JP4387075B2 - 回路遮断器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路遮断器の取り替え可能な開閉接触部を有する接触子構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の回路遮断器の一例が図7ないし図9に示されている。この回路遮断器は、いずれか一方が入力側で他方が出力側の端子51と端子52、軸53によって回転自在に保持される接触子ホルダー54、接触子ホルダー54に軸55によってそれぞれ独立して回転自在に保持される可動側アーキング接触子56と一対の可動側主接触子57、可動側アーキング接触子56及び可動側主接触子57と端子52を接続する可撓導体58、端子51に取り付けられた固定側アーキング接触子59、可動側アーキング接触子56に取り付けられた可動アーキング台金63を有する。この主回路導電部の端子51、可動側主接触子57、固定側アーキング接触子59及び可動アーキング台金63にはそれぞれ主接点60,主接点61、アーキング接点62、アーキング接点64が直接ロー付けされている。可動側アーキング接触子56及び可動側主接触子57は接触子ホルダー54にピンを介して設けられた接触子ばね65によって時計方向に付勢されており、主接点60と主接点61が接触している。図示されていないが可動アーキング接触子56も主接点61を備えており、閉路状態において可動側主接触子57の主接点61と同じように主接点60と接触している。ただし、アーキング接点62とアーキング接点64は閉路状態において開離する構造となっている。
【0003】
この回路遮断器の開閉機構は本願発明の主要部に関係しないため、その詳細の構造及び動作の説明は省略するが、図7に示されている閉路状態において開路操作を行うと開閉機構66が動作して軸67を中心としてレバー68が所定の角度だけ時計方向に回転する。この回転によりリンク部材69を介して接触子ホルダー54が反時計方向に回転し、まずアーキング接点62とアーキング接点64が接触し、次に主接点60と主接点61が開離し、次にアーキング接点62とアーキング接点64も開離して開路状態となる。一方、閉路操作を行うとレバー68が反時計方向に回転しリンク部材69を介して接触子ホルダー54が時計方向に回転し、まずアーキング接点62とアーキング接点64が接触し、次に主接点60と主接点61も接触し、その後図7に示されているようにアーキング接点62とアーキング接点64だけが開離する構造となっている。
【0004】
このようにアーキング接点62とアーキング接点64は、開路操作において主接点60及び主接点61よりも遅れて開離するためそれらの間にアークが発生し損傷を被るようになっている。したがって、多数回の開閉によって損傷が大きくなったとき取換えできるように、固定側アーキング接触子59及び可動アーキング台金63はねじによって端子51及び可動側アーキング接触子56に取り付けられている。すなわち、図9を参照して、可動アーキング台金63は、表側にロー付けされたアーキング接点64を有し裏側にスタッド状に取り付けられたおねじ70を有し、このおねじ70を貫通孔56aに挿入してナットで可動側アーキング接触子56に取り付けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような従来の回路遮断器にあっては、主回路導電部である可動側アーキング接触子56及び可動側主接触子57は、大きな電流を通電できるように断面積が比較的大きな分厚い形状のものであった。しかし、同じ外形寸法でもさらに大きな電流を通電できる回路遮断器が望まれるようになってきており、可動側の接触子として薄い板材のものを数多く並列に配置する構造のものが一般的となってきた。すなわち、このような構造にすることによって固定側接触子の接点に対する可動側接触子の接点数が増えて接触抵抗が小さくなるほか、放熱効果もよいため通電容量をより大きくできる。また、鍛造加工や切削加工などの特殊な加工を必要としていた分厚い形状の従来の部品の代わりに、プレス加工で製造できる板状の部品を使用できるため安いコストで製造できるようになった。
【0006】
しかし、可動アーキング台金63のおねじ70は開閉操作において接点の接触の際に生じる機械的衝撃に耐えられるように所定の直径のものが必要であり、おねじ70を挿入する貫通孔56aを形成するため可動側アーキング接触子56の厚みを薄くできないという問題があった。
【0007】
したがって、本発明は、開閉アークによって消耗した接触子部材を簡単に取り替えることができる可動側接触子を板金加工で製造できる部材で構成することによって、通電性能が優れ、製造が簡単で安価な回路遮断器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、請求項1の発明は、固定側接触子と、回転自在に設けられた可動側接触子と、表面に固定側接触子との開閉接触部を有し裏面に取付脚を備え可動接触子に着脱自在に装着される接触子片を備えた回路遮断器において、接触子片の取付脚と可動側接触子は該可動側接触子の回転方向と直交する方向に配置されるねじによって一体化されることとしている。このような構成により、可動側接触子の厚みは取付用のねじの直径に関係がなくなり、より薄い材料のものでもよい。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の回路遮断器において、取付脚を挟むように可動側接触子を配置することとしているため、複数の可動側接触子でより強固に接触子片を保持できる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の回路遮断器において、可動側接触子は可動側アーク接触子であって該可動側アーク接触子と併設される可動側主接触子を有し、取付脚の厚みは可動側主接触子の厚みより厚いこととしているため、複数の可動側アーク接触子の間に可動側主接触子を配置できるとともに、電流を遮断するときアークが発生するように設けられるため損傷が生じるアーク接触子の開閉接触部が容易に取換えできる。
【0011】
請求項4の発明は、固定側接触子と、回転自在に設けられた可動側接触子と、表面に固定側接触子との開閉接触部を有し裏面に取付脚を備え可動接触子に着脱自在に装着される接触子片を備えた回路遮断器において、取付脚はねじ部材であって該ねじ部材の両側に可動側接触子が平行するように配置され、ねじ部材によって接触子片の裏面を可動側接触子に押し付けるように該接触子片が装着されることとしている。このような構成により、可動側接触子の厚みは取付用のねじの直径に関係がなくなり、より薄い材料のものでもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1ないし図6に示される実施例において説明する。図1、図2及び図3に示されている実施例の回路遮断器は、成型絶縁物製のケース1内に構成されている開閉接触子部材と、ケース1の外に構成されている開閉機構と、ケース1から突き出るように装着されたいずれかが入力側で他方が出力側の端子2及び端子3を有している。
【0013】
開閉接触子部材は、端子2と接続されている固定側主接触子4、固定側主接触子4に着脱自在に設けられた固定側アーク接触子5、ケース1に固定されているフレーム6、ホルダー軸7によってフレーム6に回転自在に設けられた成型絶縁物製の接触子ホルダー8、コンタクト軸9によって互いに独立して回転できるように接触子ホルダー8に設けられた可動側主接触子10及び可動側アーク接触子11、可動側アーク接触子11に着脱自在に設けられた可動側アーク接触子片12、可動側主接触子10及び可動側アーク接触子11のそれぞれと端子3を接続する可撓リード13並びに可動側主接触子10及び可動側アーク接触子11を回転付勢するばね14を有している。上述した固定側主接触子4には接点15がロー付けされており、可動側主接触子10とともに可動側アーク接触子11にも接点16がロー付けされている。また、可動側アーク接触子片12の平面状の開閉接触部12aと確実に接触できるように固定側アーク接触子5には円弧状の開閉接触部5aが形成されている。さらに、このケース1には電流を遮断したとき発生するアークを消滅させる着脱自在の消弧装置17が収納されており、ケース1の上部には着脱自在のカバー1aが設けられている。なお、図2において可撓リード13の図示は省略されている。
【0014】
上述の可動側主接触子10及び可動側アーク接触子11はプレス加工が可能な程度の厚みの銅板製で、コンタクト軸9上には前述した可動側主接触子10が複数(本実施例の場合13個)設けられており、中央部には一対の可動側アーク接触子11が配置されている。前述した可撓リード13及びばね14は個々の可動側主接触子10及び可動側アーク接触子11に対して独立して設けられており、全ての可動側主接触子10はそれぞれ独立して回転する。また、一対の可動側アーク接触子11は、先端において可動側アーク接触子片12によって連結されているため一体となって回転するが全ての可動側主接触子10とは独立して回転する。可動側アーク接触子片12の開閉接触部12aの裏側には取付用の貫通孔を有する板状の取付脚12bが一体的に形成されており、一対の可動側アーク接触子11は取付脚12bを挟むように配置されるとともに可動側アーク接触子片12を取り付けるための貫通孔が形成されている。そして、双方の貫通孔にねじ18を挿通してナット19で可動側アーク接触子片12が可動側アーク接触子11に装着される。なお、可動側アーク接触子片12の取付脚12bは可動側主接触子10の厚みよりやや厚く形成されているため、一対の可動側アーク接触子11の間に1個の可動側主接触子10を装着し効率のよい配置構成としている。
【0015】
この実施例の回路遮断器は、図1に示されている閉路状態において、固定側アーク接触子5の円弧状の開閉接触部5aと可動側アーク接触子片12の開閉接触部12aが開離し、固定側主接触子4の接点15と可動側主接触子10の接点16が接触している。開路操作が行われると開閉機構20のクロスバー21がレバー22と共に反時計方向に回転し、一端において連結軸23によってレバー22と連結され他端においてコンタクト軸9によって接触子ホルダー8と連結されるリンク24を介して、接触子ホルダー8が可動側主接触子10及び可動側アーク接触子11と共に反時計方向に回転する。
【0016】
この回転による動作を、図3を参照して説明する。なお、図3では可動側主接触子10の図示が省略されているが、可動側アーク接触子片12に関する部分を除いて図3に関する以下の説明において、「可動側アーク接触子11」は「可動側主接触子10」をも意味する。接触子ホルダー8の反時計方向の回転により、コンタクト軸9が左方向へ変位するため可動側アーク接触子11は、ばね14の作用により接触子ホルダー8上でストッパ25に接するまで時計方向に回転する。そして、図3(a)の閉路状態から、まず図3(b)に示されているごとく、固定側アーク接触子5の円弧状の開閉接触部5aと可動側アーク接触子片12の開閉接触部12aが接触し、続いて図3(c)に示されているごとく、接点16が接点15から開離する。さらに、図3(d)に示されているごとく、開閉接触部12aが円弧状の開閉接触部5aから開離し、アークは固定側アーク接触子5と可動側アーク接触子片12との間において発生する構造となっている。なお、閉路操作が行われると、開路操作とは逆にクロスバー21が時計方向に回転して接触子ホルダー8が時計方向に回転し、まず可動側アーク接触子片12が固定側アーク接触子5と接触して、続いて接点16が接点15と接触したのち可動側アーク接触子片12が固定側アーク接触子5から開離する。
【0017】
このように、開路操作においてアークが発生する固定側アーク接触子5や可動側アーク接触子片12を取り替えるときはケース1のカバー1aを取り外して消弧装置17を取出し、固定側アーク接触子5はねじ32を緩めて取り外し可動側アーク接触子片12はねじ18を緩めて取り外して、新品と交換できる。
【0018】
以上説明した実施例では、一対の可動側アーク接触子11の間に挟まれるように取付脚12bを配置し、ねじ18とナット19によって可動側アーク接触子片12を可動側アーク接触子11に取り付けるようにしている。他の実施例としては、図4(a)に示されているごとく可動側アーク接触子片12’の一対の取付脚12’bの間に1個の可動側アーク接触子11を挟むようにして取り付けたものや、図4(b)に示されているごとく一対の取付脚12’bの間に1個の可動側アーク接触子11を挟み、さらに取付脚12’bの外側に可動側アーク接触子11を配置してこれらを諸にねじで締め付けたものや、図4(c)に示されているごとく可動側アーク接触子片12”の一つの取付脚12”bに1個の可動側アーク接触子11を取り付けたものでもよい。また、図4(d)に示されているごとくナット19の代わりにめねじ26を可動側アーク接触子片の取付脚又は可動側アーク接触子に形成してもよい。
【0019】
さらに、他の実施例として図5に示されているように可動側アーク接触子片12の代わりに裏面におねじ27を装着した可動側アーク接触子片28を用いて、おねじ27の両側に可動側アーク接触子11を配置し可動側アーク接触子11を両側から抱え込むようにコ字状に曲げられワッシャ29を介して可動側アーク接触子11を可動側アーク接触子片28の裏面に接触させて取り付けるようにしたものでもよい。この場合もおねじ27の直径が可動側主接触子10の厚みよりやや大きいものを使用すれば一対の可動側アーク接触子11の間に可動側主接触子10を配置できる。
【0020】
さらに、図5の変形した実施例として図6に示されているように、一対の可動側アーク接触子11の代わりに図6(b)に示されているごとく逆U字状に曲げられた可動側アーク接触子30や、図6(c)に示されているごとくリング状の屈曲部を有する可動側アーク接触子31の、いずれも屈曲部におねじ27を挿入してナットによって可動側アーク接触子片28の裏面と可動側アーク接触子30又は可動側アーク接触子31とを接触させて取り付けるようにしたものでもよい。
【0021】
上記に、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまでも例示であって、本発明の範囲は上記の発明の実施の形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
【0022】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した形態で実施され、固定側接触子と、回転自在に設けられた可動側接触子と、表面に固定側接触子との開閉接触部を有し裏面に取付脚を備え可動接触子に着脱自在に装着される接触子片を備えた回路遮断器において、接触子片の取付脚と可動側接触子は該可動側接触子の回転方向と直交する方向に配置されるねじによって一体化されることとしたため、可動側接触子は開閉アークによって消耗する接触子片の取付けに関して厚みを気にすることなく板金加工で製造できる薄い材料のものを使用できるため、通電性能が優れる上、製造が簡単で安価な回路遮断器を提供できるという効果を奏する。
【0023】
なお、接触子片の取付脚をねじ部材にして、該ねじ部材の両側に可動側接触子が平行するように配置し、ねじ部材によって接触子片の裏面を可動側接触子に押し付けるように該接触子片が装着されるようにしても同様の効果を奏する。このような構成により、可動側接触子の厚みは取付用のねじの直径に関係がなくなり、より薄い材料のものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回路遮断器の実施例の側面断面図である。
【図2】図1の回路遮断器の開閉接触子部分を正面から見た図である。
【図3】図1の回路遮断器の開離過程を説明する部分図である。
【図4】他の実施例の可動側接触子片を説明する図である。
【図5】さらに他の実施例の可動側接触子片を説明する図である。
【図6】さらに他の実施例の可動側接触子片を説明する図である。
【図7】従来の回路遮断器の側面断面図である。
【図8】図7の回路遮断器の開閉接触子部分を正面から見た図である。
【図9】図7の回路遮断器の可動側接触子片の分解図である。
【符号の説明】
1 ケース、1a カバー、2,3 端子、4 固定側主接触子、5 固定側アーク接触子、5a 円弧状の開閉接触部、6 フレーム、7 ホルダー軸、8 接触子ホルダー、9 コンタクト軸、10 可動側主接触子、11,30,31可動側アーク接触子、12,12’,12”,28 可動側アーク接触子片、12a 開閉接触部、12b,12’b,12”b 取付脚、13 可撓リード、14 ばね、15,16 接点、17 消弧装置、18,32 ねじ、19 ナット、20 開閉機構、21 クロスバー、22 レバー、23 連結軸、24 リンク、25 ストッパ、26 めねじ、27 おねじ、29 ワッシャ

Claims (4)

  1. 固定側接触子と、回転自在に設けられた可動側接触子と、表面に前記固定側接触子との開閉接触部を有し裏面に取付脚を備え前記可動接触子に着脱自在に装着される接触子片を備えた回路遮断器において、前記接触子片の取付脚と前記可動側接触子は該可動側接触子の回転方向と直交する方向に配置されるねじによって一体化されることを特徴とする回路遮断器。
  2. 前記取付脚を挟むように前記可動側接触子を配置したことを特徴とする請求項1の回路遮断器。
  3. 前記可動側接触子は可動側アーク接触子であって該可動側アーク接触子と併設される可動側主接触子を有し、前記取付脚の厚みは前記可動側主接触子の厚みより厚いことを特徴とする請求項2の回路遮断器。
  4. 固定側接触子と、回転自在に設けられた可動側接触子と、表面に前記固定側接触子との開閉接触部を有し裏面に取付脚を備え前記可動接触子に着脱自在に装着される接触子片を備えた回路遮断器において、
    前記取付脚はねじ部材であって該ねじ部材の両側に前記可動側接触子が平行するように配置され、前記ねじ部材によって前記接触子片の裏面を前記可動側接触子に押し付けるように該接触子片が装着されることを特徴とする回路遮断器。
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