JP4386761B2 - 余剰安水の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、コークス炉ガス精製時に発生する余剰安水の処理方法に関するものである。
コークス工場には、コークス炉のドライメーンとタールデカンターを循環する70〜80℃のアンモニア、硫化水素、シアン化水素、二酸化炭素などの有害成分を含む熱安水が存在し、余剰安水は常圧蒸留法または減圧蒸留法(特許文献1参照)により処理されている。
特許文献1に記載された常圧蒸留法は、図5に示すような方式であって、50℃程度の余剰安水を熱交換器61にて加熱した後、経路62を経て常圧安水ストリッパー63に導き、経路64を経てスチームをストリッパー63の底部に直接吹き込むか、または経路65より排出したストリッパー63のボトム液をリボイラー66に供給されるスチームにて間接的に加熱することによって、常圧でアンモニアなどを分離し、ストリッパー63の頂部から経路67を経て排出されるアンモニア含有蒸気はコンデンサー68において凝縮冷却され、アンモニアが濃縮される。この濃縮されたアンモニアを含有する蒸気は硫安回収設備などのアンモニア回収工程へ送られて処理される。
特許文献1に記載された減圧蒸留法は、図6に示すような方式であって、70〜80℃程度の熱安水を経路71を経てリボイラー72に供給してリボイラー72の熱源として利用するため、減圧安水ストリッパー73の平均操作温度は60℃程度である(なお、常圧安水ストリッパー63の操作温度は100℃またはそれ以上である)。経路74を経て減圧安水ストリッパー73に導入された余剰安水は、約60℃程度のアンモニア含有蒸気となってストリッパー73から経路75を経て排出され、さらにコンデンサー76において凝縮冷却され、アンモニアが濃縮される。この濃縮されたアンモニアを含有する蒸気は硫安回収設備などのアンモニア回収工程へ送られる。77は真空ポンプである。なお、熱安水の排熱量が十分でない場合には、ストリッパー73に補助スチームが供給される。
ところが、図5に示す常圧蒸留法は、余剰安水1m3 当たり150〜200kgもの大量 のスチームを必要とし、エネルギーコストが極めて高く、不経済である。また、図6に示す減圧蒸留法も還流操作を行っているので塔内のアンモニア負荷が増大するため、熱安水の熱量だけではアンモニアを十分に分離できないことがあり、そのため補助スチームの消費量が多くなるだけでなく、アンモニア蒸気の全量を真空ポンプで吸引するため、真空ポンプの動力が大きくなり、この場合も、エネルギーコストが極めて高くなる。
特公平2−51955号公報
ところで、コークス炉ガス精製時に発生する余剰安水は、H2S、HCN、CO2などの弱酸性成分と結合した遊離アンモニアと、H2SO4、HClなどの強酸性成分と結合した固定アンモニアを含んでいる。遊離アンモニアは熱を加えることによって分離するが、固定アンモニアは熱を加えるだけでは分離せず、苛性ソーダや消石灰などの強アルカリを加えて反応させることにより、一旦遊離アンモニアとした上で、熱を加えて分離する必要がある。
遊離アンモニアに加えて固定アンモニアまで除去しようとすると、特許文献1に記載された方式では、ストリッピングされたアンモニア蒸気中のアンモニア含有量が非常に多くなるため、コンデンサーの操作温度を低くして充分な凝縮を行わせることができなければ、必然的に真空ポンプの容量が異常に大きくなって現実的な設備とならないという問題がある。
一方、余剰安水には分離しきれなかったタール油などの油分が含まれており、これらを分離するためには特別の設備が必要となるので、一般的には油分を含んだまま処理されているが、コンデンサーの操作温度を低くすると、油分に含まれるナフタリンがコンデンサーで析出してコンデンサー内のガス流路を閉塞させるトラブルが起こることがある。
また、アンモニア蒸気中に含まれる成分(例えば、アンモニアと炭酸ガス)によって結晶(例えば、炭酸アンモニア)が析出することもある。
ナフタリンや炭酸アンモニアの結晶などの析出を防止するためにはコンデンサーの操作温度を高くする必要があるが、この場合、アンモニア含有蒸気の凝縮が充分に行われないため、アンモニア含有蒸気を排出する真空ポンプ等の排気設備の容量を非常に大きくする必要がある。
一方、近年の排水水質の規制強化に対して、余剰安水の処理によって発生する排水中の窒素濃度を一定以下に抑えるためには、遊離アンモニアだけでなく、固定アンモニアも除去することが必要になってきた。この場合、アンモニア含有蒸気の充分な凝縮を行うには、コンデンサーの操作温度を低くする必要があり、ナフタリンや炭酸アンモニアの結晶などがコンデンサーで析出してコンデンサー内のガス流路を閉塞させるトラブルが起こりやすくなる。
また、使用する原料炭によっては窒素分の高いものがあり、この場合は余剰安水中のアンモニア濃度が極めて高くなるので、コンデンサーでのアンモニア含有蒸気の凝縮が困難で真空ポンプ等の排気設備の容量は非常に大きくなる。
本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、遊離アンモニアと固定アンモニアの除去を行うことができるともに、余剰安水に含まれる物質の析出により凝縮装置内のガス流路が閉塞することがない余剰安水の処理方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、減圧下でストリッピングして余剰安水中のアンモニアと酸性ガスを除去した蒸気を第一凝縮装置に導入して凝縮させた後に第二凝縮装置に導入することにより、アンモニア含有蒸気の凝縮が充分に行われるため、アンモニア含有蒸気を排出する真空ポンプ等の排気設備の容量を小さくすることができる。
また、凝縮装置が第一凝縮装置と第二凝縮装置の2台からなるので、第一凝縮装置では操作温度を相対的に高くすることにより蒸気に含まれるナフタリンや炭酸アンモニアの結晶などが析出しにくい条件でアンモニア含有蒸気を凝縮し、第二凝縮装置では相対的に操作温度を低くすることにより固定アンモニアの除去やアンモニア濃度の高い余剰安水の処理が可能となる。
第二凝縮装置ではナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などの析出による凝縮装置内のガス流路の閉塞が発生しやすいが、複数基の第二凝縮装置をサイクリックに切り換えて、熱安水、水蒸気またはナフタリン吸収用洗浄油を凝縮機の蒸気流通経路に導入することにより、析出したナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などを溶解・除去することができるので、連続的に安定した処理が可能である。
本発明は上記のとおり構成されているので、次のような効果を奏する。 (1)請求項1記載の発明によれば、ナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などの析出による凝縮装置のガス流路の閉塞がなく、安定して長期間連続運転しうる余剰安水の処理方法を提供することができる。一般的に、余剰安水中の油分を除去するためには、そのためのデカンター、遠心分離機、吸着塔、濾過機などの大規模な設備が必要となるが、請求項1記載の発明によれば、これらの設備は不要である。
(2)請求項2記載の発明によれば、アンモニア含有蒸気の凝縮が充分に行われるので、真空排気設備の排気量を大幅に減少することが可能であり、動力消費量の少ない経済的な余剰安水の処理方法を提供することができる

すなわち、本発明の余剰安水の処理方法は、コークス炉ガス精製時に発生する余剰安水を減圧安水ストリッパーに導入し、循環熱安水の保有する熱量を利用して減圧下でストリッピングして余剰安水中のアンモニアと酸性ガスを除去し、次いで、減圧安水ストリッパーから排出される蒸気を第一凝縮装置に導入して凝縮させた後に第二凝縮装置に導入して凝縮させることを特徴としている。
減圧安水ストリッパーから排出される蒸気を第一凝縮装置に導入して凝縮させた後に第二凝縮装置に導入することにより、アンモニア含有蒸気の凝縮が2段階で充分に行われるため、凝縮装置の後方にある真空排気設備への蒸気導入量を低減することができ、アンモニア含有蒸気を排出する真空ポンプ等の排気設備の容量を小さくすることができる。
また、第一凝縮装置では操作温度を相対的に高くし、第二凝縮装置では操作温度を相対的に低くすることが好ましい。このように、第一凝縮装置と第二凝縮装置の機能を使い分けることにより、第一凝縮装置では蒸気に含まれるナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などが析出しにくい条件でアンモニア含有蒸気を凝縮し、第二凝縮装置では相対的に操作温度を低くすることにより固定アンモニアの除去が可能となる。アンモニア含有蒸気の凝縮で除去すべき熱量の大半(90%以上)は第一凝縮装置で除去されるため、第二凝縮装置で除去すべき熱量は極めて少なくなる。従って、冷却水の温度が充分に低くない場合には、凝縮装置で冷凍水を使用することができる。
ナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などの析出による凝縮装置内のガス流路の閉塞トラブルを防止するには、第二凝縮装置が交互に切り換え可能な主凝縮機と予備凝縮機の二台からなり、第一凝縮装置から排出した蒸気を主凝縮機に導入して凝縮させるとともに循環熱安水の一部を予備凝縮機の蒸気流通経路に導入することにより当該蒸気流通経路に析出したナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などを溶解して除去し、所定時間経過後に、第一凝縮装置から排出した蒸気を予備凝縮機に導入して凝縮させるとともに循環熱安水の一部を主凝縮機の蒸気流通経路に導入することにより当該蒸気流通経路に析出したナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などを溶解して除去し、以降、所定のサイクルで、第一凝縮装置から排出した蒸気と循環熱安水の一部を主凝縮機と予備凝縮機に交互に導入することにより、主凝縮機と予備凝縮機のいずれか一方の凝縮機では蒸気の凝縮を行うと同時に他方の凝縮機では蒸気流通経路に析出したナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などの溶解と除去を行う方法が好ましい。
ナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などの溶解と除去のためには、循環熱安水の温度は75〜80℃が好ましいが、循環熱安水の温度が低くてナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶の溶解と除去が充分でない場合には、循環熱安水に少量の水蒸気を混入することもできる。
また、第一凝縮装置を交互に切り換え可能な主凝縮機と予備凝縮機の二台で構成し、第二凝縮装置を設けないようにすることもできる。
循環熱安水に代えて、ナフタリン吸収用洗浄油を使用することもできる。
ナフタリン吸収用洗浄油としては、コークス炉ガス精製設備のタール蒸留設備(図4参照)で得られるものを使用するのが好ましく、例えば、粗軽油、洗浄油などを使用することができる。
ナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などを吸収したナフタリン吸収用洗浄油は凝縮液とともにコークス炉ガス精製設備のドライメーン(図4参照)に送って、ガス中に蒸発させたり、タールデカンター(図4参照)にてタールとともに回収したり、軽油回収設備(図4参照)に送ることもできる。このようにすれば、洗浄廃油の処理に特別な設備を設置する必要がなくなる。
さらに、循環熱安水に代えて、水蒸気を使用することもできる。
以下に、本発明の実施例を図面を参照しながら説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において適宜変更と修正が可能である。
(1)循環熱安水の一部を主凝縮機または予備凝縮機の蒸気流通経路に導入する場合
図1は、本発明の余剰安水の処理方法の一例を示すフロー図である。図1において、1は減圧安水ストリッパーであり、この減圧安水ストリッパー1に対して、余剰安水が経路2から供給され、加熱スチームが経路3から必要に応じて供給される。4はリボイラーであり、コークス炉ガス精製設備(図4参照)から供給される熱安水(約80℃)が経路5を循環している。減圧安水ストリッパー1の塔底液(約60℃)はポンプ6により経路7を循環しており、約60℃の塔底液が約80℃の熱安水とリボイラー4にて熱交換した後、減圧下の減圧安水ストリッパー1に返送されて蒸気となり、この蒸気が経路2を経て供給される余剰安水からアンモニアを分離し、このアンモニアを含んだ蒸気(約58℃)が塔頂部から経路8を経て排出される。従って、必ずしも経路3から減圧安水ストリッパー1に対して加熱スチームを供給する必要はなく、経路3の加熱スチームは必要に応じて補助的に供給される。なお、経路9より必要に応じて引き抜かれた処理安水は、図4に示す排水処理設備で処理される。
10は第一コンデンサー(第一凝縮装置)であり、経路8を経てアンモニア含有蒸気が第一コンデンサー10に導入される。第一コンデンサー10には多数の管体が鉛直方向に配置されており、この管体内にアンモニア含有蒸気が導入され、管体と管体との間の間隙に冷却水が通入されて、管体内を流通するアンモニア含有蒸気が凝縮される。11、12はそれぞれ冷却水の導入経路と排出経路である。第一コンデンサー10の底部の凝縮液はポンプ13により経路14と15を経て上記経路5に供給されている。
第一コンデンサー10の底部から経路16を経て排出されるアンモニア含有蒸気は、経路17または18を経て、第二コンデンサー(第二凝縮装置)を構成する主コンデンサー19または予備コンデンサー20に導入される。主コンデンサー19にはポンプ21により経路22を経て冷却水が導入されており、この冷却水は主コンデンサー19内の管体と管体との間の冷却水通路を通過して管体内を流通するアンモニア含有蒸気を凝縮させた後、経路11を経て第一コンデンサー10内の冷却水通路に導入される。また、予備コンデンサー20にはポンプ21により経路23を経て冷却水が導入されており、この冷却水は予備コンデンサー20内の管体と管体との間の冷却水通路を通過して管体内を流通するアンモニア含有蒸気を凝縮させた後、経路24と経路11を経て第一コンデンサー10内の冷却水通路に導入される。
主コンデンサー19と予備コンデンサー20のそれぞれの底部から経路58と59を経て排出される凝縮液は第一コンデンサー10の底部から経路14と経路15を経て上記経路5に供給されている。
主コンデンサー19と予備コンデンサー20のそれぞれの底部から経路29と30を経て真空ポンプ31により引き抜かれるアンモニア含有蒸気は、図4に示すコークス炉ガス精製設備の脱アンモニア設備で処理される。
また、経路5を循環する熱安水の一部は、経路32と33を経て主コンデンサー19の蒸気流通管体内または経路32と34を経て予備コンデンサー20の蒸気流通管体内に導入される。ナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などを溶解除去した熱安水は、主コンデンサー19と予備コンデンサー20のそれぞれの底部から経路25と26を経て排出され、ポンプ27により経路28と15を経て上記経路5に戻される。ナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などの溶解除去を行っている間は、当該コンデンサーへの冷却水の導入は停止される。なお、ポンプ27は必ずしも必要なものではない。
(2)ナフタリン吸収用洗浄油を主凝縮機または予備凝縮機の蒸気流通経路に導入する場合
図2は、本発明の余剰安水の処理方法の他の一例を示すフロー図である。図1と共通する構成部分には同じ参照番号を付して説明を省略する。
図1に示すフローとの主な違いは、経路32を経て供給される熱安水に代えて、タンク35内のナフタリン吸収用洗浄油が、ポンプ36により経路37、38および39を経て主コンデンサー19の蒸気流通管体内またはポンプ36により経路37、38および40を経て予備コンデンサー20の蒸気流通管体内に導入される点である。また、主コンデンサー19と予備コンデンサー20のそれぞれの底部から経路25と26を経て排出されるナフタリン吸収用洗浄油は、ポンプ41により経路42を経て(または重力による自然落下により)タンク35に戻される。
(3)水蒸気を主凝縮機または予備凝縮機の蒸気流通経路に導入する場合
図3は、本発明の余剰安水の処理方法のさらに他の一例を示すフロー図である。図1、図2と共通する構成部分には同じ参照番号を付して説明を省略する。
図1、図2に示すフローとの主な違いは、経路32を経て供給される熱安水や経路38を経て供給されるナフタリン吸収用洗浄油に代えて、経路43を経て供給される水蒸気(100℃以上、0.1MPa以上)が経路44を経て主コンデンサー19の蒸気流通管体内または経路45を経て予備コンデンサー20の蒸気流通管体内に導入される点である。
ナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などを溶解除去した水溶液は、主コンデンサー19と予備コンデンサー20のそれぞれの底部から経路58と59を経て排出され、第一コンデンサー10の底部から経路14と経路15を経て上記経路5に供給されている。
(4)コークス炉ガス精製設備のフロー
一般的なコークス炉ガス精製設備のフローの一例を図4に示す。
(5)余剰安水の具体的な処理例
以下に、余剰安水の具体的な処理例を説明する。
a.余剰安水の性状
処理量 70トン/hr
組成 遊離アンモニア 3200ppm
固定アンモニア 3000ppm
CO2 1200ppm
2S 150ppm
HCN 110ppm
油分 200ppm
b.従来の処理方法で処理した場合
(1) 従来の処理方法1
図6に示す処理システムにおいて、上記性状の余剰安水に苛性ソーダ水溶液を加えて固定アンモニアを分解した後、減圧安水ストリッパー73に供給した。また、約80℃の熱安水を熱源としてリボイラー72に供給して、4000000kcal/hrの熱を供給した。
減圧安水ストリッパー73の運転条件は、下記のとおりである。
塔底圧力 150Torr
塔底温度 60℃
塔頂圧力 120Torr
塔頂温度 58℃
また、コンデンサー76の運転条件は、下記のとおりである。
内部圧力 110Torr
冷却温度 45℃
その結果、約1ヶ月、上記条件で運転することにより、経路78を経て排出される処理安水のアンモニア濃度は550ppm となったが、真空ポンプ77の排気量は、110m3/min と非常に多く、真空ポンプ77の動力は250kWと極めて大きなものとなった。なお、コンデンサー76の冷却温度が45℃であったため、コンデンサー76内でナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などが析出することはなく、コンデンサー76内のガス流路がナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などで閉塞されることはなかった。
(2) 従来の処理方法2
図6に示す処理システムにおいて、コンデンサー76の冷却温度を35℃とした以外は、上記性状の余剰安水を従来の処理方法1と同じ条件で処理した。コンデンサー76の冷却温度を35℃と低くしたため、コンデンサー76で凝縮するガス量が増え、真空ポンプ77の排気量と動力は、それぞれ6m3/min 、15kWと低くなった。しかし、コンデンサー76の冷却温度が35℃と低かったため、コンデンサー76内でナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などが析出し、コンデンサー76内のガス流路がナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などで閉塞されたので、約5時間しか連続運転できなかった。
なお、経路78を経て排出される処理安水のアンモニア濃度は550ppm であった。
c.本発明の処理方法で処理した場合
(1) 本発明の処理方法1
図1に示す処理システムにおいて、上記性状の余剰安水に対して減圧安水ストリッパー1を従来の処理方法1と同じ条件で運転し、第二コンデンサーの中の主コンデンサー19にアンモニア含有蒸気を導入し、予備コンデンサー20にはアンモニア含有蒸気を導入せずに、第一コンデンサー10の運転条件は、内部圧力=110Torr、冷却温度=45℃とし、主コンデンサー19の運転条件は、内部圧力=110Torr、冷却温度=35℃とした。その結果、約1週間後に、主コンデンサー19にはナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などの析出による伝熱性能の低下が見られたので、主コンデンサー19へのアンモニア含有蒸気の導入を停止し、予備コンデンサー20にアンモニア含有蒸気を導入した。なお、伝熱性能の低下は、主コンデンサー19から経路29を経て排出されるアンモニア蒸気温度の上昇という現象により確認した。上記両コンデンサーへの導入蒸気の切り換えは、バルブ46と47を開閉することにより行った。
そこで、経路5を循環する熱安水(約80℃)の中の20m3/hr (循環熱安水の約2%に相当)の流量の熱安水を24時間の間、経路32と33を経て主コンデンサー19内のアンモニア含有蒸気流通管体内に導入した。
その後、再び、予備コンデンサー20へのアンモニア含有蒸気の導入を停止し、主コンデンサー19にアンモニア含有蒸気を導入した。
この結果、主コンデンサー19から経路29を経て排出されるアンモニア蒸気の温度は35℃となり、析出したナフタリンと炭酸アンモニウムの結晶が溶解除去されたことが確認できた。
このように、伝熱性能の低下に対応して主コンデンサー19と予備コンデンサー20へのアンモニア含有蒸気の導入を適宜切り換えることにより、連続してアンモニア含有蒸気を処理することができ、その間、真空ポンプ31の排気量は6m3/min 、真空ポンプ31の動力は15kWであった。また、リボイラー4で供給される熱量も殆ど減少しなかったので、経路9を経て排出される処理安水のアンモニア濃度は550ppm であった。
(2) 本発明の処理方法2
図2に示す処理システムにおいて、上記性状の余剰安水に対して減圧安水ストリッパー1を従来の処理方法1と同じ条件で運転し、第二コンデンサーの中の主コンデンサー19にアンモニア含有蒸気を導入し、予備コンデンサー20にはアンモニア含有蒸気を導入せずに、第一コンデンサー10の運転条件は、内部圧力=110Torr、冷却温度=45℃とし、主コンデンサー19の運転条件は、内部圧力=110Torr、冷却温度=35℃とした。その結果、約1週間後に、主コンデンサー19にはナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などの析出による伝熱性能の低下が見られたので、主コンデンサー19へのアンモニア含有蒸気の導入を停止し、予備コンデンサー20にアンモニア含有蒸気を導入した。なお、伝熱性能の低下は、主コンデンサー19から経路29を経て排出されるアンモニア蒸気温度の上昇という現象により確認した。上記両コンデンサーへの導入蒸気の切り換えは、バルブ46と47を開閉することにより行った。
そこで、タンク35内のナフタリン吸収用洗浄油(5m3/hr) を24時間の間、ポンプ35により経路37、38および39を経て主コンデンサー19内のアンモニア含有蒸気流通管体内に導入した。
その後、再び、予備コンデンサー20へのアンモニア含有蒸気の導入を停止し、主コンデンサー19にアンモニア含有蒸気を導入した。
この結果、主コンデンサー19から経路29を経て排出されるアンモニア蒸気の温度は35℃となり、析出したナフタリンと炭酸アンモニウムの結晶が溶解除去されたことが確認できた。
このように、伝熱性能の低下に対応して主コンデンサー19と予備コンデンサー20へのアンモニア含有蒸気の導入を適宜切り換えることにより、連続してアンモニア含有蒸気を処理することができ、その間、真空ポンプ31の排気量は6m3/min 、真空ポンプ31の動力は15kWであった。また、経路9を経て排出される処理安水のアンモニア濃度は550ppm であった。
(3) 本発明の処理方法3
図3に示す処理システムにおいて、上記性状の余剰安水に対して減圧安水ストリッパー1を従来の処理方法1と同じ条件で運転し、第二コンデンサーの中の主コンデンサー19にアンモニア含有蒸気を導入し、予備コンデンサー20にはアンモニア含有蒸気を導入せずに、第一コンデンサー10の運転条件は、内部圧力=110Torr、冷却温度=45℃とし、主コンデンサー19の運転条件は、内部圧力=110Torr、冷却温度=35℃とした。その結果、約1週間後に、主コンデンサー19にはナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などの析出による伝熱性能の低下が見られたので、主コンデンサー19へのアンモニア含有蒸気の導入を停止し、予備コンデンサー20にアンモニア含有蒸気を導入した。なお、伝熱性能の低下は、主コンデンサー19から経路29を経て排出されるアンモニア蒸気温度の上昇という現象により確認した。上記両コンデンサーへの導入蒸気の切り換えは、バルブ46と47を開閉することにより行った。
そこで、経路43と44を経て高温の水蒸気(約120℃、0.2MPa)を1時間、主コンデンサー19内のアンモニア含有蒸気流通管体内に導入した。
その後、再び、予備コンデンサー20へのアンモニア含有蒸気の導入を停止し、主コンデンサー19にアンモニア含有蒸気を導入した。
この結果、主コンデンサー19から経路29を経て排出されるアンモニア蒸気の温度は35℃となり、析出したナフタリンと炭酸アンモニウムの結晶が溶解除去されたことが確認できた。
このように、伝熱性能の低下に対応して主コンデンサー19と予備コンデンサー20へのアンモニア含有蒸気の導入を適宜切り換えることにより、連続してアンモニア含有蒸気を処理することができ、その間、真空ポンプ31の排気量は6m3/min 、真空ポンプ31の動力は15kWであった。また、経路9を経て排出される処理安水のアンモニア濃度は550ppm であった。
なお、図1〜図3において、凝縮装置として、第一コンデンサー10を無くして、主コンデンサー19と予備コンデンサー20からなるコンデンサーのみを使用することもできる。
以上のように、本発明の余剰安水の処理方法によれば、簡単な設備構成で、析出したナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などによる蒸気流路の閉塞がなく、安定して長期間の連続運転が可能となる。上記の実施例においては、主コンデンサーの約1週間の運転と24時間もしくは1時間の予備コンデンサーの運転ならびに24時間もしくは1時間の主コンデンサーに析出したナフタリンや炭酸アンモニウムの結晶などの溶解・除去対策を行うというサイクルを繰り返したが、これ以外にも処理対象である余剰安水の性状や環境条件などの実情に応じて様々な処理サイクルをとることができるのは言うまでもない。
また、第一コンデンサーと第二コンデンサーによりアンモニア蒸気の凝縮を充分に行うことができるため、処理後のアンモニア蒸気を排出する真空ポンプの容量が小さくなり、動力消費量が極めて少なくなる。
本発明の余剰安水の処理方法の一例を示すフロー図である。 本発明の余剰安水の処理方法の他の例を示すフロー図である。 本発明の余剰安水の処理方法のさらに他の例を示すフロー図である。 一般的なコークス炉ガス精製設備のフローの一例を示す図である。 従来の常圧蒸留法を示すフロー図である。 従来の減圧蒸留法を示すフロー図である。
符号の説明
1 減圧安水ストリッパー
2 経路
3 経路
4 リボイラー
5 経路
6 ポンプ
7 経路
8 経路
9 経路
10 第一コンデンサー
11 冷却水経路
12 冷却水経路
13 ポンプ
14 経路
15 経路
16 経路
17 経路
18 経路
19 第二コンデンサー(主コンデンサー)
20 第二コンデンサー(予備コンデンサー)
21 ポンプ
22 冷却水経路
23 冷却水経路
24 冷却水経路
25 経路
26 経路
27 ポンプ
28 経路
29 経路
30 経路
31 真空ポンプ
32 経路
33 経路
34 経路
35 タンク
36 ポンプ
37 経路
38 経路
39 経路
40 経路
41 ポンプ
42 経路
43 経路
44 経路
45 経路
46 バルブ
47 バルブ
48 バルブ
49 バルブ
50 バルブ
51 バルブ
52 バルブ
53 バルブ
54 バルブ
55 バルブ
56 バルブ
57 バルブ
58 経路
59 経路

Claims (2)

  1. コークス炉ガス精製時に発生する余剰安水を減圧安水ストリッパーに導入し、循環熱安水の保有する熱量を利用して減圧下でストリッピングして余剰安水中のアンモニアと酸性ガスを除去し、次いで、減圧安水ストリッパーから排出される蒸気を第一凝縮装置に導入して凝縮させた後に第二凝縮装置に導入して凝縮させる余剰安水の処理方法において、 第二凝縮装置が交互に切り換え可能な主凝縮機と予備凝縮機の二台からなり、第一凝縮装置から排出した蒸気を主凝縮機に導入して凝縮させるとともに循環熱安水の一部を予備凝縮機の蒸気流通経路に導入することにより当該蒸気流通経路に析出したナフタリンと炭酸アンモニウムの結晶を溶解して除去し、所定時間経過後に、第一凝縮装置から排出した蒸気を予備凝縮機に導入して凝縮させるとともに循環熱安水の一部を主凝縮機の蒸気流通経路に導入することにより当該蒸気流通経路に析出したナフタリンと炭酸アンモニウムの結晶を溶解して除去し、以降、所定のサイクルで、第一凝縮装置から排出した蒸気と循環熱安水の一部を主凝縮機と予備凝縮機に交互に導入することにより、主凝縮機と予備凝縮機のいずれか一方の凝縮機では蒸気の凝縮を行うと同時に他方の凝縮機では蒸気流通経路に析出したナフタリンと炭酸アンモニウムの結晶の溶解と除去を行うことを特徴とする余剰安水の処理方法。
  2. 第一凝縮装置では操作温度を相対的に高くし、第二凝縮装置では操作温度を相対的に低くすることを特徴とする請求項1記載の余剰安水の処理方法。
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