JP4378509B2 - 偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、旅券、出入国証、紙幣、印紙、株券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカード等の偽造防止技術に係るものであり、通常は視認不可能なすかしであって、その透過光画像を画像変換することによりはじめて秘匿情報が得られるすかしを含む偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラーコピー等の複製手段が一般化している今日、旅券、出入国証、紙幣、印紙、株券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカード等の偽造の危険性が増大している。そこでいかに精巧な印刷手段によっても複製することが困難であり、製造技術が解明されても複製することが困難な新規な偽造防止技術が望まれている。
【0003】
偽造防止が必要とされる旅券、出入国証、紙幣、印紙、株券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカード等には、従来、その偽造防止のためにいろいろな手段が講じられているところである。その代表的な例として「すかし」がある。
【0004】
このすかしは、通常の反射光では視認不可能であるが、光にかざして見る、即ち透過光のもとでは、例えば三次元的な紙層構造が輝度変換されて人像のような濃淡の階調をもった有意味な画像を現出させ、これで真偽判別することができ、構造及びその判別が簡単であるために偽造防止手段として評価されている。
【0005】
また、紙幣、有価証券等の偽造防止のために、印刷物の印刷画像に秘匿情報を埋め込む(印刷画像を見ても特定の情報が含まれていることが視認不可能で気がつかないように印刷されている)ことによる、いわゆる「電子すかし」の技術は、すでに知られているところである。
【0006】
例えば、印刷物への印刷データに秘匿情報を含ませ、この印刷データの印刷された印刷物から画像データを取得してこれを画像変換処理して、秘匿情報の確認を行う偽造防止および検出システムは、特開平2−297496号公報(特許第2693570号)として公知である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のすかしは、透過光によりその画像の内容が把握されるために偽造に対しては限界がある。また、印刷中に秘匿情報を含ませる電子すかしは、若干手間はかかるが精巧に印刷すれば、画像処理しても基本的には真正なものと同じ情報が検出されることとなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決することを目的とするものであり、視認不可能で有意味なすかしであって、その透過光画像を画像変換することにより有意味な画像を検出して真偽判別が可能となる、従来と全く異なるすかしを適用した偽造防止用シートを実現することを課題とする。
【0009】
ここで、「すかし」とは、一般には用紙の三次元的紙層構造が透過光のもとで観察されると、例えば人物像のような濃淡の階調をもった有意味画像となって視認できるものをいうが、本明細書及び本発明で使用する「すかし」とは、広くシートの厚さ、密度などの特性が部分的に変化して形成された特有の三次元的シート層の構造であるものとする。これを偽造防止用紙の「すかし」について述べれば、偽造防止用紙の抄造中に物理的外力を加えることにより、紙の厚さ、密度などの特性が部分的に変化して形成された特有の三次元的紙層構造として説明される。これは、いわゆる「電子すかし」とは異なるものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明の上記課題を解決するための手段について説明するが、本明細書中で、「有意味なすかし」とは、そのすかしが形成する透過光画像又はそのすかしの透過光画像を画像変換して得られた変換画像により、図柄、模様、絵、文字等の所定のパターンから成る有意味な情報を確認、把握できるすかしを意味している。これに対して、「無意味なすかし」とは、そのすかしが形成する透過光画像又はそのすかしの透過光画像を画像変換して得られた変換画像によっては、上記のような有意味な情報を確認、把握できないすかしを意味している。
【0011】
また、視認可能、視認不可能とは、すかし又はすかしの紙層構造が透過光のもとで輝度変換されて生じる濃淡画像が肉眼で視認可能、視認不可能という意味である。更に、「有意味なすかし」の視認可能、視認不可能とは、その有意味性が透過光のもとで肉眼により視認可能、視認不可能という意味である。
【0012】
上記課題を解決するために、まず、本発明の請求項1に係る発明は、すかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認不可能で有意味なすかしを含むことを特徴とする偽造防止用シートである。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る発明は、すかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認不可能で有意味なすかしと視認可能で有意味なすかしを含むことを特徴とする偽造防止用シートである。
【0014】
また、本発明の請求項3に係る発明は、上記視認不可能で有意味なすかしは、透過光のもとで輝度変換されて濃淡画像として画像処理装置に入力され、画像変換されて変換画像とされ、上記変換画像により真偽判別を可能とすることを特徴とする偽造防止用シートである。
【0015】
また、本発明の請求項4に係る発明は、上記変換画像がスペクトル画像であることを特徴とする偽造防止用シートである。
【0016】
また、本発明の請求項5に係る発明は、上記偽造防止用シートがIDカード、通行証、登録証、入場券、旅券、出入国証を含む身分、権利、資格を証明する証書類又は紙幣、切手、印紙、株券、債券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードを含む有価証券類に用いられていることを特徴とする偽造防止用シートである。
【0017】
また、本発明の請求項6に係る発明は、偽造防止用シートの真偽判別方法であって、上記偽造防止用シートはすかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認不可能で有意味なすかしを含むすかしであって、上記視認不可能で有意味なすかしを透過光のもとで輝度変換して濃淡画像として画像処理装置に入力し、画像変換して変換画像を得て、上記変換画像で真偽判別することを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別方法である。
【0018】
また、本発明の請求項7に係る発明は、偽造防止用シートの真偽判別方法であって、上記偽造防止用シートはすかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認不可能で有意味なすかしと視認可能で有意味なすかしを含むすかしであって、上記視認不可能で有意味なすかしを透過光のもとで輝度変換して濃淡画像として画像処理装置に入力し、画像変換して変換画像を得て、上記変換画像で真偽判別することを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別方法である。
【0019】
また、本発明の請求項8に係る発明は、上記変換画像はスペクトル画像であることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別方法である。
【0020】
また、本発明の請求項9に係る発明は、上記偽造防止用シートがIDカード、通行証、登録証、入場券、旅券、出入国証を含む身分、権利、資格を証明する証書類又は紙幣、切手、印紙、株券、債券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードを含む有価証券類に用いられていることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別方法である。
【0021】
また、本発明の請求項10に係る発明は、偽造防止用シートの真偽判別装置であって、上記偽造防止用シートはすかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認不可能で有意味なすかしを含むすかしであって、上記視認不可能で有意味なすかしを透過光のもとで輝度変換して濃淡画像として画像処理装置に入力し、画像変換して得られる変換画像によって上記偽造防止用シートが真正であることを確認する偽造防止用シート真偽判別装置である。
【0022】
また、本発明の請求項11に係る発明は、偽造防止用シートの真偽判別装置であって、上記偽造防止用シートはすかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認不可能で有意味なすかしと視認可能で有意味なすかしを含むすかしであって、上記視認不可能で有意味なすかしを透過光のもとで輝度変換して濃淡画像として画像処理装置に入力し、画像変換して得られる変換画像によって上記偽造防止用シートが真正であることを確認する偽造防止用シート真偽判別装置である。
【0023】
また、本発明の請求項12に係る発明は、上記変換画像がスペクトル画像であることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別装置である。
【0024】
また、本発明の請求項13に係る発明は、上記偽造防止用シートがIDカード、通行証、登録証、入場券、旅券、出入国証を含む身分、権利、資格を証明する証書類又は紙幣、切手、印紙、株券、債券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードを含む有価証券類に用いられていることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別装置である。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明に係る偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置の実施の形態を説明する。前述したように、本明細書及び本発明で使用する「すかし」は、シートの厚さ、密度などの特性が部分的に変化して形成された特有の三次元的シート層の構造である。
【0026】
このすかしを透過光のもとで観察した場合、視認可能であるか、視認不可能であるか、そして、有意味であるか、無意味であるかによって、次の▲1▼〜▲4▼に示すすかしの態様がある。
▲1▼視認可能であり無意味なすかし。
▲2▼視認不可能であり無意味なすかし。
▲3▼視認可能であり有意味なすかし(例.従来の人像等のすかし)。
▲4▼視認不可能であり有意味なすかし。
本発明に係るすかしは、上記▲4▼のすかしであり、これを以下詳細に説明する。
【0027】
本発明の偽造防止用シートのすかしは、偽造防止用紙についてみると、偽造防止用紙の抄造の際に、例えばパルプ繊維からなる紙料にローラ等により機械的圧力を加えて微細で連続的な紙層の凹凸や疎密を加えることにより、紙層構造的に厚さ、密度などの特性が部分的に変化して形成されるものである。このすかしの三次元的な紙層構造が透過光のもとで輝度変換されて現出する濃淡画像は、上記微細で連続的な紙層の凹凸や疎密により特徴付けられるすかしの紙層構造に応じたスペクトルパターンを有するものである。
【0028】
本発明のすかしの特徴は、第一に、すかし及びすかしを透過光の下で輝度変換して得られる濃淡画像の有意味性が肉眼により視認不可能なことである。この点で、従来のすかしのように透過光のもとで人像等を肉眼により視認可能であるすかしとは異なる。第二に、本発明のすかしは、視認不可能であるが所定の秘匿情報を有する有意味なすかしである。
【0029】
この第一及び第二の点を更に説明すると、本発明では、すかしを構成する紙層構造をすかしが視認不可能な程度に微細で連続的な紙層の凹凸や疎密の状態にするとともに、すかしが有意味な情報を含む、即ち、所定の手続きに従ってその透過光画像を画像処理した時にはじめて有意味な画像が得られるように構成している。つまり、本発明では、すかしは視認不可能であるが、すかしの有する有意味な情報は、すかしが透過光のもとで輝度変換されて得られる濃淡画像を周知の画像変換技術を用いて処理することにより、はじめて確認、把握できるようにし、これにより真偽判別を可能とするものである。
【0030】
本発明の真偽判別装置は、被検査用紙を透過光のもとでデジタルカメラ、CCDカメラ、スキャナー等の画像入力装置により撮像して濃淡の画像を得て、この画像を画像変換した変換画像を真正な偽造防止用紙によって得られる変換画像と比較可能とする表示装置又は機械的に比較可能とする装置とから構成されている。
【0031】
上記濃淡画像の画像変換は、いろいろな態様が考えられる。例えば、偽造防止用紙の視認不可能で有意味なすかしを、透過光のもとでCCDカメラで撮像して濃淡の階調を有するデジタル濃淡画像データとしてコンピュータに入力し、このデータをコンピュータにより周波数領域へ変換して振幅スペクトルを示すスペクトル画像を得るような画像変換を採用してもよいし、偽造防止用紙の視認不可能で有意味なすかしの透過光を変換レンズを用いて光学的に処理することで周波数領域へ変換してスペクトル画像を得る画像変換でもよい。このように周波数領域へ変換された場合は、変換画像であるスペクトル画像に含まれる固有のスペクトルパターンの特徴により偽造防止用紙の真偽判別が可能となる。
【0032】
本発明は、以上のとおり基本的には、偽造防止用シートに形成されたすかしは視認不可能で有意味なすかしであり、このすかしの透過光画像を画像変換して有意味な情報を検出して真偽判別を行うものである。また、本発明に係る偽造防止用シートの作製に際しては、偽造防止用シートに本発明の特徴である視認不可能で有意味なすかしのみを単独で形成してもよいが、視認不可能で有意味なすかしに加えて、例えば▲3▼の視認可能で有意味な従来のすかしを併用するような構成としてもよい。
【0033】
紙の透過光画像中には、本来的な製造工程によって生じる地合むらやワイヤパターンによる透過光量の部分的な変化が存在するので、従来のすかしは、この地合むらやワイヤパターンを有する透過光画像に重なる形で紙に紙層の凹凸や疎密を付与して形成されていた。この点は、本発明についても同じであり、地合むらやワイヤパターンを有する透過光画像に重なる形で、抄紙の際に、例えばパルプ繊維からなる紙料にローラ等により機械的圧力を加え、微細で連続的な紙層の凹凸や疎密を作為的に加えることにより視認不可能で有意味な本発明に係るすかしが形成されるものである。
【0034】
また、本発明は、視認不可能で有意味なすかしの透過光画像を画像変換して有意味な情報を検出して真偽判別を行うものであるが、その際に、抄紙元により異なるワイヤパターンの透過光画像が画像変換されて得られる情報と組み合わせて偽造防止用紙の真偽判別が容易となる場合もある。また、本発明は、視認可能で無意味なすかしの透過光画像を画像変換して得られる情報による偽造防止用紙の真偽判別に転用できることは言及するまでもない。
【0035】
また、本発明の偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置は、上記偽造防止用シートがIDカード、通行証、登録証、入場券、旅券、出入国証を含む身分、権利、資格を証明する証書類又は紙幣、切手、印紙、株券、債券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードを含む有価証券類に用いられていてもよい。
【0036】
(実施例1)
以下、本発明に係る偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置を実施例により図1を参照して更に詳細に説明する。実施例で説明する偽造防止用紙に付与されているすかしは視認不可能で有意味なすかしである。
【0037】
この偽造防止用紙には、その抄造工程において、すかし形成ローラ等のすかし形成装置により、紙の厚さ、密度などの特性が部分的に変化した特有の三次元的紙層構造から成るすかしが形成される。
【0038】
このすかしは、光にかざして観察すると視認不可能であるが、有意味な秘匿情報を持ったすかしである。すかしの各部を構成する上記微細で連続的な紙層構造の凹凸や疎密を作為的に形成し、後述する透過光のもとでの濃淡画像のスペクトル成分により特徴付けられる光にかざして観察しただけでは視認不可能である有意味な秘匿情報を含ませることができる。
【0039】
このような視認不可能なすかし入りの偽造防止用紙を、背面から光を照射してその透過光をCCDカメラ等により撮像すると、すかしの三次元的紙層構造が透過光のもとで輝度変換され、濃淡の階調を有するデジタル画像が得られる。このデジタル画像は、固有のスペクトル成分を有する濃淡の階調を持っているが、これを単に肉眼で観察しても有意味な秘匿情報は得られない。このデジタル画像をデジタル情報としてコンピュータに入力する。
【0040】
この濃淡の階調を有するデジタル画像を、従来知られているフーリエ変換(FFT:高速フーリエ変換、DFT:離散フーリエ変換)のような画像変換処理技術により、コンピュータで周波数領域に変換してスペクトル画像を形成する。すかしに含まれた上記微細で連続的な紙層構造の凹凸や疎密の分布により付与される有意味な情報は、すかし自体を観察しても、また、透過光によるデジタル画像でも解析不可能であるが、上記周波数領域に変換されたスペクトル画像によれば、有意味な情報を把握できる所定のスペクトルパターンが簡潔に表示され、このスペクトルパターンを予め用意してある真正な偽造防止用紙によって得られるスペクトルパターンと比較すれば真偽判別がきわめて簡単にできる。この時に得られるスペクトルパターンとしては対称的な図形が基本となる。もちろん、この比較は、目視比較でもよいし、機械的比較を行ってもよいことは言うまでもない。
【0041】
本発明の上記実施例における真偽判別装置は、被検査用紙を透過光のもとで撮像し濃淡の階調を有するデジタル画像を得るCCDカメラ等と、このデジタル画像を周波数領域に変換して得られたスペクトル画像(変換画像)を真正な偽造防止用紙によって得られるスペクトル画像(変換画像)と比較可能とする表示装置又は機械的に比較可能とする装置とから構成されている。
【0042】
視認不可能で有意味なすかしを透過光のもとでCCDカメラ等により撮像して得られるデジタル濃淡画像を画像変換して得られる変換画像は、視認不可能で有意味なすかしの入れ方、即ち、すかしの三次元的紙層構造に応じて様々なものとなる。よって、視認不可能で有意味なすかしの透過光画像を画像変換して得られる変換画像が所定のスペクトルパターンをもつように、抄造工程において視認不可能で有意味なすかしを上記微細で連続的な紙層構造の凹凸や疎密の分布により形成すればよい。
【0043】
なお、上記実施例の画像変換では、偽造防止用紙の視認不可能で有意味なすかしを透過光のもとで撮像した濃淡の階調を有するデジタル濃淡画像データをコンピュータに入力し、このデータをコンピュータにより周波数領域に変換して上記スペクトルデータを得る画像変換を採用したが、偽造防止用紙のすかしの透過光を変換レンズを用いて光学的に処理することで周波数領域に変換して上記スペクトル画像を得る画像変換を採用してもよい。更に、本発明で利用される画像変換は、有意味な情報が検出できるものであれば周波数領域に変換する画像変換でなくてもよく、どのような画像変換を用いてもよい。
【0044】
以上の実施の形態乃至実施例の説明では、偽造防止用シートとして偽造防止用紙について説明したが、本発明に係る偽造防止用シートの材質は、シート状物体であれば特に用紙に限定されることはなく、プラスチック等の材料から形成してもよい。
【0045】
また、上記実施例の偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置は、上記偽造防止用シートがIDカード、通行証、登録証、入場券、旅券、出入国証を含む身分、権利、資格を証明する証書類又は紙幣、切手、印紙、株券、債券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードを含む有価証券類に用いられた偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置であっても構わない。
【0046】
本発明では、偽造防止用紙の抄造の際に、パルプ繊維材が水素結合する以前に、パルプ繊維材からなる紙料に規則的な外力を加え、微細で連続的な紙層の凹凸や疎密構造を有する三次元的紙層構造から成る視認不可能で有意味なすかしを形成する。この視認不可能で有意味なすかしを透過光のもとで輝度変換した場合に、濃淡の階調を持つ微細で連続的な濃淡画像となる。このような濃淡画像は、微細であり視認不可能であるために偽造が困難であるとともに、画像変換することによりきわめて簡潔なスペクトル画像が得られ、偽造防止用紙の真偽判別が容易に可能となる。
【0047】
また、本発明では、抄紙中に抄紙網の独特の網目模様により形成されるワイヤパターンについても、その透過光のもとでの濃淡画像が周波数領域へ画像変換されることにより特徴のあるスペクトル画像等の変換画像を得ることができ、この変換画像を視認不可能で有意味なすかしの透過光画像を画像変換した変換画像と組み合わせて用いて偽造防止用紙の真偽判別が容易になる場合もある。
【0048】
その他、本発明は上記実施の形態乃至実施例に特定されることなく、特許請求の範囲の技術的事項の範囲内でいろいろな実施の形態乃至実施例があることは言うまでもない。
【0049】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0050】
本発明に係る偽造防止用シートに形成されたすかしは、視認不可能で有意味なすかしであるから偽造はきわめて困難であるとともに、被検査シートの透過光画像を画像変換して得られる変換画像を真正な偽造防止用シートによって得られる変換画像と比較することにより、きわめて簡単、且つ、正確に被検査シートの真偽判別が可能となる。そして、本発明に係る偽造防止用の視認不可能で有意味なすかしのみをシートに付与してもよいが、従来のすかし(人像等が視認可能)と組み合わせて付与してもよい。
【0051】
本発明に係る偽造防止用シートの真偽判別方法及び真偽判別装置では、シートの製造の際にローラ等により機械的圧力を加えて微細で連続的なシート層の凹凸や疎密の分布を形成されて成る視認不可能で有意味なすかしについて、その透過光のもとでの濃淡画像に周波数領域への変換等の画像変換処理を施すことによりスペクトル画像などの変換画像を得て、この変換画像と被検査シートによって得られる変換画像とを比較すればよいので、その構成は簡単であり取り扱いも簡単である。
【0052】
また、例えば透視インキを印刷して本発明と類似の効果を奏するシートを作製したとしても、シートに含まれる製紙原料ではないインキ成分の存在により、シートが容易に偽造シートであることが判明する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施例を説明する図である。
Claims (4)
- すかしが形成されている偽造防止用シートであって、
前記すかしは、用紙が形成される段階の紙料に対してすかし形成ローラを用いて機械的圧力を加え、微細な紙層の凹凸又は疎密を形成することで三次元的紙層構造から成る視認不可能で有意味なすかしを含む前記偽造防止シートを形成し、前記視認不可能で有意味なすかしを透過光のもとで輝度変換されて濃淡画像として周波数解析を行うことにより画像変換された有意味な変換画像とし、前記有意味な変換画像により真偽判別を可能とすることを特徴とする偽造防止用シート。 - 前記偽造防止用シートは、IDカード、通行証、登録証、入場券、旅券、出入国証を含む身分、権利、資格を証明する証書類又は紙幣、切手、印紙、株券、債券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードを含む有価証券類に用いられていることを特徴とする請求項1記載の偽造防止用シート。
- 請求項1乃至3のいずれか1項記載の偽造防止用シートの真偽判別方法であって、前記視認不可能で有意味なすかしを透過光のもとで輝度変換して濃淡画像として画像処理装置に入力し、画像変換して変換画像を得て、前記変換画像で真偽判別することを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別方法。
- 請求項1乃至3のいずれか1項記載の偽造防止用シートの真偽判別装置であって、前記視認不可能で有意味なすかしを透過光のもとで輝度変換して濃淡画像として画像処理装置に入力し、画像変換して得られる変換画像によって前記偽造防止用シートが真正であることを確認する偽造防止用シート真偽判別装置。
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