JP4632926B2 - 地中探査装置および地中探査方法 - Google Patents

地中探査装置および地中探査方法 Download PDF

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Description

本発明は、水道管などの埋設物を探査する地中探査装置および地中探査方法に関する。
従来から、地中に埋設された上水道管や下水道管、ガス管などの物体(以下、埋設物という)の破損トラブルを未然に防止するために、掘削工事を始める前に埋設物の探査が行われている。近年、掘削せずに埋設物を探査できる地中レーダが広く用いられている。地中レーダは、送信アンテナから数百MHz〜1GHzの電波を地面に向けて放射し、地中の誘電率の異なる物体の境界(例えば、地盤と水道管の境界)で電波が反射する性質を利用して埋設物を探査する。このとき、上記境界で反射した電波を受信アンテナで受信し、電波の放射・受信の時間差から埋設物の深度を求める。また、地中レーダを水平方向に移動させつつ電波を放射することにより、埋設物の位置も検出される。そして、電波の受信信号に対して信号処理が施され、信号処理結果から得られる地中の断面画像が地中レーダのカラーモニタに表示される。このようにして、地中レーダのオペレータが埋設物の位置および深度を容易に認識できるようにしている。
一方、地中の埋設物の探査については言及されていないが、従来からレイリー波を利用して地盤探査を行うことが提案されている(例えば、特許文献1)。以下、図10を参照して地盤探査の概要を説明する。地盤探査装置90の演算制御部91からの命令により発振部94から周期性信号が出力され、電力増幅部95で増幅された信号が起振機96を駆動する。この結果、起振機96が調査対象の地盤Gに対して上下方向の振動を加える。この振動によって発生したレイリー波は、地盤G上に設置された検出器98a、98bで検出され、さらに地震計部97で演算制御部91にて処理可能な信号に変換される。演算制御部91は、変換された信号に基づいて、検出器98a、98bによるレイリー波の検出時間差ΔTを求め、さらにレイリー波が地中を伝播する速度Vと深度Dとを下記の式(1)、(2)によって求める。
V=L/ΔT (1)
D=λ/2=V/(2f) (2)
ここで、Lは検出器98aと98bとの距離、λはレイリー波の波長、fは振動周波数(レイリー波の周波数)である。
深度Dが上記のように表されるのは、レイリー波の大部分がλの深さまでの領域を進行し、この領域内の平均的性質は近似的にλ/2の深度での性質に等しいとみなすことができるためである。また、検出器98a、98bの検出信号は、各深度を進行したレイリー波が合成された信号であるといえる。起振機96の振動周波数を変えた場合についても同様に速度Vと深度Dが算出され、各周波数の速度−深度特性データが記憶部92に記憶される。この速度−深度特性データは、通信I/F93を介してパーソナルコンピュータ(図示せず)に送信され、速度−深度曲線としてパーソナルコンピュータの画面上に表示される。そして、地質の専門技術者が速度−深度曲線から地質や地盤支持力などを判定する。
地盤探査装置90では、検出器98a、98bがレイリー波を検出した時間差ΔTが直接求められているが、正確なΔTを求めるためには高価なスペクトルアナライザーを用いて検出信号からノイズ成分を除去しなければならない。そこで、起振機を駆動する正弦波信号と、2つの検出器の検出信号との位相差θa、θbとを信号処理回路で計測し、{θb−θa}および正弦波信号の周波数を用いて上記のΔTを求めることが提案されている(例えば、特許文献2)。いずれにしろ、時間差ΔTから求められた、複数の周波数におけるレイリー波の速度Vと深度Dとに基づいて地盤の判定などが行われている。
特開2003−043152号公報(段落0024〜0064) 特開2005−127760号公報(段落0021〜0057)
しかしながら、上記の地中レーダから放射される電波は、空気に比べて誘電率の高い地中では伝播中に大きく減衰する。このため、粘土質等の比較的水分の多い地盤などでは、2mよりも浅い深度で反射する電波しか捉えられず、地中レーダが2mよりも深い深度に位置する埋設物を探査できないという問題がある。また、鉄筋を含んだ瓦礫が地中にあると、電波の大部分が鉄筋で反射するため、鉄筋の下方にある埋設物を探査できないという問題もある。
本発明は、上記問題点を解決するものであって、その課題とするところは、深い深度に位置する埋設物をも探査することのできる、レイリー波を利用した地中探査装置および地中探査方法を提供することにある。
第1の発明では、起振機から地盤に加えられた振動によって生じるレイリー波を検出器で検出し、その検出信号に基づいて地中の物標を探査する地中探査装置において、物標の存在しない場所において検出される上記検出信号に基づいて、複数の周波数ごとのレイリー波の速度を計測し、さらに当該速度からレイリー波の伝播する深度を求めることにより、地中に物標が存在しないときの、上記複数の周波数と当該周波数のレイリー波が伝播する深度とを対応付ける第1の対応付け手段と、物標の探査場所における、上記複数の周波数と同じ周波数ごとのレイリー波の速度を計測する計測手段と、上記複数の周波数ごとに、第1の対応付け手段で得られた深度と計測手段で計測された速度とを対応付ける第2の対応付け手段と、を備える。
ここで、物標とは地中探査の対象物であり、水道管等の埋設物や、地中の空洞、液状化した箇所などである。また、第1の対応付け手段には、実施形態に示すCPUおよび信号処理回路が相当する。計測手段には実施形態に示すCPUおよび信号処理回路が相当し、第2の対応付け手段には実施形態に示すCPUが相当する。
上記のように、物標の探査にレイリー波が用いられ、しかもレイリー波が物標に当たるとレイリー波の速度が変化するので、探査場所が粘土質等の比較的水分の多い場所などであっても、2mよりも深い深度に位置する物標を探査することができる。また、レイリー波は、上述の地中レーダで使用される電波とは異なり、鉄筋を含んだ瓦礫の下方の領域をも進行するので、地中レーダでは探査することのできない当該瓦礫の下方にある物標をも探査することができる。さらに、第1の対応付け手段で得られる深度は、地中に物標が存在しないとき(「物標が実際には存在していても、存在しないとしたとき」も含む)の、レイリー波が伝播する深度、すなわち物標によるレイリー波の速度の変化の影響を受けていない深度である。一方、計測手段で計測された速度は、物標の有無によって変化する速度である。したがって、第1の対応付け手段で得られた深度と計測手段で計測された速度とを第2の対応付け手段で対応付けた結果に基づいて、物標の有無および物標が実際に位置する深度を判定することが可能となる。例えば、上記の速度と深度との関係を表示部に表示するようにすれば、地中探査装置のオペレータに検出器の下方領域に物標があるか否かを認識させることができ、さらに物標がある場合には物標の深度を知らせることができる。あるいは、上記の対応付けされた速度と深度とに基づいて、物標の有無および物標が実際に位置する深度とをCPUなどに判定させることもできる。上記の作用効果は、後述の第2の発明においても奏する。
また、第1の発明では、第1の対応付け手段が、物標の存在しない場所において検出される検出信号に基づいて、上記複数の周波数ごとのレイリー波の速度を計測し、さらに当該速度からレイリー波の伝播する深度を求めることにより、物標が存在しないときの、上記複数の周波数と当該周波数のレイリー波が伝播する深度とを対応付ける。
この場合、上記の物標が存在しない場所を探査場所の近くの同じ地質の場所とすることで、探査場所に物標が存在しないときにレイリー波が伝播する深度(正確には当該深度に近似した値)が第1の対応付け手段によって得られるので、探査場所における物標の深度を知ることができる。
第2の発明では、起振機から地盤に加えられた振動によって生じるレイリー波を検出器で検出し、その検出信号に基づいて地中の物標を探査する地中探査装置において、物標の探査場所において検出される上記検出信号に基づいて、複数の周波数ごとのレイリー波の速度を計測し、当該速度に平均化処理を施すことによって当該複数の周波数での平均速度を算出し、さらに当該平均速度からレイリー波の伝播する深度を求めることにより、地中に物標が存在しないときの、上記複数の周波数と当該周波数のレイリー波が伝播する深度とを対応付ける第1の対応付け手段と、物標の探査場所における、上記複数の周波数と同じ周波数ごとのレイリー波の速度を計測する計測手段と、上記複数の周波数ごとに、第1の対応付け手段で得られた深度と計測手段で計測された速度とを対応付ける第2の対応付け手段と、を備える。
ここで、物標とは地中探査の対象物であり、水道管等の埋設物や、地中の空洞、液状化した箇所などである。また、第1の対応付け手段には、実施形態に示すCPUおよび信号処理回路が相当する。計測手段には実施形態に示すCPUおよび信号処理回路が相当し、第2の対応付け手段には実施形態に示すCPUが相当する。第2の発明も、上述の第1の発明と同様の作用効果を奏する。
また、第2の発明では、第1の対応付け手段が、物標の探査場所において検出される検出信号に基づいて、上記複数の周波数ごとのレイリー波の速度を計測し、当該速度に平均化処理を施すことによって当該複数の周波数での平均速度を算出し、さらに当該平均速度からレイリー波の伝播する深度を求めることにより、物標が存在しないときの、上記複数の周波数と当該周波数のレイリー波が伝播する深度とを対応付ける。
このようにすることで、探査場所に物標が存在していても、探査場所に物標が存在しないとしたときにレイリー波が伝播する深度(正確には当該深度に近似した値)が探査場所で得られ、上記の物標が存在しない場所でレイリー波を計測することなく、探査場所における物標の深度を知ることができるので、地中探査の手間を減らすことができるとともに、探査場所と上記の物標が存在しない場所との地質の相違に起因する誤差が上記深度に生じるのを防止することができる。
第1または第2の発明においては、第2の対応付け手段で対応付けられた速度と深度との関係を表示部に表示させる表示化手段をさらに備える。ここで、表示化手段には実施形態に示すCPUが相当する。このようにすることで、地中探査装置のオペレータに検出器の下方領域に物標があるか否かを認識させることができ、さらに物標がある場合には物標の深度を知らせることができる。
また、第1または第2の発明においては、表示化手段が、複数の探査場所における第2の対応付け手段で対応付けられた速度と深度との関係を複数の探査場所に対応させて表示部に表示させる。このようにすることで、オペレータに物標の深度だけではなく物標の位置(水平方向の位置)をも知らせることができる。
さらに、第1または第2の発明においては、表示化手段が、第2の対応付け手段で対応付けられた速度と深度との関係を深度範囲ごとの速度の値に応じた態様で表示部に表示させる。このようにすることで、オペレータに検出器の下方領域に物標があるか否かをより容易に認識させることができるとともに、物標がある場合には物標の深度をオペレータが間違えないようにすることができる。
第3の発明では、起振機から地盤に加えられた振動によって生じるレイリー波を検出器で検出し、その検出信号に基づいて地中の物標を探査する地中探査方法において、物標の存在しない場所において検出される上記検出信号に基づいて、複数の周波数ごとのレイリー波の速度を計測し、さらに当該速度からレイリー波の伝播する深度を求めることにより、地中に物標が存在しないときの、上記複数の周波数と当該周波数のレイリー波が伝播する深度とを対応付ける第1の対応付け工程と、物標の探査場所における、上記複数の周波数と同じ周波数ごとのレイリー波の速度を計測する計測工程と、上記複数の周波数ごとに、第1の対応付け工程で得られた深度と計測工程で計測された速度とを対応付ける第2の対応付け工程と、を備える。
ここで、物標とは地中探査の対象物であり、水道管等の埋設物や、地中の空洞、液状化した箇所などである。
上記のように、物標の探査にレイリー波が用いられ、しかもレイリー波が物標に当たるとレイリー波の速度が変化するので、探査場所が粘土質等の比較的水分の多い場所などであっても、2mよりも深い深度に位置する物標を探査することができる。また、レイリー波は、上述の地中レーダで使用される電波とは異なり、鉄筋を含んだ瓦礫の下方の領域をも進行するので、地中レーダでは探査することのできない当該瓦礫の下方にある物標をも探査することができる。さらに、第1の対応付け工程で得られる深度は、地中に物標が存在しないとき(「物標が実際には存在していても、存在しないとしたとき」も含む)の、レイリー波が伝播する深度、すなわち物標によるレイリー波の速度の変化の影響を受けていない深度である。一方、計測工程で計測された速度は、物標の有無によって変化する速度である。したがって、第1の対応付け工程で得られた深度と計測工程で計測された速度とを第2の対応付け工程で対応付けた結果に基づいて、物標の有無および物標が実際に位置する深度を判定することが可能となる。例えば、上記の速度と深度との関係を表示するようにすれば、地中探査装置のオペレータに検出器の下方領域に物標があるか否かを認識させることができ、さらに物標がある場合には物標の深度を知らせることができる。あるいは、上記の対応付けされた速度と深度とに基づいて、物標の有無および物標が実際に位置する深度とをCPUなどに判定させることもできる。上記の作用効果は、後述の第4の発明においても奏する。
また、第3の発明では、第1の対応付け工程が、物標の存在しない場所において検出される検出信号に基づいて、上記複数の周波数ごとのレイリー波の速度を計測し、さらに当該速度からレイリー波の伝播する深度を求めることにより、物標が存在しないときの、上記複数の周波数と当該周波数のレイリー波が伝播する深度とを対応付ける。
この場合、上記の物標が存在しない場所を探査場所の近くの同じ地質の場所とすることで、探査場所に物標が存在しないときにレイリー波が伝播する深度(正確には当該深度に近似した値)が第1の対応付け工程によって得られるので、探査場所における物標の深度を知ることができる。
第4の発明では、起振機から地盤に加えられた振動によって生じるレイリー波を検出器で検出し、その検出信号に基づいて地中の物標を探査する地中探査方法において、物標の探査場所において検出される上記検出信号に基づいて、複数の周波数ごとのレイリー波の速度を計測し、当該速度に平均化処理を施すことによって当該複数の周波数での平均速度を算出し、さらに当該平均速度からレイリー波の伝播する深度を求めることにより、地中に物標が存在しないときの、上記複数の周波数と当該周波数のレイリー波が伝播する深度とを対応付ける第1の対応付け工程と、物標の探査場所における、上記複数の周波数と同じ周波数ごとのレイリー波の速度を計測する計測工程と、上記複数の周波数ごとに、第1の対応付け工程で得られた深度と計測工程で計測された速度とを対応付ける第2の対応付け工程と、を備える。
ここで、物標とは地中探査の対象物であり、水道管等の埋設物や、地中の空洞、液状化した箇所などである。第4の発明も、上述の第3の発明と同様の作用効果を奏する。
また、第4の発明では、第1の対応付け工程が、物標の探査場所において検出される検出信号に基づいて、上記複数の周波数ごとのレイリー波の速度を計測し、当該速度に平均化処理を施すことによって当該複数の周波数での平均速度を算出し、さらに当該平均速度からレイリー波の伝播する深度を求めることにより、物標が存在しないときの、上記複数の周波数と当該周波数のレイリー波が伝播する深度とを対応付ける。
このようにすることで、探査場所に物標が存在していても、探査場所に物標が存在しないとしたときにレイリー波が伝播する深度(正確には当該深度に近似した値)が探査場所で得られ、上記の物標が存在しない場所でレイリー波を計測することなく、探査場所における物標の深度を知ることができるので、地中探査の手間を減らすことができるとともに、探査場所と上記の物標が存在しない場所との地質の相違に起因する誤差が上記深度に生じるのを防止することができる。
本発明によれば、探査場所が粘土質等の比較的水分の多い場所などであっても、2mよりも深い深度に位置する埋設物や空洞などの有無および深度を知ることができる。
図1は本発明に係る地中探査装置の構成を示す。地中探査装置1は、起振機12、検出器11a〜11c、接続箱13、信号処理器3および演算表示器2から構成され、ハードウエア的には上記の特許文献2に示されるものと同じである。また、信号処理器3での処理内容は本発明の直接的事項ではないため、信号処理器3の構成は簡略化して図示されている。演算表示器2は、パーソナルコンピュータなどであり、CPU21、メモリ22、ハードディスク23、通信I/F24、表示部25および操作部26から構成される。CPU21はハードディスク23に格納されているプログラムをメモリ22にロードして実行する。このプログラムによって、起振機12の駆動や信号処理器3の制御、信号処理器3からのデータの受信などが通信I/F24を介して行われるとともに、受信データに対する演算処理なども行われる。また、キーボードやマウスからなる操作部26が操作されると、操作に応じたプログラムがCPU21によって実行され、表示部25に処理結果等が表示される。
信号処理器3は、チャンネルa〜c(図1ではCHa〜CHcと表す)の信号処理回路31a〜31c、通信I/F32、設定レジスタ33、信号発生回路34、およびパワーアンプ35から構成される。設定レジスタ33には通信I/F32を介してCPU21からの制御データが設定され、この制御データによって発振器(図示せず)を内蔵する信号発生回路34の動作が制御される。信号発生回路34は、発振器の出力信号を分周するなどして起振機12の駆動信号である正弦波信号や信号処理回路31a〜31cを制御するタイミング信号などを出力する。正弦波信号の周波数は、例えば3Hz〜250Hzであり、5Hz以下では0.05Hzずつ、5Hzを超える範囲では1Hzずつ周波数を変えることができる。正弦波信号の最大周波数、最小周波数、および隣り合う周波数の差は探査目的などに応じて適宜変更される。パワーアンプ35で増幅された正弦波信号が起振機12に印加されると、起振機12が地盤Gに対して上下方向の振動を加える。正弦波信号の周波数を変えるときや、起振機12を駆動・停止させるときには、設定レジスタ33に所定の制御データが設定される。
検出器11a〜11cは、この順番で起振機12から延びる計測線上に設置されており、内蔵された公知のサーボ型加速度ピックアップにより起振機12の振動によって発生したレイリー波を検出する。起振機12と検出器11aとの距離、検出器11aと11bとの距離L1、および検出器11bと11cとの距離L2は適宜変更可能であるが、以下の説明では、それぞれが1.5m、50cm、50cmとする。検出器11a〜11cの出力信号(レイリー波の検出信号)は接続箱13に送られ、接続箱13に内蔵されたプリアンプによって増幅される。増幅された検出器11a〜11cの検出信号は、それぞれ信号処理回路31a〜31cに送られる。信号処理回路31a〜31cは、内蔵するメインアンプで増幅されたチャンネルa〜cの検出信号に対して信号処理を施すことにより、チャンネルa〜cの検出信号と正弦波信号との位相差を求めるための計測データを出力する。この計測データは通信I/F32を介してCPU21に送信される。
CPU21は、受信した計測データからチャンネルa〜cの検出信号と正弦波信号との位相差θa〜θcを求める。次に、位相差θa〜θcと起振機12の振動周波数とを用いて、正弦波信号に対する検出器11a〜11bの検出信号の遅れ時間ΔTa〜ΔTcを求め、{ΔTb−ΔTa}を検出器11a、11bのレイリー波の検出時間差とし、{ΔTc−ΔTb}を検出器11b、11cのレイリー波の検出時間差とする。さらに、上記の式(1)、(2)を用いてレイリー波が伝播する速度や深度を計算する。起振機12を異なる周波数で振動させたときも同様にレイリー波が伝播する速度や深度が計算される。
図2は本発明の考え方を説明するための図である。説明の都合上、起振機12と検出器11a、11bとが均一な粘土層からなる地盤上に設置されているものとする。図2(a)は、地中に水道管などの埋設物が存在しない場所で起振機12の振動周波数を変えて(例えば、6Hzから200Hzの範囲の200の異なる周波数の正弦波信号で起振機12を振動させて)レイリー波を計測したときの、式(1)、(2)によって計算された速度Vcと深度Dcとを2次元平面にプロットした図である。地盤が均質であり、しかも埋設物が無いので、深度Dcに関係なく速度Vcは一定となる。
図2(b)は、埋設物が存在する場所で起振機12の振動周波数を変えてレイリー波を計測したときの、式(1)、(2)によって計算された速度Vrと深度Drとを2次元平面にプロットした図である。起振機12の振動周波数は、図2(a)の場合と同じである。プロット図がこのようになるのは、第1に、水道管などの埋設物が粘土層よりも硬いためレイリー波の速度Vrが速くなるからである。第2に、深度Drが式(2)で計算されるため速度Vrが速くなると深度Drの値が大きくなり、速度Vrの増加量が大きい程、深度Drの増加量も大きくなるからである。つまり、レイリー波の速度Vrが埋設物によって速くなると、深度Drは埋設物が実際に位置する深度よりも大きな値を示すようになる。尚、図のPu、Pc、Pdがそれぞれ埋設物の上端、中央、下端に対応すると考えられるが、正確に対応しているわけではない。この理由は、検出器11a、11bの検出信号が単一の深度を進行したレイリー波の信号ではなく、1波長の深さまでの領域を進行したレイリー波が合成された信号であることによる。
図2(c)は、各周波数での上記の速度Vrと深度Dcとを2次元平面にプロットした図である。上述のように、速度Vrを計測するときの周波数と深度Dcを計測するときの周波数とを同じにしているので、周波数ごとに速度Vrと深度Dcとを対応付けることができる。このプロット図では、レイリー波の速度Vrが埋設物によって速くなっても、当該速度Vrに対応する深度Dcは、埋設物の無い場所で計測された深度であり、速度Vrの変化の影響を受けない。したがって、プロット図のピークPkでの速度Vrの値から埋設物の有無を知ることができ、ピークPkでの深度Dcの値から埋設物の深度を知ることができる。尚、上記の特許文献1、2では、図2(b)に示すプロット図に相当する情報に基づいて地盤Gの判定が行われている。
図3は地中探査装置1の動作を示すフローチャートである。まず、基準深度計測処理について説明する。この処理は、起振機12の振動周波数と図2(a)に示す深度Dcとの対応関係を示すデータ、すなわち埋設物の存在しない場所で各周波数のレイリー波が伝播する深度(基準深度)を得るために行われる。まず、地中探査装置1のオペレータが埋設物のない場所に起振機12と検出器11a〜11cとを図1に示すように設置する(S11)。設置場所としては、後述する埋設物の探査場所の近くで、探査場所と同じ地質の場所が望ましい。これは、本発明では、埋設物の存在しない場所で得られたレイリー波が伝播する深度を、埋設物の探査場所に埋設物が存在しないときに、あるいは探査場所に埋設物が存在していても存在しないとしたときに、探査場所においてレイリー波が伝播する深度とするからである。
その後、オペレータが操作部26で所定の操作を行うと表示部25に所定の入力画面が表示され、計測条件データが操作部26から入力画面に設定される(S12)。入力される計測条件データは、検出器11a〜11cの距離L1、L2(図1参照)、起振機12の駆動信号の最初の周波数、使用する周波数の個数、隣り合う周波数の差などからなり、メモリ22あるいはハードディスク23に保存される。次に、最初の周波数がCPU21によって信号処理器3に設定される(S13)。具体的には、信号処理器3の設定レジスタ33に最初の周波数の正弦波信号を生成するための制御データが設定される。
次に、CPU21の指示によって最初の周波数の駆動信号で起振機12が駆動され(S14)、その後、信号処理器3に対して計測開始がCPU21から指示される(S15)。計測開始が指示されると、信号処理回路31a〜31cがレイリー波の計測(レイリー波の検出信号の信号処理)を開始する。計測が完了すると、CPU21がチャンネルa〜cの計測データを順番に信号処理器3から受信する(S16)。次に、チャンネルa、bの計測データから両チャンネル間のレイリー波の検出時間差が計算され、さらに検出器11aと11bとの間の下方領域でのレイリー波の速度Vc1および深度Dc1が式(1)、(2)によって計算される(S17)。同様にして、チャンネルb、cの計測データから両チャンネル間のレイリー波の検出時間差が計算され、さらに検出器11bと11cとの間の下方領域でのレイリー波の速度Vc2および深度Dc2が計算される(S18)。
全ての周波数に対する計測が完了していない場合(S19:N)、次の周波数が信号処理器3に設定され(S23)、上記のS14〜S18が再び実行される。全ての周波数に対する計測が完了した場合(S19:Y)、CPU21は、起振機12を停止させ(S20)、さらに各周波数と計測された深度Dc1、Dc2とが対応付けされた周波数−深度(f−Dc)特性データ{f,Dc1}および{f,Dc2}を生成してメモリ22あるいはハードディスク23に保存する(S21)。計測に用いられる周波数をf(i=1〜n)とすると、上記のデータ{f,Dc1}および{f,Dc2}は、それぞれチャンネルa、bおよびチャンネルb、cに係る{f,Dc[f]}(i=1〜n)であるといえる。この周波数−深度(f−Dc)特性データは、埋設物が無い場所での起振機12の各振動周波数(レイリー波の周波数)と、当該周波数のレイリー波が伝播する深度とを対応付けたデータであり、後述する埋設物計測処理で用いられる。
次に、CPU21は、各周波数で計測された速度Vc1,Vc2と深度Dc1、Dc2とが対応付けられた速度−深度(Vc−Dc)特性データ{Vc1,Dc1}および{Vc2,Dc2}をそれぞれ生成し、それらをグラフ化して表示部25に表示する(S22)。例えば図2(a)に示すように、{Vc1,Dc1}および{Vc2,Dc2}をそれぞれ2次元平面にプロットする。表示されたグラフから、埋設物が存在しないと仮定した場所に埋設物が存在するか否かをオペレータが判断する。もし、表示されたグラフの形状が図2(b)のようなものであれば、計測された場所に埋設物があることになるので、場所を変えて基準深度計測処理が再び行われる。
次に、埋設物計測処理について説明する。本処理では、基準深度計測処理と同じ周波数で起振機12を振動させて埋設物を探査するために必要な計測が行われる。本処理のステップS32〜S36、S39〜S40およびS43では基準深度計測処理の対応するステップと同じ処理が行われるので、それ以外のステップについて以下に説明する。S31では、地中探査装置1のオペレータが埋設物を探査する探査場所に起振機12と検出器11a〜11cとを設置する。S37、S38では、上記のS17、S18と同様に、チャンネルa、bの計測データからレイリー波の速度Vr1が計算され、チャンネルb、cの計測データからレイリー波の速度Vr2が計算される。この速度Vr1、Vr2は、それぞれ検出器11aと11bとの間の下方領域でのレイリー波の速度、および検出器11bと11cとの間の下方領域でのレイリー波の速度である。
S41では、基準深度計測処理で保存された周波数−深度(f−Dc)特性データ{f,Dc1}および{f,Dc2}と、上記のステップS37、S38で計測された各周波数fでの速度Vr1、Vr2とから、速度Vr1、Vr2と深度Dc1、Dc2とが対応付けられた速度−深度(Vr−Dc)特性データ{Vr1,Dc1}および{Vr2,Dc2}が生成され、それらがメモリ22あるいはハードディスク23に保存される。計測に用いられる周波数をf(i=1〜n)とすると、上記のデータ{Vr1,Dc1}および{Vr2,Dc2}は、それぞれチャンネルa、bおよびチャンネルb、cに係る速度−深度(Vr−Dc)特性データ{Vr[f],Dc[f]}(i=1〜n)であるといえる。このデータ{Vr1,Dc1}および{Vr2,Dc2}から、後述する探査場所の探査断面図が生成される。S42では、データ{Vr1,Dc1}および{Vr2,Dc2}がグラフ化されて表示部25に表示される。例えば図2(c)に示すように{Vr1,Dc1}および{Vr2,Dc2}をそれぞれ2次元平面にプロットしたグラフが表示される。
図4は、地中探査装置1で計測された速度−深度(Vr−Dc)特性のグラフ(速度−深度特性曲線)の一例を示す。(a)はチャンネルa、bの計測データから得られたデータ{Vr1,Dc1}のグラフを示し、(b)はチャンネルb、cの計測データから得られたデータ{Vr2,Dc2}のグラフを示す。図5は、参考用のグラフであり、速度−深度(Vr−Dr)特性のグラフの一例を示す。(a)、(b)がそれぞれ図4(a)、(b)に対応する。図中の深度Drは、埋設物計測処理では求められていないが、速度Vr1(あるいはVr2)を式(2)に代入することによって得られる。図5(a)では埋設物の深度が明確ではないのに対し、図4(a)ではレイリー波の速度Vrが埋設物によって速くなっても影響を受けない深度Dcが用いられているので、埋設物の深度が2m程度であることが分かる。
図6は、検出器11a〜11cの設置位置を上方から見た図である。検出器11a〜11cの設置間隔L1、L2が共に50cmであるとき、図6(a)の状態で幅1mの範囲にわたって埋設物の探査を行うことができる。探査範囲の幅が3mである場合には、まず、検出器11a〜11cをそれぞれ地点P1〜P3に設置して計測し(図6(a))、次に地点P3〜P5に設置して計測し(図6(b))、最後に地点P5〜P7に設置して計測する(図6(c))。図6(a)〜(c)のいずれの場合においても、上述のように各周波数の速度−深度(Vr−Dc)特性データ{Vr1,Dc1}および{Vr2,Dc2}がメモリ22あるいはハードディスク23に保存されるとともに、グラフ化されて表示部25に表示される。
図7は探査場所での探査断面図の一例を示す。この探査断面図51は、図6(a)〜(c)の状態で得られた各周波数の速度−深度(Vr−Dc)特性データ{Vr1,Dc1}および{Vr2,Dc2}(ここでは、これらを総称して{Vr,Dc}という)に対してCPU21が解析処理を行うことによって表示部25に表示される。解析処理では、チャンネルa、bあるいはチャンネルb、cの速度−深度(Vr−Dc)特性データ{Vr−Dc}の各周波数におけるデータが深度Dcの値の順番にソートされ、深度範囲ごとに速度Vrの最大値が求められる。そして、深度範囲ごとの速度Vrの最大値と最大値に応じたパターンとが探査区間(例えば、P1−P2)ごとに探査断面図51に表示される。探査断面図51の下方には、上記パターンと速度Vrの範囲との関係を示す説明部52が表示される。
図7において、速度Vrの単位は(m/s)、深度Dcの単位は(m)、深度範囲の幅は50cmである。例えば、探査区間P2−P3においては、1m〜1.5mの深度範囲での速度Vrの最大値は331m/sである。また、区間P2−P4の深度範囲が1.5m〜2.0mの所で、速度Vrの最大値が大きくなっていることから、そこに埋設物があることが分かる。上記の深度範囲の幅は50cmに限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、速度−深度(Vr−Dc)特性データ{Vr,Dc}に含まれる最大深度と最小深度との差を10等分あるいは20等分した値を深度範囲の幅としてもよい。
また、図7では、深度範囲ごとの速度Vrの最大値と最大値に応じたパターンとが表示されているが、埋設物が存在する所では深度範囲ごとの速度Vrの平均値も大きくなるので、上記の最大値に代えて平均値なども用いることができる。さらに、速度Vrの最大値の大小がパターンの濃淡で表されているが、速度Vrの値(最大値や平均値など)に応じた態様で表現されるものであればよく、例えば色彩と濃度との組み合わせで表現するようにしてもよい。さらに、検出器11a〜11cの設置点P1〜P7をずらしたり、あるいは設置点P1〜P7の間隔を狭くしたりすることにより、埋設物の位置(水平位置)を絞り込むこともできる。尚、設置点P1〜P7に対応付けて、3組の速度−深度特性曲線(図4(a)参照)を表示させてもよいが、探査断面図51の方が、地中探査装置1のオペレータに埋設物の位置および深度を容易に認識させることができる。ここでは、速度Vrと深度Dcとの関係をグラフ化して、速度−深度特性曲線や探査断面図51として表示するようにしているが、他の形態で表示してもよい。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。先の実施形態では、埋設物の存在しない場所、すなわち探査場所とは異なる場所に検出器を設置してレイリー波を計測することにより、上記の周波数−深度(f−Dc)特性データを得た。このため、埋設物を探査するためには、少なくとも2つの場所に検出器11a〜11cを設置しなければならず、探査に手間がかかる。また、埋設物の存在しない場所と探査場所との地質の相違によっては、埋設物の存在しない場所で得られた周波数−深度(f−Dc)特性データが探査場所の実際の特性を表さないことがある。そこで、本実施形態では探査場所で周波数−深度(f−Dc)特性データを求めるようにする。
図8は本実施形態の考え方を説明するための図である。図8(a)は、図2(b)に相当する図であり、探査場所に設置した検出器の検出信号に基づいて、上述の式(1)、(2)で計算された複数の周波数のレイリー波の速度Vrとレイリー波が伝播する深度Drとの関係を二次元平面にプロットしたものである。ここでも、図2(b)の場合と同様に、埋設物によって生じるピークPcの深度Drは、埋設物の実際の深度を示していない。
図8(b)は、上記の各周波数での速度Vrに平均化処理を施すことによって得られた各周波数での平均速度Vaと、この平均速度Vaを式(2)に代入して算出される深度Dcとの関係を示す図である。周波数をfi(i=1〜n)、速度をVr[f]としたとき、平均速度Va[f]および深度Dc[f]は下記の式(3)、(4)で算出される。
Va[f]={ΣVr[f]}/(2m+1) (k=i−m〜i+m) (3)
Dc[f]=Va[f]/(2f) (4)
但し、(i−m)が1より小さいときはkを1とする。(i+m)がnより大きいときはkをnとする。
上記の平均速度Va[f]は、周波数f、およびその前後の2m個の周波数での速度Vr[f]の移動平均値である。また、2mの値は探査で使用する周波数の個数や想定される埋設物の大きさなどを考慮して決められるが、Pu〜Pd(図8(a)参照)の範囲に含まれる周波数の個数の2倍以上であることが望ましい。この平均速度Vaでは、速度Vrに生じる埋設物によるレイリー波の速度変化の影響が低減されているので、平均速度Vaから算出される深度Dcも、探査場所に埋設物が存在しないとしたときの、各周波数のレイリー波が伝播する深度、すなわち埋設物によるレイリー波の速度変化の影響が除去された深度に近い値になる。
図8(c)は、図2(c)に相当する図であり、図8(a)の速度Vrと図8(b)の深度Dcとを周波数ごとに対応付けて二次元平面にプロットしたものである。図2(c)と同様に、図8(c)でもピークPkの深度Dcが埋設物の実際の深度を示す。ここでは、式(3)によって平均速度Vaを求めたが、他の方法で平均速度Vaに相当する速度を求めるようにしてもよい。ただし、その方法は、レイリー波の速度変化の影響が低減された速度を求めるものに限られる。また、速度Vrに平均化処理を施すことにより平均速度Vaを求めたが、上述の信号処理回路31a〜31cから出力される、チャンネルa〜cの検出信号と正弦波信号との位相差を求めるための計測データに対して平均化処理を施し、この平均化処理が施された計測データから平均速度Vaに相当する速度を求めるようにしてもよい。
図9は本実施形態での地中探査装置の動作を示すフローチャートである。図に示す埋設物計測処理のステップS51〜S60およびS65は、それぞれ図3の埋設物計測処理のステップS31〜S40およびS43と同じであるので、説明を省略する。以下、ステップS61〜S64について説明する。ステップS61では、上述の式(3)を用いて、ステップS57、S58で計算された各周波数の速度Vr1、Vr2に対してそれぞれ平均化処理を施すことにより、各周波数での平均速度Va1、Va2が計算される。この速度Vr1、Vr2は、先の実施形態の速度Vr1、Vr2と同じものである。ステップS62では、計算された平均速度Va1、Va2をそれぞれ上述の式(4)に代入して、各周波数のレイリー波が伝播する深度Dc1、Dc2を計算する。そして周波数と深度Dc1、Dc2とが対応付けられることにより、周波数−深度(f−Dc)特性データ{f,Dc1}および{f,Dc2}が得られる。
ステップS63では、図3のステップS41と同様にして、上記のデータ{f,Dc1}および{f,Dc2}とステップS57、S58で計測された各周波数での速度Vr1、Vr2とをそれぞれ対応付けることにより、速度−深度(Vr−Dc)特性データ{Vr1,Dc1}および{Vr2,Dc2}が生成され、それらがメモリ22あるいはハードディスク23に保存される。計測に用いられる周波数をf(i=1〜n)とすると、上記のデータ{Vr1,Dc1}および{Vr2,Dc2}は、それぞれチャンネルa、bおよびチャンネルb、cに係る速度−深度(Vr−Dc)特性データ{Vr[f],Dc[f]}(i=1〜n)であるといえる。
ステップS64では、図3のステップS42と同様にして、データ{Vr1,Dc1}および{Vr2,Dc2}がグラフ化されて表示部25に表示される。例えば図8(c)に示すように、{Vr1,Dc1}および{Vr2,Dc2}をそれぞれ2次元平面にプロットしたグラフが表示される。そして、ステップS64の終了後、先の実施形態と同様にして、検出器11a〜11cの設置位置の変更が行われたり(図6参照)、速度−深度(Vr−Dc)特性データ{Vr1,Dc1}および{Vr2,Dc2}から生成された探査断面図51(図7参照)が表示部25に表示されたりする。
以上述べた実施形態においては、周波数−深度(f−Dc)特性データを検出器11a〜11cの検出信号から求めるようにしたが、産業廃棄物の埋立地などでは満足できる上記特性データが簡単に得られないことがある。このような場合には、例えば、埋設物が無い場所でのレイリー波の周波数と速度との関係を示すデータをオペレータが操作部26から入力し、CPU21が入力データから当該周波数および速度における深度を式(2)によって計算し、入力された周波数と計算された深度から周波数−深度(f−Dc)特性データを得るようにしてもよい。あるいは、探査場所の地盤Gの種別(例えば、粘土層からなる地盤)に応じた周波数−深度(f−Dc)特性データを予めハードディスク23に登録しておき、これを利用するようにしてもよい。ただし、上記のデータの入力や登録を行うためには、オペレータが地質やレイリー波に関する専門知識を持っていることが必要である。
また、上記実施形態では、オペレータが探査断面図51や速度−深度(Vr−Dc)特性のグラフ(図4参照)を見て、埋設物の位置および深度を判断するようにしたが、速度−深度(Vr−Dc)特性データおよび検出器11a〜11cの設置点P1〜P7の情報に基づいて、CPU21が埋設物の位置および深度を判定することもできる。例えば、速度Vrが450m/s以上である深度Dcに埋設物があり、速度Vrが450m/s以上である位置(例えば、図7の区間P2−P4)に埋設物があると判定する。
さらに、上記実施形態では、地中探査装置1で水道管などの埋設物を探査する場合について説明したが、地中の空洞や液状化している箇所も同様にして探査することができる。ただし、かかる箇所ではレイリー波の伝播する速度Vrが低下し、あるいはレイリー波が伝播しないために速度Vrが計測できなくなるので、速度Vrの低下を調べることにより空洞なども探査することができる。尚、速度Vrが計測できない場合には速度Vrを0m/sとして処理する。つまり、本発明では、レイリー波の速度Vrが埋設物や空洞などで変化することを利用して、埋設物や空洞などを探査する。
さらに、上記実施形態では、検出器11a〜11cの間の計測ばらつきを考慮して、基準深度計測処理において周波数−深度(f−Dc)特性データ{f,Dc1}および{f,Dc2}を求め、埋設物計測処理において上記データ{f,Dc1}および{f,Dc2}を用いてそれぞれ速度−深度(Vr−Dc)特性データ{Vr1,Dc1}および{Vr2,Dc2}を求めるようにした。これに代えて、基準深度計測処理において検出器11a、11bの検出信号から1つの周波数−深度(f−Dc)特性データ{f,Dc}だけを求め、このデータ{f,Dc}を用いて速度−深度(Vr−Dc)特性データ{Vr1,Dc}および{Vr2,Dc}を求めるようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、チャンネルa、bおよびチャンネルb、cの計測データに基づいて、それぞれ検出器11aと11bとの間の下方領域の埋設物、および検出器11bと11cとの間の下方領域の埋設物を探査するようにしたが、チャンネルa、cの計測データに基づく探査は行わなかった。しかし、チャンネルa、cの計測データに基づいて検出器11aと11cとの間の広い区間の下方領域の埋設物を探査することができるので、この探査結果を上記2つの探査結果の確認用の情報として使用するようにしてもよい。さらに、上記実施形態では、3つの検出器11a〜11cを用いて埋設物の探査を行ったが、検出器の個数は2つや4つでもよい。
さらに、上記実施形態では、速度Vrと深度Dcとを対応付けた速度−深度(Vr−Dc)特性データの速度Vrと深度Dcとの関係をグラフ化して表示部25に表示したが、速度−深度(Vr−Dc)特性データを利用することは本発明の必須事項ではない。例えば、周波数−深度(f−Dc)特性データと周波数ごとの速度Vrのデータ、すなわち周波数−速度(f−Vr)特性データとを用い、両データに共通の周波数fを介して速度Vrと深度Dcとを対応付けることにより、速度Vrと深度Dcとの関係を表示することもできる。
本発明にかかる地中探査装置の構成を示す図である。 本発明の考え方を説明するための図である。 地中探査装置の動作を示すフローチャートである。 Vr−Dc特性のグラフの一例を示す図である。 Vr−Dr特性のグラフの一例を示す図である。 検出器の設置位置を上方から見た図である。 探査断面図の一例を示す図である。 他の実施形態での本発明の考え方を説明するための図である。 他の実施形態での地中探査装置の動作を示すフローチャートである。 従来の地盤探査装置の構成を示す図である。
符号の説明
1 地中探査装置
2 演算表示器
3 信号処理器
11a、11b、11c 検出器
12 起振機
21 CPU
25 表示部
31a、31b、31c 信号処理回路
51 探査断面図
G 地盤
P1〜P7 検出器の設置点

Claims (7)

  1. 起振機から地盤に加えられた振動によって生じるレイリー波を検出器で検出し、その検出信号に基づいて地中の物標を探査する地中探査装置において、
    前記物標の存在しない場所において検出される前記検出信号に基づいて、複数の周波数ごとのレイリー波の速度を計測し、さらに当該速度からレイリー波の伝播する深度を求めることにより、前記地中に物標が存在しないときの、前記複数の周波数と当該周波数のレイリー波が伝播する深度とを対応付ける第1の対応付け手段と、
    前記物標の探査場所における、前記複数の周波数と同じ周波数ごとのレイリー波の速度を計測する計測手段と、
    前記複数の周波数ごとに、前記第1の対応付け手段で得られた深度と前記計測手段で計測された速度とを対応付ける第2の対応付け手段と、を備えることを特徴とする地中探査装置。
  2. 起振機から地盤に加えられた振動によって生じるレイリー波を検出器で検出し、その検出信号に基づいて地中の物標を探査する地中探査装置において、
    前記物標の探査場所において検出される前記検出信号に基づいて、複数の周波数ごとのレイリー波の速度を計測し、当該速度に平均化処理を施すことによって当該複数の周波数での平均速度を算出し、さらに当該平均速度からレイリー波の伝播する深度を求めることにより、前記地中に物標が存在しないときの、前記複数の周波数と当該周波数のレイリー波が伝播する深度とを対応付ける第1の対応付け手段と、
    前記物標の探査場所における、前記複数の周波数と同じ周波数ごとのレイリー波の速度を計測する計測手段と、
    前記複数の周波数ごとに、前記第1の対応付け手段で得られた深度と前記計測手段で計測された速度とを対応付ける第2の対応付け手段と、を備えることを特徴とする地中探査装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の地中探査装置において、
    前記第2の対応付け手段で対応付けられた速度と深度との関係を表示部に表示させる表示化手段をさらに備えることを特徴とする地中探査装置。
  4. 請求項3に記載の地中探査装置において、
    前記表示化手段が、複数の探査場所における前記第2の対応付け手段で対応付けられた速度と深度との関係を前記複数の探査場所に対応させて前記表示部に表示させることを特徴とする地中探査装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の地中探査装置において、
    前記表示化手段が、前記第2の対応付け手段で対応付けられた速度と深度との関係を深度範囲ごとの速度の値に応じた態様で前記表示部に表示させることを特徴とする地中探査装置。
  6. 起振機から地盤に加えられた振動によって生じるレイリー波を検出器で検出し、その検出信号に基づいて地中の物標を探査する地中探査方法において、
    前記物標の存在しない場所において検出される前記検出信号に基づいて、複数の周波数ごとのレイリー波の速度を計測し、さらに当該速度からレイリー波の伝播する深度を求めることにより、前記地中に物標が存在しないときの、前記複数の周波数と当該周波数のレイリー波が伝播する深度とを対応付ける第1の対応付け工程と、
    前記物標の探査場所における、前記複数の周波数と同じ周波数ごとのレイリー波の速度を計測する計測工程と、
    前記複数の周波数ごとに、前記第1の対応付け工程で得られた深度と前記計測工程で計測された速度とを対応付ける第2の対応付け工程と、を備えることを特徴とする地中探査方法。
  7. 起振機から地盤に加えられた振動によって生じるレイリー波を検出器で検出し、その検出信号に基づいて地中の物標を探査する地中探査方法において、
    前記物標の探査場所において検出される前記検出信号に基づいて、複数の周波数ごとのレイリー波の速度を計測し、当該速度に平均化処理を施すことによって当該複数の周波数での平均速度を算出し、さらに当該平均速度からレイリー波の伝播する深度を求めることにより、前記地中に物標が存在しないときの、前記複数の周波数と当該周波数のレイリー波が伝播する深度とを対応付ける第1の対応付け工程と、
    前記物標の探査場所における、前記複数の周波数と同じ周波数ごとのレイリー波の速度を計測する計測工程と、
    前記複数の周波数ごとに、前記第1の対応付け工程で得られた深度と前記計測工程で計測された速度とを対応付ける第2の対応付け工程と、を備えることを特徴とする地中探査方法。
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