JP3931953B2 - 掘削泥水用泥膜形成剤及びそれを用いた掘削用泥水 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、泥水シールド工法、地中連続壁工法といった泥水工法で使用される掘削泥水用泥膜形成剤及びそれを用いた掘削用泥水に関する。
【0002】
【従来の技術】
泥水シールド工法、地中連続壁工法といった泥水工法では、いわゆる掘削用泥水が使用されるが、かかる掘削用泥水には、切羽や溝壁を安定させるべく、良好な造壁性を有していることが基本的に要求されるとともに、スラリー輸送等の関係上、逸液が防止される範囲内で低粘性が保持されることが望ましい。また、地中連続壁工法では、耐セメント性を有していることも要求される。
【0003】
かかる機能を満たすべく、従来、ベントナイト、CMC、分散剤、ポリマー剤等を作泥材料とした掘削用泥水が広く使用されてきた。このような掘削用泥水は、ベントナイト等が泥水中で良好に分散するため、低粘性が維持されるとともに、分散されたベントナイト等が切羽や溝壁に良好なマッドケーキを形成し、かかるマッドケーキによって止水性ひいては切羽や溝壁の安定を確保することが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような掘削用泥水では、作泥材料として本来的にベントナイトやCMCあるいはポリマー剤が必須となるため、工事規模が大きくなると大量の泥水が必要となり、作泥材料もそれに見合った量だけ調達しなければならないことはもちろんのこと、工事規模に応じた作泥プラントやストックヤードを現場に設置しなければならないという問題や、ベントナイトやポリマーの溶解に手間と時間がかかるという問題を生じていた。
【0005】
また、掘削用泥水の循環使用を繰り返している間に、土砂分離装置を使っても分離できない掘削土の細粒分が掘削に伴って泥水中に徐々に残留し、泥水比重が大きくなって、ベントナイト、ポリマー等の濃度や機能が相対的に減少し、その結果、造壁性の低下を招く。
【0006】
そのため、造壁性が低下したいわゆる劣化泥水に対しては、ベントナイトやポリマーを添加して再生使用が図られるが、添加量が多くなるにつれて泥水が著しく増粘するため、劣化泥水を再生使用するにはどうしても限度があり、いずれは劣化泥水を大量に廃棄処分しなければならないとともに、上述した作泥材料を使って新しい泥水を作製し随時補充しなければならないという問題も生じていた。
【0007】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、ベントナイト、CMC、ポリマー剤といった作泥材料を要することなく、現場に存在する材料だけで掘削用泥水を作ることが可能な掘削泥水用泥膜形成剤及びそれを用いた掘削用泥水を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る掘削泥水用泥膜形成剤は請求項1に記載したように、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と、不飽和カルボン酸(b1)及び下記一般式(1)
R(OA)nOH (1)
R; 水素又は炭素数1〜12の炭化水素基
A; 炭素数2〜4のアルキレン基
n; 2〜100の整数
で表されるヒドロキシル基含有化合物(b2)のモノエステル(b)とを構成単位とする共重合体(x)を必須成分とし、該共重合体(x)を構成する前記モノエステル(b)の質量%を1〜40%とするとともに前記共重合体(x)の数平均分子量を5000〜100000とすることで、ベントナイト及びCMCを作泥材料として不要に構成したものである。
【0009】
また、本発明に係る掘削泥水用泥膜形成剤は、前記不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上であり、前記不飽和カルボン酸(b1)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される1種以上であるものである。
【0010】
また、本発明に係る掘削用泥水は請求項3に記載したように、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と、不飽和カルボン酸(b1)及び下記一般式(1)
R(OA)nOH (1)
R; 水素又は炭素数1〜12の炭化水素基
A; 炭素数2〜4のアルキレン基
n; 2〜100の整数
で表されるヒドロキシル基含有化合物(b2)のモノエステル(b)とを構成単位とする共重合体(x)を必須成分とし、該共重合体(x)を構成する前記モノエステル(b)の質量%を1〜40%とするとともに前記共重合体(x)の数平均分子量を5000〜100000とすることでベントナイト及びCMCを作泥材料として不要に構成した掘削泥水用泥膜形成剤と、掘削土とを含むものである。
【0011】
また、本発明に係る掘削用泥水は、前記不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上であり、前記不飽和カルボン酸(b1)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される1種以上であるものである。
【0018】
地中連続壁工法や泥水シールド工法といった泥水掘削工法においては、溝壁や切羽の安定を図るべく、溝壁等に濾水量の少ない良質な泥膜(マッドケーキ)を形成し、泥水圧を溝壁等に有効に作用させる必要があり、そのためには、ベントナイト、CMC、ポリマー剤といった造壁性を有する作泥材料が従来、必要不可欠であった。
【0019】
しかしながら、これらの作泥材料を使用しなければならないことに上述したような問題点があることに鑑み、本出願人らは、これらの作泥材料を使用することなく、掘削土と水だけで掘削用泥水を作製することができないかという点に着眼し、さまざまな実験を重ねた結果、本発明に係る掘削泥水用泥膜形成剤を用いれば、掘削土と水だけで溝壁や切羽での造壁性を確保してその安定性を確保することができることを見いだしたものであり、ベントナイト、CMC、ポリマー剤といった従来の作泥材料が不要になるという画期的な作用効果を奏する。
【0020】
また、泥水比重が高くなっても低粘性が維持されるので、揚泥、スラリー輸送あるいは土砂分離におけるポンプ等への負担が軽減され、掘削効率、輸送効率あるいは土砂分離効率が向上して、結局、掘削システム全体の効率が大幅に向上する。
【0021】
請求項1乃至請求項4に係る掘削泥水用泥膜形成剤の共重合体(x)を製造するにあたっては、公知の製法、例えば、溶液重合法で行えばよい。すなわち、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と、モノエステル(b)とを二種類の単量体として所定の溶剤に添加し、次いで、これを50〜150゜Cで常圧又は加圧下で重合するようにすればよい。
【0022】
溶剤としては、例えば水、イソプロピルアルコール、トルエン、エチレンジクロライド、メチルエチルケトン又はこれらの混合物を用いることができる。
【0023】
重合させるにあたっては、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)及びモノエステル(b)の合計質量に対し、0.1〜15質量%のラジカル重合開始剤を使用するとともに、連鎖移動剤を必要に応じて使用するのがよい。
【0024】
ここで、ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化物を用いることが可能であり、連鎖移動剤としては、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸、メルカプトエタノールなどの含硫黄化合物を用いることが可能である。
【0025】
なお、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)の一部又は全部が不飽和カルボン酸塩である場合には、その前駆体である不飽和カルボン酸又はその無水物や炭素数1〜4の低級アルキルエステルを重合前に予め中和してもよいし、重合後に共重合体を中和してもよい。中和剤としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物をはじめ、水酸化アンモニウム、アンモニア等を用いることができる。
【0026】
また、共重合体(x)は、必ずしも、不飽和カルボン酸(b1)とヒドロキシル基含有化合物(b2)とのモノエステル(b)を単量体として不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)との共重合に用いることに限定されるのではなく、モノエステル(b)の前駆体、すなわち、不飽和カルボン酸(b1)又はその無水物や炭素数1〜4の低級アルキルエステルを単量体として不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と共重合させ、しかる後、ヒドロキシル基含有化合物(b2)と反応させて共重合体(x)を生成するようにしてもよい。
【0027】
不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)をどのような物質で構成するかは任意であるが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から適宜選択することができる。また、不飽和カルボン酸(b1)についても任意であるが、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から適宜選択することが可能である。
【0028】
モノエステル(b)は、一般式(1)においてRは水素もしくは炭化水素基であるが良好な造壁性を確保するためには通常、水素もしくは炭素数1〜12、さらには炭素数1〜6の炭化水素基であることが好ましい。上記Rは、アルキル基(メチル基、オクチル基など)、シクロアルキル基(シクロヘキシル基など)、アリール基(フェニル基など)、アルキルアリール基(エチルフェニル基など)、アラルキル基(ベンジル基など)のいずれであってもよい。
【0029】
また、一般式(1)においてnについても、良好な造壁性を確保するために通常平均が1〜100、さらには平均が2〜90となる整数が好ましい。
【0030】
(b2)としては、炭素数2〜4の脂肪族2価アルコール、またはROHで表される炭素数1〜12の脂肪族アルコール、フェノール類または芳香脂肪族アルコールに、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを付加して得られるものが好ましい。
【0031】
炭素数2〜4の脂肪族2価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
【0032】
炭素数1〜12脂肪族アルコールとしては、天然アルコールでも合成アルコール(チーグラーアルコール、オキソアルコールなど)でもよい。具体例としては、メチルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコールなどの直鎖もしくは分岐の飽和脂肪族アルコール、シクロヘキシルアルコール、エチルシクロヘキシルアルコールなどの環状脂肪族アルコールが挙げられる。
【0033】
フェノール類としては、フェノール、エチルフェノールなどが挙げられる。芳香脂肪族アルコールとしては、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
【0034】
上記の炭素数2〜4のアルキレンオキシドとしてはエチレンオキサイド(以下、EOと略記)単独;EOと他のアルキレンオキサイド[プロピレンオキサイド(以下、POと略記)、1,2−ブチレンキサイド、テトラヒドロフラン、アルキレンオキサイド置換体(エピクロロヒドリン)等]の併用;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。例示したもののうち特に好ましいものは、EOおよびEO/POの併用である。EOとともに他のアルキレンオキサイドを用いる場合の付加様式は、ランダム付加でもブロック付加でもよく、特に限定はされるものではない。
【0035】
共重合体(x)を構成するモノエステル(b)の質量割合や共重合体(x)の数平均分子量については任意であるが、かかる共重合体(x)を構成する前記モノエステル(b)の質量%が1〜40%であり、かつ前記共重合体(x)の数平均分子量が5000〜100000である場合には、高い造壁性と低粘性を得ることが可能となる。
【0036】
なお、共重合体(x)は、(a)、(b)以外にも他の単量体(c)を構成単位とすることができる。(c)としては、共重合できるものであれば特に限定されないが、例えば次の(c1)〜(c5)が挙げられる。
【0037】
(c1) アミド基含有エチレン性不飽和単量体:(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなど
【0038】
(c2) (メタ)アクリル酸アルキルエステル類(アルキル基の炭素数が1〜12):メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなど
【0039】
(c3) ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和単量体:ヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)(メタ)アクリレート〔例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど〕
【0040】
(c4) (b)以外のポリアルキレングリコール鎖を有するエチレン性不飽和単量体:ポリエチレングリコール(数平均分子量120〜600)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(数平均分子量150〜450)モノ(メタ)アクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド1〜4モル付加物(メタ)アクリレートなど
【0041】
(c5) 4級アンモニウム基含有エチレン性不飽和単量体:(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなど
【0042】
これらの(c1)〜(c5)のうち好ましいものは、(c2)〜(c4)である。
【0043】
また、共重合体(X)を構成する他の単量体(c)単位の質量%は通常30%以下、好ましくは20%以下である。
【0044】
以下に参考例に係る発明を列挙する。
(参考例1)
不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)を主構成単位とする(共)重合体(x′)からなり、該(共)重合体(x′)の重量平均分子量Mwを20万〜300万とすることでベントナイト及びCMCを作泥材料として不要に構成したことを特徴とする掘削泥水用泥膜形成剤。
(参考例2)
前記不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上である参考例1記載の掘削泥水用泥膜形成剤。
(参考例3)
不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)を主構成単位とする(共)重合体(x′)からなり、該(共)重合体(x′)の重量平均分子量Mwを20万〜300万とすることでベントナイト及びCMCを作泥材料として不要に構成した掘削泥水用泥膜形成剤と掘削土とを含むことを特徴とする掘削用泥水。
(参考例4)
前記不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上である参考例3記載の掘削用泥水。
上述した参考例に係る掘削泥水用泥膜形成剤の(共)重合体(x′)を製造するにあたっても重合体(x)と同様、公知の製法、例えば、溶液重合法で行えばよい。すなわち、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)を単量体として所定の溶剤に添加し、次いで、これを50〜150゜Cで常圧又は加圧下で重合し、又は、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と他の単量体とを所定の溶剤に添加し、次いで、これを50〜150゜Cで常圧又は加圧下で共重合すればよい。すなわち、本発明に係る(共)重合体(x′)は、単一重合体及び共重合体の2つの概念を包摂するものである。但し、単一重合体で構成する方が望ましい。
【0045】
溶剤の種類、単一重合又は共重合の方法、ラジカル重合開始剤及び中和プロセスに関しては、本発明に係る掘削泥水用泥膜形成剤と同様であるのでここではその説明を省略する。
【0046】
不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)をどのような物質で構成するかは任意であるが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から適宜選択することができる。ここで、アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩等が含まれる。
【0047】
なお、(共)重合体(x′)は、上述したように(a)だけを単量体とした単一重合体でもよいし、(a)を主構成単位(70質量%以上)とし、(a)以外の他の単量体、例えば本発明の単量体であるモノエステル(b)をはじめ、他の単量体(c)を構成単位とした共重合体とすることもできる。(c)としては、共重合できるものであれば特に限定されないが、例えば前記の(c1)〜(c5)が挙げられる。
【0048】
(c1)〜(c5)のうち好ましいものは、(c2)〜(c4)である。
【0049】
また、(共)重合体(x′)を構成する他の単量体(b)単位の質量%は通常1%未満、好ましくは0.9%以下であり、(c)単位の質量%は通常30%以下、好ましくは20%以下である。
【0050】
なお、参考例に係る掘削泥水用泥膜形成剤は、本発明に係る掘削泥水用泥膜形成剤と任意の割合(例えば質量比が99:1〜1:99)で併用することが可能である。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る掘削泥水用泥膜形成剤及びそれを用いた掘削用泥水の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
(第1実施形態)
【0053】
本実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤は、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と、不飽和カルボン酸(b1)及び下記一般式(1)
R(OA)nOH (1)
R; 水素又は炭素数1〜12の炭化水素基
A; 炭素数2〜4のアルキレン基
n; 1〜100の整数
で表されるヒドロキシル基含有化合物(b2)のモノエステル(b)とを構成単位とする共重合体(x)で構成してある。
【0054】
ここで、共重合体(x)に対するモノエステル(b)の質量割合は、1%〜40%とするのがよい。これは、共重合体(x)に対するモノエステル(b)の質量%が1%を下回ると、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量に関係なく造壁性が低下し、40%を超えると、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量が低い場合に凝集が発生して造壁性が低下する可能性があるからである。
【0055】
また、共重合体(x)の数平均分子量は、5000〜100000とするのがよい。これは、数平均分子量が5000を下回ると、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量に関係なく造壁性が低下し、100000を超えると、掘削泥水用泥膜形成剤の添加量が低い場合に凝集が発生して造壁性が低下する可能性があるからである。
【0056】
なお、数平均分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定するものとする。
【0057】
図1は、本実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤の一例を示した化学構造式(化学式)であり、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)をメタクリル酸ナトリウム塩2で、モノエステル(b)をメトキシポリエチレングリコールメタクリレート3で構成してなる掘削泥水用泥膜形成剤1を示してある。
【0058】
本実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤1を用いて本実施形態の掘削用泥水を作製するには、該泥膜形成剤を掘削土とともに水に混入する。
【0059】
掘削土としては、粘土やシルトを主成分とする75μm以下の細粒分、特に粘土を主成分とする10μm以下の細粒分を用いることにより、造壁性により優れた掘削用泥水を作製することができる。
【0060】
かかる細粒分を含んだ水としては、具体的にはシールド工法や地中連続壁工法といった泥水工法の土砂分離工程で使用されるデカンタ等の遠心分離機のオーバー泥水や廃棄泥水を必要に応じて比重調整して使用することができる。なお、かかる泥水は、工事開始時には他現場から調達し、工事開始後は、該工事現場で発生するデカンタ等の遠心分離機のオーバー泥水を利用するようにするのがよい。
【0061】
このようにして作製された本実施形態の掘削用泥水をシールド工法や地中連続壁工法の安定液として使用すると、掘削泥水用泥膜形成剤1は、従来のベントナイト等に代わって、例えば粘土を主成分とする10μm以下の細粒分とともに泥水中に分散するとともに、ろ水量(透水係数)の小さな良質のマッドケーキを切羽や溝壁に形成し、溝壁等を安定させる。
【0062】
以上述べたように、本実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤及びそれを用いた掘削用泥水によれば、掘削泥水用泥膜形成剤1及び泥水中の細粒分が泥水中で分散して低粘性を維持するとともに、切羽や溝壁の内面に良質のマッドケーキを形成し、該溝壁等を安定させるので、従来不可欠とされていたベントナイト、CMC、ポリマー剤等の作泥材料を用いずとも、掘削泥水用泥膜形成剤1と掘削土の細粒分さえあれば、分散性はもちろん、特に造壁性に優れた掘削用泥水を作製することができる。
【0063】
したがって、掘削土を作泥材料として有効利用することが可能となる。また、ベントナイト等では攪拌混合のための混練ミキサが必要であったのに対し、水溶液として使用可能な掘削泥水用泥膜形成剤1では混練ミキサが不要になり、上述した掘削土自体が作泥材料となることと相まって、作泥材料の貯留や攪拌を行うためのプラントやストックヤードを大幅に縮小ないしは省略することが可能となるとともに、作泥時間の大幅短縮を図ることも可能となる。
【0064】
また、泥水比重が高くなっても低粘性が維持されるので、揚泥、スラリー輸送あるいは土砂分離におけるポンプ等への負担が軽減され、掘削効率、輸送効率あるいは土砂分離効率が向上する。
【0065】
すなわち、掘削作業に伴って掘削土が泥水中に混入してくると、従来においては、泥水比重の上昇とともに粘性も増加し、かかる粘性増加が揚泥ポンプやスラリーポンプへの負荷を大きくし、あるいは輸送管内での摩擦を高めることになるため、掘削速度を抑えざるを得なかった。
【0066】
しかしながら、本実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤1を用いた掘削用泥水によれば、泥水比重が高くなっても低粘性が維持されるので、掘削速度を高く設定することができるとともに、細粒分の比重が高い泥水をデカンタ等の遠心分離機に打ち込むことができるので、デカンタ等の遠心分離機での土砂分離効率も高くなる。かくして、本実施形態に係る掘削用泥水によれば、シールド工法にしろ地中連続壁工法にしろ、全体の掘削効率を大幅に向上させることが可能となる。なお、地中連続壁工法では、コンクリート打設の際だけ必要に応じて低比重の泥水に置換するようにすれば、掘削中の泥水比重が増加してもコンクリートとの置換作業には何らの支障も生じない。
【0067】
本実施形態では、顕著な作用効果を実験によって確認できたため、共重合体(x)を構成するモノエステル(b)の質量%を1〜40%、共重合体(x)の数平均分子量を5000〜100000としたが、本発明に係る掘削泥水用泥膜形成剤は、かかる範囲に限定されるものではなく、実施形態で述べた範囲外についても、一定の作用効果を得ることは可能である。
【0068】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本実施形態をさらに具体的に説明する。なお、特記なき限り、部及び%はそれぞれ質量部及び質量%を示すものとする。
【0069】
まず、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)としては、メタクリル酸ナトリウム(以下、a-1)とアクリル酸ナトリウム(以下、a-2)の二種類を実験に用いた。また、不飽和カルボン酸エステル(b)としては、10種類の不飽和カルボン酸エステルを使用し、これら10種類の不飽和カルボン酸エステル(以下、b-1〜b-10)を構成する不飽和カルボン酸(b1)とヒドロキシル基含有化合物(b2)との組成を表1に示す。表中、EO、POはそれぞれエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドであることを示す。
【0070】
【表1】
Figure 0003931953
【0071】
次に、上述したメタクリル酸ナトリウム(a-1)及びアクリル酸ナトリウム(a-2)と、10種類の不飽和カルボン酸エステル(b-1〜b-10)とを組み合わせて共重合体(x)(以下、実施例1〜16)を作製したときの組成比率、モノエステルの含有割合(%)及び数平均分子量を表2に示す。なお、数平均分子量の測定条件を以下に示す。
【0072】
測定機器;Waters社製 GPCシステム
(ポンプ;model510,検出器;waters410)
溶離液 ;種類 水/メタノール(70/30)+CH3COONa(0.5%)
流速 1.0(ml/min)
カラム ;TSKgel G3000PWXL + TSKgel G5000PWXL 7.8ml I.D×30 cm
【0073】
【表2】
Figure 0003931953
【0074】
上述した実施例1〜16の共重合体(x)を製造するにあたっては、まず、反応容器に、水363部、イソプロピルアルコール196部を仕込み、窒素置換した後、80゜Cまで昇温し、攪拌下、メタクリル酸151部(1.757モル)、メトキシポリエチレングリコール(エチレンオキサイド付加モル数28)メタクリレート48部(0.036モル)を混合したものと、過硫酸ナトリウム5%水溶液39.8部(過硫酸ナトリウム0.008モル)を同時に3時間かけて滴下し反応させた。さらに、同温度で2時間熟成した後、イソプロピルアルコールを蒸留により除き、水酸化ナトリウム48%水溶液146部(水酸化ナトリウム1.757モル)で中和した後、固形分30%になる量の水を加えて数平均分子量42800の共重合体(実施例1)を得た。さらに、表2に示した構成単位となるように単量体組成を代え、実施例1と同様にして実施例2〜16を得た。
【0075】
このようにして製造した実施例1〜16の共重合体(x)からなる掘削泥水用泥膜形成剤を泥水に添加して掘削用泥水とし、その造壁性及び泥水粘度を調べた(表3)。
【0076】
ここで、掘削泥水用泥膜形成剤を添加する前の泥水については、細粒分75μm以下、比重が1.05となるように濃度調整して作製した。ちなみに、そのときの粘度は11.1 mPa・sであった。泥水粘度はB型粘度計にて測定した。
【0077】
また、同表における造壁性は、API規格でいうところの指標とは若干異なり、濾水プロセスを促進させて実験時間を短縮させるべく、濾紙の下側を減圧状態とした場合の濾水量として計測したものであり、5ml以下が良好な造壁性の目安とされる。なお、従来技術と比較すべく、CMCを用いた場合を比較例1として併せて示した。
【0078】
【表3】
Figure 0003931953
【0079】
同表でわかるように、実施例1〜6、11〜16は、添加量にかかわらず、造壁性が5ml以下といずれも良好であるとともに、泥水粘度についても低粘性を維持している、言い換えれば良好な分散性が維持されているのに対し、実施例7〜10では、添加量が少ないときに造壁性が低下していることがわかる。
【0080】
ちなみに、CMCを使った比較例1では、造壁性は確保できるものの、粘度が高くなってしまうという問題点を裏付ける結果となった。
【0081】
(第2実施形態)
【0082】
次に、第2実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤及びそれを用いた掘削用泥水について説明する。なお、第1実施形態と実質的に同一の物質等については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
本実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤は、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)を主構成単位とする(共)重合体(x′)としての単一重合体からなり、該単一重合体の重量平均分子量Mwを20万〜300万としてある。
【0084】
ここで、重量平均分子量Mwは、第1実施形態における数平均分子量と同様の測定条件でゲルパーミエーションクロマトグラフにより測定したものである。
【0085】
但し、カラムは下記のものを用いる。
カラム ;TSKgel α-3000 + TSKgel α-6000
【0086】
なお、標準物質は、ポリオキシエチレングリコール(東ソー株式会社製;TSK STANDARD POLYETHYLENE OXIDE)とし、第1実施形態でも同じものを標準物質とした。
【0087】
ここで、単一重合体の重量平均分子量Mwを20万〜300万としたのは、重量平均分子量Mwが20万を下回ると、造壁性の指標である濾水量が5mlをやや上回り、300万を超えると、濾水量が5mlを大幅に上回るからである。
【0088】
なお、濾水量は、API規格でいうところの指標とは若干異なり、濾水プロセスを促進させて実験時間を短縮させるべく、濾紙の下側を減圧状態にして計測したものであり、5ml以下が良好な造壁性の目安とされる。
【0089】
図2は、本実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤の一例を示した化学構造式(化学式)であり、不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)をアクリル酸ナトリウム塩12で構成してなる掘削泥水用泥膜形成剤11を示してある。
【0090】
表4は、重量平均分子量Mwを変化させたときの掘削泥水用泥膜形成剤11の造壁性(ml)、粘度(濃度;25質量%)及び泥水と混合したときの泥水粘度(mPa・s)を示したものである。
【0091】
ここで、掘削泥水用泥膜形成剤11を添加する前の泥水については、細粒分75μm以下、比重が1.05となるように濃度調整して作製した。ちなみに、そのときの粘度は1.7 mPa・sであった。泥水粘度はB型粘度計にて測定した。また、泥水への添加量はすべて5kg/m3とした。
【0092】
【表4】
Figure 0003931953
【0093】
同表中、ブランクと記したものは、泥水のみのケース、実施例1′乃至実施例9′と記したものは、掘削泥水用泥膜形成剤11のうち、造壁性の指標である濾水量が5ml以下になったケース、比較例1′乃至比較例3′と記したものは、掘削泥水用泥膜形成剤11のうち、濾水量が5mlを上回ったケースである。なお、従来技術と比較すべく、CMCを用いた場合を比較例4′として併せて示した。
【0094】
また、図3は、これらの結果を横軸(対数軸)に重量平均分子量Mwを、縦軸に造壁性(ml)をとってプロットしたグラフであり、黒丸で表示したものは、比較例1′,2′に相当し、白丸で表示したものは、実施例1′乃至9′に相当する。比較例3′は、造壁性が著しく悪いため、同グラフにはプロットしていない。
【0095】
これらの図表でわかるように、造壁性の指標である濾水量が5ml以下になった実施例1′乃至実施例9′の重量平均分子量Mwは、20万乃至300万の範囲に入っており、比較例1′乃至比較例3′は、該濾水量を上回っていることがわかる。また、比較例4′は、濾水量はクリアしていても、泥水粘度が実施例1′乃至実施例9′よりもはるかに高く、掘削用泥水としては粘性が高すぎることがわかる。
【0096】
重量平均分子量Mwの下限値及び上限値は、実験で得られた結果を図3のごとくプロットし、次いでこれらの結果を近似する曲線を作成し、該曲線と濾水量が5mlであるラインとの交点としてそれぞれ20万、300万と定めたが、実験誤差等を勘案した経験的な安全率を見込んだ上での重量平均分子量Mwの範囲は、50万乃至250万とするのが望ましい。
【0097】
一方、泥膜形成剤11は、濃度が20乃至30質量%のものを泥水に添加して使用するのが好ましいが、かかる濃度範囲では、重量平均分子量Mwが100万を超えると、水飴程度の高粘度(100万mPa・s)となり、泥水に添加するにあたって必ずしも作業性に優れるとは言い難い。
【0098】
したがって、かかる添加作業性の観点で掘削泥水用泥膜形成剤11の重量平均分子量Mwを50万乃至100万とするのが望ましい。さらには、濾水量上限を余裕をもってクリアするとともに泥水への添加作業を確実に高めるべく、掘削泥水用泥膜形成剤11の重量平均分子量Mwを60万乃至80万とするのが最適である。
【0099】
なお、掘削泥水用泥膜形成剤11の製造プロセスを上述した実施例1′の場合について具体的に説明すると、まず、反応容器に水440.7部を仕込み、窒素置換した後、80℃迄昇温し、撹拌下、アクリル酸238.5部と、過硫酸ナトリウム2.0%水溶液100部を同時に3時間かけて滴下し反応した。さらに同温度で2時間熟成した後、イソプロピルアルコールを蒸留により除き、水酸化ナトリウム48%水溶液220.8部で中和した。
【0100】
本実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤11を用いて本実施形態の掘削用泥水を作製するには、該泥膜形成剤を掘削土とともに水に混入する。
【0101】
掘削土としては、粘土やシルトを主成分とする75μm以下の細粒分、特に粘土を主成分とする10μm以下の細粒分を用いることにより、造壁性により優れた掘削用泥水を作製することができる。
【0102】
以下、掘削用泥水の作製方法及びその際の留意事項については、第1実施形態と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0103】
このようにして作製された本実施形態の掘削用泥水をシールド工法や地中連続壁工法の安定液として使用すると、掘削泥水用泥膜形成剤11は、従来のベントナイト等に代わって、例えば粘土を主成分とする10μm以下の細粒分とともに泥水中に分散するとともに、ろ水量(透水係数)の小さな良質のマッドケーキを切羽や溝壁に形成し、溝壁等を安定させる。
【0104】
以上述べたように、本実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤及びそれを用いた掘削用泥水によれば、掘削泥水用泥膜形成剤11及び泥水中の細粒分が泥水中で分散して低粘性を維持するとともに、切羽や溝壁の内面に良質のマッドケーキを形成し、該溝壁等を安定させるので、従来不可欠とされていたベントナイト、CMC、ポリマー剤等の作泥材料を用いずとも、掘削泥水用泥膜形成剤11と掘削土の細粒分さえあれば、分散性はもちろん、特に造壁性に優れた掘削用泥水を作製することができる。
【0105】
したがって、掘削土を作泥材料として有効利用することが可能となる。また、ベントナイト等では攪拌混合のための混練ミキサが必要であったのに対し、水溶液として使用可能な掘削泥水用泥膜形成剤11では混練ミキサが不要になり、上述した掘削土自体が作泥材料となることと相まって、作泥材料の貯留や攪拌を行うためのプラントやストックヤードを大幅に縮小ないしは省略することが可能となるとともに、作泥時間の大幅短縮を図ることも可能となる。
【0106】
また、泥水比重が高くなっても低粘性が維持されるので、揚泥、スラリー輸送あるいは土砂分離におけるポンプ等への負担が軽減され、掘削効率、輸送効率あるいは土砂分離効率が向上する。
【0107】
すなわち、掘削作業に伴って掘削土が泥水中に混入してくると、従来においては、泥水比重の上昇とともに粘性も増加し、かかる粘性増加が揚泥ポンプやスラリーポンプへの負荷を大きくし、あるいは輸送管内での摩擦を高めることになるため、掘削速度を抑えざるを得なかった。
【0108】
しかしながら、本実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤11を用いた掘削用泥水によれば、泥水比重が高くなっても低粘性が維持されるので、掘削速度を高く設定することができるとともに、細粒分の比重が高い泥水をデカンタ等の遠心分離機に打ち込むことができるので、デカンタ等の遠心分離機での土砂分離効率も高くなる。かくして、本実施形態に係る掘削用泥水によれば、シールド工法にしろ地中連続壁工法にしろ、全体の掘削効率を大幅に向上させることが可能となる。なお、地中連続壁工法では、コンクリート打設の際だけ必要に応じて低比重の泥水に置換するようにすれば、掘削中の泥水比重が増加してもコンクリートとの置換作業には何らの支障も生じない。
【0109】
本実施形態では特に言及しなかったが、掘削泥水用泥膜形成剤11は、第1実施形態の掘削泥水用泥膜形成剤1と任意の割合(例えば質量比が99:1〜1:99)で併用することが可能である。
【0110】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る掘削泥水用泥膜形成剤及びそれを用いた掘削用泥水によれば、掘削泥水用泥膜形成剤及び泥水中の細粒分が切羽や溝壁の内面に良質のマッドケーキを形成し、該溝壁等を安定させるので、従来不可欠とされていたベントナイト、CMC、ポリマー剤等の作泥材料を用いずとも、掘削泥水用泥膜形成剤と掘削土の細粒分さえあれば、泥水工法に必要な造壁性を有する泥水を作製することができる。
【0111】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤を示した化学構造式。
【図2】第2実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤を示した化学構造式。
【図3】第2実施形態に係る掘削泥水用泥膜形成剤の重量平均分子量Mwと濾水量との関係を示したグラフ。
【符号の説明】
1 掘削泥水用泥膜形成剤
2 メタクリル酸ナトリウム塩(不飽和カルボン酸塩(a))
3 メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(モノエステル(b))
11 掘削泥水用泥膜形成剤
12 アクリル酸ナトリウム塩(不飽和カルボン酸塩(a))

Claims (4)

  1. 不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と、不飽和カルボン酸(b1)及び下記一般式(1)
    R(OA)nOH (1)
    R; 水素又は炭素数1〜12の炭化水素基
    A; 炭素数2〜4のアルキレン基
    n; 2〜100の整数
    で表されるヒドロキシル基含有化合物(b2)のモノエステル(b)とを構成単位とする共重合体(x)を必須成分とし、該共重合体(x)を構成する前記モノエステル(b)の質量%を1〜40%とするとともに前記共重合体(x)の数平均分子量を5000〜100000とすることで、ベントナイト及びCMCを作泥材料として不要に構成したことを特徴とする掘削泥水用泥膜形成剤。
  2. 前記不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上であり、前記不飽和カルボン酸(b1)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される1種以上である請求項1記載の掘削泥水用泥膜形成剤。
  3. 不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)と、不飽和カルボン酸(b1)及び下記一般式(1)
    R(OA)nOH (1)
    R; 水素又は炭素数1〜12の炭化水素基
    A; 炭素数2〜4のアルキレン基
    n; 2〜100の整数
    で表されるヒドロキシル基含有化合物(b2)のモノエステル(b)とを構成単位とする共重合体(x)を必須成分とし、該共重合体(x)を構成する前記モノエステル(b)の質量%を1〜40%とするとともに前記共重合体(x)の数平均分子量を5000〜100000とすることでベントナイト及びCMCを作泥材料として不要に構成した掘削泥水用泥膜形成剤と、掘削土とを含むことを特徴とする掘削用泥水。
  4. 前記不飽和カルボン酸及び/又はその塩(a)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸並びにこれらのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される1種以上であり、前記不飽和カルボン酸(b1)が、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びフマル酸からなる群から選択される1種以上である請求項3記載の掘削用泥水。
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