JP4376588B2 - 地盤探査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、表面波探査の手法を用いて地盤調査を行う地盤探査装置に関し、特に、表面波の検出信号の信号処理に特徴を有する地盤探査装置に関するものである。
従来から、地盤調査を行うための手法として、レイリー波等の表面波を利用した表面波探査が広く知られている(例えば、特許文献1)。この表面波探査は、多層構造を有する地盤を伝播するレイリー波の伝播速度が起振機から地盤に加えられた振動の周波数に応じて変化するという性質(これを分散特性という)を利用する。そして、多数の周波数について伝播速度を計測し、計測結果から求められた伝播速度と深度との関係を示す速度/深度情報に基づいて地盤の判定を行う。
図10を参照して従来の地盤探査装置90について説明する。この地盤探査装置90では、演算制御部91が記憶部92に記憶されているプログラムを実行することによって地震計部97等の各部を制御する。まず、演算制御部91の命令によって発振部94から周期ランダム信号が出力され、これが電力増幅部95にて増幅され、起振機96を駆動する。これにより、起振機96の可動部96Bが振動し、調査対象の地盤Gに対して上下方向の振動を加える。この振動によって発生したレイリー波が地盤G上に設置された検出器98A,98Bによって検出される。この検出信号は、地震計部97の内部に設けられたフィルタ回路によって演算制御部91にて処理可能な信号に変換される。
次に、演算制御部91は、地震計部97の出力信号から検出器98A,98Bがレイリー波をそれぞれ検出した時間を求め、それらの時間の時間差ΔTを算出する。検出器98A,98B間の距離がLであるので、レイリー波の伝播速度Vrは下記の式(1)によって算出される。
Vr=L/ΔT (1)
ここで、レイリー波は波長の1/2の深度まで伝播することが実験的に明らかになっており、レイリー波の波長をλ、上記振動の周波数をf、深度をDとすると、下記の式(2)及び(3)が成立する。また、式(1)〜(3)から深度Dは式(4)によって算出される。
D=λ/2 (2)
λ =Vr/f (3)
D=Vr/2f (4)
上記の式(1)、(4)からレイリー波の伝播速度Vrと深度Dとの関係を示す速度/深度情報が得られる。次に、他の周波数についても上記の伝播速度Vrと深度Dを算出し、得られた速度/深度情報を記憶部92に記憶させる。そして、この速度/深度情報は通信I/F93を介してパーソナルコンピュータ(不図示)に送信され、そこで伝播速度Vrと深度Dとの関係がグラフ化されて画面上に表示される。地質の専門技術者がこのグラフから土質、地盤支持力等を判定する。また、第3の検出器を設け、これと検出器98Aおよび検出器98Bとの間でも同様にして速度/深度情報を求め、より多くの情報から地盤Gの判定を行うこともある。
特開2003−043152号公報(段落0024〜段落0056)
しかしながら、上記従来のものにおいては、演算制御部91がプログラムを実行することよってソフトウエア的に上記の時間差ΔTを求める。この時間差ΔTを正確に求めるためには、高価なスペクトルアナライザーを使用して検出信号からノイズ成分を完全に除去する必要があり、装置のコストが高くなるという問題がある。また、スペクトルアナライザーでは1つの検出器からの検出信号しか処理できないので、検出器が複数ある場合には各検出信号をシリアルに処理しなければならない。このため、処理時間が長くなり、地盤調査に長時間を要するという問題もある。
本発明は、上記問題点を解決するものであって、その課題とするところは、時間差ΔTを直接求めることなく短時間で地盤探査を行うことのできる地盤探査装置を提供することにある。
本発明では、起振機から地盤に振動を加え、その振動によって生じるレイリー波の検出信号に基づいて地盤探査を行う地盤探査装置において、サイン波の基準信号を発生する基準信号発生器と、基準信号を増幅して起振機を駆動する起振機駆動部と、検出信号に基準信号を第1信号として乗算する第1乗算器と、検出信号に第1信号と位相が90°異なるサイン波を乗算する第2乗算器と、第1乗算器の出力信号および第2乗算器の出力信号からsinθとcosθとの比を求める第1算出手段と、sinθとcosθとの比からθを求める第2算出手段と、を備える。ここで、θは第1信号に対する検出信号の位相遅れである。
ここで、第1乗算器は実施形態の乗算器32Sに相当し、第2乗算器は実施形態の乗算器32Cに相当し、第1算出手段は実施形態のコンパレータ33S,33C、ゲート回路34S,34C、カウンタ35S,35CおよびCPU21に相当し、第2算出手段は実施形態のCPU21に相当する。
このようにすることで、第1信号をsinωt、第1信号に対する検出信号の位相遅れをθ、検出信号をAsin(ωt−θ)とすると、第1乗算器および第2乗算器の出力信号において、cosθおよびsinθが交流成分から分離され、sinθとcosθとの比を求めることが可能になる。そして、その比からθの値が求まる。
これにより、加振点がピンポイント的な起振機を使用すれば、1つの検出器だけで上記θからレイリー波の伝播速度を求めることができる。また、2つの検出器の検出信号ごとに上記θを求め、両θの差(両検出信号の位相差)からレイリー波の伝播速度を求めることができる。さらに、検出信号にsin2ωt、sin3ωt等のノイズが混じっていても、このノイズ成分の正信号と負信号の部分の量が同じとなるので、これらのノイズが除去される。さらに、2つの検出信号の時間差を直接求めずに位相遅れθから伝播速度を求めることができるので、高価なスペクトルアナライザーを使用する必要がない。さらに、複数の検出信号からレイリー波の伝播速度を求める場合であっても、上記第1、第2乗算器および第1算出手段を検出信号ごとに設けることにより、複数の検出信号に対する信号処理を同時並行的に行うことができ、地盤探査のスループットを上げることができる。
本発明においては、第1乗算器は、基準信号に代えて基準信号と位相の異なるサイン波を第1信号とすることもできる。
また、本発明においては、起振機駆動部は、基準信号に代えて基準信号と位相の異なるサイン波を増幅して起振機を駆動する。このようにすることで、第1信号と検出信号との位相差を変えることができ、例えば、検出信号の位相が第1信号より360°以上遅れる場合であっても、複数の検出信号の位相遅れの差を求めることが可能となる。
さらに、本発明においては、第1算出手段は、第1乗算器の出力信号と、基準信号の周波数よりも高い周波数で、且つ当該周波数に対して所定の倍率の周波数の比較信号とを比較する第1比較器と、第1比較器からのハイ信号(または、ロー信号)の幅を求める第1幅算出手段と、第2乗算器の出力信号と比較信号とを比較する第2比較器と、第2比較器からのハイ信号(または、ロー信号)の幅を求める第2幅算出手段と、を備える。ここで、第1、第2幅算出手段は、実施形態のゲート回路34S,34Cおよびカウンタ35S,35Cに相当する。
このようにすることで、2つのハイ信号(または、ロー信号)の幅に基づいて位相遅れを求めることができると共に、基準信号の周波数の変化の影響を受けることなく位相遅れを求めることができる。
さらに、本発明においては、第1および第2乗算器の前段には検出信号を増幅する増幅器が設けられており、この増幅器は、基準信号の周波数の変動に依存することなく、その出力信号のレベルを略一定にするように構成される。
このようにすることで、レイリー波の減衰率の大きい周波数でも小さい周波数でも、略同じ適切な信号レベルで検出信号の処理が行われるので、位相遅れの算出精度が高まる。また、減衰率の小さい信号を増幅することによって発生する恐れのある信号の飽和が生じない。
さらに、本発明においては、レイリー波を検出する第1および第2検出器と、第2算出手段によって求められた第1検出器の検出信号の位相遅れと第2検出器の検出信号の位相遅れとから両検出信号の位相差を求め、この位相差からレイリー波の伝播速度を算出する手段とを更に備えることができる。
本発明の地盤探査装置によれば、高価な計測器を用いることなく短時間で地盤の速度/深度情報が生成され、短い時間で地盤調査を行うことができる。
まず、図1を参照して本発明に係る地盤探査装置1の概略構成を説明する。地盤探査装置1は、起振機15、検出器11A〜11C、接続箱13、信号処理器3および演算表示器2から構成される。信号処理器3のパワーアンプ50がケーブル16を介して起振機15を駆動すると、起振機15が調査対象の地盤Gに対して上下方向に振動を加える。この振動によって発生するレイリー波が3つの検出器11A〜11Cで検出される。この検出器11A〜11Cは振子とサーボアンプとからなる公知のサーボ型加速度ピックアップを内蔵しており、レイリー波の振幅に応じた振幅の信号を出力する。
検出器11A〜11Cは、この順番で加振点GPから伸びる計測線上に設置されている。加振点GPと検出器11Aとの距離は、通常は1m程度であるが、固い地盤GではP波(粗密波)の漏れが検出されてしまうので、3m程度にする。L1は検出器11A,11B間の距離、L2は検出器11B,11C間の距離、L3は検出器11A,11C間の距離である。距離L1,L2は50cm程度である。距離が長くなると起振機15を駆動する信号の位相と検出信号の位相とが360°以上ずれてしまい、距離が短いとレイリー波の伝播速度の算出精度が低下するからである。
上記の検出信号は、それぞれケーブル12A〜12Cを介して接続箱13に送られ、そこに内蔵されたプリアンプによって増幅される。増幅された検出信号は、1本のケーブル14を介してそれぞれ信号処理器3のメインアンプ31A〜31Cに送られる。このプリアンプの出力インピーダンスは小さいので、検出信号はノイズの影響を受け難く、また検出信号の減衰量も小さい。これにより、ケーブル14の長さが100m以上であっても、検出信号をメインアンプ31A〜31Cに送ることが可能となる。
メインアンプ31A〜31Cで増幅された検出信号に対して、信号処理器3の破線内(図4に信号処理器3の全体構成を示す)において信号処理が行われ、信号処理結果のデータが通信I/F37を介して演算表示器2の通信I/F24に送られる。演算表示器2は、CPU21、メモリー22、ハードディスク23、通信I/F24、表示部25および操作部26から構成される。CPU21はハードディスク23に格納されているプログラムをメモリー22にロードして実行する。このプログラムに実行によって、上述の信号処理結果のデータに対して後述の演算処理が行われる。そして、操作部26のキーボードのキーまたはマウスが操作されると、それに応じたプログラムが実行され、表示部25に処理結果等が表示される。演算表示器2として、例えばパーソナルコンピュータを使用することができる。
図2は地盤探査装置1の概略動作を示すフローチャートであり、図3は地盤探査装置1の概略動作のタイムチャートである。図2および図3を参照して演算表示器2のCPU21の動作の概要を説明する。尚、本発明にかかる信号処理器3の動作の詳細については後述する。操作部26で所定の操作が行われると、まず、表示部25に所定の画面が表示され、操作部26のキー等を使用してオペレータが計測条件データを設定する(S1)。この計測条件データとしては、検出器11A〜11C間の距離L1,L2,L3、後述の計測する波数、最初の周波数f1、最後の周波数fn等がある。この計測条件データはメモリー22に記憶されると共に、計測に必要なデータは通信I/F24,37を介して信号処理器3の設定レジスタ39(図4)にもセットされる。次に、起振機15に印加される最初の周波数f1を信号処理器3に設定する(S2)。より具体的には、通信I/F24,37を介して信号処理器3の可変分周回路41(図4)の分周率が設定レジスタ39に設定される。
次に、起振機15を定常パワーの1/3のパワーで駆動し、1秒程度待つ(S3)。次に、起振機15を定常パワーの2/3のパワーで駆動し、1秒程度待つ(S4)。次に、起振機15を定常パワーで駆動する(S5)。この様子が図3(a)、(b)に示されている。この状態で、検出器11A〜11Cはレイリー波を検出しているが、信号処理器3は検出信号の信号処理を未だ開始していない。次に、起振機15の振動が安定したら、信号処理器3に計測開始を指示する(S6)。計測開始が指示されると、図3(c)に示されるように信号処理器3は計測状態になる。図3(c)に示されるTwが上記の安定待ち時間である。
次に、信号処理器3での計測(信号処理)が完了すると、図3(d)に示されるように信号処理器3から信号処理結果のデータを受信する(S7)。このとき、3つの検出器11A〜11Cの検出信号の信号処理結果のデータを順番に受信する。次に、計測結果データから検出信号の位相遅れと振幅を算出し(S8)、これをメモリー22に保存する。この算出方法については後述する。次に、全ての周波数に対しての計測が完了したか否かを判断する(S9)。この判断は現在の周波数が最後の周波数fnであるか否かを調べることによって行われる。完了していない場合は、次の周波数を信号処理器3に設定して(S10)、S6に戻り、次の周波数での計測を指示する。
完了した場合は、起振機15を停止する(S11)。次に、位相オーバ処理を行う(S12)。この処理では、上記の算出された位相遅れが360°を超えているときは、当該位相遅れのデータを補正する。位相オーバ処理については後述する。次に、位相遅れのデータからレイリー波の伝播速度と深度とを求める(S13)。次に、伝播速度と深度との関係を示すグラフおよび各検出信号の振幅と周波数との関係を示すグラフを表示部25に表示する(S14)。次に、サイクルスリップが発生したか否かを判断する(S15)。発生した場合はサイクルスリップ発生メッセージを表示し(S16)、呼び出し元に戻る。発生していない場合は何もせずに呼び出し元に戻る。サイクルスリップ処理については後述する。
本実施形態では、図3(b)に示されるようにf〜fのnの周波数について計測を行っている。そして、fを3Hz、fを250Hzとしている。周波数がfからfk+1に変わるときは、周波数が1%程度だけ高くなるようにしている。従って、例えば、周波数が3〜5Hzの範囲では0.05Hzずつ、周波数が50〜250Hzの範囲では1Hzずつ高くなっていく。この結果、約1000の周波数での計測が行われることになる。また、図3(c)に示される各計測時間は各周波数で同じように示されているが、5Hzのときの計測時間は250Hzのときの50倍程度になる。
次に、信号処理器3のブロック図である図4を参照して、検出器11A〜11Cで検出された検出信号の信号処理および起振機15の駆動信号について説明する。
まず、起振機15の駆動信号の生成について説明する。発信回路38から出力される矩形波のパルス信号は、分周回路40で分周され、可変分周回路41で設定レジスタ39に設定されている分周値に従って分周され、更に分周回路43で分周されてサイン波発生回路44およびコサイン波発生回路45に入力される。このサイン波発生回路44およびコサイン波発生回路45は、それぞれ振幅および周波数が等しいサイン波信号Ss(基準信号Ssともいう)およびコサイン波信号Scを出力する。上記の分周値は、演算表示器2のCPU21からのコマンドによって通信I/F37を介して設定レジスタ39に設定される。この分周値を変えることにより、サイン波信号Ssおよびコサイン波信号Scの周波数が3Hz〜250Hzの範囲で変化する。
サイン波信号Ssは信号選択回路49および位相反転回路47に入力され、コサイン波信号Scは信号選択回路49および位相反転回路48に入力される。位相反転回路47の出力信号(サイン波反転信号)および位相反転回48路の出力信号(コサイン波反転信号)も信号選択回路49に入力される。信号選択回路49は、設定レジスタ39の設定値に従って4つの入力信号の内の1つを出力する。以下では、サイン波信号Ssが出力されるものとして説明する。コサイン波信号Sc、サイン波反転信号およびコサイン波反転信号は特別の目的に使用される信号であり、この点については後述する。
信号選択回路49の出力信号は、パワーアンプ50に送られ、設定レジスタ39に設定されている電力増幅率で増幅される。パワーアンプ50によって起振機15が駆動されると、起振機15が地盤Gに対して上下方向の振動を加える。図2のS3〜S5に示されるパワーで起振機15を駆動するために、当該パワーに応じた増幅率が設定レジスタ39に設定されている。
次に、検出器11A〜11Cで検出された検出信号の信号処理回路について説明する。検出器11A〜11Cで検出された信号は、接続箱13内のプリアンプで増幅され、メインアンプ31A〜31Cに入力される。このメインアンプ31A〜31Cは、周波数が高くなるに従い増幅率が低下するように制御される。つまり、上述の周波数f〜fにおいてメインアンプ31A〜31Cの出力信号の信号レベルが略等しくなるように増幅率が制御される。このようにするのは、高い周波数では検出信号の減衰率が小さく、低い周波数では検出信号の減衰率が大きいからである。これにより、検出信号の飽和が防止されると共に、周波数に関係なく略同じ信号レベルで検出信号の信号処理を行うことができる。この周波数ごと(または、周波数範囲ごと)の増幅率は演算表示器2のメモリー22に記憶されており、通信I/F37を介して設定レジスタ39に設定されている。また、この周波数に応じて行われた増幅は、後に検出信号の振幅を算出する際に補償される。この補償については後述する。
ここで、メインアンプ31A〜31Cの系統の回路をそれぞれチャンネルA,B,Cと呼ぶことにする。チャンネルB,Cではメインアンプ31B,31C以降の回路の図示は省略されているが、回路構成はチャンネルAと同じである。以下では、チャンネルAについて説明する。また、起振機15の振動によって発生するレイリー波は3つの検出器11A〜11Cで同時に検出されるので、以下に説明する信号処理は、3つのチャンネルA,B,Cで同時並行的に行われる。
メインアンプ31Aの出力信号は、アナログ乗算回路からなる乗算器32Sでサイン波信号Ssが乗算され、同様の乗算器32Cでコサイン波信号Scが乗算される。乗算器32Sの系統の回路および信号をサイン系と呼び、乗算器32Cの系統のものをコサイン系と呼ぶことにする。乗算器32S,32Cの出力信号(サイン乗算信号Ms、コサイン乗算信号Mcという)は、それぞれコンパレータ33S,33Cで鋸波の信号と大小比較される。
このコンパレータ33S(33C)は、比較結果に応じてハイ・ローの2値信号Bs,Bcを出力する。ここでは、サイン乗算信号Ms(コサイン乗算信号Mc)の方が鋸波の信号よりも大きいときにハイ信号を出力するように構成されている。これに変えて、上記の場合にロー信号を出力するようにしてもよい。上記の鋸波は、鋸波発生回路46で分周回路43の出力信号から生成される。その周波数は、サイン波信号Ssの周波数に対して所定の倍率(例えば、256倍)であって、十分に大きな倍率の周波数である。このようになっているので、コンパレータ33S,33Cでの大小比較の分解能が高くなり、後述する位相遅れを高い精度で求めることが可能となる。この鋸波は0ボルトを中心にして振動し、その振幅はサイン乗算信号Msおよびコサイン乗算信号Mcの想定される正負の最大値よりも大きくなるようになっている。また、鋸波に代えて三角波等を用いることもできる。
上記のコンパレータ33S,33Cから出力された2値信号Bs,Bcは、それぞれゲート回路34S,34Cに送られる。このゲート回路34S,34Cは、その制御信号がハイの期間(図3(c)に示される計測中に相当する時間)だけ2値信号Bs,Bcを通過させる。ここで、この制御信号について説明する。検出信号を計測する期間としてサイン波信号Ssの波数が設定レジスタ39に設定されている。また、計測を開始するとき(図2のS6)には、設定レジスタ39の所定の信号が一時的にハイとなる。これらの設定レジスタ39の信号等からタイミング発生回路42が制御信号を生成する。従って、この制御信号は、コンパレータ33S,33Cから出力される2値信号Bs,Bcをサイン波信号Ssの波数分(例えば、6波分)の期間だけゲート回路34S,34Cを通過させる。このようにすることで、検出器11A〜11Cの信号にノイズが載っている場合であっても、ノイズが平均化され、ノイズが除去される。
ゲート回路34S,34Cの出力信号(ゲート回路34S,34Cを通過した2値信号Bs,Bc)は、それぞれカウンタ35S,35Cの制御信号となる。カウンタ35S,35Cは、この制御信号がハイの期間だけ分周回路43から出力されるパルスの数をカウントとする。このパルスは可変分周回路41の出力信号を分周回路43で分周したものであり、その周波数はサイン波信号Ssの周波数に対して所定の倍率(例えば、2048倍)であって、十分に大きな倍率の周波数である。このカウンタ35S,35Cの出力信号(カウント値)Cs,Ccは、カウンタ35S,35Cの上記制御信号がローになった後に、タイミング発生回路42で生成された信号によって、それぞれシフトレジスタ36S,36Cにセットされる。
シフトレジスタ36Sにセットされたサイン系のカウント値Csは、タイミング生成回路で生成されたシフト信号によって通信I/F37を介して演算表示器2に送信される。コサイン系のカウント値Ccも同様にして送信される。このカウント値Cs,Ccを使用して、CPU21によってサイン波信号(基準信号)Ssに対する検出信号の位相遅れおよび振幅が求められる。
次に、レイリー波の伝播速度Vrおよび深度Dの求め方の概要を説明する。基準信号(サイン波信号)Ssをsinωt、メインアンプ31Aの出力信号を2Asin(ωt−θ)とすると、サイン乗算信号Msおよびコサイン乗算信号Mcは、それぞれ下記の式(5)、(6)で表される。ここで、θは基準信号Ssに対する検出器11Aの検出信号の位相遅れである。以下では、位相遅れθは360°以下であるとして説明する。
Ms = 2Asin(ωt−θ) sinωt = A{ cosθ−cos(2ωt−θ)} (5)
Mc = 2Asin(ωt−θ) cosωt = A{ −sinθ+sin(2ωt−θ)} (6)
ここで、位相遅れθはarctan(sinθ/cosθ)であるので、sinθとcosθとを求めることができれば、位相遅れθが求まる。次に、検出器11A,11Bの検出信号の位相遅れをθ、θを求め、これから両検出信号間の位相差θABが得られる。また、このときの基準信号Ssの周波数は既知であるので、位相差θABから両検出信号の時間差ΔTが求まる。また、検出器11A,11B間の距離L1は既知であるので、式(1)、(4)によってレイリー波の伝播速度Vrおよび深度Dが求まる。一方、振幅2Aは (Asinθ)+(Acosθ)の平方根の2倍であるので、同様にして振幅2Aが求まる。
次に、サイン系のカウント値Csおよびコサイン系のカウント値Ccから基準信号Ssに対する検出信号の位相遅れおよび振幅が求められることを説明する。まず、図5を参照してコンパレータ33Sの動作を説明する。図5は式(5)のサイン乗算信号Msと鋸波との波形およびコンパレータ33Sの出力信号Bsを示す図であり、図5(a)は位相遅れが0°のときを、図5(b)は位相遅れが90°または270°のときを、図5(c)は位相遅れが180°のときを示す図である。サイン乗算信号Msは基準信号Ssの2倍の周波数であるので、基準信号Ssの1波分が示されている。また、鋸波の周波数は基準信号Ssの周波数の256倍であると上述したが、図示の関係で12倍としている。サイン乗算信号Msの交流成分の位相は何らの意味を持たないので、図5(a)〜(c)では同位相で図示している。
ここで、サイン乗算信号Msの振幅の中心(直流成分、または平均電圧)がAcosθ(ここではA、0または−A)であることに留意する。上記以外の位相遅れでは、位相遅れθに応じて−A〜Aの範囲となる。図からわかるように、Acosθが大きいときはコンパレータ33Sの出力信号のハイの部分の幅の合計量は大きく、Acosθが小さくなるに従って当該合計量は小さくなる。また、Acosθが0のときは、ハイの分の幅の合計量とローの分の幅の合計量とは等しい。尚、コサイン乗算信号Mcについても同様であるが、図示は省略する。
次に、図6を参照して2値信号Bsのハイの部分の幅とサイン乗算信号Msのレベルとが比例することを説明する。Wsはサイン乗算信号Msの拡大波形、Vsは拡大波形Wsが鋸波の傾斜部分と交差するときの電圧、Vrは鋸波の最大電圧、Tsは拡大波形Wsが鋸波よりも大きい期間、Trは鋸波の1周期である。上述のように、実際の鋸波の周波数はサイン波の周波数に比べて十分に高い、例えば、256倍であるので、拡大波形Wsの電圧は期間TsにおいてVsであると近似できる。そうすると、Ts:Tr=Vs:Vrが成立し、Ts=(Tr/Vr)・Vsとなる。ここで、鋸波の最小電圧のレベルを基準(0ボルト)としたのは、この0ボルトの信号と鋸波を比較したときにコンパレータ33Sの2値信号Bsの正の部分の幅が0となるからである。
以上のことから、サイン乗算信号Msが鋸波よりも大きい期間(2値信号Bsはハイである期間)はサイン乗算信号Msの電圧に比例する。一方、サイン乗算信号Msの平均電圧はAcosθであるので、2値信号Bsがハイである期間はAcosθ(正確には、Acosθに鋸波の最大値と最小値の差の半分、つまり鋸波の振幅を加算した値)に比例する。同様に、コサイン乗算信号Mcが鋸波よりも大きい期間(2値信号Bcがハイである期間)は−Asinθ(正確には、−Asinθに鋸波の振幅を加算した値)に比例する。従って、2値信号Bs,Bcはハイである期間(または幅)の合計量を求め、これらから鋸波の振幅に相当する値を減算することによって、Acosθと−Asinθとの比が求まることになる。
上述のように、カウンタ35S,35Cは基準信号Ssの周波数に対して所定の倍率(例えば、2048倍)の周波数のパルス信号をカウントするので、基準信号Ssの周波数に依存することなくカウント値Cs,Ccは、それぞれ上述のAcosθ、−Asinθに比例した値となる。このようにして得られた周波数f1〜fnに対するカウント値Cs,値Ccが通信I/F37を介して演算表示器2に送信され、メモリー22に記憶される。また、チャンネルB,Cからのカウント値Cs,Ccも同様にしてメモリー22に記憶される。
次に、カウント値Cs、Ccから位相遅れθおよび振幅2Aを求める方法について説明する。これが図2のS8の処理に相当する。この処理は、カウント値Cs、Ccを受信した演算表示器2のCPU21によって行われる。予め、サイン系については位相遅れθが90°または270°のとき(Acosθが0のとき)のカウント値(基準カウント値という)CSsを、コサイン系については位相遅れθが180°のとき(−Asinθが0のとき)の基準カウント値CScを調べ、これらをメモリー22に記憶する。この場合、2値信号Bs,Bcのハイの部分の幅とローの部分の幅は等しいので、計測対象期間に相当する上述の基準信号Ssの波数および基準信号Ssの周波数に対するカウンタ35S,35Cのカウント信号の倍率から計算によって基準カウント値CSs,CScを求めることができる。この基準カウント値Css,CScが上述の鋸波の振幅に相当する値である。尚、上述のように、カウント信号の周波数は基準信号Ssの周波数に対して所定の倍率の周波数であるので、基準信号Ssの周波数がf〜fの範囲で変化しても基準カウント値CSs,CScは一定である。
ここで、サイン系カウント値Csから基準カウント値CSsを引いた値である最終カウント値CCsは、サイン乗算信号Msの直流成分であるAcosθに比例する。また、コサイン系カウント値Ccから基準カウント値CScを引いた値である最終カウント値CCcは、コサイン乗算信号Mcの直流成分である−Asinθに比例する。従って、位相遅れθは下記の式(7)から求められる。
θ=arctan(sinθ/cosθ)=arctan(−CCc/CCs) (7)
上式から0°〜180°の範囲のθを求め、図7(b)に示されるcosθ(CCsに対応する)、−sinθ(CCcに対応する)の正負に従って上記位相遅れθに180°を加算することによって最終的な位相遅れθを求める。つまり、CCsが正でCCcが負である場合は最初に求めた位相遅れθが最終的な位相遅れθになるが、CCsが負でCCcが正である場合は最初に求めた位相遅れθに180°を加算した値が最終的な位相遅れθになる。図7はAcosθと−Asinθとの関係を示す参考図である。
次に、下記の式(8)によって振幅2Bを求める。
2B=2(CCs+CCc1/2 (8)
この振幅2Bは、メインアンプ31Aの出力信号の振幅2Aと同じ値ではないが、振幅2Aに比例する値である。一方、メインアンプ31Aでは、全ての周波数に対して出力信号のレベルが略等しくなるように増幅率が制御された。そこで、検出器11Aの検出信号の振幅に比例する振幅Hを求めるために、上記の振幅2Bおよびメモリー22に記憶されている周波数ごと(または、周波数範囲ごと)の増幅率に基づいて、このような増幅が行われなかったとしたときの振幅HがCPU21によって算出される。尚、この振幅Hは、プリアンプの増幅率、起振機15と検出器11A〜11Cとの距離等によって変動する値であり、相対的な値である。この振幅Hは、検出器11A〜11Cで検出されたレイリー波の振幅を比較するためのデータとして使用される。
次に、図2のS12に示される位相オーバ処理について説明する。上述のように起振機15および検出器11A〜11Cは、起振機15から最も離れた検出器11Cで位相遅れが360°を超えないように設置されるが、土質の種類によっては位相遅れが360°を超えることがある。周波数が高くなると波長が短くなるので、360°を超える位相遅れは高い周波数で発生する。この場合、周波数が高くなるのにしたがって周波数遅れが356°、358°、1°、・・・のようになる。このような状況が発生するのは、本発明では連続的に生じているレイリー波の一部を検出して上述の信号処理を行っているために、1°の位相遅れと361°の位相遅れとを判別できないからである。位相オーバ処理とは、1°を361°として扱う処理のことである。当該処理では、メモリー22に格納されている位相遅れデータを順番に調べ、上記の関係に該当する場合には、位相遅れデータに360°を加算することによりデータを補正する。
次に、位相遅れのデータからレイリー波の伝播速度Vrと深度Dを求める方法について説明する。これが図2のS13の処理に相当する。上記の方法で得られた周波数f(k=1〜n)の検出器11A〜11Cの検出信号の振幅および位相遅れをそれぞれ、(HAk,θAk)、(HBk,θBk)、(HCk,θCk)とする。そうすると、検出器11A、11B間の検出信号の位相差θABk、検出器11B、11C間の検出信号の位相差θBCk、および検出器11A、11C間の検出信号の位相差θACkは、それぞれ下記の式(9)〜(11)で表される。
θABk=θBk−θAk (9)
θBCk=θCk−θBk (10)
θACk=θCk−θAk (11)
また、検出器11A、11B間の検出信号の時間差ΔTABk、検出器11B、11C間の検出信号の時間差ΔTBCk、および検出器11A、11C間の検出信号の時間差ΔTACkは、それぞれ下記の式(12)〜(14)で表される。
ΔTABk=θABk/360/f (12)
ΔTBCk=θBCk/360/f (13)
ΔTACk=θACk/360/f (14)
そうすると、上述の式(1)、(4)により検出器11A、11B間、検出器11B、11C間、および検出器11A、11C間で計測されたレイリー波の伝播速度および深度は、それぞれ下記の式(15)〜(20)で求められる。
ABk=L1/TABk (15)
ABk=VABk/2f (16)
BCk=L2/TBck (17)
BCk=VBCk/2f (18)
ACk=L3/TACk (19)
ACk=VACk/2f (20)
このようにして、周波数f(k=1〜n)のレイリー波の伝播速度および深度(VABk、DABk)、(VBCk、DBCk)、(VACk、DACk)が得られた。つまり、速度/深度情報が得られた。
次に、図2のS14に示されるグラフ表示について説明する。検出器11A,11B間のデータ、検出器11B,11C間のデータ、および検出器11A,11C間のデータごとにX軸を伝播速度、Y軸を深度とするXY平面に上記の速度/深度情報をプロットし、特許文献1の図6と同様な速度/深度曲線(グラフ)を表示部25に表示する。また、X軸を周波数、Y軸を振幅とするXY平面に各検出信号の振幅HAk,HBk,HCkをプロットし、振幅曲線(グラフ)を表示部25に表示する。土質の専門技術者が上記曲線から地盤構造等を判定する。また、上記の速度/深度情報および振幅情報を解析ソフトウエアで自動解析することによって地盤構造等を判定するようにしてもよい。
次に、図2のS15、S16に示されるサイクルスリップ処理について説明する。上述のように起振機15および検出器11A〜11Cは、起振機15から最も離れた検出器11Cで位相遅れが360°を超えないように設置されるが、土質の種類によっては位相遅れが360°を超えることがある。しかも、高い振動周波数ではなく最初の方の低い周波数から上記のようになることがある。ここでは検出器11A,11Bが2つであるとして説明する。検出器11A,11Bの信号の位相遅れをθ、θとすると、起振機15と検出器11A,11Bとの位置関係からθ<θが成立する。そこで、まず上記の関係が成立するか否かを低い周波数のθ、θについて調べる(図2のS15)。
θ<θであれば、360°以上の位相遅れはないと判断する。計測されたθが10°で、θが20°であり、真の位相遅れがそれぞれ370°、380°である場合は、レイリー波の伝播速度等は、θ−θから算出されるので演算上の問題は生じない。しかし、計測されたθが340°で、θが20°である場合は、真のθは380°であると推定される。しかも、このθ、θを使用して伝播速度を求めることができない。この場合、サイクルスリップが発生したことおよび位相遅れθ、θを示すサイクルスリップ発生メッセージを表示部25に表示する(図2のS16)。サイクルスリップとは、360°以上の位相遅れが発生し、伝播速度を求めることができない状況をいう。
サイクルスリップが発生した場合でも、図2に示される処理は終了する。オペレータはサイクルスリップ発生メッセージを参考にして、信号選択回路49でサイン波信号Ss以外の信号を選択するように条件設定をして、図2と同じ処理を行う。
次に、どのようにしてサイクルスリップが解消されるかを説明する。例として、図8(a)に示される計測されたθが340°、θが20°である場合について考える。この場合、起振機15の振動の位相を20°よりも多く進めればサイクルスリップが解消するので、信号選択回路49でコサイン波信号Scによって起振機15を駆動するようにする。そうすると、図8(b)に示されるように計測された位相遅れθ、θ(これらは、θ<θを満たす)に90°を加算すると真の位相遅れが求まる。尚、信号処理部2では、この計測された位相遅れθ、θに基づいて信号処理が行われる。
次に、図8(c)に示される計測されたθが340°、θが110°である場合について考える。この場合、コサイン波信号Scによって起振機15の振動の位相を90°進めても、サイクルスリップの問題は解消しないので、位相反転回路47から出力されるサイン波反転信号によって起振機15を駆動する。そうすると、図8(d)に示されるように計測された位相遅れθ、θ(これらは、θ<θを満たす)に180°を加算すると真の位相遅れが求まる。次に、計測されたθが340°、θが200°である場合ついて考える。この場合、位相反転回路48から出力されるコサイン波反転信号によって起振機15を駆動することによってサイクルスリップの問題が解消する。尚、計測されたθが340°、θが290°である場合は、本回路構成では対応することはできないが、このような状況は殆ど発生しないと考えられる。
次に、図9を参照して起振機15の構造について説明する。この起振機15は、固定部15A、可動部15B、および両者を連結する弾性部材であるバネ15Cから構成される。固定部15Aは、下板15F、上板15D、下端が下板15Fに固定され、上端が上板15Dに固定された円柱状の支柱15E、コイル15H、およびコイル15Hを支持するコイル支持部材15Gから構成される。
可動部15Bは、リング状の上部保持板15I、リング状の下部保持板15M、永久磁石15J,15J、外側磁極用部材15K,15K、内側磁極用部材15L,15L、ならびに上部保持板15Iおよび下部保持板15Mの内周にそれぞれ固定されたブッシュ15N,15Nから構成される。永久磁石15Jと外側磁極用部材15Kとは互いに固定され、永久磁石15Jと内側磁極用部材15Lとは上部保持板15Iに固定され、外側磁極用部材15Kと内側磁極用部材15Lとは下部保持板15Mに固定される。
この上部保持板15I、外側磁極用部材15Kおよび内側磁極用部材15Lは純鉄製であるので、外側磁極用部材15K,15Kと内側磁極用部材15L,15Lとの隙間G,Gに矢印の向きの磁束Bが発生する。そして、下部保持板15Mの開口15Pを貫通して上方に伸びるコイル支持部材15Gによって支持されたコイル15Hが上記隙間G,Gに配置されている。また、可動部15Bが振動する際には、ブッシュ15N,15Nが支柱15Eの外周上を上下方向に摺動する。
バネ15Cは、可動部15Bの外側を囲むように配置され、その上端は上板15Dに固定され、その下端は可動部15Bの下部保持板15Mの突出部15MAに固定されている。コイル15Hに電流が供給されていないときは、可動部15Bの重量とバネ15Cの収縮力とが図に示される状態でバランスするようになっている。この状態で、パワーアンプ50から図に示される向きの電流がコイル15Hに印加されると、コイル15Hがコイル支持部材15Gに固定されているので、可動部15Bは上向きの力を受け、逆向きの電流が印加されると下向きの力を受ける。このコイル15Hに印加されるサイン波の電流によって生じる力とバネ15Cの反発力とにより、可動部15Bは上下方向に単振動をする。尚、図では1ターンのコイル15Hが示されているが、実際には複数ターンのコイルが使用される。
ここで、バネ15Cの下端が上部保持板15Iではなく、下部保持板15Mの突出部15MA、つまり、可動部15Bの下端に固定されているので、可動部15Bを大きな振幅で振動させることが可能となり、地盤Gに対して大きな振動を加えることができる。これにより、地盤Gの深度の深いところまで地盤調査を行うことが可能となる。また、図に示されるバネの接続形態に代えて、上部保持板15Iに突出部を設け、バネの上端を上部保持板15Iの突出部に固定し、バネの下端を下板15Fに固定するようにしてもよい。
本実施形態では、図2のS3〜S5に示されるように、パワーアンプ50から起振機15のコイル15Hに定常パワーの1/3のパワー、定常パワーの2/3のパワー、定常パワーの順番に段階的に駆動パワーを印加している。または、これに代えて、駆動パワーを連続的に上げようにしてもよい。このように駆動パワーを段階的にまたは連続的に上げているので、可動部15Bの振動は段々と大きくなる。これにより、可動部15Bが急に大きく振動して固定部15Aに衝突するのが防止される。また、図9の構造では、バネ15Cの上端を上板15Dに固定し、下端を上部保持板15Iに固定する構造に比べて、可動部15Bが大きく振動するので、可動部15Bが固定部15Aに衝突するリスクが高い。しかし、駆動パワーが上記のように制御されるので、衝突が防止される。
以上述べた実施形態においては、乗算器32Cにcosωtを乗算する場合について説明したが、cosωtに代えて−cosωtを乗算しても本発明を実施することができる。つまり、乗算器32Cで検出信号に乗算する信号と乗算器32Sで乗算する信号とは、互いにサイン/コサインの関係にある信号、すなわち、一方をサイン波の信号とすると他方は当該サイン波と位相が90°異なるサイン波の信号であればよい。
また、上記実施形態では、サイン波発生回路44から発生するサイン波信号Ssを乗算器32Sで検出信号に乗算するようにしたが、これに限られるものではなく、サイン波信号Ssと位相の異なるサイン波の信号を乗算器32Sで検出信号に乗算するようにしても本発明を実施することができる。この場合、信号処理器3およびCPU21によって、当該位相の異なるサイン波に対する検出信号の位相遅れが算出される。
さらに、上記実施形態では、コンパレータ33S,33Cおよびカウンタ35S,35Cを使用してsinθとcosθとの比を求める場合について説明したが、乗算器32S,32Cの出力信号を、例えば、積分することによって、積分値から直流成分(平均電圧)を求めるようにしても本発明を実施することができる。
さらに、上記実施形態では、サイクルスリップ対策としてコサイン波発生回路45、位相反転回路47,48により基準信号であるサイン波信号Ssよりも位相を進めた信号を使用する場合について説明したが、サイン波信号Ssの位相を進める位相シフト回路を使用するによっても実現することができる。
尚、本発明では、繰り返し発生するサイン波信号Ssおよび検出信号の一部を切り出して使用しているので、位相遅れと位相進みとの明確な区別はない。また、上記実施形態では、サイン波とコサイン波を区別したが、両者の波形は同じであるので、コサイン波はサイン波の一種と考えることができる。
本発明に係る地盤探査装置の概略構成を示す図である。 地盤探査装置の概略動作を示すフローチャートである。 地盤探査装置の概略動作のタイムチャートである。 信号処理器のブロック図である。 コンパレータの動作を示す図である。 2値信号のハイの部分の幅とサイン乗算信号とが比例することを説明する図である。 Acosθと−Asinθとの関係を示す参考図である。 サイクルスリップを説明する図である。 起振機の縦断面図である。 従来の地盤探査装置の概略構成を示す図である。
符号の説明
1 地盤探査装置
2 演算表示器
3 信号処理器
11A,11B,11C 検出器
15 起振機
15A 固定部
15B 可動部
15C バネ(弾性部材)
21 CPU(制御手段)
31A,31B,31C メインアンプ(増幅器)
32S,32C 乗算器
33S,33C コンパレータ(比較器)
34S,34C ゲート回路
35S,35C カウンタ
Bs,Bc 2値信号
Cs サイン系カウント値
Cc コサイン系カウント値
G 地盤
Ms サイン乗算信号
Mc コサイン乗算信号
Ss サイン波信号(基準信号)
Sc コサイン波信号

Claims (6)

  1. 起振機から地盤に振動を加え、その振動によって生じるレイリー波の検出信号に基づいて地盤探査を行う地盤探査装置において、
    サイン波の基準信号を発生する基準信号発生器と、
    前記基準信号を増幅して前記起振機を駆動する起振機駆動部と、
    前記検出信号に前記基準信号を第1信号として乗算する第1乗算器と、
    前記検出信号に前記第1信号と位相が90°異なるサイン波を乗算する第2乗算器と、
    前記第1乗算器の出力信号および前記第2乗算器の出力信号からsinθとcosθとの比を求める第1算出手段と、ここでθは前記第1信号に対する前記検出信号の位相遅れであり、
    前記sinθとcosθとの比からθを求める第2算出手段と、を備えたことを特徴とする地盤探査装置。
  2. 請求項1に記載の地盤探査装置において、
    前記第1乗算器は、前記基準信号に代えて前記基準信号と位相の異なるサイン波を第1信号とすることを特徴とする地盤探査装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の地盤探査装置において、
    前記起振機駆動部は、前記基準信号に代えて前記基準信号と位相の異なるサイン波を増幅して前記起振機を駆動することを特徴とする地盤探査装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の地盤探査装置において、
    前記第1算出手段は、前記第1乗算器の出力信号と、前記基準信号の周波数よりも高い周波数で、且つ当該周波数に対して所定の倍率の周波数の比較信号とを比較する第1比較器と、前記第1比較器からのハイ信号(または、ロー信号)の幅を求める第1幅算出手段と、前記第2乗算器の出力信号と前記比較信号とを比較する第2比較器と、前記第2比較器からのハイ信号(または、ロー信号)の幅を求める第2幅算出手段と、を備えることを特徴とする地盤探査装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の地盤探査装置において、
    前記第1および第2乗算器の前段には前記検出信号を増幅する増幅器が設けられており、
    前記増幅器は、前記基準信号の周波数の変動に依存することなく、その出力信号のレベルを略一定にするように構成されることを特徴とする地盤探査装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の地盤探査装置において、
    レイリー波を検出する第1および第2検出器と、
    前記第2算出手段によって求められた第1検出器の検出信号の位相遅れと第2検出器の検出信号の位相遅れとから両検出信号の位相差を求め、この位相差からレイリー波の伝播速度を算出する手段と、を更に備えることを特徴とする地盤探査装置。
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