以下、この発明の実施の形態に係る物品管理システムについて説明する。なお、本実施の形態では、格納棚に格納されたファイルホルダを管理するシステムについて説明するが、その他、所定の格納手段に格納された書籍やビデオテープ、DVDディスク等の物品を管理するシステムに適用できる。
図1は物品管理システムの全体構成を示す概略図であり、図2は物品管理システムを示すブロック図である。
この物品管理システムは、概略的には、格納棚30に格納されるファイルホルダ10にタグ装置20が取付けられており、各タグ装置20に割当てられた固有の識別符号に基づいて、該ファイルホルダ10の在庫の有無、在庫位置等に関する物品の管理を行うものである。
この物品管理システムは、格納棚30に格納される個々のファイルホルダ10に取付けられるタグ装置20と、棚段制御装置50と、ラック制御装置80と、管理制御装置60と、この管理制御装置60に対する入力を受付ける入力部70とを備えている。これらのうち棚段制御装置50やラック制御装置80、管理制御装置60、入力部70等によって物品管理装置が構成されている。そして、概略的には、管理制御装置60が、各棚段制御装置50を通じて各タグ装置20との間で通信を行って、各ファイルホルダ10の管理を行う。
格納棚30は、上下方向に複数の棚段31を有している。本実施の形態では、複数の格納棚30によって格納手段が構成されている。また、各格納棚30は、上下方向に複数の棚段31を有している。本実施の形態では、各格納棚30の各棚段31が、ファイルホルダの在庫位置等に関する管理単位となる取出エリアに設定されいている。なお、各棚段31における所定幅単位、或は、複数棚段単位で、取出エリアが設定されていてもよい。
図3はタグ装置20が取付けられたファイルホルダ10を示す斜視図であり、図4はタグ装置20を示す側面図であり、図5はタグ装置20を示すブロック図である。
ファイルホルダ10は、所定の情報を記録した用紙を綴じるものであり、側面視略方形状に形成されている。ファイルホルダ10の一辺にタグ装置20が取付けられており、各ファイルホルダ10は当該タグ装置20を外側に露出させた状態で、各棚段31に並列状態で収容される。
タグ装置20は、樹脂等により形成される一対のフィルム片21の3辺を袋状に接合し、その内部に所定の電気回路を組込んだ基板22や電池23等を収容した形態とされている。そして、一対のフィルム片21とファイルホルダの一側部とを重ね合せた状態で、当該重ね合せ部分にホッチキス(商標)H等の止め具を打込むことによって、タグ装置20をファイルホルダ10に取付けることができるようになっている。このような構成では、既存のファイルホルダ10に対してタグ装置20を簡易に後付けすることができるという利点がある。もっとも、タグ装置20がファイルホルダ10に一体的に組込まれた形態であってもよい。
なお、タグ装置20をファイルホルダ10に取付ける具体的構成例については、後にも詳述する。
このタグ装置20の電気的構成について説明すると、タグ装置20は、受光部24と、タグ制御部25と、ID記憶部26と、通信用発光部27と、報知用発光部28とを備えている。
タグ制御部25は、CPUやROM、RAM等を備える一般的なマイクロコンピュータであり、予め格納された所定のソフトウエアプログラムに従って、後述する動作を行う。
また、ID記憶部26は、各タグ装置20に割当てられた固有の識別符号を記憶保持している。上記タグ制御部25は、当該ID記憶部26に記憶された固有の識別符号を読込んで所定の動作を行う。なお、ID記憶部26は、初期設定時に書込まれた固有の識別符号を書換え不能に記憶するものであってもよいし、また、書換え可能に記憶するものであってもよい。また、上記タグ制御部25とID記憶部26とが1チップ化された形態であってもよい。
受光部24は、フォトダイオード等の受光素子であり、光信号を電気信号に変換して、これをタグ制御部25に出力する。
通信用発光部27は、発光ダイオード等の発光素子であり、上記タグ制御部25からの制御に応じて所定の応答光信号を発する。
なお、例えば、一般的に発光ダイオードとして呼ばれている、PN接合を持つ半導体素子は、順バイアス電圧が印加されると光を発する一方、光を受光するとこれを電気信号に変換するので、このような光素子に印加する電圧を順バイアス電圧と逆バイアス電圧に切換えることで、単一の光素子を上記受光部24及び通信用発光部27として機能させてもよい。
また、報知用発光部28は、可視光発光ダイオード等の発光素子であり、上記タグ制御部25からの制御に応じて、所定の報知動作を行う。ここでは、予め設定された所定の動作時間だけ、報知動作として点滅動作を行う。なお、単一の発光ダイオード等の発光素子が、通信用発光部27と報知用発光部28との両機能を実現する構成であってもよい。
このタグ装置20の動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。
まず、棚段制御装置50又は後述する携帯型検索装置92からの光信号が、受光部24を通じて受信されると、ステップS1において、タグ制御部25がウエイクアップし、比較的消費電力の少ないスリープ状態から比較的消費電力の大きなアクティブ状態に移行する。
次に、ステップS2において、タグ制御部25は、受信した光信号に含まれる呼出符号が自己の識別符号と一致するか否かを判別する。ここで、両符号が不一致の場合には、動作を終了しスリープ状態に移行する。一方、両符号が一致した場合には、ステップS3に進んで、通信用発光部27を通じて応答光信号を送信する。
この後、ステップS4に進んで、タグ制御部25は、受信した光信号に含まれるコマンドの判定を行う。ここで、コマンドには、単に在庫の有無を検索するための問い合せコマンドと、ファイルホルダ10の在庫位置を報知するための表示指示コマンドの2種類がある(詳細は後述)。ステップS4において、問い合せコマンドであると判別された場合には、動作を終了しスリープ状態に移行する。一方、表示指示コマンドであると判別された場合には、ステップS5に進んで、報知用発光部28を一定時間(例えば15秒間)点滅させて、動作を終了する。
要するに、本タグ装置20は、受光部24を通じて光信号を受信すると、比較的消費電力の低い状態であるスリープ状態から比較的消費電力の大きい状態であるアクティブ状態に移行して、所定の応答動作或は報知動作を行い、これらの動作後、スリープ状態に移行する。本物品管理システムは、タグ装置20がアクティブ状態に移行する機会を少なくして、タグ装置の消費電力を少なくするための技術に関連している。
物品管理装置側の各構成要素について説明する。
図1及び図2に戻って、管理制御装置60は、CPUやROM、RAM等の管理制御部61、さらにハードディスク装置等の記憶部61a等を含むコンピュータ本体部及びディスプレイ装置等の表示部を備えたコンピュータであり、予め記憶されたプログラムに従って後述する動作を行う。この管理制御装置60に対するファイルホルダの特定情報や返却予定時間等の入力は、キーボード等の入力部70を通じて行われる。
上記記憶部61aには、識別符号とファイルホルダ名等の特定情報とを対応づけた管理マスタと、これに各ファイルホルダの在庫位置情報や返却予定時間等を対応づけたデータとを含む管理データベースが記憶されている。
管理マスタは、例えば、タグ装置20を所定のファイルホルダ10に取付ける際に、後述するタグリーダ装置90によりタグ装置20の識別符号を読取りつつ、入力部70を介してそのファイルホルダの特定情報を入力することで作成される。
また、識別符号に対応づけられる在庫位置情報は、後に詳述するように、所定のタイミングで各棚段制御装置50を通じて各タグ装置20との間で通信を行うことで、適宜更新される。また、識別符号に対応づけられる返却予定時間は、所望のファイルホルダ10を取出す際に作業者が入力部70を介して入力することで、適宜更新される。
このようにして生成された管理データベースは、物品の取出しの際のデータ等として参照される。
この管理制御装置60は、各棚段制御装置50を通じて、各タグ装置20に向けて所定の呼出符号及び問い合せコマンドを含む信号を送信すると共に、各タグ装置20からの応答信号を受信することで、各タグ装置20が取付けられたファイルホルダ10の在庫の有無及び在庫位置を検索する。さらに、管理制御装置60は、各棚段制御装置50を通じて各タグ装置20に向けて識別符号及び表示指示コマンドを含む信号を送信することで、各タグ装置20に所定の発光動作を行わせる。
ラック制御装置80は、各格納棚30に設けられており、ラック制御部82と発光表示部84とを備えている。
ラック制御部82は、CPUやROM、RAM等を備える一般的なマイクロコンピュータであり、予め格納された所定のソフトウエアプログラムに従って、所定の動作を行う。すなわち、ラック制御部82は、それが設置された所定の格納棚30における各棚段制御装置50に接続されると共に、中継装置88を介して管理制御装置60に接続されており、管理制御装置60と所定の格納棚30における各棚段制御装置50との間で通信の中継を行う。また、所定の格納棚30に設置されたラック制御部82は、他の格納棚30のラック制御部82にも接続されており、他のラック制御部82と管理制御装置60との通信の中継をも行っている。
また、発光表示部84は、可視光発光ダイオード等により構成されており、セグメント表示等により数値表示可能に構成されている。そして、管理制御装置60からの指令に応じて、在庫を示す発光表示及び所定の数値を示す態様にて発光表示可能になっている。つまり、発光表示部84は、格納棚30におけるファイルホルダ10の在庫を表示する機能と、格納棚30における在庫ファイルホルダ数を表示する機能とを有している。もっとも、これらの各機能が、別々の表示手段によって実現されていてもよいし、また、音声報知手段等、他の報知手段によって実現されていてもよい。
このラック制御装置80は、例えば、略筺状のケース内に収容された形態で、各格納棚30の上部に設置される。
棚段制御装置50は、棚段制御部52と受発光部53と指示部54と報知用の発光部51とを備えている。
棚段制御部52は、CPUやROM、RAM等を備える一般的なマイクロコンピュータであり、予め格納された所定のソフトウエアプログラムに従って、所定の動作を行う。
受発光部53は、例えば、発光ダイオード等の発光素子とフォトダイオード等の受光素子との組合せにより構成されている。勿論、タグ装置20の説明において述べたように、単一の光素子を発光素子及び受光素子として機能させた構成であってもよい。
なお、図2では、一つの棚段制御部52に対して単一の受発光部53を示しているが、棚段31内に配列された複数のファイルホルダ10のタグ装置20との間で光通信を行うため、受発光部53は棚段31の幅方向に沿って複数配列される(図7参照)。
上記棚段制御部52は、ラック制御装置80及び中継装置88を介して管理制御装置60との間で双方向の通信を行うと共に、受発光部53を介して対応する棚段31に格納された各ファイルホルダ10のタグ装置20との間で光信号の送受信を行う。そして、管理制御装置60から所定の呼出符号及び問い合せコマンドを含む電気信号を受信すると、これに応じた所定の光信号を、対応する棚段31に格納された各ファイルホルダ10のタグ装置20に向けて送信する。また、タグ装置20からの応答光信号を受信すると、これに応じた所定の電気信号を管理制御装置60に送信する。さらに、管理制御装置60から所定の呼出符号及び表示指示コマンドを含む電気信号を受信すると、対応する棚段31に格納された各ファイルホルダ10のタグ装置20に向けて所定の光信号を送信する。すなわち、棚段制御装置50は、各タグ装置20との間で信号の送受を行う送受信手段として機能する。
また、指示部54は、押し釦スイッチ等により構成されるものであり、報知指令を受付ける位置報知指示手段として機能する。本システムにおける作業者が指示部54を通じて報知指令を入力すると、その入力指令が棚段制御装置50からラック制御装置80等を介して管理制御装置60に送信される。
発光部51は、可視光発光ダイオード等により構成されている。そして、管理制御装置60からの指令に応じて、棚段制御部52が発光部51を発光させる。
図7は棚段制御装置50の具体的構成を示す斜視図である。棚段制御装置50は、長尺状のフレーム55に組込まれる。フレーム55は、略方形板状の基板部55aの両長辺に一対の側壁部55bが略垂直姿勢で立設された、断面略U字状の形状を有している。このフレーム55は、棚段31の長手方向に対応する長手寸法を有している。
フレーム55内の奥部には、略方形板状の基板57が配設されている。この基板には、上記棚段制御部52を構成する電気回路が組込まれると共に、基板57の長手方向に沿って適宜間隔を有して複数の受発光部53が実装配列されている。
各受発光部53は、棚段31に格納されたファイルホルダ10のタグ装置20に向けて光信号を送信すると共に該タグ装置20から送信された光信号を受信可能なように、各受発光エリアが設定されている。
具体的には、基板57が基板部55aに対して傾いた姿勢で取付けられており、受発光部53が一方側の側壁部55b側に傾いた状態に指向している。また、フレーム55の開口部に、当該開孔を閉塞するようにして屈折部材58が取付けられている。屈折部材58は、透明樹脂等により形成されており、一方側の側壁部55bから他方側の側壁部55bに向うに従って順次薄くなる板状に形成されている。そして、上記受発光部53から照射される光が屈折部材58で屈折されて、より一方側の側壁部55bに対して傾斜する角度で進行するようになっている。勿論、タグ装置20側からの光は、上記光路とは逆の光路で受発光部53に進行する。なお、各受発光部53の姿勢や、各受発光部53とタグ装置20十の相対的な位置関係によっては、屈折部材58の代りに、一対の平行面を持つ平板状の透明部材を用いてもよい。
また、各受発光部53の受発光エリアは、少なくとも一つのタグ装置20との間で、光信号を送受信可能な程度の範囲に設定されている。さらに、隣合う受発光部53による受発光エリアは互いに重複している。そして、各受発光部53から順次又は同時に光信号を送信すると共に、各タグ装置20からの光信号の受信待機を行わせることで、棚段制御装置50と所定の棚段31に配列された全ファイルホルダ10のタグ装置20との間で、光信号の送受が可能となる。
さらに、このフレーム55のうち外部から操作可能な位置に上記指示部54が取付けられると共に、フレーム55のうち外部から視認可能な位置に発光部51が設けられている。
図8〜図10は、棚段制御装置50の取付態様を示す図である。
図8では、所定の棚段31の上側の棚板32に棚段制御装置50を取付けた態様を示している。この場合、開口部を下方に指向させた状態で、一方側の側壁部55bが棚板32の前端面に、ねじや接着剤、両面テープ等で取付けられる。これにより、各受発光部53からの光が棚段31内のファイルホルダ10の各タグ装置20に向けて照射されると共に、各タグ装置20からの光が各受発光部53に向けて照射されることとなる。
図9では、所定の棚段31の上側の棚板32に棚段制御装置50を取付けた別の態様を示している。この場合、開口部を下方に指向させた状態で、基板部55aが棚板32の前端部下面に、ねじや接着剤、両面テープ等で取付けられる。これにより、上記と同様、各受発光部53と所定の棚段31に格納された各ファイルホルダ10のタグ装置20との間で、光通信が可能となる。
図10は、所定の棚段31の下側の棚板32に棚段制御装置50を取付けた態様を示している。この場合、開口部を上方に指向させた状態で、他方側の側壁部55bが棚板32の前端面に、ねじや接着剤、両面テープ等で取付けられる。これにより、上記と同様、各受発光部53と所定の棚段31に格納された各ファイルホルダ10のタグ装置20との間で、光通信が可能となる。
これら図8〜図10で示したいずれの取付態様を選択するかは、格納棚30及びファイルホルダ10の形状や大きさ、周辺スペース事情等を考慮して、適宜に選択される。
また、物品管理装置では、上記管理制御装置60に、タグリーダ装置90及び携帯型検索装置92が接続されている。
タグリーダ装置90は、当該タグリーダ装置90にセットされた所定のタグ装置20との間で通信を行って、当該所定のタグ装置20に割当てられた識別符号を読取り可能に構成されている。この読取られた識別符号は、上記管理制御装置60に与えられる。これにより、識別符号とファイルホルダ名等の特定情報とを対応づけて登録できるようになる。
携帯型検索装置92には、上記管理制御装置60との間で通信を行うことで、管理制御装置60側の管理データベースと略同一内容に保たれた管理データベースが記憶されている。そして、携帯型検索装置92自体に設けられた入力キー等の入力手段を介して識別符号又はファイルホルダ10の特定情報を入力すると、前記管理データベースに基づいてその在庫位置が検索され、その在庫位置が携帯型検索装置92自体に設けられた液晶表示パネル等の表示手段に表示されるようになっている。また、入力キー等の入力手段を介して識別符号又はファイルホルダ10の特定情報を入力した後、携帯型検索装置92を格納棚30に指向させた状態で、携帯型検索装置92自体に設けられた所定の取出ボタンを操作すると、所望の識別符号を含む光信号が送信されるようになっている。
この携帯型検索装置92を用いたファイルホルダ10の取出し手順については後に詳述する。
以上のように構成された物品管理システムの動作について説明する。ここでは、説明の便宜上、作業者の視点に立って、ファイルホルダ10の取出作業手順、返却作業手順及び携帯型検索装置92を用いた取出作業手順について説明してから、その作業手順中における管理制御装置60の処理動作について説明する。
まず、図11を参照してファイルホルダ10の取出作業手順について説明する。
はじめに、ステップS10において、作業者が、入力部70を介して管理制御装置60に、取出対象となるファイルホルダ10に関する特定情報を入力する。ここで、所望のファイルホルダ10が複数ある場合には、その各ファイルホルダ10に対応する特定情報を各別に入力する。なお、入力形式は、ファイルホルダ名等の文字情報を入力するものであってもよいし、または、表示手段に表示された一覧表の中から選択して入力する形式であってもよい。
すると、所望のファイルホルダ10を格納した格納棚30のラック制御装置80が点灯するので、ステップS11において、作業者が当該点灯したラック制御装置80を備えた格納棚30の前に移動する。
また、このとき、所望のファイルホルダ10を格納した棚段31の棚段制御装置50も点灯しているので、ステップS12において、その点灯した棚段31を確認する。
次に、ステップS13において、棚段制御装置50のうち点灯した管理制御装置60の指示部54を操作する。
続いて、ステップS14において、ラック制御装置80に表示されている数値情報を確認する。この数値情報は、作業対象となっている棚段31において、取出対象とされているファイルホルダ10の数を示している。
そして、ステップS15において、各ファイルホルダ10のタグ装置20の点滅状況を確認しつつ、タグ装置20が点滅しているファイルホルダ10を順次取出していく。
次に、ステップS16において、作業者が、作業対象となっている格納棚30において、一定時間(タグ装置20の点滅時間)以内に全てのファイルホルダ10が取出せたか否かを確認し、取出せなかった場合には、ステップS13に戻って、ステップS13〜S15の手順を繰返す。一方、作業対象の格納棚30から全てのファイルホルダ10を取出すことができた場合には、ステップS17に進み、作業者が、要求した全ファイルホルダ10を取出せたか否かを確認する。取出せなかった場合には、ステップS11に戻って、他の格納棚30についてステップS11以下の手順を繰返す。一方、要求した全ファイルホルダ10を取出せた場合には、取出作業を終了する。
次に、図12を参照してファイルホルダ10の返却作業手順について説明する。
すなわち、ファイルホルダ10を返却する際には、ステップS20に示すように、該ファイルホルダ10を格納棚30内に収納する。
この際、ファイルホルダ10を前回の在庫位置を含むエリア、即ち、前回格納されていた棚段31内に収納することが好ましい。
次に、図13を参照して携帯型検索装置92を用いた取出作業手順について説明する。なお、携帯型検索装置92を用いた取出作業は、例えば、管理制御装置60側に不都合が生じて上記図11に示す取出作業を実行できない場合等に行われる。
まず、携帯型検索装置92を取出して、ステップS30において、該携帯型検索装置92に対して取出しを望むファイルホルダ10の特定情報又は識別符号を入力する。
これにより、携帯型検索装置92の表示手段側に、所望のファイルホルダ10の在庫位置が表示されるので、ステップS31においてこの在庫位置を確認する。
次に、ステップS32において、前記表示に従って在庫位置前に移動する。
そして、ステップS32において、携帯型検索装置92を格納棚30に向けた状態で、その取出しボタンを押す。これにより、携帯型検索装置92から各タグ装置20に向けて呼出し用の符号を含む光信号が送信され、所望のファイルホルダ10に取付けられたタグ装置20が点滅する。
最後に、ステップS34において、各タグ装置20の点滅状態を視認しつつ、タグ装置20が点滅しているファイルホルダ10を取出す。これにより、所望のファイルホルダ10の取出しが終了する。
上記作業における管理制御装置60の動作について説明する。
図14は、上記図11のステップS11においてファイルホルダ10の特定情報が入力された後に、管理制御装置60が取出対象とされたファイルホルダ10の在庫の有無を確認する動作、即ち、所望のタグ装置20を呼出すにあたって事前になされる在庫確認動作を示している。
すなわち、管理制御装置60の入力部70を通じて、所望のファイルホルダ10の特定情報が入力されると、ステップS40において、当該特定情報に基づいて、管理データベースから対応する識別符号と在庫位置とが抽出される。
次に、ステップS41において、特定の格納棚30及び棚段31を指定して在庫確認を行う(検索1)。具体的には、管理制御装置60は特定の棚段31に対応する棚段制御装置50を通じて、当該特定の棚段31に格納された各ファイルホルダ10のタグ装置20に向けて、特定の識別符号及び問い合せコマンドを含む信号を送信する。なお、ここで、特定の特定の格納棚30及び棚段31とは、管理データベースから抽出された在庫位置(この在庫位置は、前回の在庫検索時において特定された在庫位置である)を含む格納棚30及び棚段31である。
この後、ステップS42において、タグ装置20からの応答が有ったか否かが判断される。すなわち、管理制御装置60は、棚段制御装置50を通じてタグ装置20から応答信号の受信があったか否かを判断する。ここで、タグ装置20からの応答が有ったと判断されると、ステップS43に進んで、前記特定の格納棚30におけるラック制御装置80を発光させると共に、前記特定の棚段31における棚段制御装置50を発光させて、処理を終了する。
一方、ステップS42において、タグ装置20からの応答が無かったと判断されたときには、他の棚段31におけるタグ装置20との間で通信を行って在庫の検索を行う。
すなわち、ステップS44に進んで、特定グループの格納棚30及び棚段31を指定して、上記ステップS41に説明したのと同様にして在庫確認を行う(検索2)。なお、ここで、特定グループの格納棚30及び棚段31とは、ステップS41における特定の格納棚30及び棚段31の近傍の格納棚30及び棚段31を含むグループである。要するに、特定の格納棚30及び棚段31において在庫が無い場合でも、その近傍に取出対象となるファイルホルダ11が格納された可能性が高いので、当該近傍の格納棚30及び棚段31に対して在庫確認を行う。
次に、ステップS45において、タグ装置20からの応答が有ったか否かが判断される。ここで、タグ装置20からの反応有りと判断されると、ステップS46に進んで、管理データベースの在庫位置情報を更新し、その後、ステップS43に進んで、応答のあった格納棚30におけるラック制御装置80及び棚段31における棚段制御装置50を発光させて、処理を終了する。
一方、ステップS45において、タグ装置20からの応答が無かったと判断された場合には、ステップS47に進んで、検索1,2で指定した以外の格納棚30,棚段31を指定して、上記ステップS41に説明したのと同様にして在庫確認を行う(検索3)。
次に、ステップS48において、タグ装置20からの応答の有無が判断され、応答有りと判断された場合には、ステップS46,S43の処理を行う。
一方、ステップS48において、タグ装置20からの応答が無いと判断された場合には、ステップS49において取出対象となるファイルホルダ10が不在である旨、管理制御装置60側の表示手段に表示され、処理が終了する。
図15は、図14において応答のあった格納棚30におけるラック制御装置80及び棚段31における棚段制御装置50を発光させた後の処理、即ち、図11のステップS13において所定の棚段31の指示部54を操作する段階以降における、管理制御装置60の動作を示している。
すなわち、所定のラック制御装置80及び棚段制御装置50を発光させた後、棚段31の指示部54に対する操作の有無が検出され、ステップS50において取出し要求のある棚段31の指示部54が操作されたと判断されると、ステップS51に進む。
ステップS51では、指示部54が操作された該当棚段31において取出要求された対象ファイルホルダ10の数を表示させる。つまり、管理制御装置60は、ラック制御装置80に指示を与えて、該当棚段31における取出要求ファイルホルダ10の数を表示させる。
次に、ステップS52において該当棚段31におけるタグ装置20を点滅させる。つまり、管理制御装置60は、棚段制御装置50を通じて、該当棚段における各タグ装置20に向けて呼出し用の識別符号及び表示指示コマンドを含む信号を送信する。これにより、前記信号を受信したタグ装置20であって、呼出し用の識別符号と一致する識別符号を持つものが、一定時間点滅することになる。
上記信号を送信すると、ステップS53において、取出確認時間の計時が開始される。この取出確認時間は、各ファイルホルダ10の取出しに要する総時間よりも長めに設定されている。
次に、ステップS54において、取出確認時間が経過したと判断されると、ステップS55に進んで、取出対象とされたタグ装置20の在庫確認を行う。
そして、ステップS56において、タグ装置20からの応答があった場合には、ステップS57に進んで、取出し忘れを表示する。一方、ステップS56において、タグ装置20からの応答が無かった場合には、そのまま取出に関する動作を完了する。
図16は、ファイルホルダ10が取出された後の在庫確認に関する管理制御装置60の動作を示している。
まず、ステップS60において、現在の時刻が、返却予定日時又は業務終了時間であるか否かが判断される。返却予定日時は、図14のステップS11において、ファイルホルダ10の特定情報と共に入力された日時又はその入力された日時に基づいて決定される日時(例えば、入力された日時の所定時間前或は所定時間後等)である。また、業務終了時間は、本システムの使用態様に応じて、予め任意に設定された日時である。ここで、返却予定日時又は業務終了時間であると判断されると、次のステップS61に進む。
ステップS61では、取出されているファイルホルダ10の識別符号及び前回在庫位置が、管理データベースより抽出される。
次に、ステップS62に進んで、特定の格納棚・棚段を指定して在庫確認を行う(検索1)。このステップS62は、図14に示すステップS42と同様の処理である。
この後、ステップS63において、タグ装置20からの応答の有無が判断され、応答があった場合には、ステップS64に進む。
ステップS64では、在庫確認対象となったファイルホルダ10の在庫有りとする内容に、管理データベースの在庫情報を更新して、処理を終了する。
一方、ステップS63において、タグ装置20からの応答が無しと判断されると、ステップS65に進んで特定グループの格納棚30及び棚段31を指定して在庫確認を行う(検索2)。このステップS65は、図14に示すステップS44と同様の処理である。
次に、ステップS66に進んで、タグ装置20からの応答の有無が判断され、応答があった場合には、ステップS67に進む。
ステップS67では、在庫確認対象となったファイルホルダ10の在庫位置を新たな在庫位置にすべく、管理データベースの在庫位置情報を更新する。この後、ステップS64に進む。
一方、ステップS66において、タグ装置20からの応答が無いと判断されると、ステップS68に進んで、現在時刻が業務終了時間か否かが判断される。ここで、業務終了時間で無いと判断されたときには、ステップS71に進んで、管理制御装置60の表示手段に、当該ファイルホルダ10が未返却である旨の表示を行って処理を終了する。一方、業務終了時間であると判断されたときには、ステップS69に進む。
ステップS69では、検索1,2で指定した以外の格納棚30及び棚段31を指定して在庫確認を行う(検索3)。このステップS69の処理は、図14におけるステップS47と同様の処理である。
次に、ステップS70において、タグ装置20からの応答の有無が判断される。ここで、タグ装置20からの応答が有ったと判断されると、ステップS67,S64の処理を行って、処理を終了する。一方、タグ装置20からの応答が無いと判断されると、ステップS71に進んで、未返却である旨表示して処理を終了する。
なお、上述した管理制御装置60の各処理は、棚段制御装置50やラック制御装置80において分散して処理されていてもよい。
以上のように構成された物品管理システムによると、予め入力された返却予定時間に対応する時間に、各タグ装置20との間で通信を行って、取出対象ファイルホルダ10の在庫の有無を確認することになる。このため、所定のファイルホルダ10を取出した後からその返却予定時間までの間において、該所定のファイルホルダ10の在庫の有無を管理するために、各タグ装置20に信号を送信して各タグ装置20をウエイクアップさせる必要がない。従って、各タグ装置20の動作回数を少なくすることができ、その消費電力を少なくすることできる。
また、特定の格納棚30の棚段31を指定して在庫確認を行い、各タグ装置20からの応答が無かった場合に、特定グループの格納棚30及び棚段31を指定して在庫確認を行っている。すなわち、所定の候補エリアから徐々にエリアを広げて各タグ装置20との間で通信を行って、在庫確認を行っている。このため、最初又は比較的初期に指定した棚段31で所定のタグ装置20から応答が有った場合には、他の棚段31におけるタグ装置20に向けて信号を送信してウエイクアップさせる必要がない。このため、各タグ装置20の動作回数を少なくして、その消費電力を少なくすることができる。
特に、最初の棚段31として前回の在庫位置を含むエリアを指定することで、初期段階でタグ装置20からの応答を受けて在庫を確認できる可能性が高く、従って、各タグ装置20の消費電力をより少なくすることができる。
しかも、このようにエリアを徐々に広げて各タグ装置20との間で通信を行い在庫確認する動作を、在庫確認動作及び前記各タグ装置20からの応答の有無により前記所望のタグ装置20の検索及び呼出しを行う検索呼出動作の双方について行っているため、これらの両動作に関して、各タグ装置20の消費電力をより少なくすることができる。
また、この物品管理システムによれば、所定の棚段制御装置50の指示部54に対して操作を行うと、その棚段制御装置50に対応する棚段31(取出エリア)に存在する取出対象ファイルホルダ10のタグ装置20が発光を行う。このため、取出作業の進捗状況等の必要性に応じて所望の棚段31(取出エリア)におけるタグ装置20だけに発光動作を行わせることができ、タグ装置20の消費電力を少なくすることができる。
しかも、タグ装置20は、報知のための発光を予め設定された所定の時間行うため、この点からしても、消費電力を少なくすることができる。
また、この物品管理システムによれば、指示部54に対して操作を行った後、取出確認時間後に、該取出対象となったファイルホルダ10の在庫の有無を確認している。このため、例えば、指示部54に対して操作を行った直後から在庫の確認をする場合に比べて、タグ装置20の動作回数を少なくして、その消費電力を少なくすることができる。
また、上記棚段制御装置50は、長尺状のフレーム55と、そのフレーム55の長手方向に沿って配列された受発光部53とを備えた構成とされているため、該フレーム55を各棚段31に取付けることで、棚段31に格納された各ファイルホルダ10のタグ装置20との間で光通信を行うことができる。このため、既存の格納棚30への追加が容易である。
<タグ装置をファイルホルダに取付けるための具体的構成例>
図17は、タグ装置を組込んだファイルホルダを示す斜視図である。
同図に示すように、タグ組込用ホルダとしてのファイルホルダ110は、樹脂等の薄板状部材により形成される部材であり、略方形状に形成された一対の表紙111a,111b(表側表紙を111a、裏側表紙を111bとする)と、一対の表紙111a,111bの所定辺(ここでは、一方側の長辺)同士を連結する連結部としての背表紙111cとを備えている。なお、所定幅を有する背表紙111cは無くともよく、表紙111a,111bが所定の折れ目を介して連結されている構成であってもよい。
上記表紙111a,111bのうち一方側の表紙111aの外周部であって上記所定辺を除く辺に固定片部分112と補強片部分113とを有する延設片114が形成されると共に、固定片部分112にタグ収容部115が形成されている。このタグ収容部115にタグ装置120が収容固定される。
ここで、タグ装置120について具体的に説明しておく。
タグ装置120は、実装基板22Bと電池23Bと、内部に実装基板22B及び電池23Bを収容したケース体121とを備えている(図18(c)参照)。
実装基板22Bには、所定のプリント配線基板に諸電子部品を実装することで、上述したように予め割当てられた所定の識別符号に基づいて所定の応答動作や報知動作等のタグ側処理動作を行う回路が形成されている。電池23Bは、その回路の電源として用いられる。
実装基板22Bの一側上部は、隣接する辺に対して斜行する辺に形成されている。この斜交する辺部分に上記受光部24や通信用発光部27、報知用発光部28が実装固定されている。なお、図18(c)では2つの発光部Lが実装固定された例を図示している。
また、この実装基板22B及び電池23B側の所定位置には、識別符号表示Mが付されている。ここでは、実装基板22Bより外方に延設されて電池23Bの一方側電極に接触する電極端子と、電池23Bの一方側電極とに、シールによる当該識別符号表示Mが付されている。
図18は、タグ装置120のケース体121を示す図であり、図18(a)はケース体121の平面図、図18(b)はケース体121の正面図、図18(c)はケース体121の側面図である。図19は、ケース体121の展開形態を示す図であり、図19(a)は図19(e)のA−A線断面図であり、図19(b)はケース体121の展開形態を示す平面図であり、図19(c)は図19(e)のC−C線断面図であり、図19(d)はケース体121の展開形態を示す正面図であり、図19(e)はケース体121の展開形態を示す側面図であり、図19(f)はケース体121の展開形態を示す背面図である。
ケース体121は、一対の分割ケース体122A,122Bと、一対の分割ケース体122A,122Bの一方辺である上側辺において、一対の分割ケース体122A,122Bを開閉自在に連結するヒンジ部126とを備えている。
一方側の分割ケース体122Aには、上記実装基板22Bの外周形状に対応する基板収容凹部123Aaが形成されると共に、電池23Bの外周形状に対応する電池収容凹部123Abが形成されている。
また、一方側の分割ケース体122Aの他方側辺部分(上記ヒンジ部126と対向する下側辺部分)には、被係合部として一対の係合孔部124Aが形成されている。また、他方側の分割ケース体122Bの他方側辺部分(上記ヒンジ部126と対向する下側辺部分)には、係合部として一対の係合片124Bが形成されている。
そして、一対の分割ケース体122A,122Bを閉じ合わせることで、上記一対の係合片124Bが一対の係合孔部124Aにそれぞれ係合して、当該閉じ合わせた形態が保持されるようになっている。
また、一方側の分割ケース体122Aであって上記識別符号表示Mと対応する位置に、視認用開口部125Hが形成されている。この視認用開口部125Hを通じて、タグ装置120外から識別符号表示Mを視認できるようになっている。これにより、実装基板22B組込後において、分割ケース体122A等に識別用の識別符号を付する必要がなくなる。
さらに、一対の分割ケース体122A,122Bの一側辺上部が、上記実装基板22Bの斜交する辺に対応するように斜め方向に切り欠かた形状とされており、この斜め切欠状部分を通じて実装基板22B上の発光部L等が外部に露出するようになっている。これにより、ケース体121自体が邪魔になることなく、当該発光部L等が斜め切欠状部分を通じて斜め外方向に光を照射し、或は、斜め外方向からの光を受光するようになっている。これにより、通信信頼性を向上させることができる。
また、ケース体121の外周一側部には、タグ装置固定用の係合部として小半球突起状の係合突部128が形成されている。この係合突部128は、後述するタグ収容部115に形成された被係合孔部118に係合可能に構成されている。
このケース体121に実装基板22B及び電池23Bを組込むにあたっては、両分割ケース体122A,122Bを開いた状態で、実装基板22B及び電池23Bを、それぞれ基板収容凹部123Aa及び電池収容凹部123Ab内に収容配置する。この後、両分割ケース体122A,122Bを閉じて、一対の係合片124Bを一対の係合孔部124Aにそれぞれ係合させる。これにより、実装基板22B及び電池23Bがケース体121内の所定位置に簡易に収容固定されるようになる。
上記ケース体121により、実装基板22B等の保護及び取付け位置決めが図られる。また、一対の係合片124Bと一対の係合孔部124Aとの係合により、容易に実装基板22B等をケース体121内に組付けることができる。
また、ケース体121の上面側に分割ケース体122A,122Bのヒンジ部126を配設することで、実装基板22Bの抜取りと落下時等のケース体121の開きを防止することができる。
ファイルホルダ110の説明に戻る。
図17に示すように、一方側の表紙111aにおける一辺に固定片部分112と補強片部分113とが延出形成されている。ここでは、固定片部分112及び補強片部分113は、表紙111aの外周部のうち上記背表紙111c(連結片)が形成された辺に略直交する辺、より好ましくは、ファイルホルダ110の表紙111a,111b等に記載された文字をもって規定される上下方向において、上側となる辺に形成されている。もっとも、これら固定片部分112と補強片部分113が表紙111aの外周部のうち上記背表紙111cと対向する片に形成されていてもよい。
また、これら固定片部分112及び補強片部分113は、一葉状に連設されて(換言すれば一体的に延設されて)、延設片114に形成されている。
これらのうち補強片部分113は、表紙111aの一辺から延出する片を、二重に重ね合せるように折返し、その折返し先端縁部を前記片の基端部に溶着等で固着することで、紙片を収容配置可能なポケット状に形成されている。この補強片部分113のポケット状部分内に、識別符号等を表示した紙片を収容可能な構成とされている。
なお、補強片部分113に、識別符号等を表示した紙片を貼付けるようにしてもよい。
また、図20及び図21に示すように、固定片部分112には、タグ収容部115が形成されている。タグ収容部115は、タグ装置120を収容配置可能でかつ折畳み可能な略角筒状に形成されている。すなわち、タグ収容部115は、タグ装置120の側方四方を囲う4つの側壁部によって形成されており、その上方及び下方は開口している。
このため、図22(a)に示すように、タグ収容部115の略方形開口形状においてその対角線方向に沿った力Fを加えると、図22(b)に示すように、一組の対角が略180度に折れ曲り、他組の対角が平面状に延びるようにして、タグ収容部115が折り畳まれるようになっている。
また、このタグ収容部115には、その内部にタグ装置120を収容配置した状態で、上記係合突部128と対応する位置に、被係合部として被係合孔部118が形成されている(図20参照)。そして、タグ装置120をタグ収容部115内に収容配置すると、係合突部128が被係合孔部118に嵌まり込むように係合し、これによりタグ装置120がタグ収容部115内に固定保持されるようになっている。
なお、タグ装置120がタグ収容部115内に収容配置された状態で、タグ装置120及びタグ収容部115が他方側の表紙111bに重ならない位置に設けられていることが好ましい。これにより、タグ装置120及びタグ収容部115に加えて、他方側の表紙111bが重なる部分を無くすことができ、ファイルホルダ110の厚みを小さくすることができる。
また、このようなタグ収容部115は、次のようにして形成することができる。すなわち、図23(a)に示すように、表紙111aの一辺より外方に延出するように延出片130を形成し、図23(b)に示すように、当該延出片130を略角筒状になるように折曲げ、続いて、図23(c)に示すように、延出片130の先端部を延出片130の基端部に溶接や接着材等で固着することで、形成されている。
そして、タグ収容部115の上方開口より、タグ装置120をタグ収容部115内に押込み、タグ装置120側の係合突部128をタグ収容部115側の被係合孔部118に係合させると、タグ装置120がタグ収容部115内に固定保持され、タグ装置120のファイルホルダ110への組込が終了する。
以上のように構成されたファイルホルダ110によると、一方側の表紙111aの外周部であって所定辺を除く辺に、タグ装置120が固定される固定片部分112と、タグ装置120が固定されない補強片部分113とが延出形成されると共に、それら固定片部分112と補強片部分113とが一葉状に連設されているため、表紙111aのうちタグ装置120を取付けた部分近傍が補強片部分113によって補強される。従って、固定片部分112にタグ装置120を取付けた場合において、タグ装置120の重みによる表紙111aの腰折れや垂下がり等を防止することができる。
また、タグ収容部115は、折畳み可能な略角筒状に形成されているため、タグ装置120の組込前等の非利用時においては、該タグ収容部115を折り畳んでそのコンパクト化を図ることができる。
また、タグ収容部115に、タグ装置120側の係合突部128と係合する被係合孔部118が形成されているため、これらの係合により、タグ装置120がタグ収容部115内に固定保持され、その脱落や位置ずれ等を有効に防止できる。
しかも、そのタグ収容部115は、表紙111aの一辺より外方に延出する延出片130を略角筒状に折曲げ、その先端部を延出片130の基端部に溶接や接着材等で固着することで形成できるため、他部材等を別途付加することなく容易に形成することができる。