JP4396784B2 - 剥離装置およびそれを用いた定着装置、画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、画像記録装置、特に電子複写機・ファクシミリなどの電子写真方式の画像記録装置に用いられる定着装置や転写同時定着装置において利用可能な剥離装置、およびそれを用いた定着装置、画像形成装置に関する。
従来、電子複写機・ファクシミリなどの電子写真方式の画像記録装置において、用紙表面に転写されたトナー画像を定着させる定着装置として、定着ロールと加圧ロールからなる一対のロールのニップ部に、トナー画像が転写された用紙を通過させて、定着ロールによる加熱、および、一対のロールによる加圧によりトナー画像を用紙に融着させる定着装置(2ロール方式の定着装置)が広く用いられている。
この定着方式では、用紙に融着したトナー画像が定着ロールに接触するので、例えば、定着ロールとしては、離型性のよいフッ素系樹脂を表面にコーティングしたロールが使用されている。しかし、このような定着ロールを使用しても、溶融したトナーは軟かくかつ粘性が高いため、定着ロールの表面に付着しやすく、用紙が定着ロールに巻き付く恐れがある。そこで、通常、特許文献1の図1に示すような剥離爪や、同文献の図2に示されるようなプラスチック製の剥離シート(プラスチックシート)による強制剥離装置、また、このような剥離シートを非接触で設けて用紙を剥離し、定着ロールへの用紙の巻き付きを防止する方法が採用されている。
しかし、このような剥離爪や剥離シートを備えた定着装置では、例えば定着直後のトナー画像の厚さが比較的薄く、かつその粘度が大きい場合は問題なく剥離することができるが、トナーが多量に載ったトナー画像の場合や、カラー画像形成時のように、定着直後のトナー画像の厚さが比較的厚く、かつトナー画像が定着ロールで高温に加熱されて粘着力が大きくなっている場合は、定着ロール表面のフッ素系樹脂層に多量のトナーが付着し、剥離爪や剥離シート等の剥離部材に過大な剥離力が作用する。この時、ニップ部通過直後のトナー画像が上記剥離部材のガイド部に擦られて搬送されるため、トナー画像が剥離部材によって傷付けられて画像欠陥を生じやすい。特に、カラー画像の定着の場合はトナーを十分に発色させる必要から、トナーを十分に加熱して溶融させなければならず、従ってニップ部通過直後のトナーは低粘度となっているので、ますます画像欠陥を生じやすくなることになる。
このような事情から、この問題を解決するための方式としてセルフストリッピング方式が採用されている。セルフストリッピング方式は、特にカラー定着に多く採用されている。セルフストリッピング方式とは、剥離爪や剥離シートなどによる強制剥離装置を用いずに、用紙の腰の強さと定着ロールの弾性とで用紙が定着ロールから自然に剥離するようにした剥離方式である。このセルフストリッピング方式を成立させるための手段として、カラー画像定着の場合は、通常、ロールコアの表面にフッ素樹脂よりも離型性に優れたシリコーンゴムを用いた弾性層を形成した定着ロールを用い、さらにその弾性層表面に比較的多量(10mg/A4サイズ紙以上)のオイルを常時供給する方式が広く採用されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、セルフストリッピングを達成する従来の定着装置には次のような種々の問題がある。
(1)定着ロール表面のシリコーンゴムの弾性層が摩耗したり、離型性が劣化したり、オイルが定着ロール内部に染み込んで弾性層を劣化させたりなどの原因により、定着ロールの信頼性を低下させることがある。
(2)定期的にオイルの補給を行わなければならず、メインテナンス性に劣り、オイル過多、オイル筋の発生による画像欠陥などが生じやすく、複写機・プリンターの信頼性を低下させる。
(3)定着後の用紙表面にオイルが残りやすく、ボールペンやインクによる加筆性を低下させやすい。
さらに近年、坪量の小さいコート紙を使用する機会や、用紙の先端余白部が従来のものより少ない状態で、写真画像等のような用紙先端部からトナーを多く使う画像を出力する機会が増えてきており、このような状況下においても用紙剥離が確実に行える剥離技術が必要とされてきている。
ところで、用紙剥離に圧搾空気を利用する技術がある。具体的には、例えば特許文献3に記載されているように、剥離爪内部に空気路を有し該空気路から、印刷紙の先端位置に対応して圧搾空気を供給する構成が挙げられる。当該文献においては、圧搾空気を印刷紙の先端位置に吹き付けて印刷紙先端部を剥離させることから、定着ローラ表面に剥離爪が当たることによる定着ローラ表面の剥離層の劣化や、剥離爪が印刷用紙上のトナー画像を傷付けることによる画質の劣化を大幅に改善することが可能になった旨記載されている。しかし、熱ローラ定着面(定着ローラ表面)の前記剥離爪に対応する位置に複数の切りかけ溝が刻まれることが条件であり、定着ローラ表面の平面性を確保できないことから、定着画像の質感に影響を与えてしまう。しかも、用紙を剥離するのに必要な圧搾空気量は膨大であり、装置の大型化・高コスト化を来たし、さらに供給された圧搾空気が装置内で対流することによる不具合、例えばトナー飛散等の懸念もあり、実用化は困難である。
他にも用紙剥離に圧搾空気を利用する技術はあるが、いずれも定着ローラ表面に切りかけ溝が刻まれていない技術であり、そのため用紙剥離にはより一層の圧搾空気量が必要となり、上記技術以上に実用化は困難である(例えば、特許文献4)。
以上説明した用紙剥離に関する課題は、2ロール方式の定着装置に限らず、ロール−ベルトニップ方式の定着装置やベルト−ベルトニップ方式の定着装置においても、基本的に同様に存在する。さらに、電子写真方式における静電転写を含む、各種印刷方式における画像転写の際、転写体(感光体、印刷版等)と記録媒体(用紙等)とを剥離する際にも、程度の差こそあれ、上記説明した問題が存在する。その他、何らかの回転体(ロール、ベルト等)に記録媒体が何らかの作用(例えば、静電的に)密着しており、これを引き剥がす必要がある場合にも、上記説明した問題が存在する。したがって、上記説明した問題を解消し得る剥離装置が、画像形成分野における様々な部位において望まれていた。
特開昭59−188681号公報 特許第3322095号公報 特開2000−250351号公報 特開昭61−59468号公報
本発明は、上記の事情に鑑み、画像、記録媒体、および定着ロールを含む回転体に損傷を与えることなく、剥離が困難(例えば、オイルレス、トナー画像のトナー量が多い、記録媒体の先端近くまでトナー画像がある、記録媒体の坪量が小さい、記録媒体が薄いコート紙である、等)な記録媒体であっても、安定した剥離を行うことのできる剥離装置、およびそれを備えた定着装置、画像形成装置を提供することを目的とする。特に、用紙剥離に圧搾気体を利用する技術を採用して、上記目的を達成し、しかも画質に影響を与えることがなく、実用性の高い剥離装置、およびそれを備えた定着装置、画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的は、以下の本発明により達成される。
すなわち本発明は、周動する回転体の表面に貼り付いた状態で搬送されるシート状の記録媒体を、前記回転体から剥離する剥離装置であって、
前記回転体表面が周動方向に曲線を描いて進行する領域、またはその下流に、前記回転体表面に一辺が近接し、かつ、前記回転体の周動方向に(寝かせられた状態で)配される剥離案内板と、
前記回転体表面とそれに対向する前記剥離案内板表面とに挟まれた領域から、前記回転体表面とそれに近接する前記剥離案内板の一辺との間隙に向けて、パルス状の圧搾気体を吐出する気体吐出手段と、
から構成され、
前記気体吐出手段が、圧搾気体を吐出するノズルを、前記回転体表面とそれに対向する前記剥離案内板表面とに挟まれた領域であって、前記回転体の周動方向に対して垂直方向に、複数配してなり、
前記回転体の周動に伴い搬送されてきた前記記録媒体のスキュー量を割り出し、そのスキュー量に応じて、前記複数のノズルそれぞれからの前記圧搾気体の吐出タイミングを制御することを特徴とする剥離装置である。
本発明によれば、まず、前記回転体表面が周動方向に曲線を描いて進行する領域、またはその下流において、前記回転体の表面に貼り付いた状態で搬送される前記記録媒体は、前記回転体に追随するに際し、当該記録媒体自身のコシにより前記回転体表面から剥離しようとする力が働く。しかし、既述の如く剥離が困難(例えば、トナー画像のトナー量が多い、記録媒体の先端近くまでトナー画像がある、記録媒体の坪量が小さい、記録媒体が薄いコート紙である、等)な記録媒体の場合には、剥離しようとする力は弱く、剥離性が十分でない。
従来、この剥離力を補うのに、前記領域等で剥離爪や剥離シートを当接させたり、セルフストリッピング方式を採用したりしていたが、回転体や記録媒体に損傷を与えたり、画質への影響が生じたり、剥離性が十分でなかったり等、十分に満足し得るものではなかった。そこで本発明では、用紙剥離に圧搾気体を利用する技術を採用して、画質への影響を抑制している。すなわち、前記剥離案内板が前記回転体表面とは離間しているため、前記回転体に損傷を与える心配がなく、前記回転体から機械的かつ強制的に剥離するものではないため、前記記録媒体にも損傷を与えない。また、その際には同様に、画像に損傷を与えることがなく、剥離後も画像は前記剥離案内板と面で接するため、画質を劣化させることがない。
さらに、前記回転体表面とそれに対向する前記剥離案内板表面とに挟まれた領域から、前記回転体表面とそれに近接する前記剥離案内板の一辺との間隙に向けて圧搾気体を吐出する構成としているため、吐出された圧搾気体は、スリット状となっている前記間隙でカーテン状になり、曲面状になっている前記回転体表面を回りこむように進行し、前記記録媒体の搬送方向最先端部に当たる。このとき、吐出された圧搾気体流が、前記間隙で整流され、前記記録媒体の適切な箇所に広がった状態で当たるため、圧搾気体の利用効率が極めて高い。そのため圧搾気体の吐出を、連続的なものとする必要がなくパルス状にすることができ、全体として圧搾気体量を極めて少なくすることができる。したがって、装置が大型化・高コスト化することもなく、供給された圧搾気体が装置内で対流する心配もほとんどなく、本発明の構成は極めて実用性が高い。
本発明において、前記気体吐出手段としては、圧搾気体を吐出するノズルを、前記回転体表面とそれに対向する前記剥離案内板表面とに挟まれた領域であって、前記回転体の周動方向に対して垂直方向に、複数配してなるものである。
本発明においては、前記回転体の周動に伴い搬送されてきた前記記録媒体がスキューした場合、その搬送方向最先端部が、前記剥離案内板の配された位置に接近し、当該最先端部に前記圧搾気体が当たる位置に到達した時点に合わせて、前記複数のノズルそれぞれから個別のタイミングで前記圧搾気体を吐出する。すなわち、前記記録媒体がスキューした場合、その最先端部に前記圧搾気体が当たる位置(剥離ポイント)に達するタイミングが、前記記録媒体の搬送方向と垂直の方向でズレてくるが、本発明によれば、そのずれに応じて複数の前記ノズルそれぞれからの前記圧搾気体の吐出タイミングを制御することで対応することができる。
このとき、圧搾気体により前記回転体表面から剥離した前記記録媒体の搬送方向最先端部が、前記剥離案内板の前記回転体表面に近接する一辺に乗り上げた状態となるに十分な程度の圧搾気体のみを吐出するように、前記気体吐出手段が制御され、前記記録媒体における搬送方向の最先端部に続く部位は、前記回転体の周動による搬送に伴って、前記剥離案内板の前記回転体表面に近接する一辺に漸次乗り上げ、前記剥離案内板の前記回転体表面に対向する面の背面を前記記録媒体表面が摺擦移動することで、漸次前記回転体表面から剥離され、最終的に前記記録媒体全面が剥離するように構成されることが好ましい。
本発明においては、前記剥離案内板の前記回転体表面に近接する一辺が、前記回転体表面に向けて突出した部位を少なくとも1箇所以上有することとしてもよい。以下、この構成のみを指す時は「参考発明」と称する。前記剥離案内板の前記回転体表面に近接する一辺に突出した部位を設ける、換言すれば、当該一辺に後退した部位を設けることで、前記記録媒体における前記回転体表面から剥離した部位の少なくとも一部は、前記剥離案内板の前記突出した部位に乗り上がり、剥離していない部位は、前記剥離案内板の前記後退した部位で引っ掛かることなく、前記回転体の周動による搬送移動に伴い、前記剥離案内板の前記突出した部位に乗り上がった、前記剥離した部位に引きずられて剥離される場合が想定される。このようになれば、記録媒体全体が良好に剥離される。
参考発明の構成のみであれば、上記作用は、前記記録媒体の最先端部における前記回転体表面から剥離していない部位が、前記剥離案内板の前記後退した部位に対応する場合にのみ起こるので、参考発明の効果を奏するか否かは確率論となる。
本発明に、この参考発明を適用するのも好ましい態様である。このとき、前記気体吐出手段と、参考発明における前記突出した部位との位置関係を適切に調整することにより、剥離性の効果が格段に向上するとともに、必要な圧搾気体量も適切に抑制することができる。このような剥離装置とは、本発明の剥離装置の構成を全て兼備し、前記剥離案内板の前記回転体表面に近接する一辺における、前記ノズルが吐出する個々の圧搾気体の進行方向中心に対向する部位ないしその近傍が、前記回転体表面に向けて突出した形状を有するものである。
以上のような構成とすることにより、前記記録媒体の搬送方向最先端部のうち、前記ノズルからの圧搾気体が当たる部分が剥離し、浮き上がった状態となるが、ちょうどその部位に対応する、前記剥離案内板の前記回転体表面に近接する一辺の部位は、突出した部位となっている。したがって、圧搾気体により良好に浮き上がらせた前記記録媒体の最先端部が、前記剥離案内板の突出した部位に案内され、前記記録媒体全面が漸次剥離される。このように、前記ノズルの位置と前記剥離案内板の突出した部位とを適切に組み合わせることで、画像、記録媒体、および定着ロールを含む回転体に損傷を与えることなく、極めて高い剥離性を確保して、しかも画質に影響を与えることがなく、実用性の高い剥離装置を提供することができる。
本発明の剥離装置は、特に高い剥離性が要求される定着装置に適用することが好ましい。すなわち、本発明の定着装置は、少なくとも、表面が加熱されて周動する加熱回転体と、該加熱回転体の表面に当接しニップ部を形成する加圧回転体とを備え、表面に未定着のトナーからなるトナー画像が形成されたシート状の記録媒体を、前記トナー画像が形成された面が前記加熱回転体の表面に当接するように、前記ニップ部に挿通することで、前記トナー画像を定着する定着装置であって、
前記ニップ部を通過した後、前記トナー画像を構成する溶融状態となったトナーにより前記加熱回転体の表面に貼り付いた状態で搬送される記録媒体を、前記加熱回転体から剥離する剥離装置を備え、かつ、該剥離装置が上記本発明の剥離装置であることを特徴とする。
本発明の定着装置においては、前記加熱回転体が、ロール状であっても、エンドレスベルト状であっても構わない。また、同様に前記加圧回転体が、ロール状であっても、エンドレスベルト状であっても構わない。すなわち、本発明の定着装置は、2ロール方式の定着装置、ロール−ベルトニップ方式の定着装置、ベルト−ベルトニップ方式の定着装置のいずれの形式もとることができる。勿論、ロール−ベルトニップ方式の場合に、前記加熱回転体と前記加圧回転体のいずれがロールおよびベルトであっても構わない。なお、以上のベルトはいずれも、複数のロールにより張架された状態のものでも、張架されないフリーな状態のもの(フリーベルトニップ方式)でも構わない。
また、本発明の画像形成装置は、少なくとも、電子写真方式によりシート状の記録媒体表面に未定着のトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、前記記録媒体表面に保持されたトナー画像を、加熱および加圧することにより定着する定着手段と、を備える画像形成装置であって、
前記定着手段が、上記本発明の定着装置であることを特徴とする。
本発明によれば、従来の剥離爪や剥離シートを用いた定着装置では剥離が困難であった条件(例えば、トナー画像のトナー量が多い、記録媒体の先端近くまでトナー画像がある、記録媒体の坪量が小さい、記録媒体が薄いコート紙である、離型オイルを使用しない、等)においても、画像、記録媒体、および定着ロールを含む回転体に損傷を与えることなく、しかも記録媒体がスキューした場合であっても、安定した剥離を行うことのできる剥離装置、これを用いた定着装置、およびそれを備えた定着装置、画像形成装置を提供することができる。特に、本発明の剥離装置は、安定した記録媒体の剥離が可能となり、高生産性のオイルレスカラー定着装置等に極めて好適に適用することができる。
第1の実施形態である剥離装置を採用した定着装置の模式断面図である。 定着ロール表面側から見た、図1中の剥離装置の拡大平面図である。 図1中の剥離装置における気体吐出装置の全体構成を模式的に表す模式構成図である。 図1中の剥離装置における剥離案内板を示す図であり、(a)は、定着ロール表面側と反対側の面から見た拡大平面図であり、(b)は、(a)のA−A断面をさらに拡大した断面図である。 第1の本発明の剥離装置の作用について工程を追って説明するための説明図であり、工程1および2が示されている。 第1の本発明の剥離装置の作用について工程を追って説明するための説明図であり、工程3および4が示されている。 エアーノズルから吐出された圧搾気体の流れを説明するための模式拡大図である。 回転体である定着ロールと剥離案内板との配置関係を説明するための部分拡大断面図である。 第2の実施形態である剥離装置を採用した定着装置の模式断面図である。 実施例に係る剥離装置の適応範囲を評価した結果を示す説明図である。 第1の実施形態に用いた剥離装置を採用した第3の実施形態である画像形成装置の模式断面図である。 実施例の評価試験で形成した未定着トナー画像の状態を説明するための用紙の平面図である。
以下、本発明を好ましい実施の形態を挙げて説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態である剥離装置を採用した定着装置の模式断面図である。本実施形態の剥離装置は、上記本発明と参考発明とを適切に組み合わせた態様のものであり、定着装置としては、2ロール方式のものである。
図1に示す定着装置は、矢印A方向に回転する定着ロール(加熱回転体)1と、定着ロール1に接触しながら定着ロール1の回転方向Aとは反対の矢印B方向に従動回転する加圧ロール(加圧回転体)6とを備えている。表面に未定着のトナーからなるトナー画像Tを担持する用紙(記録媒体)Pは、矢印C方向に搬送され、定着ロール1−加圧ロール6間に形成されるニップ部Nに挿通され、これら一対のロール1,6により加熱されるとともに加圧されて、トナー画像Tのトナーが融着することで、トナー画像Tが用紙P表面に定着される。
定着ロール1における、ニップ部Nよりも定着ロール1の回転(周動)方向A下流側には、定着ロール1表面近傍に、一辺が近接し、かつ、定着ロール1の回転方向Aに寝かせられた状態で剥離案内板7が配されている。ニップ部Nに挿通されて、トナーが溶融状態となっているトナー画像Tを担持する用紙Pが矢印C方向に搬送されると、剥離案内板7により用紙Pが定着ロール1から剥離される。また、定着ロール1表面とそれに対向する剥離案内板7表面とに挟まれた領域には、気体吐出装置(気体吐出手段)10が配されている。
ここで、本実施形態における定着ロール1は、本発明の剥離装置にいう「回転体」に相当し、本実施形態の剥離部材は、当該定着ロール1から記録媒体である用紙Pを剥離するために設けられている。なお、本実施形態においては、用紙Pと定着ロール1との界面で、加圧ロール6の押圧による定着ロール1の弾性変形で生じる微小歪み(マイクロスリップ)を利用して、用紙Pが定着ロール1から自然に剥離するようにしたセルフストリッピング方式の構成を採用している。セルフストリッピング方式の構成を採用することで、文字画像を普通紙に定着する場合等、一般的な定着条件では、それのみで十分な剥離性を示すが、本実施形態では、後に詳述する剥離案内板7および気体吐出装置10からなる本発明の剥離装置を備えることで、より一層厳しい条件においても、安定した剥離性が実現される。
定着ロール1は、アルミニウム製で厚さ2〜3mmのコア5の表面に、厚さ0.5〜3mmの弾性層3が被覆され、さらにその上に厚さ20〜50μmの表面層4が被覆されてなり、内部に熱源としてヒータ2が配されている。本実施形態では、弾性層3としてゴム硬度25〜45°のシリコーンLSR(Liquid
Silicone Rubber)ゴムが用いられている。また、表面層4としてはPFA(テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブが用いられている。なお、本実施形態において、定着ロール1の外径は、65mmφである。
なお、弾性層3の材質としては、シリコーンゴムに限定されず、従来公知の各種材質のものを採用することができ、例えば、フッ素ゴムを用いることができ、シリコーンゴムおよびフッ素ゴムからなる複数層積層された弾性層を用いてもよい。
また、定着ロールとしては、弾性層のない、いわゆるハードロールを用いてもよい。
図2に、本実施形態における剥離装置、すなわち剥離案内板7および気体吐出装置10の、定着ロール1表面側から見た拡大平面図を示す。図2に示されるように、本実施形態において気体吐出装置10は、剥離案内板7の長手方向に3個設けられている。ただし、本発明においては、気体吐出装置の設けられる数に制限はなく、少なくとも一つ設けられればよく、好ましくは複数個である。本実施形態において気体吐出装置10は、内径が0.5〜4mm程度のエアーノズル10a−1,10a−2,10a−3と、電磁弁10b−1,10b−2,10b−3と、図2においては不図示の気体供給装置と、からなり、エアーノズル10a−1,10a−2,10a−3から、圧縮された気体流(圧搾気体)をパルス状に吐出するように構成されている。ここで、「パルス状」とは、連続的に流す空気流ではなく、短時間(例えば0.01〜0.1sec)だけ1回、またはある程度時間間隔を置いて断続的に流すことを意味する。
図3は、気体吐出装置10の全体構成を模式的に表す模式構成図である。図3においては、図2で省略されている気体供給装置が模式的に表されており、10c〜10gの符号が付されている。すなわち、気体吐出装置10の一部を構成する気体供給装置は、各エアーノズル10a−1,10a−2,10a−3に送る気体を溜めておく気体溜め(ACCUMULATOR)10cと、圧縮気体を生成し圧送するエアーポンプ10dと、これらの間を図示のように連結する連結配管10eと、各電磁弁10b−1,10b−2,10b−3の開閉を制御するエアーパルスコントローラー10f−1,10f−2,10f−3と、エアーポンプ10dから圧送される圧縮気体の圧力を調整するレギュレーター10gと、から構成される。
エアーノズル10a−1,10a−2,10a−3は各々電磁弁10b−1,10b−2,10b−3に接続されており、エアーパルスコントローラー10f−1,10f−2,10f−3からの電磁弁の弁開閉信号のオンオフにより、吐出時間と吐出タイミングが制御される。さらに、電磁弁10b−1,10b−2,10b−3は、気体溜め10cを介してエアーポンプ10dに連結配管10eによって連結されており、エアーポンプ10dから圧送された気体は、気体溜め10cで一旦トラップされた後、各エアーノズル10a−1,10a−2,10a−3に送られ、圧搾気体が突出される。気体溜め10cでは、エアーポンプ10dから供給された気体が、所定の圧力になるまで貯留される。このとき、気体溜め10c内の圧力は、連結配管10eの経路における気体溜め10c近傍に設けられた不図示の圧力計によりモニターされる。
図2とは逆方向の面から見た(すなわち、定着ロール1表面側と反対側の面から見た)、当該剥離装置における剥離案内板7の拡大平面図を図4(a)に、図4(a)のA−A断面をさらに拡大した断面図を図4(b)に、それぞれ示す。図4(b)に示すように、剥離案内板7の断面形状は全体として、8a、8bおよび8cを各辺とする楔形の三角形となっており、最も鋭い鋭角となる頂点部分が、定着ロール1表面に近接する。図4(b)は断面図であるため、剥離案内板7において8a、8bおよび8cは、実際には全て平面状であり、具体的には、8bは定着ロール1表面に対向する面(「裏面」と称する。)、8aはその背面(「表面」と称する。)、8cは定着ロール1表面に近接する一辺と対向する一辺である端面(「端縁面」と称する。)である。
なお、本発明における剥離案内板には、本実施形態における剥離案内板7のように、断面形状が完全には長方形とならない、厳密には平板状でない形状のものが含まれる。
本実施形態において、前記頂点部分に相当する、剥離案内板7の定着ロール1表面に近接する一辺は、一直線状とはなっておらず、図4に示すように、定着ロール1表面に向けて突出した形状を有している(以下、このように回転体表面に向けて突出した部位を1箇所以上有する形状を「異形先端形状」と称することがある)。本実施形態における異形先端形状は、図4(a)に示すように、凸部7aと凹部7bとで構成されている(なお、両端部は凸部7aと同等の突出状態となっているが、本実施形態において当該部位は用紙剥離に寄与しない部分であるため、敢えて凸部7aには含めていない。勿論、用紙剥離に寄与する場合には、当該部位を凸部として考察することとなる。)。
凸部7aは、その先端が一直線状となるように突出しており、剥離案内板7の長手方向に3箇所設けられている。一方、凹部7bは、凸部7a相互の間および両端に設けられ、円弧状に後退している。さらに、凹部7bにおいては、剥離案内板7の表裏面で、その後退の程度が異なっており、裏面8bよりも、その背面である表面8aの方が後退し、凹部7bの円弧の中央では、表面8aに対して傾斜した面(図4(b)における7c)が形成されている。
気体吐出装置10から吐出された圧搾気体により剥離された用紙Pの搬送方向Cの最先端部は、剥離案内板7の表面8a側に乗り上げ、その後は、定着ロール1の周動による搬送に伴って、用紙Pが表面8aを摺擦移動することで、漸次定着ロール1表面から剥離され、最終的に用紙P全面が剥離する。すなわち、用紙Pの最先端部の剥離のみを気体吐出装置10による圧搾気体の突出が行い、その後最後端までの部分の剥離は、剥離案内板7が担う。
この作用について、詳細に説明する。図5および図6は、本実施形態の定着装置を例に挙げて、本発明の剥離装置の作用について工程を追って説明するための説明図であり、工程1および2が図5に、工程3および4が図6に、それぞれ示されている。また、各工程において、左の図は、図1と同一の方向から見た模式断面図であり、右の図は、図2とは逆方向の面から見た(すなわち、定着ロール1表面側と反対側の面から見た)、剥離装置および用紙のみの拡大平面図である。図5および図6において「ON」「OFF」とあるのは、気体吐出装置10における電磁弁(図3における10b−1,10b−2,10b−3)の動作のオン−オフである。
なお、以下の工程はあくまでも代表例として示すものであり、本発明は、本実施形態の工程に限定されるものではない。
矢印C方向に搬送され、定着ロール(加熱回転体)1−加圧ロール(加圧回転体)間のニップ部Nに挿通された用紙(記録媒体)Pは、剥離対象の回転体としての定着ロール1表面に密着して(貼り付いた状態で)ニップ部N出口から出て来る。ニップ部N出口以降、用紙(記録媒体)Pは、定着ロール1表面に連れて、周動方向(矢印A方向)に曲線を描いて進行し、気体吐出装置10のエアーノズルから吐出されるパルス状の圧搾気体によって、用紙Pの搬送方向Cの最先端部(以下、単に「用紙先端」という場合がある。)のエアーノズル近傍が、定着ロール1表面から剥がされ、浮きが生じながら搬送される(図5の工程1参照)。
エアーノズルから吐出される圧搾気体は、ニップ部Nから出てきた用紙先端を瞬間的に剥がすだけで十分であるため、そのパルス幅(吐出時間)はそれほど長くする必要はない。用紙先端が剥がされ浮き上がったところに、定着ロール1表面と僅かなギャップを保持して設けられた剥離案内板7の定着ロール1表面に近接する一辺(以下、「先端」と略す場合がある。)が入り込み、用紙先端が剥離案内板7の先端に乗り上げた状態となる。その段階の前後で、圧搾気体の吐出が終了する(以上、図5の工程2参照)。
その後、用紙Pにおける搬送方向Cの最先端部に続く部位は、定着ロール1の周動による搬送に伴って、漸次剥離案内板7の先端に乗り上げ、剥離案内板7表面を摺擦移動することで、漸次前記回転体表面から剥離され、最終的に用紙Pの全面が剥離される(以上、図6の工程3および4参照)。そして用紙Pは、排出ガイド11に案内されて、排出ロール12により装置外に排出される。
剥離案内板7表面は、その全体が平滑な平面またはわずかな曲率を有した曲面の板の表面に好ましくは離型層が構成されており、ニップ部N出口直後の溶融状態にあるトナー画像Tは、表面が僅かに摺擦されても、平滑な剥離案内板7の全面で支持されるので、画像を傷付けることはない。
本発明の剥離装置は、以上のような作用により、極めて良好な剥離性能を発揮する。
本実施形態において、剥離案内板7の先端は、既述の如く異形先端形状をしており、圧搾気体により瞬間的に剥がされる部分に対応する部位(図4における凸部7a)だけが、定着ロール1表面に向けて突出している。換言すれば、剥離案内板7は、その先端における、エアーノズルが吐出する個々の圧搾気体の進行方向中心に対向する部位ないしその近傍のみが、定着ロール1表面に向けて突出した形状を有する。
したがって、この凸部7aのみが、定着ロール1表面に対してわずかなギャップを形成するように設けられており、用紙Pは最初にこの部分が剥離案内板7の先端に乗り上げる。このとき、用紙P最先端の搬送方向Cと垂直の方向で、エアーノズルから離れた(圧搾気体が当たらない)部位は、圧搾気体が作用しないので、定着ロール1に密着したままである。しかし、圧搾気体で剥がされた部位において、剥離案内板7の先端が用紙Pと定着ロール1との間に入り込んでいるので、その後、用紙Pが搬送されるに従い、既に剥離された部位を基点として徐々に剥離案内板7によって剥離される(以上、図5の工程2の状態)。つまり、用紙P最先端における圧搾気体が多く当たらない部位は、それが直接的に当たる部位よりも遅れて剥離案内板7によって剥離されることになる。
このように本実施形態の剥離装置は、まずは、定着ロール1に密着してニップ部Nから出てきた用紙Pの最先端部を圧搾気体で瞬間的に剥がし、剥がれたところに剥離案内板7の先端が入り込むことによって、最終的に用紙全面を剥離するものである。
本発明において、剥離案内板の先端は、異形先端形状を有することが望ましく、本実施形態における剥離案内板7についても、かかる形状を採用している。すなわち、本発明において、剥離案内板の先端部の形状は、前記ノズルが吐出する個々の圧搾気体の進行方向中心に対向する部位ないしその近傍は、剥離対象となる回転体表面に近接してわずかなギャップを形成することが好ましく、さらに直線状であることがより好ましいのに対して、それ以外の部位(ノズルより離れたところ)は、記録媒体が遅れて剥離されることになるので、当該回転体表面から離れた位置であることが好ましい。したがって、本実施形態において、剥離案内板7の先端部は、気体吐出装置10におけるエアーノズル(図3における10a−1,10a−2,10a−3)に対向する部位およびその近傍が、直線状で最も定着ロール1に近接して突出しており、エアーノズルに対向する部位から離れるに従い、徐々に定着ロール1表面から遠ざかるように円弧状に切り欠かれた形状となっている。
勿論、本発明において、剥離案内板の先端をこのような異形先端形状とすることは必須ではなく、例えば直線状であっても構わないが、本実施形態の如き異形先端形状とすることで、ノズルから吐出すべき圧搾気体の圧力や吐出時間(パルス幅)、さらには設けるノズルの数を抑えることができ、装置の小型化、低コスト化の観点から好ましい。
気体吐出装置10におけるエアーノズル(図3における10a−1,10a−2,10a−3)は、定着ロール1表面とそれに対向する剥離案内板7表面とに挟まれた領域に設けられ、当該ノズルの先端は、剥離案内板7の先端と定着ロール1との間に形成されるギャップよりも、定着ロール1の周動方向Aの下流に設けられる。
図7に、エアーノズルから吐出された圧搾気体の流れを説明するための模式拡大図を示す(本図においては、3つのエアーノズルのうち10a−1を代表させて示している。)。図7に示すように、エアーノズル10a−1から吐出されたやや放射状の成分を含む直線状の気流(初期気流X)は、剥離案内板7の先端と定着ロール1との間に形成されるスリット状のギャップを通過する時に形が変換され、平面状(カーテン状)の気流(ギャップ通過気流Y)となる。平面状(カーテン状)の気流は、線状に近い状態で用紙Pの最先端部に当たるので、他の形状の気流に比べ同じ気体量で比較した場合に最も効率よく、用紙Pの最先端部を良好に剥離することが可能である。つまり、本発明に規定される位置関係になるように剥離対象となる回転体、剥離案内板および気体吐出手段を配置することで、より少ない気体量、より少ないノズル数で、記録媒体を剥離することができる。
本実施形態において、剥離案内板7は、ステンレス(SUS430)材料を基材として用い、その表面8a、裏面8bおよび端縁面8cに厚さ30μmのフッ素系樹脂層を被覆したものを用いている。勿論、本発明において、剥離案内板の基材としてステンレス材料を用いることに限定されるものではなく、例えば、耐熱性のプラスチック材料やその他の金属を用いてもよい。
本実施形態において、剥離案内板7の先端(詳しくは凸部7a)は、定着ロール1表面に近接して非接触で配されている。このとき、剥離案内板7の先端(詳しくは凸部7a)と定着ロール1表面との間隙(ギャップ)としては、好ましくは0.05〜1mmの間、より好ましくは0.1mm〜1mmの間から選択される。このギャップが大きすぎると用紙Pが剥離案内板7で方向を大きく変えられることになり、剥離案内板7の先端や表面8a上をスムーズに滑ることが困難となり、用紙案内のストレスとなって剥離に支障を来たす場合がある。また、このギャップが大きすぎると、剥離案内板7の先端に用紙先端を乗せるべく、用紙先端を大きく浮かさなければならないこと、図7におけるギャップ通過気流Yが、適切な平面状(カーテン状)の気流になり難いこと、等の理由から、必要とする圧搾気体の圧力、パルス幅が大きくなってしまうといった懸念もある。一方、このギャップが小さすぎると、圧搾気体が当該ギャップを通過する際に抵抗となってしまい、変換された平面状(カーテン状)の気流の吐出力が減少してしまう懸念がある。このギャップ調整は、上記範囲内で、エアーノズル10a−1から吐出される圧搾気体の圧力や吐出タイミング、吐出時間(パルス幅)に応じて適切に設定を行えばよい。
エアーノズル10a−1,10a−2,10a−3は、剥離案内板7と定着ロール1表面との間に、非接触で挟み込まれる状態で、特に剥離案内板7の各凸部7aの先端にエアーノズルの吐出口先端が近づいた位置に配されている。この位置が離れていると、用紙Pの最先端部に作用させる圧搾気体の吐出力が弱まり、有効性が抑制される場合がある。したがって、かかるエアーノズルの吐出口先端は、定着ロール1表面および剥離案内板7に干渉しない範囲内で、極力、剥離案内板7の各凸部7aの先端近傍に配置することが望ましい。
剥離案内板7は、定着ロール1の周動方向Aに寝かせられた状態で配されている。ここで「周動方向に寝かせられた状態」とは、剥離案内板(7)の回転体(定着ロール1)に近接する一辺(先端)を通る、当該回転体からの法線に対して、剥離案内板全体が周動方向に傾けられた状態を意味する。傾ける程度としては、回転体表面から剥離する記録媒体の進行方向ができるだけ変更されない程度が好ましく、回転体表面から記録媒体の剥離が開始する点(剥離ポイント)における前記回転体の接線と、前記剥離案内板の前記回転体表面に対向する面の背面(表面8a)とが、平行に近い(両者の成す角が小さい)ことが望ましい。
図面を用いて剥離案内板の配置について説明する。図8は、回転体である定着ロールと剥離案内板との配置関係を説明するための部分拡大断面図である。図8においては、用紙Pが定着ロール1表面から剥離する箇所周辺を拡大して示しており、用紙P、定着ロール1および剥離案内板7以外の構成は図示を省略している。
図8において、定着ロール1表面に貼り付いた状態で搬送された用紙Pは、不図示の気体吐出装置10による圧搾気体で定着ロール1表面から、剥離ポイントSで剥離する。
剥離ポイントSで剥離した用紙Pの最先端部は、剥離案内板7の先端Gに乗り上げる。図8は、その状態を示したものである。用紙Pの最先端部近傍は、定着ロール1表面の剥離ポイントSにおける接線Eと略同じ軌跡を辿って搬送されている。接線Eと用紙Pの搬送の軌跡とが近いほど、用紙Pの剥離に自身のコシを最大限活用することができるため、圧搾気体の圧力、パルス幅を抑制することができ、また用紙Pをスムーズに剥離させることができることになる。
したがって、剥離案内板7の先端Gの位置としては、既述のギャップ範囲であることも好ましい要件ではあるが、その要件の他、接線E上ないし接線Eより定着ロール1表面側にあることが好ましく、接線Eに近ければ近いほど好ましく、接線E上にあることが最も好ましい。
また、剥離ポイントSおよび剥離案内板7の先端Gを結ぶ直線(図8において、当該直線は接線Eと同じであるため、直線Eと表示する。)と、剥離案内板7の表面8aと、の成す角θとしては、−35°以上+20°以下が好ましく、0゜に近ければ近いほど好ましい。この角度がマイナス側(剥離案内板7の表面8aが、直線Eよりも定着ロール1表面から遠ざかる側)に大きくなり過ぎると、用紙Pが剥離案内板7で方向を大きく変えられることになり、剥離案内板7の先端や表面8a上をスムーズに滑ることが困難となり、用紙案内のストレスとなって剥離に支障を来たす場合がある。一方、この角度がプラス側に大きくなり過ぎると、気体吐出装置10を適切な位置に配置し辛くなる。
したがって、ベストモードとしては、用紙Pが接線Eと略同じ軌跡を辿って搬送される、接線Eと剥離案内板7の表面8aとが重なる状態である。
定着ロール1における用紙Pの剥離位置(剥離ポイントS)は、ニップ部N出口からの距離が長い程、圧搾気体による用紙Pの最先端部の剥離には有効に働く。例えば、用紙Pの最先端部がニップ部N出口からk(mm)出た状態において、用紙Pの最先端部に圧搾気体の吐出力F(N)を作用させた場合、用紙Pはニップ部N出口を支点として固定されているので、用紙Pの最先端部には、およそF×kのモーメントが作用する。これが、用紙Pが定着ロール1に付着している力とニップ部N出口を支点とした用紙Pのコシに打ち勝って、用紙Pの最先端部を剥離案内板7の先端に案内するためには、このkの値は大きい方がよい。しかしながら、kが大きすぎると、用紙Pが定着ロール1に巻き付いたまま担持される時間が長くなることになり、用紙P表面に担持されたトナー画像Tが過熱されることになるため、得られる画像にグロスムラが生じることがある。よって、画質を考慮しながら用紙先Pの最端部に圧搾気体の吐出力が有効に作用する剥離ポイントSを設定する。
この剥離ポイントSの位置は、気体吐出装置10による圧搾気体の向き、圧力、パルス幅等の条件や、用いる用紙Pの厚さ、コシ、形成されるトナー画像のトナー量等条件により適宜調整すればよい。一般的には、前記圧搾気体が最初に当たる位置となるように調整される。
本実施形態において、剥離案内板7における凸部7aは、定着ロール1の軸方向と略平行に幅を有している。その幅の好ましい範囲は、一概には言えないが、5〜80mm程度から選択することが好ましい。
本実施形態においては、エアーノズル10a−1,10a−2,10a−3は、剥離案内板7と定着ロール1との間に独立して設けられているが、第1の本発明においては、回転体表面とそれに対向する剥離案内板表面とに挟まれた領域から、前記回転体表面とそれに近接する前記剥離案内板の一辺との間隙に向けて、パルス状の圧搾気体を吐出し得る構成であれば足り、配される位置は限定されず(例えば、よりエアーノズル10a−1,10a−2,10a−3が後退した場所に位置する態様が挙げられる。)、また剥離案内板がノズルを兼ねる構成であっても一向に差し支えない(例えば、剥離案内板7の裏面8bから、定着ロール1表面と剥離案内板7の先端との間隙を狙うように開口部が向けられたノズルが突出した態様が挙げられる。)。
エアーノズル10a−1,10a−2,10a−3から吐出される圧搾気体の吐出時間(パルス幅)としては、様々な条件により変動するため一概には言えないが、大略0.01〜0.1sec程度が望ましい。
吐出時間が0.1secを超えると、一回の吐出で非常に多くの気体が放出され、高速の連続通紙対応が困難になり汎用性に欠ける懸念がある。さらに、エアーポンプ10dとして、大きな気体供給能力を有する大型ポンプが必要となり、気体溜め10cとして、大容量のACCUMULATORが必要となり、装置の大型化が顕在化し、コストも高くなることから現実的でなくなる可能性がある。
一方、吐出時間が0.01sec未満であると、電磁弁10b−1,10b−2,10b−3の開閉応答性が悪くなり、弁開閉タイミングのばらつきが大きくなるので信頼性に欠ける可能性がある。
この吐出時間は、用紙Pの搬送速度(プロセススピード)に合わせて適切に設定すればよいが、搬送速度に応じて可変としてもよい。この他にも、用紙P先端からトナー画像Tが存在する画像部までの長さ(余白部)に応じて、圧搾気体の吐出時間を可変とすることも可能であり、この場合、用紙Pの先端余白部だけに圧搾気体を当てることが可能となり、トナー画像Tに圧搾気体を作用させないように配慮することもできる。また、用紙の先端の余白部がほとんどなくても圧搾気体はロールと用紙の間に楔的に入り込んで剥離することが可能であるが、勿論、圧搾気体の吐出量は、全体としてはかなり少ないため、仮にトナー画像Tに圧搾気体が当たってしまっても、通常は画質に大きな影響を与えることは無い。
エアーノズル10a−1,10a−2,10a−3から吐出させる圧搾気体の圧力は、0.05〜0.5MPa以下にすることが望ましい。0.5MPaを超えるとエアーポンプ10dとして、大きな気体供給能力を有する大型ポンプが必要となり装置の大型化に繋がり、また、空気漏れの対策が必要になり装置のコスト高に繋がる。装置を小型化して、低コストで良好な用紙の先端部剥離を実現するためには、低圧力化し、一回に吐出する圧搾空気量を少なく抑えることが望ましい。エアーノズル10a−1,10a−2,10a−3から吐出させる圧搾気体として、用紙Pの最先端部の剥離に必要最小限の圧力と、最短の吐出時間を選択することで、高速の複写機やプリンターにも適応可能である。
圧搾気体の圧力は、挿通される用紙Pの種類や搬送速度等の条件に応じて可変としてもよい。例えば、用紙Pがコシのない用紙で、トナー画像Tが、用紙Pにおける搬送方向Cの最先端部近傍まで多くのトナーが存在する場合などは、付着力の強いトナーが、用紙P先端近くまであることから、定着ロール1から用紙Pを剥離し難い。そこで、用紙Pの最先端部を強い圧搾気体で剥がすために、吐出する気体の圧力を高めに設定すれば、確実に剥離することが可能となる。エアーポンプ10dの圧力調整は、気体溜め10cとエアーポンプ10dとの間に配されたレギュレーター10g等により行う。
圧搾気体の量は、主に気体の圧力、電磁弁のオリフィス径、ノズルの個数(本実施形態では3個)および各電磁弁の開放時間で決定される。
なお、圧搾気体として用いる気体としては、特に制限はないが、一般的には大気中の空気がそのまま用いられる。
エアーノズル10a−1,10a−2,10a−3から吐出される圧搾気体の温度を、必要に応じて適切に制御してもよい。より画質ムラの少ない高画質化を実現するためには、吐出する圧搾気体の温度は、室温より高く設定することが好ましい。圧搾気体の温度と、ニップ部Nを通過した直後の用紙P表面のトナー画像Tにおけるトナー温度との温度差が大きいと、画質ムラが生じることがある。また、まだ高い温度状態にある前記トナーを急速に冷却してしまう可能性があるため、圧搾気体の温度は室温より高いことが望ましい。
さらに、圧搾気体の温度は、トナーの軟化点付近の温度近くとすることが好ましく、トナー画像Tのニップ部N出口直後の温度、すなわち定着ロール1から用紙Pが離れて熱の供給が終わり、放熱による自然冷却が始まった直後のトナー温度に近いことがより好ましい。具体的には、トナーの軟化点に対して±40℃以内とすることが好ましく、定着ロール1の表面温度に対して−5℃〜−80℃の範囲とすることが好ましい。
必要に応じて、剥離案内板7の温度を制御してもよい。圧搾気体の吐出後、用紙Pのトナー画像T面が剥離案内板7の表面8aを摺擦しながら排出ガイド11に導出されるため、ニップ部Nの出口から排出されて、剥離案内板7の表面8aに達する際の用紙P表面のトナー画像Tにおけるトナー温度と、剥離案内板7の表面8aとの温度差が大きいと、摺擦の際に画質に影響を与えてしまう可能性がある。したがって、両温度が隔たらない(温度差が、好ましくは80℃以内、より好ましくは60℃以内)ように剥離案内板7の温度を制御することが好ましい。
剥離案内板7の温度の制御方法は、特に制限は無く、例えば剥離案内板7を加熱するヒータを別途配設したり、定着ロール1の余熱を利用したり、等の態様が挙げられる。
本発明においては、ニップ部Nに挿通される際に用紙Pがスキューした場合を考慮して、各エアーノズル10a−1,10a−2,10a−3に接続された電磁弁10b−1,10b−2,10b−3の開閉タイミングを制御する。すなわち、用紙Pがスキューした場合、用紙Pの最先端部が図8における剥離ポイントに達するタイミングが、用紙Pの搬送方向と垂直の方向でズレてくるため、そのずれに応じて電磁弁10b−1,10b−2,10b−3の開閉タイミングを制御する。
具体的には、用紙Pの進行方向後端部が、ニップ部Nに挿通される前の所定の位置を通過するタイミングを、用紙Pの搬送方向と垂直の方向に配置した複数のセンサーにより検知して、この検知信号からスキュー量を割り出し、該スキュー量に応じて電磁弁10b−1,10b−2,10b−3の開閉タイミング(すなわち圧搾気体の吐出タイミング)を制御すればよい。当該センサーは、少なくとも用紙Pの進行方向後端部の搬送方向と垂直の方向2カ所を検知すれば、スキュー量を知ることができる。
本実施形態においては、剥離案内板7の凸部8aとそれに対応するエアーノズル10a−1,10a−2,10a−3とが、それぞれ3つの場合を例に挙げているが、本発明においては、無論3つに限定されるわけでなく、例えば、剥離案内板に1〜10程度の凸部を設け、この凸部に対応するすべてにエアーノズルを設けてもよいし、凸部のうち任意の複数個所あるいは1箇所にのみエアーノズルを設けてもよい。
ここで、本実施形態の定着装置並びに剥離装置の、具体的な装置構成を検証することで、本発明の実用性の高さを立証する。なお、エアーノズルの数等、本実施形態において特定されているものについても、一部変数として検討するものがある。
ニップ部Nに搬送される用紙Pのプロセススピードをv(mm/sec)、搬送される用紙Pの長さをL(mm)、連続して搬送される用紙P相互間のインターイメージをα(mm)とした場合に、圧搾空気(圧搾気体)を安定して吐出可能な条件を示す。諸条件は、以下の記号で表して説明する。
・エアーポンプ10dの空気供給能力:S(ml/sec)
・気体溜め(ACCUMULATOR)10cの容量:T(ml)
・気体溜め10cの設定空気圧力:P1(MPa)
・大気圧:P0(MPa)
・電磁弁10b−1,10b−2,10b−3のオリフィス径:a(mm)
・圧搾空気の吐出時間(電磁弁の開放時間):t(sec)
・エアーノズルの個数:n(個)
・圧搾空気一回の総吐出量:A(cc)
電磁弁10b−1,10b−2,10b−3をt(sec)だけ開放したときに低下する圧力をΔp(MPa)とすると、エアーパルス一回の総吐出量Aは、以下の式(i)で表される。
A=Δp×T/P0(ml) ・・・(i)
エアーノズル1個あたりではA/n(ml)だけ吐出される。
用紙が搬送されて来て圧搾空気が吐出され、その後次の用紙が搬送されて来て再度圧搾空気が吐出されるまでの時間に、気体溜め10cに所定の設定圧力となる空気が供給されていなければならないので、エアーパルス一回の総吐出量Aは、以下の式(ii)を満たせばよいこととなる。
A≦(L+α)×S/v ・・・(ii)
上記式(ii)において、左辺は、1の用紙と次の用紙との間の圧搾空気の吐出が行われていない間に、気体溜め10cにエアーポンプ10dから供給することが可能な最大の空気量である。
例えば、エアーポンプ10dとして空気供給能力S=8リットル/min(≒130ml/sec)の小型ポンプを用い、気体溜め10cとして容量T=200mlのACCUMULATORを、設定空気圧力P1=0.3MPaで使用し、エアーノズルの個数n=3個、電磁弁10b−1,10b−2,10b−3のオリフィス直径a=1.5mm(エアーノズル内直径2mm)から、圧搾空気の吐出時間t=0.025secの条件で圧搾空気を吐出させると、ΔPはおよそ0.04MPaであった。よって、一回のエアー総吐出量Aは、大気圧P0=0.101MPaとすると、
A=0.04×200/0.101
およそ79mlであり、ノズル1個当たりおよそ26mlになる。
ここで、用紙PとしてA4サイズのものを横送り(Long Edge feed)で用い(すなわち、用紙Pの長さL=210mm)、インターイメージα=30mm、プロセススピードv=350mm/secで搬送する場合に、1の用紙と次の用紙との間の圧搾空気の吐出が行われていない所用時間内で、気体溜め10cにエアーポンプ10dから供給することが可能な最大の空気量(L+α)×S/vは、
(L+α)×S/v=(210+30)×130/350
およそ89mlとなり、上記式(ii)を満たす。
よってこのケースにおけるエアーポンプ10dの空気供給能力と気体溜め(ACCUMULATOR)10cの容量は、適切な範囲内にあると言え、350mm/secという高速の連続通紙条件においても安定して同じ吐出力の圧搾空気を、用紙Pの最先端部に作用させることができる。
圧搾空気が吐出している間(t(sec))の用紙の搬送距離Δm(mm)は、Δm=v×tであり、上記ケースの場合には8.75mmとなる。圧搾空気が吐出している間にも用紙Pは搬送されており、ニップ部Nを出た用紙Pの最先端部が所定の位置に達した時に圧搾空気が吐出し始め、次いで用紙Pの最先端部に空気流が継続して作用するので、用紙Pの最先端部は定着ロール1から離れる方向に移動しながら搬送され、剥離案内板7の凸部7aに案内されて吐出を終了させる。用紙Pと圧搾空気の空気流は、相互に相対移動する関係にあるので、用紙Pの搬送速度に合わせて、適切に用紙Pの最先端部を剥離案内板7の凸部7aに案内可能な圧搾空気の吐出タイミングと吐出時間を選択すればよい。
ここで、各電磁弁10b−1,10b−2,10b−3の直径a(mm)のオリフィスからA/n(ml=cm3)の空気が吐出されるので、各電磁弁のオリフィス付近における空気の平均流速k(m/sec)は、損失を無視して単純に計算すると、下記式(iii)で表すことができる。
k=(A/n)/{(πa2)・t/4}=4A/(nπa2t) ・・・(iii)
上記例においては、
k=4×(79×10-6)/{3×π×(1.5×10-32×0.025}≒600
となり、平均流速kは約600m/secに及ぶ。
<第2の実施形態>
図9は、本発明の第2の実施形態である剥離装置を採用した定着装置の模式断面図である。本実施形態の剥離装置は、上記本発明と参考発明とを適切に組み合わせた態様のものであり、定着装置としては、ロール−ベルトニップ方式のものである。本実施形態は、上記第1の実施形態と定着装置の構成が異なるほかは、第1の実施形態と同一の構成であるため、図9において、第1の実施形態と同一の機能を示す部材には図1と同一の符号を付して、その詳細な説明は省略することとする。
本実施形態の定着装置は、定着ロール1と、加圧回転体16と、剥離装置7,10とで主要部が構成されている。
加圧回転体16は、リードロール18、圧力ロール19および張架ロール20の3本のロールにより張架されたエンドレスベルト21と、これを介して定着ロール1に押圧される圧力パッド(圧力部材)17とで主要部が構成されている。
エンドレスベルト21は、定着ロール1に対し所定の角度巻き付けられるように接触し、ニップ部N'を形成している。エンドレスベルト21の内側には、圧力パッド17がエンドレスベルト21を介して定着ロール1に押圧される状態で配置されている。
エンドレスベルト21の定着ロール1への巻付角度としては、定着ロール1の回転速度にもよるが、ニップ部N'を十分に広く確保できるよう、20〜45°程度とすることが好ましい。また、ニップ部のデュエルタイム(用紙Pの挿通時間)が、30msec以上、特に50〜70msec程度となるような巻付角度とすることが好ましい。
エンドレスベルト21は、ベース層とその表面(定着ロール1と接する面、または両面)に被覆された離型層とから構成されることが好ましい。ベース層はポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等から選ばれ、その厚さは、好ましくは50〜125μm程度、より好ましくは75〜100μm程度である。ベース層の表面に形成される離型層としては、前述の如きフッ素樹脂、例えばPFA等が5〜20μmの厚さでコーティングされたものが好ましい。
圧力パッド17は、例えば、幅の広いニップ部N'を確保するための弾性体部材と、該弾性体部材のエンドレスベルト21の内周面と接触する面に低摩擦層とが設けられ、金属製等のホルダーに保持されている。低摩擦層を表面に有する弾性体部材は、ほぼ定着ロール1の外周面に倣う凹形になっており、定着ロール1に対して押圧されてニップ部N'を形成し、また、その搬送方向下流の圧力ロール19はエンドレスベルト21を介して定着ロール1に強く押圧されており、定着ロール1の当該箇所に一定の歪み量を生じさせている。
圧力パッド17における弾性体部材としては、シリコーンゴム、フッ素ゴム等耐熱性の高い弾性体や、板バネ等を用いることができる。弾性体部材上に形成される低摩擦層は、エンドレスベルト21内周面と圧力パッド17との摺動抵抗を小さくするために設けられ、摩擦係数が小さく、耐摩耗性のあるものが望ましい。具体的には、テフロン(登録商標)を含浸させたガラス繊維シート、フッ素樹脂シート、フッ素樹脂塗膜等を用いることができる。
エンドレスベルト21は、定着ロール1の矢印A方向の回転により、従動して矢印B方向に周動する。
トナー画像Tが表面に形成された用紙Pは、図9における左側からニップ部に向けて(矢印C方向)搬送されてくる。ニップ部に挿通させられた用紙P表面のトナー画像Tは、ニップ部に作用する圧力と、ヒータ2により定着ロール1を通じて与えられる熱と、により定着させられる。本実施形態の定着装置により定着を行えば、ニップ部を広く採ることができるため、安定した定着性能を確保することができる。
既述の如く、ニップ部N'の出口において圧力ロール19が定着ロール1に押圧され、定着ロール1の弾性層3に歪みを与えている。このような構成により、ニップ部N'が確保されるとともに、ニップ部N'の出口付近において定着ロール1の歪みが局所的に大きくなるようにしている。
本実施形態の定着装置によれば、ニップ部N'の出口付近における定着ロール1の歪み量を比較的大きく採ることができる。このように該歪み量を大きく採ればセルフストリッピングが可能となり、離型剤(オイル)を使用することなく高い離型性能が得られる。勿論、さらに高い離型性を得るためにオイルを使用してもよい。オイルを使用する場合には、適宜、定着ロールおよびベルトの表面層の材質を変更してもよい。
しかしながら、既述の如く、トナー画像Tのトナー量が多い、用紙Pの先端近くまでトナー画像Tがある、用紙Pの坪量が小さい、用紙Pが薄いコート紙である、等剥離が困難な条件であっても、より一層安定した剥離を行うことができるようにするためには、本発明の剥離装置を備えることが極めて有効である。本実施形態においては、第1の実施形態と同様の剥離装置7,10を採用することで、極めて高い剥離性能を実現している。
剥離装置7,10の具体的な構成、好ましい態様、変形例等については、第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
以上、<第1の実施形態>および<第2の実施形態>の2つの態様の定着装置の例を挙げて、本発明の剥離装置およびそれを用いた定着装置を説明したが、本発明は上記例に限定されるものではない。例えば、2つの実施形態で説明した各構成要素を相互に入れ替えた態様であっても構わない。
また、定着装置として、2ロール方式の定着装置、ベルトについては複数のロールにより張架された状態のロール−ベルトニップ方式の定着装置を例に挙げて説明したが、その他、フリーベルトニップ方式やベルト−ベルトニップ方式の定着装置についても、本発明の剥離装置は好適に適用することができ、いずれも本発明の定着装置を構成する。ただし、剥離対象となる回転体がベルト状の場合には、前記剥離案内板の取り付け位置を、前記回転体表面が周動方向に曲線を描いて進行する領域、またはその下流にすることが必要となる。
図10に、前記剥離案内板の取り付け位置を考察するための、剥離対象となるベルト状の回転体と用紙との密着状態を説明する拡大断面図を示す。図10において、25はベルト状の回転体であり、ロール26および他の不図示のロールにより張架され、矢印Q方向に周動する。
剥離対象となる回転体25表面には、剥離しようとする記録媒体が密着した(貼り付いた)状態で回転体25の周動とともに矢印Q方向に搬送される。図10には、記録媒体が密着したままであると仮定した場合について、搬送とともに移動する記録媒体Pa〜Peの最先端部のみを点線で示している。
回転体25表面に密着した状態で矢印Q方向に搬送された記録媒体Paは、回転体25が周動方向に直線状に進行しているため、記録媒体Paの最先端部には、自身のコシによる剥離力が作用しない。
回転体25は、ロール26に張架されているため、ロール26に巻き付きその進行方向が切り替えられる地点で、回転体25が周動方向に曲線を描いて進行する。具体的には、直線Lから直線Mで仕切られた領域においては、回転体25は、周動方向に曲線を描いて進行する。
したがって、直線Lの境界を超えこの領域に差し掛かった記録媒体Pbの最先端部には、前記剥離力が作用し始める。この剥離力の作用は、記録媒体の最先端部が直線Lから直線Mで仕切られた領域の間にある間は確実に生じている。すなわち、当該領域間に最先端部が位置する記録媒体Pcには当然に前記作用が生じている。
さらに、この領域を終えても暫くは、記録媒体全体が曲線を描いていれば、自身のコシの作用により、依然として前記剥離力が作用している。すなわち、直線Mの境界を超えてこの領域の下流に最先端部が位置する記録媒体Pdについても前記作用が生じている。
その後、再び回転体25が周動方向に直線状に進行する状態になり、当該位置において回転体25に密着した状態の記録媒体Peについては、自身のコシによる剥離力の作用は生じなくなる。
図10に示される記録媒体については、Pb〜Pdの間の記録媒体が剥離し得るものであり、これらが自身のコシによる剥離力を補い有効に最先端部のみ剥離させることにより、記録媒体全面を剥離するのが本発明のポイントであり、この点から考慮すると、Pb〜Pdの間の記録媒体、換言すれば前記回転体表面が周動方向に曲線を描いて進行する直線Lから直線Mまでの領域またはその下流に、記録媒体の最先端部が位置するときに剥離することが要求される。
勿論、剥離案内板の回転体表面と近接する一辺(先端)と、当該回転体表面との距離を近づければ、ほとんど直線L上に剥離案内板の先端を配置することもでき、一方、これを離した場合、直線Mからかなり下流の位置に剥離案内板の先端を配置可能である点である。したがって、既述の如く、前記剥離案内板の取り付け位置としては、前記回転体表面が周動方向に曲線を描いて進行する領域、またはその下流にすることが必要となる。ここで「その下流」についての具体的な範囲については、記録媒体の厚さや材質から来るコシ、トナー画像の領域、トナー画像のトナー量等により変わってくるため、一概には言えない。
以上の例は、剥離対象となる回転体がベルトの場合のみ問題となり、これが上記各実施形態のように円筒である場合には、その表面が周動方向に描くのはいつでも曲線であり、いずれの位置においても前記剥離力の作用が生じるため、剥離案内板の設置位置に関する当該要件は問題とならない。この剥離案内板の位置に関する考え方は、本発明の剥離装置を定着装置に適用した場合に限らず、例えば後述の画像形成装置のように、画像形成装置のいずれの箇所に適用した場合にも同様である。
以上のような構成の定着装置は、従来公知の電子写真方式の画像形成装置に用いることができる。即ち、電子写真方式によりシート状の記録媒体表面に未定着のトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、前記記録媒体表面に保持されたトナー画像を、加熱および加圧することにより定着する定着手段と、を備える画像形成装置において、定着手段として上記構成の定着装置を用いることにより、剥離性に優れ、高画質化、高速化を満足し得る画像形成装置を提供することができる。
上記トナー画像形成手段としては、例えば、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーにより現像する現像手段と、得られたトナー像をシート状の記録媒体に転写する転写手段と、を含むものが挙げられる。
なお、定着装置以外の構成は、従来公知のいずれの構成であっても、本発明の目的に反しない限り用いることができる。さらに、定着装置以外の構成要素に、本発明の剥離装置を適用しても勿論構わない。
<第3の実施形態>
図11は、本発明の剥離装置を転写ドラムから転写媒体を剥離する手段として採用した画像形成装置の例を示す第3の実施形態の模式断面図である。本実施形態の剥離装置は、上記本発明と参考発明とを適切に組み合わせた態様のものであり、第1の実施形態と同様のものである。
本実施形態の画像形成装置は、主として、矢印J方向に回転する感光体31と、感光体31の周りに回転方向Jに順に配置される、感光体31を一様に帯電する帯電器33と、感光体31表面を像様に露光する露光装置34と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各色のトナー画像をそれぞれ感光体31表面に形成するロータリー現像器30と、用紙(記録媒体)Pを静電的に担持して矢印K方向に搬送し、感光体31表面に形成されたトナー画像を用紙P表面に転写させる転写ドラム35と、感光体31表面に残存するトナー等を除去するクリーニング装置32と、さらに、表面にトナー画像が転写された用紙Pを剥離する剥離装置7,10と、これを熱および圧力により定着して記録画像を形成する定着装置39と、から構成される。
本実施形態の画像形成装置では、帯電器33により一様に帯電された感光体31表面に、イエロー色成分のみの潜像が形成されるように露光装置34により像露光が為される。そして、感光体31表面には、ロータリー現像器30によりイエロー色のトナー画像が形成され、そのまま矢印J方向に回転して転写ドラム35と対向する位置に搬送される。
一方、給紙ガイド36を経由して給紙された用紙Pは、帯電器37により静電気力が付与されて転写ドラム35に貼り付いて密着する。その状態で転写ドラム35が矢印K方向に回転すると、用紙Pは、感光体31と対向する位置に搬送される。そこで、先ほど感光体31表面に形成されたイエロー色のトナー画像が、転写装置40により用紙P表面に転写される。
イエロー色のトナー画像を表面に担持する用紙Pが密着した転写ドラム35は、そのまま矢印K方向に回転し、一周して再び感光体31と対向する位置に搬送される。この搬送の間、剥離除電器38、剥離装置7,10、除電器42および帯電器37は、いずれも動作しておらず、用紙Pは転写ドラム35に密着した状態のまま搬送される。
イエロー色のトナー画像の転写が終了した感光体31は、矢印J方向に回転し、クリーニング装置32により残存するトナーやゴミが除去され、次の色のトナー画像形成に供される。
以上の操作が、残りのマゼンタ色、シアン色およびブラック色についても順次行われ、用紙P表面には4色のトナー画像が積層され、未定着のフルカラートナー画像が形成される。
最終色(本例ではブラック)のトナー画像が、転写装置40により表面に転写された用紙Pは、転写ドラム35の矢印K方向への回転によりに搬送され、剥離除電器38により除電が為される。この除電により、転写ドラム35表面と用紙Pとの静電的な付着力が弱められ、用紙Pの搬送方向最先端部には、自身のコシによる剥離力が作用する。
そして、剥離装置7,10により、用紙Pが剥離される。この剥離は、気体吐出装置10からの圧搾気体により用紙Pの搬送方向最先端部を剥離して浮き上がらせ、これを剥離案内板7の先端に乗り上げさせ、漸次用紙Pを剥離して行き、最終的に全面を剥離する構成である。剥離装置7,10の詳細な構成、作用、効果、好ましい態様等に関しては、既に第1の実施形態において詳細に説明しているため割愛する。なお、本実施形態において、気体吐出装置10からの圧搾気体は、用紙Pの裏面(転写ドラム35に密着した側)に作用するため、その表面に形成された未定着のトナー画像に影響を及ぼす可能性は少ない。
そして、剥離された用紙Pは、搬送ガイド41を介して定着装置39に送られ、熱および圧力により未定着のトナー画像を定着して記録画像が形成される。一方、用紙Pが剥離された転写ドラム35は、矢印K方向に回転し、除電器42により除電されて、次の用紙の担持に備えられる。
以上のような画像形成装置において、本発明の剥離装置は、剥離案内板7の先端が転写ドラム35に当接していないため、ポリテトラフルオロエチレン等の誘電体で形成された転写ドラム35を傷付けること無く、静電的に転写ドラム35に密着する用紙Pを、効果的に剥離することができる。効果的に剥離が可能であるため、転写ドラム35を内面から押し上げるポップアップ装置等の補助的な剥離手段を設ける必要が無く、当該補助的な剥離手段により剥離することができない位置に密着した用紙Pについても良好に剥離することができ、また、当該補助的な剥離手段を省くことによる装置の簡略化も可能となる。
なお、本実施形態においては、剥離装置として、第1の実施形態と同様の、本発明と参考発明の両構成を具備したものを用いて説明したが、勿論、第1の実施形態で説明したように、本発明の構成のみを具備した剥離装置も好適に適用可能である。
以上、本発明の剥離装置、定着装置、画像形成装置について、いくつかの例を挙げて説明したが、本発明はこれら構成に限定されるものではなく、本発明は、本発明における必須の構成要件を具備するものであれば問題なく、当業者は、公知の知見により種々の変更を加えることができる。
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1>
第1の実施形態の構成の定着装置を用いて、用紙剥離性および画質の評価試験を行った。ニップ部Nを通過した後の用紙P表面の溶融トナーが、定着ロール1に対して付着している状態から用紙Pを剥がす剥離力が大きい条件において評価を実施した。
具体的な諸元を、以下に示す。
(定着装置部分の諸元)
・定着ロール1の構成:白黒定着用ハードロール(直径40mmのアルミニウムコアに厚さ20μmのPFAチューブを被覆したフッ素系樹脂コートハードロール。)、および、カラー定着用ソフトロール(外径62mm、内径55mm、長さ350mmの円筒状に形成されたアルミニウムコアに、シリコーンLSR(Liquid Silicone Rubber)ゴム(JIS−Aのゴム硬度:35度)が2mmの厚さに被覆されているとともに、弾性体層の表面には、さらに表面層としてPFAチューブが30μmの厚さで形成されたロール。)の2種類
・定着ロール1の回転速度(プロセススピード):250mm/s
・定着ロール1の表面温度:160℃に制御
・定着ロール1−加圧ロール6間のニップ圧:490〜686N(50〜70kgf))
・用紙P(記録媒体):ともにA4サイズの、富士ゼロックス製S紙(坪量56g/m2、代表的な普通紙)および富士ゼロックス製OKトップコート紙(坪量64g/m2、坪量の小さい腰のない紙)を選択し、搬送方向は、図15に示すように横送り(Long Edge Feed)とした。
・トナー:オイルレスフューザー用のカラー重合トナー(富士ゼロックス製オイルレスカラー重合トナー、EAトナー:顔料とワックス粒子、そしてそれらを結合させる乳化重合樹脂粒子を水溶液中で化学反応させ加熱成形したもの)
・未定着のトナー画像T:イエロー、マゼンタおよびシアンの3色からなるプロセスブラックのベタ画像を用紙Pの略全幅にわたり静電転写させたもの。トナー量は、13g/m2と15g/m2のもの(本発明のみ25g/m2でも実施)を、各水準ごとに双方とも20枚用意し、全て定着した。2種類のトナー量による試験全体を通して、後述の評価を行った。用紙先端部の余白は、図12に示すように、3mmまたは5mmの2水準とした。なお、未定着の白黒トナー画像は、単色ブラックのベタ画像0.7g/m2を静電転写させている。
(気体吐出装置10の諸元)
・エアーポンプ10d:市販の空気供給能力8リットル/minのポンプ
・気体溜め10c:タンク容量200ccのACCUMULATOR
・エアーノズル数:3個
・電磁弁のオリフィス径:1.5mm
・圧搾気体:空気を用い、圧力0.3MPa、吐出時間0.025secとした。
・圧搾気体の吐出タイミング:事前に圧搾気体の吐出実験を行い、適切な状態に設定
(剥離案内板7の諸元)
・剥離案内板7は、図4に示されるように凸部を3個有する形状のA4横幅の長さに適応する異形先端形状のものを採用した。具体的な寸法は、長手方向の長さ392mm、図4(b)における辺8aおよび8bの長さ32mm並びに8cの長さ5mm、凸部7aの幅36mm、凹部7bの表面8a側の曲率半径約50mm並びに裏面8b側の曲率半径60mmである。
・剥離案内板7の材質:ステンレス鋼
・定着ロール1表面における剥離ポイントSの接線Eに対する表面8aの為す角θ(図8参照):5°
・剥離案内板7先端と定着ロール1表面とのギャップ:0.3mm
・剥離案内板7の設置位置:適切に調整(ニップ部N出口から4〜15mm)
以上の条件の定着装置(剥離装置を含む)を用い、用紙Pを2種類、定着ロール1を2種類、用紙P先端部の余白を2段階の計8水準で定着し、剥離性の評価試験を行った。評価試験は、未定着トナー画像Tが静電転写された用紙Pを、連続して20枚、定着装置のニップ部を通過させ、用紙Pが詰まる(ジャムが発生する)ことなくスムーズに安定して剥離できるかどうか調査した。なお、評価項目は、用紙Pの剥離性能、および得られた画像の画質とし、以下の基準で評価した。結果を下記表1にまとめて示す。
(剥離性能)
○:良好。
△:ジャムが発生する場合がある。
×:ジャムが発生する。
(画質)
○:凝視しても欠陥が全く見当たらない。
△:凝視すれば微小の欠陥がある。
×:目視でわかる欠陥が発生する場合がある。
<比較例1>
実施例1の定着装置から剥離装置7,10を取り外し、代わりに剥離爪(具ポリイミド,ポリフェニレンサルファイトなどの耐熱性樹脂を成型し、その先端を鋭利な形状に仕上げた従来使用されている剥離爪。このような剥離爪がバネを用いて定着ロール1の表面に押し当てられるように設置される。剥離爪の定着ロール表面に接する端縁の幅は2mm程度であり、そのような幅の狭い剥離爪が定着ロールの軸方向に5〜6個程度配置される。)を、定着ロール1表面に当接させて取り付けたものを用いて、実施例1と同様に評価試験を行った。結果を下記表1にまとめて示す。
<比較例2>
実施例1の定着装置から剥離装置7,10を取り外し、代わりにプラスチック製剥離シート(従来使用されている剥離シートは、厚さ0.05mm以上、曲げ弾性率103kg/cm2以上、融点150℃以上のプラスチックシートが用いられ、その鋭利な端縁が定着ロールの軸方向の表面全体に均等に接触するように配備される(特開昭59−188681号公報に記載のもの)。)を、定着ロール1表面に当接させて取り付けたものを用いて、実施例1と同様に評価試験を行った。結果を下記表1にまとめて示す。
Figure 0004396784
<実施例1、比較例1および2の考察>
表1に示すように、比較例1および2の剥離方式では、定着ロール1が白黒定着用ハードロールである場合には、何とか用紙剥離性を確保することができ、良好な画質も達成し得るが、カラー定着用ソフトロールである場合には、剥離性能が十分でなく、ジャムが発生しやすく、特に用紙Pの搬送方向先端部近傍までトナー画像が形成されている、用紙P先端部余白3mmの条件では、全てジャムとなってしまい、画像そのものを得ることができなかった。
これに対して、圧搾空気を利用する本発明の剥離装置を用いた実施例1においては、良好な剥離性能を示し、ジャムが発生することも無く、良好な画質の記録画像を得ることができたことがわかる。さらに本発明においては、未定着トナー像のトナー量が25g/m2という条件下についても実施を行ってみた。その結果、このようにトナー量が極めて過多な条件下においても良好な剥離性能を示しており、本発明のさらに高い効果が確認できた。
<実施例2>
本実施例では、実施例1において用いた富士ゼロックス製OKトップコート紙を湿度90%の状態で24時間以上吸湿させたものを用紙Pとして用いた。これは、すなわち坪量が小さいコシのない紙ほど、さらには表面性が滑らかな紙(例えばコート紙)ほど剥離しにくく、当該用紙は元々剥離が困難であるが、用紙が吸湿した状態であればなお剥離し難い。すなわち、本実施例では、用紙を剥離するのに最も厳しい条件を与えて、調査を行おうとするものである。
なお、紙の吸湿については、実際に使用する上で紙が空気中の水分を多く吸湿してジャム等の問題が発生しやすい条件とするため、高湿度状態を一定時間以上与えて、試験に供する吸湿紙としている。
その他、以下の各条件を変動させ、他の条件は実施例1と同一で、定着の評価試験を行った。
・用紙P(記録媒体):富士ゼロックス製OKトップコート紙(坪量64g/m2、坪量の小さい腰のない紙)のみ。
・未定着のトナー画像Tのトナー量:15g/m2のみ。
・用紙先端部の余白:3mmのみ。
・定着ロール1の回転速度(プロセススピード):100〜350mm/sの間で適宜変位(下記表2に示す通り)。
・圧搾気体:空気を用い、圧力0.05〜0.55MPa、吐出時間0.01〜0.05secの間で適宜変位(下記表2に示す通り)。
・剥離案内板7先端と定着ロール1表面とのギャップ:0.1〜1.0mmの間で変位。
結果を下記表2に示す。なお、下記表2において、変位させる値が範囲で(「〜」を用いて)示されているものは、その範囲内で任意に無段階で変位させたことを示す。また、剥離性能については、圧搾空気による用紙Pの最先端部の剥離性と、その後の剥離案内板による用紙P全面の剥離性とに分けて評価した。評価の基準は実施例1と同様である。
Figure 0004396784
<実施例2の考察>
表2に示すように、圧搾空気を利用する本発明の剥離装置を用いた実施例2においては、このような最悪な条件下においても、良好な剥離性能を示し、良好な画質の記録画像を得ることができたことがわかる。ただし、圧搾空気の圧力が高過ぎたり低過ぎたりすると、画質や剥離案内板による剥離性能に若干の低下傾向が見られ、本例においては、0.1〜0.3MPaが最適な範囲であることがわかる。なお、高速化を企図する観点から、本実施例においてプロセススピードは、原則200mm/sec以上のみ試験を行った。ただし、0.5MPaでは、エアーポンプ10dをより大型化しなければ対応し切れないため、200mm/sec以下のみ試験を行った。この点からも、圧搾空気の圧力が高過ぎると、装置の大型化、高コスト化に繋がることがわかる。
<実施例3>
実施例1において、定着ロールの弾性体層であるシリコーンLSR(Liquid Silicone Rubber)ゴムを、ゴム硬度を25度のものに代えたこと以外は、実施例1と同様の定着装置(剥離装置を含む)の条件で、定着および剥離を行い、剥離性能および画質の評価試験を行った。なお、用紙Pとして、実施例2で用いたものと同じ、吸湿させた富士ゼロックス製OKトップコート紙についても試験を行った。結果を下記表3に示す。
<比較例3>
実施例3において、気体吐出装置10を作動させず、圧搾空気を吐出させなかったこと以外は、実施例3と同様の定着装置(剥離装置を含む)の条件で、定着および剥離を行い、剥離性能および画質の評価試験を行った。結果を下記表3に示す。
<実施例4>
実施例3において、剥離案内板7の形状を、図4に示される形状から凹部7bを突出させ、凸部7aと先端が揃い、先端が直線状となっている(長手方向の断面は、どこをとっても図4(b)における辺8a、8bおよび8cからなる鋭角を有する三角形となる)こと以外は、実施例3と同様の定着装置(剥離装置を含む)の条件で、定着および剥離を行い、剥離性能および画質の評価試験を行った。結果を下記表3に示す。
<比較例4>
剥離爪が取り付けられた比較例1の定着装置を用いて、実施例3と同様の定着装置(剥離装置を含む)の条件で、定着および剥離を行い、剥離性能および画質の評価試験を行った。結果を下記表3に示す。
<比較例5>
プラスチック製剥離シートが取り付けられた比較例2の定着装置を用いて、実施例3と同様の定着装置(剥離装置を含む)の条件で、定着および剥離を行い、剥離性能および画質の評価試験を行った。結果を下記表3に示す。
Figure 0004396784
<実施例3〜4、比較例3〜5の考察>
表3に示すように、参考発明の異形先端形状の剥離案内板のみを用い、圧搾空気を利用しなかった比較例3は、用紙Pの搬送方向先端部近傍までトナー画像が形成されていたり、そのトナー量が極めて過多であったり、用紙Pがコート紙さらには吸湿紙であったり等、特に厳しい条件の場合にジャムが発生し、剥離性能が十分でないことがわかる。
また、比較例4および5の剥離方式では、定着ロール1が白黒定着用ハードロールである場合には、何とか用紙剥離性を確保することができ、良好な画質も達成し得るが、カラー定着用ソフトロールである場合には、用紙性能が十分でなく、ジャムが発生しやすく、特に用紙Pの搬送方向先端部近傍までトナー画像が形成されている、用紙P先端部余白3mmの条件では、全てジャムとなってしまい、画像そのものを得ることができなかった。
これに対して、圧搾空気を利用する本発明の構成を有する剥離装置を用いた実施例3〜4においては、良好な剥離性能を示し、ジャムが発生することも無く、良好な画質の記録画像を得ることができたことがわかる。定着ロール1がカラー定着用ソフトロールであったり、それがオイルレス(離型剤オイルを使用しない)であったり、用紙Pの搬送方向先端部近傍までトナー画像が形成されていたり、そのトナー量が極めて過多であったり、用紙Pがコート紙さらには吸湿紙であったり等、特に厳しい条件の場合を除けば、圧搾空気を利用する本発明の構成のみを有する実施例4の定着装置(剥離装置を含む)であっても、良好な剥離性能と、良好な画質の記録画像とを実現することができる。そして、上記特に厳しい条件の場合に、本発明および参考発明の双方の構成を有する剥離装置を用いた実施例3が極めて有利であることがわかる。
1:定着ロール、 2:ヒータ、 3:弾性層、 4:表面層、 5:コア、
6:加圧ロール、 7、22:剥離案内板、 7a、22a:凸部、 7b、22b:凹部、 8a、23a:表面、 8b、23b:裏面、 8c、23c:端縁面、 10:気体吐出装置、 10a:エアーノズル、 10b:電磁弁、 10c:気体溜め、 10d:エアーポンプ、 10e:連結配管、 10f:エアーパルスコントローラー、 10g:レギュレーター、 11:排出ガイド、 12:排出ロール、 16:加圧回転体、 17:圧力パッド、 18:リードロール、 19:圧力ロール、 20:張架ロール、 21:エンドレスベルト、 25:回転体、 26:ロール、 30:ロータリー現像器、 31:感光体、 32:クリーニング装置、 33:帯電器、 34:露光装置、
35:転写ドラム、 36:給紙ガイド、 37:帯電器、 38:剥離除電器、 39:定着装置、 40:転写装置、 41:搬送ガイド、 42:除電器、 E:接線(直線)、 G:先端、 N:ニップ部、 P:用紙(記録媒体)、 Pa〜Pe:記録媒体、 S:剥離ポイント、 T:トナー画像、 X:初期気流、 Y:ギャップ通過気流

Claims (8)

  1. 周動する回転体の表面に貼り付いた状態で搬送されるシート状の記録媒体を、前記回転体から剥離する剥離装置であって、
    前記回転体表面が周動方向に曲線を描いて進行する領域、またはその下流に、前記回転体表面に一辺が近接し、かつ、前記回転体の周動方向に配される剥離案内板と、
    前記回転体表面とそれに対向する前記剥離案内板表面とに挟まれた領域から、前記回転体表面とそれに近接する前記剥離案内板の一辺との間隙に向けて、パルス状の圧搾気体を吐出する気体吐出手段と、
    から構成され、
    前記気体吐出手段が、圧搾気体を吐出するノズルを、前記回転体表面とそれに対向する前記剥離案内板表面とに挟まれた領域であって、前記回転体の周動方向に対して垂直方向に、複数配してなり、
    前記回転体の周動に伴い搬送されてきた前記記録媒体のスキュー量を割り出し、そのスキュー量に応じて、前記複数のノズルそれぞれからの前記圧搾気体の吐出タイミングを制御することを特徴とする剥離装置。
  2. 前記回転体の周動に伴い搬送されてきた前記記録媒体の搬送方向最先端部が、前記剥離案内板の配された位置に接近した時に、当該最先端部に圧搾気体が当たるように、前記気体吐出手段により圧搾気体が吐出されることを特徴とする請求項1に記載の剥離装置。
  3. 圧搾気体により前記回転体表面から剥離した前記記録媒体の搬送方向最先端部が、前記剥離案内板の前記回転体表面に近接する一辺に乗り上げた状態となるに十分な程度の圧搾気体のみを吐出するように、前記気体吐出手段が制御され、前記記録媒体における搬送方向の最先端部に続く部位は、前記回転体の周動による搬送に伴って、前記剥離案内板の前記回転体表面に近接する一辺に漸次乗り上げ、前記剥離案内板の前記回転体表面に対向する面の背面を前記記録媒体表面が摺擦移動することで、漸次前記回転体表面から剥離され、最終的に前記記録媒体全面が剥離するように構成されることを特徴とする請求項2に記載の剥離装置。
  4. 前記剥離案内板の前記回転体表面に近接する一辺における、前記ノズルが吐出する個々の圧搾気体の進行方向中心に対向する部位ないしその近傍が、前記回転体表面に向けて突出した形状を有することを特徴とする請求項1に記載の剥離装置。
  5. 少なくとも、表面が加熱されて周動する加熱回転体と、該加熱回転体の表面に当接しニップ部を形成する加圧回転体とを備え、表面に未定着のトナーからなるトナー画像が形成されたシート状の記録媒体を、前記トナー画像が形成された面が前記加熱回転体の表面に当接するように、前記ニップ部に挿通することで、前記トナー画像を定着する定着装置であって、
    前記ニップ部を通過した後、前記トナー画像を構成する溶融状態となったトナーにより前記加熱回転体の表面に貼り付いた状態で搬送される記録媒体を、前記加熱回転体から剥離する剥離装置を備え、かつ、該剥離装置が請求項1〜4のいずれか1に記載の剥離装置であることを特徴とする定着装置。
  6. 前記加熱回転体が、ロール状またはエンドレスベルト状であることを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
  7. 前記加圧回転体が、ロール状またはエンドレスベルト状であることを特徴とする請求項5または6に記載の定着装置。
  8. 少なくとも、電子写真方式によりシート状の記録媒体表面に未定着のトナー画像を形成するトナー画像形成手段と、前記記録媒体表面に保持されたトナー画像を、加熱および加圧することにより定着する定着手段と、を備える画像形成装置であって、
    前記定着手段が、請求項5〜7のいずれか1に記載の定着装置であることを特徴とする画像形成装置。
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