以下、この発明による無線通信端末の実施形態を、ビジネスホンシステムに用いた場合を例に、図を参照しながら説明する。
図1は、この発明による無線通信端末の実施形態が用いられたビジネスホンシステムの全体の構成例を示すブロック図である。この例の無線LANは、IEEE802.11規格に準拠しており、通話音声情報や呼制御のための情報の他、全ての情報はパケット化されて送受される。この例においては、この発明による無線通信端末の実施形態は、パケット電話機として構成される。
この例のビジネスホンシステムは、主装置部1と、この主装置部1と無線LAN3を通じて無線接続される複数個のパケット電話機2とから構成されている。
主装置部1は、無線LAN用アクセスポイント装置10(以下、単にアクセスポイント装置という)と、サーバ装置12と、ゲートウエイ13とを備えて構成されている。アクセスポイント装置10は、有線LAN11を通じてサーバ装置12に接続されている。
サーバ装置12は、この例のビジネスホンシステムの場合には、電話通信中継交換装置の役割をもするものであり、ゲートウエイ13を通じて外部ネットワーク、この例においては、公衆交換電話網(PSTN;Public Switched Telephone Network)14にも接続される。なお、外部ネットワークには、インターネットをも含むものである。
この例においては、主装置部1は、電話通信用として、複数回線分を収容可能とされており、サーバ装置12は、収容している電話通信用回線のそれぞれに識別情報(例えば回線番号)を付与して管理している。そして、例えば、ある回線に着信があると、サーバ装置12は、当該着信があった回線の識別情報と共に、着信通知をアクセスポイント装置10を通じてすべてのパケット電話機2に通知するようにする。
パケット電話機2は、着信通知に含まれる回線の識別情報から、いずれの回線に着信があったかを検出し、当該着信があった回線に対する着信通知表示を、後述するようにして行なう。
また、パケット電話機2からの主装置部1への回線捕捉要求には、当該回線捕捉要求する回線の識別情報が付加される。サーバ装置12は、当該付加されている回線識別情報からいずれの回線への捕捉要求であるかを検出して、捕捉処理を行なう。
アクセスポイント装置10に対しては、複数個のパケット電話機2のそれぞれに内蔵される無線LAN用端末側ステーション装置部(以下、単にステーション装置部という)20が、それぞれ無線リンクにより接続される。アクセスポイント装置10と複数個のステーション装置部20との間で形成される無線リンクは、無線LAN3を構成する。
そして、この例では、各パケット電話機2においては、ステーション装置部20は、電話機部30に接続される。また、この例では、パケット電話機2は、電源として、例えば充電式のバッテリー40を用いるものとして構成されており、省電力化のため、通信を行なっていないときには、スタンバイ状態を間に挟んで、一定周期で、間欠受信状態を繰り返すように構成されている。
サーバ装置12は、無線LAN3にステーション装置部20を介して接続されるパケット電話機2のそれぞれについての、無線LAN3上のアドレス情報を管理している。そして、サーバ装置12は、無線LAN3を通じた電話通信の通話路を管理する。例えば、サーバ装置12は、外部ネットワーク4に接続された複数の電話用回線のそれぞれについて、当該電話用回線を通じた他の電話端末と、アクセスポイント装置10、無線LAN3を介したパケット電話機2との間の通話(外線通話)について、通信制御および管理する。
また、サーバ装置12は、管理しているアドレス情報を用いて、複数台のパケット電話機2のいずれか一つのパケット電話機と、他の一つのパケット電話機2との間での、無線LAN3およびサーバ装置12を通じた内線通話についての通信制御および管理をも行なうようにしている。
サーバ装置12は、例えば外部ネットワーク4を通じて、複数の電話用回線のいずれかに、相手方から着信があったときには、当該回線に着信があったことを知らせる着信通知のパケット(着信通知の情報と、当該着信のあった回線の識別情報を含む)を、マルチキャストによりアクセスポイント装置10に送る。
アクセスポイント装置10は、この例では、この着信通知のパケットは、重要パケットと判断して、その着信通知のパケットはユニキャストのパケットに変換し、無線LAN3を通じて配下のパケット電話機2のステーション装置部20の全てに送る。
ステーション装置部20のそれぞれは、当該着信をパケット電話機2の電話機部30に転送する。電話機部30は、当該着信を、パケット電話機2のユーザに、例えばベル鳴動などにより通知すると共に、受け取った回線の識別情報に基づく、当該回線に着信があったことを後述するようにして表示してユーザに知らせる。
いずれかのパケット電話機2のユーザがこの着信に応答すると、その応答メッセージが、当該応答のあったパケット電話機2から、そのステーション装置部20を通じ、無線LAN3を通じてアクセスポイント装置10に伝送される。
アクセスポイント装置10は、この応答をサーバ装置12に送り、サーバ装置12は、この応答をゲートウエイ13および着信があった電話用回線通じて外部ネットワーク4に送出し、相手方に通知する。これにより、無線LAN3を通じた通話路が形成され、無線LAN3を通じて音声パケットの伝送がなされて通話がなされる。
複数台のパケット電話機2のいずれかのユーザが、前記複数の電話用回線のいずれかを捕捉して発信の操作をした場合には、上述とは逆の経路で、発信の相手先に着信され、当該発信の相手先が応答すれば、無線LAN3を通じた通話路が形成され、無線LAN3を通じて音声パケットの伝送がなされて通話がなされる。
サーバ装置12は、上述のようにして着信応答により生成された通話路や、発呼により生成された通話路を管理しており、無線LAN3を通じて、当該通話路が生成されている電話用回線の状態情報を、パケット電話機2の全てに、回線状態の通知用パケットとして生成し、マルチキャストのパケットとしてアクセスポイント装置10に送る。
アクセスポイント装置10は、この例では、この回線状態の通知用パケット(着信通知のパケットを含む)を重要パケットと判断して、マルチキャストパケットとされている、その回線状態の通知用パケットをユニキャストパケットに変換し、無線LAN3を通じて配下の全てのパケット電話機2に、そのステーション装置部20を通じて送る。回線状態の通知用パケットを受け取った各パケット電話機2は、後述するように、当該通知用パケットを解析し、その解析結果に応じて後述するような、着信表示や当該通信用回線について他端末が外線使用中の表示などを行なってユーザに通知するようにする。
なお、通話音声のパケットは、特定の相手先を指定するパケットであり、ユニキャストパケットとされるものである。なお、マルチキャストで送られる情報は、上述のような着信パケットや、回線状態の通知用パケットだけではないことは言うまでもない。
この実施形態では、着信や外線使用中などの回線状態の通知用パケットなどのように、マルチキャストのパケットであっても、パケット電話機2に対して必ず到達させたいパケットは、重要パケットとして、他のマルチキャストのパケットとは区別するようにする。
そして、この実施形態では、マルチキャストパケットのうちの、重要でないものはそのままマルチキャストで無線LAN3に送出するが、重要なものは、上述したように、アクセスポイント装置10において、配下の全てのパケット電話機2のステーション装置部20に宛てたユニキャストパケットに変換して、全てのパケット電話機2に確実に到達させるようにしている。
アクセスポイント装置10は、サーバ装置12と、パケット電話機2のステーション装置部20との間におけるパケットの送受の中継を、主として行なうものであるが、この実施形態では、上述の点を実現するために、単に、パケットの送受の中継機能だけではなく、上述のマルチキャストパケットをユニキャストパケットに変換する機能のために、次のような、処理機能を備える。
すなわち、アクセスポイント装置10は、パケットがマルチキャストパケットか、ユニキャストパケットかを識別する機能と、パケットの種別やパケットにより送受されるデータの種別などを判別する機能とを備えると共に、サーバ装置12からマルチキャストのパケットを受け取ったときに、そのパケット種別あるいはデータ種別が、重要なものとして予め定められた特定の種別のパケットやデータのときには、サーバ装置12から受け取ったマルチキャストのパケットを、ユニキャストのパケットに変換する機能を備えている。
アクセスポイント装置10は、無線LAN3を通じて接続される配下の複数のステーション装置部20(延いては各パケット電話機2)のアドレスやポート番号を管理しており、マルチキャストのパケットをユニキャストのパケットに変換するときには、それらの管理データを用いて、管理している配下の全てのステーション装置部20に対するユニキャストパケットを生成して、それらを配下の全てのステーション装置部20に送るようにする。
なお、この実施形態では、パケット電話機2は間欠受信をするため、当該パケット電話機2がスタンバイ状態のときには、ユニキャストパケットに対する受信確認情報をアクセスポイント装置10は得られず、当該ユニキャストパケットは、未送達のユニキャストパケットとなる。
この未送達のユニキャストパケットは、IEEE802.11規格に準拠した未送達の通知方法を用いることにより、確実に宛先のパケット電話機2にステーション装置部20を通じて送ることができる。
次に、この実施形態の無線LANシステムを構成するアクセスポイント装置10およびステーション装置部20を含むパケット電話機2の詳細な構成例および動作例を説明する。
<アクセスポイント装置10のハードウエア構成>
図2は、主装置部1のアクセスポイント装置10のハードウエア構成例を示すブロック図である。
この例のアクセスポイント装置10は、例えばマイクロコンピュータからなる制御部101と、有線LANインターフェース(図ではインターフェースはI/Fと記載する。以下同じ)102と、送信用処理回路103と、受信用処理回路104と、送信アンプ105と、受信アンプ106と、アンテナ切換回路107と、送受信アンテナ108と、送受信アンテナ109とを備えて構成される。
有線LANインターフェース102は、この例では、有線LAN11を通じてサーバ装置12に接続されている。2個の送受信アンテナ108および109は、ダイバーシティアンテナを構成するもので、無線LAN3を通じてのパケットの送受を行なうためのものである。
アクセスポイント装置10では、有線LANインターフェース102を通じて得たサーバ装置12からの送信用パケットを、制御部101の制御に応じて送信用処理回路103およびアンプ105、また、アンテナ切換回路107を介して送受信アンテナ108または109の一方に供給して、ステーション装置部20に対して無線送信する。
また、送受信アンテナ108または109の一方を通じて受信したステーション装置部20からのパケットは、アンテナ切換回路107およびアンプ106を通じて受信用処理回路104に供給される。そして、受信用処理回路104からのパケットは、制御部101に供給される。制御部101は、受信したパケットを、有線LANインターフェース102および有線LAN11を通じてサーバ装置12に送出する。
制御部101は、マイクロコンピュータにより構成されるもので、例えば、図2に示すようなブロック構成とされる。すなわち、CPU(Central Processing Unit)110に対して、システムバス111を介して、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113と、パケット分解/生成部114と、無線端末情報管理部115と、受信バッファ116と、送信バッファ117と、ビーコン生成部118と、送信態様判別部119と、情報種別判別部120と、送信情報生成部121とが接続されている。
図2では、省略したが、有線LANインターフェース102に接続されるポートや、送信用処理回路103、受信用処理回路104と制御情報や送受信情報のやり取りを行なうポートなども、制御部101は、備えるものである。
パケット分解/生成部114は、インターフェース102により取り込んだパケット化データを分解して、パケットヘッダを分離し、送信態様判別部119や情報種別判別部120に転送する機能と、送信するデータをパケット化して送出するパケットデータを生成する機能を有する。このパケット分解/生成部114は、パケットデータを分解したり、生成したりするためのバッファメモリを備える。
無線端末情報管理部115は、無線LAN3を通じて接続される配下のパケット電話機2のステーション装置部20のアドレス情報やポート番号を記憶して管理する。
受信バッファ116は、有線LANインターフェース102を通じて受け取ったパケットデータや、無線LAN3から受け取ったパケットデータを一時格納するためのものである。
送信バッファ117は、配下のパケット電話機2(ステーション装置部20)のそれぞれについて、当該パケット電話機2に対して送出すべきパケットを待ち行列として順次に蓄積してゆく送信キューを備える。当該パケット電話機2に送られていない未送達のパケットが、それぞれの送信キューに登録される。
ビーコン生成部118は、主として、ステーション装置部20がアクセスポイント装置10をサーチし、自装置をアクセスポイント装置10に登録するための等に用いられる特定の電波、すなわち、ビーコンを、一定周期、例えば100ミリ秒周期で生成し、生成したビーコンをパケット分解/生成部114でパケット化して、無線LAN3に送出するようにする。
そして、ビーコン生成部118は、送信バッファ117に未送達のパケットがあるときには、当該未送達のパケットがあるパケット電話機2のステーション装置部20宛てに、未送達のパケットをあることを通知する情報を重畳したビーコンを生成する。ステーション装置部20は、間欠受信において、当該ビーコンを受信することにより、自分宛ての未送達のパケットがあることが知る。
送信態様判別部119は、この例では、パケットヘッダに含まれるアドレス情報を識別して、パケットがマルチキャストか、ユニキャストかを判別する。すなわち、パケットヘッダのアドレス情報としては、ユニキャスト用のものと、マルチキャスト用のものとが予め定められており、例えばマルチキャスト用のアドレス情報が送信態様判別部119には記憶されている。したがって、送信態様判別部119は、パケットヘッダのアドレス情報を認識し、認識したアドレス情報と、記憶されているアドレス情報とを比較することにより、マルチッキャストのパケットかユニキャストのパケットかを認識することができる。
情報種別判別部120は、この例では、パケットヘッダに含まれるポート番号を認識することにより、データの種別あるいはパケットの種別を判別する。すなわち、ポート番号は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に準拠して定められるもので、音声情報、データ、制御情報などのデータに種別ごとに、あるいは、パケットの種別ごとに、別々のポート番号が割り当てられている。また、ユーザが、未定義のポート番号に、着信通知、他使用中や保留中などの回線状態の通知等のパケット種別やデータ種別を割り当てることもできるようにされている。
そこで、この実施形態の情報種別判別部120では、例えば、着信通知、他使用中や保留中などの回線状態の通知等などの重要なマルチキャストパケットの情報について、それらに割り当てられているポート番号を記憶しており、受信したマルチキャストパケットのパケットヘッダに含まれるポート番号を認識して、当該認識したポート番号と、記憶したポート番号とを比較することで、受信したマルチキャストパケットが、例えば着信通知のパケットや、回線状態の通知パケットなどの重要な情報パケットであるどうかを判別するようにする。
送信情報生成部121は、通常は、有線LANインターフェース102を通じて受け取ったパケットを、送信情報として、そのまま用いるようにする。しかし、送信態様判別部119で、サーバ装置12から有線LANインターフェース102を通じて受け取ったパケットがマルチキャストパケットであり、かつ、この実施形態では、情報種別判別部120で、着信通知やランプ情報のような重要情報のパケットであると判別したときには、マルチキャストパケットをユニキャストパケットに変換して送出するようにする。
このとき、前述したように、送信情報生成部121は、1個のマルチキャストパケットに対して、無線端末情報管理部115を検索して、配下のパケット電話機2のステーション装置部20の全てに対する複数個のユニキャストパケットを生成する。
なお、ビーコン生成部118、送信態様判別部119の判別機能、情報種別判別部120の判別機能は、ROM112に記憶されているソフトウエアプログラムに基づいてCPU110がRAM113をワークエリアとして用いて行なうソフトウエア処理とすることができる。
<パケット電話機2のステーション装置部20のハードウエア構成>
ステーション装置部20の基本的なハードウエア構成は、アクセスポイント装置10とほぼ同様の構成を有する。図3に、ステーション装置部20の構成例のブロック図を示す。
すなわち、ステーション装置部20は、例えばマイクロコンピュータを備えて構成される制御部201と、端末インターフェース202と、送信用処理回路203と、受信用処理回路204と、送信アンプ205と、受信アンプ206と、アンテナ切換回路207と、送受信アンテナ208および209とを備えている。
端末インターフェース202は、この例では、電話機部30に接続されている。送受信アンテナ208および209は、無線LAN3を通じてのパケットの送受を行なうためのものである。
ステーション装置部20は、端末インターフェース202を通じて、電話機部30からの呼設定メッセージのパケットや通話音声情報のパケットを、送受信アンテナ208または209を通じてアクセスポイント装置10に送信する。また、アクセスポイント装置10からの受信パケットを、端末インターフェース202を通じて電話機部30に送る。
そして、制御部201は、この実施形態では、図3に示すようなブロック構成とされる。すなわち、CPU210に対して、システムバス211を介して、ROM212と、RAM213と、パケット分解/生成部214と、受信バッファ215と、送信バッファ216と、間欠受信管理部217とが接続されている。
パケット分解/生成部214は、無線LAN3を通じて取り込んだパケット化データを分解して、自分宛ての制御データや音声データを得る機能と、端末インターフェース202からの送信する制御データや音声データをパケット化して送出するパケット化データを生成する機能を有する。
受信バッファ215は、端末インターフェース202を通じて受け取ったパケットデータや、無線LAN3から受け取ったパケットデータを一時格納するためのものである。
送信バッファ216は、送信しようとするパケットデータを一時格納しておくためのもので、送信情報のパケットを順次に待ち行列として蓄積してゆく送信キューを備える。
また、間欠受信管理部217は、当該パケット電話機2が通信を行なっていないときに、一定周期で、間欠受信状態を実行すると共に、間欠受信状態と間欠受信状態との間は、スタンバイ状態となって、バッテリー40の電力消費を抑えるようにする。スタンバイ状態では、次の間欠受信状態に復帰するため、また、電話機部30におけるユーザの発呼操作に応じて、パケット電話機2が立ち上がってアクティブ状態になるのに必要な部位にのみ、バッテリーから電源電圧が供給されており、非常に小さい消費電流とされている。
間欠受信管理部217は、ステーション装置部20についての電源系を制御するだけでなく、電話機部30の後述するCPU310を介在して、電話機部30の電源系をも制御することができるようにしている。すなわち、パケット電話機2をスタンバイ状態にするときには、その旨を端末インターフェース202を通じて電話機部30に通知すると共に、アクティブ状態に立ち上がるときには、その旨を端末インターフェース202を通じて通知するようにする。電話機部30のCPU310は、これらの通知に応じて、電話機部30の電源系を制御して、省電力を実現する。
間欠受信を実行する周期は、目的とする省電力量に応じたものとされるが、無線LANの場合には、例えば、アクセスポイント装置10から発生するビーコンの発生周期の2倍以上とされる。例えば、ビーコンの発生周期の4倍(この例では400ミリ秒)とされている。パケット電話機2がスタンバイ状態から間欠受信状態になったときに、アクセスポイント装置10からのビーコンを少なくとも一回は、受信することができるようにする必要があるため、ビーコン周期と同じ周期では省電力化することができないからである。
間欠受信において、アクセスポイント装置10からのビーコンを受信したときに、当該ビーコンに自装置宛の未送信パケットがあることを示す通知が重畳されていることを認識したときには、ステーション装置部20の間欠受信管理部217は、自パケット電話機2をスタンバイ状態からアクティブ状態に立ち上げ、自パケット電話機2が立ち上がったことを、アクセスポイント装置10に通知するようにする。
アクセスポイント装置10は、パケット電話機2についての立ち上がりの通知を受けると、当該立ち上がったパケット電話機宛ての未送信のパケットをユニキャスト送信するようにする。これに対して、パケット電話機2のステーション装置部20は、受信確認情報をアクセスポイント装置10に返し、受信確認をアクセスポイント装置10に知らせる。その後は、パケット電話機2では、やり取りした未送信パケットの内容に応じた処理がなされることになる。
<パケット電話機2の電話機部30のハードウエア構成例>
図4に、この実施形態のパケット電話機2の電話機部30の内部ハードウエア構成例を示す。また、図5に、この実施形態のパケット電話機2の概観構成例を示す。
図4に示すように、電話機部30は、コンピュータを備えて構成されており、CPU310に対して、システムバス311を介して、ROM312と、RAM313と、ディスプレイコントローラ314と、操作入力インターフェース316と、ステーションインターフェース318と、パケット分解/生成部319と、音声データ入出力インターフェース320と、LED駆動制御部321と、回線状態記憶保持部327とが接続されている。
ディスプレイコントローラ314には、ディスプレイとしてこの例ではLCD315が接続されており、このLCD315の表示画面315Dには、後述するように、CPU310の制御にしたがった表示が行われる。
図5に示すように、この実施形態のパケット電話機2は、ノンロック式の押しボタンからなり、LED62を内蔵する自照式のフレキシブルキー61の複数個を備えると共に、LCD315の表示画面315Dには、これらの複数のフレキシブルキー61のそれぞれに対応するようにされているキー表示シンボル63の複数個が表示される。キー表示シンボル63は、この例では、フレキシブルキーと同様の図形表示からなる。
この例では、図5に示すように、フレキシブルキー61のそれぞれの左側と、キー表示シンボル63の左側には、対応するもの同士で同一の数字番号を付して、フレキシブルキー61とキー表示シンボル63との対応付けの認識を、ユーザが容易にできるようにしている。
ここで、複数個のフレキシブルキー61およびキー表示シンボル63は、通常、主装置部1に収容される通信用回線数以上が設けられて、全ての回線に対応することができると共に、その他に、パケット電話機2が備える各種機能を設定することができるように構成されている。
複数個のフレキシブルキー61に内蔵されるLED62により後述するLED群322が構成される。
また、操作入力インターフェース316には、操作入力部317が接続されている。この操作入力部317は、図5に示すように、前述したフレキシブルキー61の複数個の他、テンキー51と、上キー52、下キー53、左キー54、右キー55および決定キー56からなるカーソルキーや、保留キー57などの操作キーを含む。
テンキー51は、ダイヤル番号の入力のために用いられる。上キー52、下キー53、左キー54、右キー55および決定キー56からなるカーソルキーは、後述する表示モードの設定や、その他設定などの際に用いられる。保留キー57は、使用中回線を保留する際に用いられる。
なお、対応している回線が空きであるときに、フレキシブルキー61をユーザが押下操作すると、それは外線捕捉要求を意味する。また、この例では、対応している回線が自端末使用中であるときに、当該使用中のパケット電話機で当該フレキシブルキー61をユーザが押下操作すると、それは、終話操作を意味する。これらの回線の変化に関する情報は、パケット電話機2から当該状態変化した回線の識別情報を含むパケットとして主装置部1に送られる。
CPU310は、操作入力インターフェース316を介して操作入力部317を通じて使用者がいずれの操作キーを操作したかを認識し、その認識結果に基づいて、キー入力操作に応じた処理をROM312のプログラムに従って実行する。
なお、図5において、64は、スピーカ322からの音声を放音するための孔部であり、また、65は、マイクロホン323が音声を収音するための孔部である。
ROM312には、主装置部1から受信した回線状態の情報に応じたLED63やLCD315の表示画面315Dの表示制御のプログラム、無線LAN3を通じた発信時や着信時の処理シーケンスを実行するプログラム、その他の処理を実行するためのプログラムなどが記憶されている。RAM313は、主としてROM312のプログラムがCPU310によって実行される際にワークエリアとして使用される。
ステーションインターフェース318は、ステーション装置部20に接続され、当該ステーション装置部20を通じて送られてくるパケット化データを取り込み、また、ステーション装置部20にパケット化データを送出するための機能を備える。
パケット分解/生成部319は、インターフェース318により取り込んだパケット化データを分解して、回線状態の情報、制御データや音声データを得る機能と、送信する制御データや音声データをパケット化して送出するパケット化データを生成する機能を有する。このパケット分解/生成部319は、パケット化データを分解したり、生成したりするためのバッファメモリを備える。
なお、このパケット分解/生成部319のパケット分解処理機能や生成処理機能は、CPU310と、ROM312とにより、ソフトウエアとして実現することもできる。
音声データ入出力インターフェース320は、パケット分解されて得られた音声データをアナログ音声信号に変換して、アンプ323を通じて受話器を構成するスピーカ324に供給するようにする。また、送話器としてのマイクロホン325からの送話音声信号がアンプ326を通じてこの音声データ入出力インターフェース320に供給される。音声データ入出力インターフェース320は、この送話音声信号をデジタル音声信号に変換し、システムバス311を通じてパケット生成のためにパケット分解/生成部319に供給するようにする。
LED駆動制御部321には、この例では、前述したLED群322が接続され、無線LAN15を通じて受信する回線状態の通知情報パケットの解析結果に応じて、それらLED群322の各LEDの点灯、消灯、点滅などが制御される。
回線状態記憶保持部327は、主装置部1に収容されている複数の電話用回線に対応するフレキシブルキー61のそれぞれに対応して、その電話用回線の回線状態を記憶保持する。この回線状態記憶保持部327は、RAM313の一部としても良い。
[パケット電話機2の回線状態等の表示]
この実施形態のパケット電話機2では、例えば上キー52はメニュー表示キーを兼用するようにされており、このメニューの中に、主装置部1に収容されている複数の回線や各種機能とフレキシブルキー61との対応付け設定や、回線状態の表示モードの設定などの項目が用意されている。
ユーザは、上キー52を操作することにより表示画面315Dに表示されたメニューの中から、前記のフレキシブルキー61の対応付け設定を選択し、さらに、上キー52、下キー53、左キー54、右キー55および決定キー56などのカーソルキーや、テンキー51の一部などを操作することにより、各フレキシブルキー61に対して、電話用回線や、各種機能を設定しておくことができるようにされている。
例えば、この例では、主装置部1で、例えば5回線が収容可能とされており、「1」〜「5」までの数字番号のフレキシブルキー61には、それらの5回線のそれぞれが設定される。そして、この例では、「6」〜「8」までの数字番号のフレキシブルキー61に対しては、ワンタッチダイヤル、短縮、リダイヤルなどの機能を設定することができるようにされている。
したがって、「1」〜「5」までの数字番号のフレキシブルキー61のLED62により、対応付け設定された回線の回線状態が表示されるようにされる。また、LCD315の表示画面315Dの、対応する「1」〜「5」までの数字番号のキー表示シンボル63によっても、また、「1」〜「5」までの数字番号のフレキシブルキー61のLED62により、対応付け設定された回線の回線状態を表示することが可能である。
すなわち、この実施形態では、主装置部1に収容される複数の電話用回線の回線状態を示す表示手段としては、フレキシブルキー61のそれぞれに内蔵されるLED62と、LCD315の画面315Dに表示される、複数個のフレキシブルキー61に対応するキー表示シンボル63との、2つを用いることができる。
そして、後述するように、パケット電話機2は、主装置部1から着信通知のパケットや、回線状態の通知パケットなどを受けたときに、それらをデコードして解析し、当該通知パケットに含まれる回線の識別情報により、主装置部1が収容している複数の回線のどの回線状態が変化したか、また、当該回線状態の変化を検出し、その検出結果を、回線状態記憶保持部327に、各フレキシブルキー61に対応させて記憶保持する。
当該変化を検出した回線に対応するフレキシブルキー61については、当該変化後の回線状態に応じて予め定められた表示変化を、LED62あるいはキー表示シンボル63により表示して、当該回線状態をユーザに報知するようにしている。
この例では、LED61を用いた回線状態の表示の表示態様としては、
・アイドル状態;LED消灯
・着信;LEDの早い点滅
・自己通話中;LED点灯し、所定時間以内に2回消えることを繰り返す
・他通話中(外線使用中);LED点灯
・自己保留;遅い点滅
・システム保留;所定時間内で2回点灯を遅い周期で繰り返す
という表示態様を用いるようにする。
また、キー表示シンボル63を用いる場合には、この例では、次のようにする。すなわち、図6に示すように、この実施形態では、キー表示シンボル63は、キーシンボル本体631と、シンボル枠632とからなり、これら本体631と枠632とを用いて、図7に示すように、複数種の回線状態を表示するようにする。
すなわち、この例では、図7に示すように、
・アイドル状態;対応するキー表示シンボル63は表示しない
・着信;対応するキー表示シンボル63を枠632付きで表示すると共に、全体を速い点滅とする
・自己通話中;対応するキー表示シンボル63を枠632無しで、本体631のみを表示すると共に、所定時間以内に2回消えることを繰り返す
・他通話中(外線使用中);対応するキー表示シンボル63を枠632付きで常時表示
・自己保留;対応するキー表示シンボル63を枠632付きで表示すると共に、枠632のみを遅い点滅とする
・システム保留;対応するキー表示シンボル63を枠632無しで、本体631のみを表示するが、所定時間内で2回表示を遅い周期で繰り返す
という表示態様を用いるようにする。
この実施形態では、以上の2つの回線状態の表示手段を、同時に使用することはせず、バッテリー40の消耗を考慮して、使い分けするようにする。以下、LED61を用いる表示モードをLED表示モード、キー表示シンボル63を用いる表示モードをLCD表示モードと呼ぶことにする。
この実施形態では、表示モードの設定モードは、LED表示モードとLCD表示モードとのいずれかに固定的にユーザが設定する手動切替設定モードと、パケット電話機2の使用状態やバッテリー40の状態に応じてLED表示モードとLCD表示モードとを自動切り替えする自動切替モードとを備える。
手動切替設定モードにおいては、例えば通話終了時は必ず充電器にパケット電話機2を置くユーザは、LED表示モードを選択設定することができる。また、パケット電話機2を持ち歩くことが多く、省電力を優先させたいユーザは、LCDモードを選択設定することができる。
そして、この実施形態では、自動切替モードにおいては、パケット電話機2が充電器に置かれているときには、バッテリーの消費を無視できるのでLED表示モードとし、パケット電話機2が充電器から外されて、非充電中となったときにはLCD表示モードに切り替える。
[表示モードの切替設定]
前述したメニュー項目のうちの回線状態の表示モード設定の際の処理動作を、図8のフローチャートを参照して説明する。
すなわち、ユーザが回線状態の表示モード設定の項目を選択すると、図8のフローチャートが開始となり、CPU310は、LED表示モードと、LCD表示モードとを手動切替設定するか、自動切替設定するかの問合せメッセージをLCD画面315Dに表示する(ステップS1)。
そして、CPU310は、この問合せに対するユーザの入力を待ち、手動切替設定が選択されたか、あるいは自動選択設定が選択されたかを判別する(ステップS2)。手動切替設定が選択されたと判別したときには、CPU310は、LED表示モードとするか、あるいはLCD表示モードとするかの入力を促す問合せメッセージを表示する(ステップS3)。
そして、CPU310は、この問合せに対するユーザの入力を待ち、LED表示モードが選択されたか、あるいはLCD表示モードが選択されたかを判別する(ステップS4)。そして、LED表示モードが選択されたと判別したときには、CPU310は、フレキシブルキー61のLED62により、対応する回線状態の表示を行なうLED表示モードを、パケット電話機2として設定する(ステップS5)。また、LCD表示モードが選択されたと判別したときには、CPU310は、LCD画面315Dのキー表示シンボル63により、対応する回線状態の表示を行なうLCD表示モードを、パケット電話機2として設定する(ステップS6)。
また、ステップS2で、自動切替設定が選択されたと判別したときには、CPU310は、LED表示モードとLCD表示モードとを、パケット電話機2の充電状態に応じて自動切替する表示モードに設定する(ステップS7)。以上で、この表示モード設定処理を終了する。
[回線状態の通知情報の授受と、表示画面の表示]
次に、主装置部1のサーバ装置12、アクセスポイント装置10およびパケット電話機2の電話機部20の処理動作を、フローチャートを参照しながらさらに説明する。
収容している複数の回線のいずれかの回線状態が変化したときの、主装置部1における動作について先ず説明する。図9は、このときの主装置部1のサーバ装置12の動作を説明するためのフローチャートである。
すなわち、サーバ装置12は、前述もしたように常に複数の収容回線の回線状態を監視している(ステップS11)。そして、外線回線を通じた着信、パケット電話機2からの発信要求、保留要求、保留解除要求などのイベントに応じて、複数の回線のうちのいずれかに、回線状態が変化したか否か判別し(ステップS12)、回線状態が変化したと判別したときには、回線状態が変化した回線の識別情報と、その変化後の回線状態とを含めたマルチキャストパケットを、重要パケットとしてアクセスポイント装置10に送る(ステップS13)。
そして、アクセスポイント装置10からの応答ACKの受信を確認したら(ステップS14)、ステップS11に戻って、回線状態の変化の監視状態に戻る。
前述したように、この実施形態では、アクセスポイント装置10は、着信通知を含む回線状態の変化情報などの重要情報は、サーバ装置12からマルチキャストパケットとして受信しても、全てのパケット電話機2に対して個別のユニキャストパケットとして送るようにする。これにより、パケット電話機2が間欠受信を行なっていても、全てのパケット電話機2に、回線状態の変化情報を通知することができる。
次に、この主装置部1からの回線状態の変化情報を受けるパケット電話機2の動作を、図10および図11のフローチャートを参照しながら説明する。図10および図11のフローチャートの各ステップの処理は、パケット電話機2のCPU310が、ROM312に記憶されているプログラムに従って、RAM313をワークエリアとして用いて実行するものである。
図10に示すように、パケット電話機2のCPU310は、表示切替設定は、自動切替設定とされているか否か判別し(ステップS21)、そうではなく、手動切替設定とされている場合には、LED表示モードに設定されているか、LCD表示モードに設定されているかを判別する(ステップS22)。
そして、ステップS22で、LED表示モードに設定されていると判別したときには、CPU310は、主装置部1から回線状態の変化情報を受信したかどうかを監視し(ステップS23)、主装置部1から回線状態の変化情報を受信したと判別したときには、受信した回線状態の変化情報を解析し、回線の識別情報に基づいて、変化した回線を判別すると共に、その変化後の回線状態を検出し、当該回線状態が変化した回線に対応するフレキシブルキー61に対応して記憶保持している回線状態記憶保持部327の記憶情報を更新する(ステップS24)。
そして、CPU310は、ステップS24で検出した回線状態が変化した回線に対応するフレキシブルキー61のLEDの表示態様を、ステップS24で検出した回線状態に応じた表示態様に変更するように表示制御する(ステップS25)。
そして、CPU310は、表示モードが現在とは異なるモードに切り替えられた否か判別し(ステップS26)、切り替えられていないと判別したときには、ステップS23に戻り、このステップS23以降の処理を繰り返し、切り替えられたと判別したときには、ステップS21に戻り、このステップS21以降の処理を実行する。
また、ステップS23で、回線状態の変化情報を受信してはいないと判別したときには、ステップS26に飛んで、表示モードが切り替えられたかどうかを判別し、その後、前述したこのステップS26以降の処理を行なう。
また、ステップS22で、LCD表示モードに設定されていると判別したときには、CPU310は、主装置部1から回線状態の変化情報を受信したかどうかを監視し(ステップS27)、主装置部1から回線状態の変化情報を受信したと判別したときには、受信した回線状態の変化情報を解析し、変化した回線を判別すると共に、その変化後の回線状態を検出し、当該回線状態が変化した回線に対応するフレキシブルキー61に対応して記憶保持している回線状態記憶保持部327の記憶情報を更新する(ステップS28)。
そして、CPU310は、ステップS28で検出した回線状態が変化した回線に対応するフレキシブルキー61に対応するキー表示シンボル63の表示態様を、ステップS28で検出した回線状態に応じた表示態様に変更するように表示制御する(ステップS29)。
そして、CPU310は、表示モードが現在とは異なるモードに切り替えられた否か判別し(ステップS30)、切り替えられていないと判別したときには、ステップS27に戻り、このステップS27以降の処理を繰り返し、切り替えられたと判別したときには、ステップS21に戻り、このステップS21以降の処理を実行する。
また、ステップS27で、回線状態の変化情報を受信してはいないと判別したときには、ステップS30に飛んで、表示モードが切り替えられたかどうかを判別し、その後、前述したこのステップS30以降の処理を行なう。
そして、ステップS21で、自動切替モードに設定されていると判別したときには、CPU310は、パケット電話機2が充電中であるか否か判別する(図11のステップS41)。このステップS41での充電中であるか否かの判別は、例えばバッテリー40への充電電流の有無を検出することにより行なうことができる。また、パケット電話機2の充電用端子と、充電台(図示せず)の受電端子との接触状態の検知、あるいは、パケット電話機2の充電用端子に対する充電用コネクタの接続を検知する方法であってもよい。
このステップS41で、充電中であると判別したときには、CPU310は、主装置部1から回線状態の変化情報を受信したかどうかを監視し(ステップS42)、主装置部1から回線状態の変化情報を受信したと判別したときには、受信した回線状態の変化情報を解析し、変化した回線を判別すると共に、その変化後の回線状態を検出し、当該回線状態が変化した回線に対応するフレキシブルキー61に対応して記憶保持している回線状態記憶保持部327の記憶情報を更新する(ステップS43)。
そして、CPU310は、ステップS43で検出した回線状態が変化した回線に対応するフレキシブルキー61のLEDの表示態様を、ステップS43で検出した回線状態に応じた表示態様に変更するように表示制御する(ステップS44)。
そして、CPU310は、表示モードが現在とは異なるモードに切り替えられた否か判別し(ステップS45)、切り替えられていないと判別したときには、ステップS41に戻り、このステップS41以降の処理を繰り返し、切り替えられたと判別したときには、ステップS21に戻り、このステップS21以降の処理を実行する。
また、ステップS42で、回線状態の変化情報を受信してはいないと判別したときには、ステップS45に飛んで、表示モードが切り替えられたかどうかを判別し、その後、前述したこのステップS45以降の処理を行なう。
また、ステップS41で、充電中ではないと判別したときには、CPU310は、主装置部1から回線状態の変化情報を受信したかどうかを監視し(ステップS46)、主装置部1から回線状態の変化情報を受信したと判別したときには、受信した回線状態の変化情報を解析し、変化した回線を判別すると共に、その変化後の回線状態を検出し、当該回線状態が変化した回線に対応するフレキシブルキー61に対応して記憶保持している回線状態記憶保持部327の記憶情報を更新する(ステップS47)。
そして、CPU310は、ステップS47で検出した回線状態が変化した回線に対応するフレキシブルキー61に対応するキー表示シンボル63の表示態様を、ステップS47で検出した回線状態に応じた表示態様に変更するように表示制御する(ステップS48)。
そして、CPU310は、表示モードが現在とは異なるモードに切り替えられた否か判別し(ステップS49)、切り替えられていないと判別したときには、ステップS46に戻り、このステップS46以降の処理を繰り返し、切り替えられたと判別したときには、ステップS21に戻り、このステップS21以降の処理を実行する。
また、ステップS46で、回線状態の変化情報を受信してはいないと判別したときには、ステップS49に飛んで、表示モードが切り替えられたかどうかを判別し、その後、前述したこのステップS49以降の処理を行なう。
以上のようにして、この実施形態によれば、ユーザは、手動切替モードとして、自分の使用態様に応じて、LED表示モードとLCD表示モードとを使い分けて、より省電力を図ることができる。また、自動切替モードとしたときには、充電中でないときには、LCD表示モードとして省電力化を図るようにしているので、待機時間を長くすることができる。
[自動切替モードの第2の例]
上述の例(これを第1の例という)では、自動切替モードにおいては、充電中か否かにより、LED表示モードと、LCD表示モードとを自動的に切り替えるようにしたが、この第2の例では、バッテリー40の電池容量に応じて、LED表示モードと、LCD表示モードとを自動的に切り替えるようにする。この第2の例における自動切替モードの処理動作例を、図12のフローチャートに示す。
すなわち、この第2の例においては、図11のフローチャートにおけるステップS41に代わって、バッテリー40の電池残量が所定値以上であるか否かにより、電池残量が十分であるか否かを判別するステップS51を設ける。
そして、ステップS51で、電池残量が所定値以上であって、電池残量が十分であると判別したときには、CPU310は、前述したLED表示モードの場合のステップS42〜ステップS45を実行するようにする。
また、ステップS51で、電池残量が所定値よりも少なくなり、電池残量が十分ではなくなったと判別したときには、CPU310は、LCD表示モードの場合のステップS46〜ステップS49を実行するようにする。
この第2の例の場合には、バッテリー40の電池残量が少なくなると、自動的にLCD表示モードとなって、バッテリーの消耗を少なくして、使用時間を長くするように省電力化することができる。
[自動切替モードの第3の例]
この第3の例の自動切替モードにおいては、パケット電話機2がオフフック待機状態であるか否かにより、LED表示モードと、LCD表示モードとを自動的に切り替えるようにする。ここで、オフフック待機状態とは、パケット電話機2で、回線が対応して設定されているフレキシブルキー61のいずれも選択されていない不使用状態で、主装置部1からの着信通知などの待機状態となっている状態をいう。この第3の例における自動切替モードの処理動作例を、図13のフローチャートに示す。
すなわち、この第3の例においては、図11のフローチャートにおけるステップS41に代わって、パケット電話機2がオフフック待機状態であるか否かを判別するステップS61を設ける。
そして、ステップS61で、オフフック待機状態ではないと判別したときには、CPU310は、前述したLED表示モードの場合のステップS42〜ステップS45を実行するようにする。
また、ステップS61で、オフフック待機状態であると判別したときには、CPU310は、LCD表示モードの場合のステップS46〜ステップS49を実行するようにする。
オフフック状態での通信中(通話中を含む)は、自分がパケット電話機2を使用しているので、電力を消費しても、その消費の原因がはっきりしているので、それを把握して気にはならないと考えられる。気になるのは、使用していないときに他のパケット電話機で通話中の場合の表示(他使用中表示)をLED62を用いて表示することによって、知らないうちにバッテリーの電池残量がなくなってしまうことである。
この第3の例の場合には、オフフック待機状態になると、自動的にLCD表示モードとなって、バッテリーの消耗を少なくして、使用時間を長くするように省電力化することができる。
[自動切替モードの第4の例]
この第4の例の自動切替モードは、前述した第1の例、第2の例、第3の例を組み合わせた例である。組み合わせは、第1の例と第2の例、第1の例と第3の例、第2の例と第3の例、第1の例〜第3の例のすべてを組み合わせた例のいずれであっても良い。
図14は、第1の例〜第3の例のすべてを組み合わせ場合の一例を示すもので、この例では、ステップS21で、自動切替モードが設定されていると判別したときには、CPU310は、先ず、パケット電話機2は充電中であるか否か判別する(ステップS71)。充電中であると判別したときには、CPU310は、第1の例と同様に、前述したLED表示モードの場合のステップS42〜ステップS45を実行するようにする。
また、ステップS71で、充電中ではないと判別したときには、CPU310は、電池残量は十分であるか否かを電池残量が所定値以上であるか否かにより判別する(ステップS72)。
そして、ステップS72で、電池残量は十分ではないと判別したときには、CPU310は、LCD表示モードの場合のステップS46〜ステップS49を実行するようにする。また、ステップS72で、電池残量は十分であると判別したときには、オフフック待機状態であるか否か判別する(ステップS73)。
そして、ステップS73で、オフフック待機状態ではないと判別したときには、CPU310は、前述したLED表示モードの場合のステップS42〜ステップS45を実行するようにする。また、ステップS73で、オフフック待機状態であると判別したときには、CPU310は、LCD表示モードの場合のステップS46〜ステップS49を実行するようにする。
そして、この例では、CPU310は、ステップS45およびステップS49で表示モードが切り替えられていないと判別したときには、ステップS71に戻り、このステップS71以降の処理を実行するようにする。
[他の実施形態および変形例]
なお、変化後の回線状態に応じて予め定められたLCD表示モードにおけるキー表示シンボルの表示変化の態様としては、上述の例のフレキシブルキーに対応するキー表示シンボルの点灯表示、点滅表示に限らず、LCD315としてカラーLCDを用いる場合には、キー表示シンボルの色を、キー表示シンボルの点灯表示、点滅表示に代えて、あるいはキー表示シンボルの点灯表示、点滅表示に加えて、回線状態に応じて変化させるようにしてもよい。
また、上述の実施の形態では、LCD画面315Dに表示するキー表示シンボル63は、ユーザによるフレキシブルキー61と対応が容易につくように、フレキシブルキー61と同様の形状の図形を用いるようにして、本体631と枠632とを用いた点灯、点滅、などの表示態様により、回線状態を表示するようにしたが、キー表示シンボルは、キー形状のものではなく、回線状態に応じた、キャラクタ表示とすることもできる。
図15にキャラクタ表示の一例を示す。この例は、4個のフレキシブルキーに対応するLCD画面315Dのキー表示シンボルとして、番号「1」のフレキシブルキーに対応した回線状態は「通話中」、番号「2」のフレキシブルキーに対応した回線状態は「着信中」、番号「3」および「4」のフレキシブルキーに対応した回線状態は「待機状態」を、それぞれキャラクタ表示により表しているものである。
また、上述の実施形態では、フレキシブルキー61内にLEDが内包されるように構成したが、LEDなどの発光素子を、フレキシブルキー61の近傍に配置するようにしても勿論よい。
また、以上の実施形態のビジネスホンシステムでは、通話のみを行なう場合であったが、パケット電話機に電子メールの機能を設けて、電子メールの通信を行なうようにすることもできる。
なお、表示素子としては、LCDに限らず、有機EL(Electronic Lumminescence)ディスプレイ、FED(Field Emmission Display)など、他のフラットディスプレイパネルを用いることができることは言うまでもない。
また、発光素子としては、LEDに限られるものではないこと言うまでもない。
1…主装置部、2…パケット電話機、3…無線LAN、4…外部ネットワーク、20…無線LAN用端末側ステーション装置部、30…電話機部、40…バッテリー、327…回線状態記憶保持部