JP4392830B2 - 水栓 - Google Patents

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Description

本発明は、水栓に関する。
水栓の中には、択一に使用される複数の吐水手段を備えるものがある。例えば、「カラン等を用いて構成されるカラン吐水手段」と、「シャワーホース及びシャワーヘッド等を用いて構成されるシャワー吐水手段」とを備える水栓が従来より用いられている。
かかる水栓の水栓本体は、給湯用の元配管から供給される湯を流入させるための「湯側の流入部」と、給水用の元配管から供給される水を流入させるための「水側の流入部」と、を備えている。そして、この水栓本体においては、吐水温度の調節を行うための温度調節部を両流入部の2次側に内蔵し、更に、吐水手段(吐水流路)の切り換えを行うための流路切換部を温度調節部の2次側に内蔵するのが一般的である。
例えば、(a)自動温度調節機構を備えるサーモスタット方式の温度調節部と、この温度調節部の2次側に配置される流路切換部(流路切換弁)とを水栓本体に内蔵する水栓(以下、「サーモスタットタイプの水栓」といい、特許文献1参照の図2等を参照)や、(b)湯と水の混合度合いを別個のハンドルを用いて調節する2ハンドル方式の温度調節部と、この温度調節部の2次側に配置される流路切換部(流路切換弁)とを水栓本体に内蔵する水栓(以下、「2ハンドルタイプの水栓」といい、特許文献2の図9等を参照)が用いられている。
特開2000−240829号公報 特開平10−68153号公報
ところが、これらの従来例には以下のような問題がある。即ち、サーモスタットタイプの水栓においては、湯側の流入部から水栓本体に流入する湯や、水側の流入部から水栓本体に流入する水が自動温度調節機構を通過するときに、この湯の給湯圧やこの水の給水圧が徒に低下すること(予定外の圧力損失を生ずること)がある。このため、「カラン吐水手段」や「シャワー吐水手段」から吐水される湯や水の吐水流量(勢い)を十分に確保できず、水栓の使用勝手が悪くなることがある。
また、サーモスタットタイプの水栓においては、自動温度調節機構の構造が複雑で製造コストが掛かるため、水栓の構造の単純化を図ったり、水栓の製造コストの低廉化を図ることが困難である。更に、自動温度調節機構は、サイズが大型化し易く(例えば、長尺状となり易く)、水栓本体への収納スペースが大きくなり易い。よって、水栓本体のサイズや形状の選択の自由度が低くなるため、デザインの選択の自由度が低くなっているのが実情である。
一方、2ハンドルタイプの水栓においてその水栓本体内で湯・水を混合し、「カラン吐水手段」若しくは「シャワー吐水手段」から吐水させる場合には、操作が面倒で使用勝手が悪くなっている。つまり、このタイプの水栓においては、湯側及び水側の両ハンドルを交互に反復操作して、吐水温度と吐水流量を手動で設定するという、面倒なハンドル操作に加え、流路切換部の操作部を操作する切換操作を行うことも必要であるからである。
また、2ハンドルタイプの水栓においては、吐止水の選択と、吐水方向の切換とを別個の操作部に与えられる別の操作によって行うため、以下のような誤操作と不具合を生ずることがある。つまり、この水栓では、吐水方向の切換操作を行うことなく、吐止水の選択操作を行うことが可能な構造であるため、使用者が流路切換部の操作部の操作位置を十分に確認せずに、湯側のハンドルや水側のハンドルに開放操作を施す可能性がある。例えば、「カラン吐水手段」からの吐水を意図して湯側のハンドルや水側のハンドルに開放操作を施したが、実は、流路切換部の操作部が「シャワー吐水手段を行う側」に操作されたままの状態であっため、使用者の意に反して「シャワー吐水手段」による吐水が開始される可能性がある。そして、かかる場合には、「シャワー吐水手段」から流出する湯水を使用者が浴びてしまう等の不具合を生ずる可能性があるからである。
本発明は、上述の課題を解決するものであり、使用勝手が良く、構造の単純化を図ったり、製造コストの低廉化を図ることが容易で、デザインの選択の自由度が高く、誤操作を生じ難い水栓を提供すること目的とする。
請求項1の発明の水栓は、湯が流入する湯側の流入部と、水が流入する水側の流入部と、カラン吐水手段に繋がるカラン側の流出部と、シャワー吐水手段に繋がるシャワー側の流出部と、を具備する水栓本体を備える水栓であって、
前記水栓本体が、
湯側の流入部から流入する湯の吐水方向を、カラン側の流出部の方向及びシャワー側の流出部の方向のうちの一方向に択一的に切り換えると共に止水機能を備える湯側の切換弁と、
水側の流入部から流入する水の吐水方向を、カラン側の流出部の方向及びシャワー側の流出部の方向のうちの一方向に択一的に切り換えると共に止水機能を備える水側の切換弁と、を備えることを特徴とする。
請求項2の発明の水栓は、湯が流入する湯側の流入部と、水が流入する水側の流入部と、各々別個の吐水手段に繋がる複数の流出部と、を具備する水栓本体を備える水栓であって、
前記水栓本体が、
湯側の流入部から流入する湯の吐水方向を、前記複数の流出部の方向のうちの一方向に択一的に切り換えると共に止水機能を備える湯側の切換弁と、
水側の流入部から流入する水の吐水方向を、前記複数の流出部の方向のうちの一方向に択一的に切り換えると共に止水機能を備える水側の切換弁と、を備えることを特徴とする。
請求項1の発明及び請求項2の発明の水栓では、その水栓本体の内部において、切換弁の1次側に温度調節部(例えば、前述の自動温度調節機構を備える温度調節部)を配置しないため、各吐水手段から吐水される湯や水の吐水流量(勢い)を十分に確保できる。つまり、水栓本体に流入した湯の給湯圧や水栓本体に流入した水の給水圧を徒に低下させる機構を、水栓本体内に配置しないため、各吐水手段から吐水される湯や水の吐水流量(勢い)を十分に確保できる。しかも、「湯側の切換弁の操作部」及び「水側の切換弁の操作部」のうちの一方を操作したり、双方を操作すれば、吐止水の選択と、吐水方向の切換とを行うことができる。よって、請求項1の発明及び請求項2の発明の水栓は操作性が高く、使用勝手に優れる。
また、請求項1の発明及び請求項2の発明の水栓は、吐止水の選択と、吐水方向の切換等を同一の操作部によって行う構造であるため、誤操作を生じ難くできる。つまり、前述の2ハンドルタイプの水栓とは異なり、吐水方向の切換操作を行うことなく、吐止水の選択操作を行うことが不可能な構造である。このため、使用者は、単一の操作部(吐止水の選択と、吐水方向の切換等を同時に行うための操作部)に注意を傾けつつ、この操作部を操作することができるため、「使用者の意に反する吐水手段から湯水が流出する」等の不具合を生ずることを防止できる。
更に、請求項1の発明及び請求項2の発明の水栓では、その水栓本体の内部における切換弁の1次側に、構造が複雑で、製造コストや設置スペースが嵩む部品(例えば、前述の「自動温度調節機構を備える温度調節部」)を配置しない。このため、水栓の機構(構造)の簡略化と製造コストの低廉化を図ることが容易である。また、水栓本体のサイズや形状の選択の自由度が高くなるため、水栓のデザインの選択の自由度が高くなる。
尚、請求項1の発明及び請求項2の発明の水栓では、前述の如く、「湯側の切換弁の操作部」のみに開放操作を施し、湯側の流入部から水栓本体に流入する湯のみを吐水してもよいし、「水側の切換弁の操作部」のみを開放操作を施し、水側の流入部から水栓本体に流入する水のみを吐水してもよい。これらの場合には、単一の操作部のみに施される「一操作」によって、吐止水の選択と吐水方向の選択等を行うことができるため、水栓をより円滑に操作することができる。但し、請求項1の発明及び請求項2の発明の水栓では、「湯側の切換弁の操作部」及び「水側の切換弁の操作部」の双方に開放操作を施し、湯側の流入部から水栓本体に流入する湯と、水側の流入部から水栓本体に流入する水とを、水栓本体の内部で混合した上で、吐水してもよい。
請求項2の発明の「複数の吐水手段」は、請求項1の発明に示す「カラン吐水手段」及び「シャワー吐水手段」に限定されず、吐水態様が異なる種々の「吐水手段」を例示できる。例えば、(a)ハンドシャワー吐水手段(シャワーヘッド及びシャワーホース等によってハンドシャワー吐水を行うシャワー吐水手段)、(b)ミストシャワー吐水手段(霧状に湯水を吐水するミストシャワー吐水を行うシャワー吐水手段)、(c)打たせ湯シャワー吐水手段(使用者に適度な刺激を与えるために滝水等のように湯水をシャワー吐水するシャワー吐水手段)、(d)床清掃シャワー吐水手段(浴室の床面の清掃を行うために、床面に湯水を吐水する床清掃シャワー吐水を行うシャワー吐水手段)、(e)床散湯シャワー吐水手段(浴室の床面を暖めるために、床面に湯水を吐水する床散湯シャワー吐水を行うシャワー吐水手段)、等から選択される複数の吐水手段であってもよい。
請求項3の水栓は、請求項1又は請求項2に記載の水栓において、前記水栓本体の外部であって前記湯側の流入部の1次側の部位に、所定の調温手段を配置すると共に、
前記調温手段によって予め所望温度に温度制御された湯が、前記湯側の流入部から前記水栓本体に流入することを特徴とする。
請求項3の発明は、近年、調温手段(例えば、給湯器)によって行われる「温度制御の精度」が向上したことを考慮してなされたものである。即ち、請求項3の発明においては、水栓本体の1次側で、所望温度に温度制御された「湯」を、湯側の流入部を通じて水栓本体に流入させる。よって、使用者は、調温手段から水栓本体に供給される湯の温度を予め所望温度に設定しておくだけで、より一層、使用勝手の良い状態にて水栓を使用することができる。
例えば、湯を吐水させたい場合(風呂への給湯時、洗髪時、手荒い時、食器洗浄時等)には、「湯側の切換弁の操作部」のみに開放操作を施せば足り、水を吐水させたい場合(清掃時等)には、「水側の切換弁の操作部」のみに開放操作を施せば足りる。つまり、湯側だけ、又は、水側だけの吐水(通水)を行う場合には、一方の切換弁に一操作を施せば足りることになる。換言すると、本水栓のサイドでは、温度調節操作を一切行う必要がないと共に、本水栓に設けられた単一の操作部に施す「一操作」によって、吐水箇所(吐水手段)を選びつつ、円滑な吐水を行うことができる。
但し、請求項3の発明においても、「湯側の切換弁の操作部」及び「水側の切換弁の操作部」の双方に開放操作を施し、湯側の流入部から水栓本体に流入する湯と、水側の流入部から水栓本体に流入する水とを、水栓本体の内部で混合した上で、吐水してもよい。例えば、「湯側の流入部から水栓本体に供給される湯」の温度が僅かに高い場合に、この湯に「水側の流入部から水栓本体に供給される水」を混合することで、吐水温度の調節(例えば、微調節)を行う態様を例示できる。
請求項1〜請求項3の各発明において、「湯側の切換弁」及び「水側の切換弁」の構造、形式は種々選択できる。例えば、(A)互いに平面摺動して、互いの流路の開閉や連通度合い等の調節を行う固定弁体及び可動弁体を備える平面摺動方式の切換弁、(B)対向する一対の弁口に対して弁体を進退させて流路の切換及び流量の調節を行うリフト方式の切換弁、(C)各々円筒状に形成されると共に互いに挿嵌された固定弁体及び可動弁体を有し、互いに周面摺動して流路の開閉を行うロータリー方式の切換弁、(D)弁口と、この弁口方向に付勢されたボール状の弁体とを有し、弁体と弁口とを相対的に移動させて弁口の開閉を行うボール弁方式、等を例示できる。また、請求項1〜請求項3の各発明の「湯側の切換弁」及び「水側の切換弁」は、吐水方向(吐水流路)の切換の他に、止水(「同時止水」若しくは「一時止水」ともいう。)を行うことができる切換弁(所謂「一時止水機能付き切換弁」若しくは「同時止水機能付きの切換弁」)である。例えば、操作部を所定の止水位置にしたときに、止水状態を実現し、操作部をこの止水位置から一の方向に操作すると、一つの吐水方向(吐水流路)を選択でき、操作部をこの止水位置から他の方向に操作すると、他の吐水方向(吐水流路)が選択できる切換弁を例示できる。更に、請求項1〜請求項3の各発明において、「湯側の切換弁」及び「水側の切換弁」は、吐水流路の切換と、止水の他に、吐水流量の調節を行うことができるものであることが望ましい。
以上のように、本各発明によると、使用勝手が良く、構造の単純化を図ったり、製造コストの低廉化を図ることが容易で、デザインの選択の自由度が高く、誤操作を生じ難い水栓が得られる。
次に、本各発明に係わる「水栓」の最良の形態(以下、「実施例」という。)を図面に従って詳細に説明する。
本実施例では、本各発明の一具体例を示す水栓10と、この水栓10を備える「水栓設備S」について説明する。この「水栓設備S」は、水栓10と、給湯用の元配管部1Aと、給水用の元配管部1Bと、を備えている。
給湯用の元配管部1Aは、水栓10の1次側において所望温度に温度制御された湯を、水栓10に対して供給するためのものである。この給湯用の元配管部1Aを構成する配管の経路途中には、その一次側から2次側に向かって、給湯器51と、湯側の止水栓2aと、湯側の逆止弁3aと、湯側のストレーナ5aとがこの順に介在されている。
給湯器51は、調温手段の一具体例を構成するものであり、給湯制御装置52と、給湯操作部(スイッチ)53とが電気的に接続されている。そして、使用者が、給湯操作部(スイッチ)53によって、所望の温度を指定すると、給湯器51に内蔵されたセンサ(温度センサや流量センサ等)と、給湯制御装置(マイクロコンピュターや制御プログラム等で構成)等の働きにより、給湯器51から水栓10方向に流入する「湯」の温度が、所望の温度に制御される構成となっている。
給水用の元配管部1Bは、給水源(C)の水を、水栓10に対して、そのまま供給するためのものである。この給水用の元配管部1Bを構成する配管の経路途中には、その一次側から2次側に向かって、水側の止水栓2bと、水側の逆止弁3bと、水側のストレーナ5bとがこの順に介在されている。
水栓10は、水栓本体11と、カラン吐水手段30と、シャワー吐水手段40とを備えている。このうち、水栓本体11は、図2に示すように、背面の左端側に給湯口12を設け、背面の右端側に給水口13を設けている。この給湯口12は「湯側の流入部」の一具体例を示し、給水口13は「水側の流入部」の一具体例を示している。尚、本明細書において「左」、「右」、「前」、「後」等の方向は、使用者を基準に定めたものである。
水栓本体11の底面には、カラン接続口14が設けられ、水栓本体11の背面の中央には、シャワー接続口15が設けられている。このカラン接続口14は「カラン側の流出部」の一具体例を示し、シャワー接続口15は「シャワー側の流出部」の一具体例を示している。
水栓本体11の内部では、左端側及び右端側に、収納室16、17が形成されている。そして、左端側の収納室16には「湯側の切換弁20」が収納され、右端側の収納室17には「水側の切換弁21」が収納されている。
水栓本体11の内部においては、給湯口12と左端側の収納室16とを連絡する状態に給湯路18aが形成され、給水口13と右端側の収納室17とを連絡する状態に給水路18bが形成されている。また、水栓本体11の内部においては、カラン接続口14と、両収納室16、17とを連絡する状態にカラン吐水路19aが形成されると共に、シャワー接続口15と、両収納室16、17とを連絡する状態に、シャワー吐水路19bが形成されている。
両切換弁20、21は何れも、「止水機能付きの弁機構(図示を省略)」を内蔵している。また、両切換弁20、21は、その前端面から操作軸(スピンドル等)20a、21aの前端側の部分を突出させている。そして、この操作軸(スピンドル等)20a、21aの前端側の部分は、水栓本体11の前面の前方に突出している。更に、湯側の切換弁20の操作軸(スピンドル等)20aの前端側の部分には、湯側のハンドル22が一体駆動可能な状態(例えば、一体回動可能な状態)に取着され、水側の切換弁21の操作軸(スピンドル等)21aの前端側の部分には、水側のハンドル23が一体駆動可能な状態(例えば、一体回動可能な状態)に取着されている。尚、各ハンドル22、23は、何れも、その周面から取っ手部22a、23aを突出させている。
湯側の切換弁20は、後端部に湯取入口20bを開口させ、側周面の前方寄りに、カラン側の湯取出口20cを開口させると共に、側周面の後方寄りに、シャワー側の湯取出口20dを開口させている。そして、湯取入口20bは給湯路18aの2次側の端部と連続し、カラン側の湯取出口20cは、カラン吐水路19aの「湯側の切換弁20側に位置する1次側端部」と連続すると共に、シャワー側の湯取出口20dは、シャワー吐水路19bの「湯側の切換弁20側に位置する1次側端部」と連続している。
水側の切換弁21は、後端部に水取入口21bを開口させ、側周面の前方寄りに、カラン側の水取出口21cを開口させると共に、側周面の後方寄りに、シャワー側の水取出口21dを開口させている。そして、水取入口21bは給水路18bの2次側の端部と連続し、カラン側の水取出口21cは、カラン吐水路19aの「水側の切換弁21側に位置する1次側端部」と連続すると共に、シャワー側の水取出口21dは、シャワー吐水路19bの「水側の切換弁21側に位置する1次側端部」と連続している。
湯側の切換弁20において、湯側のハンドル22を止水位置(例えば、中間位置であって、図2の如く、取っ手部22aが上方に位置する状態)に操作すると、切換弁20内の弁機構が止水状態に駆動される。このため、湯取入口20bは、カラン側の湯取出口20c及びシャワー側の湯取出口20dと「非連通な状態」となる。従って、給湯口12から水栓本体11の内部(給湯路18a)に供給される湯は、湯側の切換弁20の2次側、つまり、カラン吐水路19a及びシャワー吐水路19bには流れ込まない状態となる。
また、湯側のハンドル22を、カラン吐水を行う方向(例えば、図4の如く、取っ手部22aが左方に位置する状態)に操作すると、切換弁20内の弁機構が開放操作され、湯取入口20bと、カラン側の湯取出口20cとが連通する。これにより、給湯口12から水栓本体11の内部(給湯路18a)に供給される湯は、カラン吐水路19aに流れ込む。このとき、ハンドル22の操作量(止水位置からのカラン吐水を行う方向への回動量)に応じて、弁機構の開放量が選択される。つまり、ハンドル22の操作量の多少に応じて、カラン吐水路19aに流れ込む「湯」の量を選択することができる。
また、湯側のハンドル22を、シャワー吐水を行う方向(例えば、図5の如く、取っ手部22aが右方に位置する状態)に操作すると、切換弁20内の弁機構が開放操作され、湯取入口20bと、シャワー側の湯取出口20dとが連通する。これにより、給湯口12から水栓本体11の内部(給湯路18a)に供給される湯は、シャワー吐水路19bに流れ込む。このとき、ハンドル22の操作量(止水位置からシャワー吐水を行う方向への回動量)に応じて、弁機構の開放量が選択される。つまり、ハンドル22の操作量の多少に応じて、シャワー吐水路19bに流れ込む「湯」の量を選択することができる。
水側の切換弁21においても、水側のハンドル23を止水位置(例えば、中間位置であって、図2の如く、取っ手部23aが上方に位置する状態)に操作すると、切換弁21内の弁機構が止水状態に駆動される。このため、水取入口21bは、カラン側の水取出口21c及びシャワー側の水取出口21dと「非連通な状態」となる。従って、給水口13から水栓本体11の内部(給水路18b)に供給される水は、水側の切換弁21の2次側、つまり、カラン吐水路19a及びシャワー吐水路19bには流れ込まない状態となる。
また、水側のハンドル23を、カラン吐水を行う方向(例えば、図6の如く、取っ手部22aが左方に位置する状態)に操作すると、切換弁21内の弁機構が開放操作され、水取入口21bと、カラン側の水取出口21cとが連通する。これにより、給水口13から水栓本体11の内部(給水路18b)に供給される水は、カラン吐水路19aに流れ込む。このとき、ハンドル22の操作量(止水位置からのカラン吐水を行う方向への回動量)に応じて、弁機構の開放量が選択される。つまり、ハンドル22の操作量の多少に応じて、カラン吐水路19aに流れ込む「水」の量を選択することができる。
また、水側のハンドル23を、シャワー吐水を行う方向(例えば、図7の如く、取っ手部22aが右方に位置する状態)に操作すると、切換弁21内の弁機構が開放操作され、水取入口21bと、シャワー側の水取出口21dとが連通する。これにより、給水口13から水栓本体11の内部(給水路18b)に供給される水は、シャワー吐水路19bに流れ込む。このとき、ハンドル23の操作量(止水位置からシャワー吐水を行う方向への回動量)に応じて、弁機構の開放量が選択される。つまり、ハンドル23の操作量の多少に応じて、シャワー吐水路19bに流れ込む「水」の量を選択することができる。
カラン吐水手段30はカラン31を用いて構成され、このカラン31の一次側の端部は、カラン接続口14に接続されている。また、シャワー吐水手段40は、シャワーホース41と、シャワーヘッド44とを備えている。そして、シャワーホース41の一次側の端部がシャワー接続口15に接続され、シャワーホース41の二次側の端部にシャワーヘッド44の基端部が接続されている。
次に、図3〜図9を用いて、本水栓設備Sの使用例を簡単に説明する。尚、図3(a)、図4(a)、図5(a)、図6(a)、図7(a)、図8(a)、及び図9(a)において、「流路部分のうちで実線で表示した箇所」は、「通水状態にある箇所」を示し、「流路部分のうちで破線で表示した箇所」は、「通水状態にない箇所」を示している。
先ず、図3に示すように、両ハンドル22、23が止水位置にあると、両切換弁20、21内の弁機構は止水状態とされている。このため、給湯用の元配管部1Aから供給される湯が、湯側の切換弁20の2次側(カラン吐水路19a及びシャワー吐水路19b)に流出できない共に、給水用の元配管部1Bから供給される水が、水側の切換弁21の2次側(カラン吐水路19a及びシャワー吐水路19b)に流出できないため、本水栓10は止水状態となる。
図4に示すように、湯側のハンドル22のみを、止水位置からカラン吐水を行う方向に操作すると、湯取入口20bと、カラン側の湯取出口20cとが連通し、給湯口12から水栓本体11の内部(給湯路18a)に供給される湯がカラン吐水路19aに流れ込む。これにより、カラン吐水手段30からの「湯」の吐水が行われる。一方、図5に示すように、湯側のハンドル22のみを、止水位置からシャワー吐水を行う方向に操作すると、湯取入口20bと、シャワー側の湯取出口20dとが連通し、給湯口12から水栓本体11の内部(給湯路18a)に供給される湯がシャワー吐水路19bに流れ込む。これにより、シャワー吐水手段40からの「湯」の吐水が行われる。
図6に示すように、水側のハンドル23のみを、止水位置からカラン吐水を行う方向に操作すると、水取入口21bと、カラン側の水取出口21cとが連通し、給水口13から水栓本体11の内部(給水路18b)に供給される水がカラン吐水路19aに流れ込む。これにより、カラン吐水手段30からの「水」の吐水が行われる。一方、図7に示すように、湯側のハンドル23のみを、止水位置からシャワー吐水を行う方向に操作すると、水取入口21bと、シャワー側の水取出口21dとが連通し、給水口13から水栓本体11の内部(給水路18b)に供給される水がシャワー吐水路19bに流れ込む。これにより、シャワー吐水手段40からの「水」の吐水が行われる。
図8に示すように、湯側のハンドル22及び水側のハンドル23を、止水位置からカラン吐水を行う方向に操作すると、湯取入口20b及び水取入口21bが、カラン吐水路19aと連通する。このため、給湯用の元配管部1Aから供給される湯と、給水用の元配管部1Bから供給される水とが、カラン吐水路19aに流れ込んで混合される。一方、図9に示すように、水側のハンドル22及び水側のハンドル23を、止水位置からシャワー吐水を行う方向に操作すると、湯取入口20b及び水取入口21bが、シャワー吐水路19bと連通する。このため、給湯用の元配管部1Aから供給される湯と、給水用の元配管部1Bから供給される水とが、シャワー吐水路19bに流れ込んで混合される。
つまり、本実施例においては、湯側のハンドル22及び水側のハンドル23の双方を同一の方向(カラン吐水方向若しくはシャワー吐水方向のうちの一方)に操作すると、給湯用の元配管部1Aから供給される湯と、給水用の元配管部1Bから供給される水とが水栓本体11内で混合される。このとき、「湯」と「水」の混合比率は、湯側のハンドル22の操作量と、水側のハンドル23の操作量との比に応じて選択され、これにより、「湯」と「水」とを混合して構成される湯水の温度が選択される。但し、本実施例では、給湯用の元配管部1Aから供給される湯の温度は、調温手段によって所望温度に制御されているため、図8及び図9の如く、湯水を混合する必要性は乏しい。
以上の本実施例の水栓10では、その水栓本体11の内部において、切換弁20、21の1次側に温度調節部(例えば、自動温度調節機構を備える温度調節部)を配置しないため、カラン吐水手段30やシャワー吐水手段40から吐水される湯や水の吐水流量(勢い)を十分に確保できる。つまり、水栓本体11に流入した湯の給湯圧や水栓本体に流入した水の給水圧を徒に低下させる機構を、水栓本体11内に配置しないため、カラン吐水手段30やシャワー吐水手段40から吐水される湯や水の吐水流量(勢い)を十分に確保できる。また、本実施例の水栓10では、湯側のハンドル22及び水側のハンドル23のうちの一方を操作したり、双方を操作すれば、吐止水の選択と、吐水流量の選択と、吐水方向の切換とを行うことができる。よって、本実施例の水栓10は、操作性が高く、使用勝手が優れている。
また、本実施例の水栓10は、吐止水の選択と、吐水方向の切換等を同一の操作部(湯側のハンドル22若しくは水側のハンドル23)によって行う構造であるため、誤操作を生じ難くできる。つまり、2ハンドルタイプの水栓とは異なり、吐水方向の切換操作を行うことなく、吐止水の選択操作を行うことが不可能な構造である。このため、使用者は、単一の操作部(吐止水の選択と、吐水方向の切換等を同時に行うための操作部であって、湯側のハンドル22若しくは水側のハンドル23)に注意を傾けつつ、この操作部を操作することができるため、「使用者の意に反する吐水手段から湯水が流出する」等の不具合を生ずることを防止できる。
更に、本実施例の水栓10では、その水栓本体11の内部における切換弁20、21の1次側に構造が複雑で、製造コストや設置スペースが嵩む部品(例えば、「自動温度調節機構を備える温度調節部」)を配置しない。このため、水栓10の機構(構造)の簡略化と製造コストの低廉化を図ることが容易である。また、水栓本体11のサイズや形状の選択の自由度が高くなり、水栓10のデザインの選択の自由度が高くなる。
また、本実施例の水栓10では、水栓本体11の1次側で所望温度に温度制御された「湯」を、湯側の流入部(給湯口12)を通じて水栓本体11に流入させる。つまり、使用者は、給湯器51から水栓本体11に供給される湯の温度を予め所望温度に設定しておけば、より一層、使用勝手の良い状態にて水栓を10使用することができる。例えば、湯を吐水させたい場合(風呂への給湯時、洗髪時、手荒い時、食器洗浄時等)には、湯側のハンドル22のみに開放操作を施せば足り、水を吐水させたい場合(清掃時等)には、水側のハンドル23のみに開放操作を施せば足りるからである。換言すると、湯側だけ、又は、水側だけの吐水(通水)を行う場合には、一方のハンドル(22若しくは23)に一操作を施せば足りることになる。尚、本実施例の水栓10では、両ハンドル(22若しくは23)に開放操作を施し、給湯口12から水栓本体11に流入する湯と、給水口13から水栓本体11に流入する水とを、水栓本体11の内部で混合した上で、何れかの吐水手段(カラン吐水手段30若しくはシャワー吐水手段40)からの吐水を行うこともできる。
尚、本各発明の範囲は前記各実施例に示す具体的な態様に限定されず、本各発明の範囲内で種々の変形例を例示できる。
即ち、湯側の切換弁20の操作部の位置と、水側の切換弁21の操作部の位置は、実施例に示すものに限定されない。例えば、図10に示す変形例のように、各切換弁20、21の操作部(湯側のハンドル22若しくは水側のハンドル23)を、水栓10の側面に配置してもよいし、両切換弁20、21の操作部を、水栓10の上面に配置したり、両切換弁20、21の操作部を、水栓10の異なる面に配置してもよい。即ち、水栓本体の前面、右側面、左側面、及び上面のから選択される1つの面に、一方の操作部を配置し、他の面に他方の操作部を配置してもよい。尚、図10の水栓では、実施例(図2等)に示す水栓10と同様な部分(部材)に関しては、同一の符号を付し、説明を省略する。
また、この変形例では、何れの操作部(湯側のハンドル22及び水側のハンドル23)も、取っ手部22a、23bが水平で、しかも、前方に向けられたときに、各切換弁20、21が止水状態となる。そして、操作部(湯側のハンドル22や水側のハンドル23)に対して、取っ手部22a、23bが上方(斜め上方や、真上)を向くような回動操作が加えられる(図10の破線を参照)と、シャワー吐水手段40による吐水が開始され、その吐水流量は、操作部の回動操作量に応じて定められる。一方、操作部(湯側のハンドル22及び水側のハンドル23)に対して、取っ手部22a、23bが下方(斜め下方や、真下)を向くような回動操作が加えられると、カラン吐水手段30による吐水が開始され、その吐水流量は、操作部の回動操作量に応じて定められる。
ところで、使用者の体や衣服等が誤って、取っ手部22a、23bに触れた場合、操作部(湯側のハンドル22及び水側のハンドル23)には、取っ手部22a、23bが下方(斜め下方や、真下)を向くような回動操作が加えられ易い。つまり、この変形例では、使用者の体や衣服等が誤って、取っ手部22a、23bに触れ、操作部(湯側のハンドル22及び水側のハンドル23)の誤操作が生じた場合に、カラン吐水手段30による吐水を生じ易いが、「シャワー吐水手段40による吐水」を生じ難くなっている。よって、本変形例では、「使用者の体や衣服等が誤って取っ手部22a、23bに触れて起こる誤操作」に伴って、「シャワー吐水手段40による吐水」がなされる可能性が低い。つまり、「使用者の体や衣服等が誤って取っ手部22a、23bに触れる」等の事態を生じても、「シャワー吐水手段40による吐水を使用者が誤ってかぶる」という、不具合を生じ難くなっている。
また、本実施例では、水栓本体11の内部において、給湯用の元配管部1Aから供給される湯と、給水用の元配管部1Bから供給される水とを混合可能な態様を例示した。但し、本各発明の水栓は、このような混合を行わないものであってもよい。
例えば、請求項1〜請求項3の発明の水栓やその周囲に、以下のような禁止手段を設けてもよい。(A)「湯側の切換弁の操作部」及び「水側の切換弁の操作部」の一方に開放操作が施されたときに、他方に開放操作が施されることを禁止する禁止手段、(B)「湯側の切換弁の操作部」に開放操作が施されたときに、水側の流入部から水栓本体に水が流入することを禁止し、「水側の切換弁の操作部」に開放操作が施されたときに、湯側の流入部から水栓本体に湯が流入することを禁止する禁止手段、(C)「湯側の切換弁の操作部」に開放操作が施されたときに、水側の流入部から水栓本体に流入した水が「水側の切換弁」の2次側に流出することを禁止し、「水側の切換弁の操作部」に開放操作が施されたときに、湯側の流入部から水栓本体に流入した湯が「湯側の切換弁」の2次側に流出することを禁止する禁止手段、等を設ける態様を例示できる。
また、水栓本体において、「湯側の切換弁の2次側に位置する部分」と、「水側の切換弁の2次側に位置する部分」とを別個独立に設けると共に、湯吐水専用の吐水手段と、水吐水専用の吐水手段と、を用意することで、湯側の流入部から水栓本体に流入する湯と、水側の流入部から水栓本体に流入する水とを、水栓本体の内部で混合する態様を排除することもできる。例えば、実施例や変形例において、カラン吐水路19a及びシャワー吐水路19bの双方、若しくは、一方を湯吐水専用のものと、水吐水専用のものとに分けて構成することもできる。そして、「専用」の吐水路の端末毎に、湯吐水専用若しくは水吐水専用の吐水手段を接続すればよい。
本発明は、例えば、水栓の製造、販売、施工、加工等を行う分野で利用可能である。
実施例の水栓設備(水栓)を示すブロック図である。 実施例の水栓本体を示す概略的な横断面図である。 (a)及び(b)は実施例の水栓設備(水栓)の使用例を示す説明図である。 (a)及び(b)は実施例の水栓設備(水栓)の使用例を示す説明図である。 (a)及び(b)は実施例の水栓設備(水栓)の使用例を示す説明図である。 (a)及び(b)は実施例の水栓設備(水栓)の使用例を示す説明図である。 (a)及び(b)は実施例の水栓設備(水栓)の使用例を示す説明図である。 (a)及び(b)は実施例の水栓設備(水栓)の使用例を示す説明図である。 (a)及び(b)は実施例の水栓設備(水栓)の使用例を示す説明図である。 変形例の水栓本体を示す概略的な横断面図である。
符号の説明
10;水栓、
11;水栓本体、
12;給湯口(湯側の流入部)、
13;給水口(水側の流入部)、
14;カラン接続口(カラン側の流出部)、
15;シャワー接続口(シャワー側の流出部)、
20;湯側の切換弁、
21;水側の切換弁、
30;カラン吐水手段、
40;シャワー吐水手段、
51;給湯器(調温手段)。

Claims (3)

  1. 湯が流入する湯側の流入部と、水が流入する水側の流入部と、カラン吐水手段に繋がるカラン側の流出部と、シャワー吐水手段に繋がるシャワー側の流出部と、を具備する水栓本体を備える水栓であって、
    前記水栓本体が、
    湯側の流入部から流入する湯の吐水方向を、カラン側の流出部の方向及びシャワー側の流出部の方向のうちの一方向に択一的に切り換えると共に止水機能を備える湯側の切換弁と、
    水側の流入部から流入する水の吐水方向を、カラン側の流出部の方向及びシャワー側の流出部の方向のうちの一方向に択一的に切り換えると共に止水機能を備える水側の切換弁と、を備えることを特徴とする水栓。
  2. 湯が流入する湯側の流入部と、水が流入する水側の流入部と、各々別個の吐水手段に繋がる複数の流出部と、を具備する水栓本体を備える水栓であって、
    前記水栓本体が、
    湯側の流入部から流入する湯の吐水方向を、前記複数の流出部の方向のうちの一方向に択一的に切り換えると共に止水機能を備える湯側の切換弁と、
    水側の流入部から流入する水の吐水方向を、前記複数の流出部の方向のうちの一方向に択一的に切り換えると共に止水機能を備える水側の切換弁と、を備えることを特徴とする水栓。
  3. 前記水栓本体の外部であって前記湯側の流入部の1次側の部位に、所定の調温手段を配置すると共に、
    前記調温手段によって予め所望温度に温度制御された湯が、前記湯側の流入部から前記水栓本体に流入することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水栓。
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