JP4394038B2 - ガス分離装置、ガス分離方法およびガスエンジンコジェネレーションシステム - Google Patents

ガス分離装置、ガス分離方法およびガスエンジンコジェネレーションシステム Download PDF

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Description

本発明は、ガス分離装置、ガス分離方法およびこれらを用いたガスエンジンコジェネレーションシステムに関する。特に、都市ガスを燃料ガスとするガスコジェネレーションシステムの高出力化等に適用して有用な技術に関する。
エネルギー変換効率のよい電力熱源システムとしてガスエンジンコジェネレーションシステムが知られている。ガスエンジンコジェネレーションシステムは、ガスエンジンによる発電機駆動系とボイラー等による燃焼熱利用系を有し、双方の系で燃料ガスを利用する。燃料ガスとしては炭化水素系ガスを利用し、中小規模のシステムでは都市ガスを利用するのが一般的である。都市ガス網は高度に整備されており、中小規模のガスエンジンコジェネレーションシステムを利用するユーザには燃料プラントを整備する必要がなく、簡便に利用できる利点がある。
ここで、都市ガスとは、その種類が燃焼速度とウオッベ指数とで決定されている炭化水素系ガスをいい、燃焼性の類別によって13A、12A、6A等に分けられる。たとえば現在一般に供給されている13Aガスは、ウオッベ指数が52.7〜57.8の範囲にあり、燃焼速度が35〜47の範囲にある都市ガスである。なお、燃焼速度MCPは数1に示す計算式によって得られる数値をいい、ウオッベ指数WIは数2に示す計算式によって得られる数値をいう。
(数1)
MCP=Σ(Si×fi×Ai)/Σ(fi×Ai)×(1−K)
ただし、Siはガス中の各可燃性ガスの燃焼速度であって、水素は282、メタンは36、エタンは41、プロパンは41、ブタンは38である。fiはガス中の各可燃性ガスに係る係数であって、水素は1.00、メタンは8.72、エタンは16.6、プロパンは24.6、ブタンは32.7である。Aiはガス中の各可燃性ガスの含有率(体積百分率)である。Kは減衰係数である。
(数2)
WI=H/√a
ただし、aはガスの空気に対する比重である。Hはガスの熱量(メガジュール)である。
13Aに分類される都市ガス(以下13Aガスという)ではあっても前記の通りその定義に幅があるので、そのガス組成は前記燃焼速度とウオッベ指数の条件を満足する範囲で変化する。現在ユーザに提供されている13Aガスとして、メタン87.7%、エタン6%、プロパン4.9%、ブタン1.4%の平均組成を有する炭化水素混合ガスが例示できる。その真発熱量は41671kJ/m(11.57528kWh/m)である。なお、本明細書では前記のとおり、都市ガスはその種類が燃焼速度とウオッベ指数とで決定されている炭化水素系ガスをいい、13Aガスは前記燃焼速度とウオッベ指数とで決定される定義に従って13Aに分類される炭化水素系ガスの全てをいう。ただし、現在ユーザに提供されている都市ガスは前記例示の平均組成を有する13Aガスであるため、以下の説明では前記例示の平均組成を有する都市ガス(13Aガス)を中心に説明を進める。都市ガスの特性を表す指標として熱量の他にメタン価がある。メタン価とは、ガスエンジンのおけるノッキングのしにくさを示す燃料品質の指標であり、ある燃料のガスエンジンに対するノッキング抵抗がメタンと水素の混合ガスのノッキング抵抗と同じになる場合、その燃料のメタン価はメタン・水素混合ガスのメタン比率で指標される。たとえばメタン価80の燃料ガスは、メタン80%水素20%の混合ガスと同程度のノッキング抵抗を有するガスとして定義される。前記平均組成を有する13Aガスの場合、メタン価は66である。
ガスエンジンコジェネレーションシステムで利用されるガスエンジンは、一般にメタン価が高いほど大きな出力を得ることができる。また、メタン価が高いほどノッキングが発生しにくくなる。よって、メタン価の高い燃料ガスを利用することが望まれるが、ガスエンジンコジェネレーションシステムを利用する特定のユーザにだけメタン価の高い都市ガスを供給するのは現実的でない。すなわち、都市ガスの供給契約は熱量ベースで締結されており、原料である天然ガスの組成比等からユーザに提供される13Aガスの組成比は前記した組成比に定められているのが現状である。このような状況下で供給ガスのメタン価を高めようとすると、都市ガスシステムを複数用意しなければならず現実的ではない。従って、ガスエンジンコジェネレーションシステムに供給される燃料ガスとしてメタン価66程度の13Aガスを前提とせざるを得ない。なお、諸外国における都市ガスの組成比は天然ガス調達先等の事情の相違等から前記例示の組成比とは相違する。そのため諸外国における都市ガスのメタン価は前記した66とは相違する。たとえばヨーロッパにおいては66よりも大きなメタン価の炭化水素ガスが供給されている。このため、ヨーロッパ向けのガスエンジンは日本向けのガスエンジンより同タイプで定格出力が大きくなっている。
都市ガス利用のガスエンジンコジェネレーションシステムにおけるガスエンジンの出力向上およびノッキング余裕の増大のためには、供給される都市ガス(13Aガス)をその場で改質し、メタン価の高い燃料ガスを得てこれをガスエンジンに利用する方策が有効である。ガスエンジンの燃料ガスを改質する技術に関して、特開2002−221098号公報、特開2003−120426号公報、特開2003−120427号公報の各公報に記載がある。前記各公報には、炭化水素系燃料に水を吸熱反応させ、炭化水素の一部を一酸化炭素および水素に転化し、これをガスエンジンに供給する技術が記載されている。このような燃料ガス改質により改質後燃料の発熱量が増加し、発電効率を向上させることができる旨の記載がある。この燃料ガス改質過程では、炭化水素系ガス(たとえばメタン)に水を加え、結果的にメタン、一酸化炭素および水素の混合ガスを生成しているので一種のメタン価制御が行われていることになる。また、燃料ガス改質過程においてたとえば原料ガスへの水素供給量を制御してメタン価を制御する旨の記載もある(特開2002−221098号公報)。
特開2002−221098号公報 特開2003−120426号公報 特開2003−120427号公報
しかし、前記各公報におけるメタン価制御は、炭化水素ガスに水、水素等の別種ガスを添加するものであり、しかも吸熱反応であるため改質には高温環境が必要である。別種ガスを燃料ガスとは別に準備することは、燃料プラントを準備しなくても運用できるという都市ガス利用のガスエンジンコジェネレーションシステムの利便性を大きく減殺する。また、燃料ガス改質のために高温環境が必要なことは、都合よくガスエンジンコジェネレーションシステムの排熱等を利用できるならよいが、別途加熱する手段が必要な場合にはシステム全体の効率を低下させる要因となり好ましくない。よって、別種ガスを添加することなく、また、加熱環境を生成することなく、高いメタン価の炭化水素ガスを生成できる技術の提供が望まれる。
高いメタン価の炭化水素ガスを生成する方策としては、13Aガスから高メタン価ガスを分離する方策が考え得る。もし13Aガスから高メタン価ガスが分離されたなら、残るガスにはメタン価を下げる要因となっているプロパン、ブタン等の組成比が高くなっているはずである。プロパン、ブタンはメタンより熱量が高いので残るガス(低メタン価ガス)の熱量は分離された高メタン価ガスのそれより高くなっている。そうであるなら高メタン価ガスをガスエンジンに供給してエンジン出力を向上する一方低メタン価ガスをボイラー等燃焼熱利用系に供給してガスエンジンコジェネレーションシステム全体の効率向上を図る途が開ける。また、プロパンやブタンはメタンよりも窒素酸化物に対する還元性が高いので低メタン価ガスを脱硝処理に適用するような用途も開ける。さらに、高メタン価ガスをガスエンジンに供給すればガスエンジンの出力が向上して出力余裕が生じるので、ガスエンジンの出力制御等を行えば、燃料効率を向上する途も開けることになる。
本発明の目的は、供給される都市ガスをメタン価の高いガスとメタン価の低いガスとに分離するガス分離技術を提供することにある。また、分離された高メタン価ガスと低メタン価ガスとを各々最適の用途に適用して、ガスエンジンコジェネレーションシステムの効率向上あるいは脱硝処理等に活用できる技術を提供することにある。さらに、ガスエンジンの出力を最適に制御して燃料効率等の向上を実現できる技術を提供することにある。
本願発明を具体的に説明する前に、本願発明の基礎となる本願発明者らが得た知見について説明する。本願発明者らは、たとえばメタン87.7%、エタン6%、プロパン4.9%、ブタン1.4%の平均組成を有する13Aガスの構成ガスであるメタン(CH、以下「C1ガス」と略称する)、エタン(C、以下「C2ガス」と略称する)、プロパン(C、以下「C3ガス」と略称する)、ブタン(C10、以下「C4ガス」と略称する)について吸着材(たとえば活性炭)への吸着量の吸着圧力依存性を研究した。その結果、C1ガスとC4ガスとでは、その吸着量の圧力依存性に大きな相違があることを見出した。すなわち、C4ガスの吸着量はC1ガスのそれより格段に大きい。C1ガス、C4ガスの双方は吸着圧力の増加に従い吸着量が増加するが、単位圧力増加に対する吸着量の増加はC1ガスに比較してC4ガスの方が大きくなる圧力範囲が存在する。なお、実験した圧力範囲は約5kPa(37Torr)〜0.27MPa(2000Torr)の範囲である。また、C3ガスはC4ガスとほぼ同様な特性を示した。
以上の実験結果は、たとえば活性炭が充填された吸着タンクに13Aガスを導入し通過させると、C1ガスより多くのC4ガス(C3ガスについて同じ。以下C3ガスとC4ガスとが同様の特性を示す現象について説明する場合単にC4ガスを説明することによってC3ガスについても説明したものとする。)が吸着し、投入ガスのC4ガス比に対して通過ガスのC4ガス比が小さくなることを意味する。つまり通過ガスのメタン価が大きくなることを示す。このC4ガスの吸着量は吸着圧力が大きくなるほど大きいので、13Aガスを吸着タンクに通過処理する際の処理圧力が大きいほど通過ガスのメタン価は大きくなる(勿論、この論理が成立するにはC4ガス吸着量の圧力依存性が飽和していないことが前提になる)。
以上の知見を利用すれば、吸着材が充填された吸着タンクを通過させる13Aガスの圧力をスイングさせ、吸着および再生(圧力を低下することによりある程度吸着材が再生する)を繰り返すだけで、通過ガスのメタン価を制御させることが可能になる。なお、再生時には吸着していたC4ガスが放出されるため通過ガスのメタン価は低下する。これにより、本発明のガス分離を実現できる。
具体的には、以下のようなガス分離装置を提示できる。すなわち、本願発明のガス分離装置は、複数種の炭化水素化合物が混合された供給ガスを供給するガス供給手段と、内部に吸着材が充填された吸着タンクと、第1捕集タンクおよび第2捕集タンクと、前記吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第1流路と、前記吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第2流路と、前記第1および第2の各流路を開状態または閉状態にする流路制御手段と、を有し、前記ガス供給手段は、前記吸着タンクに第1圧力P1または第2圧力P2(ただしP1>P2)で前記供給ガスを供給可能なものであり、前記供給ガスが前記第1圧力P1で前記吸着タンクに供給されているときには前記第1流路が開状態、前記第2流路が閉状態となるよう前記流路制御手段を制御し、前記供給ガスが前記第2圧力P2で前記吸着タンクに供給されているときには前記第1流路が閉状態、前記第2流路が開状態となるよう前記流路制御手段を制御することにより、前記第1捕集タンクに前記供給ガスのメタン価MNsより高いメタン価の第1ガスを捕集し、前記第2捕集タンクに前記メタン価MNsより低いメタン価の第2ガスを捕集するものである。
吸着材が充填された吸着タンクに高圧(第1圧力P1)で供給ガスを供給しているときには通過ガスのメタン価は高くなるので、流路制御を適切に行うことにより高メタン価ガス(第1ガス)を第1捕集タンクに捕集できる。一方、吸着タンクに低圧(第2圧力P2)で供給ガスを供給しているときには通過ガスのメタン価は低くなるので、流路制御を適切に行うことにより低メタン価ガス(第2ガス)を第2捕集タンクに捕集できる。
上記ガス分離装置において、前記吸着タンクを複数有し、前記複数の吸着タンク毎の前記第1流路および前記第2流路をさらに有し、前記ガス供給手段は、前記複数の吸着タンク毎に前記第1圧力P1または前記第2圧力P2で独立に前記供給ガスを供給可能なものであって、前記ガス供給手段による各吸着タンクへの前記第1圧力P1または前記第2圧力P2での前記供給ガスの供給を、各吸着タンクにおける前記第1圧力P1および前記第2圧力P2での処理サイクルの周期Tを前記複数の吸着タンクの本数Nで除した時間T/Nだけずらしたタイミングで開始するものとすることができる。この場合、複数の吸着タンクにより並列にガス分離処理が行える。また吸着タンク毎の処理を、時間T/Nだけずらしたタイミングで開始する(ただしTは吸着タンクの第1圧力P1および第2圧力P2における処理時間、Nは吸着タンク本数)。これにより、時間的に平均して安定な第1ガスおよび第2ガスの分離が可能になる。
また、本発明で開示する他の発明は、複数種の炭化水素化合物が混合された供給ガスを供給するガス供給手段と、内部に吸着材が充填された第1吸着タンクおよび第2吸着タンクと、第1捕集タンクおよび第2捕集タンクと、前記第1吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第1流路と、前記第1吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第2流路と、前記第2吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第3流路と、前記第2吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第4流路と、前記第1〜第4の各流路を開状態または閉状態にする流路制御手段と、を有し、前記ガス供給手段は、前記第1および第2吸着タンクの何れか一方の吸着タンクに第1圧力P1で前記供給ガスを供給するとともに他方の吸着タンクに第2圧力P2(ただしP1>P2)で前記供給ガスを供給可能なものであり、前記供給ガスが前記第1圧力P1で前記第1吸着タンクに供給されるとともに前記第2圧力P2で前記第2吸着タンクに供給されているときには前記第1および第4流路が開状態、前記第2および第3流路が閉状態となるよう前記流路制御手段を制御し、前記供給ガスが前記第2圧力P2で前記第1吸着タンクに供給されるとともに前記第1圧力P1で前記第2吸着タンクに供給されているときには前記第1および第4流路が閉状態、前記第2および第3流路が開状態となるよう前記流路制御手段を制御することにより、前記第1捕集タンクに前記供給ガスのメタン価MNsより高いメタン価の第1ガスを捕集し、前記第2捕集タンクに前記メタン価MNsより低いメタン価の第2ガスを捕集するガス分離装置である。本発明では、2つの吸着タンクを利用し、一方が吸着過程にあるとき他方を再生過程とし、これを交互に行うことによって単位時間に2倍の分離処理を行うことができる。
さらに、本発明で開示する他の発明は、複数種の炭化水素化合物が混合された供給ガスを供給するガス供給手段と、内部に吸着材が充填された第1乃至第3吸着タンクと、第1捕集タンクおよび第2捕集タンクと、前記第1乃至第3吸着タンクの内部を大気圧以下の減圧状態にまで強制的に排気できる排気手段と、前記第1吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第1流路と、前記第1吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第2流路と、前記第2吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第3流路と、前記第2吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第4流路と、前記第3吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第5流路と、前記第3吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第6流路と、前記第1吸着タンクのガス出口と前記排気手段とを接続する第7流路と、前記第2吸着タンクのガス出口と前記排気手段とを接続する第8流路と、前記第3吸着タンクのガス出口と前記排気手段とを接続する第9流路と、前記第1〜第9の各流路を開状態または閉状態にする流路制御手段と、を有し、前記ガス供給手段は、前記第1乃至第3吸着タンクの何れか一つの吸着タンクに第1圧力P1で前記供給ガスを供給するとともに他の一つの吸着タンクに第2圧力P2(ただしP1>P2)で前記供給ガスを供給し、さらに他の一つの吸着タンクには前記供給ガスを供給しないことが可能なものであり、前記流路制御手段により前記第1乃至第9流路の開閉状態を制御して、前記第1圧力P1で前記供給ガスが供給されている前記第1乃至第3の何れかの吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導いて前記第1ガスを捕集するとともに、前記第2圧力P2で前記供給ガスが供給されている前記第1乃至第3の何れかの吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導いて前記第2ガスを捕集し、同時に、前記供給ガスが供給されていない前記第1〜第3の何れかの吸着タンクの内部を前記排気手段によって排気するガス分離装置である。本発明では、3つの吸着タンクを利用し、吸着タンクの一つを強制的に減圧以下に排気することができるようにして、吸着材の再生を効率的に行うことができる。同一の処理サイクルにある他の2つの吸着タンクにおいては高メタン価の第1ガスと低メタン価の第2ガスへの分離処理を並行して行うことになる。
なお、これらガス分離装置において、前記ガス供給手段による前記吸着タンク、または前記第1、第2もしくは第3吸着タンクへのガス供給(前記第1圧力P1での前記供給ガスの供給、前記第2圧力P2での前記供給ガスの供給または前記供給ガスを供給しない)を一定周期で切替えることができる。また、前記第1捕集タンクのガス入口にメタン価モニタをさらに備え、前記メタン価モニタの出力値を参照して、前記ガス供給手段による前記吸着タンク、または前記第1、第2もしくは第3吸着タンクへの前記供給ガスのガス供給(前記第1圧力P1での前記供給ガスの供給、前記第2圧力P2での前記供給ガスの供給または前記供給ガスを供給しない)を制御することができる。この場合、メタン価モニタの出力値に応じて吸着と再生の処理タイミングの切り替えを制御するので、吸着材の劣化や温度による吸着量の変動が発生してもこれに対応して安定なメタン価の相違するガス分離が実行できる。なお、ここでの制御には、単にバルブ等の流量制御手段を切替えることの他、供給ガスの供給圧力を制御することも含む。また制御には、バルブのオンオフ制御の他、PID制御等のフィードバック制御、将来値を予測し、目標値の変動が発生してもより素早い目標値への到達が期待できるフィードフォワード制御、フィルタ係数等の制御パラメータを適応的に制御する適応制御等、各種の既存の制御手法を適用できる。
前記したガス分離装置において、炭化水素化合物は、メタン、エタン、プロパンおよびブタンとすることができる。また、吸着材としては、活性炭、ゼオライト、有機金属錯体、アルミナまたはシリカを例示できる。吸着材は、都市ガスあるいは天然ガスなどの燃料ガスを吸着しうる物体であり、C1ガスとそれより高分子の炭化水素ガスとで、単位圧力変動当たりの吸着量の差が相違するものであればその材料や構造に制限はない。なお、特に前記供給ガスとして都市ガスを適用する場合には、前記吸着材として、活性炭を適用し、前記第1圧力P1として0.1〜1MPaの範囲内、且つ、前記第2圧力P2として0.01〜0.3MPaの範囲内(ただしP1>P2の条件を満足する範囲に限る)とするのが良好である。
なお、本願発明は、前記したガス分離装置を用いたガス分離方法として把握することも可能である。すなわち、複数種の炭化水素化合物が混合された供給ガスを、前記供給ガスのメタン価MNsより高いメタン価の第1ガスと、前記メタン価MNsより低いメタン価の第2ガスとに分離するガス分離方法であって、(a)吸着材が充填された吸着タンクに前記供給ガスを第1圧力P1で供給し、前記吸着タンクから排出される前記第1ガスを第1捕集タンクに捕集するステップと、(b)前記吸着タンクに前記供給ガスを第2圧力P2(ただしP1>P2)で供給し、前記吸着タンクから排出される前記第2ガスを第2捕集タンクに捕集するステップと、前記(a)および(b)のステップを繰り返すステップと、を有するガス分離方法である。前記(a)ステップで吸着工程を、前記(b)ステップで再生工程を実行していることになる。吸着工程では、前記の通り高メタン価ガス(第1ガス)が得られ、再生工程では前記の通り低メタン価ガス(第2ガス)が得られる。
前記方法において、前記吸着タンクを複数有し、前記吸着タンク毎の前記(a)または前記(b)のステップを、前記(a)および前記(b)のステップを処理するに要する時間Tを前記複数の吸着タンクの本数Nで除した時間T/Nだけずらしたタイミングで開始することができる。本方法によれば、並列処理による分離効率の向上および時間的に安定した分離処理の実現が図れる。
また、複数種の炭化水素化合物が混合された供給ガスを、前記供給ガスのメタン価MNsより高いメタン価の第1ガスと、前記メタン価MNsより低いメタン価の第2ガスとに分離するガス分離方法であって、(a)吸着材が充填された第1吸着タンクに前記供給ガスを第1圧力P1で供給するとともに前記第1吸着タンク同様の第2吸着タンクに前記供給ガスを第2圧力P2(ただしP1>P2)で供給し、前記第1吸着タンクから排出される前記第1ガスを第1捕集タンクに捕集するとともに前記第2吸着タンクから排出される前記第2ガスを第2捕集タンクに捕集するステップと、(b)前記第2吸着タンクに前記供給ガスを前記第1圧力P1で供給するとともに前記第1吸着タンクに前記供給ガスを前記第2圧力P2で供給し、前記第2吸着タンクから排出される前記第1ガスを前記第1捕集タンクに捕集するとともに前記第1吸着タンクから排出される前記第2ガスを前記第2捕集タンクに捕集するステップと、前記(a)および(b)のステップを繰り返すステップと、を有するガス分離方法である。本方法によれば、2つの吸着タンクにより、高圧力での吸着工程(第1ガスへの分離)と低圧力での吸着(第2ガスへの分離:再生工程)を同時に実施できる。前記(a)および(b)ステップのステップを切替えることにより吸着と再生を交互に実施することができる。
さらに、複数種の炭化水素化合物が混合された供給ガスを、前記供給ガスのメタン価MNsより高いメタン価の第1ガスと、前記メタン価MNsより低いメタン価の第2ガスとに分離するガス分離方法であって、(a)吸着材が充填された第1吸着タンクに前記供給ガスを第1圧力P1で供給するとともに前記第1吸着タンク同様の第2吸着タンクに前記供給ガスを第2圧力P2(ただしP1>P2)で供給し、同時に前記第1および第2吸着タンク同様の第3吸着タンクの内部を大気圧以下の減圧状態まで排気し、前記第1吸着タンクから排出される前記第1ガスを第1捕集タンクに捕集するとともに前記第2吸着タンクから排出される前記第2ガスを第2捕集タンクに捕集するステップと、(b)前記第3吸着タンクに前記供給ガスを前記第1圧力P1で供給するとともに前記第1吸着タンクに前記供給ガスを前記第2圧力P2で供給し、同時に前記第2吸着タンクの内部を大気圧以下の減圧状態まで排気し、前記第3吸着タンクから排出される前記第1ガスを前記第1捕集タンクに捕集するとともに前記第1吸着タンクから排出される前記第2ガスを前記第2捕集タンクに捕集するステップと、(c)前記第2吸着タンクに前記供給ガスを前記第1圧力P1で供給するとともに前記第3吸着タンクに前記供給ガスを前記第2圧力P2で供給し、同時に前記第1吸着タンクの内部を大気圧以下の減圧状態まで排気し、前記第2吸着タンクから排出される前記第1ガスを前記第1捕集タンクに捕集するとともに前記第3吸着タンクから排出される前記第2ガスを前記第2捕集タンクに捕集するステップと、前記(a)〜(c)のステップを繰り返すステップと、を有するガス分離方法である。本方法によれば、3つの吸着タンクにより、高圧力での吸着工程(第1ガスへの分離)と低圧力での吸着(第2ガスへの分離)と吸着材の再生工程とを同時に実施できる。前記(a)〜(c)の各ステップを順次切替えることにより第1ガス分離、第2ガス分離および再生を順次サイクリックに実施することができる。
これらガス分離方法において、前記したような供給ガス圧力の切り替えまたは制御、供給ガスあるいは吸着材の選択を適用できることは勿論である。
また、本願では、前記したガス分離装置、ガス分離方法の発明の開示に止まらず、これらを用いたガスエンジンコジェネレーションシステムとしても本願発明を開示する。すなわち、複数種の炭化水素化合物が混合された供給ガスを燃料とし、ガスエンジンと、燃焼熱利用装置と、前記供給ガスを分離するガス分離装置とを備えたガスエンジンコジェネレーションシステムであって、ガス分離装置として前記した発明のガス分離装置を適用し、前記第1ガスを前記ガスエンジンに、前記第2ガスを前記燃焼熱利用装置に供給するガスエンジンコジェネレーションシステム、である。このようなガスエンジンコジェネレーションシステムでは高メタン価の第1ガスをガスエンジンに供給してガスエンジンの出力を増加できることに加えて、低メタン価(すなわち高熱量)の第2ガスを燃焼系に供給して大きな熱量を得ることができる。すなわち、ガスエンジンコジェネレーションシステムの発電容量を増加するとともに全体の効率を向上することができる。
前記したガスエンジンコジェネレーションシステムにおけるガス分離装置に、前記したような供給ガス圧力の切り替えまたは制御、供給ガスあるいは吸着材の選択を適用できることは勿論である。
さらに、前記したガスエンジンコジェネレーションシステムにおいて、前記ガス分離装置から前記ガスエンジンへの前記第1ガスの供給経路に第2メタン価モニタがさらに備えられ、前記第2メタン価モニタの出力値によって、前記ガスエンジンの出力を制御する手段をさらに備えるものとすることができる。ガスエンジンの供給される燃料ガスのメタン価を第2メタン価モニタによってモニタするので、ガスエンジンの出力をモニタ値に応じて適切に制御することができる。高メタン価の第1ガスがガスエンジンの供給できるのでガスエンジンには出力の余裕が発生する。このような余裕があるので出力制御も可能になるという背景もある。
また、前記したガスエンジンコジェネレーションシステムにおいて、前記第2ガスを、前記ガスエンジンの排気ガス脱硝処理設備における還元剤として利用することができる。銀―アルミナ触媒を用いた脱硝処理では、炭化水素ガスも還元剤として利用することが可能である。炭化水素ガスを還元剤とする場合、C1ガスよりC3ガスやC4ガスの方が還元性に優れているため、C3ガス、C4ガスの組成比率の高い第2ガスを用いれば、効率の良い脱硝処理が行える。また、炭化水素ガスを還元剤とすれば、高コストのアンモニアや尿素を用いる必要がなくなり、コストの削減も図ることができる。
本願の発明によれば、供給される都市ガスをメタン価の高いガスとメタン価の低いガスとに分離するガス分離技術を提供できる。また、分離された高メタン価ガスをガスエンジンに供給してガスエンジンの出力を増加するとともに、低メタン価(高熱量)のガスを燃焼系に供給してシステム全体の効率を高めることができる。また、高メタン価のガスが利用可能になるので、メタン価66程度の燃料ガスを前提とする日本向け仕様のガスエンジンのみならず、たとえばヨーロッパ向け仕様のガスエンジンを選択できる可能性が広がる。また、低メタン価ガスはC4ガスおよびC3ガスを多く含むので、炭化水素ガスを還元剤とする脱硝処理を採用する場合には低メタン価ガスを還元剤として利用して脱硝処理の効率化およびコストの低減を図ることができる。さらに、ガスエンジンの出力を最適に制御して燃料効率等の向上を実現できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例であるガスエンジンコジェネレーションシステムの一例を示したブロック図である。本実施の形態のガスエンジンコジェネレーションシステムは、ガス分離装置1、ガスエンジン2、ボイラー3、メタン価モニタ4、エンジン出力コントローラ5を有する。
ガス分離装置1は、都市ガスを高メタン価の第1ガスと低メタン価の第2ガスとに分離する装置である。都市ガスとしてはC1ガス87.7%、C2ガス6%、C3ガス4.9%、C4ガス1.4%の平均組成、メタン価66を有する13Aガス(以下単に13Aガスという)を例示できる。ガス分離装置1については後に詳述する。ガスエンジン2は、ガス分離装置1からの第1ガス(高メタン価ガス)を燃料として駆動される内燃機関である。ガスエンジン2の回転軸によって、図示しない発電機を駆動し、電源を提供する。ボイラー3は、ガス分離装置1からの第2ガス(低メタン価ガス)を燃焼し、その燃焼熱を利用する熱機器である。なお、ここではボイラーを例示しているが、ボイラー以外の燃焼熱利用機器が適用されてもかまわない。たとえば、第2ガスを酸化触媒で燃焼し、その排熱を熱交換器により回収するような系に適用できる。本実施の形態のガスエンジンコジェネレーションシステムでは、ガス分離装置1によって13Aガスが高メタン価の第1ガスと低メタン価の第2ガスとに分離されるため、高メタン価ガス(第1ガス)をガスエンジン2に供給してガスエンジン2の出力を増大できる。これにより、発電容量を増加できる。一方、低メタン価ガス(第2ガス)は13AガスよりC3ガスやC4ガスの組成比が高まっている。このため単位体積当たりの第2ガスの熱量は13Aガスのそれより大きく、熱量の高い第2ガスをボイラー3に供給してガスエンジンコジェネレーションシステムのエネルギー変換効率を高めることができる。第2ガスを酸化触媒により燃焼し排ガスの熱回収を行う場合には、第2ガスの燃焼熱量が高いため排ガス温度が高くなり熱回収における効率を高めることができる。
エンジン出力コントローラ5は、メタン価モニタ4からの出力値を参照し、その出力値に応じたガスエンジン2の出力を制御する。メタン価モニタ4は、ガス分離装置1から供給される第1ガス(高メタン価ガス)のメタン価を計測して出力するモニタ装置である。たとえば、赤外線吸光度の測定値から構成ガス比を推定しメタン価を算出する方式、ガス熱量を測定してメタン価を推定する方式のメタン価モニタが例示できる。前記の通り本実施の形態のガスエンジンコジェネレーションシステムではガス分離装置1によって13Aガスよりメタン価の高い第1ガスがガスエンジン2に供給される。このため、ガスエンジン2には出力余裕を生じる。出力に十分な余裕がある場合にはガスエンジン2の出力を抑制して燃料消費効率を高めることが可能になる。ガスエンジン2の出力余裕の大きさはメタン価によって推定が可能なので、本実施の形態ではガスエンジン2に供給される第1ガスのメタン価をメタン価モニタ4によってモニタし、エンジン出力コントローラ5によりモニタ値に応じたガスエンジン2の出力制御を行っている。
図2は、ガス分離装置1の一例を示したブロック図である。ガス分離装置1には、第1吸着タンク11、第2吸着タンク12、第1捕集タンク13、第2捕集タンク14、レギュレータ15、逆止弁16、バルブV1〜V8を含む。
第1吸着タンク11および第2吸着タンク12にはガス供給口から13Aガスが供給される。ただし、13Aガスは、高圧側ポート17に直接供給される経路と、レギュレータ15および逆止弁16を介して低圧側ポート18に供給される経路の2つの経路で供給される。高圧側ポート17での圧力は供給圧力そのままである。たとえば0.5MPaを例示できる。低圧側ポート18の圧力はレギュレータ15で供給圧力以下に減圧された圧力である。たとえば0.1MPaを例示できる。
高圧側ポート17と第1吸着タンク11の入口ポート19との経路にはバルブV1が配置される。低圧側ポート18と第1吸着タンク11の入口ポート19との経路にはバルブV2が配置される。第1吸着タンク11の出口ポート21と第1捕集タンク13の入口ポート23との経路にはバルブV3が配置される。第1吸着タンク11の出口ポート21と第2捕集タンク14の入口ポート24との経路にはバルブV4が配置される。同様に、第2吸着タンク12の入口ポート20および出口ポート22を経由する高圧側ポート17および低圧側ポート18から第1および第2捕集タンク13,14の入口ポート23,24に至る経路には図2に示すようにバルブV5〜V8が配置されている。第1捕集タンク13からは高メタン価の第1ガスが、第2捕集タンク14からは低メタン価の第2ガスが貯蓄され、使用に応じて適宜供給されることになる。
第1および第2吸着タンク11,12の内部にはたとえば活性炭からなる吸着材が充填されている。ここでは活性炭を例示するが、ゼオライト、有機金属錯体、アルミナ、シリカ等炭化水素ガスを吸着する能力のある吸着材であればそれを適用できる。
以下、第1および第2吸着タンク11,12に13Aガスを通過させた場合の吸着挙動について説明する。図3は、C1ガス(メタン)、C3ガス(プロパン)およびC4ガス(ブタン)のガス吸着量を平衡吸着圧力の関数として示した実験結果のグラフである。吸着材は一般的な活性炭である。この実験結果から以下の考察が得られる。まず、C1ガスに比較してC4ガス、C3ガスの吸着量は格段に大きい。たとえば0.5MPaで13Aガスを供給した場合を考える。この場合、C1ガスの分圧は0.4385MPa(3289Torr)であり、図3の結果を外挿すると活性炭1g当たりのガス吸着量は約2.5mmolである。同条件におけるC4ガスの分圧は7kPa(53Torr)であり、図3の結果から活性炭1g当たりのガス吸着量は約5mmolである。同条件におけるC3ガスの分圧は24.5kPa(184Torr)であり、図3の結果から活性炭1g当たりのガス吸着量は約5mmolである。よって、13Aガスを通過させた場合のガス吸着挙動では、C1ガスが87.7%もの組成比を有するにも関わらず、C4ガス、C3ガスの吸着が支配的になっているといえる。
次に、圧力が高くなるほどC4ガス、C3ガスの吸着量は増加する。よって、ある圧力からより高い圧力に移行した後の高圧力期間では、少なくとも吸着が飽和するまでC4ガスおよびC3ガスが13Aガスから選択的に抜取られる。この結果、高圧力期間に活性炭を通過する通過ガスのC4ガスおよびC3ガスの組成比は低下し、13Aガスより高いメタン価のガスが得られる。逆に、ある圧力からより低い圧力に移行した後の低圧力期間では、吸着していたC3ガスおよびC4ガスが離脱するので、活性炭を通過する通過ガスに含まれるC4ガスおよびC3ガスの量が増加する。この結果、C4ガスおよびC3ガスの組成比が増加し、13Aガスより低いメタン価のガスが得られる。なお、低圧力期間での脱着挙動は、活性炭からのガス離脱であり活性炭の再生過程であると理解できる。
上記の知見を応用すれば、13Aガスから連続的に高メタン価ガスと低メタン価ガスとを分離できる。すなわち、高圧力と低圧力の2つの圧力間をスイングし、高圧力期間では高メタン価ガスを、低圧力期間では低メタン価ガスを捕集すればよい。低圧力期間では活性炭の再生も行われるので別途再生期間を設けることなく、連続的なガス分離が行える。図4は、13Aガス供給圧力を0.1MPaと0.5MPaとの間でスイングさせたときの通過ガスのメタン価を経過時間について示したグラフである。高圧力期間ではほぼ70程度のメタン価が得られ、低圧力期間では60〜64程度のメタン価が得られている。
上記の通り、13Aガスの供給圧力をスイングすれば吸着タンクの出口ポートから流出するガスのメタン価を制御させることができる。よって、図2のガス分離装置1において、第1および第2吸着タンク11,12の入口ポート19,20に適切な圧力で13Aガスが供給され、第1および第2吸着タンク11,12の出口ポート21,22から流出する高メタン価の第1ガスおよび低メタン価の第2ガスを適切に第1および第2捕集タンク13,14に捕集されるようバルブV1〜V8の制御を行えばよい。たとえば、バルブV1およびV6を開にして、第1吸着タンク11に高圧力(たとえば0.5MPa)、第2吸着タンク12に低圧力(たとえば0.1MPa)の13Aガスを供給し、バルブV3およびV8を開にして、第1吸着タンク11からの高メタン価ガスを第1捕集タンク13に、第2吸着タンク12からの低メタン価ガスを第2捕集タンク14に捕集できる。その他のバルブは閉である。そして、吸着が飽和するまでの適切な期間の後に、バルブV2およびV5を開にして、第1吸着タンク11に低圧力、第2吸着タンク12に高圧力の13Aガスを供給し、バルブV4およびV7を開にして、第1吸着タンク11からの低メタン価ガスを第2捕集タンク14に、第2吸着タンク12からの高メタン価ガスを第1捕集タンク13に捕集できる。その他のバルブは閉である。なお、前記説明から明らかに、V1とV2、V3とV4、V5とV6、V7とV8は相補的に動作し、一方が開であれば他方は閉である。
このように第1吸着タンク11が高圧力期間(吸着過程)にある間は第2吸着タンク12を低圧力期間(再生過程)にし、これを定期的に切替えることによって効率の良い分離処理が行える。なお、高圧力期間と低圧力期間の切替え周期は、活性炭への吸着が飽和するまでの期間であって前記分離を行うに十分な時間が確保される条件を満足するなら任意である。たとえば1時間程度を例示することができる。
本実施の形態のガスエンジンコジェネレーションシステムによれば、メタン価の高い第1ガスをガスエンジン2に供給し、熱量の高い第2ガスをボイラー3に供給する。このため、発電容量を大きくし、燃焼熱を増加し、システムの出力増加とエネルギー効率の改善を図ることができる。
以上、本発明を具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。たとえば、上記実施の形態では、ガス供給手段として高圧側ポート17と低圧側ポート18とによって独立に高圧および低圧の供給ガスが供給される例を説明した。しかし、たとえば、高圧ポート17へのガス供給圧力(たとえば0.5MPa)以上の圧力で供給ガスを供給し、これをたとえば圧力制御弁等の圧力制御手段によって適切な圧力に制御する構成も適用できる。この場合、高圧用および低圧用の独立な2つのガス供給手段を用意する必要がある。
また、上記実施の形態では、本発明をガスエンジンコジェネレーションシステムとして説明したが、ガス分離装置および方法としても把握することも可能である。この場合、分離対象のガスは都市ガスに限られず、天然ガス等他の炭化水素ガスであってもかまわない。
また、前記実施の形態のガス分離装置1における第2吸着タンク12は、第1吸着タンク11と相補的な動作を行うことによって分離効率を高める機能がある。しかし、高メタン価ガスと低メタン価ガスとに分離するという観点からは、第2吸着タンク12は必須ではない。第2吸着タンク12を用いない場合にはバルブV5〜V8が不要であることは明白である。
前記実施の形態では、高圧力期間(吸着過程)と低圧力期間(再生過程)とを周期的に切替える例を説明した。しかし、必ずしも周期的に切替える必要はない。たとえば、図5に示すように、第1捕集タンク13の入口付近32にメタン価センサ30を配置し、このメタン価センサ30の出力値によってバルブ制御装置31を制御し、切替えを行っても良い。バルブ制御装置31は、メタン価センサ30の出力値が所定値を下回った場合に高圧力期間(吸着過程)と低圧力期間(再生過程)とを切替えるバルブV1〜V8の操作を行う。第1ガスのメタン価は吸着が飽和に近づくにつれ低下するので、吸着挙動に即したバルブ操作の実行が図れる利点がある。環境温度や供給ガスの組成揺らぎ等によって吸着挙動は変動するので、変動因子に適応したより着実な切り替え操作を実現できる。
また、第1捕集タンク13の入口付近32にメタン価センサ30を有する場合に、図6に示すように、ガス供給手段の供給ガス圧力を圧力調整バルブVV1,VV2によって調整しても良い。この場合の制御方法として、PID制御等のフィードバック制御、将来値を予測し、目標値の変動が発生してもより素早い目標値への到達が期待できるフィードフォワード制御、フィルタ係数等の制御パラメータを適応的に制御する適応制御等、各種の既存の制御手法を適用できる。
また、前記実施の形態では、吸着タンクを2つ有する場合を説明したが、第1〜第3の3つの吸着タンク11,12,35を有するように構成しても良い。この場合、第3吸着タンク35への高圧側ポート17からのガス供給経路にバルブV9を、低圧側ポート18からのガス供給経路にバルブ10を設け、第3吸着タンク35にも高圧および低圧での供給ガスの供給を可能にする。また、ロータリーポンプ等の排気手段36を設置し、各吸着タンクからの排出ガスを排気する経路にバルブV11,V12,V15を配置する。さらに、第3吸着タンク35からの排出ガスを第1捕集タンク13、第2捕集タンク14の各々に導く経路にバルブV13、V14を各々配置する。このような構成におけるガス分離装置では、第1吸着タンク11に高圧の供給ガスを供給(V1が開、V5およびV9が閉)し、バルブV3を開、バルブV4およびV11を閉にして高メタン価の第1ガスを第1捕集タンク13に捕集でき、同時に、第2吸着タンク12に低圧の供給ガスを供給(V6が開、V2およびV10が閉)し、バルブV8を開、バルブV7およびV12を閉にして低メタン価の第2ガスを第2捕集タンク14に捕集でき、さらに同時に、バルブV15を開、バルブV13およびV14を閉にして第3吸着タンク35の内部を減圧し内部に充填されている吸着材を再生できる。なお、この第3吸着タンク35内部の吸着材を再生している状態では、バルブV9およびV10が閉じられているので供給ガスは供給されない。
すなわち、前記図7の変更例では、同一の処理サイクルにおいて第1ガスの分離、第2ガスの分離、吸着材の再生の各処理が3つの吸着タンクによって同時に実行される。これにより吸着材の再生処理を効率的に実施できる。なお、本例における処理サイクルの進行は前記同様所定周期あるいはメタン価センサ30を利用した制御切替を適用できることは勿論である。また、前記図6のように供給ガス圧力を独立に制御できることも勿論である。なお、排気手段36から排出されるガスは低メタン価ガス(第2ガス)であるので、これを第2ガスとして供給または第2捕集タンク14に捕集するよう構成することが可能である。
吸着タンクを3つ有する前記変更例では、何れかの吸着タンクを減圧にして吸着タンク内の吸着材を再生する例を示している。しかし、吸着材の減圧による再生処理は必ずしも必要ではなく、吸着タンクを3つ以上にする構成の場合、各吸着タンクの分離処理を独立に制御して、各吸着タンクの処理サイクルを適切なタイミングでずらして処理を行うことができる。すなわち、図7を用いて例示すると、排気手段36および排気手段36の接続されるバルブV11,V12,V15は必要でなく、第1吸着タンク11、第2吸着タンク12、第3吸着タンク35の各吸着タンクへの供給ガスの供給圧力をバルブV1,V2,V5,V6,V9,V10によって任意に制御し、各吸着タンクへの供給圧力に応じてバルブV3,V4,V7,V8,V13,V14を適切に開閉制御すれば、各吸着タンクでのガス分離処理が独立に制御できる。そして、各吸着タンクへの供給ガス圧力をたとえば低圧力から高圧力に変更するタイミングを、処理サイクル周期T(各吸着タンクにおける高圧処理期間および低圧処理期間の合算期間)を吸着タンク本数3で割った時間T/3だけずらす。これにより、時間的に平均して安定な第1ガスおよび第2ガスを分離できる。すなわち、低圧から高圧に変更した直後には一般に第1ガスのメタン価は高くなり時間経過とともにメタン価が低下する傾向にあるが、各吸着タンクでの処理タイミングをずらすと時間的に平均して高いメタン価の第1ガスが第1捕集タンク13に供給されるようになる。なお、本変更例における吸着タンクを3つ以上にできることは言うまでもない。
また、吸着タンクを1つ有する前記変更例、吸着タンクを2つ有する前記実施の形態、あるいは吸着タンクを3つ有し各吸着タンクを独立に処理制御する前記変更例では、各吸着タンクでの処理に減圧処理による吸着材の再生工程を有さない。これは吸着タンク内を積極的に減圧にするまでもなく供給ガスの低圧供給期間における第2ガスの分離工程が吸着材の再生工程をも兼ねているからであるが、より効率的に吸着材の再生を行うことを考慮して、これら各吸着タンクにおける一連の処理サイクルにおいて、吸着タンク内を積極的に減圧にする再生工程を追加することができるのは勿論である。
また、前記実施の形態では、低メタン価の第2ガスをボイラー3に供給して燃焼熱源として利用する例を説明した。しかし、低メタン価の第2ガスは、たとえば図8に示すように脱硝処理装置40に供給することも可能である。脱硝処理では、炭化水素ガスも還元剤として利用することが可能である。炭化水素ガスを還元剤とする場合、C1ガスよりC3ガスやC4ガスの方が還元性に優れているため、C3ガス、C4ガスの組成比の高い第2ガスを用いれば、効率の良い脱硝処理が行える。また、第2ガスを還元剤とすれば、高コストのアンモニアや尿素を用いる必要がなくなり、コストの削減も図ることができる。
本願発明は、ガス分離装置および方法に関する発明であり、都市ガス利用のガスエンジンコジェネレーションシステムに適用することが可能な発明である。
本発明の一実施例であるガスエンジンコジェネレーションシステムの一例を示したブロック図である。 ガス分離装置1の一例を示したブロック図である。 C1ガス(メタン)、C3ガス(プロパン)およびC4ガス(ブタン)のガス吸着量を平衡吸着圧力の関数として示した実験結果のグラフである。 13Aガス供給圧力を0.1MPaと0.5MPaとの間でスイングさせたときの通過ガスのメタン価を経過時間について示したグラフである。 ガス分離装置の他の例を示したブロック図である。 ガス分離装置のさらに他の例を示したブロック図である。 ガス分離装置のさらに他の例を示したブロック図である。 ガスエンジンコジェネレーションシステムの他の例を示したブロック図である。
符号の説明
1…ガス分離装置、2…ガスエンジン、3…ボイラー、4…メタン価モニタ、5…エンジン出力コントローラ、11…第1吸着タンク、12…第2吸着タンク、13…第1捕集タンク、14…第2捕集タンク、15…レギュレータ、16…逆止弁、17…高圧側ポート、18…低圧側ポート、19…第1吸着タンクの入口ポート、20…第2吸着タンクの入口ポート、21…第1吸着タンクの出口ポート、22…第2吸着タンクの出口ポート、23…第1捕集タンクの入口ポート、24…第1捕集タンクの入口ポート、30…メタン価センサ、31…バルブ制御装置、35…第3吸着タンク、16…排気手段、40…脱硝処理装置、V1〜V15…バルブ、VV1,VV2…圧力調整バルブ。

Claims (26)

  1. 複数種の炭化水素化合物が混合された供給ガスを供給するガス供給手段と、
    内部に吸着材が充填された吸着タンクと、
    第1捕集タンクおよび第2捕集タンクと、
    前記吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第1流路と、
    前記吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第2流路と、
    前記第1および第2の各流路を開状態または閉状態にする流路制御手段と、
    を有し、
    前記ガス供給手段は、前記吸着タンクに第1圧力P1または第2圧力P2(ただしP1>P2)で前記供給ガスを供給可能なものであり、
    前記供給ガスが前記第1圧力P1で前記吸着タンクに供給されているときには前記第1流路が開状態、前記第2流路が閉状態となるよう前記流路制御手段を制御し、前記供給ガスが前記第2圧力P2で前記吸着タンクに供給されているときには前記第1流路が閉状態、前記第2流路が開状態となるよう前記流路制御手段を制御することにより、前記第1捕集タンクに前記供給ガスのメタン価MNsより高いメタン価の第1ガスを捕集し、前記第2捕集タンクに前記メタン価MNsより低いメタン価の第2ガスを捕集するガス分離装置。
  2. 前記吸着タンクを複数有し、
    前記複数の吸着タンク毎の前記第1流路および前記第2流路をさらに有し、
    前記ガス供給手段は、前記複数の吸着タンク毎に前記第1圧力P1または前記第2圧力P2で独立に前記供給ガスを供給可能なものであって、
    前記ガス供給手段による各吸着タンクへの前記第1圧力P1または前記第2圧力P2での前記供給ガスの供給を、各吸着タンクにおける前記第1圧力P1および前記第2圧力P2での処理サイクルの周期Tを前記複数の吸着タンクの本数Nで除した時間T/Nだけずらしたタイミングで開始する請求項1記載のガス分離装置。
  3. 複数種の炭化水素化合物が混合された供給ガスを供給するガス供給手段と、
    内部に吸着材が充填された第1吸着タンクおよび第2吸着タンクと、
    第1捕集タンクおよび第2捕集タンクと、
    前記第1吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第1流路と、
    前記第1吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第2流路と、
    前記第2吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第3流路と、
    前記第2吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第4流路と、
    前記第1〜第4の各流路を開状態または閉状態にする流路制御手段と、
    を有し、
    前記ガス供給手段は、前記第1および第2吸着タンクの何れか一方の吸着タンクに第1圧力P1で前記供給ガスを供給するとともに他方の吸着タンクに第2圧力P2(ただしP1>P2)で前記供給ガスを供給可能なものであり、
    前記供給ガスが前記第1圧力P1で前記第1吸着タンクに供給されるとともに前記第2圧力P2で前記第2吸着タンクに供給されているときには前記第1および第4流路が開状態、前記第2および第3流路が閉状態となるよう前記流路制御手段を制御し、前記供給ガスが前記第2圧力P2で前記第1吸着タンクに供給されるとともに前記第1圧力P1で前記第2吸着タンクに供給されているときには前記第1および第4流路が閉状態、前記第2および第3流路が開状態となるよう前記流路制御手段を制御することにより、前記第1捕集タンクに前記供給ガスのメタン価MNsより高いメタン価の第1ガスを捕集し、前記第2捕集タンクに前記メタン価MNsより低いメタン価の第2ガスを捕集するガス分離装置。
  4. 複数種の炭化水素化合物が混合された供給ガスを供給するガス供給手段と、
    内部に吸着材が充填された第1乃至第3吸着タンクと、
    第1捕集タンクおよび第2捕集タンクと、
    前記第1乃至第3吸着タンクの内部を大気圧以下の減圧状態にまで強制的に排気できる排気手段と、
    前記第1吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第1流路と、
    前記第1吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第2流路と、
    前記第2吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第3流路と、
    前記第2吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第4流路と、
    前記第3吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第5流路と、
    前記第3吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第6流路と、
    前記第1吸着タンクのガス出口と前記排気手段とを接続する第7流路と、
    前記第2吸着タンクのガス出口と前記排気手段とを接続する第8流路と、
    前記第3吸着タンクのガス出口と前記排気手段とを接続する第9流路と、
    前記第1〜第9の各流路を開状態または閉状態にする流路制御手段と、
    を有し、
    前記ガス供給手段は、前記第1乃至第3吸着タンクの何れか一つの吸着タンクに第1圧力P1で前記供給ガスを供給するとともに他の一つの吸着タンクに第2圧力P2(ただしP1>P2)で前記供給ガスを供給し、さらに他の一つの吸着タンクには前記供給ガスを供給しないことが可能なものであり、
    前記流路制御手段により前記第1乃至第9流路の開閉状態を制御して、前記第1圧力P1で前記供給ガスが供給されている前記第1乃至第3の何れかの吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導いて前記第1ガスを捕集するとともに、前記第2圧力P2で前記供給ガスが供給されている前記第1乃至第3の何れかの吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導いて前記第2ガスを捕集し、同時に、前記供給ガスが供給されていない前記第1〜第3の何れかの吸着タンクの内部を前記排気手段によって排気するガス分離装置。
  5. 前記ガス供給手段による前記吸着タンク、または前記第1、第2もしくは第3吸着タンクへのガス供給(前記第1圧力P1での前記供給ガスの供給、前記第2圧力P2での前記供給ガスの供給または前記供給ガスを供給しない)を一定周期で切替える請求項1〜4の何れか一項に記載のガス分離装置。
  6. 前記第1捕集タンクのガス入口に設けられたメタン価モニタをさらに有し、
    前記メタン価モニタの出力値を参照して、前記ガス供給手段による前記吸着タンク、または前記第1、第2もしくは第3吸着タンクへの前記供給ガスのガス供給(前記第1圧力P1での前記供給ガスの供給、前記第2圧力P2での前記供給ガスの供給または前記供給ガスを供給しない)を制御する請求項1〜4の何れか一項に記載のガス分離装置。
  7. 前記炭化水素化合物は、メタン、エタン、プロパンおよびブタンである請求項1〜6の何れか一項に記載のガス分離装置。
  8. 前記吸着材は、活性炭、ゼオライト、有機金属錯体、アルミナまたはシリカである請求項1〜7の何れか一項に記載のガス分離装置。
  9. 前記供給ガスは都市ガスであり、前記吸着材は活性炭であり、前記第1圧力P1は0.1〜1MPaの範囲内、且つ、前記第2圧力P2は0.01〜0.3MPaの範囲内(ただしP1>P2の条件を満足する範囲に限る)、である請求項1〜6の何れか一項に記載のガス分離装置。
  10. 複数種の炭化水素化合物が混合された供給ガスを、前記供給ガスのメタン価MNsより高いメタン価の第1ガスと、前記メタン価MNsより低いメタン価の第2ガスとに分離するガス分離方法であって、
    (a)吸着材が充填された吸着タンクに前記供給ガスを第1圧力P1で供給し、前記吸着タンクから排出される前記第1ガスを第1捕集タンクに捕集するステップと、
    (b)前記吸着タンクに前記供給ガスを第2圧力P2(ただしP1>P2)で供給し、前記吸着タンクから排出される前記第2ガスを第2捕集タンクに捕集するステップと、
    前記(a)および(b)のステップを繰り返すステップと、
    を有するガス分離方法。
  11. 前記吸着タンクを複数有し、
    前記吸着タンク毎の前記(a)または前記(b)のステップを、前記(a)および前記(b)のステップを処理するに要する時間Tを前記複数の吸着タンクの本数Nで除した時間T/Nだけずらしたタイミングで開始する請求項10記載のガス分離方法。
  12. 複数種の炭化水素化合物が混合された供給ガスを、前記供給ガスのメタン価MNsより高いメタン価の第1ガスと、前記メタン価MNsより低いメタン価の第2ガスとに分離するガス分離方法であって、
    (a)吸着材が充填された第1吸着タンクに前記供給ガスを第1圧力P1で供給するとともに前記第1吸着タンク同様の第2吸着タンクに前記供給ガスを第2圧力P2(ただしP1>P2)で供給し、前記第1吸着タンクから排出される前記第1ガスを第1捕集タンクに捕集するとともに前記第2吸着タンクから排出される前記第2ガスを第2捕集タンクに捕集するステップと、
    (b)前記第2吸着タンクに前記供給ガスを前記第1圧力P1で供給するとともに前記第1吸着タンクに前記供給ガスを前記第2圧力P2で供給し、前記第2吸着タンクから排出される前記第1ガスを前記第1捕集タンクに捕集するとともに前記第1吸着タンクから排出される前記第2ガスを前記第2捕集タンクに捕集するステップと、
    前記(a)および(b)のステップを繰り返すステップと、
    を有するガス分離方法。
  13. 複数種の炭化水素化合物が混合された供給ガスを、前記供給ガスのメタン価MNsより高いメタン価の第1ガスと、前記メタン価MNsより低いメタン価の第2ガスとに分離するガス分離方法であって、
    (a)吸着材が充填された第1吸着タンクに前記供給ガスを第1圧力P1で供給するとともに前記第1吸着タンク同様の第2吸着タンクに前記供給ガスを第2圧力P2(ただしP1>P2)で供給し、同時に前記第1および第2吸着タンク同様の第3吸着タンクの内部を大気圧以下の減圧状態まで排気し、前記第1吸着タンクから排出される前記第1ガスを第1捕集タンクに捕集するとともに前記第2吸着タンクから排出される前記第2ガスを第2捕集タンクに捕集するステップと、
    (b)前記第3吸着タンクに前記供給ガスを前記第1圧力P1で供給するとともに前記第1吸着タンクに前記供給ガスを前記第2圧力P2で供給し、同時に前記第2吸着タンクの内部を大気圧以下の減圧状態まで排気し、前記第3吸着タンクから排出される前記第1ガスを前記第1捕集タンクに捕集するとともに前記第1吸着タンクから排出される前記第2ガスを前記第2捕集タンクに捕集するステップと、
    (c)前記第2吸着タンクに前記供給ガスを前記第1圧力P1で供給するとともに前記第3吸着タンクに前記供給ガスを前記第2圧力P2で供給し、同時に前記第1吸着タンクの内部を大気圧以下の減圧状態まで排気し、前記第2吸着タンクから排出される前記第1ガスを前記第1捕集タンクに捕集するとともに前記第3吸着タンクから排出される前記第2ガスを前記第2捕集タンクに捕集するステップと、
    前記(a)〜(c)のステップを繰り返すステップと、
    を有するガス分離方法。
  14. 前記(a)、(b)および(c)の各ステップを各ステップの開始後一定期間の経過後に順次切替えることにより第1ガス分離、第2ガス分離および再生を順次サイクリックに実施する請求項10〜13の何れか一項に記載のガス分離方法。
  15. 前記第1捕集タンクのガス入口にメタン価モニタを設け、
    前記メタン価モニタの出力値を参照して、前記(a)、(b)または(c)の各ステップの進行タイミングを制御する請求項10〜13の何れか一項に記載のガス分離方法。
  16. 前記炭化水素化合物は、メタン、エタン、プロパンおよびブタンである請求項10〜15の何れか一項に記載のガス分離方法。
  17. 前記吸着材は、活性炭、ゼオライト、有機金属錯体、アルミナまたはシリカである請求項10〜16の何れか一項に記載のガス分離方法。
  18. 前記供給ガスは都市ガスであり、前記吸着材は活性炭であり、前記第1圧力P1は0.1〜1MPaの範囲内、且つ、前記第2圧力P2は0.01〜0.3MPaの範囲内(ただしP1>P2の条件を満足する範囲に限る)、である請求項10〜15の何れか一項に記載のガス分離方法。
  19. 複数種の炭化水素化合物が混合された供給ガスを燃料とし、ガスエンジンと、燃焼熱利用装置と、前記供給ガスを分離するガス分離装置とを備えたガスエンジンコジェネレーションシステムであって、
    前記ガス分離装置は、
    前記供給ガスを供給するガス供給手段と、内部に吸着材が充填された吸着タンクと、第1捕集タンクおよび第2捕集タンクと、前記吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第1流路と、前記吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第2流路と、前記第1および第2の各流路を開状態または閉状態にする流路制御手段と、を有し、前記ガス供給手段は、前記吸着タンクに第1圧力P1または第2圧力P2(ただしP1>P2)で前記供給ガスを供給可能なものであり、前記供給ガスが前記第1圧力P1で前記吸着タンクに供給されているときには前記第1流路が開状態、前記第2流路が閉状態となるよう前記流路制御手段を制御し、前記供給ガスが前記第2圧力P2で前記吸着タンクに供給されているときには前記第1流路が閉状態、前記第2流路が開状態となるよう前記流路制御手段を制御することにより、前記第1捕集タンクに前記供給ガスのメタン価MNsより高いメタン価の第1ガスを捕集し、前記第2捕集タンクに前記メタン価MNsより低いメタン価の第2ガスを捕集するものである第1の構成、または、
    前記供給ガスを供給するガス供給手段と、内部に吸着材が充填された第1吸着タンクおよび第2吸着タンクと、第1捕集タンクおよび第2捕集タンクと、前記第1吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第1流路と、前記第1吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第2流路と、前記第2吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第3流路と、前記第2吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第4流路と、前記第1〜第4の各流路を開状態または閉状態にする流路制御手段と、を有し、前記ガス供給手段は、前記第1および第2吸着タンクの何れか一方の吸着タンクに第1圧力P1で前記供給ガスを供給するとともに他方の吸着タンクに第2圧力P2(ただしP1>P2)で前記供給ガスを供給可能なものであり、前記供給ガスが前記第1圧力P1で前記第1吸着タンクに供給されるとともに前記第2圧力P2で前記第2吸着タンクに供給されているときには前記第1および第4流路が開状態、前記第2および第3流路が閉状態となるよう前記流路制御手段を制御し、前記供給ガスが前記第2圧力P2で前記第1吸着タンクに供給されるとともに前記第1圧力P1で前記第2吸着タンクに供給されているときには前記第1および第4流路が閉状態、前記第2および第3流路が開状態となるよう前記流路制御手段を制御することにより、前記第1捕集タンクに前記供給ガスのメタン価MNsより高いメタン価の第1ガスを捕集し、前記第2捕集タンクに前記メタン価MNsより低いメタン価の第2ガスを捕集するものである第2の構成、または、
    前記供給ガスを供給するガス供給手段と、内部に吸着材が充填された第1乃至第3吸着タンクと、第1捕集タンクおよび第2捕集タンクと、前記第1乃至第3吸着タンクの内部を大気圧以下の減圧状態にまで強制的に排気できる排気手段と、前記第1吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第1流路と、前記第1吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第2流路と、前記第2吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第3流路と、前記第2吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第4流路と、前記第3吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導く第5流路と、前記第3吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導く第6流路と、前記第1吸着タンクのガス出口と前記排気手段とを接続する第7流路と、前記第2吸着タンクのガス出口と前記排気手段とを接続する第8流路と、前記第3吸着タンクのガス出口と前記排気手段とを接続する第9流路と、前記第1〜第9の各流路を開状態または閉状態にする流路制御手段と、を有し、前記ガス供給手段は、前記第1乃至第3吸着タンクの何れか一つの吸着タンクに第1圧力P1で前記供給ガスを供給するとともに他の一つの吸着タンクに第2圧力P2(ただしP1>P2)で前記供給ガスを供給し、さらに他の一つの吸着タンクには前記供給ガスを供給しないことが可能なものであり、前記流路制御手段により前記第1乃至第9流路の開閉状態を制御して、前記第1圧力P1で前記供給ガスが供給されている前記第1乃至第3の何れかの吸着タンクからの排出ガスを前記第1捕集タンクに導いて前記第1ガスを捕集するとともに、前記第2圧力P2で前記供給ガスが供給されている前記第1乃至第3の何れかの吸着タンクからの排出ガスを前記第2捕集タンクに導いて前記第2ガスを捕集し、同時に、前記供給ガスが供給されていない前記第1〜第3の何れかの吸着タンクの内部を前記排気手段によって排気するものである第3の構成、
    の何れかの構成を有するものであり、
    前記第1ガスを前記ガスエンジンに、前記第2ガスを前記燃焼熱利用装置に供給するガスエンジンコジェネレーションシステム。
  20. 前記ガス供給手段による前記吸着タンク、または前記第1、第2もしくは第3吸着タンクへのガス供給(前記第1圧力P1での前記供給ガスの供給、前記第2圧力P2での前記供給ガスの供給または前記供給ガスを供給しない)を一定周期で切替える請求項19記載のガスエンジンコジェネレーションシステム。
  21. 前記第1捕集タンクのガス入口に設けられたメタン価モニタをさらに有し、
    前記メタン価モニタの出力値を参照して、前記ガス供給手段による前記吸着タンク、または前記第1、第2もしくは第3吸着タンクへの前記供給ガスのガス供給(前記第1圧力P1での前記供給ガスの供給、前記第2圧力P2での前記供給ガスの供給または前記供給ガスを供給しない)を制御する請求項19記載のガスエンジンコジェネレーションシステム。
  22. 前記炭化水素化合物は、メタン、エタン、プロパンおよびブタンである請求項19〜21の何れか一項に記載のガスエンジンコジェネレーションシステム。
  23. 前記吸着材は、活性炭、ゼオライト、有機金属錯体、アルミナまたはシリカである請求項19〜22の何れか一項に記載のガスエンジンコジェネレーションシステム。
  24. 前記供給ガスは都市ガスであり、前記吸着材は活性炭であり、前記第1圧力P1は0.1〜1MPaの範囲内、且つ、前記第2圧力P2は0.01〜0.3MPaの範囲内(ただしP1>P2の条件を満足する範囲に限る)、である請求項19〜21の何れか一項に記載のガスエンジンコジェネレーションシステム。
  25. 前記ガス分離装置から前記ガスエンジンへの前記第1ガスの供給経路に第2メタン価モニタがさらに備えられ、
    前記第2メタン価モニタの出力値によって、前記ガスエンジンの出力を制御する手段をさらに備える請求項19〜24の何れか一項に記載のガスエンジンコジェネレーションシステム。
  26. 前記第2ガスを、前記ガスエンジンの排気ガス脱硝処理設備における還元剤として利用する請求項19〜25の何れか一項に記載のガスエンジンコジェネレーションシステム。
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