JP4387384B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関に供給される燃料のセタン価を推定する内燃機関の制御装置に関する。
従来のこの種の制御装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この制御装置では、内燃機関のアイドル運転中、燃料噴射弁から燃焼室に噴射された燃料の実際の着火時期を実着火時期として検出するとともに、内燃機関において燃焼が良好に行われているときに得られる着火時期を標準着火時期として設定する。そして、実着火時期と標準着火時期との差に基づいて、使用中の燃料の性状を判定する。
このように、この従来の制御装置では、アイドル運転中に求めた実着火時期と標準着火時期との差、すなわち、標準着火時期を基準とする燃料の着火遅れに基づいて、使用中の燃料の性状を判定する。しかし、通常、アイドル運転中には、燃焼室に噴射される燃料量は、内燃機関の回転数が所定の目標アイドル回転数になるように制御されるため、例えば、エアコンの負荷などに応じて内燃機関の回転数が変化すると、それに応じて燃料量が増減する結果、内燃機関の燃焼状態が変化してしまう。これにより、燃料性状が同じであっても、実際の着火時期が変動するため、アイドル運転中の実着火時期と標準着火時期との差に基づく従来の判定手法では、燃料性状を精度良く判定することができない。
また、燃料噴射弁の個体差や経時的な劣化などによって、その動作特性がずれた場合には、燃焼室に実際に供給される燃料量が適正量からずれてしまう。その結果、燃焼状態が変化し、実際の着火時期が変動するため、燃料性状をやはり精度良く判定することができない。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、内燃機関に供給された燃料のセタン価を精度良く推定することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
特開2005−171818号公報
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、複数の気筒(実施形態における(以下、本項において同じ)1番〜4番の気筒#1〜#4)を有するとともに、複数の気筒ごとの燃焼モードとして予混合燃焼モードと通常燃焼モードを有する内燃機関3を制御する内燃機関の制御装置1であって、複数の気筒に供給される燃料量(燃料噴射量QINJ#1〜#4)を気筒ごとに制御する供給燃料量制御手段(インジェクタ4、ECU2)と、複数の気筒の少なくとも1つにおける燃料の着火時期を実着火時期CAFMとして検出する実着火時期検出手段(筒内圧センサ11、クランク角センサ12、ECU2、ステップ23)と、内燃機関3の運転状態を検出する運転状態検出手段(クランク角センサ12、アクセル開度センサ17、ECU2)と、検出された内燃機関3の運転状態(エンジン回転数NE、要求トルクPMCMD)に応じて、少なくとも1つの気筒における基準着火時期CAFMMを設定する基準着火時期設定手段(ECU2、ステップ12)と、実着火時期CAFMと基準着火時期CAFMMとの比較結果に基づき、燃料のセタン価CETを推定するセタン価推定手段(ECU2、ステップ14、15)と、セタン価推定手段によるセタン価CETの推定中に、少なくとも1つの気筒の燃焼モードを予混合燃焼モードに設定し、他の気筒の燃焼モードを通常燃焼モードに設定する燃焼モード設定手段(ECU2、ステップ4)と、を備え、供給燃料量制御手段は、セタン価推定手段によるセタン価CETの推定中に、少なくとも1つの気筒に供給される燃料量を所定量(所定値QREF)に保持する(ステップ5)ことを特徴とする。
この内燃機関の制御装置によれば、実着火時期検出手段により、複数の気筒の少なくとも1つにおける燃料の着火時期が実着火時期として検出され、検出された内燃機関の運転状態に応じて、少なくとも1つの気筒における基準着火時期が、基準着火時期設定手段により設定される。また、実着火時期と基準着火時期との比較結果に基づいて、燃料のセタン価が、セタン価推定手段により推定される。このセタン価の推定中には、燃焼モード設定手段により、実着火時期の検出が行われる気筒の燃焼モードが予混合燃焼モードに設定され、他の気筒の燃焼モードが通常燃焼モードに設定される。
検出された実着火時期と基準着火時期との差は、基準着火時期を基準とした、供給された燃料の着火遅れ、すなわち、供給された燃料のセタン価を適切に表す。したがって、実着火時期と基準着火時期との比較結果に基づいて、供給された燃料のセタン価を推定することができる。また、セタン価の推定中、実着火時期を検出する気筒に供給される燃料量を所定量に保持する。これにより、この推定中、当該気筒における燃焼状態が安定し、それにより、実着火時期が安定する結果、実着火時期と基準着火時期との差に基づくセタン価の推定を、より精度良く行うことができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置1において、内燃機関3がアイドル運転中であるか否かを判別するアイドル判別手段(ECU2、ステップ1)をさらに備え、セタン価推定手段は、内燃機関3がアイドル運転中であると判別されたときに、セタン価CETの推定を行うことを特徴とする。
アイドル運転中には、内燃機関の負荷があまり変化しないので、セタン価の推定のための気筒への供給燃料量の保持制御を、支障なく行うことができる。また、アイドル運転は、内燃機関の始動時などにおいて通常、行われるものであるので、そのようなアイドル運転を利用し、推定のための特別な運転状態を作り出すことなく、推定を行えるとともに、推定の実行機会を確保することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置1において、少なくとも1つの気筒に燃料を供給する燃料供給系(インジェクタ4)の動作特性のずれの度合いを表す動作特性パラメータ(開弁時間TMINJ#1〜#4、角速度ω)を検出する動作特性パラメータ検出手段(クランク角センサ12、ECU2)と、検出された動作特性パラメータに応じて、所定量を設定する所定量設定手段(ECU2、ステップ37)と、をさらに備えることを特徴とする。
この構成によれば、セタン価の推定を行う気筒に燃料を供給する燃料供給系の動作特性のずれの度合いを表す動作特性パラメータを検出するとともに、検出された動作特性パラメータに応じて、所定量、すなわちセタン価の推定中に、その気筒に供給される燃料量を設定する。したがって、この所定量を、燃料供給系の動作特性のずれを補償しながら適正に設定でき、それにより、セタン価の推定精度をさらに高めることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本実施形態による内燃機関の制御装置1を、これを適用した内燃機関(以下「エンジン」という)3とともに示している。エンジン3は、1番〜4番の気筒#1〜#4(複数の気筒)を有する直列4気筒型のディーゼルエンジンであり、車両(図示せず)に搭載されている。
また、エンジン3には、燃料噴射弁(以下「インジェクタ」という)4(供給燃料量制御手段、燃料供給系)が、気筒#1〜#4ごとに設けられている。本実施形態では、通常、吸気行程中から圧縮行程中の任意の期間に燃料を噴射するパイロット噴射と、圧縮行程中に燃料を噴射するメイン噴射の双方が、実行される。また、パイロット噴射用およびメイン噴射用の燃料噴射量QINJおよび燃料噴射時期TINJは、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDなどに応じて決定される。また、これらの燃料噴射量QINJおよび燃料噴射時期TINJに応じて、インジェクタ4の開弁時間TMINJ(動作特性パラメータ)および開弁タイミングが決定され、それに基づく噴射パルス信号SINJがECU2から各インジェクタ4に出力される。
エンジン3には、EGR管7aおよびEGR制御弁7bを有するEGR装置7が設けられている。EGR管7aは、エンジン3の吸気管5および排気管6をつなぐように接続されており、このEGR管7aを介して、エンジン3の排ガスの一部が吸気管5にEGRガスとして還流し、気筒#1〜#4に流入する。これにより、エンジン3における燃焼温度が低下することによって、排ガス中のNOxが低減される。
EGR制御弁7bは、EGR管7aに設けられたバタフライ弁とこれを開閉駆動するDCモータ(いずれも図示せず)で構成されており、供給される電流をECU2で制御することによって、その弁開度をリニアに制御することで、気筒#1〜#4に流入するEGRガスの量が制御される。
また、エンジン3の1番気筒#1には、筒内圧センサ11(実着火時期検出手段)が設けられている。筒内圧センサ11は、圧電素子で構成された、グロープラグ(図示せず)と一体型のものであり、1番気筒#1内の圧力の変化量(以下「筒内圧変化量」という)DPを表す検出信号をECU2に出力する。
エンジン3のクランクシャフトには、マグネットロータが取り付けられており、このマグネットロータとMREピックアップ(いずれも図示せず)によって、クランク角センサ12(実着火時期検出手段、運転状態検出手段、動作特性パラメータ検出手段)が構成されている。クランク角センサ12は、クランクシャフトの回転に伴い、パルス信号であるCRK信号およびTDC信号をECU2に出力する。
CRK信号は、所定のクランク角(例えば1゜)ごとに出力される。ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを求める。TDC信号は、ピストン(図示せず)が吸気行程開始時のTDC(上死点)付近の所定のクランク角度位置にあることを表す信号である。また、エンジン3には、気筒判別センサ(図示せず)が設けられており、この気筒判別センサは、1番〜4番の気筒#1〜#4を判別するためのパルス信号を気筒判別信号としてECU2に出力する。
さらに、エンジン3の本体には、水温センサ13が取り付けられている。水温センサ13は、エンジン3のシリンダブロック(図示せず)内を循環する冷却水の温度(以下「エンジン水温」という)TWを検出し、その検出信号をECU2に出力する。
吸気管5および排気管6には、エアフローセンサ14および排気温センサ15が、それぞれ設けられている。前者14は吸入空気量QAを、後者15は排気温TEを、それぞれ検出し、それらの検出信号は、ECU2に出力される。
また、ECU2には、油温センサ16、アクセル開度センサ17(運転状態検出手段)および車速センサ18からそれぞれ、エンジン3の潤滑油の温度(以下「油温」という)TOIL、アクセルペダル(図示せず)の操作量(以下「アクセル開度」という)AP、および車速VPを表す検出信号が、出力される。
ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROMなどからなるマイクロコンピュータで構成されている。ECU2は、前述した各種のセンサ11〜18からの検出信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラムなどに従って、燃料噴射制御を含むエンジン制御を実行するとともに、使用中の燃料のセタン価CETを算出する。なお、本実施形態では、ECU2は、供給燃料量制御手段、実着火時期検出手段、運転状態検出手段、基準着火時期設定手段、セタン価推定手段、燃焼モード設定手段、アイドル判別手段、動作特性パラメータ検出手段および所定量設定手段に相当する。
図2は、セタン価CETの算出の実行条件が成立しているか否かを判定する処理を示している。本処理は、1番気筒#1のTDC信号の発生に同期して実行される。まず、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)では、アイドル運転中であるか否かを判別する。この判別では、車速VPおよびアクセル開度APがいずれもほぼ値0であるときに、アイドル運転中であるとされる。なお、このアイドル運転中においては、エンジン回転数NEを所定の目標アイドル回転数NEIDLに収束するようにフィードバック制御するアイドルフィードバック制御が行われる。この答がNOのときには、実行条件が成立していないとして、実行条件成立フラグF_CEOKを「0」にセットし(ステップ2)、本処理を終了する。
一方、上記ステップ1の答がYESで、アイドル運転中のときには、エンジン3の他の所定の運転条件が成立しているか否かを判別する(ステップ3)。この所定の運転条件として、例えば、排気温TEが所定温度TEREF(例えば90℃)以上であり、かつエンジン水温TWまたは油温TOILが、エンジン3の暖機状態を表す所定温度TUP(例えば80℃)以上であることが設定されている。
上記ステップ3の答がNOのときには、実行条件が成立していないとして、前記ステップ2を実行する一方、YESのときには、次のステップ4以降において、セタン価CET算出用の燃料噴射制御を行う。
まず、ステップ4では、1番気筒#1の燃焼モードを予混合燃焼に設定する。次いで、1番気筒#1のパイロット噴射を停止するとともに、メイン噴射用の燃料噴射量QINJ#1を、通常よりも小さな一定の所定値QREFに設定する(ステップ5)。次に、1番気筒#1の燃料噴射時期TINJ#1を、通常よりも進角側に設定した(ステップ6)後、実行条件が成立していることを表すために、実行条件成立フラグF_CEOKを「1」にセットし(ステップ7)、本処理を終了する。
以上のように、セタン価の算出中、1番気筒#1では、メイン噴射のみを行うとともに、燃料噴射時期TINJ#1を通常よりも早めることによって、燃料の噴射後、遅れ時間が経過したときに燃料が燃焼する、いわゆる予混合燃焼が行われる。これは、予混合燃焼中には、燃料のセタン価CETの違いによる着火時期の差が大きくなるので、着火遅れに基づくセタン価CETの算出を精度良く行うことができるためである。
なお、以上のセタン価CET算出用の燃料噴射制御の実行中、2〜4番の気筒#2〜#4では、パイロット噴射およびメイン噴射によるアイドル運転用の通常燃焼が行われる。このときの気筒#2〜#4におけるパイロット噴射用およびメイン噴射用の燃料噴射量QINJ#2〜#4は、エンジン回転数NEが目標アイドル回転数NEIDLになるように、かつ気筒間でトルクが釣り合うように設定される。また、気筒#2〜#4におけるパイロット噴射用およびメイン噴射用の燃料噴射時期TINJ#2〜#4は、対応する燃料噴射量QINJ#2〜#4などに応じて設定される。
次に、図3を参照しながら、セタン価の算出処理について説明する。本処理は、CRK信号の発生に同期して実行され、その実行中、EGRガスの量は値0に制御される。まず、ステップ11では、実行条件成立フラグF_CEOKが「1」であるか否かを判別する。この答がNOで、実行条件が成立していないときには、セタン価CETを算出することなく、そのまま本処理を終了する。
一方、上記ステップ11の答がYESで、実行条件が成立しているときには、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じ、図4に示すCAFMMマップを検索することによって、基準着火時期CAFMMを算出する(ステップ12)。なお、要求トルクPMCMDは、エンジン回転数NEおよびアクセル開度APに応じ、マップ(図示せず)を検索することによって算出される。
このCAFMMマップは、所定のセタン価(例えば57)の燃料を予混合燃焼により燃焼させたときに得られる着火時期を、エンジン回転数NEおよび要求トルクPMCMDに応じ、基準着火時期CAFMMとして設定したものである。また、基準着火時期CAFMMは、クランク角度位置で表される。
次いで、1番気筒#1における実着火時期CAFMを検出する(ステップ13)。図5は、この実着火時期CAFMの検出処理を示している。まず、ステップ21では、筒内圧センサ11から出力される筒内圧変化量DPを、バンドパスフィルタ(図示せず)によってフィルタリングする。このバンドパスフィルタは、筒内圧センサ11の出力のうちの所定の周波数域の成分を通過させるようにフィルタリングする。これにより、筒内圧センサ11の出力中のノイズ成分が除去される。
次いで、フィルタリングした筒内圧変化量DPに、位相遅れ補正を行う(ステップ22)。これにより、フィルタリングによって生じる筒内圧変化量DPの位相遅れが補正される。次に、位相遅れ補正を行った筒内圧変化量DPに基づいて、実着火時期CAFMを検出し(ステップ23)、本処理を終了する。
この実着火時期CAFMの検出は、例えば図6に示すようにして行われる。すなわち、クランク角度位置CAIMでインジェクタ4への噴射パルス信号SINJが出力された後、筒内圧変化量DPが所定のしきい値DPPを超えたときのクランク角度位置を、実着火時期CAFMとして検出する。なお、実着火時期CAFMの検出は、噴射パルス信号SINJの出力後、所定の角度範囲RDET(例えば10度)内において行われる。これにより、ECU2の演算負荷を増大させることなく、実着火時期CAFMを適切に検出することができる。
図3に戻り、前記ステップ13に続くステップ14では、前記ステップ12および23でそれぞれ求めた基準着火時期CAFMMから実着火時期CAFMを減算することによって、着火遅れ角DCAを算出する。
次いで、算出した着火遅れ角DCAに応じてセタン価CETを算出し(ステップ15)、本処理を終了する。具体的には、まず、着火遅れ角DCAを、そのときのエンジン回転数NEを用いて着火遅れ時間TDFMに換算し、次いで、着火遅れ時間TDFMに応じ、図7に示すCETTテーブルを検索することによって、セタン価の暫定値CETTを算出する。このCETTテーブルでは、暫定値CETTは、着火遅れ時間TDFMが大きいほど、より小さな値に設定されている。次に、算出した暫定値CETTとセタン価の前回値CETZを加重平均することによって、今回のセタン価CETを算出する。なお、以上のようにして算出されたセタン価CETは、燃料噴射量QINJや燃料噴射時期TINJの制御に用いられる。
以上のように、本実施形態によれば、セタン価CETの算出中、実着火時期CAFMを検出する1番気筒#1の燃料噴射量QINJ#1を、一定の所定値QREFに保持する(ステップ5)ので、セタン価CETの算出を精度良く行うことができる。また、セタン価CETの算出のための所定値QREFへの燃料噴射量QINJの保持制御を、負荷の変動の少ないアイドル運転中(ステップ1:YES)に、1番気筒#1についてのみ行うので、これを支障なく行うことができる。さらに、アイドル運転を利用し、セタン価CET算出のための運転状態を作り出すことなく、算出を行えるとともに、算出の実行機会を確保することができる。
また、前述した予混合燃焼中には、通常燃焼中と比較して、着火遅れが大きくなるので、筒内圧変化量DPも大きくなる結果、大きな騒音や振動が発生しやすい。本実施形態によれば、予混合燃焼中、燃料噴射量QINJ#1を通常よりも小さな所定値QREFに設定する(ステップ5)ので、騒音や振動の発生を抑制することができる。
図8は、図2のステップ5で用いられる所定値QREFの算出処理を示している。本処理は、1番気筒#1のTDC信号の発生に同期して実行される。まず、ステップ31では、エンジン3がアイドル運転中であるか否かを判別する。この答がNOのときには、ダウンカウント式のタイマ(図示せず)のタイマ値TMDYLを所定時間TMREF(例えば、5sec)にセットした(ステップ38)後、本処理を終了する。一方、ステップ31の答がYESのときには、実行条件成立フラグF_CEOKが「1」であるか否かを判別する(ステップ32)。この答がYESで、セタン価CETの算出中のときには、前記ステップ38を実行する。一方、このステップ32の答がNOのときには、アイドルフィードバック制御されているエンジン回転数NEが目標アイドル回転数NEIDLにほぼ等しいか否かを判別する(ステップ33)。この答がNOのときには、前記ステップ38を実行する。
一方、このステップ33の答がYESのときには、タイマ値TMDYLが値0であるか否かを判別する(ステップ34)。この答がNOのときには、本処理を終了する。一方、このステップ34の答がYESのとき、すなわち、アイドルフィードバック制御中、エンジン回転数NEが目標アイドル回転数NEIDLに収束した状態が所定時間TMREF、継続したときには、全体補正係数KTINJを算出する(ステップ35)。
この全体補正係数KTINJは、4つのインジェクタ4を含む燃料供給系全体としての燃料噴射量のずれを補正するためのものである。具体的には、4つのインジェクタ4の開弁時間TMINJ#1〜#4の加算値STMINJを算出し、この加算値STMINJを基準値STMREFで除算する(=STMINJ/STMREF)ことによって、算出される。
この基準値STMREFは、4つのインジェクタが標準品で、これらのインジェクタを含めて燃料噴射量にずれがない標準的な燃料供給系を用いて、アイドルフィードバック制御を実行し、エンジン回転数NEが目標アイドル回転数NEIDLに収束しているときに得られた4つのインジェクタの開弁時間を加算したものであり、実験によってあらかじめ求められている。アイドルフィードバック制御中には、エンジン回転数NEが目標アイドル回転数NEIDLに収束するように、インジェクタ4の開弁時間TMINJが制御される。このため、上記のようにして算出される全体補正係数KTINJは、標準の燃料供給系に対する燃料供給系全体としての実際の燃料噴射量のずれの度合いを表し、燃料噴射量が大きい側にずれるほど、より小さな値に算出される。
次に、気筒間補正係数KINJ#1〜#4を算出する(ステップ36)。この気筒間補正係数KINJ#1〜#4は、4つの気筒#1〜#4間における燃料噴射量のばらつきを補正するためのものであり、次のようにして算出される。まず、CRK信号の発生間隔に基づいて、クランクシャフトの角速度ω(動作特性パラメータ)を算出する。このように角速度ωを求めると、図9に示すように、燃料の燃焼に伴い、筒内圧が急激に上昇することにより、気筒#1〜#4の燃焼に対応して、角速度ωのピークが現れる。
次に、例えばTDC信号の発生時における角速度ωを基準値ω0とし、気筒#1〜#4のピーク値と基準値ω0との差を、最大角速度変化量ω#1〜#4としてそれぞれ算出する。この最大角速度変化量ω#1〜#4は、燃料噴射量が多いほど、筒内圧が高くなることで、より大きくなるため、気筒#1〜#4間における燃料噴射量のばらつきを表す。次いで、最大角速度変化量ω#1〜#4の平均値ωAVRを算出し、この平均値ωAVRを最大角速度変化量ω#1〜#4で除算することによって、気筒間補正係数KINJ#1〜#4を算出する(=ωAVR/ω#1〜#4)。
次いで、所定の基本値QREF0に、算出した全体補正係数KTINJおよび1番気筒#1の気筒間補正係数KINJ#1を乗算することによって、所定値QREFを算出し(ステップ37)、本処理を終了する。この所定値QREFは、図2のステップ5に適用され、セタン価CETの算出に用いられる。
以上のように、アイドルフィードバック制御中に得られた4つのインジェクタ4の開弁時間TMINJ#1〜#4の加算値STMINJと、基準値STMREFとの比に基づいて、全体補正係数KTINJを算出する(ステップ35)とともに、最大角速度変化量ω#1〜#4に基づいて、1番気筒#1の気筒間補正係数KINJ#1を算出する(ステップ36)。そして、全体補正係数KTINJと1番気筒#1の気筒間補正係数KINJ#1を用いて、所定値QREFを算出する(ステップ37)。したがって、インジェクタ4を含む燃料供給系の動作特性の全体的なずれと気筒#1〜#4間のばらつきを補償しながら、所定値QREFを適正に設定でき、それにより、セタン価CETの算出精度をさらに高めることができる。
また、全体補正係数KTINJおよび気筒間補正係数KINJの算出を、エンジン回転数NEが目標アイドル回転数NEIDLに収束した状態が所定時間TMREF、継続した、エンジン3の安定した運転状態で行うので、燃料供給系の動作特性のずれを適切に補償することができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、セタン価CETの算出中、1番気筒#1の燃料噴射量QINJ#1を、所定値QREFに保持しているが、前記ステップ1および3の条件が成立する直前の燃料噴射量QINJ#1に、あるいはこれに基づいて設定した所定値に保持してもよい。これにより、トルク段差を抑制し、良好なドライバビリティを確保することができる。また、実施形態では、セタン価CETの算出のための燃料噴射量の保持制御を、1番気筒#1についてのみ行っているが、他の任意の1つの気筒についてのみ、または、2以上の気筒について行ってもよい。
さらに、実施形態では、セタン価CETを、メイン噴射された燃料の実着火時期CAFMに基づいて算出しているが、パイロット噴射された燃料の実着火時期に基づいて算出してもよい。また、実施形態では、セタン価CETを算出する際、予混合燃焼を行っているが、通常燃焼を行ってもよい。
また、図8の算出処理では、所定値QREFの算出を、全体補正係数KTINJおよび1番気筒#1の気筒間補正係数KINJ#1を用いて行っているが、これに限らず、例えば、1番気筒#1の最大角速度変化量ω#1と、標準の燃料供給系を用いた場合の最大角速度変化量との比較結果に基づいて求めた1つの補正係数を用いて、行ってもよい。さらに、図8の算出処理では、気筒間補正係数KINJの算出を、最大角速度変化量ω#1〜#4に応じて行っているが、これに限らず、例えば、エンジンの排気管に設けたLAFセンサによって気筒#1〜#4ごとに検出された酸素濃度に応じて、行ってもよい。
さらに、本発明は、クランク軸が鉛直方向に配置された船外機などのような船舶推進機用エンジンを含む、様々な産業用の内燃機関に適用できることはもちろんである。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
本実施形態による制御装置を、これを適用した内燃機関とともに概略的に示す図である。 実行条件の成立の有無を判定する処理を示すフローチャートである。 セタン価CETを算出する処理を示すフローチャートである。 図3の処理で用いられるCAFMMマップの一例である。 図3のステップ13における実着火時期CAFMを検出する処理を示すフローチャートである。 実着火時期CAFMの検出方法を説明するための図である。 図3の処理で用いられるCETTテーブルの一例である。 図2の処理で用いられる所定値の算出処理を示すフローチャートである。 クランクシャフトの角速度の推移の一例を示す図である。
符号の説明
1 制御装置
2 ECU(供給燃料量制御手段、実着火時期検出手段、運転状態検出手段、
基準着火時期設定手段、セタン価推定手段、燃焼モード設定手段、アイドル
判別手段、動作特性パラメータ検出手段、所定量設定手段)
3 エンジン
4 インジェクタ(供給燃料量制御手段、燃料供給系)
#1〜#4 1番〜4番の気筒(複数の気筒)
11 筒内圧センサ(実着火時期検出手段)
12 クランク角センサ(実着火時期検出手段、運転状態検出手段、動作特性
パラメータ検出手段)
17 アクセル開度センサ(運転状態検出手段)
QINJ#1〜#4 燃料噴射量(気筒に供給される燃料量)
CAFM 実着火時期
NE エンジン回転数(検出された内燃機関の運転状態)
PMCMD 要求トルク(検出された内燃機関の運転状態)
CAFMM 基準着火時期
CET セタン価
QREF 所定値(所定量)
TMINJ#1〜#4 開弁時間(動作特性パラメータ)
ω 角速度(動作特性パラメータ)

Claims (3)

  1. 複数の気筒を有するとともに、当該複数の気筒ごとの燃焼モードとして予混合燃焼モードと通常燃焼モードを有する内燃機関を制御する内燃機関の制御装置であって、
    前記複数の気筒に供給される燃料量を気筒ごとに制御する供給燃料量制御手段と、
    前記複数の気筒の少なくとも1つにおける燃料の着火時期を実着火時期として検出する実着火時期検出手段と、
    前記内燃機関の運転状態を検出する運転状態検出手段と、
    当該検出された内燃機関の運転状態に応じて、前記少なくとも1つの気筒における基準着火時期を設定する基準着火時期設定手段と、
    前記実着火時期と前記基準着火時期との比較結果に基づき、燃料のセタン価を推定するセタン価推定手段と、
    当該セタン価推定手段による前記セタン価の推定中に、前記少なくとも1つの気筒の前記燃焼モードを前記予混合燃焼モードに設定し、他の気筒の前記燃焼モードを前記通常燃焼モードに設定する燃焼モード設定手段と、
    を備え、
    前記供給燃料量制御手段は、前記セタン価推定手段による前記セタン価の推定中に、前記少なくとも1つの気筒に供給される燃料量を所定量に保持することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記内燃機関がアイドル運転中であるか否かを判別するアイドル判別手段をさらに備え、
    前記セタン価推定手段は、前記内燃機関がアイドル運転中であると判別されたときに、前記セタン価の推定を行うことを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記少なくとも1つの気筒に燃料を供給する燃料供給系の動作特性のずれの度合いを表す動作特性パラメータを検出する動作特性パラメータ検出手段と、
    当該検出された動作特性パラメータに応じて、前記所定量を設定する所定量設定手段と、をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
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