JP4378534B2 - 脂肪酸アルキルエステルの製造方法 - Google Patents

脂肪酸アルキルエステルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、脂肪酸アルキルエステル(「脂肪酸エステル」とも言う。)の製造方法に関する。より詳しくは、バイオディーゼル燃料として使用する脂肪酸アルキルエステルの製造方法に関する。
一般に「BDF」と略称されるバイオディーゼル燃料は、植物性油脂、動物性油脂又はこれらの廃油脂(例えば、廃食油)の主成分である脂肪酸トリグリセリド(「脂肪酸グリセリド」とも言う。)をアルコールでエステル交換する方法、又は加水分解をして得られる脂肪酸をアルコールでエステル化する方法などによって得られる脂肪酸エステルからなる燃料である。この燃料は、ディーゼル機関を有する車両、船舶、農工業機械、発電機等に使用可能である。
このバイオディーゼル燃料は、軽油に比べてその排気ガス中の黒煙や酸性雨の原因となる硫黄酸化物が少なく、浮遊粒子状物質(PM)の発生も少ないため、環境負荷を軽減できるという利点やバイオマス資源由来の燃料であるので、地球上の炭素バランスを崩さないという利点を有することなどから、既に化石燃料の代替としての利用が始まっている。また、油脂類から脂肪酸エステルを工業的に製造する方法も幾つか開発されており、この方法は、概ねアルカリ触媒法、酸触媒法、リパーゼ酵素法に大別できる。
アルカリ触媒法は、油脂にメタノールと塩基性触媒を加えてエステル交換反応を行うことにより、目的の脂肪酸メチルエステルを得る方法である。この方法は、比較的穏やかな温度・圧力条件で反応を進行させることができるが、精製段階でアルカリ触媒の除去工程が必要となる。また、原料油脂中の遊離脂肪酸とアルカリ触媒が反応してアルカリセッケンを生成したり、原料油脂中の水が触媒機能を低下させたりして、エステル収率の低下を招くなどの問題を抱えている。
酸触媒法は、アルカリ触媒法のようなアルカリセッケンの生成は起こらないが、前記アルカリ触媒法同様に、原料油脂中の水分によって触媒機能が低下し、また、反応速度も遅いため、この方法単独で工業的製法とすることは困難である。
リパーゼ酵素法は、リパーゼ酵素の触媒作用によって、原料油脂をバイオディーゼル燃料へ変換する方法であり、生産物の中和が不要であり、原料中の遊離脂肪酸の影響を受けないなどの利点があるが、メタノール添加量の制御が不可欠であり、反応速度が遅く、コストも高いなどの問題を抱えている。
これらの製法に対し、本願発明者は、無触媒条件下で脂肪酸エステルを製造する技術を提案している。例えば、特許文献1では、原料油脂を、高温・高圧の超臨界状態又は亜臨界状態のアルコールを溶媒に用いてエステル交換反応及びエステル化反応を行うことによって、脂肪酸エステル組成物を無触媒で製造する技術を提案している。この技術では、脂肪酸アルキルエステルとグリセリンとが反応して脂肪酸モノグリセリドに戻る逆反応が存在するため、脂肪酸アルキルエステル生成方向へ反応を傾けるために大過剰量のアルコールを用いる必要があり、また温度・圧力の条件も厳しく、改良の余地があった。
また、本願発明者は、特許文献2や非特許文献1において、前記特許文献1の改良技術を提案している。より詳しくは、脂肪酸トリグリセリドを含む原料油脂と水を共存させて加水分解し、前記脂肪酸トリグリセリドから脂肪酸とグリセリンを得る第1工程と、この第1工程の生成物にアルコールを添加し、所定の温度・圧力条件で前記生成物中の脂肪酸を脂肪酸アルキルエステルに変換する第2工程(即ち、エステル化工程)と、から構成される製造方法(以下、「無触媒・二段階方法」と称する)を提案している。
この無触媒・二段階方法では、第1工程後に、グリセリンを分離除去することにより第2工程での逆反応を有効に阻止し、かつ第1工程から得られた脂肪酸中の水分を除去しておくことで、第2工程のエステル化反応をより優勢に進行させることができるため、脂肪酸アルキルエステルを効率良く製造できる。この方法は、特に、水や遊離脂肪酸を含む廃油などの原料油脂を用いる脂肪酸アルキルエステルの工業的製法として有用な技術である。
加えて、特許文献3には、トリグリセリドとカルボン酸エステルとをエステル交換反応させて得られてくるトリアセチン(グリセリントリアセタート)などのトリグリセリドとカルボン酸エステルとからなる燃料を製造する技術が開示されている。即ち、アルコールを溶媒として用いない脂肪酸アルキルエステルの製造技術が開示されている。
特開2000−204392号公報。 PCT国際公開 WO03/106604号公報。 特開2004−149742号公報。 Journal of the Japan Institute of Energy,Vol.84,413−419(2005)。
BDFに有用である脂肪酸アルキルエステルの製法に係わる従来技術は、上記したように、概ね、アルコールを溶媒とするエステル化反応やエステル交換反応に基づいている。アルコール溶媒系では、例えば、アルコールを超臨界条件とすることで、原料油脂中の遊離脂肪酸に対してもエステル化反応を進行させることができるが、脂肪酸トリグリセリドをグリセロールへ変換する反応に時間がかかる点や脂肪酸アルキルエステルの収率向上という点において技術的課題を抱えている。
そこで、本発明は、前記技術的課題の解決を図り、アルコールおよびカルボン酸エステルを用いた脂肪酸アルキルエステルの製造方法において、脂肪酸アルキルエステルの収率向上などを達成できる技術を提供することを主な目的とする。
本願発明者は、脂肪酸アルキルエステルの製造技術の主流になっているアルコール溶媒を用いる方法を中心に、脂肪酸アルキルエステルの工業生産を想定したより有利な製造方法の鋭意研究を行った。その結果、脂肪酸グリセリドについて「超臨界又は亜臨界条件のアルコール溶媒」や「超臨界又は亜臨界条件のカルボン酸エステル溶媒」においてエステル交換反応を進行させることによって、それぞれ脂肪酸アルキルエステルが収得できることを見出した。
本発明は、原料油脂中に含まれている脂肪酸グリセリドと前記アルコールとの間でエステル交換する反応と、該脂肪酸グリセリドと前記カルボン酸エステルとの間でエステル交換する反応と、を含み、これら二つの反応のそれぞれから前記脂肪酸アルキルエステルを得るようにするものである。
そして、本発明では、前記脂肪酸グリセリド相と前記カルボン酸エステル相との反応系に第三成分を添加して相溶化することで、超臨界条件又は亜臨界条件においても効率的にエステル交換反応を進行させることもできる。
同様に、前記脂肪酸グリセリド相と前記カルボン酸エステル相と前記アルコール相との三相間についても第三成分を添加して相溶化することで、効率的にエステル交換反応を進行させることができる。
なお、本発明において「油脂」とは、脂肪酸グリセリド(脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸モノグリセリドを含む。)及び脂肪酸のいずれかを少なくとも含むものである。「脂肪酸アルキルエステル」とは、(1)原料油脂中に最初から含まれていた遊離脂肪酸、(2)原料油脂中の成分が何らかの反応を受けて生成した脂肪酸、(3)原料油脂中に含まれる脂肪酸や脂肪酸グリセリドなどが、エステル化反応、あるいはエステル交換反応などを経て得られる脂肪酸エステルを意味する。
本発明によれば、超臨界若しくは亜臨界条件のアルコール溶媒、又は超臨界若しくは亜臨界条件のカルボン酸エステル溶媒を用いることによって、脂肪酸グリセリドから脂肪酸アルキルエステルへの生成反応を進行させることが可能となる。また、アルコールとカルボン酸エステルとの二溶媒系でも脂肪酸アルキルエステルを得ることが可能となる。
以下、本発明を実施するための好適な形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、添付図面に示された各実施形態は、本発明に係わる製造方法の代表的な実施形態例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
まず、図1は、本発明に係る脂肪酸アルキルエステルの製造方法で使用する原料油脂の一般的な成分構成の一例を示す図である。
本製造方法で使用する原料油脂には、一般的には、遊離脂肪酸、脂肪酸トリグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸モノグリセリドなどの脂肪酸グリセリド、その他の成分(例えば、水分や微量元素成分)が含まれている場合が多い。例えば、廃食油などの廃油脂では、脂肪酸トリグリセリドが主成分であり、ダーク油は遊離脂肪酸が主成分である。本発明では、遊離脂肪酸と脂肪酸グリセリドのいずれか一方又は両方を含む原料油脂を広く対象とする。
図2〜4は、本発明に係る製造方法の第1実施形態例の工程概念及び反応例を説明するための図である。より詳しくは、図2は、本発明に係る製造方法において利用可能な第1実施形態例(以下、A工程)の全体概念を示す図、図3は、同A工程に関与するエステル交換反応例Aを示す図、図4は、同A工程に関与するエステル交換反応例Aを示す図である。
ここで、図3、図4中に示すR,R,R,Rは、炭化水素基を意味しており、これらR,R,R,Rは異種の炭化水素基であったり、R,R,R,Rの全部又はいずれか二つが同種の炭化水素基であったりしてもよい。また、R,R,R,Rは、その炭素数を狭く限定されることはなく、また、炭素−炭素不飽和結合があってもよく、場合によってはアルコキシ基などの他の官能基が結合していてもよい(以下、他の工程でも同様)。但し、Rは水素原子(H)のみの場合も含む。また、脂肪酸トリグリセリド末端のRは、同一分子中において同種の炭化水素基であってよいし、異種の炭化水素基であってもよい。
まず、図2からもわかるように、このA工程では、原料油脂中に含まれ得る脂肪酸グリセリドから脂肪酸アルキルエステルとアセチンとグリセリンを収得する。
この図2に示されたA工程(エステル交換反応)は、本発明の製造方法に係わる反応系に存在している脂肪酸グリセリドを利用し、該脂肪酸グリセリドと超臨界又は亜臨界条件下のアルコールやカルボン酸エステルとの間で、エステル交換反応を進行させることによって、脂肪酸アルキルエステルを収得することを主目的とする反応である。
図3にはA工程に利用できるエステル交換反応例Aが示されている。このエステル交換反応例Aでは、原料油脂中に存在している脂肪酸グリセリド、例えば脂肪酸トリグリセリド(RCOOCHCH(OOCR)CHOOCR)と超臨界又は亜臨界条件下のアルコール(ROH)とを反応させてエステル交換を行い、脂肪酸アルキルエステル(RCOOR)とグリセリン(HOCHCH(OH)CHOH)を得る。なお、このエステル交換の過程では、脂肪酸トリグリセリドからは脂肪酸ジグリセリドが生成するが、脂肪酸ジグリセリドからは脂肪酸モノグリセリドが、脂肪酸モノグリセリドからはグリセリンが生成する。
具体的には、前記脂肪酸トリグリセリドを含む油相中へアルコール(例えば、メタノールなどのアルキルアルコール)を添加し、その超臨界又は亜臨界条件となる温度・圧力条件下で、例えば、温度200〜300℃、圧力1.0〜20MPaの条件で、前記脂肪酸トリグリセリドを脂肪酸アルキルエステル(RCOOR)に変換するエステル交換工程を行う。工程時間は、例えば、10〜60分、より好ましくは15〜25分が望ましい。但し、温度により好適な処理時間は異なり、高温程短時間となる。
ここで、本発明において「アルコール」は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノールなどの直鎖アルコール類、イソブチルアルコール、2-ブタノール、t-ブタノール、アリルアルコールなどの分岐アルコール類などを意味し、一般式ROH(Rは1〜約24個の炭素原子を含有する炭化水素基)で表される(以下、同様)。
また、「アルコールの超臨界状態」とは、反応系内の温度がアルコールの臨界温度(Tc)以上で、かつ圧力がアルコールの臨界圧力(Pc)以上の状態を言う。また、「アルコールの亜臨界状態」とは、反応系内の温度がアルコールの沸点以上で、かつ概ね150℃以上であり、かつ圧力が反応温度におけるアルコールの蒸気圧以上で、かつ概ね2.0MPa以上の状態を言う(以下、同様)。
また、図4に示されたA工程で利用可能なエステル交換反応例Aでは、原料油脂中に存在している脂肪酸グリセリド、例えば脂肪酸トリグリセリド(RCOOCHCH(OOCR)CHOOCR)と超臨界又は亜臨界条件下のカルボン酸エステル(RCOOR)とを反応させてエステル交換を行い、トリアセチン(RCOOCHCH(OOCR)CHOOCR)と脂肪酸アルキルエステル(RCOOR)を得る。なお、このエステル交換の過程では、脂肪酸トリグリセリドからはトリアセチンが生成するが、脂肪酸ジグリセリドからはジアセチン、脂肪酸モノグリセリドからはモノアセチンが生成する。
なお、溶媒である「カルボン酸エステルの超臨界状態」とは、反応系内の温度がカルボン酸エステルの臨界温度(Tc)以上で、かつ圧力がカルボン酸エステルの臨界圧力(Pc)以上の状態を言う。また、「カルボン酸エステルの亜臨界状態」とは、反応系内の温度がカルボン酸エステルの沸点以上で、かつ概ね100〜150℃以上であり、かつ圧力が反応温度におけるカルボン酸エステルの蒸気圧以上で、かつ概ね0.5〜2.0MPa以上の状態を言う(以下、同様)。
そして、「カルボン酸エステル」として、例えば、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチルなどを用いることができる(以下、同様)。なお、主要なカルボン酸エステルの臨界温度(Tc)及び臨界圧力(Pc)を以下の「表1」にまとめた。
Figure 0004378534
このエステル交換反応例Aでは、上掲の「表1」に示されているように、例えば、蟻酸アルキルを用いた場合は、臨界温度(Tc):214〜285℃、臨界圧力(Pc):3.5〜6.0MPaであり、酢酸アルキルを用いた場合は、臨界温度(Tc):234〜288℃、臨界圧力(Pc):3.1〜4.7MPaであるため、成分の分解が300℃以上で起こることを考慮すると、カルボン酸エステルの超臨界又は亜臨界条件である、200℃以上300℃以下、2.0MPa以上15MPa以下が好適である。
なお、この図4に例示されているエステル交換反応例Aに第三成分を添加することによって、脂肪酸グリセリド相とカルボン酸エステル相の相溶化を行ってもよい。例えば、ペンタン、ヘキサンなどのアルカンや石油エーテルなどを挙げることができる。これにより、第三成分を添加した系は一相となり、該エステル交換反応を促進させることができる。その結果、反応処理条件、例えば、処理温度を低減することが可能になるからである。例えば、反応温度を350℃から300℃以下に下げることが充分に期待できる。
このようなエステル交換反応例Aにおいて生成したアセチン(例えば、トリアセチン)は、そのままBDFとして利用することも可能であるが(特許文献3参照)、実際には、脂肪酸グリセリドの完全エステル化であるトリアセチンは多くなく、ジアセチン又はモノアセチンとして存在するため、BDFとしては好ましくない。従って、未反応の末端を有するアセチン(例えば、ジアセチンやモノアセチン)を反応系から分離して再びエステル交換反応例Aへ導入することによって、前記アセチン(即ち、脂肪酸グリセリド)とカルボン酸エステルとの間のエステル交換反応(図4参照)をさらに進行させ、脂肪酸アルキルエステルを収得することも可能である。
本実施例では、本発明に係るA工程で利用できるカルボン酸エステルを用いたエステル交換反応について検証した。脂肪酸トリグリセリド(RCOOCHCH(OOCR)CHOOCR)を含んでいる菜種油と、カルボン酸エステルとして蟻酸メチル(HCOOCH)と、アルコールとしてメタノール(CHOH)とを用いた(図3、図4参照)。そして、前記蟻酸メチルを超臨界条件として、前記菜種油に含まれる脂肪酸トリグリセリドについてのエステル交換反応が進行するかどうかについて検証した。
実験方法。蟻酸メチル(Aldrich製、99%)をメタノールにそれぞれ0,6,50,100wt%の割合で混合し、反応溶媒を調製した。次に、内容積5mLのバッチ型反応管に、菜種油と各溶媒とを体積比1:1:7(溶媒がメタノールの場合でモル比1:42)の割合で封入し、350℃で1〜30分間処理した。処理後の反応物から前記溶媒をエバポレーターで留去し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)及びゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分析した。なお、HPLC及びGPCによる分析時の環境は、次の「表2」の通りである。
Figure 0004378534
結果と考察。9分間処理後のHPLCクロマトグラムを図5に、15分間処理後のHPLCクロマトグラムを図6にそれぞれ示す。9分間の処理では、50wt%までの蟻酸メチルの添加により、反応中間体であるモノグリセリド(以下、MG)に対応するピークが増大し、蟻酸メチルのみの溶媒では同じく反応中間体であるジグリセリド(以下、DG)に対応するピークがかなり大きくなった(図5参照)。これに対し、15分間の処理では50wt%までの蟻酸メチルの添加では、前記MGやDGのピークはほとんど変わらなかったが、蟻酸メチルのみの溶媒では依然としてDGのピークが大きかった(図6参照)。
図7に、GPC分析の結果より求めた各試料のエステル交換反応の収率を示す。添加する蟻酸メチルの量が多いほど反応速度が遅くなる傾向があるが、50wt%までの添加量ではそれほど影響の大きさに変化はなかった。また、反応時間を30分間にすると、蟻酸メチルの添加量にかかわらず70〜80%程度のエステル交換反応の収率が得られた。なお、350℃では、菜種油に含まれるリノレン酸やリノール酸メチルなどの不飽和脂肪酸エステルが熱分解するため、処理時間10分以降で収率が低下している。これらの結果から、本反応系において、メタノールだけでなく蟻酸メチルもエステル交換反応を引き起こすと示唆される(図4参照)。従って、油脂類のカルボン酸エステルによるエステル交換反応が明らかとなった。
<2成分反応系における相溶化の検証>
本実施例2では、本発明に係る製造方法の2成分反応系における相溶化について検証した。以下の「表3」に示す混合系を常温・常圧条件下で作成し、その溶解状態を観察した。さらに、各混合系を一晩冷蔵庫(5℃)で冷却し、溶解状態の変化を観察した。本実施例2に関する実験結果を図面代用写真である図8〜図15に示した。
Figure 0004378534
(1)蟻酸メチル+菜種油(1:1)。
常温ではほぼ溶解したが、白い沈殿が少量底に残っているのが観察された(図8参照)。これを冷蔵庫(5℃)で一晩冷却すると、黄金色の上層と、無色透明な下層とに分かれた。二層の高さの比はおよそ4:1であった(図9参照)。
(2)蟻酸メチル+菜種油+ペンタン(1:1:0.1)。
常温ではほぼ完全に溶解した(図10参照)。これを冷蔵庫(5℃)で一晩冷却すると、薄い黄金色の上層と、無色透明な下層とに分かれた。両層の高さの比はおよそ8:1であった(図11参照)。
(3)蟻酸メチル+菜種油+ヘキサン(1:1:0.1)。
常温ではほぼ完全に溶解した(図12参照)。これを冷蔵庫(5℃)で一晩冷却すると、薄い黄金色の上層と、無色透明な下層とに分かれた。両層の高さの比はおよそ8:1であった(図13参照)。
(4)蟻酸メチル+菜種油+石油エーテル(1:1:0.1)。
常温ではほぼ完全に溶解した(図14参照)。これを冷蔵庫(5℃)で一晩冷却すると、薄い黄金色の上層と、無色透明な下層とに分かれた。両層の高さの比はおよそ8:1であった(図15参照)。以上の(1)〜(4)の結果を次の「表4」にまとめた。
Figure 0004378534
この結果から、蟻酸メチルと油脂(菜種油)の混合系では完全には溶解せず沈殿物を生じている。一方、第三成分を添加した系ではいずれも一層となっており、超臨界条件又は亜臨界条件下においても良好なエステル交換反応が期待できる。
<3成分反応系における相溶化の検証>
本実施例3では、本発明に係る製造方法の3成分反応系における相溶化について検証した。まず、以下の「表5」に示す混合系を常温・常圧条件下で作成し、その溶解状態を観察した。次に、表5の(1)及び(5)の混合系を除き、相溶剤としてペンタン、ヘキサン、又はアセトンを系が一層になるまで加え、それぞれの要した体積を調べた。なお、本実施例3に関する実験結果を図面代用写真である図16〜図29に示した。また、確認実験として蟻酸メチルとメタノールとの溶解性を調べたところ、蟻酸メチル・メタノール系では互いに溶解しないことを確認した。
Figure 0004378534
(1)蟻酸メチル+メタノール+菜種油(1:1:1)。
蟻酸メチルとメタノールと菜種油とを混合して静置したところ、無色透明な上層と黄金色の下層とにわかれた。その際の二層の高さの比はおよそ3:2であった(図16参照)。
(2)蟻酸メチル+メタノール+菜種油+ペンタン(1:1:1:0.1)。
まず、蟻酸メチルとメタノールと菜種油とペンタンとを1:1:1:0.1の体積比で混合したところ、二層にわかれた(図17参照)。次に、蟻酸メチルとメタノールと菜種油との混合系が一層構造となるまで相溶剤としてペンタンを添加したところ、要したペンタンの体積はメタノールの3.0倍であった(図18参照)。
(3)蟻酸メチル+メタノール+菜種油+ヘキサン(1:1:1:0.1)。
まず、蟻酸メチルとメタノールと菜種油とペンタンとを1:1:1:0.1の体積比で混合したところ、二層にわかれた(図19参照)。次に、蟻酸メチルとメタノールと菜種油との混合系が一層構造となるまで相溶剤としてヘキサンを添加したところ、要したヘキサンの体積はメタノールの14.0倍であった(図20参照)。
(4)蟻酸メチル+メタノール+菜種油+アセトン(1:1:1:0.1)。
まず、蟻酸メチルとメタノールと菜種油とアセトンとを1:1:1:0.1の体積比で混合したところ、二層にわかれた(図21参照)。次に、蟻酸メチルとメタノールと菜種油との混合系が一層構造となるまで相溶剤としてアセトンを添加したところ、要したアセトンの体積はメタノールの5.7倍であった(図22参照)。
(5)蟻酸エチル+メタノール+菜種油(1:1:1)。
蟻酸エチルとメタノールと菜種油とを混合して静置したところ、無色透明な上層と黄金色の下層とにわかれた。その際の二層の高さの比はおよそ3:2であった(図23参照)。
(6)蟻酸エチル+メタノール+菜種油+ペンタン(1:1:1:0.1)。
まず、蟻酸エチルとメタノールと菜種油とペンタンとを1:1:1:0.1の体積比で混合したところ、二層にわかれた(図24参照)。次に、蟻酸エチルとメタノールと菜種油との混合系が一層構造となるまで相溶剤としてペンタンを添加したところ、要したペンタンの体積はメタノールの2.0倍であった(図25参照)。
(7)蟻酸エチル+メタノール+菜種油+ヘキサン(1:1:1:0.1)。
まず、蟻酸エチルとメタノールと菜種油とヘキサンとを1:1:1:0.1の体積比で混合したところ、二層にわかれた(図26参照)。次に、蟻酸エチルとメタノールと菜種油との混合系が一層構造となるまで相溶剤としてヘキサンを添加したところ、要したヘキサンの体積はメタノールの2.6倍であった(図27参照)。
(8)蟻酸エチル+メタノール+菜種油+アセトン(1:1:1:0.1)。
まず、蟻酸エチルとメタノールと菜種油とアセトンとを1:1:1:0.1の体積比で混合したところ、二層にわかれた(図28参照)。次に、蟻酸エチルとメタノールと菜種油との混合系が一層構造となるまで相溶剤としてアセトンを添加したところ、要したアセトンの体積はメタノールの4.3倍であった(図29参照)。
Figure 0004378534
この結果から、相溶剤として第三成分を添加した系ではいずれも一相とすることができた。また、相溶剤の添加量について考察すれば、本実施例は常温・常圧下条件であるためメタノールの水素結合が強く働き、そのため3成分が溶解するまでに多量の相溶剤を要したものと考えられる。
一方、高温・高圧である超臨界条件又は亜臨界条件下での3成分反応系では、アルコールの水素結合が開裂することで疎水性が増すため、系全体がより溶解しやすくなると考えられる。即ち、本発明に係るエステル交換反応では、前記相溶剤の添加はより少量でよいことが期待できる。従って、超臨界条件又は亜臨界条件下においても良好なエステル交換反応が期待できる。
本発明は、バイオディーゼル燃料として好適に使用可能な高品位な脂肪酸アルキルエステルを無触媒で効率良く製造する技術として利用可能である。
本発明に係る脂肪酸アルキルエステルの製造方法で使用する原料油脂の一般的な成分構成の一例を示す図である。 本発明に係る製造方法において利用可能な第1実施形態例(以下、A工程)の全体概念を示す図である。 同A工程に関与するエステル交換反応例Aを示す図である。 同A工程に関与するエステル交換反応例Aを示す図である。 実施例1に係る検証実験の結果である9分間処理後のHPLCクロマトグラムを示す図である。 同15分間処理後のHPLCクロマトグラムを示す図である。 実施例1のGPC分析の結果より求めた各試料のエステル交換反応の収率を示す図(グラフ)である。 実施例2に係る検証実験の混合系区分(1)の常温での観察結果を示す図面代用写真である。 同混合系区分(1)の一晩冷却後の観察結果を示す図面代用写真である。 実施例2に係る検証実験の混合系区分(2)の常温での観察結果を示す図面代用写真である。 同混合系区分(2)の一晩冷却後の観察結果を示す図面代用写真である。 実施例2に係る検証実験の混合系区分(3)の常温での観察結果を示す図面代用写真である。 同混合系区分(3)の一晩冷却後の観察結果を示す図面代用写真である。 実施例2に係る検証実験の混合系区分(4)の常温での観察結果を示す図面代用写真である。 同混合系区分(4)の一晩冷却後の観察結果を示す図面代用写真である。 実施例3に係る検証実験の混合系区分(1)の観察結果を示す図面代用写真である。 実施例3に係る検証実験の混合系区分(2)の観察結果を示す図面代用写真である。 同混合系区分(2)において一層構造となった状態を示す図面代用写真である。 実施例3に係る検証実験の混合系区分(3)の観察結果を示す図面代用写真である。 同混合系区分(3)において一層構造となった状態を示す図面代用写真である。 実施例3に係る検証実験の混合系区分(4)の観察結果を示す図面代用写真である。 同混合系区分(4)において一層構造となった状態を示す図面代用真である。 実施例3に係る検証実験の混合系区分(5)の観察結果を示す図面代用写真である。 実施例3に係る検証実験の混合系区分(6)の観察結果を示す図面代用写真である。 同混合系区分(6)において一層構造となった状態を示す図面代用真である。 実施例3に係る検証実験の混合系区分(7)の観察結果を示す図面代用写真である。 同混合系区分(7)において一層構造となった状態を示す図面代用真である。 実施例3に係る検証実験の混合系区分(8)の観察結果を示す図面代用写真である。 同混合系区分(8)において一層構造となった状態を示す図面代用真である。
符号の説明
A工程:本発明に係る製造方法の第1実施形態である工程(エステル交換)
工程:A工程に関与するエステル交換反応例。
工程:A工程に関与する別のエステル交換反応例。

Claims (3)

  1. 原料油脂中に含まれている脂肪酸グリセリドと超臨界又は亜臨界条件のアルコールとの間でエステル交換する反応と、
    前記脂肪酸グリセリドと超臨界又は亜臨界条件のカルボン酸エステルとの間でエステル交換する反応と、を含み、これら二つの反応のそれぞれから脂肪酸アルキルエステルを得ることを特徴とする原料油脂から脂肪酸アルキルエステルを製造する方法。
  2. 前記エステル交換の反応系に第三成分を添加することによって、脂肪酸グリセリド相とカルボン酸エステル相との相溶化を行うことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 前記エステル交換の反応系に第三成分を添加することによって、脂肪酸グリセリド相とカルボン酸エステル相とアルコール相との相溶化を行うことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
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