JP2002527080A - 転写因子活性を測定する方法およびその技術的用途 - Google Patents

転写因子活性を測定する方法およびその技術的用途

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Abstract

(57)【要約】 ある種の転写因子(エンハンサー結合タンパク質)は、それらのDNA結合部位の近くで一本鎖DNAにニックを入れることによって遺伝子からの転写速度をかなり増大させ、それによって「スレッディング」というプロセスによりRNAポリメラーゼを転写されるべきDNA鎖に接近させる。DNA鋳型のニッキングは、実用的なアッセイの設計に用いることができる、転写活性化を示す検出可能で定量可能な副産物である。これらのアッセイは、どの転写因子(エンハンサー結合タンパク質)が任意の細胞型において、または任意の細胞において任意の薬物または治療に応答して遺伝子の転写を活発に触媒しているかを決定するために用いられる。このグループの転写因子は、転写活性化に加えて、予測可能な分子生物学的活性、すなわち部位特異的DNA鎖開裂活性を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の属する技術分野 本発明は分子生物学の分野に関する。特に、本発明は転写因子、転写因子活性
を分析する方法、および転写因子活性の分析方法が関連する種々の技術に関する
【0002】発明の背景 DNA技術の急速な進歩はバイオテクノロジーによって大量の新規製品や療法を
作り出したが、遺伝子発現を制御する分野には生物学的な系を操作する能力に最
大の欠陥がある。特に、ヒトおよび他の幾つかの種において殆ど全ての遺伝子コ
ード領域を理解しマッピングしたにもかかわらず、我々は遺伝子の上流に位置す
るプロモーターと呼ばれるDNA配列を「解読」することができない。エンハンサ
ー結合タンパク質(以後、転写因子と呼ぶ)は、これらの領域に結合する。典型
的には12個以上の異なる転写因子が各遺伝子プロモーターの全てに結合する。こ
れらの因子が共同してどのように働いて遺伝子発現をかくも精密に制御するのか
は解明されていない。
【0003】 生きている細胞中に、任意の特定の時間に及び任意の処置(薬物を含む)に応
答して存在する遺伝子特異的転写因子の評価に基づいて、或る遺伝子がいつオン
またはオフになるのかについて予測できるかどうかは危ぶまれている。また、遺
伝子発現を変更する、または各転写因子結合部位から開始するプロモーターを作
製する能力もまた大幅に損なわれている。なぜなら、これらの因子が何をしてい
るのかを[読む」ことができないからである。
【0004】 現在、個々の転写因子が多数同定され、かつ幾つかの場合にはそれらがクロー
ン化されて正確なアミノ酸配列が分かっているにもかかわらず、これらの因子が
どのように助け合って転写を触媒するのかは分かっていない。現在の考え方は、
ヒストンアセチラーゼまたはデアセチラーゼ活性を有する転写因子によって介在
されるクロマチン構造の変更に向かっているが、真核生物遺伝子の上流に位置す
る転写因子の殆どはこれらの活性をもたない。
【0005】 転写分野における過去の研究の多くは所謂「基本転写因子」(GTF)、すなわち
全てのプロモーターによって遺伝子転写を達成するために必要とされる因子に焦
点をあてていた(例えば、Roeder, Sharp, TjianおよびReinbergの研究を参照さ
れたい)。転写速度を制御する上流結合性転写因子は、基本転写複合体の構成要
素と相互作用すると推定されてきた。優勢なモデルにおいては、おそらく介在す
るDNAをループアウトする(looping out)ことによって、これら上流転写因子とGT
Fとの直接相互作用が起こるとされている。しかし、このモデルが優勢であった
過去10年間、これは上流因子の役割をそれ以上解明する助けにはならなかった
【0006】 原核生物(すなわち細菌)は真核生物転写のモデルとして役立ってきた。そし
て、同一セットの転写工程が両方の系に関与しているらしいと推定されている。
しかし、真核生物はより複雑なパターンで調節されるより多くの遺伝子を有して
いる。したがって特定のさらなるレベルでの遺伝子調節を要する可能性がある。
特に真核生物は転写開始部位から1000塩基対以上離れた遠位から発現を促進する
転写因子を採用している。原核生物はこのクラスの転写因子をもたず、そのため
それらは真核生物がいかに転写を調節するかを理解するための信頼できるモデル
を提供しない。
【0007】 したがって転写調節の分子的作用機構を同定し、特徴づけることによって転写
因子がいかに作用するかを説明する必要がある。一旦この作用機構が決定された
ならば、転写因子を同定し、検出するための多くのアッセイのうち任意のものが
開発できる。遺伝子工学および遺伝子療法技術における多数の障害を克服するに
は遺伝子の転写を操作する能力が必要であり、またその能力は幾つかのヒト疾患
を治療するのに必要とされるであろう。
【0008】発明の概要 本発明は、特定の転写因子は遺伝子鋳型のDNA鎖の一本(および特別な場合に
は両方の鎖)に一本鎖ニックを作ることによって転写を触媒するという発見に関
連している。本発明は、転写因子活性をアッセイするためにニックの入ったDNA
鋳型またはDNAニッキング(nicking)活性を検出するための任意の手段の使用に関
する。本発明はさらに、DNAニッキング活性をアッセイすることにより転写因子
を同定する方法に関する。本発明はさらにDNAニッキング活性に関連するコンセ
ンサス配列を同定する方法に関する。さらに、本発明はDNAニッキング活性に関
与する転写因子のタンパク質ドメインおよびそれをコードするDNA配列に関する
。本発明はまた本発明の方法によって同定される新規な転写因子に関する。
【0009】 本発明はまた、転写因子(エンハンサー結合タンパク質)が遺伝子転写を活性
的に触媒するかどうかを決定するための、1以上の転写因子の結合に応答するDN
Aの鎖破損(ニッキング)を検出するアッセイの使用に関する。これらのアッセ
イはあらゆる細胞型について、または任意の薬物、治療剤もしくは治療に応答す
るあらゆる細胞もしくは組織を用いて実施することができる。DNAニッキングア
ッセイは、ゲル電気泳動アッセイ、SIヌクレアーゼアッセイ、プライマー伸長反
応、ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ、タンパク質結合アッセイまたはそれらの任
意の組合せであってよい。ニッキング活性の分析は、転写因子を抽出し、in vit
roで得られた鋳型上でそれらの活性を評価することによって実施することができ
る。または、内在性DNA鋳型を抽出し、PCRによって増幅して、転写因子によって
誘導されたニックのin vivoにおける状態を確認することができる。
【0010】 本発明はさらに、転写活性の迅速なスクリーニング及び分析のために、DNAニ
ッキング転写アッセイを「DNAチップ」または任意の固相もしくは液体マトリッ
クスに適合させることに関する。このマトリックススクリーニング技法において
は、転写因子と特異的に結合することができるDNAコンセンサス配列を含有する
二本鎖(ds)DNAオリゴヌクレオチド(またはプロモーターエレメントを含有するd
s DNA断片、すなわち転写因子結合部位)をマトリックスに固定する。このマト
リックスは、転写因子を含有する任意の溶液中で開裂される(ニックを入れられ
る)特定のオリゴヌクレオチド配列を同定するための支持体として使用される。
【0011】 本発明の「DNAチップ」スクリーニング法においては、転写活性をアッセイす
るために、転写因子DNA結合コンセンサス配列を含有するDNAチップを、任意の特
定細胞型の代表的な転写因子を含有する可溶性細胞抽出物と共にインキュベート
することができる。このアッセイは、プロモーター領域に由来する、または遺伝
子の内部もしくは周辺のどこかに由来する1つ以上のDNA認識配列を含有する任
意のDNA鎖を、転写因子の作用によって誘導されたニックの存在に関して評価す
る場合に用いることができる。この方法は、転写因子と転写因子結合部位とのい
ずれのセットが遺伝子転写を増大させるように作用するかを決定する手段として
用いることができる。
【0012】 本発明はさらに、任意の細胞型において、および条件又は処理の任意のセット
に応答して、活性的にDNAにニックを入れる転写因子のデータベースに関する。
このデータベースは、特定の細胞中でどの内因性遺伝子が活性的に転写されるか
を、それらの遺伝子の転写を制御する領域のDNA配列情報に基づいて予測するの
に利用することができる。本発明の1つの実施形態においては、有用なデータベ
ースエントリーは、特定の細胞型のDNA結合部位に転写因子(例えば、"X")がニ
ックを入れるのが見いだされた、というものであろう。例えば、繊維芽細胞を分
析して、転写因子がそこに結合してニックを入れるDNA配列を迅速に特性決定す
ることができる。なぜなら誘導されるニックが容易に検出可能だからである。各
遺伝子を制御する全転写因子結合部位のデータベースを細胞型および条件のデー
タベースと共に用いると、情報の完全な予測能が実現される。
【0013】 本発明はさらに、DNAニッキングアッセイを用いた転写因子およびそのDNA結合
部位の同定方法に関する。本発明においては、特定の細胞型において効率的発現
が可能である発現ベクターを設計し、構築し、そして使用するために上記データ
ベースを利用することができる。転写因子のDNA結合部位が一旦同定されたなら
ば、これを適切な発現ベクター中に遺伝子操作して細胞における遺伝子の高レベ
ル発現を誘導することができる。
【0014】 本発明はさらに、転写因子結合のためのDNAコンセンサス配列に依存する部位
の中および周辺でDNAに一本鎖ニックを作り出すための転写因子の使用に関する
。この使用は制限酵素に類似している。制限酵素は現在、それらの特異的認識配
列の部位の中および周辺でDNA分子の両方の鎖を切断するために使用されている
【0015】 本発明の特有の転写因子のセットは、DNAを特異的に開裂するのに用いること
ができる。これらの因子は分子生物学的操作のための有用な試薬である。
【0016】 本発明はさらに、DNAにニックを入れる転写因子の能力を変更して、より予測
可能な挙動パターンをもたらすための、転写因子の遺伝子操作に関する。本発明
の1つの実施形態において、幾つかの転写因子は、DNAニッキング活性を示すた
めには特定のアミノ酸がリン酸化される必要がある。これらの転写因子について
は、リン酸化される可能性のあるアミノ酸を酸性残基(アスパラギン酸またはグ
ルタミン酸など)と交換または置換(replacement or substitution)すること
は、リン酸化の不存在下においてもそれら転写因子がDNAを活性的にニッキング
することを可能とする。
【0017】 本発明はさらに、遺伝子操作された転写因子のDNAニッキングのための使用に
関する。本発明の遺伝子操作された転写因子は改変されていない転写因子よりも
信頼性が高い。
【0018】 本発明の遺伝子操作された転写因子は分子生物学の試薬としてin vitroで、ま
たは遺伝子発現パターンを変えるための生きている細胞への形質転換、トランス
フェクションもしくは感染によってin vivoで用いることができる。遺伝子操作
された転写因子を含有する細胞系を発現ベクターと共に用いて、種々の治療剤を
生産することができる。また、そのような細胞系は遺伝子治療の用途にも同様に
用いることができる。
【0019】 本発明の遺伝子操作された転写因子は、種々の真核生物宿主中で用いることが
できる。本発明に有用な真核生物としては、真菌、昆虫、酵母、動物および植物
細胞が含まれる。原核生物は正常の又は遺伝子操作された真核生物転写因子の発
現に使用されるが、それらはニックを誘導する転写因子のクラスに対して一般に
応答性であるとは考えられない。
【0020】 本発明はさらに、転写されたDNA鎖上へとポリメラーゼを「スレッディングす
る(threading)」プロセスによりRNAポリメラーゼを該転写DNA鎖へ接近可能にす
るための、DNA鋳型ニッキング転写因子の広範な使用に関する。非特異的転写ア
ッセイにおいては、真核生物のRNAポリメラーゼは、遊離のDNA末端を提供されな
い限り効率的な転写が不可能であるということが周知である。現行のモデルは、
GTFが全面的に遊離末端の代用となる、というものである。対照的に、本発明に
おいては、真核生物遺伝子調節の制御において遊離のDNA末端は決定的に重要で
ある。本発明において、DNA鎖へのポリメラーゼのスレッディングは、アッセイ
の終点として用いられる。RNAポリメラーゼの一本鎖ニックを経由したDNA鋳型へ
のエントリー(RNAポリメラーゼのTATAボックス認識、または転写エレメントの
他の開始もしくはRNA転写産物の実際の開始、などの測定可能な下流事象を含む
)を測定するアッセイは、本発明の範囲内にある。
【0021】 遊離のDNA末端の提示もまた、本発明により提案される作用機構の一部である
。この作用機構においては、転写因子はDNA鋳型をニッキングするだけでなく、D
NAとの結合を維持して遊離のDNA末端をRNAポリメラーゼに提示する。このような
作用機構は、転写を促進する多数の転写因子の一次特性が酸性領域(いわゆる酸
ブロブ(blob))の存在である理由を説明するであろう。ニッキングされた末端の
5'リン酸上の陽性電荷は転写因子の陽性電荷によって撃退(repulse)され、遊
離末端の逸れ(deflection)をもたらし、おそらくRNAポリメラーゼにとって該末
端を一層接近可能なものとする。
【0022】 本発明においては、転写因子によるDNA二重らせんの一本の鎖の一本鎖開裂は
、RNAポリメラーゼおよび関連因子の接近を可能とし、そして「オン」状態を作
り出す。対照的に、ニッキング事象の前にはRNAポリメラーゼはDNA鎖に入ること
ができず、「オフ」状態である。したがって、本発明の転写因子は遺伝子のオン
とオフの切り換えに関与する「遺伝子トランジッター(transitor)」として用い
ることができる。論理演算に使用するために遺伝子トランジッターのアレイを作
製するための転写因子DNA結合部位の遺伝子操作もまた、本発明の範囲内にある
【0023】発明の詳細な説明 I.定義 本発明の完全な理解を確実にするために、以下の定義を提供する: 転写因子:転写因子とは、第2メッセンジャー経路を、細胞外刺激に対する一
連の細胞応答を可能とする遺伝子発現経路に連結するエフェクター分子である。
代表的な転写因子配列は、例えば、GenBankおよびIncyte Pharmaceuticals等に
よって作製された公的および私的なデータベースで利用可能である。転写因子と
しては、限定するものではないが、真核生物遺伝子の転写開始に先立つRNAポリ
メラーゼ認識に必要とされるタンパク質が含まれる。組換え転写因子は、転写因
子遺伝子配列または転写因子活性(例えば、DNAニッキング、DNA結合、もしくは
転写モジュレート活性)を示すその任意の部分配列を含む組換えDNAによってコ
ードされる転写因子でありうる。
【0024】 DNA鋳型:DNA鋳型とは、1つ以上の転写因子のための直接または間接相互作用
部位を含むDNA配列をいう。このDNA配列は天然に存在する配列であっても、また
は組換えDNA配列、すなわちin vitroもしくはin vivoにおける生化学的操作もし
くは遺伝子操作の産物であってもよい。細胞から単離されたDNA、クローン化さ
れたDNA配列を含有するプラスミド、およびオリゴヌクレオチドは全てDNA鋳型の
例である。
【0025】 接触させる:接触させるとは、例えば2種類の化合物を細胞に導入するために
、添加する、混合する、上に流す、共にインキュベートする、または、共トラン
スフェクションすることを意味する。この用語は、接触させるべき2種類以上の
化合物をin vitroまたはin vivoで共発現させることができるということも考慮
している。
【0026】 チップ:チップまたは本明細書に用いる「生物学的チップ」という用語は、表
面に1つ以上のDNA、RNAまたはタンパク質(ペプチド)鋳型を結合させた固相基
質、例えば、シリコン又はガラスなどをいう。当業者は、生物学的「チップアッ
セイ」が1つの装置またはアッセイ中にチップアレイまたは複数の生物学的チッ
プの使用を含みうることを理解するであろう。
【0027】 検出試薬:「検出試薬」とは、例えば、DNA中のニックに直接的または間接的
に結合することによって、ニックが入ったDNA鎖の存在または不存在を同定する
ことができる化合物である。検出試薬の例としては、限定するものではないが、
DNA中のニックに選択的に結合するタンパク質、例えば、X線修復交差相補グル
ープ1タンパク質(XRCC1)などが含まれる。また、ニックの入ったDNAに選択的に
結合するタンパク質に結合する抗体もまた上記の例に含まれる。
【0028】 検出可能な標識:検出可能な標識とは、例えば、化学的、生化学的、光化学的
または分光測定的手段によって検出および/または測定されることが可能な化合
物である。検出可能な標識の例としては、放射性同位体、酵素、発蛍光団、発色
団、ビオチン結合抗体、化学発光剤、等が含まれる。標識は光学もしくは電子密
度、放射性発光、非放射性エネルギー転移により直接検出することができる。ま
たは、抗体コンジュゲート等を用いて間接的に検出することができる。
【0029】 ニッキング転写因子:ニッキング転写因子とは、二本鎖DNAにおいて一本鎖ニ
ックの形成を触媒する能力を有する本発明の転写因子である。本発明の転写因子
は天然に存在する転写因子であっても、またはin vitroでリン酸化されたニッキ
ング転写因子などの生化学的に改変された転写因子であってもよい。組換えニッ
キング転写因子、例えば、1つ以上のアミノ酸置換を含有するように遺伝子操作
によってin vivoまたはin vitroで改変されたニッキング転写因子もまた上記定
義に含まれる。 ニックが入ったDNA:ニックが入ったDNAとは、DNA配列を構成する種々のヌク
レオチド塩基(アデニン、グアニン、シトシンおよびチミン)を連結しているホ
スホジエステル結合のうち1個以上のものが破壊または切断されたDNAをいう。
【0030】 DNAニッキング活性:DNAニッキング活性とは、DNA配列におけるヌクレオチド
結合の破壊または開裂をいう。DNAニッキング活性は種々の技法によって測定す
ることができる。例えば、(1)ポリアクリルアミドおよびアガロースゲル上にお
けるニックが入ったDNAの電気泳動移動度の変化;(2)ニックの入ったDNAに特異
的に結合するタンパク質を用いたタンパク質結合アッセイによるニックの入った
DNAの測定;(3)DNA鎖に沿って前進する酵素を用いる酵素アッセイであって、ニ
ックという一本鎖開裂がある場合、反応が停止し、開裂の位置を同定することが
できるアッセイ、などである。そのような酵素アッセイの例は、SIヌクレアーゼ
アッセイ、プライマー伸長反応、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅反応およびDNA
塩基配列決定反応である。
【0031】 in vivoおよびin vitroニッキングアッセイ:DNAニッキング活性を検出するた
めに設計された2つのカテゴリーの反応が考えられる。in vivoアッセイにおいて
は、細胞の内因性DNAのニッキングの程度が、DNAに結合したタンパク質のin viv
oフットプリント法に用いられる方法と類似した方法(例えば、ライゲーション
媒介PCR)によって分析される。これらのアッセイは、生きている細胞中におい
て作用を受けているDNAの状態を判定するものである。in vitroアッセイにおい
ては、転写因子をそれらの天然の状態(in vivoにおけるそれらの活性に最も類
似している)で抽出し、そしてDNAとin vitroで反応させ、転写因子の活性状態
をニッキング活性を測定することによって評価する。
【0032】 これらの定義を考慮に入れて、本発明はDNA配列における一本鎖および/もしく
は二本鎖のニックまたは破壊の形成を測定することによって転写活性を分析する
方法および転写因子を同定する方法に関する。
【0033】 II. ニッキング活性の検出 転写因子はDNAに結合するが、転写因子との相互作用によってDNAが変更される
、またはニックを入れられることは知られていない。
【0034】 本発明においては、図1に示すように、TFIIICのDNA結合部位を含有する32P末
端標識化DNA断片を、ヒト繊維芽細胞系(HeLa細胞)の核由来のタンパク質抽出
物と共にインキュベートした。すなわち、129ヌクレオチド末端標識化VA遺伝子
断片を、0.5%または5.0%血清中に維持し、そしてd1312またはAd2に感染させた細
胞から調製した核抽出物と共に、結合反応液中でインキュベートした。293細胞
由来の核抽出物もまた分析した。等しい数の細胞に由来する等容量の抽出物(2μ
l)を標準的結合反応および次に電気泳動を行ってアッセイした。
【0035】 上記タンパク質抽出物は、図に示す2本のバンド(矢印)のうち一方としてDN
Aに結合することが示されているTFIIICを含有している。(TFIIICと複合体を形
成していないDNAはポリアクリルアミドゲル上をより速く移動し、ゲルの下の方
に向かう暗いバンドとして見える。)ポリメラーゼIII遺伝子転写に関して転写
的により活性であることが知られている細胞においては、上方バンド種(upper b
and species)がより多く存在し、他方ポリメラーゼIII転写に関して活性がより
低い細胞においては下方バンド種(lower band species)が多い。本発明以前には
、上記2本のバンドは結合したTFIIICタンパク質の性質においてのみ相互に異な
ると考えられていた。本発明において、本発明者はゲル上の2本のバンドの移動
度の差は、上方バンド種におけるDNA鋳型のニッキングに主として基づくもので
あると結論し、またニッキングは転写を触媒することのできる転写因子(この場
合はTFIIIC)に不可欠であると結論する。
【0036】 第2の実験においては(図2Aおよび2B)、TFIIICのDNA結合部位を含有する3 2 P末端標識化DNA断片をヒト繊維芽細胞系(HeLa細胞)の核由来のタンパク質抽
出物と共にインキュベートし、そしてリン酸セルロースカラム上でクロマトグラ
フィーによりタンパク質を分離した。
【0037】 HeLa細胞核抽出物(標準的5.0%血清中に維持した細胞に由来する)をリン酸セ
ルロースカラム上でのクロマトグラフィーにかけた。0.40〜0.70 M KClの濃度勾
配で溶出した画分を、標識化129ヌクレオチドVA1断片を用いたゲルシフトアッセ
イによって分析し(図2A)、またpVA1を鋳型DNAとしてを用いて、再構成された
in vitro転写反応におけるTFIIIC活性について分析した(図2B)。1.5μlの各ク
ロマトグラフィー画分、および0.5%血清中に維持しd1312に感染させた細胞に由
来する2.5μlの相補性 (complementing)ホスホセルロース0.35 M工程画分(TFII
IBおよび RNAポリメラーゼIIIを含有する)を用いて、2系統のin vitro転写反応
を実施した。各系統の左端のレーンは、TFIIICを添加しない場合には、VA1の転
写が全く観察されないことを示すために、0.35 M工程相補性画分のみを含有する
【0038】 クロマトグラフィーによって2形態のTFIIICの分離が得られた。一方の形態はD
NAプローブと共にインキュベートすると下方バンド種(左の矢印)を形成し、他
方の形態は上方バンド種(右の矢印)として現われる。図2において、パネルB
はin vitro転写反応においてどのタンパク質画分が転写活性を有するかを示す。
上方バンドを有する画分のみが転写活性を有する。本発明以前には、上方および
下方バンドを形成するTFIIICタンパク質がクロマトグラフィーにより分離可能で
あったため、TFIIICタンパク質の相違のみが上方および下方バンド複合体のゲル
中の移動における差異を引きおこすと考えられていた。したがって、TFIIICタン
パク質の絶対サイズまたはその電荷における相違が2つの別個の複合体を作り出
したのである。本発明により、本発明者は上記2つのバンドがDNA鋳型のニッキン
グが原因でゲル中の移動度においても異なると結論する。この実験から、当然の
帰結として、TFIIICの一方の形態のみがDNA鋳型にニックを入れる能力を有し、
したがって転写活性を有するということになる。
【0039】 図3においては、TFIIICのDNA結合部位を含有する32P末端標識化DNA断片を、
前の図について記述したのと同様に誘導した1つのタンパク質画分と共にインキ
ュベートした。すなわち、上方バンド複合体のみを形成するTFIIICを含有するタ
ンパク質画分をDNAプローブのみと共に(レーン1)、または時間(分)を増や
すためにホスファターゼを加えて(レーン2-4)インキュベートした。ホスファ
ターゼ酵素は、TFIIICタンパク質内の特定のアミノ酸上のリン酸を除去すること
ができる。本発明以前には、脱リン酸化形態のTFIIICはリン酸化形態のTFIIICよ
りも小さく(分子量が小さい)、したがってDNA鋳型に対する作用ではなくTFIII
Cのサイズのために、上方バンドは下方バンドに変換されると結論されていた。
本発明により、上方バンド形態にはニックが入っており、したがって脱リン酸化
された転写因子はもはやDNAプローブにニックを入れることができず、下方バン
ドのみが形成されると本発明者は結論する。逆に、転写因子のリン酸化は該因子
が転写において活性であるために、そしてニッキング活性を提供するために必要
である。
【0040】 図4においては、BPV-E2のDNA結合部位を含有する32P末端標識化DNA断片をタ
ンパク質抽出物と共にインキュベートした。このタンパク質抽出物が由来する細
胞は、組換え転写因子を上記DNA配列と特異的に結合できるようにする発現ベク
ターでトランスフェクションされていた。この因子c-Jun/BPV-E2は、BPV-E2転写
因子のC末端部分(ウシパピローマウイルスE2 DNA結合ドメイン)およびc-Junの
N末端部分を含有するハイブリッドタンパク質である。このタンパク質は、シグ
ナル伝達に応答してリン酸化されるアミノ酸Ser73(および Ser63)を含む転写
活性化ドメインを含有する(図4A)。BPV-E2タンパク質のDNA結合部位を含有する
標識化オリゴヌクレオチドを用いてゲルシフトアッセイを実施した。すなわち、
オリゴヌクレオチドをトランスフェクションされていない、または融合タンパク
質を一過性に発現する細胞から調製した全細胞抽出物中でインキュベートした。
C-Junを含有する(レーンWtE2)またはアミノ酸置換体を発現する(レーン73AE2お
よび73DE2)融合タンパク質についてのDNA結合活性の有効性は、アスパラギン酸
置換体の場合に最大であった(レーン73DE2)。
【0041】 BPV-E2のDNA結合部位は試験した細胞内の他のいずれの転写因子によっても認
識されないので、トランスフェクトされた融合タンパク質c-Jun/BPV-E2のみが32 P標識化DNAプローブに結合するだろう(図4B:陰性対照レーン3にはバンドが全
く見られない)。重要なことに、正常なc-Jun N末端を用いて融合タンパク質を
作製した場合(wtE2、レーン2)またはSer73でアラニンを置換したアミノ酸を
作製した場合(73AE2、レーン1、レーンの左側に矢印を付してある)、2本のバ
ンドが見られる。
【0042】 したがって、図1−3においてクラスIII系におけるTFIIICについて2本のバ
ンドが観察された現象が、クラスII系(RNAポリメラーゼII遺伝子転写の触媒作
用を促進する、すなわちメッセンジャーRNAを作る)におけるc-Junの誘導体にも
観察される。上方バンドの形成は、Ser73でアスパラギン酸を置換した場合(73D
E2、レーン4)に見られるように、転写活性の増大に対応する。この場合、上方
バンド形態が優勢であり(右側に矢印で示す)、このことは陰性電荷を有する酸
性アミノ酸の置換は活性な転写因子を作り出す際のリン酸化アミノ酸の陰性電荷
の代用となり得ることを示している。本発明においては、上方および下方のバン
ドは転写因子が活性化されたときのDNAプローブのニッキング(上方バンド)によ
って異なるのだということが理解される。
【0043】 図4CはC-Jun/BPV-E2融合タンパク質の相対転写活性を示す。HeLa、F9、3T3、
およびHepG2細胞を、2μgのCAT(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラ
ーゼ)リポーター遺伝子構築物を単独で用いて、または2μgのC-JunまたはJun/B
PV-E2発現ベクターと共に用いて一過性にトランスフェクションした。C-Jun構築
物の各々による転写活性化を測定するため、E2 DNA結合部位を含有するE2CATも
共トランスフェクションした。CAT発現は、抽出タンパク質1μgあたりのベンゼ
ンで抽出可能な[3H]-モノ-アセチル化クロラムフェニコールの毎分のカウントと
して示される。
【0044】 BPV-E2 DNA結合部位を含有するプロモーターによって駆動されるリポーター遺
伝子構築物の共トランスフェクションを用いて、上記ハイブリッドタンパク質の
転写活性を測定した(図4C)。Ser73へのアラニンの置換(c-Jun73AE2)は野生
型(c-JunwtE2)より転写活性が低かったが、アスパラギン酸の置換(c-Jun73DE2
)は試験した全ての細胞型においてさらに大きい転写活性を有していた。
【0045】 これらの結果は、転写を触媒し、DNAニックを形成する能力が正常な野生型因
子よりも大きい又は小さい、遺伝子操作した転写因子を作製できることを示して
いる。また、融合タンパク質c-Jun/BPV-E2の作出は、種々のDNA結合ドメインを
遺伝子工学的に作製した転写活性化ドメインに結合させて、DNA結合ドメインに
よって決定されるDNA配列内の複数の新しい位置でニックを形成させることがで
きることを例証するものである。
【0046】 図5Aにおいては、公知のDNA結合部位を含まない(レーン1)又はさらに別の転
写因子であるCREB(サイクリックAMP応答エレメント結合タンパク質)の結合部
位を含む(レーン2)32P末端標識化DNA断片を、上記のようにゲルシフト条件下で
HeLa細胞の核から誘導したタンパク質抽出物と共にインキュベートした。非変性
条件下で電気泳動にかけると、CREB結合部位に特有の2本のバンドが観察された
。ゲル中の移動差異によるこれら2本のバンドの分離は、活性および不活性な形
態を示した他の因子で観察された分離よりもはるかに大きかった。したがって、
これらの形態は他の因子の場合のような相互関連をしているのではないかもしれ
ない。転写因子の結合がDNA鋳型にどのように影響を与えるかを確認するため、D
NA-タンパク質複合体をゲルから切り出した。
【0047】 これらのゲル切片を1X TAE (0.04 M Tris-酢酸, 0.001 M EDTA)バッファー中
で100ボルトで1時間電気溶出し、分子量カットオフが12,000-14,000の透析バッ
グ(Spectrum Medical Industries, Los Angeles)中で約200μlの容量とした。溶
出液に0.5% SDSおよび0.1 mg/mlのプロテイナーゼKを含有させ、56℃で15分間
消化した。等容量のフェノール/クロロホルム 1:1混合物を添加し、ボルテック
ス撹拌し、遠心分離にかけて標識化DNAからすべてのタンパク質を抽出した。DNA
鋳型を含有する水層を新しい試験管に移し、3容量のエタノールを添加した。-2
0℃で一晩置き沈殿を形成させ、試験管をドライアイス上に15分間置き、次にエ
ッペンドルフ遠心機で15分間全速(14,000 rpm)で遠心した。上清を捨て、ペレ
ットを乾燥させた。標識化DNAペレットを標準DNAサンプルバッファー(30%グリ
セロール、0.25%ブロモフェノールブルー、0.25%キシレンシアノール)に溶解し
、そして1X TBE (0.09 M Tris-ホウ酸、0.001 M EDTA) 中に作製された15%ポリ
アクリルアミドゲル上で電気泳動した。
【0048】 図5Bは、ゲルシフトバンドから抽出した標識化鋳型DNAを示す。下方バンドか
ら抽出した鋳型はインプット鋳型DNAと同様に2本のバンドを有するが、上方ゲ
ルシフトバンドから抽出した鋳型は3本のバンドを有する、すなわち、さらに1
本バンドが現われる。この新しいバンドは、転写因子を含有する抽出物とインキ
ュベーションした後の鋳型DNAの変化を明らかに示している。この実験操作ではD
NAからあらゆる微量タンパク質が除去された。したがって、新しいバンドはDNA
鋳型自体の変化によってのみ形成されうるものである。ニックの入った鋳型の2
つの特性が、この鋳型をこの図に見られるようによりゆっくりとゲル中を移動さ
せるのであろう。第1に、ホスホジエステル結合の切断は陽性電荷を持った末端
リン酸を残す。ここで用いたオリゴヌクレオチドは短く、約21塩基対の2本鎖DNA
であった。上記の付加的陽性電荷は、この断片がゲルタンクの底部バッファーチ
ェンバー内の電極の陽性電荷に向かって移動する速度をより小さくするであろう
。第2に、ニックの入ったDNAは、ニックの位置でDNAが曲がるように変更された
コンホメーションを有する。この形状の変化は、ゲル中でのDNAの移動度を変化
させるであろう。転写因子と結合した後のDNA鋳型の変化は、鋳型のニッキング
と一致している。
【0049】 これらの結果に基づくならば、転写活性はアッセイの宿主におけるニッキング
活性を測定することによって測定可能であることが明らかである。
【0050】 III. 転写活性を検出する一般的な方法 DNAニッキング活性は以下の技法を含む様々な技法によって測定することがで
きる。すなわち、(1)ニックの入ったDNAのポリアクリルアミドおよびアガロース
ゲル上での電気泳動移動度の変化を測定するための電気泳動アッセイ;(2)タン
パク質結合アッセイによるニックの入ったDNAの測定;(3) SIヌクレアーゼアッ
セイ;(4)プライマー伸長アッセイ;(5)PCR増幅反応;(6)DNA塩基配列決定反応
;および(7)鎖開裂に対する高感受性である。
【0051】 DNAニッキングアッセイのいくつかにおいては、反応を実施するためにオリゴ
ヌクレオチドプライマーが必要とされる。一般に、本発明のオリゴヌクレオチド
の設計および合成は従来の教示に従う。好ましくは、オリゴヌクレオチドはホス
ホルアミダイト化学(Beaucageら, 1992; Caruthers, 1983)を用いた自動固相DN
A合成機、例えば、392または394型DNA合成機(PE Applied Biosystems, Foster
City, Calif.)を用いて合成される。
【0052】 1.電気泳動アッセイ 電気泳動アッセイは、転写活性をアッセイするためにニックの入ったおよび入
っていないDNAを同定するために容易に用いることができる。
【0053】 線状二本鎖DNA分子は(これは電場においては末端が前を向く傾向がある)、
ゲルマトリックス中をその塩基対数の常用対数に反比例する速度で移動する。よ
り大きい分子は摩擦効力がより大きく、また小さい分子ほど効率的にゲルの細孔
中を進めないため、よりゆっくり移動する。
【0054】 所定のサイズの線状DNA断片は、異なる濃度のアガロースを含有するゲルの中
を異なる速度で移動する。したがって異なる濃度のゲルを使用することにより広
範なDNA分子を分析することが可能である。
【0055】 同一分子量の超らせん環状(形態I)、ニックが入った環状(形態II)および線状
(形態III)DNAは、アガロースゲル中を異なる速度で移動する。これら3つの形態
の相対移動度はゲル中のアガロース濃度に主として依存するが、適用された電流
の強度、バッファーのイオン強度、および形態IのDNAにおいては超らせんのね
じれの密度によっても影響される。ある条件下では、形態IのDNAは形態IIIのDN
Aよりも速く移動し、また別の条件下ではこの順番が逆転する。
【0056】 DNAの異なるコンホメーションを同定するための明確な方法は、臭化エチジウ
ムの存在下で、その量を増大させながら電気泳動を実施することである。臭化エ
チジウムの濃度が上昇するにつれ、染料がより多くDNAに結合するようになる。
形態I分子の負の超らせん回転(turn)は徐々に除かれ、分子の半径が増大し、そ
して移動速度が遅くなる。超らせん回転が全く残らない限界遊離染料濃度では、
形態IのDNAの移動速度は最小値に達する。さらに臭化エチジウムを添加すると
、正の超らせん回転が生じて、DNA分子はよりコンパクトになり、その移動度は
急速に増大する。同時に、形態IIおよびIIIのDNAの移動度は電荷中和によって示
差的に低下し、また臭化エチジウムによってDNAにより大きい緻密性が賦与され
る。形態IのDNAの殆どの調製物については、遊離臭化エチジウムの限界濃度は0
.1 μg/ml〜 0.5 μg/mlの範囲内である。
【0057】 プラスミドDNAは典型的に数千塩基対を有し、また分析すべき細胞由来の核抽
出物は予測されない位置で結合可能な多数の転写因子を含有するので、プラスミ
ドDNAのコンホメーションの分析は、純粋な転写因子調製物とインキュベートし
た場合に最もうまくいくであろう。プラスミドDNAの相違を観察することに加え
て、オリゴヌクレオチドのような約100塩基対以下の短いDNA断片はニックを入れ
た場合、ニックを入れていないDNAと比較して電気泳動にかけた時に異なった移
動をする場合がある。ホスホジエステル鎖の切断は遊離電荷をもたらし、そして
DNAはニックの位置でより大きく曲がることができる。これはゲル上の移動に変
化を引き起こす。
【0058】 電気泳動アッセイは、ニックの入っていないDNAからニックの入ったDNAを分離
し区別するため、そして転写活性を測定し転写因子を同定するために容易に用い
ることができる。そのような方法は上記のように、またSambrookら, Molecular
Cloning: A Laboratory Manual, 第2版 (1989) Cold Spring Harbor Laborator
y Press(参照により本明細書に組み入れる)に記述されているように当技術分
野で周知である。
【0059】 2.タンパク質結合アッセイ DNAニッキング活性を測定する、すなわち転写活性を測定するためにタンパク
質結合アッセイを用いることもできる。そのような方法はFried, M.およびCroth
ers, D.M. (1981), 「ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるlacリプレッサー
オペレーター相互作用の平衡および速度論(Equilibria and kinetics of lac r
epressor operator interactions by polyacrylamide gel electrophoresis.)
」、Nucl. Acids Res. 9, 6505-6525およびGarner, M.M.およびRevzin, A. (198
1)「特定のDNA領域に結合するタンパク質の定量のためのゲル電気泳動法:大腸
菌ラクトースオペロン調節系の構成要素への応用(A gel electrophoresis meth
od for quantifying the binding proteins to specific DNA regions. Applica
tions to the components of the E. coli lactose operon regulatory system.
)」、Nucl. Acids Res. 9, 6505-3060(各文献は参照により本明細書に組み入
れる)に記述されているように、当技術分野で周知である。DNAタンパク質結合
アッセイはDNA-タンパク質相互作用を可能とするのに必要な最小限の構成要素か
らなることができる。このようなアッセイの構成要素は、DNA鋳型および転写因
子タンパク質(天然または組換え)を含む。
【0060】 DNA/タンパク質複合体形成の検出は、例えば4%ポリアクリルアミド(アクリ
ルアミド:ビスアクリルアミド、30:0.8), 6.25 mM Tris基剤、6.25 mMホウ酸
、0.25 mM EDTA(1/4X TBEと等価)を含有するポリアクリルアミドゲル上で120
ボルト(泳動開始時には約20mA)で電気泳動した標識化DNAの電気泳動移動度シ
フトの測定を包含する。1種類の転写因子の結合について2本のバンドを見るため
には、ゲルの前電気泳動が重要である。所定の電圧で、電圧をかけた場のアンペ
ア数は電気泳動が始まるとまもなく増大する。アンペア数はこの上昇からもとの
アンペア数へ、またはそれより少し下まで戻る必要がある。第2に、ゲルに用い
られ、また電気泳動中に用いられるTBEバッファーは、10X TBEストック溶液を調
製して、びんの底に顕著な白色沈殿が形成されるまで数ヶ月間熟成させるならば
一層よく機能する。この変化を模倣するためのTBEバッファーの調製における変
更は、イオン強度および/またはバッファーのpHの変更を含めて、等価に機能し
なければならない。
【0061】 結合反応液は、転写因子タンパク質(1-5μgの核抽出物タンパク質または染色
体画分)およびDNAの存在下で、例えば、4-8%グリセロール、0-4%フィコール、7
mM MgCl2、20 mM Hepes-NaOH pH 7.9、0.4 mM EDTA、60-100 mM KCl、1-4 μg
ポリ(dI-dC)ポリ(dI-dC)を含有することができる。核抽出物は下記のように調製
することができる。
【0062】 a.核抽出物の調製 核抽出物は、Dignam, J.D., Lebovitz, R.M.およびRoeder, R.G. (1983)「単
離された哺乳動物核由来の可溶性抽出物におけるRNAポリメラーゼIIによる正確
な転写の開始(Accurate transcription initiation by RNA polymerase II in
a soluble extract from isolated mammalian nuclei.)」、Nucl. Acids Res.
11, 1475-1489(参照により本明細書に組み入れる)に記述されているような当
技術分野で周知の方法により調製することができる。組織培養皿で増殖するより
少数の細胞に適合させたこの方法の変法においては、DNA標的を有する細胞(HeL
a細胞を含む殆どの細胞型)を含有する組織培養プレート(P-100)から細胞を取り
上げる。すなわち、細胞をPBS(リン酸緩衝化生理食塩水)で2回洗浄する。次
に、800μlの低張性バッファー(例えば、10 mM Hepes pH 7.9、1.5 mM MgCl2
よび10 mM KCl)を細胞に加える。次に細胞を15分間インキュベートする。次に細
胞をかき取って試験管に入れ、4.8μlのNP-40(非イオン性界面活性剤)を添加す
る。この混合物を5Gで5分間回転する。上清を吸引し、核を50μlの溶解バッファ
ー[10 mMリン酸カリウム(またはナトリウム)pH 8.0 (pH 8.0をもたらす一塩基
性およびニ塩基性混合物の混合物)、0.5% NP40、1.0 mM EDTA (pH8.0)および300
mM KClを含有する]に再懸濁する。この混合物を4℃で30分間インキュベートす
る。次に混合物を14,000 rpmで10分間4℃で遠心する(エッペンドルフ遠心機)。
核抽出物を含有する上清を新しい試験管に移す。可溶性転写因子を含有する抽出
物を調製する別の方法も役に立つ。例えば、最初に核を単離するのではなく、抽
出バッファーを用いて細胞を直接可溶化し、全細胞抽出物を得ることができる。
【0063】 b.バッファー組成 DNAニッキング活性の分析にとってバッファー組成は決定的に重要である。転
写因子を活性な状態で抽出するためにはリン酸バッファーが好ましい。転写因子
はしばしばリン酸化されており、そして細胞抽出物中でホスファターゼ活性が阻
害されない場合はこの活性によって脱リン酸化されうるので、リン酸バッファー
が好ましいのである。リン酸バッファーは内因性ホスファターゼの競合的インヒ
ビターとして役立つ。リン酸を含有しない他の生物学的バッファーもまたニッキ
ング活性の分析に役立つ。ホスファターゼインヒビターの添加(50 mM フッ化ナ
トリウムなど)は、抽出された転写因子のリン酸化状態の維持を助けるに違いな
い。
【0064】 c.タンパク質-DNA複合体の検出 標識化オリゴヌクレオチドの位置は適切な方法(例えば、放射性オリゴヌクレ
オチドのオートラジオグラフィー)によって検出される。移動度シフトは活性な
ニッキング活性の、したがって活性な転写活性の証拠である。特に、ゲル電気泳
動によって分離することができる2つの形態のDNA-タンパク質複合体が形成され
た場合は、活性な転写活性の証拠である。
【0065】 DNA-タンパク質複合体を検出または分離する他の方法も用いることができる。
そのような方法としては、UV架橋分析、高速液体クロマトグラフィー、およびフ
ァージディスプレイ技術が含まれる。
【0066】 DNA-タンパク質複合体の形成は、タンパク質固定化のための公知のアフィニテ
ィー法を用いて、標識化DNAの保持として検出することが可能である(標識は放
射性標識したDNAについてはシンチレーションカウンティング等、または蛍光標
識したDNAについては蛍光定量法等の適切な方法によって検出される)。タンパ
ク質固定化のためのそのような方法は当技術分野で周知であり、ビオチン/スト
レプトアビジン、ニトロセルロース濾過、アフィニティークロマトグラフィー、
イムノアフィニティークロマトグラフィーおよびそれらの関連技法を含む。 タンパク質-DNA複合体形成は、DNA固定化のための公知の方法を用いて、標識
化転写因子の保持として検出する(例えば、放射能的に又は蛍光的に)ことも可
能である。
【0067】 3.SIヌクレアーゼアッセイ ヌクレアーゼSIは一本鎖DNAまたはRNAを分解して5'一リン酸またはオリゴヌク
レオチドを生じる。二本鎖DNA、二本鎖RNAおよびDNA:RNAハイブリッドはこの酵
素に比較的耐性である。しかし、ニックまたは小さい間隙の位置では適度な量の
SIクレアーゼが二本鎖核酸を開裂する。そのように、ゲル電気泳動アッセイと組
合わせたSIクレアーゼを、DNAニッキング活性および転写活性を測定するために
用いることができる。
【0068】 SIクレアーゼアッセイは当技術分野で周知である。SIクレアーゼアッセイの一
例は以下のとおりである。すなわち、転写因子結合部位を有するDNAを末端標識
し、次に試験すべき転写因子活性を有するタンパク質抽出物と共に予めインキュ
ベーションする。この予備インキュベーション期間の間にニッキングが起こって
から、DNAをフェノール/クロロホルムで抽出し、エタノール沈降させる。このD
NAを、100 mlの S-1ミックス(250 mM NaCl、40 mM酢酸ナトリウムpH 5.5、1 mM
ZnSO4 、20 mg/ml変性サケ精子DNAおよび 2000 U/ml S1クレアーゼ)の存在下で3
7℃で30分間S1クレアーゼ消化にかける。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびED
TAを最終濃度がそれぞれ0.2%および20 mMとなるように反応液に添加して反応を
停止させ、次にフェノール/クロロホルム抽出ならびに0.3 M酢酸アンモニウム
および50% イソプロパノールを用いた沈降を実施した。沈降物を6μlのTEおよび
4μlの停止バッファー(95%ホルムアミド、0.05%ブロモフェノールブルー、0.05
%キシレンシアノールおよび20 mM EDTA)からなる混合液に再懸濁し、 6%ポリ
アクリルアミド配列決定ゲルの上で分離する。完全なサイズのバンドの不存在、
およびS1によって開裂されたより小さいDNA断片の存在は、ニッキング活性の証
拠である。なぜなら、SIクレアーゼがニックの位置で全長DNAを消化したからで
ある。
【0069】 4.プライマー伸長反応 プライマー伸長反応もまたニッキング活性を検出し、そしてそれによって転写
活性をアッセイするために用いることができる。プライマー伸長反応を開始する
ためにはニックの存在が必要である。プライマー伸長産物の検出はニックの存在
、そしてそれゆえ転写活性の存在を示す。
【0070】 種々のプライマー伸長アッセイが米国特許第5,952,202号、第5,888,819号およ
び第5,945,284号(これらは参照により本明細書に組み入れる)に記述されてい
る。プライマー伸長反応の方法は、転写因子によるDNA鋳型のニッキング、およ
びそれに続く伸長反応を包含する。「プライマー」とは、特定の標的核酸に選択
的にアニーリングすることが可能で、そしてアニーリング後、プライマー伸長反
応の開始点の役割をはたすオリゴヌクレオチドをいう。「プライマー伸長反応」
とは、プライマー/標的二重らせんとヌクレオチドとの間の反応であって、付加
されるヌクレオチドが標的核酸の対応するヌクレオチドに相補的であるようにプ
ライマーの3'末端にヌクレオチドを付加する反応をいう。 鋳型依存性のプライマー伸長反応がおこる条件は、部分的には適切な鋳型依存
性酵素の存在によってを創出することができる。適切な鋳型依存性酵素のいくつ
かはDNAポリメラーゼである。DNAポリメラーゼにはいくつかの種類がありうる。
しかし、DNAポリメラーゼは必ずプライマーおよび鋳型依存性である必要がある
。例えば、大腸菌DNAポリメラーゼIまたはその「クレノウフラグメント」、T4
DNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ(「シークエナーゼ(sequenase)」)、好
熱菌(T. aquaticus)DNAポリメラーゼ、またはレトロウイルス逆転写酵素を用
いることができる。いくつかのプロトコールではT3またはT7 RNAポリメラーゼ等
のRNAポリメラーゼを用いることも可能であろう。ポリメラーゼによって異なる
条件を用いなければならず、またハイブリダイゼーションおよび伸長反応に異な
る温度範囲が必要とされる場合もある。
【0071】 特異的ハイブリダイゼーションおよびポリメラーゼ連鎖伸長条件下で特定のプ
ライマー(1種または複数)へのターミネーターの3'末端付加の分析を容易にす
ることによって興味のある核酸を分析することができる。ヌクレオシド三リン酸
基質としてターミネーター混合物のみを用いることは、ポリメラーゼ反応におい
て1個のヌクレオチド残基のみがプライマーの3'末端に付加されることを確実に
する。4つのターミネーターの全てを同時に用いることは正確性、すなわちミス
リーディング(misreading)の抑制を保証する。
【0072】 1つ以上のターミネーターを特異的に標識することによって、伸長したプライ
マーの配列を推測することができる。原則として、2つ以上のターミネーターを
特異的に標識した場合には、1反応あたり2つ以上の反応産物を分析することが
可能である。 オリゴヌクレオチドプライマー、または3'伸長反応に影響を及ぼさないがアフ
ィニティー分離を可能とする部分を有する鋳型に特異的なタグを付すことによっ
て、反応後、取り込まれていないターミネーター、試薬の他の成分、および/ま
たは鋳型鎖から伸長産物を分離することができる。2つ以上のアフィニティー作
用物質を用いた場合、1伸長反応あたり数個のオリゴヌクレオチドを分析するこ
とができる。
【0073】 a.オリゴデオキシヌクレオチドのビオチニル化 ある状況下では、検出を容易にするためにオリゴヌクレオチドをビオチニル化
することが役に立つ。5'末端が第一級アミノ基で終わるオリゴデオキシヌクレオ
チドは、Midland Certified Reagents, Midland, Texから入手可能である。これ
らをビオチン-N-ヒドロキシスクシンイミドの誘導体であるビオチン-XX-NHSエス
テル (Clontech Laboratories, Inc., Palo Alto, Calif.)を用いてビオチニル
化することができる。典型的には、上記オリゴヌクレオチド(9nmol)を100μl
の0.1 M NaHCO/Na2CO3 (pH 9)に溶解し、そこに2.5 mgのビオチン-XX-NHSエステ
ルを含有する25μlのN,N-ジメチルホルムアミドを添加する。この混合物を室温
で一晩インキュベートする。次に、この混合物をH2Oで平衡化した6 mlの Sephad
ex G-25 カラム(「DNA級」;Pharmacia)を通過させる。DNAを含有する溶出画
分の4μlアリコートを等容量の臭化エチジウム(2μg/ml)と混合することによ
って、該画分を同定する。そして、DNAによって誘導された蛍光をUV透照器(tran
silluminator)を用いてモニターする。未反応のエステルを220 nmにおけるUV吸
収によって検出する。DNAを含有する試験管をプールし、Centricon-3マイクロ濃
縮器(Amicon)で濃縮し、再度Sephadexを通過させる。
【0074】 3H-ビオチンと磁性M-280ストレプトアビジンDynabeads (Dynal)との結合の阻
害を用いて、オリゴヌクレオチドのビオチニル化度を定量的にアッセイすること
ができる。エッペンドルフチューブおよびピペットチップをシリコーン処理する
。10μlの0.1 M NaClに溶解した既知量(5-10 pmol)のビオチン標識化オリゴヌ
クレオチドを、ビーズを0.1 M NaClに1:4で懸濁した懸濁液25μlを含有する試験
管に加える。20μlの0.1 M NaClに溶解した、徐々に増大する量の 3H-ビオチン
(5-35 pmol)を上記試験管に加え、そしてこれらを1時間再度回転させる。試験
管を、例えばDynal MPC-E磁石上に置いて懸濁液からビーズを除去し、上清の10
μlアリコートを回収し、そしてこれらアリコート中の放射活性量をBeckman LS
5000 TD液体シンチレーションカウンターを用いて測定する。得られたカウント
を、オリゴヌクレオチドを添加しなかった試験管から得られたカウントと比較す
る。または、いくつかのプライマーについては、8M尿素の存在下で分析的ポリア
クリルアミドゲル電気泳動を実施して反応産物をサイズ分画することによりビオ
チニル化をモニターする。
【0075】 b.プライマー伸長/ターミネーション反応 約5 pmolの5'-ビオチニル化オリゴデオキシヌクレオチド鋳型を1Xシークエン
シングバッファー(シークエナーゼ 2.0バージョンキット由来; US Biochemical
Corp.)中で約3 pmolのプライマーと混合する(最終容量10μl)。この混合物を6
5℃で2分間インキュベートし、次にプライマーと鋳型をアニーリングさせるため
に室温まで冷却させた。アニーリングした鋳型-プライマーを含有する溶液を2つ
の5μl部分(AおよびB)に分け、それらに以下のものを添加した:反応液A(
鋳型濃度を標準化するため):0.5μlの100 mMジチオトレイトール、各1μlの10
μM dATP, dGTP, ddCTP、0.5μlの「Mnバッファー」(シークエナーゼ 2.0バー
ジョンキット由来; US Biochemical Corp.)、0.5μlの35S-α-チオ-dTTP (10 m
Ci/ml, 1180 Ci/mmole)(Dupont-NEN)、1μlのSequenase (1:8希釈; US Biochemi
cal Corp.);反応液B(プライマー3'末端の鋳型特異的標識のため):使用した
ヌクレオチドがddCTP, ddGTP, ddTTPおよび35S-α-チオ-ddATPであった以外は反
応液Aと同じ添加物。反応は37℃で5分間実施する。プライマーまたはシークエ
ナーゼを省いた対照反応も実施する。アリコートを取り上げ、15%ポリアクリル
アミド、8M尿素、DNA塩基配列決定用ゲルを用いた電気泳動によってアリコート
を分析する(Maniatis, T.ら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold
Spring Harbor Laboratory (1982))。ゲルを10%メタノール、10%酢酸中で固定
し、Whatman 3MMペーパー上で乾燥させ、Kodak X-Omat ARフィルムに暴露する。
または、産物を液体シンチレーションカウンティングによって分析するため、ビ
オチニル化鋳型または鋳型-プライマーをシークエナーゼ反応の前または後で過
剰な、例えば、M-280ストレプトアビジンDynabeads (Dynal)と結合させる(結合
条件については、上記「オリゴデオキシヌクレオチドのビオチニル化」の項を参
照)。0.1 M NaClを用いてビーズを3回洗浄して取り込まれていない標識を除去
し、次にシンチレーション液を加え、液体シンチレーションカウンティングによ
り放射活性を測定する。
【0076】 c.PCR産物からの鋳型の作製 標的DNAストレッチの両側に位置する増幅プライマーの一方または他方が上記
のようにビオチニル化されている場合、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)反応が実
施される。すなわち、これらのプライマー(最終濃度2μmol)および標的DNA(1
μgまで)を2.5単位のTaqポリメラーゼ(Perkin Elmer/Cetus)、各200μMのdATP
, dCTP, dGTPおよびdTTP、10 mM Tris-HCl (pH 8.3)、50 mM KCl、1.5 mM MgCl2 および 0.01%ゼラチン(Sigma)と共にインキュベートする。反応混合物にパラフ
ィンオイルを重層し、Perkin Elmer/Cetusサーモサイクラーを用いて30サイクル
インキュベートする。各サイクルは、94℃で1分間、60℃で2分間、および72℃
で3分間からなる。反応産物をフェノール/クロロホルム抽出およびエタノール
沈降によって精製し、ポリアクリルアミド上で電気泳動した後、臭化エチジウム
染色により分析する。
【0077】 約5μgのPCR産物を50μlの前もって洗浄した、例えば、0.1 M NaCl中のM-280
Dynabeadsの懸濁物と共に穏やかに撹拌しながら60分間インキュベートする。次
に、DNA(約15 pmol)が結合したビーズを0.15 M NaOHと共に25℃で5分間インキ
ュベートする。0.15 M NaOHを用いてビーズを1回洗浄してビオチニル化されて
いないDNA鎖を除去し、次にH2Oを用いて3回洗浄する。このビーズをH2Oに再懸濁
し、ビオチン-ストレプトアビジン結合を介してビーズに結合した鎖をさらなる
プライマー伸長反応の鋳型として用いる。
【0078】 5.PCR反応 PCR反応を用いてDNAニッキング活性を検出し、それによって転写活性をアッセ
イすることができる。PCR増幅反応は、1反応につき、興味のある遺伝子由来の
プロモーターを含有するゲノムDNA、または該プロモーター領域を含有するプラ
スミド1μl;各10μlのプライマー(10 pmol/μlストック);10μlの10x PCRバ
ッファー(100 mM Tris.Cl pH 8.5, 500 mM KCl, 15 mM MgCl2); 10μlの2 mM
dNTPs(100 mM dNTPストックより調製);2.5 UのTaqポリメラーゼ(Perkin Elme
r AmpliTaq.TM, 5 U/μl)または類似濃度のVentポリメラーゼ;および全量を10
0μlとするH2Oからなる反応混合物中で典型的に実施される。サイクル条件は通
常40サイクル(94℃で45秒;55℃で30秒;72℃で60秒)であるが、サンプルの種
類によってかなり変更を要する場合がある。これらの条件は、Perkin Elmer 960
0サーモサイクラーに使われる0.2 mlの壁の薄い試験管用のものである。例えば
、上記サーモサイクラーのサイクル時間情報については9600のPerkin Elmer 199
2/93 カタログを参照されたい。他の因子の中では、標的、プライマーの長さ、
および配列組成もPCRパラメーターに影響を及ぼし得る。
【0079】 PCRを用いてニックを検出するために、片側(single-sided) PCR反応を実施し
て、その結果を用いてプロモーターエレメントを含有するDNA各鎖におけるニッ
クの位置をマップすることができる。このようなプロトコールの1つは「連結媒
介PCR」と呼ばれ、これはゲノムDNAの配列決定および直接配列決定反応のために
開発されたものであるが、本発明においては転写因子によって誘導されたニック
の同定およびマッピングのために適合させている。すなわち、開裂されたDNAを
変性し、遺伝子特異的プライマー(ニックの存在についてDNAを試験する部分の
下流の位置に由来する)をアニーリングさせる。第1鎖の合成において、Ventポ
リメラーゼまたはTaqポリメラーゼ等の連続移動性のポリメラーゼを用いて上記
プライマーをニックの入った部位まで伸長させ、平滑部位を作る。DNAリガーゼ
によってこの平滑末端に食い違わせた(staggered)リンカーが結合され、その結
果、伸長させたDNAの5'末端がリンカーの長い方の鎖の3'末端と連結される。リ
ンカーの短い方の鎖は5'リン酸を欠き、そのため連結されない。次に、第1のプ
ライマー配列の近くに位置し、かつ増幅すべき配列の境界末端の近傍に位置する
第2のプライマーをアニーリングさせる。プライマーがリンカー領域に付加され
た後、断片はポリメラーゼによって何ラウンドも(例えば、18ラウンド)増幅され
る。この産物をゲル電気泳動によって直接分析することができる。または、いく
つかの方法によって上記断片を放射性標識する。これらの方法には、PCRのそれ
以後のラウンドに包含されうる標識した第3のプライマーを第2プライマーの近
くに付加し、放射性標識された断片を得ることが含まれる。得られた断片を、同
一プライマーから作製された配列決定ラダーの近くで配列決定ゲルの上を泳動さ
せ、ニックの正確な位置を同定する。
【0080】 PCR反応の使用は、それがin vivoおよびin vitroニッキングアッセイの両方に
適合可能であるという点でユニークである。ゲノムDNAの抽出法は当技術分野で
周知であり、Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 20, 1992(
参照により本明細書に組み入れる)に見いだすことができる。すなわち、プロト
コールの一例においては、培養下の細胞または生検された組織中の細胞をリン酸
緩衝化生理食塩水(PBS)で洗浄する。例えば、細胞を入れた15cmのプレート1枚
に対し、1.5 mlの溶解バッファー(300 mM NaCl, 50 mM Tris-Cl pH 8.0, 25 mM
EDTA pH 8.0, 0.2% (v/v) SDSおよび0.2 mg/ml プロテイナーゼK)を添加する
。プレートを5分間室温(rt)で放置する。プレートの内容物を15 mlの試験管に
移し、37℃で3〜5時間インキュベーションを継続し、その間30分ごとに試験管
を上下さかさまにして混合する。1.25容量の緩衝化フェノールを加え、約30回試
験管をさかさまにして混合する。遠心にかけて層を分離する。水層を新しい試験
管に移す。1容量を試験管を30回さかさまにすることによって添加し、次に遠心
にかけて層を分離する。水層を新しい試験管に移す。フェノール/クロロホルム
/イソアミルアルコール混合物を用いて、そして次にエチルエーテルを用いて同
様の抽出を繰り返す。1容量のイソプロピルアルコールを用いてDNAを沈降させ
る。このDNAをペレット化し、TEに再懸濁し、エタノールを用いて再度沈降させ
る。こうして得たDNAは上記の連結媒介PCRに用いることができる。
【0081】 6.DNA塩基配列決定反応 DNA塩基配列決定反応を用いてニッキング活性を検出し、それによって転写活
性を検出することができる。DNA塩基配列決定の方法は当技術分野で周知であり
、Sangerらの酵素的方法ならびにMaxamおよびGilbertの化学分解法を含む。この
2つの方法は共にSambrookらによって記述されている。DNA塩基配列決定およびD
NA分析の他の方法も公知であり、本発明に適用することができる。それらの方法
には下記の方法が含まれる。その各々を参照により本明細書に組み入れる。
【0082】 米国特許第5,374,527号は、DNAのキャピラリー電気泳動による塩基配列決定に
おける低粘性媒質の使用を開示する。好ましい媒質は、約4〜約7重量パーセン
トの線状ポリアクリルアミド分子を含有する溶液である。検出は好ましくは蛍光
標識の検出によって行われる。
【0083】 米国特許第5,405,746号は、例えばビオチン-アビジン系を用いて、二本鎖DNA
分子の一方の鎖の末端を固相支持体に固定するDNAの塩基配列決定法を開示する
。この方法においては、まず相補的DNA鎖を分離する。次に、結合していない鎖
を除去する。最後に、結合した一本鎖DNA分子上で、蛍光または同位体で標識し
たSanger法による伸長産物を作製する。固定化一本鎖DNAを調製するための1つの
方法は、ビオチン等のオリゴヌクレオチドに結合する手段を有するプライマーを
用いたPCR増幅により、Sanger法による伸長産物を作製する前に、固定化一本鎖D
NAを直接作製するものである。このビオチニル化DNAを、通常のスラブフォーマ
ット中でアビジン-アガロースゲル上に固定する。放射性標識した反応産物を電
気泳動後に検出する。
【0084】 米国特許第5,484,701号は、PCR増幅反応の伸長産物を単離する方法を開示する
。この方法においては、PCR増幅手順でビオチニル化プライマーが使用され、ビ
オチニル化伸長産物が生成される。この反応においては、伸長産物はアビジンま
たはストレプトアビジン等のビオチン結合性タンパク質との反応によって固定さ
れる。次に、固定化産物は反応液の液相から分離され、固定化複合体はホルムア
ミドによって変性される。Sanger法による伸長産物はゲル上の放射性標識化産物
または蛍光性産物の電気泳動によって配列決定される。
【0085】 米国特許第5,360,523号は、塩基を標識するために赤外または近赤外色素を使
用する、通常のゲルスラブを用いるか。またはゲルもしくはバッファーを充填し
たキャピラリーを用いる電気泳動によるDNA塩基配列決定のための系を開示する
。この方法においては、レーザーダイオードを用いて塩基を標識し、励起振動数
を与える。検出には自動走査顕微鏡を用いる。
【0086】 A. Woolleyら、「キャピラリー電気泳動チップを用いた超高速DNA塩基配列決
定法」、Anal. Chem. 67巻, 3676-3680頁 (1995)は、ガラスチップ上に細かく組
み立てたポリマー被覆キャピラリーチャンネルを用いたキャピラリー電気泳動に
よるDNAの塩基配列決定を開示する。検出はレーザーによって誘導された蛍光に
より可視波長で行われる。
【0087】 A. Cohenら、「DNA塩基配列決定反応産物のキャピラリーゲル電気泳動による
分離および分析」、J. Chromatogr., 516巻, 49-60頁 (1990)は、DNA塩基配列決
定反応産物を分離するためのキャピラリーゲル電気泳動の使用を開示する。検出
はレーザーによって誘導された蛍光によって行う。
【0088】 Rolfsら、「PCRによって得たゲノムDNAの完全に自動化された、非放射性固相
塩基配列決定法」、BioTechniques, 17巻, 782-787頁 (1994)は、蛍光色素標識
化プライマーを用いる、精製Sangerジデオキシ塩基配列決定ラダーを調製するた
め、ビオチン結合DNAをストレプトアビジンで被覆した常磁性粒子と固相状態で
結合させることを開示する。
【0089】 Williamsらは、「ジデオキシ標識化、重原子改変近赤外蛍光色素を用いた単レ
ーン、単蛍光塩基配列決定法」、SPIE, 2386巻, 55-65頁は、DNA塩基配列決定に
おけるポリマー被覆シリカキャピラリーを用いたキャピラリーゲル電気泳動の使
用を開示する。検出は近赤外蛍光によって行われる。異なるddNTP を同一色素で
、モル濃度を4:2:1:0の比に変えて標識する。次に、蛍光強度測定によってこれ
らの塩基を相互に区別する。類似した吸収および発光スペクトルを有するが蛍光
寿命が異なる特定の重原子改変近赤外色素の蛍光寿命を測定することによる塩基
コーリング(base-calling)の別の方法も開示されている。
【0090】 これらの参照文献に記述されているDNA塩基配列決定法は、DNAニッキング活性
の検出および転写の分析に用いることができる。
【0091】 7.鎖開裂への過敏性 DNAにランダムな一本鎖切断を生成する種々の方法のうち任意のものを用いて
転写因子の作用によって生じたニックの存在を示すことも可能である。そのよう
な方法は、例えば、DNAに結合するタンパク質のフットプリント法に用いられて
いる。これらの方法は転写因子によって誘導されるニッキングに必ずしも多くを
加えないが、これらの方法はDNA鋳型の状態を見るように適切に設計されており
、そして開裂試薬によって作られたDNAラダーに沿った特異的ニッキングを示す
ことができる。そのような試薬の1つは、Mg2+の存在下で各鎖上でDNAをランダ
ムに切断するDNase Iである。DNA結合タンパク質がDNA鋳型に結合する場合に生
じるフットプリント(footprint足跡)は、DNase Iによる切断を妨げる。興味深
いことに、まだ説明されていない理由により、時々過敏性部位が保護されたフッ
トプリント領域の境界内部または境界のすぐ外に見いだされた。もしDNAに結合
した転写因子が活性な形であれば、該転写因子は共通DNA結合配列中に(または
、制限酵素もまたそうであるように、その外に)存在し得る特定の部位でDNAを
切断することができる。これらの過敏性部位のいくつかは、活性化転写因子のニ
ッキング部位であると判明する可能性がある。
【0092】 in vivo状況における遺伝子のプロモーター領域を示すための1つの初期技法
は、DNaseによる二本鎖開裂へのこれらの領域の感受性であった。DNaseによる開
裂はDNAに沿ってかなりランダムなものであるが、すでにニックが入っている領
域はDNaseによってさらにニッキングされたならば完全に開裂され、活性な遺伝
子の上流での鎖開裂に対するDNase感受性という観察された現象をもたらすであ
ろう。
【0093】 IV. 転写活性を検出するためのチップ技術の使用 DNAニッキング活性を分析する上述の方法をチップ技術に応用し、それと一緒
に用いることが可能である。 いずれの身体組織に由来する細胞も、またはいずれの生物の組織も、チップ技
術を用いて転写活性について評価することができる。細胞は正常な細胞であって
も、癌を含む疾患組織に由来する異常な細胞であってもよく、または薬物治療の
前もしくは後の細胞であってもよい。細胞は、昆虫、植物、動物、ヒト、藻類、
酵母および真菌を含む任意の生物から単離することができる。核内に存在する代
表的な転写因子を含有する細胞核のタンパク質抽出物は、上記のように調製され
る。
【0094】 A.DNAチップ 転写因子のための可能性のあるDNA結合部位をそれぞれ含有する二本鎖DNAオリ
ゴヌクレオチドの集団を含有する「DNAチップ」はチップ上の分かっている位置
に結合している。そのようなチップは、参照により本明細書に組み入れる米国特
許第5,837,832号に記述されている。本発明のためのチップは、転写因子によっ
て結合部位と認識されるユニークな配列モチーフを含有する相補的配列からなる
二本鎖DNAに有用である。転写因子を含有するタンパク質抽出物を、DNA結合およ
びDNA鎖開裂すなわちニッキングの両方を可能とする条件下で、DNAチップと共に
インキュベートする。本発明のマトリックススクリーニング技法においては、転
写因子と特異的に結合可能なDNA共通配列を含有する二本鎖DNAオリゴヌクレオチ
ドがマトリックスに固定される。このマトリックスは、転写因子を含有する任意
の溶液中で開裂(ニッキング)される特異的オリゴヌクレオチド配列を同定する
ための支持体として使用される。
【0095】 本発明の「DNAチップ」スクリーニング法においては、転写活性をアッセイす
るために、DNA共通配列を含有するDNAチップを任意の特定細胞型の代表的転写因
子を含有する可溶性細胞抽出物と共にインキュベートすればよい。このアッセイ
は、プロモーター領域または遺伝子内部もしくは遺伝子周辺の他の場所由来の1
以上のDNA認識配列を含有する任意のDNA鎖を、転写因子の作用によって誘導され
るニックの存在について評価する場合に用いることができる。この方法は、どの
セットの転写因子および転写因子結合部位が遺伝子転写を増大させるのに機能す
るかを測定する手段として用いることができる。
【0096】 上記方法は自動化された高スループット転写因子スクリーニングに特に適して
いる。好ましい実施形態においては、個々のサンプルインキュベーション量は約
500μl以下、好ましくは約250μl以下、さらに好ましくは約100μl以下である。
このように小さいサンプル量は、しばしば少量しかない候補作用物質、高価な転
写複合体成分の使用、および危険な放射性廃棄物を最小限にする。
【0097】 適切なDNAチップを作製するために種々の方法を用いることができる。例えば
、ガラス製スライドを固相支持体として用いることができる。この場合は、スラ
イドを洗浄してポリリシンで被覆し、そして二本鎖DNAをスライド上にアレイを
形成するように点在させる。または、Affymetrix, Inc.によって開発されたVLSI
PS技術を米国特許第5,861,242号および第5,945,384号(これらはそれぞれ参照に
より本明細書に組み入れる)等の多数の特許に記述されているように用いること
ができる。VLSIPS法においては、マスクを通して光が照射され、固相支持体の表
面で光によって除去される保護基によって保護されている官能基(オリゴヌクレ
オチドにとっては典型的には-OH)が活性化される。光活性化後、それ自体光に
よって除去される保護基によって保護されている(5'-OHで)ヌクレオチドビルデ
ィングブロックが該支持体の活性化領域に結合される。異なるマスクまたはマス
クの向き、およびビルディングブロックを用いて上記プロセスを反復し、多数の
異なる一本鎖オリゴヌクレオチドプローブの非常に高密度のアレイを作製するこ
とが可能である。そして、相補的DNA鎖が、固定された一本鎖DNAにハイブリダイ
ズして二本鎖DNAが得られるはずである。
【0098】 ペプチド、ポリカルバメート、およびオリゴヌクレオチドアレイのコンビナト
リアルケミストリー合成のための新しい方法が最近報告された(Fodorら, 1991,
Science 251:767-773; Choら, 1993, Science 261:1303-1305;およびSouthern
ら, 1992, Genomics 13:1008-10017参照。これらの各文献は参照により本明細書
に組み入れる)。これらのアレイまたは生物学的チップ(参照により本明細書に
組み入れるFodorら, 1993, Nature 364:555-556参照)は、高密度で情報に富んだ
フォーマットにおいて特定の化合物を正確な位置に担持するもので、本出願に利
用可能な、生物学的認識プロセスを研究するための強力な道具である。
【0099】 次に、これらの種々の方法のうち任意のものによって作製されたDNAチップを
、種々の真核生物の細胞型および組織から広くサンプリングして調製した可溶性
転写因子を含有する核抽出物と共にインキュベートする。各々の場合に、ホスフ
ァターゼインヒビターを含ませることが抽出物中の転写因子活性レベルを維持す
るのに重要であり、これは上述のようにリン酸を含有するバッファーを用いるこ
とによって供給することができる。活性な転写因子によるDNA鎖の開裂を可能と
するために、核抽出物をDNAチップと共に数分〜数時間、30℃〜37℃でインキュ
ベートする。
【0100】 DNAニックの検出は種々の方法によって達成することができる。それらは4つの
種類に分類される。すなわち、ニックに結合するタンパク質;検出可能なタグを
用いてニックを埋める;ニックの位置で止められた(stalled)酵素を検出する;
ニックによって鎖の他の部分から分離されたDNA鎖の一部を変性によって除去す
る、である。
【0101】 a.ニックに結合するタンパク質(または化学薬品) 多数の異なるタンパク質がニックに結合可能であり、これらをニックの検出に
用いることができる。例えば、DNA修復に関与するいくつかのタンパク質はDNA中
のニックを認識し、それに結合する。これらのタンパク質(または化学薬品)は
それら自身を検出分子(detector molecule)(例えば、放射性タグ、比色分析用
タグ、蛍光またはリン光タグなど)に結合させるか、またはそれらを認識する第
2の分子(抗体など)によって検出することができる。結合候補は、真核細胞中
のニックを認識する複合体の全部または一部分で、そのような複合体にはX線修
復交差相補性グループ1タンパク質(XRCC1)、DNAリガーゼIII、DNAポリメラーゼ
およびPARP (ポリADPリボースポリメラーゼ)が含まれる。XRCC1はニックの入っ
たDNA自体に結合することが示された。これはN末端ドメイン(NTD)によって維
持される特性である。したがってXRCC1または XRCC1 NTDは転写因子によって誘
導されたニックの検出に用いることができるであろう。
【0102】 PARPはかつて基本転写因子(TFIIC)であると考えられていた。なぜなら、DNA鋳
型がニックを含んでいる場合、in vitro転写反応にPARPが必要とされたためであ
り、またTFIIHは転写をDNA修復に結びつけるものだからである。TFIIHは複数の
サブユニットを有し、そしてこれらはどれもそれぞれ適切である。このようなサ
ブユニットには、XPB、XPDおよびp62が含まれる。ニックに対して高い親和性を
有することが見いだされた任意のタンパク質、例えば、ヘリカーゼ、トポイソメ
ラーゼ、DNAリガーゼまたはDNAポリメラーゼ、等を用いることができる。可能性
としては、一本鎖DNAに結合性のタンパク質もまた選択的にニックに結合するこ
とができる。そのようなタンパク質は真核生物、原核生物、およびそれらのウイ
ルスまたはバクテリオファージからそれぞれ得ることができる。大腸菌由来のHU
タンパク質は、1つのニックを含有する30merの二本鎖(duplex)DNAに対して8nM
というKD値を有する。したがって、これも転写因子に誘導されたニックの検出タ
ンパク質として用いることができる。
【0103】 DNAチップ上の1つのスポットにおけるニック結合タンパク質の存在は、種々
の方法で検出することができる。上記タンパク質自体を放射性タグ、比色分析用
タグ、蛍光またはリン光タグで標識することができる。また、上記タンパク質は
それに特異的な抗体、または該ニック検出タンパク質に含まれるように遺伝子工
学的に操作したタグに特異的な抗体などの二次タンパク質によって検出すること
もできる。上記抗体は放射性タグ、比色分析用タグ、蛍光またはリン光タグを含
有することができる。または、一次抗体を認識する二次抗体がそれらのタグをも
つことができるであろう。 b.検出可能なタグを用いてニックを埋める 上記のタンパク質のうちいくつかはニックの入ったDNAを修復する酵素活性を
有する。例えば、PARPは、ATPの末端リン酸を挿入してホスホジエステル主鎖を
再連結することによってDNAのニックを修復する。放射性同位体のタグを付ける
ことによって、または他の何らかの化学的修飾によって、挿入されたリン酸を検
出可能となるように標識することができる。同様に、ニックはTFIIH、DNAポリメ
ラーゼまたはDNAリガーゼによっても修復されうる。そして各場合において、修
復反応は本発明のアッセイにおいて陽性シグナルとして検出されうるタグを付し
た分子を挿入することができる。
【0104】 反応中間体もまたニックを標識するために用いることができる。例えば、ニッ
クの入ったDNAおよびATPの存在下でインキュベートしたDNAリガーゼは0℃でDNA-
AMP複合体を形成し、これはpH 7.0よりもpH 6.5でより安定であることが観察さ
れる。次に、AMP上の標識された基を用いてニックの存在をスコアリングするこ
とができる。
【0105】 c.ニックの位置で停止した酵素を検出する DNAに沿って前進する酵素は通常はニックが入って鎖が切れているところで停
止する。これを用いてニック自体を検出することができる。例えば、DNAポリメ
ラーゼはDNA合成の際、ニックの位置で停止する。なぜなら、DNAポリメラーゼは
ホスホジエステル主鎖の切れ目を渡ることができないからである。第2の検出分
子によってこの酵素の存在を検出することができるであろう。停止した酵素のみ
が鋳型に結合して残る条件、例えば、停止した酵素は結合したままでいられるが
、停止していない酵素は解離してしまうだけの高いイオン強度などが使用できる
。検出DNAチップ用の洗浄液中の滴定された成分が、競合的DNAであってもよく、
それによって、停止した酵素は鋳型に結合したままであるが、他方、他の酵素は
おそらく競合的DNAに結合するようになり、したがって他の酵素は洗い流されて
しまい、その結果、停止した酵素の検出が可能となる。
【0106】 d.ニックによって作られた結合していないDNA断片の鎖分離 転写因子結合部位を含有する二本鎖DNA断片の少なくとも一本の鎖がDNAチップ
の固相支持体に結合されたならば、該鎖にニッキングが起こった後でも該鎖の一
部はそこに結合したままであろう。これにより、もはや固相マトリックスには結
合していない、ニックの反対側の鎖に結合した検出分子を切り離す機会が生まれ
る。加熱または他の変性方法を用いて上記二本鎖DNAの二本の鎖を分離し、それ
によって該断片を洗い流すことができる。さらに、ニックの入っていない鎖も固
相に結合した場合は、ニックの入った鎖由来の遊離断片をいったん洗い流してか
ら、第2の標識化プローブを用いて塩基対を形成していない鎖を検出し、それに
よってニックの入った鎖を検出することができる。
【0107】 B.ロボット装置 本発明の方法は自動化、特にコンピュータ化による自動化に非常に適している
。したがって、コンピュータによって制御された電気機械ロボットが本発明の方
法のステップを実施することが好ましい。各ステップは別々に自動化することが
できるが、好ましい実施形態は、混合物形成、インキュベーションおよび分離ス
テップを行う複数のワークステーションを軸方向に回転しながら行ったり来たり
する1本のアームを持った、1つのコンピュータに制御される多機能ロボットを
提供する。該コンピュータには、アームおよびワークステーションの操作を指示
する命令を提供し、またオペレーター用インターフェースとして入力手段(例え
ば、キーボードおよび/またはマウス)およびディスプレイ手段(例えば、モニタ
ー)を提供するソフトウエアが搭載されている。
【0108】 特定の実施形態においては、上記ロボットステーションは軸方向に配置された
ワークステーションを有するロボットアームを含んでなる。ワークステーション
には、稼動中供給源プレートステーション、稼動中ピペットチップステーション
、稼動中アッセイプレートステーション、液体分注ステーション、洗浄ステーシ
ョン、複数チャネルピペッターステーション、シェーカーステーション、冷却ス
テーション、およびピペットチップ貯蔵ステーションが含まれる。本発明の1つ
のフォーマットにおいては、上記アームはマイクロタイタープレートまたは生物
学的チップを取ってきて、液体分注ステーションに運ぶ。ここでは、インキュベ
ーションバッファーおよび1以上の候補作用物質を含む溶液の計量されたアリコ
ートがそれぞれ定められたウエルに分注される。次に、アームは標識化転写因子
タンパク質を含む溶液の計量されたアリコートを取って運び、これを指定された
ウエルに加える。第1のインキュベーション時間の後、液体分注ステーションは
各指定されたウエルに核酸溶液の計量されたアリコートを加える。第1および/
またはそれに続く第2のインキュベーションは場合により、アームがプレートを
シェーカーステーションに運んだ後で行ってもよい。第2のインキュベーション
時間の後、アームはマイクロタイタープレートを洗浄ステーションに運び、ここ
で各ウエルの非結合内容物を吸い出し、次にそれらのウエルに洗浄バッファーを
満たしてこれを吸い出すことを繰り返す。結合標識が放射性リンである場合、ア
ームはプレートを取ってきて、これを液体分注ステーションに運び、ここでシン
チレーションカクテルの計量されたアリコートが各指定されたウエルに加えられ
る。その後、各指定されたウエル中に保持された標識の量が定量される。
【0109】 オリゴヌクレオチドプローブのアレイを含有するDNAチップを用いて、タンパ
ク質抽出物がDNAニッキング活性を有するかどうかを決定することができる。プ
ローブのアレイは、基準配列に厳密に相補的なプローブおよび該厳密に相補的な
プローブと1個以上の塩基が異なっているプローブを含む。
【0110】 C.転写因子のデータベース 本発明はさらに、任意の細胞型において、および条件または処理の任意の組み
合わせに対応した、DNAにニックを入れる活性を有する転写因子のデータベース
を指向している。このデータベースは、特定の細胞においてどの遺伝子が活性に
転写されるかを、それらの遺伝子の転写を制御する領域のDNA配列情報に基づい
て予測するのに用いることができる。本発明においては、このデータベースは特
定の細胞型において効率的な発現が可能な発現ベクターを設計し、構築し、利用
するために用いることができる。本発明の1つのフォーマットにおいては、有用
なデータベース記載事項は、ある転写因子(例えば、"X")が特定の細胞型(例
えば、繊維芽細胞)のDNA結合部位にニックを入れることが明らかになったこと
、そしてその転写因子が結合してニックを入れるDNA配列を特徴づけることがで
きたことであるだろう。
【0111】 IV.DNAニッキング活性共通配列 いくつかの方法のうち1つを用いて、どのDNAオリゴヌクレオチドが開裂され
ているのかを決定することができる。例えば、TFIIHまたは一本鎖DNA結合タンパ
ク質などの種々のタンパク質または他の分子がDNAのニックに優先的に結合する
ことが知られている。これらのタンパク質は検出を容易にするために蛍光により
タグを付けるか、または他の標識をすることができる。次に、そのチップを「読
んで」、どのDNA配列が活性な転写因子によって特異的にニッキングされたかを
決定する。各転写因子は特定のDNA共通配列のみに選択的に結合するため、開裂
されてチップに結合したDNAオリゴヌクレオチドの配列と、そのような共通配列
に結合することが知られている、潜在的転写因子との間の推測がなされる。現在
DNAチップは、DNA鎖間のハイブリダイゼーションに基づいて、RNA転写産物の存
在を確認するために、またはDNA塩基配列を決定する手段として用いられている
。ここでDNAチップは、活性状態の、ただちに転写を触媒できる転写因子のセッ
トを、任意の生物に由来する任意の特定の細胞型において評価することに、全く
新しい目的を見いだすのである。
【0112】 任意の遺伝子の任意の完全なプロモーター領域、または転写因子の結合部位を
含有する任意の領域を評価して、転写因子がいつ転写を触媒する活性を発揮する
かを決定することができる。より長い、完全な連続したDNA鎖の使用によって、
特定の遺伝子を活性化するためにどの転写因子が働いているかを評価することが
できる。1または2個の転写因子結合部位を有するだけの長さのオリゴヌクレオ
チドと異なり、より長いDNA鎖は結合する転写因子の数をより多くすることがで
きる。また数個の転写因子の相互作用が協同して遺伝子上にニックを形成し、転
写を触媒しうる。この場合は、上述のS1ヌクレアーゼ、プライマー伸長反応、PC
RまたはDNAシークエンシング反応を含む、より従来的なニックの検出法を用いる
ことができるであろう。
【0113】 V.転写活性をモジュレートする方法 いくつかの転写因子は、DNAニッキング活性を示すためには特定のアミノ酸が
リン酸化されなければならない。これらの転写因子については、リン酸化される
可能性のあるアミノ酸を酸性残基(アスパラギン酸またはグルタミン酸など)と
置換することによって、リン酸化が起こらない場合でもそれら転写因子がDNAを
活性にニッキングすることができるようになる。逆に、アラニン等のリン酸化さ
れえないアミノ酸と置換することによって転写因子は不活性化するであろう。
【0114】 シグナル伝達に応答してリン酸化される転写因子内のアミノ酸部位は、転写活
性およびそれに関連するDNAニッキング活性を制御するための候補部位である。
転写因子がすでにクローン化されているならば、転写因子の活性化をもたらす特
定のシグナル伝達経路を刺激しながら、生きている細胞を32P(無機リン酸)と
共にインキュベートすることによってこれらの部位をマッピングすることが可能
である。上記転写因子は、それが活性化されるためにはリン酸化される必要があ
り得るアミノ酸(Ser、Thr、Tyr)に32Pを取り込むであろう。リン酸化されたア
ミノ酸の位置は、通常、薄層クロマトグラフィープレートまたはHPLCカラムで分
離されるトリプシン(または他のプロテアーゼ)による断片の32P標識化アミノ
酸をマッピングすることによって決定することができる。
【0115】 シグナル伝達に応答してリン酸化されるアミノ酸は、転写活性化を制御する、
およびすなわちDNAニッキング活性を制御する候補因子である。酸性残基(Aspま
たはGlu)をリン酸化されるアミノ酸基質と置換するように、遺伝子工学的に作
製する。このように改変した転写因子をDNAニッキング能力について試験する。
このように遺伝子操作した転写因子を過剰発現させることにより、有用な分子生
物学試薬の完全に新しいセットを提供し、DNA配列によって決定される正確な位
置にDNAの一本鎖開裂をもたらすことのできる、現在DNAの両方の鎖を切断するた
めに用いられている制限酵素に良く似た酵素を創出できるであろう。
【0116】 VI.キット 本発明はまた、活性化転写因子のスクリーニングを実施するのに有用なキット
を提供する。抽出物、細胞または組織中の転写活性のレベルをアッセイするのに
有用なキットもまた提供される。本発明のキットは、DNAニッキング活性を検出
することによって転写をスクリーニングし、測定する標準化された方法を実施す
るために用いられる標準化された試薬を含む。キットは、とりわけ、転写アッセ
イを実施するための容器またはマトリックス、転写因子結合または開裂のための
DNA鋳型、DNA結合および開裂のための適切なバッファー、DNA分子中のニックを
検出するのに有用な試薬、および使用説明書を含む。
【0117】 VII. 生物学的スイッチおよび論理的なオペレーター 転写活性の手がかりとしてのニッキング活性の同定を、生物学的スイッチとし
て用いることが可能である。本発明の転写因子と電子トランジッターの間に類似
性を見いだすことができる。トランジッターとは回路内の電子の流れを制御する
電子スイッチである。同様に、本発明のこれらの転写因子は遺伝子の発現をもた
らす酵素(例えば、RNAポリメラーゼ)の流れを制御する「遺伝子トランジッター
」として機能する。したがって本発明は、このクラスの転写因子およびそれらの
DNA共通配列を、天然に構築されかまたは人為的構築体の形でのスイッチ機構と
して、任意に使用することを包含する。DNAにニックが入っているか、または入
っていないという2通りの状態が存在し、これがコンピュータ論理の初期エレメ
ントを生ずる。スイッチがオンがオフかという定義は、DNAに沿った分子の流れ
の状態によって決定することができる。もしRNAポリメラーゼ、別のGTF、または
DNA鎖を下っていくことができる任意の進行性の分子がニックからDNAにアクセス
できる場合は、ニックは「オン」の位置にあるものとする。スイッチがオフにな
るように、DNA修復酵素がニックの入ったDNAを再び目張りするように作製して、
それによりスイッチがオフになるようにすることができる。
【0118】 後続のニックを入れられ得る領域を第1のニックの下流に置けば、鎖を下って
いくポリメラーゼの移動の障壁となり得るものを提示できる。直列に配置した2
個のスイッチと同様、この生物学的な論理ゲートの状態は、DNAが両方の位置に
ニックが入っているかどうかによって決まる。ポリメラーゼのエントリーを可能
とするにはそのうちの一方の位置はニッキングされる必要があるが、下流部位の
ニッキングはポリメラーゼに対して障壁を形成する可能性がある。この場合、「
オン」と「オフ」の定義は変わり、その結果、第2の下流部位は全体がオンであ
るように保持されなければならず、そしてニックによってオフになる。転写因子
結合部位はDNA鎖上に隣接配置することによって論理的集合体として配置するこ
とができる。このような集合体はコンピュータとして、または他のナノマシン(n
anomachine)として用いることができる。
【0119】 VII. 関連先行技術 上に論じた先行技術参考文献に加えて、関連する特許、特許出願および刊行物
は以下のものを含む(その各々は参照により本明細書に組み入れる)。すなわち
、米国特許第5,143,854号;WO90/15070; WO92/10092; Hoeffler, W.K., Kovelma
n, R., およびRoeder, R.G. (1988),「アデノウイルスE1Aタンパク質による転写
因子IIICの活性化」, Cell 41, 955-963; Hoeffler, W.K., Levinson, A.D.およ
びBauer, E.A. (1994),「N末端ドメインにおける荷電残基の置換によるcJun転
写因子の活性化」, Nucl. Acids Res. 22, 1305-1312; Marintchev, A., Mullen
, M.A., Maciejewski, M.W., Pan, B., Gryk, M.R.およびMullen, G.P. (1999), 「一本鎖切断修復タンパク質XRCC1 N末端ドメインの溶液構造」, Nat Struct
Biol 6(9), 884-893である。
【0120】 本発明を十分に説明したので、当業者には添付の請求の範囲の精神および範囲
から逸脱することなく多くの変更および改変をなし得ることが明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
本発明は図面を参照するとより一層理解されるであろう。
【図1】 図1Aおよび1Bは、核抽出物中のTFIIICについて実施した放射性標識化ゲルシフ
ト実験のオートラジオグラフを示す写真である。
【図2】 図2Aおよび2Bは、TFIIICの放射性標識化ゲルシフトのオートラジオグラフを示
す写真である。
【図3】 放射性標識化ゲルシフト実験のオートラジオグラフを示す写真である。
【図4】 図4AはC-Jun/BPV-E2融合タンパク質を示す図である。図4Bは、ゲルシフトアッ
セイによるC-Jun/BPV-E2融合タンパク質のDNAとの結合に対する有効性を示す。
図4Cは、C-Jun/BPV-E2融合タンパク質の相対転写活性を示す。
【図5】 図5Aおよび5Bは、ゲルシフト実験より抽出後の、放射性標識化二本鎖DNAオリ
ゴヌクレオチドのオートラジオグラフを示す写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12Q 1/68 C12N 15/00 F 5/00 B C (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US ,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4B024 AA08 AA11 CA02 DA02 DA03 EA02 EA04 FA02 FA06 GA11 HA12 HA19 4B063 QA01 QQ43 QR14 QR32 QR55 QR62 QS03 QS16 QS32 QX02 QX07 4B065 AA72X AA88X AA93X AB01 BA02 CA46

Claims (55)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 DNA分子におけるニックの存在または不存在を検出すること
    を含んでなる転写活性の検出方法であって、該DNA分子におけるニックの存在は
    転写活性を示すものである、該方法。
  2. 【請求項2】 DNA分子におけるニックの存在または不存在が、電気泳動ゲ
    ル上におけるニックの入ったDNAの電気泳動移動度の変化を測定することによっ
    て測定される、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 DNA分子におけるニックの存在または不存在がSIヌクレアー
    ゼアッセイによって測定される、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 DNA分子におけるニックの存在または不存在がプライマー伸
    長反応によって測定される、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 DNA分子におけるニックの存在または不存在がPCR増幅反応に
    よって測定される、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 DNA分子におけるニックの存在または不存在がDNA塩基配列決
    定アッセイによって測定される、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 DNA分子におけるニックの存在または不存在がタンパク質結
    合アッセイによって測定される、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記DNAがマトリックスに固定されている、請求項1に記載の
    方法。
  9. 【請求項9】 前記マトリックスが生物学的チップである、請求項8に記載
    の方法。
  10. 【請求項10】 転写活性の検出方法であって、以下のステップ: a)少なくとも1つの転写因子結合領域を含むDNA鋳型を用意すること、 b)該DNA鋳型を少なくとも1つの転写因子と接触させること、および c)該DNA鋳型におけるニックの存在または不存在を検出すること、 を含んでなり、その際、該DNA鋳型におけるニックの存在は転写活性を示すもの
    である、該方法。
  11. 【請求項11】 前記転写因子が核性細胞抽出物中に存在する、請求項10
    に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記DNA鋳型がウイルスまたはプラスミドベクターに挿入
    され、そして細胞に導入されている、請求項10に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記DNA鋳型がマトリックスに固定されている、請求項1
    0に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記マトリックスが生物学的チップである、請求項13に
    記載の方法。
  15. 【請求項15】 活性な転写因子をスクリーニングする方法であって、以下
    のステップ: a)DNA鋳型を用意すること、 b)該DNA鋳型を被験タンパク質と接触させること、および c)該DNA鋳型における一本鎖ニックの存在または不存在を検出すること、 を含んでなり、その際、該DNA鋳型におけるニックの存在は該被験タンパク質が
    活性な転写因子であることを示すものである、該方法。
  16. 【請求項16】 前記DNA鋳型がマトリックスに固定されている、請求項15
    に記載の方法。
  17. 【請求項17】 前記マトリックスが生物学的チップである、請求項16に
    記載の方法。
  18. 【請求項18】 前記被験タンパク質が細胞抽出物中に存在する、請求項1
    5に記載の方法。
  19. 【請求項19】 前記被験タンパク質が組換えタンパク質である、請求項1
    5に記載の方法。
  20. 【請求項20】 前記DNA鋳型が少なくとも1つの転写因子結合領域を含む
    、請求項15に記載の方法。
  21. 【請求項21】 転写活性をモジュレートする方法であって、以下のステッ
    プ: a)転写すべきDNA配列を用意すること、ここで該DNA配列はニッキング転写因子
    のための少なくとも1つの共通結合部位を含むものであること、および b)該DNA配列をニッキング転写因子と接触させること、ここで該ニッキング転
    写因子は該DNA鋳型におけるニックの形成を触媒するものであること、 を含んでなる、該方法。
  22. 【請求項22】 前記DNA配列がウイルスまたはプラスミドベクターに挿入
    されており、そして該ウイルスまたはプラスミドベクターが細胞に導入されてい
    る、請求項21に記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記細胞が動物細胞である、請求項22に記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記哺乳動物細胞がヒト細胞である、請求項23に記載の
    方法。
  25. 【請求項25】 前記細胞が哺乳動物細胞、酵母細胞、昆虫細胞、藻類細胞
    および植物細胞よりなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
  26. 【請求項26】 前記植物細胞が単子葉植物細胞または双子葉植物細胞であ
    る、請求項25に記載の方法。
  27. 【請求項27】 前記DNA配列との接触に先立って前記ニッキング転写因子
    をin vitroでリン酸化する、請求項21に記載の方法。
  28. 【請求項28】 前記ニッキング転写因子が少なくとも1つの酸性アミノ酸
    への置換または逆にリン酸化され得ない1つのアミノ酸への置換を含む組換えニ
    ッキング転写因子である、請求項21に記載の方法。
  29. 【請求項29】 二本鎖DNA分子中に一本鎖ニックを形成させる方法であっ
    て、該DNA分子をニッキング転写因子と接触させることを含んでなる該方法。
  30. 【請求項30】 前記ニッキング転写因子がリン酸化されている、請求項2
    9に記載の方法。
  31. 【請求項31】 前記ニッキング転写因子が少なくとも1つの酸性アミノ酸
    への置換または逆にリン酸化され得ない1つのアミノ酸への置換を含む組換えニ
    ッキング転写因子である、請求項29に記載の方法。
  32. 【請求項32】 転写活性を迅速に検出するためのキットであって、DNA分
    子中の一本鎖ニックの存在または不存在を検出するための試薬を含んでなる該キ
    ット。
  33. 【請求項33】 前記試薬が電気泳動ゲルの材料を含む、請求項32に記載
    のキット。
  34. 【請求項34】 前記試薬がSIヌクレアーゼアッセイの材料を含む、請求項
    32に記載のキット。
  35. 【請求項35】 前記試薬がプライマー伸長アッセイの材料を含む、請求項
    32に記載のキット。
  36. 【請求項36】 前記試薬がPCRの材料を含む、請求項32に記載のキット
  37. 【請求項37】 前記試薬がDNA塩基配列決定反応の材料を含む、請求項3
    2に記載のキット。
  38. 【請求項38】 活性化転写因子を迅速にスクリーニングするためのキット
    であって、以下のもの: a)ニッキング転写因子のための少なくとも1つの共通配列を含むDNA鋳型、お
    よび b)ニックの入ったDNA鋳型を同定することのできる少なくとも1つの検出試薬、
    を含んでなる、該キット。
  39. 【請求項39】 前記DNA鋳型がマトリックスに固定されている、請求項3
    9に記載のキット。
  40. 【請求項40】 前記マトリックスが生物学的チップである、請求項39に
    記載のキット。
  41. 【請求項41】 前記検出試薬が検出可能な標識を含む、請求項38に記載
    のキット。
  42. 【請求項42】 前記検出可能な標識が放射性同位体、発蛍光団、ビオチン
    ,化学発光化合物、またはコンジュゲート化抗体である、請求項38に記載のキ
    ット。
  43. 【請求項43】 ニッキング転写因子のためのDNA共通配列を検出する方法
    であって、以下のステップ: a)遺伝子の転写プロモーター領域、または転写開始部位の上流にある領域を含
    むDNA分子を用意すること、 b)該DNA分子をニッキング転写因子と接触させること、 c)該DNA分子中の一本鎖ニックの不存在または存在を検出すること、および d)該DNA中の該一本鎖ニックの周囲の該共通配列を同定すること、 を含んでなる、該方法。
  44. 【請求項44】 前記DNA分子との接触に先立って前記ニッキング転写因子
    をin vitroでリン酸化する、請求項43に記載の方法。
  45. 【請求項45】 前記ニッキング転写因子が少なくとも1つの酸性アミノ酸
    への置換または逆にリン酸化され得ない1つのアミノ酸への置換を含む組換えニ
    ッキング転写因子である、請求項43に記載の方法。
  46. 【請求項46】 DNA分子におけるニックの存在または不存在を検出するこ
    とを含んでなる転写因子の同定方法であって、ニックの存在は転写活性を示すも
    のである、該方法。
  47. 【請求項47】 DNA分子におけるニックの存在または不存在が電気泳動ゲ
    ル上におけるニックの入ったDNAの電気泳動移動度の変化を測定することによっ
    て検出される、請求項46に記載の方法。
  48. 【請求項48】 DNA分子におけるニックの存在または不存在がSIヌクレア
    ーゼアッセイによって測定される、請求項46に記載の方法。
  49. 【請求項49】 DNA分子におけるニックの存在または不存在がプライマー
    伸長反応によって測定される、請求項46に記載の方法。
  50. 【請求項50】 DNA分子におけるニックの存在または不存在がPCR増幅反応
    によって測定される、請求項46に記載の方法。
  51. 【請求項51】 DNA分子におけるニックの存在または不存在がDNA塩基配列
    決定アッセイによって測定される、請求項46に記載の方法。
  52. 【請求項52】 DNA分子におけるニックの存在または不存在がタンパク質
    結合アッセイによって測定される、請求項46に記載の方法。
  53. 【請求項53】 前記DNAがマトリックスに固定されている、請求項46に
    記載の方法。
  54. 【請求項54】 前記マトリックスが生物学的チップである、請求項53に
    記載の方法。
  55. 【請求項55】 請求項46に記載の方法によって同定される転写因子。
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