JP4377140B2 - 電波時計ケース - Google Patents

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JP4377140B2 JP2003044185A JP2003044185A JP4377140B2 JP 4377140 B2 JP4377140 B2 JP 4377140B2 JP 2003044185 A JP2003044185 A JP 2003044185A JP 2003044185 A JP2003044185 A JP 2003044185A JP 4377140 B2 JP4377140 B2 JP 4377140B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、時刻情報を含む所定の電波を受信して時刻を表示する電波時計に関するものであり、特に、金属時計ケースを使用した場合における電波受信性能の向上を目指した電波時計ケースに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
標準電波を受信する電子時計、即ち時刻情報を含む標準電波(搬送波)を受信し、この電波から時刻情報を取り出すことにより、正確な時刻を得ることのできる電波時計は既に知られている。この時刻情報を含む電波は、各国毎に周波数が異なり、例えば、日本では総務省、郵政事業庁の管轄下において、40kHz及び60kHzの標準電波が発信されている。
【0003】
図7は、このような電波時計の機能の概略を示すブロック図である。この電波時計は、アンテナ1、電波時計受信機2、CPU3、表示駆動部4、入力装置5等から構成されている。その他、図示していないが時分秒の各指針又は液晶等による表示部が含まれている。
【0004】
この電波時計においては、はじめにアンテナ1で時刻情報を含む電波を受信する。電波時計受信機2は、アンテナ1が受信した電波を増幅検波し、電波から時刻情報を取り出して出力する。CPU3は、電波時計受信機2から出力された時刻情報に基づき、現在時刻データを出力する。表示駆動部4は、CPU3から出力された現在時刻データに基づき、表示部に現在時刻を表示させる。尚、入力装置5は、例えば、CPU3に対してリセット等の操作情報を入力する際に使用される。
【0005】
電波に含まれている時刻情報(タイムコード)は、60秒周期のパルス信号であり、1秒ごとに、200、500、800msecのいずれかの幅を有するパルスが1つ乗っている。これらパルスの組み合わせにより、60秒で時刻情報が得られる。CPU3は、受け取ったパルス信号から1秒ごとのパルスのパルス幅を読み取っていくことにより、時刻情報(現在時刻)を取得する。そして、CPUは、取得した時刻情報により、表示駆動部4を介して表示部における表示時刻を修正する。よって、電波時計は、受信した時刻情報に基づき、表示時刻が所定間隔毎に修正されることにより、常に正確な時刻を表示できる。
【0006】
このような電波時計として、アンテナ、電波時計受信機、CPU、表示駆動部および表示部を、アンテナ収納体であるケースの中に収納した腕時計が、すでに提供されている。このケースの素材には、アンテナが電波を受信するために合成樹脂やセラミックなどの非導電性材料が主として用いられてきた。即ち、金属などの導電材料からなるケース内部にアンテナを収納すると、アンテナ近傍に発生する磁束が導電材料に吸い取られ、共振現象が妨げられるため、アンテナが標準電波を受信できなくなるほどに、アンテナの受信機能が低下してしまうからである。
【0007】
しかしながら、このようなアンテナの受信障害を避けるため、合成樹脂製のケースを用いると、ケースの耐傷性、あるいは耐薬品性の低下をまねくばかりか、装身具としての腕時計に必要とされる高級感や美観も損なわれることになる。このため、ケースに金属を用いた電波腕時計が提案されている。
【0008】
図8は、ケースの一部に金属を用いた電波腕時計の構造の一例を示す断面図である。この腕時計のケース10は、胴11と裏蓋12と風防13とから概略構成されている。バンド(図示せず)が連結される胴内部に、ムーブメント14が公知の手段で配置されている。ムーブメント14の上方には、時刻表示部である文字板15と針16が、同じく公知の手段で配置されている。そして、ムーブメント14の下方で、かつ裏蓋12の上方に位置するように、磁気長波アンテナであるバーアンテナ17が配置されている。このバーアンテナ17は、フェライト材からなる磁芯部材18と、この磁芯部材18に巻回されたコイル20とよりなり、合成樹脂製の保持部材の上面に固定されている。
【0009】
ムーブメント14は、前述した電波時計受信機、CPU、および表示駆動部を備え、導線21によってバーアンテナ17と電気的に導通される。従って、バーアンテナ17が受信した標準電波に基づいて、ムーブメント14のCPUが、表示駆動部における、図示しないギア機構を動作させて、表示部の針16の位置を常に修正するように駆動する。なお、ここで、上下方向とは、図8における上下を示している。
【0010】
胴11は導電材料で中空でない、即ちソリッド金属、たとえばソリッドステンレスからなる。胴11の最上部には、非導電材料であるガラスからなる風防13が、接着等の公知の手段で固定される。文字板15は、非導電材料である合成樹脂やセラミックなどからなる。裏蓋12は、胴11に固定されたステンレスからなる環状の縁枠22と、縁枠内に固定されたガラス23とからなる。このように、この腕時計は、ケースの上下面には非導電材料が視認されるものの、ケースの側面部分を金属で構成しているため、装身具としての高級感や美観を損なわないという利点がある(特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−33571号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8に示される腕時計は、携帯使用する上での電波受信性能について大きな問題はないが、裏蓋12の縁枠22にガラス23が固定されているため、腕時計を落とす等の衝撃を与えるとガラス23が破損するという問題がある。また、裏蓋12は、腕に密接しているので、長期の使用において、汗等によりガラス23が縁枠22から外れたり、腕時計内部のムーブメント(アンテナ1、電波時計受信機2、CPU3、表示駆動部4等)に汗、水、ホコリ等が入り込み、腕時計としての機能を著しく低下させる恐れもある。
【0013】
また、裏蓋12にガラス23が設けられているので、部品点数が増えると共に組立工数も増え、コストアップをまねくという問題を有していた。また、非金属部材が外装に使用されているため、腕時計としての重厚感に欠け、高級感や外観品質にも問題を有していた。
【0014】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたもので、通常の金属時計ケースを使用しても、携帯上、何の支障もなく時刻情報等、所定の情報を含んだ電波を受信することができ、安定した防水品質及び高級感を有する外観品質の向上並びに一般の時計と同様のデザインバリエーションの拡大を図ることが可能な電波時計ケースを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の電波時計ケースは、請求項1に示すように、
アンテナと時計装置とを収納した時計ケースから構成され、
該時計ケースは、少なくとも裏蓋において、電気抵抗率が7.0μΩ−cm以下の非磁性部材が一部を構成し、前記アンテナは、磁芯材とこの磁芯材に複数巻かれたコイルとから構成され、前記磁芯材の軸線を含む少なくとも1つの平面に沿って、前記裏蓋の、前記アンテナが平行に投影される部分が前記非磁性部材でできていることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明においては、アンテナと時計装置とを収納した時計ケースを、電気抵抗率が7.0μΩ−cm以下に設定された非磁性部材で形成するか、又は時計ケースの一部を当該非磁性部材で形成し、且つ表面仕上げを施している。また、この非磁性部材は、アンテナが平行に投影される裏蓋、胴、ベゼル等の部材あるいは該部材に投影される部分、又はアンテナの端部とそれぞれ相対する裏蓋、胴、ベゼル等の部材あるいは該部材における相対する部分に設けられている。このように非磁性部材を設けると、金属材料に起因するアンテナ近傍での共振現象の乱れを低減することができるため、金属時計ケースであっても十分な受信感度を得ることが可能となる。これにより、電波時計であっても胴、裏蓋、ベゼル等にチタン、ステンレススチール等を使用することができるようになり、受信感度の低下を抑え、時計ケースの機構上及び外観上の機能を向上させることができる。尚、非磁性部材の電気抵抗率等に関しては、実験による検証を重ねることで得られた最も効果的な値を提示している。
【0017】
【実施例】
以下図面に基づいて本発明の実施例を説明する。はじめに、時計ケースに使用する材質の選定に関する実験とその結果について説明する。まず、時計ケースに使用する材質の中で、アンテナの受信感度の低下が少ない金属を選定するため、0.5mm厚の金属板の上に、導体径65μmコイル2000ターンの実験用アンテナを設置し、所定位置に設置された送信アンテナから40kHzの信号を送信する実験を行った。受信状態の評価は、図2に示すように、受信した信号のピーク高さである利得と周波数帯域幅Δfとピーク周波数foから求められるQ値=fo/Δfを比較することにより行っている。尚、利得が高いほど受信感度が良好であり、Q値が高いほど周波数選択性が良好であることを示す。この実験の結果、金、銀、銅、真鍮、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、それらの合金の上にアンテナを設置した場合は、チタン、チタン合金、ステンレススチール、タンタルカーバイドの場合に比べて、利得が2〜3dB(デシベル)高くなった。
【0018】
また、銅、真鍮、アルミニウム,マグネシウム、亜鉛それらの合金に関してQ値が41〜47と高く、チタン、チタン合金、ステンレススチール、タンタルカーバイトに関してQ値が32前後と低下することが認められた。
【0019】
次に、同様の実験を、胴、裏蓋等からなる時計ケースに相当する実験用外装を用いて行った。即ち、図3に示すように、時計ケースに相当する実験用外装50内に、アンテナに相当する実験用アンテナ51を収めたものを樹脂板52の上に載置し、所定位置に設置された送信アンテナ53から一定周波数の電波を送信し、実験用アンテナ51の受信状態を測定した。
【0020】
この実験の結果、時計ケースの胴に相当する胴部50aと裏蓋に相当する蓋部50bを共に受信感度が低下すると認められたステンレススチール等の金属で形成すると、Q値は5と低下し、電波時計としては好ましくないことが認められた。また、胴部50aを受信感度が低下すると認められたステンレススチール等の金属で形成し、蓋部50bを受信感度が良好と認められた真鍮等の金属で形成すると、Q値は8前後となって受信感度が良好となった。そこで、時計外装に使用することを想定して胴部50aはステンレススチール等の金属のままに、外周部分をステンレススチール等の金属でリング又は枠状に形成し且つその内側に真鍮等の金属を嵌め込むことにより形成した蓋部50bを使用すると、Q値は8〜9と更に良好な状態になった。その上、アンテナの利得も1〜2dB向上することもできた。
【0021】
上記実験結果から、受信感度が良好となる金属で時計ケースを形成した場合だけでなく、受信感度が低下する金属で時計ケースを形成したとしても、その一部に受信感度が良好となる金属を設けることで、時計ケース内側にあるアンテナの受信感度を向上させることが可能であることが検証できた。
【0022】
一方、実験に使用した金属の電気抵抗率を比較してみると、受信感度を低下させるチタンやステンレススチールでは、電気抵抗率が55〜74μΩ−cmと高く、受信感度が良好となるアルミニウムでは、電気抵抗率が2.69μΩ−cmと低いことがわかった。そこで、電気抵抗率と受信感度との関係を検証するため、時計ケース全体又はその一部に使用する金属を電気抵抗率に基づいて選定したところ、受信感度が良好となる金属の電気抵抗率を7μΩ−cm以下に設定することにより、これに金属の電気抵抗率が高い金属を組み合わせたとしても良好な受信感度を保つことが可能であることが判明した。
【0023】
その結果、金、銀、銅、真鍮、アルミニウム,マグネシウム、亜鉛それらの合金のような電気抵抗率が7μΩ−cm以下の非磁性部材で時計ケース全体又はその一部を形成すれば、金属を使用した時計ケースであっても受信感度を良好にすることができることが判明した。更に、外観品質に優れたチタン、チタン合金、ステンレススチール、タンタルカーバイト、タングステンカーバイドのように電気抵抗率が高い金属からなる時計ケースであっても、その一部に上記非磁性部材からなる部分があれば受信感度を良好にすることが可能であることも検証できた。
【0024】
上記各実験等の結果に基づけば、時計ケースの胴や裏蓋を、電気抵抗率が7μΩ−cm以下の金、銀、銅、真鍮、アルミニウム,マグネシウム、亜鉛それらの合金等の非磁性部材で形成すれば、受信感度の低下を抑え、金属時計ケースを電波時計に使用することができる。また、上記非磁性部材で時計ケースの胴や裏蓋の一部を形成すれば、その他の部分をチタン、チタン合金、ステンレススチール、タングステンカーバイト、タンタルカーバイト等で形成しても、受信感度を良好な状態にすることができる。
【0025】
また、非磁性部材は、上記金属の内の1種類だけで形成されている必要はなく、その中の少なくとも2種類の金属を拡散接合、ロー付、接着、カシメ等によって接合することにより時計ケースあるいはその一部を形成しても同様の効果が認められた。
【0026】
次に、上記実験等の結果に基づく実施例を説明する。図1は本発明の第1実施例に係る電波時計ケースを示す断面図である。胴30は、略筒状をなし、その図中上方の開口部の内周縁にある段部30aにパッキン31を介してガラス32が取り付けられ、図中下方の開口部に裏蓋33が圧入、螺合、ネジ等の手段により取り付けられている。尚、図1に示す裏蓋33は圧入にて胴30に取り付けられており、その立ち上がり部33aと胴30の内側面30cとの間にパッキン44が挟み込まれている。
【0027】
本実施例における胴30と裏蓋33は、前述した実験にて受信感度を良好な状態にする電気抵抗率が7.0μΩ−cm以下の非磁性部材である黄銅材からなる本体部30d,33dで形成され、鏡面仕上げが施され、その後、湿式メッキにより表面にPd等のメッキ層30e,33eが形成されて仕上げられたものとなっている。
【0028】
胴30と裏蓋33のメッキ層30e,33eは、以下に示すような湿式メッキにより形成される。はじめに、下地メッキ層を形成するため、本体部30d,33dに、メッキ浴(組成:Na2SnO3・3H2O 60g/l(リットル),CuCN 20g/l,K2SO3H 10g/l,KCN(フリー) 30g/l,KOH 60g/l,Zn(CN)2 5g/l)、浴温50℃、電流密度2.4A/dm2、pH12.5、析出速度0.33μm/min、時間6分の条件でメッキを施す。これにより本体部30d,33dの表面に、約2μmのCu−Sn−Zn合金の下地メッキ層が形成される。
【0029】
次に、この下地メッキ層の上に以下の条件でメッキを施すことによりSn−Cu−Pd合金メッキ層を形成する。メッキ浴(組成:Na2SnO3・3H2O 60g/l(Sn換算量26.7g/l),CuCN 20g/l(Cu換算量14.2g/l),K2SO3H 10g/l,KCN(フリー) 30g/l,KOH 60g/l,K2Pd(CN)4・3H2O 30g/l(Pd換算量9.3g/l))。メッキ条件:浴温50〜55℃、電流密度2.0A/dm2、電流効率47.8%、pH12.5〜13、析出速度0.33μm/min、時間9分。このメッキにより下地メッキ層の上に、厚み約3μm、硬度(Hv)約300、密度9.6g/cm3のSn−Cu−Pd合金メッキ層が形成される。このメッキ層の組成を走査電顕とX線マイクロアナライザーで簡易定量したところ、Sn:17.12重量%、Cu:44.22重量%、Pd:38.66重量%の3元合金であることが確認された。
【0030】
その後、Sn−Cu−Pd合金メッキ層の上に次のような条件でメッキを施すことにより、仕上げメッキ層が形成される。メッキ浴(日本高純度化学(株)製の「パラブライト−SSS」(商品名))。メッキ条件:浴温55℃、電流密度5A/dm2、pH7.6、析出速度0.33μm/min、時間6分。このメッキにより、厚み約2μmで白色光沢を有するPdメッキ層が形成され、メッキ層30e,33eが完成される。
【0031】
上記のようにメッキ層30e,33eが形成された胴30と裏蓋33は、塩化ナトリウム9.9g/l、硫化ナトリウム0.8g/l、尿素7.1g/l、アンモニア水0.19ml/l、サッカロース0.2g/l、乳酸(50%)0.8ml/lからなる人工汗(温度40℃)に24時間浸漬する耐食試験を行っても、表面が変色することはなく、良好な耐食性を有している。また、この胴30と裏蓋33は、温度200℃に5時間放置する加熱試験を行ってもメッキ層30e,33eの剥離が全く認められず、耐熱性も良好なものとなる。
【0032】
上記のような胴30の中には、前述した図7に示す電波時計受信機、CPU、及び表示駆動部等を備えたムーブメント34が収められている。ムーブメント34の図中上方には、時刻表示部である文字板35と指針36が設けられている。このムーブメント34は、胴30の段部30aを形成する内方突出部30bの図中下面に文字板35が当接することにより位置決めされ、裏蓋33の立ち上がり部33aの上面に配設された樹脂中枠45との間に挟み込まれることで固定されている。また、このムーブメント34と裏蓋33との間には所定の空間が設けられており、その空間の中にアンテナ37が配置されている。このアンテナ37は、フェライト材等からなる棒状の磁芯材38と、この磁芯材38に巻回されたコイル40とから構成されており、ムーブメント34の下面に固定されている。
【0033】
上記構成からなる電波時計においては、アンテナ37が受信した標準電波に基づいて、ムーブメント34内のCPUが、表示駆動部を動作させて、指針36を常に修正するように駆動する。このときに、本実施例における時計ケースでは、胴30及び裏蓋33が非磁性部材で形成されているため、アンテナ近傍での共振現象の乱れを低減し、受信感度を向上させている。また、前述したように、胴30と裏蓋33に表面仕上げを施しているため、時計ケースとして使用する際に必要な耐食性及び耐熱性を備えており、また、重厚で高級感のある白色系金属光沢を有しているため、外観品質も高いものとなる。
【0034】
図4は本発明の第2実施例に係る電波時計ケースを示す断面図である。尚、この第2実施例は、構造が前述した第1実施例と同様であり、胴30及び裏蓋33の材質及び表面仕上げが異なるものであるため、材質及び表面仕上げに関して詳述する。本実施例における胴30は、タングステンカーバイド材(超硬材)からなる本体部30fで形成され、鏡面仕上げが施され、その後、乾式メッキにより表面にメッキ層30gが形成されて仕上げられたものとなっている。一方、裏蓋33は、電気抵抗率が7.0μΩ−cm以下の非磁性部材である黄銅材で形成され、鏡面仕上げが施され、その後、第1実施例で述べたCu−Sn−Zn合金の下地メッキ層とSn−Cu−Pd合金メッキ層とを湿式メッキで形成し、その表面に、乾式メッキによりメッキ層33i(胴30に形成したメッキ層と同じ)が形成されて仕上げられたものとなっている。
【0035】
上記メッキ層30g及び33iは以下に示す工程でメッキが行われることにより形成される。はじめに、裏蓋33の表面に、第1実施例で説明したメッキ浴及び条件でCu−Sn−Zn合金の下地メッキ層と、その表面にSn−Cu−Pd合金メッキ層を形成する。次に、この裏蓋33とタングステンカーバイドからなる本体部30fを脱脂、洗浄、乾燥する。次に、この本体部30fと裏蓋33をイオンプレーティング装置にセットし、装置内を排気したのちアルゴンガスを導入して装置内の真空度を1.0×10-2Torrにする。ここで、装置内に配設されている熱電子フィラメントとプラズマ電極を作動してアルゴンプラズマを発生させ、10分間、表面をイオンボンバードで洗浄する。ついで、装置内に窒素ガスを導入して装置内の真空度を2.0×10-3Torrに維持し、装置のプラズマ銃でプラズマを発生させつつTiを5分間蒸発させて、胴30と裏蓋33の表面に厚み0.25μmのTiN層を形成する。更に、Tiの蒸発と窒素ガス導入を停止したのち、Tiを50原子%含有するAu−Ti合金を蒸発させて、前記TiN層の上に厚み0.3μmのAu−Ti合金メッキ層を形成し、メッキ層30g及び33iを完成させる。
【0036】
上記のようにメッキ層30gが形成された胴30及び裏蓋33は、金色光沢を有することになり、その色調は、スイス金メッキ色規格の1N−14色を満足する均一な指定金色調を出すことができる。実際に色差計で測定した色調は、L’80,a’1.0,b’15.0であった。尚、このように形成されるメッキ層30g及び33iは、X線光電子分光法による分析の結果、金88原子%、チタン6.5原子%、窒素0.5原子%、酸素2原子%、および炭素3原子%からなっていた。
【0037】
また、上記胴30及び裏蓋33について、第1実施例と同様の人工汗を用いて24時間の耐食性試験を行っても、腐食や変色は全く認められなかった。
【0038】
本実施例における時計ケースにおいては、胴30がタングステンカーバイドで形成されていても裏蓋33が非磁性部材で形成されているため、アンテナ近傍での共振現象の乱れを低減し、受信感度を向上させている。また、前述したように、胴30及び裏蓋33にメッキ層を形成して表面仕上げを施しているため、時計ケースとして使用する際に必要な耐食性等を備えており、また、高級感のある金色調を有しているため、外観品質も高いものとなる。尚、本実施例のように、胴30にタングステンカーバイドを使用した場合、その表面を鏡面仕上げするだけで乾式メッキを施さなくても時計ケースとして使用することが可能な場合もある。
【0039】
図5は本発明の第3実施例に係る電波時計ケースを示す断面図である。尚、この第3実施例も、構造が前述した第1実施例と同様であり、胴30及び裏蓋33の材質及び表面仕上げが異なるものであるため、材質及び表面仕上げに関して詳述する。本実施例における胴30は、全体がステンレス材(オーステナイト系)で形成され、表面にヘアーライン目付け仕上げが施されている。一方、裏蓋33は、その本体部33fがステンレス材(オーステナイト系)で形成され、この本体部33fに設けられた開口部に埋め込まれてロー付けされた充填部材33gが電気抵抗率が7.0μΩ−cm以下の非磁性部材である黄銅材で形成されており、その後、湿式メッキ及び乾式メッキにより表面にメッキ層33hが形成されて仕上げられたものとなっている。
【0040】
上記メッキ層33hは以下に示す工程でメッキが行われることにより形成される。はじめに、前述した第1実施例と同じ条件で湿式メッキを施し、黄銅材からなる充填部材33gの表面にCu−Sn−Zn合金メッキ層、Sn−Cu−Pd合金メッキ層、Pdメッキ層を順次形成する。
【0041】
次に、上記メッキ層が形成された充填部材33gと共にステンレス材からなる本体部33fを有機溶剤で洗浄し、イオンプレーティング装置に配置する。ついで、装置内を1.0×10-5Torrまで排気した後、アルゴンガスを3×10-3Torrまで導入する。次に、装置内に備えられた熱電子フィラメントとプラズマ電極を駆動させてアルゴンのプラズマを形成させる。これと同時に、裏蓋33に−50Vの電位を印加して、10分間ボンバードクリーニングを行う。次いで、アルゴンガスの導入を止め、装置内に窒素ガスを1.0×10-3Torrまで導入し、装置内部に備えられたプラズマ銃でプラズマを発生させた後、Tiを10分間蒸発させて裏蓋33の表面に窒化度が0.2のTiの窒化物からなる被膜を0.5μmの膜厚に形成し、装置内を1.0×10-5Torrまで排気する。次に、装置内にアルゴンガスを1.0×10-3Torrまで導入してプラズマを発生させた後、金55原子%とコバルト45原子%とからなる金−コバルト混合物を蒸発させ、析出する金−コバルト合金膜の厚みが0.3μmになったところで金−コバルト混合物の蒸発を止める。
【0042】
このようにして形成されるメッキ層33hは、X線光電子分光法による分析の結果、金63原子%及びコバルト37原子%からなり、このメッキ層33hが形成された裏蓋33は、明るさがある均一な白色調の色調を有するものとなる。
【0043】
本実施例における時計ケースにおいては、胴30及び裏蓋33の一部がステンレス材で形成されていても裏蓋33に非磁性部材で形成されている部分があるため、アンテナ近傍での共振現象の乱れを低減し、受信感度を向上させている。また、前述したように、裏蓋33の充填部材33g及び本体部33fにメッキ層を形成して表面仕上げを施しているため、時計ケースとして使用する際に必要な耐食性等を備えており、また、高級感のある白色調を有しているため、外観品質も高いものとなる。尚、本実施例における裏蓋33の本体部33fの開口部は、アンテナ37の外形より僅かに大きくなるように形成されることが好ましい。
【0044】
図6は本発明の第4実施例に係る電波時計ケースを示す断面図である。尚、この第4実施例も、構造が前述した第1実施例と同様であり、胴30及び裏蓋33の材質及び表面仕上げが異なるものであるため、材質及び表面仕上げに関して説明する。本実施例における胴30は、全体が電気抵抗率が7.0μΩ−cm以下の非磁性部材である18Kの金合金材(銀と銅を含有している)で形成され、表面が鏡面仕上げされている。裏蓋33は、全体がステンレス材(オーステナイト系)で形成されている。本実施例における時計ケースにおいては、裏蓋33がステンレス材で形成されていても胴30が非磁性部材で形成されているため、アンテナ近傍での共振現象の乱れを低減し、受信感度が向上する。
【0045】
尚、上記各実施例における時計ケースは、胴30と裏蓋33で構成されているが、胴30の上部にベゼルやリングを設けたものを用いることもできる。この場合には、胴、ベゼル、裏蓋の何れかが非磁性部材で形成されていれば、受信感度を向上させることができる。
【0046】
また、胴、ベゼル、裏蓋それぞれの全体を非磁性部材で形成するだけでなく、それらの一部分だけを非磁性部材で形成しても受信感度を向上させることができる。その場合、アンテナ37が平行に投影される部分、あるいはアンテナ37の端部に相対する部分のみを非磁性部材で形成することが効果的であり、好ましい。
【0047】
また、非磁性部材は一種類だけを用いるだけでなく、複数の非磁性部材を組み合わせて使用することも可能である。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、時計ケースの胴や裏蓋の構成にガラス等の特殊な構成を使用することなく受信感度を高めることができるので、携帯上、何の支障もなく時刻情報等を含む電波を受信する電波時計を提供することができる。
【0049】
また、時計ケースの胴や裏蓋にチタン、ステンレススチール等を使用することができるので、安定した防水品質と、高級感のある外観品質とを有するケース構造にすることができる。
【0050】
更に、時計ケースの胴や裏蓋を、電波時計ではない一般の時計と同様に設計・製造することができるので、電波時計におけるケースのデザインバリエーションを一般の時計並に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る電波時計のケース構造を示す断面図である。
【図2】受信状態の優劣を示すアンテナの利得及びQ値の算出例を示す説明図である。
【図3】実験用外装を用いた受信実験の実験用設備を示す説明図である。
【図4】本発明の第2実施例に係る電波時計のケース構造を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施例に係る電波時計のケース構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第4実施例に係る電波時計のケース構造を示す断面図である。
【図7】電波時計の機能の概略を示すブロック図である。
【図8】ケースの一部に金属を用いた電波腕時計の構造の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 アンテナ
2 電波時計受信機
3 CPU
4 表示駆動部
5 入力装置
10 ケース
11 胴
12 裏蓋
13 風防
14 ムーブメント
15 文字板
16 針
17 バーアンテナ
18 磁芯部材
20 コイル
21 導線
22 縁枠
23 ガラス
30 胴
30a 段部
30b 内方突出部
30c 内側面
30d 本体部
30e メッキ層
30f 本体部
30g メッキ層
31 パッキン
32 ガラス
33 裏蓋
33a 立ち上がり部
33d 本体部
33e メッキ層
33f 本体部
33g 充填部材
33h メッキ層
33i メッキ層
34 ムーブメント
35 文字板
36 指針
37 アンテナ
38 磁芯部材
40 コイル
44 パッキン
45 樹脂中枠
50 実験用外装
50a 胴部
50b 蓋部
51 実験用アンテナ
52 樹脂板
53 送信アンテナ

Claims (3)

  1. アンテナと時計装置とを収納した時計ケースから構成され、
    該時計ケースは、少なくとも裏蓋において、電気抵抗率が7.0μΩ−cm以下の非磁性部材が一部を構成し、前記アンテナは、磁芯材とこの磁芯材に複数巻かれたコイルとから構成され、前記磁芯材の軸線を含む少なくとも1つの平面に沿って、
    前記裏蓋の、前記アンテナが平行に投影される部分が前記非磁性部材でできている
    ことを特徴とする電波時計ケース。
  2. 前記アンテナが平行に投影される非磁性部材の外形は、
    前記アンテナの外形より僅かに大きくなるように形成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の電波時計ケース。
  3. 前記非磁性部材は、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛又はそれらの合金の中の少なくとも1つからなることを特徴とする請求項1ないし2のいずれか1つに記載の電波時計ケース。
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