JP4391632B2 - 画像生成システム及び情報記憶媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像生成システム及び情報記憶媒体に関する。
【0002】
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、仮想的な3次元空間であるオブジェクト空間内の所与の視点(仮想カメラ)から見える画像を生成する画像生成システムが知られており、いわゆる仮想現実を体験できるものとして人気が高い。レーシングゲームを楽しむことができる画像生成システムを例にとれば、プレーヤは、レーシングカー(オブジェクト)を操作してオブジェクト空間内で走行させ、他のプレーヤやコンピュータが操作するレーシングカーと競争することで3次元ゲームを楽しむ。
【0003】
さて、このような画像生成システムでは、視点から見えない部分を消去し、視点から見える部分だけを表示するための陰面消去が必要になる。そして、この陰面消去の中で代表的なもとのしては、奥行きソート法と呼ばれるものや、Zバッファ法と呼ばれるものが知られている。
【0004】
奥行きソート法(Zソート法)では、視点からの距離に応じてポリゴン(広義には面)をソーティングし、視点から遠い順にポリゴンを描画する。この奥行きソート法には、アルゴリズムが簡易であると共に陰面消去の処理負荷が軽いという利点がある反面、代表値によるソーティングだけでは正確な陰面消去ができないという不利点がある。なお、奥行きソート法において正確な陰面消去を実現する従来技術としては、例えば特開平6−203172号公報に開示される技術が知られている。
【0005】
一方、Zバッファ法では、画面の全てのピクセル(ドット)についてのZ値(奥行き値)を格納するZバッファを用意し、このZバッファを利用して陰面消去を行う。このZバッファ法では、奥行きソート法に比べて陰面消去の処理負荷が重いという不利点がある反面、ピクセル単位で陰面消去が行われるため、奥行きソート法よりも正確な陰面消去が可能になるという利点がある。
【0006】
さて、このZバッファ法では、ポリゴンの各ピクセルのZ値は、ポリゴンの各頂点のZ値に基づく補間演算により求められる。そして、この補間演算の誤差に起因して、ポリゴンの前後関係が狂ってしまい、本来は後ろに隠されるべきポリゴンの各部分が、前に表示されてしまうという問題があることが判明した。
【0007】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、Zバッファ法における陰面消去の誤りの問題を少ない処理負担で解決できる画像生成システム及び情報記憶媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、画像を生成するための画像生成システムであって、ジオメトリ処理後の複数のプリミティブ面が同一又はほぼ同一のZ値を有する場合において、複数のプリミティブ面の中の少なくとも1つのプリミティブ面のZ値に対して、Zシフト値を加算又は減算するZシフト手段と、前記Z値が格納されるZバッファを用いて陰面消去を行いながら、プリミティブ面を描画する描画手段とを含むことを特徴とする。また本発明に係る情報記憶媒体は、コンピュータにより使用可能な情報記憶媒体であって、上記手段を実行するためのプログラムを含むことを特徴とする。また本発明に係るプログラムは、コンピュータにより使用可能なプログラム(搬送波に具現化されるプログラムを含む)であって、上記手段を実行するための処理ルーチンを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ジオメトリ処理後において同一(又はほぼ同一)のZ値(奥行き値)を有するプリミティブ面(ポリゴン、曲面等)のZ値に対して、Zシフト値が加算又は減算(シフト)される。従って、これらのプリミティブ面が重ねて描画された場合等においても、補間処理の演算誤差等に起因して陰面消去に誤りが生じる問題を、少ない処理負担で解決できる。
【0010】
また本発明に係る画像生成システム、情報記憶媒体及びプログラムは、前記描画手段が、前記プリミティブ面単位で描画処理を行う場合において、処理対象となる面を、複数のプリミティブ面に分割する手段(該手段を実行するためのプログラム)を含むことを特徴とする。このように、面(例えば四角形以上のポリゴン)が複数のプリミティブ面(例えば三角形ポリゴン)に分割される場合には、分割の仕方によって、面が、異なる形状のプリミティブ面に分割されてしまう場合がある。このような場合にも、本発明によれば、プリミティブ面のZ値にZシフト値を加算又は減算することで、陰面消去に誤りが生じる問題を解決できる。
【0011】
また本発明に係る画像生成システム、情報記憶媒体及びプログラムは、前記描画手段が、プリミティブ面の頂点のZ値に基づき、プリミティブ面の各ピクセルのZ値を補間演算する補間手段を含み、前記Zシフト手段が、前記補間手段の演算誤差よりも大きな値のZシフト値を、プリミティブ面のZ値に対して加算又は減算することを特徴とする。このようにすれば、補間処理の演算誤差に起因する陰面消去の誤りの問題を効果的に解決できる。
【0012】
また本発明に係る画像生成システム、情報記憶媒体及びプログラムは、プリミティブ面がZシフト値の加算又は減算の対象か否かを識別するための識別情報が、1又は複数のプリミティブ面に対して予め関連づけて設定され、前記Zシフト手段が、プリミティブ面のZ値にZシフト値を加算又は減算するか否かを、前記識別情報に基づいて判断することを特徴とする。このようにすれば、処理対象となるプリミティブ面が、Zシフト値の加算又は減算対象となるか否かを、簡易な処理で判断できるようになる。
【0013】
また本発明に係る画像生成システム、情報記憶媒体及びプログラムは、前記Zシフト手段が、プリミティブ面のZ値にZシフト値を加算又は減算するか否かを、Z値の大小に応じて判断することを特徴とする。このようにすれば、例えば、Z値の精度が高い場合には、Zシフト処理を省略して処理負担を軽減化したり、Z値の精度が低い場合には、Zシフト値を加算又は減算して、Z値比較のエラーが発生する事態を防止できるようになる。
【0014】
また本発明に係る画像生成システム、情報記憶媒体及びプログラムは、前記Zシフト手段が、プリミティブ面のZ値に加算又は減算するZシフト値を、Z値の大小に応じて変化させることを特徴とする。このようにすれば、Z値の精度の高低に応じた最適なZシフト値をZ値に加算又は減算できるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。なお以下では、処理対象となる面(或いはプリミティブ面)がポリゴンである場合について説明するが、本発明は、ポリゴン以外の面(例えば曲面)にも適用できる。
【0016】
1.構成
図1に、本実施形態のブロック図の一例を示す。なお同図において本実施形態は、少なくとも処理部100を含めばよく(或いは処理部100と記憶部170、或いは処理部100と記憶部170と情報記憶媒体180を含めばよく)、それ以外のブロック(例えば操作部160、表示部190、音出力部192、携帯型情報記憶装置194、通信部196)については、任意の構成要素とすることができる。
【0017】
ここで処理部100は、システム全体の制御、システム内の各ブロックへの命令の指示、ゲーム処理、画像処理、音処理などの各種の処理を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、或いはASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、所与のプログラム(ゲームプログラム)により実現できる。
【0018】
操作部160は、プレーヤが操作データを入力するためのものであり、その機能は、レバー、ボタン、筺体などのハードウェアにより実現できる。
【0019】
記憶部170は、処理部100や通信部196などのワーク領域となるもので、その機能はRAMなどのハードウェアにより実現できる。
【0020】
情報記憶媒体(コンピュータにより使用可能な記憶媒体)180は、プログラムやデータなどの情報を格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などのハードウェアにより実現できる。処理部100は、この情報記憶媒体180に格納される情報に基づいて本発明(本実施形態)の種々の処理を行う。即ち情報記憶媒体180には、本発明(本実施形態)の手段(特に処理部100に含まれるブロック)を実行するための情報(プログラム或いはプログラム及びデータ)が格納される。
【0021】
なお、情報記憶媒体180に格納される情報の一部又は全部は、システムへの電源投入時等に記憶部170に転送されることになる。また情報記憶媒体180に記憶される情報は、本発明の処理を行うためのプログラムコード、画像データ、音データ、表示物の形状データ、テーブルデータ、リストデータ、本発明の処理を指示するための情報、その指示に従って処理を行うための情報等の少なくとも1つを含むものである。
【0022】
表示部190は、本実施形態により生成された画像を出力するものであり、その機能は、CRT、LCD、或いはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)などのハードウェアにより実現できる。
【0023】
音出力部192は、本実施形態により生成された音を出力するものであり、その機能は、スピーカなどのハードウェアにより実現できる。
【0024】
携帯型情報記憶装置194は、プレーヤの個人データやセーブデータなどが記憶されるものであり、この携帯型情報記憶装置194としては、メモリカードや携帯型ゲーム装置などを考えることができる。
【0025】
通信部196は、外部(例えばホスト装置や他の画像生成システム)との間で通信を行うための各種の制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ、或いは通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0026】
なお本発明(本実施形態)の手段を実行するためのプログラム或いはデータは、ホスト装置(サーバー)が有する情報記憶媒体からネットワーク及び通信部196を介して情報記憶媒体180に配信するようにしてもよい。このようなホスト装置(サーバー)の情報記憶媒体の使用も本発明の範囲内に含まれる。
【0027】
処理部100は、ゲーム処理部110、画像生成部130、音生成部150を含む。
【0028】
ここでゲーム処理部110は、コイン(代価)の受け付け処理、各種モードの設定処理、ゲームの進行処理、選択画面の設定処理、オブジェクトの位置や回転角度(X、Y又はZ軸回り回転角度)を求める処理、オブジェクトを動作させる処理(モーション処理)、視点位置(仮想カメラの位置)や視線角度(仮想カメラの回転角度)を求める処理、マップオブジェクトなどのオブジェクトをオブジェクト空間へ配置する処理、ヒットチェック処理、ゲーム結果(成果、成績)を演算する処理、複数のプレーヤが共通のゲーム空間でプレイするための処理、或いはゲームオーバー処理などの種々のゲーム処理を、操作部160からの操作データや、携帯型情報記憶装置194からの個人データ、保存データや、ゲームプログラムなどに基づいて行う。
【0029】
画像生成部130は、ゲーム処理部110からの指示等にしたがって各種の画像処理を行い、例えばオブジェクト空間内において仮想カメラ(視点)から見える画像を生成して、表示部190に出力する。また、音生成部150は、ゲーム処理部110からの指示等にしたがって各種の音処理を行い、BGM、効果音、音声などの音を生成し、音出力部192に出力する。
【0030】
なお、ゲーム処理部110、画像生成部130、音生成部150の機能は、その全てをハードウェアにより実現してもよいし、その全てをプログラムにより実現してもよい。或いは、ハードウェアとプログラムの両方により実現してもよい。
【0031】
画像生成部130は、ジオメトリ処理部132(3次元座標演算部)、描画部140(レンダリング部)を含む。
【0032】
ここで、ジオメトリ処理部132は、座標変換、クリッピング処理、透視変換、或いは光源計算などの種々のジオメトリ処理(3次元座標演算)を行う。そして、ジオメトリ処理後(透視変換後)のポリゴンデータ(頂点座標、Z値、頂点テクスチャ座標、輝度データ等)は、描画部140に転送される。
【0033】
描画部140は、ジオメトリ処理後(透視変換後)のポリゴンデータと、テクスチャ記憶部176に記憶されるテクスチャとに基づいて、ポリゴンをフレームバッファ174に描画する。これにより、オブジェクト空間内において仮想カメラ(視点)から見える画像が生成されるようになる。
【0034】
ジオメトリ処理部132は、Zシフト部134、分割部138を含む。
【0035】
ここでZシフト部134は、ジオメトリ処理後の複数のポリゴン(広義にはプリミティブ面)が同一(又はほぼ同一)のZ値を有する場合に(描画座標系において同一のZ値を有する場合に)、これらの少なくとも1つのポリゴンのZ値に対して、Zシフト値を加減算(加算又は減算)する処理を行う。本実施形態では、このようにZ値にZシフト値を加減算することで、Zバッファ法における陰面消去の誤りの問題を解決している。
【0036】
分割部138は、処理対象となるポリゴンを、複数のK角形ポリゴン(Kは定数であり、例えばK=3)に分割する処理を行う。即ち分割部138は、ポリゴンを、描画部140の描画単位に分割する。このようにすることで、描画部140が例えば三角形ポリゴンしか扱えないような場合も、適正なポリゴン描画が可能になる。
【0037】
Zシフト部134は判断部136を含む。そして、判断部136は、処理対象となるポリゴンのZ値にZシフト値を加減算するか否かを判断する。
【0038】
より具体的には、ポリゴンのZ値にZシフト値を加減算するか否かを、そのポリゴン(或いはポリゴンの集合)に対して関連づけられた識別情報(ポリゴンがZシフト値の加減算の対象か否かを識別するための情報)や、Z値の大小などに応じて判断する。また判断部136は、ポリゴンのZ値にどのような値のZシフト値を加減算するかについても判断する。より具体的には、ポリゴンのZ値に加減算するZシフト値を、Z値の大小に応じて変化させるようにする。このようにすることで、Z値の精度の高低に応じた最適なZシフト値を加減算できるようになる。
【0039】
描画部142は、補間部142、陰面消去部144を含む。
【0040】
ここで補間部142は、ポリゴンの頂点(例えば3頂点)のZ値に基づき、ポリゴンの各ピクセルのZ値を、DDAなどの補間演算により求める。そして、上述のZシフト部134は、この補間部142での演算誤差よりも大きな値のZシフト値を、ポリゴンのZ値に対して加減算することになる。
【0041】
陰面消去部144は、Z値(奥行き値)が格納されるZバッファ178を用いて、Zバッファ法のアルゴリズムにしたがった陰面消去を行う。
【0042】
なお、本実施形態の画像生成システムは、1人のプレーヤのみがプレイできるシングルプレーヤモード専用のシステムにしてもよいし、このようなシングルプレーヤモードのみならず、複数のプレーヤがプレイできるマルチプレーヤモードも備えるシステムにしてもよい。
【0043】
また複数のプレーヤがプレイする場合に、これらの複数のプレーヤに提供するゲーム画像やゲーム音を、1つの端末を用いて生成してもよいし、ネットワーク(伝送ライン、通信回線)などで接続された複数の端末を用いて生成してもよい。
【0044】
2.本実施形態の特徴
さて、図1の描画部140が扱うことができるポリゴンの形状は、描画処理の高速化を図るために、一定形状に固定されている場合がある。より具体的には、描画部140が、その仕様上、三角形ポリゴンしか扱うことができない場合がある。このような場合には、頂点数が4個以上のポリゴンについては、描画部140にそのデータを転送する前に、三角形のポリゴンに分割しておく必要がある。
【0045】
例えば図2(A)の場合には、図1の分割部138は、処理対象となる六角形ポリゴンを、頂点VE0、VE1、VE2を有する三角形ポリゴンP0と、頂点VE0、VE2、VE3を有する三角形ポリゴンP1と、頂点VE0、VE3、VE4を有する三角形ポリゴンP2と、頂点VE0、VE4、VE5を有する三角形ポリゴンP3に分割する。そして、描画部140は、これらの分割された各三角形ポリゴン毎に描画処理を行うことになる。
【0046】
ところが、このようなポリゴン分割においては、同一座標の頂点を有するポリゴンであっても、分割の仕方によっては、分割後の三角形ポリゴンの頂点構成が異なったものになってしまう場合があることが判明した。
【0047】
例えば図2(B)では、四角形ポリゴンが、頂点VE0、VE1、VE2を有する三角形ポリゴンPAと、頂点VE0、VE2、VE3を有する三角形ポリゴンPBに分割されている。
【0048】
一方、図2(C)では、図2(B)と同一の四角形ポリゴンが、頂点VE0、VE1、VE3を有する三角形ポリゴンPCと、頂点VE1、VE2、VE3を有する三角形ポリゴンPDに分割されている。
【0049】
即ち、図2(B)では、三角形ポリゴンPA、PBに分割されたのに対して、図2(C)では、これらと異なる形状の三角形ポリゴンPC、PDに分割されている。
【0050】
また、画像生成システムにおいては、図2(D)に示すように、描画座標系(例えばスクリーン座標系)において同一座標(同一Z値)を持つがプロパティ(色情報、半透明情報、バンプ情報、輝度情報、反射率情報、屈折率情報、深さ情報等)が異なる複数のポリゴンPL1、PL2を、フレームバッファに重ねて描画する場合がある。例えば、ポリゴンPL1に対して半透明の色のポリゴンPL2を重ね書きして、ポリゴンPL1の色とポリゴンPL2の色をαブレンディングする。或いは、下地のテクスチャ(例えば車のボディのテクスチャ)がマッピングされたポリゴンPL1の上に、オーバレイ物(例えば車の汚れ、ステッカー)のテクスチャがマッピングされたポリゴンPL2を重ね書きして、マルチテクスチャマッピングを実現する。或いは、ポリゴンPL1の上に、周囲の環境を表す環境テクスチャがマッピングされたポリゴンPL2を重ね書きして、環境マッピングを実現する。
【0051】
ところが、図2(B)、(C)で説明したように、同一座標(同一Z値)を有するポリゴンであっても、異なった形状の三角形ポリゴンに分割される場合がある。
【0052】
例えば図3(A)では、ポリゴンPL1は三角形ポリゴンPA1とPB1に分割され、ポリゴンPL2は三角形ポリゴンPA2とPB2に分割されている。そして、この場合には、PA1とPA2、PB1とPB2は同一形状(頂点)の三角形ポリゴンになるため、正しい表示が行われる。
【0053】
しかしながら、図3(B)では、ポリゴンPL1は三角形ポリゴンPA1とPB1に分割され、ポリゴンPL2は三角形ポリゴンPC2とPD2に分割されている。そして、この場合には、PA1とPC2、PB1とPD2は異なる形状の三角形ポリゴンになるため、表示エラーが生じてしまう。即ち、ポリゴンの前後関係が狂ってしまい、本来ならば後ろに隠れるべきポリゴンPL1のピクセルがポリゴンPL2の手前に表示される事態が生じてしまう。
【0054】
このような表示エラーが生じる理由は以下の通りである。
【0055】
即ち、図1の補間部142は、ポリゴンの頂点のZ値に基づいて、ポリゴンの各ピクセル(ドット)のZ値をDDAなどの手法により算出する。ところが、この補間処理には、通常、例えば1LSB程度の演算誤差(累積誤差)がある。この演算誤差は、補間部142のハードウェア構成等を高性能なものにすれば小さくできるが、これは、ハードウェアのコスト増を招く。従って、この演算誤差を零にすることは実質的に極めて難しい。
【0056】
一方、図1の陰面消去部144は、Z値が同一である場合には、通常、後にポリゴンデータが転送されてきた方を上書きするように設定されている。
【0057】
そして、図3(A)の場合には、三角形ポリゴンPA1とPA2、PB1とPB2の形状(頂点)は同一になっている。従って、補間処理により得られるPA1とPA2の各ピクセルのZ値は、たとえ演算誤差があっても、同一になる。同様に、補間処理により得られるPB1とPB2の各ピクセルのZ値も、たとえ演算誤差があっても、同一になる。従って、この場合には、全てのピクセルにおいて、ポリゴンPA1の上にポリゴンPA2が上書きされ、ポリゴンPB1の上にポリゴンPB2が上書きされるようになる。従って、設定通りにポリゴンが描画されるようになり、正しい表示になる。
【0058】
しかしながら、図3(B)の場合には、三角形ポリゴンPA1とPC2、PB1とPD2の形状は異なっている。従って、補間処理により得られるPA1とPC2の各ピクセルのZ値が、本来は同じ値になるべきなのに、演算誤差の存在に起因して、異なった値になってしまう場合がある。同様に、補間処理により得られるPB1とPD2の各ピクセルのZ値も、演算誤差の存在に起因して、異なった値になってしまう場合がある。このため、本来は隠れるべきポリゴンPA1、PB1のピクセルが、ポリゴンPC2、PD2の手前に表示される事態が生じ、エラー表示となってしまう。
【0059】
そこで、本実施形態では、このような問題を解決するために図4に示すような手法を採用している。
【0060】
即ち、ジオメトリ処理後のポリゴンPL1(PA1、PB1)、PL2(PC2、PD2)が同一のZ値を有する場合(ポリゴンが描画座標系で同一座標を有する場合)に、ポリゴンPL1やPL2のZ値に、Zシフト値を加減算(Zシフト処理)する。例えば図4では、ポリゴンPL1のZ値にZシフト値を加算したり、ポリゴンPL2のZ値からZシフト値を減算する(視点から遠いほどZ値が大きい場合)。このようにすることで、たとえ補間処理に演算誤差があったとしても、ポリゴンPL1の上に正しくポリゴンPL2が上書きされるようになり、エラー表示の発生を防止できる。
【0061】
例えば、本実施形態と異なる手法として、ジオメトリ処理前のポリゴンの座標に操作を加える手法も考えることができる。しかしながら、この手法によると、本来ならば1枚のポリゴンとして表示されるべきものが、見る方向によって2枚のポリゴンとして表示されたり、ポリゴンの輪郭の部分にちらつきが発生するなどの問題が生じる。
【0062】
これに対して本実施形態では、ジオメトリ処理後のポリゴンのZ値(陰面消去に使用されるZ値)に対してZシフト値が加減算される。従って、実際に表示されるポリゴン(オブジェクト)の表示状態に悪影響が及ぶのを防止でき、上記のような問題が発生するのを防止できる。
【0063】
また、必要な処理も、ポリゴンのZ値にZシフト値を加減算する処理だけであるため、処理負担も非常に軽い。
【0064】
なお、以上では、複数のポリゴンのZ値(頂点のZ値)が完全に同一である場合について説明したが、ポリゴンのZ値が微小に異なる場合(ほぼ同一の場合)にも、本実施形態は適用できる。
【0065】
例えば、ポリゴンPL1のZ値の方がポリゴンPL2よりも微少に大きい場合には、ポリゴンPL1の上にPL2が上書きされなければならない。
【0066】
しかしながら、補間処理に演算誤差があり、その演算誤差が、ポリゴンPL1、PL2間のZ値の差よりも大きい場合には、本来は上書きされるべきポリゴンPL2がPL1の下に来てしまう問題が生じる。
【0067】
本実施形態では、このようにポリゴンPL1、PL2のZ値が微小に異なる場合(ほぼ同一の場合)にも、Zシフト値を加減算することで、上記のような問題の発生を防止できる。
【0068】
さて、Z値に加減算するZシフト値の大きさは、図1の補間部142でのDDAの演算誤差よりも大きな値にすることが望ましい。
【0069】
より具体的には図5に示すように、DDAの演算誤差が、例えば、−N×LSB〜N×LSBの場合には、加減算するZシフト値の大きさを、−(N+K)×LSB〜(N+K)×LSBにする(但し、K≧1)。このようにすれば、演算誤差に起因する陰面消去の誤りの問題を効果的に解決できる。
【0070】
なお、重ね書きされるポリゴンの枚数が多い場合には、それに応じて、Zシフト値を大きくすることが望ましい。即ち、上記のKを大きくする。このようにすれば、3枚以上のポリゴンが重ね書きされた場合にも、正しい前後関係でこれらのポリゴンを描画できるようになる。
【0071】
また、どのポリゴンのZ値にZシフト値を加減算するかは、ポリゴン(又はポリゴンの集合)に対して予め関連づけて設定された識別情報に基づいて判断することが望ましい。
【0072】
例えば図6のテーブルでは、Zシフト処理を行うか否かを示すシフトフラグSFL(ポリゴンがZシフト値の加減算の対象か否かを識別するための識別情報)が、各ポリゴンに対して予め関連づけて設定されている。例えば、図6では、SFLが1となっているポリゴンPL1、PL3、PL4に対してはZシフト処理が行われ、SFLが0となっているポリゴンPL2に対してはZシフト処理が行われない。このような設定を予め行っておくことで、Zシフト処理の際に、どのポリゴンが処理対象になるかを簡易に判断できるようになる。これにより、処理負担を大幅に軽減できる。
【0073】
なお図6のテーブルでは、各ポリゴンのZ値に加減算するZシフト値についても、各ポリゴンに対して予め関連づけて設定されている。このようにZシフト値についてもポリゴン(又はポリゴンの集合)に予め関連づけておけば、Zシフト処理の負荷を軽減できると共に、各ポリゴンに最適なZシフト値を加減算できるようになる。
【0074】
さて、図1の陰面消去部144で行われるZ値比較(前後関係判断)のエラーは、Z値が小さいほど生じやすくなる。従って、ポリゴンのZ値にZシフト値を加減算するか否かを、Z値の大小に応じて判断するようにしてもよい。
【0075】
より具体的には図7(A)に示すように、Z値ZV(=Z座標ZC)が例えばLZよりも小さい場合には、Zシフト処理を行うようにし、ZVがLZ以上の場合には、Zシフト処理を行わないようにする。
【0076】
即ち、Z値ZVがLZよりも小さい場合には、ZVの精度が相対的に低く、Z値比較のエラーが生じやすくなる。従って、この場合には、Z値比較のエラーの発生を防止するためにZシフト処理を行うようにする。
【0077】
一方、ZVがLZ以上の場合には、ZVの精度が相対的に高く、Z値比較のエラーが生じにくい。従って、この場合には、Zシフト処理を行わないようにして、処理負荷の軽減化を図る。
【0078】
なお、Z値ZVとして、Z座標ZCを、そのまま用いない場合もある。例えば図7(B)では、ZV=1/ZCとなっており、視点から遠いほどZ値が小さくなっている。
【0079】
そして、図7(B)においては、視点から遠い場合にZVの精度が相対的に低くなる。従って、Z値比較のエラーの発生を防止するために、Zシフト処理を行うようにする。一方、図7(B)においては、視点から近い場合にZVの精度が相対的に高くなる。従って、処理負担の軽減化を図るために、Zシフト処理を行わないようにする。
【0080】
また、ポリゴンのZ値に加減算するZシフト値の大きさを、Z値の大小に応じて変化させるようにしてもよい。
【0081】
例えば図8において、0≦ZV<LZ0の場合には、Z値ZVの精度が相対的に低くなり、Z値比較のエラーが生じやすい。従って、この場合には、Zシフト値を大きくし、Z値比較のエラーの発生を強く防止する。
【0082】
また、LZ0≦ZV<LZ1の場合には、ZVの精度が中ぐらいである。従って、この場合には、Zシフト値も中ぐらいにする。
【0083】
また、LZ1≦ZVの場合には、ZVの精度が相対的に高くなり、Z値比較のエラーが生じにくい。従って、この場合には、Zシフト値を小さくし、Zシフト値の加減算が起因となって陰面消去の判断にかえって誤りが生じてしまう事態を防止する。
【0084】
以上のようにすることで、Z値の精度に応じた最適なZシフト値をZ値に加減算できるようになる。従って、Z値比較のエラーの発生を効果的に防止できると共に、Zシフト処理が起因となる陰面消去の判断の誤りの問題も解決できる。
【0085】
3.本実施形態の処理
次に、本実施形態の処理の詳細例について、図9、図10、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0086】
まず、図2(A)で説明したように、処理対象となるポリゴンを、描画部140の描画単位である三角形ポリゴンに分割する(ステップS1)。
【0087】
次に、ジオメトリ処理を行う(ステップS2)。より具体的には、ローカル座標系からワールド座標系へ座標変換、ワールド座標系から視点座標系への座標変換、クリッピング処理、スクリーン座標系への透視変換などを行う。なお、三角形ポリゴンへの分割処理は、ステップS2の中で行ってもよいし、ステップS2の後に行ってもよい。
【0088】
次に、図6で説明したシフトフラグSFL(ポリゴンがZシフト処理の対象か否かを示す識別情報)が1か否かを判断する(ステップS3)。そして、SFL=1の場合には、Z値にZシフト値を加減算するZシフト処理を行い(ステップS4)、SFL=0の場合にはZシフト処理を省略する。
【0089】
次に、ポリゴンデータ(頂点座標、Z値、頂点テクスチャ座標、輝度等)を描画部140に転送する(ステップS5)。そして、描画部140は、Zバッファを用いた陰面消去を行いながら、ポリゴンデータに基づいて描画処理を行う(ステップS6)。
【0090】
図10は、Z値にZシフト値を加減算するか否かをZ値の大小に応じて判断する場合のフローチャートである。
【0091】
図9と異なるのはステップS13である。即ち図10では、図7(A)で説明したように、Z値ZVがLZよりも小さい場合には、Z値にZシフト値を加減算する。これにより、Z値比較のエラーの発生を防止できる。一方、ZVがLZ以上の場合には、Zシフト処理を省略する。これにより、処理負担の軽減化を図れる。
【0092】
図11は、Z値に加減算するZシフト値の大きさをZ値の大小に応じて変化させる場合のフローチャートである。
【0093】
図9と異なるのはステップS23〜S26である。
【0094】
即ち図11では、図8で説明したように、LZ1≦ZVの場合には、Zシフト値=ZS0にする(ステップS24)。即ち、Zシフト値を小さくし、Zシフト値の加減算が起因となって陰面消去の判断にかえって誤りが生じる事態を防止する。
【0095】
また、LZ0≦ZV<LZ1の場合には、Zシフト値=ZS1(>ZS0)にする(ステップS25)。即ち、この場合にはZシフト値を中ぐらいの値にする。
【0096】
また、0≦ZV<LZ0の場合には、Zシフト値=ZS2(>ZS1)にする(ステップS26)。即ち、Zシフト値を大きくし、Z値比較のエラーの発生を防止する。
【0097】
以上のようにすることで、Z値の大小(Z値の精度)に応じた適切なZシフト値をZ値に加減算できるようになる。
【0098】
4.ハードウェア構成
次に、本実施形態を実現できるハードウェアの構成の一例について図12を用いて説明する。
【0099】
メインプロセッサ900は、CD982(情報記憶媒体)に格納されたプログラム、通信インターフェース990を介して転送されたプログラム、或いはROM950(情報記憶媒体の1つ)に格納されたプログラムなどに基づき動作し、ゲーム処理、画像処理、音処理などの種々の処理を実行する。
【0100】
コプロセッサ902は、メインプロセッサ900の処理を補助するものであり、高速並列演算が可能な積和算器や除算器を有し、マトリクス演算(ベクトル演算)を高速に実行する。例えば、オブジェクトを移動させたり動作(モーション)させるための物理シミュレーションに、マトリクス演算などの処理が必要な場合には、メインプロセッサ900上で動作するプログラムが、その処理をコプロセッサ902に指示(依頼)する。
【0101】
ジオメトリプロセッサ904は、座標変換、透視変換、光源計算、曲面生成などのジオメトリ処理を行うものであり、高速並列演算が可能な積和算器や除算器を有し、マトリクス演算(ベクトル演算)を高速に実行する。例えば、座標変換、透視変換、光源計算などの処理を行う場合には、メインプロセッサ900で動作するプログラムが、その処理をジオメトリプロセッサ904に指示する。
【0102】
データ伸張プロセッサ906は、圧縮された画像データや音データを伸張するデコード処理を行ったり、メインプロセッサ900のデコード処理をアクセレートする処理を行う。これにより、オープニング画面、インターミッション画面、エンディング画面、或いはゲーム画面などにおいて、MPEG方式等で圧縮された動画像を表示できるようになる。なお、デコード処理の対象となる画像データや音データは、ROM950、CD982に格納されたり、或いは通信インターフェース990を介して外部から転送される。
【0103】
描画プロセッサ910は、ポリゴン(プリミティブ面)の描画(レンダリング)処理を高速に実行するものである。ポリゴンの描画の際には、メインプロセッサ900は、DMAコントローラ970の機能を利用して、ポリゴンデータを描画プロセッサ910に渡すと共に、必要であれば、VRAM920のテクスチャ記憶部924にテクスチャを転送する。すると、描画プロセッサ910は、これらのポリゴンデータやテクスチャに基づいて、Zバッファ926を利用した陰面消去等を行いながら、ポリゴンを、VRAM920のフレームバッファ922に高速に描画する。また、描画プロセッサ910は、αブレンディング(半透明処理)、ミップマッピング、フォグ処理、トライリニア・フィルタリング、アンチエリアシング、シェーディング処理なども行うことができる。そして、1フレーム分の画像がフレームバッファ922に書き込まれると、その画像はディスプレイ912に表示される。
【0104】
サウンドプロセッサ930は、多チャンネルのADPCM音源などを内蔵し、BGM、効果音、音声などの高品位のゲーム音を生成する。生成されたゲーム音は、スピーカ932から出力される。
【0105】
ゲームコントローラ942からの操作データや、メモリカード944からのセーブデータ、個人データは、シリアルインターフェース940を介してデータ転送される。
【0106】
ROM950にはシステムプログラムなどが格納される。なお、業務用ゲームシステムの場合には、ROM950が情報記憶媒体として機能し、ROM950に各種プログラムが格納されることになる。なお、ROM950の代わりにハードディスクを利用するようにしてもよい。
【0107】
RAM960は、各種プロセッサの作業領域として用いられる。
【0108】
DMAコントローラ970は、プロセッサ、メモリ(RAM、VRAM、ROM等)間でのDMA転送を制御するものである。
【0109】
CDドライブ980は、プログラム、画像データ、或いは音データなどが格納されるCD982(情報記憶媒体)を駆動し、これらのプログラム、データへのアクセスを可能にする。
【0110】
通信インターフェース990は、ネットワークを介して外部との間でデータ転送を行うためのインターフェースである。この場合に、通信インターフェース990に接続されるネットワークとしては、通信回線(アナログ電話回線、ISDN)、高速シリアルバスなどを考えることができる。そして、通信回線を利用することでインターネットを介したデータ転送が可能になる。また、高速シリアルバスを利用することで、他の画像生成システム、他のゲームシステムとの間でのデータ転送が可能になる。
【0111】
なお、本発明の各手段は、その全てを、ハードウェアのみにより実行してもよいし、情報記憶媒体に格納されるプログラムや通信インターフェースを介して配信されるプログラムのみにより実行してもよい。或いは、ハードウェアとプログラムの両方により実行してもよい。
【0112】
そして、本発明の各手段をハードウェアとプログラムの両方により実行する場合には、情報記憶媒体には、本発明の各手段をハードウェアを利用して実行するためのプログラム(プログラム、データ)が格納されることになる。より具体的には、上記プログラムが、ハードウェアである各プロセッサ902、904、906、910、930等に処理を指示すると共に、必要であればデータを渡す。そして、各プロセッサ902、904、906、910、930等は、その指示と渡されたデータとに基づいて、本発明の各手段を実行することになる。
【0113】
図13(A)に、本実施形態を業務用ゲームシステムに適用した場合の例を示す。プレーヤは、ディスプレイ1100上に映し出されたゲーム画像を見ながら、レバー1102、ボタン1104等を操作してゲームを楽しむ。内蔵されるシステムボード(サーキットボード)1106には、各種プロセッサ、各種メモリなどが実装される。そして、本発明の各手段を実行するためのプログラム(或いはプログラム、データ)は、システムボード1106上の情報記憶媒体であるメモリ1108に格納される。以下、この情報を格納情報と呼ぶ。
【0114】
図13(B)に、本実施形態を家庭用のゲームシステムに適用した場合の例を示す。プレーヤはディスプレイ1200に映し出されたゲーム画像を見ながら、ゲームコントローラ1202、1204を操作してゲームを楽しむ。この場合、上記格納情報は、本体システムに着脱自在な情報記憶媒体であるCD1206、或いはメモリカード1208、1209等に格納されている。
【0115】
図13(C)に、ホスト装置1300と、このホスト装置1300とネットワーク1302(LANのような小規模ネットワークや、インターネットのような広域ネットワーク)を介して接続される端末1304-1〜1304-nとを含むシステムに本実施形態を適用した場合の例を示す。この場合、上記格納情報は、例えばホスト装置1300が制御可能な磁気ディスク装置、磁気テープ装置、メモリ等の情報記憶媒体1306に格納されている。端末1304-1〜1304-nが、スタンドアロンでゲーム画像、ゲーム音を生成できるものである場合には、ホスト装置1300からは、ゲーム画像、ゲーム音を生成するためのゲームプログラム等が端末1304-1〜1304-nに配送される。一方、スタンドアロンで生成できない場合には、ホスト装置1300がゲーム画像、ゲーム音を生成し、これを端末1304-1〜1304-nに伝送し端末において出力することになる。
【0116】
なお、図13(C)の構成の場合に、本発明の各手段を、ホスト装置(サーバー)と端末とで分散して実行するようにしてもよい。また、本発明の各手段を実行するための上記格納情報を、ホスト装置(サーバー)の情報記憶媒体と端末の情報記憶媒体に分散して格納するようにしてもよい。
【0117】
またネットワークに接続する端末は、家庭用ゲームシステムであってもよいし業務用ゲームシステムであってもよい。そして、業務用ゲームシステムをネットワークに接続する場合には、業務用ゲームシステムとの間で情報のやり取りが可能であると共に家庭用ゲームシステムとの間でも情報のやり取りが可能な携帯型情報記憶装置(メモリカード、携帯型ゲーム装置)を用いることが望ましい。
【0118】
なお本発明は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。
【0119】
例えば、本発明のうち従属請求項に係る発明においては、従属先の請求項の構成要件の一部を省略する構成とすることもできる。また、本発明の1の独立請求項に係る発明の要部を、他の独立請求項に従属させることもできる。
【0120】
また、本実施形態ではプリミティブ面がポリゴンである場合について説明したが、プリミティブ面が曲面等である場合にも本発明は適用できる。
【0121】
また、Z値に対するZシフト値の加算又は減算と均等な処理を行う場合も、本発明の範囲内に含まれる。
【0122】
また、どのプリミティブ面がZシフト値の加算又は減算の対象となるかの判断手法も、図6、図7(A)、(B)で説明した手法が特に望ましいが、これに限定されるものではない。
【0123】
また、Zシフト値の大きさの決定手法も、図5、図8で説明した手法が特に望ましいが、これに限定されるものではない。
【0124】
また本発明は、業務用ゲームシステム、家庭用ゲームシステム、多数のプレーヤが参加する大型アトラクションシステム、シミュレータ、マルチメディア端末、画像生成システム、ゲーム画像を生成するシステムボード等の種々の画像生成システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の画像生成システムのブロック図の例である。
【図2】図2(A)〜(D)は、ポリゴン分割の手法や、ポリゴンの重ね書きについて説明するための図である。
【図3】図3(A)、(B)は、ポリゴン分割が原因となる表示エラーの問題について説明するための図である。
【図4】本実施形態の手法について説明するための図である。
【図5】DDAの演算誤差の大きさに基づいてZシフト値の大きさを決定する手法について説明するための図である。
【図6】シフトフラグSFL(識別情報)について説明するための図である。
【図7】図7(A)、(B)は、Z値にZシフト値を加減算するか否かをZ値の大小に応じて判断する手法について説明するための図である。
【図8】Z値に加減算するZシフト値の大きさをZ値の大小に応じて変化させる手法について説明するための図である。
【図9】本実施形態の詳細な処理例について示すフローチャートである。
【図10】本実施形態の詳細な処理例について示すフローチャートである。
【図11】本実施形態の詳細な処理例について示すフローチャートである。
【図12】本実施形態を実現できるハードウェアの構成の一例を示す図である。
【図13】図13(A)、(B)、(C)は、本実施形態が適用される種々の形態のシステムの例を示す図である。
【符号の説明】
100 処理部
110 ゲーム処理部
130 画像生成部
132 ジオメトリ処理部
134 Zシフト部
136 判断部
138 分割部
140 描画部
142 補間部
144 陰面消去部
150 音生成部
160 操作部
170 記憶部
172 メインメモリ
174 フレームバッファ
176 テクスチャ記憶部
178 Zバッファ
180 情報記憶媒体
190 表示部
192 音出力部
194 携帯型情報記憶装置
196 通信部

Claims (12)

  1. 画像を生成するための画像生成システムであって、
    ジオメトリ処理後の複数のプリミティブ面が同一又はほぼ同一のZ値を有する場合において、複数のプリミティブ面の中の少なくとも1つのプリミティブ面のZ値に対して、Zシフト値を加算又は減算するZシフト手段と、
    前記Z値が格納されるZバッファを用いて陰面消去を行いながら、プリミティブ面を描画する描画手段と、
    を含み、
    前記描画手段が、
    プリミティブ面の頂点のZ値に基づき、プリミティブ面の各ピクセルのZ値を補間演算する補間手段を含み、
    前記Zシフト手段が、
    前記補間手段の演算誤差よりも大きな値のZシフト値を、プリミティブ面のZ値に対して加算又は減算することを特徴とする画像生成システム。
  2. 請求項1において、
    プリミティブ面がZシフト値の加算又は減算の対象か否かを識別するための識別情報が、1又は複数のプリミティブ面に対して予め関連づけて設定され、
    前記Zシフト手段が、
    プリミティブ面のZ値にZシフト値を加算又は減算するか否かを、前記識別情報に基づいて判断することを特徴とする画像生成システム。
  3. 画像を生成するための画像生成システムであって、
    ジオメトリ処理後の複数のプリミティブ面が同一又はほぼ同一のZ値を有する場合において、複数のプリミティブ面の中の少なくとも1つのプリミティブ面のZ値に対して、Zシフト値を加算又は減算するZシフト手段と、
    前記Z値が格納されるZバッファを用いて陰面消去を行いながら、プリミティブ面を描画する描画手段と、
    を含み、
    プリミティブ面がZシフト値の加算又は減算の対象か否かを識別するための識別情報が、1又は複数のプリミティブ面に対して予め関連づけて設定され、
    前記Zシフト手段が、
    プリミティブ面のZ値にZシフト値を加算又は減算するか否かを、前記識別情報に基づいて判断することを特徴とする画像生成システム。
  4. 請求項1乃至3のいずれかにおいて、
    前記描画手段が、前記プリミティブ面単位で描画処理を行う場合において、
    処理対象となる面を、複数のプリミティブ面に分割する手段を含むことを特徴とする画像生成システム。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記Zシフト手段が、
    プリミティブ面のZ値にZシフト値を加算又は減算するか否かを、Z値の大小に応じて判断することを特徴とする画像生成システム。
  6. 請求項1乃至5のいずれかにおいて、
    前記Zシフト手段が、
    プリミティブ面のZ値に加算又は減算するZシフト値を、Z値の大小に応じて変化させることを特徴とする画像生成システム。
  7. コンピュータが読取可能な情報記憶媒体であって、
    ジオメトリ処理後の複数のプリミティブ面が同一又はほぼ同一のZ値を有する場合において、複数のプリミティブ面の中の少なくとも1つのプリミティブ面のZ値に対して、Zシフト値を加算又は減算するZシフト手段と、
    前記Z値が格納されるZバッファを用いて陰面消去を行いながら、プリミティブ面を描画する描画手段と、
    としてコンピュータを機能させるプログラムを含み、
    前記描画手段が、
    プリミティブ面の頂点のZ値に基づき、プリミティブ面の各ピクセルのZ値を補間演算する補間手段を含み、
    前記Zシフト手段が、
    前記補間手段の演算誤差よりも大きな値のZシフト値を、プリミティブ面のZ値に対して加算又は減算することを特徴とする情報記憶媒体。
  8. 請求項7において、
    プリミティブ面がZシフト値の加算又は減算の対象か否かを識別するための識別情報が、1又は複数のプリミティブ面に対して予め関連づけて設定され、
    前記Zシフト手段が、
    プリミティブ面のZ値にZシフト値を加算又は減算するか否かを、前記識別情報に基づいて判断することを特徴とする情報記憶媒体。
  9. コンピュータが読取可能な情報記憶媒体であって、
    ジオメトリ処理後の複数のプリミティブ面が同一又はほぼ同一のZ値を有する場合において、複数のプリミティブ面の中の少なくとも1つのプリミティブ面のZ値に対して、Zシフト値を加算又は減算するZシフト手段と、
    前記Z値が格納されるZバッファを用いて陰面消去を行いながら、プリミティブ面を描画する描画手段と、
    としてコンピュータを機能させるプログラムを含み、
    プリミティブ面がZシフト値の加算又は減算の対象か否かを識別するための識別情報が、1又は複数のプリミティブ面に対して予め関連づけて設定され、
    前記Zシフト手段が、
    プリミティブ面のZ値にZシフト値を加算又は減算するか否かを、前記識別情報に基づいて判断することを特徴とする情報記憶媒体。
  10. 請求項7乃至9のいずれかにおいて、
    前記描画手段が、前記プリミティブ面単位で描画処理を行う場合において、
    処理対象となる面を、複数のプリミティブ面に分割する手段を実行するためのプログラムを含むことを特徴とする情報記憶媒体。
  11. 請求項7乃至10のいずれかにおいて、
    前記Zシフト手段が、
    プリミティブ面のZ値にZシフト値を加算又は減算するか否かを、Z値の大小に応じて判断することを特徴とする情報記憶媒体。
  12. 請求項7乃至11のいずれかにおいて、
    前記Zシフト手段が、
    プリミティブ面のZ値に加算又は減算するZシフト値を、Z値の大小に応じて変化させることを特徴とする情報記憶媒体。
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