JP4389237B1 - アンカー工法用受圧装置及びアンカー工法 - Google Patents

アンカー工法用受圧装置及びアンカー工法 Download PDF

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Abstract

【課題】法面の凹凸形状に依存せずに受圧板を安定して設置することができ、また、受圧板を変えることなく法面の許容地盤支持力に合わせて設置することが可能であり、しかも作業工数の削減、設置時間の短縮、作業労力の低減を図ることが可能なアンカー工法用受圧装置及びアンカー工法を提供する。
【解決手段】クリンプ金網と、その内側に配筋された鉄筋と、この鉄筋に固定されて法面1に削孔されたアンカー孔2に固定される引張材3を挿通させる挿入管20とを有して構成された枠体7にモルタル又はコンクリートを吹き付けて法面1に法面ブロック4を直接打設成型し、この法面ブロック4の上面に挿入管20を挿通させた引張材3を挿通させる養生管27を備えた受圧板5を設置し、緊張させた引張材3をこの受圧板5に定着具6で定着する。
【選択図】図1

Description

本願発明は、地中に固化材によって造成する定着部と地表部の構造物とを高強度の引張材で連結させ、引張力を利用して不安定斜面を安定させるためのアンカー工法用受圧装置及びアンカー工法に関する。
従来のグラウンドアンカー工法は、法面の崩壊を防ぐため、図13に示すように、傾斜した法面Aにアンカー孔Bを削孔した後、引張材(PC鋼材)Cをアンカー孔B内に挿入し、固化材Dをグラウティングした後に、法面Aにプレキャストコンクリート製の受圧板Eを据付け、この受圧板Eに引張材Cを所定の力で緊張・定着することにより、受圧板Eを法面Aに圧設するようにしていた。
しかしながら、このような工法においては、一般的に法面には凹凸があるため、受圧板の裏面と法面との間に隙間が生じてこれらが十分に密着せず、受圧板の設置が不安定になるという問題があった。特に法面の凹凸が激しい場合には、緊張時に受圧板の裏面に部分的に応力が集中し、受圧板に亀裂を発生させてしまうおそれがある。
このため、従来においては、下記する特許文献1や非特許文献1に示されるように、受圧板の裏面と法面との間に、多孔質物質を収容した変形可能なざぶとん材を介在させ、このざぶとん材内にセメントミルクを充填して多孔質物質内に含浸・保持させることで受圧板と法面との間に形成される隙間をなくすようにした工法が考えられている。
また、特許文献2に示されるように、受圧板1の裏側に、小さい表面積を有する裏板体を設けると共に傾斜法面の下側に型枠を設け、受圧板1の裏側と法面との間に隙間を形成し、この隙間にコンクリートを充填するようにした工法や、特許文献3に示されるように、内部にセメント系モルタル又はコンクリートを注入可能とする外殻、及び、この外殻と結合して外殻内に固定されるコンクリート補強用鉄筋かごを備えた受圧板用部材を用意し、この受圧板用部材をその中央部に形成されたアンカー挿通孔に地山のアンカー孔に仮止されたアンカー部材を挿通させた後に地山に直接仮固定し、外殻内部にセメント系モルタル又はコンクリートを注入して硬化させることにより受圧板を形成し、この受圧板をアンカー部材に永久固定するようにした工法などが公知となっている。
さらに、凹凸法面に対応する工法として、特許文献4や非特許文献2に示されるように、法面に鋼製支圧板を設置して一次緊張を行い、続いて鋼製支圧板の周囲にRC受圧板(現場打鉄筋コンクリート製受圧板)を構築後、必要抑止力(設計アンカー力)を二次緊張することで、鋼製支圧板とRC受圧板とを一体化した独立受圧板構造体により法面の安定を確保するようにしたグラウンドアンカー工法(GRASP工法)も公知となっている。
このGRASP工法は、現場にてRC受圧板を製作するため、部材の運搬が容易となり、大型機械や大型車両の進入不可能な箇所等での斜面の補強、安定に適しているもので、より具体的な施工手順は、以下の通りである。
(i) 先ず、法面に削孔されたアンカー孔に引張材を挿入して、その挿入端部をアンカー孔に充填した固化材で固定した後、削孔アンカー軸芯に合わせて鋼製支圧板を設置する部位をモルタル又は吹付コンクリートにて平坦となるように下地処理を行う。
(ii) そして、この下地処理した部位に組み立てた鋼製支圧板を設置し、
(iii) 上部伝達板の上にアンカープレート・アンカー固定金具を設置して緊張ジャッキにて一次緊張を行う。
(iv) その後、鋼製支圧板に取り付けられたジベル筋に配筋を行い鉄筋籠を製作・設置し、
(v) さらに、鉄筋籠の周囲に金網型枠を設置し、
(vi) この金網型枠の内部に圧送ポンプにてコンクリートを吹付け、表面をゴテにて仕上げる。この際、法面角度とアンカー角度が直交で無い場合には、上部伝達板天端部又はアンカープレート下端部に吹付Conを摺付けて仕上げる。
(vii) その後、吹付コンクリートの強度を確認後、鋼製支圧板にアンカープレートを取り付けて二次緊張を行う。
(viii) 最後に、鋼製支圧板の伝達筒内を防蝕処理すると共に、アルミ製又はゴム製のアンカーキャップを設置する。
特開2000−80658号公報 特開平9−242071号公報 特開2004−92260号公報 特公平5−85696号公報
"ざぶとん裏込工法"、[online]、斜面受圧板協会、[平成21年2月25日検索]、インターネット、<http://www.syamen.jp/gijyutu/zabuton.shtml> "GRASP工法"、[online]、斜面受圧板協会、[平成21年2月25日検索]、インターネット、<http://www.grasp-assoc.jp/download/gaiyou.pdf>
しかしながら、前記特許文献1や非特許文献1に係るざぶとん材を介在させるグラウンドアンカー工法は、受圧板の法面に臨む側の面が平面状に形成されているだけであるので、法面に形成されている凹凸状態が大きくなると、法面に仮設した受圧板と法面との間にセメントミルクを充填して固化させる間に、受圧板の姿勢が安定に維持されにくく、その結果、セメントミルクの充填が不十分な箇所が発生するおそれがあり、凹凸法面の各種形状に相応させることが困難になる場合がある。また、包袋の中に充填した未固化充填材が、その自重で法面に沿って低い方に流動して、未固化充填材が包袋ごと受圧板の下面側から外方にはみ出してしまい、受圧板と法面との隙間をなくすことができなくなる不都合もある。
さらに、上述した構成においては、法面の許容地盤支持力に合わせて、受圧板の大きさを変更する必要があり、通常、法面の許容地盤支持力を見越して1段階上の大きさの受圧板を選択する必要があるため、受圧板やそれを設置するための機材の運搬等の作業労力が非常に大きくなる不都合がある。
また、受圧板と法面との間に積極的に隙間または空間を形成し、そこにコンクリートやモルタルを注入する特許文献2又は3に係るグラウンドアンカー工法においては、受圧板や受圧板用部材を法面に設置した後にこれらと法面との間にコンクリートやモルタルを注入するので、目視による確認が行いにくく、コンクリートやモルタルで充分に隙間や空間を塞ぐことができない場合もでてくる。
これに対して、GRASP工法(特許文献4、非特許文献2)においては、鋼製支圧板の周囲に現場吹付けによるRC受圧板が構築されるので、法面が凹凸の場合でも密着性がよく、裏込めが不要となると共に目視によりコンクリートの打設状態を確認でき、また、現場での作業が中心となるので、機材等を運搬の労力が小さくなるメリットはあるが、GRASP工法は、前述したように、鋼製支圧板を設置するために予め下地処理が必要となるため、全作業工程で吹付け作業が2回必要となり、設置作業に時間がかかると共に手間がかかる不都合がある。また、鋼製支圧板を固定するために引張材の一次緊張を行う作業が必要となるため、全作業工程で緊張作業も2回必要となり、作業工数が多くなる不都合がある。
さらに、法面角度とアンカー角度が直交していない場合には、伝達筒が傾動する自在型の鋼製支圧板を用いる必要があり、現場に応じて伝達筒が法面に対して垂直に固定された固定型の鋼製支圧板と前記自在型の鋼製支圧板とを使い分ける必要があるため、共通した支圧板で対応することができず、現場に合わせた慎重な選択が要請される。また、法面とアンカー角度とが直交していない場合には、上部伝達板天端部又はアンカープレート下端部に吹付Conを摺付ける作業が必要となるので、作業が一層煩雑となり、また、RC受圧板の表面の仕上がりが、吹付Conの摺付作業の有無によってばらつくため、表面の処理に自由度を持たせにくいものであった。
本願発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、法面の凹凸形状に依存せずに受圧板を安定して設置することができ、また、受圧板を変えることなく法面の許容地盤支持力に合わせて設置することが可能であり、しかも設置工数を減らして設置時間を短縮すると共に設置部材の運搬等の作業労力を低減することが可能なアンカー工法用受圧装置及びアンカー工法を提供することを主たる課題としている。
また、法面角度とアンカー角度が直交しない場合にも対応することができ、また、アンカー設置個所の表面処理に自由度を持たせることをも課題としている。
上記課題を解決するために、本発明に係るアンカー工法用受圧装置は、クリンプ金網と、その内側に配筋された鉄筋と、前記鉄筋に固定されて法面に削孔されたアンカー孔に固定される引張材を挿通させるための挿入管とを有して構成される枠体を備え、この枠体と一体をなしてモルタル又はコンクリートで前記法面に直接打設成型された法面ブロックと、この法面ブロックの上面に設置され、前記法面ブロックの上面よりも小さい設置面を有すると共に前記挿入管を挿通させた引張材を挿通させる養生管を備えた受圧板と、この受圧板に取り付けられて前記養生管を挿通した前記引張材を定着する定着具とを有することを特徴としている。
したがって、引張材が固定されたアンカー孔が形成されている法面上に、モルタル又はコンクリートで直接打設成型した法面ブロックが設置されるので、法面ブロックの設置は、法面の凹凸状態に依存せず、また、法面を格別に調整する必要もない。このため、法面の凹凸状態に拘わらず、法面ブロックと法面との間に隙間が形成されることがなくなり、法面ブロックを法面に精度よく密着させて安定に設置することが可能となる。そして、この法面ブロックの上面に受圧板を設置し、この受圧板に引張材を緊張して定着具で定着するので、受圧板を法面ブロックに安定に設置することが可能となる。
また、アンカー設置作業において、モルタル又はコンクリートでの打設作業は1回で済み、また、引張材の緊張作業も1回で済むので、作業工数を削減でき、設置に要する時間を短縮することが可能となる。
さらに、枠体の大きさや形状を調節することで、法面の許容地盤支持力に見合った法面ブロックが設置できるので、法面ブロックに設置される受圧板を変更する必要がなく、各設置箇所で共通した受圧板を用いることが可能となる。さらに、法面ブロックは法面に対して直接打設成型されるので、予め成型した法面ブロックを運搬する作業が不要となり、作業労力を低減することも可能となる。
ここで、前記枠体の内側に配筋された鉄筋は、格子状の上端筋と下端筋とを有して構成され、前記挿入管は、前記上端筋と前記下端筋の少なくとも一方に固定されて、上端側が前記上端筋よりも上側に突出すると共に、下端側が前記下端筋から下側に延びて前記アンカー孔に挿入される構成としてもよい。
このような構成によれば、挿入管が枠体を設置する際のガイド部材として用いることができるので、挿入管をアンカー孔に挿着することにより枠体を所定箇所に容易に設置可能となる。
また、前記挿入管を、前記枠体の鉄筋に着脱可能とし、前記下端筋よりも下側の部分にアンカープレートを取り付けるようにするとよい。このような構成によれば、挿入管をアンカー孔の径に合わせて取り換え可能となり、また、アンカープレートの大きさを調節して、支圧耐力および法面ブロックへの固着力を調節することが可能となる。
さらに、前記受圧板は、前記養生管の上面にトッププレートが、前記養生管の下面にボトムプレートがそれぞれ設置され、これら前記トッププレートと前記ボトムプレートの間にリブプレートが設置された構成にしてもよい。このような構成にすれば、受圧板を鋼製にした場合でも軽量化を図りつつ強度を確保することが可能となる。
さらにまた、前記受圧板の養生管は、前記法面ブロックに向かうにつれて径を大きくするとよい。アンカー孔が法面に対して垂直でない場合には、引張材の後端部が法面に対して垂直に引き出せなくなるが、法面ブロックに設置される受圧板の養生管を法面ブロックに向かうにつれて径を大きくすることで、このような引張材の突出方向のずれを吸収することが可能となり、受圧板を複数種類用意する必要がなくなる。
また、上記課題を解決するためのアンカー工法は、法面に削孔されたアンカー孔に引張材を挿入して、その挿入された先端部をアンカー孔に充填した固化材で固定し、クリンプ金網と、その内側に配筋された鉄筋と、前記鉄筋に取り付けられた挿入管とを有して構成される枠体を、前記アンカー孔から突出した前記引張材の後端部を前記挿入管に挿通させた後に前記法面に設置し、前記法面に設置された前記枠体にモルタル又はコンクリートを吹き付けて前記法面に法面ブロックを直接打設成型し、しかる後に、養生管を備えた受圧板を、前記挿入管から突出した前記引張材の後端部を前記養生管に挿通させた後に前記法面ブロックの上面に設置し、この受圧板に前記引張材の後端部を所定の力で緊張して定着具で定着することを特徴としている。
したがって、引張材が固定されたアンカー孔が形成されている法面上に枠体を設置し、この枠体にモルタル又はコンクリートを吹き付けて法面に法面ブロックを直接打設成型するので、法面の凹凸状態に拘わらず、法面ブロックと法面との間に隙間が形成されることがなくなり、法面ブロックを法面に精度よく密着させて安定に設置することが可能となる。そして、この法面ブロックの上面に引張材の後端部を養生管に通した受圧板を設置し、この受圧板に引張材を緊張して定着具で定着するので、受圧板を法面ブロックに安定に設置することが可能となり、受圧板を大きくする必要がなくなる。
また、枠体の大きさや形状を調節することで、法面の許容地盤支持力に対応させた法面ブロックの設置が容易に行え、また、法面ブロックは法面に対して現場で直接打設成型されるので、予め成型した法面ブロックを運搬する必要がなく、作業労力を低減することが可能となる。
ここで、前記枠体の内側に配筋された鉄筋は、格子状の上端筋と下端筋とを有して構成され、前記挿入管は、前記上端筋よりも上側に突出させると共に前記下端筋から下側に延ばすように前記鉄筋に取り付けられており、前記枠体を前記法面に設置する際に、前記挿入管を前記アンカー孔に挿入するとよい。
このような構成によれば、枠体の法面への設置において、挿入管がガイドとなるため、枠体を正確かつ迅速に法面に設置することが可能となる。
また、受圧板は、前記養生管の上面にトッププレートを設置すると共に前記養生管の下面にボトムプレートが設置され、これら前記トッププレートと前記ボトムプレートとの間にリブプレートを設置し、また、前記養生管を、前記法面ブロックに向かうにつれて径を大きく形成し、前記受圧板を、前記法面ブロックの上面に設置する際に引張材の後端部の突出方向に合わせて設置位置を調整するようにしてもよい。
このような構成によれば、アンカー孔が法面に対して垂直でない場合でも、引張材の突出方向のずれを養生管により吸収することが可能となり、受圧板を複数種類用意する必要がなくなる。
以上述べたように、本発明によれば、法面に設置した枠体にモルタル又はコンクリートを吹き付けて法面に対して法面ブロックを直接打設成型し、この法面ブロックの上面に受圧板を設置して緊張した引張材を定着するようにしたので、法面ブロックの裏面を凹凸な法面に隙間なく密着させることができ、法面ブロックを安定に設置することが可能となる。したがって、受圧板をこの法面ブロックに設置することで安定に設置することが可能となる。
また、モルタル又はコンクリートの打設作業は、法面ブロックを形成する際に1回行えばよく、また、引張材の緊張作業も、法面ブロックを形成してその上面に受圧板を設置した後に1回行えばいいので、前述したGRASP工法に比べて、作業工数を減らすことが可能になると共にアンカー設置に要する時間を短くすることが可能となる。
さらに、枠体の大きさや形状を調節することで、法面の許容地盤支持力に対応させた法面ブロックの設置が容易に行え、また、法面ブロックは法面に対して直接打設成型されるので、予め成型した法面ブロックの運搬の必要もなく、法面における高所作業が容易かつ迅速に行え、作業労力を低減することが可能となる。
しかも、法面ブロックの上面に設置される受圧板を法面ブロックよりも小さくできるので、法面ブロックに設置される受圧板の形状や大きさを変えることなく、各設置箇所で共通した受圧板を用いることが可能となる。

さらにまた、枠体の鉄筋に取り付けられる挿入管を下側に延ばしてアンカー孔に挿入させる構成とすることで、挿入管が枠体を設置する際のガイド部材として用いることができるので、枠体を所定箇所に容易に設置可能となる。
また、前記挿入管を前記枠体の鉄筋に着脱可能とし、挿入管の下端側にアンカープレートを取り付けるようにすれば、挿入管をアンカー孔の径に合わせて取り換え可能となり、また、アンカープレートの大きさを調節することで、支圧耐力および法面ブロックへの固着力を調節することが可能となる。
また、受圧板において、養生管の上面にトッププレートを、また、養生管の下面にボトムプレートをそれぞれ設置し、これらトッププレートとボトムプレートの間にリブプレートを設置するようにしたので、受圧板を鋼製とした場合でも軽量化を図りつつ強度を確保することが可能となり、引張材の緊張・定着を簡単かつ確実に行うことが可能となる。
さらにまた、前記受圧板の前記養生管を、法面ブロックに向かうにつれて径を大きくすることで、アンカー孔が法面に対して垂直でない場合においても、引張材の突出方向のずれを吸収することが可能となり、受圧板を複数種類用意する必要がなくなる。
本発明に係る受圧装置で法面を補強した状態を示す断面図である。 枠体を示す図であり、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。 枠体を示す斜視図である。 受圧板を示す図であり、(a)はその斜視図、(b)はその平面図、(c)は(b)のα―α断面図である。 法面に形成されたアンカー孔に引張材を挿入してグラウティングした状態を示す断面図である。 枠体を設置する工程を示す図である。 枠体にモルタル又はコンクリートを吹き付けて法面ブロックを形成する工程を示す図であり、(a)は枠体を設置した法面を示す断面図、(b)は法面ブロックの完成図である。 法面ブロックに受圧板を設置する過程を示す図であり、(a)はその断面図であり、(b)は法面ブロックに受圧板を設置した状態を示す斜視図である。 法面ブロックに受圧板を設置し、ジャッキで緊張する状態を示す断面図である。 法面ブロックで補強された法面の平面図である。 他の形状の法面ブロックで補強された法面の平面図である。 他の形状の法面ブロックで補強された法面の平面図である。 従来のグラウンドアンカー工法を説明する図であり、(a)はその平面図、(b)はその断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係るアンカー工法用受圧装置は、図1に示されるように、法面1に削孔されたアンカー孔2に固定される引張材3が挿通されて法面1に対して圧設された状態で設置される法面ブロック4と、この法面ブロック4の上面に設置され、引張材3が挿通される受圧板5と、受圧板5に取り付けられて緊張させた引張材3を定着する定着具6とを有して構成されている。
法面ブロック4は、以下に述べる枠体7と一体をなし、モルタル又はコンクリートで法面1に対して直接打設成型されているもので、枠体7を法面1に設置した後にこの枠体7にモルタル又はコンクリートを吹き付けて成型される。
枠体7は、図2および図3に示すように、クリンプ金網8とフープタイ15にて平面方形状に形成され、クリンプ金網8の内側に鉄筋9を配筋して構成されている。クリンプ金網8は上下の枠材10,11間に金網12が設置されて構成され、平面方形に限らず、例えば平面三角形、平面五角形または平面円形等の任意の形状にすることができ、法面の許容地盤支持力に見合った大きさ、形状に組み立てられる。
鉄筋9は、対向するクリンプ金網8にわたって配筋された格子状の上端筋13と、格子状の下端筋14とからなり、上下の鉄筋13,14間には補強筋17が配筋されている。
また上端筋13の中央部および下端筋14の中央部には挿入管20が挿着されている。この挿入管20は、鉄筋9に対して番線19等で固定されており、この挿入管には、下端筋よりも下方となる位置にアンカープレート18が溶接等により外装されている。このアンカープレートの大きさを調節することにより、支圧耐力および法面ブロックへの固着力を調節することができる。
挿入管20は、上端側が法面ブロック4の上端筋13よりも上方に突出するように設けられると共に、下端側が下端筋14よりも下方に延設され、下端が斜めにカットされている(図面において左側から右側にかけて下側に傾斜して形成されている)。この挿入管20は、鉄筋9に対して着脱自在に取り付けられ、アンカー孔2の径に応じた径のものに適宜取り換え可能となっている。
このような枠体7は、クリンプ金網8と鉄筋9とによって予め工場で製作するようにしても、現場で組み立てるようにしてもよく、予め工場で製作する場合においても、軽量であるため、現場に容易に搬送することが可能になる。
法面ブロック4の上面に設置される受圧板5は、鋼製のもので、図4に示すように、上側から下側にかけて径が徐々に拡大する養生管27の上面にトッププレート28が設置され、また養生管27の下側にはボトムプレート29が設置され、これらトッププレート28とボトムプレート29との間に補強用のリブプレート30が設置された構成となっている。このリブプレート30は、養生管の周方向に所定の間隔(この例では90度の間隔)に設置され、上端がトッププレート28に、下端がボトムプレート29に、前端が養生管27にそれぞれ溶接されている。また、この例では、隣り合うリブプレート間に補助リブプレート31が設けられ、強度が高められている。そして、この養生管27に引張材3の後端部が挿通され、この状態で受圧板5が法面ブロック4の上面に設置されている。
尚、定着具6は、緊張された引張材3の上部を定着するそれ自体周知のもので、例えばアンカーヘッドナットに引張材3をくさびにより定着するもの等が用いられる。
以上のアンカー工法用受圧装置を利用するアンカー工法は、法面1に設置した枠体7にモルタルを吹き付けて法面ブロック4を形成した後、この法面ブロック4の上面に受圧板5を設置し、引張材3を所定の力で緊張して法面ブロック4を法面1に圧接するものである。
以下、詳述すると、先ず、図5に示すように、法面1にアンカー孔2を削孔し、このアンカー孔2にPC鋼線などの引張材3を複数本挿入し、この引張材3の後端部を法面1から適宜の長さ突出させる。そして、このアンカー孔2にグラウトなどの固化材34を充填し、この固化材34が固化することにより、引張材3の先端部を固定させる。
次に、図6に示すように、工場で製作された枠体7をワイヤーロープ36等で斜面の設置部位となる法面1まで吊り上げ、引張材3の後端部を挿入管20に通して、アンカー孔2を覆うように設置する。この際、枠体7は、アンカー孔2の周囲の法面上に設置された調整台座21上に下端筋を載置させるように設置されると共に挿入管20の下端側をアンカー孔2に挿入するように設置される。また、アンカープレート18を法面1に当接させ、引張材3の後端部を挿入管20の上部から突出させる。
したがって、このアンカー孔2に挿入管20を挿入して枠体7を法面1に設置するので、挿入管20が枠体7を設置する際のガイドとなり、枠体7を正確かつ迅速に法面1の所定位置に設置することが可能となる。また、このように枠体7が調整台座21を介して設置されているため、枠体7と法面1との間にモルタルが打設される間隙部22が形成される。
次に図7(a)に示すように、枠体7の内部に圧送ポンプによって圧送されたモルタル23を吹き付けて法面ブロック4を形成する。この際、モルタルは、枠体7を覆うように(クリンプ金網8が見えないように)枠体7の外側にも若干吹き付けられ、また、図7(b)に示されるように、法面ブロック4の上面を挿入管20の上端と一致するように法面1に対して略水平な平坦面とする。これにより、このモルタル23が硬化すると、法面ブロック4の上面から引張材3の後端部が適宜の長さ突出された状態となる。
次に図8に示すように、引張材3の後端部を養生管27に挿通させて受圧板5を法面ブロック4の上面に設置する。その際、受圧板5は、引張材3の後端部の突出方向に合わせて設置位置を調整する。そして、その上からジャッキ26を取り付け、図9に示すように、引張材3をジャッキ26によって所定の力で緊張する。
その後、引張材3の上部を前記図1に示すように定着具6で定着することで、法面ブロック4が法面1に圧接される。このような方法によって、法面1に法面ブロック4を適宜の間隔毎に形成すると、図10に示すように、法面1が多数の法面ブロック4で保護される。
したがって、上述の構成によれば、引張材3が挿入されて固化材により固定されたアンカー孔2を覆うように枠体7が法面1に設置され、この枠体7にモルタル又はコンクリートを吹き付けて法面上に法面ブロックが直接打設成型されるので、法面の凹凸状態に拘わらず、法面ブロックと法面との間に隙間が形成されることがなくなり、法面ブロックを法面に精度よく密着させて安定に設置することが可能となる。そして、この法面ブロックの上面に引張材を養生管に通した受圧板を設置し、この受圧板に引張材を緊張した上で定着具6で定着するので、受圧板5を法面ブロック4に安定に設置することが可能となり、受圧板5の形状や大きさを変えることなく、法面ブロック4の大きさや形状を調整することで法面の許容地盤支持力に対応させることが可能となる。
即ち、法面ブロック4の大きさや形状は、枠体7の大きさや形状を調整することで対応することができるので、例えば、図11に示されるように、法面ブロック32の角部を下側にして形成することにより、隣接する法面ブロック32同士を角部で接するように形成することも、また、図12に示されるように、平面十字形の法面ブロック33を形成することも、上記と同様の工法で形成可能となり、設置個所の条件や要請に合わせて法面ブロック4の大きさや形状を適宜変更することで法面の許容地盤支持力を確保することができ、受圧板5は共通のものを用いることが可能となる。
また、アンカー設置作業において、モルタル又はコンクリートでの打設作業は1回で済み、また、引張材の緊張作業も1回で済むので、作業工数を削減でき、アンカー設置に要する時間を短縮することが可能となり、法面ブロックは法面に対して直接打設成型されるので、予め成型した法面ブロックを運搬する作業が不要となり、作業労力を低減することも可能となる。
さらに、アンカー孔2が法面1に対して垂直に削孔されていない場合でも、アンカー孔2から引き出される引張材3の突出方向のばらつきをテーパ状に形成された受圧板5の養生管27により吸収することが可能となり、引張材3の突出方向に合わせて受圧板5を変更する必要がなくなる。また、受圧板5は法面ブロック4と別体をなして法面ブロック4の平坦な上面に設置されるので、法面ブロック4の表面装飾を受圧板5の形状によっても変更することができ、法面ブロック4の表面処理に自由度を持たせることが可能となる。
尚、上述した構成においては、法面ブロック4の上面が平坦に形成されるため、受圧板は法面ブロックの上面に直接設置すれば足りるが、受圧板5と法面ブロック4との間にざぶとん材を介在させて取り付けるようにしてもよい。
1,A 法面
2,B アンカー孔
3,C 引張材
4 法面ブロック
5,E 受圧板
6 定着具
7 枠体
8 クリンプ金網
9 鉄筋
13 上端筋
14 下端筋
18 アンカープレート
20 挿入管
23 モルタル
27 養生管
28 トッププレート
29 ボトムプレート
30 リブプレート
32,33 法面ブロック
34,D 固化材

Claims (8)

  1. クリンプ金網と、その内側に配筋された鉄筋と、前記鉄筋に固定されて法面に削孔されたアンカー孔に固定される引張材を挿通させるための挿入管とを有して構成される枠体を備え、この枠体と一体をなしてモルタル又はコンクリートで前記法面に直接打設成型された法面ブロックと、
    この法面ブロックの上面に設置され、前記法面ブロックの上面よりも小さい設置面を有すると共に前記挿入管を挿通させた引張材を挿通させる養生管を備えた受圧板と、
    この受圧板に取り付けられて前記養生管を挿通した前記引張材を定着する定着具と、
    を有することを特徴とするアンカー工法用受圧装置。
  2. 前記枠体の内側に配筋された鉄筋は、格子状の上端筋と下端筋とを有して構成され、
    前記挿入管は、前記上端筋と前記下端筋の少なくとも一方に固定されて、上端側が前記上端筋よりも上側に突出すると共に、下端側が前記下端筋から下側に延びて前記アンカー孔に挿入されることを特徴とする請求項1に記載のアンカー工法用受圧装置。
  3. 前記挿入管は、前記枠体の鉄筋に着脱可能であり、前記下端側にアンカープレートが取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のアンカー工法用受圧装置。
  4. 前記受圧板は、前記養生管の上面に設置されたトッププレートと、前記養生管の下面に設置されたボトムプレートと、これら前記トッププレートと前記ボトムプレートとの間に設置されたリブプレートとを有して構成されることを特徴とする請求項1に記載のアンカー工法用受圧装置。
  5. 前記受圧板の前記養生管は、前記法面ブロックに向かうにつれて径が大きくなることを特徴とする請求項1又は4記載のアンカー工法用受圧装置。
  6. 法面に削孔されたアンカー孔に引張材を挿入して、その挿入された先端部をアンカー孔に充填した固化材で固定し、
    クリンプ金網と、その内側に配筋された鉄筋と、前記鉄筋に取り付けられた挿入管とを有して構成される枠体を、前記アンカー孔から突出した前記引張材の後端部を前記挿入管に挿通させた後に前記法面に設置し、
    前記法面に設置された前記枠体にモルタル又はコンクリートを吹き付けて前記法面に法面ブロックを直接打設成型し、
    しかる後に、養生管を備えた受圧板を、前記挿入管から突出した前記引張材の後端部を前記養生管に挿通させた後に前記法面ブロックの上面に設置し、
    この受圧板に前記引張材の後端部を所定の力で緊張して定着具で定着することを特徴とするアンカー工法。
  7. 前記枠体の内側に配筋された鉄筋は、格子状の上端筋と下端筋とを有して構成され、
    前記挿入管は、前記上端筋よりも上側に突出すると共に前記下端筋から下側に延ばすように前記鉄筋に取り付けられており、
    前記枠体を前記法面に設置する際に、前記挿入管を前記アンカー孔に挿入することを特徴とする請求項6に記載のアンカー工法。
  8. 前記受圧板は、前記養生管の上面に設置されたトッププレートと、前記養生管の下面に設置されたボトムプレートと、これら前記トッププレートと前記ボトムプレートとの間に設置されたリブプレートとを有して構成され、
    前記養生管は、前記法面ブロックに向かうにつれて径が大きく形成され、
    前記受圧板は、前記法面ブロックの上面に設置する際に前記引張材の後端部の突出方向に合わせて設置位置が調整されることを特徴とする請求項6記載のアンカー工法。
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