JP4387978B2 - 光電変換装置及び撮像システム - Google Patents

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Description

本発明は、光電変換装置、より具体的にはMOS型光電変換装置に関する。
光電変換装置は、近年ディジタルスチルカメラ、ビデオカムコーダを中心とする2次元画像入力装置の固体撮像装置として用いられる。あるいはファクシミリ、スキャナを中心とする1次元画像読み取り装置として利用され、急速に需要が高まっている。
この光電変換装置としてCCD(Charge Coupled Device)やMOS型センサが用いられている。MOS型センサの代表としては、CMOS光電変換装置(以下、「CMOSセンサ」という)が実用化されている(下記特許文献1参照)。
図9は、CMOSセンサを搭載した固体撮像装置の画素の回路構成図の一例である。
図9において、1は光を信号電荷に変換するフォトダイオード(以下、「PD」という)であり、2はPDで発生した信号電荷を転送する転送MOSトランジスタ、3は転送された信号電荷を一時的に蓄えておく浮遊拡散領域(以下、「FD」という)、4はFD3及びPD1をリセットするためのリセットMOSトランジスタ、5はアレイ中の任意の1行を選択するための選択MOSトランジスタ、6はFD3の信号電荷を電圧に変換してソースフォロワ型増幅器で増幅するソースフォロワMOSトランジスタであり、これらで画素が形成される。7は1つの列で共通化され画素電圧信号を読み出す読み出し線、8は読み出し線7を定電流とするための定電流源である。図示していないが、この画素からの信号を処理するための回路、及び画素内のトランジスタを駆動するための駆動回路(シフトレジスタ)の一方、もしくは両方が、同一基板内に周辺回路として形成されている。
各画素(定電流源8を除く)は、アレイ状に配置され撮像装置を構成する。
図10は、CMOSセンサを搭載した撮像装置の画素の模式的断面図であって、特に図9におけるPD1と転送MOSトランジスタ2の部分を表わした図である。11はN型シリコン基板、12はP型ウエル(井戸)、13aはMOSトランジスタのゲート酸化膜、13bは受光部上の薄い酸化膜、14は転送MOSトランジスタ2のゲート電極、15はPD1のN型アノード、16はPD1を埋め込み構造とするための表面P型領域、17は素子分離のための選択酸化膜、18はFD3を形成し転送MOSトランジスタ2のドレイン領域ともなっているN型高濃度領域、19はゲート電極14とメタル第一層21を絶縁するシリコン酸化膜、20はコンタクトプラグ、22はメタル第一層21とメタル第二層23を絶縁する層間絶縁膜、24はメタル第二層23とメタル第三層25を絶縁する層間絶縁膜、26はパッシベーション膜である。
カラー用光電変換装置では、パッシベーション膜26の上層に更に不図示のカラーフィルタ層、更に感度向上のためのマイクロレンズを形成する。表面から入射した光はメタル第三層25のない開口部を通して、PDに入る。光はPDのN型アノード15あるいはP型ウエル12内で吸収され、電子・ホール対を生成する。このうち電子はN型アノード15に蓄積されてゆく。
更に、CMOSセンサの特徴として、画素部において受光領域を形成するPD形成用のウエルと、駆動デバイスを形成するための周辺回路形成用のウエルが同一導電型であることから、コンベンショナルなCMOSプロセスを利用できる利点が挙げられる。すなわち、CCDのように特別な製造ラインを必要とせず、既存の半導体製造ラインを使用して安価な固体撮像装置を製造できることがCMOSセンサの最大の特徴である。
図11,12は、一般的なCMOSプロセスを用いた従来のCMOSセンサの前記各ウエル形成方法を示す図である。
ここでは、N型シリコン基板を使用した例を示している。
先ず、N型シリコン基板11にシリコン熱酸化膜27及びシリコン窒化膜28を形成する(図11(a))。
フォトレジスト29のパターンにより所望の領域のシリコン窒化膜28を除去した後、イオンインプランテーションにより、P型の不純物30を導入する(図11(b))。フォトレジスト29を除去した後、熱酸化処理を行うと、前述のP型不純物30を導入した領域にのみシリコン酸化膜36が形成される。次に前述したシリコン窒化膜28を除去し、N型の不純物32をイオンインプランテーションで導入する(図11(c))。このとき、P型不純物30が導入されている領域上には前述した酸化膜36が形成されているので、N型不純物32は、自己整合的に前記P型不純物30の形成領域以外の領域に形成される。なお、上記酸化膜36は、N型不純物32注入時に突き抜けないような膜厚で形成されていることは言うまでもない。
以上述べたようにP型不純物30及びN型不純物32を所望の領域に導入した後、所望の深さ、濃度プロファイルを得るために熱拡散処理を行い、P型ウエル12及びN型ウエル33を形成する(図11(d))。
続いて、いったん酸化膜をすべて除去した後、再びシリコン熱酸化膜27及びシリコン窒化膜28を形成し所望の領域をフォトレジスト29でパターニング、前記シリコン窒化膜28をエッチングする(図12(a))。
最後に、選択酸化膜17により電気的にアイソレーションした後、MOSトランジスタ、抵抗、容量、ダイオードなどを形成するための各ウエル領域を形成する(図12(b))。
この後に、MOSトランジスタのゲート酸化膜40、ゲート電極41を形成し、PDのN型領域42と表面のP型領域43を形成し、NMOSトランジスタのソース・ドレイン44とPMOSトランジスタのソース・ドレイン45を形成し、以下配線形成工程(図示せず)を経て固体撮像装置が完成する(図12(c))。
また、図12(b)においては、左から順に、PD形成用P型ウエル、周辺回路形成用P型ウエル、周辺回路形成用N型ウエルが選択酸化膜17によって形成されていることを示しており、最小限のフォトリソグラフィ工程と自己整合的ウエル形成法により、安価で容易なプロセスを採用できる利点がある。
また、コンベンショナルなCMOSプロセスではないが、下記特許文献2に示されているように、PD領域に埋め込み型のエピタキシャル領域を設けて、濃度プロファイルをコントロールする方法も提案されている。
また、特許文献3には、複数の光電変換素子と、この光電変換素子の信号を読み出すための走査手段を有し、光電変換素子が走査手段の形成される不純物層よりも低濃度の不純物層内に形成された固体撮像素子の開示がある。これは、走査回路を比例縮小則に従い高濃度不純物層中に形成することによって、MOSトランジスタの微細化を可能とする。合わせて、光電変換部を低濃度不純物層中に形成することにより、PD周辺の空乏層を伸ばし、光感度を向上させるためであると記載されている。
また、特許文献4には、論理回路が形成される周辺ウエルと画素セルが形成されるウエルに関する記載がある。詳細には、画素セルが形成されるウエルを後退ウエル(retrograde well)とし、周辺ウエルの不純物濃度が、該ウエルの上部から底部に向かって減少する構成が開示されている(当該明細書図12参照)。また、その不純物濃度に関しては、1×1016〜2×1018atoms/cmで同一の値とされている。また、形成されるウエルの深さはPD領域を形成するウエルの方が深く形成されている(当該明細書図11参照)。
特開2001−332714号公報 特開2000−232214号公報 特開平01−243462号公報 米国特許第6445014号明細書
以上述べたように、CMOS型固体撮像装置は既存のCMOS形成製造方法を使用できる利点があるものの、撮像性能向上のためにはいくつかの問題点を含んでいる。
第一の問題点は、PD形成用ウエル領域と同一導電型の周辺回路形成用ウエル領域への導入不純物量を従来例(図11(b))に示すように同一にしており、例えば本従来例ではPD形成用ウエル領域と周辺回路形成用P型ウエル領域の不純物濃度を別々に設定できないことである。例えば、入射光の分光特性向上のためPD形成用ウエルの不純物濃度のみを低くすることはできないし、PD形成用ウエル内に設けられるMOSトランジスタのしきい値設定等を周辺回路P型ウエル濃度を変えずに制御することは非常に困難である。
第二の問題点は、PD形成用ウエル領域及び周辺回路形成用ウエル領域の各不純物導入後の熱拡散処理が、(図11(d))に示すように一括で行われる場合が多い。そのために、PD形成用ウエル領域の濃度プロファイル深さのみをコントロールすることは原理的に不可能であり、CMOSセンサの特性を向上するために、周辺回路形成用ウエルの濃度プロファイルを逐一変更しなければならず、設計上大変な不都合が生じてしまう。
また、特許文献3に記載の構成では、以下の検討すべき点がある。すなわち、周辺回路を形成するウエルの濃度を高濃度とする構成では、光電変換部における電荷を収集する効率が充分取れない場合がある。これは画素が微細化し、感度が低減するにつれて、更に大きな解決すべき点となる場合がある。
また、特許文献4に記載の構成では、以下の検討すべき点がある。すなわち、ウエルの深さ、ウエルの構造を、光電変換部形成用のウエルと周辺回路形成用ウエルとで異ならせているが、その不純物濃度は同じにしているため、上述したように、光電変換部における電荷を収集する効率が充分取れない場合がある。
そこで、本発明の目的は、既存のCMOS形成製造方法を用いながら、撮像性能向上に寄与するPD形成用ウエル構造を実現できる、光電変換装置を提供することである。
上記目的を達成する手段として、本発明は、PD形成用ウエルと同一導電型の周辺回路形成用ウエルの濃度プロファイルを独立に制御、形成することを提案する。
そこで、本発明の光電変換装置は、光を信号電荷に変換する光電変換領域と前記信号電荷を前記光電変換領域から読み出し領域へ転送する転送MOSトランジスタとを含む画素と、該画素が形成された画素領域外に配された前記信号電荷を処理するための回路を含む周辺回路領域とが同一基板上に配置された光電変換装置において、前記画素領域には、第一導電型の第1の半導体領域が配され、前記第1の半導体領域の上には、前記第1の半導体領域と前記光電変換領域を構成する、前記信号電荷を蓄積する第二導電型の第2の半導体領域と、前記第2の半導体領域と前記転送MOSトランジスタを構成する読み出し領域と、が配され、前記周辺回路領域には、周辺回路形成用ウェルを形成する前記第一導電型の第3の半導体領域が配され、前記第3の半導体領域の上には、前記信号電荷を処理するための回路を構成するMOSトランジスタのソース及びドレイン領域が配され、前記第1の半導体領域の不純物濃度は、前記第3の半導体領域の不純物濃度よりも高く、前記第1の半導体領域は、前記第3の半導体領域よりも前記基板の深部まで配されており、前記第1の半導体領域は、上面が前記基板の内部における前記第2の半導体領域の底面に接するとともに前記基板の表面に沿った方向に延びていることを特徴とする。
本発明により、PD領域のウエルの濃度プロファイルが独立に設定されるので設計の自由度を増すことができ、PD領域以外の回路特性を変えることなく、装置の特性を向上できる。また、PD領域のウエルを深く形成することにより、光電変換された電荷をより効率よく表面側のPDに導き、感度を上げることができる。
本発明の実施形態について図面を参照して概要を説明する。ここで説明において用いるウエルとは、所望の導電型の不純物が拡散した領域を指し、その製造方法は限定されない。半導体領域と同様の機能を有するものである。また本明細書において、材料基板である半導体基板を「基板」と表現する場合もあるが、このような材料基板が処理されて、例えば、1又は複数の半導体領域等が形成された状態の部材、又は、一連の製造工程を途中にある部材、又は、一連の製造工程を経た部材を基板と呼ぶこともできる。
本発明の一側面に係る光電変換装置は、光を信号電荷に変換する光電変換領域を含む画素と、該画素が形成された画素領域外に、前記信号電荷を処理するための回路を含む周辺回路が同一基板上に配置された光電変換装置において、前記基板に形成された第一導電型の第1の半導体領域と前記信号電荷と同導電型である第二導電型の第2の半導体領域を含んで前記光電変換領域が形成され、第一導電型の第3の半導体領域を含んで前記周辺回路が形成されており、前記第1の半導体領域の不純物濃度は前記第3の半導体領域の不純物濃度よりも高いことを特徴としている。ここで図7を参酌して説明すると、第1導電型の第1の半導体領域とは、例えば108〜111がそれに対応する。ここでは複数領域に分けて記載しているが、単一の半導体領域であってもよい。また第2の半導体領域とは、105が対応する。信号電荷と同導電型の不純物領域であって、信号電荷が電子の場合にはN型の不純物領域となり、電子が蓄積される。第3の半導体領域とは、例えば301,302がこれに対応する。ここでは複数の領域で記載されているが、単一の領域であってもかまわない。以下実施例の説明において、第2の半導体領域に対応する領域が明示されていない場合もあるが、図7と同様に形成されているものとする。
また、本発明の他の側面に係る光電変換装置は、光を信号電荷に変換する光電変換領域を含む画素と、該画素が形成された画素領域外に、前記信号電荷を処理するための回路を含む周辺回路が同一基板上に配置された光電変換装置において、前記基板に形成された第一導電型の第1の半導体領域と前記信号電荷と同導電型である第二導電型の第2の半導体領域を含んで前記光電変換領域が形成され、第一導電型の第3の半導体領域を含んで前記周辺回路が形成されており、前記第1及び第3の半導体領域がそれぞれ不純物濃度ピークを有していることを特徴とする。上述したように図7の各領域とそれぞれ対応するものである。
以下図面を参照して詳細に説明する。
[実施形態1]
図1,2は、本発明の実施形態1におけるCMOSセンサのウエル形成方法、特にPD形成用のウエル及び周辺回路形成用のウエルの形成方法を示す図である。
ここでPD形成用のウエル内には、PDのほかに、転送MOSトランジスタ、FD、リセットMOSトランジスタ、選択MOSトランジスタ、信号増幅するソースフォロワMOSトランジスタ等の画素回路を含む。また、周辺回路形成用ウエル内には、画素からの信号を処理する回路、上述した画素内のトランジスタを駆動するための駆動回路などが形成される。
先ず、N型シリコン基板11にシリコン熱酸化膜27及びマスク材となるシリコン窒化膜28を形成し、所望の領域をフォトレジスト29によりパターニングする(図1(a))。
次に、前記シリコン窒化膜28をドライエッチングによりパターニングし(図1(b))、熱酸化により選択酸化膜17を形成、窒化膜を除去し、選択酸化膜により区分けされた各ウエル領域を確保する(図1(c))。
次に、PD形成用のウエルとなる領域にのみフォトレジスト29aのパターニングを行い、所望のP型不純物30a及び30bをイオンインプランテーションにて導入する(図1(d))。前記P型不純物30a及び30bは、PD領域のみに導入されるため、ドーズ量、加速電圧、更に、イオンインプランテーションの回数などは自由に設定して差し支えないし、最大の加速エネルギーのマスク材になるように前記レジスト29aの厚さを決定する。また、図には示していないが、P型不純物30a及び30bのインプランテーション後のレジスト剥離を行ってから、所望のプロファイルを得るために、自由に熱処理を与えることができるのは言うまでもない。
このように、PDを形成するためのウエル領域の濃度プロファイルを設定した後、今度は周辺回路用P型ウエル領域にのみフォトレジスト29bのパターニングを行い、P型不純物31を導入する。(図2(a))、次に、フォトレジスト29cにより周辺回路用N型ウエル領域に同様の手法でN型不純物32を順次導入する(図2(b))。最後に各ウエルの濃度プロファイルの最適化のため、所望の熱処理を行い、PD形成用ウエル34、周辺回路形成用P型ウエル12、N型ウエル33を形成する(図2(c))。
このように、本実施形態の方法を用いると、各ウエルに最適なウエル構造を設計できる。
図3は、本実施形態におけるPD形成用ウエル領域の濃度プロファイル、特に前述したPD形成用ウエル領域をパターニングしたのち、P型不純物30aを5E11〜1E13atoms/cm、40〜700keV、P型不純物30bを2E11〜1E14atoms/cm、700keV〜2.7MeVのエネルギーで複数回イオンインプランテーションを行ったのち、1000〜1200℃の温度で0.5〜6時間の間N雰囲気でドライブ処理を行った場合に得られた図2(c)のB−B断面の濃度プロファイルの模式図である。
なお、P型不純物30aと30bは、同一物質でもよいし異なる物質であってもよく、異なる物質の場合はイオンインプランテーションによる導入は時間をずらして行う。
また、従来例(図12(b))で示されていたPD形成用ウエル領域のA−A断面の濃度プロファイルを図中破線で示しており、本実施形態が従来例及び周辺回路形成用のP型ウエルに比べてより深いP型の濃度プロファイルを持つことが分かる。この拡散深さにより、PD形成用ウエル中に侵入する光キャリア、特に長波長領域で深い浸透長を持つ分光感度をより向上することができる。
また、PD形成用ウエル及び周辺回路形成用ウエルは、半導体基板表面側に比べて、基板深部の方が不純物濃度が低い構成となっている。そして、周辺回路形成用ウエルの不純物濃度は、PD形成用ウエルに比べて不純物濃度は低く、ウエルの深さは浅くなるように形成する。これによって、PDの電荷の収集効率を向上させ、且つデバイスの生産効率を向上させることが可能となる。
ここで両ウエルの不純物濃度を比較する箇所に関しては、MOSトランジスタのソース・ドレイン領域を形成するための拡散領域から充分離れた箇所で、例えば、ゲート電極、ソース・ドレイン領域の下方で、基板表面から同じ深さの箇所の濃度を比較すればよい。
また、本実施形態においては、ウエル形成時に同一の熱処理条件により熱処理を行っているために、PD領域及び周辺回路領域ともに、明確な不純物濃度のピークは有さず、ほとんどの部分で同一の濃度を有しており、その不純物濃度をPD領域、周辺回路領域において比較すればよい。
[実施形態2]
図4,5は、実施形態2におけるCMOSセンサのウエル形成方法、特にPD形成用ウエル及び周辺回路形成用ウエル構造の形成方法を示す図である。
図4(a)〜(c)は実施形態1と同様である。
本実施形態では、PD形成用のウエルとなる領域にのみレジストパターニング29aを行い、所望のP型不純物30aを実施形態1と同様の条件でイオンインプランテーションにて導入する。
前記P型不純物30aは、PD領域のみに導入されるため、ドーズ量、エネルギー、またイオンインプランテーションの回数などは自由に設定して差し支えない。また、加速エネルギーに併せてマスク材として前記レジスト29aの厚さを調整することができる。更に、本実施形態では、図4(d),(e)に示すようにイオン注入を複数回分けて行う。
イオンインプランテーション後に浅い半導体領域35aを熱処理によって形成した後、次に深い半導体領域35bをイオンインプランテーションにより形成してPD形成用のウエルとしてもよい(図5(a))。P型不純物30aと30bは、同一物質でもよいし異なる物質であってもよい。深い半導体領域35bの不純物濃度ピークが、半導体領域35aの不純物濃度ピークに比べて高いことが好ましい。これは、半導体領域35bがPDで発生した電荷が基板及び隣接画素へ漏れ込むのを防ぐポテンシャル障壁として機能するためである。また半導体領域35aに関しては、周辺回路を形成するP型のウエルの不純物濃度ピークよりも不純物濃度ピークの不純物濃度が高いことが好ましい。これにより、PDからFDへの信号転送時の転送電圧(空乏化電圧)を低く制御することが可能となる。
また、PD形成用のウエルのP型不純物領域は、周辺回路形成用ウエルのP型不純物領域と共通の領域をもち、且つ、PD形成用ウエルのみに周辺回路形成用ウエルのP型不純物領域よりも深いP型不純物領域が配設されていてもよい。
この後、図5(a)以降は図2(a)以降と同様の製造フローである。
図6は、本実施形態におけるPD形成用ウエル領域の濃度プロファイル、特に図5(c)におけるC−C断面の濃度プロファイルを示す模式図である。
従来例(図12(b))で示されていたPD形成用ウエル領域のA−A断面の濃度プロファイルを図中破線で示している。
PD形成用ウエルのP型不純物領域は、不純物濃度ピークを有する不純物領域の複数からなり、一番深いP型不純物領域の濃度は次に深いP型不純物領域の濃度よりも高い。
この図のように、深い拡散領域に前述した半導体領域35bに対応する深い拡散層のピークが存在すると、このピークよりも浅い領域で発生した電荷がP型拡散層のポテンシャル差によって、効率よく表面側のPDに到達するので、更に感度を向上させることができる。
なお、表1は、本発明中実施形態と従来例のPD感度を実測にて比較した表であり、本実施形態のPD感度が従来例に比べて10%以上向上していることを示しており、本実施形態の有効性が示されている。
Figure 0004387978
また、以上示した実施形態1及び実施形態2を用いた画素構造は、先に示した図9及び図10へ適用可能なことは言うまでもない。更に、本実施形態の手法は、先に示した埋め込み型PDを用いるプロセス(上記特開2000−232214号公報参照)に対し、エピタキシャル成長の際に発生するオートドープ効果や結晶欠陥等のリスクを回避できるだけでなく、イオンインプランテーションと通常の熱処理との自由な組み合わせにより、周辺回路領域と全く独立して、実施形態1中の図2(c)あるいは実施形態2中の図5(a)に示した理想的なPD形成用ウエルの設計を可能にした。
[実施形態3]
本実施形態の実施形態1,2と異なる点は、PDが形成されるウエルが不純物濃度ピークを有する不純物領域の複数で構成されており、周辺回路形成用のウエルも不純物濃度ピークを有する不純物領域の複数で構成されている点である。その形成プロセスは、図4,5で示したプロセスと同様の工程で形成可能である。ただし、P型不純物31の注入工程を異なる加速電圧、ドーズ量により行っている。
本実施形態のPD形成領域、周辺回路形成領域の概略断面図を図7に示す。
図7において、101はN型シリコン基板(半導体基板)であり、N型シリコン基板101に不純物濃度ピークを有する領域を含むP型半導体領域108,109,110(第1〜第3の不純物領域)が形成され、基板表面には素子分離領域102、転送MOSトランジスタのゲート電極103、読み出し領域104、PDの蓄積領域105(N型半導体領域)、PDの表面P領域106、P型半導体領域111が形成されている。遮光層107には開口部がありPD以外の領域への光を遮光している。
また、301,302は周辺回路を形成するための、不純物濃度ピークを有するP型半導体領域(第4,5の不純物領域)である。303,304,305は、それぞれMOSトランジスタのゲート電極、ソース、ドレインの各領域である。図7から明らかなように、PD形成用ウエル(第1〜第3の不純物領域)が周辺回路形成用ウエルに比べて基板深くまで形成されている。また後述するが、第3の不純物領域110の不純物濃度ピーク濃度は、第4,5の不純物領域301,302のピーク濃度よりも高く設定する。
このような構成によれば、PD形成用ウエル及び周辺回路形成用ウエルの両者を、不純物イオン注入時のドーズ量、加速電圧により所望のウエルプロファイルを形成することが可能となる。また、PD形成用ウエルの基板深部に形成される第3の不純物領域110のピーク濃度を高く設定することが可能なため、電荷収集効率を向上させることができる。
PDが形成されるウエルの不純物濃度プロファイルは、図8に示すようなプロファイルとなる。
基板最深部、すなわち、受光面に比べて最も基板の深い位置に形成された第3の不純物領域110の不純物濃度ピークの濃度が最も高く、その次に高いのがウエルと逆導電型のN型領域に近接する第1の不純物領域108である。第2の不純物領域109は、第1の不純物領域108、第3の不純物領域110よりも不純物濃度ピークの濃度は低い。
次に、各半導体領域の不純物濃度関係を説明する。第3の不純物領域110の不純物濃度ピーク濃度が最も高いのは、基板深部で発生した電荷を基板側に漏らさず、信号として用いるためのポテンシャル障壁とするためである。第2の不純物領域109は、第3の不純物領域110付近で発生した信号電荷を表面側に集めるために第3の不純物領域110に比べ低い濃度で形成してある。更に表面に近くに形成された第1の不純物領域108は、第2の不純物領域109に比べ不純物濃度を高く形成し、PDの蓄積領域105との間の接合における空乏層の幅を抑制する働きをもつ。これにより、PDの空乏化電圧を下げることができ、読み出し領域104をリセットする電位を上昇させることなくPDの完全リセット、完全転送が可能となる。また、PDのリセット及び転送に必要な転送ゲート電圧、すなわち転送MOSトランジスタのゲート電極103に与えるON時電圧を小さくすることができ、電源電圧の上昇を招くことなくダイナミックレンジを確保することが可能となる。
図8は、PD部の垂直方向の濃度プロファイルの説明図である。図7のA−A、B−B断面の濃度プロファイルを示す。
206は、PDの表面P領域106に対応する濃度プロファイルを示している。206は、ボロンまたはフッ化ボロンの注入により形成することが可能である。205は、PDPDの蓄積領域105に対応する濃度プロファイルである。205の形成は、燐または砒素の注入により形成することが可能である。208は蓄積領域205に近接する第1の不純物領域108に対応する濃度プロファイルである。209,209′は中間領域109(第2の不純物領域)に対応する濃度プロファイルである。図8では中間領域109は、2段のピークを持って形成されている。
このように、本実施形態では、所望の構造に合わせて複数段のイオン注入により形成する場合にも有効である。中間領域109の濃度プロファイル209,209′は、加速エネルギーの異なる2回のボロンまたはフッ化ボロンの注入により形成することが可能である。210は、第1,2の不純物領域108,109よりも深い場所に位置した第3の不純物領域110に対応する濃度プロファイルを示している。また、P型半導体領域111に関しては省略している。
また、211,212は、図7の第4,5の不純物領域301,302に対応する濃度プロファイルである。204は、ドレイン領域305に対応する濃度プロファイルである。図8から明らかなように、第3の不純物領域110の不純物濃度ピーク濃度は、第4,5の不純物領域301,302のそれよりも高い。更に好ましくは、第1の不純物領域108の不純物濃度ピーク濃度も第4,5の不純物領域301,302よりも不純物濃度ピークを高く設定する。これによって、上述したように電荷の収集効率を向上させ、且つ、空乏化電圧を低く保つことが可能となる。
上述したような機能を有するために、各半導体領域のピーク濃度位置及びピーク濃度の具体的な値を以下に示す。第3の不純物領域110は、不純物濃度ピーク濃度が1×1016/cmから1×1018/cmであり、ピークの位置する深さは基板表面から2.0μmから4.0μmである。第1の不純物領域108は、その不純物濃度ピークの濃度が2×1015/cmから2×1017/cmであり、ピークの位置する深さは0.5μmから1.0μmである。第2の不純物領域109のピーク濃度は1×1015〜5×1016/cmであり、ピークの深さは0.8μmから2.5μmに設定するのが効果的である。
また、第4,5の不純物領域301,302のピーク濃度は、1×1016/cmから1×1018/cm、ピークの深さは、0.3〜1.0μmに設定するのがよい。
以上述べた本実施形態の構成によれば、PD形成用ウエル及び周辺回路形成用ウエルの両者を、不純物イオン注入時のドーズ量、加速電圧により所望のウエルプロファイルを形成することが可能となる。また、その際にPD形成用ウエルの基板深部に形成される第3の不純物領域110のピーク濃度を周辺回路領域よりも高く設定することによって、電荷収集効率を向上させることが可能となる。また、第2の不純物領域109のピーク濃度は第4,5の不純物領域301,302に比べて低く設定するのが好ましい。
(デジタルカメラへの応用)
図13は、本発明の実施形態1〜3による光電変換装置を撮像システムとしてのカメラに応用する場合の回路ブロックの例を示した図である。
撮影レンズ1002の手前にはシャッタ1001があり、露出を制御する。絞り1003により必要に応じ光量を制御し、被写体の像を固体撮像装置1004に結像させる。固体撮像装置1004は、本発明の光電変換装置を用いたものである。固体撮像装置1004から出力された信号は信号処理回路1005で処理され、A/D変換器1006によりアナログ信号からディジタル信号に変換される。出力されるディジタル信号は、更に信号処理部1007で演算処理される。処理されたディジタル信号はメモリ部1010に蓄えられたり、外部I/F1013を通して外部の機器に送られる。固体撮像装置1004、撮像信号処理回路1005、A/D変換器1006、信号処理部1007はタイミング発生部1008により制御される他、システム全体は全体制御部・演算部1009で制御される。記録媒体1012に画像を記録するために、出力ディジタル信号は全体制御部・演算部で制御される記録媒体制御I/F部1011を通して、記録される。
本発明の実施形態1におけるCMOSセンサのウエル形成方法の一部を示す図 本発明の実施形態1におけるCMOSセンサのウエル形成方法の一部を示す図 本発明の実施形態1におけるPD形成用ウエル領域の濃度プロファイルの模式図 本発明の実施形態2におけるCMOSセンサのウエル形成方法の一部を示す図 本発明の実施形態2におけるCMOSセンサのウエル形成方法の一部を示す図 本発明の実施形態2におけるPD形成用ウエル領域の濃度プロファイルの模式図 第3の実施形態の画素部、周辺回路部の概略断面図 図7における濃度プロファイルを示す図 従来のCMOSセンサを搭載した固体撮像装置の画素の回路構成図 従来のCMOSセンサを搭載した固体撮像装置の画素の模式的断面図 一般的なCMOSプロセスを用いた従来のCMOSセンサの各ウエル形成方法の一部を示す図 一般的なCMOSプロセスを用いた従来のCMOSセンサの各ウエル形成方法の一部を示す図 本発明の実施形態3における光電変換装置をカメラに応用する場合の回路ブロックの例を示した図
符号の説明
11…N型シリコン基板
12…P型ウエル
17…選択酸化膜
27…シリコン熱酸化膜
28…シリコン窒化膜
29,29a,29b,29c…フォトレジスト
30a,30b…P型不純物
31…P型不純物
32…N型不純物
33…N型ウエル
34…PD形成用ウエル
35a,35b…半導体領域
108…第1の不純物領域
109…第2の不純物領域
110…第3の不純物領域
301,302…第4,5の不純物領域

Claims (6)

  1. 光を信号電荷に変換する光電変換領域と前記信号電荷を前記光電変換領域から読み出し領域へ転送する転送MOSトランジスタとを含む画素と、該画素が形成された画素領域外に配された前記信号電荷を処理するための回路を含む周辺回路領域とが同一基板上に配置された光電変換装置において、
    前記画素領域には、第一導電型の第1の半導体領域が配され、
    前記第1の半導体領域の上には、前記第1の半導体領域と前記光電変換領域を構成する、前記信号電荷を蓄積する第二導電型の第2の半導体領域と、前記第2の半導体領域と前記転送MOSトランジスタを構成する読み出し領域と、が配され、
    前記周辺回路領域には、周辺回路形成用ウェルを形成する前記第一導電型の第3の半導体領域が配され、
    前記第3の半導体領域の上には、前記信号電荷を処理するための回路を構成するMOSトランジスタのソース及びドレイン領域が配され、
    前記第1の半導体領域の不純物濃度は、前記第3の半導体領域の不純物濃度よりも高く、
    前記第1の半導体領域は、前記第3の半導体領域よりも前記基板の深部まで配されており、
    前記第1の半導体領域は、上面が前記基板の内部における前記第2の半導体領域の底面に接するとともに前記基板の表面に沿った方向に延びている
    ことを特徴とする光電変換装置。
  2. 前記第1及び第3の半導体領域がそれぞれ不純物濃度ピークを有し、前記第1の半導体領域の不純物濃度ピーク濃度は前記第3の半導体領域の不純物濃度ピーク濃度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
  3. 前記第1の半導体領域の不純物濃度ピーク位置は、前記第3の半導体領域の不純物濃度ピーク位置よりも深く配設されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光電変換装置。
  4. 前記第1の半導体領域は、不純物濃度ピークを有する半導体領域を前記基板内の深さ方向に複数配した構造を有しており、最深部に形成された不純物濃度ピークの不純物濃度は、それよりも前記光電変換領域側に形成された不純物濃度ピークの不純物濃度よりも高いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換装置。
  5. 前記第1の半導体領域及び第3の半導体領域は、不純物濃度ピークを有する半導体領域の複数から形成され、前記第1の半導体領域を形成するための複数の領域のうち、最も不純物濃度ピーク濃度が高い領域のピーク濃度は、前記第3の半導体領域を形成するための複数の領域のうち、最も不純物濃度ピーク濃度が高い領域のピーク濃度よりも高いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかの請求項に記載の光電変換装置と、
    該光電変換装置へ光を結像する光学系と、
    該光電変換装置からの出力信号を処理する信号処理回路と
    を有することを特徴とする撮像システム。
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