JP4100651B2 - 偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、旅券、出入国証、紙幣、印紙、株券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカード等の偽造防止技術に係るものであり、透過光のもとですかしが輝度変換されて得られる入力画像を所定の手続きのもとで変換させることによって、すなわち、上記入力画像に後述する画像変換等の処理を行うことによって、通常は視認可能な第一のすかしが消失し、視認不可能な秘匿された第二のすかしの透過光画像が変換されて視認可能な有意味画像を現出、表示せしめる複合した多重すかしを含む偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、カラーコピー等の複製手段が一般化している今日、旅券、出入国証、紙幣、印紙、株券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカード等の偽造の危険性が増大している。そこでいかに精巧な印刷手段によっても複製することが困難であり、製造技術が解明されても複製することが困難な新規な偽造防止技術が望まれている。
【0003】
偽造防止が必要とされる旅券、出入国証、紙幣、印紙、株券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカード等には、従来、その偽造防止のためにいろいろな手段が講じられているところである。その代表的な例として「すかし」がある。
【0004】
このすかしは、通常の反射光では視認不可能であるが、光にかざして見る、即ち透過光のもとでは、例えば三次元的な紙層構造が輝度変換されて人像のような濃淡の階調をもった有意味な画像を現出させ、これで真偽判別することができ、構造及びその判別が簡単であるために偽造防止手段として評価されている。
【0005】
また、紙幣、有価証券等の偽造防止のために、印刷物の印刷画像に秘匿情報を埋め込む(印刷画像を見ても特定の情報が含まれていることが視認不可能で気がつかないように印刷されている)ことによる、いわゆる「電子すかし」の技術は、すでに知られているところである。
【0006】
例えば、印刷物への印刷データに秘匿情報を含ませ、この印刷データの印刷された印刷物から画像データを取得してこれを画像変換処理して、秘匿情報の確認を行う偽造防止および検出システムは、特開平2−297496号公報(特許第2693570号)として公知である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のすかしは、透過光によりその画像の内容が把握されるために偽造に対しては限界がある。また、印刷中に秘匿情報を含ませる電子すかしは、若干手間はかかるが精巧に印刷すれば、画像処理しても基本的には真正なものと同じ情報が検出されることとなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決することを目的とするものであり、本来のシート素材以外の特別な物質を付加せしめることなく、すかしの透過光画像を所定の手続きのもとで変換することによって、通常の透過光下で視認可能な従来のすかしを消失させ、代わりに秘匿された視認不可能で有意味なすかしの透過光画像を変換して視認可能な有意味画像として表示せしめて真偽判別を可能とする偽造防止用シートであって、透過光のもとで輝度変換された濃淡画像を所定の手続きのもとで変換した変換画像が人像、模様、文字等の所望の有意味画像として任意に抽出、表示できるように、偽造防止用シートの製造段階で偽造防止用シートの厚さ、密度などの特性を部分的に変化させて意図的に形成した従来と全く異なる二種類のすかしを適用した偽造防止用シートを実現することを課題とする。
【0009】
ここで、「すかし」とは、一般には用紙の三次元的紙層構造が透過光のもとで観察されると、例えば人物像のような濃淡の階調をもった有意味画像となって視認できるものをいうが、本明細書及び本発明で使用する「すかし」とは、広くシートの厚さ、密度などの特性が部分的に変化して形成された特有の三次元的シート層の構造であるものとする。これを偽造防止用紙の「すかし」について述べれば、偽造防止用紙の抄造中に物理的外力を加えることにより、紙の厚さ、密度などの特性が部分的に変化して形成された特有の三次元的紙層構造として説明される。これは、いわゆる「電子すかし」とは異なるものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、本発明の上記課題を解決するための手段について説明するが、本明細書中で、「有意味なすかし」とは、そのすかしが形成する透過光画像又はそのすかしの透過光画像を所定の手続きのもとで変換して得られた変換画像により、人像、図柄、模様、絵、文字等の所定のパターンから成る有意味な情報を確認、把握できるすかしを意味している。これに対して、「無意味なすかし」とは、そのすかしが形成する透過光画像又はそのすかしの透過光画像を所定の手続きのもとで変換して得られた変換画像によっては、上記のような有意味な情報を確認、把握できないすかしを意味している。
【0011】
また、視認可能、視認不可能とは、すかし又はすかしの紙層構造が透過光のもとで輝度変換されて生じる濃淡画像が肉眼で視認可能、視認不可能という意味である。また、「有意味なすかし」の視認可能、視認不可能とは、その有意味性が透過光のもとで肉眼により視認可能、視認不可能という意味である。
【0012】
上記課題を解決するために、まず、本発明は、すかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味な第二のすかしが重畳して形成されているすかしを含むことを特徴とする偽造防止用シートである。
【0013】
また、本発明は、すかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしが重畳して形成されているすかしを含むことを特徴とする偽造防止用シートである。
【0014】
また、本発明は、上記視認不可能で有意味な第二のすかしは透過光のもとで輝度変換された濃淡画像を画像処理装置に入力して入力画像とし、上記入力画像を画像変換すると所定の有意味画像が得られるように構成されたすかしであることを特徴とする偽造防止用シートである。
【0015】
また、本発明は、上記視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしは透過光のもとで輝度変換された濃淡画像を画像処理装置に入力して入力画像とし、上記入力画像を逆画像変換すると復元画像である所定の有意味画像が得られるように構成されたすかしであることを特徴とする偽造防止用シートである。
【0016】
また、本発明は、上記画像変換はフーリエ変換、サイン変換、コサイン変換、ウェーブレット変換、アダマール変換又はZ変換のいずれかの変換であることを特徴とする偽造防止用シートである。
【0017】
また、本発明は、すかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味なコード情報からなる第二のすかしが重畳して形成されているすかしを含むことを特徴とする偽造防止用シートである。
【0018】
また、本発明は、上記偽造防止用シートはIDカード、通行証、登録証、入場券、旅券、出入国証を含む身分、権利、資格を証明する証書類又は紙幣、切手、印紙、株券、債券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードを含む有価証券類に用いられていることを特徴とする偽造防止用シートである。
【0019】
また、本発明は、偽造防止用シートの真偽判別方法であって、上記偽造防止用シートはすかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味な第二のすかしが重畳して形成されているすかしを含むすかしであって、上記視認不可能で有意味な第二のすかしを透過光のもとで輝度変換した濃淡画像として画像処理装置に入力して入力画像とし、上記入力画像を画像変換して所定の有意味画像を得て、上記有意味画像により真偽判別を可能とすることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別方法である。
【0020】
また、本発明は、偽造防止用シートの真偽判別方法であって、上記偽造防止用シートはすかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしが重畳して形成されているすかしを含むすかしであって、上記視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしを透過光のもとで輝度変換した濃淡画像として画像処理装置に入力して入力画像とし、上記入力画像を逆画像変換して復元画像である所定の有意味画像を得て、上記有意味画像により真偽判別を可能とすることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別方法である。
【0021】
また、本発明は、上記画像変換はフーリエ変換、サイン変換、コサイン変換、ウェーブレット変換、アダマール変換又はZ変換のいずれかの変換であることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別方法である。
【0022】
また、本発明は、偽造防止用シートの真偽判別方法であって、上記偽造防止用シートはすかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味なコード情報からなる第二のすかしが重畳して形成されているすかしを含むすかしであって、上記視認不可能で有意味なコード情報からなる第二のすかしが透過光のもとで輝度変換された濃淡画像を変換して所定の有意味画像を得て、上記有意味画像により真偽判別を可能とすることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別方法である。
【0023】
また、本発明は、上記偽造防止用シートはIDカード、通行証、登録証、入場券、旅券、出入国証を含む身分、権利、資格を証明する証書類又は紙幣、切手、印紙、株券、債券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードを含む有価証券類に用いられていることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別方法である。
【0024】
また、本発明は、偽造防止用シートの真偽判別装置であって、上記偽造防止用シートはすかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味な第二のすかしが重畳して形成されているすかしを含むすかしであって、上記視認不可能で有意味な第二のすかしを透過光のもとで輝度変換した濃淡画像として画像処理装置に入力して入力画像とし、上記入力画像を画像変換して所定の有意味画像を得て、上記有意味画像により真偽判別を可能とすることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別装置である。
【0025】
また、本発明は、偽造防止用シートの真偽判別装置であって、上記偽造防止用シートはすかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしが重畳して形成されているすかしを含むすかしであって、上記視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしを透過光のもとで輝度変換した濃淡画像として画像処理装置に入力して入力画像とし、上記入力画像を逆画像変換して復元画像である所定の有意味画像を得て、上記有意味画像により真偽判別を可能とすることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別装置である。
【0026】
また、本発明は、上記画像変換はフーリエ変換、サイン変換、コサイン変換、ウェーブレット変換、アダマール変換又はZ変換のいずれかの変換であることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別装置である。
【0027】
また、本発明は、偽造防止用シートの真偽判別装置であって、上記偽造防止用シートはすかしが形成されている偽造防止用シートであって、上記すかしは視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味なコード情報からなる第二のすかしが重畳して形成されているすかしを含むすかしであって、上記視認不可能で有意味なコード情報からなる第二のすかしが透過光のもとで輝度変換された濃淡画像を変換して所定の有意味画像を得て、上記有意味画像により真偽判別を可能とすることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別装置である。
【0028】
また、本発明は、上記偽造防止用シートはIDカード、通行証、登録証、入場券、旅券、出入国証を含む身分、権利、資格を証明する証書類又は紙幣、切手、印紙、株券、債券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードを含む有価証券類に用いられていることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別装置である。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明に係る偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置の実施の形態を説明する。前述したように、本明細書及び本発明で使用する「すかし」は、シートの厚さ、密度などの特性が部分的に変化して形成された特有の三次元的シート層の構造である。
【0030】
このすかしを透過光のもとで観察した場合、視認可能であるか、視認不可能であるか、そして、有意味な画像であるか、無意味な画像であるかによって、次の▲1▼〜▲4▼に示すすかしの態様がある。
▲1▼視認可能であり無意味なすかし。
▲2▼視認不可能であり無意味なすかし。
▲3▼視認可能であり有意味なすかし(例.従来の人像等のすかし)。
▲4▼視認不可能であり有意味なすかし。
本発明に係るすかしは、上記▲3▼と▲4▼の複合したすかしであり、これを以下詳細に説明する。
【0031】
本発明の偽造防止用シートのすかしは、偽造防止用紙についてみると、偽造防止用紙の抄造の際に、例えばパルプ繊維からなる紙料にローラ等により機械的圧力を加えて微細で連続的な紙層の凹凸や疎密を付与することにより、紙層構造的に厚さ、密度などの特性が部分的に変化して形成されるものである。このすかしの三次元的な紙層構造が透過光のもとで輝度変換されて現出する濃淡画像は、それ自身が視認可能で有意味な第一のすかしの透過光画像を保有するとともに、視認不可能で有意味な秘匿情報を保有している第二のすかしの三次元的な紙層構造が所定の規則性パターン又はスペクトルパターンとして投影されたものである。
【0032】
本発明のすかしの特徴は、第一に、透過光のもとで人像等を直接に視認可能である第一のすかしとともに、透過光の下で輝度変換して得られる濃淡画像の有意味性が視認不可能な第二のすかしを第一のすかしに重畳して保有していることである。この点で、本発明のすかしは従来のすかしと異なる。また、本発明のすかしの特徴は、第二に、所定の手続きにより、定められた位置にある視認可能な第一のすかしの透過光画像である有意味画像を視認不可能とし、代わって視認不可能な第二のすかしの透過光画像を変換して視認可能な有意味画像として秘匿情報を開示することである。したがって、上記第二のすかしに含まれる秘匿情報の有意味性は透過光のもとで直接的に肉眼により確認、把握されることはなく、しかも、上記有意味性は所定の手続きによってのみはじめて開示されるのであるから、本発明では二重に隠蔽された秘匿情報をすかしに含ませることができる。
【0033】
この第一及び第二の点を更に説明すると、本発明のすかしは、すかしを構成する紙層構造を第一のすかしの透過光画像が直接に視認可能な程度に連続的な紙層の凹凸や疎密の状態にするとともに、所定の手続きに従ってすかしの透過光画像を変換処理した時に上記第一のすかしの透過光画像である有意味画像が見掛け上、消失し、それに代わって第二のすかしが有意味な画像となって現出するように構成されている。つまり、本発明では、直接に視認可能な第一のすかしの透過光画像である有意味画像を表示すると同時に、すかしが透過光のもとで輝度変換されて得られる濃淡画像を周知の変換技術を用いて処理することにより、はじめて直接には視認不可能な第二のすかしの有意味性を確認、把握できるようにし、第一のすかしと第二のすかしの二重の有意味画像の認知により真偽判別を可能とするものである。すなわち、本発明のすかしは、透過光のもとで輝度変換されて得られる濃淡画像が、従来のすかしの透過光画像である有意味画像を発現するとともに、所望の有意味画像を変換処理した画像と等価な画像を発現するように、上記微細で連続的な紙層の凹凸や疎密の状態によって重畳して形成されたすかしであって、通常の透過光のもとで視認可能な有意味なすかしと視認不可能で有意味なすかしが複合して形成されたすかしである。また、この場合の有意味画像の形態は、人像、模様、文字等の所望の画像であってよく、上記所望の画像を偽造防止用紙に秘匿情報として付与させた上、所定の手続きのもとで第二のすかしの透過光画像が変換された変換画像として有意味画像である上記所望の画像を再現せしめてより高度な真偽判別に利用することができる。
【0034】
本発明の真偽判別装置は、視認可能な第一のすかしの他に、視認不可能で有意味な第二のすかしを上記第一のすかしに重畳して形成した偽造防止用紙を透過光の下でデジタルカメラ、CCDカメラ、スキャナー等の画像入力部により撮像して濃淡の入力画像を得て、この入力画像を所定の手続の下で変換して得られた第二のすかしの変換画像を表示する表示部と、被検査用紙を透過光の下で上記画像入力部により撮像した濃淡画像を上所定の手続の下で変換して得られた画像を上記変換画像と比較可能とする比較部とから構成されている。
【0035】
上記濃淡画像から第二のすかしの透過光画像を所定の手続きのもとで変換して有意味画像を得る方法は、いろいろな態様が考えられる。例えば、偽造防止用紙の視認不可能で有意味な第二のすかし部位を、透過光のもとでCCDカメラで撮像して濃淡の階調を有するデジタル濃淡画像データとしてコンピュータに入力し、このデータをコンピュータにより周波数領域へ画像変換してスペクトル画像である有意味画像を得るような方法を採用してもよい。この時、上記濃淡画像データを画像変換して上記有意味画像が得られるように、上記視認不可能で有意味な第二のすかしの透過光画像に対応させて上記濃淡画像データの中の所定の位置に上記濃淡画像データを変換処理する際の原点を決めればよい。このように、上記濃淡画像データを周波数領域へ変換する場合は、変換画像として得られるスペクトル画像である上記有意味画像により偽造防止用紙の真偽判別が可能となる。
【0036】
また、上記視認不可能で有意味な第二のすかしの透過光画像をフーリエ変換レンズによりアナログ的に周波数領域へ画像変換してスペクトル画像である上記有意味画像を得てもよい。
【0037】
また、偽造防止用紙の視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかし部位を、透過光のもとでCCDカメラで撮像して濃淡の階調を有するデジタル濃淡画像データとしてコンピュータに入力し、このデータをコンピュータにより周波数領域から逆画像変換して復元画像である有意味画像を得るような方法を採用してもよい。この時、上記濃淡画像データが逆画像変換されて上記有意味画像が得られるように、上記視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしの透過光画像に対応させて上記濃淡画像データの中の所定の位置に上記濃淡画像データを変換処理する際の原点を決めればよい。このように上記濃淡画像データを周波数領域から逆画像変換する場合は、変換画像として得られる復元画像である上記有意味画像により偽造防止用紙の真偽判別が可能となる。
【0038】
また、上記視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしの透過光画像をフーリエ変換レンズによりアナログ的に周波数領域から逆画像変換して復元画像である上記有意味画像を得てもよい。
【0039】
更に、本発明で利用される画像変換はフーリエ変換だけでなく、有意味な情報が検出できるものであれば、サイン変換、コサイン変換、ウエーブレット変換、アダマール変換、ウォルシュ変換、KL変換等の画像変換や周波数領域における画像変換ではないZ変換のような画像変換を用いてもよく、その他の画像変換を用いてもよい。また、透過光のもとでのすかしの濃淡画像を変換して視認可能な有意味画像を得るにあたっては、各種の画像変換に限らずに、上記第二のすかしが視認不可能で有意味なコード情報からなるすかしである場合にはコード変換のような一般的な変換技術を用いてもよい。
【0040】
本発明は、以上のとおり基本的には、偽造防止用シートに形成されたすかしは視認可能で有意味な従来のすかしと視認不可能で有意味なすかしとが複合して形成されたすかしであり、このすかしの透過光画像を所定の手続きのもとで変換して、直接に視認できる第一のすかしの透過光画像である有意味画像を見掛け上、消去すると同時に、秘匿されたもう一つの別の第二のすかしの有意味性を視認可能な画像として発現させることによって、より信頼度の高い真偽判別を行うものである。また、本発明に係る偽造防止用シートの作製に際しては、偽造防止用シートに本発明の特徴である視認不可能で有意味な第二のすかしを第一のすかしに完全に重畳させて表示画像の完全な転換を行ってもよいし、上記第二のすかしを第一のすかしの指定された一部の領域に秘匿情報として挿入し、この一部の領域のみの透過光画像を所定の手続きのもとで変換することによって秘匿された有意味な情報を開示させてもよい。
【0041】
紙の透過光画像中には、本来的な製造工程によって生じる無意味なすかしと見なされる地合むらやワイヤパターンによる透過光量の部分的な変化が存在するので、従来のすかしは、この地合むらやワイヤパターンを有する透過光画像に重なる形で紙に紙層の凹凸や疎密を付与して形成されていた。この点は、本発明についても同じであり、地合むらやワイヤパターンを有する透過光画像に重なる形で抄紙の際に例えばパルプ繊維からなる紙料にローラ等により機械的圧力を加え、微細で連続的な紙層の凹凸や疎密を付与することにより、従来の視認可能で有意味なすかしとともに、所望の有意味画像を変換処理した画像と等価な濃淡画像が透過光のもとで得られるような、三次元的な紙層構造をもった本発明に係る視認不可能で有意味なすかしが形成されるものであるから、製造工程中に必然的に生じる地合むらやワイヤパターン等の本来的には無意味なすかし成分をあらかじめ除去する操作によって、所定の手続きのもとで第二のすかしの有意味性を効果的に再現することが可能である。
【0042】
また、本発明は、所定の手続きのもとで従来の第一のすかしの透過光画像である有意味画像を見掛け上、消去して、視認不可能で有意味な第二のすかしの透過光画像を変換して得られる視認可能な有意味画像によって真偽判別を行うものであるが、上記所定の手続きのもとですかしの透過光画像を変換する際に抄紙元により異なるワイヤパターンの透過光画像が変換されて得られる情報と組み合わせて偽造防止用紙の真偽判別が容易となる場合もある。更に、本発明は、視認可能で無意味なすかしの透過光画像が所定の手続きのもとで変換されて得られる情報による偽造防止用紙の真偽判別に転用できることは言及するまでもない。
【0043】
また、本発明の偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置は、上記偽造防止用シートがIDカード、通行証、登録証、入場券、旅券、出入国証を含む身分、権利、資格を証明する証書類又は紙幣、切手、印紙、株券、債券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードを含む有価証券類に用いられていてもよい。
【0044】
(実施例1)
以下、本発明に係る偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置を実施例により図1及び図2を参照して更に詳細に説明する。実施例で説明する偽造防止用紙に付与されているすかしは視認可能で有意味なすかしと視認不可能で有意味なすかしが重畳して形成されているすかしである。
【0045】
この偽造防止用紙には、その抄造工程において、すかし形成ローラ等のすかし形成装置により、紙の厚さ、密度などの特性が部分的に変化した特有の三次元的紙層構造から成るすかしが形成される。
【0046】
このすかしは、光にかざして観察すると視認可能な従来の第一のすかしの透過光画像である有意味画像が認知できるとともに、所定の手続きに従うことで上記第一のすかしの透過光画像である有意味画像を見掛け上、消去し、それに代わって視認不可能であった第二のすかしを視認可能な有意味画像として発現、表示する複合したすかしである。透過光による紙層構造の投影像としての濃淡画像が肉眼による有意味画像とともに、秘匿すべき所望の有意味画像であるスペクトル画像を画像処理して得られる画像と等価な画像を含むように、すかしの各部を構成する微細で連続的な紙層構造の凹凸や疎密の程度を作為的に形成することで、後述するように、透過光のもとでの濃淡画像を画像変換して上記第一のすかしの透過光画像である有意味画像を見掛け上、消去し、それに代わって第二の有意味なすかしの透過光画像が画像変換されて視認可能な有意味画像をスペクトル画像として発現することにより特徴付けられる、光にかざして観察しただけでは全く視認不可能な有意味な秘匿情報を第一のすかしに重複して含ませることができる偽造防止手段を提供する。
【0047】
このような視認可能な第一のすかしと視認不可能な第二のすかしの入った偽造防止用紙を、背面から光を照射してその透過光をCCDカメラ等により撮像すると、すかしの三次元的紙層構造が透過光の下で輝度変換され、濃淡の階調を有する直接的に肉眼で視認できる有意味な画像に相当するデジタル画像が得られる。このデジタル画像を画像処理部へ転送して画像変換することにより、第一のすかしの透過光画像である有意味画像が、見掛け上、無意味化されて消去され、第二のすかしの透過光画像が画像変換されて所定の有意味画像をスペクトル画像として得ることができるが、上記デジタル画像を単に肉眼で観察しても、従来の第一のすかしの透過光画像である有意味画像が視認できるのみであって、第二のすかしが持つ秘匿された有意味な情報は得られない。
【0048】
このデジタル画像をデジタル情報としてコンピュータに入力し、例えば、従来知られているフーリエ変換のような画像変換処理技術により、周波数領域へ画像変換してスペクトル画像である有意味画像を形成する。すかしに含まれた上記微細で連続的な紙層構造の凹凸や疎密分布等により付与される視認不可能で有意味な第二のすかしが持つ情報は、すかし自体を直接肉眼で観察しても、また、透過光によるすかしのデジタル画像でも確認不可能であるが、上記周波数領域へ画像変換されたスペクトル画像である変換画像によれば、第一のすかしの透過光画像である有意味画像に代わってロゴ・マーク等の有意味なすかし情報が簡潔に表示され、真偽判別がきわめて簡単に行える。この時、上記視認不可能で有意味な第二のすかしの透過光画像が画像変換されて有意味なすかし情報が得られるように、上記視認不可能で有意味な第二のすかしの透過光画像に対応させて上記デジタル画像の中の所定の位置に上記デジタル情報を変換処理する際の原点を決めればよい。また、被検査用紙の真偽判別においては、被検査用紙の変換画像に対して、スペクトル画像である上記所定の有意味画像と機械的比較を行うことにより真偽判別が達成されることは言うまでもない。
【0049】
本発明の上記実施例における真偽判別装置は、図2に示すように、被検査用紙の所定の位置を透過光の下で撮像し濃淡の階調を有するデジタル画像を得るCCDカメラ等の画像入力部と、このデジタル画像を周波数領域へ画像変換して得られた変換画像をスペクトル画像である上記所定の有意味画像と比較可能とする表示部又は機械的に比較可能とする比較部とから構成されている。
【0050】
視認不可能で有意味な第二のすかし部位を透過光のもとでCCDカメラ等により撮像して得られるデジタル濃淡画像を画像変換して得られる変換画像は、視認不可能で有意味な第二のすかしの入れ方、即ち、すかしの三次元的紙層構造に応じて様々なものとなる。よって、視認不可能で有意味な第二のすかしの透過光画像を画像変換して得られる変換画像が所定の有意味画像となるように、抄造工程において視認不可能で有意味な第二のすかしを上記微細で連続的な紙層構造の凹凸や疎密分布等により上記第一のすかしに重畳して形成すればよい。したがって、この視認不可能で有意味な第二のすかしは、見掛け上、通常のすかしである第一のすかしに対して、視認可能で無意味なすかしの形態となっても、上記第一のすかしの透過光画像である有意味画像の有意味性をそこなうものでなければ何ら問題とならない。
【0051】
なお、上記実施例では、偽造防止用紙の視認不可能で有意味な第二のすかしを透過光のもとで撮像した濃淡の階調を有するデジタル濃淡画像データをコンピュータに入力し、このデータをコンピュータにより周波数領域へフーリエ変換してスペクトル画像である上記有意味画像を得る方法を採用したが、視認不可能で有意味な第二のすかしの透過光画像をフーリエ変換レンズによりアナログ的に周波数領域へ画像変換してスペクトル画像である上記有意味画像を得てもよい。また、この場合の画像変換では、有意味な情報が検出できるものであれば、サイン変換、コサイン変換、ウエーブレット変換、アダマール変換、ウォルシュ変換、KL変換等の画像変換や周波数領域における画像変換ではないZ変換のような画像変換を用いてもよいし、その他の画像変換を用いてもよい。
【0052】
(実施例2)
以下、本発明に係る偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置を他の実施例により図3及び図4を参照して更に詳細に説明する。本実施例で説明する偽造防止用紙に付与されているすかしは視認可能で有意味なすかしと視認不可能で有意味な画像変換されたすかしが重畳して形成されているすかしである。
【0053】
この偽造防止用紙には、その抄造工程において、すかし形成ローラ等のすかし形成装置により、紙の厚さ、密度などの特性が部分的に変化した特有の三次元的紙層構造から成るすかしが形成される。
【0054】
このすかしは、光にかざして観察すると視認可能な従来の第一のすかしの透過光画像である有意味画像が認知できるとともに、所定の手続きに従うことで上記第一のすかしの透過光画像である有意味画像を見掛け上、消去し、それに代わって視認不可能であった第二のすかしを視認可能な有意味画像として発現、表示する複合したすかしである。透過光による紙層構造の投影像としての濃淡画像が肉眼による有意味画像とともに、秘匿すべき所望の有意味画像を画像処理して得られるスペクトル画像と等価な画像を含むように、すかしの各部を構成する微細で連続的な紙層構造の凹凸や疎密の程度を作為的に形成することで、後述するように、透過光のもとでの濃淡画像を逆画像変換して上記第一のすかしの透過光画像である有意味画像を見掛け上、消去し、それに代わって第二の有意味なすかしの透過光画像が逆画像変換されて視認可能な有意味画像を復元画像として発現することにより特徴付けられる、光にかざして観察しただけでは全く視認不可能な有意味な秘匿情報を第一のすかしに重畳して含ませることができる偽造防止手段を提供する。
【0055】
このような視認可能な第一のすかしと視認不可能な画像変換された第二のすかしが入った偽造防止用紙を、背面から光を照射してその透過光をCCDカメラ等により撮像すると、すかしの三次元的紙層構造が透過光の下で輝度変換され、濃淡の階調を有する直接的に肉眼で視認できる有意味な画像に相当するデジタル画像が得られる。このデジタル画像を画像処理部へ転送して逆画像変換することにより、第一のすかしの透過光画像である有意味画像が、見掛け上、無意味化されて消去され、第二のすかしの透過光画像が逆画像変換されて所定の有意味画像を復元画像として得ることができるが、上記デジタル画像を単に肉眼で観察しても、従来の第一のすかしの透過光画像である有意味画像が視認できるのみであって、第二のすかしが持つ秘匿された有意味な情報は得られない。
【0056】
このデジタル画像をデジタル情報としてコンピュータに入力し、例えば、従来知られているフーリエ逆変換のような画像変換処理技術により、周波数領域から逆画像変換して有意味画像である復元画像を形成する。すかしに含まれた上記微細で連続的な紙層構造の凹凸や疎密分布等により付与される視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしが持つ情報は、すかし自体を観察しても、また、透過光によるすかしのデジタル画像でも確認不可能であるが、上記周波数領域から逆画像変換された復元画像によれば、第一のすかしの透過光画像である有意味画像に代わって人像等の有意味なすかし情報が簡潔に表示され、真偽判別がきわめて簡単に行える。この時、上記視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしの透過光画像が逆画像変換されて有意味なすかし情報が得られるように、上記視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしの透過光画像に対応させて上記デジタル画像の中の所定の位置に上記デジタル情報を変換処理する際の原点を決めればよい。また、被検査用紙の真偽判別においては、被検査用紙の変換画像に対して、復元画像である上記所定の有意味画像と機械的比較を行うことにより真偽判別が達成されることは言うまでもない。
【0057】
本発明の上記実施例における真偽判別装置は、図4に示すように、被検査用紙の所定の位置を透過光の下で撮像し、濃淡の階調を有するデジタル画像を得るCCDカメラ等の画像入力部と、このデジタル画像を逆画像変換して得られた変換画像を復元画像である上記所定の有意味画像と比較可能とする表示部又は機械的に比較可能とする比較部から構成されている。
【0058】
視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかし部位を透過光のもとでCCDカメラ等により撮像して得られるデジタル濃淡画像を逆画像変換して得られる復元画像は、視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしの入れ方、即ち、すかしの三次元的紙層構造に応じて様々なものとなる。よって、視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしの透過光画像を逆画像変換して得られる復元画像が所定の有意味画像となるように、抄造工程において視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしを上記微細で連続的な紙層構造の凹凸や疎密分布等により上記第一のすかしに重畳して形成すればよい。したがって、この視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしは、見掛け上、通常のすかしである第一のすかしに対して、視認可能で無意味なすかしの形態となっても上記第一のすかしの透過光画像である有意味画像の有意味性をそこなうものでなければ何ら問題とならない。
【0059】
なお、上記実施例では、偽造防止用紙の視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしを透過光のもとで撮像した濃淡の階調を有するデジタル濃淡画像データをコンピュータに入力し、このデータをコンピュータにより周波数領域からフーリエ逆変換して復元画像として上記有意味画像を得る方法を採用したが、視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしの透過光画像をフーリエ変換レンズによりアナログ的に周波数領域から逆画像変換して上記有意味画像を得てもよい。また、この場合の画像変換では、有意味な情報が検出できるものであれば、サイン変換、コサイン変換、ウエーブレット変換、アダマール変換、ウォルシュ変換、KL変換等の画像変換や周波数領域における画像変換ではないZ変換のような画像変換を用いてもよいし、その他の画像変換を用いてもよい。
【0060】
以上の実施の形態乃至実施例の説明では、偽造防止用シートとして偽造防止用紙について説明したが、本発明に係る偽造防止用シートの材質は、シート状物体であれば特に用紙に限定されることはなく、プラスチック等の材料から形成してもよい。
【0061】
また、上記実施例の偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置は、上記偽造防止用シートがIDカード、通行証、登録証、入場券、旅券、出入国証を含む身分、権利、資格を証明する証書類又は紙幣、切手、印紙、株券、債券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードを含む有価証券類に用いられた偽造防止用シート及びその真偽判別方法並びにその真偽判別装置であっても構わない。
【0062】
本発明では、偽造防止用紙の抄造の際に、パルプ繊維材が水素結合する以前に、パルプ繊維材からなる紙料に規則的な外力を加え、微細で連続的な紙層の凹凸や疎密構造を有する三次元的紙層構造から成る直接に視認可能で有意味な第一のすかしに視認不可能で有意味な第二のすかしを重畳して形成する。この視認不可能で有意味な第二のすかしを透過光のもとで輝度変換した場合に、濃淡の階調を持つ微細で連続的な濃淡画像となる。また、重畳して形成されている直接に視認可能で有意味な第一のすかしが共存しているため、上記第二のすかしを偽造することはきわめて困難である。さらに、上記濃淡画像を所定の手続きのもとで変換することにより上記第一のすかしの透過光画像である有意味画像が見掛け上、消失し、代わって視認不可能で有意味な第二のすかしの透過光画像が変換されて視認可能な有意味画像を得るという二重のチェックによって偽造防止用紙の真偽判別が遂行される。この有意味画像の形態は、具体的な変換の手続きを適宜、選択することによって、人像、模様、文字等の所望の画像であってよく、上記所望の画像を偽造防止用紙に秘匿情報として付与させた上、所定の手続きに従うことで常態では視認可能な第一のすかしの透過光画像である有意味画像を見掛け上、消失せしめ、代わって常態では視認不可能な第二のすかしの透過光画像が所定の手続きのもとで変換されて得られるデザイン的に何ら制約のない秘匿された有意味画像を再現せしめて真偽判別に利用することができる。
【0063】
また、本発明では、視認不可能で有意味な第二のすかしの透過光画像を所定の手続きのもとで変換して有意味画像を得るが、その際に、抄紙中に抄紙網の独特の網目模様により形成されるワイヤパターンについても特徴のある変換画像を得ることができ、この変換画像を上記有意味画像と組み合わせて用いて偽造防止用紙の真偽判別が容易になる場合もある。
【0064】
また、本発明では、透過光のもとでのすかしの濃淡画像を変換して視認可能な有意味画像を得るにあたって、上記第二のすかしとして視認不可能で有意味なコード情報を採用し、コード変換のような一般的な変換技術を採用してもよい。
【0065】
その他、本発明は上記実施の形態乃至実施例に特定されることなく、特許請求の範囲の技術的事項の範囲内でいろいろな実施の形態乃至実施例があることは言うまでもない。
【0066】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0067】
本発明に係る偽造防止用シートに形成されたすかしは、視認可能で有意味な従来のすかしと視認不可能で有意味なすかしとが重畳して形成されたすかしであるため、偽造はきわめて困難であるとともに、その透過光画像を所定の手続きのもとで変換することによって、従来のすかしの透過光画像である有意味画像を見掛け上、消去し、代わって得られる有意味画像により、きわめて簡単、且つ、正確に被検査シートの真偽判別が可能となる。この場合の有意味画像としては、上記透過光画像を所定の手続きのもとで変換する際の手法の選択により、人像、模様、文字、ロゴマーク等の所望の画像を用いることができる。
【0068】
本発明に係る偽造防止用シートの真偽判別方法及び真偽判別装置では、シートの製造の際にローラ等により機械的圧力を加えて微細で連続的なシート層の凹凸や疎密の分布を形成されて成る、常態で視認可能なすかしと常態で視認不可能な有意味なすかしが重畳して形成されたすかしについて、その透過光のもとでの濃淡画像に所定の手続きによる変換処理を施すことによって、常態で視認可能なすかしの透過光画像である有意味画像を見掛け上、消去し、代わって得られた有意味画像により真偽を判別すればよいので、その構成は簡単であり取り扱いも容易である。
【0069】
また、例えば透視インキを印刷して本発明と類似の効果を奏するシートを作製したとしても、シートに含まれる製紙原料ではないインキ成分の存在により、シートが容易に偽造シートであることが判明する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例1を説明する図である。
【図2】本発明に係る実施例1を説明する図である。
【図3】本発明に係る実施例2を説明する図である。
【図4】本発明に係る実施例2を説明する図である。
Claims (15)
- 視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味な第二のすかしが重畳して配置されているすかしを含むすかしが形成された偽造防止用シートであって、前記視認不可能で有意味な第二のすかしは、透過光の下で輝度変換されて濃淡画像として画像処理装置に入力されたときに、前記濃淡画像を画像変換して所定の有意味画像を得られるように構成されたすかしであることを特徴とする偽造防止用シート。
- 視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味な画像変換が施された第二のすかしが重畳して配置されているすかしを含むすかしが形成された偽造防止用シートであって、前記視認不可能で有意味な画像変換が施された第二のすかしは、透過光の下で輝度変換されて濃淡画像として画像処理装置に入力されたときに、前記濃淡画像を逆画像変換して復元画像である所定の有意味画像を得られるように構成されたすかしであることを特徴とする偽造防止用シート。
- 前記画像変換はフーリエ変換、サイン変換、コサイン変換、ウェーブレット変換、アダマール変換又はZ変換のいずれかの変換であることを特徴とする請求項1又は2記載の偽造防止用シート。
- すかしが形成されている偽造防止用シートであって、前記すかしは視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味なコード情報からなる第二のすかしが重畳して形成されているすかしを含むことを特徴とする偽造防止用シート。
- 前記偽造防止用シートはIDカード、通行証、登録証、入場券、旅券、出入国証を含む身分、権利、資格を証明する証書類又は紙幣、切手、印紙、株券、債券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードを含む有価証券類に用いられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の偽造防止用シート。
- 視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味な第二のすかしが重畳して配置されているすかしを含むすかしが形成された偽造防止用シートの真偽判別方法であって、前記視認不可能で有意味な第二のすかしを透過光の下で輝度変換した濃淡画像として画像処理装置に入力して入力画像とし、前記入力画像を画像変換して所定の有意味画像を得て、前記有意味画像により真偽判別を可能とすることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別方法。
- 視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味な画像変換が施された第二のすかしが重畳して配置されているすかしを含むすかしが形成された偽造防止用シートの真偽判別方法であって、前記視認不可能で有意味な画像変換が施された第二のすかしを透過光の下で輝度変換した濃淡画像として画像処理装置に入力して入力画像とし、前記入力画像を逆画像変換して復元画像である所定の有意味画像を得て、前記有意味画像により真偽判別を可能とすることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別方法。
- 前記画像変換はフーリエ変換、サイン変換、コサイン変換、ウェーブレット変換、アダマール変換又はZ変換のいずれかの変換であることを特徴とする請求項6又は7記載の偽造防止用シートの真偽判別方法。
- 視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味なコード情報から成る第二のすかしが重畳して形成されているすかしを含む偽造防止用シートの真偽判別方法あって、前記視認不可能で有意味なコード情報から成る第二のすかしが透過光の下で輝度変換された濃淡画像を変換して所定の有意味画像を得て、前記有意味画像により真偽判別を可能とすることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別方法。
- 前記偽造防止用シートの真偽判別方法は、IDカード、通行証、登録証、入場券、旅券、出入国証を含む身分、権利、資格を証明する証書類又は紙幣、切手、印紙、株券、債券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードを含む有価証券類に用いられる前記偽造防止用シートの真偽判別を行うことを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の偽造防止用シートの真偽判別方法。
- 視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味な第二のすかしが形成され、前記視認可能で有意味な第一のすかしと前記視認不可能で有意味な第二のすかしが重畳して配置されているすかしを含むすかしが形成された偽造防止用シートの真偽判別装置であって、前記偽造防止用シートにおける視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味な第二のすかしを撮像して画像データとして入力画像を得る画像入力部と、前記画像入力部で得られた視認不可能で有意味な第二のすかしが透過光の下で輝度変換された濃淡画像を画像変換して有意味画像を得る画像処理部と、前記画像処理部により得られた有意味画像と真偽判定用の有意味画像との比較を行うための表示部と、前記比較を機械的に行う比較部とから構成されることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別装置。
- 視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味な第二のすかしが形成され、前記視認可能で有意味な第一のすかしと前記視認不可能で有意味な第二のすかしが重畳して配置されているすかしを含むすかしが形成された偽造防止用シートの真偽判別装置であって、前記偽造防止用シートにおける視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味な画像変換された第二のすかしを撮像して画像データとして入力画像を得る画像入力部と、前記画像入力部で得られた視認不可能で有意味な第二のすかしが透過光の下で輝度変換された濃淡画像を逆画像変換して復元画像である有意味画像を得る画像処理部と、前記画像処理部により得られた復元画像である有意味画像と真偽判定用の有意味画像との比較を行うための表示部と、前記比較を機械的に行う比較部とから構成されることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別装置。
- 前記画像変換はフーリエ変換、サイン変換、コサイン変換、ウェーブレット変換、アダマール変換又はZ変換のいずれかの変換であることを特徴とする請求項11又は12記載の偽造防止用シートの真偽判別装置。
- 視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味なコード情報から成る第二のすかしが形成され、前記視認可能で有意味な第一のすかしと前記視認不可能で有意味な第二のすかしが重畳して形成されているすかしを含む偽造防止用シートの真偽判別装置であって、前記偽造防止用シートにおける視認可能で有意味な第一のすかしと視認不可能で有意味なコード情報から成る第二のすかしを撮像して入力画像を得る画像入力部と、前記画像入力部で得られた視認不可能で有意味なコード情報から成る第二のすかしが透過光の下で輝度変換された濃淡画像を変換して有意味画像を得る画像処理部と、前記画像処理部で得られた有意味画像と真偽判定用の有意味画像との比較を行うための表示部と、前記比較を機械的に行う比較部とから構成されることを特徴とする偽造防止用シートの真偽判別装置。
- 前記偽造防止用シートの真偽判別装置は、IDカード、通行証、登録証、入場券、旅券、出入国証を含む身分、権利、資格を証明する証書類又は紙幣、切手、印紙、株券、債券、商品券、キャッシュカード、クレジットカード、電子マネーカードを含む有価証券類に用いられる前記偽造防止用シートの真偽判別を行うことを特徴とする請求項11乃至14のいずれかに記載の偽造防止用シートの真偽判別装置。
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