JP4376286B2 - トンネル用防音壁及びその施工方法 - Google Patents
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Description
しかし、トンネルの内部に複数の防音壁を設けるには、トンネル内へ資材や土砂を搬入する煩雑な作業が必要となり、トンネル内であることから防音壁の組立作業も困難となる。
特許文献1に記載のトンネル用防音壁は、前後に間隔をあけて配置された坑口壁部及び正面壁部と、坑口壁部と正面壁部とを連結する連結壁部を備えている。坑口壁部及び正面壁部は、壁幅方向に複数本の縦梁部材や上下方向に複数本の横梁部材の組合せによって構成された骨組みに、多数枚の小壁部材(防音用のパネル)や防音扉を取り付けることによって構成されている。
さらに、このトンネル用防音壁は、まず、トンネルの坑口前に複数本の縦梁部材や横梁部材を組み立てて骨組みを作り、この骨組みに1枚ずつ小壁部材を取り付ける必要がある。また、各部品の連結にはボルトが用いられているため、多数の箇所についてボルトの締結作業を行う必要もある。そのため、トンネル用防音壁の組立作業及び解体作業に非常に時間がかかる。
坑口壁部及び正面壁部の一部を形成する相対向した2つの小壁部材と、各小壁部材の外周を囲む2つの取付枠と、この2つの取付枠を連結する連結枠とを有する直方体形状又は立方体形状の複数の組立ユニットを備え、この複数の組立ユニットを壁幅方向及び上下方向に連結することによって構成されており、
前記組立ユニットは、
前記小壁部材が開き扉として前記取付枠に開閉可能に支持されている扉ユニットと、
前記扉ユニットよりも壁幅方向の側方に配置されるサイドユニットと、
前記扉ユニットの上方に配置されるアッパーユニットと、を含むことを特徴とする(請求項1)。
このように、開き扉を含む列の組立ユニットを先行して設置することにより、開き扉の位置を設計通りに正確に設定することが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態に係るトンネル用防音壁10の正面図であり、図2は、トンネル用防音壁10の側面図であり、図3は、トンネル用防音壁10の平面図である。トンネル用防音壁10は、トンネルTの内部には設置されず、トンネルTの外部から坑口T1を塞ぐように設置されている。すなわち、このトンネル用防音壁10は、トンネルTの坑口T1に密接して坑口T1前に設置されている。なお、図1は、トンネル用防音壁10を外部側からみた正面図であり、トンネル用防音壁10の裏側に位置するトンネルTの坑口T1を仮想線で示している。
坑口壁部12と正面壁部11の周縁部同士を連結する連結壁部13,14は、天井壁部13と側面壁部14とからなる。天井壁部13は、坑口壁部12と正面壁部11の天井縁同士を互いに連結しており、側面壁部14は、坑口壁部12と正面壁部11の側面縁同士を互いに連結している。
また、図2に示すように、各組立ユニットU1〜U12の奥行き寸法(前後方向寸法)は、トンネル用防音壁10全体の奥行き寸法D0と同一とされている。
また、アッパーユニットU3は、左右方向の幅W1が異なる点、小壁部材s1にダクト孔16が形成されている点、小壁部材s3を備えていない点を除き、サイドユニットU4〜U9とほぼ同一の構造である。
扉ユニットDUは、下部ユニットU1と上部ユニットU2とからなり、上下方向に2分割構造とされている。下部ユニットU1及び上部ユニットU2の基本構造は、他の組立ユニット(例えば、図4のサイドユニットU4〜U9)とほぼ同一であり、小壁部材s1と、取付枠22と、連結枠24とを有している。ただし、小壁部材s1が、左右に2分割されるとともに、それぞれ取付枠22の左右両側の縦枠部材22aにヒンジ26を介して揺動可能に取り付けられている点、取付枠22が、小壁部材s1の上側又は下側を囲む横枠部材を備えていない点が主に異なる。この上部ユニットU2及び下部ユニットU1の小壁部材s1は、上下に対応するものが連結ブラケット28及びボルト29を介して連結されることによって、防音扉(開き扉)15を構成している。
上下方向に隣接する組立ユニットの連結構造を図5〜図8の扉ユニットDUを例に説明する。図6及び図7に示すように、下部ユニットU1の上端面の4隅には、4本の嵌合ピン35が立設されている。一方、下部ユニットU1の上端面に重ねられる上部ユニットU2の下端面の4隅には、図8に示すように、4本の嵌合ピン35が嵌合される嵌合穴36が形成されている。したがって、下部ユニットU1上に上部ユニットU2を積み重ねる際に嵌合ピン35を嵌合穴36に嵌合させることによって、水平方向の位置ズレが生じないように両者を連結することができる。
そして、係合フック38を一対のフランジ部22a1間の溝に挿入し、係合ピン39に係合させることによって、下部ユニットU1の縦枠部材22aと、サイドユニットU4の縦枠部材22aとが互いに左右方向に離反しないように連結される。
本実施形態のトンネル用防音壁10は、扉ユニットDUが上下方向の中央で2分割され、下部ユニットU1と上部ユニットU2との高さ寸法H1,H2が同一とされている。そして、その高さ寸法を基準として、サイドユニットU4〜U9の高さ寸法が設定されている。また、アッパーユニットU3の左右方向幅は、扉ユニットDUの左右方向幅W1を基準として設定されている。これにより、組立ユニットU1〜U9の寸法の統一化を可及的に図ることができ、組立ユニットU1〜U9の部品の共通化及び製造の標準化等によって製造コストを低減することが可能となる。
例えば、最初に下部ユニットU1を設置し、次に、その隣のサイドユニットU4,U7を設置し、次に上部ユニットU2を設置し、その後、その隣のサイドユニットU5,U8を設置するといったように、1段づつ完成させながら上に積み重ねて組み立てることができる。
このように上下方向の各段について、左右方向中央列の組立ユニットU1〜U3,U10を先行して設置することにより、防音扉15を設計通りの位置に正確に設置することが可能となる。
例えば、トンネル用防音壁10や各組立ユニットU1〜U12の寸法は、例示した値に限定されるものではなく、トンネルTの坑口T1の大きさ等に応じて適宜変更可能である。また、サイドユニットU4〜U9の左右方向寸法W2,W3は、必ずしも同一(W2=W3)でなくてもよく、扉ユニットDUの左右方向の位置に応じて変更することができる。扉ユニットDUは、上下2分割構造とするに限らず、一体の構造とすることも可能である。組立ユニットU1〜U12は直方体形状に限らず立方体形状とすることができる。
11 正面壁部
12 坑口壁部
15 防音扉(開き扉)
22 取付枠
24 連結枠
38 係合フック
39 係合ピン
s1 小壁部材
Claims (6)
- トンネル外部の坑口前に設置され、前後に間隔をあけて配置された坑口壁部と正面壁部とを備えているトンネル用防音壁であって、
坑口壁部及び正面壁部の一部を形成する相対向した2つの小壁部材と、各小壁部材の外周を囲む2つの取付枠と、この2つの取付枠を連結する連結枠とを有する直方体形状又は立方体形状の複数の組立ユニットを備え、この複数の組立ユニットを壁幅方向及び上下方向に連結することによって構成されており、
前記組立ユニットは、
前記小壁部材が開き扉として前記取付枠に開閉可能に支持されている扉ユニットと、
前記扉ユニットよりも壁幅方向の側方に配置されるサイドユニットと、
前記扉ユニットの上方に配置されるアッパーユニットと、を含むことを特徴とするトンネル用防音壁。 - 前記扉ユニットが、上下2分割構造とされていることを特徴とする請求項1記載のトンネル用防音壁。
- 前記扉ユニットが、上下方向の中央で上部ユニットと下部ユニットとに2分割されており、
前記サイドユニットが、前記上部ユニット及び下部ユニットと同じ高さ寸法を有し、
前記アッパーユニットが、扉ユニットと同じ壁幅方向寸法を有していることを特徴とする請求項2記載のトンネル用防音壁。 - 壁幅方向に隣接する前記扉ユニットの取付枠と前記サイドユニットの取付枠とを、互いに離反しないように連結する連結構造を備えている請求項1〜3のいずれかに記載のトンネル用防音壁。
- 前記連結構造が、互いに隣接する取付枠の一方に設けられた係合ピンと、他方に設けられ、前記係合ピンに係合する係合フックとを備えている請求項4記載のトンネル用防音壁。
- 複数の組立ユニットを上下方向複数段かつ壁幅方向複数列に連結することによって構成されるとともに、開き扉を有しているトンネル用防音壁の施工方法であって、
上下方向の各段について、前記開き扉を含む列の組立ユニットを先行して設置した後、当該組立ユニットの壁幅方向側部に他の組立ユニットを設置することを特徴とするトンネル用防音壁の施工方法。
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