JP4387274B2 - 掘削用泥水の造壁性改善方法 - Google Patents

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Description

本発明は、泥水シールド工法、地中連続壁工法といった泥水工法で使用される掘削用泥水の造壁性改善方法に関する。
泥水シールド工法、地中連続壁工法といった泥水工法では、いわゆる掘削用泥水が使用されるが、かかる掘削用泥水には、切羽や溝壁を安定させるべく、良好な造壁性を有していることが基本的に要求されるとともに、スラリー輸送等の関係上、逸液が防止される範囲内で低粘性が保持されることが望ましい。また、地中連続壁工法では、耐セメント性を有していることも要求される。
かかる機能を満たすべく、従来、ベントナイト、CMC、分散剤、ポリマー剤等を作泥材料とした掘削用泥水が広く使用されてきた。このような掘削用泥水は、ベントナイト等が泥水中で良好に分散するため、低粘性が維持されるとともに、分散されたベントナイト等が切羽や溝壁に良好なマッドケーキを形成し、かかるマッドケーキによって止水性ひいては切羽や溝壁の安定を確保することが可能となる。
特開2000−87022 特開2000−87023
しかしながら、このような掘削用泥水の循環使用を繰り返している間に、土砂分離装置を使っても分離できない掘削土の細粒分が掘削に伴って泥水中に徐々に残留し、泥水比重が大きくなってベントナイト、ポリマー等の濃度や機能が相対的に減少し、その結果、造壁性の低下を招く。
そのため、造壁性が低下したいわゆる劣化泥水に対しては、ベントナイトやポリマーを添加して再生使用が図られるが、添加量が多くなるにつれて泥水が著しく増粘するため、劣化泥水を再生使用するにはどうしても限度があり、いずれは劣化泥水を大量に廃棄処分しなければならないとともに、上述した作泥材料を使って新しい泥水を作製し随時補充しなければならないという問題も生じていた。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、劣化泥水を廃棄処分することなく有効に再生可能な掘削用泥水の造壁性改善方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る掘削用泥水の造壁性改善方法は請求項1に記載したように、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)のみを構成単位とする(共)重合体(x′)からなり、該(共)重合体(x′)の重量平均分子量Mwを20万〜300万とした掘削泥水用泥膜形成剤を劣化泥水に添加し、ベントナイト及びCMCを前記劣化泥水に添加しないものである。
また、本発明に係る掘削用泥水の造壁性改善方法は、前記不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上であるものである。
また、本発明に係る掘削用泥水の造壁性改善方法は、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体であってその重量平均分子量Mwを10000乃至14000とした掘削泥水用分散剤又は炭酸ナトリウムの少なくともいずれかを前記劣化泥水に添加するものである。
地中連続壁工法や泥水シールド工法といった泥水掘削工法では溝壁等の安定のために掘削用泥水が使用されるが、その循環使用に伴い、掘削用泥水中に掘削土砂の細粒分が徐々に混入して泥水比重が大きくなり、造壁性が悪化する。
このように造壁性が悪化したいわゆる劣化泥水は、従来、ベントナイトやポリマーを添加して再生使用が図られてきたが、添加量が多くなるにつれて泥水が著しく増粘する。
それに対し、本発明においては、劣化泥水は、造壁性が改善されるのみならず、粘性の増加も抑制されることとなり、該劣化泥水は、あらたな掘削用泥水として再生される。
まず、参考例に係る発明を以下に列挙する。
(参考例1)
不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と、不飽和カルボン酸(b1)及び下記一般式(1)
R(OA)nOH (1)
R; 水素又は炭素数1〜12の炭化水素基
A; 炭素数2〜4のアルキレン基
n; 1〜100の整数
で表されるヒドロキシル基含有化合物(b2)のモノエステル(b)とを構成単位とする共重合体(x)を必須成分とする掘削泥水用泥膜形成剤を劣化泥水に添加することを特徴とする掘削用泥水の造壁性改善方法。
(参考例2)
前記共重合体(x)を構成する前記モノエステル(b)の質量%が1〜40%であり、かつ前記共重合体(x)の数平均分子量が5000〜100000である参考例1記載の掘削用泥水の造壁性改善方法。
(参考例3)
前記不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上であり、前記不飽和カルボン酸(b1)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される1種以上である参考例1又は参考例2記載の掘削用泥水の造壁性改善方法。
(参考例4)
ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体であってその重量平均分子量Mwを10000乃至14000とした掘削泥水用分散剤又は炭酸ナトリウムの少なくともいずれかを前記劣化泥水に添加する参考例1記載の掘削用泥水の造壁性改善方法。
かかる参考例において、共重合体(x)を製造するにあたっては、公知の製法、例えば、溶液重合法で行えばよい。すなわち、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と、モノエステル(b)とを二種類の単量体として所定の溶剤に添加し、次いで、これを50〜150゜Cで常圧又は加圧下で重合するようにすればよい。
溶剤としては、例えば水、イソプロピルアルコール、トルエン、エチレンジクロライド、メチルエチルケトン又はこれらの混合物を用いることができる。
重合させるにあたっては、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)及びモノエステル(b)の合計質量に対し、0.1〜15質量%のラジカル重合開始剤を使用するとともに、連鎖移動剤を必要に応じて使用するのがよい。
ここで、ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化物を用いることが可能であり、連鎖移動剤としては、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸、メルカプトエタノールなどの含硫黄化合物を用いることが可能である。
なお、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)の一部又は全部が不飽和カルボン酸塩である場合には、その前駆体である不飽和カルボン酸又はその無水物や炭素数1〜4の低級アルキルエステルを重合前に予め中和してもよいし、重合後に共重合体を中和してもよい。中和剤としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物をはじめ、水酸化アンモニウム、アンモニア等を用いることができる。
また、共重合体(x)は、必ずしも、不飽和カルボン酸(b1)とヒドロキシル基含有化合物(b2)とのモノエステル(b)を単量体として不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)との共重合に用いることに限定されるのではなく、モノエステル(b)の前駆体、すなわち、不飽和カルボン酸(b1)又はその無水物や炭素数1〜4の低級アルキルエステルを単量体として不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と共重合させ、しかる後、ヒドロキシル基含有化合物(b2)と反応させて共重合体(x)を生成するようにしてもよい。
不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)をどのような物質で構成するかは任意であるが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から適宜選択することができる。また、不飽和カルボン酸(b1)についても任意であるが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から適宜選択することが可能である。
モノエステル(b)は、一般式(1)においてRは水素もしくはアルキレン基であるが良好な造壁性を確保するためには通常、水素もしくは炭素数1〜12、さらには炭素数1〜6のアルキレン基であることが好ましい。上記Rは、アルキル基(メチル基、オクチル基など)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基など)、アリール基(フェニル基など)、アルキルアリール基(エチルフェニル基など)、アラルキル基(ベンジル基など)のいずれであってもよい。
また、一般式(1)においてnについても、良好な造壁性を確保するために通常平均が1〜100、さらには平均が2〜90となる整数が好ましい。
(b2)としては、炭素数2〜4の脂肪族2価アルコール、またはROHで表される炭素数1〜12の脂肪族アルコール、フェノール類または芳香脂肪族アルコールに、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加して得られるものが好ましい。
炭素数2〜4の脂肪族2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
炭素数1〜12脂肪族アルコールとしては、天然アルコールでも合成アルコール(チーグラーアルコール、オキソアルコールなど)でもよい。具体例としては、メチルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコールなどの直鎖もしくは分岐の飽和脂肪族アルコール、シクロヘキシルアルコール、エチルシクロヘキシルアルコールなどの環状脂肪族アルコールが挙げられる。
フェノール類としては、フェノール、エチルフェノールなどが挙げられる。芳香脂肪族アルコールとしては、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
上記の炭素数2〜4のアルキレンオキシドとしてはエチレンオキサイド(以下、EOと略記)単独;EOと他のアルキレンオキサイド[プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−ブチレンキサイド、テトラヒドロフラン、アルキレンオキサイド置換体(エピクロロヒドリン)等]の併用;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。例示したもののうち特に好ましいものは、EOおよびEO/POの併用である。EOとともに他のアルキレンオキサイドを用いる場合の付加様式は、ランダム付加でもブロック付加でもよく、特に限定はされるものではない。
共重合体(x)を構成するモノエステル(b)の質量割合や共重合体(x)の数平均分子量については任意であるが、かかる共重合体(x)を構成する前記モノエステル(b)の質量%が1〜40%であり、かつ前記共重合体(x)の数平均分子量が5000〜100000である場合には、高い造壁性と低粘性を得ることが可能となる。
ここで、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体であってその重量平均分子量Mwを10000乃至14000とした掘削泥水用分散剤又は炭酸ナトリウムの少なくともいずれかを前記劣化泥水に添加する場合、コンクリートから溶出するカルシウムイオンの化学作用に起因する掘削用泥水中の分散性低下が抑制され、造壁性や低粘性が良好に維持されることとなり、地中連続壁工法で生じた劣化泥水に対し、特に優れた作用効果を発揮する。
ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体であってその重量平均分子量Mwを10000乃至14000とした掘削泥水用分散剤や炭酸ナトリウムは、それら掘削泥水用分散剤及び炭酸ナトリウムのいずれかだけを掘削泥水用泥膜形成剤と併用するようにしてもよいし、両方を併用するようにしてもよい。なお、掘削泥水用分散剤及び炭酸ナトリウムを掘削泥水用泥膜形成剤と併用する場合、炭酸ナトリウムは、掘削泥水用分散剤に予め混入して一剤化しておいてもよいし、現場にて混合するようにしてもよい。
なお、共重合体(x)は、(a)、(b)以外にも他の単量体(c)を構成単位とすることができる。(c)としては、共重合できるものであれば特に限定されないが、例えば次の(c1)〜(c5)が挙げられる。
(c1) アミド基含有エチレン性不飽和単量体:(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなど
(c2) (メタ)アクリル酸アルキルエステル類(アルキル基の炭素数が1〜12):メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなど
(c3) ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体:ヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)(メタ)アクリレート〔例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど〕
(c4) (b)以外のポリアルキレングリコール鎖を有するエチレン性不飽和単量体:ポリエチレングリコール(数平均分子量120〜600)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(数平均分子量150〜450)モノ(メタ)アクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド1〜4モル付加物(メタ)アクリレートなど
(c5) 4級アンモニウム基含有エチレン性不飽和単量体:(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなど
これらの(c1)〜(c5)のうち好ましいものは、(c2)〜(c4)である。
また、共重合体(X)を構成する他の単量体(c)単位の質量%は通常30%以下、好ましくは20%以下である。
一方、本発明に係る掘削用泥水の造壁性改善方法においては、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)のみを構成単位とする(共)重合体(x′)からなり、該(共)重合体(x′)の重量平均分子量Mwを20万〜300万とした掘削泥水用泥膜形成剤を劣化泥水に添加する。ベントナイト及びCMCについては、これらを劣化泥水に添加しない
このようにすると、劣化泥水は、参考例と同様、造壁性が改善されるのみならず、粘性の増加も抑制されることとなり、該劣化泥水は、あらたな掘削用泥水として再生される。
(共)重合体(x′)を製造するにあたっても重合体(x)と同様、公知の製法、例えば、溶液重合法で行えばよい。すなわち、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)を単量体として所定の溶剤に添加し、次いで、これを50〜150゜Cで常圧又は加圧下で重合し、又は、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と他の単量体とを所定の溶剤に添加し、次いで、これを50〜150゜Cで常圧又は加圧下で共重合すればよい。すなわち、本発明に係る(共)重合体(x′)は、単一重合体及び共重合体の2つの概念を包摂するものである。但し、単一重合体で構成する方が望ましい。
溶剤の種類、単一重合又は共重合の方法、ラジカル重合開始剤及び中和プロセスに関しては、参考例に係る掘削用泥水の造壁性改善方法と同様であるのでここではその説明を省略する。
不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)をどのような物質で構成するかは任意であるが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から適宜選択することができる。ここで、アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩等が含まれる。
ここで、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体であってその重量平均分子量Mwを10000乃至14000とした掘削泥水用分散剤又は炭酸ナトリウムの少なくともいずれかを前記劣化泥水に添加する場合、コンクリートから溶出するカルシウムイオンの化学作用に起因する掘削用泥水中の分散性低下が抑制され、造壁性や低粘性が良好に維持されることとなり、地中連続壁工法で生じた劣化泥水に対し、特に優れた作用効果を発揮する。
ここで、ポリアクリル酸塩やポリメタクリル酸塩で言うところの塩とは、ナトリウム塩、カリウム塩といったアルカリ金属塩やアンモニウム塩を少なくとも含むものである。また、重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフによる。
ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体であってその重量平均分子量Mwを10000乃至14000とした掘削泥水用分散剤や炭酸ナトリウムは、それら掘削泥水用分散剤及び炭酸ナトリウムのいずれかだけを掘削泥水用泥膜形成剤と併用するようにしてもよいし、両方を例えば質量比が99:1〜1:99となるように併用するようにしてもよい。なお、掘削泥水用分散剤及び炭酸ナトリウムを掘削泥水用泥膜形成剤と併用する場合、炭酸ナトリウムは、掘削泥水用分散剤に予め混入して一剤化しておいてもよいし、現場にて混合するようにしてもよい。
なお、(共)重合体(x′)は、上述したように(a)だけを単量体とした単一重合体でもよいし、(a)を主構成単位(70質量%以上)とし、(a)以外の他の単量体、例えば請求項1乃至請求項4の単量体であるモノエステル(b)をはじめ、他の単量体(c)を構成単位とした共重合体とすることもできる。(c)としては、共重合できるものであれば特に限定されないが、例えば前記の(c1)、(c2)及び(c5)が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、(c2)である。
また、(共)重合体(x′)を構成する他の単量体(b)単位の質量%は通常1%未満、好ましくは0.9%以下であり、(c)単位の質量%は通常30%以下、好ましくは20%以下である。
なお、本発明に係る掘削泥水用泥膜形成剤は、参考例に係る掘削泥水用泥膜形成剤と任意の割合(例えば質量比が99:1〜1:99)で併用することが可能である。
以下、本発明に係る掘削用泥水の造壁性改善方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
(第1実施形態)
本実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法においては、地中連続壁工法や泥水シールド工法といった泥水掘削工法で生じた劣化泥水に、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と、不飽和カルボン酸(b1)及び下記一般式(1)
R(OA)nOH (1)
R; 水素又は炭素数1〜12の炭化水素基
A; 炭素数2〜4のアルキレン基
n; 1〜100の整数
で表されるヒドロキシル基含有化合物(b2)のモノエステル(b)とを構成単位とする共重合体(x)を必須成分とする掘削泥水用泥膜形成剤を添加するとともに、必要に応じて適宜水で希釈する。
ここで、共重合体(x)に対するモノエステル(b)の質量割合は、1%〜40%とするのがよい。これは、共重合体(x)に対するモノエステル(b)の質量%が1%を下回ると、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量に関係なく造壁性が低下し、40%を超えると、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量が低い場合に凝集が発生して造壁性が低下する可能性があるからである。
また、共重合体(x)の数平均分子量は、5000〜100000とするのがよい。これは、数平均分子量が5000を下回ると、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量に関係なく造壁性が低下し、100000を超えると、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量が低い場合に凝集が発生して造壁性が低下する可能性があるからである。
なお、数平均分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定するものとする。
図1は、上述した掘削泥水用泥膜形成剤の一例を示した化学構造式(化学式)であり、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)をメタクリル酸ナトリウム塩2で、モノエステル(b)をメトキシポリエチレングリコールメタクリレート3で構成してなる掘削泥水用泥膜形成剤1として示してある。
このように地中連続壁工法や泥水シールド工法といった泥水掘削工法で生じた劣化泥水に上述した掘削泥水用泥膜形成剤を添加すると、劣化泥水は、造壁性が改善されるのみならず、粘性の増加も抑制されることとなり、該劣化泥水は、あらたな掘削用泥水として再生される。
以上述べたように、本実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法によれば、劣化泥水中に添加した掘削泥水用泥膜形成剤の分散作用により、泥水中の細粒分が劣化泥水中で分散して粘性を維持し又はさらに低粘性になるとともに、同じくその造壁作用により、切羽や溝壁の内面に良質のマッドケーキを形成可能な状態となる。
すなわち、泥水掘削工法で生じた劣化泥水に上述した掘削泥水用泥膜形成剤を添加することにより、該劣化泥水の増粘を抑制しつつその造壁性を改善することが可能となり、かくして、劣化泥水をあらたな掘削用泥水として再生させることができる。
したがって、従来であれば廃棄するしかなかった劣化泥水を、あらたな掘削用泥水として再利用することが可能となり、掘削コストの低減を図ることができるのみならず、産業廃棄物である劣化泥水を減容化することもできる。
なお、劣化泥水の再利用に伴い、必要な作泥材料を節約することができることは言うまでもない。
また、本実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法によれば、上述の掘削泥水用泥膜形成剤を水溶液として使用することができるため、従来であれば必要であったベントナイトやCMCを混練するためのミキサが不要になるのをはじめ、それらの貯留や攪拌を行うためのプラントやストックヤードを大幅に縮小ないしは省略することが可能となるとともに、劣化泥水を再生するための時間を大幅短縮することも可能となる。
また、本実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法によれば、造壁性が改善されるのみならず、粘性を下げることもできるので、ポンプ圧送や土砂分離に有利となるとともに、掘削効率も向上する。
本実施形態では特に言及しなかったが、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体であってその重量平均分子量Mwを10000乃至14000とした掘削泥水用分散剤又は炭酸ナトリウムの少なくともいずれかを上述した掘削泥水用泥膜形成剤とともに添加するようにしてもよい。
かかる構成によれば、コンクリートから溶出するカルシウムイオンの化学作用に起因する掘削用泥水中の分散性低下が抑制され、造壁性や低粘性が良好に維持されることとなり、地中連続壁工法で生じた劣化泥水に対し、特に優れた作用効果を発揮する。
ここで、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体であってその重量平均分子量Mwを10000乃至14000とした掘削泥水用分散剤や炭酸ナトリウムは、それら掘削泥水用分散剤及び炭酸ナトリウムのいずれかだけを上述した掘削泥水用泥膜形成剤と併用するようにしてもよいし、両方を併用するようにしてもよい。なお、掘削泥水用分散剤及び炭酸ナトリウムを掘削泥水用泥膜形成剤と併用する場合、炭酸ナトリウムは、掘削泥水用分散剤に予め混入して一剤化しておいてもよいし、現場にて混合するようにしてもよい。
本実施形態では、顕著な作用効果を実験によって確認できたため、共重合体(x)を構成するモノエステル(b)の質量%を1〜40%、共重合体(x)の数平均分子量を5000〜100000としたが、本発明に用いる掘削泥水用泥膜形成剤は、かかる範囲に限定されるものではなく、実施形態で述べた範囲外についても、一定の作用効果を得ることは可能である。
次に、本実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法に用いる掘削泥水用泥膜形成剤をさらに具体的に説明する。なお、特記なき限り、部及び%はそれぞれ質量部及び質量%を示すものとする。
まず、掘削泥水用泥膜形成剤を構成する不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)としては、メタクリル酸ナトリウム(以下、a-1)とアクリル酸ナトリウム(以下、a-2)の二種類を実験に用いた。また、不飽和カルボン酸エステル(b)としては、10種類の不飽和カルボン酸エステルを使用し、これら10種類の不飽和カルボン酸エステル(以下、b-1〜b-10)を構成する不飽和カルボン酸(b1)とヒドロキシル基含有化合物(b2)との組成を表1に示す。表中、EO、POはそれぞれエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドであることを示す。
Figure 0004387274
次に、上述したメタクリル酸ナトリウム(a-1)及びアクリル酸ナトリウム(a-2)と、10種類の不飽和カルボン酸エステル(b-1〜b-10)とを組み合わせて共重合体(x)(以下、実施例1〜16)を作製したときの組成比率、モノエステルの含有割合(%)及び数平均分子量を表2に示す。なお、数平均分子量の測定条件を以下に示す。
測定機器;Waters社製 GPCシステム
(ポンプ;model510,検出器;waters410)
溶離液 ;種類 水/メタノール(70/30)+CH3COONa(0.5%)
流速 1.0(ml/min)
カラム ;TSKgel G3000PWXL + TSKgel G5000PWXL 7.8ml I.D×30 cm
Figure 0004387274
上述した実施例1〜16の共重合体(x)を製造するにあたっては、まず、反応容器に、水363部、イソプロピルアルコール196部を仕込み、窒素置換した後、80゜Cまで昇温し、攪拌下、メタクリル酸151部(1.757モル)、メトキシポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数28)メタクリレート48部(0.036モル)を混合したものと、過硫酸ナトリウム5%水溶液39.8部(過硫酸ナトリウム0.008モル)を同時に3時間かけて滴下し反応させた。さらに、同温度で2時間熟成した後、イソプロピルアルコールを蒸留により除き、水酸化ナトリウム48%水溶液146部(水酸化ナトリウム1.757モル)で中和した後、固形分30%になる量の水を加えて数平均分子量42800の共重合体(実施例1)を得た。さらに、表2に示した構成単位となるように単量体組成を代え、実施例1と同様にして実施例2〜16を得た。
このようにして製造した実施例1〜16の共重合体(x)からなる掘削泥水用泥膜形成剤を泥水に添加して掘削用泥水とし、その造壁性及び泥水粘度を調べた(表3)。
ここで、掘削泥水用泥膜形成剤を添加する前の泥水については、細粒分75μm以下、比重が1.05となるように濃度調整して作製した。ちなみに、そのときの粘度は11.1 mPa・sであった。泥水粘度はB型粘度計にて測定した。
また、同表における造壁性は、API規格でいうところの指標とは若干異なり、濾水プロセスを促進させて実験時間を短縮させるべく、濾紙の下側を減圧状態とした場合の濾水量として計測したものであり、5ml以下が良好な造壁性の目安とされる。なお、従来技術と比較すべく、CMCを用いた場合を比較例1として併せて示した。
Figure 0004387274
同表でわかるように、実施例1〜6、11〜16は、添加量にかかわらず、造壁性が5ml以下といずれも良好であるとともに、泥水粘度についても低粘性を維持している、言い換えれば良好な分散性が維持されているのに対し、実施例7〜10では、添加量が少ないときに造壁性が低下していることがわかる。
ちなみに、CMCを使った比較例1では、造壁性は確保できるものの、粘度が高くなってしまうという問題点を裏付ける結果となった。
次に、上述した実施例11に係る掘削泥水用泥膜形成剤を劣化泥水に加えてその造壁性及び泥水粘度の変化について調べた。なお、実施例11に係る掘削泥水用泥膜形成剤を加える前の劣化泥水の造壁性やファンネル粘度は、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量が0であるときの値としてそれぞれ読み取ることができる。
まず、泥水比重が1.05の場合における造壁性及びファンネル粘度を図2に示す。なお、同図中、サンプルAと示したものが実施例11に係る掘削泥水用泥膜形成剤であり、比較のため、CMCを添加した場合についても併せて示してある。
同図でわかるように、この程度の比重であれば、造壁性は、実施例11に係る掘削泥水用泥膜形成剤で0.1%程度以上、CMCで0.04%程度以上の範囲で改善が認められるとともに、ファンネル粘度は、実施例11に係る掘削泥水用泥膜形成剤で添加量に関わらず増粘傾向は認められず、CMCでも添加量が少なければ許容範囲であることがわかる。
次に、泥水比重が1.085の場合における造壁性及びファンネル粘度を図3に示す。
同図でわかるように、この比重になると、造壁性は、実施例11に係る掘削泥水用泥膜形成剤で0.25%程度以上、CMCで0.06%以上の範囲で改善が認められるが、ファンネル粘度については、実施例11に係る掘削泥水用泥膜形成剤が添加量に関わらず増粘傾向が認められないのに対し、CMCでは、添加量が増えるにしたがって増粘傾向が明瞭に認められることがわかる。
次に、泥水比重が1.10の場合における造壁性及びファンネル粘度を図4に示す。
同図でわかるように、比重がこの程度まで大きくなると、造壁性では、実施例11に係る掘削泥水用泥膜形成剤で0.2%程度以上、CMCで0.04%以上の範囲で改善が認められるが、ファンネル粘度については、実施例11に係る掘削泥水用泥膜形成剤が添加量に関わらず増粘傾向が認められないのに対し、CMCでは、添加量が増えるにしたがって増粘傾向が顕著に認められることがわかる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
本実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法においては、地中連続壁工法や泥水シールド工法といった泥水掘削工法で生じた劣化泥水に、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)を主構成単位とする(共)重合体(x′)としての単一重合体とからなり該単一重合体の重量平均分子量Mwを20万乃至300万とした掘削泥水用泥膜形成剤を添加するとともに、必要に応じて適宜水で希釈する。
(共)重合体(x′)としての単一重合体は、上述したように重量平均分子量Mwを20万乃至300万としてあるが、これは、重量平均分子量Mwが20万を下回ると、造壁性の指標である濾水量が5mlをやや上回り、300万を超えると、濾水量が5mlを大幅に上回るからである。
ここで、濾水量は、API規格でいうところの指標とは若干異なり、濾水プロセスを促進させて実験時間を短縮させるべく、濾紙の下側を減圧状態にして計測したものであり、5ml以下が良好な造壁性の目安とされる。
図5は、上述した掘削泥水用泥膜形成剤の一例を示した化学構造式(化学式)であり、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)をアクリル酸ナトリウム12を重合してなる掘削泥水用泥膜形成剤11として示してある。
重量平均分子量Mwの下限値及び上限値は、後述する実験で得られた結果に近似する曲線を作成し、該曲線と濾水量が5mlであるラインとの交点としてそれぞれ20万、300万と定めたが、実験誤差等を勘案した経験的な安全率を見込んだ上での重量平均分子量Mwの範囲は、50万乃至250万とするのが望ましい。
一方、掘削泥水用泥膜形成剤11は、濃度が20乃至30質量%のものを泥水に添加して使用するのが好ましいが、かかる濃度範囲では、重量平均分子量Mwが100万を超えると、水飴程度の高粘度(100万mPa・s)となり、泥水に添加するにあたって必ずしも作業性に優れるとは言い難い。
したがって、かかる添加作業性の観点で掘削泥水用泥膜形成剤11の重量平均分子量Mwを50万乃至100万とするのが望ましい。さらには、濾水量上限を余裕をもってクリアするとともに泥水への添加作業を確実に高めるべく、掘削泥水用泥膜形成剤11の重量平均分子量Mwを60万乃至80万とするのが最適である。
このように地中連続壁工法や泥水シールド工法といった泥水掘削工法で生じた劣化泥水に上述した掘削泥水用泥膜形成剤を添加すると、劣化泥水は、造壁性が改善されるのみならず、粘性の増加も抑制されることとなり、該劣化泥水は、あらたな掘削用泥水として再生される。
以上述べたように、本実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法によれば、劣化泥水中に添加した掘削泥水用泥膜形成剤の分散作用により、泥水中の細粒分が劣化泥水中で分散して粘性を維持し又はさらに低粘性になるとともに、同じくその造壁作用により、切羽や溝壁の内面に良質のマッドケーキを形成可能な状態となる。
すなわち、泥水掘削工法で生じた劣化泥水に上述した掘削泥水用泥膜形成剤を添加することにより、該劣化泥水の増粘を抑制しつつその造壁性を改善することが可能となり、かくして、劣化泥水をあらたな掘削用泥水として再生させることができる。
したがって、従来であれば廃棄するしかなかった劣化泥水を、あらたな掘削用泥水として再利用することが可能となり、掘削コストの低減を図ることができるのみならず、産業廃棄物である劣化泥水を減容化することもできる。
なお、劣化泥水の再利用に伴い、必要な作泥材料を節約することができることは言うまでもない。
また、本実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法によれば、上述の掘削泥水用泥膜形成剤を水溶液として使用することができるため、従来であれば必要であったベントナイトやCMCを混練するためのミキサが不要になるのをはじめ、それらの貯留や攪拌を行うためのプラントやストックヤードを大幅に縮小ないしは省略することが可能となるとともに、劣化泥水を再生するための時間を大幅短縮することも可能となる。
また、本実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法によれば、造壁性が改善されるのみならず、粘性を下げることもできるので、ポンプ圧送や土砂分離に有利となるとともに、掘削効率も向上する。
本実施形態では特に言及しなかったが、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体であってその重量平均分子量Mwを10000乃至14000とした掘削泥水用分散剤又は炭酸ナトリウムの少なくともいずれかを上述した掘削泥水用泥膜形成剤とともに添加するようにしてもよい。
かかる構成によれば、コンクリートから溶出するカルシウムイオンの化学作用に起因する掘削用泥水中の分散性低下が抑制され、造壁性や低粘性が良好に維持されることとなり、地中連続壁工法で生じた劣化泥水に対し、特に優れた作用効果を発揮する。
ここで、ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体であってその重量平均分子量Mwを10000乃至14000とした掘削泥水用分散剤や炭酸ナトリウムは、それら掘削泥水用分散剤及び炭酸ナトリウムのいずれかだけを上述した掘削泥水用泥膜形成剤と併用するようにしてもよいし、両方を併用するようにしてもよい。なお、掘削泥水用分散剤及び炭酸ナトリウムを掘削泥水用泥膜形成剤と併用する場合、炭酸ナトリウムは、掘削泥水用分散剤に予め混入して一剤化しておいてもよいし、現場にて混合するようにしてもよい。
次に、本実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法に用いる掘削泥水用泥膜形成剤をさらに具体的に説明する。なお、特記なき限り、部及び%はそれぞれ質量部及び質量%を示すものとする。
まず、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)としては、上述した実施形態でも述べたようにアクリル酸ナトリウムとし、これを重合させて掘削泥水用泥膜形成剤11を製造した。
表4は、重量平均分子量Mwを変化させたときの掘削泥水用泥膜形成剤11の造壁性(ml)、粘度(濃度;25質量%)及び泥水と混合したときの泥水粘度(mPa・s)を示したものである。
ここで、重量平均分子量Mwは、第1実施形態における数平均分子量と同様の測定条件でゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定したものである。
但し、カラムは下記のものを用いる。
カラム ;TSKgel α-3000 + TSKgel α-6000
なお、標準物質は、ポリオキシエチレングリコール(東ソー株式会社製;TSK STANDARD POLYETHYLENE OXIDE)とし、第1実施形態でも同じものを標準物質とした。
また、掘削泥水用泥膜形成剤11を添加する前の泥水については、細粒分75μm以下、比重が1.05となるように濃度調整して作製した。泥水粘度はB型粘度計にて測定した。また、泥水への添加量はすべて5kg/m3とした。
Figure 0004387274
同表中、ブランクと記したものは、泥水のみのケース、実施例1′乃至実施例9′と記したものは、掘削泥水用泥膜形成剤11のうち、造壁性の指標である濾水量が5ml以下になったケース、比較例1′乃至比較例3′と記したものは、掘削泥水用泥膜形成剤11のうち、濾水量が5mlを上回ったケースである。なお、従来技術と比較すべく、CMCを用いた場合を比較例4′として併せて示した。
また、図6は、これらの結果を横軸(対数軸)に重量平均分子量Mwを、縦軸に造壁性(ml)をとってプロットしたグラフであり、黒丸で表示したものは、比較例1′,2′に相当し、白丸で表示したものは、実施例1′乃至9′に相当する。比較例3′は、造壁性が著しく悪いため、同グラフにはプロットしていない。
これらの図表でわかるように、造壁性の指標である濾水量が5ml以下になった実施例1′乃至実施例9′の重量平均分子量Mwは、20万乃至300万の範囲に入っており、比較例1′乃至比較例3′は、該濾水量を上回っていることがわかる。また、比較例4′は、濾水量はクリアしていても、泥水粘度が実施例1′乃至実施例9′よりもはるかに高く、掘削用泥水としては粘性が高すぎることがわかる。
掘削泥水用泥膜形成剤11の製造プロセスを上述した実施例1′の場合について具体的に説明すると、まず、反応容器に水440.7部を仕込み、窒素置換した後、80℃迄昇温し、撹拌下、アクリル酸238.5部と、過硫酸ナトリウム2.0%水溶液100部を同時に3時間かけて滴下し反応した。さらに同温度で2時間熟成した後、イソプロピルアルコールを蒸留により除き、水酸化ナトリウム48%水溶液220.8部で中和した。
次に、上述した実施例5′に係る掘削泥水用泥膜形成剤11を劣化泥水に加えてその造壁性及び泥水粘度の変化について調べた。なお、実施例5′に係る掘削泥水用泥膜形成剤を加える前の劣化泥水の造壁性やファンネル粘度は、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量が0であるときの値としてそれぞれ読み取ることができる。
まず、泥水比重が1.05の場合における造壁性及びファンネル粘度を図7に示す。なお、同図中、サンプルA′と示したものが実施例5′に係る掘削泥水用泥膜形成剤であり、比較のため、CMCを添加した場合についても併せて示してある。
同図でわかるように、この程度の比重であれば、造壁性は、実施例5′に係る掘削泥水用泥膜形成剤で0.13%程度以上、CMCで0.07%程度以上の範囲で改善が認められるとともに、ファンネル粘度は、実施例5′に係る掘削泥水用泥膜形成剤で添加量に関わらず増粘傾向はほとんど認められず、CMCでも添加量が少なければ許容範囲であることがわかる。
次に、泥水比重が1.085の場合における造壁性及びファンネル粘度を図8に示す。
同図でわかるように、この比重になると、造壁性は、実施例5′に係る掘削泥水用泥膜形成剤で0.1%程度以上、CMCで0.05%以上の範囲で改善が認められるが、ファンネル粘度については、実施例5′に係る掘削泥水用泥膜形成剤が添加量に関わらず増粘傾向が認められないのに対し、CMCでは、添加量が増えるにしたがって増粘傾向が明瞭に認められることがわかる。
次に、泥水比重が1.11の場合における造壁性及びファンネル粘度を図9に示す。
同図でわかるように、比重がこの程度まで大きくなると、造壁性では、実施例5′に係る掘削泥水用泥膜形成剤で0.1%程度以上、CMCで0.05%以上の範囲で改善が認められるが、ファンネル粘度については、実施例5′に係る掘削泥水用泥膜形成剤が添加量に関わらず増粘傾向が認められないのに対し、CMCでは、添加量が増えるにしたがって増粘傾向が顕著に認められることがわかる。
本実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法で用いる掘削泥水用泥膜形成剤を示した化学構造式。 本実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法の実験結果を示したグラフ。 本実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法の実験結果を示したグラフ。 本実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法の実験結果を示したグラフ。 第2実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法で用いる掘削泥水用泥膜形成剤を示した化学構造式。 第2実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法で用いる掘削泥水用泥膜形成剤の重量平均分子量Mwと造壁性(濾水量)との関係を示したグラフ。 第2実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法の実験結果を示したグラフ。 第2実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法の実験結果を示したグラフ。 第2実施形態に係る掘削用泥水の造壁性改善方法の実験結果を示したグラフ。
符号の説明
1、11 掘削泥水用泥膜形成剤
2 メタクリル酸ナトリウム塩(不飽和カルボン酸塩(a))
3 メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(モノエステル(b))
12 アクリル酸ナトリウム(不飽和カルボン酸塩(a))

Claims (3)

  1. 不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)のみを構成単位とする(共)重合体(x′)からなり、該(共)重合体(x′)の重量平均分子量Mwを20万〜300万とした掘削泥水用泥膜形成剤を劣化泥水に添加し、ベントナイト及びCMCを前記劣化泥水に添加しないことを特徴とする掘削用泥水の造壁性改善方法。
  2. 前記不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上である請求項1記載の掘削用泥水の造壁性改善方法。
  3. ポリアクリル酸塩、ポリメタクリル酸塩若しくはそれらの共重合体であってその重量平均分子量Mwを10000乃至14000とした掘削泥水用分散剤又は炭酸ナトリウムの少なくともいずれかを前記劣化泥水に添加する請求項1記載の掘削用泥水の造壁性改善方法。
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