JP4376035B2 - 音響特性測定装置及び自動音場補正装置並びに音響特性測定方法及び自動音場補正方法 - Google Patents

音響特性測定装置及び自動音場補正装置並びに音響特性測定方法及び自動音場補正方法 Download PDF

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Description

本発明は、音響空間における残響特性などの音響特性の測定手法及びそれを利用した自動音場補正手法に関する。
複数のスピーカを備えて高品位の音響空間を提供するオーディオシステムでは、臨場感の得られる適切な音響空間を自動的に作り出すことが要求されている。即ち、受聴者自らが適切な音響空間を得ようとしてオーディオシステムを操作しても、複数のスピーカで再生される再生音の位相特性、周波数特性、音圧レベル等を適切に調節することは極めて困難であるため、オーディオシステム側で自動的に音場特性を補正することが要求されている。
従来、この種の自動音場補正システムとして、特許文献1に記載されたものが知られている。このシステムでは、複数のチャンネルに対応する信号伝送路毎に、スピーカから出力したテスト信号を集音してその周波数特性を分析し、当該信号伝送路内に配置されたイコライザの係数を設定することにより、各信号伝送路を所望の周波数特性に調整している。テスト信号としては、例えばピンクノイズなどが使用されている。
上記のような周波数特性の測定は、時間的に比較的長いテスト信号を出力して行われている。例えば20Hz程度の周波数帯域の特性を測定するためには、その1周期に当たる50ms(msec)以上の期間にわたりテスト信号を出力し、これをマイクで集音することにより周波数特性を測定していた。よって、ある音場における瞬間的な音響特性、又は、非常に短い時間幅(例えば5ms程度)における音響特性を取得することは困難であった。特に、測定の対象となる周波数帯域が低周波数帯域である場合には、上述のように低周波数のテスト信号の最低1周期が含まれる期間にわたって測定を行う必要がある。よって、そのような低周波数帯域について瞬間的又は非常に短い時間幅にわたる音響特性を測定することは困難であった。
しかし、そのような瞬間的又は非常に短い時間幅にわたる音響特性が要求される場合もある。例えば、上記の自動音場補正システムによる音場特性の補正において、テスト信号の出力後、時間的に比較的短い特定の期間における音響特性のみに基づいて、音場特性を補正したい場合などには、その期間のみにおける音響特性を測定する必要が生じる。
特開2002−330499号公報
本発明が解決しようとする課題には、上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、全帯域もしくは所望の周波数帯域、特に低域について瞬間的又は非常に短い時間幅における音響特性を容易に測定することが可能な音響特性測定手法を提供することを課題とする。さらに、本発明は、そのような音響特性測定手法により得た音響特性に基づいて空間の音場特性を自動的に補正する自動音場補正手法を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明は、音響特性測定装置において、測定音を音響空間内に出力する測定音出力手段と、前記音響空間内において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、前記検出音データに基づいて、前記音響空間内の音響特性を決定する特性決定手段と、を備え、前記測定音出力手段は、所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序で再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備え、前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて音響特性を決定することを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、音響特性測定装置において、所定周波数の信号を含む測定音を音響空間内に出力する測定音出力手段と、前記音響空間内において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、前記検出音データに基づいて、前記音響空間内の音響特性を決定する特性決定手段と、を備え、前記測定音出力手段は、所定時間の測定音データを、各々が前記所定周波数に対応する周期より小さい複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序に従って再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備え、前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて前記所定周波数に対応する周期よりも小さい時間幅における音響特性を決定することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、複数のオーディオ信号に対して、各々に対応する信号伝送路上で信号処理を施し、対応する複数のスピーカへ出力する自動音場補正装置において、各信号伝送路に測定音を出力する測定音出力手段と、前記各信号伝送路において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、前記検出音データに基づいて、測定対象期間における前記各信号伝送路の音響特性を決定する特性決定手段と、前記音響特性に基づいて、前記各信号伝送路のオーディオ信号の周波数特性を調整する周波数特性調整手段と、を備え、前記測定音出力手段は、所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序に従って再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備え、前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて前記測定対象期間における前記各信号伝送路の音響特性を決定することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、コンピュータ上で実行することにより、前記コンピュータを、測定音を音響空間内に出力する測定音出力手段と、前記音響空間内において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、前記検出音データに基づいて、前記音響空間内の音響特性を決定する特性決定手段と、を備える音響特性測定装置として機能させるコンピュータプログラムであって、前記測定音出力手段は、所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序で再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備え、前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて音響特性を決定することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、コンピュータ上で実行することにより、前記コンピュータを、所定周波数の信号を含む測定音を音響空間内に出力する測定音出力手段と、前記音響空間内において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、前記検出音データに基づいて、前記音響空間内の音響特性を決定する特性決定手段と、を備える音響特性測定装置として機能させるコンピュータプログラムであって、前記測定音出力手段は、所定時間の測定音データを、各々が前記所定周波数に対応する周期より小さい複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序に従って再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備え、前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて前記所定周波数に対応する周期よりも小さい時間幅における音響特性を決定することを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、コンピュータ上で実行することにより、前記コンピュータを、複数のオーディオ信号に対して、各々に対応する信号伝送路上で信号処理を施し、対応する複数のスピーカへ出力する自動音場補正装置として機能させるコンピュータプログラムであって、前記自動音場補正装置は、各信号伝送路に測定音を出力する測定音出力手段と、前記各信号伝送路において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、前記検出音データに基づいて、測定対象期間における前記各信号伝送路の音響特性を決定する特性決定手段と、前記音響特性に基づいて、前記各信号伝送路のオーディオ信号の周波数特性を調整する周波数特性調整手段と、を備え、前記測定音出力手段は、所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序に従って再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備え、前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて前記測定対象期間における前記各信号伝送路の音響特性を決定することを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、音響特性測定方法であって、測定音を音響空間内に出力する測定音出力工程と、前記音響空間内において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出工程と、前記検出音データに基づいて、前記音響空間内の音響特性を決定する特性決定工程と、を含み、前記測定音出力工程において、所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成し、前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序で再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力し、前記特性決定工程において、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて音響特性を決定することを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、音響特性測定方法であって、所定周波数の信号を含む測定音を音響空間内に出力する測定音出力工程と、前記音響空間内において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出工程と、前記検出音データに基づいて、前記音響空間内の音響特性を決定する特性決定工程と、を含み、前記測定音出力工程において、所定時間の測定音データを、各々が前記所定周波数に対応する周期より小さい複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成し、前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序に従って再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力し、前記特性決定工程において、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて前記所定周波数に対応する周期よりも小さい時間幅における音響特性を決定することを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、複数のオーディオ信号に対して、各々に対応する信号伝送路上で信号処理を施し、対応する複数のスピーカへ出力する自動音場補正方法であって、各信号伝送路に測定音を出力する測定音出力工程と、前記各信号伝送路において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出工程と、前記検出音データに基づいて、測定対象期間における前記各信号伝送路の音響特性を決定する特性決定工程と、前記音響特性に基づいて、前記各信号伝送路のオーディオ信号の周波数特性を調整する周波数特性調整工程と、を含み、前記測定音出力工程において、所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データを作成し、前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序に従って再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力し、前記特性決定工程において、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて前記測定対象期間における前記各信号伝送路の音響特性を決定することを特徴とする。
本発明の好適な実施形態では、音響特性測定装置は、測定音を音響空間内に出力する測定音出力手段と、前記音響空間内において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、前記検出音データに基づいて、前記音響空間内の音響特性を決定する特性決定手段と、を備える。ここで、前記測定音出力手段は、所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序で再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備える。また、前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて音響特性を決定する。
この実施形態によれば、音響空間内の音響特性を測定するために、測定音が音響空間内に出力される。この測定音は、予め用意された所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成し、その複数のブロック音データを前記測定音データを構成する順序で再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより出力される。そして、上記の再生処理の各回において同一の再生順において再生されたブロック音データに対応する検出音データを演算して音響特性が決定される。即ち、例えば各回の再生処理において最初に再生された複数のブロック音データ、又は、各回の再生処理において2番目に再生された複数のブロック音データに対応する検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて音響特性が決定される。
上記の実施形態では、前記特性決定手段は、前記同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データに基づいて、前記ブロック期間毎の音響特性を決定することができる。これにより、所定時間の測定音データに対応する時間幅に対応する音響特性を得ることができる。
また、上記の実施形態では、前記特性決定手段は、前記ブロック期間毎の音響特性に基づいて、前記所定時間にわたる音響特性波形を生成することができる。
また、前記特性決定手段は、前記検出データを所定数の周波数帯域に分割して周波数帯域毎の検出データを作成する手段と、前記周波数帯域毎の検出データに基づいて、所定数の周波数帯域毎の音響特性を決定する手段と、を備えることができる。これにより、上記のブロック単位で、周波数帯域毎の音響特性を得ることが可能となる。
上記の実施形態における一例では、前記再生処理手段は、前記測定音データに含まれる前記ブロック期間の数だけ、前記再生処理を行う。例えば、前記測定音データが16個のブロック期間に分割され、16個のブロック音データが生成された場合には、上記の再生処理を16回行う。これにより、前記測定音データの全成分に対する音響特性を得ることができる。
また、上記の実施形態における他の例では、前記再生処理手段は、1回の前記再生処理中に前記複数のブロック音データを複数周期にわたり繰り返して再生する。これにより、予め用意された所定時間の測定音データよりも長い時間にわたる音響特性を得ることが可能となる。
本発明の他の実施形態では、音響特性測定装置は、所定周波数の信号を含む測定音を音響空間内に出力する測定音出力手段と、前記音響空間内において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、前記検出音データに基づいて、前記音響空間内の音響特性を決定する特性決定手段と、を備える。ここで、前記測定音出力手段は、所定時間の測定音データを、各々が前記所定周波数に対応する周期より小さい複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序に従って再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備える。また、前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて前記所定周波数に対応する周期よりも小さい時間幅における音響特性を決定する。
この実施形態によれば、音響空間内の音響特性を測定するために、測定音が音響空間内に出力される。この測定音は、予め用意された所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成し、その複数のブロック音データを前記測定音データを構成する順序で再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより出力される。ここで、複数のブロック期間は、測定音に含まれる所定周波数の信号の周期より小さい。そして、上記の再生処理の各回において同一の再生順において再生されたブロック音データに対応する検出音データを演算して音響特性が決定される。即ち、例えば各回の再生処理において最初に再生された複数のブロック音データ、又は、各回の再生処理において2番目に再生された複数のブロック音データに対応する検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて音響特性が決定される。よって、所定周波数の信号を含む測定音を利用して、その周波数の信号の周期より短い期間における音響特性を得ることが可能となる。
本発明の他の実施形態では、複数のオーディオ信号に対して、各々に対応する信号伝送路上で信号処理を施し、対応する複数のスピーカへ出力する自動音場補正装置において、各信号伝送路に測定音を出力する測定音出力手段と、記各信号伝送路において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、前記検出音データに基づいて、測定対象期間における前記各信号伝送路の音響特性を決定する特性決定手段と、前記音響特性に基づいて、前記各信号伝送路のオーディオ信号の周波数特性を調整する周波数特性調整手段と、を備える。前記測定音出力手段は、所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序に従って再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備え、前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて前記測定対象期間における前記各信号伝送路の音響特性を決定する。
この自動音場補正装置によれば、上述の音響特性測定装置と同様に、測定対象期間における音響特性を得ることができる。そして、その音響特性を利用して、信号伝送路のオーディオ信号の周波数特性が調整される。よって、ある測定音を出力した際に、その後の特定の期間のみを測定対象期間とし、その期間における音響特性のみを使用して、周波数特性の補正を行うことができる。
また、本発明の他の実施形態では、上記の音響特性測定装置及び自動音場補正装置をコンピュータ上で実行されるべきコンピュータプログラムとして構成することができる。さらに他の実施形態では、上記の音響特性測定装置及び自動音場補正装置と同等の音響特性測定方法及び自動音場補正方法が提供される。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
[音響特性測定システム]
まず、本発明の実施例に係る音響特性測定システムについて説明する。図1に、本実施例に係る音響特性測定システムの概略構成を示す。図示のように、音響特性測定システムは、音響特性測定装置200と、音響特性測定装置200にそれぞれ接続されたスピーカ216、マイク218、及びモニタ205を備える。スピーカ216及びマイク218は、測定の対象となる音響空間260内に配置される。音響空間260の典型的な例としてはリスニングルームやホームシアターなどが挙げられる。
音響特性測定装置200は、信号処理部202と、測定用信号発生器203と、D/A変換器204と、A/D変換器208とを備える。信号処理部202は、内部に内部メモリ206及び周波数分析フィルタ207を備える。信号処理部202は、測定用信号発生器203から出力されたデジタルの測定音データ211をD/A変換器4へ供給し、D/A変換器204は測定音データ211をアナログの測定用信号212に変換してスピーカ216へ供給する。スピーカ216は供給された測定用信号212に対応する測定音を測定の対象となる音響空間260に出力する。
マイク218は音響空間260内に出力された測定音を集音し、その測定音に対応する検出信号213をA/D変換器208へ供給する。A/D変換器208は検出信号213をデジタルの検出音データ214に変換し、信号処理部202へ供給する。
音響空間260内においてスピーカ216から出力された測定音は、主として直接音成分35、初期反射音成分33及び残響音成分37の集合としてマイク218により集音される。信号処理部202は、マイク218により集音された測定音に対応する検出音データ214に基づいて、音響空間260の音響特性を得ることができる。例えば周波数帯域毎に音響パワーを算出することにより、当該音響空間260の周波数帯域毎の残響特性を得ることができる。
内部メモリ206は、マイク218及びA/D変換器208を介して得られた検出音データ214などを一時的に保存する記憶部であり、信号処理部202は内部メモリ206に一時的に保存された検出音データを利用して音響パワーの演算などの処理を実行し、音響空間260の音響特性を得る。例えば信号処理部202は、全周波数帯域の残響特性を生成し、これをモニタ205に表示させることができる。また、信号処理部202は周波数分析フィルタ207を利用して、周波数帯域毎の残響特性を生成し、モニタ205に表示することもできる。
次に、音響特性の測定方法について詳しく説明する。図2に、測定用信号の一例であるピンクノイズの波形例を示す。なお、測定用信号は測定の対象となる周波数帯域の周波数成分を含む信号であればよく、ピンクノイズには限定されない。図2の例では、4096サンプル(約80ms)分のピンクノイズがデジタルのデータ(以下、「測定音データ240」とも呼ぶ。)として用意される。測定用信号発生器3はこの測定音データ240を記憶するメモリなどを備え、信号処理部202から与えられるアドレスなどに応じて、測定音データ240の全体又は任意のブロックのみを出力することができる。
本実施例では、このような測定音データ240が複数の部分(以下、「ブロック音データpn」と呼ぶ。)に分割される。そして、ブロック音データpnの出力順序をシフトさせながらマイク218により測定音を複数回測定し、得られた結果を合成することにより、時間的に変動する音響パワーを連続的に測定する。具体的には、図2に示すように、4096サンプル分の測定音データ240を、16個の狭時間のブロック音データpn0〜pn15に分割する。各ブロック音データpn0〜pn15は256サンプル(約5msに相当)の時間幅を有する。そして、音響特性の測定時には、ブロック音データpnをD/A変換器204及びスピーカ216を介して再生して測定音として順に音響空間へ出力
し、測定を行う。なお、測定用信号発生器203、信号処理部202及びD/A変換器204は本発明における測定音出力手段に相当する。
図3に、ブロック音データpn0〜pn15の出力(再生)順序を示す。本例では、前述のように4096サンプル分の測定音データ240を、各々が256サンプルを有する16個のブロック音データpn0〜pn15に分割し、それらを図3に示す再生順序パターンに従って連続的に出力して測定を行う。その際、16個のブロック音データpn0〜pn15の再生順序は図2に示すように測定音データ240を構成する順序に従うが、毎回の測定において、最初に再生するブロック音データを1ブロックずつシフトさせながら、図3に示す全ての再生順序パターンについて、即ち16回にわたり測定を実施する。
なお、図3における「ブロック期間」とは、各ブロック音データpn0〜pn15の、図2に示す測定音データ240全体における時間軸上の位置を示している。例えばブロック期間T0は測定音データ240の最初のブロック音データpn0に含まれる256サンプル分、即ち0〜約5msの期間に対応し、ブロック期間T1は次のブロック音データpn1に含まれる256サンプル分、即ち約5〜10msの期間に対応する。また、ブロック期間T15は測定音データ240の最後のブロック音データpn15に含まれる256サンプル分、即ち約75〜80msの期間に対応する。
図3に示されるように、本実施例では、ブロック音データpn0〜pn15を、最初に再生されるブロック音データを1つずつシフトさせつつ全ての再生順序パターンについて出力し、合計16回の測定を実施する。即ち、1回目の測定では、ブロック音データpn0→pn15の順に16個のブロック音データpnを連続的に出力し、測定を行う。2回目の測定では、ブロック音データpnの再生開始位置を図2のグラフ上で右へ1ブロック分シフトし、ブロック音データpn1→pn15、pn0の順に連続的に出力して測定を行う。これを繰り返し、16回目の測定では、最初にブロック音データpn15、続いてブロック音データpn0→pn14という順序で16個のブロック音データpnを連続的に出力し、測定を行う。
測定中には、マイク218は各ブロック音データpnの単位で測定音データ240を集音し、信号処理部202はA/D変換器208から検出音データ214を受信する。そして、信号処理部202は、ブロック音データpnの単位、即ち本実施例では256サンプルを一単位の検出音データとして内部メモリ206に記憶する。また、その検出音データに基づいて音響パワーmdを算出し、一時的に内部メモリ206へ記憶する。1つのブロック音データpnに対応する1ブロック分の検出音データが例えばd1〜d256での256サンプルで構成されるとすると、その1ブロックの検出音データの音響パワーmdは、
md = d1 2+d2 2+d3 2+・・・・・d256 2 (式1)
により与えられる。
こうして得られたブロック音データpnに対応する音響パワーを図4に示す。図4において、音響パワーmd0はブロック音データpn0に対応し、音響パワーmd1はブロック音データpn1に対応し、同様に音響パワーmd15はブロック音データpn15に対応している。図3と図を比較すると、図3における各測定回数におけるブロック音データpnに対応する位置に、図では対応する音響パワーmdが示されている。
信号処理部202は、こうして得られた各ブロック音データpnに対応する音響パワーmdを、各ブロック期間(T0〜T15)毎に合計して、合計パワーrv0〜rv15を算出する。即ち、信号処理部202は、図4における各ブロック時間毎に、縦方向に1回目から16回目までの残響パワーmdを加算して合計パワーrvを算出する。具体的には、
rv0=md0+md1+md2+・・・・+md15
rv1=md1+md2+md3+・・・・+md0
rv3=md2+md3+md4+・・・・+md1
・ (式2)

rv15=md15+md0+md1+・・・・+md14
という具合に、合計パワーrv0〜rv15が算出される。
ここで、図2、図3及び図4から理解されるように、合計パワーrv0〜rv15の各々は、対応するブロック期間における、全てのブロック音データpn0〜pn15に対応する検出音データの音響パワーmd0〜md15の合計である。即ち、そのブロック期間における、測定音データ240の全成分に対する音響空間260の応答を示している。例えば、合計パワーrv0は、ブロック期間T0、即ち測定開始時刻から約5ms以内における全測定音データ240(図2参照)に対する応答(音響パワー)を示している。また、合計パワーrv1は、ブロック期間T1、即ち測定開始後約5〜10msにおける全測定音データ240に対する音響パワーを示している。このように、本実施例では、測定ノイズデータ240を複数の狭時間のブロック音データpn0〜pn15に分割し、それらの再生順序を1ブロックずつシフトさせながら全ての再生順序パターンについて測定を行い、各ブロック期間内の合計パワーを算出することにより、瞬間的又は測定音データ240全体の時間幅に比べて非常に小さい時間幅における音響特性を得ることができる。
こうして得られたブロック期間毎の合計パワーに基づいて、測定の対象となる音響空間の全帯域における残響特性を算出した例を図5に示す。本実施例では、0〜80msの期間に対して16個の合計パワーが得られており、1つのブロック期間(即ち約5ms)という狭い時間幅で独立に残響特性が得られている。
なお、上記の実施例では、4096サンプル(約80ms)分の測定音データ240を用いて約80ms分の全帯域の残響特性を測定したが、同一の長さの測定音データ240を用い、測定音データ240の分解能も同一のまま(即ち分割数=16)、より長い音響特性を測定することもできる。
以下、同一の測定音データ240を用いて合計8192サンプル(約160ms)分の残響特性を測定する例について説明する。測定音データ240の長さの2倍の長さの残響特性を測定するために、4096サンプル分の測定音データ240を狭時間のブロック音データpn0〜pn15に分割し、これを2回(2周期分)出力して測定を行う。即ち、各回の測定において、T0〜T31の32個のブロック期間に渡りブロック音データpn0〜pn15を2周期分出力して測定を行う。この場合のブロック音データpnの出力パターンを図6に示し、取得された音響パワーの例を図7に示す。図6及び図7からわかるように、例えば1回目の測定では、ブロック音データpn0→pn15の順で第1周期の出力を行った後、同じくpn0→pn15の順で第2周期の出力を行う。これにより、8192サンプル(約160ms)分の検出音データが得られる。同様に、2回目から16回目の測定もそれぞれ2周期分ずつブロック音データpnの出力を行う。後は同様に、各ブロック期間T0〜T31について合計パワーrv0〜rv31を算出すれば、8192サンプル(約160ms)分の残響特性を得ることができる。
この手法では、取得すべき残響特性の長さは2倍であるが、使用する測定音データを長くせず、同じ測定音データを繰り返して出力するので、測定の回数を増加させる必要がない。例えば、同じ8192サンプル分の残響特性を測定するために8192サンプル分の測定音データを使用して本実施例の手法を実施すると、32ブロックのブロック音データpn0〜pn31を利用して32回の測定を行う必要がある(つまり図6及び図7における測定回数は32回に増加する)。これに対し、4096サンプル分の測定音データを用いて2周期分測定を行えば、測定回数を16回に維持したままで、2倍の長さの残響特性を測定することが可能となる。
次に、上述した全帯域の残響特性の測定処理について説明する。図8は、全帯域残響特性の測定処理のフローチャートである。なお、以下の処理は、基本的に図1に示す音響特性測定装置200の信号処理部202がスピーカ216、マイク218などを制御して実行する。
まず、信号処理部202はシフトカウンタCsの値を「0」に設定する(ステップS201)。シフトカウンタCsはブロック音データpn0〜pn15をシフトしつつ測定を行う回数を示すカウンタである。本例では図3及び図4に示すように合計16回の測定が行われるので、シフトカウンタCsの値は最終的には「16」まで増加することになる。シフトカウンタCsの値が「0」に設定された状態で第1回目の測定が行われる。
次に、信号処理部202はブロックカウンタCbの値を「0」に設定する(ステップS202)。ブロックカウンタCbは測定に使用されるブロック音データpnを指定するカウンタである。ブロックカウンタCbの値が「0」に設定された状態では、ブロック音データpn0を利用した測定が行われることになる。
次に、信号処理部202は現在のブロックカウンタCbが示すブロック音データpnをスピーカ216から出力する(ステップS203)。ステップS202でブロックカウンタCbは「0」に設定されているので、まずブロック音データpn0が再生され、測定音として音響空間260へ出力される。そして、信号処理部202は、音響空間260からマイク218により集音され、A/D変換された検出音データ214を取得する(ステップS204)。そして、信号処理部202は、式1を用いて前述の方法によりそのブロック期間における音響パワーmd(今回はmd0)を算出し、内部メモリ206に記憶する(ステップS205)。こうして、第1回目の測定における最初のブロック期間T0での測定が終了したことになる。
次に、信号処理部202はブロックカウンタCbを1増加し、ブロックカウンタCbの値が「15」を超えたか否かを判定する(ステップS207)。ブロックカウンタCbが「15」以下の場合は、次のブロック期間での測定を行うべく、処理はステップS203へ戻る。そして、次のブロック期間に対応する測定処理を実行する(ステップS203〜S206)。
こうして、全てのブロック期間、即ち測定ノイズデータ240に含まれる全てのブロック音データpn(本例では16個のブロック音データpn0〜pn15)を利用した測定が完了すると、ブロックカウンタCbは16となる(ステップS207;Yes)。即ち、第1回目の測定が完了したこととなり、信号処理部202はシフトカウンタCsを1増加する(ステップS208)。これにより、第2回目の測定が開始する。
その後は、第1回目の測定と同様に、ブロックカウンタCbの値に対応するブロック音データpnを出力し(ステップS203)、検出音データを取得し(ステップS204)、ブロック期間毎の音響パワーmdを算出し(ステップS205)、ブロックカウンタCbを増加する処理を繰り返す。但し、第2回目の測定では、図3に示すように、最初に再生されるブロック音データpnは1だけシフトされ、ブロック音データpn1→pn15、pn0の順に16個のブロック音データpnが再生される。こうして、第2回目の測定が終了すると(ステップS207;Yes)、信号処理部202はシフトカウンタCsを1増加し(ステップS208)、同様に第3回目の測定を実行する。前述のように、各回の測定では16個全てのブロック音データpn0〜pn15が再生されるが、各回の測定において、最初に再生されるブロック音データは図3に示すように、毎回1つずつシフトされていく。
こうして、シフトカウンタCsが「15」を超える、つまり第16回目の測定が終了すると(ステップS209;Yes)、信号処理部202内の内部メモリ206には、図4に示すように16個のブロック期間に対する全16回分の音響パワーmdの値が格納されている。よって、信号処理部202は前述の式2に従ってブロック期間毎、即ち図4における縦方向に残響パワーmdを合計して、ブロック毎の合計パワーrvを算出する(ステップS210)。そして、信号処理部202は、そうして得られた合計パワー値に基づいて図5に例示したような残響特性波形を作成し、モニタ205に表示する(ステップS211)。これにより、ユーザは当該音響空間260の残響特性を知ることができる。
なお、上記の説明は図3及び図4に示すように、4096サンプル分(約80ms)分の残響特性を測定した場合の処理例である。これに対し、図6及び図7に示すように8192(約160ms)分の残響特性を測定する場合、図8のステップS209においては同様にシフトカウンタCsが「15」を超えたか否かが判定されるが、ステップS207ではブロックカウンタCbが「31」を超えたか否かが判定される。即ち、各回の測定について、32ブロックについて測定が行われることになる。
次に、本実施例による周波数別残響特性の測定について説明する。上記の説明では、測定音データ240を用いて、音響空間260についての全帯域の残響特性を測定したが、本実施例ではさらに周波数別に残響特性を取得することが可能である。以下、その手法について説明する。
周波数別の残響特性は、基本的に測定音データ240を出力し、マイク218を通じて得られた検出音データ214を信号処理部202が周波数分析することにより得ることができる。測定音データ240を複数のブロック音データpnに分割し、これらの出力順をシフトさせつつ複数回測定を行う点は、全帯域の残響特性を測定する場合と同様である。具体的には、図3に示される1回の測定により、信号処理部202は4096サンプル分の検出音データ214を取得することができる。よって、信号処理部202は1回の測定で得られた4096サンプル分の検出音データを用いて残響パワーmdを算出し、周波数分析フィルタ207を利用してフィルタリングを行い、必要な周波数帯域毎の残響パワーmdを生成して内部メモリ206に記憶する。例えば、全周波数帯域を9帯域に分割して残響特性を測定する場合には、フィルタリングにより9帯域分の残響パワーmdを生成する。その後、信号処理部202は、各帯域について、残響パワーmdをブロック期間毎に合計して合計パワーrvを算出する。言い換えれば、図4に示した音響パワーのデータが必要帯域数分得られることになる。そして、信号処理部202は必要帯域数分の合計パワーデータを用いて、図10に例示するような3次元の周波数別残響特性を作成し、モニタ205へ表示する。図10の例では、全周波数帯域を9帯域に分割しており、周波数軸に示された数値はそれら9帯域の各々の中心周波数を示している。このように、周波数毎に残響特性を測定することができる。この場合も、各周波数の残響特性はブロック期間単位、即ち狭時間(約5ms)の残響特性の集合として得られている。
図9に周波数別残響特性の測定処理のフローチャートを示す。この処理も、基本的に信号処理部202により実行され、基本的な処理は図8に示した全帯域残響特性の測定処理と同様である。
まず、図9(a)に示すように、信号処理部202は、シフトカウンタCsを「0」に設定し(ステップS221)、次にブロックカウンタCbを「0」に設定し(ステップS222)、ブロックカウンタ値に対応する測定音データ、即ちブロック音データpnを出力し(ステップS223)、対応する検出音データを取得する(ステップS224)。さらに、帯域別音響パワー算出処理を行う(ステップS225)。
帯域別音響パワーの算出処理を図9(b)に示す。まず、信号処理部202は帯域(バンド)カウンタCfを「1」に設定する(ステップS241)。帯域カウンタCfは、周波数別残響特性測定の対象となる帯域を指定するカウンタである。なお、この例では測定の対象となる帯域数が「n」であると仮定する。信号処理部202は、周波数分析フィルタ207を利用して検出音データをフィルタリングし、当該帯域カウンタCfに対応する帯域の検出データを取得し(ステップS242)、その帯域における音響パワーmdを算出して記憶する(ステップS243)。
次に、信号処理部202は帯域カウンタCfを1増加し、帯域カウンタCfが測定の対象となる帯域数nを超えたか否かを判定する(ステップS245)。帯域カウンタCfが帯域数nを超えるまでは(ステップS245;No)、信号処理部202は次の帯域について同様の処理を実行し(ステップS242〜S243)、その帯域における音響パワーmdを算出する。そして、帯域カウンタCfが帯域数nを超えたときには(ステップS245;Yes)、処理は図9(a)に示すメインルーチンへ戻る。
こうして、信号処理部202は、ブロック期間毎の音響パワーmdを算出し、これを周波数帯域毎に記憶する(ステップS225)。そして、ブロックカウンタ値を1増加し(ステップS226)、ブロックカウンタCbが15より大きくなるまで、この処理をブロック期間数分(本例では16回)繰り返し、1回の測定を終了する(ステップS227)。
こうして1回の測定が終了すると、信号処理部202はシフトカウンタCsを1増加して次回の測定を行う(ステップS228)。そして、シフトカウンタCsが15より大きくなると、即ち、全16回の測定が完了すると(ステップS229;Yes)、信号処理部202は、各帯域について図3に例示するように測定回数毎及びブロック期間毎に音響パワーmdを算出し、さらに合計パワーrvを算出する(ステップS230)。そして、各帯域についてブロック期間毎の合計パワーを示す周波数別の残響特性波形、即ち、図10に示すような3次元の波形を作成し、モニタ205に表示する(ステップS231)。こうして、周波数別の残響特性が得られる。このように、本実施例では、周波数別の残響特性についても、ブロック期間単位、即ち約5msという短い時間幅で特性を測定することが可能となる。
なお、上記の例では、図3及び図4などに示すように、最初に再生されるブロック音データpnを1つずつシフトさせ、全ての再生順序パターンについてブロック音データpnを再生しているが、全ての再生順序パターンについてブロック音データpnの再生が行われば、最初に再生されるブロック音データpnを1つずつシフトさせなくてもよい。即ち、図3に示す1回目から16回目までの再生順序パターンの実行順序が異なっていても構わない。(例えば、図3における最下行の第16回目の再生順序パターンから最上行の1回目の再生順序パターンへという順でブロック音データpnの再生が実施されても構わない。)
ところで、一般に周波数特性の分析において各帯域間のレベル比較を行う場合、被測定部(測定対象となる音響空間)を通さずに、ピンクノイズなどの測定用ノイズを測定に使用する周波数分析フィルタに通過させ、その特性をオフセットデータとして利用する方法が知られている。即ち、音響空間を通過させずに取得した特性は、音響空間を除く測定系自体の特性であるので、実際に測定により得られた音響空間の特性に対して、このオフセットデータを利用して補正を行うことにより、測定系の特性を排除して音響空間自身の特性を正確に得ることができる。このような補正を行う場合、一般的にはオフセットデータは所定長さの測定用ノイズ(例えば4096サンプル分のピンクノイズ)全体に対するデータとして用意される。よって、所定長さの測定用ノイズの一部のみ(短い時間幅のみ)を用いて得られた特性に対して、このように所定長さのオフセットデータを用いて上述の補正を行うと誤差が大きくなってしまう。しかしながら、上述した本実施例の手法では、得られる音響特性は例えば5msという短い時間幅の特性であるが、それは測定音データの一部のみを出力して得た特性ではなく、16個のどのブロック期間についても測定音データ全体を出力して得た特性となっている。よって、上記のような所定長さの測定音データに対応するオフセットデータを適用して、誤差無く補正を行うことができるという利点がある。
また、音響空間内の残響音成分は一般的に測定音の出力後のどの時間帯に発生し、どの期間にわたって存在するかが不確定であるという性質を有する。よって、測定音のうち所定の時間幅だけを出力して取得した残響特性には、その音響空間内の残響音成分が正しく含まれていることが保証できず、正確性が低い。これに対し、本実施例の測定方法では、例えば5ms程度の短い時間幅の残響特性を得ることができるが、これは測定音の全体(即ち、16個のブロック音データの全て)に対応する検出音データに基づいて得られているので、その音響空間内に存在する残響音成分が正しく反映された正確な特性を得ることができるという利点がある。
また、この手法は低周波信号に対する音響特性を、その信号の周期に比べて非常に小さい時間幅で測定できるという点で特に有効である。例えば、20Hz程度の低周波信号に対するある音響空間の音響特性を測定する場合、最低でも、20Hzの低周波信号の1周期分、即ち50ms以上の時間幅を有する測定音を出力し、同じ時間幅でこの測定音をマイクで集音し、その検出音データを演算して音響特性を得る必要がある。こうして得られた応答特性は、約50msecの時間幅の応答特性であり、一般的には、これ以上の分解能、即ちこれ以上狭い時間幅を単位として20Hz程度の低周波信号の応答特性を測定することはできない。
これに対し、上述した本実施例の手法では、所定長さの測定音データを複数のブロック音データに分割し、再生順をシフトさせながら複数回測定を行い、その結果を同一のブロック期間毎に合成することにより、測定音全体に対する短い期間の音響特性を得ることができるという利点がある。よって、特定周波数(例えば20Hz)の低周波信号を測定音データとして用いた場合でも、その周期(即ち50ms)と比較してかなり短い期間(上記の例では約5ms)の音響特性を得ることが可能となる。
[自動音場補正装置への適用例]
次に、上記の音響特性測定手法を、自動音場補正装置に適用した具体例について説明する。なお、この例では、自動音場補正装置における周波数別の残響特性の測定に上述の音響特性測定手法を適用して、測定音が残響音成分を含まない期間における音響特性を取得し、それに基づいて自動音場補正を行うものである。
装置構成)
以下、本発明による自動音場補正装置の実施例を図面を参照して説明する。図11は、本実施例の自動音場補正装置を備えたオーディオシステムの構成を示すブロック図である。
図11において、本オーディオシステム100には、CD(Compact disc)プレーヤやDVD(Digital Video Disc又はDigital Versatile Disc)プレーヤ等の音源1から複数チャンネルの信号伝送路を通じてデジタルオーディオ信号SFL,SFR,SC,SRL,SRR,SWF,SSBL及びSSBRが供給される信号処理回路2と、測定用信号発生器3とが設けられている。
なお、本オーディオシステムは複数チャンネルの信号伝送路を含むが、以下の説明では各チャンネルをそれぞれ「FLチャンネル」、「FRチャンネル」などと表現することがある。また、信号及び構成要素の表現において複数チャンネルの全てについて言及する時は参照符号の添え字を省略する場合がある。また、個別チャンネルの信号及び構成要素に言及する時はチャンネルを特定する添え字を参照符号に付す。例えば、「デジタルオーディオ信号S」と言った場合は全チャンネルのデジタルオーディオ信号SFL〜SSBRを意味し、「デジタルオーディオ信号SFL」と言った場合はFLチャンネルのみのデジタルオーディオ信号を意味するものとする。
更に、オーディオシステム100は、信号処理回路2によりチャンネル毎に信号処理されたデジタル出力DFL〜DSBRをアナログ信号に変換するD/A変換器4FL〜4SBRと、これらのD/A変換器4FL〜4SBRから出力される各アナログオーディオ信号を増幅する増幅器5FL〜5SBRとを備えている。これらの増幅器5で増幅した各アナログオーディオ信号SPFL〜SPSBRを、図16に例示するようなリスニングルーム7等に配置された複数チャンネルのスピーカ6FL〜6SBRに供給して鳴動させるようになっている。
また、オーディオシステム100は、受聴位置RVにおける再生音を集音するマイクロホン8と、マイクロホン8から出力される集音信号SMを増幅する増幅器9と、増幅器9の出力をデジタルの集音データDMに変換して信号処理回路2に供給するA/D変換器10とを備えている。
ここで、オーディオシステム100は、オーディオ周波数帯域のほぼ全域にわたって再生可能な周波数特性を有する全帯域型のスピーカ6FL,6FR,6C,6RL,6RRと、所謂重低音だけを再生するための周波数特性を有する低域再生専用のスピーカ6WFと、受聴者の背後に配置されるサラウンドスピーカ6SBL及び6SBRを鳴動させることで、受聴位置RVにおける受聴者に対して臨場感のある音場空間を提供する。
各スピーカの配置としては、例えば、図16に示すように、受聴者が好みに応じて、受聴位置RVの前方に、左右2チャンネルのフロントスピーカ(前方左側スピーカ、前方右側スピーカ)6FL,6FRとセンタースピーカ6Cを配置する。また、受聴位置RVの後方に、左右2チャンネルのスピーカ(後方左側スピーカ、後方右側スピーカ)6RL,6RRと左右2チャンネルのサラウンドスピーカ6SBL,6SBRを配置し、更に、任意の位置に低域再生専用のサブウーハ6WFを配置する。オーディオシステム100に備えられた自動音場補正システムは、周波数特性、各チャンネルの信号レベル及び信号到達遅延特性を補正したアナログオーディオ信号SPFL〜SPSBRをこれら8個のスピーカ6FL〜6SBRに供給して鳴動させることで、臨場感のある音場空間を実現する。
信号処理回路2は、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)等で形成されており、図12に示すように、大別して信号処理部20と、係数演算部30とから構成される。信号処理部20は、CD、DVD、その他の各種音楽ソースを再生する音源1から複数チャンネルのデジタルオーディオ信号を受け取り、各チャンネル毎に周波数特性補正、レベル補正及び遅延特性補正を施してデジタル出力信号DFL〜DSBRを出力する。係数演算部30は、マイクロホン8で集音された信号をデジタルの集音データDMとして受け取り、周波数特性補正、レベル補正及び遅延特性補正のための係数信号SF1〜SF8、SG1〜SG8、SDL1〜SDL8をそれぞれ生成して信号処理部20へ供給する。マイクロホン8からの集音データDMに基づいて信号処理部20が適切な周波数特性補正、レベル補正及び遅延特性補正を行うことにより、各スピーカ6から最適な信号が出力される。
信号処理部20は、図13に示すようにグラフィックイコライザGEQと、チャンネル間アッテネータATG1〜ATG8と、遅延回路DLY1〜DLY8とを備えている。一方、係数演算部30は、図14に示すように、システムコントローラMPUと、周波数特性補正部11と、チャンネル間レベル補正部12と、遅延特性補正部13とを備えている。周波数特性補正部11、チャンネル間レベル補正部12及び遅延特性補正部13はDSPを構成している。
周波数特性補正部11がグラフィックイコライザGEQの各チャンネルに対応するイコライザEQ1〜EQ8の周波数特性を調整し、チャンネル間レベル補正部12がチャンネル間アッテネータATG1〜ATG8の減衰率を調整し、遅延特性補正部13が遅延回路DLY1〜DLY8の遅延時間を調整することで、適切な音場補正を行うように構成されている。
ここで、各チャンネルのイコライザEQ1〜EQ5、EQ7及びEQ8は、それぞれ複数の帯域毎に周波数特性補正を行うように構成されている。即ち、オーディオ周波数帯域を例えば9つの帯域(各帯域の中心周波数をf1〜f9とする。)に分割し、帯域毎にイコライザEQの係数を決定して周波数特性補正を行う。なお、イコライザEQ6は、低域の周波数特性を調整するように構成されている。
オーディオシステム100は、動作モードとして自動音場補正モードと音源信号再生モードの2つのモードを有する。自動音場補正モードは、音源1からの信号再生に先だって行われる調整モードであり、システム100の設置された環境について自動音場補正を行う。その後、音源信号再生モードでCDなどの音源1からの音響信号が再生される。以下の説明は、主として自動音場補正モードにおける補正処理に関するものである。
図13を参照すると、FLチャンネルのイコライザEQ1には、音源1からのデジタルオーディオ信号SFLの入力をオン/オフ制御するスイッチ素子SW12と、測定用信号発生器3からの測定用信号DNの入力をオン/オフ制御するスイッチ素子SW11が接続され、スイッチ素子SW11はスイッチ素子SWNを介して測定用信号発生器3に接続されている。
スイッチ素子SW11,SW12,SWNは、図14に示すマイクロプロセッサで形成されたシステムコントローラMPUによって制御され、音源信号再生時には、スイッチ素子SW12がオン(導通)、スイッチ素子SW11とSWNがオフ(非導通)となり、音場補正時には、スイッチ素子SW12がオフ、スイッチ素子SW11とSWNがオンとなる。
また、イコライザEQ1の出力接点には、チャンネル間アッテネータATG1が接続され、チャンネル間アッテネータATG1の出力接点には遅延回路DLY1が接続されている。そして、遅延回路DLY1の出力DFLが、図11中のD/A変換器4FLに供給される。
他のチャンネルもFLチャンネルと同様の構成となっており、スイッチ素子SW11に相当するスイッチ素子SW21〜SW81と、スイッチ素子SW12に相当するスイッチ素子SW22〜SW82が設けられている。そして、これらのスイッチ素子SW21〜SW82に続いて、イコライザEQ2〜EQ8と、チャンネル間アッテネータATG2〜ATG8と、遅延回路DLY2〜DLY8が備えられ、遅延回路DLY2〜DLY8の出力DFR〜DSBRが図11中のD/A変換器4FR〜4SBRに供給される。
更に、各チャンネル間アッテネータATG1〜ATG8は、チャンネル間レベル補正部12からの調整信号SG1〜SG8に従って0dBからマイナス側の範囲で減衰率を変化させる。また、各チャンネルの遅延回路DLY1〜DLY8は、位相特性補正部13からの調整信号SDL1〜SDL8に従って入力信号の遅延時間を変化させる。
周波数特性補正部11は、各チャンネルの周波数特性を所望の特性となるように調整する機能を有する。図15(A)に示すように、周波数特性補正部11は、バンドパスフィルタ11a、係数テーブル11b、利得演算部11c、係数決定部11d、及び係数テーブル11eを備えて構成される。
バンドパスフィルタ11aは、イコライザEQ1〜EQ8に設定されている9個の帯域を通過させる複数の狭帯域デジタルフィルタで構成されており、A/D変換器10からの集音データDMを周波数f1〜f9と中心とする9つの周波数帯域に弁別することにより、各周波数帯域のレベルを示すデータ[PxJ]を利得演算部11cに供給する。なお、バンドパスフィルタ11aの周波数弁別特性は、係数テーブル11bに予め記憶されているフィルタ係数データによって設定される。
利得演算部11cは、帯域毎のレベルを示すデータ[PxJ]に基づいて、自動音場補正時のイコライザEQ1〜EQ8の利得(ゲイン)を周波数帯域毎に演算し、演算した利得データ[GxJ]を係数決定部11dに供給する。即ち、予め既知となっているイコライザEQ1〜EQ8の伝達関数にデータ[PxJ]を適用することで、イコライザEQ1〜EQ8の周波数帯域毎の利得(ゲイン)を逆算する。
係数決定部11dは、図14に示すシステムコントローラMPUの制御下でイコライザEQ1〜EQ8の周波数特性を調節するためのフィルタ係数調整信号SF1〜SF8を生成する。(なお、音場補正の際に、受聴者の指示する条件に応じて、フィルタ係数調整信号SF1〜SF8を生成するように構成されている。)
受聴者が音場補正の条件を指示せず、本音場補正システムに予め設定されている標準の音場補正を行う場合には、利得演算部11cから供給される周波数帯域毎の利得データ[GxJ]によって係数テーブル11eからイコライザEQ1〜EQ8の周波数特性を調節するためのフィルタ係数データを読み出し、このフィルタ係数データのフィルタ係数調整信号SF1〜SF8によりイコライザEQ1〜EQ8の周波数特性を調節する。
即ち、係数テーブル11eには、イコライザEQ1〜EQ8の周波数特性を様々に調節するためのフィルタ係数データが予めルックアップテーブルとして記憶されており、係数決定部11dが利得データ[GxJ]に対応するフィルタ係数データを読み出し、その読み出したフィルタ係数データをフィルタ係数調整信号SF1〜SF8として各イコライザEQ1〜EQ8に供給することで、チャンネル毎に周波数特性を調整する。
本例では、周波数特性補正部11が周波数特性の調節のために使用する音響特性が、残響音成分を含まない期間において得られた音響特性となるようにする。図18に、周波数特性補正部11による周波数特性の調整方法を模式的に示す。図18に示すように、周波数特性補正では、測定用信号発生器3から出力されたピンクノイズなどの測定用信号が信号処理回路2から出力され、D/A変換器4を通ってスピーカ6から測定用信号音として出力される。この測定用信号音はマイク8により集音され、A/D変換器10を介して信号処理回路2へ集音データとして供給される。
ここで、スピーカ6から出力された測定用信号音は、大別して直接音成分35、初期反射音成分33及び残響音成分37の3種類の音としてマイク8へ到達する。直接音成分35は、スピーカ6から出力され、壁、床などを含む障害物などの影響を受けることなく、直接的にマイク8へ至る音成分である。初期反射音(一次反射音とも呼ばれる。)成分33は、部屋の壁や床などにより1回反射してマイク8へ到達する音成分である。また、残響音成分37は、部屋の壁、床その他の障害物などにより複数回の反射を繰り返した後にマイク8へ到達する音成分である。
図19に、測定用信号音の出力後の音圧レベル変化を示す。なお、測定用信号音としては、ピンクノイズを一定レベルで継続的に出力するものとする。時刻t0で測定用信号音を出力した場合、遅延時間Td経過後の時刻t1において、測定用信号音が信号処理回路2により受信される。なお、遅延時間Tdは測定用信号が信号処理回路2から出力された後、図18に示すループを一周して信号処理回路2へ戻るまでに要する時間であり、具体的には、測定用信号が信号処理回路2からD/A変換器4を通ってスピーカ6まで送られるのに要する時間と、測定用信号音がスピーカ6からマイク8へ伝搬するのに要する時間と、マイク8により集音された音信号がA/D変換器10を通って信号処理回路2まで送られるのに要する時間の合計に相当する。即ち、測定用信号音の伝搬時間と、測定用信号及び収集された信号の電気的な処理時間の和となる。
図19に示されるように、最初に信号処理回路2により受信されるのは測定用信号音の直接音成分であり、直接音成分はその後も一定のレベルで受信される。また、その後、直接音成分が受信された時刻t1の直後から初期反射音成分が受信され始め、さらに時刻t1から数十msecが経過すると、残響音成分が増大する。残響音成分は、その後一定のレベルL1で飽和する。
本実施例では、測定用信号音の直接音成分及び初期反射音成分が信号処理回路2に到達しているが、残響音成分が未だほとんど到達していない時間(以下、「直接音期間」と呼ぶ。)を測定対象期間とし、その期間に得られた周波数帯域毎の残響特性に基づいて、各チャンネルの信号伝送路の周波数特性の調整を行う。これにより、周波数特性の調節において、測定用信号音の残響音成分の影響を排除することができる。直接音期間は40は、スピーカから出力された測定用信号音が信号処理回路2に到達した直後の期間となり、本システムを配置する部屋や空間の大きさや構造などに依存する。一般的な家庭の部屋などの場合、直接音期間は、測定用信号音が最初に受信された時刻t1から20〜40msec程度の範囲であることがわかっている。よって、直接音期間を、測定用信号音の直接音成分が最初に受信された時刻t1から20〜40secの範囲内で例えば10msec程度の期間に設定し、その期間にわたって測定用信号音を検出し、それを分析して周波数特性の調整を行えばよい。
具体的には、先に説明した音響特性測定装置200の構成をオーディオシステム100に適用し、所定長さ、例えば4096サンプルからなる約80ms分のピンクノイズデータなどを測定用信号音として出力して周波数別残響特性の測定を行い、図10に例示するような周波数帯域毎の残響特性を作成する。そして、周波数帯域毎に、得られた残響特性のうち、測定用信号音の出力後20〜40msの範囲内で10ms程度の期間を直接音期間と設定し、その期間における周波数帯域毎の残響特性に基づいて各チャンネルの周波数特性補正を実行すればよい。
このように、測定対象期間として直接音期間における周波数帯域毎の残響特性を測定し、それに基づいて周波数特性の調節を行うことにより、残響音の悪影響を受けることなく、直接音を対象として各チャンネルの信号伝送路の周波数特性を目標の特性となるように調整することが可能となる。なお、直接音期間には、残響音は極力含まれないことが好ましいが、初期反射音が含まれていても構わない。これは、周波数特性の調節後に音源信号を再生した場合、利用者は通常直接音のみでなく、床や壁などからの初期反射音も同時に聴くことになるので、初期反射音も考慮して周波数特性を調節しておくことは有益であるからである。よって、「直接音期間」は、測定用信号音の直接音のみを含む期間のみならず、初期反射音を含む期間であってもよい。
また、上記のように、チャンネル毎に直接音に関して目標の周波数特性を設定できるという利点に加え、複数のチャンネル間における残響特性がまちまちであるような環境においても、それに影響されることなく、チャンネル間の特性を揃えることができるという利点もある。
次に、チャンネル間レベル補正部12について説明する。チャンネル間レベル補正部12は、各チャンネルを通じて出力される音響信号の音圧レベルを均一にする役割を有する。具体的には、測定用信号発生器3から出力される測定用信号(ピンクノイズ)DNによって各スピーカ6FL〜6SBRを個別に鳴動させたときに得られる集音データDMを順に入力し、その集音データDMに基づいて、受聴位置RVにおける各スピーカの再生音のレベルを測定する。
チャンネル間レベル補正部12の概略構成を図15(B)に示す。A/D変換器10から出力される集音データDMはレベル検出部12aに入力される。なお、チャンネル間レベル補正部12は、基本的に各チャンネルの信号の全帯域に対して一律にレベルの減衰処理を行うので帯域分割は不要であり、よって図15(A)の周波数特性補正部11に見られるようなバンドバスフィルタを含まない。
レベル検出部12aは集音データDMのレベルを検出し、各チャンネルについての出力オーディオ信号レベルが一定となるように利得調整を行う。具体的には、レベル検出部12aは検出した集音データのレベルと基準レベルとの差を示すレベル調整量を生成し、調整量決定部12bへ出力する。調整量決定部12bはレベル検出部12aから受け取ったレベル調整量に対応する利得調整信号SG1〜SG8を生成して各チャンネル間アッテネータATG1〜ATG8へ供給する。各チャンネル間アッテネータATG1〜ATG8は、利得調整信号SG1〜SG8に応じて各チャンネルのオーディオ信号の減衰率を調整する。このチャンネル間レベル補正部12の減衰率調整により、各チャンネル間のレベル調整(利得調整)が行われ、各チャンネルの出力オーディオ信号レベルが均一となる。
遅延特性補正部13は、各スピーカの位置と受聴位置RVとの間の距離差に起因する信号遅延を調整する、即ち、本来同時に受聴者が聴くべき各スピーカ6からの出力信号が受聴位置RVに到達する時刻がずれることを防止する役割を有する。よって、遅延特性補正部13は、測定用信号発生器3から出力される測定用信号(ピンクノイズ)DNによって各スピーカ6を個別に鳴動させたときに得られる集音データDMに基づいて各チャンネルの遅延特性を測定し、その測定結果に基づいて音場空間の位相特性を補正する。
具体的には、図13に示すスイッチSW11〜SW82を順次切り換えることにより、測定用信号発生器3から発生された測定用信号DNを各チャンネル毎に各スピーカ6から出力し、これをマイクロホン8により集音して対応する集音データDMを生成する。測定用信号を例えばインパルスなどのパルス性信号とすると、スピーカ8からパルス性の測定用信号を出力した時刻と、それに対応するパルス信号がマイクロホン8により受信された時刻との差は、各チャンネルのスピーカ6とマイクロホン8との距離に比例することになる。よって、測定より得られた各チャンネルの遅延時間のうち、最も遅延量の大きいチャンネルの遅延時間に残りのチャンネルの遅延時間を合わせることにより、各チャンネルのスピーカ6と受聴位置RVとの距離差を吸収することができる。よって、各チャンネルのスピーカ6から発生する信号間の遅延を等しくすることができ、複数のスピーカ6から出力された時間軸上で一致する時刻の音響が同時に受聴位置RVに到達することになる。
図15(C)に遅延特性補正部の構成を示す。遅延量演算部13aは集音データDMを受け取り、パルス性測定用信号と集音データとの間のパルス遅延量に基づいて、各チャンネル毎に音場環境による信号遅延量を演算する。遅延量決定部13bは遅延量演算部13aから各チャンネル毎に信号遅延量を受け取り、一時的にメモリ13cに記憶する。全てのチャンネルについての信号遅延量が演算され、メモリ13cに記憶された状態で、調整量決定部13bは最も大きい信号遅延量を有するチャンネルの再生信号が受聴位置RVに到達するのと同時に他のチャンネルの再生信号が受聴位置RVに到達するように、各チャンネルの調整量を決定し、調整信号SDL1〜SDL8を各チャンネルの遅延回路DLY1〜DLY8に供給する。各遅延回路DLY1〜DLY8は調整信号SDL1〜SDL8に応じて遅延量を調整する。こうして、各チャンネルの遅延特性の調整が行われる。なお、上記の例では遅延調整のための測定用信号としてパルス性信号を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の測定用信号を用いてもよい。
(自動音場補正処理)
次に、かかる構成を有する自動音場補正装置による自動音場補正の動作について説明する。
まず、オーディオシステム100を使用する環境としては、受聴者が、例えば図16に示したように複数のスピーカ6FL〜6SBRをリスニングルーム7等に配置し、図1に示すようにオーディオシステム100に接続する。そして、受聴者がオーディオシステム100に備えられているリモートコントローラ(図示省略)等を操作して自動音場補正開始の指示をすると、システムコントローラMPUがこの指示に従って自動音場補正処理を実行する。
次に、本発明の自動音場補正における基本的な原理を説明する。先に述べたように、自動音場補正において行う処理は、各チャンネルの周波数特性補正、音圧レベルの補正及び遅延特性補正がある。ここで本発明においては、周波数特性補正において、直接音(初期反射音を含む)を主対象として、所望の周波数特性が得られるように各チャンネルの周波数特性の調整を行う。ここで、直接音期間における周波数特性は、上述の音響特性測定装置200により周波数別の音響特性測定を行うことにより得られる。
次に、このような周波数特性補正を含む自動音場補正処理の概要を図17のフローチャートを参照して説明する。
始めに、ステップS10で、周波数特性補正部11がイコライザEQ1〜EQ8の周波数特性を調整する処理が行われる。次に、ステップS20のチャンネル間レベル補正処理で、チャンネル間レベル補正部12により、各チャンネルに設けられているチャンネル間アッテネータATG1〜ATG8の減衰率を調節する処理が行われる。次に、ステップS30の遅延特性補正処理で、遅延特性補正部13により、全チャンネルの遅延回路DLY1〜DLY8の遅延時間を調整する処理が行われる。この順序で本発明による自動音場補正が行われる。
次に、ステップS10の周波数特性補正処理について、図20を参照して詳しく説明する。図20は本実施例による周波数特性補正処理のフローチャートである。なお、図20に示す周波数特性補正処理は、各チャンネルの周波数特性補正処理に先だって、各チャンネルの遅延測定を行うものである。ここで、遅延測定とは、測定用信号を信号処理回路2が出力してから、それに対応する集音データが信号処理回路2に到達するまでの遅延時間、即ち、図18に示した遅延時間Tdを各チャンネル毎に事前に測定する処理である。図19に示されるように、直接音期間40は、測定用信号音が信号処理回路2に到達した時刻t1から所定の時間範囲に設定されるので、各チャンネル毎に遅延時間Tdを測定しておくことにより、信号処理回路2は時刻t1を正確に把握することができ、正確に直接音期間40内の集音データDMを検出することが可能となる。図20においては、ステップS100〜S106がこの遅延測定処理に対応し、ステップS108〜S116が実際の周波数特性補正処理に対応している。
図20において、信号処理回路2は、まず複数のチャンネルのうちの1つのチャンネルについて例えばパルス性の遅延測定用信号を出力し、これがスピーカ6から測定用信号音として出力される(ステップS100)。この測定用信号音は、マイクロホン8により集音され、集音データDMが信号処理回路2へ供給される(ステップS102)。信号処理回路2内の周波数特性補正部11は遅延時間Tdを演算し、内部メモリなどに記憶する(ステップS104)。これらステップS100〜S104の処理を全てのチャンネルについて行うことにより(ステップS106:Yes)、全てのチャンネルについての遅延時間Tdがメモリに格納されたことになる。こうして、遅延時間測定が完了する。
次に、各チャンネルについて、周波数特性補正を行う。具体的には、前述の音響特性測定装置200と同様の構成により、オーディオシステム100の信号処理回路2などが各周波数帯域毎に残響特性を測定する(ステップS108)。この測定により、直接音期間のみに対応する残響特性を得ることができる。
そして、取得された残響特性に基づいて、各チャンネルについて周波数特性補正部11内の係数決定部11dがイコライザ係数を設定し(ステップS110)、そのイコライザ係数に基づいてイコライザが調整される(ステップS112)。こうして、直接音期間における残響特性に基づいて、各チャンネルの周波数特性補正処理が終了する。
その後、ステップS20でチャンネル間レベル補正処理が行われ、さらにステップS30で遅延特性補正処理が行われて、自動音場補正処理が終了する。
なお、上記実施形態においては本発明に係る信号処理を信号処理回路により実現する例を示したが、その代わりに、同一の信号処理をコンピュータ上で実行されるプログラムとして構成し、コンピュータ上で実行することにより実現することも可能である。この場合、該プログラムはCD−ROM、DVDなどの記録媒体の形態で、又はネットワークなどを利用した通信により供給される。コンピュータとしては、例えばパーソナルコンピュータなどを利用することができ、周辺機器として複数のチャンネルに対応するオーディオインターフェース、複数のスピーカ及びマイクなどを接続する。パーソナルコンピュータ上で上記プログラムを実行することにより、コンピュータ内部又は外部に設けた音源を利用して測定用信号を発生し、これをオーディオインターフェース及びスピーカを介して出力し、マイクで集音することにより、コンピュータを使用して、上述の音響特性測定装置及び自動音場補正装置を実現することができる。
本実施例に係る音響特性測定システムの概略構成を示す。 測定音データの波形例を示す。 音響特性の測定におけるブロック音データの出力方法を説明するための図である。 ブロック音データに対応する音響パワー及び合計パワーの算出例を示す図である。 測定により得られた全帯域の残響特性の例を示す。 音響特性の測定におけるブロック音データの出力方法を示す図である。 ブロック音データに対応する音響パワー及び合計パワーの算出例を示す図である。 全帯域の残響特性測定処理のフローチャートである。 周波数別の残響特性測定処理のフローチャートである。 測定により得られた周波数別残響特性の例を示す。 本発明の実施例の自動音場補正装置を備えるオーディオシステムの構成を示すブロック図である。 図11に示す信号処理回路の内部構成を示すブロック図である。 図12に示す信号処理部の構成を示すブロック図である。 図12に示す係数演算部の構成を示すブロック図である。 図14に示す周波数特性補正部、チャンネル間レベル補正部及び遅延特性補正部の構成を示すブロック図である。 ある音場環境におけるスピーカの配置例を示す図である。 自動音場補正処理のメインルーチンを示すフローチャートである。 周波数特性補正を行うための構成を模式的に示す。 周波数特性補正の測定用信号音の音圧レベル変化を示すグラフである。 周波数特性補正処理を示すフローチャートである。
符号の説明
1 音源
2 信号処理回路
3 測定用信号発生器
8 マイクロホン
9 増幅器
10 A/D変換器
11 周波数特性補正部
200 音響特性測定装置
202 信号処理部
203 測定用信号発生器
204 D/A変換器
205 モニタ
206 内部メモリ
207 周波数分析フィルタ
209 D/A変換器
216 スピーカ
218 マイク

Claims (14)

  1. 測定音を音響空間内に出力する測定音出力手段と、
    前記音響空間内において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、
    前記検出音データに基づいて、前記音響空間内の音響特性を決定する特性決定手段と、
    を備え、
    前記測定音出力手段は、
    所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、
    前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序で再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備え、
    前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて音響特性を決定することを特徴とする音響特性測定装置。
  2. 前記特性決定手段は、前記同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データに基づいて、前記ブロック期間毎の音響特性を決定することを特徴とする請求項1に記載の音響特性測定装置。
  3. 前記特性決定手段は、前記ブロック期間毎の音響特性に基づいて、前記所定時間にわたる音響特性波形を生成することを特徴とする請求項2に記載の音響特性測定装置。
  4. 前記特性決定手段は、
    前記検出データを所定数の周波数帯域に分割して周波数帯域毎の検出データを作成する手段と、
    前記周波数帯域毎の検出データに基づいて、所定数の周波数帯域毎の音響特性を決定する手段と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の音響特性測定装置。
  5. 前記再生処理手段は、前記測定音データに含まれる前記ブロック期間の数だけ、前記再生処理を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の音響特性測定装置。
  6. 前記再生処理手段は、1回の前記再生処理中に前記複数のブロック音データを複数周期にわたり繰り返して再生することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の音響特性測定装置。
  7. 所定周波数の信号を含む測定音を音響空間内に出力する測定音出力手段と、
    前記音響空間内において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、
    前記検出音データに基づいて、前記音響空間内の音響特性を決定する特性決定手段と、
    を備え、
    前記測定音出力手段は、
    所定時間の測定音データを、各々が前記所定周波数に対応する周期より小さい複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、
    前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序に従って再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備え、
    前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて前記所定周波数に対応する周期よりも小さい時間幅における音響特性を決定することを特徴とする音響特性測定装置。
  8. 複数のオーディオ信号に対して、各々に対応する信号伝送路上で信号処理を施し、対応する複数のスピーカへ出力する自動音場補正装置において、
    各信号伝送路に測定音を出力する測定音出力手段と、
    前記各信号伝送路において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、
    前記検出音データに基づいて、測定対象期間における前記各信号伝送路の音響特性を決定する特性決定手段と、
    前記音響特性に基づいて、前記各信号伝送路のオーディオ信号の周波数特性を調整する周波数特性調整手段と、を備え、
    前記測定音出力手段は、
    所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、
    前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序に従って再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備え、
    前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて前記測定対象期間における前記各信号伝送路の音響特性を決定することを特徴とする自動音場補正装置。
  9. コンピュータ上で実行することにより、前記コンピュータを、
    測定音を音響空間内に出力する測定音出力手段と、
    前記音響空間内において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、
    前記検出音データに基づいて、前記音響空間内の音響特性を決定する特性決定手段と、
    を備え、
    前記測定音出力手段は、
    所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、
    前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序で再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備える音響特性測定装置として機能させ、
    前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて音響特性を決定することを特徴とするコンピュータプログラム。
  10. コンピュータ上で実行することにより、前記コンピュータを、
    所定周波数の信号を含む測定音を音響空間内に出力する測定音出力手段と、
    前記音響空間内において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、
    前記検出音データに基づいて、前記音響空間内の音響特性を決定する特性決定手段と、
    を備え、
    前記測定音出力手段は、
    所定時間の測定音データを、各々が前記所定周波数に対応する周期より小さい複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、
    前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序に従って再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備える音響特性測定装置として機能させ、
    前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて前記所定周波数に対応する周期よりも小さい時間幅における音響特性を決定することを特徴とするコンピュータプログラム。
  11. コンピュータ上で実行することにより、前記コンピュータを、複数のオーディオ信号に対して、各々に対応する信号伝送路上で信号処理を施し、対応する複数のスピーカへ出力する自動音場補正装置として機能させるコンピュータプログラムであって、前記自動音場補正装置は、
    各信号伝送路に測定音を出力する測定音出力手段と、
    前記各信号伝送路において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出手段と、
    前記検出音データに基づいて、測定対象期間における前記各信号伝送路の音響特性を決定する特性決定手段と、
    前記音響特性に基づいて、前記各信号伝送路のオーディオ信号の周波数特性を調整する周波数特性調整手段と、を備え、
    前記測定音出力手段は、
    所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データ作成手段と、
    前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序に従って再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力する再生処理手段と、を備え、
    前記特性決定手段は、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて前記測定対象期間における前記各信号伝送路の音響特性を決定することを特徴とするコンピュータプログラム。
  12. 測定音を音響空間内に出力する測定音出力工程と、
    前記音響空間内において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出工程と、
    前記検出音データに基づいて、前記音響空間内の音響特性を決定する特性決定工程と、
    を含み、
    前記測定音出力工程において、所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成し、
    前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序で再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力し、
    前記特性決定工程において、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて音響特性を決定することを特徴とする音響特性測定方法。
  13. 所定周波数の信号を含む測定音を音響空間内に出力する測定音出力工程と、
    前記音響空間内において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出工程と、
    前記検出音データに基づいて、前記音響空間内の音響特性を決定する特性決定工程と、
    を含み、
    前記測定音出力工程において、所定時間の測定音データを、各々が前記所定周波数に対応する周期より小さい複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成し、
    前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序に従って再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力し、
    前記特性決定工程において、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて前記所定周波数に対応する周期よりも小さい時間幅における音響特性を決定することを特徴とする音響特性測定方法。
  14. 複数のオーディオ信号に対して、各々に対応する信号伝送路上で信号処理を施し、対応する複数のスピーカへ出力する自動音場補正方法において、
    各信号伝送路に測定音を出力する測定音出力工程と、
    前記各信号伝送路において前記測定音を集音して対応する検出音データを出力する検出工程と、
    前記検出音データに基づいて、測定対象期間における前記各信号伝送路の音響特性を決定する特性決定工程と、
    前記音響特性に基づいて、前記各信号伝送路のオーディオ信号の周波数特性を調整する周波数特性調整工程と、を含み、
    前記測定音出力工程において、所定時間の測定音データを複数のブロック期間に分割して複数のブロック音データを作成するブロック音データを作成し、
    前記複数のブロック音データについて前記測定音データを構成する順序に従って再生する再生処理を、最初に再生するブロック音データを1つずつシフトして得られる全ての再生順序パターンについて行うことにより前記測定音を出力し、
    前記特性決定工程において、各回の再生処理中に同一の再生順において再生された前記ブロック音データに対応する前記検出音データを合計して合計パワーを算出し、前記合計パワーに基づいて前記測定対象期間における前記各信号伝送路の音響特性を決定することを特徴とする自動音場補正方法。
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