以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本実施例の印刷システム100を示すブロック図である。図1に示すように、本実施例の印刷システム100は、複数台のパーソナルコンピュータ10(以下、クライアントPC10と称する)と、1台の管理者用のパーソナルコンピュータ30(以下、管理者端末30と称する)と、1台のカラープリンタ50とがLAN70を介して接続されて構成されている。LAN70の伝送方式には有線通信方式と無線通信方式とがあり、有線通信方式の伝送媒体としては、より対線(ツイストペアケーブル)、同軸ケーブル、または、光ファイバケーブルなどが用いられる。なお、印刷システム100には、必ずしも、2台のクライアントPC10が接続される必要はなく、1台以上のクライアントPC10が接続されれば良い。また、管理者端末30は、必ずしも必要ではなく、管理者は、クライアントPC10のいずれかを使用しても良い。
図2は、図1に示す印刷システム100をより詳細に示すブロック図である。なお、図1に示した2台のクライアントPC10は互いに構成が共通するため、以下、1台のクライアントPC10についてのみ説明と図示をする。図2に示すように、クライアントPC10は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、HDD14と、入力装置15と、表示装置16と、LAN70を介して管理者端末30およびカラープリンタ50に接続するネットワーク用インターフェース18(I/F18)とを備えている。
CPU11は、このプリンタサーバ10を総括的に制御する中央演算処理であり、図10〜図13のフローチャートで示す処理を実行するプログラムなどの各種プログラムを実行する。ROM12は、CPU11により実行される各種制御プログラムや、それらの制御プログラムをCPU11により実行する上で必要なデータなどを格納した書き換え不能なメモリである。なお、図10〜図13のフローチャートで示す処理を実行するプログラムは、このROM12内に格納されている。RAM13は、CPU11により実行される各種処理に必要なデータやプログラムを一時的に記憶するためのメモリである。
HDD14は、ハードディスクとそのドライブとから構成される記憶装置であり、データファイルを作成し、データファイルに印刷指示をするための文書データ作成アプリケーション、表計算アプリケーション、グラフィックデザインアプリケーションなどのアプリケーションが格納される。なお、アプリケーションから印刷指示がされたデータファイルを、印刷対象ファイルと称する。
入力装置15は、クライアントPC10にデータ又はコマンドを入力するものであり、キーボード、マウスなどにより構成されている。ユーザは、自らが正規の利用者であることの確認のために、クライアントPC10のログイン時に、入力装置15から自分のユーザIDを入力する。また、入力装置15から所定の入力をすることで、アプリケーションを起動し、そのアプリケーションから印刷指示をすることができる。
表示装置16は、プリンタサーバ10で実行される処理内容や入力されたデータなどを視覚的に確認するために、文字や画像などを表示するものであり、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイなどにより構成されている。
I/F18(ネットワーク用インターフェイス18)は、クライアントPC10をLAN70に接続するものであり、クライアントPC10は、このI/F18およびLAN70を介して、各種コマンドや印刷データをカラープリンタ50に送信することができる。
図2に示すように、上述したCPU11と、ROM12と、RAM13と、HDD14と、入力装置15と、表示装置16と、I/F18と、バスライン19を介して互いに接続されている。
上記のように構成されたクライアントPC10において、HDD14に格納される文書データ作成アプリケーション、表計算アプリケーション、グラフィックデザインアプリケーションなどのアプリケーションが起動された後、入力装置15による入力操作に応じて、カラープリンタ50での印刷を所望する内容のデータファイルが作成される。そして、そのように作成されたデータファイルに対し、ユーザによる入力に基づいて、アプリケーションから印刷指示がされると、その印刷対象ファイルに対応した印刷を記録用紙に施すためのデータである印刷データが、印刷対象ファイルを元に生成され、カラープリンタ50に送信される。
一方、LAN70を介して上述したクライアントPC10およびカラープリンタ50に接続されている管理者端末30は、CPU31と、ROM32と、RAM33と、HDD34と、入力装置35と、表示装置36と、LAN70を介してクライアントPC10およびカラープリンタ50に接続するネットワーク用インターフェース38(I/F38)とを備えている。
管理者端末30における上記のような構成において、CPU31は、管理者端末30の動作を制御するものであり、各種プログラムを実行する。ROM32は、管理者端末30の動作を制御するためのプログラムなどが格納されたメモリであり、RAM33は、CPU31の処理に必要なデータなどを一時的に記憶するための読み書き可能なメモリである。
HDD34は、ハードディスクとそのドライブとから構成される記憶装置である。入力装置35は、キーボードやマウスなどにより構成され、管理者端末30にブラウザによる承認作業を入力するためのものであり、表示装置35は、CRTディスプレイや液晶ディスプレイなどにより構成され、各種処理内容や入力されたデータなどを視覚的に確認するものである。
図2に示すように、上述したCPU31と、ROM32と、RAM33と、HDD34と、入力装置35と、表示装置36と、I/F38とは、バスライン39を介して互いに接続されている。
また、図2に示すように、カラープリンタ50は、カラーレーザ方式のプリンタであって、CPU51と、ROM52と、RAM53と、フラッシュメモリ54と、画像形成ユニット制御回路55と、画像形成ユニット56と、操作パネル57と、LAN70に接続するインターフェース59(I/F59)とを備えている。
カラープリンタ50における上記のような構成において、CPU51は、カラープリンタ50の動作を制御するものであり、図14〜図18のフローチャートで示す処理を実行するプログラムなどの各種プログラムを実行する。ROM52は、カラープリンタ50の動作を制御するためのプログラムなどが格納されたメモリである。ここで、図14〜図18のフローチャートで示す処理を実行するプログラムは、このROM52内に格納されている。なお、図14〜図18のフローチャートで示す処理を実行するプログラムが、特許請求の範囲に記載の印刷制御プログラムに相当する。RAM53は、CPU51の処理に必要なデータなどを一時的に記憶するための読み書き可能なメモリである。
フラッシュメモリ54は、書換可能な不揮発性のメモリであり、カラー印刷許可リスト54aと、カラー印刷申請リスト54bと、製品名対応リスト54cとを備える。これらカラー印刷許可リスト54aについては、図3を参照して後述し、カラー印刷申請リスト54bと、製品名対応リスト54cの内容については、図7を参照して後述する。
CPU51は、画像形成ユニット制御回路55を介して、画像形成ユニット56に制御信号を送るように構成されている。なお、画像形成ユニット56は、イエローのトナーが収容された画像形成ユニットと、マゼンタのトナーが収容された画像形成ユニットと、シアンのトナーが収容された画像形成ユニットと、ブラックのトナーが収容された画像形成ユニットとから構成されるが、トナーの色が異なるのみで、同様の構成から成る。各画像形成ユニットは、像担持体としての感光体ドラム、感光体ドラムの周囲に感光体ドラムを帯電させる帯電器、レーザビームを発光し感光体ドラムに静電潜像を形成する露光ユニット、及び、感光体ドラムとの間に引加される現像バイアスにより感光ドラムに現像剤としてのトナーを付着させ、トナー像を形成する現像ユニットとを備えている。
公知の構成であるため、詳細な説明は省略するが、カラープリンタ50が印刷データを受信すると、感光ドラムの表面が帯電器により一様に正帯電され、受信した印刷データに基づいて発光されたレーザビームが照射されることにより露光され、静電潜像が形成される。そして、帯電されたトナーが感光ドラムの表面上に形成される静電潜像、すなわち、レーザビームによって露光され電位が下がっている露光部分に供給され、選択的に担持される。そして、感光ドラムの回転に伴い、搬送ローラ(図示せず)により搬送されてくる記録用紙に、感光ドラムの表面に担持されたトナーが転写される。トナーが転写された記録用紙は、定着部(図示せず)に向けて搬送される。定着部において、所定の定着温度に加熱された加熱ローラにより記録用紙を押圧することにより、転写されたトナーを定着させ画像を印刷することができる。なお、カラープリンタ50は、モノクロ印刷用の印刷データを受信した場合は、ブラックのトナーのみを用いて印刷がされ(以下、モノクロ印刷と称する)、カラー印刷用の印刷データを受信した場合は、ブラック以外のトナーも用いて印刷がされる(以下、カラー印刷と称する)。カラー(ブラック以外)のトナーは高価であるため、カラー印刷1枚あたりの印刷コストは、モノクロ印刷1枚あたりの印刷コストに比較して高い。
操作パネル57は、ユーザが直接操作可能な操作キーと表示画面とから構成されており、このカラープリンタ50の設定等の各種の操作を行うためのものである。また、I/F59は、カラープリンタ50とLAN70とを接続するものであり、このI/F59を介して、クライアントPC10から各種コマンドや印刷データが入力される。
図2に示すように、上述したCPU51と、ROM52と、RAM53と、フラッシュメモリ54と、画像形成ユニット制御回路55と、操作パネル57と、I/F59とは、バスライン60を介して互いに接続されている。
なお、図1および図2には、LAN70に1台のカラープリンタ50のみが接続されている状態が図示されているが、クライアントPC10に接続するカラープリンタ50の台数は1台に限らず複数台であってもよい。また、カラープリンタ50とモノクロ印刷のみを行うプリンタとを混在させて接続してもよい。
図3を参照して、カラー印刷許可リスト54aについて説明する。図3は、カラー印刷許可リスト54aを模式的に示す図である。図3に示すように、カラー印刷許可リスト54aは、ユーザIDと、印刷実行ファイル名とが対応付けられたリストである。
クライアントPC10において、アプリケーションから印刷指示がされ、且つ、カラー印刷が指定された場合、印刷実行を指示したユーザを示すユーザIDと、印刷指示をしたアプリケーションの実行ファイル名(印刷実行ファイル名)とから構成されるカラー印刷許可リスト検索要求D1(図5(a)参照)が、クライアントPC10からカラープリンタ50へ送信される。
なお、実行ファイルとはアプリケーションからの指示を実際にCPU11に実行させるための機械語が記述されたプログラムファイルであり、各アプリケーションの実行ファイルには、それぞれ固有の名前が付与されている。よって、所定のアプリケーションから印刷指示がされたときに、実行されている実行ファイルのファイル名(印刷実行ファイル名と称する)により、印刷指示をしたアプリケーションを特定することができる。
カラープリンタ50では、カラー印刷許可リスト検索要求D1を受信すると、印刷指示したユーザとアプリケーションの組み合わせが、カラー印刷が許可される組み合わせであるか否かを、カラー印刷許可リスト54aを用いて判断する。印刷指示したユーザを示すユーザIDとアプリケーションを示す印刷実行ファイル名との組み合わせが、カラー印刷許可リスト54aに存在する場合、カラー印刷を許可する。
一方、印刷指示したユーザを示すユーザIDと、アプリケーションを示す印刷実行ファイル名との組み合わせが、カラー印刷許可リスト54aに無い場合、その印刷対象ファイルに対応した印刷において、カラー印刷が禁止される。カラー印刷の場合、1枚当たりの印刷コストが高いので、このようにカラー印刷を制限することで、全体としての印刷コストを節約できる。
また、図3にユーザIDとして示されている、「everyID」は、全てのユーザを示すユーザIDである。そして、カラー印刷許可リスト54a内において、ユーザIDが、「everyID」とされている場合、全てのユーザに対し、カラー印刷が許可されることを意味している。すなわち、図3に示すカラー印刷許可リスト54aを用いて判断すると、印刷実行ファイル名が、「VISIO.EXE」である場合、全てのユーザに対し、カラー印刷が許可される。また、図3に印刷実行ファイル名として示される、「everyAPLI」は、全ての印刷実行ファイル名を示すものである。印刷実行ファイル名として「everyAPLI」が対応付けられているユーザID「banno」、「kawamoto」については、そのユーザIDで示されるユーザが印刷指示をした場合、印刷実行ファイル名に関わりなく、カラー印刷が許可されることを意味している。
図4を参照して、クライアントPC10において印刷指示がされた場合について説明する。図4は、クライアントPC10において、アプリケーションから印刷指示がされた場合に、クライアントPC10の表示装置16に表示される印刷許可設定画面20を示す図である。図4に示すように、印刷許可設定画面20の上段には、印刷種類を指定(入力)するための印刷種類指定ボックス20aが表示されている。この印刷種類指定ボックス20aにおいて、所望する印刷の種類を指定する。ここでは、「Aカラー印刷」、「Bカラー印刷申請付きモノクロ印刷」、「Cモノクロ印刷」の三種類の印刷のいずれかのうち、指定を所望する項目の先頭側に設けられているチェックボックスにチェックを入れることにより、所望の種類を指定することができる。
まず、印刷種類指定ボックス20aにおいて、「Aカラー印刷」が指定された場合について説明する。印刷対象ファイルについてカラー印刷を所望する場合、ユーザは「Aカラー印刷」を指定する。すると、印刷種類指定ボックス20aの次段に設けられるカラー印刷不許可時設定ボックス20bへの入力が可能となる。カラー印刷不許可時設定ボックス20bは、カラープリンタ50におけるカラー印刷が禁止された場合に、どのように動作するかをユーザに予め設定させるためのボックスである。ユーザは、カラー印刷不許可時設定ボックス20bにおいて、「モノクロ強制印刷」か、「印刷中止」のいずれかのうち、設定を有効にすることを所望する項目の先頭に設けられているチェックボックスにチェックを入れる。
このように、印刷種類指定ボックス20aにおいて、「Aカラー印刷」が指定され、且つ、カラー印刷不許可時設定ボックス20bにおいて、いずれかのチェックボックスにチェックが入れられ、最下段に設けられたOKキー20dが押下されると、図5(a)を参照して後述するカラー印刷許可リスト検索要求D1が、クライアントPC10からカラープリンタ50へ送信される。そして、そのカラー印刷許可リスト検索要求D1に従って、印刷指示したアプリケーションがカラー印刷が許可されるアプリケーションであるか否かが判断され、カラー印刷が許可されるアプリケーションである場合のみ、印刷対象ファイルについて、カラー印刷が実行される。
次に、印刷種類指定ボックス20aにおいて、「Bカラー印刷許可申請付きモノクロ印刷」が指定される場合について説明する。ユーザは、ユーザIDと印刷実行ファイル名との新たな組み合わせを、カラー印刷許可リスト54a(図3参照)に追加設定することを所望する場合、本項目を指定する。なお、「Bカラー印刷許可申請付きモノクロ印刷」が指定された場合、申請モード設定ボックス20cへの入力が可能となる。申請モード設定ボックス20cは、「ユーザのみ」、「アプリのみ」、「ユーザとアプリの組み合わせ」の3つの申請モードのうちいずれかのうち、設定を有効にすることを所望する項目の先頭に設けられているチェックボックスにチェックを入れることができる。
まず、「ユーザのみ」にチェックが入れられ、OKキー20dが押下されると、印刷指示をしたユーザ(現在クライアントPC10にログイン中のユーザ)について、全てのアプリケーションでのカラー印刷が許可されるよう、申請がされる。
一方、「アプリケーションのみ」にチェックが入れられ、OKキー20dが押下されると、印刷指示をしたアプリケーションについて、全てのユーザIDでのカラー印刷が許可されるよう、申請がされる。
さらに、「ユーザとアプリの組み合わせ」にチェックが入れられ、OKキー20dが押下されると、印刷指示をしたユーザとアプリケーションとの組み合わせが満たされる場合に、カラー印刷が許可されるよう、申請がされる。
なお、上記申請の内容は、後述するカラー印刷申請リスト54b(図7(a)参照)に格納される。「Bカラー印刷許可申請付きモノクロ印刷」が指定された場合、上記申請の内容がクライアントPC10からカラープリンタ50へ送信され、カラー印刷申請リスト54bに格納される。また、印刷指示された印刷対象ファイルについては、モノクロ印刷が実行される。よって、ユーザは、モノクロ印刷指示のついでに、カラー印刷の許可申請をすることができる。
次に、印刷種類指定ボックス20aにおいて、「Cモノクロ印刷」が指定された場合について説明する。この場合は、アプリケーションから印刷指示がされた印刷対象ファイルについてモノクロ印刷がされる。
なお、印刷許可設定画面20には、適用キー20eが表示される。この適用キー20eが押下されると、印刷許可設定画面20における指定が記憶され、次回以降の印刷指示時には、同一項目が指定された状態で、印刷許可設定画面20が表示される。
また、印刷許可設定画面20には、キャンセルキー20fが表示される。このキャンセルキー20fが押下されると、印刷指示がキャンセルされる。
図5、図6を参照して、印刷許可設定画面20においてOKキー20dが押下された後、クライアントPC10からカラープリンタ50へ送信されるデータについて説明する。図5(a)は、上述した印刷種類指定ボックス20において、「Aカラー印刷」が指定されたときに、クライアントPC10からカラープリンタ50へ送信されるカラー印刷許可リスト検索要求D1を模式的に示す図である。図5(a)に示すように、カラー印刷許可リスト検索要求D1は、ユーザIDと印刷実行ファイル名とから構成される。ユーザIDは、現在クライアントPC10にログイン中のユーザ、すなわち、印刷指示をしたユーザを示す情報であり、印刷実行ファイル名は、印刷指示をしたアプリケーションを示す情報である。カラー印刷許可リスト検索要求D1を受信したカラープリンタ50は、カラー印刷許可リスト検索要求D1に記述されたユーザIDと印刷実行ファイル名との組み合わせが、カラー印刷許可リスト54aに存在するか否かを検索する。カラー印刷許可リスト54a内に、同一の組み合わせが存在する場合は、カラー印刷OKを示すコマンドをクライアントPC10に送信し、同一の組み合わせが無い場合は、カラー印刷NGを示すコマンド(特許請求の範囲に記載の不許可コマンド)をクライアントPC10に送信する。
クライアントPC10は、カラー印刷OKを示すコマンドを受信すると、カラー印刷用の印刷データを生成し、カラープリンタ50へ送信する。一方、カラー印刷NGを示すコマンドをカラープリンタ50から受信すると、カラー印刷不許可時設定ボックス20b(図4参照)において、「印刷中止」が指定されていた場合、印刷処理を中止する。一方、カラー印刷NGを示すコマンドをカラープリンタ50から受信すると、カラー印刷不許可時設定ボックス20bにおいて、モノクロ強制印刷が設定されていた場合、モノクロ強制印刷用のデータをカラープリンタ50へ送信する。
図5(b)は、クライアントPC10からカラープリンタ50へ送信されるモノクロ強制印刷用のモノクロ強制印刷データD2を模式的に示す図である。図5(b)に示すように、モノクロ強制印刷データD2は、モノクロ印刷用の印刷データのヘッダに、印刷物にメッセージを印刷するためのメッセージフラグが付加されたデータである。図5(c)は、図5(b)に示すモノクロ強制印刷データD2を用いて、カラープリンタ50により印刷される印刷物の一例を示す図である。図5(c)に示すように、モノクロ強制印刷データD2のヘッダに付加されたメッセージフラグに従って、強制的にモノクロ印刷された旨を示すメッセージが、印刷物に印刷されることにより、強制的にモノクロ印刷を実行したことをユーザに通知することができる。よって、カラー印刷を指定したにも拘わらずモノクロ印刷がされたとしても、ユーザが、装置の故障など無用な不安を感じることがない。
図6は、上述した印刷種類指定ボックス20a(図4参照)において、「Bカラー印刷許可申請付きモノクロ印刷」が指定されたときに、クライアントPC10からカラープリンタ40へ送信されるカラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3を模式的に示す図である。図6に示すように、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3は、モノクロ印刷用の印刷データのヘッダに、ユーザIDと、印刷実行ファイル名とが含まれるデータである。カラープリンタ50は、このカラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3を受信すると、ヘッダに含まれるユーザIDと、印刷実行ファイル名とを、後述するカラー印刷申請リスト54bに格納する。
申請モード設定ボックス20c(図4参照)において、「ユーザのみ」が指定されると、印刷指示をしたユーザを示すユーザIDと、全ての印刷実行ファイル名を示す「everyAPLI」が、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3のヘッダに付加される。また、申請モード設定ボックス20cにおいて、「アプリのみ」が指定されると、全てのユーザを示すユーザID「everyID」と、印刷指示したアプリケーションを示す印刷実行ファイル名とが、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3のヘッダに付加される。また、申請モード設定ボックス20cにおいて、「ユーザとアプリの組み合わせ」が指定されると、印刷指示をしたユーザを示すユーザIDと、印刷指示したアプリケーションを示す印刷実行ファイル名とが、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3のヘッダに付加される。なお、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3のヘッダに含まれるユーザIDと、印刷実行ファイル名とが、特許請求の範囲に記載の申請コマンドに相当する。
図7(a)を参照して、カラー印刷申請リスト54bについて説明する。図7(a)は、カラー印刷申請リスト54bを模式的に示す図である。図7(a)に示すように、カラー印刷申請リスト54bは、「製品名」、「ユーザID」、「印刷実行ファイル名」、「サムネイル画像」から構成されるデータ列のそれぞれに、管理番号が対応付けられた構成であり、クライアントPC10からされたカラー印刷許可の申請の内容を格納するリストである。
上述したように、印刷種類指定ボックス20aにおいて、「Bカラー印刷許可申請付きモノクロ印刷」が指定されると、クライアントPC10からカラープリンタ50へ、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3(図6参照)が送信される。カラープリンタ50では、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3のヘッダに含まれるユーザIDと印刷実行ファイル名とを読み込み、カラー印刷申請リスト54bに格納する。また、カラープリンタ50では、受信したカラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3に含まれるモノクロ印刷用の印刷データを用いて、印刷対象ファイルのサムネイル画像(縮小画像)を表示するためのデータを生成する。そして、生成したデータを、カラー印刷申請リスト54bにおいて同一の管理番号で管理されるデータ列の項目「サムネイル画像」に格納する。また、印刷実行ファイル名に対応する製品名(アプリケーション名)が、後述する製品名対応リスト54cを用いて取得され、同一の管理番号で管理されるデータ列の項目「製品名」に格納される。これにより、クライアントPC10から送信されたカラー印刷許可の申請の内容を示すデータ列がカラー印刷申請リスト54bに追加される。
図7(b)は、製品名対応リスト54cを模式的に示す図である。図7(b)に示すように、製品名対応リスト54cは、製品名(アプリケーション名)と、印刷実行ファイル名とを対応付けたリストである。印刷実行ファイル名を示すだけでは、管理者が、対応する製品名を把握できない可能性があるため、本実施例によれば、製品名対応リスト54cを用いて、印刷実行ファイル名に対応する製品名を上述したカラー印刷申請リスト54bに書き込む。なお、印刷実行ファイル名に対応する製品名が、製品名対応リスト54cに記憶されていない場合、カラー印刷申請リスト54bにおける製品名の項目は空とされる。
後述するように。カラー印刷申請リスト54bに格納されたデータ列が、所定数(本実施例では10件以上)以上となると、管理者に通知され、カラー印刷許可リスト54bに格納された申請内容が表示出力される。そして、管理者は、表示出力された申請内容検討し、申請を承認するか否かを判断する。
図8を参照して、申請内容Sを管理者に通知する申請内容通知画面について説明する。図8(a)は、管理者端末30の表示装置36に表示される申請内容通知画面37の一例を示す図である。なお、この申請内容通知画面37を管理者端末30の表示装置36に表示させるために、カラープリンタ50から管理者端末30に電子メールが送信される。この電子メールには、カラープリンタ50のIPアドレスが記述されている。
管理者は、汎用のウェブブラウザを用いることにより、電子メールに記述されたIPアドレスから、表示装置36に申請内容通知画面37を表示させることができる。申請内容通知画面37には、カラー印刷申請リスト54bに格納された各データ列が、それぞれ申請内容Sとして表示される。申請内容Sは、「ユーザID」(特許請求の範囲に記載のユーザ情報)、「製品名」、「印刷実行ファイル名」、サムネイル画像を表示するためのデータを呼び出すためのリンクが設定された「参考印刷イメージ」およびこの申請内容Sを許可(承認)するか否かを管理者に入力させるためのチェックボックスをそれぞれ備えている。
また、カラー印刷申請リスト54bにおいて、製品名が空であった場合、申請内容通知画面においては、製品名が「不明」と表示される。また、カラー印刷申請リスト54bにおけるユーザIDが、「everyID」であった場合、申請内容通知画面37において、ユーザIDは「すべて」と表示され、カラー印刷申請リスト54bにおける印刷実行ファイル名が「everyAPLI」であった場合、印刷実行ファイル名は、「すべて」と表示される。
申請内容通知画面37を参照した管理者は、申請内容Sを検討し、カラー印刷許可の申請を承認するか否かを判断する。そして、入力装置15から所定の操作をすることにより、各々の申請内容Sについて、カラー印刷許可を「する」または「しない」のいずれかのチェックボックスにチェックを入れ、OKキー37aを押下する。これにより、承認を入力することができる。一方、申請をしたユーザに直接問い合わせる必要があるなど、現時点では判定できない場合は、キャンセルキー36bを押下して、処理を中止する。
なお、印刷実行ファイル名のみでは、判断することが難しい場合があるが、本実施例によれば、製品名が併せて表示されるため、管理者はそのアプリケーションの使用用途を予測し、カラー印刷の申請を承認するか否かについて適切な判断をすることができる。さらに、管理者は、必要に応じて、「参考印刷イメージ」をクリックすることにより、カラー印刷申請リスト54bに格納されたサムネイル画像表示用のデータを呼び出し、印刷対象ファイルのサムネイル画像を表示装置36に表示させることができるので、そのアプリケーションの使用用途の一例を知ることができ、適切な判断をすることができる。
一方、後述するように、カラープリンタ50から管理者端末30へ電子メールを送信できない場合は、電子メールの送信に替えて、カラープリンタ50の操作パネル57における表示画面に、申請内容通知画面57aが表示される。
図8(b)は、カラープリンタ50の操作パネル57の表示画面に表示される申請内容通知画面57aの一例を示す図である。なお、申請内容通知画面57aは、上述した申請内容通知画面37とほぼ同じ構成であるため、申請内容通知画面37と異なる点のみ説明し、詳細な説明を省略する。カラープリンタ50の操作パネル57は、その表示面積が制限されていることから、申請内容通知画面57aでは、申請内容Sが1件ずつ表示される。管理者は、申請内容Sの1件ごとに承認を「する」か「しない」かを判断し、いずれかを選択し、操作パネル57の操作キーから所定の入力操作をすることにより、承認を入力することができる。
申請内容通知画面37または申請内容通知画面57aのいずれかにおいて、管理者の操作により承認入力されると、承認された申請内容Sが、カラー印刷許可リスト54aに追加設定される。なお、ここでは、図8(a)に示すように、ユーザID「kojima」と印刷実行ファイル名「MSWORD.EXE」との組み合わせからなる申請内容S、および、ユーザID「ishida」と印刷実行ファイル名「everyID」とからなる申請内容Sとが承認されたものとして説明する。
図9を参照して、上記申請内容Sが承認された場合に、カラー印刷許可リスト54aに新たに設定される、ユーザIDと印刷実行ファイル名との組み合わせについて説明する。図9は、管理者により許可された申請内容Sが追加設定されたカラー印刷許可リスト54aを模式的に示す図であり、図3に示すカラー印刷許可リスト54aに新たな設定が追加された状態を示す。ここでは、管理者により承認された、ユーザID「ishida」と印刷実行ファイル名「everyID」との組み合わせ、およびユーザID「kojima」と印刷実行ファイル名「MSWORD.EXE」との組み合わせが、カラー印刷許可リスト54aに追加されている。
さらに、ユーザID「kojima」と印刷実行ファイル名「MSWORD.EXE」との組み合わせが、カラー印刷許可リスト54aに追加されるのに伴い、ユーザID「kojima」と印刷実行ファイル名「MSWORD_EX.EXE」との組み合わせが追加される。図7(b)に示した様に、印刷実行ファイル名「MSWORD.EXE」に対応する製品名は「ワード」であるが、この製品名「ワード」に対応する印刷実行ファイル名として、他に「MSWORD_EX.EXE」が存在する。このように、追加設定しようとする印刷実行ファイル名に対応する製品名について、その製品名に対応する他の印刷実行ファイル名が存在する場合、その印刷実行ファイル名も追加する。これは、同じ製品名のアプリケーションであっても、バージョンの違いなどにより、印刷実行ファイル名が異なる場合があるからである。本実施例によれば、同一製品名が対応付けられた印刷実行ファイル名は、カラー印刷許可リスト54aに共に追加されるから、以降の処理において、異なるバージョンのアプリケーションから印刷指示がされた場合であっても、カラー印刷を許可することができる。
図10〜図13のフローチャートを参照して、上記のように構成されるクライアントPC10において実行される、印刷処理について説明する。図10は、クライアントPC10で実行される印刷処理のフローチャートであり、アプリケーションから印刷指示がされると、開始する処理である。
まず、クライアントPC10において、アプリケーションから印刷指示がされると、表示装置16に印刷許可設定画面20(図4参照)を表示する(S1)。そして、印刷許可設定画面20において、ユーザは、所望のチェックボックスにチェックを入れ、必要な項目を指定し、OKキー20dを押下する(S2:Yes)。次に、印刷許可設定画面20において、カラー印刷が指定されたかが判断される(S3)。カラー印刷が指定された場合(S3:Yes)、後述するカラー印刷処理を実行し(S4)、処理を終了する。
一方、カラー印刷が指定されなかった場合(S3:No)、印刷許可設定画面20において、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷が指定されたかが判断される(S6)。カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷が指定された場合(S6:Yes)、後述するカラー印刷許可申請付きモノクロ印刷処理を実行し(S8)、処理を終了する。
一方、印刷許可設定画面20において、カラー印刷が指定されず(S3:No)、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷が指定されなかった場合(S6:No)、すなわち、印刷許可設定画面20において、モノクロ印刷が指定された場合、クライアントPC10は、印刷対象ファイルに基づいて、モノクロ印刷用の印刷データを生成し、カラープリンタ50に送信し(S10)、処理を終了する。その結果、カラープリンタ50では、印刷対象ファイルに対応したモノクロ印刷が実行される。
図11を参照して、カラー印刷処理(S4)について説明する。図11は、カラー印刷処理を示すフローチャートである。カラー印刷処理では、まず、ユーザIDと印刷実行ファイル名の取得処理を実行する(S42)。これにより、クライアントPCに現在ログイン中のユーザを示すユーザIDと、印刷指示をしたアプリケーションの実行ファイル名である印刷実行ファイル名を取得する。
次に、取得したユーザIDと印刷実行ファイル名とから構成されるカラー印刷許可リスト検索要求D1(図5(a)参照)をカラープリンタ50に送信する(S44)。なお、カラー印刷許可リスト検索要求D1を受信したカラープリンタ50は、カラー印刷許可リスト54a(図3参照)を検索することにより、そのカラー印刷許可リストに含まれるユーザIDと印刷実行ファイル名との組み合わせが、カラー印刷許可リスト54aに存在するか否かを判断する。そして、カラー印刷許可リスト54aに同一の組み合わせが存在する場合、カラープリンタ50は、カラー印刷OKを示すコマンドを、カラー印刷許可リスト検索結果としてクライアントPC10に送信する。一方、カラー印刷許可リスト54aに同一の組み合わせが存在しない場合、カラープリンタ50は、カラー印刷NGを示すコマンドを、カラー印刷許可リスト検索結果としてクライアントPC10に送信する。
クライアントPC10は、カラー印刷許可リスト検索結果を受信すると(S46:Yes)、そのカラー印刷許可リスト検索結果が、カラー印刷OKを示すコマンドであったか否かを判断する(S48)。カラー印刷OKを示すコマンドであった場合(S48:Yes)、印刷対象ファイルに基づいて、カラー印刷用の印刷データを生成し(S50)、カラープリンタ50に送信し(S52)、カラー印刷処理を終了する。その結果、カラープリンタ50において、印刷対象ファイルについてのカラー印刷が実行される。
一方、クライアントPC10が受信したカラー印刷許可リスト検索結果が、カラー印刷NGを示すコマンドであった場合(S48:No)、印刷許可設定画面20のカラー印刷不許可時設定ボックス20bにおいて、モノクロ強制印刷が設定されていたか否かを判断する(S54)。
カラー印刷不許可時設定ボックス20bにおいて、モノクロ強制印刷が設定されていた場合(S54:Yes)、例えば表示画面16に所定のダイアログを表示することにより、モノクロ強制印刷の実行をユーザに通知する(S56)。そして、印刷対象ファイルに基づいて、モノクロ印刷用の印刷データを生成し(S58)、生成したモノクロ印刷用の印刷データのヘッダに、印刷物にメッセージを印刷することを示すメッセージフラグを付加する(S60)。そして、メッセージフラグが付加されたモノクロ強制印刷データD2(図5(b)参照)をカラープリンタ50に送信する(S52)。その結果、カラープリンタ50では、モノクロ強制印刷がされた旨を示すメッセージが印刷された印刷物が印刷される。
一方、カラー印刷不許可時設定ボックス20bにおいて、モノクロ強制印刷が設定されていなかった場合(S54:No)、すなわち、印刷中止が設定されていた場合、例えば、表示装置16にダイアログが表示されることにより、カラー印刷が不可である旨がユーザに通知され、処理を終了する。その結果、カラープリンタ50ではモノクロ印刷が実行されず、記録用紙の無駄な消費が回避される。
図11に示すカラー印刷処理によれば、印刷対象ファイルに印刷指示をしたアプリケーションが、カラー印刷が許可されないアプリケーションであることが判断された場合、1枚当たりのコストが高いカラー印刷が制限されるので、印刷システム100全体における印刷コストが抑制される。また、カラー印刷が許可されない場合、印刷データの送信に先立ってクライアントPC10へカラー印刷の不許可を通知できるので、データサイズが大きいカラー印刷用の印刷データの生成や、そのカラー印刷用の印刷データを送受信する負荷を低減することができる。
図12を参照して、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷処理(S8)について説明する。図12は、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷処理(S8)を示すフローチャートである。
カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷処理では、まず、ユーザIDと印刷実行ファイル名の取得処理を実行する(S82)。これにより、クライアントPCに現在ログイン中のユーザを示すユーザIDと、印刷指示をしたアプリケーションの実行ファイル名である印刷実行ファイル名を取得する。次に、印刷対象ファイルに基づいて、モノクロ印刷用の印刷データを生成する(S84)。
そして、モノクロ印刷用の印刷データのヘッダに、ユーザIDと、印刷実行ファイル名とが含まれるカラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データ(図6参照)を生成し(S85)、カラープリンタ50に送信する(S86)。なお、詳細は上述したため省略するが、申請モード設定ボックス20c(図4参照)において、「ユーザのみ」が指定されると、印刷指示をしたユーザを示すユーザIDと、全ての印刷実行ファイル名を示す「everyAPLI」が、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3のヘッダに付加される。また、申請モード設定ボックス20cにおいて、「アプリのみ」が指定されると、全てのユーザを示すユーザID「everyID」と、印刷指示したアプリケーションを示す印刷実行ファイル名とが、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3のヘッダに付加される。
カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3を受信したカラープリンタ50は、ヘッダに含まれるユーザIDおよび印刷実行ファイル名を読み込んで、カラー印刷申請リスト54bに格納すると共に、モノクロ印刷用の印刷データを用いて、印刷対象ファイルに対応したモノクロ印刷を実行する。
カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷処理(S8)によれば、印刷対象ファイルに対し、印刷実行が指示されたことに基づいて、その印刷対象ファイルに印刷指示をしたユーザまたはアプリケーションについてのカラー印刷許可の申請がなされるので、ユーザが、所望のアプリケーションから印刷指示をするだけの操作でカラー印刷許可の申請をすることができ、カラー印刷許可の申請のためにアプリケーション名やユーザID等を手入力するという煩雑な操作を別途行う必要がない。
図13を参照して、ユーザIDと印刷実行ファイル名の取得処理(S42,S82)について説明する。図13は、ユーザIDと印刷実行ファイル名の取得処理を示すフローチャートである。
ユーザIDと印刷実行ファイル名の取得処理では、まず、現在操作中(すなわち、現在ログイン中)のユーザIDを取得する(S422)。次に、現在操作権限のある実行プロセスのプロセスIDを取得する(S424)。これは、表示装置16において、マウスポインタのある位置を特定し、その位置における最前に開かれた操作画面のプロセスIDを取得することにより行われる。
次に、特定されたプロセスIDから印刷実行ファイル名を取得する(S426)。このユーザIDと印刷実行ファイル名の取得処理(S42,S82)によれば、ユーザIDと印刷実行ファイル名を取得することができる。なお、ここでは、クライアントPC10のOSが、Windows(登録商標)であるものとして説明したが、クライアントPC10で用いられるOSの種類に応じて、ユーザIDおよび印刷実行ファイル名の取得手順は、様々に設計変更可能である。
次に、図14〜図18のフローチャートを参照して、上記のクライアントPC10に接続されたカラープリンタ50において実行される処理について説明する。
図14は、カラープリンタ50において実行される受信処理を示すフローチャートである。この受信処理は、クライアントPC10に電源が投入されると起動する処理であり、まず、カラー印刷許可リスト検索要求D1(図5(a)参照)を受信したか否かを判断する(S12)。
カラー印刷許可リスト検索要求D1を受信した場合(S12:Yes)、後述するカラー印刷許可リスト検索処理を実行する(S14)。一方、カラー印刷許可リスト検索要求D1を受信しない場合(S12:No)、S14の処理をスキップする。
次に、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3(図6参照)を受信したかを判断する(S16)。カラー印刷許可申請を受信すると(S16:Yes)、後述するカラー印刷許可申請登録処理を実行する(S18)。一方、カラー印刷許可申請を受信しない場合(S16:No)、S12の処理に戻る。
図15を参照して、カラー印刷許可リスト検索処理(S14)について説明する。図15は、カラー印刷許可リスト検索処理を示すフローチャートである。カラー印刷許可リスト検索処理は、クライアントPC10からカラー印刷許可リスト検索要求D1を受信すると開始される処理である。
まず、カラー印刷許可リスト検索要求D1(図5(a)参照)と一致するユーザIDと印刷実行ファイル名との組み合わせが、カラー印刷許可リスト54aに存在するか否かを調べるために、カラー印刷許可リスト54aを検索する(S142)。カラー印刷許可リスト検索要求D1と一致するユーザIDと印刷実行ファイル名との組み合わせが、カラー印刷許可リスト54aに存在する場合(S144:Yes)、すなわち、クライアントPC10において、印刷対象ファイルに印刷指示したアプリケーションが、カラー印刷が許可されるアプリケーションであり、且つ印刷指示をしたユーザが、そのアプリケーションでのカラー印刷が許可されるユーザである場合、カラー印刷許可リスト検索結果として、カラー印刷OKを示すコマンドをクライアントPC10に送信する(S146)。
なお、ここでいう、「カラー印刷許可リスト検索要求D1と一致するユーザIDと印刷実行ファイル名との組み合わせが、カラー印刷許可リスト54aに存在する」場合とは、カラー印刷許可リスト検索要求D1と、完全一致するユーザIDと印刷実行ファイル名との組み合わせが、カラー印刷許可リスト54aに存在する場合だけではなく、カラー印刷許可リスト54aにおいて、ユーザIDが「everyID」とされ、または印刷実行ファイル名が「everyAPLI」とされることにより、カラー印刷許可リストD1を含む組み合わせが、カラー印刷許可リスト54aに存在する場合も含む。
一方、カラー印刷許可リスト検索要求D1と一致するユーザIDと印刷実行ファイル名との組み合わせが、カラー印刷許可リスト54aに無い場合(S144:No)、すなわち、クライアントPC10において、印刷対象ファイルに印刷指示したアプリケーションが、カラー印刷が許可されないアプリケーションである場合、または、印刷指示をしたユーザがそのアプリケーションでのカラー印刷が許可されないユーザである場合、カラー印刷許可リスト検索結果として、カラー印刷NGを示すコマンドをクライアントPC10に送信する(S148)。
カラー印刷許可リスト検索処理(S14)によれば、クライアントPC10において、アプリケーションから印刷指示がされ、且つカラー印刷が指定された場合に、そのアプリケーションがカラー印刷が許可されるアプリケーションであるか否か、および、そのアプリケーションでのカラー印刷が許可されないユーザにより印刷指示がされたか否かを判断することができる。
図16を参照して、カラー印刷許可申請登録処理(S18)について説明する。図16は、カラー印刷許可申請登録処理を示すフローチャートである。カラー印刷許可申請登録処理は、クライアントPC10から、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3(図6参照)を受信すると開始される処理である。
まず、クライアントPC10から受信した、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3に基づいて、印刷対象ファイルに対応したモノクロ印刷をする(S182)。次に、モノクロ印刷データからサムネイル画像を表示するためのデータを作成する(S184)。そして、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3に含まれるユーザIDおよび印刷実行ファイル名と、作成したサムネイル画像とを、カラー印刷許可申請リスト54b(図7(a)参照)の同一の管理番号で管理されるデータ列に格納する(S186)。
次に、カラー印刷許可申請リスト54bに格納した印刷実行ファイル名が、製品名対応リスト54c(図7(b)参照)にあるか否かを判断する(S188)。カラー印刷許可申請リスト54bに格納した印刷実行ファイル名が、製品名対応リスト54cにある場合(S188:Yes)、その印刷実行ファイル名に対応する製品名を製品名対応リスト54cから読み込み、カラー印刷許可申請リスト54bの同一の管理番号で管理されるデータ列に格納する(S190)。
一方、カラー印刷許可申請リスト54bに格納した印刷実行ファイル名が、製品名対応リスト54cに無い場合(S188:No)、S190の処理をスキップして、S192の処理に進む。
次に、カラー印刷許可申請の受理(すなわち、カラー印刷許可申請リスト54bへ新たなデータ列を追加したこと)をユーザに通知する(S192)。これは、例えば、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3の送信元であるクライアントPC10にコマンドを送信し、その表示装置16にダイアログを表示させることにより行われる。
次に、カラー印刷許可申請リスト54bに格納されたデータ列の数が10以上となったかを判断する(S194)。カラー印刷許可申請リスト54bに格納されたデータ列の数が10以上となった場合(S194:Yes)、後述するカラー印刷許可処理を実行し(S196)、10件分のカラー印刷許可申請についての承認を管理者に促す。そして、処理を終了する。一方、カラー印刷許可申請リスト54bに格納されたデータ列の数が10未満である場合(S194:No)、S196の処理をスキップして処理を終了する。
カラー印刷許可申請登録処理(S18)によれば、クライアントPC10から受信した、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データに基づいて、カラー印刷許可申請リスト54bに、新たなカラー印刷許可申請を追加し、10件分の申請が蓄積した時点で、管理者にまとめて通知することができるので、逐一承認を要求する場合に比べて、管理者の煩わしさを低減できる。
図17を参照して、カラー印刷許可処理(S196)について説明する。図17は、カラー印刷許可処理を示すフローチャートである。カラー印刷許可処理は、カラー印刷許可申請リスト54bに格納されたデータ列の数が10以上蓄積されたことに基づいて、カラー印刷許可申請の承認を管理者に促す処理である。
まず、カラープリンタ50が、Webアクセス可能であるか否か(すなわち、カラープリンタ50に予めIPアドレスおよびメールアカウントが付与されているか否か)を判断する(S1962)。カラープリンタ50が、Webアクセスモードである場合(S1962:Yes)、電子メールを管理者端末30に送信する(S1964)。この電子メールには、印刷許可手続きを実行するためのカラープリンタ50のIPアドレスが記述されている。よって、カラープリンタ50からの電子メールを管理者端末30において受信した管理者は、判定すべきカラー印刷許可申請が蓄積されている旨、および、申請内容通知画面(図8(a)参照)をウェブブラウザを用いて申請内容通知画面37(図8(a)参照)を表示させるためのカラープリンタ50のIPアドレスを知ることができる。
一方、カラープリンタ50に、IPアドレスおよびメールアカウントが付与されておらず、カラープリンタ50がWebアクセス可能ではない場合(S1962:No)、カラープリンタ50の操作パネル57の表示画面を点滅させ、判定すべきカラー印刷許可申請が蓄積されている旨を管理者に通知し(S1966)、処理を終了する。操作パネル57の点滅に気づいた管理者は、カラープリンタ50の操作キーから所定の入力を行うことにより、申請内容通知画面57a(図8(b))を表示させることができる。カラー印刷許可処理によれば、10件分のカラー印刷許可申請の内容が、管理者端末30の表示装置36または、カラープリンタ50の操作パネル4に出力される。これにより、管理者は、カラー印刷許可申請の内容を確認することができる。そして、上述したように、承認するか否かの判断と、承認の入力操作を行う。
図18を参照して、カラー印刷許可リスト追加処理(S20)について説明する。図18は、カラー印刷許可リスト追加処理を示すフローチャートである。カラー印刷許可リスト追加処理は、カラー印刷許可申請処理(S196)により、管理者端末30に申請内容通知画面37またはカラープリンタ50の操作パネル57に申請内容通知画面57aが表示されると、実行される処理である。
まず、申請内容通知画面37または申請内容通知画面57aにおいて、管理者による申請内容Sの承認入力を受けたか否かを判断する(S201)。管理者による承認入力を受けると(S201:Yes)、管理者により承認された申請内容SのユーザIDと印刷実行ファイル名とを、カラー印刷許可リスト54aに追加する(S202)。次に、製品名対応リスト54c(図7(b)参照)を参照し、追加した印刷実行ファイル名と同じ製品名が対応付けられており、且つ追加した印刷実行ファイル名とは異なる文字列で構成された印刷実行ファイル名が存在するか否かを判断する(S204)。
追加した印刷実行ファイル名と同じ製品名が対応付けられており、且つ追加した印刷実行ファイル名とは異なる文字列で構成された印刷実行ファイル名が存在する場合(S204:YES)、異なる文字列で構成された印刷実行ファイル名(図7を参照して上述した例では印刷実行ファイル名「MSWORD_EX.EXE」)を、ユーザIDと共に、カラー印刷許可リスト54aに追加する。このようにすれば、同じ製品名のアプリケーションであれば、バージョンなどを考慮せずに、以降のカラー印刷が許可される。
一方、追加した印刷実行ファイル名と同じ製品名が対応付けられており、且つ追加した印刷実行ファイル名とは異なる文字列で構成された印刷実行ファイル名が、製品名対応リスト54cに無い場合(S204:No)、S206の処理をスキップする。
次に、カラー印刷許可申請リスト54bを空にする(S208)。そして、申請の承認結果をユーザ(クライアントPC10)に通知し(S210)、処理を終了する。ユーザは、申請の承認結果の通知を受けることにより、自らがした申請が承認されたか否かを知ることができる。
カラー印刷許可リスト追加処理(S20)によれば、管理者により承認された申請内容SのユーザIDと印刷実行ファイル名とを、カラー印刷許可リスト54aに追加設定することができる。また、追加する印刷実行ファイル名に対応する製品名が、異なる印刷実行ファイル名を有する場合は、その異なる印刷実行ファイル名もカラー印刷許可リスト54aに追加設定される。よって、ユーザIDがカラー許可リスト54aに追加されたユーザが、同一の製品名のアプリケーションから印刷指示を行った場合は、例えば、アプリケーションのバージョンが異なる等の理由により、印刷実行ファイル名が異なったとしても、カラー印刷が許可される。
本実施例の印刷システム100によれば、印刷対象ファイルに印刷指示したアプリケーションが、カラー印刷が許可されないアプリケーションであると判断された場合、そのカラー印刷が許可されないアプリケーションから印刷指示された前記印刷対象ファイルを元に生成される印刷データを用いたカラー印刷が制限される。よって、カラー印刷が不要である可能性が高いアプリケーションについては、カラー印刷を制限することができるので、全体の印刷コストを抑制することができる。
また、印刷対象ファイルに対し印刷実行が指示され、印刷許可設定画面20(図4参照)において、「カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷」が指定されると、カラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3(図6参照)がクライアントPC10からカラープリンタ50へ送信される。そして、そのカラー印刷許可申請付きモノクロ印刷データD3のヘッダに付加されたユーザIDと印刷実行ファイル名とに従って、カラー印刷許可リスト54aが設定される。したがって、ユーザは、カラー印刷許可の申請を希望するアプリケーションから印刷指示をするという簡単な操作で、そのアプリケーションについて、カラー印刷許可を申請することができるので、操作負担を抑制することができる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば本実施例では、カラー印刷が指定されたにも拘わらず、モノクロ強制印刷がされる場合、クライアントPC10の表示装置16に、モノクロ強制印刷が実行された旨を通知するダイアログを表示させていた。
図19(a)は、表示装置16に表示されるダイアログ16aの一例を示す図である。また、ダイアログ16aの表示に変えて、例えば、図19(b)に示すように、モノクロ強制印刷が実行された旨を、電子メール16bにてクライアントPC10に通知しても良いし、また、図19(c)に示すように、モノクロ強制印刷が実行された旨を、カラープリンタ50の操作パネル57に表示させても良い。さらに、モノクロ強制印刷が実行された旨を通知する場合に限らず、例えばカラー印刷許可申請が管理者により許可されたことを通知する場合にも、図19(a)〜(c)に示すように、ダイアログの表示、電子メールによる通知、カラープリンタ50の操作パネル57への表示など、通知手段は、様々に変更可能である。
また、上述の実施例では、管理者により承認がされた申請が、カラー印刷許可リスト54aに追加設定されるものとして説明したが、カラー印刷の必要性が高いアプリケーションについては、全てのユーザについて、そのアプリケーションでのカラー印刷が許可されるように予めカラー印刷許可リスト54aを設定しておいてもよい。
図20は、カラー印刷許可リスト54aに記憶させるユーザIDと印刷実行ファイル名との一例を示す図である。図20に示すように、カラー印刷の必要性が高いアプリケーションの印刷実行ファイル名と、全てのユーザを示すユーザID「everyID」とを、予めカラー印刷許可リスト54aに設定しておくことにより、カラー印刷の必要性が高く、カラー印刷許可申請がされる可能性が高いアプリケーションについては、個々に判定する必要がないので、管理者の煩わしさが低減する。
また、本実施例では、同じプリンタ内でカラー印刷とモノクロ印刷とを切り換えていたが、印刷システム100内にプリンタが2台以上接続されている場合には、カラー印刷専用プリンタとモノクロ印刷専用プリンタとを分けて使用し、カラー印刷の制限時には、モノクロ印刷専用プリンタに印刷データを転送するように構成してもよい。そのようにすれば、印刷システム100内のプリンタを効率的に利用することができる。
また、本実施例では、カラープリンタ50が、カラーレーザ方式のプリンタであるものとして説明したが、カラープリンタ50の種類をこれに限定されるものではなく、カラーレーザ方式のプリンタに替えて、インクジェット方式のプリンタ、昇華型のプリンタなど、他の方式のプリンタが用いられるものであってもよい。
また、本実施例では、カラー印刷を制限するものであったが、印刷自体の許可と不許可とを切り換えるものであっても良い。すなわち、所定のアプリケーションから印刷指示がされた場合は、印刷自体を禁止するように構成してもよい。また、本実施例では、カラー印刷の制限時には、カラー印刷を完全に禁止するものとして説明したが、カラー印刷制限の手段をこれに限るものではない。例えば、カラー印刷の制限時には、インクまたはトナーの使用量を抑制する節約モードで、カラー印刷を実行するように構成してもよい。このようにすれば、カラー印刷の必要性が低いと予想されるカラー印刷については、節約モードで印刷されるため印刷コストを低減できると共に、画質は低下するものの、カラーの印刷結果を得ることができる。また、例えば、カラー印刷の制限時には、1ページの記録用紙に複数ページ分の印刷をする、いわゆるNin1印刷を強制するように構成してもよい。
また、本実施例では、印刷実行ファイル名にてアプリケーションを判断していたが、実行ファイルのサイズでアプリケーションを特定しても良い。実行ファイルのサイズは、個々のアプリケーション毎にそれぞれ異なっているので、実行ファイルのサイズからアプリケーションを特定することができるからである。
また、本実施例では、記録用紙の片面に、画像と、強制モノクロ印刷がされたことを示すメッセージとが印刷される場合について説明したが、カラープリンタ50が両面印刷に構成されている場合には、記録用紙の裏面(印刷対象ファイルに基づく画像が印刷される面の反対側の面)に、強制モノクロ印刷がされたことを示すメッセージを印刷するように構成しても良い。このようにすれば、印刷結果の見映えが良い。
また、強制モノクロ印刷がされたことを示すメッセージは、強制モノクロ印刷がされた場合、常に印刷されるものとして説明したが、メッセージを印刷するか否かをユーザの設定により切り換えることができるように構成してもよい。
また、本実施例では、印刷指示をしたアプリケーションの実行ファイル名(印刷実行ファイル名)に基づいて、カラー印刷を制限するか否かを判断していたが、これに替えて、印刷対象ファイルを作成したアプリケーション名に基づいて、カラー印刷を制限するか否かを判断してもよい。印刷対象ファイルを作成したアプリケーション名は、印刷対象ファイルに付加された情報から取得することができるため、本実施例で説明した印刷実行ファイル名に替えて、印刷対象ファイルを作成したアプリケーション名を用いて、カラー印刷を制限するか否かを判断するように構成することもできる。すなわち、最初にデータファイルを作成したアプリケーションと、その作成されたデータファイルを開き、印刷指示をするアプリケーションとが異なる場合があるが、いずれ時点のアプリケーションを基準として、カラー印刷を制限するかは、適宜設計変更し得る。