JP4380906B2 - 電源装置の電圧、電流設定表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として電気めっき等に使用する電源装置の電圧、電流設定表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気めっき等に使用する電源装置では、出力電圧値を一定に保つ定電圧制御もしくは出力電流を一定に保つ定電流制御が行われている。これに加え、定電圧制御の場合には出力電流、定電流制御の場合には出力電圧の制限を行う必要を生じることがある。このため、出力電圧値又は出力電流を設定することは当然であるが、出力電流又は出力電圧の制限を必要とする場合には、制限電流値又は制限電圧値も設定する必要があり、電圧と電流双方の設定を行う必要があることになる。近年、これらの設定をデジタルスイッチやキーボード等により設定するようにした電源装置が提供されており、こうした電源装置では運転前に全て設定しておくことができるが、生産現場では操作性の面から可変抵抗器により設定する方式が優れており、好まれて多く使用されている。
【0003】
ところが、可変抵抗器による設定の場合には、設定値の数値はダイアル目盛りにより読み取ることになり、ダイアル目盛りの読み取りでは正確且つ精細な設定ができないので、必ず実際に運転した後調整しなければならず、電流制限又は電圧制限を行わない場合においても、運転開始後調整を完了するまでの間、出力電圧もしくは出力電流が過大あるいは過小になるという問題があった。
【0004】
また、定電圧制御において電流制限する場合には、出力電圧は設定した一定の電圧に保たれ、出力電流は負荷の抵抗値によって定まる値となり、定常時には出力電流が制限値に達することはないので、制限電流値を設定するためには実際にその電流が流れるまで負荷抵抗値を減少させなければならず、負荷を仮に短絡する等したうえで設定しなければならなかった。一方、定電流制御において電圧制限する場合には、出力電流は設定した一定の電流に保たれ、出力電圧は負荷の抵抗値によって定まる値となり、定常時には出力電圧が制限値に達することはないので、制限電圧値を設定するためには実際にその電圧に達するまで負荷抵抗値を増大させなければならず、負荷を仮に開放する等したうえで設定しなければならなかった。このように、可変抵抗器により設定する方式では、実際の負荷について電圧又は電流の値を設定する必要があり、制限電流値又は制限電圧値の設定のために負荷を操作して負荷抵抗値を一時的に変更しなければならないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決して運転前に出力電圧値又は出力電流値と制限電流値又は制限電圧値が設定できる電源装置の電圧、電流設定表示装置を提供するためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の問題は、可変抵抗器よりなる出力値設定器と、該出力値設定器の設定値の変化を検出する変化検出要素と、時限要素と、表示装置と、表示切替要素とからなり、電源装置の出力停止時に変化検出要素が出力値設定器の設定値の変化を検出したとき、表示切替要素は出力値設定器の設定値を表示装置に送って表示装置に設定値を表示させ、設定値の変化がなくなった後時限要素により定められた一定時間だけ設定値の表示を継続する電源装置の電圧、電流設定表示装置において、電源装置の運転時であって変化検出要素が出力値設定器の設定値の変化を検出したとき、当該変化した設定値が出力検出値に反映される場合には、表示切替要素が出力検出値を表示装置に送って表示装置に電源装置の出力検出値を表示させ、当該変化した設定値が出力検出値に反映されない場合には、表示切替要素が当該出力値設定器の設定値を表示装置に送って表示装置に設定値を表示させ、設定値の変化がなくなった後時限要素により定められた一定時間だけ設定値の表示を継続することを特徴とする本発明の電源装置の電圧、電流設定表示装置によって解決できる。
【0007】
また、表示装置にアナログ計器を使用すること、変化検出要素、時限要素、及び表示切替要素をマイクロコントローラにより構成することにより具体化できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の電源装置の電圧、電流設定表示装置に係る実施形態について、具体的に説明する。
図1は第一の実施の形態を示すもので、1は電源装置の出力制御回路であって、該出力制御回路1は出力値設定器2により設定された出力設定値と出力値検出要素3により検出した実際の出力検出値とを比較し、その比較出力により出力回路4を制御して出力検出値を出力設定値に一致させる。ここで、出力設定器2は一定電圧の基準電圧源から得られる電圧を可変抵抗器で分圧するようにしたものである。5は変化検出要素であって、該変化検出要素5には出力値設定器2により設定された出力設定値が入力されており、出力設定値が変化すると出力を発し表示切替要素6に加える。表示切替要素6には出力設定値と出力検出値が入力されており、通常時は出力検出値を、変化検出要素5の出力が加えられたときは出力設定値をそれぞれ選択して表示装置7に送り、表示装置7に出力検出値あるいは出力設定値をそれぞれ表示させる。8は表示切替要素6に付設される時限要素であって、表示切替要素6に加えられた変化検出要素5の出力がなくなったのち表示切替要素6に一定時間だけその状態を保持させる働きをする。9は操作回路であって、出力制御回路1を制御し、定電圧制御、定電流制御の運転モードの切り替え、運転スイッチ10の操作による運転、停止を行う。出力回路4には図示しない主電源が供給されており、出力回路4により制御された出力は出力値検出要素3を経由して負荷Lに供給される。
【0009】
ここにおいて、出力値設定器2は電圧、電流をそれぞれ設定する可変抵抗器から構成し、表示装置7も電圧、電流をそれぞれ表示する表示装置から構成する。さらに、変化検出要素5、表示切替要素6も電圧用、電流用にそれぞれ設け、電圧、電流の出力設定値が変化したときに電圧用、電流用の表示装置の入力をそれぞれ単独に切り替える。なお、表示切替要素6は電源装置の運転時に変化検出要素5が出力値設定器2の設定値の変化を検出したとき、当該変化した設定値が出力検出値に反映される場合には、出力検出値を表示装置7に送って表示装置7に電源装置の出力検出値を表示させ、当該変化した設定値が出力検出値に反映されない場合には、当該出力値設定器2の設定値を表示装置7に送って表示装置7に設定値を表示させるように構成するのが好ましい。
【0010】
前記構成のものにおいて、運転前の状態においては、出力が供給されていないことから出力値検出要素3により検出される出力検出値は電圧、電流ともに0であり、表示切替要素6は出力検出値を選択して表示装置7は0である出力値を表示する。定電圧制御で運転する場合、まず出力値設定器2の電圧設定用可変抵抗器を操作して出力電圧値を設定するわけであるが、可変抵抗器を操作すれば出力設定値が変化するので変化検出要素5は出力を発し、表示切替要素6は出力設定値を選択して表示装置7に電圧の出力設定値を表示させることとなる。この状態では可変抵抗器の操作に応じて出力設定値が変化して表示されるので、希望する出力設定電圧値に設定できる。さらに、電流設定用可変抵抗器を操作すれば、同様にして表示装置7には電流の出力設定値が表示されることとなり、希望する出力設定電流値に設定できる訳であるが、定電圧制御の場合にはこの設定された出力設定電流値が制限電流値となる。希望する出力設定電圧値、制限電流値に設定を終え、出力設定器2の操作を止めると変化検出要素5は出力を発しなくなり、表示切替要素6は時限要素8により定められた時間の後、出力検出値を選択して表示装置7に表示させる。
【0011】
このようにして出力設定電圧値、制限電流値を設定した後、運転スイッチ10を操作して運転すれば、出力制御回路1が動作して出力値設定器2により設定された出力設定電圧値と、出力値検出要素3により検出した実際の出力電圧値とを比較し、その比較出力により出力回路4を制御して出力電圧値を出力設定電圧値に一致させる。負荷抵抗値が減少して出力電流が増大し、制限電流値に達すると出力制御回路1は出力電圧を抑制し、出力電流値を制限電流値に制限する。この電圧の制御、電流の制限については、従来の電源装置と同様である。表示切替要素6は出力検出値を選択しており、表示装置7は実際の出力値を表示する。
【0012】
ここで、出力値設定器2の電圧設定用可変抵抗器を操作すれば、変化検出要素5は出力を発するので表示切替要素6は出力設定値を選択し、表示装置7に出力設定電圧値を表示させることとなる。この状態では可変抵抗器の操作に応じて出力設定値が変化して表示されるので希望する出力設定電圧値に設定変更でき、同時に出力電圧もそれに合わせて制御される。出力設定器2の操作終了後、表示切替要素6は時限要素8により定められた時間の後出力検出値を選択して表示装置7に表示させることになるが、出力制御回路1が出力電圧値を出力設定電圧値に一致させるように出力回路4を制御していることから電圧の表示値に異同を生ずることはない。なお、表示切替要素6を電源装置の運転時に設定値が変化したとき、当該変化した設定値が出力検出値に反映される場合に出力検出値を表示させるように構成した場合には、電圧の表示値は可変抵抗器の操作に応じて制御される出力電圧の出力検出値がそのまま表示されるものである。また、電流設定用可変抵抗器を操作すれば、表示装置7には制限電流値が表示されることとなり、希望する制限電流値に設定変更できる。
【0013】
同様にして、定電流制御で運転する場合については、出力値設定器2の電流設定用可変抵抗器を操作して出力電流値を設定し、電圧設定用可変抵抗器を操作して制限電圧値を設定することができる。表示装置7は出力設定器2を操作する間と、その後定められた時間出力電流値と制限電圧値を表示する。運転すると、出力制御回路1は出力電流値を出力設定電流値に一致させるように出力回路4を制御し、負荷抵抗値の増大により出力電圧が上昇して制限電圧値に達すると出力電流を抑制し、出力電圧値を制限電圧値に制限する。表示装置7は実際の出力値を表示する。出力値設定器2を操作して出力設定電流値、制限電圧値の設定変更ができることも定電圧制御の場合と同様である。
【0014】
ところで、出力設定器2は一定電圧の基準電圧源から得られる電圧を可変抵抗器で分圧するようにしたものである。一般に電源装置には様々な定格電圧、定格電流のものがあるが、出力設定値は電源装置の定格に関係なく一定の最大電圧のものとなる。そのため出力値検出要素3には電源装置が定格電圧、定格電流を出力したときに出力検出値が出力設定値の最大値に近い値とする係数機能を持たせ、出力設定値をほぼ最大としたとき定格電圧、定格電流が出力できるものとしてある。また、表示装置7には出力検出値を実際の電圧値、電流値に変換する係数機能を持たせてある。変化検出要素5は例えばコンデンサを使用したアナログ値記憶要素と比較器を組み合わせることにより構成することができる。
【0015】
図2は第二の実施の形態を示すもので、第一の実施の形態と同様、出力制御回路1、出力値設定器2、出力値検出要素3、出力回路4が設けられている。11は出力値設定器2の出力設定値をデジタルに変換するAD変換器、12は出力値検出要素3の出力検出値をデジタルに変換するAD変換器、13は出力制御回路1に出力設定値を送るためのDA変換器、14はCPU、15はタイマーカウンタ、16はメモリー、17はIOポートであって、該IOポート17には表示装置18、運転スイッチ10等が接続される。ここで、AD変換器11、12、DA変換器13、CPU14、タイマーカウンタ15、メモリー16、IOポート17は全てマイクロコントローラ19に収容されており、第一の実施の形態における変化検出要素5、時限要素8及び表示切替要素6はAD変換器11、12、タイマーカウンタ15及びIOポート17と、CPU14によりデジタル処理することで実現している。また、表示装置18は7セグメントのデジタル表示装置としてIOポート17に接続しているが、DA変換器を介することによりアナログ計器を使用することも可能である。
【0016】
この第二の実施の形態において、運転前には出力が供給されていないことから出力値検出要素3により検出される出力検出値は電圧、電流ともに0であり、AD変換器12によりデジタルに変換されてCPU14に取り込まれ、IOポート17を介して表示装置18により0である出力検出値が表示される。出力値設定器2の出力設定値はAD変換器11を介してCPU14に取り込まれており、出力値設定器2の電圧設定用又は電流設定用の可変抵抗器を操作するとCPU14は取り込まれた値の変化を認識して表示装置18に電圧又は電流の出力設定値を表示させることとなる。この状態では可変抵抗器の操作に応じて出力設定値が変化して表示されるので定電圧制御の場合には希望する出力設定電圧値と制限電流値が、定電流制御の場合には希望する出力設定電流値と制限電圧値がそれぞれ設定できる。出力設定値が変化しなくなるとCPU14はそれを認識しタイマーカウンタ15を使用して生成する一定時間後に出力検出値を表示装置18に表示させることになる。
【0017】
このようにして出力設定電圧値と制限電流値又は出力設定電流値と制限電圧値を設定した後、運転スイッチ10を操作すれば、運転スイッチ10の操作がIOポート17を介してCPU14に読み込まれ、CPU14はDA変換器13を介して出力設定値を出力制御回路1に送る。出力制御回路1は出力電圧値又は出力電流値を出力設定電圧値又は出力設定電流値に一致させるように出力回路4を制御し、負荷抵抗値の減少又は増大により出力電流又は出力電圧が制限電流値又は制限電圧値に達すると出力電圧又は出力電流を抑制し、出力電流値又は出力電圧値を制限電流値又は制限電圧値に制限する。表示装置18は実際の出力値を表示する。
【0018】
ここで、出力値設定器2の電圧設定用又は電流設定用可変抵抗器を操作すれば、CPU14は取り込まれた値の変化を認識して表示装置18に電圧又は電流の出力設定値を表示させることとなる。この状態では可変抵抗器の操作に応じて出力設定値が変化して表示されるので、出力設定電圧値と制限電流値又は出力設定電流値と制限電圧値をそれぞれ設定変更することができ、同時に出力電圧又は出力電流もそれに合わせて制御される。出力設定値が変化しなくなるとCPU14はそれを認識しタイマーカウンタ15を使用して生成する一定時間後に出力検出値を表示装置18に表示させることになる。なお、第一の実施の形態では表示装置7に電源装置の定格の違いに対応する係数機能を持たせていたが、この機能はCPU14の処理により対応することができる。
【0019】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の電源装置の電圧、電流設定表示装置は、定常運転時に出力検出値を表示する表示装置を使用して設定値を表示するようにしたので、設定のための特別な装置、操作を要することなく運転前に出力電圧値又は出力電流値と制限電流値又は制限電圧値が設定できるという優れた効果がある。よって本発明は従来の問題点を解消したとして、その工業的価値は極めて大なるものがある。
なお、本発明はアップスロープ時間等の設定にも応用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】本発明の第二の実施の形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 出力制御回路、2 出力値設定器、3 出力値検出要素、4 出力回路、5変化検出要素、6 表示切替要素、7 表示装置、8 時限要素、9 操作回路、10 運転スイッチ、11、12 AD変換器、13 DA変換器、14 CPU、15 タイマーカウンタ、16 メモリー、17 IOポート、18 表示装置、19 マイクロコントローラ、L 負荷
Claims (3)
- 可変抵抗器よりなる出力値設定器と、該出力値設定器の設定値の変化を検出する変化検出要素と、時限要素と、表示装置と、表示切替要素とからなり、電源装置の出力停止時に変化検出要素が出力値設定器の設定値の変化を検出したとき、表示切替要素は出力値設定器の設定値を表示装置に送って表示装置に設定値を表示させ、設定値の変化がなくなった後時限要素により定められた一定時間だけ設定値の表示を継続する電源装置の電圧、電流設定表示装置において、電源装置の運転時であって変化検出要素が出力値設定器の設定値の変化を検出したとき、当該変化した設定値が出力検出値に反映される場合には、表示切替要素が出力検出値を表示装置に送って表示装置に電源装置の出力検出値を表示させ、当該変化した設定値が出力検出値に反映されない場合には、表示切替要素が当該出力値設定器の設定値を表示装置に送って表示装置に設定値を表示させ、設定値の変化がなくなった後時限要素により定められた一定時間だけ設定値の表示を継続することを特徴とする電源装置の電圧、電流設定表示装置。
- 表示装置にアナログ計器を使用したことを特徴とする請求項1に記載の電源装置の電圧、電流設定表示装置。
- 変化検出要素、時限要素、及び表示切替要素をマイクロコントローラにより構成したことを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の電源装置の電圧、電流設定表示装置。
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