JP4380920B2 - 転写因子活性を測定する方法およびその技術的用途 - Google Patents

転写因子活性を測定する方法およびその技術的用途 Download PDF

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Description

【0001】
発明の属する技術分野
本発明は分子生物学の分野に関する。特に、本発明は転写因子、転写因子活性を分析する方法、および転写因子活性の分析方法が関連する種々の技術に関する。
【0002】
発明の背景
DNA技術の急速な進歩はバイオテクノロジーによって大量の新規製品や療法を作り出したが、遺伝子発現を制御する分野には生物学的な系を操作する能力に最大の欠陥がある。特に、ヒトおよび他の幾つかの種において殆ど全ての遺伝子コード領域を理解しマッピングしたにもかかわらず、我々は遺伝子の上流に位置するプロモーターと呼ばれるDNA配列を「解読」することができない。エンハンサー結合タンパク質(以後、転写因子と呼ぶ)は、これらの領域に結合する。典型的には12個以上の異なる転写因子が各遺伝子プロモーターの全てに結合する。これらの因子が共同してどのように働いて遺伝子発現をかくも精密に制御するのかは解明されていない。
【0003】
生きている細胞中に、任意の特定の時間に及び任意の処置(薬物を含む)に応答して存在する遺伝子特異的転写因子の評価に基づいて、或る遺伝子がいつオンまたはオフになるのかについて予測できるかどうかは危ぶまれている。また、遺伝子発現を変更する、または各転写因子結合部位から開始するプロモーターを作製する能力もまた大幅に損なわれている。なぜなら、これらの因子が何をしているのかを[読む」ことができないからである。
【0004】
現在、個々の転写因子が多数同定され、かつ幾つかの場合にはそれらがクローン化されて正確なアミノ酸配列が分かっているにもかかわらず、これらの因子がどのように助け合って転写を触媒するのかは分かっていない。現在の考え方は、ヒストンアセチラーゼまたはデアセチラーゼ活性を有する転写因子によって介在されるクロマチン構造の変更に向かっているが、真核生物遺伝子の上流に位置する転写因子の殆どはこれらの活性をもたない。
【0005】
転写分野における過去の研究の多くは所謂「基本転写因子」(GTF)、すなわち全てのプロモーターによって遺伝子転写を達成するために必要とされる因子に焦点をあてていた(例えば、Roeder, Sharp, TjianおよびReinbergの研究を参照されたい)。転写速度を制御する上流結合性転写因子は、基本転写複合体の構成要素と相互作用すると推定されてきた。優勢なモデルにおいては、おそらく介在するDNAをループアウトする(looping out)ことによって、これら上流転写因子とGTFとの直接相互作用が起こるとされている。しかし、このモデルが優勢であった過去10年間、これは上流因子の役割をそれ以上解明する助けにはならなかった。
【0006】
原核生物(すなわち細菌)は真核生物転写のモデルとして役立ってきた。そして、同一セットの転写工程が両方の系に関与しているらしいと推定されている。しかし、真核生物はより複雑なパターンで調節されるより多くの遺伝子を有している。したがって特定のさらなるレベルでの遺伝子調節を要する可能性がある。特に真核生物は転写開始部位から1000塩基対以上離れた遠位から発現を促進する転写因子を採用している。原核生物はこのクラスの転写因子をもたず、そのためそれらは真核生物がいかに転写を調節するかを理解するための信頼できるモデルを提供しない。
【0007】
したがって転写調節の分子的作用機構を同定し、特徴づけることによって転写因子がいかに作用するかを説明する必要がある。一旦この作用機構が決定されたならば、転写因子を同定し、検出するための多くのアッセイのうち任意のものが開発できる。遺伝子工学および遺伝子療法技術における多数の障害を克服するには遺伝子の転写を操作する能力が必要であり、またその能力は幾つかのヒト疾患を治療するのに必要とされるであろう。
【0008】
発明の概要
本発明は、特定の転写因子は遺伝子鋳型のDNA鎖の一本(および特別な場合には両方の鎖)に一本鎖ニックを作ることによって転写を触媒するという発見に関連している。本発明は、転写因子活性をアッセイするためにニックの入ったDNA鋳型またはDNAニッキング(nicking)活性を検出するための任意の手段の使用に関する。本発明はさらに、DNAニッキング活性をアッセイすることにより転写因子を同定する方法に関する。本発明はさらにDNAニッキング活性に関連するコンセンサス配列を同定する方法に関する。さらに、本発明はDNAニッキング活性に関与する転写因子のタンパク質ドメインおよびそれをコードするDNA配列に関する。本発明はまた本発明の方法によって同定される新規な転写因子に関する。
【0009】
本発明はまた、転写因子(エンハンサー結合タンパク質)が遺伝子転写を活性的に触媒するかどうかを決定するための、1以上の転写因子の結合に応答するDNAの鎖破損(ニッキング)を検出するアッセイの使用に関する。これらのアッセイはあらゆる細胞型について、または任意の薬物、治療剤もしくは治療に応答するあらゆる細胞もしくは組織を用いて実施することができる。DNAニッキングアッセイは、ゲル電気泳動アッセイ、SIヌクレアーゼアッセイ、プライマー伸長反応、ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ、タンパク質結合アッセイまたはそれらの任意の組合せであってよい。ニッキング活性の分析は、転写因子を抽出し、in vitroで得られた鋳型上でそれらの活性を評価することによって実施することができる。または、内在性DNA鋳型を抽出し、PCRによって増幅して、転写因子によって誘導されたニックのin vivoにおける状態を確認することができる。
【0010】
本発明はさらに、転写活性の迅速なスクリーニング及び分析のために、DNAニッキング転写アッセイを「DNAチップ」または任意の固相もしくは液体マトリックスに適合させることに関する。このマトリックススクリーニング技法においては、転写因子と特異的に結合することができるDNAコンセンサス配列を含有する二本鎖(ds)DNAオリゴヌクレオチド(またはプロモーターエレメントを含有するds DNA断片、すなわち転写因子結合部位)をマトリックスに固定する。このマトリックスは、転写因子を含有する任意の溶液中で開裂される(ニックを入れられる)特定のオリゴヌクレオチド配列を同定するための支持体として使用される。
【0011】
本発明の「DNAチップ」スクリーニング法においては、転写活性をアッセイするために、転写因子DNA結合コンセンサス配列を含有するDNAチップを、任意の特定細胞型の代表的な転写因子を含有する可溶性細胞抽出物と共にインキュベートすることができる。このアッセイは、プロモーター領域に由来する、または遺伝子の内部もしくは周辺のどこかに由来する1つ以上のDNA認識配列を含有する任意のDNA鎖を、転写因子の作用によって誘導されたニックの存在に関して評価する場合に用いることができる。この方法は、転写因子と転写因子結合部位とのいずれのセットが遺伝子転写を増大させるように作用するかを決定する手段として用いることができる。
【0012】
本発明はさらに、任意の細胞型において、および条件又は処理の任意のセットに応答して、活性的にDNAにニックを入れる転写因子のデータベースに関する。このデータベースは、特定の細胞中でどの内因性遺伝子が活性的に転写されるかを、それらの遺伝子の転写を制御する領域のDNA配列情報に基づいて予測するのに利用することができる。本発明の1つの実施形態においては、有用なデータベースエントリーは、特定の細胞型のDNA結合部位に転写因子(例えば、"X")がニックを入れるのが見いだされた、というものであろう。例えば、繊維芽細胞を分析して、転写因子がそこに結合してニックを入れるDNA配列を迅速に特性決定することができる。なぜなら誘導されるニックが容易に検出可能だからである。各遺伝子を制御する全転写因子結合部位のデータベースを細胞型および条件のデータベースと共に用いると、情報の完全な予測能が実現される。
【0013】
本発明はさらに、DNAニッキングアッセイを用いた転写因子およびそのDNA結合部位の同定方法に関する。本発明においては、特定の細胞型において効率的発現が可能である発現ベクターを設計し、構築し、そして使用するために上記データベースを利用することができる。転写因子のDNA結合部位が一旦同定されたならば、これを適切な発現ベクター中に遺伝子操作して細胞における遺伝子の高レベル発現を誘導することができる。
【0014】
本発明はさらに、転写因子結合のためのDNAコンセンサス配列に依存する部位の中および周辺でDNAに一本鎖ニックを作り出すための転写因子の使用に関する。この使用は制限酵素に類似している。制限酵素は現在、それらの特異的認識配列の部位の中および周辺でDNA分子の両方の鎖を切断するために使用されている。
【0015】
本発明の特有の転写因子のセットは、DNAを特異的に開裂するのに用いることができる。これらの因子は分子生物学的操作のための有用な試薬である。
【0016】
本発明はさらに、DNAにニックを入れる転写因子の能力を変更して、より予測可能な挙動パターンをもたらすための、転写因子の遺伝子操作に関する。本発明の1つの実施形態において、幾つかの転写因子は、DNAニッキング活性を示すためには特定のアミノ酸がリン酸化される必要がある。これらの転写因子については、リン酸化される可能性のあるアミノ酸を酸性残基(アスパラギン酸またはグルタミン酸など)と交換または置換(replacement or substitution)することは、リン酸化の不存在下においてもそれら転写因子がDNAを活性的にニッキングすることを可能とする。
【0017】
本発明はさらに、遺伝子操作された転写因子のDNAニッキングのための使用に関する。本発明の遺伝子操作された転写因子は改変されていない転写因子よりも信頼性が高い。
【0018】
本発明の遺伝子操作された転写因子は分子生物学の試薬としてin vitroで、または遺伝子発現パターンを変えるための生きている細胞への形質転換、トランスフェクションもしくは感染によってin vivoで用いることができる。遺伝子操作された転写因子を含有する細胞系を発現ベクターと共に用いて、種々の治療剤を生産することができる。また、そのような細胞系は遺伝子治療の用途にも同様に用いることができる。
【0019】
本発明の遺伝子操作された転写因子は、種々の真核生物宿主中で用いることができる。本発明に有用な真核生物としては、真菌、昆虫、酵母、動物および植物細胞が含まれる。原核生物は正常の又は遺伝子操作された真核生物転写因子の発現に使用されるが、それらはニックを誘導する転写因子のクラスに対して一般に応答性であるとは考えられない。
【0020】
本発明はさらに、転写されたDNA鎖上へとポリメラーゼを「スレッディングする(threading)」プロセスによりRNAポリメラーゼを該転写DNA鎖へ接近可能にするための、DNA鋳型ニッキング転写因子の広範な使用に関する。非特異的転写アッセイにおいては、真核生物のRNAポリメラーゼは、遊離のDNA末端を提供されない限り効率的な転写が不可能であるということが周知である。現行のモデルは、GTFが全面的に遊離末端の代用となる、というものである。対照的に、本発明においては、真核生物遺伝子調節の制御において遊離のDNA末端は決定的に重要である。本発明において、DNA鎖へのポリメラーゼのスレッディングは、アッセイの終点として用いられる。RNAポリメラーゼの一本鎖ニックを経由したDNA鋳型へのエントリー(RNAポリメラーゼのTATAボックス認識、または転写エレメントの他の開始もしくはRNA転写産物の実際の開始、などの測定可能な下流事象を含む)を測定するアッセイは、本発明の範囲内にある。
【0021】
遊離のDNA末端の提示もまた、本発明により提案される作用機構の一部である。この作用機構においては、転写因子はDNA鋳型をニッキングするだけでなく、DNAとの結合を維持して遊離のDNA末端をRNAポリメラーゼに提示する。このような作用機構は、転写を促進する多数の転写因子の一次特性が酸性領域(いわゆる酸ブロブ(blob))の存在である理由を説明するであろう。ニッキングされた末端の5'リン酸上の陽性電荷は転写因子の陽性電荷によって撃退(repulse)され、遊離末端の逸れ(deflection)をもたらし、おそらくRNAポリメラーゼにとって該末端を一層接近可能なものとする。
【0022】
本発明においては、転写因子によるDNA二重らせんの一本の鎖の一本鎖開裂は、RNAポリメラーゼおよび関連因子の接近を可能とし、そして「オン」状態を作り出す。対照的に、ニッキング事象の前にはRNAポリメラーゼはDNA鎖に入ることができず、「オフ」状態である。したがって、本発明の転写因子は遺伝子のオンとオフの切り換えに関与する「遺伝子トランジッター(transitor)」として用いることができる。論理演算に使用するために遺伝子トランジッターのアレイを作製するための転写因子DNA結合部位の遺伝子操作もまた、本発明の範囲内にある。
【0023】
発明の詳細な説明
I.定義
本発明の完全な理解を確実にするために、以下の定義を提供する:
転写因子:転写因子とは、第2メッセンジャー経路を、細胞外刺激に対する一連の細胞応答を可能とする遺伝子発現経路に連結するエフェクター分子である。代表的な転写因子配列は、例えば、GenBankおよびIncyte Pharmaceuticals等によって作製された公的および私的なデータベースで利用可能である。転写因子としては、限定するものではないが、真核生物遺伝子の転写開始に先立つRNAポリメラーゼ認識に必要とされるタンパク質が含まれる。組換え転写因子は、転写因子遺伝子配列または転写因子活性(例えば、DNAニッキング、DNA結合、もしくは転写モジュレート活性)を示すその任意の部分配列を含む組換えDNAによってコードされる転写因子でありうる。
【0024】
DNA 鋳型:DNA鋳型とは、1つ以上の転写因子のための直接または間接相互作用部位を含むDNA配列をいう。このDNA配列は天然に存在する配列であっても、または組換えDNA配列、すなわちin vitroもしくはin vivoにおける生化学的操作もしくは遺伝子操作の産物であってもよい。細胞から単離されたDNA、クローン化されたDNA配列を含有するプラスミド、およびオリゴヌクレオチドは全てDNA鋳型の例である。
【0025】
接触させる:接触させるとは、例えば2種類の化合物を細胞に導入するために、添加する、混合する、上に流す、共にインキュベートする、または、共トランスフェクションすることを意味する。この用語は、接触させるべき2種類以上の化合物をin vitroまたはin vivoで共発現させることができるということも考慮している。
【0026】
チップ:チップまたは本明細書に用いる「生物学的チップ」という用語は、表面に1つ以上のDNA、RNAまたはタンパク質(ペプチド)鋳型を結合させた固相基質、例えば、シリコン又はガラスなどをいう。当業者は、生物学的「チップアッセイ」が1つの装置またはアッセイ中にチップアレイまたは複数の生物学的チップの使用を含みうることを理解するであろう。
【0027】
検出試薬:「検出試薬」とは、例えば、DNA中のニックに直接的または間接的に結合することによって、ニックが入ったDNA鎖の存在または不存在を同定することができる化合物である。検出試薬の例としては、限定するものではないが、DNA中のニックに選択的に結合するタンパク質、例えば、X線修復交差相補グループ1タンパク質(XRCC1)などが含まれる。また、ニックの入ったDNAに選択的に結合するタンパク質に結合する抗体もまた上記の例に含まれる。
【0028】
検出可能な標識:検出可能な標識とは、例えば、化学的、生化学的、光化学的または分光測定的手段によって検出および/または測定されることが可能な化合物である。検出可能な標識の例としては、放射性同位体、酵素、発蛍光団、発色団、ビオチン結合抗体、化学発光剤、等が含まれる。標識は光学もしくは電子密度、放射性発光、非放射性エネルギー転移により直接検出することができる。または、抗体コンジュゲート等を用いて間接的に検出することができる。
【0029】
ニッキング転写因子:ニッキング転写因子とは、二本鎖DNAにおいて一本鎖ニックの形成を触媒する能力を有する本発明の転写因子である。本発明の転写因子は天然に存在する転写因子であっても、またはin vitroでリン酸化されたニッキング転写因子などの生化学的に改変された転写因子であってもよい。組換えニッキング転写因子、例えば、1つ以上のアミノ酸置換を含有するように遺伝子操作によってin vivoまたはin vitroで改変されたニッキング転写因子もまた上記定義に含まれる。
ニックが入った DNA:ニックが入ったDNAとは、DNA配列を構成する種々のヌクレオチド塩基(アデニン、グアニン、シトシンおよびチミン)を連結しているホスホジエステル結合のうち1個以上のものが破壊または切断されたDNAをいう。
【0030】
DNA ニッキング活性:DNAニッキング活性とは、DNA配列におけるヌクレオチド結合の破壊または開裂をいう。DNAニッキング活性は種々の技法によって測定することができる。例えば、(1)ポリアクリルアミドおよびアガロースゲル上におけるニックが入ったDNAの電気泳動移動度の変化;(2)ニックの入ったDNAに特異的に結合するタンパク質を用いたタンパク質結合アッセイによるニックの入ったDNAの測定;(3)DNA鎖に沿って前進する酵素を用いる酵素アッセイであって、ニックという一本鎖開裂がある場合、反応が停止し、開裂の位置を同定することができるアッセイ、などである。そのような酵素アッセイの例は、SIヌクレアーゼアッセイ、プライマー伸長反応、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅反応およびDNA塩基配列決定反応である。
【0031】
in vivo および in vitro ニッキングアッセイ:DNAニッキング活性を検出するために設計された2つのカテゴリーの反応が考えられる。in vivoアッセイにおいては、細胞の内因性DNAのニッキングの程度が、DNAに結合したタンパク質のin vivoフットプリント法に用いられる方法と類似した方法(例えば、ライゲーション媒介PCR)によって分析される。これらのアッセイは、生きている細胞中において作用を受けているDNAの状態を判定するものである。in vitroアッセイにおいては、転写因子をそれらの天然の状態(in vivoにおけるそれらの活性に最も類似している)で抽出し、そしてDNAとin vitroで反応させ、転写因子の活性状態をニッキング活性を測定することによって評価する。
【0032】
これらの定義を考慮に入れて、本発明はDNA配列における一本鎖および/もしくは二本鎖のニックまたは破壊の形成を測定することによって転写活性を分析する方法および転写因子を同定する方法に関する。
【0033】
II. ニッキング活性の検出
転写因子はDNAに結合するが、転写因子との相互作用によってDNAが変更される、またはニックを入れられることは知られていない。
【0034】
本発明においては、図1に示すように、TFIIICのDNA結合部位を含有する32P末端標識化DNA断片を、ヒト繊維芽細胞系(HeLa細胞)の核由来のタンパク質抽出物と共にインキュベートした。すなわち、129ヌクレオチド末端標識化VA遺伝子断片を、0.5%または5.0%血清中に維持し、そしてd1312またはAd2に感染させた細胞から調製した核抽出物と共に、結合反応液中でインキュベートした。293細胞由来の核抽出物もまた分析した。等しい数の細胞に由来する等容量の抽出物(2μl)を標準的結合反応および次に電気泳動を行ってアッセイした。
【0035】
上記タンパク質抽出物は、図に示す2本のバンド(矢印)のうち一方としてDNAに結合することが示されているTFIIICを含有している。(TFIIICと複合体を形成していないDNAはポリアクリルアミドゲル上をより速く移動し、ゲルの下の方に向かう暗いバンドとして見える。)ポリメラーゼIII遺伝子転写に関して転写的により活性であることが知られている細胞においては、上方バンド種(upper band species)がより多く存在し、他方ポリメラーゼIII転写に関して活性がより低い細胞においては下方バンド種(lower band species)が多い。本発明以前には、上記2本のバンドは結合したTFIIICタンパク質の性質においてのみ相互に異なると考えられていた。本発明において、本発明者はゲル上の2本のバンドの移動度の差は、上方バンド種におけるDNA鋳型のニッキングに主として基づくものであると結論し、またニッキングは転写を触媒することのできる転写因子(この場合はTFIIIC)に不可欠であると結論する。
【0036】
第2の実験においては(図2Aおよび2B)、TFIIICのDNA結合部位を含有する32P末端標識化DNA断片をヒト繊維芽細胞系(HeLa細胞)の核由来のタンパク質抽出物と共にインキュベートし、そしてリン酸セルロースカラム上でクロマトグラフィーによりタンパク質を分離した。
【0037】
HeLa細胞核抽出物(標準的5.0%血清中に維持した細胞に由来する)をリン酸セルロースカラム上でのクロマトグラフィーにかけた。0.40〜0.70 M KClの濃度勾配で溶出した画分を、標識化129ヌクレオチドVA1断片を用いたゲルシフトアッセイによって分析し(図2A)、またpVA1を鋳型DNAとしてを用いて、再構成されたin vitro転写反応におけるTFIIIC活性について分析した(図2B)。1.5μlの各クロマトグラフィー画分、および0.5%血清中に維持しd1312に感染させた細胞に由来する2.5μlの相補性 (complementing)ホスホセルロース0.35 M工程画分(TFIIIBおよび RNAポリメラーゼIIIを含有する)を用いて、2系統のin vitro転写反応を実施した。各系統の左端のレーンは、TFIIICを添加しない場合には、VA1の転写が全く観察されないことを示すために、0.35 M工程相補性画分のみを含有する。
【0038】
クロマトグラフィーによって2形態のTFIIICの分離が得られた。一方の形態はDNAプローブと共にインキュベートすると下方バンド種(左の矢印)を形成し、他方の形態は上方バンド種(右の矢印)として現われる。図2において、パネルBはin vitro転写反応においてどのタンパク質画分が転写活性を有するかを示す。上方バンドを有する画分のみが転写活性を有する。本発明以前には、上方および下方バンドを形成するTFIIICタンパク質がクロマトグラフィーにより分離可能であったため、TFIIICタンパク質の相違のみが上方および下方バンド複合体のゲル中の移動における差異を引きおこすと考えられていた。したがって、TFIIICタンパク質の絶対サイズまたはその電荷における相違が2つの別個の複合体を作り出したのである。本発明により、本発明者は上記2つのバンドがDNA鋳型のニッキングが原因でゲル中の移動度においても異なると結論する。この実験から、当然の帰結として、TFIIICの一方の形態のみがDNA鋳型にニックを入れる能力を有し、したがって転写活性を有するということになる。
【0039】
図3においては、TFIIICのDNA結合部位を含有する32P末端標識化DNA断片を、前の図について記述したのと同様に誘導した1つのタンパク質画分と共にインキュベートした。すなわち、上方バンド複合体のみを形成するTFIIICを含有するタンパク質画分をDNAプローブのみと共に(レーン1)、または時間(分)を増やすためにホスファターゼを加えて(レーン2-4)インキュベートした。ホスファターゼ酵素は、TFIIICタンパク質内の特定のアミノ酸上のリン酸を除去することができる。本発明以前には、脱リン酸化形態のTFIIICはリン酸化形態のTFIIICよりも小さく(分子量が小さい)、したがってDNA鋳型に対する作用ではなくTFIIICのサイズのために、上方バンドは下方バンドに変換されると結論されていた。本発明により、上方バンド形態にはニックが入っており、したがって脱リン酸化された転写因子はもはやDNAプローブにニックを入れることができず、下方バンドのみが形成されると本発明者は結論する。逆に、転写因子のリン酸化は該因子が転写において活性であるために、そしてニッキング活性を提供するために必要である。
【0040】
図4においては、BPV-E2のDNA結合部位を含有する32P末端標識化DNA断片をタンパク質抽出物と共にインキュベートした。このタンパク質抽出物が由来する細胞は、組換え転写因子を上記DNA配列と特異的に結合できるようにする発現ベクターでトランスフェクションされていた。この因子c-Jun/BPV-E2は、BPV-E2転写因子のC末端部分(ウシパピローマウイルスE2 DNA結合ドメイン)およびc-JunのN末端部分を含有するハイブリッドタンパク質である。このタンパク質は、シグナル伝達に応答してリン酸化されるアミノ酸Ser73(および Ser63)を含む転写活性化ドメインを含有する(図4A)。BPV-E2タンパク質のDNA結合部位を含有する標識化オリゴヌクレオチドを用いてゲルシフトアッセイを実施した。すなわち、オリゴヌクレオチドをトランスフェクションされていない、または融合タンパク質を一過性に発現する細胞から調製した全細胞抽出物中でインキュベートした。C-Junを含有する(レーンWtE2)またはアミノ酸置換体を発現する(レーン73AE2および73DE2)融合タンパク質についてのDNA結合活性の有効性は、アスパラギン酸置換体の場合に最大であった(レーン73DE2)。
【0041】
BPV-E2のDNA結合部位は試験した細胞内の他のいずれの転写因子によっても認識されないので、トランスフェクトされた融合タンパク質c-Jun/BPV-E2のみが32P標識化DNAプローブに結合するだろう(図4B:陰性対照レーン3にはバンドが全く見られない)。重要なことに、正常なc-Jun N末端を用いて融合タンパク質を作製した場合(wtE2、レーン2)またはSer73でアラニンを置換したアミノ酸を作製した場合(73AE2、レーン1、レーンの左側に矢印を付してある)、2本のバンドが見られる。
【0042】
したがって、図1−3においてクラスIII系におけるTFIIICについて2本のバンドが観察された現象が、クラスII系(RNAポリメラーゼII遺伝子転写の触媒作用を促進する、すなわちメッセンジャーRNAを作る)におけるc-Junの誘導体にも観察される。上方バンドの形成は、Ser73でアスパラギン酸を置換した場合(73DE2、レーン4)に見られるように、転写活性の増大に対応する。この場合、上方バンド形態が優勢であり(右側に矢印で示す)、このことは陰性電荷を有する酸性アミノ酸の置換は活性な転写因子を作り出す際のリン酸化アミノ酸の陰性電荷の代用となり得ることを示している。本発明においては、上方および下方のバンドは転写因子が活性化されたときのDNAプローブのニッキング(上方バンド)によって異なるのだということが理解される。
【0043】
図4CはC-Jun/BPV-E2融合タンパク質の相対転写活性を示す。HeLa、F9、3T3、およびHepG2細胞を、2μgのCAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ)リポーター遺伝子構築物を単独で用いて、または2μgのC-JunまたはJun/BPV-E2発現ベクターと共に用いて一過性にトランスフェクションした。C-Jun構築物の各々による転写活性化を測定するため、E2 DNA結合部位を含有するE2CATも共トランスフェクションした。CAT発現は、抽出タンパク質1μgあたりのベンゼンで抽出可能な[3H]-モノ-アセチル化クロラムフェニコールの毎分のカウントとして示される。
【0044】
BPV-E2 DNA結合部位を含有するプロモーターによって駆動されるリポーター遺伝子構築物の共トランスフェクションを用いて、上記ハイブリッドタンパク質の転写活性を測定した(図4C)。Ser73へのアラニンの置換(c-Jun73AE2)は野生型(c-JunwtE2)より転写活性が低かったが、アスパラギン酸の置換(c-Jun73DE2)は試験した全ての細胞型においてさらに大きい転写活性を有していた。
【0045】
これらの結果は、転写を触媒し、DNAニックを形成する能力が正常な野生型因子よりも大きい又は小さい、遺伝子操作した転写因子を作製できることを示している。また、融合タンパク質c-Jun/BPV-E2の作出は、種々のDNA結合ドメインを遺伝子工学的に作製した転写活性化ドメインに結合させて、DNA結合ドメインによって決定されるDNA配列内の複数の新しい位置でニックを形成させることができることを例証するものである。
【0046】
図5Aにおいては、公知のDNA結合部位を含まない(レーン1)又はさらに別の転写因子であるCREB(サイクリックAMP応答エレメント結合タンパク質)の結合部位を含む(レーン2)32P末端標識化DNA断片を、上記のようにゲルシフト条件下でHeLa細胞の核から誘導したタンパク質抽出物と共にインキュベートした。非変性条件下で電気泳動にかけると、CREB結合部位に特有の2本のバンドが観察された。ゲル中の移動差異によるこれら2本のバンドの分離は、活性および不活性な形態を示した他の因子で観察された分離よりもはるかに大きかった。したがって、これらの形態は他の因子の場合のような相互関連をしているのではないかもしれない。転写因子の結合がDNA鋳型にどのように影響を与えるかを確認するため、DNA-タンパク質複合体をゲルから切り出した。
【0047】
これらのゲル切片を1X TAE (0.04 M Tris-酢酸, 0.001 M EDTA)バッファー中で100ボルトで1時間電気溶出し、分子量カットオフが12,000-14,000の透析バッグ(Spectrum Medical Industries, Los Angeles)中で約200μlの容量とした。溶出液に0.5% SDSおよび0.1 mg/mlのプロテイナーゼKを含有させ、56℃で15分間消化した。等容量のフェノール/クロロホルム 1:1混合物を添加し、ボルテックス撹拌し、遠心分離にかけて標識化DNAからすべてのタンパク質を抽出した。DNA鋳型を含有する水層を新しい試験管に移し、3容量のエタノールを添加した。-20℃で一晩置き沈殿を形成させ、試験管をドライアイス上に15分間置き、次にエッペンドルフ遠心機で15分間全速(14,000 rpm)で遠心した。上清を捨て、ペレットを乾燥させた。標識化DNAペレットを標準DNAサンプルバッファー(30%グリセロール、0.25%ブロモフェノールブルー、0.25%キシレンシアノール)に溶解し、そして1X TBE (0.09 M Tris-ホウ酸、0.001 M EDTA) 中に作製された15%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動した。
【0048】
図5Bは、ゲルシフトバンドから抽出した標識化鋳型DNAを示す。下方バンドから抽出した鋳型はインプット鋳型DNAと同様に2本のバンドを有するが、上方ゲルシフトバンドから抽出した鋳型は3本のバンドを有する、すなわち、さらに1本バンドが現われる。この新しいバンドは、転写因子を含有する抽出物とインキュベーションした後の鋳型DNAの変化を明らかに示している。この実験操作ではDNAからあらゆる微量タンパク質が除去された。したがって、新しいバンドはDNA鋳型自体の変化によってのみ形成されうるものである。ニックの入った鋳型の2つの特性が、この鋳型をこの図に見られるようによりゆっくりとゲル中を移動させるのであろう。第1に、ホスホジエステル結合の切断は陽性電荷を持った末端リン酸を残す。ここで用いたオリゴヌクレオチドは短く、約21塩基対の2本鎖DNAであった。上記の付加的陽性電荷は、この断片がゲルタンクの底部バッファーチェンバー内の電極の陽性電荷に向かって移動する速度をより小さくするであろう。第2に、ニックの入ったDNAは、ニックの位置でDNAが曲がるように変更されたコンホメーションを有する。この形状の変化は、ゲル中でのDNAの移動度を変化させるであろう。転写因子と結合した後のDNA鋳型の変化は、鋳型のニッキングと一致している。
【0049】
これらの結果に基づくならば、転写活性はアッセイの宿主におけるニッキング活性を測定することによって測定可能であることが明らかである。
【0050】
III. 転写活性を検出する一般的な方法
DNAニッキング活性は以下の技法を含む様々な技法によって測定することができる。すなわち、(1)ニックの入ったDNAのポリアクリルアミドおよびアガロースゲル上での電気泳動移動度の変化を測定するための電気泳動アッセイ;(2)タンパク質結合アッセイによるニックの入ったDNAの測定;(3) SIヌクレアーゼアッセイ;(4)プライマー伸長アッセイ;(5)PCR増幅反応;(6)DNA塩基配列決定反応;および(7)鎖開裂に対する高感受性である。
【0051】
DNAニッキングアッセイのいくつかにおいては、反応を実施するためにオリゴヌクレオチドプライマーが必要とされる。一般に、本発明のオリゴヌクレオチドの設計および合成は従来の教示に従う。好ましくは、オリゴヌクレオチドはホスホルアミダイト化学(Beaucageら, 1992; Caruthers, 1983)を用いた自動固相DNA合成機、例えば、392または394型DNA合成機(PE Applied Biosystems, Foster City, Calif.)を用いて合成される。
【0052】
1.電気泳動アッセイ
電気泳動アッセイは、転写活性をアッセイするためにニックの入ったおよび入っていないDNAを同定するために容易に用いることができる。
【0053】
線状二本鎖DNA分子は(これは電場においては末端が前を向く傾向がある)、ゲルマトリックス中をその塩基対数の常用対数に反比例する速度で移動する。より大きい分子は摩擦効力がより大きく、また小さい分子ほど効率的にゲルの細孔中を進めないため、よりゆっくり移動する。
【0054】
所定のサイズの線状DNA断片は、異なる濃度のアガロースを含有するゲルの中を異なる速度で移動する。したがって異なる濃度のゲルを使用することにより広範なDNA分子を分析することが可能である。
【0055】
同一分子量の超らせん環状(形態I)、ニックが入った環状(形態II)および線状(形態III)DNAは、アガロースゲル中を異なる速度で移動する。これら3つの形態の相対移動度はゲル中のアガロース濃度に主として依存するが、適用された電流の強度、バッファーのイオン強度、および形態IのDNAにおいては超らせんのねじれの密度によっても影響される。ある条件下では、形態IのDNAは形態IIIのDNAよりも速く移動し、また別の条件下ではこの順番が逆転する。
【0056】
DNAの異なるコンホメーションを同定するための明確な方法は、臭化エチジウムの存在下で、その量を増大させながら電気泳動を実施することである。臭化エチジウムの濃度が上昇するにつれ、染料がより多くDNAに結合するようになる。形態I分子の負の超らせん回転(turn)は徐々に除かれ、分子の半径が増大し、そして移動速度が遅くなる。超らせん回転が全く残らない限界遊離染料濃度では、形態IのDNAの移動速度は最小値に達する。さらに臭化エチジウムを添加すると、正の超らせん回転が生じて、DNA分子はよりコンパクトになり、その移動度は急速に増大する。同時に、形態IIおよびIIIのDNAの移動度は電荷中和によって示差的に低下し、また臭化エチジウムによってDNAにより大きい緻密性が賦与される。形態IのDNAの殆どの調製物については、遊離臭化エチジウムの限界濃度は0.1 μg/ml〜 0.5 μg/mlの範囲内である。
【0057】
プラスミドDNAは典型的に数千塩基対を有し、また分析すべき細胞由来の核抽出物は予測されない位置で結合可能な多数の転写因子を含有するので、プラスミドDNAのコンホメーションの分析は、純粋な転写因子調製物とインキュベートした場合に最もうまくいくであろう。プラスミドDNAの相違を観察することに加えて、オリゴヌクレオチドのような約100塩基対以下の短いDNA断片はニックを入れた場合、ニックを入れていないDNAと比較して電気泳動にかけた時に異なった移動をする場合がある。ホスホジエステル鎖の切断は遊離電荷をもたらし、そしてDNAはニックの位置でより大きく曲がることができる。これはゲル上の移動に変化を引き起こす。
【0058】
電気泳動アッセイは、ニックの入っていないDNAからニックの入ったDNAを分離し区別するため、そして転写活性を測定し転写因子を同定するために容易に用いることができる。そのような方法は上記のように、またSambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 第2版 (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press(参照により本明細書に組み入れる)に記述されているように当技術分野で周知である。
【0059】
2.タンパク質結合アッセイ
DNAニッキング活性を測定する、すなわち転写活性を測定するためにタンパク質結合アッセイを用いることもできる。そのような方法はFried, M.およびCrothers, D.M. (1981), 「ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるlacリプレッサーオペレーター相互作用の平衡および速度論(Equilibria and kinetics of lac repressor operator interactions by polyacrylamide gel electrophoresis.)」、Nucl. Acids Res. 9, 6505-6525およびGarner, M.M.およびRevzin, A. (1981)「特定のDNA領域に結合するタンパク質の定量のためのゲル電気泳動法:大腸菌ラクトースオペロン調節系の構成要素への応用(A gel electrophoresis method for quantifying the binding proteins to specific DNA regions. Applications to the components of the E. coli lactose operon regulatory system.)」、Nucl. Acids Res. 9, 6505-3060(各文献は参照により本明細書に組み入れる)に記述されているように、当技術分野で周知である。DNAタンパク質結合アッセイはDNA-タンパク質相互作用を可能とするのに必要な最小限の構成要素からなることができる。このようなアッセイの構成要素は、DNA鋳型および転写因子タンパク質(天然または組換え)を含む。
【0060】
DNA/タンパク質複合体形成の検出は、例えば4%ポリアクリルアミド(アクリルアミド:ビスアクリルアミド、30:0.8), 6.25 mM Tris基剤、6.25 mMホウ酸、0.25 mM EDTA(1/4X TBEと等価)を含有するポリアクリルアミドゲル上で120ボルト(泳動開始時には約20mA)で電気泳動した標識化DNAの電気泳動移動度シフトの測定を包含する。1種類の転写因子の結合について2本のバンドを見るためには、ゲルの前電気泳動が重要である。所定の電圧で、電圧をかけた場のアンペア数は電気泳動が始まるとまもなく増大する。アンペア数はこの上昇からもとのアンペア数へ、またはそれより少し下まで戻る必要がある。第2に、ゲルに用いられ、また電気泳動中に用いられるTBEバッファーは、10X TBEストック溶液を調製して、びんの底に顕著な白色沈殿が形成されるまで数ヶ月間熟成させるならば一層よく機能する。この変化を模倣するためのTBEバッファーの調製における変更は、イオン強度および/またはバッファーのpHの変更を含めて、等価に機能しなければならない。
【0061】
結合反応液は、転写因子タンパク質(1-5μgの核抽出物タンパク質または染色体画分)およびDNAの存在下で、例えば、4-8%グリセロール、0-4%フィコール、7 mM MgCl2、20 mM Hepes-NaOH pH 7.9、0.4 mM EDTA、60-100 mM KCl、1-4 μg ポリ(dI-dC)ポリ(dI-dC)を含有することができる。核抽出物は下記のように調製することができる。
【0062】
a.核抽出物の調製
核抽出物は、Dignam, J.D., Lebovitz, R.M.およびRoeder, R.G. (1983)「単離された哺乳動物核由来の可溶性抽出物におけるRNAポリメラーゼIIによる正確な転写の開始(Accurate transcription initiation by RNA polymerase II in a soluble extract from isolated mammalian nuclei.)」、Nucl. Acids Res. 11, 1475-1489(参照により本明細書に組み入れる)に記述されているような当技術分野で周知の方法により調製することができる。組織培養皿で増殖するより少数の細胞に適合させたこの方法の変法においては、DNA標的を有する細胞(HeLa細胞を含む殆どの細胞型)を含有する組織培養プレート(P-100)から細胞を取り上げる。すなわち、細胞をPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)で2回洗浄する。次に、800μlの低張性バッファー(例えば、10 mM Hepes pH 7.9、1.5 mM MgCl2および10 mM KCl)を細胞に加える。次に細胞を15分間インキュベートする。次に細胞をかき取って試験管に入れ、4.8μlのNP-40(非イオン性界面活性剤)を添加する。この混合物を5Gで5分間回転する。上清を吸引し、核を50μlの溶解バッファー[10 mMリン酸カリウム(またはナトリウム)pH 8.0 (pH 8.0をもたらす一塩基性およびニ塩基性混合物の混合物)、0.5% NP40、1.0 mM EDTA (pH8.0)および300 mM KClを含有する]に再懸濁する。この混合物を4℃で30分間インキュベートする。次に混合物を14,000 rpmで10分間4℃で遠心する(エッペンドルフ遠心機)。核抽出物を含有する上清を新しい試験管に移す。可溶性転写因子を含有する抽出物を調製する別の方法も役に立つ。例えば、最初に核を単離するのではなく、抽出バッファーを用いて細胞を直接可溶化し、全細胞抽出物を得ることができる。
【0063】
b.バッファー組成
DNAニッキング活性の分析にとってバッファー組成は決定的に重要である。転写因子を活性な状態で抽出するためにはリン酸バッファーが好ましい。転写因子はしばしばリン酸化されており、そして細胞抽出物中でホスファターゼ活性が阻害されない場合はこの活性によって脱リン酸化されうるので、リン酸バッファーが好ましいのである。リン酸バッファーは内因性ホスファターゼの競合的インヒビターとして役立つ。リン酸を含有しない他の生物学的バッファーもまたニッキング活性の分析に役立つ。ホスファターゼインヒビターの添加(50 mM フッ化ナトリウムなど)は、抽出された転写因子のリン酸化状態の維持を助けるに違いない。
【0064】
c.タンパク質 -DNA 複合体の検出
標識化オリゴヌクレオチドの位置は適切な方法(例えば、放射性オリゴヌクレオチドのオートラジオグラフィー)によって検出される。移動度シフトは活性なニッキング活性の、したがって活性な転写活性の証拠である。特に、ゲル電気泳動によって分離することができる2つの形態のDNA-タンパク質複合体が形成された場合は、活性な転写活性の証拠である。
【0065】
DNA-タンパク質複合体を検出または分離する他の方法も用いることができる。そのような方法としては、UV架橋分析、高速液体クロマトグラフィー、およびファージディスプレイ技術が含まれる。
【0066】
DNA-タンパク質複合体の形成は、タンパク質固定化のための公知のアフィニティー法を用いて、標識化DNAの保持として検出することが可能である(標識は放射性標識したDNAについてはシンチレーションカウンティング等、または蛍光標識したDNAについては蛍光定量法等の適切な方法によって検出される)。タンパク質固定化のためのそのような方法は当技術分野で周知であり、ビオチン/ストレプトアビジン、ニトロセルロース濾過、アフィニティークロマトグラフィー、イムノアフィニティークロマトグラフィーおよびそれらの関連技法を含む。
タンパク質-DNA複合体形成は、DNA固定化のための公知の方法を用いて、標識化転写因子の保持として検出する(例えば、放射能的に又は蛍光的に)ことも可能である。
【0067】
3.SI ヌクレアーゼアッセイ
ヌクレアーゼSIは一本鎖DNAまたはRNAを分解して5'一リン酸またはオリゴヌクレオチドを生じる。二本鎖DNA、二本鎖RNAおよびDNA:RNAハイブリッドはこの酵素に比較的耐性である。しかし、ニックまたは小さい間隙の位置では適度な量のSIクレアーゼが二本鎖核酸を開裂する。そのように、ゲル電気泳動アッセイと組合わせたSIクレアーゼを、DNAニッキング活性および転写活性を測定するために用いることができる。
【0068】
SIクレアーゼアッセイは当技術分野で周知である。SIクレアーゼアッセイの一例は以下のとおりである。すなわち、転写因子結合部位を有するDNAを末端標識し、次に試験すべき転写因子活性を有するタンパク質抽出物と共に予めインキュベーションする。この予備インキュベーション期間の間にニッキングが起こってから、DNAをフェノール/クロロホルムで抽出し、エタノール沈降させる。このDNAを、100 mlの S-1ミックス(250 mM NaCl、40 mM酢酸ナトリウムpH 5.5、1 mM ZnSO4 、20 mg/ml変性サケ精子DNAおよび 2000 U/ml S1クレアーゼ)の存在下で37℃で30分間S1クレアーゼ消化にかける。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびEDTAを最終濃度がそれぞれ0.2%および20 mMとなるように反応液に添加して反応を停止させ、次にフェノール/クロロホルム抽出ならびに0.3 M酢酸アンモニウムおよび50% イソプロパノールを用いた沈降を実施した。沈降物を6μlのTEおよび4μlの停止バッファー(95%ホルムアミド、0.05%ブロモフェノールブルー、0.05%キシレンシアノールおよび20 mM EDTA)からなる混合液に再懸濁し、 6%ポリアクリルアミド配列決定ゲルの上で分離する。完全なサイズのバンドの不存在、およびS1によって開裂されたより小さいDNA断片の存在は、ニッキング活性の証拠である。なぜなら、SIクレアーゼがニックの位置で全長DNAを消化したからである。
【0069】
4.プライマー伸長反応
プライマー伸長反応もまたニッキング活性を検出し、そしてそれによって転写活性をアッセイするために用いることができる。プライマー伸長反応を開始するためにはニックの存在が必要である。プライマー伸長産物の検出はニックの存在、そしてそれゆえ転写活性の存在を示す。
【0070】
種々のプライマー伸長アッセイが米国特許第5,952,202号、第5,888,819号および第5,945,284号(これらは参照により本明細書に組み入れる)に記述されている。プライマー伸長反応の方法は、転写因子によるDNA鋳型のニッキング、およびそれに続く伸長反応を包含する。「プライマー」とは、特定の標的核酸に選択的にアニーリングすることが可能で、そしてアニーリング後、プライマー伸長反応の開始点の役割をはたすオリゴヌクレオチドをいう。「プライマー伸長反応」とは、プライマー/標的二重らせんとヌクレオチドとの間の反応であって、付加されるヌクレオチドが標的核酸の対応するヌクレオチドに相補的であるようにプライマーの3'末端にヌクレオチドを付加する反応をいう。
鋳型依存性のプライマー伸長反応がおこる条件は、部分的には適切な鋳型依存性酵素の存在によってを創出することができる。適切な鋳型依存性酵素のいくつかはDNAポリメラーゼである。DNAポリメラーゼにはいくつかの種類がありうる。しかし、DNAポリメラーゼは必ずプライマーおよび鋳型依存性である必要がある。例えば、大腸菌DNAポリメラーゼIまたはその「クレノウフラグメント」、T4 DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ(「シークエナーゼ(sequenase)」)、好熱菌(T. aquaticus)DNAポリメラーゼ、またはレトロウイルス逆転写酵素を用いることができる。いくつかのプロトコールではT3またはT7 RNAポリメラーゼ等のRNAポリメラーゼを用いることも可能であろう。ポリメラーゼによって異なる条件を用いなければならず、またハイブリダイゼーションおよび伸長反応に異なる温度範囲が必要とされる場合もある。
【0071】
特異的ハイブリダイゼーションおよびポリメラーゼ連鎖伸長条件下で特定のプライマー(1種または複数)へのターミネーターの3'末端付加の分析を容易にすることによって興味のある核酸を分析することができる。ヌクレオシド三リン酸基質としてターミネーター混合物のみを用いることは、ポリメラーゼ反応において1個のヌクレオチド残基のみがプライマーの3'末端に付加されることを確実にする。4つのターミネーターの全てを同時に用いることは正確性、すなわちミスリーディング(misreading)の抑制を保証する。
【0072】
1つ以上のターミネーターを特異的に標識することによって、伸長したプライマーの配列を推測することができる。原則として、2つ以上のターミネーターを特異的に標識した場合には、1反応あたり2つ以上の反応産物を分析することが可能である。
オリゴヌクレオチドプライマー、または3'伸長反応に影響を及ぼさないがアフィニティー分離を可能とする部分を有する鋳型に特異的なタグを付すことによって、反応後、取り込まれていないターミネーター、試薬の他の成分、および/または鋳型鎖から伸長産物を分離することができる。2つ以上のアフィニティー作用物質を用いた場合、1伸長反応あたり数個のオリゴヌクレオチドを分析することができる。
【0073】
a.オリゴデオキシヌクレオチドのビオチニル化
ある状況下では、検出を容易にするためにオリゴヌクレオチドをビオチニル化することが役に立つ。5'末端が第一級アミノ基で終わるオリゴデオキシヌクレオチドは、Midland Certified Reagents, Midland, Texから入手可能である。これらをビオチン-N-ヒドロキシスクシンイミドの誘導体であるビオチン-XX-NHSエステル (Clontech Laboratories, Inc., Palo Alto, Calif.)を用いてビオチニル化することができる。典型的には、上記オリゴヌクレオチド(9nmol)を100μlの0.1 M NaHCO/Na2CO3 (pH 9)に溶解し、そこに2.5 mgのビオチン-XX-NHSエステルを含有する25μlのN,N-ジメチルホルムアミドを添加する。この混合物を室温で一晩インキュベートする。次に、この混合物をH2Oで平衡化した6 mlの Sephadex G-25 カラム(「DNA級」;Pharmacia)を通過させる。DNAを含有する溶出画分の4μlアリコートを等容量の臭化エチジウム(2μg/ml)と混合することによって、該画分を同定する。そして、DNAによって誘導された蛍光をUV透照器(transilluminator)を用いてモニターする。未反応のエステルを220 nmにおけるUV吸収によって検出する。DNAを含有する試験管をプールし、Centricon-3マイクロ濃縮器(Amicon)で濃縮し、再度Sephadexを通過させる。
【0074】
3H-ビオチンと磁性M-280ストレプトアビジンDynabeads (Dynal)との結合の阻害を用いて、オリゴヌクレオチドのビオチニル化度を定量的にアッセイすることができる。エッペンドルフチューブおよびピペットチップをシリコーン処理する。10μlの0.1 M NaClに溶解した既知量(5-10 pmol)のビオチン標識化オリゴヌクレオチドを、ビーズを0.1 M NaClに1:4で懸濁した懸濁液25μlを含有する試験管に加える。20μlの0.1 M NaClに溶解した、徐々に増大する量の 3H-ビオチン(5-35 pmol)を上記試験管に加え、そしてこれらを1時間再度回転させる。試験管を、例えばDynal MPC-E磁石上に置いて懸濁液からビーズを除去し、上清の10μlアリコートを回収し、そしてこれらアリコート中の放射活性量をBeckman LS 5000 TD液体シンチレーションカウンターを用いて測定する。得られたカウントを、オリゴヌクレオチドを添加しなかった試験管から得られたカウントと比較する。または、いくつかのプライマーについては、8M尿素の存在下で分析的ポリアクリルアミドゲル電気泳動を実施して反応産物をサイズ分画することによりビオチニル化をモニターする。
【0075】
b.プライマー伸長/ターミネーション反応
約5 pmolの5'-ビオチニル化オリゴデオキシヌクレオチド鋳型を1Xシークエンシングバッファー(シークエナーゼ 2.0バージョンキット由来; US Biochemical Corp.)中で約3 pmolのプライマーと混合する(最終容量10μl)。この混合物を65℃で2分間インキュベートし、次にプライマーと鋳型をアニーリングさせるために室温まで冷却させた。アニーリングした鋳型-プライマーを含有する溶液を2つの5μl部分(AおよびB)に分け、それらに以下のものを添加した:反応液A(鋳型濃度を標準化するため):0.5μlの100 mMジチオトレイトール、各1μlの10μM dATP, dGTP, ddCTP、0.5μlの「Mnバッファー」(シークエナーゼ 2.0バージョンキット由来; US Biochemical Corp.)、0.5μlの35S-α-チオ-dTTP (10 mCi/ml, 1180 Ci/mmole)(Dupont-NEN)、1μlのSequenase (1:8希釈; US Biochemical Corp.);反応液B(プライマー3'末端の鋳型特異的標識のため):使用したヌクレオチドがddCTP, ddGTP, ddTTPおよび35S-α-チオ-ddATPであった以外は反応液Aと同じ添加物。反応は37℃で5分間実施する。プライマーまたはシークエナーゼを省いた対照反応も実施する。アリコートを取り上げ、15%ポリアクリルアミド、8M尿素、DNA塩基配列決定用ゲルを用いた電気泳動によってアリコートを分析する(Maniatis, T.ら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (1982))。ゲルを10%メタノール、10%酢酸中で固定し、Whatman 3MMペーパー上で乾燥させ、Kodak X-Omat ARフィルムに暴露する。または、産物を液体シンチレーションカウンティングによって分析するため、ビオチニル化鋳型または鋳型-プライマーをシークエナーゼ反応の前または後で過剰な、例えば、M-280ストレプトアビジンDynabeads (Dynal)と結合させる(結合条件については、上記「オリゴデオキシヌクレオチドのビオチニル化」の項を参照)。0.1 M NaClを用いてビーズを3回洗浄して取り込まれていない標識を除去し、次にシンチレーション液を加え、液体シンチレーションカウンティングにより放射活性を測定する。
【0076】
c.PCR 産物からの鋳型の作製
標的DNAストレッチの両側に位置する増幅プライマーの一方または他方が上記のようにビオチニル化されている場合、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)反応が実施される。すなわち、これらのプライマー(最終濃度2μmol)および標的DNA(1μgまで)を2.5単位のTaqポリメラーゼ(Perkin Elmer/Cetus)、各200μMのdATP, dCTP, dGTPおよびdTTP、10 mM Tris-HCl (pH 8.3)、50 mM KCl、1.5 mM MgCl2および 0.01%ゼラチン(Sigma)と共にインキュベートする。反応混合物にパラフィンオイルを重層し、Perkin Elmer/Cetusサーモサイクラーを用いて30サイクルインキュベートする。各サイクルは、94℃で1分間、60℃で2分間、および72℃で3分間からなる。反応産物をフェノール/クロロホルム抽出およびエタノール沈降によって精製し、ポリアクリルアミド上で電気泳動した後、臭化エチジウム染色により分析する。
【0077】
約5μgのPCR産物を50μlの前もって洗浄した、例えば、0.1 M NaCl中のM-280 Dynabeadsの懸濁物と共に穏やかに撹拌しながら60分間インキュベートする。次に、DNA(約15 pmol)が結合したビーズを0.15 M NaOHと共に25℃で5分間インキュベートする。0.15 M NaOHを用いてビーズを1回洗浄してビオチニル化されていないDNA鎖を除去し、次にH2Oを用いて3回洗浄する。このビーズをH2Oに再懸濁し、ビオチン-ストレプトアビジン結合を介してビーズに結合した鎖をさらなるプライマー伸長反応の鋳型として用いる。
【0078】
5.PCR 反応
PCR反応を用いてDNAニッキング活性を検出し、それによって転写活性をアッセイすることができる。PCR増幅反応は、1反応につき、興味のある遺伝子由来のプロモーターを含有するゲノムDNA、または該プロモーター領域を含有するプラスミド1μl;各10μlのプライマー(10 pmol/μlストック);10μlの10x PCRバッファー(100 mM Tris.Cl pH 8.5, 500 mM KCl, 15 mM MgCl2); 10μlの2 mM dNTPs(100 mM dNTPストックより調製);2.5 UのTaqポリメラーゼ(Perkin Elmer AmpliTaq.TM, 5 U/μl)または類似濃度のVentポリメラーゼ;および全量を100μlとするH2Oからなる反応混合物中で典型的に実施される。サイクル条件は通常40サイクル(94℃で45秒;55℃で30秒;72℃で60秒)であるが、サンプルの種類によってかなり変更を要する場合がある。これらの条件は、Perkin Elmer 9600サーモサイクラーに使われる0.2 mlの壁の薄い試験管用のものである。例えば、上記サーモサイクラーのサイクル時間情報については9600のPerkin Elmer 1992/93 カタログを参照されたい。他の因子の中では、標的、プライマーの長さ、および配列組成もPCRパラメーターに影響を及ぼし得る。
【0079】
PCRを用いてニックを検出するために、片側(single-sided) PCR反応を実施して、その結果を用いてプロモーターエレメントを含有するDNA各鎖におけるニックの位置をマップすることができる。このようなプロトコールの1つは「連結媒介PCR」と呼ばれ、これはゲノムDNAの配列決定および直接配列決定反応のために開発されたものであるが、本発明においては転写因子によって誘導されたニックの同定およびマッピングのために適合させている。すなわち、開裂されたDNAを変性し、遺伝子特異的プライマー(ニックの存在についてDNAを試験する部分の下流の位置に由来する)をアニーリングさせる。第1鎖の合成において、VentポリメラーゼまたはTaqポリメラーゼ等の連続移動性のポリメラーゼを用いて上記プライマーをニックの入った部位まで伸長させ、平滑部位を作る。DNAリガーゼによってこの平滑末端に食い違わせた(staggered)リンカーが結合され、その結果、伸長させたDNAの5'末端がリンカーの長い方の鎖の3'末端と連結される。リンカーの短い方の鎖は5'リン酸を欠き、そのため連結されない。次に、第1のプライマー配列の近くに位置し、かつ増幅すべき配列の境界末端の近傍に位置する第2のプライマーをアニーリングさせる。プライマーがリンカー領域に付加された後、断片はポリメラーゼによって何ラウンドも(例えば、18ラウンド)増幅される。この産物をゲル電気泳動によって直接分析することができる。または、いくつかの方法によって上記断片を放射性標識する。これらの方法には、PCRのそれ以後のラウンドに包含されうる標識した第3のプライマーを第2プライマーの近くに付加し、放射性標識された断片を得ることが含まれる。得られた断片を、同一プライマーから作製された配列決定ラダーの近くで配列決定ゲルの上を泳動させ、ニックの正確な位置を同定する。
【0080】
PCR反応の使用は、それがin vivoおよびin vitroニッキングアッセイの両方に適合可能であるという点でユニークである。ゲノムDNAの抽出法は当技術分野で周知であり、Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 20, 1992(参照により本明細書に組み入れる)に見いだすことができる。すなわち、プロトコールの一例においては、培養下の細胞または生検された組織中の細胞をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で洗浄する。例えば、細胞を入れた15cmのプレート1枚に対し、1.5 mlの溶解バッファー(300 mM NaCl, 50 mM Tris-Cl pH 8.0, 25 mM EDTA pH 8.0, 0.2% (v/v) SDSおよび0.2 mg/ml プロテイナーゼK)を添加する。プレートを5分間室温(rt)で放置する。プレートの内容物を15 mlの試験管に移し、37℃で3〜5時間インキュベーションを継続し、その間30分ごとに試験管を上下さかさまにして混合する。1.25容量の緩衝化フェノールを加え、約30回試験管をさかさまにして混合する。遠心にかけて層を分離する。水層を新しい試験管に移す。1容量を試験管を30回さかさまにすることによって添加し、次に遠心にかけて層を分離する。水層を新しい試験管に移す。フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール混合物を用いて、そして次にエチルエーテルを用いて同様の抽出を繰り返す。1容量のイソプロピルアルコールを用いてDNAを沈降させる。このDNAをペレット化し、TEに再懸濁し、エタノールを用いて再度沈降させる。こうして得たDNAは上記の連結媒介PCRに用いることができる。
【0081】
6.DNA 塩基配列決定反応
DNA塩基配列決定反応を用いてニッキング活性を検出し、それによって転写活性を検出することができる。DNA塩基配列決定の方法は当技術分野で周知であり、Sangerらの酵素的方法ならびにMaxamおよびGilbertの化学分解法を含む。この2つの方法は共にSambrookらによって記述されている。DNA塩基配列決定およびDNA分析の他の方法も公知であり、本発明に適用することができる。それらの方法には下記の方法が含まれる。その各々を参照により本明細書に組み入れる。
【0082】
米国特許第5,374,527号は、DNAのキャピラリー電気泳動による塩基配列決定における低粘性媒質の使用を開示する。好ましい媒質は、約4〜約7重量パーセントの線状ポリアクリルアミド分子を含有する溶液である。検出は好ましくは蛍光標識の検出によって行われる。
【0083】
米国特許第5,405,746号は、例えばビオチン-アビジン系を用いて、二本鎖DNA分子の一方の鎖の末端を固相支持体に固定するDNAの塩基配列決定法を開示する。この方法においては、まず相補的DNA鎖を分離する。次に、結合していない鎖を除去する。最後に、結合した一本鎖DNA分子上で、蛍光または同位体で標識したSanger法による伸長産物を作製する。固定化一本鎖DNAを調製するための1つの方法は、ビオチン等のオリゴヌクレオチドに結合する手段を有するプライマーを用いたPCR増幅により、Sanger法による伸長産物を作製する前に、固定化一本鎖DNAを直接作製するものである。このビオチニル化DNAを、通常のスラブフォーマット中でアビジン-アガロースゲル上に固定する。放射性標識した反応産物を電気泳動後に検出する。
【0084】
米国特許第5,484,701号は、PCR増幅反応の伸長産物を単離する方法を開示する。この方法においては、PCR増幅手順でビオチニル化プライマーが使用され、ビオチニル化伸長産物が生成される。この反応においては、伸長産物はアビジンまたはストレプトアビジン等のビオチン結合性タンパク質との反応によって固定される。次に、固定化産物は反応液の液相から分離され、固定化複合体はホルムアミドによって変性される。Sanger法による伸長産物はゲル上の放射性標識化産物または蛍光性産物の電気泳動によって配列決定される。
【0085】
米国特許第5,360,523号は、塩基を標識するために赤外または近赤外色素を使用する、通常のゲルスラブを用いるか。またはゲルもしくはバッファーを充填したキャピラリーを用いる電気泳動によるDNA塩基配列決定のための系を開示する。この方法においては、レーザーダイオードを用いて塩基を標識し、励起振動数を与える。検出には自動走査顕微鏡を用いる。
【0086】
A. Woolleyら、「キャピラリー電気泳動チップを用いた超高速DNA塩基配列決定法」、Anal. Chem. 67巻, 3676-3680頁 (1995)は、ガラスチップ上に細かく組み立てたポリマー被覆キャピラリーチャンネルを用いたキャピラリー電気泳動によるDNAの塩基配列決定を開示する。検出はレーザーによって誘導された蛍光により可視波長で行われる。
【0087】
A. Cohenら、「DNA塩基配列決定反応産物のキャピラリーゲル電気泳動による分離および分析」、J. Chromatogr., 516巻, 49-60頁 (1990)は、DNA塩基配列決定反応産物を分離するためのキャピラリーゲル電気泳動の使用を開示する。検出はレーザーによって誘導された蛍光によって行う。
【0088】
Rolfsら、「PCRによって得たゲノムDNAの完全に自動化された、非放射性固相塩基配列決定法」、BioTechniques, 17巻, 782-787頁 (1994)は、蛍光色素標識化プライマーを用いる、精製Sangerジデオキシ塩基配列決定ラダーを調製するため、ビオチン結合DNAをストレプトアビジンで被覆した常磁性粒子と固相状態で結合させることを開示する。
【0089】
Williamsらは、「ジデオキシ標識化、重原子改変近赤外蛍光色素を用いた単レーン、単蛍光塩基配列決定法」、SPIE, 2386巻, 55-65頁は、DNA塩基配列決定におけるポリマー被覆シリカキャピラリーを用いたキャピラリーゲル電気泳動の使用を開示する。検出は近赤外蛍光によって行われる。異なるddNTP を同一色素で、モル濃度を4:2:1:0の比に変えて標識する。次に、蛍光強度測定によってこれらの塩基を相互に区別する。類似した吸収および発光スペクトルを有するが蛍光寿命が異なる特定の重原子改変近赤外色素の蛍光寿命を測定することによる塩基コーリング(base-calling)の別の方法も開示されている。
【0090】
これらの参照文献に記述されているDNA塩基配列決定法は、DNAニッキング活性の検出および転写の分析に用いることができる。
【0091】
7.鎖開裂への過敏性
DNAにランダムな一本鎖切断を生成する種々の方法のうち任意のものを用いて転写因子の作用によって生じたニックの存在を示すことも可能である。そのような方法は、例えば、DNAに結合するタンパク質のフットプリント法に用いられている。これらの方法は転写因子によって誘導されるニッキングに必ずしも多くを加えないが、これらの方法はDNA鋳型の状態を見るように適切に設計されており、そして開裂試薬によって作られたDNAラダーに沿った特異的ニッキングを示すことができる。そのような試薬の1つは、Mg2+の存在下で各鎖上でDNAをランダムに切断するDNase Iである。DNA結合タンパク質がDNA鋳型に結合する場合に生じるフットプリント(footprint足跡)は、DNase Iによる切断を妨げる。興味深いことに、まだ説明されていない理由により、時々過敏性部位が保護されたフットプリント領域の境界内部または境界のすぐ外に見いだされた。もしDNAに結合した転写因子が活性な形であれば、該転写因子は共通DNA結合配列中に(または、制限酵素もまたそうであるように、その外に)存在し得る特定の部位でDNAを切断することができる。これらの過敏性部位のいくつかは、活性化転写因子のニッキング部位であると判明する可能性がある。
【0092】
in vivo状況における遺伝子のプロモーター領域を示すための1つの初期技法は、DNaseによる二本鎖開裂へのこれらの領域の感受性であった。DNaseによる開裂はDNAに沿ってかなりランダムなものであるが、すでにニックが入っている領域はDNaseによってさらにニッキングされたならば完全に開裂され、活性な遺伝子の上流での鎖開裂に対するDNase感受性という観察された現象をもたらすであろう。
【0093】
IV. 転写活性を検出するためのチップ技術の使用
DNAニッキング活性を分析する上述の方法をチップ技術に応用し、それと一緒に用いることが可能である。
いずれの身体組織に由来する細胞も、またはいずれの生物の組織も、チップ技術を用いて転写活性について評価することができる。細胞は正常な細胞であっても、癌を含む疾患組織に由来する異常な細胞であってもよく、または薬物治療の前もしくは後の細胞であってもよい。細胞は、昆虫、植物、動物、ヒト、藻類、酵母および真菌を含む任意の生物から単離することができる。核内に存在する代表的な転写因子を含有する細胞核のタンパク質抽出物は、上記のように調製される。
【0094】
A.DNAチップ
転写因子のための可能性のあるDNA結合部位をそれぞれ含有する二本鎖DNAオリゴヌクレオチドの集団を含有する「DNAチップ」はチップ上の分かっている位置に結合している。そのようなチップは、参照により本明細書に組み入れる米国特許第5,837,832号に記述されている。本発明のためのチップは、転写因子によって結合部位と認識されるユニークな配列モチーフを含有する相補的配列からなる二本鎖DNAに有用である。転写因子を含有するタンパク質抽出物を、DNA結合およびDNA鎖開裂すなわちニッキングの両方を可能とする条件下で、DNAチップと共にインキュベートする。本発明のマトリックススクリーニング技法においては、転写因子と特異的に結合可能なDNA共通配列を含有する二本鎖DNAオリゴヌクレオチドがマトリックスに固定される。このマトリックスは、転写因子を含有する任意の溶液中で開裂(ニッキング)される特異的オリゴヌクレオチド配列を同定するための支持体として使用される。
【0095】
本発明の「DNAチップ」スクリーニング法においては、転写活性をアッセイするために、DNA共通配列を含有するDNAチップを任意の特定細胞型の代表的転写因子を含有する可溶性細胞抽出物と共にインキュベートすればよい。このアッセイは、プロモーター領域または遺伝子内部もしくは遺伝子周辺の他の場所由来の1以上のDNA認識配列を含有する任意のDNA鎖を、転写因子の作用によって誘導されるニックの存在について評価する場合に用いることができる。この方法は、どのセットの転写因子および転写因子結合部位が遺伝子転写を増大させるのに機能するかを測定する手段として用いることができる。
【0096】
上記方法は自動化された高スループット転写因子スクリーニングに特に適している。好ましい実施形態においては、個々のサンプルインキュベーション量は約500μl以下、好ましくは約250μl以下、さらに好ましくは約100μl以下である。このように小さいサンプル量は、しばしば少量しかない候補作用物質、高価な転写複合体成分の使用、および危険な放射性廃棄物を最小限にする。
【0097】
適切なDNAチップを作製するために種々の方法を用いることができる。例えば、ガラス製スライドを固相支持体として用いることができる。この場合は、スライドを洗浄してポリリシンで被覆し、そして二本鎖DNAをスライド上にアレイを形成するように点在させる。または、Affymetrix, Inc.によって開発されたVLSIPS技術を米国特許第5,861,242号および第5,945,384号(これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れる)等の多数の特許に記述されているように用いることができる。VLSIPS法においては、マスクを通して光が照射され、固相支持体の表面で光によって除去される保護基によって保護されている官能基(オリゴヌクレオチドにとっては典型的には-OH)が活性化される。光活性化後、それ自体光によって除去される保護基によって保護されている(5'-OHで)ヌクレオチドビルディングブロックが該支持体の活性化領域に結合される。異なるマスクまたはマスクの向き、およびビルディングブロックを用いて上記プロセスを反復し、多数の異なる一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの非常に高密度のアレイを作製することが可能である。そして、相補的DNA鎖が、固定された一本鎖DNAにハイブリダイズして二本鎖DNAが得られるはずである。
【0098】
ペプチド、ポリカルバメート、およびオリゴヌクレオチドアレイのコンビナトリアルケミストリー合成のための新しい方法が最近報告された(Fodorら, 1991, Science 251:767-773; Choら, 1993, Science 261:1303-1305;およびSouthernら, 1992, Genomics 13:1008-10017参照。これらの各文献は参照により本明細書に組み入れる)。これらのアレイまたは生物学的チップ(参照により本明細書に組み入れるFodorら, 1993, Nature 364:555-556参照)は、高密度で情報に富んだフォーマットにおいて特定の化合物を正確な位置に担持するもので、本出願に利用可能な、生物学的認識プロセスを研究するための強力な道具である。
【0099】
次に、これらの種々の方法のうち任意のものによって作製されたDNAチップを、種々の真核生物の細胞型および組織から広くサンプリングして調製した可溶性転写因子を含有する核抽出物と共にインキュベートする。各々の場合に、ホスファターゼインヒビターを含ませることが抽出物中の転写因子活性レベルを維持するのに重要であり、これは上述のようにリン酸を含有するバッファーを用いることによって供給することができる。活性な転写因子によるDNA鎖の開裂を可能とするために、核抽出物をDNAチップと共に数分〜数時間、30℃〜37℃でインキュベートする。
【0100】
DNAニックの検出は種々の方法によって達成することができる。それらは4つの種類に分類される。すなわち、ニックに結合するタンパク質;検出可能なタグを用いてニックを埋める;ニックの位置で止められた(stalled)酵素を検出する;ニックによって鎖の他の部分から分離されたDNA鎖の一部を変性によって除去する、である。
【0101】
a.ニックに結合するタンパク質(または化学薬品)
多数の異なるタンパク質がニックに結合可能であり、これらをニックの検出に用いることができる。例えば、DNA修復に関与するいくつかのタンパク質はDNA中のニックを認識し、それに結合する。これらのタンパク質(または化学薬品)はそれら自身を検出分子(detector molecule)(例えば、放射性タグ、比色分析用タグ、蛍光またはリン光タグなど)に結合させるか、またはそれらを認識する第2の分子(抗体など)によって検出することができる。結合候補は、真核細胞中のニックを認識する複合体の全部または一部分で、そのような複合体にはX線修復交差相補性グループ1タンパク質(XRCC1)、DNAリガーゼIII、DNAポリメラーゼおよびPARP (ポリADPリボースポリメラーゼ)が含まれる。XRCC1はニックの入ったDNA自体に結合することが示された。これはN末端ドメイン(NTD)によって維持される特性である。したがってXRCC1または XRCC1 NTDは転写因子によって誘導されたニックの検出に用いることができるであろう。
【0102】
PARPはかつて基本転写因子(TFIIC)であると考えられていた。なぜなら、DNA鋳型がニックを含んでいる場合、in vitro転写反応にPARPが必要とされたためであり、またTFIIHは転写をDNA修復に結びつけるものだからである。TFIIHは複数のサブユニットを有し、そしてこれらはどれもそれぞれ適切である。このようなサブユニットには、XPB、XPDおよびp62が含まれる。ニックに対して高い親和性を有することが見いだされた任意のタンパク質、例えば、ヘリカーゼ、トポイソメラーゼ、DNAリガーゼまたはDNAポリメラーゼ、等を用いることができる。可能性としては、一本鎖DNAに結合性のタンパク質もまた選択的にニックに結合することができる。そのようなタンパク質は真核生物、原核生物、およびそれらのウイルスまたはバクテリオファージからそれぞれ得ることができる。大腸菌由来のHUタンパク質は、1つのニックを含有する30merの二本鎖(duplex)DNAに対して8nMというKD値を有する。したがって、これも転写因子に誘導されたニックの検出タンパク質として用いることができる。
【0103】
DNAチップ上の1つのスポットにおけるニック結合タンパク質の存在は、種々の方法で検出することができる。上記タンパク質自体を放射性タグ、比色分析用タグ、蛍光またはリン光タグで標識することができる。また、上記タンパク質はそれに特異的な抗体、または該ニック検出タンパク質に含まれるように遺伝子工学的に操作したタグに特異的な抗体などの二次タンパク質によって検出することもできる。上記抗体は放射性タグ、比色分析用タグ、蛍光またはリン光タグを含有することができる。または、一次抗体を認識する二次抗体がそれらのタグをもつことができるであろう。
b.検出可能なタグを用いてニックを埋める
上記のタンパク質のうちいくつかはニックの入ったDNAを修復する酵素活性を有する。例えば、PARPは、ATPの末端リン酸を挿入してホスホジエステル主鎖を再連結することによってDNAのニックを修復する。放射性同位体のタグを付けることによって、または他の何らかの化学的修飾によって、挿入されたリン酸を検出可能となるように標識することができる。同様に、ニックはTFIIH、DNAポリメラーゼまたはDNAリガーゼによっても修復されうる。そして各場合において、修復反応は本発明のアッセイにおいて陽性シグナルとして検出されうるタグを付した分子を挿入することができる。
【0104】
反応中間体もまたニックを標識するために用いることができる。例えば、ニックの入ったDNAおよびATPの存在下でインキュベートしたDNAリガーゼは0℃でDNA-AMP複合体を形成し、これはpH 7.0よりもpH 6.5でより安定であることが観察される。次に、AMP上の標識された基を用いてニックの存在をスコアリングすることができる。
【0105】
c.ニックの位置で停止した酵素を検出する
DNAに沿って前進する酵素は通常はニックが入って鎖が切れているところで停止する。これを用いてニック自体を検出することができる。例えば、DNAポリメラーゼはDNA合成の際、ニックの位置で停止する。なぜなら、DNAポリメラーゼはホスホジエステル主鎖の切れ目を渡ることができないからである。第2の検出分子によってこの酵素の存在を検出することができるであろう。停止した酵素のみが鋳型に結合して残る条件、例えば、停止した酵素は結合したままでいられるが、停止していない酵素は解離してしまうだけの高いイオン強度などが使用できる。検出DNAチップ用の洗浄液中の滴定された成分が、競合的DNAであってもよく、それによって、停止した酵素は鋳型に結合したままであるが、他方、他の酵素はおそらく競合的DNAに結合するようになり、したがって他の酵素は洗い流されてしまい、その結果、停止した酵素の検出が可能となる。
【0106】
d.ニックによって作られた結合していないDNA断片の鎖分離
転写因子結合部位を含有する二本鎖DNA断片の少なくとも一本の鎖がDNAチップの固相支持体に結合されたならば、該鎖にニッキングが起こった後でも該鎖の一部はそこに結合したままであろう。これにより、もはや固相マトリックスには結合していない、ニックの反対側の鎖に結合した検出分子を切り離す機会が生まれる。加熱または他の変性方法を用いて上記二本鎖DNAの二本の鎖を分離し、それによって該断片を洗い流すことができる。さらに、ニックの入っていない鎖も固相に結合した場合は、ニックの入った鎖由来の遊離断片をいったん洗い流してから、第2の標識化プローブを用いて塩基対を形成していない鎖を検出し、それによってニックの入った鎖を検出することができる。
【0107】
B.ロボット装置
本発明の方法は自動化、特にコンピュータ化による自動化に非常に適している。したがって、コンピュータによって制御された電気機械ロボットが本発明の方法のステップを実施することが好ましい。各ステップは別々に自動化することができるが、好ましい実施形態は、混合物形成、インキュベーションおよび分離ステップを行う複数のワークステーションを軸方向に回転しながら行ったり来たりする1本のアームを持った、1つのコンピュータに制御される多機能ロボットを提供する。該コンピュータには、アームおよびワークステーションの操作を指示する命令を提供し、またオペレーター用インターフェースとして入力手段(例えば、キーボードおよび/またはマウス)およびディスプレイ手段(例えば、モニター)を提供するソフトウエアが搭載されている。
【0108】
特定の実施形態においては、上記ロボットステーションは軸方向に配置されたワークステーションを有するロボットアームを含んでなる。ワークステーションには、稼動中供給源プレートステーション、稼動中ピペットチップステーション、稼動中アッセイプレートステーション、液体分注ステーション、洗浄ステーション、複数チャネルピペッターステーション、シェーカーステーション、冷却ステーション、およびピペットチップ貯蔵ステーションが含まれる。本発明の1つのフォーマットにおいては、上記アームはマイクロタイタープレートまたは生物学的チップを取ってきて、液体分注ステーションに運ぶ。ここでは、インキュベーションバッファーおよび1以上の候補作用物質を含む溶液の計量されたアリコートがそれぞれ定められたウエルに分注される。次に、アームは標識化転写因子タンパク質を含む溶液の計量されたアリコートを取って運び、これを指定されたウエルに加える。第1のインキュベーション時間の後、液体分注ステーションは各指定されたウエルに核酸溶液の計量されたアリコートを加える。第1および/またはそれに続く第2のインキュベーションは場合により、アームがプレートをシェーカーステーションに運んだ後で行ってもよい。第2のインキュベーション時間の後、アームはマイクロタイタープレートを洗浄ステーションに運び、ここで各ウエルの非結合内容物を吸い出し、次にそれらのウエルに洗浄バッファーを満たしてこれを吸い出すことを繰り返す。結合標識が放射性リンである場合、アームはプレートを取ってきて、これを液体分注ステーションに運び、ここでシンチレーションカクテルの計量されたアリコートが各指定されたウエルに加えられる。その後、各指定されたウエル中に保持された標識の量が定量される。
【0109】
オリゴヌクレオチドプローブのアレイを含有するDNAチップを用いて、タンパク質抽出物がDNAニッキング活性を有するかどうかを決定することができる。プローブのアレイは、基準配列に厳密に相補的なプローブおよび該厳密に相補的なプローブと1個以上の塩基が異なっているプローブを含む。
【0110】
C.転写因子のデータベース
本発明はさらに、任意の細胞型において、および条件または処理の任意の組み合わせに対応した、DNAにニックを入れる活性を有する転写因子のデータベースを指向している。このデータベースは、特定の細胞においてどの遺伝子が活性に転写されるかを、それらの遺伝子の転写を制御する領域のDNA配列情報に基づいて予測するのに用いることができる。本発明においては、このデータベースは特定の細胞型において効率的な発現が可能な発現ベクターを設計し、構築し、利用するために用いることができる。本発明の1つのフォーマットにおいては、有用なデータベース記載事項は、ある転写因子(例えば、"X")が特定の細胞型(例えば、繊維芽細胞)のDNA結合部位にニックを入れることが明らかになったこと、そしてその転写因子が結合してニックを入れるDNA配列を特徴づけることができたことであるだろう。
【0111】
IV.DNAニッキング活性共通配列
いくつかの方法のうち1つを用いて、どのDNAオリゴヌクレオチドが開裂されているのかを決定することができる。例えば、TFIIHまたは一本鎖DNA結合タンパク質などの種々のタンパク質または他の分子がDNAのニックに優先的に結合することが知られている。これらのタンパク質は検出を容易にするために蛍光によりタグを付けるか、または他の標識をすることができる。次に、そのチップを「読んで」、どのDNA配列が活性な転写因子によって特異的にニッキングされたかを決定する。各転写因子は特定のDNA共通配列のみに選択的に結合するため、開裂されてチップに結合したDNAオリゴヌクレオチドの配列と、そのような共通配列に結合することが知られている、潜在的転写因子との間の推測がなされる。現在DNAチップは、DNA鎖間のハイブリダイゼーションに基づいて、RNA転写産物の存在を確認するために、またはDNA塩基配列を決定する手段として用いられている。ここでDNAチップは、活性状態の、ただちに転写を触媒できる転写因子のセットを、任意の生物に由来する任意の特定の細胞型において評価することに、全く新しい目的を見いだすのである。
【0112】
任意の遺伝子の任意の完全なプロモーター領域、または転写因子の結合部位を含有する任意の領域を評価して、転写因子がいつ転写を触媒する活性を発揮するかを決定することができる。より長い、完全な連続したDNA鎖の使用によって、特定の遺伝子を活性化するためにどの転写因子が働いているかを評価することができる。1または2個の転写因子結合部位を有するだけの長さのオリゴヌクレオチドと異なり、より長いDNA鎖は結合する転写因子の数をより多くすることができる。また数個の転写因子の相互作用が協同して遺伝子上にニックを形成し、転写を触媒しうる。この場合は、上述のS1ヌクレアーゼ、プライマー伸長反応、PCRまたはDNAシークエンシング反応を含む、より従来的なニックの検出法を用いることができるであろう。
【0113】
V.転写活性をモジュレートする方法
いくつかの転写因子は、DNAニッキング活性を示すためには特定のアミノ酸がリン酸化されなければならない。これらの転写因子については、リン酸化される可能性のあるアミノ酸を酸性残基(アスパラギン酸またはグルタミン酸など)と置換することによって、リン酸化が起こらない場合でもそれら転写因子がDNAを活性にニッキングすることができるようになる。逆に、アラニン等のリン酸化されえないアミノ酸と置換することによって転写因子は不活性化するであろう。
【0114】
シグナル伝達に応答してリン酸化される転写因子内のアミノ酸部位は、転写活性およびそれに関連するDNAニッキング活性を制御するための候補部位である。転写因子がすでにクローン化されているならば、転写因子の活性化をもたらす特定のシグナル伝達経路を刺激しながら、生きている細胞を32P(無機リン酸)と共にインキュベートすることによってこれらの部位をマッピングすることが可能である。上記転写因子は、それが活性化されるためにはリン酸化される必要があり得るアミノ酸(Ser、Thr、Tyr)に32Pを取り込むであろう。リン酸化されたアミノ酸の位置は、通常、薄層クロマトグラフィープレートまたはHPLCカラムで分離されるトリプシン(または他のプロテアーゼ)による断片の32P標識化アミノ酸をマッピングすることによって決定することができる。
【0115】
シグナル伝達に応答してリン酸化されるアミノ酸は、転写活性化を制御する、およびすなわちDNAニッキング活性を制御する候補因子である。酸性残基(AspまたはGlu)をリン酸化されるアミノ酸基質と置換するように、遺伝子工学的に作製する。このように改変した転写因子をDNAニッキング能力について試験する。このように遺伝子操作した転写因子を過剰発現させることにより、有用な分子生物学試薬の完全に新しいセットを提供し、DNA配列によって決定される正確な位置にDNAの一本鎖開裂をもたらすことのできる、現在DNAの両方の鎖を切断するために用いられている制限酵素に良く似た酵素を創出できるであろう。
【0116】
VI.キット
本発明はまた、活性化転写因子のスクリーニングを実施するのに有用なキットを提供する。抽出物、細胞または組織中の転写活性のレベルをアッセイするのに有用なキットもまた提供される。本発明のキットは、DNAニッキング活性を検出することによって転写をスクリーニングし、測定する標準化された方法を実施するために用いられる標準化された試薬を含む。キットは、とりわけ、転写アッセイを実施するための容器またはマトリックス、転写因子結合または開裂のためのDNA鋳型、DNA結合および開裂のための適切なバッファー、DNA分子中のニックを検出するのに有用な試薬、および使用説明書を含む。
【0117】
VII. 生物学的スイッチおよび論理的なオペレーター
転写活性の手がかりとしてのニッキング活性の同定を、生物学的スイッチとして用いることが可能である。本発明の転写因子と電子トランジッターの間に類似性を見いだすことができる。トランジッターとは回路内の電子の流れを制御する電子スイッチである。同様に、本発明のこれらの転写因子は遺伝子の発現をもたらす酵素(例えば、RNAポリメラーゼ)の流れを制御する「遺伝子トランジッター」として機能する。したがって本発明は、このクラスの転写因子およびそれらのDNA共通配列を、天然に構築されかまたは人為的構築体の形でのスイッチ機構として、任意に使用することを包含する。DNAにニックが入っているか、または入っていないという2通りの状態が存在し、これがコンピュータ論理の初期エレメントを生ずる。スイッチがオンがオフかという定義は、DNAに沿った分子の流れの状態によって決定することができる。もしRNAポリメラーゼ、別のGTF、またはDNA鎖を下っていくことができる任意の進行性の分子がニックからDNAにアクセスできる場合は、ニックは「オン」の位置にあるものとする。スイッチがオフになるように、DNA修復酵素がニックの入ったDNAを再び目張りするように作製して、それによりスイッチがオフになるようにすることができる。
【0118】
後続のニックを入れられ得る領域を第1のニックの下流に置けば、鎖を下っていくポリメラーゼの移動の障壁となり得るものを提示できる。直列に配置した2個のスイッチと同様、この生物学的な論理ゲートの状態は、DNAが両方の位置にニックが入っているかどうかによって決まる。ポリメラーゼのエントリーを可能とするにはそのうちの一方の位置はニッキングされる必要があるが、下流部位のニッキングはポリメラーゼに対して障壁を形成する可能性がある。この場合、「オン」と「オフ」の定義は変わり、その結果、第2の下流部位は全体がオンであるように保持されなければならず、そしてニックによってオフになる。転写因子結合部位はDNA鎖上に隣接配置することによって論理的集合体として配置することができる。このような集合体はコンピュータとして、または他のナノマシン(nanomachine)として用いることができる。
【0119】
VII. 関連先行技術
上に論じた先行技術参考文献に加えて、関連する特許、特許出願および刊行物は以下のものを含む(その各々は参照により本明細書に組み入れる)。すなわち、米国特許第5,143,854号;WO90/15070; WO92/10092; Hoeffler, W.K., Kovelman, R., およびRoeder, R.G. (1988),「アデノウイルスE1Aタンパク質による転写因子IIICの活性化」, Cell 41, 955-963; Hoeffler, W.K., Levinson, A.D.およびBauer, E.A. (1994),「N末端ドメインにおける荷電残基の置換によるcJun転写因子の活性化」, Nucl. Acids Res. 22, 1305-1312; Marintchev, A., Mullen, M.A., Maciejewski, M.W., Pan, B., Gryk, M.R.およびMullen, G.P. (1999), 「一本鎖切断修復タンパク質XRCC1 N末端ドメインの溶液構造」, Nat Struct Biol 6(9), 884-893である。
【0120】
本発明を十分に説明したので、当業者には添付の請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく多くの変更および改変をなし得ることが明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
本発明は図面を参照するとより一層理解されるであろう。
【図1】 図1Aおよび1Bは、核抽出物中のTFIIICについて実施した放射性標識化ゲルシフト実験のオートラジオグラフを示す写真である。
【図2】 図2Aおよび2Bは、TFIIICの放射性標識化ゲルシフトのオートラジオグラフを示す写真である。
【図3】 放射性標識化ゲルシフト実験のオートラジオグラフを示す写真である。
【図4】 図4AはC-Jun/BPV-E2融合タンパク質を示す図である。図4Bは、ゲルシフトアッセイによるC-Jun/BPV-E2融合タンパク質のDNAとの結合に対する有効性を示す。図4Cは、C-Jun/BPV-E2融合タンパク質の相対転写活性を示す。
【図5】 図5Aおよび5Bは、ゲルシフト実験より抽出後の、放射性標識化二本鎖DNAオリゴヌクレオチドのオートラジオグラフを示す写真である。

Claims (11)

  1. 真核生物ニッキング転写因子活性の検出方法であって、以下のステップ:
    a)少なくとも1つの転写因子結合領域を含むDNA鋳型を用意すること、
    b)該DNA鋳型を少なくとも1つの真核生物ニッキング転写因子と接触させること、および
    c)該真核生物ニッキング転写因子結合領域での、またはその近傍での、該DNA鋳型におけるニックの存在または不存在を検出すること、
    を含んでなり、その際、該DNA鋳型におけるニックの存在はニッキング転写因子活性を示すものである、該方法。
  2. 前記転写因子が核性細胞抽出物中に存在する、請求項1に記載の方法。
  3. 以下のステップ:
    a)DNA鋳型を単離すること、および
    b)該DNA鋳型をウイルスまたはプラスミドベクターに挿入し、そして該鋳型を細胞に導入すること、
    をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
  4. 前記DNA鋳型をマトリックスに固定するステップをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記マトリックスが生物学的チップである、請求項4に記載の方法。
  6. DNA鋳型におけるニックの存在または不存在が、電気泳動ゲル上におけるニックの入ったDNAの電気泳動移動度の変化を測定することによって測定される、請求項1に記載の方法。
  7. DNA鋳型におけるニックの存在または不存在がSIヌクレアーゼアッセイによって測定される、請求項1に記載の方法。
  8. DNA鋳型におけるニックの存在または不存在がプライマー伸長反応によって測定される、請求項1に記載の方法。
  9. DNA鋳型におけるニックの存在または不存在がポリメラーゼ連鎖反応増幅反応によって測定される、請求項1に記載の方法。
  10. DNA鋳型におけるニックの存在または不存在がDNA塩基配列決定アッセイによって測定される、請求項1に記載の方法。
  11. DNA鋳型におけるニックの存在または不存在がタンパク質結合アッセイによって測定される、請求項1に記載の方法。
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