JP4380260B2 - 制御装置および温度調節器 - Google Patents

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Description

本発明は、計測対象や制御対象などのモデルに好適なモデル構造を用いた制御装置および温度調節器に関し、更に詳しくは、干渉のある制御対象の制御や予測制御などに好適なモデル構造を用いた制御装置および温度調節器に関する。
入出力が複数点の干渉のある制御対象、すなわち、制御対象に入力される操作量と制御対象からの制御量とを複数備えるとともに、操作量と制御量との間に相互干渉が存在する制御対象を、非干渉化制御する公知技術として、図32に示される非干渉化PID制御がある(例えば、非特許文献1参照)。
この例の制御対象30は、2入力(u,u)2出力(z,z)の2chの干渉のある制御対象であり、P11,P21,P12,P22は、伝達関数、C11,C22は、制御対象30からの制御量z,zと目標値r,rとの偏差に基づいて、操作量u’,u’を、それぞれ出力する主補償器であり、C12(s)とC21(s)は、非干渉化のためのクロスコントローラである。
この従来例は、制御対象の干渉の関係を行列として考えるものであり、干渉を打ち消すように、調節部31における非干渉化のためのクロスコントローラC12(s)とC21(s)の大きさを決めるものである。
制御量zが操作量u’の影響を受けず、制御量zが操作量u’の影響を受けないようにクロスコントローラC12(s)とC21(s)を設計すれば、非干渉化を達成することができる。このような影響の排除手段として逆行列を用いる方法もある。
須田信英他「PID制御」朝倉書店(システム制御情報学会編) 2000年3月10日、p62
しかしながら、前提となっている制御対象の干渉の関係は、単純な低次の行列関係ではない。そのため、上述の従来例の1次のモデルでは、理想的な非干渉化を実現することはできない。例えば、熱干渉のある制御対象に、従来の非干渉化PID制御を適用すると、図33および図34に示されるようになる。これらの図において、太い実線がu,zに対応するch1、細い実線がu,zに対応するch2をそれぞれ示している。
図33は、1次モデルで非干渉化した制御対象の特性である。1000秒で制御対象のch1にステップ状のヒータ出力(操作量)を入力した場合の温度(制御量)である。定常的には、非干渉化は充分に実現できているが、過渡的には問題である。ch1の温度が上昇しているのと反対にch2の温度は低下している。
図34は、その制御対象をCHR調整則で制御したときの目標値応答である。190℃の状態からch1だけ目標値を10℃上昇させたステップ応答である。過渡的な非干渉化が実現できていないため、ch1の目標値だけを変更したにもかかわらず、ch2の温度も大きく変化していることが分かる。
このような過渡的な非干渉化を実現できない原因は、制御対象の干渉の関係は、図32で示される操作量uから制御量zへの単純で一方的な関係ではないからである。
干渉よる熱量の移動は、温度差に起因している。複数点の制御対象の各点間の温度差が大きいときには、干渉による熱の移動は大きく、各点間の温度差が小さいときには、干渉による熱の移動は小さい。このような関係が考慮されていないために、想定する制御対象モデルの誤差が大きく、そのために、非干渉化制御の逆行列により打ち消せる要因も限界があるからである。
このため、従来の非干渉化制御は、実用に耐える場合が少なかった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、非干渉化制御や予測制御などに好適なモデル構造を用いた制御装置および温度調節器を提供することを目的とする。
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
本発明の制御装置は、制御対象からの複数の制御量と当該複数の制御量のそれぞれに対応して設定された複数の目標値との各偏差に基づいて、前記制御対象に対する複数の操作量をそれぞれ出力する複数の制御手段と、前記複数の制御手段からの前記複数の操作量を、各制御手段による制御が、他の制御手段による制御に与える影響をなくす又は低減するように処理して前記制御対象に対して出力する非干渉化手段とを備え、前記非干渉化手段は、制御対象モデルを用いて非干渉化するものであり、前記制御対象モデルは、前記複数の制御量の二つの制御量毎に、一方の制御量から他方の制御量を減算した制御量の差を、フィードバック要素を介して前記一方の制御量に対応する操作量から減算するとともに、前記他方の制御量に対応する操作量に加算するように操作量側にフィードバックするものであり、前記非干渉化手段は、前記制御量の差を、前記フィードバック要素に対応する補償要素を介して前記一方の制御量に対応する前記制御手段から入力される操作量に加算するとともに、前記他方の制御量に対応する前記制御手段から入力される操作量から減算するように操作量側にフィードバックするものである。
制御対象モデルは、制御量の差を、操作量側にフィードバックするので、干渉による対象の物理状態の変化が、物理状態の差に起因しているという現象を考慮したモデル構造となり、従来例のモデルに比べて、想定する対象のモデルの誤差が小さくなる。
本発明によると、従来例に比べて、誤差が小さな制御対象モデルを用いて非干渉化制御するので、従来例に比べて、高精度の非干渉化が可能となる。
本発明の一実施態様においては、前記制御対象モデルが、前記複数の制御量と同数の複数のモデル要素を含み、前記複数の制御手段からの操作量が各モデル要素にそれぞれ与えられ、前記複数のモデル要素の二つのモデル要素毎に、一方のモデル要素の出力から他方のモデル要素の出力を減算した出力の差である前記制御量の差を、前記操作量側にフィードバックするモデル構造である。
ここで、モデル要素とは、制御対象や計測対象などの想定している対象をモデル化するのに必要なものをいう。このモデル要素は、物理量、例えば、温度、圧力、流量、速度あるいは液位を、その出力として把握できるものである。このモデル要素は、例えば、熱板の温度制御、容器の圧力制御、タンクの液位制御を想定すると、入力、例えば、熱流(熱量)、気流、液体流量に対して、出力を、物理量、例えば、温度、圧力、液位として与えるものであり、容量成分、例えば、熱容量、容器体積、タンク断面積を有するものである。
したがって、容量成分を有するものを、モデル要素として把握することができ、例えば、熱容量の大きな金属製の支持構造体に固定された熱板によるウェハの熱処理を想定すると、熱容量を有する塊である熱板、ウェハ、支持構造体などをモデル要素として把握することができ、または、熱板を複数チャンネルのヒータで温度制御する場合には、各チャンネルのヒータに割当てられる熱板の各部分を、モデル要素として把握することができる。
このように、制御対象や計測対象などの注目している対象の特性や構成などに応じて、モデル要素およびその数を規定すればよい。
この実施態様によると、制御対象の制御量の差に対応するモデル要素の出力側の差を、入力側にフィードバックするというモデル構造としたので、従来例のモデル構造に比べて、想定する制御対象モデルの誤差が小さくなり、高精度の非干渉化が可能となる。
ここで、フィードバック要素は、制御量の差に係数値を乗じる要素であってもよいし、1次遅れ要素、あるいは、動特性を持たせた要素であってもよい。
本発明によると、干渉の度合いなどに応じて、フィードバック要素を設定することができるとともに、出力の差を、正負を異ならせて入力にフィードバックするので、例えば、温度差に応じて、一方から他方への熱量の移動が生じるという現象に適合したものとなり、従来例に比べて、制御対象モデルの誤差が一層小さくなり、より高精度の非干渉化が可能となる。
本発明によると、非干渉化手段では、制御対象モデルに基づいて、干渉を打ち消すように、操作量を配分するので、高精度の非干渉化が可能となる。
本発明の温度調節器は、制御対象からの複数の検出温度と当該複数の検出温度のそれぞれに対応して設定された複数の目標値との各偏差に基づいて、前記制御対象に対する前記複数の操作量をそれぞれ出力する複数の温度制御手段と、前記複数の温度制御手段からの前記複数の操作量を、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は低減するように、処理して前記制御対象に対して出力する非干渉化手段とを備え、前記非干渉化手段は、制御対象モデルを用いて非干渉化するものであり、前記制御対象モデルは、前記複数の検出温度の二つの検出温度毎に、一方の検出温度から他方の検出温度を減算した検出温度の差を、フィードバック要素を介して前記一方の検出温度に対応する操作量から減算するとともに、前記他方の検出温度に対応する操作量に加算するように操作量側にフィードバックするものであり、前記非干渉化手段は、前記検出温度の差を、前記フィードバック要素に対応する補償要素を介して前記一方の検出温度に対応する前記温度制御手段から入力される操作量に加算するとともに、前記他方の検出温度に対応する前記温度制御手段から入力される操作量から減算するように操作量側にフィードバックするものである。
制御対象モデルは、一方の検出温度から他方の検出温度を減算した検出温度の差を、前記一方の検出温度に対応する操作量から減算するとともに、前記他方の検出温度に対応する操作量に加算するように操作量側にフィードバックするので、温度差に応じて、一方から他方への熱量の移動が生じる、すなわち、一方は、熱量が奪われ(減算)、他方に、熱量が足される(加算)という現象に適合したものとなり、従来例のモデル構造に比べて、想定する対象のモデルの誤差が小さくなる。
したがって、本発明によると、従来例に比べて、誤差が小さな制御対象モデルを用いて非干渉化制御するので、従来例に比べて、高精度の非干渉化が可能となる。
本発明の温度調節器は、制御対象からの複数の検出温度を、複数の検出温度に基づく温度差である傾斜温度および代表的な代表温度に変換するための変換行列に従って変換を行う第1の変換手段と、前記第1の変換手段からの前記傾斜温度を制御量として操作量を出力する温度制御手段および前記代表温度を制御量として操作量を出力する温度制御手段を含む複数の温度制御手段と、前記複数の温度制御手段からの前記複数の操作量を、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は低減するように、前記制御対象に対して配分する配分手段とを備える温度調節器であって、前記配分手段は、前記変換行列の逆行列に従って前記各温度制御手段からの操作量を変換して出力する第2の変換手段と、該第2の変換手段から出力される操作量を、制御対象モデルを用いて処理して前記制御対象に対して出力する非干渉化手段とを備え、前記制御対象モデルは、前記複数の検出温度の二つの検出温度毎に、一方の検出温度から他方の検出温度を減算した検出温度の差を、フィードバック要素を介して前記一方の検出温度に対応する操作量から減算するとともに、前記他方の検出温度に対応する操作量に加算するように操作量側にフィードバックするものであり、前記非干渉化手段は、前記検出温度の差を、前記フィードバック要素に対応する補償要素を介して前記一方の検出温度に対応する前記温度制御手段から入力される操作量に加算するとともに、前記他方の検出温度に対応する前記温度制御手段から入力される操作量から減算するように操作量側にフィードバックするものである。
本発明によると、本件出願人が特願1999−215061「制御装置、温度調節器および熱処理装置」(特開2000−187514)として提案し、特許第3278807号として登録された、いわゆる傾斜温度制御において、誤差が小さな制御対象モデルを用いることにより、より高精度の非干渉化制御が可能となる。
本発明の一実施態様においては、前記制御対象モデルが、前記複数の検出温度と同数の複数のモデル要素を含み、前記複数の温度制御手段からの操作量が、各モデル要素にそれぞれ与えられ、前記複数のモデル要素の二つのモデル要素毎に、一方のモデル要素の出力から他方のモデル要素の出力を減算した出力の差である前記検出温度の差を、前記操作量側にフィードバックするモデル構造である。
この実施態様によると、制御対象の検出温度の差に対応するモデル要素の出力側の差を、入力側にフィードバックするというモデル構造としたので、従来例のモデル構造に比べて、想定する制御対象モデルの誤差が小さくなり、高精度の非干渉化が可能となる。
本発明によると、干渉の度合いなどに応じて、フィードバック要素を設定することができるとともに、出力の差を、正負を異ならせて入力にフィードバックするので、制御対象の干渉現象に適合したものとなり、従来例に比べて、制御対象モデルの誤差が一層小さくなり、より高精度の非干渉化が可能となる。
本発明によると、非干渉化手段では、制御対象モデルに基づいて、干渉を打ち消すように、操作量を配分するので、高精度の非干渉化が可能となる。
以上のように本発明によれば、従来例に比べて、誤差が小さな制御対象モデルを用いて非干渉化制御するので、従来例に比べて、高精度の非干渉化が可能となる。
以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一つの実施の形態に用いる制御対象モデルのモデル構造のブロック線図であり、上述の図32の従来例の制御対象30に対応するものである。
この実施の形態のモデル構造1は、2入力(u,u)2出力(z,z)の熱干渉系の制御対象の熱モデルであり、2chの制御対象モデルである。
入力u,uとしては、例えば、熱処理盤や熱処理炉などの制御対象をそれぞれ加熱する二つのヒータ出力である操作量を、また、出力z,zとしては、例えば、制御対象の温度をそれぞれ検出する二つの温度センサからの検出温度である制御量を想定することができる。
この制御対象モデルのモデル構造1は、2出力z,zの差を、減算部2で算出し、フィードバック要素Pfを介して2入力u,uに、減算部3および加算部4を介して正負を異ならせてそれぞれフィードバックするものである。
なお、P11,P22は、各入力u,uから各出力z,zへの伝達関数である。この例では、熱処理盤や熱処理炉などの制御対象の二つのヒータに割当てられた部分、すなわち、各chに対応する制御対象が、熱容量を有するモデル要素としてそれぞれ把握されるものであり、各モデル要素は、伝達関数P11,P22として示されている。
このモデル構造1は、熱干渉系の熱モデルであり、温度差があるときに、熱量の移動が生じ、この熱量の移動は、温度差に比例するというフーリエの法則の意味するところと等価である。
フーリエの法則は、例えば、「伝熱工学」、田坂英紀著、森北出版株式会社のp6より、熱移動量を決める重要な因子は、空間的な温度勾配であり、2点間の距離をΔx、2点間の温度差をΔTとすると、熱流束q(単位面積当たりの熱移動量)は、λを熱伝導率として、
q=−λ(dT/dx)
となる。
図1のフィードバック要素Pfがフーリエの法則の熱伝導率λに対応する。
このモデル構造1は、上述の各モデル要素の出力である2出力z,zの差、すなわち、温度差を、干渉の度合い等に対応するフィードバック要素Pfを介して各モデル要素の入力である2入力u,u、すなわち、熱量に対応する操作量に、正負を異ならせてそれぞれフィードバックするものであり、温度差によって、一方のchから他方のchへ熱量の移動が生じ、一方のchは熱量が奪われ(負)、他方のchには熱量が足される(正)という熱干渉の現象をブロック線図で表したものである。
すなわち、この制御対象モデルのモデル構造1は、熱系の制御対象の干渉は、二つの温度があって、温度の差ができたときに、その温度差に比例した熱量の移動が起こるというフーリエの法則を意味している。
フィードバック要素pfは、温度差によってどれだけ熱量が移動するかの比率であって、係数値であってもよいし、一次遅れ要素であってもよい。
次に、この制御対象モデルであるモデル構造1と図32の従来例の制御対象モデルとの特性の違いについて説明する。
図2は、このモデル構造1に仮のパラメータを設定した構成を示している。このモデル構造1の定常特性が、図3である。制御対象の入力である操作量uのch1だけに1000秒の時点に0から2のステップを入力したときの制御量を示しており、ch2の操作量uは、常に0であり、太い実線がch1を、細い実線がch2をそれぞれ示している。
この図3定常特性に一致するように従来の制御対象モデルのパラメータを設定した結果の定常特性が図4であり、従来例の制御対象モデルのパラメータが図5である。
定常特性は、良く一致させることができても、過渡特性は、一致させることができない。
のモデル構造1と従来例の制御対象モデルとの過渡特性を拡大したものが、図6および図7である。この実施の形態のモデル構造1では、図6に示されるように、温度差が発生し、熱の移動が始まるために遅れが発生しているのに対して、従来例の制御対象モデルでは、図7に示されるように、遅れなくch2の温度は上昇している。この違いが、制御性能の違いとして現れるのである。
従来例の制御対象モデルの干渉の要素を高次にすれば、この制御対象モデル1に近い状態にすることができるが、パラメータの数が増大して複雑になるという欠点が発生する。これについては,更に後述する。
図8は、非干渉化制御を行なう本発明の温度調節器を用いた温度制御システムの構成図である。
この実施の形態の温度調節器5は、上述の制御対象モデルであるモデル構造1を用いて非干渉化を行なうものであり、制御対象6からの二つの検出温度z,zと各目標温度SP,SPとの偏差に基づいて、操作量u’,u’をそれぞ演算出力する二つのPID制御手段7,7と、両PID制御手段7,7からの操作量u’,u’を、モデル構造1を用いて非干渉化するように処理して制御対象6に対して出力する非干渉化器8とを備えている。
両PID制御手段7,7および非干渉化器8などは、マイクロコンピュータによって構成されている。
図9は、この非干渉化器8およびモデル構造1のブロック線図であり、モデル構造1は、制御対象6を上述のようにモデル化したものである。
非干渉化器8は、制御対象6のモデル構造1の二つの出力z,zの差を算出する減算器9と、この減算器9からの出力を、制御対象6のモデル構造1のフィードバック要素Pfに対応する補償要素Pf’と、この補償要素Pf’の出力を、入力される操作量u’,u’に、加算または減算する加算器10および減算器11を備えており、この非干渉化器8は、干渉を打ち消すように構成されている。
非干渉化器8は、図9に示すように、制御対象6からの二つの検出温度z ,z の差を、補償要素Pf’を介してモデル構造1とは正負を逆にして操作量u ’,u ’にフィードバックしている。すなわち、モデル構造1では、二つの検出温度z ,z の差を、一方のch1に減算(負)し、他方のch2に加算(正)しているのに対して、非干渉化器8では、二つの検出温度z ,z の差を、前記一方のch1に加算(正)し、前記他方のch2に減算(負)している。
次に、この実施の形態の非干渉化制御と図32の従来例の非干渉化制御との制御特性の違いについて説明する。
図2のモデル構造1にむだ時間(パルス出力の制御周期を想定し1秒)を付け加えたものを制御対象のモデル構造1とする。非干渉化した制御対象の状態を、図10に示す。L,Lがむだ時間要素である。
特性を評価するための方法は、ch1の操作量にステップ入力を行い、そのときのch1とch2との変化を観察することで行なった。
従来例の非干渉化制御の構成は、図11に示される構成とし、非干渉化のための前置補償器12は、制御対象6の定常ゲインを行列にし、その逆行列とした。ch1に入力する大きさは、出力である温度が非干渉化前の定常値600℃程度になるような値とした。
具体的には、次の通りである。
Figure 0004380260
Figure 0004380260
次に、CHR調整則でPIDパラメータを決定して制御したときの制御特性(ステップ応答)を図12および図13に示す。図12が従来例であり、図13がこの実施の形態である。
ここで、CHR調整則によるPIDパラメータの計算について説明する。
外乱で行き過ぎが無い条件としては、以下の条件がある。
P=R・L/0.95
I=2.38・L
D=0.42・L
従来の非干渉化制御の場合には、シミュレーション上で非干渉化した制御対象にステップ入力を加え、計測すると、以下の通りとなった。
R=0.0054
L=1
したがって、下記の通りになる。
P=R・L/0.95=0.057
I=2.38・L=2.38
D=0.42・L=0.42
しかし、この値だとハンチングするため、比例ゲインを弱め、下記の値を、PIDパラメータとして採用した。
P=R・L/0.6=0.009
I=2.38
D=0.42
この実施の形態の非干渉化制御の場合には、シミュレーション上で非干渉化した制御対象にステップ入力を加え、計測すると以下の通りとなった。
R=1.0
L=1
したがって、下記の値を、PIDパラメータとして採用した。
P=R・L/0.95=1.05
I=2.38・L=2.38
D=0.42・L=0.42
従来の非干渉化制御では、図12に示されるように過渡的な非干渉化は実現できていない。PID制御した場合にも目標値応答の干渉がch間で非常に大きく発生している。
それに対し、本発明に係るモデル構造を用いた非干渉化制御では、図13に示されるように、非干渉化した後の制御対象の過渡的な特性もPID制御した場合の目標値応答でもch間の干渉は非常に小さい。このように本発明に係るモデル構造を用いることで、過渡的な非干渉化の効果が得られる。
上述の実施の形態では、非干渉化器8は、制御対象6の検出温度z,zに基づいて、非干渉化を行なったけれども、本発明の他の実施の形態として、制御対象6のモデル構造1を非干渉化器8に内蔵させて制御対象6の検出温度z,zを用いることなく、非干渉化してもよい。
図14は、傾斜温度制御を行なう本発明の温度調節器を用いた温度制御システムの構成図である。
傾斜温度制御は、上述のように、本件出願人が特願1999−215061「制御装置、温度調節器および熱処理装置」(特開2000−187514)として提案し、特許第3278807号として登録されたものである。
この傾斜温度制御は、制御対象から温度を、代表的な温度、例えば、平均温度と、温度差である傾斜温度とに変換し、これら平均温度および傾斜温度を、制御量として制御を行なうものである。
この実施の形態の温度調節器13は、制御対象6からの二つの検出温度z,zを、変換行列に従って平均温度と傾斜温度とに変換する第1のモード変換器14と、平均温度と目標平均温度との偏差または傾斜温度と目標傾斜温度との偏差に基づいて、操作量u’,u’をそれぞ演算出力する二つのPID制御手段7,7と、両PID制御手段7,7からの操作量u’,u’を、非干渉化するように配分する配分手段15とを備えている。
この実施の形態では、この配分手段15の構成に特徴を有し、この配分手段15は、第1のモード変換器14の変換行列の逆行列に従って変換を行なう第2のモード変換器16と、制御対象モデルを用いて非干渉化する非干渉化器17とを備えている。
図15は、第1,第2のモード変換器14,16、非干渉化器17および制御対象6のモデル構造1のブロック線図である。
第1のモード変換器14は、制御対象6であるモデル構造1からの二つの検出温度z,zを加算する加算器18と、この加算器18の出力を、1/2する乗算器19と、制御対象6であるモデル構造1からの二つの検出温度z,zの差をとる減算器20とを備えている。
第2のモード変換器16は、第2のPID制御手段7からの操作量u’を1/2する乗算器21と、第1のPID制御手段7からの操作量u’から前記乗算器21の出力を減算する減算器22と、第1のPID制御手段7からの操作量u’に、前記乗算器21の出力を加算する加算器23とを備えている。
非干渉化器17は、第1のモード変換器14からの制御対象6のモデル構造1の二つの検出温度の差が与えられる補償要素Pf’と、この補償要素Pf’の出力を、入力される操作量に、加算または減算する加算器10および減算器11を備えており、補償要素Pf’は、制御対象6のモデル構造1のフィードバック要素Pfに対応するものである。すなわち、この非干渉化器17は、上述の図10の非干渉化器8において、減算器9を省略して第1のモード変換器14の減算器20に置き換えた構成となっている。
なお、制御対象6のモデル構造1は、上述の図10と同様に、むだ時間要素L,Lを含んでいる。
第1,第2のPID制御手段7,7、第1,第2のモード変換器14,16および非干渉化器17などは、マイクロコンピュータによって構成されている。
上述の各実施の形態では、2点の制御対象に適用して説明したけれども、本発明は、3点以上の多点の制御対象にも同様に適用できるものである。
例えば、3入力(u〜u)3出力(z〜z)の制御対象の場合には、例えば、図16に示されるように、ch1とch2との出力z,zの差、ch2とch3との出力z,zの差を、対応する2入力u,u;u,uにフィードバック要素Pf,Pfを介してそれぞれフィードバックすればよい。この場合には、制御対象のモデル構造は、三つのモデル要素を含むことになり、各chに対応するモデル要素が、伝達関数P11,P22,P33で示されることになる。
また、制御対象を加熱する各ch1〜ch4の4つのヒータが、図17に示されるように直線状に配置される4入力(u〜u)4出力(z〜z)の制御対象の場合には、例えば、図18に示されるように、ch1とch2の出力z,z、ch2とch3の出力z,z、ch3とch4の出力z,zといったように隣合う2出力の差を、対応する2入力u,u;u,u;u,uにフィードバックすればよい。この場合には、制御対象のモデル構造は、四つのモデル要素を含むことになり、各chに対応するモデル要素が、伝達関数P11,P22,P33,P44でそれぞれ示されることになる。
さらに、制御対象を加熱する各ch1〜4の4つのヒータが、図19に示されるように、ch2の一つのヒータを中心に、放射状に配置される4入力(u〜u)4出力(z〜z)の制御対象の場合には、例えば、図20に示されるように、中心のヒータに対応するch2の出力zと他のch1,3,4のヒータの出力z,z,zの差を、対応する2入力u,u;u,u;u,uにフィードバックすればよい。
上述のように、従来例の制御対象モデルの干渉の要素を高次にすれば、この実施の形態のモデル構造1に近い状態にすることができるが、非常に高次のモデルでパラメータも非常に多いものとなる。それについて、説明する。
図6よりch1からch2への干渉関係の波形から伝達関数を類推するに、直線的な上昇でなく、上昇し始めの傾きは小さく徐々に増加する曲線的な動きをしている。この波形を、伝達関数で表現するのに少なくとも2次以上でないと表現できない。仮に2次で表現できたとしても、次のような複雑さになる。2行2列は、下記の行列次数になる。
1次 2次
2次 1次
これをパラメータに換算するとして、1次を表現するのに定常ゲインと時定数の2パラメータ、2次を表現するには、3パラメータが必要となるため、合計10パラメータ(=2+3+3+2)が必要になる。
これに対して、本発明に係るモデル構造の場合には、以下の通りである。
1次 無し
無し 1次+1パラメータ
同様にパラメータに換算すると、合計5パラメータ(=2+2+1)である。
2行2列でも10パラメータに対して5パラメータであり、非常に簡素化できる効果がある。さらに、行列が増えると、一層効果が得られる。
その効果を、以下の表1に示す。3行3列は、下記の行列次数になるとしている。
1次 2次 3次
2次 1次 2次
3次 2次 1次
Figure 0004380260
この表1より、チューニングによって決めるべきパラメータの数が7行を越えると、10倍以上になることが分かる。以上は、隣同士の干渉の伝達関数が2次に近似できたという仮定である。行列を使って実機波形再現にもっと高次が必要になれば、更に複雑になるのである。
したがって、行列形式の干渉モデルで、この実施形態のモデル構造と同様のことをできることはできるけれども、非常に複雑になって実用的なものにはならない。
ここで、この実施の形態の制御対象のモデル構造におけるフィードバック要素Pfのパラメータの求め方の一例を説明する。
例えば、モンテカルロシミュレーションのような探索手法(GAでもよい)を使って求めることができる。
すなわち、熱伝導率は、物理的に決まる値であるので、ある条件の範囲内に解があることは容易に想定できる。フィードバック要素Pfのパラメータが存在するであろう範囲と実機にステップ入力したときのステップ応答波形がデータとして得られているとする。
フィードバック要素Pfのパラメータを決められた範囲の中でランダムに変化させる。決まったフィードバック要素Pfのパラメータとステップ入力とを使って出力波形をシミュレーションで求める。シミュレーションで求まった波形と実機波形を比較して誤差がどの程度か演算する(差の2乗)。ランダムにフィードバック要素Pfのパラメータを変化させながら最も誤差が小さいフィードバック要素Pfのパラメータの値を求めていく。
ある程度の回数を繰り返すか、誤差が充分に小さくなった時点で探索を中止し、そのときのフィードバック要素Pfのパラメータがチューニング結果のフィードバック要素Pfのパラメータの値となる。
また、このモデル構造のパラメータのチューニング方法としては、ステップ応答、インパルス応答、昇温応答、リミットサイクル応答の波形の全て又は特徴的な一部の波形を記憶しておき、モデル構造のパラメータを変動させ、そのときの予測波形と比較し、最も誤差が小さいパラメータをモデル構造のパラメータとする方法がある。
次に、本発明の参考例について説明する。
図21は、本発明の参考例の温度調節器を用いた温度制御システムの構成図である。
このは、半導体製造装置であるウェハ熱処理装置の温度制御システムであり、温度調節器35は、ウェハを熱処理する熱板36の温度を、設定温度SP(目標温度)になるように制御するものである。
かかる熱処理装置では、設定温度SPに整定した熱板36でウェハを熱処理するものであるが、この熱処理は、ウェハが載置された熱板36に、チャンバと称される蓋を被せた状態で行なわれる。
図22は、設定温度SPに整定した熱板36にウェハを載置してチャンバを被せた状態のウェハの温度変化を示す図であり、同図(a)は、設定温度SPに整定した直後に熱処理された場合を、同図(b)は、設定温度SPに整定して数時間経過した後に熱処理された場合を示している。
従来では、設定温度SPが変更されて、熱板36の温度が設定温度SPに整定した直後におけるウェハの熱処理では、図22(a)に示されるように、ウェハの温度が、熱板36の設定温度SPよりも低い破線で示される温度までしか到達せず、設定温度SPよりも低い温度で熱処理されることになる。これ対して、熱板36の温度が設定温度SPに整定し、例えば、数時間程度経過した後のウェハの熱処理では、図22(b)に示されるように、ウェハの温度が、熱板36の設定温度SPに到達して熱処理が行なわれる。
このように熱板36の温度は、設定温度SPに整定しているにも拘わらず、整定直後とその数時間後とで、熱処理されるウェハの到達温度に差が生じるのは、熱板36に比べて時定数が大きな上述のチャンバなどの影響によるものである。チャンバなどの温度が安定するまでは、ウェハの温度は、熱板36の設定温度SPに到達することなく、熱処理されることになる。
このように、従来では、熱板36の温度が設定温度SPに整定した直後のチャンバなどの温度が安定していない場合と、その数時間経過後のチャンバなどの温度が安定している場合とでは、ウェハの熱処理温度にばらつきが生じるという課題がある。
そこで、この参考例では、モデル構造を用いてウェハ温度を推定して、ウェハの温度が設定温度SPに到達するように制御を行なうものである。
このため、このでは、図21に示されるように、ウェハ温度を推定するウェハモデル37を備えており、このウェハモデル37で予測されたウェハの推定温度と設定温度SPとの偏差を、積分(I)制御部38にフィードバックしている。
このでは、PID制御手段39は、比例微分(PD)制御部40と、前記積分制御部38とを備えており、比例微分制御部40には、設定温度SPと熱板36の温度との偏差が入力され、両制御部38,40の出力が加算されて熱板36に設けられたヒータに対する操作量となる。
この例のウェハモデル37は、図23に示されるように、熱板モデル要素41と、ウェハモデル要素42と、チャンバモデル要素43と、熱板36とウェハとの熱抵抗に対応する第1のフィードバック要素44と、ウェハとチャンバとの熱抵抗に対応する第2のフィードバック要素45とを備えるモデル構造である。
なお、P〜P、Pf1、Pf2は、伝達関数を示している。
このモデル構造では、熱板モデル要素41とウェハモデル要素42との出力の差を、第1のフィードバック要素44を介して正負を異ならせて熱板モデル要素41とウェハモデル要素42とにフィードバックする一方、ウェハモデル要素42とチャンバモデル要素43との出力の差を、第2のフィードバック要素45を介して正負を異ならせてウェハモデル要素42とチャンバモデル要素43とにフィードバックするものであり、ウェハモデル要素42の出力が、ウェハの推定温度となる。
このモデル構造は、注目している対象要素であるウェハとの間で熱の移動が生じる熱板およびチャンバをモデル要素として取り込み、その温度差を、入力側にフィードバックしてウェハ温度を推定するものである。
なお、このモデル構造は、上述の図16の3chのモデル構造において、入力および出力をそれぞれ一つにしたものに相当する。
このでは、ウェハモデル37として熱板モデル要素41を含んでいたけれども、熱板モデル要素41を用いることなく、図24および図25に示されるように、実際の熱板36の温度を用いてウェハ温度を、より精度高く推定するようにしてもよい。
すなわち、図24および図25のモデル構造では、熱板モデル要素41が省略され、ウェハモデル要素44の出力と実際の熱板36の出力との差が、第1のフィードバック要素41を介してウェハモデル要素44の入力側にフィードバックされたものである。なお、この図25のモデル構造では、各モデル要素P,Pには、フィードバック要素Pf,Pfからのフィードバック入力は与えられるものの、それ以外の本来の入力は与えられていない構造となっている。
図26は、この図25のモデル構造を用いた参考例によるウェハ温度(細い実線)と、従来のウェハ温度(太い破線)の変化を示す図である。
熱板36の設定温度SPを変更した後のウェハの温度変化を示ししている。
この参考例によれば、従来例に比べて、ウェハ温度が、早く設定温度SPに到達することが分かる。
したがって、この参考例によれば、熱板36の設定温度変更時におけるウェハ到達温度の差をなくして熱処理のばらつきを低減することができる。
この参考例では、ウェハの温度に影響を与えるチャンバを、モデル要素として取り込んだけれども、他の参考例として、さらに、他のモデル要素、例えば、熱板36が取り付けられている支持構造体などを取り込んだモデル構造としてもよい。
図27は、更に他の参考例の温度調節器のブロック図である。
の例の温度調節器46は、熱板などの制御対象47の温度を設定温度SPに制御するものであって、PID操作量を出力するPID制御手段48と、むだ時間補償出力を与えるむだ時間補償器49とを備えるものであり、むだ時間補償器49の出力と制御対象47からの検出温度とが加算器50で加算されてフィードバックされてスミス補償型のむだ時間補償制御を行なうものである。
従来のスミス補償型制御では、制御対象47のモデルは、むだ時間+1次遅れとされており、従来のむだ時間補償器49’は、図28に示されるように、一次遅れ要素51およびむだ時間要素52からなる制御対象モデルと、この制御対象モデルからむだ時間要素52を除いた一次遅れ要素51からなるモデルとを備え、むだ時間のないモデルの出力から制御対象モデルの出力を、減算器53で減算してむだ時間補償出力を与えるように構成されている。なお、図28では、仮のパラメータを示している。
従来のスミス補償型制御では、上述のように、制御対象のモデルを、むだ時間+一次遅れとしているのに対して、実際の制御対象の特性は、一次遅れの特性とは、大きく異なっているものが多く、このため、目標値応答のオーバーシュート抑制効果も充分に発揮されない場合も多いという課題がある。
例えば、ヒータブロックを制御対象とする温度制御に適用して説明すると、ヒータブロックは、空中にポッカリ浮かんでいるのではなく、熱容量の大きな金属製の支持構造体などに固定されている。このように熱容量の大きな支持構造体に固定されているヒータブロックでは、むだ時間+一次遅れの制御対象とは、全く異なる動きをする。
そこで、この参考例では、従来のむだ時間+一次遅れのモデルに代えて、デル構造を用いてスミス補償型制御を行なうものである。
すなわち、この参考例のむだ時間補償器49は、図29に示されるように、従来の一次遅れ要素51に代えて、例えば、ヒータブロックの温度制御では、制御対象であるヒータブロックのモデル要素54と、ヒータブロックを支持する支持構造体のモデル要素55と、両者の間の熱抵抗に対応するフィードバック要素56とを備えており、両モデル要素54,55の出力の差、すなわち、温度の差を、フィードバック要素56を介して正負を異ならせて各モデル要素54,55の入力にフィードバックするモデル構造を用いている。なお、図29では、仮のパラメータを示している。
図30は、かかるモデル構造を用いた参考例にステップ状の操作量(太い実線)に対するヒータブロックの温度波形(細い実線)を示しており、図31は、前記モデル構造に代えて一次遅れ要素を用いた図28の従来例の対応する波形図である。
これらの図から明らかなように、参考例のモデル構造を用いたスミス補償型制御では、従来例に比べて、オーバーシュートが抑制されていることが分かる。
このようにむだ時間+一次遅れのモデルでは、オーバーシュート抑制効果が出せない制御対象に対して、むだ時間+参考例のモデル構造のモデルとすることによって、オーバーシュート抑制効果を出せることになる。
このようにオーバーシュートの抑制効果を奏することができるので、
熱処理における品質の向上を図ることができ、不良品の発生率を低減することができる。
また、オーバーシュートを抑制できるので、整定時間を短縮することができ、タクトタイムを減少させることができる。
(その他の実施の形態)
上述の実施の形態では、PID制御に適用して説明したけれども、本発明はPID制御に限らず、オンオフ制御、比例制御、積分制御などの他の制御方式に適用できるものである。
上述の実施の形態では、ヒータなどを用いた温度制御に適用して説明したけれども、ペルチェ素子や冷却器を用いた温度制御に適用してもよいのは勿論であり、さらに、加熱と冷却とを併用する温度制御に適用してもよい。
本発明は、温度制御に限らず、物理量の差によって移動が生じるような物理状態の制御に適用できるものである。
発明は、熱酸化装置、拡散炉、CVD装置、成形機、包装機などの各種の熱処理装置に適用できるものである。
本発明は制御装置、温度調節器して有用である。
本発明の一つの実施の形態に係る制御対象モデルを示す図である。 図1の制御対象モデルに仮のパラメータを設定した構成図である。 図2の制御対象モデルの定常特性を示す図である。 従来の制御対象モデルの定常特性を示す図である。 従来例の制御対象モデルのパラメータを設定した構成図である。 図2の制御対象モデルの過渡特性を拡大して示す図である。 従来例の制御対象モデルの過渡特性を拡大して示す図である。 本発明の温度調節器を用いた温度制御システムの概略構成図である。 図8の非干渉化器8および制御対象モデル1のブロック線図である。 制御対象モデルにむだ時間要素を加えた図9に対応するブロック線図である。 従来例の非干渉化制御の構成図である。 従来例の制御特性を示す図である。 図10の実施の形態の制御特性を示す図である。 本発明の温度調節器を用いた温度制御システムの概略構成図である。 図14の第1,第2のモード変換器14,16、非干渉化器17および制御対象モデル1のブロック線図である。 本発明の他の実施の形態の制御対象モデルを示す図である。 各chの配置を示す図である。 図17に対応する制御対象モデルを示す図である。 各chの配置を示す図である。 図19に対応する制御対象モデルを示す図である。 参考例の温度制御システムの構成図である。 ウェハの温度変化を示す図である。 図21のウェハモデルを示す図である。 更に他の参考例の温度制御システムの構成図である。 図24のウェハモデルを示す図である。 参考例と従来例のウェハの温度変化を示す図である。 他の参考例の温度制御システムの構成図である。 従来例のむだ時間補償器の構成を示す図である。 図27のむだ時間補償器の構成図である。 参考例のステップ入力に対するヒータブロックの温度変化を示す図である。 従来例のステップ入力に対するヒータブロックの温度変化を示す図である。 従来例の非干渉化制御の構成図である。 従来例の制御対象の特性図である。 従来例の目標値応答を示す図である。
符号の説明
1 モデル構造
5,13,35,46 温度調節器
6,30,47 制御対象
,7 PID制御手段
8,17 非干渉化器
37,37’ ウェハモデル
14,16 第1,第2のモード変換器
Pf フィードバック要素

Claims (5)

  1. 制御対象からの複数の制御量と当該複数の制御量のそれぞれに対応して設定された複数の目標値との各偏差に基づいて、前記制御対象に対する複数の操作量をそれぞれ出力する複数の制御手段と、
    前記複数の制御手段からの前記複数の操作量を、各制御手段による制御が、他の制御手段による制御に与える影響をなくす又は低減するように処理して前記制御対象に対して出力する非干渉化手段とを備え、
    前記非干渉化手段は、制御対象モデルを用いて非干渉化するものであり、
    前記制御対象モデルは、前記複数の制御量の二つの制御量毎に、一方の制御量から他方の制御量を減算した制御量の差を、フィードバック要素を介して前記一方の制御量に対応する操作量から減算するとともに、前記他方の制御量に対応する操作量に加算するように操作量側にフィードバックするものであり、
    前記非干渉化手段は、前記制御量の差を、前記フィードバック要素に対応する補償要素を介して前記一方の制御量に対応する前記制御手段から入力される操作量に加算するとともに、前記他方の制御量に対応する前記制御手段から入力される操作量から減算するように操作量側にフィードバックすることを特徴とする制御装置。
  2. 前記制御対象モデルが、前記複数の制御量と同数の複数のモデル要素を含み、前記複数の制御手段からの操作量が各モデル要素にそれぞれ与えられ、前記複数のモデル要素の二つのモデル要素毎に、一方のモデル要素の出力から他方のモデル要素の出力を減算した出力の差である前記制御量の差を、前記操作量側にフィードバックするモデル構造である請求項1記載の制御装置。
  3. 制御対象からの複数の検出温度と当該複数の検出温度のそれぞれに対応して設定された複数の目標値との各偏差に基づいて、前記制御対象に対する前記複数の操作量をそれぞれ出力する複数の温度制御手段と、
    前記複数の温度制御手段からの前記複数の操作量を、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は低減するように、処理して前記制御対象に対して出力する非干渉化手段とを備え、
    前記非干渉化手段は、制御対象モデルを用いて非干渉化するものであり、
    前記制御対象モデルは、前記複数の検出温度の二つの検出温度毎に、一方の検出温度から他方の検出温度を減算した検出温度の差を、フィードバック要素を介して前記一方の検出温度に対応する操作量から減算するとともに、前記他方の検出温度に対応する操作量に加算するように操作量側にフィードバックするものであり、
    前記非干渉化手段は、前記検出温度の差を、前記フィードバック要素に対応する補償要素を介して前記一方の検出温度に対応する前記温度制御手段から入力される操作量に加算するとともに、前記他方の検出温度に対応する前記温度制御手段から入力される操作量から減算するように操作量側にフィードバックすることを特徴とする温度調節器。
  4. 制御対象からの複数の検出温度を、複数の検出温度に基づく温度差である傾斜温度および代表的な代表温度に変換するための変換行列に従って変換を行う第1の変換手段と、
    前記第1の変換手段からの前記傾斜温度を制御量として操作量を出力する温度制御手段および前記代表温度を制御量として操作量を出力する温度制御手段を含む複数の温度制御手段と、
    前記複数の温度制御手段からの前記複数の操作量を、各温度制御手段による制御が、他の温度制御手段による制御に与える影響をなくす又は低減するように、前記制御対象に対して配分する配分手段とを備える温度調節器であって、
    前記配分手段は、前記変換行列の逆行列に従って前記各温度制御手段からの操作量を変換して出力する第2の変換手段と、該第2の変換手段から出力される操作量を、制御対象モデルを用いて処理して前記制御対象に対して出力する非干渉化手段とを備え、
    前記制御対象モデルは、前記複数の検出温度の二つの検出温度毎に、一方の検出温度から他方の検出温度を減算した検出温度の差を、フィードバック要素を介して前記一方の検出温度に対応する操作量から減算するとともに、前記他方の検出温度に対応する操作量に加算するように操作量側にフィードバックするものであり、
    前記非干渉化手段は、前記検出温度の差を、前記フィードバック要素に対応する補償要素を介して前記一方の検出温度に対応する前記温度制御手段から入力される操作量に加算するとともに、前記他方の検出温度に対応する前記温度制御手段から入力される操作量から減算するように操作量側にフィードバックすることを特徴とする温度調節器。
  5. 前記制御対象モデルが、前記複数の検出温度と同数の複数のモデル要素を含み、前記複数の温度制御手段からの操作量が、各モデル要素にそれぞれ与えられ、前記複数のモデル要素の二つのモデル要素毎に、一方のモデル要素の出力から他方のモデル要素の出力を減算した出力の差である前記検出温度の差を、前記操作量側にフィードバックするモデル構造である請求項3または4記載の温度調節器
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