以下、この発明による無線通信端末の実施形態を、ビジネスホンシステムに用いた場合を例に、図を参照しながら説明する。
図1は、この発明による無線通信端末の実施形態が用いられたビジネスホンシステムの全体の構成例を示すブロック図である。この例の無線LANは、IEEE802.11規格に準拠しており、通話音声情報や呼制御のための情報の他、全ての情報はパケット化されて送受される。この例においては、この発明による無線通信端末の実施形態は、パケット電話機として構成される。
この例のビジネスホンシステムは、主装置部1と、この主装置部1と無線LAN3を通じて無線接続される複数個のパケット電話機2とから構成されている。
主装置部1は、無線LAN用アクセスポイント装置10(以下、単にアクセスポイント装置という)と、サーバ装置12と、ゲートウエイ13とを備えて構成されている。アクセスポイント装置10は、有線LAN11を通じてサーバ装置12に接続されている。
サーバ装置12は、この例のビジネスホンシステムの場合には、電話通信中継交換装置の役割をもするものであり、ゲートウエイ13を通じて外部ネットワーク、この例においては、公衆交換電話網(PSTN;Public Switched Telephone Network)14にも接続される。なお、外部ネットワークには、インターネットをも含むものである。
この例においては、主装置部1は、電話通信用として、複数回線分を収容可能とされており、サーバ装置12は、収容している電話通信用回線のそれぞれに識別情報(例えば回線番号)を付与して管理している。そして、例えば、ある回線に着信があると、サーバ装置12は、当該着信があった回線の識別情報と共に、着信通知をアクセスポイント装置10を通じてすべてのパケット電話機2に通知するようにする。
パケット電話機2は、着信通知に含まれる回線の識別情報から、いずれの回線に着信があったかを検出し、当該着信があった回線に対する着信通知表示を、後述するようにして行なう。
また、パケット電話機2からの主装置部1への回線捕捉要求には、当該回線捕捉要求する回線の識別情報が付加される。サーバ装置12は、当該付加されている回線識別情報からいずれの回線への捕捉要求であるかを検出して、捕捉処理を行なう。
アクセスポイント装置10に対しては、複数個のパケット電話機2のそれぞれに内蔵される無線LAN用端末側ステーション装置部(以下、単にステーション装置部という)20が、それぞれ無線リンクにより接続される。アクセスポイント装置10と複数個のステーション装置部20との間で形成される無線リンクは、無線LAN3を構成する。
そして、この例では、各パケット電話機2においては、ステーション装置部20は、電話機部30に接続される。また、この例では、パケット電話機2は、電源として、例えば充電式のバッテリー40を用いるものとして構成されており、省電力化のため、通信を行なっていないときには、スタンバイ状態を間に挟んで、一定周期で、間欠受信状態を繰り返すように構成されている。
サーバ装置12は、無線LAN3にステーション装置部20を介して接続されるパケット電話機2のそれぞれについての、無線LAN3上のアドレス情報を管理している。そして、サーバ装置12は、無線LAN3を通じた電話通信の通話路を管理する。例えば、サーバ装置12は、外部ネットワーク4に接続された複数の電話用回線のそれぞれについて、当該電話用回線を通じた他の電話端末と、アクセスポイント装置10、無線LAN3を介したパケット電話機2との間の通話(外線通話)について、通信制御および管理する。
また、サーバ装置12は、管理しているアドレス情報を用いて、複数台のパケット電話機2のいずれか一つのパケット電話機と、他の一つのパケット電話機2との間での、無線LAN3およびサーバ装置12を通じた内線通話についての通信制御および管理をも行なうようにしている。
サーバ装置12は、例えば外部ネットワーク4を通じて、複数の電話用回線のいずれかに、相手方から着信があったときには、当該回線に着信があったことを知らせる着信通知のパケット(着信通知の情報と、当該着信のあった回線の識別情報を含む)を、マルチキャストによりアクセスポイント装置10に送る。
アクセスポイント装置10は、この例では、この着信通知のパケットは、重要パケットと判断して、その着信通知のパケットはユニキャストのパケットに変換し、無線LAN3を通じて配下のパケット電話機2のステーション装置部20の全てに送る。
ステーション装置部20のそれぞれは、当該着信をパケット電話機2の電話機部30に転送する。電話機部30は、当該着信を、パケット電話機2のユーザに、例えばベル鳴動などにより通知すると共に、受け取った回線の識別情報に基づく、当該回線に着信があったことを後述するようにして表示してユーザに知らせる。
いずれかのパケット電話機2のユーザがこの着信に応答すると、その応答メッセージが、当該応答のあったパケット電話機2から、そのステーション装置部20を通じ、無線LAN3を通じてアクセスポイント装置10に伝送される。
アクセスポイント装置10は、この応答をサーバ装置12に送り、サーバ装置12は、この応答をゲートウエイ13および着信があった電話用回線通じて外部ネットワーク4に送出し、相手方に通知する。これにより、無線LAN3を通じた通話路が形成され、無線LAN3を通じて音声パケットの伝送がなされて通話がなされる。
複数台のパケット電話機2のいずれかのユーザが、前記複数の電話用回線のいずれかを捕捉して発信の操作をした場合には、上述とは逆の経路で、発信の相手先に着信され、当該発信の相手先が応答すれば、無線LAN3を通じた通話路が形成され、無線LAN3を通じて音声パケットの伝送がなされて通話がなされる。
サーバ装置12は、上述のようにして着信応答により生成された通話路や、発呼により生成された通話路を管理しており、無線LAN3を通じて、当該通話路が生成されている電話用回線の状態情報を、パケット電話機2の全てに、回線状態の通知用パケットとして生成し、マルチキャストのパケットとしてアクセスポイント装置10に送る。
アクセスポイント装置10は、この例では、この回線状態の通知用パケット(着信通知のパケットを含む)を重要パケットと判断して、マルチキャストパケットとされている、その回線状態の通知用パケットをユニキャストパケットに変換し、無線LAN3を通じて配下の全てのパケット電話機2に、そのステーション装置部20を通じて送る。回線状態の通知用パケットを受け取った各パケット電話機2は、後述するように、当該通知用パケットを解析し、その解析結果に応じて後述するような、着信表示や当該通信用回線について他端末が外線使用中の表示などを行なってユーザに通知するようにする。
なお、通話音声のパケットは、特定の相手先を指定するパケットであり、ユニキャストパケットとされるものである。なお、マルチキャストで送られる情報は、上述のような着信パケットや、回線状態の通知用パケットだけではないことは言うまでもない。
この実施形態では、着信や外線使用中などの回線状態の通知用パケットなどのように、マルチキャストのパケットであっても、パケット電話機2に対して必ず到達させたいパケットは、重要パケットとして、他のマルチキャストのパケットとは区別するようにする。
そして、この実施形態では、マルチキャストパケットのうちの、重要でないものはそのままマルチキャストで無線LAN3に送出するが、重要なものは、上述したように、アクセスポイント装置10において、配下の全てのパケット電話機2のステーション装置部20に宛てたユニキャストパケットに変換して、全てのパケット電話機2に確実に到達させるようにしている。
アクセスポイント装置10は、サーバ装置12と、パケット電話機2のステーション装置部20との間におけるパケットの送受の中継を、主として行なうものであるが、この実施形態では、上述の点を実現するために、単に、パケットの送受の中継機能だけではなく、上述のマルチキャストパケットをユニキャストパケットに変換する機能のために、次のような、処理機能を備える。
すなわち、アクセスポイント装置10は、パケットがマルチキャストパケットか、ユニキャストパケットかを識別する機能と、パケットの種別やパケットにより送受されるデータの種別などを判別する機能とを備えると共に、サーバ装置12からマルチキャストのパケットを受け取ったときに、そのパケット種別あるいはデータ種別が、重要なものとして予め定められた特定の種別のパケットやデータのときには、サーバ装置12から受け取ったマルチキャストのパケットを、ユニキャストのパケットに変換する機能を備えている。
アクセスポイント装置10は、無線LAN3を通じて接続される配下の複数のステーション装置部20(延いては各パケット電話機2)のアドレスやポート番号を管理しており、マルチキャストのパケットをユニキャストのパケットに変換するときには、それらの管理データを用いて、管理している配下の全てのステーション装置部20に対するユニキャストパケットを生成して、それらを配下の全てのステーション装置部20に送るようにする。
なお、この実施形態では、パケット電話機2は間欠受信をするため、当該パケット電話機2がスタンバイ状態のときには、ユニキャストパケットに対する受信確認情報をアクセスポイント装置10は得られず、当該ユニキャストパケットは、未送達のユニキャストパケットとなる。
この未送達のユニキャストパケットは、IEEE802.11規格に準拠した未送達の通知方法を用いることにより、確実に宛先のパケット電話機2にステーション装置部20を通じて送ることができる。
次に、この実施形態の無線LANシステムを構成するアクセスポイント装置10およびステーション装置部20を含むパケット電話機2の詳細な構成例および動作例を説明する。
<アクセスポイント装置10のハードウエア構成>
図2は、主装置部1のアクセスポイント装置10のハードウエア構成例を示すブロック図である。
この例のアクセスポイント装置10は、例えばマイクロコンピュータからなる制御部101と、有線LANインターフェース(図ではインターフェースはI/Fと記載する。以下同じ)102と、送信用処理回路103と、受信用処理回路104と、送信アンプ105と、受信アンプ106と、アンテナ切換回路107と、送受信アンテナ108と、送受信アンテナ109とを備えて構成される。
有線LANインターフェース102は、この例では、有線LAN11を通じてサーバ装置12に接続されている。2個の送受信アンテナ108および109は、ダイバーシティアンテナを構成するもので、無線LAN3を通じてのパケットの送受を行なうためのものである。
アクセスポイント装置10では、有線LANインターフェース102を通じて得たサーバ装置12からの送信用パケットを、制御部101の制御に応じて送信用処理回路103およびアンプ105、また、アンテナ切換回路107を介して送受信アンテナ108または109の一方に供給して、ステーション装置部20に対して無線送信する。
また、送受信アンテナ108または109の一方を通じて受信したステーション装置部20からのパケットは、アンテナ切換回路107およびアンプ106を通じて受信用処理回路104に供給される。そして、受信用処理回路104からのパケットは、制御部101に供給される。制御部101は、受信したパケットを、有線LANインターフェース102および有線LAN11を通じてサーバ装置12に送出する。
制御部101は、マイクロコンピュータにより構成されるもので、例えば、図2に示すようなブロック構成とされる。すなわち、CPU(Central Processing Unit)110に対して、システムバス111を介して、ROM(Read Only Memory)112と、RAM(Random Access Memory)113と、パケット分解/生成部114と、無線端末情報管理部115と、受信バッファ116と、送信バッファ117と、ビーコン生成部118と、送信態様判別部119と、情報種別判別部120と、送信情報生成部121とが接続されている。
図2では、省略したが、有線LANインターフェース102に接続されるポートや、送信用処理回路103、受信用処理回路104と制御情報や送受信情報のやり取りを行なうポートなども、制御部101は、備えるものである。
パケット分解/生成部114は、インターフェース102により取り込んだパケット化データを分解して、パケットヘッダを分離し、送信態様判別部119や情報種別判別部120に転送する機能と、送信するデータをパケット化して送出するパケットデータを生成する機能を有する。このパケット分解/生成部114は、パケットデータを分解したり、生成したりするためのバッファメモリを備える。
無線端末情報管理部115は、無線LAN3を通じて接続される配下のパケット電話機2のステーション装置部20のアドレス情報やポート番号を記憶して管理する。
受信バッファ116は、有線LANインターフェース102を通じて受け取ったパケットデータや、無線LAN3から受け取ったパケットデータを一時格納するためのものである。
送信バッファ117は、配下のパケット電話機2(ステーション装置部20)のそれぞれについて、当該パケット電話機2に対して送出すべきパケットを待ち行列として順次に蓄積してゆく送信キューを備える。当該パケット電話機2に送られていない未送達のパケットが、それぞれの送信キューに登録される。
ビーコン生成部118は、主として、ステーション装置部20がアクセスポイント装置10をサーチし、自装置をアクセスポイント装置10に登録するための等に用いられる特定の電波、すなわち、ビーコンを、一定周期、例えば100ミリ秒周期で生成し、生成したビーコンをパケット分解/生成部114でパケット化して、無線LAN3に送出するようにする。
そして、ビーコン生成部118は、送信バッファ117に未送達のパケットがあるときには、当該未送達のパケットがあるパケット電話機2のステーション装置部20宛てに、未送達のパケットをあることを通知する情報を重畳したビーコンを生成する。ステーション装置部20は、間欠受信において、当該ビーコンを受信することにより、自分宛ての未送達のパケットがあることが知る。
送信態様判別部119は、この例では、パケットヘッダに含まれるアドレス情報を識別して、パケットがマルチキャストか、ユニキャストかを判別する。すなわち、パケットヘッダのアドレス情報としては、ユニキャスト用のものと、マルチキャスト用のものとが予め定められており、例えばマルチキャスト用のアドレス情報が送信態様判別部119には記憶されている。したがって、送信態様判別部119は、パケットヘッダのアドレス情報を認識し、認識したアドレス情報と、記憶されているアドレス情報とを比較することにより、マルチッキャストのパケットかユニキャストのパケットかを認識することができる。
情報種別判別部120は、この例では、パケットヘッダに含まれるポート番号を認識することにより、データの種別あるいはパケットの種別を判別する。すなわち、ポート番号は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)に準拠して定められるもので、音声情報、データ、制御情報などのデータに種別ごとに、あるいは、パケットの種別ごとに、別々のポート番号が割り当てられている。また、ユーザが、未定義のポート番号に、着信通知、他使用中や保留中などの回線状態の通知等のパケット種別やデータ種別を割り当てることもできるようにされている。
そこで、この実施形態の情報種別判別部120では、例えば、着信通知、他使用中や保留中などの回線状態の通知等などの重要なマルチキャストパケットの情報について、それらに割り当てられているポート番号を記憶しており、受信したマルチキャストパケットのパケットヘッダに含まれるポート番号を認識して、当該認識したポート番号と、記憶したポート番号とを比較することで、受信したマルチキャストパケットが、例えば着信通知のパケットや、回線状態の通知パケットなどの重要な情報パケットであるどうかを判別するようにする。
送信情報生成部121は、通常は、有線LANインターフェース102を通じて受け取ったパケットを、送信情報として、そのまま用いるようにする。しかし、送信態様判別部119で、サーバ装置12から有線LANインターフェース102を通じて受け取ったパケットがマルチキャストパケットであり、かつ、この実施形態では、情報種別判別部120で、着信通知やランプ情報のような重要情報のパケットであると判別したときには、マルチキャストパケットをユニキャストパケットに変換して送出するようにする。
このとき、前述したように、送信情報生成部121は、1個のマルチキャストパケットに対して、無線端末情報管理部115を検索して、配下のパケット電話機2のステーション装置部20の全てに対する複数個のユニキャストパケットを生成する。
なお、ビーコン生成部118、送信態様判別部119の判別機能、情報種別判別部120の判別機能は、ROM112に記憶されているソフトウエアプログラムに基づいてCPU110がRAM113をワークエリアとして用いて行なうソフトウエア処理とすることができる。
<パケット電話機2のステーション装置部20のハードウエア構成>
ステーション装置部20の基本的なハードウエア構成は、アクセスポイント装置10とほぼ同様の構成を有する。図3に、ステーション装置部20の構成例のブロック図を示す。
すなわち、ステーション装置部20は、例えばマイクロコンピュータを備えて構成される制御部201と、端末インターフェース202と、送信用処理回路203と、受信用処理回路204と、送信アンプ205と、受信アンプ206と、アンテナ切換回路207と、送受信アンテナ208および209とを備えている。
端末インターフェース202は、この例では、電話機部30に接続されている。送受信アンテナ208および209は、無線LAN3を通じてのパケットの送受を行なうためのものである。
ステーション装置部20は、端末インターフェース202を通じて、電話機部30からの呼設定メッセージのパケットや通話音声情報のパケットを、送受信アンテナ208または209を通じてアクセスポイント装置10に送信する。また、アクセスポイント装置10からの受信パケットを、端末インターフェース202を通じて電話機部30に送る。
そして、制御部201は、この実施形態では、図3に示すようなブロック構成とされる。すなわち、CPU210に対して、システムバス211を介して、ROM212と、RAM213と、パケット分解/生成部214と、受信バッファ215と、送信バッファ216と、間欠受信管理部217とが接続されている。
パケット分解/生成部214は、無線LAN3を通じて取り込んだパケット化データを分解して、自分宛ての制御データや音声データを得る機能と、端末インターフェース202からの送信する制御データや音声データをパケット化して送出するパケット化データを生成する機能を有する。
受信バッファ215は、端末インターフェース202を通じて受け取ったパケットデータや、無線LAN3から受け取ったパケットデータを一時格納するためのものである。
送信バッファ216は、送信しようとするパケットデータを一時格納しておくためのもので、送信情報のパケットを順次に待ち行列として蓄積してゆく送信キューを備える。
また、間欠受信管理部217は、当該パケット電話機2が通信を行なっていないときに、一定周期で、間欠受信状態を実行すると共に、間欠受信状態と間欠受信状態との間は、スタンバイ状態となって、バッテリー40の電力消費を抑えるようにする。スタンバイ状態では、次の間欠受信状態に復帰するため、また、電話機部30におけるユーザの発呼操作に応じて、パケット電話機2が立ち上がってアクティブ状態になるのに必要な部位にのみ、バッテリーから電源電圧が供給されており、非常に小さい消費電流とされている。
間欠受信管理部217は、ステーション装置部20についての電源系を制御するだけでなく、電話機部30の後述するCPU310を介在して、電話機部30の電源系をも制御することができるようにしている。すなわち、パケット電話機2をスタンバイ状態にするときには、その旨を端末インターフェース202を通じて電話機部30に通知すると共に、アクティブ状態に立ち上がるときには、その旨を端末インターフェース202を通じて通知するようにする。電話機部30のCPU310は、これらの通知に応じて、電話機部30の電源系を制御して、省電力を実現する。
間欠受信を実行する周期は、目的とする省電力量に応じたものとされるが、無線LANの場合には、例えば、アクセスポイント装置10から発生するビーコンの発生周期の2倍以上とされる。例えば、ビーコンの発生周期の4倍(この例では400ミリ秒)とされている。パケット電話機2がスタンバイ状態から間欠受信状態になったときに、アクセスポイント装置10からのビーコンを少なくとも一回は、受信することができるようにする必要があるため、ビーコン周期と同じ周期では省電力化することができないからである。
間欠受信において、アクセスポイント装置10からのビーコンを受信したときに、当該ビーコンに自装置宛の未送信パケットがあることを示す通知が重畳されていることを認識したときには、ステーション装置部20の間欠受信管理部217は、自パケット電話機2をスタンバイ状態からアクティブ状態に立ち上げ、自パケット電話機2が立ち上がったことを、アクセスポイント装置10に通知するようにする。
アクセスポイント装置10は、パケット電話機2についての立ち上がりの通知を受けると、当該立ち上がったパケット電話機宛ての未送信のパケットをユニキャスト送信するようにする。これに対して、パケット電話機2のステーション装置部20は、受信確認情報をアクセスポイント装置10に返し、受信確認をアクセスポイント装置10に知らせる。その後は、パケット電話機2では、やり取りした未送信パケットの内容に応じた処理がなされることになる。
<パケット電話機2の電話機部30のハードウエア構成例>
図4に、この実施形態のパケット電話機2の電話機部30の内部ハードウエア構成例を示す。また、図5に、この実施形態のパケット電話機2の概観構成例を示す。
図4に示すように、電話機部30は、コンピュータを備えて構成されており、CPU310に対して、システムバス311を介して、ROM312と、RAM313と、ディスプレイコントローラ314と、操作入力インターフェース316と、ステーションインターフェース318と、パケット分解/生成部319と、音声データ入出力インターフェース320と、回線状態記憶保持部325とが接続されている。
ディスプレイコントローラ314には、この例ではLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)315が接続されており、このLCD315の表示画面315Dには、後述するように、CPU310の制御にしたがった表示が行われる。
図5に示すように、この実施形態のパケット電話機2は、LEDを内蔵する自照式のボタンは設けられず、LCD315の表示画面315Dに、主装置部1に収容されている複数の電話用回線を示すシンボルとして、この例では数字番号(回線番号となる)が表示される。この表示に関しては、後で詳述する。
また、操作入力インターフェース316には、操作入力部317が接続されている。この操作入力部317は、図5に示すように、テンキー51と、上キー52、下キー53、左キー54、右キー55および決定キー56からなるカーソルキーや、オフフックキー57、オンフックキー58などの操作キーを含む。
CPU310は、操作入力インターフェース316を介して操作入力部317を通じて使用者がいずれの操作キーを操作したかを認識し、その認識結果に基づいて、キー入力操作に応じた処理をROM312のプログラムに従って実行する。
ROM312には、主装置部1から受信した回線状態の情報に応じたLED63やLCD315の表示画面315Dの表示制御のプログラム、無線LAN3を通じた発信時や着信時の処理シーケンスを実行するプログラム、その他の処理を実行するためのプログラムなどが記憶されている。RAM313は、主としてROM312のプログラムがCPU310によって実行される際にワークエリアとして使用される。
ステーションインターフェース318は、ステーション装置部20に接続され、当該ステーション装置部20を通じて送られてくるパケット化データを取り込み、また、ステーション装置部20にパケット化データを送出するための機能を備える。
パケット分解/生成部319は、インターフェース318により取り込んだパケット化データを分解して、回線状態の情報、制御データや音声データを得る機能と、送信する制御データや音声データをパケット化して送出するパケット化データを生成する機能を有する。このパケット分解/生成部319は、パケット化データを分解したり、生成したりするためのバッファメモリを備える。
なお、このパケット分解/生成部319のパケット分解処理機能や生成処理機能は、CPU310と、ROM312とにより、ソフトウエアとして実現することもできる。
音声データ入出力インターフェース320は、パケット分解されて得られた音声データをアナログ音声信号に変換して、アンプ321を通じて受話器を構成するスピーカ322に供給するようにする。また、送話器としてのマイクロホン323からの送話音声信号がアンプ324を通じてこの音声データ入出力インターフェース320に供給される。音声データ入出力インターフェース320は、この送話音声信号をデジタル音声信号に変換し、システムバス311を通じてパケット生成のためにパケット分解/生成部319に供給するようにする。
なお、図5において、61は、スピーカ322からの音声を放音するための孔部であり、また、62は、マイクロホン323が音声を収音するための孔部である。
回線状態記憶保持部325は、主装置部1に収容されている複数の電話用回線を示すシンボルとしての数字番号のそれぞれに対応して、その電話用回線の回線状態を記憶保持する。この回線状態記憶保持部325は、RAM313の一部としても良い。
[パケット電話機2の回線状態等の表示]
前述したように、この実施形態では、LEDを内蔵するフレキシブルキーは全く設けられず、LCD315の画面315Dに、複数個のフレキシブルキーに対応するシンボルとして、この例では、それぞれ2桁からなる数字番号(以下、フレキシブルキー表示という)が表示されている。図5の例では、「01」〜「24」の合計24個のフレキシブルキー表示が、LCD315の画面315Dに表示されるようにされている。
なお、図のフレキシブルキー表示は一例であり、これに限られるものではないことは言うまでもない。また、表示画面315Dに一度にすべてのフレキシブルキー表示を表示するようにする必要はなく、上下キーや左右キーにより、スクロールさせることにより、より多くのフレキシブルキー表示を設けることも勿論できる。
そして、この実施形態のパケット電話機2では、例えば上キー52はメニュー表示キーを兼用するようにされており、この上キー52を操作することにより、表示画面315Dに表示されたメニューを見ながら、ユーザは、上キー52、下キー53、左キー54、右キー55などのカーソルキーや、テンキー51の一部などを操作することにより、これらの数字番号で示される各フレキシブルキー表示に対して、予め電話用回線や、各種機能を設定しておくことができるようにされている。
例えば、この例では、主装置部1で10回線が収容可能とされており、「01」〜「10」までの数字番号のフレキシブルキー表示には、それらの10回線のそれぞれが設定されているものとする。そして、この例では、「11」〜「24」までの数字番号のフレキシブルキー表示に対しては、ワンタッチダイヤル、短縮、リダイヤルなどの機能を設定することができるようにされている。
そして、後述するように、パケット電話機2は、主装置部1から着信通知のパケットや、回線状態の通知パケットなどを受けたときに、それらをデコードして解析し、当該通知パケットに含まれる回線の識別情報により、主装置部1が収容している複数の回線のどの回線状態が変化したか、また、当該回線状態の変化を検出し、その検出結果を、回線状態記憶保持部325に、フレキシブルキー表示に対応させて記憶保持する。
当該変化を検出した回線に対応するフレキシブルキー表示については、当該変化後の回線状態に応じて予め定められた表示変化を施して、当該回線状態をユーザに報知するようにしている。
この例では、変化後の回線状態に応じて予め定められた表示変化としては、フレキシブルキー表示の数字番号の左横に、シンボルの付加表示をするようにする。このシンボルの付加表示としては、この例では、回線状態を示すアルファベットの頭文字の、フレキシブルキー表示に対して付加表示するようにする。
すなわち、後述するように、この例では、回線が使用中になると、当該回線に対応するフレキシブルキー表示の左横には、「B」の文字が付加表示され、使用終了すると、当該「B」の文字の付加表示が消える。また、回線が着信中になると、当該回線に対応するフレキシブルキー表示の左横には、「R」の文字が付加表示され、誰かが応答して使用中になると「B」の文字の付加表示に変化する。また、回線が保留中になると、「H」の文字が付加表示され、保留が解除されると、主装置部1からは使用中の回線状態が送られてくるので、当該「H」の文字の付加表示は、「B」の文字の付加表示に変化する。
そして、上キー52、下キー53、左キー54、右キー55および決定キー56が、ユーザにより操作されることにより、これらフレキシブルキー表示のそれぞれを、選択することができるようにされている。
そして、この例では、表示画面315Dにおいて、選択中であるフレキシブルキー表示に対しては、その数字番号の下に、例えばアンダーバーによるカーソル表示70をさせて、その数字番号のフレキシブルキー表示が選択中であることをユーザに報知するようにしている。
この例では、個々の数字番号のフレキシブルキー表示のみを選択するだけではなく、横方向の1行単位のフレキシブルキー表示群単位でも選択することができるようにされている。図5では、当該1行単位のフレキシブルキー表示群が選択中であることを示している。そして、この例では、上キー52または下キー53が操作されたときには、カーソル表示70は、1行単位で、操作されたキーの指示方向に移動する。
また、この例では、左キー54または右キー55が操作されると、カーソル表示70は、行単位ではなく、一つのフレキシブルキー表示の数字番号のみに対して表示されるようになって一つのフレキシブルキー表示が選択中であることがユーザに報知され、かつ、当該操作されたキーの指示方向に移動する。なお、1行単位の選択表示のときに左キー54が押されると、当該行の左端のフレキシブルキー表示が選択される状態になり、また、1行単位の選択表示のときに右キー55が押されると、当該行の右端のフレキシブルキー表示が選択される状態になる。
そして、決定キー56が操作されると、表示画面315Dには、選択中であるフレキシブルキー表示の回線状態の詳細を、例えば「外線使用中」、「着信中」、「保留中」、「外線空き」などの文字により表わす表示をするように制御される。
このとき、1行単位のフレキシブルキー表示がカーソル表示70により選択中であるときには、その1行のグループの複数のフレキシブルキー表示の回線状態がそれぞれ表示される。そして、その回線状態の詳細表示の中から、ユーザは、操作対象とする回線状態を、例えば上キー52、下キー53を操作することにより選択することができ、選択した回線状態のところで、決定キー56を操作すると、最終的に、当該決定キー56が操作された回線状態に対応する回線が選択される。
また、1個づつのフレキシブルキー表示がカーソル表示70により選択中であるときには、選択中の1個のフレキシブルキー表示の回線状態が表示される。そして、決定キー56を操作すると、最終的に、当該決定キー56が操作された回線状態に対応する回線が選択される。
このとき、回線状態が着信中であれば、当該回線の選択は着信応答となる。回線状態が保留中であれば、当該回線の選択は保留解除となる。また、回線状態が他使用中であれば、選択は不可であり、この例ではユーザに警告を発するようにして、決定キー56の操作前の状態に戻る。
なお、この実施形態では、パケット電話機2は、オフフックキー57を操作するだけの簡単な操作で、着信を取ることができる着信優先モードを備える。すなわち、この実施形態のパケット電話機2では、当該着信優先モードに設定されているときに、主装置部1から着信中の回線状態の通知情報が到来すると、カーソル表示70は、当該着信中の回線に対応するフレキシブルキー表示の数字番号の下に移動すると共に、その左横に着信中を示す「R」を付加表示する。
この状態で、ユーザがオフフックキー57を操作すると、その操作をパケット電話機2は着信応答と判別し、その旨を主装置部1に送る。したがって、簡単な操作で着信に応答することができる。
[回線状態の通知情報の授受と、表示画面の表示]
次に、主装置部1のサーバ装置12、アクセスポイント装置10およびパケット電話機2の電話機部20の処理動作を、フローチャートを参照しながらさらに説明する。
収容している複数の回線のいずれかの回線状態が変化したときの、主装置部1における動作について先ず説明する。図6は、このときの主装置部1のサーバ装置12の動作を説明するためのフローチャートである。
すなわち、サーバ装置12は、前述もしたように常に複数の収容回線の回線状態を監視している(ステップS1)。そして、外線回線を通じた着信、パケット電話機2からの発信要求、保留要求、保留解除要求などのイベントに応じて、複数の回線のうちのいずれかに、回線状態が変化したか否か判別し(ステップS2)、回線状態が変化したと判別したときには、回線状態が変化した回線の識別情報と、その変化後の回線状態とを含めたマルチキャストパケットを、重要パケットとしてアクセスポイント装置10に送る(ステップS3)。
そして、アクセスポイント装置10からの応答ACKの受信を確認したら(ステップS4)、ステップS1に戻って、回線状態の変化の監視状態に戻る。
前述したように、この実施形態では、アクセスポイント装置10は、着信通知を含む回線状態の変化情報などの重要情報は、サーバ装置12からマルチキャストパケットとして受信しても、全てのパケット電話機2に対して個別のユニキャストパケットとして送るようにする。これにより、パケット電話機2が間欠受信を行なっていても、全てのパケット電話機2に、回線状態の変化情報を通知することができる。
次に、この主装置部1からの回線状態の変化情報を受けるパケット電話機2の動作を、図7のフローチャートおよび図8〜図10のLCD315の画面315Dの表示例を参照しながら説明する。図7のフローチャートの各ステップの処理は、パケット電話機2のCPU310が、ROM312に記憶されているプログラムに従って、RAM313をワークエリアとして用いて実行するものである。
なお、主装置部1に収容されている複数の回線のすべてが使用されておらず、また、着信を発生していない状態では、パケット電話機2のLCD315の表示画面315Dは、図8に示すようなものとなり、この例では、少なくとも回線が設定されているフレキシブルキー表示のすべては、数字番号のみが表示され、前述した回線状態を示す付加表示は表示されていない。
図7に示すように、パケット電話機2のCPU310は、常に、主装置部1から回線状態の変化情報を受信したかどうかを監視する(ステップS11)。そして、主装置部1から回線状態の変化情報を受信したと判別したときには、CPU310は、受信した回線状態の変化情報を解析し、回線の識別情報に基づいて、変化した回線を判別すると共に、その変化後の回線状態を検出し、その検出結果に基づいて、当該回線に対応するフレキシブルキー表示に対応して記憶保持している回線状態記憶保持部325の記憶情報を更新する(ステップS12)。
そして、CPU310は、ステップS12での検出の結果、変化後の回線状態が何であるかを判別し(ステップS13)、変化後の回線状態が他使用中であると判別したときには、回線状態が変化した回線が設定されているフレキシブルキー表示である数字番号の左横に「B」を付加表示する(ステップS14)。この付加表示の例は、図9においてフレキシブルキー表示「02」について示した。
また、CPU310は、変化後の回線状態が他使用中であったものの使用終了であると判別したときには、回線状態が変化した回線が設定されているフレキシブルキー表示である数字番号の左横に付加表示されていた「B」を消去する(ステップS15)。
また、CPU310は、変化後の回線状態が保留中であると判別したときには、回線状態が変化した回線が設定されているフレキシブルキー表示である数字番号の左横に「H」を付加表示する(ステップS16)。この付加表示の例は、図9においてフレキシブルキー表示「10」について示した。
また、CPU310は、回線状態は着信中であると判別したときには、着信優先モードが設定されているか否か判別する(ステップS17)。着信優先モードは設定されていないと判別したときには、CPU310は、着信中の回線が設定されている対応するフレキシブルキー表示である数字番号の左横に「R」を付加表示する(ステップS17)。この付加表示の例は、図9においてフレキシブルキー表示「01」、「03」、「08」について示した。
また、ステップS17で、着信優先モードが設定されていると判別したときには、CPU310は、着信中の回線が設定されている対応するフレキシブルキー表示である数字番号のところにカーソル表示70を移動させると共に、その数字番号の左横に「R」を付加表示する(ステップS19)。このときの表示画面315Dの表示例を、図10に示す。この図10に示すように、このとき、表示画面315Dには、着信中の文字表示71がさらに表示されると共に、相手の電話番号表示72が、併せて表示される。なお、この実施形態では、表示画面315Dには、ビジネスホンシステムの複数の回線のいずれかに着信があるときには、「着信中」の文字表示71が表示される。
この状態で、ユーザが決定キー56あるいはオフフックキー57を操作すると、当該操作は、着信応答操作(着信を取る操作)となり、簡単に着信を取ることができる。
そして、上述したステップS14〜ステップS18の次には、ステップS11に戻り、CPU310は、回線状態の変化情報の受信の監視状態に戻る。
[パケット電話機2におけるユーザのキー操作に対応する表示制御等の処理]
次に、パケット電話機2において、ユーザがキー操作入力をしたときの、CPU310による表示制御およびその関連制御を、図11〜図14のフローチャートおよび図15〜図18の表示例の図を参照しながら説明する。この図11〜図14のフローチャートの各ステップの処理は、パケット電話機2のCPU310が、ROM312に記憶されているプログラムに従って、RAM313をワークエリアとして用いて実行するものである。
先ず、CPU310は、上キー52または下キー53が操作されたか否か判別し(図11のステップS21)、上キー52または下キー53が操作されたと判別したときには、選択中カーソル表示70を、上キー52または下キー53により指示された方向に1行移動させ、移動後の1行のすべてを選択する状態にする(ステップS22)。
このときの表示例を図15に示す。これは、例えばカーソル表示70が一番上の行にあったときに、下キー53を操作したときの表示状態、あるいは、カーソル表示70が3番目の行にあったときに、上キー52を操作したときの表示状態である。この場合に、キー操作前のカーソル表示70は、図8のように1行すべてを選択している状態であっても、また、1つのフレキシブルキー表示を選択している状態のいずれであっても同じである。
この図15の表示状態で、CPU310は、決定キー56が操作されたか否か判別し(ステップS23)、操作されたと判別したときには、選択中の1行の複数個の回線群についての回線状態を詳細表示する(ステップS24)。
このときの表示例を図16に示す。この例では、選択中の1行のフレキシブルキー表示である数字番号が縦に表示されると共に、それぞれの数字番号の横に、「外線空き」、「外線着信中」、「外線保留中」など、回線状態が文字により詳細に説明表示される。そして、この図16の表示例に示すように、カーソル表示70は、一つのフレキシブルキー表示を選択する状態になる。
この図16の表示状態で、CPU310は、上キー52または下キー53が操作されたか否か判別し(ステップS25)、上キー52または下キー53が操作されたと判別したときには、選択中カーソル表示70を、上キー52または下キー53により指示された方向に移動させ、移動後のフレキシブルキー表示の詳細表示を選択する状態にする(ステップS26)。
そして、CPU310は、この状態で、決定キー56が操作されたか否か判別し(ステップS27)、決定キー56が操作されていないと判別したときには、ステップS25に戻る。なお、このステップS27では、決定キー56の代わりに、オフフックキー57が操作されたか否か判別するようにしてもよい。
また、ステップS25で上キー52または下キー53が操作されていないと判別したときには、オンフックキー58が操作されたか否か判別する(ステップS28)。このオンフックキー58の操作は、この例では、戻るキー操作とされており、このオンフックキー58が操作されたと判別したときには、CPU310は、図15に示したような1行すべてをカーソル表示70が選択する状態の表示画面に戻す(ステップS29)。そして、ステップS21に戻る。また、ステップS28でオンフックキー58が操作されていないと判別したときには、CPU310は、ステップS27に進み、決定キー56が操作されたか否か判別する。
そして、このステップS27で、決定キー56が操作されたと判別したときには、CPU310は、選択決定されたフレキシブルキー表示に対応する回線の回線状態は、使用中であるか否か判別する(ステップS30)。このステップS30で、使用中であると判別したときには、CPU310は、例えば警告音を発生させるなどして、ユーザに警告を報知し(ステップS31)、その後、ステップS24に戻って、図16の表示状態にする。
また、ステップS30で、選択決定されたフレキシブルキー表示に対応する回線の回線状態は、使用中ではないと判別したときには、CPU310は、回線の状態は、保留中であるか否か判別し(図12のステップS41)、保留中であると判別したときには、保留の解除処理をして、通話状態への移行処理をする(ステップS42)。すなわち、パケット電話機2からは、当該回線の識別情報を含む保留解除要求のパケットが主装置部1に送られる。主装置部1のサーバ装置2は、回線の識別情報で示される回線について、この保留解除要求に応じた処理を行うと共に、すべてのパケット電話機2に対して、当該回線が使用中となったことを通知するパケットを送出するようにする。このステップS42での処理の結果、表示画面315Dの表示状態は、通話時の状態になる。
以上のように、このステップS42での処理における当該パケット電話機2と主装置部1との情報のやり取りにより、主装置部1は、保留解除された回線が使用中になったことを、全てのパケット電話機2に通知するようにする。このため、この保留解除された回線に対応するフレキシブルキー表示は、保留中の「H」の付加表示から使用中の「B」の付加表示に変わる。
そして、次にCPU310は、通話が終話したか否か判別し(ステップS45)、終話したと判別したときには、当該終話した回線の識別情報を含む終話通知を主装置部1に送って終話処理をし(ステップS46)、表示画面315Dの表示画面を、複数個のフレキシブルキー表示をする通常画面表示に戻す(ステップS47)。
ステップS41で、選択決定されたフレキシブルキー表示に対応する回線の回線状態は、保留中ではないと判別したときには、CPU310は、回線状態は、着信中であるか否か判別する(ステップS43)。そして、着信中であると判別したときには、CPU310は、着信応答の処理し、また、通話状態への移行処理をする(ステップS44)。そして、ステップS45以降に進む。
このステップS44での処理の結果、表示画面315Dの表示状態は、通話時の状態になる。そして、このステップS44での処理における当該パケット電話機2と主装置部1との情報のやり取りにより、主装置部1は、着信中の回線が使用中になったことを、全てのパケット電話機2に通知するようにする。このため、この着信中の表示がされていた回線に対応するフレキシブルキー表示は、着信中の「R」の付加表示から使用中の「B」の付加表示に変わる。
また、ステップS43で、選択決定されたフレキシブルキー表示に対応する回線の回線状態は、着信中ではないと判別したときには、CPU310は、回線状態は外線空きの状態であるか否か判別する(ステップS48)。そして、回線状態は、外線空きの状態ではないと判別したときには、CPU310は、選択決定されたフレキシブルキー表示に対して設定されている各種機能に応じたその他の処理を行なう(ステップS49)。なお、選択決定されたフレキシブルキー表示に対して何も設定されていないときには、例えば警告音を発して、そのことをユーザに報知するようにする。
また、ステップS48で、選択決定されたフレキシブルキー表示に対応する回線の回線状態は外線空き状態であると判別したときには、CPU310は、外線発信操作のための操作であるオフフックキー57が操作されたか否か判別し(ステップS50)、オフフックキー57が操作されたと判別したときには、当該回線の識別情報を含む当該回線の捕捉要求を主装置部1に送り、その要求に対して捕捉完了通知を受け取ると、ダイヤル処理をして、外線発信処理を行ない(ステップS51)、続いて外線通話の処理を行なう(ステップS52)。そして、ステップS45以降の処理に進む。
ステップS50で、オフフックキー57が操作されないと判別したときには、CPU310は、オンフックキー58が操作されたか否か判別し(ステップS53)、オンフックキー58が操作されたと判別したときには、戻る操作と判別して、図15に示したような1行すべてをカーソル表示70が選択する状態の表示画面に戻す(ステップS54)。そして、ステップS21に戻る。また、ステップS53でオンフックキー58が操作されていないと判別したときには、CPU310は、ステップS50に戻り、オフフックキー57が操作されたか否かの判別監視に戻る。
図11のステップS21で上キー52または下キー53は操作されていないと判別したとき、また、ステップS23で決定キー56は操作されていないと判別したときには、CPU310は、左キー54または右キー55が操作されたか否か判別する(図13のステップS61)。
そして、CPU310は、左キー54または右キー55が操作されたと判別したときには、選択中カーソル表示70が1行選択していたときには、その1行選択状態から、1つずつのフレキシブルキー表示を選択する状態にすると共に、指示された方向にカーソル表示70の位置を移動させる。また、選択中カーソル表示70が、1つずつのフレキシブルキー表示を選択する状態になっているときには、指示された方向にカーソル表示70の位置を移動させる(ステップS62)。
このときの表示例を図17に示す。上述もしたように、1行単位の選択表示のときに左キー54が押されると、当該行の左端のフレキシブルキー表示が選択される状態になり(図17の表示例はその状態)、また、1行単位の選択表示のときに右キー55が押されると、当該行の右端のフレキシブルキー表示が選択される状態になる。
この図17の表示状態で、CPU310は、決定キー56が操作されたか否か判別し(ステップS63)、決定キー56が操作されていないと判別したときには、オンフックキー58が操作されたか否か判別し(ステップS64)、オンフックキー58も操作されていないと判別したときには、ステップS61に戻る。ステップS64でオンフックキー58が操作されたと判別したときには、戻る操作と判別して、図15に示したような1行すべてをカーソル表示70が選択する状態の表示画面に戻す(ステップS70)。そして、ステップS21に戻る。
また、ステップS63で、決定キー56が操作されたと判別したときには、CPU310は、選択決定されたフレキシブルキー表示に対応する回線の回線状態を、回線状態記憶保持部325が記憶保持している回線状態の情報に基づいて詳細表示する(ステップS65)。
このときの表示画面315Dの表示例を図18に示す。この図18の例は、数字番号「07」のフレキシブルキー表示がカーソル表示70により選択されているときに決定キー56が操作されたときの表示例を示している。
次に、CPU310は、さらに決定キー56が操作されたか否か判別し(ステップS66)、決定キー56が操作されていないと判別したときには、オンフックキー58が操作されたか否か判別し(ステップS67)、オンフックキー58も操作されていないと判別したときには、ステップS66に戻る。ステップS67でオンフックキー58が操作されたと判別したときには、戻る操作と判別して、図15に示したような1行すべてをカーソル表示70が選択する状態の表示画面に戻す(ステップS70)。そして、ステップS21に戻る。
また、ステップS66で、決定キー56が操作されたと判別したときには、CPU310は、選択決定されたフレキシブルキー表示に対応する回線の回線状態は、外線使用中であるか否か判別する(ステップS68)。このステップS68で、外線使用中であると判別したときには、CPU310は、例えば警告音を発生させるなどして、ユーザに警告を報知し(ステップS69)、その後、ステップS63に戻って、例えば図17の表示状態にする。
また、ステップS30で、選択決定されたフレキシブルキー表示に対応する回線の回線状態は、使用中ではないと判別したときには、CPU310は、図12のステップS41に進み、前述したこのステップS41以降の処理を行なう。
なお、図13のルーチンにおいて、ステップS27では、決定キー56の代わりに、オフフックキー57が操作されたか否か判別するようにしてもよい。また、ステップS65の詳細表示は、選択決定された回線の回線状態を、ユーザに確認してもらう意味でなされる。したがって、場合によっては、ステップS65およびステップS66の判別ステップを省略しても良い。
そして、ステップS61で左キー54または右キー55は操作されていないと判別したときには、CPU310は、決定キー56が操作されたか否か判別し(図14のステップS81)、決定キー56も操作されていないと判別したときには、図11のステップS21に戻る。
また、ステップS81で決定キー56が操作されたと判別したときには、CPU310は、着信優先モードが設定されているか否か判別し(ステップS82)、着信優先モードは設定されてはいないと判別したときには、カーソル表示70は、フレキシブルキー表示の1行選択の状態か、あるいは1個ずつの選択の状態であるか判別する(ステップS83)。
このステップS83で、カーソル表示70は、フレキシブルキー表示の1行選択の状態であると判別したときには、CPU310は、図11のステップS24に進み、このステップS24以降の処理を実行する。また、カーソル表示70は、フレキシブルキー表示の1個ずつの選択の状態であると判別したときには、CPU310は、図13のステップS65に進み、このステップS65以降の処理を実行する。
また、ステップS82で着信優先モードが設定されていると判別したときには、CPU310は、カーソル表示70が位置して選択中のフレキシブルキー表示に対応する回線の回線状態は着信中であるか否か判別し(ステップS84)、そうでなければ、ステップS83に進み、このステップS83以降の処理を行なう。
また、ステップS84で、カーソル表示70が位置して選択中のフレキシブルキー表示に対応する回線の回線状態は着信中であると判別したときには、CPU310は、即座に着信応答の処理をし(ステップS85)、その後、図12のステップS45に進み、当該ステップS45以降の処理を行なう。
以上説明したように、この実施形態では、LEDによる自照式のボタンを用いることなく、少ないボタン(キー)数で、無線LANを利用したビジネスホンシステム用のパケット電話端末を実現することができる。
そして、LEDによる自照式のボタンは用いないので、電力消費を少なくして、待機時間の長い無線通信端末を構成することができる。また、この例のパケット電話機である無線通信端末では、例えばLCDなどの表示画面に、フレキシブルキーに対応する表示をし、それらのフレキシブルキーに対応する表示に、回線や各種機能を対応させて設定するようにしたので、狭いスペースにボタンを設ける必要がなく、多数の回線および機能に対応することができる。
[他の実施形態および変形例]
上述の実施の形態では、複数の通信用回線のそれぞれに対応するシンボルとして、数字番号を用いるようにしたが、前記シンボルとしては、数字番号に限られるものではなく、A,B,C・・・などの他の文字や、記号でもよい。また、キーボタンの図形をアイコン状に表示するようにしてもよい。
また、回線状態の変化に応じて、各回線に対応するシンボルに対する付加表示のシンボルも、上述の例のようなアルファベット文字ではなく、回線状態に対応させた記号や図形であってもよい。また、前述もしたように、各回線に対応するシンボルに対する、当該回線の状態に応じて施す表示は、実施形態のようなシンボルの付加表示ではなく、各回線に対応するシンボルの点滅や色の変化などの表示態様の変化を用いることもできる。
また、上述の実施の形態では、通常の状態でもカーソル表示70を表示画面315Dに表示するようにしたが、待ち受け状態など、使用状態ではない初期画面では、選択中を示すカーソルは表示せず、ユーザが手にとって使用状態にしたときに、カーソル表示をするようにしても良い。
また、上述の実施形態では、オンフックキー(戻るキーでもよい)が操作されたときには、例えば図15に示したような1行のフレキシブルキー表示の全部を選択する状態に戻るようにしたが、当該オンフックキーが操作されたときの状態の前の状態に戻るようにしても良い。
また、上述の実施形態では、終話処理をした後には、例えば図15に示したような1行のフレキシブルキー表示の全部を選択する状態に戻るようにしたが、終話処理前の決定キーを操作したときに選択していたフレキシブルキー表示を選択する状態に戻ってもよい。このようにした場合には、よく使う回線に対応するフレキシブルキー表示に、カーソル表示70が位置していることが多くなり、使い勝手が良くなる。つまり、最後に使用していた回線が選択中となる、いわゆるラストメモリ機能を実現することができる。
なお、変化後の回線状態に応じて予め定められた表示変化の態様としては、上述の例のフレキシブルキー表示に対するシンボルの付加表示に限らず、フレキシブルキー表示自身を、点滅させたりして、その表示態様を変化させるようにしてもよい。また、LCD315としてカラーLCDを用いる場合には、フレキシブルキー表示の色を、回線状態に応じて変化させるようにしてもよい。
カーソル表示は、アンダーバーに限られるものではなく、フレキシブルキー表示の囲み表示や、白黒反転表示、フレキシブルキー表示の周囲領域のカラー表示など、種々の態様が採用可能である。
また、以上の実施形態では、通話のみを行なう場合であったが、パケット電話機に電子メールの機能を設けて、電子メールの通信を行なうようにすることもできる。
なお、表示素子としては、LCDに限らず、有機EL(Electronic Lumminescence)ディスプレイ、FED(Field Emmission Display)など、他のフラットディスプレイパネルを用いることができることは言うまでもない。
1…主装置部、2…パケット電話機、3…無線LAN、4…外部ネットワーク、20…無線LAN用端末側ステーション装置部、30…電話機部、40…バッテリー、325…回線状態記憶保持部