以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係わる電子写真方式のカラー画像形成装置の要部を示している。このカラー画像形成装置は、露光ユニット1、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pd、転写ベルトユニット2、及び定着ユニット3等を備えている。
このカラー画像形成装置において、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のトナー像をそれぞれ形成して、各色のトナー像を転写ベルトユニット2の転写ベルト11に転写する。これらの画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdは、各現像ユニット21a〜21d、及び各感光体ドラム23a〜23d等を備えている。
各感光体ドラム23a〜23dは、転写ベルト11に押圧されており、矢印方向Bに回転移動する転写ベルト11と同一の周速度で、転写ベルト11と共に回転される。
露光ユニット1は、各色に対応するそれぞれのレーザーダイオード31a〜31d、各レーザーダイオード31a〜31のレーザー光をそれぞれの感光体ドラム23a〜23dに導く複数のハーフミラー32a〜32c、33a〜33dやポリゴンミラー34、及び非軸対称非球面レンズ(fθレンズ)35等を有している。ここでは、各レーザーダイオード31a〜31d別に、画像データに応じて各レーザーダイオード31a〜31dのレーザー光を変調している。各レーザーダイオード31a〜31dのレーザー光は、各ハーフミラー32a〜32cを介してポリゴンミラー34に導かれ、ポリゴンミラー34により主走査方向に繰り返し偏向されつつ、fθレンズ35及び各ハーフミラー33a〜33dを介してそれぞれの感光体ドラム23a〜23dに入射し、各感光体ドラム23a〜23d表面を主走査方向に繰り返し走査する。また、各レーザーダイオード31a〜31dのレーザー光は、各感光体ドラム23a〜23dの回転移動に伴い、該各各感光体ドラム23a〜23d表面を副走査方向にも走査する。これにより、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの静電潜像が形成される。
各現像ユニット21a〜21dは、黒、シアン、マゼンタ、イエローのトナーを収容しており、各感光体ドラム23a〜23d表面の静電潜像にそれぞれの色のトナーを付着させて、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの色のトナー像を形成する。
転写ベルトユニット2は、転写ベルト11、駆動ローラ41、従動ローラ42、及び転写ローラ12等を備えており、転写ベルト11を駆動ローラ41と従動ローラ42に掛け渡して回転移動可能に支持している。
各感光体ドラム23a〜23d表面に形成された各色のトナー像は、該各感光体ドラム23a〜23dと同一の周速度で回転している転写ベルト11に転写されて重ね合わせられる。
また、転写ローラ12は、駆動ローラ41との間に転写ベルト11を挟み込んで、ニップ域を形成する。駆動ローラ41は、転写ローラ12のバックアップローラとしての役目を果たしつつ回転駆動され、転写ベルト11を引っ張って矢印方向Bに回転移動させる。
一方、記録用紙Pは、その先端が転写ベルトユニット2の転写ベルト11上に形成されるトナー像の先端に重なるタイミングでニップ域へと搬送される。
転写ベルト11に転写され重ね合わせられた各色のトナー像は、該転写ベルト11の回転移動に伴い、駆動ローラ41と転写ローラ12間のニップ域へと搬送される。そして、転写ベルト11上の各色のトナー像の先端と記録用紙Pの先端が揃えられ、各色のトナー像と記録用紙が重ね合わせられて、各色のトナー像が転写ベルト11から記録用紙Pに転写される。
引き続いて、記録用紙Pは、定着ユニット3へと搬送され、ここで加圧ローラ3aと加熱ローラ3b間に挟み込まれる。これにより、記録用紙P上の各色のトナーが加熱余裕されて混合され、各色のトナー像が記録用紙P上にカラー画像として定着される。
図2は、本実施形態のカラー画像形成装置の制御システムを示すブロック図である。
この制御システムは、露光ユニット1における各レーザーダイオード31a〜31d及びポリゴンミラー34と、各現像ユニット21a〜21dと、転写ベルトユニット2及び各感光体ドラム23a〜23d等の駆動部51と、定着ユニット3におけるヒータや温度センサ(図示せず)とを含んでいる。また、その他に、スキャナー(図示せず)により読み取られた原稿の画像を示す画像データや外部端末からの画像データを入力する画像入力部52と、記録用紙のサイズや画像の縮小拡大率等を入力するための操作表示部53と、カラー画像形成装置内の温度を検出する温度センサ54と、転写ベルト11上に形成されたテストパターンを検出するためのレジストセンサ55と、各種のデータを記憶する記憶部56と、この制御システムを統括的に制御する制御部57とを有している。
例えば、制御部57は、カラー画像データを画像入力部52を通じて入力すると、このカラー画像データに対して各種の画像処理を施して、各色の画像データを生成し、各色の画像データに応じた各レーザーダイオード31a〜31dの変調制御を行って、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの静電潜像を形成させる。そして、制御部57は、各現像ユニット21a〜21dを駆動制御し、各感光体ドラム23a〜23d表面の静電潜像にそれぞれの色のトナーを付着させて、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの色のトナー像を形成する。更に、制御部57は、駆動部51を制御して、転写ベルトユニット2や各感光体ドラム23a〜23dを駆動し、各感光体ドラム23a〜23d表面のトナー像を転写ベルト11に転写させて重ね合わせ、各色のトナー像を転写ベルト11から記録用紙Pに転写させる。更に、制御部57は、定着ユニット3を制御して、記録用紙P上のカラー画像を定着させる。
ところで、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdの感光体ドラム23a〜23dにそれぞれの色の画像を形成してから、各感光体ドラム23a〜23dの画像を転写ベルト11に順次重ねて転写するので、転写ベルト11上の各色の画像間で転写位置(画像形成位置)がずれて、色ずれが発生し、カラー画像の品質が劣化し易い。このため、カラー画像を形成する前に、各画像形成ステーションPa、Pb、Pc、Pdにより形成される各色の画像のずれを補正する必要がある。
そこで、本実施形態では、まず、カラー画像形成装置の電源を投入してから一定時間が経過したタイミングで、各色の画像のずれを補正している。すなわち、装置の初期状態で、各色の画像のずれを補正している。また、装置内の温度が変化したときにも、各色の画像のずれを補正を補正している。
装置の初期状態での画像のずれの補正は、図1に示す様に各色のテストパターン58B、58Y、58M、58Cを転写ベルト11上に形成し、レジストセンサ55により転写ベルト11上の各テストパターン58B、58Y、58M、58Cのずれ量を検出し、検出された各テストパターンのずれ量が解消される様に、露光ユニット1による各感光体ドラム23a〜23dへの書き込みタイミングを調整するというものである。
より詳しくは、副走査方向でのテストパターンのずれを検出して調整するために、例えば黒のテストパターン58Bの副走査方向位置を基準位置とした上で、他の各色のテストパターン58Y、58M、58C別に、この基準位置に対するテストパターンの規定位置を予め求めて設定しておく。他の各色のテストパターン58Y、58M、58Cがそれぞれの規定位置に形成された状態では、黒、シアン、マゼンタ、イエローの画像が正確に重なり合って、色ずれが生じないものとする。
そして、各色のテストパターン58B、58Y、58M、58Cを転写ベルト11上に順次形成してから、レジストセンサ55により各色のテストパターンの副走査方向位置を検出して、黒のテストパターン58Bの副走査方向位置を基準位置とした上で、他の各色のテストパターン58Y、58M、58C別に、この基準位置に対するテストパターンの規定位置からの副走査方向のずれ量を検出する。例えば、レジストセンサ55による各色のテストパターン先端の検出タイミングと転写ベルト11の移動速度に基づいて、黒のテストパターン58B先端と他の各色のテストパターン58Y、58M、58C先端とのそれぞれの離間距離を求め、これらの離間距離に基づいて、基準位置に対する各色のテストパターン58Y、58M、58Cの規定位置からのずれ量を求める。
そして、他の各色であるシアン、マゼンタ、イエロー別に、ずれ量を解消するための副走査方向のシフト量(ドット数)を求める。
この後、シアン、マゼンタ、イエロー別に、このドット数だけ画像形成位置をずらすための制御を行う。
画像形成位置を副走査方向にずらすための制御は、例えばシアン、マゼンタ、イエロー別に、画像先端の主走査ラインが感光体ドラム上で該シフト量のドット数だけ副走査方向にずれる様にレーザダイオード変調制御の開始タイミングをずらして、感光体ドラムへの画像先端の書き込みタイミングをずらし、以降同様に画像先端に引き続く画像部分の書き込みタイミングも順次ずらして行くというものである。
また、副走査方向のずれが解消されているか、このずれ量が分かっていれば、主走査方向でのテストパターンのずれ量を検出して調整することも可能である。例えば、各色別に、図3に示す様に主走査方向に対して斜めのテストパターンを転写ベルト11上に形成する。この主走査方向に対して斜めのテストパターンは、その位置が主走査方向にずれると、レジストセンサ55による検出位置が副走査方向にもずれる。既に、副走査方向のずれが解消されているか、このずれ量が分かっているので、レジストセンサ55により斜めのテストパターンの副走査方向のずれ量を検出すれば、この副走査方向のずれ量から主走査方向のずれ量を求めて調整することができる。
より具体的には、主走査方向に対して斜めの各色のテストパターン58B、58Y、58M、58Cを転写ベルト11上に順次形成してから、レジストセンサ55により各色のテストパターンの副走査方向位置を検出して、黒のテストパターン58Bの副走査方向位置を基準位置とし、他の各色のテストパターン58Y、58M、58C別に、この基準位置に対するテストパターンの規定位置からの副走査方向のずれ量を検出し、この副走査方向のずれ量から主走査方向のずれ量を求める。そして、他の各色であるシアン、マゼンタ、イエロー別に、ずれ量を解消するための主走査方向のシフト量(ドット数)を求め、このシフト量のドット数だけ画像形成位置をずらすための制御を行う。
画像形成位置を主走査方向にずらすための制御は、例えばシアン、マゼンタ、イエロー別に、主走査ラインの先頭が感光体ドラム上で該シフト量のドット数だけ主走査方向にずれる様に、主走査ライン毎に、レーザダイオード変調制御の開始タイミングをずらして、感光体ドラムへの主走査方向ラインの書き込みタイミングをずらすというものである。
この様にしてカラー画像形成装置の初期状態で画像のずれを解消することができる。ところが、転写ベルト11上の各色の画像のずれは、装置内の温度に応じて変化するので、この温度が変化したときには、各色の画像のずれを補正する必要がある。
このずれの補正のために、シアン、マゼンタ、イエロー別に、カラー画像形成装置内の温度変化分Δtとずれを補正するための画像形成位置のシフト量との相関関係を示す標準相関データを予め求めて、この標準相関データを示すテーブルを記憶部56に記憶しておき、この標準相関データテーブルを用いて、カラー画像形成装置内の温度変化分Δtに対する画像形成位置のシフト量を求め、このシフト量だけ画像形成位置を移動させている。
標準相関データは、複数のカラー画像形成装置について温度とシフト量の相関データを求め、これらの相関データを平均したものである。
標準相関データは、例えば図4のグラフに示す様なものである。本実施形態では、装置の初期状態で基準温度Tが設定されて、画像のずれが一旦解消されることから、この基準温度Tからの温度変化分Δtが生じたときの画像のずれを解消するために、基準温度Tからの温度変化分Δtに対する画像形成位置のシフト量(ドット数)の標準相関特性fを設定している。通常、装置の初期状態で基準温度Tが設定されてからは、装置内の温度が上昇するだけである。このため、温度変化分Δtが+側だけ示されている。
尚、基準温度Tの0℃は、氷点温度ではなく、温度変化分Δtに対するシフト量の相関特性における相対的な基準値である。
図4のグラフの標準相関特性fによれば、例えば温度変化分Δtが+5℃のときに、画像形成位置が+2ドットだけ移動され、また温度変化分Δtが+10℃のときに、画像形成位置が+4ドットだけ移動され、温度変化分Δtが+15℃のときに、画像形成位置が+6ドットだけ移動される。
また、本発明の発明者等の探求により、同一機種で全く同じ構造のカラー画像形成装置であっても、複数の装置間では、装置内の温度変化分Δtに対する画像形成位置のずれ量を示す相関特性が異なることが分かっている。これは、例えば露光ユニット1における各レーザーダイオード31a〜31、各ハーフミラー32a〜32c、33a〜33d、ポリゴンミラー34、非軸対称非球面レンズ(fθレンズ)35、該露光ユニット1の筐体、及び転写ベルト11等が有するそれぞれの温度特性が複雑に絡み合って、装置内の温度と画像形成位置のずれ量との相関特性が決まるためであると考えられる。
このため、標準相関データをそのまま用いても、画像のずれを正確に補正することができない。
そこで、本実施形態では、シアン、マゼンタ、イエロー別に、画像のずれを補正するための画像形成位置のシフト量を求め、このシフト量と装置内の温度変化分Δtとに基づいてカラー画像形成装置に固有の相関データを求め、この固有の相関データを示すテーブルを記憶部57に記憶している。そして、この固有の相関データテーブルが確定したときには、上記標準相関データテーブルの代わりに、この固有の相関データテーブルを用いて、画像のずれを補正している。これにより、装置毎に、画像のずれの調整をより正確に行うことができる。
カラー画像形成装置に固有の相関データは、例えば図5のグラフに示す様なものである。このグラフの固有の相関特性faは、画像形成位置のシフト量と装置内の温度変化分Δtとに基づいて求められたものである。
次に、図6乃至図11を更に参照しつつ、画像のずれを補正するための手順をより詳しく説明する。
図6は、本実施形態のカラー画像形成装置における各色の画像のずれを補正するための制御手順を概略的に示すフローチャートである。
まず、制御部57は、カラー画像形成装置の電源が投入されると、この装置の初期化処理及びウォーミングアップを開始する。また、制御部57は、ウォーミングアップ中の経過時間の計時を電源投入から開始し、このウォーミングアップ中の経過時間が予め設定された一定時間に達すると、温度センサ54の検出出力を取り込んで、この検出出力により示される装置内の温度を求め、この温度が基準温度Tとして適正であることを確認してから、この温度を基準温度Tとして設定する(ステップS101)。また、制御部57は、画像のずれを補正する(ステップS102)。従って、装置の初期状態で、基準温度Tが設定され、各色の画像のずれが補正される。
このときの画像のずれの補正の概略は、各色のテストパターン58B、58Y、58M、58Cを転写ベルト11上に形成し、黒のテストパターン58Bの副走査方向位置を基準位置とした上で、他の各色のテストパターン58Y、58M、58C別に、この基準位置に対するテストパターンの規定位置からの副走査方向のずれ量を検出し、このずれ量を解消するための副走査方向のシフト量(ドット数)を求め、このドット数だけ画像形成位置がずれる様なレーザダイオード変調制御の開始タイミングを設定するというものである。
この後、制御部57は、カラー画像形成装置の初期化処理及びウォーミングアップが終了すると、操作表示部53の入力操作による記録用紙の印刷指示を待機する(ステップS103で「No」)。
そして、記録用紙の印刷を行わない状態が一定時間継続すると(ステップS103で「No」)、カラー画像形成装置が待機状態となり、制御部57は、待機中処理を実行する(ステップS106)。
また、制御部57は、記録用紙の印刷指示があると(ステップS103で「Yes」)、基準温度Tからのカラー画像形成装置内の温度変化分Δtを求め、シアン、マゼンタ、イエロー別に、記憶部56内の相関データテーブルを参照して、この求めた温度変化分に対する画像形成位置のシフト量(ドット数)を求め、このドット数だけ画像形成位置がずれる様なレーザダイオード変調制御の開始タイミングを設定する(ステップS104)。
引き続いて、制御部57は、先の操作表示部53の入力操作による記録用紙の印刷指示に応答して、その設定されたそれぞれの変調制御の開始タイミングから各レーザーダイオード31b〜31dの変調制御を開始する。これにより、各感光体ドラム23b〜23cへの副走査方向の書き込みタイミングが調整されて、黒、シアン、マゼンタ、イエローの画像のずれが解消され、色ずれのないカラー画像が形成される(ステップS105)。
次に、図7のフローチャートを参照しつつ、図6のステップS102の処理を更に詳しく説明する。
制御部57は、調整用画像を示す調整用画像データを記憶部56から読み出し、この調整用画像データに応じて各レーザーダイオード31a〜31dを変調制御して、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの静電潜像を形成し、各現像ユニット21a〜21dにより各感光体ドラム23a〜23d表面の静電潜像を現像させて、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの色のテストパターンを形成し、各感光体ドラム23a〜23d表面の各色のテストパターンを転写ベルト11に転写させて、各色のテストパターン58B、58Y、58M、58Cを転写ベルト11上に形成する(ステップS201)。
そして、制御部57は、レジストセンサ55の検出出力を取り込んで、各色のテストパターンの副走査方向位置を求め(ステップS202)、黒のテストパターン58Bの副走査方向位置を基準位置とした上で、他の各色のテストパターン58Y、58M、58C別に、この基準位置に対するテストパターンの規定位置からの副走査方向のずれ量を求める(ステップS203)。
更に、制御部57は、他の各色であるシアン、マゼンタ、イエロー別に、ずれ量を解消するための副走査方向のシフト量(ドット数)を求め、このドット数だけ画像形成位置がずれる様なレーザダイオード変調制御の開始タイミングを求めて設定する(ステップS204)。
次に、図8のフローチャートを参照しつつ、図6のステップS104の処理を更に詳しく説明する。
制御部57は、温度センサ54の検出出力を取り込んで、この検出出力によって示される装置内の温度を求め(ステップS301)、この装置内の温度と図6のステップS101で求めた基準温度Tとの温度差、つまり基準温度Tからの温度変化分Δtを求める(ステップS302)。
そして、制御部57は、シアン、マゼンタ、イエロー別に、記憶部56内の相関データテーブルを参照して、先に求めた温度差に対する画像形成位置のシフト量(ドット数)を求め(ステップS303)、このドット数だけ画像形成位置がずれる様なレーザダイオード変調制御の開始タイミングを設定する(ステップS304)。
ここで、カラー画像形成装置に固有の相関データテーブルが記憶部56に記憶されていれば、この固有の相関データテーブルが用いられる。また、固有の相関データテーブルが記憶されていなければ、記憶部56に予め記憶されている標準相関データテーブルが用いられる。
固有の相関データテーブルは、ユーザによりカラー画像形成装置の使用が開始されてから作成され記憶部56に記憶されるので、必ず用いることができるとは限らない。この固有の相関データテーブルの作成は、後で述べる待機中処理で行われる。
標準相関データテーブルは、カラー画像形成装置の工場出荷時に記憶部56に予め記憶されるので、必ず用いることができる。
次に、図9のフローチャートを参照しつつ、図6のステップS101の処理を更に詳しく説明する。
制御部57は、電源投入より一定時間が経過すると、温度センサ54の検出出力を取り込んで、この検出出力により示される装置内の温度を求め(ステップS401)、この電源投入より一定時間後に検出した温度が予め設定した閾値温度Aよりも高いか否かを判定する(ステップS402)。
そして、制御部57は、検出した温度が閾値温度Aよりも高くなければ(ステップS402で「No」)、この検出した温度が基準温度Tとして適正であるとみなして、この検出した温度を基準温度Tとして設定し、記憶部56内の既存の基準温度Tを更新する(ステップS403)。また、検出した温度が閾値温度Aよりも高ければ(ステップS402で「Yes」)、この検出した温度が適正でないとみなして、この検出した温度の代わりに、1回前の電源投入のときに設定した記憶部56内の既存の基準温度Tを用いる(ステップS404)。
これば、仮に基準温度Tが高い温度に設定されたならば、基準温度Tからの装置内の温度の上昇分が殆ど無く、記憶部56内の相関データテーブルを用いても、温度変化分Δtに対する画像形成位置のシフト量を適確に求めることできないからである。このため、今回の電源投入のときの装置内の環境が1回前の電源投入のときの装置内の環境に略等しいと予測して、以前の基準温度Tを用いている。
次に、図10のフローチャートを参照しつつ、図6のステップS106の待機中処理を更に詳しく説明する。
尚、図10のフローチャートの処理は、図6のフローチャートの処理と並行してなされるので、図6と同様の作用を果たすステップには同じ符号を付す。
まず、制御部57は、電源投入より一定時間が経過すると、温度センサ54の検出出力を取り込んで、この検出出力により示される装置内の温度を求め、この温度が基準温度Tとして適正であることを確認してから、この温度を基準温度Tとして設定する(ステップS101)。
また、制御部57は、各色のテストパターン58B、58Y、58M、58Cを転写ベルト11上に形成し、黒のテストパターン58Bの副走査方向位置を基準位置とした上で、他の各色のテストパターン58Y、58M、58C別に、この基準位置に対するテストパターンの規定位置からの副走査方向のずれ量を検出し、このずれ量を解消するための副走査方向のシフト量(ドット数)を求め、このドット数だけ画像形成位置がずれる様なレーザダイオード変調制御の開始タイミングを設定する(ステップS102)。
この後、制御部57は、操作表示部53の入力操作による記録用紙の印刷指示を待機し(ステップS103)、記録用紙の印刷指示があると(ステップS103で「Yes」)、ステップS104、S105の処理に移る。
また、制御部57は、記録用紙の印刷を行わない状態が一定時間継続して(ステップS103で「No」)、カラー画像形成装置が待機状態になると、待機中処理を実行する。
この待機中処理において、まず、制御部57は、該制御部57に内蔵のタイマー(図示せず)を参照して、タイマーにより計時されている年月日がカラー画像形成装置に固有の相関データテーブルを作成するための規定期間であるか否かを判定する(ステップS501)。そして、計時されている年月日が規定期間でなければ(ステップS501で「No」)、次の処理に移ることなく、図6のステップS103に戻る。
尚、ステップS501においては、年月日が規定期間であるか否かの判定だけではなく、後で述べる様にカラー画像形成装置に固有の相関データテーブルを求めるための処理も行われる。
計時されている年月日が規定期間であれば(ステップS501で「Yes」)、制御部57は、温度センサ54の検出出力を取り込んで、この検出出力により示される装置内の温度を求め、基準温度Tからの温度変化分Δtを求める(ステップS502)。
そして、制御部57は、調整用画像データを記憶部56から読み出し、この調整用画像データに応じて各レーザーダイオード31a〜31dを変調制御して、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの静電潜像を形成し、各現像ユニット21a〜21dにより各感光体ドラム23a〜23d表面の静電潜像を現像させて、各感光体ドラム23a〜23d表面にそれぞれの色のテストパターンを形成し、各感光体ドラム23a〜23d表面の各色のテストパターンを転写ベルト11に転写させて、各色のテストパターン58B、58Y、58M、58Cを転写ベルト11上に形成する(ステップS503)。
ただし、ステップS503においては、図6のステップS102における各色の画像のずれが補正されたときと同じ条件で、つまり各レーザダイオード変調制御の開始タイミングを変更せずに、各色のテストパターン58B、58Y、58M、58Cを転写ベルト11上に形成する。これは、ステップS102における基準温度Tでの画像形成位置を基準にして、基準温度Tからの温度変化分Δtがあったときの各色の画像のずれ量を検出するためである。
次に、制御部57は、レジストセンサ55の検出出力を取り込んで、各色のテストパターンの副走査方向位置を求め(ステップS504)、黒のテストパターン58Bの副走査方向位置を基準位置とした上で、他の各色のテストパターン58Y、58M、58C別に、この基準位置に対するテストパターンの規定位置からの副走査方向のずれ量を求め、更に該ずれ量を解消するための副走査方向のシフト量(ドット数)を求める(ステップS505)。
そして、制御部57は、他の各色であるシアン、マゼンタ、イエロー別に、ステップS502で求めた温度変化分ΔtとステップS505で求めたシフト量とを記憶部56に記憶する(ステップS506)。
この後、制御部57は、測定回数Nxに1を加算して、測定回数Nxを更新する(ステップS507)。この測定回数Nxは、装置の電源投入直後の初期化処理のときに「0」に設定されている。従って、この測定回数Nxは、装置の電源投入からの測定回数を示すことになる。
こうしてステップS501〜S507の処理が終了すると、ステップS103に一旦戻り、カラー画像形成装置が待機状態に再びなると、ステップS501からの処理が繰り返される。
次に、図11のフローチャートを参照しつつ、図10のフローチャートのステップS501の処理を更に詳しく説明する。
制御部57は、該制御部57に内蔵のタイマー(図示せず)を参照して、カラー画像形成装置が設置されてから一年以内であるか否かを判定する(ステップS601)。この判定のために、カラー画像形成装置を設置した日に、この設置年月日を記憶部56に記憶しておく必要がある。制御部57は、タイマーにより計時されている年月日と記憶部56内の設置年月日を比較して、カラー画像形成装置の設置年月日より一年以内であるか否かを判定する。
そして、カラー画像形成装置の設置年月日より一年以内でなければ(ステップS601で「No」)、次の処理に移ることなく、図6のステップS103に戻る。
また、カラー画像形成装置の設置年月日より一年以内であれば(ステップS601で「Yes」)、制御部57は、タイマーにより計時されている年月日が一年目における予め設定された第1測定月間乃至第4測定月間のいずれに入るかを判定する(ステップS602、S603、S604、S605)。
すなわち、ステップS602においては、タイマーにより計時されている年月日が設置年月日より30日までの第1測定期間に入るか否かを判定し、ステップS603においては、タイマーにより計時されている年月日が設置年月日より90日〜120日の第2測定期間に入るか否かを判定し、ステップS604においては、タイマーにより計時されている年月日が設置年月日より180日〜210日の第3測定月間に入るか否かを判定し、ステップS605においては、タイマーにより計時されている年月日が設置年月日より270日〜300日の第4測定期間に入るか否かを判定する。
第1測定月間乃至第4測定月間は、カラー画像形成装置の設置年月日より一年目のそれぞれの季節に含まれ、季節毎に、カラー画像形成装置に固有の相関データテーブルを求めるために設定されている。
タイマーにより計時されている年月日が第1測定月間に入るならば(ステップS602で「Yes」)、制御部57は、図12のフローチャートの処理に移って、第1測定月間における固有の相関データテーブルを求める(ステップS606)。また、タイマーにより計時されている年月日が第1測定月間に入らず(ステップS602で「No」)、第2測定月間に入るならば(ステップS603で「Yes」)、図12のフローチャートの処理に移って、第2測定月間における固有の相関データテーブルを求める(ステップS607)。同様に、タイマーにより計時されている年月日が第2測定月間に入らず(ステップS603で「No」)、第3測定月間に入るならば(ステップS604で「Yes」)、図12のフローチャートの処理に移って、第3測定月間における固有の相関データテーブルを求め(ステップS608)、タイマーにより計時されている年月日が第3測定月間に入らず(ステップS604で「No」)、第4測定月間に入るならば(ステップS605で「Yes」)、図12のフローチャートの処理に移って、第4測定月間における固有の相関データテーブルを求める(ステップS609)。
尚、タイマーにより計時されている年月日が第1測定月間乃至第4測定月間のいずれにも入らねければ、図12のフローチャートの処理に移ることなく、図6のステップS103に戻る。
次に、図12のフローチャートを参照しつつ、図11のフローチャートのステップS606〜609の処理、すなわち第1乃至第4測定月間における固有の相関データテーブルを求めるための処理を詳しく説明する。
制御部57は、カラー画像形成装置に固有の相関データテーブルを求めるための測定タイミングの条件が満たされているか否かを判定する(ステップS701)。
この測定タイミングの条件とは、図6のステップS101、S102が終了しており、かつ図6のステップS104、S105で一定枚数以上の記憶用紙の連続プリントが行なわれており、かつ電源投入より30分以上が経過しているという条件である。この条件がみたされたときにだけ、固有の相関データテーブルを求めることが可能になる。
仮に、図6のステップS101、S102が終了していなければ、装置内の温度変化分Δtが分からず、テストパターンを形成することもできない。また、ステップS104、S105の処理に一度も移っていなかったり、電源投入より30分以上が経過していなければ、温度変化が十分ではなく、温度変化分Δtに対する画像形成位置のずれを求めることができない。
制御部57は、この測定タイミングの条件が満たされていなければ(ステップS701で「No」)、次の処理に移ることなく、図6のステップS103に戻る。
また、制御部57は、この測定タイミングの条件が満たされていれば(ステップS701で「Yes」)、ステップS507で歩進している測定回数Nxが規定回数に達しているか否かを判定する(ステップS702)。
そして、制御部57は、測定回数Nxが規定回数に達していなければ(ステップS702で「No」)、図10のステップS502に移る。
また、制御部57は、測定回数Nxが規定回数に達していれば(ステップS702で「Yes」)、温度変化分Δtとテストパターンの副走査方向のシフト量(ドット数)とが記憶部56に該規定回数分記憶されているので、他の各色であるシアン、マゼンタ、イエロー別に、記憶部56内の規定回数分の温度変化分Δtと副走査方向のシフト量(ドット数)とを参照して、温度変化分Δtと副走査方向のシフト量(ドット数)との相関データテーブルを作成し、この装置に固有の相関データテーブルを記憶部56に記憶する(ステップS703)。この固有の相関データテーブルは、例えば規定回数分記憶された温度変化分Δtと副走査方向のシフト量(ドット数)とを用いて、最小二乗法により求められる。
あるいは、図10のステップS506において、ステップS503で求めた温度変化分Δtに対応するシフト量と標準相関データテーブルの該温度変化分Δtに対応するシフト量との比率α(図5に示す)を求め、この比率αを記憶部56に記憶しておき、ステップS703において、記憶部56内の規定回数分の比率αの平均を求め、この平均の比率を装置に固有の相関データテーブルの代わりに記憶部56に記憶しても良い。この場合は、温度変化分Δtに対するシフト量を標準相関データテーブルから読み出し、このシフト量に平均の比率を掛け合わせて、カラー画像形成装置に固有のシフト量を逆算して求めることになる。
こうして第1乃至第4測定月間のいずれについても、シアン、マゼンタ、イエロー別に、装置に固有の相関データテーブルが求められて記憶部56に記憶される。従って、装置に固有の相関データテーブルは、合計で12個のものが求められて記憶部56に記憶される。
この様な固有の相関データテーブルは、図6のステップS104(詳しくは図8のステップS303)において温度変化分Δtに対する画像形成位置のシフト量(ドット数)を求め、このドット数だけ画像形成位置がずれる様なレーザダイオード変調制御の開始タイミングを設定するために用いられる。ただし、シアン、マゼンタ、イエロー別に、第1乃至第4測定月間の固有の相関データテーブルを選択的に用いる必要がある。
次に、図13のフローチャートを参照しつつ、図8のステップS303において第1乃至第4測定月間の固有の相関データテーブルを選択的に用いるための手順を述べる。
制御部57は、該制御部57に内蔵のタイマー(図示せず)を参照して、カラー画像形成装置が設置されてからの経過年月日を求め、この装置設置からの経過年月日と記憶部56内のカラー画像形成装置の設置年月日とを参照する(ステップS801)。そして、制御部57は、経過年月日が、設置年月日を起点とするY(整数)年目における所定の4つの期間のいずれに入るかを判定する(ステップS802、S803、S804)。
すなわち、ステップS802においては、経過年月日がY年目の0日〜90日の期間に入るか否かを判定し、ステップS803においては、経過年月日がY年目の91日〜180日の期間に入るか否かを判定し、ステップS804においては、経過年月日が設置年月日よりY年目の181日〜270日の期間に入るか否かを判定し、更に経過年月日が設置年月日よりY年目の181日〜270日の期間に入らなければ、経過年月日がY年目の271日以降の期間に入るものとみなす。
これらの期間は、一年を通しての季節を見ると、第1測定月間乃至第4測定月間を含むそれぞれの季節に相当するものであり、季節毎に、カラー画像形成装置に固有の相関データテーブルを選択するために設定されている。
経過年月日がY年目の0日〜90日の期間に入るならば(ステップS802で「Yes」)、制御部57は、シアン、マゼンタ、イエロー別に、第1測定月間の装置に固有の相関データテーブルを記憶部56から読み出し、固有の相関データテーブルを参照して、温度変化分Δtに対する画像形成位置のシフト量(ドット数)を求める(ステップS805)。
同様に、経過年月日がY年目の91日〜180日の期間に入るならば(ステップS802で「No」、ステップS803で「Yes」)、制御部57は、シアン、マゼンタ、イエロー別に、第2測定月間の装置に固有の相関データテーブルを記憶部56から読み出して参照し、温度変化分Δtに対する画像形成位置のシフト量(ドット数)を求める(ステップS806)。また、経過年月日がY年目の181日〜270日の期間に入るならば(ステップS803で「No」、ステップS804で「Yes」)、シアン、マゼンタ、イエロー別に、第3測定月間の装置に固有の相関データテーブルを記憶部56から読み出して参照し、温度変化分Δtに対する画像形成位置のシフト量(ドット数)を求め(ステップS807)、更に経過年月日がY年目の181日〜270日の期間に入らなければ(ステップS804で「No」)、シアン、マゼンタ、イエロー別に、第4測定月間の装置に固有の相関データテーブルを記憶部56から読み出して参照し、温度変化分Δtに対する画像形成位置のシフト量(ドット数)を求める(ステップS808)。
この後、図8のステップS304に移って、シアン、マゼンタ、イエロー別に、求めたドット数だけ画像形成位置がずれる様なレーザダイオード変調制御の開始タイミングを設定する。
これにより、季節毎に、各感光体ドラム23b〜23cへの副走査方向の書き込みタイミングの調整が適確に行われて、黒、シアン、マゼンタ、イエローの画像のずれがより確実に解消され、色ずれのないカラー画像が形成される。
尚、図13のステップS805〜S808において、第1乃至第4測定月間の装置に固有の相関データテーブルが記憶部56に記憶されていなければ、装置に固有の相関データテーブルの代わりに、標準相関データテーブルを用いて、温度変化分Δtに対する画像形成位置のシフト量(ドット数)を求める。
この様に本実施形態では、装置に固有の相関データテーブルを作成して記憶しておき、この装置に固有の相関データテーブルを用いて、温度変化分Δtに対する画像形成位置のシフト量(ドット数)を求めているので、画像のずれを確実にかつ速やかに補正することができる。
また、標準相関データテーブルを予め記憶しているので、装置に固有の相関データテーブルが確定するまでは、この標準相関データテーブルを用いて、画像のずれを速やかに補正することができる。
更に、季節毎に、装置に固有の相関データテーブルを作成して記憶しておき、現季節の装置に固有の相関データテーブルを用いているので、季節の影響を受けずに、画像のずれを補正することができる。
尚、図6乃至図13を参照しての説明では、副走査方向のずれのみを検出して補正しているが、主走査方向のずれをも検出して補正しても構わない。
また、上記実施形態では、基準温度Tからの温度変化分Δtを求め、この温度変化分Δtに対するシフト量を求めて設定しているが、基準温度Tを設定せず、通常の温度(例えば氷点の0℃を含む−10℃〜60℃)の範囲内で温度変化に対するシフト量を求めて設定しても良い。
更に、レジストセンサ55により求められた画像形成位置のずれを温度変化に対応させて記憶部56に記憶しておき、画像形成位置のずれを記憶部56から読み出して、このずれからシフト量を逐一求めても良い。
また、画像形成位置のずれを検出するために、黒のテストパターンの位置を基準位置とし、この基準位置に対する他の各色のテストパターンのずれを求めているが、全ての色のテストパターン毎に、基準位置を設定して、この基準位置に対するテストパターンのずれを求めても良い。例えば、転写ベルト11上に、全ての色別に、消えることがない基準位置のマークを印しておき、この基準位置のマークに対するテストパターンのずれを求める。
更に、標準相関データテーブルを省略しても構わない。この場合は、装置に固有の相関データテーブルが確定するまでは、装置内の温度が上昇したときなどに、図6のステップS102と同様の手順で画像のずれを補正する。この場合も、図10のステップS503においては、図6のステップS102で設定された各レーザダイオード変調制御の開始タイミングを変更せずに、各色のテストパターン58B、58Y、58M、58Cを転写ベルト11上に形成して、画像のずれを検出する。