以下、実施形態に係る格納物品管理システム及び格納物品管理方法について説明する。なお、本実施形態では、格納物品として用紙を挟込んで保持可能なフォルダを想定した場合で説明するが、その他、書籍やビデオテープ、DVDやCD等の可搬性有る記録媒体を収納したケース等、格納部としての格納棚に格納可能な各種格納物品を対象とすることができる。
まず、本格納物品管理システムの全体構成について説明する。図1は格納物品管理システムの全体構成を示す概略図であり、図2は同格納物品管理システムを示すブロック図である。
この格納物品管理システムは、格納物品としてのフォルダ10が物品群収容部としての親ケース14に格納された状態で、格納部としての格納棚30に格納されるものに適用されるものである。この格納物品管理システムは、親ケース14及びフォルダ10に取付可能なタグ装置20と、親ケース14に取付可能な報知機能付タグ装置40と、ラック制御装置80と、棚段制御装置50と、タグリーダ装置90と、格納物品管理装置60とを備えている。
上記タグ装置20は、個々の親ケース14及び個々のフォルダ10に1つずつ取付けられる。そして、1つ以上のフォルダ10が1つの親ケース14に格納された状態で、その親ケース14がタグリーダ装置90にセットされると、当該親ケース14及びこれに格納されたフォルダ10に取付けられたタグ装置20がタグリーダ装置90を介して格納物品管理装置60との間で通信を行う。これにより、格納物品管理装置60は、親ケース14に取付けられたタグ装置20と当該親ケース14に格納されたフォルダ10に取付けられたタグ装置20とを対応づけて管理する。また、報知機能付タグ装置40は、個々の親ケース14に1つずつ取付けられており、親ケース14が格納棚30に格納された状態で、当該親ケース14に取付けられた報知機能付タグ装置40が上記棚段制御装置50を介して格納物品管理装置60との間で通信を行う。そして、所望のフォルダ10を取出す場合には、前記対応づけ情報に基づいて当該所望のフォルダ10を格納した親ケース14を特定し、その特定された親ケース14に取付けられた報知機能付タグ装置40を報知動作させることによって、当該所望のフォルダ10の所在位置を容易に特定できるようにしている。
各部毎により具体的に説明する。
まず、対象となる格納棚30、フォルダ10及び親ケース14について説明する。
格納棚30は、図1に示すように、上下方向に複数の棚段31を有している。それぞれの棚段31は、複数の親ケース14を横方向に並列配置した状態で格納可能に構成されている。このような格納棚30は、1つだけ用いられてもよいし、また、複数配列された状態で用いられてもよい。
図3はタグ装置20及び報知機能付タグ装置40が取付けられた親ケース14を示す斜視図であり、図4はタグ装置20が取付けられたフォルダ10を示す斜視図である。
親ケース14は、複数のフォルダ10を格納した状態で、上記格納棚30の各棚段31に格納可能に構成されている。ここでは、親ケース14は、樹脂等で形成された扁平な筺状に形成されており、蓋を開けることによって内部に複数のフォルダ10を格納し及び取出し可能に構成されている(図1参照)。このような親ケース14としては、文具として一般的な書類ケース等を用いることができるし、また、本システム用として設計された専用品を用いることもできる。また、親ケース14は、必ずしもフォルダ10の全体を覆う必要はなく、例えば、図5に示す親ケース114のように、上方が開口したケース状に形成されていてもよい。
この親ケース14の背面(格納棚30に格納した状態で外方に向く面)に、報知機能付タグ装置40が取付けられている。もっとも、報知機能付タグ装置40の取付位置は、親ケース14が格納棚30に格納された状態で棚段制御装置50との間で通信可能でかつ後述する発光表示を外部から認識可能な位置であればよい。また、親ケース14の側面にタグ装置20が取付けられている。もっとも、タグ装置20の取付位置は、親ケース14をタグリーダ装置90にセットした状態で、当該タグリーダ装置90と通信可能な位置であればよく、例えば、親ケース14内に取付けられていてもよい。
フォルダ10は、所定の情報を記録した用紙を挟込んで保持可能に構成されている。このようなフォルダ10としては、例えば、略方形状の樹脂フィルムで表表紙及び裏表紙を構成し、それらの間に書類を挟込むようにしたフォルダ等を用いることができる。かかるフォルダ10としても、文具として一般的なもの等を用いることができるし、また、本システム用として設計された専用品を用いることもできる。
このフォルダ10の側面にタグ装置20が取付けられている。もっとも、タグ装置20の取付位置は、親ケース14をタグリーダ装置90にセットした状態で、当該親ケース14内のフォルダに取付けられたタグ装置20が当該タグリーダ装置90と通信可能な位置であればよく、例えば、フォルダ10の内部に取付けられていてもよい。
次に、本システムの構成部分について説明する。
図6はタグ装置20を示すブロック図であり、図7はタグ装置20の動作を示すフローチャートである。
このタグ装置20は、自己の識別符号を送信可能に構成されており、上記親ケース14及びフォルダ10に取付可能に構成されている。
より具体的には、タグ装置20は、例えば、後述するタグ制御部25やID記憶部26等を構成する電気回路等を組込んだ略方形板状に形成されており、親ケース14及びフォルダ10に接着剤や両面テープ等を介して取付けられる(図3〜図5参照)。タグ装置20は、その他、クリップを介して取付けられる構成であってもよいし、親ケース14やフォルダ10に当該タグ装置20を収容保持可能なポケット状又はケース状の収容部が形成され、そこに収容されて取付けられる構成であってもよい。つまり、このタグ装置20は、親ケース14に取付可能な第1タグ装置及びフォルダ10に取付可能な第2タグ装置として用いられる。もっとも、親ケース14に取付可能な第1タグ装置と、フォルダ10に取付可能な第2タグ装置とは、必ずしも共通する構成を持つ必要はなく、別々の構成を有していてもよい。
このタグ装置20は、図6に示すように、送受信部24と、タグ制御部25と、ID記憶部26とを備えている。これらの各要素は、適宜1チップ化された形態であってもよい。
タグ制御部25は、CPUやROM、RAM等を備える一般的なマイクロコンピュータであり、予め格納された所定のソフトウエアプログラムに従って、後述する動作を行う。
また、ID記憶部26は、各タグ装置20に予め割当てられた識別符号を記憶保持している。上記タグ制御部25は、当該ID記憶部26に記憶された識別符号を読込んで所定の動作を行う。なお、ID記憶部26は、初期設定時に書込まれた識別符号を書換え不能に記憶するものであってもよいし、また、書換え可能に記憶するものであってもよい。
送受信部24は、送受信回路及びアンテナを有しており、タグ制御部25からの出力に応じて自己の識別符号を含む電波信号を送信すると共に、外部からの電波信号を受信してタグ制御部25に与える。
このタグ装置20は、図7に示す処理を実行可能に構成されている。すなわち、通常状態では消費電力を抑制したスリープモードになっており、送受信部24を介して電波信号を受信すると、ステップS1に示すように、ウエイクアップし、比較的消費電力の少ないスリープ状態から比較的消費電力の大きなアクティブ状態に移行し、ステップS2に進む。ステップS2では、タグ制御部25は、受信された電波信号に問い合せコマンドが含まれるか否かを判定する。結果、問い合せコマンドが含まれないと判断した場合には、そのままスリープモードに移行する。一方、問い合せコマンドが含まれると判断した場合には、ステップS3に進む。ステップS3では、タグ制御部25は、ID記憶部26から自己の識別符号を読込んで、送受信部24を介して当該自己の識別符号を含む電波信号を送信する。その後、スリープモードに移行する。
図8は報知機能付タグ装置40を示すブロック図であり、図9は報知機能付タグ装置40の動作を示すフローチャートである。
報知機能付タグ装置40は、受信した信号に報知コマンドが含まれかつその信号に含まれる呼出し用識別符号が自己の識別符号と一致するときに、自己の位置を報知する報知動作を行うように構成されている。
より具体的には、報知機能付タグ装置40は、例えば、後述する報知用タグ制御部45やID記憶部46等を構成する電気回路等を組込んだ略方形板状に形成されており、親ケース14に接着剤や両面テープ等を介して取付けられる(図3及び図5参照)。この報知機能付タグ装置40も、その他、クリップを介して取付けられる構成であってもよいし、当該報知機能付タグ装置40を収容保持可能なポケット状又はケース状の収容部が形成され、そこに収容されて取付けられる構成であってもよい。
なお、この報知機能付タグ装置40は、親ケース14に取付けられるタグ装置20と一体化された構成であってもよい。また、ID記憶部26,46を共有し、単一の制御部で上記タグ制御部25及び後述する報知用タグ制御部45としての機能を実行するものであってもよい。
この報知機能付タグ装置40は、図8に示すように、受光部44と、報知用タグ制御部45と、ID記憶部46と、通信用発光部47と、報知用発光部48とを備えている。これらの各要素、特に、報知用タグ制御部45とID記憶部46とは、適宜1チップ化された形態であってもよい。
報知用タグ制御部45は、CPUやROM、RAM等を備える一般的なマイクロコンピュータであり、予め格納された所定のソフトウエアプログラムに従って、後述する動作を行う。
また、ID記憶部46は、各報知機能付タグ装置40に割当てられた識別符号を記憶保持している。このように報知機能付タグ装置40に割当てられた識別符号は、同じ親ケース14に取付けられるタグ装置20に割当てられた識別符号に対応づけられている。対応付けは、両者共通の識別符号を割当てるように管理することによって行われていてもよいし、両者別々の識別符号が割当てられており、その別々の識別符号の対応関係情報を後述する格納物品管理装置60にて記憶管理しておくことで行われてもよい。ここでは、前者であるとして説明する。そして、報知用タグ制御部45は、当該ID記憶部46に記憶された識別符号を読込んで所定の動作を行う。なお、ID記憶部46は、初期設定時に書込まれた識別符号を書換え不能に記憶するものであってもよいし、また、書換え可能に記憶するものであってもよい。
受光部44は、フォトダイオード等の受光素子であり、光信号を電気信号に変換して、これを報知用タグ制御部45に出力する。
通信用発光部47は、発光ダイオード等の発光素子であり、上記報知用タグ制御部25からの制御に応じて所定の応答光信号を発する。
これらの受光部44及び通信用発光部47は、赤外光等の非可視光を受光又は発光するものであっても、可視光を受光又は発光するものであってもよい。ここでは、受光部44及び通信用発光部47は、赤外光等の非可視光を受光又は発光する。
また、報知用発光部48は、可視光発光ダイオード等の発光素子であり、上記報知用タグ制御部45からの制御に応じて、所定の報知動作を行う。ここでは、予め設定された所定の動作時間だけ、報知動作として点滅動作を行う。なお、本報知機能付タグ装置40による報知動作としては、その他、音を発する動作等であってもよい。
この報知機能付タグ装置40の動作について図9のフローチャートを参照して説明する。
まず、光信号が受光部44を通じて受信されると、ステップS11において、ウエイクアップし、比較的消費電力の少ないスリープ状態から比較的消費電力の大きなアクティブ状態に移行する。
次にステップS12において、報知用タグ制御部45は、受信した光信号に含まれる呼出し用識別符号が自己の識別符号と一致するか否かを判別する。ここで、両符号が不一致の場合には、動作を終了しスリープ状態に移行する。一方、両符号が一致した場合には、ステップS13に進んで、通信用発光部47を通じて応答光信号を送信する。
この後、ステップS14に進んで、報知用タグ制御部45は、受信した光信号に含まれるコマンドの判定を行う。ここで、コマンドには、単に在庫の有無及び位置を検索するための問い合せコマンドと、フォルダ10の在庫位置を報知させるための報知コマンドの2種類がある。ステップS14において、問い合せコマンドであると判別された場合には、動作を終了しスリープ状態に移行する。一方、報知コマンドであると判別された場合には、ステップS15に進んで、報知用発光部48を一定時間点滅等させて報知動作を行い、動作を終了してスリープモードに移行する。
なお、ステップS12又はステップS12及びステップS13の双方を省略し、信号に含まれる識別符号が自己の識別符号と一致する場合には必ず発光報知を行うようにしてもよい。
なお、各タグ装置20、40において、電波通信及び光通信のいずれを行うものであってもよい。ここでは、タグ装置20は電波通信を行い、報知機能付タグ装置40は光通信を行う例で説明する。その場合のメリットについては後述する。
図10は格納棚30に取付けられたラック制御装置80及び棚段制御装置50を示す説明図である。
図2及び図10に示すように、棚段制御装置50は、ラック制御装置80を介して格納物品管理装置60に通信可能に接続されており、格納物品管理装置60からの指示に応じて格納棚30に格納された親ケース14に取付けられた報知機能付タグ装置40に対して光信号を送信可能に構成されている。本実施形態においては、各棚段31に設けられた棚段制御装置50が格納物品管理装置60で特定された第1タグ装置20の識別符号に対応する呼出し用の識別符号を含む信号を、報知機能付タグ装置40に対して送信可能な呼出し用通信部として機能する。
より具体的には、ラック制御装置80は、各格納棚30に設けられており、ラック制御部82と発光表示部84とを有している。
ラック制御部82は、CPUやROM、RAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、予め格納された所定のソフトウエアプログラムに従って、所定の動作を行う。すなわち、ラック制御部82は、それが設置された所定の格納棚30における各棚段制御装置50に通信可能に接続されると共に、中継装置88を介して格納物品管理装置60に通信可能に接続されており、格納物品管理装置60と所定の格納棚30における各棚段制御装置50との間で通信の中継を行う。また、所定の格納棚30に設置されたラック制御部82は、他の格納棚30のラック制御部82にも通信可能に接続されており、他のラック制御部82と格納物品管理装置60との通信の中継をも行っている。
また、発光表示部84は、可視光発光ダイオード等により構成されており、ラック制御部82の指示に応じて発光表示可能に構成されている。
このラック制御装置80は、例えば、略筺状のケース内に収容された形態で、各格納棚30の上部に設置される。
棚段制御装置50は、棚段制御部52と受発光部53と指示部54と報知用の発光部51aと取出数表示部51bとを備えている。この棚段制御装置50は、各棚段31毎に、例えば、棚板の前部にその幅方向全体に亘って設けられている。
棚段制御部52は、CPUやROM、RAM等を備える一般的なマイクロコンピュータであり、予め格納された所定のソフトウエアプログラムに従って、所定の動作を行う。
受発光部53は、例えば、発光ダイオード等の発光素子とフォトダイオード等の受光素子との組合せにより構成されており、報知機能付タグ装置40との間で光通信可能な光を受発光するように構成されている。
なお、図2では、一つの棚段制御部52に対して単一の受発光部53を示しているが、棚段31内に配列された複数の親ケース14の報知機能付タグ装置40との間で光通信を行うため、受発光部53は棚段31の幅方向に沿って複数配列される。
上記棚段制御部52は、ラック制御装置80及び中継装置88を介して格納物品管理装置60との間で双方向の通信を行うと共に、受発光部53を介して対応する棚段31に格納された各フォルダ10の報知機能付タグ装置40との間で光信号の送受信を行う。そして、格納物品管理装置60から所定の識別符号や問い合せコマンド又は報知コマンド等を含む電気信号を受信すると、これに応じた所定の光信号を、対応する棚段31に格納された各親ケース14の報知機能付タグ装置40に向けて送信する。また、報知機能付タグ装置40からの応答光信号を受信すると、これに応じた所定の電気信号を格納物品管理装置60に送信する。
また、指示部54は、押し釦スイッチ等により構成され、外部からの操作指示を受付け可能な位置に設けられており、報知開始指令を受付ける位置報知開始受付部として機能する。本システムにおける作業者が指示部54を通じて報知開始指令を入力すると、格納物品管理装置60の制御下、本棚段制御部52から該当する棚段31に配設された親ケース14の報知機能付タグ装置40に向けて、報知コマンド及び呼出し用の識別符号を含む信号が送信され、該当する報知機能付タグ装置40が発光報知を行うようになる。
発光部51aは、可視光発光ダイオード等により構成されている。そして、格納物品管理装置60からの指令に応じて、棚段制御部52が発光部51aを発光させる。
取出数表示部51bは、可視光発光ダイオード等により構成されており、セグメント表示等により数値表示可能に構成されている。そして、格納物品管理装置60からの指令に応じて、当該棚段31に存在する親ケース14の数を示す数値を表示する態様にて発光表示可能になっている。
これらの発光部51a及び取出数表示部51bは、外部から視認可能な位置に設けられている。
図11はタグリーダ装置90を示す斜視図である。このタグリーダ装置90は、親ケース14を1つセット可能に構成されており、セットされた親ケース14に取付けられたタグ装置20及びセットされた親ケース14に格納されたフォルダ10に取付けられたタグ装置20との間で通信可能に構成された管理装置側通信部とされている。
より具体的には、タグリーダ装置90は、セット部94と、タグリーダ部98とを有している。
セット部94は、平板状の基台91の上方3方を取囲むように背面板92及び一対の側板93が立設された構成とされ、基台91上であって背面板92及び一対の側板93で囲まれた空間内に親ケース14を1つセット可能に構成されている。なお、背面板92や一対の側板93は省略されていてもよい。また、セット部94は、1つの親ケース14がセット可能な構成であればよく、2つ以上の親ケース14がセット可能な構成を排除する趣旨ではない。
タグリーダ部98は、タグ装置20との間で無線通信可能なアンテナ部や送受信回路、上記格納物品管理装置60との間で通信を行うための通信回路及びこれらの動作制御を行う制御部等を有しており、上記セット部94に組込まれている。そして、親ケース14が当該セット部94に載置状にセットされると、そのセットされた親ケース14のタグ装置20及び当該親ケース14内のフォルダ10のタグ装置20との間で無線通信、より具体的には、各タグ装置20に向けて応答指令を含む無線信号を送信し、これに応じたタグ装置20からの電波信号を受信することで、各タグ装置20の識別符号を取得できるようになっている。
なお、親ケース14がタグリーダ装置90にセットされた状態で、タグリーダ部98が複数のタグ装置20との間で通信可能なように、タグリーダ部98と各タグ装置20との間の通信方式には、ポーリング方式や多重方式等による同時通信可能な方式が採用されている。これらの通信衝突を回避する通信方式自体については周知技術を含む諸技術を適用できる。
このようなタグリーダ装置90は、格納棚30とは離れた別箇所に設置されていてもよいし、或は、図12に示すように、格納棚30内の棚段131上に設置されていてもよい。
また、図13に示すように、移動可能な移動台190に設置されていてもよい。すなわち、移動台190は、フレーム192をそのフレームの下部に取付けられたキャスター194とを有しており、床上を移動可能とされている。また、フレーム192には、タグリーダ装置90及び仮置き棚96が設けられている。利用者は、複数の格納棚30前で、移動台190を移動させることで、複数の格納棚30から順次親ケース14を取出して仮置き棚96上に仮置きすることができる。そして、複数の親ケース14を取出した後、所定箇所で親ケース14を1つずつタグリーダ装置90にセットして、後述するフォルダ10の取出し作業等を行うことができる。かかる移動台190は、複数の格納棚30が設けられた場合において、複数の格納棚30からの親ケース14の取出し作業をまとめて行うのに適している。
格納物品管理装置60は、図1及び図2に示すように、管理制御部61、記憶部61a、入力部70、表示部62等を含むコンピュータによって構成されている。
管理制御部61は、CPUやROM、RAM等によって構成されており、予め記憶されたプログラムに従って後述する動作を行う格納物品管理制御部として機能する。
入力部70は、キーボードやマウス等を有しており、取出し対象となる格納物品の特定情報等を含む諸情報を入力可能に構成されている。この入力部70は、取出し対象となる格納物品の特定情報を取得する特定情報取得部として機能する。
取出し対象となる格納物品の特定情報の入力は、入力部70を通じて直接フォルダ10の名称や識別符号等を入力することで行われてもよいし、表示部62に表示されたリストの中から選択して入力することで行われてもよい。特定情報としてフォルダ10の名称を受付ける場合には、予めフォルダ10の名称と識別符号とを対応づけたフォルダ名称対応付情報を作成更新して記憶部61aに記憶させておき、当該フォルダ名称対応付情報を参照することで該当するフォルダ10の識別符号を特定すればよい。
表示部62は、液晶表示装置やCRTディスプレイ装置等によって構成されており、上記管理制御部61からの出力に応じて処理に伴う諸情報を表示する。
記憶部61aは、ハードティスク装置等によって構成されており、上記管理制御部61からの出力に応じて格納物品管理情報を記憶可能に構成されている。格納物品管理情報は、図14に示すように、親ケース14に取付けられたタグ装置20の識別符号(以下、単に親ケース14の識別符号という場合がある)と、当該親ケース14に格納されたフォルダ10に取付けられたタグ装置20の識別符号(以下、単にフォルダ10の識別符号という場合がある)とを対応づけた情報である。ここでは、格納物品管理情報は、複数のレコードを有しており、各レコードに親ケース14の識別符号とフォルダ10の識別符号とが対応づけられている。図14に示す例では、格納物品管理情報は、レコード1、レコード2、レコード3、レコード4・・・を有しており、レコード1において、親ケースNo.2(識別符号)に、フォルダ10のNo.1(識別符号、以下同じ)、フォルダ10No.3、フォルダ10No.100・・・が対応づけられている。
なお、格納物品管理装置60は、格納棚30から離れた位置に設けられていてもよいし、図12に示すように、格納棚30内の棚段131上に設置されていてもよい。ここでは、少なくとも表示部62が、タグリーダ装置90に親ケース14をセットする利用者により認識可能な位置に設置されているとして説明する。
図15はフォルダ10の入庫時における格納物品管理装置60の動作を示すフローチャートである。
すなわち、フォルダ10の入庫にあたっては、利用者によりフォルダ10の入庫指示が入力され、当該入力がステップS21にて受付けられる。本ステップS21にて、複数のフォルダ10の入庫指示が受付けられてもよい。
すると、次ステップS22に進み、格納物品管理情報を参照して空親ケース14の識別符号が特定される。例えば、親ケース14内に格納可能なフォルダ10の最大格納数が予め設定されており、上記格納物品管理情報を参照した結果決定される各親ケース14内の実際の格納数が当該最大格納数未満であり、かつ、それらの差(つまり残りの格納可能数)が最大であるもののうちの任意の1つ又は複数が、空親ケース14として特定される。
この後、次ステップS23に進み、特定された親ケース14の識別符号及び問い合せコマンドを含む信号を、各棚段制御装置50を介して、格納棚30に格納された親ケース14に向けて送信する。そして、該当する親ケース14の報知機能付タグ装置40からの応答信号が受信され、特定された親ケース14の位置情報(どの格納棚30の棚段31に存在するか)が取得される。
次ステップS24では、格納物品管理装置60は、ステップS23で取得された情報に基づき、対象となる親ケース14を格納した棚段制御装置50において、発光部51aを発光させると共に、当該棚段31に格納された対象親ケース14の数を、取出数表示部51bに表示させる。また、同時に、格納物品管理装置60は、対象となる親ケース14を格納した格納棚30のラック制御装置80において、発光表示部84を発光表示させる。
この後、次ステップS25において、各棚段制御装置50における指示部54への指示が受付けられると、次ステップS26に進む。
ステップS26では、棚段制御装置50を通じて空親ケース14を指示する。より具体的には、格納物品管理装置60は、指示された指示部54が属する棚段31において、特定された親ケース14の識別符号及び報知コマンドを含む信号を棚段制御装置50に向けて送信する。これにより、棚段制御装置50から格納棚30内の親ケース14の報知機能付タグ装置40に向けて識別符号及び報知コマンドを含む光信号が送信され、これに応答して報知機能付タグ装置40が発光報知する。これにより、利用者は空親ケース14を認識して格納棚30から取出せるようになる。
なお、取出し対象となる親ケース14が複数存在し、これが複数の棚段31に分散して存在する場合には、それらが全て取出されるまでステップS25及びS26の処理を繰返せばよい。
そして、利用者は、取出した空親ケース14をタグリーダ装置90にセットし、さらにその空親ケース14に格納対象となるフォルダ10を格納することになる。
この後、ステップS27に進み、タグリーダ装置90を通じてセットされた親ケース14の識別符号及びそれに格納されたフォルダ10の識別符号を取得する。
そして、ステップS28に進み、当該取得された識別符号に基づいて、上記格納物品管理情報を更新生成する。この後、利用者によって、当該親ケース14は格納棚30に格納される。
なお、格納物品管理装置60が空親ケース14を特定するステップS22を省略し、代りに利用者が格納物品管理情報を参照等して、空親ケース14を特定して入力するようにしてもよい。
なお、格納棚30に格納されていない全く空の親ケース14を用いてフォルダ10を入庫するようにしてもよい。この場合には、上記ステップS21においてその旨入力し、ステップS22〜S26を省略して、ステップS27以降の処理を行わせるようにするとよい。
図16はフォルダ10の出庫時における格納物品管理装置60の動作を示すフローチャートである。
すなわち、フォルダ10の出庫にあたっては、利用者によるフォルダ10の取出指示が入力される。この取出指示には、取出し対象となるフォルダ10の特定情報が含まれる。ステップS31では、かかる取出指示が受付けられる。なお、本取出指示において、複数のフォルダ10の取出指示が受付けられてもよい。
次ステップS32では、取出指示で特定されたフォルダ10の特定情報と、格納物品管理情報とに基づいて、当該取出し対象として特定されたフォルダ10を格納した親ケース14の識別符号が特定され、次ステップS33に進む。
ステップS33では、特定された親ケース14の識別符号及び問い合せコマンドを含む信号を、各棚段制御装置50を介して、格納棚30に格納された親ケース14に向けて送信する。そして、該当する親ケース14の報知機能付タグ装置40からの応答信号が受信され、特定された親ケース14の位置情報(どの格納棚30の棚段31に存在するか)が取得される。
次ステップS34では、格納物品管理装置60は、ステップS33で取得された情報に基づき、対象となる親ケース14を格納した棚段制御装置50において、発光部51aを発光させると共に、当該棚段31に格納された対象親ケース14の数を、取出数表示部51bに表示させる。また、同時に、格納物品管理装置60は、対象親ケース14を格納する格納棚30のラック制御装置80において発光表示部84を発光表示させる。
この後、次ステップS35において、各棚段制御装置50における指示部54への指示が受付けられると、次ステップS36に進む。
ステップS36では、棚段制御装置50を通じて空親ケース14を指示する。より具体的には、格納物品管理装置60は、指示された指示部54が属する棚段31において、特定された親ケース14の識別符号及び報知コマンドを含む信号を棚段制御装置50に向けて送信する。これにより、棚段制御装置50から格納棚30内の親ケース14の報知機能付タグ装置40に向けて識別符号及び報知コマンドを含む光信号が送信され、これに応答して報知機能付タグ装置40が発光報知する。これにより、利用者は空親ケース14を認識して格納棚30から取出せるようになる。
なお、この場合にも、取出し対象となる親ケース14が複数存在し、これが複数の棚段31に分散して存在する場合には、それらが全て取出されるまでステップS35及びS36の処理を繰返すようにするとよい。
そして、利用者は、取出した親ケース14をタグリーダ装置90にセットすることになる。
次ステップS37では、取出し対象として特定されたフォルダ10の特定情報(フォルダ10の名称等)を表示部62に表示する。そして、利用者は、必要に応じて表示部62を見て取出し対象となるフォルダ10の名称等を確認しつつ、タグリーダ装置90にセットされた親ケース14から取出し対象となるフォルダ10を取出す。
次ステップS38では、タグリーダ装置90を通じてセットされた親ケース14の識別符号及びそれに格納されたフォルダ10の識別符号を取得し、次ステップS39に進む。
次ステップS39では、上記のように特定された取出し対象となるフォルダ10の識別符号とタグリーダ装置90を通じて取得されたフォルダ10の識別符号とに基づいて、取出し対象となるフォルダ10が正確に取出されたか否かの照合を行う。照合結果、不合格(NG)の場合、つまり、取出し対象となるフォルダ10以外のものが取出された場合等には、ステップS39に進んで、表示部62にその旨の警告表示を行い、ステップS38に戻る。表示部62における警告は、「間違っています」等の表示によってなされる。つまり、この表示部62は、取出確認用報知部として機能する。取出確認用報知部として表示部62を用いる代りに、警告音を発する発音体を取出確認用報知部として用い、これをタグリーダ装置90等に取付けておき、当該発音体からの警告音によって警告を出すようにしてもよい。
一方、ステップS39の照合結果が合格(OK)である場合、つまり、取出し対象となるフォルダ10だけが取出された場合には、ステップS40に進む。
ステップS40では、上記のように特定された取出し対象となるフォルダ10の識別符号及び格納物品管理情報と、タグリーダ装置90を通じて取得された親ケース14の識別符号それに格納されたフォルダ10の識別符号とに基づいて、セットされた親ケース14に格納されたフォルダ10のうち取出し対象として特定されたものが全て取出され、取出しが完了したか否かが判定される。判定結果、未完了であると判断されると、ステップS38に戻る。一方、判定結果、取出完了と判断されると、ステップS41に進み、タグリーダ装置90を通じて取得された親ケース14の識別符号それに格納されたフォルダ10の識別符号とに基づいて、格納物品管理情報を生成更新して、処理を終了する。
なお、対象となる親ケース14が複数存在する場合には、上記ステップS38〜S40の処理を繰返せばよい。
なお、上記処理を実行する格納物品管理装置60としての機能は、物理的に1つの制御装置にて行われるものであってもよいし、物理的に複数の制御装置にて分散して行われるものであってもよい。
以上のように構成された格納管理システムについて、作業者の視点に立った入庫作業手順及び出庫作業手順について説明する。
図17は入庫作業手順を示すフローチャートである。
フォルダ10を入庫しようとする利用者は、ステップS51において、格納物品管理装置60の入力部70を通じて入庫指示を入力する。
すると、格納物品管理装置60は、格納物品管理情報を参照して、空親ケース14を特定し、当該空親ケース14が存在する棚段31の発光部51aを発光させると共に取出数表示部51bに取出数を表示させ、さらに、当該空親ケース14が存在する格納棚30の発光表示部84を発光表示させる。
そして、次ステップS52では、利用者は、発光する発光表示部84に対応する格納棚30前に移動し、次ステップS53で、当該格納棚30において、発光する発光部51aに対応する棚段31を確認する。そして、次ステップS54で当該棚段31の指示部54を指示操作する。これにより、当該棚段31において、対象となる親ケース14の報知機能付タグ装置40が発光報知するようになる。
利用者は、次ステップS55において、当該棚段31の取出数表示部51bに表示された取出数を確認し、報知機能付タグ装置40の発光報知を手がかりとして、対象となる親ケース14を取出す。当該棚段31に、取出し対象となる親ケース14が複数存在する場合には、当該複数の親ケース14を取出す。また、他の棚段31に取出し対象となる親ケース14が存在する場合には、上記ステップS52〜S56の処理を繰返す。
取出し対象となる親ケース14の取出しが完了すると、ステップS57に進み、利用者は操作エリア(タグリーダ装置90が配設されたエリア)に移動し、次ステップS58において、タグリーダ装置90上に親ケース14を1つ置き、次のステップS59で、その親ケース14に入庫しようとする1又は複数のフォルダ10を格納する。すると、その親ケース14の識別符号及びそれに格納されたフォルダ10の識別符号が読取られ、格納物品管理情報が生成更新される。
この後、利用者は、ステップS60において格納棚30前に移動し、次ステップS61で親ケース14を戻す。親ケース14を戻す位置は、任意の位置で構わない。
図18は出庫作業手順を示すフローチャートである。
フォルダ10を出庫しようとする利用者は、ステップS71において、格納物品管理装置60の入力部70を通じて、1又は複数のフォルダ10の特定情報を含む入庫指示を入力する。
すると、格納物品管理装置60は、格納物品管理情報を参照して、当該フォルダ10を格納した親ケース14を1つ又は複数特定し、当該親ケース14が存在する棚段31の発光部51aを発光させると共に取出数表示部51bに取出数を表示させ、さらに、当該親ケース14が存在する格納棚30の発光表示部84を発光表示させる。
そして、次ステップS72では、利用者は、発光する発光表示部84に対応する格納棚30前に移動し、次ステップS73で、当該格納棚30において、発光する発光部51aに対応する棚段31を確認する。そして、ステップS74で、当該棚段31の指示部54を指示操作する。これにより、対象となる親ケース14の報知機能付タグ装置40が発光報知するようになる。
利用者は、次ステップS75において、当該棚段31の取出数表示部51bに表示された取出数を確認し、報知機能付タグ装置40の発光報知を手がかりとして、対象となる親ケース14を取出す。当該棚段31に、取出し対象となる親ケース14が複数存在する場合には、当該複数の親ケース14を取出す。また、他の棚段31に取出し対象となる親ケース14が存在する場合には、上記ステップS72〜S76の処理を繰返す。
取出し対象となる親ケース14の取出しが完了すると、ステップS77に進み、利用者は操作エリア(タグリーダ装置90が配設されたエリア)に移動し、次ステップS78において、タグリーダ装置90上に親ケース14を1つ置き、次のステップS79で、表示部62に表示された取出し対象フォルダ10の名称等を確認し、その1又は複数のフォルダ10を取出す。すると、その親ケース14の識別符号及びそれに格納されたフォルダ10の識別符号が読取られ、正確なフォルダ10が取出されたか否かが照合され、その照合結果が表示部62に表示される。
そして、ステップS80において、利用者は、表示部62の表示を確認し、異常(取出しが不正確である旨の表示)がなされている場合には、ステップS83で誤って取出したフォルダ10を親ケース14内に戻し、ステップS79以降の処理を繰返す。一方、正常である旨の表示がなされている場合には、次ステップS81に進む。複数の親ケース14が有る場合には、ステップS78〜S80及びS83の処理を繰返す。
そして、全ての親ケース14に関してフォルダ10の取出しが完了すると、ステップS82において、利用者は、格納棚30前に移動し、次ステップS82で親ケース14を格納棚30に戻す。親ケース14を戻す位置は、任意の位置で構わない。
以上のように構成された格納物品管理システム及び格納物品管理方法によると、フォルダ10には受信した信号に含まれる応答指令に応じて自己の識別符号を送信可能なタグ装置20が取付けられている。かかるタグ装置20は、発光表示機能付のタグ装置等と比べて安価にすることができるため、各フォルダに報知機能付のタグ装置を取付ける場合と比べて低コスト化に貢献する。また、かかるタグ装置20は、小型に製造することができため、小型、薄型のフォルダ10への取付にも適している。
また、フォルダ10を格納するにあたっては、フォルダ10を親ケース14に格納してタグリーダ装置90にセットすることで、セットされた親ケース14に取付けられたタグ装置20の識別符号とそれに格納されたフォルダ10に取付けられたタグ装置20の識別符号とを対応づけた格納物品管理情報が生成更新される。
そして、フォルダ10を取出す際には、入力部70を通じて取出し対象となるフォルダ10の特定情報が取得されると、当該特定情報及び格納物品管理情報とに基づいて、取出し対象となる格納物品を格納した親ケース14に取付けられたタグ装置20の識別符号が特定される。そして、当該特定された識別符号に対応する呼出し用識別符号(ここでは記述したように特定された識別符号そのものを呼出し用識別符号としている場合を考えている、これらは別途生成更新されるテーブルにて対応づけられた別の識別符号として管理されていてもよい)及び報知コマンドを含む信号が、棚段制御装置50を通じて格納棚30に格納された親ケース14の報知機能付タグ装置40に向けて送信される。その結果、当該呼出し用識別符号に対応する報知機能付タグ装置40が発光報知動作を行う。利用者は、その発光報知動作を手がかりとして、取出し対象となるフォルダ10を格納した親ケース14を特定し、当該親ケース14から所望のフォルダ10を取出すことができる。このため、所望のフォルダ10を比較的迅速に取出すこともできる。
しかも、タグ装置20とタグリーダ装置90とは電波通信を行うため、フォルダ10が親ケース14内に覆われるように収容された構成であっても、格納されたままの状態で両者間での通信が成立し易くなり、従って、親ケース14に格納されたフォルダ10の識別符号をも容易に取得できる。
また、報知機能付タグ装置40と棚段制御装置50とは、光通信を行うため、両者間の通信可能エリアが比較的限定される。従って、棚段制御装置50において、報知機能付タグ装置40の存在位置、ここでは、いずれの棚段31に存在するかを特定し易い。これにより、親ケース14の存在位置を管理し易くなる。
また、親ケース14をタグリーダ装置90にセットした状態で、親ケース14からフォルダ10を取出すと、取出し対象となるフォルダ10が正確に取出されたか否かの照合結果が表示される。このため、利用者は、表示部62を視認することによって、取出し対象となるフォルダ10を正確に取出すことができる。
なお、上記実施形態では、指示部54への指示に応じて報知機能付タグ装置40に発光表示を行わせているが、指示部54への指示を待たずに報知機能付タグ装置40を発光させてもよい。もっとも、指示部54への指示に応じて報知機能付タグ装置40に発光表示を行わせることで、報知機能付タグ装置40の発光表示期間を短くして省電力化を図ることができる。
また、上記実施形態では、格納棚側通信部として、棚段31毎に棚段制御装置50を設けているが必ずしもその必要はない。複数の棚段31に格納された親ケース14の報知機能付タグ装置40又は1或は複数の格納棚30に格納された報知機能付タグ装置40との間で一括して通信可能な管理装置側通信部としてもよい。
なお、上記実施形態において、フォルダ10の入庫日時や出庫日時等を含む履歴情報を管理するようにしてもよい。また、格納物品管理情報に基づいて、格納数が少ない親ケース14を複数特定して取出し指示し、複数の親ケース14に格納されたフォルダ10をより少数の親ケース14にまとめて格納できるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、前記呼出し用通信部として棚段31毎に棚段制御装置50を設けた構成を採用し、格納物品管理装置60が、当該棚段制御装置50を通じて、特定されたタグ装置20の識別符号に対応する呼出し用の識別符号を含む信号を報知機能付タグ装置40に向けて送信しているが、当該構成に追加して或は当該構成に替えて、図19及び図20に示すように、携帯端末装置200を用いた構成を採用してもよい。
図19は変形例に係る携帯端末装置200を示す斜視図であり、図20は同携帯端末装置200を示すブロック図である。
この携帯端末装置200は、格納物品管理装置60にて特定されたタグ装置20の識別符号に対応する呼出し用の識別符号を含む信号を、親ケース14に取付けられた報知機能付タグ装置40に対して送信可能な呼出し用通信部として用いられるものである。
この携帯端末装置200は、携帯端末側制御部202と、ID受信部204と、携帯端末側送信部206と、携帯端末側ID記憶部208と、入力部210とを有しており、これらは携帯可能な筐体201に組込まれている。
携帯端末側送信部206は、CPUやROM、RAM等を備える一般的なマイクロコンピュータによって構成されており、予め格納された所定のソフトウエアプログラムに従って後述する処理を実行する。
ID受信部204は、外部から送信される信号を受信し、これを携帯端末側制御部202に与える。ここでは、ID受信部204は、格納物品管理装置60に接続された送信装置262(図23参照)から送信された信号(例えば、格納物品管理装置60にて特定されたタグ装置20の識別符号に対応する呼出し用の識別符号を含む信号)を受信し、これを携帯端末側制御部202に与える。ここでは、ID受信部204と送信装置262との間の通信は、光信号による無線通信を行うとして説明するが、その他、電波信号等による無線通信であっても、通信ケーブル等を介した有線通信であってもよい。
携帯端末側送信部206は、携帯端末側制御部202からの指示に応じて呼出し用の識別符号を含む信号を、報知機能付タグ装置40に向けて送信可能に構成されている。ここでは、携帯端末側送信部206は、報知機能付タグ装置40に対して光通信可能な光を発するように構成されている。
これらのID受信部204及び携帯端末側送信部206は、上記受発光部53と同様構成とされて、筐体201の一側部に設けられている。
携帯端末側ID記憶部208は、フラッシュメモリ等の書き換え可能な補助記憶装置によって構成されており、上記携帯端末側制御部202からの指示に応じて、上記ID受信部204を通じて受信された呼出し用識別符号を記憶可能に構成されている。
入力部210は、テンキーや送信ボタン等のスイッチ等で構成されており、筐体201に対して操作可能に設けられている。この入力部210を通じて送信指令及び呼出し用の識別符号を入力できるようになっている。
なお、携帯端末装置200は、液晶表示装置等で構成され、筐体201の外面に視認可能に設けられた表示部203をさらに備えている。この表示部203は、携帯端末側制御部202による表示制御下、動作状況等を表示可能に構成されている。
図21は携帯端末装置200の動作を示すフローチャートである。動作開始後、ステップS91において、携帯端末側送信部206は、ID受信部204を通じた呼出し用の識別符号の受信の有無又は入力部210を通じた呼出し用の識別符号の入力の有無が判断される。ここで、ID受信部204を通じた呼出し用の識別符号の受信又は入力部210を通じた呼出し用の識別符号の入力が無い場合、ステップS91の判断を繰返し、それらの受信又は入力が有ると判断されるとステップS92に進む。
ステップS92では、携帯端末側制御部202は、受信又は入力された呼出し用の識別符号を携帯端末側ID記憶部208に記憶させ、次ステップS93に進む。
ステップS93では、携帯端末側制御部202は、入力部210を通じた送信指令の有無が判断される。ここで、送信指令無しと判断されるとステップS93の判断処理を繰返し、送信指令有りと判断されるとステップS94に進む。
ステップS94では、携帯端末側制御部202は、携帯端末側ID記憶部208から呼出し用の識別符号を読込んで、その呼出し用の識別符号を含む信号を携帯端末側送信部206を通じて外部に送信する。その後、処理を終了する。
このように構成された携帯端末装置200を適用した格納物品管理システムの出庫作業手順について説明する。
図22は本変形例に係る出庫作業手順を示すフローチャートであり、まず、前提として、格納物品管理システムは原則的には上記実施形態で説明したとおりの手順で運用され、例外的に、格納対象となる親ケース14の数量が格納棚30における格納数量の上限を超えたような場合に、作成時が古い或は使用頻度の少ないフォルダ10等が親ケース14に格納されてバックヤード格納棚230に格納されているとする(図24参照)。なお、バックヤード格納棚230は、上記格納棚30とは別箇所に設けられている。
そして、バックヤード格納棚230に対する取出作業を行おうとする場合、ステップS201において、携帯端末装置200を格納物品管理装置60に対して当該格納物品管理装置60と通信可能な状態にセットする(図23参照)。ここでは、携帯端末装置200を、送信装置262に対向する位置に配設する。
この状態で、次ステップS202において、格納物品管理装置60に入力部210を通じて取出し対象となるフォルダ10の特定情報を入力し、取出指示を与える。
すると、次ステップS203において、格納物品管理装置60から携帯端末装置200に対して取出対象となる呼出し用の識別符号を含む信号が送信される。
ここで、何らかの理由で作業者が、取出対象となる呼出し用の識別符号を知っている場合には、上記ステップS201〜S203に替えて、当該呼出し用の識別符号を、入力部210を通じて直接的に携帯端末装置200に入力するようにしてもよい。
この後、ステップS204で、作業者は携帯端末装置200を携帯してバックヤード格納棚230前に移動する。
次ステップS205で、作業者は、携帯端末装置200をバックヤード格納棚230に向けるように構えた状態で、入力部210を通じて携帯端末装置200に送信指令を入力する(図24参照)。
すると、次ステップS206において、携帯端末装置200からバックヤード格納棚230に格納された親ケース14に取付けられた報知機能付タグ装置40に向けて、取出し対象となる呼出し用の識別符号を含む信号が送信される。
すると、次ステップS207において、当該呼出し用の識別符号が割当てられた報知機能付タグ装置40が報知動作する。
これにより、次ステップS208において、作業者は当該報知機能付タグ装置40の報知動作を手がかりとして、その格納位置を認識してその親ケース14を取出すことができる。そして、その親ケース14内から所望のフォルダ10を取出す。これにより、取出作業が終了する。
この変形例によると、呼出し用識別符号を携帯端末側ID記憶部208に記憶させた携帯端末装置200を携帯し、当該呼出し用の識別符号を含む信号をバックヤード格納棚230に格納された親ケース14の報知機能付タグ装置40に向けて送信することで、取出対象となる親ケース14の報知機能付タグ装置40に報知動作を行わせることができる。これにより、報知機能付タグ装置40を取付けた親ケース14の保管場所に関する制約を少なくすることができる。
つまり、上記実施形態では、報知機能付タグ装置40を取付けた親ケース14を、棚段制御装置50を取付けた格納棚30に格納する必要があったが、そのような制約は無くなる。
また、上記携帯端末装置200はバックヤード格納棚230に対する使用だけではなく、通常の格納棚30に格納された親ケース14の報知機能付タグ装置40に対しても使用することができる。これにより、棚段制御装置50に不具合が生じた場合にも取出作業を実施できる。
また、入力部210を通じて呼出し用の識別符号を入力することで、停電時でも、取出作業を実施することができ便利である。