JP4375356B2 - 動力出力装置およびその制御方法 - Google Patents

動力出力装置およびその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、駆動軸に動力を出力する動力出力装置およびその制御方法に関する。
従来から、ハイブリッド車両用の動力出力装置として、車軸に連結された駆動軸と、遊星歯車機構を介して駆動軸に接続されたエンジンと、当該遊星歯車機構に接続された第1モータ・ジェネレータと、ギヤ機構を介して駆動軸に接続された第2モータ・ジェネレータとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この動力出力装置では、エンジンの運転中に第2モータ・ジェネレータのトルクを実質的に値0に設定すべき場合に、エンジンのトルク変動が噛み合い機構としてのギヤ機構に伝達されて歯打ち音等の異音が発生することを抑制するために第2モータ・ジェネレータが実質的に値0以外のトルクを出力するように制御される。
特開2004−254434号公報
しかしながら、上記従来例のようにエンジンの運転中に第2モータ・ジェネレータのトルクを実質的に値0に設定すべき場合に、第2モータ・ジェネレータに対するトルク指令を値0以外の値に設定しても、ギヤ機構や駆動軸周辺等におけるこもり音や歯打ち音といった異音を良好に抑制し得ないこともあった。また、異音の発生を抑制するために、第2モータ・ジェネレータに対するトルク指令が値0を含む比較的広いトルク範囲内にあるときに、上述のように値0以外のトルクを出力するように第2モータ・ジェネレータを制御すると、エンジンの運転ポイントの変更に伴って燃費が悪化してしまうおそれもある。
そこで、本発明による動力出力装置およびその制御方法は、動力出力装置の運転に伴って発生するこもり音や歯打ち音といった異音による違和感をより効果的に抑制することを目的の一つとする。また、本発明による動力出力装置およびその制御方法は、異音による違和感の抑制に伴う燃費の悪化を抑制することを目的の一つとする。
本発明による動力出力装置およびその制御方法は、上述の目的を達成するために以下の手段を採っている。
本発明による動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
前記駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、
前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力を伴って前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を前記駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、
前記駆動軸にギヤ機構を介して動力を入出力可能な電動機と、
前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段と、
前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
前記電動機の出力トルクから該電動機に対する前記ギヤ機構側の引き摺りトルクを減じた値に基づく実効電動機トルクが値0を含む所定範囲内に入らないときには、第1の制約を用いて前記設定された要求駆動力に基づく前記内燃機関の目標運転ポイントを設定する一方、前記実効電動機トルクが前記所定範囲内に入るときには、前記第1の制約に比べて前記内燃機関の回転数の下限を高く規定する第2の制約を用いて前記設定された要求駆動力に基づく前記内燃機関の目標運転ポイントを設定する目標運転ポイント設定手段と、
前記設定された目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記設定された要求駆動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるように前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する制御手段と、
を備えるものである。
この動力出力装置では、電動機の出力トルクから該電動機に対するギヤ機構側の引き摺りトルクを減じた値に基づく実効電動機トルクが値0を含む所定範囲内に入らないときには、第1の制約を用いて要求駆動力に基づく内燃機関の目標運転ポイントが設定される一方、実効電動機トルクが所定範囲内に入るときには、第1の制約に比べて内燃機関の回転数の下限を高く規定する第2の制約を用いて要求駆動力に基づく内燃機関の目標運転ポイントが設定される。そして、このように設定された目標運転ポイントで内燃機関が運転されると共に要求駆動力に基づく動力が駆動軸に出力されるように内燃機関と電力動力入出力手段と電動機とが制御される。すなわち、ギヤ機構や駆動軸周辺等におけるこもり音や歯打ち音といった異音は、ギヤ機構を介して電動機から駆動軸に入力されるトルクに対応したトルクである実効電動機トルクが概ね値0となるときに主に発生すると考えられる。従って、この動力出力装置のように、電動機に対するギヤ機構側の引き摺りトルクを考慮した実効電動機トルクが値0を含む所定範囲内に入るときに、第2の制約を用いて内燃機関の目標運転ポイントを設定すれば、異音の発生タイミングをより的確に捉えた上で、異音が発生する際には内燃機関の回転数を必要に応じて高めるか高く保ってエンジン音により異音をかき消すことができる。この結果、この動力出力装置によれば、その運転に伴って発生する異音による違和感をより効果的に抑制すると共に、異音をかき消すための内燃機関の回転数制御の機会を減らして異音による違和感の抑制に伴う燃費の悪化を抑制することが可能となる。
また、前記ギヤ機構は、前記電動機の回転軸と前記駆動軸との間でギヤ比の変更を伴って動力を伝達可能な変速機であってもよい。すなわち、ギヤ機構としてこのような変速機を用いた場合、ギヤ機構を介して電動機から駆動軸に入力されるトルクの値に応じて異音が発生しがちとなるので、本発明は、このような変速機を備えた動力出力装置に対して極めて有用である。
この場合、本発明による動力出力装置は、少なくとも前記ギヤ機構を潤滑する潤滑媒体の温度と前記ギヤ機構のギヤ比とに基づいて前記引き摺りトルクを設定する引き摺りトルク設定手段とを更に備えてもよい。これにより、電動機に対するギヤ機構側の引き摺りトルクをより適正に設定することが可能となる。
また、前記実効電動機トルクは、前記制御手段の制御により前記電動機が出力しているトルクから前記引き摺りトルクを減じた値に前記ギヤ機構のギヤ比を乗じた値であってもよい。これにより、実効電動機トルクをより適正に取得して異音の発生タイミングをより的確に捉えることが可能となる。
更に、前記目標運転ポイント設定手段は、前記駆動軸への動力の出力状態に関連する所定条件が成立している場合に前記実効電動機トルクの値に拘わらず前記第1の制約を用いて前記設定された要求駆動力に基づく前記内燃機関の目標運転ポイントを設定するものであってもよい。このように、駆動軸への動力の出力状態に応じて、仮に異音が発生したとしてもエンジン音により異音を積極的にかき消す必要がないときには、第1の制約を用いて内燃機関の目標運転ポイントを設定すれば、燃費の悪化をより一層抑制することが可能となる。
また、前記第1の制約は、前記内燃機関を効率よく運転するための制約であってもよい。更に、前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転可能な第3の軸とに接続され、これら3軸のうちの何れか2軸に入出力される動力に基づいて定まる動力を残余の軸に入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力可能な発電機とを含むものであってもよい。
本発明による動力出力装置の制御方法は、駆動軸と、前記駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸とに接続され、電力と動力の入出力を伴って前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を前記駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、前記駆動軸にギヤ機構を介して動力を入出力可能な電動機と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段とを備える動力出力装置の制御方法であって、
(a)前記電動機の出力トルクから該電動機に対する前記ギヤ機構側の引き摺りトルクを減じた値に基づく実効電動機トルクが値0を含む所定範囲内に入らないときには、第1の制約を用いて前記駆動軸に要求される要求駆動力に基づく前記内燃機関の目標運転ポイントを設定する一方、前記実効電動機トルクが前記所定範囲内に入るときには、前記第1の制約に比べて前記内燃機関の回転数の下限を高く規定する第2の制約を用いて前記要求駆動力に基づく前記内燃機関の目標運転ポイントを設定するステップと、
(b)ステップ(a)で設定された目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記要求駆動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるように前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御するステップと、
を含むものである。
この方法のように、電動機に対するギヤ機構側の引き摺りトルクを考慮した実効電動機トルクが値0を含む所定範囲内に入るときに、第2の制約を用いて内燃機関の目標運転ポイントを設定すれば、異音の発生タイミングをより的確に捉えた上で、異音が発生する際には内燃機関の回転数を高めるか高く保ってエンジン音により異音をかき消すことができる。従って、この方法によれば、動力出力装置の運転に伴って発生する異音による違和感をより効果的に抑制すると共に、異音をかき消すための内燃機関の回転数制御の機会を減らして異音による違和感の抑制に伴う燃費の悪化を抑制することが可能となる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る動力出力装置を備えたハイブリッド自動車20の概略構成図である。同図に示すハイブリッド自動車20は、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、変速機60を介して動力分配統合機構30に接続されたモータMG2と、ハイブリッド自動車20の全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「ハイブリッドECU」という)70とを備える。
エンジン22は、ガソリンや軽油といった炭化水素系の燃料の供給を受けて動力を出力する内燃機関であり、当該エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24により燃料噴射量や点火時期、吸入空気量等の制御を受けている。エンジンECU24には、例えば、クランクシャフト26に取り付けられたクランクポジションセンサ23からの信号などが入力される。そして、エンジンECU24は、ハイブリッドECU70と通信しており、ハイブリッドECU70からの制御信号等に基づいてエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッドECU70に出力する。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して変速機60がそれぞれ連結されており、動力分配統合機構30は、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側とにそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構37およびデファレンシャルギヤ38を介して駆動輪39a,39bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、何れも発電機として作動すると共に電動機として作動可能な周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやり取りを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2の何れか一方により発電される電力を他方のモータで消費できるようになっている。従って、バッテリ50は、モータMG1,MG2の何れかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになり、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されないことになる。モータMG1,MG2は、何れもモータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や、図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流等が入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号等が出力される。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44から入力した信号に基づいて図示しない回転数算出ルーチンを実行し、モータMG1,MG2の回転子の回転数Nm1,Nm2を計算している。また、モータECU40は、ハイブリッドECU70と通信しており、ハイブリッドECU70からの制御信号等に基づいてモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッドECU70に出力する。
変速機60は、モータMG2の回転軸48とリングギヤ軸32aとの接続および該接続の解除を実行すると共に両軸の接続時にモータMG2の回転軸48の回転数を2段に減速してリングギヤ軸32aに伝達できるよう構成されたものである。変速機60の構成の一例を図2に示す。同図に示す変速機60は、ダブルピニオン式の遊星歯車機構60aとシングルピニオン式の遊星歯車機構60bと2つのブレーキB1,B2とを含む。ダブルピニオン式の遊星歯車機構60aは、外歯歯車のサンギヤ61と、このサンギヤ61と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ62と、サンギヤ61に噛合する複数の第1ピニオンギヤ63aと、この第1ピニオンギヤ63aに噛合すると共にリングギヤ62に噛合する複数の第2ピニオンギヤ63bと、複数の第1ピニオンギヤ63aおよび複数の第2ピニオンギヤ63bを連結して自転かつ公転自在に保持するキャリア64とを備える。かかる遊星歯車機構60aにおいては、ブレーキB1をオン/オフ制御することにより、サンギヤ61を自由に回転させるか、あるいはサンギヤ61の回転を停止させることができる。シングルピニオン式の遊星歯車機構60bは、外歯歯車のサンギヤ65と、このサンギヤ65と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ66と、サンギヤ65に噛合すると共にリングギヤ66に噛合する複数のピニオンギヤ67と、複数のピニオンギヤ67を自転かつ公転自在に保持するキャリア68とを備えており、サンギヤ65はモータMG2の回転軸48に、キャリア68はリングギヤ軸32aにそれぞれ連結される。かかる遊星歯車機構60bにおいては、ブレーキB2をオン/オフ制御することにより、リングギヤ66を自由に回転させるか、あるいはリングギヤ66の回転を停止させることができる。ダブルピニオン式の遊星歯車機構60aとシングルピニオン式の遊星歯車機構60bとは、リングギヤ62とリングギヤ66とを接続すると共に、キャリア64とキャリア68とを接続することにより互いに連結されている。そして、このような変速機60において、ブレーキB1,B2を共にオフすれば、モータMG2の回転軸48をリングギヤ軸32aから切り離すことができる。また、ブレーキB1をオフすると共にブレーキB2をオンすれば、モータMG2の回転軸48の回転を比較的大きな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達する一方(以下この状態を「Loギヤ」の状態という)、ブレーキB1をオンすると共にブレーキB2をオフすれば、モータMG2の回転軸48の回転を比較的小さな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達することができる(以下この状態を「Hiギヤ」の状態という)。また、ブレーキB1,B2を共にオンすれば、回転軸48やリングギヤ軸32aの回転を禁止することできる。実施例において、これらのブレーキB1,B2は、図示しない油圧式アクチュエータを駆動制御してブレーキB1,B2に作用させる油圧を調節することによりオン/オフ制御される。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧、バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流、バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tb等が入力されている。バッテリECU52は、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッドECU70やエンジンECU24に出力する。更に、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量SOCも算出している。
ハイブリッドECU70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッドECU70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号、シフトレバー81の操作位置であるシフトポジションSPを検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ88からの車速V、モータMG1,MG2の冷却や動力分配統合機構30や変速機60等の潤滑を行なう潤滑冷却オイルを貯留するオイルパン49に設けられた温度センサ49aからの油温Toil等が入力ポートを介して入力される。そして、ハイブリッドECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52と各種制御信号やデータのやり取りを行なっている。また、ハイブリッドECU70からは、変速機60に含まれるブレーキB1,B2の図示しないアクチュエータへの駆動信号等も出力ポートを介して出力される。
上述のように構成された実施例のハイブリッド自動車20では、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*が計算され、この要求トルクTr*に対応する動力がリングギヤ軸32aに出力されるようにエンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御モードとしては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや、要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2から要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するように運転制御するモータ運転モード等がある。
次に、上述のように構成されたハイブリッド自動車20の動作、特に、エンジン22の運転中にギヤ機構としての変速機60や駆動軸としてのリングギヤ軸32a周辺、更にはギヤ機構37やデファレンシャルギヤ38等において発生するこもり音や歯打ち音といった異音による違和感を抑制する際の動作について説明する。図3は、ハイブリッドECU70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に実行される。
図3の駆動制御ルーチンの開始に際して、ハイブリッドECU70のCPU72は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2、変速機60のギヤ比Gr、温度センサ49aからの潤滑冷却オイルの油温Toil、充放電要求パワーPb*、バッテリ50の充放電に許容される電力である入出力制限Win,Woutといった制御に必要なデータの入力処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、モータECU40から通信により入力するものとした。また、変速機60のギヤ比Grは、図示しない変速処理ルーチンにより変速機60の変速が実行されたときに設定されてRAM76の所定領域に記憶されているものである。更に、充放電要求パワーPb*は、バッテリ50の残容量SOC等に基づいてバッテリECU52によってバッテリ50を充放電すべき電力として設定されるものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の温度Tbとバッテリ50の残容量SOCとに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
ステップS100のデータ入力処理の後、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動輪39a,39bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*と、エンジン22に要求される要求パワーPe*とを設定する(ステップS110)。実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係が予め定められて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶されており、要求トルクTr*としては、与えられたアクセル開度Accと車速Vとに対応したものが当該マップから導出・設定される。図4に要求トルク設定用マップの一例を示す。また、実施例において、要求パワーPe*は、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nrを乗じたものと充放電要求パワーPb*とロスLossとの和として計算される。なお、リングギヤ軸32aの回転数Nrは、図示するようにモータMG2の回転数Nm2を現在の変速機60のギヤ比Grで除するか、あるいは車速Vに換算係数kを乗じることによって求めることができる。続いて、ステップS110にて設定した要求パワーPe*に基づいてエンジン22が効率よく運転されるようにエンジン22の目標運転ポイントとしての目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定する(ステップS120)。実施例では、第1の制約として予め定められたエンジン22を効率よく動作させるための動作ラインと要求パワーPe*とに基づいてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定するものとした。図5に、エンジン22の動作ラインと目標回転数Ne*と目標トルクTe*との相関曲線とを例示する。同図に示すように、目標回転数Ne*と目標トルクTe*は、動作ラインと要求パワーPe*(Ne*×Te*)が一定となることを示す相関曲線との交点から求めることができる。
こうしてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定したならば、ステップS110にて設定したエンジン22に対する要求パワーPe*が予め定められた閾値Pref以上であるか否かを判定する(ステップS130)。ここで、エンジン22の出力パワーがある程度小さければ、エンジン22のトルク変動も小さくなり、変速機60やリングギヤ軸32aの周辺等においてこもり音や歯打ち音等の異音が発生する可能性はごく低くなる。これを考慮して、実施例では、異音発生の可能性を判定するためのエンジンパワーに関する閾値Prefを実験、解析により予め定めている。そして、ステップS110にて設定した要求パワーPe*が比較的小さく、閾値Pref未満であると判断された場合には、ステップS120にて設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρ(サンギヤ31の歯数/リングギヤ32の歯数)とを用いて次式(1)に従いモータMG1の目標回転数Nm1*を計算した上で、計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づく式(2)の計算を実行してモータMG1のトルク指令Tm1*を設定する(ステップS210)。ここで、式(1)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。また、動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図6に例示する。図中、左側のS軸はモータMG1の回転数Nm1に一致するサンギヤ31の回転数を示し、中央のC軸はエンジン22の回転数Neに一致するキャリア34の回転数を示し、右側のR軸はモータMG2の回転数Nm2を変速機60の現在のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。また、R軸上の2つの太線矢印は、モータMG1からトルクTm1を出力したときにこのトルク出力によりリングギヤ軸32aに作用するトルクと、モータMG2から出力されるトルクTm2が変速機60を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクとを示す。モータMG1の目標回転数Nm1*を求めるための式(1)は、この共線図における回転数の関係を用いれば容易に導出することができる。そして、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) …(1)
Tm1*=前回Tm1*+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt …(2)
こうしてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定したならば、バッテリ50の入出力制限Win,Woutと、S210にて設定したモータMG1のトルク指令Tm1*と現在のモータMG1の回転数Nm1との積として得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で除することによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを次式(3)および式(4)に従って計算する(ステップS220)。更に、ステップS100にて入力した変速機60の現在のギヤ比Grと要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρとに基づいてモータMG2から出力すべきトルクとしての仮モータトルクTm2tmpを次式(5)に従って計算し(ステップS230)、モータMG2のトルク指令Tm2*をステップS220にて計算したトルク制限Tmin,Tmaxで仮モータトルクTm2tmpを制限した値として設定する(ステップS240)。このようにしてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するトルクをバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で制限したトルクとして設定することができる。なお、式(5)は、上述の図6の共線図から容易に導出することができる。こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*をエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40にそれぞれ送信し(ステップS250)、本ルーチンを一旦終了させる。目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを得るための制御を実行する。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*に従ってモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*に従ってモータMG2が駆動されるようにインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
Tmin=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(3)
Tmax=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 …(4)
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr …(5)
一方、ステップS110にて設定した要求パワーPe*がある程度大きく、ステップS130にて肯定判断がなされた場合には、更に、ステップS100にて入力した車速Vが所定車速範囲内にあるか否か、すなわち車速Vが下限車速Vref以上であり、かつ上限車速Vref2以下である否かを判定する(ステップS140)。ここで、車速Vが比較的低いときには変速機60やリングギヤ軸32aの周辺等において異音が発生する可能性はごく低くなる。また、車速Vがある程度高い場合、仮に変速機60等において異音が発生しても、それはエンジン音(走行音)等によりかき消されてしまう可能性が極めて高い。これを考慮して、実施例では、異音発生の可能性や搭乗者に異音による違和感を与える可能性を判定するための車速に関する閾値として下限車速Vrefおよび上限車速Vref2を実験、解析により予め定めている。そして、ステップS100にて入力された車速Vが上記所定範囲外にあるとき(V<Vref1またはV>Vref2)には、変速機60等における異音発生の可能性がごく低いか、あるいは搭乗者に異音による違和感を与えてしまう可能性がごく低いものとみなして上述のステップS210〜S250の処理を実行する。
これに対して、エンジン22に対する要求パワーPe*がある程度大きく、かつ車速Vが上記所定車速範囲内にあるときには、モータMG2に対するトルク指令Tm2*の値によっては、変速機60やリングギヤ軸32aの周辺等において異音が発生する可能性が生じる。このため、ステップS140にて肯定判断がなされた場合には、搭乗者に異音による違和感を与えてしまうことをより適正に抑制すべく、まず、モータMG2に対する変速機60側の引き摺りトルクTdを設定する(ステップS150)。引き摺りトルクTdは、変速機60における回転抵抗によるもの、すなわち無負荷状態の変速機60を回転させるのに必要なトルクであり、変速機60におけるギアの噛み合い損失や潤滑冷却オイルの撹拌抵抗等に依存する。実施例では、変速機60を潤滑等する潤滑冷却オイルの油温Toilと変速機60のギヤ比Grと引き摺りトルクTdとの関係が予め定められて引き摺りトルク設定用マップとしてROM74に記憶されており、引き摺りトルクTdとしては、与えられた油温Toilとギヤ比Grとに対応したものが当該マップから導出・設定される。図7に引き摺りトルク設定用マップの一例を示す。引き摺りトルクTdを設定したならば、モータMG2に対する前回のトルク指令Tm2*からステップS150にて設定した引き摺りトルクTdを減じた値に変速機60の現在のギヤ比Grを乗じる計算を行って実効モータトルクTm2effを設定する(ステップS160)。ここで、モータMG2に対する前回のトルク指令Tm2*は、実質的にモータMG2が現在出力しているトルクを示すものであるから、前回のトルク指令Tm2*から引き摺りトルクTdを減じた値にギヤ比Grを乗じて得られる実効モータトルクTm2effは、実質的にギヤ機構としての変速機60を介してモータMG2から駆動軸としてのリングギヤ軸32aに入力されるトルクを示す。続いて、設定した実効モータトルクTm2effが値0を含む所定トルク範囲内に入っているか否か、すなわち実効モータトルクTm2effが下限側トルクTref1以上であり、かつ上限側トルクTref2以下であるか否かを判定する(ステップS170)。閾値としての下限側トルクTref1と上限側トルクTref2とは、実験、解析を経て定められるものであり、実施例では、下限側トルクTref1が例えば−4N/m、上限側トルクTref2が例えば12N/mとされている。そして、ステップS160にて設定した実効モータトルクTm2effが値0を含む上記トルク範囲内に入っていない場合には、変速機60等において異音が発生する可能性がごく低いものとみなして上述のステップS210〜S250の処理を実行する。
これに対して、ステップS160にて設定した実効モータトルクTm2effが値0を含む上記トルク範囲内に入っている場合には、変速機60等において異音が発生する可能性が高いことになるので、この場合には、変速機60等において発生した異音を主にエンジン音によりかき消すべく、ステップS100にて入力した車速Vに基づいてエンジン22の下限回転数Nelimを設定する(ステップS180)。実施例では、エンジン22の回転数Neとエンジン音との関係を考慮した上で、車速Vと変速機60等において発生した異音をエンジン音によりかき消すときのエンジン22の下限回転数Nelimとの関係が予め定められて下限回転数設定用マップとしてROM74に記憶されており、下限回転数Nelimとしては、与えられた車速Vに対応したものが当該マップから導出・設定される。図8に下限回転数設定用マップの一例を示す。なお、下限回転数設定用マップは、車速Vおよびエンジン22に対する要求パワーPe*と下限回転数Nelimとの関係を規定するものであってもよい。そして、下限回転数Nelimを設定したならば、ステップS120にて設定したエンジン22の目標回転数Ne*が下限回転数Nelim未満であるか否かを判定する(ステップS190)。この場合、目標回転数Ne*が下限回転数Nelim以上であるときには、エンジン22の回転数がステップS120にて設定した目標回転数Ne*となれば、変速機60等において発生した異音をエンジン音によりかき消すことができるものとみなして上述のステップS210〜S250の処理を実行する。一方、目標回転数Ne*が下限回転数Nelim未満であれば、ステップS180にて設定した下限回転数Nelimをエンジン22の目標回転数Ne*として再設定すると共に、ステップS110にて設定した要求パワーPe*を再設定した目標回転数Ne*で除した値をエンジン22の目標トルクTe*として再設定した上で(ステップS200)、上述のステップS210〜S250の処理を実行する。これにより、変速機60等において異音が発生する可能性が高い場合には、エンジン音により異音をかき消すことができるようにエンジン22の目標運転ポイントが設定(再設定)され、エンジン22の回転数Neを必要に応じて高めるか高く保った状態で要求トルクTr*がリングギヤ軸32aに出力されるようにエンジン22とモータMG1,MG2とが制御されることになる。
以上説明したように、実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の出力トルクを示すトルク指令Tm2*の前回値からモータMG2に対する変速機60側の引き摺りトルクTdを減じた値に基づく実効モータトルクTm2effが値0を含む所定範囲内(Tref1以上かつTref2以下)に入らないときには、結果として、エンジン22を効率よく運転するための第1の制約たる動作ラインを用いて要求トルクTr*に基づく内燃機関の目標運転ポイントが設定される(ステップS130等)。また、実効モータトルクTm2effが上記所定範囲内に入るときには、第2の制約としての下限回転数設定用マップを用いて要求トルクTr*に基づくエンジン22の目標運転ポイントが設定(再設定)される(ステップS200)。そして、ハイブリッド自動車20では、このように設定された目標運転ポイントでエンジン22が運転されると共に要求トルクTr*に基づく動力が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようにエンジン22とモータMG1,MG2とが制御されるのである(ステップS210〜S250)。すなわち、ギヤ機構としての変速機60やリングギヤ軸32a周辺等におけるこもり音や歯打ち音といった異音は、モータMG2の出力トルクが概ね値0となるときというよりは、むしろ、変速機60を介してモータMG2からリングギヤ軸32aに入力されるトルクに相当する実効モータトルクTm2effが概ね値0となるときに主に発生すると考えられる。従って、モータMG2に対する変速機60側の引き摺りトルクTdを考慮した実効モータトルクTm2effが値0を含む上記所定範囲内に入るときに、第2の制約としての下限回転数設定用マップを用いてエンジン22の目標運転ポイントを設定すれば、変速機60等における異音の発生タイミングをより的確に捉えた上で、異音が発生する際にはエンジン22の回転数Neを必要に応じて高めるか高く保ってエンジン音により異音をかき消すことができる。この結果、実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22、動力分配統合機構30、モータMG1,MG2、変速機60等を含む動力出力装置の運転に伴って発生する異音による違和感をより効果的に抑制すると共に、異音をかき消すためのエンジン22の回転数制御の機会を減らして異音による違和感の抑制に伴う燃費の悪化を抑制することが可能となる。
また、実施例のハイブリッド自動車20に含まれる変速機60は、モータMG2の回転軸48と駆動軸としてのリングギヤ軸32aとの間でギヤ比の変更を伴って動力を伝達可能なものであり、このような変速機60を用いた場合、変速機60を介してモータMG2からリングギヤ軸32aに入力されるトルクに相当する実効モータトルクTm2effの値に応じて異音が発生しがちとなる。従って、このような変速機60を備えたハイブリッド自動車20において上述の処理を行うと極めて有効である。更に、実施例のように、ギヤ機構としての変速機60を潤滑等する潤滑冷却オイルの油温Toilと変速機60のギヤ比Grとに基づいて引き摺りトルクTdを設定すれば、モータMG2に対する変速機60側の引き摺りトルクTdをより適正に設定することが可能となる。そして、実施例のように、モータMG2に対する前回のトルク指令Tm2*すなわちハイブリッドECU70の制御によりモータMG2が現在出力しているトルクから引き摺りトルクTdを減じた値に変速機60の現在のギヤ比Grを乗じる計算を行えば、実効モータトルクTm2effをより適正に取得して異音の発生タイミングをより的確に捉えることが可能となる。
更に、上記実施例では、駆動軸としてのリングギヤ軸32aへの動力の出力状態、すなわちエンジン22に対する要求パワーPe*や車速V(リングギヤ軸32aの回転数)、更にはエンジン22の回転数Neに関連する条件(ステップS130,S140,S190)のすべてが成立していない場合、実効モータトルクTm2effの値に拘わらずエンジン22が効率よく運転されるようにエンジン22の目標運転ポイントが設定される。このように、リングギヤ軸32aへの動力の出力状態に応じて、仮に異音が発生したとしてもエンジン音により異音を積極的にかき消す必要がないときには、エンジン22が効率よく運転されるように目標運転ポイントを設定すれば、燃費の悪化をより一層抑制することが可能となる。
なお、図3の駆動制御ルーチンにおいては、ステップS180にて下限回転数Nelimが設定されたときに、ステップS120にて設定したエンジン22の目標回転数Ne*と下限回転数Nelimとの比較結果に応じてエンジン22の目標運転ポイントを再設定する、いわゆるガード処理が実行されるが、これに限られるものではない。すなわち、図3の駆動制御ルーチンにおいて、ステップS120を省略すると共に、ステップS130,S140,S170にて否定判断がなされたときにエンジン22が効率よく運転されるようにエンジン22の目標運転ポイントを設定する一方、ステップS170にて肯定判断がなされたときにエンジン22の目標回転数Ne*を下限回転数Nelimに設定すると共に要求パワーPe*を下限回転数Nelimで除して目標トルクTe*を設定するようにしてもよい。
また、実施例の変速機60は、Hi,Loの2段の変速段をもって変速可能なものであるが、これに限られるものではなく、変速機は、3段以上の変速段をもって変速可能な変速機であってもよい。そして、モータMG2と駆動軸としてのリングギヤ軸32aとの間に介設されるギヤ機構は、変速機60に限られるものではなく一般的な減速機であってもよい。
更に、実施例のハイブリッド自動車20は、モータMG2の動力を変速機60により変速して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものであるが、本発明の適用対象は、これに限られるものではない。すなわち、本発明は、図9に示す変形例としてのハイブリッド自動車120のように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aに接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図9における車輪39c,39dに接続された車軸)に出力するものに適用されてもよい。
また、実施例のハイブリッド自動車20は、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪39a,39bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものであるが、本発明の適用対象は、これに限られるものでもない。すなわち、本発明は、図10に示す変形例としてのハイブリッド自動車220のように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪39a,39bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものに適用されてもよい。
そして、上記実施例においては、動力出力装置をハイブリッド自動車20に搭載されるものとして説明したが、本発明による動力出力装置は、自動車以外の車両や船舶、航空機などの移動体に搭載されるものであってもよく、建設設備などの固定設備に組み込まれるものであってもよい。また、こうした自動車以外の移動体や固定設備に設けられる動力出力装置の制御方法も本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
以上、実施例を用いて本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、様々な変更をなし得ることはいうまでもない。
本発明の実施例に係る動力出力装置を備えたハイブリッド自動車20の概略構成図である。 変速機60の概略構成図である。 実施例のハイブリッドECU70により実行される駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の動作ラインと目標回転数Ne*と目標トルクTe*との相関曲線とを例示する説明図である。 動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を示す説明図である。 引き摺りトルク設定用マップの一例を示す説明図である。 下限回転数設定用マップの一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の概略構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の概略構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 クランクポジションセンサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、37 ギヤ機構、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b,39c,39d 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、48 回転軸、49 オイルパン、49a 温度センサ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 変速機、60a 遊星歯車機構(ダブルピニオン式)、60b 遊星歯車機構(シングルピニオン式)、61,65 サンギヤ、62,66 リングギヤ、63a 第1ピニオンギヤ、63b 第2ピニオンギヤ、64,68 キャリア、67 ピニオンギヤ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(ハイブリッドECU)、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ 234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ、B1,B2 ブレーキ。

Claims (8)

  1. 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
    前記駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、
    前記駆動軸にギヤ機構を介して動力を入出力可能な電動機と、
    前記内燃機関の出力軸に接続されると共に前記ギヤ機構を介さずに前記駆動軸接続され、電力と動力の入出力を伴って前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を前記駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、
    前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段と、
    前記駆動軸に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
    前記電動機の出力トルクから該電動機に対する前記ギヤ機構の引き摺りトルクを減じた値に基づく実効電動機トルクが値0を含む所定範囲内に入らないときには、第1の制約を用いて前記設定された要求駆動力に基づく前記内燃機関の目標運転ポイントを設定する一方、前記実効電動機トルクが前記所定範囲内に入るときには、前記第1の制約に比べて前記内燃機関の回転数の下限を高く規定する第2の制約を用いて前記設定された要求駆動力に基づく前記内燃機関の目標運転ポイントを設定する目標運転ポイント設定手段と、
    前記設定された目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記設定された要求駆動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるように前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御する制御手段と、
    を備える動力出力装置。
  2. 前記ギヤ機構は、前記電動機の回転軸と前記駆動軸との間でギヤ比の変更を伴って動力を伝達可能な変速機である請求項1に記載の動力出力装置。
  3. 請求項2に記載の動力出力装置において、
    少なくとも前記ギヤ機構を潤滑する潤滑媒体の温度と前記ギヤ機構のギヤ比とに基づいて前記引き摺りトルクを設定する引き摺りトルク設定手段とを更に備える動力出力装置。
  4. 前記実効電動機トルクは、前記制御手段の制御により前記電動機が出力しているトルクから前記引き摺りトルクを減じた値に前記ギヤ機構のギヤ比を乗じた値である請求項1から3の何れかに記載の動力出力装置。
  5. 前記目標運転ポイント設定手段は、前記駆動軸への動力の出力状態に関連する所定条件が成立している場合に前記実効電動機トルクの値に拘わらず前記第1の制約を用いて前記設定された要求駆動力に基づく前記内燃機関の目標運転ポイントを設定する請求項1から4の何れかに記載の動力出力装置。
  6. 前記第1の制約は、前記内燃機関を効率よく運転するための制約である請求項1から5の何れかに記載の動力出力装置。
  7. 前記電力動力入出力手段は、前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と回転可能な第3の軸とに接続され、これら3軸のうちの何れか2軸に入出力される動力に基づいて定まる動力を残余の軸に入出力する3軸式動力入出力手段と、前記第3の軸に動力を入出力可能な発電機とを含む請求項1から6の何れかに記載の動力出力装置。
  8. 駆動軸と、前記駆動軸に動力を出力可能な内燃機関と、前記駆動軸にギヤ機構を介して動力を入出力可能な電動機と、前記内燃機関の出力軸に接続されると共に前記ギヤ機構を介さずに前記駆動軸接続され、電力と動力の入出力を伴って前記内燃機関からの動力の少なくとも一部を前記駆動軸に出力する電力動力入出力手段と、前記電力動力入出力手段および前記電動機と電力をやり取り可能な蓄電手段とを備える動力出力装置の制御方法であって、
    (a)前記電動機の出力トルクから該電動機に対する前記ギヤ機構の引き摺りトルクを
    減じた値に基づく実効電動機トルクが値0を含む所定範囲内に入らないときには、第1の制約を用いて前記駆動軸に要求される要求駆動力に基づく前記内燃機関の目標運転ポイントを設定する一方、前記実効電動機トルクが前記所定範囲内に入るときには、前記第1の制約に比べて前記内燃機関の回転数の下限を高く規定する第2の制約を用いて前記要求駆動力に基づく前記内燃機関の目標運転ポイントを設定するステップと、
    (b)ステップ(a)で設定された目標運転ポイントで前記内燃機関が運転されると共に前記要求駆動力に基づく動力が前記駆動軸に出力されるように前記内燃機関と前記電力動力入出力手段と前記電動機とを制御するステップと、
    を含む動力出力装置の制御方法。
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