JP4391129B2 - 環境磁気雑音遮蔽装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流または交流の環境磁気雑音、特に高透磁率磁性材料で作られた近傍に位置する地磁気収束体の移動または振動に起因する空間勾配を有する非定常な環境磁気雑音に対して高い遮蔽性能と広い均質な遮蔽空間を提供する、軽量で施工性に優れ、採光性や通気性を備えた環境磁気遮蔽装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
地球には磁束密度約0.5ガウスの地磁気が存在しており、太陽の黒点活動や地球内部のマントル流の影響により常に変動している。また、自動車やエレベーター等の強磁性体材料を部品として構成された大きな構造体はその高い比透磁率のために地磁気を局所的に収束させる地磁気収束点となっているが、これら地磁気収束点が空間中を移動したり、振動することによって環境磁気の時間的変動と空間勾配を引き起こす原因の一つとなっている。さらに、架線から大電流の供給を受けながら移動する電車や地下鉄もまた、パンタグラフに流れる大電流により強磁界を発生しながら空間中を移動するために環境磁気を変動させている。発生する磁界強度が小さくても近接した場所に設置されているモーター機器、電子装置、またこれらに電力を供給する電力線もまた環境磁気を変動させている。このように環境磁気には様々な要因で発生する雑音が存在しており、これらは総称して環境磁気雑音と呼ばれている。環境磁気雑音は時間的に一定ではなく、常に変化し続けている。
【0003】
一方、脳の電気的活動に伴って発生する脳磁は地磁気の約10億分の1程度の強度であり、心臓の心筋の電気的活動によって発生する心磁は地磁気の百万分の1程度の大きさである。これら生体が発生する磁界を計測する生体磁気計測システムにおいては、前述した環境磁気雑音が測定の重大障害要因となっており、環境磁気雑音を技術的に高い遮蔽率で遮蔽する必要がある。
【0004】
また、高集積度の半導体である超LSIや特定用途向け集積回路(ASIC)を製作する過程において電子線を用いて直接シリコンウェハ上に露光を行う電子ビーム露光装置が存在するが、荷電粒子が地磁気下で高速に移動すればローレンツ力の影響を受けるため、荷電粒子ビームの露光位置は偏移する。地磁気が一定であればこの偏移量も一定であり、精確な描画が行えるはずである。しかし実際には地球上には環境磁気雑音が存在しているために、この荷電粒子ビームの偏移量も時間的に変動を受け、精確な電子線描画露光を行う上で障害を受けることになる。電子ビーム露光精度を向上させるためには、環境磁気雑音を高い遮蔽率で遮蔽する必要に迫られている。
【0005】
環境磁気雑音を遮蔽(低減)する既存技術としては大別して2つの方式が存在している。高透磁率の磁性材料を磁気遮蔽材として遮蔽空間を取り囲むパッシブな磁気シールド方式と、電子回路で環境磁気雑音と逆位相の磁界を発生させるアクティブ磁気シールド方式(アクティブ磁気キャンセラーまたはアクティブ制御方式)がある。
【0006】
パッシブな磁気シールド方式においては、パーマロイ等の強磁性体材料で閉じられた箱状の空間を構成することにより、この箱状空間を構成する強磁性体材料の比透磁率の影響で環境磁気雑音の磁束が強磁性体材料内に引き込まれる結果、箱状空間内の磁束は低密度となり、箱状空間内部に遮蔽空間が形成されている。
【0007】
パッシブな磁気シールド方式の遮蔽空間の設計には「表皮効果」として知られる基本原理が重要な設計要素となっている。導体に外部から高周波磁界が印加される場合に導体中に流れるうず電流は、表面で多く,導体の内部に行くにしたがって指数関数的に減少する性質があることが知られている。表面の電流値に対してちょうど自然対数の底eの逆数1/eになる深さの値を表皮の厚さδと呼び、磁性材料の透磁率をμ、導電率をσ、対象周波数f[Hz]とするとき表皮深さδ[m]は(1)式を用いて表される。
δ=1/√(πfμσ) (1)
従って、電磁波や低い周波数[例として0.01Hz]までの広い周波数帯域で高い遮蔽率を実現しようとすれば、銅やアルミニウム等の電磁波シールド材とパーマロイのような高透磁率磁性材料を組み合わせて遮蔽空間を構成する必要があり、遮蔽率に大きく関係する各材料の厚みは(1)式に深く関係している。
【0008】
一方、アクティブ磁気シールド方式は、図2に示すように一般に正方形環状のキャンセル磁場発生コイルを3軸に対応させてそれぞれの軸に1対ずつ具備し、各軸に対応する参照用磁気センサで検出した磁界信号に基づいて環境磁界と逆位相のキャンセル磁場を発生させ、参照用磁気センサの設置位置において磁気ノイズが打ち消されて、磁気が遮蔽(低減)される方式である(特許文献1〜3参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開2002-257914号公報
【特許文献2】
特開2002-094280号公報
【特許文献3】
特開平11-083965号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
前述したようにパッシブな磁気シールド方式の遮蔽性能は、各遮蔽材料の表皮厚みδに深く依存しており、より広帯域で良好な遮蔽率の遮蔽空間を実現しようとすればするほど、遮蔽材料の厚みは分厚くなり、総重量も厚みの3乗に比例して増大する不具合が生じる。加えて高透磁率を有する希少な強磁性体材料を使用するため高コストとなる不具合や、建物の耐荷重の制約から地下や1階にしか設置できない不具合、上層階に設置すると風や環境振動に伴う建物の揺れ(構造振動)の結果、地磁気中では遮蔽空間自体が地磁気収束点となっていることから遮蔽空間内に大きな構造振動に起因する環境磁気雑音が発生してしまう不具合等が生じる。
【0011】
また、パッシブな磁気シールド方式では、遮蔽材料の透磁性を利用しているために遮蔽空間の形状に依存して遮蔽空間内に磁気勾配を生じてしまうために、均質で広い領域で高い遮蔽性能の遮蔽空間を実現することは困難である。
【0012】
また強磁性体材料が大型かつ高重量であるため施工性(搬送性)が悪いという問題がある。
【0013】
さらに、強磁性体材料は不透明である。また、強磁性体材料に開口を設けると磁気遮蔽性能が低下するため、強磁性体材料に大きな開口部を設けることは困難である。
【0014】
上記の制約により、生体磁気計測システム向けにパッシブな磁気シールド方式を採用すると、大きな開口部を設けられないことにより被験者に圧迫感及び閉塞感を与えるのみならず、通気性が悪いという問題が生じる。一般的に、生体磁気計測システムの磁気センサにはSQUID(超伝導量子干渉素子)が用いられており、液体ヘリウムを冷却材に用いていることから、被験者が窒息状態に陥ることの無いように防止する換気あるいは酸素濃度の監視等の技術的安全対策をとる必要が生じる。
【0015】
電子ビーム露光装置の設計においてはこれまでも電子ビーム描画部全体をパーマロイと呼ばれる高透磁率の磁気遮蔽材料で多層被覆する設計が採用され、環境磁気雑音の影響を受けにくくする改良が施されてきた。しかしながら、0.15μm以下のデザインルールでの露光処理に適用して行くためには、環境磁気雑音による描画誤差が集積率を上げる上でのボトルネックとなってきている。これは電子ビーム露光装置が空気清浄度が極めて高い半導体製造現場であるクリーンルーム内に設置され、清浄度を維持する必要から開放性を重視しなければならず、シリコンウェハの出し入れを行う窓や電子ビーム制御や電源供給のためのコードの挿入口を設ける必要から高い遮蔽率が達成し難い等の設計上の不具合が関係している。
【0016】
さらに半導体工場内を部材搬送のための高透磁率性材料で構成されたフォークリフトや搬送装置、エレベーターの空間的移動やドアの開閉動作等は環境磁気雑音の誘因となっており、特にクリーンルーム近傍でのこれらに関係する作業を制限するわけにもいかないので重要な解決するべき課題となってきている。
【0017】
また、既存のアクティブ磁気シールド方式では、参照用磁気センサで検出された磁界に比例したキャンセル磁場を発生させることしかできないので、磁気遮蔽空間内に参照用磁気センサを設置できない場合には、参照用磁気センサの近傍で発生した空間勾配のある環境磁気雑音(例えば、台車の走行、イスの回転、道路を走行する自動車に起因する磁気雑音)に対して磁気遮蔽効果が低くなるだけでなく、場合によっては遮蔽効果が期待できない、あるいはかえって悪化するという問題がある。
【0018】
従って、既存のアクティブ磁気シールド方式を生体磁気計測システムに適用する場合には、被験者が横たわる寝台や生体磁気センサとそれを支える架台が遮蔽空間中央に収容されねばならず、参照用磁気センサを遮蔽空間中央に配置することが困難であるので、参照用磁気センサの近傍で発生した空間勾配のある環境磁気雑音に対して遮蔽効果が期待できないばかりか、悪化する場合が存在する。
【0019】
さらに、磁気遮蔽空間とほぼ同サイズの大型コイルを使うので、遮蔽空間が大型の立方体状とされる場合には、例えば水平一方向(x方向)の磁気雑音を打ち消す制御をする際に、x方向のキャンセル磁場発生コイルからの磁気が制御対象と本来無関係な水平他方向(y方向)や垂直方向(z方向)の磁界成分に回り込み易い。また、磁気遮蔽空間内に磁性体が存在すると、この磁性体の透磁率の影響を受けてキャンセル磁場発生コイルからの磁気が引き込まれてしまう。これにより、磁気遮蔽効果が劣化するという問題がある。
【0020】
従って、既存のアクティブ磁気シールド方式を電子ビーム露光装置に適用する場合には、電子ビーム描画部全体を高透磁率磁性材料で多層被覆しているために、キャンセル磁場が引き込まれてしまい、電子ビーム露光装置全体の形状のために、装置内部の磁界分布に空間勾配が生じる結果となる。故に描画精度が低下してしまう問題がある。
【0021】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小型で軽量であり、低コストで施工性に優れ、圧迫感や閉塞感の少なく、通気性に優れた環境磁気雑音遮蔽装置を提供することにある。
【0022】
さらに別の目的は、磁気遮蔽空間の近傍で発生する空間勾配を有する磁気雑音に対しても高い遮蔽性能を達成する環境磁気雑音遮蔽装置を提供することにある。
【0023】
また環境磁気遮蔽空間が大型であってもキャンセル磁場発生コイルからの回り込み磁界による磁気遮蔽率の低下を抑制することである。
【0024】
さらに遮蔽空間内に磁性体で構成される機器が存在してもキャンセル磁場発生コイルが発生するキャンセル磁場の歪を少なくし、磁気遮蔽効果の劣化
を抑制することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本願発明者のうち上田智章は上記目的を達成するために鋭意検討した結果、環境磁気雑音を遮蔽するのではなく、磁気遮蔽空間を取り囲む閉曲面の全部または一部を複数のコイルで取り囲み、各コイル面の法線方向の磁束密度の時間変化をキャンセルすることにより、上記目的を部分的に解決できることを見出し、本発明の基となる発明を完成するに至った。
【0026】
さらに、コイルを多数の微小線分の集合と考え、各線分に流れる電流が発生する磁束密度をビオ・サバール則によって求め、コイルが発生する磁界をこれらの総和によって計算し、図9に示すように2つの対向するコイルを同一電流で駆動した場合に発生する磁界分布をシミュレーションした結果、遮蔽空間中央部に合成される磁界の磁束密度と同一の磁束密度となる点が遮蔽空間の外側の両脇に2点存在しており、この点に磁気検出部を配置する方がコイル面上に配置するよりも高い遮蔽率が得られることを見出した。
【0027】
さらに本願発明者のうち村松和弘は、図10に示すようにより精密な3次元的シミュレーションを行い、遮蔽空間のほぼ全域で遮蔽率が高く均質な遮蔽性能を達成できる最適な磁気検出部の配置位置が遮蔽空間の外側に存在しており、遮蔽空間の形状を基にして算出できることを見出した。
【0028】
請求項1に記載の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置は、上記の課題を解決するために、枠体1と、枠体1に構成されたコイル2と、コイル2のコイル面に対向して配置され環境磁気雑音が遮蔽される所定領域と、コイル2のコイル面に対して前記所定領域の反対側であり且つ該所定領域と同一の磁束密度となる位置に配置されコイル2のコイル面に直交する磁束密度の時間変化を検出する磁気検出部3と、磁気検出部3で検出した信号が予め設定された基準値に一致するようにコイル2に電流を供給して磁気検出部3における環境磁気雑音をキャンセルする制御を行う制御部4と、枠体1と磁気検出部3の相対的位置関係を調整できる可動機構5を有し、コイル2と磁気検出部3と制御部4と可動機構5とが枠体1に一体化されていることを特徴としている。
【0029】
上記の構成によれば、磁気検出部3は磁気強度を精確に直線性を持って測定する必要はなく、MRセンサやホール素子等を直線化回路を用いることなく利用することができ、装置の小型化、軽量化と低価格化に寄与する。
【0030】
また、上記の構成によれば、枠体1に構成されたコイル2に対してコイル面の法線方向の磁束密度の時間変化のみをキャンセルする磁界を発生するだけの電流を供給すればよく、制御部4は環境磁気そのものを遮蔽する場合に比して、より小さな電流供給能力しか必要ないため小型化することができ、ひいては消費電力量を抑えることができる。
【0031】
さらに、上記の構成によれば、キャンセル磁場を発生するコイル2を構成する枠体1の大きさに比して磁気検出部3と制御部4は十分小型に作ることができるので、枠体1の内側に採光と通気を兼ね備えた開口部を設けることができる。
【0032】
さらに、上記の構成であれば、1つの枠体1上にコイル2と磁気検出部3と制御部4と可動機構5を一体的に構成できるので、施工においては枠体1の固定後に電源供給の配線を行うのみで良く、施工性に優れた枠体型環境磁気雑音遮蔽装置を構成することができる。
【0033】
また、可動機構5によりキャンセル磁場を発生するためのコイル2のコイル面と異なる位置に磁気検出部3を固定することができるため、磁気検出部3と同じ強度の磁界を発生することができるコイル面を挟んだ相反する位置にコイル面の法線方向成分の環境磁場の磁束密度の時間変化を完全に打ち消す(ゼロにする)ことができる。このため、構造物により設置場所の制約を受けることなく、環境磁気雑音のコイル面の法線方向成分を完全に打ち消す優れた磁気遮蔽効果を有することができる。
【0034】
請求項2に記載の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置は、上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明において、コイル2に供給する電流を一定に保持した場合の磁気検出部3の検出値を基に前記基準値を設定することを特徴とする基準値決定手段を具備することを特徴としている。
【0035】
上記の構成であれば、任意時刻における環境磁場の状態や、所定時間内の環境磁場の平均的状態を基準値として、環境磁気雑音遮蔽制御を行うことができるので、枠体1に構成されたコイル2に対してコイル面の法線方向の磁束密度の時間変化のみをキャンセルする磁界を発生するだけの電流を供給すればよく、制御部4は環境磁気そのものを遮蔽する場合に比して、より小さな電流供給能力しか必要ないため小型化することができ、ひいては消費電力量を抑えることができる。
【0036】
さらに、上記の構成であれば、コイル2に供給する電流を0としたときに、前記基準値を0と設定することができるので、環境磁気そのものを遮蔽する制御を行うこともできる。
【0037】
請求項3に記載の環境磁気雑音遮蔽装置は、上記の課題を解決するために、任意形状空間の閉曲面の全部または一部を構成する第2の枠体6と、第2の枠体6の各平面に配置された複数個の請求項1または請求項2に記載の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置により構成され、各枠体型環境磁気雑音遮蔽装置に具備された可動機構5を調整することにより、第2の枠体の内部空間を均質で高い遮蔽率の磁気遮蔽空間とすることを特徴としている。
【0038】
上記の構成であれば、任意形状空間の閉曲面の全部または一部を取り囲むように、請求項1または請求項2に記載の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置を複数個使用して配置することにより、パッシブな磁気シールド方式に比して軽量で採光性、通気性に優れ、ひいては圧迫感及び閉塞感が少ない環境磁気遮蔽空間を提供することができる。
【0039】
さらに、上記の構成であれば、環境磁気雑音遮蔽空間の近傍に比較的大きな空間勾配を有する環境磁気雑音源が存在しても、各フレーム毎に環境磁場の時間変動をキャンセルするために、第2の枠体の内部空間を均質で高い遮蔽率の磁気遮蔽空間とすることができる。これは、複数の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置が独立に動作することにより、比較的大きな空間勾配を有する環境磁気雑音源が存在しても同一配置面に設けられた複数のコイルが独立に発生する磁界が重なり合い、空間勾配の補間処理が行えるため、第2の枠体の内部空間を均質で高い遮蔽率の磁気遮蔽空間に保つことができるためである。
【0040】
さらに、上記の構成であれば、環境磁気雑音遮蔽空間内部に強磁性体材料を使用した機器が設置される場合においても、環境磁気雑音遮蔽空間を多数の小型コイルで取り囲んでキャンセル磁場を発生するため、各コイルから見た前記機器の立体角を小さくすることができるので、各コイルで発生する磁界が前記の機器の強磁性体内に引き込まれる現象を低減することができ、ひいては従来技術に比して遮蔽性能の劣化を低減することができるのである。
【0041】
さらに、上記の構成であれば、複数の小型枠体に分割して、搬入あるいは搬出を行うことができるので、非常に施工性に優れた環境磁気雑音遮蔽装置を提供することができる。従来の磁気シールドルーム工法においてはパーマロイの切り離しを行うと消磁を行う必要からコスト的に分解して移動することはほぼ不可能であったので、この効果は特筆に値する。
【0042】
さらに、上記の構成であれば、パッシブな磁気シールド方式に比して軽量な材料で枠体1および第2の枠体6を作ることができるため、装置全体が軽量化するので、対荷重の制限も緩和されるとともに、建物の上層階に設置されている場合に構造振動に起因している環境磁気雑音の時間変動をキャンセルすることができる。
【0043】
請求項4に記載の環境磁気雑音遮蔽装置は、上記の課題を解決するために、請求項3に記載の発明において、1個または複数の遮蔽率調整用磁気検出部7と、遮蔽率調整用磁気検出部7から供給される信号に基づいて信号振幅あるいは振幅の最小2乗和を算出し、算出値が最小となるように、各枠体型環境磁気雑音遮蔽装置に具備された可動機構5を調整する第2の制御部8を有することを特徴としている。
【0044】
上記の構成であれば、第2の枠体がどのような形状であっても、さらに設置場所の近傍に地磁気収束体が位置する結果、比較的大きな空間勾配を伴う環境磁気雑音が存在していても、さらに第の枠体6の内部に高透磁率性材料で作られた装置が存在していても、均質で高い遮蔽性能を有する広い遮蔽空間を実現することができる。
【0045】
請求項5に記載の環境電磁気雑音遮蔽装置は、上記の課題を解決するために、請求項3または請求項4に記載の発明において、第2の枠体の内面または外面を網状または箔状導体である電磁波シールド材で覆うことにより、電磁波に対しても遮蔽能力を有することを特徴としている。
【0046】
上記の構成であれば、網状の電磁波シールド材で覆った場合には採光性や通気性を損なうことなく、圧迫感や閉塞感を与えることなく、高い通気性、視認性を備えた環境磁気雑音と電磁波雑音の両方に対して高い遮蔽能力を有する環境電磁気雑音遮蔽装置を提供することができる。また、箔状導体である電磁波シールド材で覆った場合には、採光性、通気性や視認性がそこなわれ、圧迫感や閉塞感を与える不具合は解決しないが、高い電磁波遮蔽性能を実現することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態について、説明すれば以下のとおりである。
【0048】
本発明の構成要素である枠体1は木材や樹脂等の非磁性材料で作られたものであっても良い。
【0049】
また、本発明の構成要素である枠体1に構成されたキャンセル磁場を発生するためのコイル2は、枠体1に絶縁性被覆線を巻き付けたコイル、または多心ケーブルやフラットケーブルを1周ごとに結線位置を変えることで構成されるコイル、または絶縁材料表面に導電性材料で印刷されたコイル、または絶縁材料に導電性材料のフィルムを貼り付けた後で不要部分をカットして作成されたコイルの何れであっても良い。
【0050】
また、本発明の構成要素である磁気検出部3に採用される磁気センサは、特に直線性を持って磁界を検出する磁気センサである必要はなく、磁界検出コイル、ホール素子、磁気抵抗素子(MR:Magnetic Resistance)、フラックスゲート、磁気インダクタンス素子(MI:Magnetic Inductance)、超伝導量子干渉素子(SQUID:Superconducting QUantum Interferrence Devices)、直流励磁型アモルファス磁気センサ等を含んでいる。
【0051】
また、本発明の構成要素である制御部4は、予め定められた基準値に一致するようにコイル2に電流を供給するすることによりキャンセル磁場を発生する制御を行う装置であり、アナログまたはディジタルの何れで構成してもよい。また、制御方式としては通常のネガティブフィードバック、PI制御、PID制御、シグマデルタ変調、パルス幅変調(PWM:Pluse Width Modulation)の何れであっても良い。
【0052】
また、本発明の制御部4の前記基準値を得るために、遮蔽制御をかける前にコイル2に供給する電流を一定に保持した場合の磁気検出部3の検出値を基に前記基準値を設定するものであることが好ましい。例えば、コイル2に供給する電流を0に保持した場合の磁気検出部3の検出値を一定時間計測し、その平均値を基準値として採用することが好ましい。
【0053】
本発明の環境磁気雑音遮蔽装置の用途としては、例えば、電車の通過によってテレビやパソコンの映像が乱れることが無いように環境磁場を遮蔽する環境磁気雑音遮蔽装置、脳磁あるいは心磁等の生体磁場を計測するシステムのための環境磁気雑音遮蔽装置、または超LSI製造のための電子ビーム露光装置のための環境磁気雑音遮蔽装置、さらに針状の磁気マーカーを癌患部に打ち込み、このマーカーの位置を磁気的に検出することにより、体動や呼吸によってその位置が変化しても正しく患部に放射線を照射する多軌道照射型放射線治療システムのための環境磁気雑音遮蔽装置等が挙げられる。
【0054】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0055】
〔実施例1〕
図1に本件発明の請求項1及び請求項2に対応する枠体型環境磁気雑音遮蔽装置の一実施例を例示する。
【0056】
実施例1の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置は、枠体1と、枠体1に構成されているコイル2と、磁気検出部3と、制御部4と、可動機構5により構成されている。
【0057】
枠体1は50cm角の正方形状透明アクリル樹脂製で、厚さ1cmの枠周囲には深さ2mm、幅5mmの溝が掘られている。枠体1の周囲に掘られた溝はコイル2を構成するためのものである。枠体の中央部を横断し、可動機構5を固定するためのブリッジを具備している。枠体1全体は視認性を確保するためにブリッジも含めて透明アクリル樹脂で作られており、枠体に通気性を確保するために十分なスペースを空けている。
【0058】
コイル2は直径0.4mmの絶縁被覆銅線を53ターン巻いて構成されるコイルである。
【0059】
直径L[m]の円形ソレノイドコイルの中心の磁束密度B[T]は、コイルに流れる電流をI[A]、コイルの巻き数をN[回]とすれば、次式(2)で
与えられる。
【0060】
B = μ0・N・I / L (2)
ここでμ0 は真空透磁率を示し、4π×10000000である。
【0061】
コイルが正方形であれば磁界の強さはやや弱くなるが、次式(3)の関係は保たれる。
【0062】
B = k・μ0・N・I / L (3)
実施例1のコイル2の場合は、400mAの電流を流した場合に枠体中央部において約0.5ガウスの磁束密度の磁界を発生することができる。
【0063】
磁気検出部3は、枠体1の中央部に固定された可動機構5によって、コイル面の法線方向に自由にスライドすることができる棒状磁気センサである。予め指定された位置に固定することができる。磁気検出部3には磁気分解能33μガウスのMRセンサが使用されており、コイル面の法線方向成分の磁束密度を検出することができ、±20mガウスに対して出力電圧±2Vを出力するように設計されており、時系列信号として制御部4に供給している。
【0064】
制御部4は、磁気検出部3から電圧信号の供給を受け、DCから12.5kHzまで周波数帯域のローパスフィルタを通過させてから積分器を通り、±20mガウスの磁界変動に対して±16mAの電流に変換を行い、コイル2にネガティブフィードバックループを構成するように供給している。
【0065】
制御部4は、磁気検出部3で検出したコイル2のコイル面の法線方向の磁束密度の時間変化をキャンセルさせる磁界を発生させることを目的とする制御回路ブロックであり、環境磁気雑音をキャンセルする逆位相の磁場を発生するための電流をコイル2に供給している。
【0066】
可動機構5は、枠体1の中央に固定された磁性材料が使用されていない超音波モーター駆動のスライド機構であり、図示しない外部からの指示信号に基づいて棒状の磁気検出部3をコイル面の法線方向に双方向にスライドさせたり、任意位置に固定することができる。
【0067】
実施例1の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置には、調整(開ループ)モードと遮蔽(閉ループ)モードが存在する。調整モードにおいては、制御部4は0mAの電流をコイル2に対して供給し、10秒間に渡って磁気検出部3で検出した環境磁気雑音を毎秒25000サンプルの速さで取り込み、加算平均処理を行い、その処理の結果得た値を基準値として記憶する。次に遮蔽モードにおいては、磁気検出部3から供給される信号を毎秒25000サンプルの速さで取り込み、基準値との差分をとり、その差分値を積分し、その積分値に基づいて電流を出力し、コイル2に供給することにより、ネガティブフィードバックループ制御を実現している。環境磁気雑音の遮蔽を行うことができる。このネガティブフィードバックループ制御により磁気検出部3の検出位置での磁束密度の検出方向成分の時間変化を0に固定することができるだけでなく、空間勾配が殆ど無視できる環境磁気雑音に対してはコイル面に対して検出位置と相反する位置においても遮蔽効果を奏することができる。
【0068】
図3は本実施例1の制御部4の内部をさらに詳細に記述した図である。図示しない磁気検出部3から供給される信号は、加算平均処理回路41と差分演算回路43に供給されている。
【0069】
調整モードにおいては、セレクタ45は0V入力を選択し、電圧電流変換回路46に0Vを供給する。これにより、電圧電流変換回路46は、図示しないコイル2に0mAを供給する。加算平均処理回路41では調整モード期間中の磁気検出部3から供給される信号の加算平均値が演算され、その値を基準値保持回路42に供給している。モードが調整モードから遮蔽モードに切り替わるとき、基準値保持回路42は入力に供給されている加算平均値を保持し、基準値として差分演算回路43への供給を開始する。
【0070】
遮蔽モードに切り替わるとセレクタ45は積分回路44の出力を選択し、電圧電流変換回路46に供給する。差分演算回路43では、磁気検出部3から供給される信号から基準値保持回路42から供給される基準値を減じることにより、差分演算を行い、積分回路44に供給する。電圧電流変換回路46とコイル2との接続はネガティブフィードバックループを構成するように接続されているので、常に磁気検出部3の検出信号成分が基準値に一致するように閉ループが構成される。
【0071】
その結果、コイル2の存在平面の法線方向の磁束密度成分は基準値に固定され、磁気的遮蔽効果が実現する。
〔実施例2〕
図4は磁気検出部3の一実施例である。磁気検出素子31にはHonewell社製HMC1021Sを採用している。HMC1021Sは図5に示す入出力特性を有する磁気抵抗素子(MRセンサ)である。図5からもわかるように直線性が良好な磁気センサではない。磁気検出素子31の差動電圧出力は
差動増幅器32に供給され、100倍に増幅されている。差動増幅器32の参照入力には、アクティブグランド回路34から2.5Vの電圧供給を受け、
2.5Vを中心として±1ガウスの入力で±500mVの出力変動があるように設計されている。高周波雑音を除去するため、差動増幅器32の出力はカットオフ周波数800Hzのローパスフィルター33に供給されて低域周波数ろ過処理が行われている。
【0072】
図6に制御部4の別の実施例を詳細に記述している。制御部4は差動増幅器421とローパスフィルター422と12ビット精度の高速A/Dコンバータと同期型シリアルインターフェースを内蔵したワンチップマイコン423と同期型シリアルインターフェースにより接続された2チャンネルのD/Aコンバータ424と425と、前記D/Aコンバータ424と425が2.5Vを中心として±1Vを出力するD/Aコンバータであるので2.5V電圧をシフトして0Vを中心として±1Vを出力するための2.5Vシフト回路426と、さらに±1Vの電圧入力に対して±100mAの電流に変換する電圧電流変換回路427により構成されている。
【0073】
調整モードにおいて、ワンチップマイコン423は、同期型シリアルインターフェースを介してD/A425に対して0を設定する。これによってD/A425は2.5Vを出力し、2.5Vシフト回路426に供給する。2.5Vシフト回路426は2.5Vの入力を受け、2.5Vの下方シフトを行い0Vを電圧電流変換回路427に供給する。電圧電流変換回路427は、コイル2に対して0mAを供給する。
【0074】
図4の磁気検出部3で検出された信号は、アクティブグランド回路34によって2.5Vを中心として環境磁場1ガウスに対して500mVの感度があり、差動増幅器421の正符号入力に供給される。一方、差動増幅器421の負符号入力はD/A424からの供給を受けており、差動増幅器421で100倍に増幅された出力は、ローパスフィルター422において800Hzの帯域制限を受けた後、ワンチップマイコン423に内蔵のA/Dコンバータの入力に供給されている。ワンチップマイコン423は内蔵A/Dコンバータによるサンプリングを行いながら、A/D変換結果、またはA/D変換結果の所定時間の加算平均値がほぼ0を示す状態になるように、同期型シリアルインターフェースを介してD/Aコンバータ424への設定値を変更を続け、最適な状態となる設定値を検出したとき、そのD/Aコンバータ424への設定値を基準値として保持する。
【0075】
ワンチップマイコン423は、遮蔽モードに切り替わると内部演算処理を変更し、A/Dコンバータの変換値△inと累積値sumを用いてサンプリング毎に次式(4)を実行する。
【0076】
sum ← sum + △in (4)
式(4)は積分処理に相等する。
【0077】
ワンチップマイコン423は、発振を防止するため、累積値sumの下位のビット数ビットを切り捨て、右シフト処理を行ってから、同期型シリアルインターフェースを介してD/Aコンバータ425への設定を行う。これによって、A/Dコンバータの変換値△inが0となるようにネガティブフィードバックループが構成される。
【0078】
故に、本実施例2においても、コイル2の存在平面の法線方向の磁束密度成分は基準値に固定され、磁気的遮蔽効果が実現する。
〔実施例3〕
図7に立方体形状の環境磁気雑音遮蔽装置の一実施例を示す。本実施例においては、立方体形状の第2の枠体6の各平面に各々4枚の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置をはめ込み、合計24枚の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置により1m角の立方体形状の環境磁気雑音遮蔽装置を構成し、1/15程度の遮蔽性能を達成している。なお、磁気検出部3の最適な固定位置は第2の枠体6の外側へ18cmスライドさせた位置であった。
〔実施例4〕
図8は円筒形状の環境磁気雑音遮蔽装置を構成した一実施例を示す。本実施例においては、円筒形形状の第2の枠体6の側面8面に各々5枚の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置をはめ込み、合計40枚の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置によりほぼ円筒形状の環境磁気雑音遮蔽装置を構成し、1/30程度の遮蔽性能を達成している。なお、磁気検出部3の最適な固定位置は第2の枠体6の外側へ23cmスライドさせた位置であった。
【0079】
本実施例では円筒の円を8角形で近似した構成であり、円筒枠体6の内部には寝台が設けられており、被験者が寝台に仰向け姿勢で横たわり、前胸部における心磁界分布を計測することが可能である。
【0080】
本実施例では円筒形状枠体の内面に網状導体を貼り付け、電磁波に対する遮蔽特性をも具備させた実施例である。
【0081】
また、従来の磁気シールドルーム方式と比較して、採光性と通気性に優れるとともに、施工性に優れ、枠体型環境磁気雑音遮蔽装置に分解して搬出・搬入を行うことが容易であるという特徴がある。
〔実施例5〕
図11は8角形で近似した円筒形状の環境磁気雑音遮蔽装置を構成した一実施例の断面を示す。本実施例では、第2の枠体6の内部にx方向、y方向、z方向の3軸磁束密度ベクトルを計測できる遮蔽率調整用磁気検出部7と、遮蔽率調整用磁気検出部7から供給される信号に基づいて、所定時間内の信号振幅は振幅の最小2乗和を算出し、算出値が最小となるように、各枠体型環境磁気雑音遮蔽装置に具備された各々の可動機構5に対し、固定位置を一括して調整する第2の制御部8を有している。
【0082】
本実施例では断面が正8角形であるために、各々の枠体に対する磁気検出部3の固定位置を同じ距離に設定することができる。第2の制御部8においては遮蔽率調整用磁気検出部7から供給される3軸磁束密度ベクトルの絶対値の最小二乗値を最小となるように調整する制御を行えば、第2の枠体6の内部が均質で高い遮蔽率の遮蔽空間に調整されるという特徴がある。
【0083】
【発明の効果】
本発明の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置は、以上のように、枠体1と、枠体1に構成されたコイル2と、コイル2のコイル面に対向して配置され環境磁気雑音が遮蔽される所定領域と、コイル2のコイル面に対して前記所定領域の反対側であり且つ該所定領域と同一の磁束密度となる位置に配置されコイル2のコイル面に直交する磁束密度の時間変化を検出する磁気検出部3と、磁気検出部3で検出した信号が予め設定された基準値に一致するようにコイル2に電流を供給して磁気検出部3における環境磁気雑音をキャンセルする制御を行う制御部4と、枠体1と磁気検出部3の相対的位置関係を調整できる可動機構5を有し、コイル2と磁気検出部3と制御部4と可動機構5とが枠体1に一体化されている構成である。
【0084】
それ故、環境磁界の時間的変動分をキャンセルする電流供給能力しか必要でないために、小型化でき、軽量かつ、前記磁気検出部3と前記制御部4とが前記コイル2の配置面に一体的に具備できる特有の効果を奏する。
【0085】
また、前記コイル2に比して、前記磁気検出部3と前記制御部4は十分小さいために、コイル2を取り付ける枠体1に採光性と通気性を兼ね備えた開口部分を十分に設けることができるという特有の効果を奏する。
【0086】
さらに、前記磁気検出部3と前記コイル2と前記制御部4は一体的に構成されるので、従来の磁気シールドルーム方式と比較して、施工性が優れるという特有の効果を奏する。
【0087】
本発明の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置は、以上のように、基準値を環境磁気雑音やその加算平均値に基づいて決定できるので、前記コイル2に供給する電流容量が従来のアクティブ磁気シールド方式に比して小さくて済むために、より低消費電力での運用が可能であるという特有の効果を奏する。
【0088】
また、本発明の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置は、以上のように、前記可動機構5によって、枠体1と磁気検出部3の相対的位置関係を予め設定しておくことにより、磁気検出位置のコイル面に対して相反する位置にも遮蔽率の高い部分を生成することができるという特有の効果を奏する。
【0089】
本発明の環境磁気雑音遮蔽装置は、以上のように、複数の前記枠体型環境磁気雑音遮蔽装置により構成されるので、従来の磁気シールドルーム方式に比して、採光性、通気性に優れ、施工性も良好であり、容易に枠体単位に分解して搬出・搬入が行えるという特有の効果を奏する。
【0090】
本発明の環境磁気雑音遮蔽装置は、以上のように、第2の枠体6の内部に設けられた遮蔽率調整用磁気検出部7から供給される信号に基づいて信号振幅あるいは振幅の最小2乗和を算出し、算出値が最小となるように、各枠体型環境磁気雑音遮蔽装置に具備された可動機構5を調整する第2の制御部8を有する構成である。
【0091】
それ故、第2の枠体6の形状や、周囲の環境磁気雑音源の状況によらず、高い遮蔽率でありながら、均質で広い遮蔽空間を実現することが容易であるという特有の効果を奏する。
【0092】
本発明の環境電磁気雑音遮蔽装置は、以上のように、採光性と通気性を維持しながら電磁波に対する遮蔽特性も備えるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置の一実施例である。
【図2】従来技術のアクティブ磁気シールド方式の実施例である。
【図3】制御部4の一実施例の詳細なブロック図である。
【図4】本発明の磁気検出部3の一実施例である。
【図5】磁気抵抗(MR)センサの入出力特性の一例である。
【図6】本発明の制御部4の一実施例である。
【図7】立方体形状の環境磁気雑音遮蔽装置の一実施例である。
【図8】円筒形状の電磁波遮蔽特性も備えた環境電磁気雑音遮蔽装置の一実施例である。
【図9】対向する2つの枠体型環境磁気雑音遮蔽装置の磁気検出部3とコイル2の位置的関係により遮蔽率の良好な点の存在を説明する図である。
【図10】3次元的シミュレーションにより磁気検出部3とコイル2の位置的関係により遮蔽率の良好な点の存在を説明する図である。
【図11】本発明の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置の一実施例である。
【符号の説明】
1 枠体
2 コイル
3 磁気検出部
6 第2の枠体
7 遮蔽率調整用磁気検出部

Claims (5)

  1. 枠体1と、枠体1に構成されたコイル2と、コイル2のコイル面に対向して配置され環境磁気雑音が遮蔽される所定領域と、コイル2のコイル面に対して前記所定領域の反対側であり且つ該所定領域と同一の磁束密度となる位置に配置されコイル2のコイル面に直交する磁束密度の時間変化を検出する磁気検出部3と、磁気検出部3で検出した信号が予め設定された基準値に一致するようにコイル2に電流を供給して磁気検出部3における環境磁気雑音をキャンセルする制御を行う制御部4と、枠体1と磁気検出部3の相対的位置関係を調整できる可動機構5を有し、コイル2と磁気検出部3と制御部4と可動機構5とが枠体1に一体化されていることを特徴とする枠体型環境磁気雑音遮蔽装置。
  2. 請求項1に記載の発明において、コイル2に供給する電流を一定に保持した場合の磁気検出部3の検出値を基に前記基準値を設定することを特徴とする基準値決定手段を具備することを特徴とする枠体型環境磁気雑音遮蔽装置。
  3. 任意形状空間の閉曲面の全部または一部を構成する第2の枠体6と、第2の枠体6の各平面に配置された複数個の請求項1または請求項2に記載の枠体型環境磁気雑音遮蔽装置により構成され、各枠体型環境磁気雑音遮蔽装置に具備された可動機構5を調整することにより、第2の枠体6の内部空間を均質で高い遮蔽率の磁気遮蔽空間とすることを特徴とする環境磁気雑音遮蔽装置。
  4. 請求項3に記載の発明において、1個または複数の遮蔽率調整用磁気検出部7と、遮蔽率調整用磁気検出部7から供給される信号に基づいて信号振幅あるいは振幅の最小2乗和を算出し、算出値が最小となるように、各枠体型環境磁気雑音遮蔽装置に具備された可動機構5を調整する第2の制御部8を有することを特徴とする環境磁気雑音遮蔽装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の発明において、第2の枠体の内面または外面を網状または箔状導体である電磁波シールド材で覆うことにより、電磁波に対しても遮蔽能力を有することを特徴とする環境電磁気雑音遮蔽装置。
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