製し、これをカーボンペーパーに塗布した後、それぞれ20重量%濃度フェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液中に浸漬し、それぞれ0.8V及び0Vにて電解酸化及び電解還元処理して、カソードとアノードを調製した。ポリ−1,5−ジアミノアントラキノン又はポリフェニルキノキサリンとナフィオン固形分との重量比はそれぞれ1:1とした。
【0074】
実施例6と同様にして、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンをナフイオンにてカーボンペーパーに担持させてなる電極をフェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液に浸漬し、サイクリックボルタモグラムを測定したところ、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンの重量当たりの酸化電流は20.3mA/mgであった。また、実施例1と同様にして、上記カソードとアノードを用いて燃料電池セルを組み立て、その特性を評価したところ、回路電圧は0.85Vであり、燃料電池に負荷を加えたとき、電圧0.4Vで電流20.3Aを得た。
【0075】
上記実施例及び比較例の結果から明らかなように、本発明に従って、導電性有機重合体を導電性粉体に担持させて、これを電極触媒として電極に有せしめることによって、サイクリックボルタモグラムから得られる電極の導電性有機重合体の重量当たりの酸化電流が増加し、また、導電性有機重合体を導電性粉体に担持させ、これを電極触媒として電極に有せしめてなる電極を用いることによって、高出力の燃料電池を得ることができる。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、本発明による燃料電池は、酸化還元機能を備えた導電性有機重合体を導電性粉体に担持させ、これを電極触媒として有せしめたものであって、カソードに酸化剤を気体で供給し、アノードに還元剤を気体で供給することによって、高い起電力を示し、高い電流密度で放電することができ、かくして、高出力の燃料電池特性を示す。更に、電極触媒として、導電性有機重合体と共に無機酸化還元触媒を併用することによって、一層、高出力の燃料電池を得ることができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、酸化還元機能を備えた導電性有機重合体を担持させた導電性粉体を電極触媒としてカソードとアノードの少なくとも一方に有せしめてなり、高い出力を有する燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、固体高分子電解質を挟んでアノードとカソードとを配設して固体電解質/電極構造を構成し、これをセパレータにより挟んで単位セルを構成し、この単位セルを複数積層し、電気的に直列に接続してなる燃料電池が開発されている。この燃料電池は、クリーンで且つ高効率という特徴から、種々の用途、特に、電気自動車用電源や家庭用分散型電源等として注目されている。
【0003】
より詳細に説明すれば、このような固体高分子型燃料電池は、その基本構成として、プロトン伝導性イオン交換膜を挟んで、それぞれ電極触媒を有するアノードとカソードの一対の電極を配設してなり、このアノードの表面に水素等の還元剤(燃料)を接触させ、カソードの表面に酸化剤(酸素)を接触させて、電気化学反応を起こさせ、この反応を利用して、上記一対の電極の間から電気エネルギーを取り出すものである。上記プロトン伝導性イオン交換膜としては、フッ素樹脂系イオン交換膜が基本特性にすぐれているものとして、従来、よく知られており、また、アノードとカソードとしては、電極触媒として白金を担持させたカーボンシート等が広く知られている。
【0004】
一方、例えば、ポリアセチレンやポリピロール、ポリアニリン等に代表されるように、ドーパントを有し、酸化還元機能(レドックス能)を備えた導電性有機重合体は、リチウム二次電池等における電極活物質として注目されていると共に(特許第1845557号)、速やかな放電機能を有する導電性高分子キャパシタとしての用途も提案されている(第39回電池討論会予稿集第173頁(1998年)、電気化学会第67回大会講演要旨集第147頁(2000年))。
【0005】
しかしながら、上述したような導電性有機重合体は、現在、実用化されている電極活物質であるコバルト酸リチウム(LiCoO2 )やリチウムのような無機酸化物や金属材料に比べてエネルギー密度が低い。そこで、このような導電性有機重合体の低いエネルギー密度を補うために、導電性有機重合体を電極触媒として用い、この導電性有機重合体が接する電解液中に酸化剤や還元剤を溶解させて、電池を燃料電池のように使用する試みが提案されている(特開昭59−60967号公報、特開昭61−124070号公報)。
【0006】
しかし、これらの電池によれば、酸化剤と還元剤が共に溶液として供給されるので、電極への活物質の拡散が遅く、その放電特性は数mA/cm2 程度であって、高い出力電圧を得ることができないほか、電池システムも複雑であり、実用的ではない。
【0007】
他方、上述したように、従来の固体高分子型燃料電池は、電極触媒として白金を用いるので、コストが高く、また、酸性の液体の溶出や、アノードでの一酸化炭素被毒等、実用化に重要な障害となっており、しかも、白金以外に実用的な電極触媒は、未だ見出されていない。
【0008】
そこで、本発明者らは、既に、導電性有機重合体を電極触媒として用いた固体高分子型燃料電池を提案しているが(国際出願公開公報WO01/243215A1)、しかし、この燃料電池においては、導電性有機重合体をそのまま、電極触媒として用いるので、これと併用する電極触媒である無機酸化還元触媒や、更には、プロトン交換性樹脂、還元剤(水素ガス)や酸化剤(酸素や空気)等との接触面積が十分に大きくはないので、導電性有機重合体の酸化還元反応(レドックス反応)に基づく電気エネルギーを必ずしも有効に取り出すことができない憾みがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の燃料電池における上述した問題を解決するためになされたものであって、導電性有機重合体を担持させた導電性粉体電極触媒とし、高出力と高電圧を有する燃料電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、電解質膜を挟んでカソードとアノードとを配設し、このカソードに酸化剤を気体で供給し、アノードに還元剤を気体で供給する燃料電池において、酸化還元機能を備えた導電性有機重合体を担持させた導電性粉体を電極触媒として少なくとも一方の電極に有せしめてなることを特徴とする燃料電池が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明によれば、カソードとアノードの少なくとも一方の電極に、酸化還元機能(レドックス能)を備え、好ましくは、ドーパントを有する導電性有機重合体を電極触媒として有せしめる。
【0012】
このような導電性有機重合体としては、例えば、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリアニリン、ポリアルキルアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリインドール、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノン、ポリアミノジフェニル、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリ(キノリニウム)塩、ポリ(イソキノリニウム)塩、ポリピリジン、ポリキノキサリン、ポリフェニルキノキサリン等を挙げることができる。これらの導電性有機重合体は、種々の置換基を有していてもよい。このような置換基の具体例として、例えば、アルキル基、水酸基、アルコキシル基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、ハロゲン基、ニトロ基、シアノ基、アルキルスルホン酸基、ジアルキルアミノ基等を挙げることができる。これらの置換基は、導電性有機重合体の酸化還元電位を調整するのに有用である。
【0013】
また、上記ドーパントは、一般に、プロトン酸である。このプロトン酸としては、塩酸、硫酸、過塩素酸、リン酸、ホウフッ化水素酸等の無機酸のほか、種々の有機酸を挙げることができる。このような有機酸は、脂肪族、芳香族、芳香脂肪族、脂環式等の一又は多塩基酸であってよく、例えば、酢酸、酒石酸、安息香酸等、種々の有機カルボン酸を挙げることができる。
【0014】
しかし、本発明によれば、プロトン酸は、スルホン酸基を有するものが好ましく、例えば、ポリビニルスルホン酸やフェノールスルホン酸ノボラック樹脂等のようなイオン性のポリマースルホン酸や、また、ドデシルベンゼンスルホン酸等の低分子量有機スルホン酸を挙げることができるが、なかでも、前者のようなイオン性のポリマー、特に、ポリマースルホン酸であることが好ましい。ここに、ポリマースルホン酸とは、分子中にスルホン酸基を有するポリマーをいうものとする。
【0015】
しかし、本発明においては、スルホン酸基を分子中に有するスルホン化ポリアニリンのような自己ドープ型の導電性有機重合体も、ドーパントを有する導電性有機重合体に含めることとする。
【0016】
本発明においては、導電性有機重合体としては、水素ガスから生成するプロトンを容易に移動させるために、酸化反応においてプロトンを放出し、還元反応においてプロトンを消費するものが好ましく、このような導電性有機重合体として、上述したなかでも、特に、ポリアニリン、ポリアルキルアニリン、ポリインドール、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリピリジン、ポリキノキサリン、ポリフェニルキノキサリン、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノン、ポリアミノジフェニル等のように、分子内に窒素原子を有する導電性有機重合体が好ましく用いられる。
【0017】
本発明によれば、このような導電性有機重合体を導電性粉体に担持させ、これを電極触媒として、電極に担持させる。上記導電性粉体は、好ましくは、10−2〜10−4S/cmの範囲の導電率を有すると共に、10〜4000m2/gの範囲の比表面積(BET法による。)を有する導電性炭素材料であることが好ましく、このような導電性炭素材料として、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック等のカーボンブラック、活性炭、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン等を挙げることができる。特に、本発明によれば、このような導電性炭素材料は、比表面積が100〜2000m2/gの範囲にあるものが好ましく用いられる。しかし、導電性粉体は、上記炭素材料に限られず、例えば、ポリアセンのようなポリマー材料も導電性粉体として用いられる。
【0018】
このような導電性粉体への導電性有機重合体の担持量は、特に、限定されるものではなく、通常、2.5〜90重量%の範囲でよいが、好ましくは、5〜80重量%の範囲であり、特に、10〜60重量%の範囲が好ましい。
【0019】
本発明においては、カソードとアノードの両方に同じ導電性有機重合体を電極触媒として有せしめてもよく、相互に相違する導電性有機重合体を電極触媒として有せしめてもよい。しかし、本発明によれば、より高い電圧を得るために、カソードにはp型の導電性有機重合体を用い、アノードにはn型の導電性有機重合体を用いるのが好ましい。ここに、前述した導電性有機重合体のうち、p型のものは、ポリアニリン、ポリアルキルアニリン、ポリインドール及びポリ−1,5−ジアミノアントラキノンであり、n型のものは、ポリ(o−フェニレンジアミン)、ポリピリジン、ポリキノキサリン及びポリフェニルキノキサリンである。
【0020】
一般に、ある導電性有機重合体がp型とn型のいずれであるかを判定するには、既に、知られているように、例えば、導電性有機重合体の粉末をディスクに成形し、その2か所に電極を取付け、この電極に温度差を与えたときの低温側の電極の電位の正負を調べればよい。即ち、低温側の電極に正の電位が現れたとき、その導電性有機重合体はp型であり、反対に、低温側の電極に負の電位が現れたとき、その導電性有機重合体はn型である。
【0021】
更に、本発明によれば、一方の電極にのみ、導電性有機重合体を担持させた導電性粉体を電極触媒として有せしめ、他方の電極には、従来のように、白金触媒を電極触媒として有せしめてもよい。また、本発明によれば、導電性有機重合体を担持させた導電性粉体と無機酸化還元触媒を担持させた導電性粉体との混合物を電極触媒としてカソードとアノードの少なくとも一方の電極に有せしめてもよい。
【0022】
このように、導電性有機重合体を電極触媒として用いるに際して、その電極のへの担持量は、特に、限定されるものではないが、電極面積当り、通常、0.5〜100mg/cm2 の範囲である。
【0023】
また、無機酸化還元触媒を担持させた導電性粉体を電極触媒として用いる場合、上記無機酸化還元触媒としては、接触水素添加触媒として、又は酸素自動酸化触媒として知られている白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ニッケル、鉄、銅、コバルト及びモリブデンから選ばれる少なくとも1種の遷移金属及び/又はその酸化物等を用いることができる。
【0024】
導電性有機重合体を担持させた導電性粉体と無機酸化還元触媒を担持させた導電性粉体との混合物を電極触媒として用いる場合、無機酸化還元触媒は、導電性有機重合体100重量部に対して、通常、0.1〜30重量部の範囲で用いられる。また、電極への無機酸化還元触媒の担持量は、電極面積当たり、通常、0.001〜5mg/cm2 の範囲であるが、好ましくは、0.005〜1mg/cm2 の範囲であり、特に、好ましくは、0.01〜0.5mg/cm2 の範囲である。
【0025】
このように、本発明に従って、導電性有機重合体を担持させた導電性粉体と無機酸化還元触媒を担持させた導電性粉体との混合物を電極触媒として電極に有せしめることによって、導電性有機重合体のみを導電性粉体に担持させ、これを単独にて電極触媒として用いた場合に比べて、高出力の燃料電池を得ることができる。
【0026】
次に、本発明による燃料電池において用いる電極の製造について説明する。導電性有機重合体を担持させたカーボンブラックからなる粉体を電極触媒とするカソードは、例えば、次のようにして製造する。即ち、例えば、電解酸化重合によって得られたポリインドールをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、これにカーボンブラックを所定量加え、攪拌、混合して、懸濁液とし、これを乾燥し、上記溶剤を除去して、導電性有機重合体を担持させたカーボンブラックを得る。次いで、プロトン交換性の樹脂の溶液(例えば、ナフィオン(登録商標)のようなデュポン社製パーフルオロスルホン酸樹脂の溶液)を結着剤として、これを上記導電性有機重合体を担持させたカーボンブラックと混合して、ペーストとし、このペーストを導電性多孔質基剤(例えば、東レ(株)製カーボンペーパー)上に塗布し、乾燥し、必要に応じて、ポリインドールを酸化して、カソードを得ることができる。
【0027】
一方、アノードは、例えば、上述したと同様に、ポリフェニルキノキサリンをカーボンブラックに担持させた後、プロトン交換性の樹脂の溶液(例えば、上記ナフィオン(登録商標)のようなパーフルオロスルホン酸樹脂の溶液)を結着剤として、これを上記導電性有機重合体を担持させたカーボンブラックと混合して、ペーストとし、このペーストを導電性多孔質基剤(例えば、東レ(株)製カーボンペーパー)上に塗布し、乾燥し、必要に応じて、ポリフェニルキノキサリンを還元して、アノードを得る。
【0028】
上記導電性有機重合体(例えば、ポリインドール)の酸化や上記導電性有機重合体(例えば、ポリフェニルキノキサリン)の還元の方法は、特に限定されるものではなく、従って、例えば、化学的な酸化や還元によってもよいが、しかし、好ましくは、例えば、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液に上記導電性有機重合体を担持させた電極を浸漬し、適宜の参照電極を用いて、サイクリックボルタモグラムを測定し、酸化(又は還元)ピークが観察された電位にて電気化学的に上記導電性有機重合体を酸化(又は還元)するのが簡便である。
【0029】
このようにして得られたカソードとアノードとで電解質膜(即ち、プロトン交換膜)を挟み、必要に応じて、ホットプレス等により一体成形して、燃料電池用の電極−プロトン交換膜接合体(MEA)を得る。
【0030】
本発明による燃料電池においては、電解質膜には、従来の固体高分子膜型電池に用いられているようなパーフルオロスルホン酸樹脂からなる陽イオン交換膜、例えば、ナフィオン(登録商標)が好適に用いられるが、しかし、これに限定されるものではない。従って、例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂からなる多孔質膜に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を含浸させたものや、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜や不織布に上記ナフィオンや他のイオン伝導性物質を担持させたものでもよい。
【0031】
本発明による燃料電池においては、カソードに酸化剤が気体で供給され、アノードに還元剤が気体で供給される。ここに、本発明によれば、好ましくは、酸化剤として酸素ガスや空気が用いられると共に、還元剤として水素ガスが用いられる。また、還元剤として、メタノールやジメチルエーテル等を用いることもできる。
【0032】
本発明による燃料電池は、40℃以上の温度で作動される。用いる導電性有機重合体や電解質膜によって適宜に選ばれるが、50〜120℃の範囲が好ましく、特に、60〜100℃の範囲が好ましい。作動温度が低すぎるときは、導電性有機重合体の反応速度が遅いために、高い出力を得ることができず、他方、作動温度が高すぎるときは用いる材料の劣化や剥離等が起こるおそれがある。
【0033】
【実施例】
以下に参考例と共に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0034】
実施例1
フェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液中、ペルオキソ二硫酸アンモニウムを酸化剤として用いて、インドールを化学酸化重合して、フェノールスルホン酸ノボラック樹脂と一部硫酸がトープされたポリインドールからなる導電性高分子(以下、導電性ポリインドールという。)粉末を得た。
【0035】
この導電性ポリインドール粉末をN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて、1.5重量%濃度の溶液を調製し、この溶液にカーボンブラック(キャボット社製バルカン(Vulcan)XC−72R、比表面積220m2/g)を上記導電性ポリインドールに対して80重量%加え、攪拌、混合して、懸濁液とした。この懸濁液を真空乾燥機を用いて40℃で4時間、真空乾燥させて、上記導電性ポリインドール20重量%を担持させたカーボンブラックを得た。
【0036】
この導電性ポリインドール20重量%を担持させたカーボンブラック720mgを5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)に加え、攪拌して、ペーストとした。ここに、導電性ポリインドールを担持させたカーボンブラックとナフィオン溶液の固形分との重量比は1:1とした。
【0037】
このペーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、80℃で60分間加熱、乾燥させて、電極を得た。ポリインドールの担持量(計算値)は、電極面積当たり、0.85mg/cm2 であった。
【0038】
上記電極を28重量%硫酸水溶液中に浸漬し、飽和カロメル電極(SCE)を参照電極として用い、直径0.5mmの白金線を対極として、北斗電工(株)製ポテンショスタット/ガルバノスタット(HA−501)及びファンクション・ジェネレータ(HB−105)を用いて、電位範囲−0.15〜1.5V vs. SCE、掃引速度20mV/秒の条件下にサイクリックボルタモグラムを測定した。ポリインドールのプロトンの吸蔵放出を伴う酸化ピークが0.85V vs. SCEに、また、還元ピークが0.75V vs. SCEに観察された。このときの酸化電流は、ポリインドールの重量に対して4.5mA/mgであった。そこで、ポテンショスタットの電位を0.85Vに固定して、電気化学的にポリインドールを酸化した。このようにして得られた電極をカソードに用いた。
【0039】
一方、アノードは、n型導電性高分子であるポリフェニルキノキサリンを用いて、次のようにして調製した。即ち、P. M. Hergenrother, H. H. Levine, J. Polymer Sci., Part A−1, 5, 1453−1466 (1967) の記載に従って、m−クレゾール中、3,4,3’,4’−テトラアミノビフェニルと1,4−ビスベンジルを反応させることによって、ポリフェニルキノキサリンの高粘度溶液を得、これをm−クレゾールにて希釈した後、メタノール中に投入して、ポリフェニルキノキサリンの粉末を得た。これをヌッチェにて吸引濾過し、60℃にて真空乾燥した。
【0040】
このようにして得られたポリフェニルキノキサリンの粉末をm−クレゾールに容易させて、0.5重量%濃度の溶液を調製した。この溶液にカーボンブラック(キャボット社製バルカン(Vulcan)XC−72R、比表面積220m2/g)を上記ポリフェニルキノキサリンに対して重量比で4倍量を加え、ホモジナイザーを用いて、30分間混合、攪拌して、ポリフェニルキノキサリンのm−クレゾール溶液中に分散させた。次いで、このようにして得られた分散液をトールビーカーに移し、熱風循環式乾燥機内で140℃で3時間加熱乾燥させて、ポリフェニルキノキサリン20重量%を担持させたカーボンブラックを得た。
【0041】
このようにして得られたポリフェニルキノキサリンを担持させたカーボンブラック720mgを5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)14400mgに加え、攪拌して、ペーストとした。ここに、ポリフェニルキノキサリンを担持させたカーボンブラックとナフィオン溶液の固形分との重量比は1:1とした。
【0042】
このペーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、80℃で60分間加熱、乾燥させて、電極を得た。この電極において、ポリフェニルキノキサリンの担持量(計算値)は、電極面積当たり、0.65mg/cm2 であった。
【0043】
この電極を55.4重量%硫酸水溶液中に浸漬し、飽和カロメル電極(SCE)を参照電極として用い、直径0.5mmの白金線を対極として、北斗電工(株)製ポテンショスタット/ガルバノスタット(HA−501)及びファンクション・ジェネレータ(HB−105)を用いて、電位範囲−0.2〜0.5V vs.SCE、掃引速度20mV/秒の条件下にサイクリックボルタモグラムを得た。ポリフェニルキノキサリンの還元ピークは0V vs. SCEに観察された。
【0044】
そこで、ポテンショスタットの電位を0V vs. SCEに固定して、ポリフェニルキノキサリンを電気化学的に還元した。これによって、ポリフェニルキノキサリンは、これに酸性下に電子とプロトンを注入されて、式(I)
【0045】
【化1】
【0046】
のような構造を有するに至ったものと推定される。このようにして得られた電極をアノードに用いた。
【0047】
このようにして調製したカソードとアノードとの間に酸型ナフイオン膜(デュポン社製ナフィオン117)をプロトン交換膜として置き、金型を用いて、温度130℃のホットプレスにて、電極/プロトン交換膜接合体を調製し、試験用の単層の燃料電池セルを組み立てた。
【0048】
この燃料電池セルを燃料電池評価装置(東陽テクニカ(株)製)に組み込み、セル温度70℃とし、加湿器温度70℃で酸素ガスを500mL/分の割合でカソードに供給すると共に、加湿器温度80℃で水素ガスを1000mL/分の割合でアノードに供給した。最初は、燃料電池セルに負荷を加えず、起電力(開路電圧)のみを測定したところ、0.85Vであった。次に、燃料電池セルに負荷を加えたところ、電圧0.4で電流3.67Aを得た。
【0049】
実施例2
実施例1において、ポリインドールをカーボンブラックに50重量%担持させ、また、ポリフェニルキノキサリンをカーボンブラックに50重量%担持させた以外は、実施例1と同様にして、カソードとアノードを得た。
【0050】
実施例1と同様にして、ポリインドールを担持させたカーボンブラックをナフイオンをバインダーとしてカーボンペーパーに担持させて電極を調製し、これを硫酸水溶液に浸漬して、サイクリックボルタモグラムを測定したところ、ポリインドールの重量当たりの酸化電流は0.66mA/mgであった。また、実施例1と同様にして、上記カソードとアノードを用いて、燃料電池セルを組み立て、その特性を評価したところ、回路電圧は0.85Vであり、燃料電池に負荷を加えたとき、電圧0.4Vで電流1.92Aを得た。
【0051】
実施例3
実施例1において、ポリインドールをカーボンブラックに80重量%担持させ、また、ポリフェニルキノキサリンをカーボンブラックに80重量%担持させた以外は、実施例1と同様にして、カソードとアノードを調製した。
【0052】
実施例1と同様にして、ポリインドールを担持させたカーボンブラックをナフイオンをバインダーとしてカーボンペーパーに担持させて電極を調製し、これを硫酸水溶液に浸漬して、サイクリックボルタモグラムを測定したところ、ポリインドールの重量当たりの酸化電流は0.43mA/mgであった。また、実施例1と同様にして、上記カソードとアノードを用いて燃料電池セルを組み立て、その特性を評価したところ、回路電圧は0.85Vであり、燃料電池に負荷を加えたとき、電圧0.4Vで電流1.53Aを得た。
【0053】
比較例1
実施例1において、ポリインドールとポリフェニルキノキサリンをそれぞれカーボンブラックに担持させることなく、そのまま、ナフィオンをバインダーとしてカーボンペーパーに担持させた後、それぞれ実施例1と同様にして、カソードとアノードを調製した。ポリインドール又はポリフェニルキノキサリンとナフィオン固形分との重量比はそれぞれ1:1とした。
【0054】
実施例1と同様にして、ポリインドールをナフイオンにてカーボンペーパーに担持させて電極を調製し、これを硫酸水溶液に浸漬して、サイクリックボルタモグラムを測定したところ、ポリインドールの重量当たりの酸化電流は0.08mA/mgであった。また、実施例1と同様にして、上記カソードとアノードを用いて燃料電池セルを組み立て、その特性を評価したところ、回路電圧は0.85Vであり、燃料電池セルに負荷を加えたとき、電圧0.4Vで電流0.91Aを得た。
【0055】
実施例4
実施例1と同様にして、ポリインドールを20重量%担持させたカーボンブラックを調製し、このポリインドールを20重量%担持させたカーボンブラック720mgと白金20重量%を担持させたカーボンブラック(米国エレクトロケム社製EC−20−PTC)72mgとの混合物を5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)に加え、攪拌して、ペーストとした。ここに、ポリインドールと白金との重量比は10:1とした。実施例1と同様にして、ポリインドールをナフイオンにてカーボンペーパーに担持させて電極を調製し、これを硫酸水溶液に浸漬して、サイクリックボルタモグラムを測定したところ、ポリインドールの重量当たりの酸化電流は0.45mA/mgであった。
【0056】
上記ペーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、80℃で60分間加熱、乾燥させて、電極を得た。ポリインドールの担持量(計算値)は、電極面積当たり、1.0mg/cm2 であり、白金の担持量(計算値)は、電極面積当たり、0.10mg/cm2 であった。この電極を実施例1と同様に電気化学的に酸化して、カソードとした。
【0057】
上記と同様にして、ポリフェニルキノキサリン20重量%を担持させたカーボンブラック720mgと白金20重量%を担持させたカーボンブラック(米国エレクトロケム社製EC−20−PTC)72mgとの混合物を5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)に加え、攪拌して、ペーストとした。ここに、ポリフェニルキノキサリンと白金との重量比は10:1とした。
【0058】
このペーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、80℃で60分間加熱、乾燥させて、電極を得た。ポリフェニルキノキサリンの担持量(計算値)は、電極面積当たり、1.0mg/cm2 であり、白金の担持量(計算値)は、電極面積当たり、0.10mg/cm2 であった。この電極に担持させたポリフェニルキノキサリンを実施例1と同様に硫酸水溶液中で電気化学的に還元して、アノードとした。
【0059】
このようにして、それぞれ導電性有機重合体を担持させたカーボンブラックと白金を担持させたカーボンブラックを電極触媒として有する電極を用いて燃料電池セルを組み立て、実施例1と同様にして、その特性を評価したところ、回路電圧は0.85Vであり、燃料電池セルに負荷を加えたとき、電圧0.4Vで電流27.1Aを得た。このように、電流値が大幅に増加した理由は、水素又は酸素ガスに対する白金の触媒作用によって、導電性有機重合体へのプロトン又は酸素イオンの供給量が大幅に増加したためである。
【0060】
実施例5
実施例1と同様にして、導電性ポリインドール粉末を得、これを用いて、導電性ポリインドール20重量%を担持させたカーボンブラックを得た。これを用いて、実施例4と同様にして、ポリインドールを担持させたカーボンブラックと白金を担持させたカーボンブラックを電極触媒として有するカソードを調製した。このカソードにおいて、ポリインドールの担持量(計算値)は、電極面積当たり、1.0mg/cm2 であり、白金の担持量(計算値)は、電極面積当たり、0.10mg/cm2 であった。また、実施例1と同様にして、硫酸水溶液中において、サイクリックボルタモグラムを測定したところ、ポリインドールの重量当たりの酸化電流は3.1mA/mgであった。
【0061】
次に、実施例1と同様にして、ポリフェニルキノキサリン20重量%を担持させたカーボンブラックを得、これを用いて、実施例4と同様にして、ポリフェニルキノキサリンを担持させたカーボンブラックと白金を担持させたカーボンブラックとを電極触媒として有する電極を調製した。この電極において、ポリフェニルキノキサリンの担持量(計算値)は、電極面積当たり、1.0mg/cm2 であり、白金の担持量(計算値)は、電極面積当たり、0.10mg/cm2 であった。
【0062】
この電極を20重量%フェノールノボラック樹脂水溶液に浸漬し、飽和カロメル電極(SCE)を参照電極として用い、直径0.5mmの白金線を対極として、北斗電工(株)製ポテンショスタット/ガルバノスタット(HA−501)及びファンクション・ジェネレータ(HB−105)を用いて、電位範囲−0.2〜0.5V vs. SCE、掃引速度20mV/秒の条件下にサイクリックボルタモグラムを得た。ポリフェニルキノキサリンの還元ピークは0V vs. Ag/AgClに観察された。
【0063】
そこで、ポテンショスタットの電位を0V vs. Ag/AgClに固定して、ポリフェニルキノキサリンを電気化学的に還元し、ポリフェニルキノキサリンにフェノールスルホン酸ノボラック樹脂をドーピングして、アノードを調製した。
【0064】
このようにして調製したカソードとアノードを用いて、実施例1と同様にして燃料電池セルを組み立て、実施例1と同様にして、その特性を評価したところ、回路電圧は0.85Vであり、燃料電池に負荷を加えたとき、電圧0..Vで電流30.8Aを得た。このように、電流値が大幅に増加した理由は、アノードの電極触媒として、白金と共に、ポリマースルホン酸をドーパントとして有する導電性有機重合体を用いることによって、ポリフェニルキノキサリンの耐水性が改善され、燃料電池の運転時に生成した水によるドーパントの導電性有機重合体からの脱ドープが抑制されて、導電性有機重合体の導電性が維持されるためである。
【0065】
実施例6
カソードは、導電性高分子として、K. Naoi, S. Suematsu, A. Manago, Journal of the Electrochemical Society, Vol. 147, pp. 420−426 (2000) の記載に従って、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンを調製し、これを用いて、次のようにして調製した。即ち、プロピレンカーボネートに過塩素酸テトラエチルアンモニウムを0.1モル/L、トリフルオロ酢酸を0.5モル/L濃度となるように溶解させた後、更に、1,5−ジアミノアントラキノン10mmolを加え、溶解させた。
【0066】
対極に直径1mmの白金線、作用極に面積1cm2 の白金板、参照極にAg/AgClを用い、北斗電工(株)製ポテンショスタット/ガルバノスタット(HA−501)を用いて、1.5V(vs.Ag/AgCl)の定電位にて電解酸化重合を行って、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンを得た。
【0067】
このようにして得られたポリ−1,5−ジアミノアントラキノンをN−メチル−2−ピロリドンに溶解させて、0.5重量%濃度の溶液を調製し、これにカーボンブラック(キャボット社製バルカン(Vulcan)XC−72R)をポリ−1,5−ジアミノアントラキノンに対して80重量%加え、攪拌、混合して、懸濁液を得た。この懸濁液を真空乾燥機を用いて40℃で4時間、真空乾燥させて、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノン20重量%を担持させたカーボンブラックを得た。
【0068】
このようにした得られたポリ−1,5−ジアミノアントラキノン20重量%を担持させたカーボンブラック720mgと白金20重量%を担持させたカーボンブラック(米国エレクトロケム社製EC−20−PTC)72mgとの混合物を5重量%ナフィオン溶液(アルドリッチ社製)に加え、攪拌して、ペーストとした。ここに、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンを担持させたカーボンと白金との重量比は10:1とした。
【0069】
このペーストを5.8cm角のカーボンペーパー(東レ(株)製TGP−H−90、膜厚260μm)上に塗布し、80℃で60分間加熱、乾燥させて、電極を得た。ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンの担持量(計算値)は、電極面積当たり、1.0mg/cm2 であり、白金の担持量(計算値)は、電極面積当たり、0.10mg/cm2 であった。
【0070】
この電極を20重量%フェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液硫酸水溶液中に浸漬し、Ag/AgClを参照電極として用い、電位範囲0〜0.9V vs. Ag/AgCl、掃引速度20mV/秒の条件下にサイクリックボルタモグラムを測定した。ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンのプロトンの吸蔵放出に伴う酸化ピークが0.6〜0.8V vs. Ag/AgClに、また、還元ピークが0.55〜0.75V vs. Ag/AgClに観察された。ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンの重量当たりの電流値は40.5mA/mgであった。
【0071】
そこで、ポテンショスタットの電位を0.8V vs. Ag/AgClに固定して、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンを電気化学的に酸化した。このようにして得られた電極をカソードに用いた。一方、アノードは、実施例1と同様にして調製した。
【0072】
このようにして得られたカソードとアノードを用いて、実施例1と同様にして、燃料電池セルを組み立て、その特性を評価したところ、回路電圧は0.85Vであり、燃料電池に負荷を加えたとき、電圧0.4Vで電流24.4Aを得た。
【0073】
比較例2
実施例6において、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンとポリフェニルキノキサリンをそれぞれカーボンブラックに担持させることなく、粉末状態にてそのまま、ナフィオンをバインダーとしてペーストを調製し、これをカーボンペーパーに塗布した後、それぞれ20重量%濃度フェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液中に浸漬し、それぞれ0.8V及び0Vにて電解酸化及び電解還元処理して、カソードとアノードを調製した。ポリ−1,5−ジアミノアントラキノン又はポリフェニルキノキサリンとナフィオン固形分との重量比はそれぞれ1:1とした。
【0074】
実施例6と同様にして、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンをナフイオンにてカーボンペーパーに担持させてなる電極をフェノールスルホン酸ノボラック樹脂水溶液に浸漬し、サイクリックボルタモグラムを測定したところ、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノンの重量当たりの酸化電流は20.3mA/mgであった。また、実施例1と同様にして、上記カソードとアノードを用いて燃料電池セルを組み立て、その特性を評価したところ、回路電圧は0.85Vであり、燃料電池に負荷を加えたとき、電圧0.4Vで電流20.3Aを得た。
【0075】
上記実施例及び比較例の結果から明らかなように、本発明に従って、導電性有機重合体を導電性粉体に担持させて、これを電極触媒として電極に有せしめることによって、サイクリックボルタモグラムから得られる電極の導電性有機重合体の重量当たりの酸化電流が増加し、また、導電性有機重合体を導電性粉体に担持させ、これを電極触媒として電極に有せしめてなる電極を用いることによって、高出力の燃料電池を得ることができる。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、本発明による燃料電池は、酸化還元機能を備えた導電性有機重合体を導電性粉体に担持させ、これを電極触媒として有せしめたものであって、カソードに酸化剤を気体で供給し、アノードに還元剤を気体で供給することによって、高い起電力を示し、高い電流密度で放電することができ、かくして、高出力の燃料電池特性を示す。更に、電極触媒として、導電性有機重合体と共に無機酸化還元触媒を併用することによって、一層、高出力の燃料電池を得ることができる。
Claims (11)
- 電解質膜を挟んでカソードとアノードとを配設し、このカソードに酸化剤を気体で供給し、アノードに還元剤を気体で供給する燃料電池において、酸化還元機能を備えた導電性有機重合体を担持させた導電性粉体を電極触媒として少なくとも一方の電極に有せしめてなることを特徴とする燃料電池。
- 電極触媒が導電性有機重合体を担持させた導電性粉体と無機酸化還元触媒を担持させた導電性粉体との混合物からなる請求項1に記載の燃料電池。
- 導電性有機重合体がポリアニリン、ポリアルキルアニリン、ポリピリジン、ポリインドール、ポリフェニルキノキサリン、ポリ−1,5−ジアミノアントラキノン又はポリアミノジフェニルである請求項1又は2に記載の燃料電池。
- 導電性有機重合体がドーパントを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池。
- ドーパントがポリマースルホン酸である請求項4に記載の燃料電池。
- ポリマースルホン酸がポリビニルスルホン酸又はフェノールスルホン酸ノボラック樹脂である請求項5に記載の燃料電池。
- 無機酸化還元触媒が白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、銀、ニッケル、鉄、銅、コバルト及びモリブデンから選ばれる少なくとも1種の遷移金属か、又はその酸化物である請求項2に記載の燃料電池。
- 導電性粉体が10−2〜10−4S/cmの範囲の導電率を有する請求項1に記載の燃料電池。
- 導電性粉体が10〜4000m2/gの範囲の比表面積を有する請求項1に記載の燃料電池。
- 導電性粉体がカーボンブラック、活性炭、グラファイト、カーボンナノチューブ又はフラーレンから選ばれる少なくとも1種の炭素材料である請求項1に記載の燃料電池。
- 酸化剤が酸素であり、還元剤が水素である請求項1に記載の燃料電池。
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