JP4380330B2 - 耐熱性の改善された熱収縮性ポリオレフィン系フィルム - Google Patents

耐熱性の改善された熱収縮性ポリオレフィン系フィルム Download PDF

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Description

本発明は、熱収縮性ポリオレフィン系フィルムに関し、更に詳しくは、ラベル用途に適した性能を備えた熱収縮性ポリオレフィン系フィルムに関するものである。
近年、包装品の外観を向上させるための外装、内容物の直接衝撃を避けるための包装、ガラス瓶やプラスチックボトル等の保護と商品表示を兼ねたラベル包装などを目的として、シュリンクラベルが広範に使用されている。これらの目的で使用されるフィルム素材としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、ポリプロピレン等が知られている。しかしポリ塩化ビニルラベルは、シュリンク特性には優れるものの、燃焼時に塩素ガスが発生する他、ダイオキシンの原因になる等の環境問題を抱えている。また、ポリスチレンやポリエステルラベルは、優れた熱収縮性を有している反面、PETボトルとの比重差が小さいため浮遊分離が困難であり、PETボトルのリサイクル性を阻害する。
ポリプロピレンを主たる構成素材とするシュリンクラベルは、PETボトルとの比重差が大きく、ボトル本体とラベルとの浮遊分離も容易である(例えば、特許文献1など)。ところが、有機溶剤による接着を可能にするため外層側に環状オレフィンを用いたフィルム(例えば、特許文献2など)や、スチレン−ブタジエンブロック共重合体を用いたフィルム等では、お茶などのPETボトル飲料を加熱して販売する際に、加温器内でラベル同士がブロッキングを起こすという問題がある。これに対し、外層側にポリプロピレン系樹脂を配したフィルムは、加温器内でラベル同士がブロッキングを起こすという問題は生じないが、溶剤接着性に欠ける。
特開2000−211025号公報 特公平5−12142号公報
本発明は上記の様な問題点に着目してなされたものであって、その目的は、有機溶剤を用いた溶剤接着性が良好であり、且つ、自動販売機などで加熱販売するときでも、加温器内でラベル同士がブロッキングを起こすことのない熱収縮性ポリオレフィン系フィルムを提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る熱収縮性ポリオレフィン系フィルムとは、フィルムを温度90℃、押え圧力0.4MPa、加圧時間5分で加圧したときの圧接部の剥離強度が2N/15mm以下であり、且つ、テトラヒドロフランを用いた溶剤接着強度が2N/15mm以上であるところに要旨を有している。
上記本発明の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムにおいては、更に他の特性として、フィルム試料を、80℃の温水中に10秒間浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒間浸漬して引き上げたときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることが望ましく、また該フィルムの比重は0.95以下であることが望ましい。更に、該フィルムの主収縮方向の自然収縮率は、40℃・7日間で2.5%以下、主収縮方向に対して直交方向の自然収縮率は、40℃・7日間で0.5%以下であるものが、より好ましい実施形態である。
本発明の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムは、テトラヒドロフラン等を用いた溶剤接着性が良好であり、通常の溶剤接着法で容易にセンターシールを行なうことができ、しかも、自動販売機などを用いた加熱販売に適用した場合でも、加温器内でラベル同士がブロッキングを起こすこともない。
本発明の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムは、上記の様に、フィルムを重ね合わせ、温度90℃、押え圧力0.4MPaで5分間加圧したときの圧接部の剥離強度が2N/15mm未満の低い値を示すところに最大の特徴を有している。ちなみに、この剥離強度が2N/15mm以上のものでは、該フィルムを用いたラベルを容器に装着した商品を加熱販売する際に、加温器内で熱によりラベル同士が固着することがあるので好ましくない。剥離強度は1N/15mm未満であることがより好ましく、更に好ましくは0.5N/15mm未満である。
また、上記熱収縮性ポリオレフィン系フィルムのテトラヒドロフランを用いた溶剤接着強度は2N/15mm以上であることを必要とする。この溶剤接着強度が2N/15mm未満では、フィルムを溶剤接着しラベル状にしてPETボトル容器などに被覆収縮したときに、溶剤接着部分が剥離を起こすことがあるので好ましくない。テトラヒドロフランを用いた該溶剤接着強度は、3N/15mm以上であることがより好ましく、更に好ましくは4N/15mm以上である。なお、溶剤接着強度の対象溶剤としてテトラヒドロフランを選択した理由は、SP値が近くて接着性に優れていることからポリ塩化ビニルラベルやポリエステルラベルの接着に従来から使用されており、溶剤接着用として汎用性の高い溶剤であるからである。
また本発明の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムは、熱収縮特性として、80℃の温水中に10秒間浸漬して引き上げ、次いで25℃の温水中に10秒間浸漬して引き上げたときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることが望ましい。この熱収縮率が20%未満では、フィルムの熱収縮率が不足するため、ボトル容器に被覆して熱収縮させたときに容器に密着せず、外観不良になることがあるからである。より好ましい熱収縮率は30%以上、更に好ましくは40%以上である。なお「主収縮方向の熱収縮率」とは、試料の最も多く収縮した方向での熱収縮率の意味であり、正方形状試料の縦方向又は横方向の長さで決められる。
また該熱収縮性ポリオレフィン系フィルムは、比重が0.95以下であることが好ましい。比重が0.95を超えるものでは、フィルムに印刷などの二次加工を施すことで生じる比重増加によって、水を用いたPETボトルとの浮遊分離が困難になるからである。比重は0.93以下がより好ましく、更に好ましくは0.91以下である。
更に本発明に係る熱収縮性ポリオレフィン系フィルムは、その自然収縮特性が、主収縮方向の自然収縮率で40℃・7日間で2.5%以下、主収縮方向に対し直交方向の自然収縮率で0.5%以下であることが好ましい。ちなみに、該フィルムは、製膜、延伸の後、スリット工程等を経た後、ロール巻き製品として一定期間経過後にユーザーへ届けられるが、製膜、延伸後ユーザーに届けられるまでの間にフィルム主収縮方向に自然収縮が起こると、フィルムの幅が変化するばかりでなく、ロール巻き製品の横方向にシワやタルミができることがある。また、フィルム主収縮方向に対して直交方向の収縮が起こると、ロール巻き製品の径方向に巻き締まりが発生し、ユーザーで使用する際の巻き出し時にブロッキングなどのトラブルを起こす原因になるからである。
しかし、上記特性を満たす本発明の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムでは、こうした問題を生じることがない。フィルム主収縮方向のより好ましい自然収縮率は40℃・7日間で2.0%以下であり、更に好ましくは1.8%以下である。また、フィルム主収縮方向に対して直交方向のより好ましい自然収縮率は、40℃・7日間で0.4%以下であり、更に好ましく、0.3%以下である。
本発明の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムは、加熱下での優れた耐ブロッキング性と溶剤接着性、更には熱収縮特性や自然収縮率などを満足させる観点から、種類や組成の異なる2種以上のポリマーをブレンドし、或は複数の共重合モノマー成分を使用する等によって、主たる構成ユニット以外に副次的構成ユニットを原料ポリマー内へ導入し、得られるフィルムの特性を改質する手法を採用することが好ましい。
特に、加熱下での耐ブロッキング性と溶剤接着性は相反する特性であり、溶剤接着性の優れた樹脂と、耐熱性の優れた樹脂とを適当な比率でブレンドすることで、夫々の特性を両立させることが可能となる。更には、溶剤接着性と耐熱性の異なる3種以上の樹脂をブレンドすることで、2つの特性をより安定的に高めることも可能である。ただし、2種のモノマー成分を共重合させる方法では、それぞれの特徴が互いに打ち消される傾向が強いので好ましくない。また、例えば溶剤接着強度が3N/15mmを超える卓越した溶剤接着性を有する熱収縮性ポリオレフィン系フィルムを使用した場合は、溶剤接着性を大きく阻害しない範囲で耐熱離型性に優れた樹脂をコートすることで、要求特性を満足させることも可能である。
なお本発明において上記要求特性を確保するには、次の様な方法を採用するのがよい。
まず、温度90℃の熱板で押え圧力0.4MPaで5分間加圧したときの圧接部の剥離強度を2N/15mm以下に抑えると共に、テトラヒドロフランを用いた溶剤接着強度を2N/15mm以下に抑えるための好ましい手法としては、フィルムを構成するスチレン系ブロック共重合体の配合比率を30〜70質量%とし、残りの70〜30質量%をポリプロピレン系樹脂とするのがよい。スチレン系ブロック共重合体の配合比率が30質量%未満では溶剤接着性が乏しくなり、逆に70質量%を超えると耐熱性が低下し、耐ブロッキング性が悪くなるので好ましくない。上記2つの特性を両立させるためのより好ましいスチレン系ブロック共重合体の配合比率は35質量以上65質量%以下、更に好ましくは40質量%以上60質量%以下である。
更に、80℃の温水中に10秒間浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒間浸漬してから引き上げたときの主収縮方向の熱収縮率で20%以上を確保するには、スチレン系ブロック共重合体とポリプロピレン系樹脂からなる層を外層、ポリプロピレン系樹脂と石油樹脂からなる層を基材層とするのがよく、より具体的には、基材層を構成する樹脂混合物全体に対して石油樹脂の配合割合を5質量%以上40質量%以下とすることが望ましい。石油樹脂の配合割合が5質量%未満では、良好な低収縮特性が得られないことがあり、また40質量%を超えると、得られる積層フィルムの比重が0.95以上となる場合が生じてくる。
フィルムの比重は、用いるフィルムの基材層や外層を構成する素材の種類や配合割合等によって調整すればよく、具体的には、外層と基材層の厚み比率にもよるが、基材層への石油樹脂の添加量によって最終フィルム製品としての比重が0.95以下となる様に調整すればよい。
更に、フィルムの主収縮方向の自然収縮率を40℃・7日間で2.5%以下に、また主収縮方向に対し直交方向の自然収縮率を40℃・7日間で0.5%以下に抑えるには、環状オレフィン系樹脂を、基材層を構成する樹脂配合物全体に対して1質量%以上10質量%以下の範囲で配合するのがよい。環状ポリオレフィン系樹脂の配合割合が1質量%未満では、十分な剛性が得られ難くなってフィルムの主収縮方向と直角方向の自然収縮率が大きくなり易く、また10質量%を超えて多過ぎると、製膜時の延伸性が劣化したり外観劣化を起こす恐れが生じてくる。
また、本発明の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムの製膜法としては、例えば、樹脂原料を220〜250℃で溶融押出しした後、テンター法などにより少なくとも一軸方向に2倍以上、好ましくは6.5倍以上延伸する方法が採用される。延伸方向は、一軸方向以上であればよいが、ラベルとして実用化する時の流れ方向に対して直角方向である方向へのみ一軸延伸することが望ましい。なお、このときの延伸倍率が2倍未満では十分な収縮率が得られ難くなる。好ましい延伸方法としては、延伸に先駆けて70℃以上90℃以下の温度で予備加熱した後、70℃以下の温度で延伸するのがよく、延伸後の熱固定は70℃以上85℃以下の温度で行なうのがよく、更に熱固定での弛緩処理は0%以上10%以下が好ましい。
本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂としては、単独重合体としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブテン−1等のポリオレフィンが挙げられ、共重合体としては、エチレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、ブチレン−α−オレフィンランダム共重合体等のランダム共重合体や、プロピレン−エチレンブロック共重合体などのブロック共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、炭素数2〜20のα−オレフィン、より具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が好ましく、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ブテンランダム共重合体などが特に好ましく使用される。これらのポリマーの立体構造には特に制限はなく、イソタクチック構造、アタクチック構造、シンジオタクチック構造、あるいはこれらが混在したものでもかまわない。
共重合成分を導入することにより、本来は結晶性の高いオレフィンポリマーを非晶質化し、熱収縮性フィルムとして必要な高レベルの熱収縮率を与えることができる。
上記ポリオレフィン系のフィルム素材には、更に他の成分として、環状ポリオレフィンや石油系樹脂、スチレン系樹脂などを適量配合することも可能である。
上記樹脂のうち環状ポリオレフィンとは一般的な総称であり、具体的には、(a)環状オレフィンの開環(共)重合体を必要により水素添加した重合体、(b)環状オレフィンの付加(共)重合体、(c)環状オレフィンとエチレン、プロピレンなどのα−オレフィンとのランダム共重合体をいう。その他、(d)前記(a)〜(c)を不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト変性重合体を使用することもできる。ここで環状オレフィンとは、例えばビシクロヘプト−2−エン(2−ノルボルネン)およびその誘導体、例えばノルボルネン、6−メチルノルボルネン、6−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、6−n−ブチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネンなどが挙げられる。また、テトラシクロ−3−ドデセンおよびその誘導体として、例えば8−メチルテトラシクロ−3−ドデセン、8−エチルテトラシクロ−3−ドデセン、5,10−ジメチルテトラシクロ−3−ドデセンなどを挙げることができる。
上記の様な環状ポリオレフィンは、他のポリオフィンに比べてガラス転移温度(Tg)が高く、その為、他のポリオレフィン系フィルムに比べてフィルムの剛性を高める効果や、ポリオレフィン系フィルム全般の欠点である自然収縮を抑える作用を有しており、環状ポリオレフィンの中でもTgの高いものほどその効果は大きい。
環状ポリオレフィンのTgは70℃以上、140℃以下が好ましく、より好ましくは90℃以上、110℃以下である。Tgが70℃以上のものを使用すると、相対的に少ない添加量で環状ポリオレフィンの効果を発現させることができ、フィルム原料のコストダウンを図れるので好ましい。但し、Tgが140℃以上の環状ポリオレフィンを使用すると、製膜後の延伸性が悪化して厚みムラを生じ易くなり、外観も悪くなる傾向が生じてくる。
また、本発明で使用できる石油系樹脂とは、石油精製工業や石油化学工業で得られる特定留分(オレフィンやジオレフィンなどの重合性成分を含むもの)中の重合可能な物質を、単離精製することなくそのまま重合し樹脂化したものを言う。より好ましくは、芳香族系炭化水素樹脂や芳香族系石油樹脂を、部分水素添加もしくは完全水素添加することによって得られる脂環族飽和炭化水素樹脂であり、この種の石油樹脂の市販品としては、例えば荒川化学工業社製の商品名「アルコン」や、トーエネックス社製の商品名「エスコレッツ」等が例示される。石油樹脂を使用することによってポリマーを非晶質化すると、熱収縮性フィルムとして必要な収縮率が得られ易く、また、フィルム製膜後の延伸性も向上するので好ましい。石油樹脂の軟化点は110℃以上が好ましく、より好ましい軟化点は125℃以上、更に好ましくは140℃以上である。石油樹脂の軟化温度が高いものほど、より高い熱収縮率を得ることができるからである。また、軟化温度が110℃未満の石油樹脂を使用すると、フィルムがベタツキを生じ、印刷等の後加工で不具合を起こしたり、経時的に白濁し易くなるといった問題を起こすことがある。
また前記スチレン系樹脂とは、スチレン系単量体と共役ジエン系単量体との共重合物であり、フィルムをチューブ状に加工する際の溶剤接着性を高める上で極めて有効な成分である。また非晶質のポリマーであるため、フィルムの熱収縮性を高める作用も大きい。スチレン系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられる。共役ジエン系単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン、1,3−ブタジエン等が挙げられ、これら共役ジエン系単量体の1種または2種以上を使用できる。
これら共役ジエン系単量体と上記スチレン系単量体とのブロック共重合体は、本発明でオレフィン系樹脂と好ましく併用されるスチレン系重合体として推奨される。これらの中でも特に好ましく用いられるブロック共重合体は、スチレン系単量体がスチレンで共役ジエン系単量体がイソプレンであるスチレン−イソプレンブロック共重合体である。該ブロック共重合体における好ましいスチレン含量は15〜90質量%、より好ましくは20〜85質量%である。スチレン含量が95質量%を超えると、得られる熱収縮性フィルムの耐衝撃性が低下し、またスチレン含量が10質量%未満では、熱収縮性フィルムが剛性不足となってフィルム主収縮方向、直交方向共に自然収縮が大きくなる。その結果、フィルムロール半径方向に巻き締まりが起こり易くなり、ブロッキング等のトラブルを発生する原因になる。
更に、本発明に係るフィルム素材中には、前述した樹脂成分以外にも、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、クマロン・インデン樹脂等を配合することができる。耐熱離型性のある樹脂として、例えば、ワックスや界面活性剤などを使用することも可能である。
本発明に係る熱収縮性ポリオレフィン系フィルムには、必要に応じて、従来公知の酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、造核剤、紫外線吸収剤、着色剤などを本発明の目的を損なわない範囲で含有させることができる。
本発明の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムは、常法に従って溶融押出しした後、公知の方法で少なくとも一軸方向に2倍以上、好ましくは6.5倍以上延伸することによって製造される。延伸方向は、一軸方向以上であればよいが、ラベルの流れ方向に対して直交する方向のみに1軸延伸することが好ましい。延伸倍率が2倍未満では十分な収縮率が得られないことがある。好ましい延伸法としては、延伸に先がけて70℃以上、90以下の温度に予備加熱した後、70℃以下の温度で延伸する方法が推奨される。延伸後の熱固定は70℃〜85℃とするのがよく、熱固定での弛緩処理は0〜10%の範囲が好ましい。
本発明に係る熱収縮性ポリオレフィン系フィルムの厚みは特に限定されないが、好ましいのは100μm以下であり、より好ましくは30〜80μmである。また本発明のフィルムは、必要に応じて多層化することも可能であり、積層法としては、公知の多層共押出法やドライラミネート法などを採用できる。
次に、本発明の構成および作用効果を実施例によってより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施するも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に包含される。尚、本明細書で採用した特性値の測定法は下記の通りである。
[剥離強度]
供試フィルムにおけるラベルの外面となる面を重ね合わせ、90℃に加熱された10mm幅のシールバーでフィルムの主収縮方向とシールバーの長さ方向が直交する様に0.4MPaで5分間加熱加圧する。その後、フィルムを主収縮方向に15mm幅で切り取り、それをボールドウィン社製の万能引張試験機「STM−50」にセットし、180°ピール試験で引張速度200mm/分で測定した。
[溶剤接着強度]
延伸したフィルムの流れ方向に、テトラヒドロフランをコート量5g/m、幅3mmで塗布してから直ちに貼り合わせ、浮きがない様に流れ方向に数回タオルで擦り付ける。次いで、シール部をフィルムの流れ方向と直角方向に15mmの幅に切り取り、これをボールドウィン社製の万能引張試験機「STM−50」にセットし、180°ピール試験で引張速度200mm/分で測定した。
[熱収縮率]
延伸したフィルムを、一辺がフィルム流れ方向と平行になる様に10cm×10cmの正方形に切り出し、これを所定の温度±0.5℃に加熱した水槽に10秒間浸漬する。浸漬から10秒間経過した後、直ちに別途用意した25℃の水槽に10秒間浸漬し、フィルムの主収縮方向とその直交方向各々の長さを測定し、下記式によって熱収縮率を求めた。なお、最も収縮した方向を主収縮方向とした。
熱収縮率(%)=100×(収縮前の長さ−収縮後の長さ)÷(収縮前の長さ)
[比重]
JIS K7112に準拠し、密度勾配管法により測定した供試フィルムの密度と温度23℃における水の密度との比によって、フィルムの比重を求めた。
[自然収縮率]
供試フィルムを、主延伸方向と直交方向に夫々幅30mm×長さ300mmに切り出し(n=2)、標線間の距離(a)を正確に測定する。その後、速やかに40℃に保った恒温室に放置し、1週間経過後にサンプルを取り出して標線間の距離を測定(b)し、下記式によって自然収縮率を求めた。
自然収縮率=[(a)−(b)]/(a)×100
[収縮仕上り性]
供試フィルムに、センターシールマシン(自社製)を用いて5g/mのテトラヒドロフランを塗布し溶剤接着することによってチューブとし、これを切断して熱収縮性ポリオレフィン系フィルムラベルとする。次いで、容量350mlの角型PETボトルにラベルを装着した後、スチーム式収縮トンネルに通してラベルを収縮させる。熱収縮条件は90℃、10秒とする。そして、収縮後も溶剤接着部が剥がれていないものを“○”、収縮により溶剤接着部が剥がれたものを“×”とした。
[ラベルブロッキング]
仕上り性評価で用いたラベルを装着した角型PETボトルを横向きに5段積み重ね、70℃に温度調整したオーブン内に24時間放置してから室温に取り出し、ラベル同士のブロッキングの状態を官能評価した。PETボトルを持ち上げたときに、下側のPETボトルが持ち上がることなく、ブロッキング跡の残らないものを“○”、下側のPETボトルが持ち上ったりブロッキング跡が残ったものを“×”とした。
実施例1
基材層構成材として、プロピレン−ブテンランダム共重合体(住友化学工業社製、商品名「SPX78H3」)40質量部、プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業社製、商品名「S131」)25質量部、石油樹脂(荒川化学工業社製、商品名「アルコンP140」)30質量部、環状ポリオレフィン(三井化学社製、商品名「APEL6011T」、ガラス転移温度Tg:105℃)5質量部を混合した混合物を使用し、外層構成材としては、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体(住友化学工業社製、商品名「FL6741」)50質量部、スチレン(含有率20%)/イソプレン共重合体(クラレ社製、商品名「HYBRAR 7125」)30質量部、スチレン(含有率50%)/イソプレン共重合体(クラレ社製、商品名「KL7350」)20質量部を混合した混合物を使用し、各混合物を夫々別の押出機に投入し、230℃でTダイより共押出しし、20℃に保持した冷却ロールで冷却固化させる。引き続いて75℃で25秒間予熱した後、70℃で横方向に8倍テンター延伸し、同テンター内で7%弛緩させつつ73℃で40秒間熱固定してフラット状の熱収縮性フィルムを得た。このフィルムの厚さは、基材層が30μm、表裏側の外層が各々10μmでトータルの厚さは50μmであった。この延伸フィルムについて、上記方法で性能評価試験を行ない、結果を表1に示した。
実施例2
基材層構成材として、プロピレン−ブテンランダム共重合体(住友化学工業社製、商品名「SPX78H3」)40質量部、プロピレン−エチレンランダム共重合体(住友化学工業社製、商品名「S131」)40質量部、石油樹脂(荒川化学工業社製、商品名「アルコンP140」)20質量部の混合物を使用し、外層構成材としては、環状ポリオレフィン(三井化学製、商品名「APEL8008T」、ガラス転移温度Tg:70℃)100質量部を使用し、各々を別の押出機に投入して230℃でTダイより共押出しし、20℃に保持した冷却ロールで冷却固化させる。引き続いて、界面活性剤(松本油脂製薬社製、商品名「TB214」、アルキルスルホン酸ナトリウム)を、延伸後のコート量が0.01g/mとなる様にPA−水溶液で希釈して塗布する。その後85℃で25秒間予熱した後、80℃で横方向に7倍テンター延伸し、次いで同テンター内で7%弛緩させつつ83℃で40秒間熱固定してフラット状の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムを得た。このフィルムの厚さは基材層が24μm、表裏両側の外層が各々8μmで、トータル厚さは40μmであった。この延伸フィルムについて同様の性能評価試験を行ない、結果を表1に示した。
比較例1
前記実施例1において、外層構成材として、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体(住友化学工業社製、商品名「FL6741」)50質量部と、スチレン(含有率20%)/イソプレン共重合体(クラレ社製、商品名「HYBRAR 7125」)50質量部の混合物を使用した以外は、実施例1と同様にしてフラット状の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムを得た。このフィルムについて同様の性能評価試験を行ない、結果を表1に示した。
比較例2
前記実施例1において、外層構成材として、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体(住友化学工業社製、商品名「FL6741」)70質量部、スチレン(含有率20%)/イソプレン共重合体(クラレ社製、商品名「HYBRAR 7125」)30質量部の混合物を使用した以外は、実施例1と同様の方法でフラット状の熱収縮性フィルムを得た。このフィルムについて同様の性能評価試験を行ない、結果を表1に示した。
比較例3
前記実施例2において、界面活性剤(松本油脂製薬社製、商品名「TB214」、アルキルスルホン酸ナトリウム)を延伸後のコート量が0.01g/mとなる様にIPA−水溶液で希釈して塗布した以外は、実施例2と同様にしてフラット状の熱収縮性フィルムを得た。このフィルムについて同様の性能評価試験を行ない、結果を表1に示した。
Figure 0004380330
本発明の熱収縮性ポリオレフィン系フィルムは、オーバーコート処理などを要することなく加熱時のラベル同士のブロッキングを防止できるため、加熱して販売されるPETボトルやガラス瓶入り飲料などに適用される収縮ラベルや収縮包装などとして好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 熱収縮性のポリオレフィン系フィルムであって、該フィルムを重ね合わせ、温度90℃の熱板で押え圧力0.4MPaで5分間加圧したときの圧接部の剥離強度が2N/15mm以下であり、且つ、テトラヒドロフランを用いた溶剤接着強度が2N/15mm以上であり、スチレン系ブロック共重合体30〜70質量%とポリプロピレン系樹脂70〜30質量%とからなる外層と、ポリプロピレン系樹脂に、石油樹脂が5質量%以上40質量%以下と、環状ポリオレフィンが1質量%以上10質量%以下配合されてなる基材層とが積層されていることを特徴とする熱収縮性ポリオレフィン系フィルム。
  2. 熱収縮性ポリオレフィン系フィルムの試料を、80℃の温水中に10秒間浸漬して引き上げ、次いで25℃の水中に10秒間浸漬してから引き上げたときの主収縮方向の熱収縮率が20%以上である請求項1に記載の熱収縮性ポリオレフィン系フィルム。
  3. フィルムの比重が0.95以下である請求項1また2に記載の熱収縮性ポリオレフィン系フィルム。
  4. フィルムの主収縮方向の自然収縮率が、40℃・7日間で2.5%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の熱収縮性ポリオレフィン系フィルム。
  5. フィルムの主収縮方向に対し直交方向の自然収縮率が、40℃・7日間で0.5%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の熱収縮性ポリオレフィン系フィルム。
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