JP4382996B2 - 使用電力量表示端末 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は使用電力量表示端末に関し、特に電力需要家の側に設けられている電子式電力量計によって計測された電力量を表示する使用電力量表示端末に関する。
【0002】
【従来の技術】
計量システムは、引込み側配電線から需要家側配電線に接続する部分に設けられて電力需要家が使用した電力量を計測する。高圧需要家の場合には、そのような使用電力量を直接計測することはできないので、電圧および電流変換器を用いて計測している。
【0003】
このような高圧需要家用の計量システムは、引込み側配電線と電圧および電流変換器側配電線を接続するテストターミナルと電子式電力量計(電力需給用複合計器)とが一体になって計器箱の中に納められている。つまり、計器箱の中に1つの電子式電力量計だけを取り付けた構成になっている。
【0004】
この電子式電力量計は、基本的には、使用電力量を計測するだけのものであるため、そこでの計測値をもとにした電力、電力量など、ごく限られた項目しか表示することができない。
【0005】
ところが、近年、電子式電力量計の計測値をもとにした付加的な項目の表示機能の要求がでてきている。たとえば、電力料金を時間帯、さらには季節別に差別化しようとした場合には、それぞれの時間帯および季節別における使用電力量を表示したり、よりきめの細かい計量・計測項目が必要な場合には、有効電力量・無効電力量、力率、遅れ・進みなどをも表示したいという要求がある。
【0006】
このような要求に対して、電子式電力量計とは別体の使用電力量表示端末が開発されている。このような使用電力量表示端末は、電子式電力量計の近傍に設けられ、その電子式電力量計と通信させることにより電子式電力量計が計測したデータをもとにして、各種項目を表示させるようにしている。
【0007】
また、料金取引に関わる使用電力量の計量において、電力量計は、計量法により検定期間が定められており、その電力量計は、検定満了するごとに検定済みの電力量計と交換しなければならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の計量システムでは、電子式電力量計が計測したデータをもとにした各種表示は、別体に設けた使用電力量表示端末で行っているが、そのような使用電力量表示端末は大きく、また、高価であった。
【0009】
そこで、従来の使用電力量表示端末の機能を継承・向上した安価な使用電力量表示端末が望まれており、しかも、配電設備の互換性を確保するために、電子式電力量計、使用電力量表示端末およびテストターミナルなどを従来の大きさの計器箱に一緒に収めたいという要求がある。
【0010】
しかしながら、従来の大きさの計器箱に電子式電力量計と使用電力量表示端末とを一緒に収めるには、両者を小型化する必要があるが、現状の技術では、電子式電力量計の小型化には限界があるため、使用電力量表示端末としては、計器箱の中で、テストターミナルと小型化した電子式電力量計とが占めるスペースを除いた狭いスペースに取り付けなければならない。しかも、使用電力量表示端末は、情報量を増やすためにできるだけ広い表示面積が必要であり、かつ、定期的に行われる電子式電力量計の交換作業では、できるだけ作業効率よく行えるよう邪魔にならないようにする必要がある。
【0011】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、従来の大きさの計器箱に小型化した電子式電力量計とともに収めることができ、電子式電力量計を効率よく交換できる安価な使用電力量表示端末を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記問題を解決するために、電子式電力量計で計測されたデータをもとにして各種情報を表示させることができる使用電力量表示端末において、計器箱本体の中で前記電子式電力量計に隣接して固定される取付金具と、内部に表示器および電子回路を収容し、前記取付金具に着脱自在に取り付けられる金属製ケースと、前記金属製ケースを前記取付金具に固定する取付ねじと、を備え、前記金属製ケースは、前記取付ねじが挿通される長穴が形成されたフランジが両側面に設けられて、前記取付ねじを緩めた状態で、前記電子式電力量計に対して接離する方向に移動可能に構成され、前記長穴の長軸方向の長さは、前記金属製ケースを前記電子式電力量計に接近する方向に移動させた場合、前記金属製ケースを前記電子式電力量計の突出部の前方位置に取り付け固定でき、前記金属製ケースを前記電子式電力量計から離れる方向に移動させた場合、前記金属製ケースと前記電子式電力量計との間に前記電子式電力量計の取り外しのための作業空間ができる位置に仮り固定できる長さである、ことを特徴とする使用電力量表示端末が提供される。
【0013】
このような使用電力量表示端末によれば、通常使用時は、金属製ケースをできるだけ電子式電力量計に接近した状態で、取付ねじによって取付金具に固定し、検定満了による電子式電力量計の交換時には、取付ねじを緩めて、金属製ケースを電子式電力量計から離れる方向に移動することができる。これにより、取付金具に固定された金属製ケースは、取り付け状態では、部分的に電子式電力量計と重なった状態で配置できるため、電子式電力量計によって占有されるスペースを有効利用することができる。また、検定満了に伴う電子式電力量計の交換時には、金属製ケースを電子式電力量計から離れる方向に移動できるので、電子式電力量計の回りの作業スペースを十分に取ることができ、したがって、この使用電力量表示端末を計器箱本体から取り外すことなく電子式電力量計の交換作業を行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、高圧需要家用の計量システムに適用した場合を例に図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明による使用電力量表示端末を示す分解斜視図、図2は本発明による使用電力量表示端末の組立状態を示す斜視図である。
本発明による使用電力量表示端末は、取付金具1と、金属製ケース2と、2本の取付ねじ3と、プラスチック製ブロック4と、金属製カバー5と、カバー封印ねじ6とから構成されている。
【0016】
取付金具1は、計器箱本体の側に取り付けられて金属製ケース2を載せるための取付台を構成する。金属製ケース2は、ダイキャスト製造技術にて一体に成形されたアルミニウム製のケースであり、中にたとえば液晶式の表示部と電子式電力量計から送られた計測データを処理する電子回路基板とが収容される。取付ねじ3は、金属製ケース2を取付金具1に固定するためのものである。プラスチック製ブロック4は、電子式電力量計から電源および計測データが供給されるケーブルを固定するとともに計測データを外部に伝送するケーブルを接続するための端子を保持する部材である。金属製カバー5は、このプラスチック製ブロック4と金属製ケース2に設けられるリセットスイッチなどを保護するためのもので、その開閉時に外れないよう扉機構を有している。そして、カバー封印ねじ6は、この金属製カバー5を金属製ケース2に固定するためのものである。
【0017】
図3は取付金具の詳細を示す図であって、(A)は取付金具の正面図、(B)は取付金具の底面図である。
取付金具1は、基部11と、その両側端部より立設された直立部12と、これら直立部12の頂部にて基部11と平行かつ互いに外方向に延設されたケース受け部13とから構成されている。
【0018】
基部11には、取付金具1を計器箱本体に取り付けるための取付穴14,15が穿設されている。直立部12は、金属製ケース2を計器箱本体から所定距離だけ離間させた状態で保持するためのもので、金属製ケース2の表示窓と電子式電力量計の表示窓とをほぼ同じ高さにし、かつ、電子式電力量計によって占有されるスペースを有効利用するためのものである。ケース受け部13は、金属製ケース2を固定するための取付ねじ3が螺入されるねじ穴16が設けられており、その上面は、金属製ケース2をスライドさせるための平らな摺動面になっている。
【0019】
この取付金具1の基部11、直立部12、およびケース受け部13は、所定の形状にカットまたは打ち抜かれた金属板を折り曲げ加工するだけなので、低コストで作ることができる。
【0020】
図4は金属製ケースの詳細を示す図であって、(A)は金属製ケースの正面図、(B)は(A)のa−a矢視断面図である。
金属製ケース2は、その両側部にフランジ21を有し、そのフランジ21には、取付ねじ3を挿通させる長穴22と、封印を行うときに使用する紐を通すための穴23とがそれぞれ設けられている。このフランジ21に設けられた長穴22は、取付ねじ3を緩めた状態で、金属製ケース2を取付金具1のケース受け部13の面上でスライドさせることを可能にしている。金属製ケース2をスライドさせて、所定位置から移動させておくことにより、電子式電力量計を交換するときの十分な作業スペースを確保することができるようになり、この使用電力量表示端末を取り外すことなく、効率良く電子式電力量計の交換作業を行うことが可能になる。
【0021】
金属製ケース2の中央部は、内部に配置される表示器を見るための大きな表示窓24があけられている。また、図4の(A)において、その右側上方部には、プラスチック製ブロック4を収容するブロック収容部25が形成されている。また、金属製ケース2の右側上方部には、そのブロック収容部25に収容されたプラスチック製ブロック4を図示しないねじで裏側から固定するための穴25aと、金属製カバー5を揺動可能に軸支する軸受部25bとが設けられている。さらに、ブロック収容部25の下方には、リセットスイッチ用の穴26a、手動設定スイッチ用の穴26b、手動検針コネクタ用の穴27、および表示画面操作スイッチ用の穴28a,28bが設けられている。ここで、金属製ケース2のブロック収容部25に嵌め込まれたプラスチック製ブロック4、リセットスイッチ用の穴26a、手動設定スイッチ用の穴26b、および手動検針コネクタ用の穴27は、使用時に金属製カバー5によって覆われ、金属製カバー5はカバー封印ねじ6によって金属製ケース2に固定される。この金属製カバー5は、リセットスイッチなどを使用する場合に開けられるが、その場合でも金属製ケース2の軸受部25bに付いたままであるため、作業中にこの金属製カバー5が脱落することで感電事故が起きたりするということがなくなる。
【0022】
なお、金属製ケース2は、図1および図2に示されるように、その裏側が同じアルミニウム製の蓋29によって閉止される。
図5は取付ねじの詳細を示す図であって、(A)は取付ねじの頭部の平面図、(B)は取付ねじの側面図である。
【0023】
取付ねじ3は、円柱状の頭部31と、シャフト部32と、ねじ山部33とから構成されている。頭部31は、その側面に滑り止めのためのローレット加工が施されており、また、封印を行うときに使用する紐を通すための穴34が設けられている。さらに、頭部31の頂面には、十字穴35が設けられている。
【0024】
図6は使用電力量表示端末の取り付け状態を示す計量システムの正面図、図7は使用電力量表示端末の取り付け状態を示す計量システムの側面図である。
これらの図において、図示の計量システム70は、屋外設置用のものであり、計器箱カバーを取り外した状態で示している。したがって、通常使用時は、図示しない計器箱カバーが取り付けられている。
【0025】
計量システム70は、破線で示す計器箱本体71の中に、上から、使用電力量表示端末72、電子式電力量計73およびテストターミナル74の順番に配置されている。
【0026】
使用電力量表示端末72は、取付金具1に金属製ケース2を取付ねじ3で固定することによって構成される。図7の側面図に示されているように、取付金具1を設けることによって、金属製ケース2を前面に押し出した状態で保持することができる。電子式電力量計73は、その奥行き方向のほぼ中央部にて上方に突出した突出部73aを有しているため、通常は、その突出部73aの投影形状を含む直方体のスペースは、デッドスペースになるが、金属製ケース2を突出部73aよりも前方位置に取り付け固定することができるため、使用電力量表示端末72は、そのデッドスペースを有効利用することができるようになり、その分だけ、金属製ケース2を大きくでき、表示スペースを増やすことができる。また、金属製ケース2を前面に押し出したことにより、金属製ケース2の表示窓24と使用電力量表示端末72表示窓とをほぼ同じ高さにし、かつ、取付ねじ3を緩めた状態では、金属製ケース2を取付金具1のケース受け部13に沿ってスムーズにスライドさせることが可能になる。
【0027】
次に、以上のように取り付けられた電子式電力量計73が検定満了になった場合、その電子式電力量計73を検定済みのものと交換しなければならないが、その交換時の作業について説明する。
【0028】
図8は電子式電力計の交換時における使用電力量表示端末の取り付け状態を示す計量システムの正面図、図9は電子式電力計の交換時における使用電力量表示端末の取り付け状態を示す計量システムの側面図である。
【0029】
通常使用時においては、使用電力量表示端末72の金属製ケース2は、その下端部が電子式電力量計73の突出部73aと重なった状態で取り付けられているため、そのままでは、電子式電力量計73の交換作業はできない。
【0030】
電子式電力量計73を交換するときには、まず、取付ねじ3および金属製ケース2のフランジ21に取り付けられている封印を解いた後、金属製ケース2を取付金具1に固定している取付ねじ3を緩め、金属製ケース2を図示の矢印75で示した上方向へスライドさせ、そこで、取付ねじ3を締めて仮止めしておく。このときの金属製ケース2のスライド量は、長穴22の長軸方向の長さによって決まる。
【0031】
金属製ケース2を上方向へ移動させることで、金属製ケース2と電子式電力量計73との間に十分な作業空間ができるため、電子式電力量計73は、矢印76で示した前面方向へ取り外し可能となる。したがって、電子式電力量計73の取り外しおよび新たな電子式電力量計の取り付けといった交換作業が効率良く行われるようになる。
【0032】
電子式電力量計の交換作業が終わると、金属製ケース2をその下端部が電子式電力量計73に当接するまで下方向へスライドさせ、そこで、取付ねじ3を十分に締め付けて金属製ケース2を取付金具1に固定する。
【0033】
このように、電子式電力量計の交換作業は、使用電力量表示端末72を計器箱本体71から取り外すことなく行うことができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、内部に表示器および電子回路を収容する金属製ケースを、その両側面に設けられたフランジの長穴に挿通した取付ねじを使って、計器箱本体の中に固定された取付金具に取り付ける構成にした。これにより、取付ねじを緩めるだけで、金属製ケースを取り外すことなく移動して電子式電力量計の十分な交換作業スペースを確保できるので、検定満了に伴う電子式電力量計の交換を、使用電力量表示端末を取り外すことなく容易に行うことが可能になる。
【0035】
また、金属製ケースは、取付金具に移動可能に、かつ計器箱本体から所定の高さ位置で固定できるため、取り付け状態では、電子式電力量計にできるだけ接近させ、かつ、電子式電力量計の突出した部分と重なった状態で配置でき、電子式電力量計によって占有されるスペースを有効利用することができる。
【0036】
さらに、小型化された電子式電力量計とともに本発明の使用電力量表示端末を従来の計器箱内に一緒に収めることができたので、外付けの場合に比してコンパクトかつ低コストにすることができ、低圧需要家向けの計量システムとしての適用も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による使用電力量表示端末を示す分解斜視図である。
【図2】本発明による使用電力量表示端末の組立状態を示す斜視図である。
【図3】取付金具の詳細を示す図であって、(A)は取付金具の正面図、(B)は取付金具の底面図である。
【図4】金属製ケースの詳細を示す図であって、(A)は金属製ケースの正面図、(B)は(A)のa−a矢視断面図である。
【図5】取付ねじの詳細を示す図であって、(A)は取付ねじの頭部の平面図、(B)は取付ねじの側面図である。
【図6】使用電力量表示端末の取り付け状態を示す計量システムの正面図である。
【図7】使用電力量表示端末の取り付け状態を示す計量システムの側面図である。
【図8】電子式電力計の交換時における使用電力量表示端末の取り付け状態を示す計量システムの正面図である。
【図9】電子式電力計の交換時における使用電力量表示端末の取り付け状態を示す計量システムの側面図である。
【符号の説明】
1 取付金具
2 金属製ケース
3 取付ねじ
4 プラスチック製ブロック
5 金属製カバー
6 カバー封印ねじ
11 基部
12 直立部
13 ケース受け部
14,15 取付穴
16 ねじ穴
21 フランジ
22 長穴
24 表示窓
25 ブロック収容部
29 蓋
70 計量システム
71 計器箱本体
72 使用電力量表示端末
73 電子式電力量計
73a 突出部
74 テストターミナル
Claims (3)
- 電子式電力量計で計測されたデータをもとにして各種情報を表示させることができる使用電力量表示端末において、
計器箱本体の中で前記電子式電力量計に隣接して固定される取付金具と、
内部に表示器および電子回路を収容し、前記取付金具に着脱自在に取り付けられる金属製ケースと、
前記金属製ケースを前記取付金具に固定する取付ねじと、
を備え、
前記金属製ケースは、前記取付ねじが挿通される長穴が形成されたフランジが両側面に設けられて、前記取付ねじを緩めた状態で、前記電子式電力量計に対して接離する方向に移動可能に構成され、
前記長穴の長軸方向の長さは、
前記金属製ケースを前記電子式電力量計に接近する方向に移動させた場合、前記金属製ケースを前記電子式電力量計の突出部の前方位置に取り付け固定でき、
前記金属製ケースを前記電子式電力量計から離れる方向に移動させた場合、前記金属製ケースと前記電子式電力量計との間に前記電子式電力量計の取り外しのための作業空間ができる位置に仮り固定できる長さである、
ことを特徴とする使用電力量表示端末。 - 前記取付金具は、前記電子式電力量計の表示窓と前記金属製ケースの表示窓との高さをほぼ同一にすることを特徴とする請求項1記載の使用電力量表示端末。
- 前記取付金具は、所定の形状に剪断または打ち抜かれた金属板を折り曲げ加工することで、前記計器箱本体に固定される基部と、その両側端部より立設された直立部と、前記直立部の頂部にて前記基部と平行かつ互いに外方向に延設されたケース受け部とが形成されていることを特徴とする請求項1記載の使用電力量表示端末。
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2001
- 2001-03-13 JP JP2001069839A patent/JP4382996B2/ja not_active Expired - Lifetime
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