JP4387526B2 - 超音波ドプラ診断装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドプラスペクトラムを収集するためのドプラスキャンと、例えば断層像を収集するためのBモードスキャンとが交互に行われるいわゆるセグメントスキャンを実行可能な超音波ドプラ診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドプライメージ(ドプラスペクトラム)と、Bモードイメージ(断層像)あるいはBカラーモードイメージ(カラー断層像)とを双方ともにリアルタイムで表示することを実現するための手法としては、図12(a)に示すインターリーブスキャンと、図12(b)に示すセグメントスキャンがある。なお、図12(a)、図12(b)において、“B”はBモード(又はBカラーモード)のスキャン、“D”はドプラモードのスキャンを表している。図12(a)のインターリーブスキャンの例では、4回に1回の割合でドプラスキャンでの超音波ビームの送受信が行われる。図12(b)のセグメントスキャンでは、ドプラモードで超音波ビームの送受信が所定回数繰り返される期間(ドプラセグメント期間)と、Bモードで超音波ビームの送受信が所定回数繰り返される期間(非ドプラセグメント期間)とが交互に繰り返される。なお、セグメントスキャンの場合、Bモードとドプラモードとでそれぞれレート周波数を独立で設定可能である。
【0003】
インターリーブスキャンには、ドプラスキャンが常に一定のサンプリング間隔で連続しているため、サンプル周波数は実際のレートよりも高くできないこと、またドプラモードとBモード(又はBカラーモード)との間で互いの残留エコーによるアーティファクトが混入しやすいというデメリットがある。
【0004】
一方、セグメントスキャンでは、ドプラモードとBモード(又はBカラーモード)が全く独立しているので、上記インターリーブスキャンのデメリットを回避できるが、Bモードスキャンの非ドプラセグメント期間にはドプラ信号が欠落するので、連続したドプラ信号が得られない。そのため非ドプラセグメント期間のドプラ信号を補間することが必要になる。
【0005】
図13にセグメントスキャンを実現する従来の超音波ドプラ診断装置のドプラ信号処理に関わる部分の構成を示している。プローブ1を介して得られたエコーを送受信処理部2で直交検波する。この直交検波により得られたベースバンドドプラ信号は、ウォールフィルタ3でクラッタ成分を除去される。ドプラセグメント期間のクラッタ成分が取り除かれたドプラ信号は、混合部4で、非ドプラセグメント期間に自己回帰型モデル発生部(ARモデル発生部)5と予測信号発生部6とにより発生された予測信号(非ドプラセグメント期間を埋める補間信号)と混合(連結)され、連続信号として高速フーリエ変換部(FFT)7に提供される。
【0006】
自己回帰型モデル発生部5では、ドプラセグメント期間で実際に収集されたドプラ信号に基づいてバーグ(Burg)の手法(MEM法)等により、上記ARモデルによる線形予測係数を求める。予測信号発生部6では、このARモデルの線形予測係数に従って、非ドプラセグメント期間の予測信号を、ガウシアンノイズを信号源として発生する。
【0007】
以上のように混合部4で混合された連続的なドプラ信号を対象として高速フーリエ変換部(FFT)7で周波数解析してドプラスペクトラムが求められる。このドプラスペクトラムは、混合部8を介して、ディジタルスキャンコンバータ(DSC)11のBモードイメージ、Bカラーモードイメージ又はMカラーモードイメージ等と合成され、RGBルックアップテーブル9で表示信号に変換され、モニタ10に表示される。
【0008】
上記のドプラ信号の予測機能は、一般的にMSE(Missing Signal Estimation)と呼ばれており、次のような予測誤差の発生がデメリットとしてあげられている。米国特許4,559,952等によると、生体内で定常とみなせる時間間隔は10mS程度で、これが予測可能な最大限とされている。また、MPG4等の音声処理(特に圧縮技術に関してスピーチコーダのように人間の音声を扱う)の分野では、フレーム長が10〜40mS程度を目安に設計をしている。
【0009】
超音波診断装置の場合、生体内の定常な信号に基づいて線形予測係数を計算し(ARモデルを確定し)、非ドプラセグメント期間でドプラ信号が欠落した区間では、ガウシアンノイズを信号源としてARモデルで線形予測した信号を発生している。この予測信号と実際の信号の差が誤差であり、定常過程の場合にはこの誤差が小さい。しかし非定常過程の場合、当然誤差が大きくなり次のセグメントのスペクトラム画像と繋がりの悪い縦縞状のスペクトラム画像が発生する。
【0010】
この傾向はARパラメータ数が少ない(例えばレートが低い、ドプラのセグメント期間内のサンプル数が小さい)などの場合に顕著になる。これらを回避するには、レートを上げたりドプラセグメント期間内のサンプル数を増やせば良いが、そうするとドプラの速度レンジを低くできない問題やB(もしくはBカラー)のスキャンの間隔が開きすぎて、B(特にBカラー)にセグメント間の時相差の縞が発生しB(もしくはBカラー)の画質が著しく劣化する弊害が発生する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、セグメントスキャンにおいて、欠落するドプラ信号の予測誤差を低減し、しかもB(もしくはBカラー)モードイメージとドプライメージの両方の画質を改善できる超音波ドプラ診断装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1)本発明による超音波ドプラ診断装置は、ドプラスキャンの実行に伴ってドプラ信号が実際に発生する第1期間と、ドプラスキャンの不実行に伴ってドプラ信号が発生しない第2期間とが交互に起こるセグメントスキャンを実行する手段と、前記第2期間のドプラ信号を、ノイズを内部入力として用いたARモデルと、前記ドプラ信号に対して相関のある生体信号を外部確定入力として用いたARXモデルとを併用して予測する予測手段と、前記第1期間で実際に発生するドプラ信号と前記予測された第2期間のドプラ信号との交互信号に対して周波数解析を行う手段とを具備することを特徴とするものである。
【0013】
(2)本発明の超音波ドプラ診断装置は、上記(1)に記載した超音波ドプラ診断装置であって、かつ予測手段は、前記ノイズ及び生体信号と共に、前記第2期間以前の第1期間で実際に発生するドプラ信号に基づいて当該第2期間のドプラ信号を予測する前方予測と、前記ノイズ及び生体信号と共に、前記第2期間以後の第1期間で実際に発生するドプラ信号に基づいて当該第2期間のドプラ信号を予測する後方予測とを併用することを特徴とするものである。
【0014】
(3)本発明の超音波ドプラ診断装置は、上記(1)に記載した超音波ドプラ診断装置であって、かつ第2期間から前記第1期間への移行期間において前記実際に発生するドプラ信号と前記予測されたドプラ信号とを混合する混合手段をさらに備えることを特徴とするものである。
【0015】
(4)本発明の超音波ドプラ診断装置は、上記(3)に記載した超音波ドプラ診断装置であって、かつ混合手段は、前記第1期間から前記第2期間への移行時の過渡応答の大きさに応じて前記移行期間の長さ及び混合比率を動的に変化することを特徴とするものである。
【0016】
(5)本発明の超音波ドプラ診断装置は、上記(1)に記載した超音波ドプラ診断装置であって、かつ予測手段は、前記ARモデルと前記ARXモデルと共に、FIRモデル、ARMAXモデル、ARARXモデル、ARARMAXモデル、OEモデル、BJモデル、パラメトリックモデルの少なくとも1つを用いて、前記第2期間のドプラ信号を予測することを特徴とするものである。
【0017】
(6)本発明の超音波ドプラ診断装置は、上記(1)に記載した超音波ドプラ診断装置であって、かつ生体信号は、心電図波形信号、心音信号、Mモードエコー信号、Mカラーモードエコーのパワー信号、Mカラーモードエコーの速度信号、Mカラーモードエコーの分散信号、Mモードの組織ドプラ信号のいずれかであることを特徴とするものである。
【0018】
(7)本発明の超音波ドプラ診断装置は、上記(1)に記載した超音波ドプラ診断装置であって、かつ生体信号は、心電図波形信号、心音信号、Mモードエコー信号、Mカラーモードエコーのパワー信号、Mカラーモードエコーの速度信号、Mカラーモードエコーの分散信号、Mモードの組織ドプラ信号の2種類以上の組み合わせ入力を持つことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明を好ましい実施形態により詳細に説明する。 図1に本実施形態に係る超音波ドプラ診断装置のドプラ信号処理に関わる部分の構成を示している。プローブ11を介して得られたエコーを送受信処理部12で直交検波する。この直交検波により得られたベースバンドドプラ信号は、ウォールフィルタ13でクラッタ成分を除去される。ドプラセグメント期間のクラッタ成分が取り除かれたドプラ信号は、混合部14で、非ドプラセグメント期間に信号予測ユニット15から出力される予測信号と混合(連結)され、連続信号として高速フーリエ変換部(FFT)19に提供される。
【0020】
信号予測ユニット15は、心電図波形信号、心音信号、MやBモードでレンジゲート等に対応する特定位置のエコー強度、MカラーやBカラーモードでレンジゲート等に対応する特定位置の血流情報(パワー、平均速度、分散)等のドプラ信号に対して相関のある確定的な生体信号(外部確定信号)を被検体から検出する生体信号検出部16と、ドプラセグメント期間で実際に収集されたドプラ信号に基づいてARXモデル(外的自己回帰型モデル)の線形予測係数(ai )を発生し、またドプラセグメント期間の生体信号に基づいてARXモデルの線形予測係数(bi )を発生するARXモデル発生部17と、これら線形予測係数(ai 、bi )を使ってガウシアンノイズと生体信号とから、ドプラ信号が欠落する非ドプラセグメント期間の予測信号を発生する予測信号発生部18とから構成されている。
【0021】
以上のように混合部14で混合された連続的なドプラ信号を対象として高速フーリエ変換部(FFT)19で周波数解析してドプラスペクトラムを求める。このドプラスペクトラムは、混合部20を介して、ディジタルスキャンコンバータ(DSC)21のBモードイメージ、Bカラーモードイメージ又はMカラーモードイメージ等と合成され、RGBルックアップテーブル22で表示信号に変換され、モニタ23に表示される。
【0022】
本説明では、時間領域での混合を前提として混合部14の例を示したが、時間領域でなく、混合部20を用いた周波数(スペクトラム)領域での混合であってもよい。
【0023】
図2に図1の予測信号発生部の概略構成図を、図3に図1の予測信号発生部の詳細構成図を、そして図4に図2の比較例として生体信号を使わないARモデルによる予測信号発生部の概略構成図を、図5に図3の比較例として生体信号を使わないARモデルによる予測信号発生部の詳細構成図をそれぞれ示している。本実施形態では、ドプラ信号に対して相関のある外部の確定信号、つまり上記生体信号を利用してARXモデルによる予測を行うことによって、従来よりも予測誤差を軽減することが可能となっている。
【0024】
図4、図5のARモデルの場合、ドプラ信号の欠落時に、ノイズ源27からのノイズを、ドプラセグメント期間で実際に収集したドプラ信号から求めたARモデル、つまりn個の線形予測係数a1 、a2 、a3 、…an と、増幅器28のゲインGaとのパラメータで設定したIIRフィルタ26に通すことで、予測信号を発生する。なお、このIIRフィルタ26の構成としては、多段接続された遅延回路29及び乗算器30、さらに加算器25とから構成される一般的なものである。ここで、yを予測信号、wをノイズ、1/A(Z) をIIRフィルタ26の応答関数とすると、
y(k) =1/A(Z) ・w(k) (1)
なお、A(Z) =1+a1 ・Z-1 +・・・an ・Z-nであると、別な記述(差分表示)をすると、
y(k) +a1 ・y(k-1) +a2 ・y(k-2) +・・・an ・y(k-n) =w(k) (2)
が成立する。
【0025】
ここで、CTをCの転置行列として、
パラメータベクトルをθ=[a1 ,a2 ,・・・an ]T、
データベクトルをψ(k) =[−y(k-1) ,−y(k-2) ,・・・−y(k-n) ]T
とすると、予測信号→y(k) は、→DをDのベクトル表記として、
→y(k) =θT・→ψ(k) +→w(k)
と表される。
【0026】
一方、図2,図3の本実施形態によるARXモデルの場合、ドプラセグメント期間の生体信号から求めたm個の線形予測係数b1、b2、b3、…bmのFIRフィルタ24の出力を、ARモデルのIIRフィルタ26の加算器25に結合させることにより、より高い精度で予測信号を発生するものである。FIRフィルタ24の構成としては、多段接続された遅延回路31及び乗算器32、さらに加算器33とから構成される一般的なものである。ここで、yを予測信号、wをノイズ、uを生体信号、1/A(Z) をIIRフィルタ26の応答関数、B(Z) をFIRフィルタ24の応答関数とすると、
A(Z) ・y(k) =B(Z) ・u(k)+w(k) (3)
なお、A(Z) =1+a1 ・Z-1+・・・an ・Z-n、B(Z) =b1 ・Z-1+b2 ・Z-2+・・・bm ・Z-mであると、別表記をすると、
y(k) +a1 ・y(k-1) +a2 ・y(k-2) +・・・an ・y(k-n)
=b1 ・u(k-1) +b2 ・u(k-2) +・・・bm ・u(k-m) +w(k) (4)
が成立する。
【0027】
ここで、
パラメータベクトルをθ′=[a1 ,a2 ,・・・an ,b1 ,b2 ,・・・bm ]T、
データベクトルをψ′(k) =[−y(k-1) ,−y(k-2) ,・・・−y(k-n) ,u(k-1) ,u(k-2) ,・・・u(k-m) ]T
とすると、予測信号→y(k) は、
→y(k) =θ′T・→ψ′(k) +→w(k)
と表される。
【0028】
図6に、本実施形態による予測信号発生処理の基本概念を示している。ARモデルやARXモデルなどのような誤差が混入する数学モデルをドプラ信号のモデリングに使用する。この誤差はセグメントスキャンによるドプラ信号の欠落の期間にノイズを入力として使用するためである。ドプラセグメント期間の実際のドプラ信号をもとに、数学モデルに応じたシステム同定をおこなう。
【0029】
システム同定については、音声/時系列信号に関する専門書/研究文献があるため詳細は割愛するが、モデルによる期待値と実際の出力の誤差(一般的には予測誤差と呼ばれているが)を評価し、モデルのパラメータを決定する。
【0030】
この予測誤差を評価する方法が予測誤差法(Prediction Error Method)と呼ばれ、最尤予測法(Maximum Likelihood Estimation Method)や最小二乗法(Least Squares Method)などが用いられている。
【0031】
また、ARモデルの最小二乗法によるパラメータ計算アルゴリズムとして、バーグ(Burg)の方法(Burg 's Method)、幾何学的ラティス法、Yule−Walker法、修正共分散法などが用いられている。本特許では、これらシステム同定のアルゴリズムについては一般的なものなので説明を割愛する。
【0032】
次に、ドプラセグメント期間がおわり、非ドプラセグメント期間に移行した際に、FFT解析処理に出力する信号が途絶えてしまうため、システム同定で得られたパラメータによる予測フィルタを構成しノイズを信号源として線形予測をおこない非ドプラセグメント期間中のFFT解析処理用の入力信号を確保する。
【0033】
信号処理のアルゴリズムとしては、ドプラのセグメントスキャン時のドプラ信号をそのまま出力し、非ドプラセグメント期間が始まる数十mSもしくは数mSの直前からのドプラ信号と生体信号とから最適な評価関数を用いて線形モデル化し各種線形予測係数を求める。
【0034】
ARXモデルにモデル化する際の評価関数として、MEM(最小エントロピー法)やPSS(Prediction Sum of Square)など未来値の予測残差を最小にするものやAIC(Akaike 's Information Critterior)などの未来値の分布の予測残差を最小にするものが、一般的である。ちなみに、従来のARモデルではMEM法を用いたBurgの手法で線形予測係数を逐次計算し、非ドプラセグメント期間にノイズを信号源として予測信号を発生していた。
【0035】
図7に、本実施形態によるARXモデルによる予測信号発生の手順の詳細を示している。図7では時間0からt2、t3からt5の期間がドプラスキャンが行われるドプラセグメント期間で、t2からt3、t5からt6の期間がドプラスキャンが行われない非ドプラセグメント期間である。最初のドプラセグメント期間内であって、その終了直前の期間t1〜t2のドプラ信号に基づいて、ARXモデルのA(z)の応答パラメータa1 、a2 、a3 、…an を計算し、同様にドプラセグメント期間内のt0からt2の生体信号(b)に基づいて、B(z)の応答パラメータb1 、b2 、b3 、…bm を計算する。
【0036】
次に、t2からt3の非ドプラセグメント期間は、ドプラ信号が欠落するため、ドプラ信号に対して相関のある生体信号(b)と、ノイズ(c)とにより予測したドプラ信号を発生する((d)、(e))。
【0037】
ただし、スキャン開始から時間が経つに連れて予測信号の誤差が蓄積していき、次のドプラセグメント期間(t3〜t4)の初期値と予測信号が大きく食い違うため、それぞれの信号の重みを変化させて予測信号から徐々にドプラセグメント期間のドプラ信号(a)に切り替えていき、滑らかな連続性を確保する必要がある。この手法は混合(ブレンディング)と呼ばれ米国特許4,559,952の信号予測処理などで実施されてきた。従って、図8の予測信号の信号波計で示した如く、t3から適当な区間混合(ブレンディング)処理期間が存在する。
【0038】
こうした、一連の処理を、繰り返してその都度、最適なシステムパラメータを計算しダイナミックにドプラ信号の予測をおこなう。
【0039】
本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々変形して実施可能である。
(変形例)
(1)ARXモデルの予測については前方予測のみでなく、時間に逆行する後方予測でも良いものである。すなわち、0からt2のドプラ信号から求めたパラメータa,bを使って、t2からt3の非ドプラセグメント期間の予測信号を発生する以外に、予測対象期間(t2〜t3)の直後のt5からt3(時間が逆)の逆方向のドプラ信号時系列から求めたパラメータa,bを使って、当該t3からt2(時間が逆)の非セグメント期間の予測信号を発生し、こうして得た前方予測による予測信号の中の精度の良い部分と、後方予測による予測信号の精度の良い部分とをブレンディングし、非ドプラセグメント期間(t2〜t3)の予測信号を発生する。
【0040】
(2)時刻t2にドプラセグメント期間と非ドプラセグメント期間との境界でスキャンモードが変化するため、プローブ11のトランスデユーサ(振動子)の高圧切替えやドプラのウォールフィルタ13による過渡応答が発生する。その過度応答の大きさを測定しブレンディング期間の長さと重みをダイナミックに変化させる。過渡応答が大きい時にはブレンディング期間を長くしt2初期での予測信号の重みを増やす制御をする。
【0041】
(3) 数学モデルについてAR(AutoRegressive)モデル及びARX(AutoRegressive Exogeneous)モデルに対して、図9,図10に示すように、FIR(FiniteImpulseResponse)モデル、ARMAX(AutoRegressiveMovingAverageExogenious)モデル、ARARXモデル、ARARMAXモデル、OE(OutputError)モデル、BJ(Box and Jenkins)モデル(それらを総称して、パラメトリック(Parametric)モデルという)等を併用してもよい。図9の各部の数学モデルの組み合わせを、図10に示している。
【0042】
(4) 上述では、外部の確定入力として1種類の生体信号(心電図)を例に説明したが、例えば、図11に示すように、u1(k)、u2(k)…ul(k)など複数種類の外部入力から予測信号を発生するようにしてもよい。これらの外部入力としては、ECG(心電図波計)以外に、PCG(心音信号)、Mモードのエコー信号、MC(Mカラーモード)の信号のパワー/速度/分散、Mモードの組織ドプラ信号などが考えられる。
【0043】
これらの信号とドプラ波計は相関がありモデルの妥当性が高まれば予測精度が向上する。
【0044】
【発明の効果】
本発明によると、ノイズ以外に、ドプラ信号に相関のある生体信号を使って予測信号を発生することで、セグメントスキャンにおいて、欠落するドプラ信号の予測誤差を低減し、しかも他のモードイメージとドプライメージの両方の画質を改善することができる。特に、循環器等の拡張期の急激なドプラの流速変化ではARモデルでは非定常過程となり全帯域に信号が入るような縦縞が発生するが、生体信号を予測に使用することで格段の改善ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波ドプラ診断装置の主要部であるところのドプラ信号処理に関わる部分の構成図。
【図2】図1の予測信号発生部の概略構成図。
【図3】図1の予測信号発生部の詳細構成図。
【図4】図2の比較図。
【図5】図3の比較図。
【図6】本実施形態におけるドプラ信号予測処理の概念図。
【図7】本実施形態におけるドプラ信号予測処理の詳細説明図。
【図8】図1の混合部14による混合処理の詳細説明図。
【図9】本実施形態の変形例として他種の予測モデルを併用して予測信号を発生する予測信号発生部の概略構成図。
【図10】図10の各部に対する様々な予測モデルの組み合わせ例を示す図。
【図11】本実施形態の変形例として複数種の生体信号を使って予測信号を発生する予測信号発生部の概略構成図。
【図12】従来において、インターリーブスキャンとセグメントスキャンを示す図。
【図13】従来の超音波ドプラ診断装置のドプラ信号処理に関わる部分の構成図。
【符号の説明】
11…プローブ、
12…送受信処理部、
13…ウォールフィルタ、
14…混合部、
15…信号予測ユニット、
16…生体信号検出部、
17…ARXモデル発生部、
18…予測信号発生部、
19…高速フーリエ変換部、
20…混合部、
21…ディジタルスキャンコンバータ、
22…RGBルックアップテーブル、
23…モニタ。
Claims (7)
- ドプラスキャンの実行に伴ってドプラ信号が実際に発生する第1期間と、ドプラスキャンの不実行に伴ってドプラ信号が発生しない第2期間とが交互に起こるセグメントスキャンを実行する手段と、
前記第2期間のドプラ信号を、ノイズを内部入力として用いたARモデルと、前記ドプラ信号に対して相関のある生体信号を外部確定入力として用いたARXモデルとを併用して予測する予測手段と、
前記第1期間で実際に発生するドプラ信号と前記予測された第2期間のドプラ信号との交互信号に対して周波数解析を行う手段とを具備することを特徴とする超音波ドプラ診断装置。 - 前記予測手段は、前記ノイズ及び生体信号と共に、前記第2期間以前の第1期間で実際に発生するドプラ信号に基づいて当該第2期間のドプラ信号を予測する前方予測と、前記ノイズ及び生体信号と共に、前記第2期間以後の第1期間で実際に発生するドプラ信号に基づいて当該第2期間のドプラ信号を予測する後方予測とを併用することを特徴とする請求項1記載の超音波ドプラ診断装置。
- 前記第2期間から前記第1期間への移行期間において前記実際に発生するドプラ信号と前記予測されたドプラ信号とを混合する混合手段をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の超音波ドプラ診断装置。
- 前記混合手段は、前記第1期間から前記第2期間への移行時の過渡応答の大きさに応じて前記移行期間の長さ及び混合比率を動的に変化することを特徴とする請求項3記載の超音波ドプラ診断装置。
- 前記予測手段は、前記ARモデルと前記ARXモデルと共に、FIRモデル、ARMAXモデル、ARARXモデル、ARARMAXモデル、OEモデル、BJモデル、パラメトリックモデルの少なくとも1つを用いて、前記第2期間のドプラ信号を予測することを特徴とする請求項1記載の超音波ドプラ診断装置。
- 前記生体信号は、心電図波形信号、心音信号、Mモードエコー信号、Mカラーモードエコーのパワー信号、Mカラーモードエコーの速度信号、Mカラーモードエコーの分散信号、Mモードの組織ドプラ信号のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の超音波ドプラ診断装置。
- 前記生体信号は、心電図波形信号、心音信号、Mモードエコー信号、Mカラーモードエコーのパワー信号、Mカラーモードエコーの速度信号、Mカラーモードエコーの分散信号、Mモードの組織ドプラ信号の2種類以上の組み合わせ入力を持つことを特徴とする請求項1記載の超音波ドプラ診断装置。
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