以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態においては、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はこれに限らず、たとえばコイン遊技機やスロットマシンなどであってもよく、状態が変化可能な第1の遊技装置を有し、第1の作動条件の成立に応じて作動する前記第1の遊技装置による遊技の結果が所定の態様となった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能となる遊技機であれば、すべてに適用することが可能である。
図1は、本発明に係る遊技機の一例のパチンコ遊技機1およびこれに対応して設置されたカードユニット50の正面図である。
カードユニット50には、カード利用可表示ランプ161が設けられており、カードユニット50が使用可能な状態にある旨が、このカード利用可表示ランプ161の点灯または点滅により遊技者に知らされる。このカードユニット50は、遊技機設置島に設置されている複数台のパチンコ遊技機1の間に挿入された状態で設置されており、左右どちらの遊技機に接続されているかが連結台方向表示器163により表示される。
遊技者がカード残高の記録されたプリペイドカードをカード挿入口165に挿入すると、そのプリペイドカードに記録されているカード残高が読取られる。次に、遊技者が所定の貸玉操作を行なうことにより、予め入力設定されている貸出単位額分の残高が減額されるとともに、その貸出単位額分の打玉がパチンコ遊技機1の打球供給皿3に貸出される。
カードユニット50には端数表示スイッチ162が設けられている。この端数表示スイッチ162を押圧操作することにより、たとえばカード残高やエラーが発生した場合のエラーコードなどの情報がパチンコ遊技機1に設けられた情報表示器(図示省略)に表示される。図中166はカードユニット錠であり、このカードユニット錠166に所定のキーを挿入して解錠操作することにより、カードユニット50の前面側を開成できるように構成されている。
パチンコ遊技機1は、額縁状に形成されたガラス扉枠2を有する。このガラス扉枠2の後方には、遊技盤6が着脱自在に取付けられている。また、ガラス扉枠2の下部表面には打球供給皿3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3から溢れた玉を貯留する余剰玉受皿4と、遊技者が打球操作するための操作ノブ5とが設けられている。操作ノブ5を遊技者が操作することにより、打球供給皿3内に貯留されているパチンコ玉を1個ずつ発射することができる。遊技領域7の中央には、識別情報の一例となる特別図柄を可変開始させる可変表示装置8が設けられている。この可変表示装置8には、打玉の通過ゲート11aの通過に伴って普通図柄が可変開始される普通図柄用可変表示器10と、通過記憶表示器10aと、始動記憶表示器18とが設けられている。さらに、可変表示装置8の下方には、可動片15が左右に設けられ、始動入賞領域として機能する始動用可変入賞球装置の一例となる普通電動役物14と、開閉板20の傾動により打玉の入賞可能な開放状態となる可変入賞球装置19とが設けられている。また、一般入賞口として、可変表示装置8の上部には入賞口24aが、可変入賞球装置19の左右には入賞口24d,24eが、遊技領域7の下方左右には入賞口24b,24cが、それぞれ設けられている。また、26は、打込まれた打玉がいずれの入賞口や可変入賞球装置にも入賞しなかった場合にアウト玉として回収するアウト口であり、25は、装飾ランプである。
遊技領域7の外周には枠ランプ(遊技効果LED28aおよび遊技効果ランプ28b,28c)と、賞球の払出し時に点灯する賞球ランプ51と、玉切れ中に点灯するランプ玉切れランプ52とが設けられており、遊技領域7の上部の左右にはステレオ音の音声などの効果音を発生するためのスピーカ27,27が設けられている。
図2は、遊技盤6の正面図である。図示しない打球発射装置から発射された打玉は、打球レール69に沿って上方に向かい、打球流出部36に設けられている逆流防止部材74を越えて遊技領域7に流入する。逆流防止部材74は、遊技領域7に流入した打玉が打球レール69側に逆流することを防止するために設けられている。また、打玉が打球レール69から逆流防止部材74へ向かう位置には光電センサ63aが、逆流防止部材74から遊技領域7へ向かう位置には光電センサ63bが、それぞれ設けられている。これら光電センサ63a,63bは、遊技領域7に流入する打玉を逆流防止部材74の前後位置で検出する発射検出スイッチ63である。なお、光電センサ63a,63bは、固定的に設けられていてもよいが、遊技盤6には光電センサ装着部のみを設け、検査時には光電センサ63a,63bを装着し、遊技機稼働時(出荷時)には光電センサ63a,63bを取外すようにしてもよい。
可変表示装置8は、複数種類の特別図柄を可変表示可能なCRT表示機で構成されている。可変表示装置8の中央の可変表示部9では始動入賞が発生したことを条件として複数種類の特別図柄が上から下に向かってスクロール表示される。その後、所定時間が経過して可変表示が終了した結果、予め複数種類定められた特定の表示態様のうちのいずれか(たとえば、大当り図柄のゾロ目が停止表示)となれば大当りとなる。大当りとなれば、可変入賞球装置19の開閉板20が傾動して大入賞口が開口する。これにより、打玉を大入賞口に入賞させることが可能な遊技者にとって有利な第1の状態に制御され、遊技状態が遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り状態)となる。
可変入賞球装置19の大入賞口内部には可変入賞球装置19に入賞した玉を検出するカウントスイッチ23が設けられている。また、大入賞口内は、特定入賞領域と通常入賞領域とに区分されており、特定入賞領域には、V入賞を検出するVカウントスイッチ22が設けられている。特定入賞領域に入賞した入賞玉はVカウントスイッチ22により検出された後、カウントスイッチ23により検出される。一方、通常入賞領域に入賞した通常入賞玉は大入賞口内においてはカウントスイッチ23のみにより検出される。可変入賞球装置19に入賞した入賞玉がカウントスイッチ23により検出される毎に15個の賞球が払出される。
可変入賞球装置19の第1の状態は、大入賞口に進入した打玉の数が所定個数(たとえば9個)に達した場合、または所定期間(たとえば30秒間)経過した場合のうちのいずれか早い方の条件が成立した場合に一旦終了して開閉板20が閉成する。これにより、可変入賞球装置19は打玉を入賞させることが不可能な遊技者にとって不利な第2の状態に制御される。そして、可変入賞球装置19が第1の状態となっている期間中に進入した打玉が特定入賞領域に特定入賞し、Vカウントスイッチ22により検出されたことを条件として、再度、可変入賞球装置19を第1の状態にする繰返し継続制御が実行される。この繰返し継続制御の実行上限回数はたとえば16回と定められている。繰返し継続制御において、可変入賞球装置19が第1の状態にされている状態がラウンドと呼ばれる。繰返し継続制御の実行上限回数が16回の場合には、第1ラウンドから第16ラウンドまでの16ラウンド分、可変入賞球装置19が第1の状態にされ得る。
可変表示装置8の左側方部分および右側方部分には、それぞれワープ入口11が設けられている。このワープ入口11に進入した打玉は、可変表示装置8の裏面側を通って下方に流下してワープ出口13から再度遊技領域7に放出される。このため、ワープ出口13から放出された打玉は、普通電動役物14に比較的入賞しやすい状態となる。可変表示装置8の左側方部分に設けられたワープ入口11に進入した打玉の通過経路には通過ゲート11aが設けられている。
通過ゲート11aに進入した打玉は、ゲートスイッチ12で検出される。打玉がゲートスイッチ12で検出されることを条件として、普通図柄用可変表示器10が可変開始される。なお、普通図柄用可変表示器10が可変表示している最中にさらに打玉がゲートスイッチ12で検出された場合には、「4」を記憶数の上限として通過球が記憶されてその記憶数が通過記憶表示器10aにおいてLEDの点灯数により表示される。
普通図柄用可変表示器10は7セグメント表示器で構成されており、普通図柄と称される識別情報が可変表示される。普通図柄用可変表示器10では、普通図柄の可変表示が開始してから所定の可変表示期間(変動時間)が経過した後に、その表示結果が導出表示される。そして、その表示結果が予め定められた特別の表示態様(たとえば7)となれば「当り」となる。普通図柄用可変表示器10に「当り」の表示結果が導出されると、普通電動役物14に設けられた左右1対の可動片15が1回開成する。これにより普通電動役物14が開放状態となって打玉がより始動入賞しやすくなる。普通電動役物14が開放状態にある際に打玉が1つ始動入賞すれば、可動片15が元の位置まで閉成して打玉が始動入賞しにくい状態に戻る。また、普通電動役物14が開放状態となってから所定の開放時間が経過すれば、始動入賞が発生しなくとも可動片15が元の位置まで閉成して開放状態は終了する。
普通電動役物14に入賞した始動入賞玉は遊技盤6に設けられた始動口スイッチ17により検出される。始動入賞玉が始動口スイッチ17で検出されると5個の賞球が払出されるとともに、その検出出力に基づいて可変表示装置8が可変開始される。可変表示装置8が可変表示中に始動口スイッチ17により検出された始動入賞は、「4」を記憶数の上限として記憶されてその記憶数が始動記憶表示器18においてLEDの点灯数により表示される。なお、この始動記憶数が所定数に達した場合には、特別図柄の変動時間が短縮される特別図柄変動短縮状態(特別図柄時短状態)となる。
また、一般入賞口24(24a,24b,24c,24d,24e)に入賞した入賞玉は、遊技盤6に設けられた各入賞口スイッチ240(240a,240b,240c,240d,240e)により検出され、これに基づいて10個の賞球が払出される。
可変表示装置8に表示された大当りの結果が特定の確変図柄(たとえば数字図柄の「7」)により構成されるものである場合には、その大当りに基づく特定遊技状態の終了後に、通常時(通常遊技状態)に比べて大当りが発生する確率が高く変動した確率変動状態となる。以下、確変図柄による大当りを確変大当りという。
通常遊技状態中に一旦、確変大当りが発生すると、その確変大当りによる大当り制御が終了してから、少なくとも予め定められた確変継続回数だけ大当りが発生するまでの期間のうち、大当り制御がなされる特定遊技状態を除く遊技状態において、確率変動状態に継続制御される。
また、確率変動状態中に確変大当りが発生すれば、その確変大当り以降、改めて確変継続回数が計数され、その後、少なくとも確変継続回数だけ大当りが発生するまで確率変動状態に繰返し制御される。そして、確変継続回数に達した大当りが確変図柄以外の非確変図柄によるものであった場合には、確率変動の生じていない通常遊技状態に戻る。
したがって、確率変動状態の継続制御に制限を設けない場合には、少なくとも確変継続回数に達した大当りが確変大当りである限り、無制限に確率変動状態に繰返し制御されることになる。そこで、このパチンコ遊技機1の場合には、ある程度、確率変動状態が繰り返して制御されると、一旦、確率変動状態への継続制御を終了させるべく、確率変動状態中に確変大当りが連続的に発生する回数について上限回数が設定されている。そして、この上限回数に基づいて大当りの表示態様が強制的に非確変大当りとされた場合には、その時点で確率変動状態の継続制御が終了する。なお、確変図柄での大当りを禁止する制限が行なわれることは、リミッタの作動と呼ばれる。
確率変動状態となれば、これに付随して普通図柄の当り確率が高くなるとともに、その検出出力によって可変開始される普通図柄用可変表示器10の可変表示期間(変動時間)が短縮されるようになる。さらに、確率変動状態に付随して、普通図柄の当りによって普通電動役物14が開放される回数が1回から2回に増加するともに、1回の開放時間が0.2秒から1.4秒に延長されるようになる。
図3は、図1に示したパチンコ遊技機1とカードユニット50の背面図である。パチンコ遊技機1の裏面には、機構板53がコの字状に介在自在に設けられている。機構板53には、発射した入賞玉に基づいて所定個数の賞球を払出す玉タンク54、玉タンク54内の玉を玉払出装置59(図14に示す59a,59b)に送る玉整列レール55、カーブ樋57、通路体38、玉払出装置59(59a,59b)、遊技盤6に設けられた各種の入賞検出用スイッチで検出されたすべての入賞玉を集合させる入賞玉集合樋73、遊技制御基板31を収容した遊技制御基板ボックス87、賞球玉貸制御基板(賞球玉貸基板)37を収容した賞球玉貸制御基板ボックス65、ランプ制御基板35を収容したランプ制御基板ボックス77、ターミナル基板67を収容したターミナル基板ボックス68が設けられている。さらに、賞球玉貸制御基板ボックス65の下部には打球用駆動モータ94が設けられている。遊技制御基板ボックス87には、複数の取付片部80a〜80cが並設されている。この取付片部80a〜80cは、遊技制御基板ボックス87のボックス本体110(図8参照)と蓋体90(図5参照)とを非可逆的に固着して遊技制御基板ボックス87内に遊技制御基板31を封入するためのものである。また、入賞玉集合樋73には、入賞玉集合樋73を流下するすべての入賞玉を検出する入賞玉検出スイッチ61が設けられている。この入賞玉検出スイッチ61の検出出力は、賞球玉貸制御基板37に入力される。
機構板53の中央には窓開口56が開設され、該窓開口56からは、遊技盤3の裏面に取付けられた入賞玉集合カバー体66が貫通されている。入賞玉集合カバー体66には、中継基板78と、可変表示装置(CRT表示機)8とが設けられている。可変表示装置8には、表示制御を行なう表示制御基板40(図14参照)が設けられ、表示制御基板40と遊技制御基板31とがコネクタを介して電気的に接続されている。また、中継基板78には、遊技盤6上の各種電気部品が接続されるとともに、遊技制御基板31が接続されている。
遊技制御基板31には、可変表示装置8内部の表示制御基板40や中継基板78と配線接続するためのコネクタ88が設けられている。この遊技制御基板31には可変表示装置8や可変入賞球装置19などの遊技装置の遊技動作を制御する基本回路(遊技制御用マイクロコンピュータ)33が実装されている(図14参照)。さらに、遊技制御基板31には、遊技制御基板31上で伝送される入賞検出信号や大当り情報、確率変動情報、可変入賞球装置19の作動状態を示す情報、普通電動役物14の作動状態を示す情報、普通図柄用可変表示器10の作動状態を示す情報、発射玉の有無を示す情報等の形式試験に必要な各種の試験用信号を外部の試験装置でモニタするための試験用コネクタ47が設けられている。同様に、可変表示装置8内の表示制御基板40には、特別図柄に関する各種の試験用信号を外部の試験装置でモニタするための試験用コネクタ41(図15参照)が設けられている。
その他、図示を省略するが、図14を用いて後述する音声制御基板70や発射制御基板91といった制御基板が所定箇所に設けられている。
次に、図4〜図13を参照して、遊技制御基板31と遊技制御基板ボックス87の構成について詳細に説明する。
まず、遊技制御基板31は、図8に示すように、長方形のプリント配線基板によって構成されており、その上面には図14を用いて後述するように基本回路(遊技制御用マイクロコンピュータ)33などの電子部品142を実装する電子部品実装領域が形成されている一方、幅方向一側の領域にはコネクタ88を実装する領域が形成されている。また、遊技制御基板31には、幅方向一側の両端に止め穴143が穿設される一方、幅方向他側の両端には係合穴144が穿設されている。なお、遊技制御基板31の上面および下面における止め穴143の外周には、図示しないメッキ部が設けられている。
次に、遊技制御基板ボックス87は、遊技制御基板31を内部に収容するボックス本体110(図8参照)と、該ボックス本体110の蓋をするための蓋体90(図5参照)との組付け体からなり、この組付け体が取付台150(図4参照)を介して機構板53(図3参照)に取付けられる。
さらに、蓋体90は、図5に示すように、透視性を有する上板92と、金属製の蓋枠96と、透視性および導電性を有する導電板100とから構成されており、ボックス本体110は、図8に示すように、透視性を有する底板111と、金属製の本体枠99とから構成されている。
まず、蓋体90について説明する。蓋体90の一部を構成する上板92は、たとえばポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエチレンなどの樹脂を主材料として構成された透明合成樹脂の長方形板からなる。上板92の透明性により外部から内部に収納された基板を視認可能であるために、内部に収容された遊技制御基板31に対する不正がなされていないか否かを外部から容易に点検可能であり、不正を抑止することができる。
上板92の下面側の外周端部には、上板92と蓋枠90と導電板100とを組付けるための溶着突起92eが所定間隔をおいて複数突設されている。また、上板92の長手方向の両端側には、複数の取付片部80a〜80cが並設されている。この取付片部80a〜80cは、ボックス本体110(図8参照)と蓋体90とを非可逆的に固着するためのものである。取付片部80a〜80cは、各々、上板92の側壁を構成する部分と、上板92の上壁を構成する部分とを有した断面L字状をなし、上板92の側壁構成部分においては、各取付片部分80a〜80c間を連結する連結部94a〜94cが一体成形され、上板92の上壁構成部分においては、各取付片部80a〜80c間を連結する連結部93a〜93c(図9参照)が一体成形されている。なお、各取付片部80a〜80c間には、スリット状の溝が形成されており、連結部93a〜93c、94a〜94cは、取付片部80a〜80cの外壁面から突出した状態で設けられている(図10参照)。また、図5および図9に示すように、取付片部80a〜80cの上壁構成部分には、それぞれ取付穴95a〜95cが穿設されており、取付片部80cの隣接部でありかつ上板92の幅方向一側の両端隅角部には、取付穴95dが穿設されている。さらに上板92の上面には、凹部97aおよび凹部98aが形成されており、凹部97aには、パチンコ遊技機1の機種名を記した機種名シール97bが貼着され、凹部98aには、遊技制御基板ボックス87を交換した際に書込む「交換者」,「交換日」の各項目を記した交換履歴シール98bが貼着されている。機種名シール97bと交換履歴シール98bの詳細な構成を図9に示す。
なお、上記した各取付穴95a〜95dの上方部分は、ボックス本体110との組付け状態で組付け用のビスを蓋枠96の外壁面に入り込ませるような凹形状をなしている(図10(a)参照)。このため、ビスの頭部を切断してビス止めを解除する不正行為が防止できる。また、各連結部93a〜93c、94a〜94cには、それぞれ遊技制御基板ボックス87の開放手順を遊技場係員などに示唆するための刻印「1〜3」が施されている(図9、図13参照)。具体的には、取付片部80aに対応する連結部93a,94aには「1」の刻印が施され、取付片部80bに対応する連結部93b,94bには「2」の刻印が施され、取付片部80cに対応する連結部93c,94cには「3」の刻印が施されている。遊技場の係員などは、これらの刻印に従って連結部93a〜93c、94a〜94cを切断し、遊技制御基板ボックス87を開放する。開放手順については後述する。
次に蓋枠96について説明する。蓋枠96は開口部107を有し、該開口部107以外となる残りの上面領域には、上板92側の複数の溶着突起92eを個々に挿通する挿通穴106が複数穿設されている。また、蓋枠96の外周縁部には、全周にわたって側壁が垂下形状されている。蓋枠96の長手方向両端の側壁は、ボックス本体110との組付け状態で後述する取付片130(図10参照)の先端部分と当接する当接壁108(図10参照)として形成されている。蓋枠96の幅方向一側の側壁は、遊技制御基板ボックス87内に収容される遊技制御基板31の電子部品実装領域とコネクタ実装領域とを蓋枠96の内外に仕切る仕切り壁として形成されている。
次に導電板100について説明する。導電板100は、上板92と同様に透明合成樹脂の長方形板からなり、その上面側には黒色塗装を施した導電性繊維101が全域に接合して設けられている。導電板100の外周端部には、蓋枠96に穿設された穿設穴106と同様に、上板92側の溶着突起92eを個々に挿通する挿通穴102が複数穿設されている。
次に図6および図7を参照して、溶着突起92eによる蓋体90の組付け手順について説明する。図6は、蓋体90の断面図であり、図7は、蓋体90の裏面図(導電板100側からみた平面図)である。蓋体90は、図示するように、蓋枠96の挿通穴106および導電板100の挿通穴102を挿通した上板92の溶着突起92eが超音波溶着されることで、上板92、蓋枠96、および導電板100の組付け体として構成される。また、このような溶着突起92eの溶着により、導電板100の導電性繊維101は、蓋枠96と確実に導通される。なお、溶着突起92eの溶着において、上板92(溶着突起92e)と導電板100とを同一素材で形成した場合には、溶着突起92eの溶着部分が導電板100に混じり合い、より一層強固な溶着が可能になる。また、蓋体90の組付け方法は、超音波溶着以外にも熱溶着したり、溶剤または接着剤を用いてもよい。また、このような蓋体90の組付け状態において、上板92の上面と蓋枠96の側面との間には、長方形状のホログラムシール104(図9参照)が貼着され、これによって蓋体90の組付け状態が担保されるようになっている。
次に、図8を参照して、ボックス本体110について説明する。図8は、遊技制御基板31とボックス本体110とを示す分解斜視図である。ボックス本体110は、前述したように、底板111と、本体枠99とから構成されている。
まず、底板111は、透明合成樹脂の長方形板からなり、その上面部には、遊技制御基板31の下面を支承するためのフランジ片112が四隅近傍部および幅方向両端の中央部に立設されている。なお、幅方向一側の二隅近傍部に立設されたフランジ片112には、後述する係合片124との干渉を逃がすためのスリット部113が形成されている。一方、幅方向他側の二隅近傍部に立設されたフランジ片112の近傍には、後述する取付片122を貫通する貫通穴114が穿設されている。また、長手方向一側のほぼ中央部には、切欠き部115が穿設されている。この切欠き部115は、遊技制御基板ボックス87を取付台150に取付けた状態で係合突起154(図4参照)との干渉を逃がすための切欠きである。
次に本体枠99について説明する。本体枠99は、下面に開口部117を有するとともに、その外周縁部には全周にわたって側壁を有する形状となっている。開口部117の内周縁部には、その幅方向両側に断面L字状をなす係合片118が所定の条設長さで形成され、内周縁部の長手方向一側には、係止穴120を穿設した係止片119が形成されている。また、開口部117以外となる残りの下面領域には、複数の軽減穴121が穿設されている。下面領域における幅方向一側の両端には、取付穴123を穿設した取付片122が形成され、下面領域における幅方向他側の両端には、係合突起125を備えた係合片124が形成されている。また、係合片118は、後述する取付台150への取付時に取付台150側の係合レール151(図4参照)と係合しやすいように先端部分が若干下方に折曲されている。また、本体枠99の幅方向一側壁には、複数の放熱穴128が穿設されている。本体枠99の幅方向の両側壁には、その長手方向の両端部に補強片129が延設されている。この補強片129は、延設部分から内向側に折曲されることで本体枠99の長手方向両側壁を内側から押さえ、本体枠99の強度を向上するようになっている。また、側壁間の隙間を塞ぐので、側壁間を広げて不正に改造されてしまうことが防止される。なお、このような補強片129は、本体枠99に限らず蓋枠96(図5参照)側に設けてもよい。本体枠99の長手方向の両側壁の上端部分は、内向側に折曲された取付片130として形成されており、取付片130には、蓋体90(図5参照)側の取付穴95a〜95dと個々に対応する取付穴131〜134が穿設されている。取付穴132〜134の近傍には、それぞれ装備用のワンウェイねじ145を挿通状態で装備しておく装備穴135〜137が穿設されている。
蓋体90およびボックス本体110は、以下に示す組付けによって遊技制御基板31を収容した遊技制御基板ボックス87として構成される。まず、遊技制御基板31と底板111とを重畳して本体枠99に装着し、遊技制御基板31の係合穴144に係合片124の係合突起125を挿通する。次に、遊技制御基板31の止め穴143を取付片122の取付穴123にビス139で共締めする。これにより、遊技制御基板31が底板111を挟んで本体枠99にビス止めされた状態となる。なお、このような遊技制御基板31の取付固定において、止め穴143と取付穴123との穴位置を合わせる際、遊技制御基板31が若干ずれることで係合突起125と係合穴144とが係合し、ビス止めされない遊技制御基板31の幅方向一側も固定される。
次に、上面が開放しているボックス本体110に蓋体90を被せる。そして、図5および図8に示すA・B方向において、取付片部80aの取付穴95aを本体枠99の取付穴131にワンウェイねじ140で止め(図10(a)参照)、そのワンウェイねじ140止め部分を長方形状のホログラムシール105で封印する。これにより、蓋体90とボックス本体110との内部空間に遊技制御基板31を封入状態で収容した組付け体(遊技制御基板ボックス87)が構成される。これにより、基本回路33を含む各種電子部品、試験用コネクタ47が遊技制御基板ボックス87内に封入される。
このように、基本回路33が遊技制御基板ボックス87内に封入され、その封入状態を一旦解除すると元の封入状態を復元することが困難にされているために外部から不正信号を入力して賞球の払出しが行なわれるようにする等の不正行為を極力防止可能となる。さらに、前述したように試験用コネクタ47(図3参照)も遊技制御基板ボックス87内に封入されることになるために、試験用コネクタ47にいわゆる“ぶら下げ基板”を接続して始動入賞信号の発生時期をずらし、大当りを発生させるような不正行為が行なわれることを防止できる。
蓋体90とボックス本体110との組付け状態において、各装備穴135〜137(図8参照)に挿通されたワンウェイねじ140は、図10(b)に示すように、その上方から蓋体90が覆い被さるようにして取付けられることで、装備穴135〜137からはずれることなく遊技制御基板ボックス87内に収容されている。すなわち、このような収容状態で、蓋体90の各取付片部80b、80cおよび取付穴95d近傍の上壁面が個々にワンウェイねじ140の飛び出しを阻止している。なお、ワンウェイねじ140の装備方法は、実施形態中に記載のものに限定しない。たとえば、遊技制御基板ボックス87の組付け状態で、ワンウェイねじ140の頭部を蓋体90(取付片部など)によって完全に押さえ込む構成としたり、あるいはワンウェイねじ140の径と装備穴135〜137の径をほぼ同じ構成としてもよい。このような構成とした場合には、遊技制御基板ボックス87の閉塞状態で、装備されたワンウェイねじ140のがたつきを抑えることができる。
ここで、図11および図12を参照して、ワンウェイねじ140について説明する。図11(a)は、ワンウェイねじ140の平面図であり、図11(b)は、ワンウェイねじ140の斜視図である。また、図12(a)は、ワンウェイねじ用特殊ドライバをその先端側から見た平面図であり、図12(b)は、ワンウェイねじ用特殊ドライバを図示a方向から見た一部平面図である。
ワンウェイねじ140は、ねじ締め方向にしか回らない特殊なねじであり、一旦締めつけるとねじを破壊しない限り取外すことができない。具体的には、図11(a),(b)に示すように、その頭部141に設けられたねじ溝が当接面部142と凹部143と中心穴部144とから構成されている。そして、図12(a),(b)に示す特殊マイナスドライバ145でねじ締めを行なう場合には、ドライバ145の中心軸部146を中心穴部144に差込み、この状態からドライバ145の当接片部147を当接面部142に当接させて一方向(図11(a)の時計回り方向)に頭部141を回転させることでネジ締めを行なう。一方、ドライバ145で頭部141を他方向(図11(a)の反時計回り方向)に回転させてねじ140を取外そうとした場合には、ドライバ145が凹部143に入り込んで滑ってしまい頭部141を回転させることができずにねじ140の取外しが行なえない。なお、通常のマイナスドライバでも頭部141を一方向に回転させてねじ140を締めることは可能であるが、特殊マイナスドライバ145のように、中心軸部146をワンウェイねじ140の中心穴部144に差し込んでワンウェイねじ140との位置決めを行なった方が締付け作業が容易に行なえる。
また、上記した蓋体90およびボックス本体110の組付けを行なうワンウェイねじ140は、螺着状態で蓋枠96の外壁面に入り込む構成となっている。このため、ワンウェイねじ140の止め部分を封印するホログラムシール105は、突起のない平坦面上に貼付され、ホログラムシール105の剥がれおよび損傷が防止できるとともに、ホログラムシール105に対する不正行為の判別が容易になる。ホログラムシールは、ホログラム層と光反射層と接着剤層とを備え、ホログラム層に形成されるホログラム図柄を偽造困難な図柄に構成することで、不正行為に伴うシールの貼替えを防止するようになっている。このホログラム図柄は、ホログラムシールの表面に入射したコヒーレント光(レーザ光)がホログラム層のエンボス面を透かして光反射層に入り、光反射層からホログラム干渉光としてホログラムシールの外側に反射されることで形成される。また、ホログラムシールを剥がした場合は、もう一度貼り直してもホログラム図柄は元の形状にならないので、剥がした痕跡が残る。
以上のように、遊技制御基板ボックス87は、蓋体90とボックス本体110とのワンウェイねじ140止め部分をホログラムシール105で封印することにより、遊技制御基板31の封入状態を担保している。また、遊技制御基板ボックス87内に設けられた導電板100によって電磁シールド効果を奏し得るようになっている。さらに、遊技制御基板ボックス87は、その上壁面を構成する上板92と導電板100、および下壁面を構成する底板111をそれぞれ透視性を有する素材から形成することで、遊技制御基板31の実装面(上面)およびハンダ面(下面)を外部から透視できるようにしている。このため、遊技制御基板31に不正な工作(たとえば、ジャンパー配線を接続したり、電子部品を実装したりする不正工作)が施された場合には、直ちにその不正工作がわかるようになっている。
次に、遊技制御基板ボックス87を機構板53に取付けるための取付台150について図4を参照して説明する。図4は、遊技制御基板ボックスと取付け台とを示す斜視図である。取付台150は、図4に示すように、合成樹脂(金属でもよい)によって形成された長方形板からなり、その基板中央には断面逆L字状をなす1対の係合レール151が所定間隔をおいて条設されている。なお、係合レール151の条設方向は、取付台150の長辺部に沿った左右方向となっている。取付台150の各長辺部(前後端縁)には、基板面に対して直交するガイド面152が突設されている。取付台150の右側端部には、弾性変形する解除レバー153が形成されており、解除レバー153の近傍には、ボックス本体110側の係止穴120と係合する係合突起154が穿設されている。また、取付台150の基板面には、機構板53側の取付ボス(図示しない)に取付台150をビス止めするための止め穴155が穿設されている。
取付台150は、止め穴155を介して機構板53にビス止めされることで機構板53上の所定部位に取付けられる。また、この取付台150に遊技制御基板ボックス87を取付けるときには、取付台150に対して遊技制御基板ボックス87を左側方からスライド装着させる。このとき、取付台150側の係合レール151は、遊技制御基板ボックス87側の係合片118(図8参照)と係合した状態にあり、ガイド片152は、遊技制御基板ボックス87のスライド移動を案内する。その後、このような遊技制御基板ボックス87のスライド移動によって取付台150側の解除レバー153が下方に弾性変形し、ついには、遊技制御基板ボックス87側の係止穴120が取付台150側の係合突起154と係合して遊技制御基板ボックス87が装着される。
次に、図13を参照して、遊技制御基板ボックス87を遊技制御基板31の検査(出荷納入後にROMが正規のものが否かを検査する)のために開放し、その後再度閉塞状態に復元する手順を説明する。まず、図13(a)に示す遊技制御基板ボックス87の閉塞状態において、取付片部80aのワンウェイねじ140止め部分に貼着されたホログラムシール105を剥がした後、刻印「1」を目印に各連結部93a、94aをニッパーなどの切断工具で切断する。すると、取付片部80aは、ワンウェイねじ140によってボックス本体110に固着された状態のまま、蓋体90から完全に分離される。これにより、ボックス本体110に対する蓋体90の固着がすべて解除されて、遊技制御基板ボックス87の開放が可能になる。そして、図13(b)に示すように、ボックス本体110から蓋体90を取外して遊技制御基板87の検査を行なう。また、このような蓋体90の取外し(連結部94a、93aの切断)によって、各装備穴135〜137に挿通されたワンウェイねじ140は、取出し可能な状態となり、このうち装備穴135に挿通されたワンウェイねじ140を遊技制御基板ボックス87の復元用に取出す。その後、遊技制御基板ボックス87を閉塞するときには、図13(C)に示すように、蓋体90をボックス本体110に被せた状態で、取出したワンウェイねじ140を刻印「2」を目印に取付片部80bの取付穴95bに螺着する。これにより、取付片部80bの取付穴95bとこれに対応する本体枠99の取付穴132とがワンウェイねじ140によって共締めされて、蓋体90とボックス本体110とが非可逆的な固着状態となる。そして、この取付片部80bのワンウェイねじ140止め部分に新しいホログラムシール105を貼着することで、遊技制御基板ボックス87が再度閉塞状態となる。
その後、遊技制御基板ボックス87を再度検査(2回目の検査)する際には、刻印「2」を目印に各連結部93b、94bを切断する。これにより、取付片部80bを蓋体90から分離させて遊技制御基板ボックス87を開放する。後は同様に、各連結部93b、94bの切断に伴って取出したワンウェイねじ140(装備穴136のワンウェイねじ140)を刻印「3」を目印に取付片部80cの取付穴95cに螺着して新しいホログラムシール105を貼着する。これにより、遊技制御基板ボックス87が再度閉塞状態となる。それ以降、遊技制御基板ボックス87を検査(3回目の検査)する場合には、刻印「3」を目印に各連結部93c、94cを切断することで、取付片部80cを蓋体90から分離させて遊技制御基板ボックス87を開放する。また、遊技制御基板ボックス87を閉塞状態とする際には、各連結部93c、94cの切断に伴って取出したワンウェイねじ140(装備穴137のワンウェイねじ140)を最後に残った取付穴95dに螺着して新しいホログラムシール105を貼着する。
ところで、上記した遊技制御基板ボックス87の閉塞状態においては、連結部93a〜93c、94a〜94cを切断して取付片部80a〜80cと上板92(図5参照)との連結を解除しない限り、遊技制御基板ボックス87が開放できないようになっている。したがって、遊技制御基板87の検査以外で連結部94a〜94c、93a〜93cが切断されるような場合は、この切断により遊技制御基板87に不正が行なわれたことが即座にかつ確実に判別できるため、遊技制御基板ボックス87の防犯効果を高めることができる。また、遊技制御基板ボックス87の構成では、上板92の溶着突起92eを切り離しても、導電板100が遊技制御基板31上に落ち込むため、溶着突起92eを切り離した隙間から遊技制御基板31に細工をしようとしても導電板100がそれを阻止する。また、ホログラムシール105を剥がした場合には、ホログラムシール105の痕跡がしっかりと残るため不正が行なわれたことが即座にわかる。
図14および図15は、パチンコ遊技機1の制御に用いられる各種制御基板およびそれに関連する構成要素を示すブロック図である。
図14には、制御基板として、遊技制御基板31、賞球玉貸制御基板(賞球玉貸基板)37、ランプ制御基板35、表示制御基板40、音声制御基板70、および発射制御基板91が示されている。
賞球玉貸制御基板37、ランプ制御基板35、表示制御基板40、音声制御基板70、および発射制御基板91には、図示しないマイクロコンピュータ等が搭載されており、たとえば、図15に示す賞球玉貸制御基板37および表示制御基板40のように、CPUや入出力回路が設けられている。
賞球玉貸制御基板37には、図14に示すように、発射制御基板91、玉払出装置(賞球装置59a、玉貸装置59b)、カードユニット50、および、入賞玉集合樋73に設けられた入賞玉検出スイッチ61が接続される。ランプ制御基板35には、遊技効果LED28a、賞球ランプ51、玉切れランプ52、および遊技効果ランプ28b,28cが接続される。発射制御基板91には、操作ノブ(打球操作ハンドル)5と、打球ハンマー(図示省略)を駆動する駆動モータ94とが接続される。駆動モータ94の駆動力は、操作ノブ5の操作量に従って調整される。音声制御基板70にはスピーカ27が接続される。表示制御基板40には特別図柄用の可変表示装置8が接続される。
遊技制御基板31は、遊技制御プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する基本回路33と、各種スイッチからの信号が入力されるスイッチ回路58と、ソレノイド回路42と、ランプ・LED回路60と、情報出力回路64と、初期リセット回路45とを含み、さらに遊技制御基板31には試験用コネクタ47が設けられている。
スイッチ回路58、ソレノイド回路42、ランプ・LED回路60、情報出力回路64の各回路に入出力される信号は、その信号伝送経路の途中から分岐して試験用コネクタ47に延長されたプリント配線によって試験用コネクタ47にも入力される。このため、試験用コネクタ47を経由して、各種入賞スイッチや発射検出スイッチ63(光電センサ63a,63b)の検出状態、可変入賞球装置19や可動片15を有する普通電動役物14等の作動状態、普通図柄用可変表示器10の作動状態、始動記憶数や通過記憶数、遊技状態(大当り状態、確率変動状態)等を外部でチェックできる。
基本回路33は、遊技制御用のマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラム等を記憶するROM33b、ワークメモリとして使用されるRAM33c、制御用のプログラムに従って制御動作を行なうCPU33aおよびI/Oポート部33dを含む。基本回路33は、電源投入時にリセットされる。また、基本回路33は、定期的(たとえば、2ms毎)に割込み処理を実行し、割込み処理が実行される毎に、ゲーム制御用のプログラムが所定位置から再度実行される。
初期リセット回路45は、電源投入時に基本回路33をリセットする回路である。基本回路33は、初期リセット回路45から送られてきた初期リセットパルスに応答してパチンコ遊技機1を初期化する。
スイッチ回路58は、各種スイッチからの信号を基本回路33に与える回路である。スイッチ回路58には、ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17、入賞口スイッチ240a〜240e、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23、発射検出スイッチ63(光電センサ63a,63b)、賞球カウントスイッチ60(60a、60b)、満タンスイッチ402が接続される。なお、満タンスイッチ402は、余剰玉受皿4の満タンを検出するスイッチである。また、賞球カウントスイッチ60(60a、60b)は、賞球払出装置59aに設けられており、賞球の払出しを検出するスイッチである。この賞球カウントスイッチ60は、後述するように賞球払出装置59aの2条の払出通路の各々に個別に設けられているために、60a、60bの2種類ある。
基本回路33は、満タンスイッチ402からの検出信号に基づいて、余剰玉受皿4の満タン状態を検知する。さらに、基本回路33は、賞球カウントスイッチ60a,60bの検出信号に基づいて賞球をカウントする。スイッチ回路58から基本回路33に入力される検出信号は、試験用コネクタ47側にも入力され、各種入賞口で入賞が発生したこと、発射玉が検出されたこと、V入賞があったこと等を示す試験用信号として試験用コネクタ47から出力される。
基本回路33は試験用コネクタ47と接続されており、各種の試験用信号を出力ポート33dを介して試験用コネクタ47へ出力する。たとえば、基本回路33は、確率変動状態となれば、その全期間にわたって後述の特別図柄変動時間短縮状態信号や普通図柄変動時間短縮状態信号、普通図柄確率変動状態信号、普通電動役物開放延長信号等を試験用コネクタ47へ出力する。また、基本回路33は、普通図柄の可変表示結果が当りとなれば、普通図柄当り信号を試験用コネクタ47へ出力する。よって、これらの信号を試験用信号として試験用コネクタ47において取出すことが可能となる。
ソレノイド回路42は、普通電動役物14の可動片15を動作させるソレノイド16と可変入賞球装置19の開閉板20を開閉するソレノイド21とを基本回路33からの指令に従って駆動する回路である。基本回路33からソレノイド回路42に入力される指令信号は、試験用コネクタ47側にも入力され、普通電動役物14や可変入賞球装置19の開放状態を示す試験用信号として試験用コネクタ47から出力される。
ランプ・LED回路60は、始動記憶表示器18、通過記憶表示器10aの点灯および滅灯を行なうとともに7セグメントLEDによる普通図柄用可変表示器10と装飾ランプ25とを駆動する回路である。基本回路33からランプ・LED回路60に入力される指令信号は、試験用コネクタ47側にも入力され、始動記憶表示器18や通過記憶表示器10aの点灯状態により示される始動記憶数および通過記憶数を示す試験用信号や普通図柄用可変表示器10の変動状態を示す試験用信号として試験用コネクタ47から出力される。
情報出力回路64は、基本回路33から与えられるデータに従って、大当りの発生を示す大当り情報、可変表示部9の可変表示に利用された始動入賞玉の個数を示す有効始動情報、特別図柄の確率変動が生じたことを示す確変情報(確率変動情報)、賞球の払出数を示す賞球情報等の遊技情報をホール管理コンピュータに対して出力する回路である。基本回路33から情報出力回路64に入力される指令信号は、試験用コネクタ47側にも入力され、大当り状態や確率変動状態、賞球の払出数等を示す試験用信号として試験用コネクタ47から出力される。
遊技制御基板31の基本回路33から賞球玉貸制御基板37、ランプ制御基板35、音声制御基板70、および表示制御基板40には、指令情報の一例となるコマンドが伝送される。各制御基板では、このコマンドに基づく制御が行なわれる。
たとえば、基本回路33は、大当りあるいは入賞等の発生に基づき、所定のランプ制御コマンドを出力回路46b(図15参照)を介してランプ制御基板35へ出力する。ランプ制御基板35では、ランプ制御コマンドに基づいて上記電気的装飾部品の点灯制御が行なわれる。
また、基本回路33は、大当りあるいは入賞等の発生に基づき、所定の音声制御コマンドを音声制御基板70へ出力する。音声制御基板70では、遊技制御基板31より入力されるコマンドに基づいて所定の効果音をスピーカ27から出力させるための制御が行なわれる。
さらに、基本回路33は、特別図柄用の可変表示装置8を表示制御するために必要な各種の表示制御コマンドを出力バッファ回路46d(図15参照)を介して表示制御基板40へ出力する。表示制御基板40では、この表示制御コマンドが入力バッファ回路40bを介して表示制御用CPU40aに入力される。表示制御用CPU40aは、この表示制御コマンドに基づいて、出力回路40cを介して所定画像を可変表示部9に表示させるための表示制御を行なう。
表示制御コマンドのうち、特別図柄の表示制御に関わるものとして、特別図柄の変動を開始させるタイミングで出力される特別図柄変動開始コマンドや、最終的に停止表示する(表示結果として導出表示する)確定図柄を指定する表示制御コマンド等がある。表示制御用CPU40aは、遊技制御基板31から送信された特別図柄変動開始コマンドに基づいて、可変表示装置8を可変開始させてから指定された確定図柄による表示結果を導出表示するまでの変動時間(可変表示時間)、リーチ表示の必要性の有無、およびリーチの種類を独自に決定し、特別図柄の可変表示中における演出方法を定める。
表示制御基板40には試験用コネクタ41が設けられている。この試験用コネクタ41には、表示制御用CPU40aより特別図柄の図柄や色等に関する信号が入力される。これにより、試験用コネクタ47から特別図柄に関する試験用信号を取り出すことが可能となる。
また、基本回路33は、賞球コマンドを出力回路46a(図15参照)を介して賞球玉貸制御基板37へ出力する。賞球玉貸制御基板37では、この賞球コマンドが入力回路37b(図15参照)を介して玉貸制御用CPU37aに入力される。この賞球コマンドには、賞球の払出制御に関する指令情報としてのコマンド(たとえば、賞球数指定信号)と、貸玉の払出制御に関する指令情報としてのコマンド(たとえば、玉貸し禁止コマンド、玉貸し禁止解除コマンド等)が含まれる。玉貸制御用CPU37aは、この賞球コマンドに基づいて出力回路37dを介して賞球装置59aの賞球モータ590aと、玉貸し装置59bの玉貸モータ590bとの双方を個別に制御する。たとえば、基本回路33が余剰玉受皿4の満タン状態を検知した場合には玉貸し禁止コマンドと玉貸し禁止解除コマンドとが玉貸制御用CPU37aに入力され、これに基づいて玉貸制御用CPU37aは、賞球装置97aによる賞球の払出しと玉貸し装置97bによる貸玉の払出しを停止させる。
基本回路33から各制御基板に対して入力されるコマンド信号は、その信号伝送経路の途中から分岐して試験用コネクタ47に延長されたプリント配線によって試験用コネクタ47にも入力される。このため、試験用コネクタ47を経由して、コマンド内容を外部でチェックできる。
基本回路33は、賞球装置59aに設けられた賞球カウントスイッチ60a,60bからの検出信号に基づいて払出された賞球数を計数し、予定数の賞球の払出しが行なわれているか否かを判断する。そして、賞球の払出数が不足しているにもかかわらず、所定期間が経過しても賞球カウントスイッチ60a,60bから検出信号が入力されなくなった場合には、エラーが発生したものと判断し、エラー報知用のコマンドを音声制御基板70や表示制御基板40に出力する。これにより、音声制御基板70によって制御されるスピーカ27からは所定の報知音が発生し、表示制御基板40によって制御される可変表示装置8では所定のエラー表示がなされる。これにより、パチンコ遊技機1はエラー状態となる。このエラー報知用のコマンドは、試験用コネクタ47側にも入力され、遊技機エラー信号として試験用コネクタ47から出力される。
基本回路33のRAM33cには、上記各入賞検出用スイッチ(240、17、23)の検出信号に対応して払出すべき賞球個数を記憶可能なカウンタ(カウンタA,B,C)が記憶されている。カウンタAには、カウントスイッチ23の検出信号、すなわち、払出数=15個に対応する検出信号がまとめて記憶される。カウンタBには、始動口スイッチ17の検出信号、すなわち、払出数=5個に対応する検出信号が記憶される。カウンタCには、各入賞口スイッチ240の検出信号、すなわち、払出数=10個に対応する検出信号が記憶される。基本回路33は、各入賞検出用スイッチの検出信号に基づいて、対応するカウンタを加算更新する。
賞球玉貸制御用CPU37aは、入賞玉検出スイッチ61の検出信号の入力に基づいて、賞球数要求信号を出力回路32dを介して遊技制御基板31へ出力する。この賞球数要求信号は、入力ポート(I/Oポート部)33dを介してCPU33aに入力される。基本回路33は、この賞球数要求信号の入力を待って、RAM33cに記憶されたカウンタ(カウンタA,B,C)に応じた賞球個数信号を出力回路46aを介して賞球玉貸制御基板37へ出力する。賞球玉貸制御用CPU37aは、賞球モータ590aを駆動し、入力回路37bを介して入力された賞球個数信号に対する数の賞球を払出す制御を行なう。
賞球装置97aおよび玉貸し装置97bには、玉の払出通路が個別に設けられており、賞球装置97aの払出通路からは賞球が払出され、玉貸し装置97bの払出通路からは貸玉が払出される。このように、賞球装置97aおよび玉貸し装置97bのそれぞれの払出通路は個別に設けられているのであるが、それらの払出通路は、玉の流下上手側において1本の通路から分岐したものである。つまり、パチンコ遊技機1の裏面側に設けられた玉タンク54から供給されるパチンコ玉を誘導する通路が2つに分岐して賞球装置97aおよび玉貸し装置97bへ向かうように構成されているのである。
特に、賞球装置97a内には、並列する2条の払出通路(払出通路A,B)が形成されており、両通路の間には、両通路A,Bから交互に賞球を繰出すための賞球繰出用スクリュー(図示省略)およびその賞球繰出用スクリューを駆動する賞球モータ590aが設けられている。賞球装置97aでは、賞球玉貸制御基板37から与えられる駆動信号により、賞球モータ590aが駆動されて賞球の払出しが行なわれる。
一方、玉貸し装置97bには、貸玉を払出すための1条の貸玉通路が形成され、その貸玉通路から貸玉を繰出すための貸玉繰出用スクリュー(図示省略)と、その貸玉繰出用スクリューを駆動する玉貸モータ590bとが設けられている。玉貸し装置97bでは、賞球玉貸制御基板37から与えられる駆動信号により、玉貸モータ590bが駆動されて貸玉の払出し(貸出し)が行なわれる。
さらに、賞球装置97aの内部には、賞球繰出用スクリューが所定角度回転したことを検出するための賞球モータ位置スイッチ62aと、賞球繰出用スクリューで繰出された後、払出通路から払出される賞球を払出通路の下手側で検出するための賞球カウントスイッチ60a,賞球カウントスイッチ60bとが設けられている。賞球カウントスイッチ60aは、払出通路Aに対応して設けられ、払出通路Aから払出される賞球を検出する。一方、賞球カウントスイッチ60bは、払出通路Bに対応して設けられ、払出通路Bから払出される賞球を検出する。賞球装置97aでは、賞球繰出用スクリューが所定角度だけ回転して賞球モータ位置スイッチ62aが1回ON/OFFするごとに賞球装置97aの2条の払出通路から賞球が交互に1つずつ払出される。さらに、賞球装置97aには、玉切れを検出可能な賞球切れ検出スイッチ44aが設けられており、この賞球切れ検出スイッチ44aにより賞球装置97aの玉切れ状態が検出される。
同様に、玉貸し装置97bの玉貸機構部分には、玉貸モータ位置スイッチ62bと、玉貸カウントスイッチ60cと,貸玉切れ検出スイッチ44bとが設けられている。
上記、賞球モータ位置スイッチ62a、賞球切れ検出スイッチ44a、玉貸モータ位置スイッチ62b、玉貸カウントスイッチ60c、および貸玉切れ検出スイッチ44bは、図15に示すように、賞球玉貸制御基板37に接続されている。一方、賞球カウントスイッチ60a,60bは、遊技制御基板31のスイッチ回路58に接続されている。
賞球玉貸制御用CPU37aは、賞球モータ位置スイッチ62aからの検出信号に基づいて、払出された賞球数を計数し、払出された賞球数が予定数に達した場合には賞球の払出しを終える。賞球玉貸制御基板37には、賞球カウントスイッチ60a,60bの検出信号が入力されないために、賞球玉貸制御用CPU37aは、賞球モータ位置スイッチ62aからの検出信号を利用して賞球数を計数するのである。なお、賞球が予定通りに払出されたか否かの最終的な判断は賞球カウントスイッチ60a,60bの検出信号が入力される遊技制御基板31側で行なわれる。このため、賞球玉貸制御用CPU37aが予定数の賞球の払出しが終了したと判断した場合であっても、遊技制御基板31側のCPU33aにより賞球が不足すると判断された場合には、パチンコ遊技機1がエラー状態になる。
また、賞球玉貸制御基板37の賞球玉貸制御用CPU37aは、発射制御基板91に対して打玉の発射状態を制御するための発射制御信号を与える。
次に、試験用コネクタ41、47でモニタできる試験用信号の種類について説明する。
図15に示すように、遊技制御基板31側の試験用コネクタ47は、4種類に分類される信号出力端子(試験信号端子1(1/2)47a、試験信号端子1(2/2)47b、制御信号端子47c、データ信号端子47d)から構成されており、各信号出力端子47a〜47dには信号出力用の複数のピンが設けられる。各信号出力端子47a〜47dには予め定められた種類の出力信号がアサインされている。
一方、表示制御基板40側の試験用コネクタ41は、2種類に分類される信号出力端子(制御信号端子41a、データ信号端子41b)から構成されており、各信号出力端子41a,41bには信号出力用の複数のピンが設けられる。各信号出力端子41a,41bには予め定められた種類の出力信号がアサインされている。
次に、図16〜図18を参照して、各信号出力端子47a〜47dにアサインされた信号の種類を説明する。図16および図17には、試験用コネクタ47における各端子47a〜47dから出力される信号の種類が示されており、図18には、試験用コネクタ41における各端子41a,41bから出力される信号の種類が示されている。なお、図においては、各出力信号に対応するピンの番号の記載を省略している。
試験信号端子1(1/2)47aからは、発射検出スイッチ63(光電センサ63a,63b)の検出による発射玉信号1および発射玉信号2と、賞球装置59aに設けられた賞球カウントスイッチ60(60a,60b)の検出による賞球信号1および賞球信号2と、各入賞口スイッチ240(240a〜240e)の検出による一般入賞口入賞信号1〜一般入賞口入賞信号5と、始動口スイッチ17の検出による普通電動役物入賞信号と、始動口スイッチ17の検出による始動入賞信号1と、カウントスイッチ23の検出による特別電動役物入賞信号(大入賞口入賞信号)と、Vカウントスイッチ22の検出による特定入賞領域通過信号と、ゲートスイッチ12の検出によるゲート通過信号とが出力される。この試験信号端子1(1/2)47aには、図14に示すスイッチ回路58より上記各種の試験用信号が入力されている。
なお、図16には、試験信号端子1(1/2)47aから出力される試験用信号として、始動入賞信号1の他に始動入賞信号2、始動入賞信号3が示されているが、これらは、始動入賞領域が複数設けられたパチンコ遊技機に対応するためのものである。図1に示すパチンコ遊技機1の場合には、始動入賞領域としては普通電動役物14が1つしか設けられていないために、これら始動入賞信号2、始動入賞信号3に対応する信号出力ピンからは試験用信号は出力されない。また、図1に示すパチンコ遊技機1の場合には、普通電動役物14が始動入賞領域を構成するために、普通電動役物入賞信号は始動入賞信号に相当するものとなる。
試験信号端子1(2/2)47bからは、ソレノイド21が励磁されて特別電動役物の一例となる可変入賞球装置19が開放状態となっていることを示す特別電動役物開放信号と、可変入賞球装置19が作動状態にあることを示す特別電動役物作動中信号と、ソレノイド16が励磁され、始動口が形成された普通電動役物14が開放状態となっていることを示す普通電動役物開放信号と、普通電動役物14が作動状態にあることを示す普通電動役物作動中信号と、大当り状態中にV入賞が検出されてからそのV入賞に基づいて繰返継続条件が成立することによって再度可変入賞球装置19が作動する(開放状態となる)までの期間を示す役物連続作動装置作動信号と、開放時間を延長させることが決定される期間(および開放回数を増加させることが決定される期間)を示す普通電動役物開放延長信号と、特別図柄の大当りによってもたらされる大当り状態(特定遊技状態)を示す特別図柄大当り信号と、普通図柄の当りによってもたらされる当り状態を示す普通図柄当り信号と、始動記憶数を示す特別図柄保留1〜4個目信号と、通過記憶数を示す普通図柄保留1〜4個目信号と、確率変動状態(特別図柄の大当り確率が高い状態)であることを示す特別図柄確率変動状態信号と、特別図柄の変動時間が短縮される期間(特別図柄の変動時間を短縮させることが決定される期間)であることを示す特別図柄変動時間短縮状態信号と、普通図柄の当り確率が高い期間であることを示す普通図柄確率変動状態信号と、普通図柄の変動時間が短縮される期間(普通図柄の変動時間を短縮させることが決定される期間)であることを示す普通図柄変動時間短縮状態信号と、遊技機のエラー状態を示す遊技機エラー状態信号とが出力される。
制御信号端子(普通図柄)47cからは、普通図柄が変動中であることを示す図柄変動中信号と、普通図柄の変動が終了して図柄が確定したことを示す図柄確定信号と、1桁目の普通図柄が変動中であることを示す1桁目図柄変動中信号とが出力される。なお、パチンコ遊技機1の場合には、特別図柄は3桁で構成されている一方、普通図柄は1桁で構成されているために、この1桁目図柄変動中信号は図柄変動中信号の出力状態と同一になる。
図17を参照して、データ信号端子(普通図柄)47dからは、普通図柄の図柄データに関する信号(図柄データbit0〜bit5)と、普通図柄の色データに関する信号(図柄データbit1、bit2)とが出力される。なお、パチンコ遊技機1の場合には、特別図柄は3桁で構成されている一方、普通図柄は1桁で構成されているために、このデータ信号端子47dから出力される信号は1桁目の普通図柄に関するデータのみである。また、パチンコ遊技機1の場合には、特別図柄は3桁で構成されている一方、普通図柄は1桁で構成されているために、このデータ信号端子47dから出力される信号は1桁目の普通図柄に関するデータのみである。しかしながら、複数桁の普通図柄が変動する他のパチンコ遊技機にも使用できるように、このデータ信号端子47dには、2桁目以上の普通図柄に対応する図柄データと色データとを出力できるピンがアサインされている。
試験信号端子1(2/2)47b、制御信号端子47c、およびデータ信号端子47dには、図14に示すI/Oポート部33d(図15の出力ポート33d)を介して上記各種の試験用信号が入力されている。
図18を参照して、制御信号端子(特別図柄)41aからは、特別図柄が変動中であることを示す図柄変動中信号と、特別図柄の変動がすべて終了して図柄が確定したこと(表示結果が導出表示されたこと)を示す図柄確定信号と、1桁目の特別図柄(左図柄)が変動中であることを示す1桁目図柄変動中信号と、2桁目の特別図柄(中図柄)が変動中であることを示す2桁目図柄変動中信号と、3桁目の特別図柄(右図柄)が変動中であることを示す3桁目図柄変動中信号とが出力される。
データ信号端子(特別図柄)41bからは、特別図柄の図柄データに関する信号(図柄データbit0〜bit5)と、特別図柄の色データに関する信号(図柄データbit1、bit2)とが、図柄の桁数別に出力される。
上記制御信号端子41aおよびデータ信号端子41bには、図15に示す表示制御用CPU40aより上記各種の試験用信号が入力されている。
以上のように、試験用コネクタ41,47においては、信号出力端子の各ピンに対応する出力信号が予め定められている。このため、遊技機の試験を行なう際には、試験用コネクタ41,47に対応するコネクタが設けられた信号出力用ケーブルを試験用コネクタ41,47に接続することで複数の試験用信号を一括して外部出力させることができる。これにより、打玉の発射に関する適合性試験や、賞球の払出しに関する適合性試験、普通電動役物14に関する適合性試験等からなる形式試験を容易に行なうことができる。
たとえば、入賞信号については、どの位置に対応する入賞口の入賞信号であるのかを外部で特定でき、利便性が高い。これにより、たとえば、大当り状態中における大入賞口への入賞数が適正か否かを容易に確認することができる。
特に、特別図柄の確率変動状態に付随して通常遊技状態とは異なる作動状態で作動する普通図柄用可変表示器10および普通電動役物14に関しては、普通電動役物開放信号、普通電動役物作動中信号、普通電動役物開放延長信号、普通図柄当り信号、普通図柄確率変動状態信号、普通図柄変動時間短縮状態信号といった豊富な種類の信号が試験用コネクタ47から出力されるために、特別図柄の確率変動状態に付随する普通図柄用可変表示器10および普通電動役物14の作動状態が適正か否かの試験を容易に確認することができる。
また、試験用コネクタ47は遊技制御基板31に設けられているために、その遊技制御基板31上で伝送される信号を出力用の試験信号として一括して容易に遊技機の外部に出力することができる。
図19は、試験用コネクタ47から出力される各種試験用信号を説明するためのタイミングチャートである。
図19(A)には、大当り中信号(特別図柄大当り信号)が示されている。この大当り中信号を参照することにより、T1の時点で特定遊技状態(大当り状態)が終了した後、T2の時点で再度大当りが発生し特定遊技状態(大当り状態)に移行していることがわかる。T1〜T2の間においては、T2の時点で大当りが発生するまで、始動入賞に基づく特別図柄の変動が繰返される。なお、ここでは、T1の時点で終了する特定遊技状態を引き起こした大当りは、確変大当りとする。
図19(B)には、特別図柄確変状態信号(特図確変信号)が示されている。この特別図柄確変状態信号は、確変大当りに基づく大当り状態がT1の時点で終了することに伴ってオフ状態からオン状態となる。その後、T2の時点で大当りが発生することに伴って、オン状態からオフ状態に変化する。この実施の形態では、確変大当りが発生した場合にはその確変大当りに基づく大当り状態の終了後に大当り確率の向上された確率変動状態となり、その後、大当りが発生すれば一旦大当り確率が通常確率に復帰する。試験用コネクタ47から出力される特別図柄確変状態信号を利用することにより、特別図柄の確率変動状態の期間を遊技機の外部で容易に把握できる。
図19(C)には、普通図柄確変状態信号(普図確変信号)および普通図柄変動時間短縮状態信号(普図変動時間短縮状態信号)が示されている。この実施の形態では、特別図柄の確率変動状態となれば、それに付随してその確率変動状態の全期間にわたって、普通図柄の当り確率が向上されるとともにその期間中に検出された通過ゲート10aの通過に基づく普通図柄の変動時間が短縮される。
具体的には、打玉が通過ゲート11aを通過した時点が確率変動状態に制御されている期間であれば、その通過に基づく普通図柄の判定(図25を用いて詳述する)において高確率で普通図柄の表示結果が当りに事前決定され、かつ、普通図柄の判定の後において開始される普通図柄の変動時間が短縮されるのである。普通図柄の確率変動状態の期間と普通図柄の変動時間短縮状態の期間とが、図19(C)の普通図柄確変状態信号および普通図柄変動時間短縮状態信号によって示されるために、試験用コネクタ47から出力されるこれらの信号を利用して普通図柄の確率変動状態の期間と普通図柄の変動時間短縮状態の期間とを遊技機の外部で容易に把握できる。
図19(D)には、普通電役開放延長信号(普電役開放延長信号)が示されている。この実施の形態では、確率変動状態となれば、それに付随して普通電動役物14の開放時間が延長され、かつ、その開放回数が増加されるようになる。
具体的には、確率変動状態に制御されている期間中に検出された打玉の通過ゲート11aの通過に基づいて、前述した普通図柄の当り判定がなされた場合には、その当りに基づく普通電動役物14の開放時間が延長され、かつ、その開放回数が増加される。この普通電動役物開放延長信号により、電動役物14の開放時間を延長することが決定される期間、およびその開放回数を増加させることが決定される期間を把握できる。
図19(E)には、普通図柄を始動させるためのゲートスイッチ12の検出出力(普図始動出力)が示されている。図19(B)の信号状況と照らし合わせると容易に理解されるように、t1は、確率変動状態以外での検出出力を示し、t2は確率変動状態における検出出力を示している。
図19(F)には、普通図柄の変動状況が示されている(普図変動)。図示するように、図19(E)のt1およびt2のそれぞれの検出出力に基づいて普通図柄の変動が開始されている。t1の時点では確率変動状態ではないために、普通図柄の変動時間を短縮させる期間に該当せず(図19(C)の普通図柄変動時間短縮状態信号オフ)、普通図柄の変動時間は29.1秒となる。なお、このt1の検出出力に基づいて普通図柄の判定(当りとするか否か)がされる際には、通常確率で当りとすることが決定される。そのことがt1の時点で図19(C)の普通図柄確率変動状態信号がオフ状態となっていることによって示されている。一方、t2の時点では確率変動状態に移行しているために、普通図柄の変動時間を短縮させる期間に突入しており(図19(C)の普通図柄変動時間短縮状態信号オン)、その変動時間が5.1秒に短縮される。なお、このt2の検出出力に基づく普通図柄の判定(当りとするか否か)がされる際には、高確率で当りとすることが決定される。そのことがt2の時点で図19(C)の普通図柄確率変動状態信号がオン状態となっていることによって示されている。普通図柄の変動状態を示す信号は、普通図柄変動中信号(図17参照)として、試験用コネクタ47から遊技機外部へ出力される。このため、試験用コネクタ47を利用することにより、普通図柄用可変表示器10の変動開始時期と表示結果が導出表示された時期とを容易に把握できる。
図19(G)には、普通電動役物作動中信号(普電役作動中信号)が示されている。また図19(H)には、普通電動役物用のソレノイド16の作動状態が示されている(普電役ソレノイド)。このソレノイド16の作動状態を示す信号は、普通電動役物開放信号(図16参照)として、試験用コネクタ47から遊技機外部へ出力される。このため、試験用コネクタ47を利用することにより、普通電動役物14が開放状態となっているか否かを容易に把握できる。
図19(F)に示された普通図柄の変動結果がともに当りであればそれぞれ電動役物14を開放させる制御が開始され、図19(G)に示すようにその旨を示す普通電動役物作動中信号がオフ状態からオン状態とされる。さらに、図19(H)に示すようにソレノイド16の励磁制御が開始され、電動役物14が開放状態とされる。ところが、普通図柄の変動を開始させる条件が成立した時点t1とt2とでは、遊技状態が異なるために励磁制御の内容が異なっている。
すなわち、t1の時点では確率変動状態ではないために、ソレノイド16の励磁時間が0.2秒とされ、かつ、励磁回数が1回とされている。このため、ソレノイド16によって作動する電動役物14は、0.2秒間開放された後閉成される。一方、t2の時点では確率変動状態に移行しているために、ソレノイド16の励磁時間が1.4秒に延長され、かつ、その励磁回数が2回に増加されている。このため、電動役物14は、1.4秒間開放された後一旦閉成され、再度1.4秒間開放される。図19(G)に示す普通電動役物作動中信号は、ソレノイド16の励磁制御が終了するまでの間オン状態とされる。たとえば、ソレノイド16の励磁時間が1.4秒、かつ、その励磁回数が2回の場合には、図示するようにソレノイド16の2回目の励磁が終了するまでオン状態に維持される。この普通電動役物作動中信号により、普通電動役物14が作動する状態にあるか否かを把握できるとともに、その信号のオン期間の長さによって、開放時間が延長され、かつ、開放回数が増加した状態で普通電動役物14が作動しているか否かを特定できる。
以上、説明したように、試験用コネクタ47を利用することにより、確率変動状態を特定可能な特別図柄確率変動状態信号の他、普通図柄用可変表示器10の変動時間を短縮させることが決定される期間であるか否かを特定可能な普通図柄変動時間短縮信号、普通図柄の可変表示結果を高い確率で当りとすることが決定される期間であるか否かを特定可能な普通図柄確率変動状態信号をパチンコ遊技機1から容易に得ることができるために、特に特別図柄の確率変動状態に関連する可変表示装置8の動作試験を容易に行なうことができる他、普通図柄の確率変動状態または普通図柄変動時間短縮状態に関連する普通図柄用可変表示器10の動作試験を容易に行なうことが可能となる。
また、試験用コネクタ47を利用することにより、普通電動役物14の開放時間を延長させ開放回数を増加させることが決定される期間であるか否かを特定可能な普通電動役物開放延長信号をパチンコ遊技機1から容易に得ることができるために、その期間に関連する普通電動役物14の動作試験を容易に行なうことが可能となる。
図20は、表示制御基板40側の試験用コネクタ41から出力される試験用信号を説明するためのタイミングチャートである。図20(A)〜(C)には、1桁目〜3桁目変動中信号が示されており、図20(D)には特別図柄変動中信号が示されている。可変表示装置8において特別図柄の一斉変動が開始されると同時に図20(D)に示すように特別図柄変動中信号がオフ状態からオン状態に切換わり、さらに図20(A)〜図20(C)に示すように1桁目変動中信号〜3桁目変動中信号が順次オフ状態からオン状態に切換わる。その後、左中右の順で特別図柄が停止することに伴って、1桁目変動中信号、2桁目変動中信号、3桁目変動中信号の順でオン状態からオフ状態に切換わり、3桁目変動中信号がオフ状態となった時点で特別図柄変動中信号もオフ状態に切換わる。
さらに、図20(E)に示すように、特別図柄変動中信号がオフ状態に切換わった時点で特別図柄の確定を示す特別図柄確定信号がオフ状態からオン状態に切換わり、そのオン状態が50ms以上の間維持された後、オフ状態に切換わる。
図20(F)〜図20(H)には、図柄データ信号と図柄色データ信号とが各桁数別に示されている。図20(F)に示すように、1桁目図柄データ信号と1桁目図柄色データ信号とは図20(A)に示す1桁目変動中信号がオフ状態に切換わった時点で出力が開始される。2桁目図柄データ信号と2桁目図柄色データ信号は図20(G)に示すように、2桁目変動中信号がオフ状態に切換わった時点で出力が開始される。3桁目図柄データ信号と3桁目図柄色データ信号は、図20(H)に示すように,3桁目変動中信号がオフ状態に切換わった時点で出力が開始される。その後、各図柄データ信号と図柄色データ信号とは、特別図柄確定信号がオフ状態に切換わった時点で出力が停止される。
これらの特別図柄に関する信号が表示制御基板40側の試験用コネクタ41から遊技機外部に出力されるために、遊技機外部で容易に特別図柄に関する信号を得ることができる。
図21は、試験用コネクタ47の遊技制御基板31への固着方法を説明するための遊技制御基板31の要部平面図である。
遊技制御基板31には、基本回路33の他、各種入賞口に対応して遊技盤6等に設けられる各種入賞検出スイッチからの入賞検出信号が入力されるスイッチ回路58等が実装されており、遊技制御基板31に実装された各種回路はプリント配線によって接続されている。なお、図21においては、それらの電子部品の図示を省略している。
この遊技制御基板31には、基本回路33と各種電子部品とを接続する複数のプリント配線の他、その複数のプリント配線の各々より分岐して試験用コネクタ47の取付け位置へ延長された複数のプリント配線312が施されており、そのプリント配線312の末端部分311には、ドーナツ形状の中央部分が基板を含めて打抜かれたスルーホール311aが形成されている(図21(a)参照)。このスルーホール311aの各々に対して、試験用コネクタ47に設けられた複数のピンが接合されることにより、図21(b)に示すように検査用コネクタ47がプリント配線312の末端部分311に取付けられる。
また、試験用コネクタ47の周囲には、検査用コネクタ47の設けられた部分を折り曲げるとその検査用コネクタ47を含む基板部分が破線332に沿って容易に遊技制御基板31から切除されるように、予め破線332に沿って基板に切除容易化処理が施されている。よって、試験用コネクタ47を利用した形式試験が終了した後は、図21(c)に示すように試験用コネクタ47を含む基板部分を容易に切除することができる。これにより、遊技機の出荷納入後において、試験用コネクタ47にいわゆる“ぶら下げ基板”を接続して始動入賞信号の発生時期をずらし、大当りを発生させるような不正行為が極めて容易に行なわれてしまうことを防止できる。しかも、その不正行為防止のための作業を容易に行なうことができる。
なお、ここでは、基板が切除される例を示したが、試験用コネクタ47を遊技制御基板31に対して着脱可能に設け、試験終了後に試験用コネクタ47を取外すように構成してもよい。
また、試験用コネクタ47を設けることなく、図21(a)に示すようにスルーホール311aのみを形成し、試験の際にはスルーホール311aに所定のプローブを接触させるようにしてもよい。
以上、説明したように、この試験用コネクタ47は遊技制御基板31に設けられているために、その遊技制御基板31上で伝送される信号を試験用信号として一括して容易に外部に出力させることができる。また、この試験用コネクタ47を利用すると、多数のプリント配線や電子部品で密集する遊技制御基板31において、必要な試験用信号が伝送されるプリント配線を見つけ出し、試験用の外部出力用配線をそのプリント配線にハンダ付け等して試験用信号を取出す作業をする必要がない。このため、試験用信号を取出すための作業が多数のプリント配線の存在によって煩雑となることや、誤って目的とするプリント配線以外のプリント配線から情報を取り出してしまうこと、さらには、プリント配線同士をショートさせてしまうことを防止でき、形式試験を容易にすることができる。しかも、遊技制御基板31自体に試験用コネクタ47が設けられており、形式試験が終了すれば遊技制御基板31とともに遊技制御基板ボックス87内に封入されるために、遊技場に遊技機が設置された後においてその試験用コネクタ47が悪用されて不正行為が行なわれることを防止できる。
なお、ここでは、遊技制御基板31への試験用コネクタ47への固着方法を説明したが、試験用コネクタ41についても同様の態様で表示制御基板40に固着される。
図22は、スイッチ回路58(図14参照)に含まれるスイッチ入力回路58Aの回路図である。スイッチ回路58には、各種入賞口スイッチ17,23,240a〜240e、Vカウントスイッチ22、およびゲートスイッチ12の出力をパルスに変換して基本回路33に与えるための複数のスイッチ入力回路58Aが含まれる。図22には、このスイッチ入力回路58Aと、近接スイッチSWとの接続態様が示されている。近接スイッチSWは、各種入賞検出スイッチ17,23,240、Vカウントスイッチ22、およびゲートスイッチ12として用いられている。
図22を参照して、スイッチ入力回路58Aは、一方の極板が接地電位、他方の極板が接点Aを介して近接スイッチ24の−端子に接続されたキャパシタ58Cと、接点Aと接地電位との間に、キャパシタ58Cと並列接続された抵抗58R1と、接点Aに一端が接続された抵抗58R2と、抵抗58R1の接点A側の一端と、抵抗58R2の接点Aと反対側の接点Cとの間に接続されたツェナーダイオード58Dおよびインバータ58G1と、接点Cに入力が接続されたインバータ58G2とを含み、キャパシタ58Cと、抵抗58R1,47と、ツェナーダイオード58Dおよびインバータ58G1とが時定数回路を形成する。
インバータ58G2の出力端子と基本回路(遊技制御用マイクロコンピュータ)33の入力端子との間には、図14において図示を省略した集合抵抗48および入力バッファ49が接続されている。集合抵抗48は、抵抗の集合体よりなり、5Vの電位が印加されている。入力バッファ49は、インバータを含み、入力された信号の信号レベルを反転させた信号を出力する。
インバータ58G2の出力は、スイッチ入力回路58Aを含むスイッチ回路58から出力された後、集合抵抗48および入力バッファ49を介して、基本回路(遊技制御用マイクロコンピュータ)33に与えられる。また、インバータ58G2から集合抵抗48に向かう信号経路の途中にある接点Bには、試験用コネクタ47と接続されたプリント配線312が分岐接続されている。なお、ツェナーダイオード58Dは、インバータ58G1が適正に動作することが可能となるように、インバータ58G1の入力電圧のレベルを調整するためのものであるが、他の回路定数を適当に選ぶことにより、ツェナーダイオード58Dが不要となることもあり得る。
次に、近接スイッチSWによって打玉が検出された場合のスイッチ入力回路58Aの動作、および、その動作によってスイッチ入力回路58Aから基本回路33と試験用コネクタ47とに出力される検出信号について説明する。
打玉が近接スイッチSW内を通過していない時、近接スイッチSWのインピーダンスは低い。接点Aは近接スイッチSWを介して+12Vの電源に接続されているため、接点Aには近接スイッチSWのインピーダンスと抵抗58R1の抵抗値との比率に応じた電圧が印加され、キャパシタ58Cには接点Aの電位に対応した電荷が蓄積されている。このため、接点Cの電位はハイレベルである。したがってインバータ58G2の出力、すなわち接点Bの電位はローレベルである。基本回路33へは、集合抵抗48および入力バッファ49を介して、入力バッファ49により反転されたハイレベルの信号が出力される。一方、試験用コネクタ47へは、接点Bよりプリント配線312を介してローレベルの信号が出力される。
近接スイッチSWに打玉が進入すると、打玉が近接スイッチSW内を通過している間、近接スイッチSWのインピーダンスが高くなる。このため、キャパシタ58Cに蓄積されていた電荷の一部は抵抗58R1を介して接地電位に放電され、接点Aの電位が低下する。接点Aの電位の低下につれて接点Cの電位も低下する。接点Cの電位がインバータ58G2のしきい値電圧以下となると、接点Bの電位がハイレベルとなる。打玉が近接スイッチSWを通過し終えた後は接点Bの電位が再びローレベルとなる。すなわち、インバータ58G2は、打玉が近接スイッチSWを通過したことに応答して、入力バッファ49へ向けてハイレベルの方形パルスを1つだけ出力する。このパルス信号は、集合抵抗および入力バッファ49を介して、入力バッファ49により反転され、基本回路33へローレベルのパルス信号が出力される。一方、試験用コネクタ47へは、接点Bよりプリント配線312を介してハイレベルのパルス信号が出力される。試験用コネクタ47に試験装置が接続されている場合には、試験用コネクタ47を介して方形パルスのデジタル信号が試験装置側に出力される。
以上、説明したように、近接スイッチSWによって打玉が検出された場合には、近接スイッチSWから検出信号として出力されるアナログ信号(接点Aの電位の変動)がスイッチ入力回路58Aによって方形パルスのデジタル信号に変換され、その変換された信号が試験用コネクタ47へ向けて伝送される。このため、試験用コネクタ47に試験装置を接続して検出信号を検査する場合には、試験装置側で安定した信号が得られる。これにより、検査結果の信頼性を高めることができる。
なお、試験用コネクタ47と接続されるプリント配線312を接点Bと接続することに代えて、入力バッファ49と基本回路33との間にあるプリント配線部分と接続してもよい。これにより、基本回路33に入力される検出信号と同一の信号を試験用コネクタ47を介して試験装置側でモニタすることができる。その他、集合抵抗48と入力バッファ49との間にあるプリント配線部分と接続してもよく、さらに、信号接点Aと接続するように構成してもよい。信号接点Aと接続することにより、近接スイッチSWから出力される信号と同一の波形の検出信号を試験用コネクタ47を介して試験装置側でモニタすることができる。
次に、引き続き図22を参照して、無線電波によるノイズの混入時、近接スイッチSWの断線時および近接スイッチSWのショート発生時のスイッチ入力回路58Aの動作について説明する。
まず、スイッチ入力回路58Aに入力される信号に、無線電波などによるノイズが混入している場合を考える。スイッチ入力回路58Aの接点Aの電位は、近接スイッチSWに打玉が進入していない場合、ハイレベルであり、入力信号に無線電波によるノイズが混入した場合、接点Aの電位がさらに高くなるだけである。そのために、入力信号にノイズが混入しても、それに起因してインバータ58G2の入力電圧が、インバータ58G2のしきい値電圧以下になることはない。接点Bの電位はハイレベルとなることはなく、基本回路33に誤った信号が与えられるおそれはない。
また、断線時には、次のようにして異常の発生を知ることができる。近接スイッチSWに打玉が進入していない時、スイッチ入力回路58Aの接点Aはハイレベルであり、キャパシタ58Cには所定の電荷が蓄積されている。近接スイッチSWが断線すると、キャパシタ58Cに蓄積されている電荷抵抗58R1を介して接地電位に放電され、接点Aの電位は低下する。接点Aの電位、すなわち接点Cの電位がインバータ58G2のしきい値以下となると、接点Bの電位はハイレベルとなる。断線の場合には接点Aの電位は再びハイレベルとなることはないので、接点Bがハイレベルのままである。基本回路33では、入力バッファ49により反転されて入力される信号が所定時間以上ローレベルであることを検出し、近接スイッチSWに何らかの異常が発生したことを知ることができる。
次に、近接スイッチSWがショートした場合を考える。スイッチ入力回路58Aの接点Aは近接スイッチSWを介して+12Vの電源に接続されるため、その電位は徐々に上昇し、接点Cの電位もそれに伴い上昇する。接点Aの電位がツェナーダイオード58Dとインバータ58G1とのしきい値電圧を超えると、インバータ58G1の出力、すなわち接点Cの電位が反転してローレベルとなる。これにより、インバータ58G2の入力がローレベルに変化するため、インバータ58G2の出力、すなわち接点Bの電位はハイレベルに変化する。近接スイッチSWがショートしているわけであるから、この状態が保持される。基本回路33は、入力バッファ49により反転されて入力される信号が所定時間以上ローレベルであることを検出することにより、近接スイッチSWに何らかの異常が発生したことを知ることができる。
図23は、このパチンコ遊技機1の制御に用いられる各種ランダムカウンタを示す図である。図23には、C_RND1、C_RND_L、C_RND_C、C_RND_R、C_RND_RCHA、C_RND_RCH、C_RND_NR、およびC_RND2の8種類のランダムカウンタが示されている。
C_RND1は、始動記憶がある場合にその始動記憶に基づく特別図柄の可変表示の結果を大当りとするか否かを決定するために用いられるランダムカウンタである。このランダムカウンタは、後述するタイマ割込毎(具体的には0.002秒毎)に1ずつ加算更新され、0から加算更新されてその上限である293まで加算更新された後再度0から加算更新される。
C_RND_L、C_RND_C、C_RND_Rは、可変表示部9に最終的に停止表示される停止図柄(確定図柄)の種類を決定するために用いられるランダムカウンタである。
C_RND_Lは左図柄決定用であり、0から加算されてその上限である14まで加算されると再度0から加算される。C_RND_Lは、前述したタイマ割込毎すなわち0.002秒毎に1ずつ加算される。なお、表示結果がはずれとなるリーチ状態を表示する場合には、このC_RND_Lによって左図柄と右図柄とが決定されることにより、リーチ図柄が定められる。
C_RND_Cは、中図柄決定用のランダムカウンタであり、0から加算されてその上限である14まで加算されると再度0から加算される。C_RND_Cは、前述したタイマ割込毎すなわち0.002秒毎、および、割込処理余り時間毎に1ずつ加算される。
C_RND_Rは、右図柄決定用のランダムカウンタであり、0から加算されてその上限である14まで加算された後再度0から加算される。C_RND_Rは、前述のC_RND_Cの桁上げごとに1ずつ加算される。
C_RND_RCHAは、C_RND1の抽出値に基づいてはずれとすることが決定された場合において、そのはずれの表示結果が導出表示される途中にリーチ状態を表示させるか否かを決定するために用いられるランダムカウンタである。C_RND_RCHAは、0から加算されてその上限である1530まで加算されると再度0から加算される。C_RND_RCHAは、前述したタイマ割込毎すなわち0.002秒毎、および、割込処理余り時間毎に1ずつ加算される。
C_RND_RCHおよびC_RND_NRは、変動パターンを決定するために用いられるランダムカウンタである。特に、C_RND_RCHはリーチ状態を表示する場合に用いられるランダムカウンタであり、C_RND_NRはリーチ状態を表示しない場合に用いられるランダムカウンタである。リーチ状態の表示の必要性の有無に応じて、C_RND_RCHおよびC_RND_NRのうちいずれか一方のカウンタ値が抽出されてその値に基づいて変動パターンが定められ、その定められた変動パターンを特定可能な変動パターンデータを含む特別図柄変動開始コマンドが遊技制御基板31から表示制御基板40へ出力される。C_RND_RCHの0〜7の各値に対応する変動パターンデータと、C_RND_RCHの0〜2の各値に対応する変動パターンデータとは、基本回路33内に記憶されている。
C_RND_RCHは0から加算されてその上限である7まで加算された後再度0から加算される。また、C_RND_NRは0から加算されてその上限である2まで加算された後再度0から加算される。C_RND_RCHおよびC_RND_NRは、前述したタイマ割込毎すなわち0.002秒毎、および、割込処理余り時間毎に1ずつ加算される。
C_RND2は、通過記憶がある場合にその通過記憶に基づく普通図柄の可変表示の結果を当りとするか否かを決定するために用いられるランダムカウンタである。このランダムカウンタは、0.002秒毎に1ずつ加算更新され、3から加算更新されてその上限である13まで加算更新された後再度3から加算更新される。
図24は、始動記憶がある場合にその始動記憶に基づく特別図柄の可変表示の結果を大当りとするか否かを決定する処理手順を説明するためのフローチャートである。
始動入賞があれば、C_RND1のカウント値が抽出される。C_RND1の抽出値は特別図柄判定用バンクに格納される。ここで、特別図柄判定用バンクは、始動入賞に応じて抽出されたC_RND1の抽出値のデータを一時的に格納するための記憶領域をいい、基本回路33のRAM33cの作業領域に設けられている。始動入賞は最大4つまで記憶されるため、特別図柄判定用バンクは、バンク0〜バンク3の4つの記憶領域を有するシフトレジスタにより構成されている。特別図柄判定用バンクにおいては、始動入賞が検出された時点で、特別図柄判定用バンク0,1,2,3の順序で、始動入賞に対応するC_RND1の抽出値のデータが記憶されて行く。
具体的に、始動入賞に応じたC_RND1の抽出値は、最大4つ記憶されるが、最も古いタイミングでの抽出値が特別図柄判定用バンク0に記憶され、始動入賞に応じて、バンク1,2,3の順に抽出値が記憶されて行く。特別図柄判定用バンク0〜3のうちのバンク0に記憶されている抽出値が、大当りを発生させるか否かの判定に用いられる。そして、バンク0の判定が済むと、バンク0の記憶データがクリアされるとともに、バンク1,2,3のそれぞれの記憶データが、1バンクずつバンク0に向けてシフトされる。そして、そのような大当りの判定とデータのシフトとが繰返し実行されることにより、始動入賞記憶に応じた大当りの判定が行なわれるのである。
なお、始動入賞が検出されるのと同時にC_RND_Lのカウント値も抽出され、その抽出値は左図柄判定用バンクに格納される。左図柄判定用バンクについても特別図柄判定用バンクと同様に基本回路33のRAM33cの作業領域に設けられており、左図柄判定用バンク0〜左図柄判定用バンク3の4つの記憶領域を有するシフトレジスタにより構成されている。そして、左図柄判定用バンクにおいては、始動入賞が検出された時点で、左図柄判定用バンク0,1,2,3の順序で、始動入賞に対応するC_RND_Lの抽出値のデータが記憶されて行く。
次に、特別図柄判定用バンクに格納された抽出値を判定するための大当り判定用の特別図柄判定値が設定される。ここで、高確率時(確率変動状態)でない通常時(通常遊技状態)においては、特別図柄判定値として「7」が設定される。一方、高確率時では、特別図柄判定値として「7」,「11」,「79」の3つが設定される。
次に、設定された特別図柄判定値と抽出値とが比較され、通常時では、抽出値が「7」のときには大当りとすることが決定され、それ以外の時にははずれとすることが決定される。一方、高確率時では、抽出値が「7」,「11」,「79」のうちのいずれかのときには大当りとすることが決定され、それ以外の時にははずれとすることが決定される。
大当りとすることが決定された場合には、左図柄判定用バンクに格納されているC_RND_Lの値が参照され、ゾロ目で停止させる大当り図柄がその抽出値に基づいて決定される。一方、はずれとすることが決定された場合には、C_RND_C、C_RND_Rの値が抽出され、それらの抽出値と左図柄判定用バンクに格納されているC_RND_Lとに基づいて可変表示部9に最終的に停止させるはずれ図柄が決定される。ここで、この決定されたはずれ図柄が偶然ゾロ目の図柄であった場合には、C_RND_Cの抽出値に「1」が加算され、強制的にはずれ図柄とされる。
図24を用いて説明した以上の処理は、特別図柄の可変表示を開始させる前に事前に行なわれる。
図25は、通過記憶がある場合にその通過記憶に基づく普通図柄の可変表示の結果を大当りとするか否かを決定する処理手順を説明するためのフローチャートである。
通過記憶があれば、まず、ランダムカウンタC_RND2のカウント値が抽出され、普通図柄判定用バンクに格納される。ここで、普通図柄判定用バンクは、特別図柄判定用バンクと同様に、バンク0〜バンク3の4つの記憶領域を有するシフトレジスタにより構成されている。
次に、その抽出値を判定するための当り判定用の普通図柄判定値が設定される。ここで、高確率時(確率変動状態)でない通常時(通常遊技状態)においては、普通図柄判定値として「3」,「7」,「11」が設定される。一方、高確率時では、普通図柄判定値として「3」〜「12」が設定される。
次に、設定された普通図柄判定値と普通図柄判定用バンク内の抽出値とが比較され、通常時では、抽出値が「3」,「7」,「11」のうちのいずれかのときには当りとすることが決定され、それ以外の時にははずれとすることが決定される。一方、高確率時では、抽出値が「3」〜「12」のうちのいずれかのときには当りとすることが決定され、それ以外の時にははずれとすることが決定される。
当りとすることが決定された場合には、当り図柄が一津に「7」に決定される。一方、はずれとすることが決定された場合には、はずれ図柄が一津に「−」に決定される。
図25を用いて説明した以上の処理は、普通図柄の可変表示を開始させる前に事前に行なわれる。
次に、基本回路33により実行される処理の一部をフローチャートを参照して説明する。
図26は、基本回路33により実行される遊技制御メイン処理および割り込み処理を示すフローチャートである。図26においては、(a)に遊技制御メイン処理が示され、(b)に割り込み処理が示されている。
図26の(a)を参照して、遊技制御メイン処理においては、まず、スタックポインタの指定アドレスをセットするためのスタックセット処理が行なわれる(S1)。次いで、初期化処理が行なわれる(S2)。初期化処理では、RAM33cにエラーが含まれているか判定され、エラーが含まれている場合には、RAM33cを初期化することおよび各種フラグの初期設定などの処理が行なわれる。さらに、初期化処理では、後述する割り込み処理を実行するタイミングを規定するタイマ割り込み時間(たとえば0.002秒)をCPU33aに設定する処理がなされる。これにより、電源投入等によるリセット後の最初の割り込み処理の実行タイミング規定のための計時が開始される。
次に、停止図柄を決定する等のための表示用乱数更新処理が行なわれる(S3)。このパチンコ遊技機1においては、可変表示装置8の可変表示での特別図柄の停止図柄が乱数(ランダムカウンタのカウンタ値)に基づいて決定される。このS3では、そのように停止図柄を決定するための表示用乱数が更新される。表示用乱数更新処理は、無限ループにより繰返し実行され続けるが、後述する割り込み処理が起動された場合には、表示用乱数更新処理を構成するプログラムのうちの実行中の位置で一時停止され、その割り込み処理が終了すると一時停止したプログラムの位置から実行が再開される。
次に、図26の(b)を参照して、割り込み処理は、CPU33aにより管理されるタイマ割り込み用のタイマの計時値が設定値(S2またはS13で設定されるタイマ割り込み時間)になるごとに実行が開始される。
割り込み処理においては、まず、ランプ制御基板35および音声制御基板70に音声発生やLED点灯制御用の所定のコマンドを送信するための処理が行なわれるとともに、情報出力回路64を介してホール管理用コンピュータに大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを送信するためのデータ出力処理が行なわれる(S4)。次に、パチンコ遊技機1の内部に備えられている自己診断機能によって種々の異常診断をし、その結果に応じて必要ならば警報を発生させるためのエラー処理が行なわれる(S5)。次に、遊技制御に用いられる各種の判定用乱数を示す各ランダムカウンタを更新する判定用乱数更新処理が行なわれる(S6)。
次に、特別図柄プロセス処理が行なわれる(S7)。特別図柄プロセス処理では、複数種類の処理のうちの1つが特別図柄プロセスフラグの値に従って選択されて実行される。そして、特別図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中において更新される。次に、普通図柄プロセス処理が行なわれる(S8)。普通図柄プロセス処理では、7セグメントLEDによる普通図柄用可変表示器10を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理が選び出されて実行される。そして、普通図柄プロセスフラグの値は、遊技状態に応じて各処理中に更新される。
次に、ゲートスイッチ12、始動口スイッチ17、Vカウントスイッチ22、カウントスイッチ23等の状態を入力し、各入賞口や可変入賞球装置に対する入賞があったか否か等を判定するスイッチ処理が行なわれる(S9)。始動口スイッチ17により始動入賞が検出された場合には、このスイッチ処理において、始動記憶処理が実行される。具体的には、始動口スイッチ17により始動入賞が検出されると、そのタイミングで大当り判定用のランダムカウンタのカウンタ値が抽出され、始動記憶用の特別図柄判定用バンクにその抽出値が記憶される。これにより始動記憶がなされる。前述したように始動記憶用の特別図柄判定用バンクは、バンク0〜バンク3の4つ構成されており、この4つのバンクによって最大4つの始動記憶を可能にしている。よって、始動入賞が検出された際にすべてのバンクに記憶がある場合には、その始動入賞が無効とされる。
次に、S3と同様の表示用乱数更新処理が行なわれる(S10)。次に、賞球玉貸制御用CPU37aとの間の入賞球信号処理が行なわれる(S11)。すなわち、基本回路33は、賞球玉貸制御用CPU37aより賞球数要求信号が入力されると、賞球玉貸制御用CPU37aに対して出力すべき賞球コマンド(賞球数指定信号)を選択する。次に、選択した賞球コマンドを出力するための賞球コマンド出力処理が行なわれる(S12)。賞球玉貸制御用CPU37aは、この賞球数指定信号に基づいて賞球装置57aを駆動制御する。
次に、タイマ割り込み時間設定処理が行なわれる(S13)。S13においては、前述したようなタイマ割り込み時間(たとえば0.002秒)をS2の場合と同様に設定する処理が実行される。S13の後、この割り込み処理が終了する。これにより、この割り込み処理の終了時にS13によってタイマ割り込み時間が設定され、次の割り込み処理の実行タイミングを規定するための計時が開始されることとなる。したがって、割り込み処理が終了するごとにタイマ割り込みのための時間が計時され、その後タイマ割り込み時間が経過するごとに割り込み処理が実行されることとなる。この割り込み処理が終了すると、前述したメイン処理のプログラムの実行が、一時停止していた位置から再開される。
図27は特別図柄プロセス処理を説明するためのフローチャートである。特別図柄プロセス処理は、図26(b)のS7で実行される処理である。この特別図柄プロセス処理においては、特別図柄プロセスフラグの値に応じてS300〜S305のうちのいずれかの処理が実行された後、S306の表示制御データ処理が実行される。特別図柄プロセス処理が実行されることにより、特別図柄の変動が制御されるとともに、大当り状態における制御が行なわれる。ここで、特別図柄プロセスフラグとは、各特別図柄の可変表示を実行する際に実行するプロセスを指定するフラグをいう。特別図柄の可変表示動作は、複数のプロセスに分けられており、特別図柄プロセスフラグのデータにより指定されるプロセスに応じた状態に制御される。
特別図柄変動待ち処理(S300)は、始動入賞があるか否か(始動記憶があるか否か)を判定し、始動記憶がない場合にはデモンストレーション画面を表示させるための指令情報を設定し、始動記憶がある場合には特別図柄プロセスフラグを更新して特別図柄判定処理に移行可能とする処理である。この特別図柄変動待ち処理の詳細な処理内容についての説明を省略する。
特別図柄判定処理(S301)は、始動記憶に関連するデータを抽出し、大当りとするか否かなどを事前決定する処理である。詳細については、図28を用いて後述する。
図柄変動設定処理(S302)は、停止図柄や変動パターンを設定する処理である。詳細については図29を用いて後述する。
大当り開始処理(S303)は、大当りの発生に基づく特定遊技状態(大当り状態)を開始するための準備をする処理である。詳細については図30を用いて後述する。
大当り中処理(S304)は、2ラウンド以降の各ラウンドを制御する処理である。詳細については図31を用いて後述する。
大当り終了処理(S305)は、大当り終了表示のための制御を行なうとともに、確変図柄による確変大当りであった場合にはその後に遊技状態の確率変動状態に移行させるために必要な制御を行なう処理である。詳細については図32を用いて後述する。
表示制御データ処理(S306)は、各処理(S300〜S305)において設定された表示制御用のコマンドデータを表示制御基板40へ出力する処理である。この表示制御データ処理の詳細については説明を省略する。
図28は、特別図柄判定処理を説明するためのフローチャートである。特別図柄判定処理においては、まず、確率変動フラグがオンされているか、すなわち、パチンコ遊技機1が高確率状態に制御されている最中であるか否かが判断される(SA1)。高確率状態に制御されている場合には、高確率時すなわち確変状態にある場合の特別図柄判定値データを大当り判定用データとしてセットする処理を行なわれる(SA3)。確変状態にある場合の特別図柄判定値データとは、具体的には、「7」,「11」,「79」である。
一方、高確率状態に制御されていない場合には、低確率時すなわち高確率状態にない通常時の特別図柄判定値データを大当り判定用データとしてセットする処理が行なわれる(SA2)。通常時の特別図柄判定値データとは、具体的には「7」である。
SA2またはSA3の後、大当りフラグをクリアする処理が行なわれる(SA4)。これにより、前回の大当り状態の記憶がクリアされる。次に、特別図柄判定用バンク0に記憶された大当り判定用乱数が、SA2またはSA3でセットした特別図柄判定値データと一致するか否かが判断される(SA5)。SA5において、高確率時特別図柄判定値データにより判定がなされる場合には、複数の特別図柄判定値のうちの選択された1つの特別図柄判定値データを用いて1回の判定が行なわれる。高確率時特別図柄判定値データを構成する複数の特別図柄判定値のそれぞれは、判定に用いられる順序が予め定められており、最初の順番の特別図柄判定値から順にSA5での判断に用いられる。SA5での判断に用いられる特別図柄判定値が、後述するSA7の処理により順次更新されて行くことにより、高確率時特別図柄判定値データのすべてについての判定が行なわれる。
SA5により特別図柄判定用バンク0のC_RND1の記憶データが特別図柄判定値と一致すると判断された場合は、大当りを発生させる場合であり、後述するSA6に進む。一方、SA5により特別図柄判定用バンク0のC_RND1の記憶データが特別図柄判定値ではないと判断された場合は、次の順序の特別図柄判定値のデータをSA5での判定に用いられる特別図柄判定値として設定する処理がなされる(SA7)。ここで、低確率時特別図柄判定値データおよび高確率時特別図柄判定値データのそれぞれは、特別図柄判定値の他に判定終了コードと呼ばれるデータを含んでいる。低確率時特別図柄判定値データがSA5での判定のために設定されている場合には、SA7において、常に判定終了コードが設定される。一方、高確率時特別図柄判定値データがSA5での判定のために設定されている場合にSA5で最後の順序の特別図柄判定値を用いた判定がなされた後には、SA7において、判定終了コードが設定される。
SA7の後、SA7で設定された特別図柄判定値のデータが判定終了コードであるか否かの判断がなされる(SA8)。ここで判定終了コードではないと判断された場合には、SA7により設定された次の特別図柄判定値を用いて大当りの判定を行なうため、SA5に戻る。これにより、高確率時の場合には、複数の特別図柄判定値による大当りの判定が繰返し行なわれる。
SA5により特別図柄判定用バンク0のC_RND1の記憶データが特別図柄判定値と一致すると判断された場合は、大当りを発生させるため、大当りフラグを設定する処理がなされる(SA6)。次にリーチフラグを設定する処理がなされる(SA11)。ここでリーチフラグとは、リーチ状態が表示される場合に設定されるフラグをいう。このリーチフラグの設定により、最終的な表示結果が導出表示される前には、リーチ状態が表示される。
SA8により判定終了コードであると判断された場合には、特別図柄判定値を用いた大当りの判定がすべて終了し、はずれにすることが決定される。この場合には、以下のSA9、SA10においてはずれの表示結果を導出表示する前にリーチ状態を表示するか否かが決定される。
まず、C_RND_RCHAのカウンタ値が抽出され(SA9)、続いてその抽出値に基づいて、リーチ状態を表示するか否かが決定される(SA10)。たとえば、C_RND_RCHAの抽出値が「0」〜「104」のいずれかである場合にはリーチ状態を表示することが決定され、「105」〜「1530」のいずれかである場合には、リーチ状態を表示しないことが決定される。そして、リーチ状態を表示することが決定された場合には、リーチフラグが設定される(SA11)。
SA11でリーチフラグが設定された後、またはSA10でNOと判断された後、特別図柄プロセスフラグの値が図柄変動処理に移行できる値に更新され(SA12)、処理が終了する。
図29は図柄変動設定処理を説明するためのフローチャートである。この図柄変動設定処理においては、まず、出力タイマが設定済みであるか否かが判断される(SC1)。出力タイマは、特別図柄の変動パターン(可変表示期間等)を指定するコマンドデータが出力データ格納領域にセットされた後に、後述するSC7においてセットされる。出力タイマが設定されていない場合には、リーチフラグが設定されているか否かが判断される。リーチフラグは前記SA11で設定される。リーチフラグが設定されていると判断された場合には、リーチ変動振分用用ランダムカウンタC_RND_RCHAの値が抽出され(SC3)、リーチフラグが設定されていないと判断された場合にはノーマル変動振分用ランダムカウンタC_RND_NRの値が抽出される(SC4)。その後、SC3またはSC4のいずれかで抽出されたランダムカウンタの値に基づいて、変動パターンが設定される(SC5)。遊技制御基板31の基本回路33において設定される変動パターンは、表示の演出態様を具体的に特定するものではなく、単に可変表示期間およびリーチ状態の表示の必要性の有無を指定するものである。表示制御基板40は、この変動パターンを受信した際に、その変動パターンに応じた演出態様を独自に決定する。
次に、設定された変動パターンを特定可能な変動パターンデータが出力データ格納領域にセットされる(SC6)。出力データ格納領域は、表示制御基板40に対して出力するコマンドデータを格納する領域である。この出力データ格納領域にセットされたコマンドデータは、図27のS306に示した表示制御データ処理において表示制御基板40に対して出力される。次に、変動パターンに対応した出力タイマがセットされる(SC7)。たとえば、変動パターンによって特定される可変表示期間が29.5秒の場合には、その可変表示期間に対応した時間が出力タイマとしてセットされる。遊技制御基板31は、出力データ格納領域にセットされた変動パターンデータが表示制御基板40に対して出力された時点からこの出力タイマの減算更新を開始し、出力タイマのタイマ値が0となった時点で後述するSC17によりプロセスフラグを更新して大当り開始処理または特別図柄変動待ち処理に移行する。
変動パターンに対応した出力タイマがセットされた後、大当りフラグおよびリミッタ作動フラグがともにセットされているか否かが判断される(SC8)。ここで、リミッタ作動フラグは、確率変動のリミッタを作動させる必要が生じた場合に後述の図32のSD13において設定されるフラグである。大当りフラグがセットされなおかつリミッタ作動フラグがセットされている場合には、確変大当りが発生しないように制御する必要があり、このためにリミッタ作動時の特別図柄テーブルが設定される(SC10)。一方、大当りフラグとリミッタ作動フラグとのうち少なくとも一方がセットされていない場合には、確変大当りが発生しないように制御する必要がないために、通常時の特別図柄テーブルが設定される(SC9)。
ここで、特別図柄テーブルは、停止図柄決定用のランダムカウンタ(C_RND_L、C_RND_C、C_RND_R)のカウント値と特別図柄の種類との対応関係を定めたテーブルである。通常時の特別図柄テーブルには、確変図柄を含む全種類の特別図柄が停止図柄決定用のランダムカウンタのカウント値に対応づけされている。一方、通常時の特別図柄テーブルには、確変図柄を含む全種類の特別図柄が停止図柄決定用のランダムカウンタのカウント値に対応づけされている。一方、リミッタ作動時の特別図柄テーブルには、確変図柄を除く特別図柄が停止図柄決定用のランダムカウンタのカウント値に対応づけされている。
SC9またはSC10で特別図柄テーブルが設定された後、その設定された特別図柄テーブルから特別図柄データが抽出される(SC11)。具体的には、大当りフラグが設定されている場合には、すでに左図柄判定用バンク0に格納されているC_RND_Lの抽出値と、SC9またはSC10で設定された特別図柄テーブルとに基づいて、大当り図柄が決定される。一方、大当りフラグが設定されていない場合には、C_RND_C、C_RND_Rのカウント値が抽出され、それらの抽出値およびすでに左図柄判定用バンク0に格納されているC_RND_Lの抽出値と、通常時の特別図柄テーブルとに基づいて、はずれ図柄が決定される。なお、大当りフラグが設定されておらず、リーチフラグが設定されている場合には、C_RND_Lの抽出値によって左右図柄が決定される。このSC11で決定された停止図柄は、可変表示結果として最終的に導出表示される確定図柄とされる。
次に、SC11で定められた確定図柄データが、出力データ格納領域にセットされる(SC12)。次に、特別図柄判定用バンクと左図柄判定用バンクのデータをシフトさせる処理が実行される(SC13)。すなわち、バンク0のデータが廃棄され、バンク1〜3のそれぞれのデータが1つ先のバンクにシフトされる。これにより、特別図柄判定用バンクの場合には、次のデータ(新たにバンク0にシフトされたC_RND1の抽出値)が大当り判定の処理に用いられる状態になる。
次に、特別図柄判定用バンク3の記憶データがクリアされる(SC14)。これは、SA13によるデータのシフトにより、データのシフト前の特別図柄判定用バンク3の記憶データを保持する必要がなくなったためであり、これにより、新たな始動入賞に応じたC_RND1の抽出値を特別図柄判定用バンク3に記憶させることが可能になる。
次に、左図柄判定用バンク3の記憶データをクリアする処理がなされる(SC15)。これは、SA13によるデータのシフトにより、データのシフト前の左図柄判定用バンク3の記憶データを保持する必要がなくなったためであり、これにより、新たな始動入賞に応じたC_RND_Lの抽出値を左図柄判定用バンク3に記憶させることが可能になる。
次に、出力タイマのタイマ値が0になっているか否かが判断される(SC16)。出力タイマのタイマ値が0になっていない場合には、変動パターンに対応した可変表示期間が終了していないために可変表示装置8において特別図柄の変動が継続されているものと判断できる。したがって、この場合にはプロセスフラグを更新する処理を行なうことなく、図柄変動設定処理が終了される。これにより、再度、特別図柄プロセス処理(図27参照)が実行された場合には、この図柄変動設定処理が再度実行され、SC1において出力タイマが設定済みであると判断されて再度SC16において出力タイマのタイマ値が0であるか否かが判断される。そして、出力タイマのタイマ値が0になっている場合には可変表示装置8における特別図柄の可変表示が終了して表示結果が導出表示されているものと判断できるために、プロセスフラグの値が大当り開始処理または特別図柄変動待ち処理を実行できる値に更新される(SC17)。具体的には、大当りフラグが設定されている場合には、プロセスフラグの値が大当り開始処理を実行できる値に更新され、大当りフラグが設定されていない場合には特別図柄プロセスフラグの値が特別図柄変動待ち処理を実行できる値に更新される。
図30は、大当り開始処理を説明するためのフローチャートである。大当り開始処理においては、まず、出力タイマが設定されているか否かが判断される(SF1)。ここでの出力タイマは、大当り開始時に表示する大当り開始画面の継続表示時間を計時するタイマである。出力タイマが設定済みでないと判断された場合には、その大当り開始画面を表示すべきことを表示制御基板40に対して指令するための大当り開始時表示データ(コマンドデータ)が出力データ格納領域にセットされる(SF2)。次に、その大当り画面の継続表示時間を計時するための出力タイマがセットされる(SF3)。次に、遊技状態が大当り状態であることを示す大当り中フラグがセットされる(SF4)。次に、確率変動フラグが設定されている場合には、その確率変動フラグが一旦クリアされる(SF5)。ここで確率変動フラグが一旦クリアされることにより、大当り状態中においては、大当り確率が通常確率とされる。なお、このSF5で一旦クリアされた確率変動フラグは、大当り終了時に後述するSD7において再度設定される。
次に、SF3で設定された出力タイマのタイマ値が0となっているか否かが判断される(SF6)。出力タイマのタイマ値が0になっていない場合には、一旦処理が終了する。これにより、次に図27に示した表示制御データ処理(S306)が実行され、SF2で出力データ格納領域にセットされた大当り開始時表示データが表示制御基板40に対して出力される。表示制御基板40は、出力された大当り開始時表示データに基づいて、可変表示部9に大当り開始画面を表示させる。その後、再度特別図柄プロセス処理が実行された場合には、プロセスフラグが更新されていないために再度大当り開始処理に移行し、出力タイマが設定済みであるか否かが判断される(SF1)。出力タイマが設定済みの場合には、出力タイマが0であるか否かがSF6によって再度判断される。この時点で出力タイマが0となっている場合には、大当り開始画面の継続表示時間が経過しているためにSF6でYESの判断がなされる。この場合には、1ラウンド目の表示を指令するための1ラウンドデータが出力データ格納領域にセットされ(SF7)、続いて出力タイマがセットされる(SF8)。次に、大入賞口を開放させるためのソレノイド21を励磁するために、大入賞口ソレノイドONがセットされる(SF9)。次に、プロセスフラグの値が、大当り中処理を実行できる値に更新され(SF10)、処理が終了する。
図31は、大当り中処理を説明するためのフローチャートである。大当り中処理においては、まず、入賞個数カウンタがロードされる(SE1)。入賞個数カウンタは、大当り中の各ラウンドにおける大入賞口への打玉の入賞個数を計数するカウンタである。次に、ロードされた入賞個数カウンタのカウント値に基づいて、大入賞口への入賞個数が最大値以上となっているか否かが判断される(SE2)。入賞個数が最大値に達していない場合には、各ラウンドにおける予定された開放時間が終了したか否かが判断される(SE3)。予定された開放時間が終了していない場合には、プロセスフラグが更新されることなく、処理が一旦終了する。一方、大入賞口への入賞個数が最大値以上となっているかもしくは予定された開放時間が終了していると判断された場合には、SE2もしくはSE3においてYESの判断がなされ、現在のラウンドが最終ラウンドであるか否かが判断される(SE4)。最終ラウンドでない場合には、そのラウンドにおいてV入賞が検出されているか否かが判断される(SE5)。V入賞が検出されている場合には、次のラウンドに移行する条件が成立しているために、次ラウンドデータがセットされ(SE6)、続いて出力タイマがセットされる(SE7)。
一方、現在のラウンドが最終ラウンドであると判断された場合、もしくはV入賞が検出されていないと判断された場合には、大当り状態を終了させるべく、大入賞口ソレノイドONがリセットされ(SE8)、大当り中フラグがリセットされ(SE9)、プロセスフラグの値が大当り終了処理を実行できる値に更新される(SE10)。
図32は、大当り終了処理を説明するためのフローチャートである。大当り終了処理においては、まず、出力タイマが設定済みであるか否かが判断される(SD1)。ここでの出力タイマは、大当りが終了したことを遊技者に報知するための大当り終了報知用画面の継続表示時間を計時するタイマである。出力タイマが設定されていない場合には、大当り終了の報知用画面を表示すべきことを指令するコマンドデータである大当り終了時表示データが出力データ格納領域にセットされる(SD2)。その後、その大当り終了報知用画面の継続表示時間を計時する出力タイマがセットされる(SD3)。次に、出力タイマのタイマ値が0であるか否かが判断される。出力タイマのタイマ値が0でない場合には、プロセスフラグの値が更新されることなく、一旦処理が終了する。これにより、次に図27に示した表示制御データ処理(S306)が実行されることによって、SD2で出力データ格納領域にセットされた大当り終了時表示データが表示制御用基板40に対して出力される。次に、特別図柄プロセス処理が再度実行された際にはプロセスフラグが更新されていないためにこの大当り終了処理が再度実行される。そして、SD1において出力タイマが設定済みであると判断され、SD4において出力タイマのタイマ値が0であるか否かが判断される。そして、出力タイマのタイマ値が0である場合には、可変表示装置8において大当り終了の報知を画面が消去されているために、SD5〜SD14の以下の処理を実行する。
まず、左停止図柄の図柄データがロードされる(SD5)。次に、ロードされた左停止図柄データに基づいて、その左停止図柄が確変図柄であるか否かが判断される(SD6)。確変図柄であると判断された場合には、確率変動フラグが設定される(SD7)。これにより、確率変動状態に移行する。次に、確変継続回数を計数する確変カウンタのカウント値が加算更新(+1)される(SD8)。次に、確変カウンタのカウント値が最大継続回数以上であるか否かが判断される(SD9)。ここで、確変カウンタとは、確率変動を伴う大当りの継続回数をカウントするカウンタである。前述したように、このパチンコ遊技機1では、確率変動を伴う大当りの継続回数が、所定回数(最大継続回数)を越えないように制御される。したがって、確変カウンタのカウント値が最大継続回数以上であると判断された場合には、リミッタ作動させるためにリミッタ作動フラグがセットされる(SD13)。リミッタ作動フラグがセットされた後もしくは確変カウンタのカウント値が最大継続回数以上となっていないと判断された後、プロセスフラグの値が特別図柄変動待ち処理を実行できる値に更新される(SD14)。
一方、SD6で左停止図柄が確変図柄でないと判断された場合には、確率変動フラグがクリアされ(SD10)、確率カウンタがクリアされ(SD11)、続いてリミッタ作動フラグがクリアされる(SD12)。その後、プロセスフラグがSD14において更新され、大当り終了処理が終了する。
図33は、普通図柄プロセス処理を説明するためのフローチャートである。普通図柄プロセス処理は図26のS8で実行される処理である。この普通図柄プロセス処理においては、普通図柄プロセスフラグの値に応じて、普通図柄判定処理(SL11)、普通図柄変動処理(SM11)、普通電動役物開放処理(SN11)のうちのいずれかの処理が実行される。普通図柄判定処理(SL11)は、普通図柄始動用の追加記憶がある場合に、その記憶に関連するデータを呼出して普通図柄の当り外れを事前に決定する処理である。詳細については図34を用いて後述する。普通図柄変動処理は、普通図柄の変動を制御する処理であり、詳細については図35を用いて後述する。普通電動役物開放処理(SN11)は、普通電動役物14を制御する処理であり、詳細については図36を用いて後述する。
図34は、普通図柄判定処理を説明するためのフローチャートである。普通図柄判定処理においては、まず、確率変動フラグが参照され、そのフラグが高確率時を示す値であるか否かが判断される(SL1)。高確率時を示すものであると判断された場合には、高確率時普通図柄判定値データが設定される(SL3)。具体的には、図25を用いて説明したように、高確率時普通図柄判定値として「3〜12」が設定される。一方、高確率時でないと判断された場合には低確率時普通図柄判定値データが設定される(SL2)。具体的には、図25を用いて説明したように、低確率時普通図柄判定値として「3」、「7」、「11」が設定される。
SL2またはSL3の処理の後、普通図柄の当りを示す普通図柄当りフラグがクリアされる(SL4)。これにより、前回の当り状態の記憶がクリアされる。次に、普通図柄判定用バンク0は普通図柄判定値であるか否かが判断される(SL5)。普通図柄判定値でないと判断された場合には、次の普通図柄判定値データが設定される(SL6)。そして、設定された判定値データが普通図柄の判定終了コードであるか否かが判断される(SL8)。判定処理用コードでない場合には、その判定値データに基づいて再度SL5において普通図柄判定用バンク0の値が判定される。これらのSL5,SL6,SL8の処理は、特別図柄の大当り判定として説明したSA5,SA7,SA8と同様の手順で行なわれる。SL8において、普通図柄判定値が判定終了コードであると判断された場合には、普通図柄当りフラグが設定されることなく、プロセスフラグの値が普通図柄変動処理を実行できる値に更新される(SL9)。
一方、普通図柄判定用バンク0の値が普通図柄判定値と判定された場合には、普通図柄当りフラグが設定された後(SL7)、SL9においてプロセスフラグの値が更新される。ここで、普通図柄当りフラグは、普通図柄の可変表示結果を当りとすることを示すフラグであり、図36のSN1においてこのフラグが参照される。
図35は、普通図柄変動処理を説明するためのフローチャートである。普通図柄変動処理においては、まず、変動タイマが設定済みであるか否かが判断される(SM1)。変動タイマは、普通図柄の変動時間を計時するタイマである。変動タイマが設定済みでないと判断された場合には、確率変動フラグが参照され、その値が高確率時を示す値であるか否かが判断される(SM2)。そして、高確率時を示す値である場合には変動タイマとして高確率時普通図柄変動タイマが設定され(SM4)、高確率時でないと判断された場合には低確率時普通図柄変動タイマが設定される(SM3)。ここで、低確率時普通図柄変動タイマのタイマ値は、図19に示す29.1秒であり、高確率時普通図柄変動タイマのタイマ値は5.1秒である。
SM3またはSM4の処理の後、普通図柄を変動させることを指定する普通図柄変動が設定され(SM5)、続いて普通図柄変動タイマが減算更新(−1)される(SM6)。次に、普通図柄変動タイマのタイマ値が参照され、変動期間が終了したか否かが判断される(SM7)。変動期間が終了していない場合には、プロセスフラグが更新されることなく、処理が終了する。この場合には、再度普通図柄プロセス処理が実行された場合にはこの普通図柄変動処理に移行し、SM1で変動タイマが設定済みであると判断される。その後、SM5、SM6を経て普通図柄の変動期間が終了しているか否かがSM7で判断される。そして、変動期間が終了していると判断された場合には、普通図柄の変動を停止させることを指定する普通図柄変動停止が設定され(SM8)、プロセスフラグの値が普通電動役物開放処理を実行できる値に更新され(SM9)、普通図柄変動処理が終了する。
図36は、普通電動役物開放処理を説明するためのフローチャートである。普通電動役物開放処理においては、まず、普通図柄当りフラグが設定されているか否かが判断される(SN1)。普通図柄当りフラグが設定されていない場合には、プロセスフラグの値が普通図柄判定処理を実行できる値に更新され(SN13)、処理が終了する。普通図柄当りフラグが設定されている場合には、当りの表示結果となっているので、まず、開放データ(普通電動役物開放データ)を設定済みであるか否かが判断される(SN2)。開放データ(普通電動役物開放データ)は、普通電動役物の開放時間と開放回数とを定義するデータである。開放データ(普通電動役物開放データ)を設定済みでない場合には、確率変動フラグの値が参照され、その値が高確率値を示す値であるか否かが判断される(SN3)。高確率値を示す値である場合には、高確率値普通電動役物開放データが設定され(SN5)、高確率値を示す値でない場合には低確率値普通電動役物開放データが設定される(SN4)。
ここで、普通電動役物開放データ(低確率時普通電動役物開放データおよび高確率時普通電動役物開放データ)には、普通電動役物の開放時間を定義した開放時間データと普通電動役物の開放回数を定義した開放回数データとが含まれている。低確率時普通電動役物開放データに含まれる開放時間データには0.2秒が定義され、開放回数データには1回が定義されている。一方、高確率時普通電動役物開放データに含まれる開放時間データには1.4秒が定義され、開放回数データには2回が定義されている。
SN4またはSN5で普通電動役物開放データが設定された後、ソレノイド16がONに設定される(SN6)。これにより、ソレノイド16が励磁され、普通電動役物14が開放される。次に、開放時間データが更新される(SN7)。これにより、開放時間の計時がなされる。次に、開放時間データの現在の値が参照され、開放時間が終了したか否かが判断される(SN8)。開放時間が終了していない場合には、プロセスフラグが更新されることなく、一旦処理が終了する。そして、再度普通電動役物開放処理が実行された場合には、SN2で開放データが設定済みであると判断されてSN6、SN7の各処理が実行され、開放時間が終了したか否かがSN8において判断される。低確率時の場合には0.2秒が経過した段階で、高確率時の場合には1.4秒が経過した段階でSN8において開放時間が終了したと判断される。この場合には、ソレノイド16がオフに設定される(SN9)。これにより、ソレノイド16が非励磁状態とされ、普通電動役物が閉成する。次に、開放回数データが更新される(SN10)。これにより、低確率時の場合には開放回数データが1から0に更新され、高確率時の場合には2から1に更新される。
次に、開放回数データの値が0であるか否かが判断される(SN11)。開放回数データの値が0である場合には、普通電動役物開放データがクリアされ(SN12)、プロセスフラグの値が普通図柄判定処理を実行できる値に更新される(SN10)。一方、開放回数データの値が0でないと判断された場合には、開放時間データが再セットされる(SN14)。具体的には、SN11で開放回数データの値が0でないと判断される場合とは、高確率時普通電動役物開放データが設定されている場合であり、この開放時間データを再セットする処理(SN14)においては、その時間が1.4秒に設定される。SN14で開放時間データが再セットされた後、一旦、処理が終了し、そして、再度普通電動役物開放処理が実行された場合に、SN8で開放時間が終了したと判断され、SN10で開放回数データが0に更新される。そして、開放回数データが0となることによって、SN12で普通電動役物開放データがクリアされ、SN10でプロセスフラグの値が更新される。
次に、以上説明した実施の形態の変形例や特徴点を以下に列挙する。
(1) 普通電動役物14は、始動入賞領域を構成するが、始動入賞領域を構成しない電動役物をさらに設け、その電動役物が確率変動状態に付随して開放時間が延長されるようにしてもよい。そして、その電動役物の作動状況を示す信号が試験用コネクタ47から外部へ出力されるように構成してもよい。すなわち、ち、請求項5に示される「遊技者にとって有利な第1の状態と遊技者にとって不利な第2の状態とに変化可能な可変入賞球装置」は、始動入賞領域を構成する電動役物に限定されるものではない。
(2) 前記特定遊技状態とは異なる遊技者にとって有利な特別遊技状態の一例として確率変動状態を挙げ、確率変動状態の全期間にわたって、普通図柄の当り確率が高くなるとともに、その期間に検出された打玉の通過ゲート11aの通過に基づく普通図柄の変動時間が短縮されるものとした。また、確率変動状態の全期間にわたって、普通図柄の当り確率が高くなるとともに、その期間に検出された打玉の通過ゲート11aの通過に基づく普通図柄の変動時間が短縮されるものとした。
また、確率変動状態に制御されている期間中に検出された打玉の通過ゲート11aの通過に基づいて、普通図柄の当り判定がなされた場合には、その当りに基づく普通電動役物14の開放時間が延長され、かつ、その開放回数が増加されるものとした。
しかしながら、これに代えて、確率変動状態中は普通図柄の当り確率および変動時間は元のままであって、普通電動役物14の開放時間の延長または開放回数の増加のうちのいずれか一方がなされるようにしてもよい。逆に確率変動状態中は普通図柄の当り確率は向上しかつ変動時間は短縮され、普通電動役物14の開放時間や開放回数は変化しないように構成してもよい。
さらに、確率変動状態のうちの全期間ではなく一定期間(たとえば、確率変動状態に移行してから所定時間が経過するまでの間)においてのみ、普通図柄の当り確率が向上されるようにしたり、その一定期間中に検出された打玉の通過ゲート11aの通過に基づいて、普通図柄の当り判定がなされた場合に、その当りに基づく普通電動役物14の開放時間が延長され、かつ、その開放回数が増加されるようにしてもよい。
また、「前記第1の遊技装置とは別に設けられ、第2の作動条件が成立した場合に作動する第2の遊技装置」としては、確率変動状態ではない通常遊技状態においては開放されることがなく、確率変動状態となった場合に第2の作動条件が成立すると開放されるように構成された電動役物であってもよい。
(3) 本発明は、クレジット式のパチンコ遊技機にも適用可能である。クレジット式のパチンコ遊技機は、たとえば、以下のように構成されている。遊技機の玉貯留皿(上皿、下皿)の底部が遊技機設置島内の玉通路に連通しており、玉抜きレバーの操作により(あるいは、遊技機の玉貯留皿が所定量の玉で満たされたことを条件に自動的に)、遊技機の玉貯留皿(上皿、下皿)に貯留された玉が玉貯留皿の底部から排出されて遊技機設置島内の玉通路に案内され、所定位置に設けられた玉検出器によってその排出玉が検出される。遊技機の所定位置には、玉検出器の検出に基づいてクレジットを加算更新して表示するクレジット表示器が設けられ、玉貯留皿からの玉の排出と引換えにしてクレジット数が加算更新される。遊技者が遊技を終了し、すべての貯留玉をクレジットに変換した場合には、その後の所定操作によって、所定のクレジット数特定用カードにクレジットが記録され、所定位置からそのクレジット数特定用カードが遊技者に排出される。遊技者は、そのクレジット数特定用カードにより特定されるクレジットを用いて景品交換等を行なう。
(4) 第1種のパチンコ遊技機の他、第2種や第3種のパチンコ遊技機にも適用可能である。たとえば、第2種のパチンコ遊技機には一般的に始動入賞領域が3つ設けられるが、係る第2種のパチンコ遊技機に適用した場合には、それぞれの始動入賞領域に対応して試験用信号として始動入賞信号1〜始動入賞信号3が試験用コネクタ47から出力されるように構成する。
さらに、本実施の形態では、試験用信号として、普通電動役物入賞信号が出力されるように構成した。本実施の形態では、普通電動役物14は始動入賞領域であるため、係る普通電動役物入賞信号を始動入賞信号とみなすことができる。しかしながら、可動片を有する普通電動役物を複数、遊技領域に設け、その普通電動役物のうちに始動入賞領域として機能する入賞領域Aと、始動入賞領域として機能しない一般入賞領域Bとが含まれるように構成した場合には、入賞領域Aへの入賞に基づいて始動入賞信号が試験用信号として出力されるようにし、一般入賞領域Bへの入賞に基づいて普通電動役物入賞信号(始動入賞信号でない)が試験用信号として出力されるようにするとよい。
また、本発明でいう「入賞」とは、遊技領域内のパチンコ玉が所定の入賞領域に進入して再度遊技盤面に放出されるといういわゆる「通過」をも含む広い概念である。
(5) 遊技制御基板31上において伝送されるすべての信号を各々の信号伝送経路の途中から分岐させて基本回路33の予め定められた入力ポートに入力した後、基本回路33に設けた試験信号出力用の出力ポートから出力するように構成してもよい。かかる場合には、その基本回路33の出力ポートから信号を遊技機外部に取出し可能となる。
(6) リーチ状態とは、表示状態が変化可能な可変表示装置を有し、該可変表示装置が時期を異ならせて複数の表示結果を導出表示し、該複数の表示結果が予め定められた特定の表示態様の組合せとなった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態(特定遊技状態)となる遊技機において、前記複数の表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が前記特定の表示態様の組合せとなる条件を満たしている表示状態をいう。
また、別の表現をすれば、リーチ状態とは、可変表示装置の可変表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点でも、前記特定の表示態様となる表示条件から外れていない表示態様をいう。そして、たとえば、前記特定の表示態様の組合せが揃った状態を維持しながら複数の前記可変表示部による可変表示を行なう状態もリーチ状態に含まれる。
また、リーチ状態とは、可変表示装置の表示制御が進行して表示結果が導出表示される前段階にまで達した時点での表示状態であって、前記表示結果が導出表示される以前に決定されている前記複数の可変表示部の表示結果の少なくとも一部が前記特定の表示態様となる条件を満たしている場合の表示状態をいう。
(7) パチンコ遊技機1により、遊技領域に複数の入賞領域が形成され、該入賞領域への打玉の入賞に応じて所定の遊技結果価値を遊技者に付与可能となる遊技機が構成されている。一般入賞口24a〜24e、普通電動役物14、可変入賞球装置19により、前記複数の入賞領域が構成されている。基本回路33により、前記複数の入賞領域のうち予め定められた始動入賞領域への打玉の入賞に起因して、遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能な遊技制御手段が構成されている。普通電動役物14により、前記始動入賞領域が構成されている。大当り状態により、前記特定遊技状態が構成されている。遊技制御基板31上のプリント配線端部311、試験用コネクタ41,47により、遊技機を動作させたときに所定の試験をするために必要な試験用情報を遊技機の外部へ出力可能な試験用情報出力手段が構成されている。各種試験用信号により、遊技機が所定の規格に適合するか否かを試験するために必要な試験用情報が構成されている。遊技制御基板ボックス87により、前記試験用情報出力手段を封入可能な封入手段が構成されている。前記封入手段(遊技制御基板ボックス87)は、図3〜図13を用いて説明したように、前記試験用情報出力手段(遊技制御基板31上のプリント配線端部311)を封入した後にその封入状態を一旦解除すると元の封入状態を復元することが困難に構成されている。
(8) 試験信号である特別電動役物開放信号や普通電動役物開放信号等の特別電動役物や普通電動役物に関わる信号は、I/Oポート部33dからソレノイド回路42に対して出力される制御信号をその信号伝送経路の途中から分岐させて試験用コネクタ47側に入力することによって得ることが考えられる。
また、特別図柄大当り信号、普通図柄当り信号、特別図柄確率変動状態信号、普通図柄確率変動状態信号、特別図柄変動時間短縮状態信号、および普通図柄変動時間短縮状態信号は、情報出力回路64から出力される情報を利用することが考えられる。特別図柄保留1〜4個目信号、普通図柄保留1〜4個目信号、図柄変動中信号等は、I/Oポート部33dからランプ・LED回路60に対して出力される制御信号をその信号伝送経路の途中から分岐させて試験用コネクタ47側に入力することによって得ることが考えられる。
普通電動役物入賞信号(始動入賞信号)は、スイッチ回路58に入力される始動口スイッチ17の検出出力を利用して試験用コネクタ47から出力するように構成する他、情報出力回路64から出力される始動情報を利用してもよい。同様に、賞球信号(賞球信号1および賞球信号2)は、スイッチ回路58に入力される賞球カウントスイッチ60a,60bを利用する他、情報出力回路64から出力される賞球情報を利用してもよい。また、情報出力回路64から出力される情報を利用して、始動入賞のうち実際に可変表示に有効に使用された有効始動数を特定可能な有効始動情報も試験用コネクタ47から出力されるように構成してもよい。
(9) 入賞口スイッチ240a〜240e、始動口スイッチ17、カウントスイッチ23により、前記入賞領域への打玉の入賞を検出する入賞検出手段が構成されている。
(10) 試験用コネクタ47に対して“ぶら下げ基板”を接続する不正行為を防止するための切除容易化処理としては、破線332に沿う溝を形成する、プリント配線312に傷を付けないように基板裏面側に破線332に沿って折り傷を付けておく、破線332に沿って基板を脆化させておくなどすることも考えられる。
(11) ゲートスイッチ10aにより打玉が検出された時点が図19(C)によって示される普通図柄の確率変動状態の期間(普通図柄の変動時間短縮状態の期間)であった場合に、その検出に基づいて導出表示される普通図柄用可変表示器10の表示結果が高い確率で当りとされるようにし、また、その検出に基づく普通図柄用可変表示器10の可変表示期間を短縮するようにした。しかしながら、これに代えて、その検出に基づいて通過記憶1がなされた場合、その通過記憶1を消化できる時点(たとえば、その通過記憶1の前に記憶されていた通過記憶0が可変表示のために消化されてその通過記憶1に基づいて普通図柄用可変表示器10を可変開始できるようになった時点)が図19(C)によって示される普通図柄の確率変動状態の期間(普通図柄の変動時間短縮状態の期間)であった場合に、その通過記憶に基づいて導出表示される普通図柄用可変表示器10の表示結果が高い確率で当りとされるようにし、また、その検出に基づく普通図柄用可変表示器10の可変表示期間を短縮するようにしてもよい。
すなわち、「前記第2の作動条件が成立した場合に前記第2の遊技装置を通常時よりも遊技者にとって有利な状態とすることが定められる第2の特別遊技状態」における、「第2の作動条件」とは、「ゲートスイッチ10aによる打玉の検出」の他、「ゲートスイッチ10aによる打玉の検出に基づいた通過記憶の消化」であってもよい。
(12) 今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
パチンコ遊技機1により、状態が変化可能な第1の遊技装置を有し、第1の作動条件の成立に応じて作動する前記第1の遊技装置による遊技の結果が所定の態様となった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御可能となる遊技機が構成されている。特別図柄用の可変表示装置8により、前記第1の遊技装置が構成されている。そして、第1の作動条件(始動入賞の発生)の成立に応じて作動する前記第1の遊技装置(特別図柄用の可変表示装置8)による遊技の結果(可変表示の結果)が所定の態様(大当り態様)となった場合に遊技者にとって有利な特定遊技状態(大当り状態)に制御可能となる。
普通電動役物14、または普通図柄用可変表示器10により、前記第1の遊技装置とは別に設けられ、第2の作動条件が成立した場合に作動する第2の遊技装置が構成されている。普通電動役物14の場合には普通図柄の当りと判定されることにより前記第2の作動条件が構成され、普通図柄用可変表示器10の場合にはゲートスイッチ10aにより打玉が検出されることにより前記第2の作動条件が構成されている。
基本回路33により、前記第1の作動条件が成立した場合に前記第1の遊技装置を遊技者にとって有利な状態とすることが定められる第1の特別遊技状態に制御可能であるとともに、前記第2の作動条件が成立した場合に前記第2の遊技装置を通常時よりも遊技者にとって有利な状態とすることが定められる第2の特別遊技状態に制御可能な遊技制御手段が構成されている。大当り確率が向上された特別図柄の確率変動状態(図19の(B)に示す信号が立上がった状態に維持される遊技状態)により、前記第1の特別遊技状態が構成されている。普通電動役物14の開放時間を延長させることが決定される状態、普通電動役物14の開放回数を増加させることが決定される状態、普通図柄用可変表示器10の変動時間を短縮させることが決定される状態、普通図柄の確率変動状態(図19の(C)および(D)に示す信号が立上がった状態に維持される遊技状態)により、前記第2の特別遊技状態が構成されている。
試験用コネクタ47およびスルーホール311aにより、前記第1の特別遊技状態を特定可能な第1の特別遊技状態情報と前記第2の特別遊技状態を特定可能な第2の特別遊技状態情報とをそれぞれ別個の情報として遊技機の外部へ出力可能な情報出力手段が構成されている。特別図柄確率変動状態信号(図16、図19参照)により、前記第1の特別遊技状態を特定可能な第1の特別遊技状態情報が構成されている。普通電動役物開放延長信号、普通図柄確率変動状態信号および普通図柄変動時間短縮状態信号(図16、図19参照)により、前記第2の特別遊技状態を特定可能な第2の特別遊技状態情報が構成されている。SL1、SL3、SM2、SM4、SN3、SN5に示すように、前記遊技制御手段(基本回路33)は、前記第1の特別遊技状態(確率変動状態)に制御することを条件として、前記第2の特別遊技状態(普通電動役物14の開放時間を延長させることが決定される状態、普通電動役物14の開放回数を増加させることが決定される状態、普通図柄用可変表示器10の変動時間を短縮させることが決定される状態、普通図柄の確率変動状態)に制御する。
普通電動役物14により、遊技者にとって有利な第1の状態と遊技者にとって不利な第2の状態とに変化可能な始動用可変入賞球装置が構成されている。普通電動役物14の可動片15が開いて普通電動役物14が開放した状態により、遊技者にとって有利な第1の状態が構成されている。普通電動役物14の可動片15が閉じて普通電動役物14が閉成した状態により、遊技者にとって不利な第2の状態が構成されている。そして、前記始動用可変入賞球装置に打玉が始動入賞した場合に前記第1の作動条件(始動入賞の発生)が成立する。前記第2の遊技装置は表示状態が変化可能な可変表示装置(普通図柄用可変表示器10)である。図34に示すフローチャートの処理により、前記第2の作動条件が成立した場合に、該第2の作動条件の成立に基づいて可変開始される前記可変表示装置の表示結果を決定する表示結果決定手段が構成されている。図33に示す普通図柄プロセス処理により、前記第2の作動条件が成立した場合に、前記可変表示装置を可変開始させた後、前記表示結果決定手段の決定に従う表示結果を導出表示させる制御が可能な可変表示制御手段が構成されている。
前記遊技制御手段(基本回路33)は前記可変表示装置(普通図柄用可変表示器10)の表示結果が特別の表示態様(当りの態様)となった場合に前記始動用可変入賞球装置(普通電動役物14)を前記第1の状態に制御した後前記第2の状態に制御する(図36のSN1,SN6,SN9)。さらに、前記遊技制御手段(基本回路33)は、前記表示結果決定手段が前記可変表示装置の表示結果を前記特別の表示態様に決定する確率を向上させた第2の特別遊技状態に制御可能である(図34のSL1,SL3)。
前記第2の特別遊技状態情報は、前記表示結果決定手段が前記可変表示装置の表示結果を前記特別の表示態様に決定する確率を向上させた第2の特別遊技状態を特定可能な情報(普通図柄確率変動状態信号(図16、図19参照))である。
図33に示す普通図柄プロセス処理により、前記第2の作動条件(ゲートスイッチ10aにより打玉が検出されること)が成立した場合に前記可変表示装置を可変開始させ、所定の可変表示期間(図19に示す29.1秒、5.1秒 )の経過後に表示結果を導出表示させる制御が可能な可変表示制御手段が構成されている。前記遊技制御手段(基本回路33)は、図35のSM2,SM4,SM5に示したように高確率時普通図柄変動タイマを設定することによって、前記第2の特別遊技状態において前記第2の作動条件(ゲートスイッチ10aにより打玉が検出されること)が成立した場合に前記可変表示装置を前記可変表示期間が短縮される特定作動状態に制御可能である。前記第2の特別遊技状態情報は、前記第2の作動条件が成立した場合に前記可変表示装置を前記特定作動状態に制御することが定められる第2の特別遊技状態を特定可能な情報(普通図柄変動時間短縮状態信号(図16、図19参照))である。
前記第2の遊技装置は遊技者にとって有利な第1の状態と遊技者にとって不利な第2の状態とに変化可能な可変入賞球装置(普通電動役物14)である。前記遊技制御手段(基本回路33)は、前記第2の作動条件(普通図柄の変動開始前に事前に普通図柄の当りが決定されること)が成立した場合に前記可変入賞球装置(普通電動役物14)を前記第1の状態に制御した後前記第2の状態に制御する(図36のSN1,SN6,SN9)。さらに、前記遊技制御手段(基本回路33)は、前記第2の特別遊技状態において前記第2の作動条件が成立した場合に前記可変入賞球装置を前記第1の状態の程度が向上される特定作動状態(開放時間が延長され、開放回数が増加された状態)に制御可能である(図36のSN3〜SN14)。前記第2の特別遊技状態情報は、前記第2の作動条件が成立した場合に前記可変入賞球装置を前記特定作動状態に制御することが定められる第2の特別遊技状態を特定可能な情報(普通電動役物開放延長信号(図16、図19参照))である。
前記情報出力手段(試験用コネクタ47およびスルーホール311a)は、さらに前記可変入賞球装置(普通電動役物14)が前記第1の状態であるか前記第2の状態であるかを特定可能な情報(普通電動役物開放信号(図16参照))を出力可能である。
前記情報出力手段(試験用コネクタ47およびスルーホール311a)は、さらに前記始動可変入賞球装置(普通電動役物14)への打玉の始動入賞を特定可能な情報(普通電動役物入賞信号、始動入賞信号(図16参照))を出力可能である。
前記情報出力手段(試験用コネクタ47およびスルーホール311a)は、さらに前記可変表示装置(普通図柄用可変表示器10)の可変開始時期と表示結果導出時期とを特定可能な情報(普通図柄変動中信号(図17参照)を出力可能である。
前記情報出力手段(試験用コネクタ47およびスルーホール311a)は、該情報出力手段から出力される情報を入力するための情報入力部(遊技機外部の試験用情報取出し用のケーブルにあるコネクタ等)を接続可能な接続部(試験用コネクタ47)を含む。
前記情報出力手段(試験用コネクタ47およびスルーホール311a)は、図14に示すように、前記遊技制御手段(基本回路33)が設けられた遊技制御基板(遊技制御基板31)に設けられている。
1 パチンコ遊技機、8 可変表示装置、10 普通図柄用可変表示器、11a 通過ゲート、12 ゲートスイッチ、14 普通電動役物、17 始動口スイッチ、24a〜24e 一般入賞口、19 可変入賞球装置、22 Vカウントスイッチ、23 カウントスイッチ、31 遊技制御基板、33 基本回路、40 表示制御基板、41,47 試験用コネクタ、311a スルーホール。