JP4374099B2 - 改修壁構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物、構築物の既存外壁を、太陽電池を擁するソーラーパネルにより改修し、外観よく仕上げると共に、ソーラーパネルによって太陽光による発電を行い、また、ソーラーパネルと既存外壁の間に、外気の取り入れが可能な通気空間を設けることにより、太陽電池を冷却することによる発電効率の向上と、太陽熱の利用を図った壁構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、壁パネルに太陽電池を一体に装着した例としては、例えば、実公平7−39248号公報、特開平8−253914号公報や特開平10−196043号公報等に記載されているように、単にパネルの化粧面にそのまま、太陽電池ユニットを装着したものであった。また、これらは、太陽エネルギーを太陽電池による発電として利用するだけであった。一方、特公昭59−52341号公報、特開昭60−55154号公報等は太陽エネルギーを熱エネルギーとして利用しているだけであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者のような壁パネルでは、太陽光を受光することによって発電する際に太陽電池を冷却する構成がなく、従って太陽電池が過熱した際に発電効率が低下するものであった。また、後者の場合は単に太陽熱によって熱を吸収するにすぎないものであった。さらに通常、太陽電池を配した場合は、外観を損ねてしまうのが一般的であった。さらに、壁パネルを外壁改修に使用する概念が存在しなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するため、太陽電池を備え壁面に対して上方に傾斜した受光面と、受光面の上部に形成した雄型連結部と、受光面の下端から内方に延長した下面と、下面の内方端部に形成した雌型連結部とを有し、かつ受光面、下面、雄型連結部及び雌型連結部にて囲まれた空間を通気空間とするソーラーパネルを用いた改修壁構造であって、通気空間の側面はカバー材によって閉塞され、ソーラーパネルの固定は雄型連結部を上方に延長した固定面において固定面の裏面側の任意箇所に配したスペーサを介して打ち込むことで行うものであり、スペーサ同士の間の空間によって、上下の通気空間を連通する改修壁構造を提案する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る壁構造について、図面を用いて説明する。図1において、Aは改修壁、Bは既存外壁、C1 〜C3 はソーラーパネル、Dはスタータであり、図2〜図4において1は雄型連結部、2は雌型連結部、3は受光面、4は下面、5はスペーサ、11はカバー材である。
【0006】
既存外壁Bは、躯体の外側面に例えば木摺、防水シート、ラスシート、モルタル壁材の順に配設、施工されたモルタル壁からなるもの、あるいは土塗り壁、もしくは、躯体上に胴縁を設け、防水シート、金属サイディング、窯業系サイディング、ALCパネル、タイル、塩ビ押出サイディング等の乾式壁材等を形成した壁等からなるものである。
【0007】
ソーラーパネルCは金属板、例えば鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、アルミ・亜鉛合金メッキ鋼板、ホーロー鋼板の一種(勿論、これらを各種色調に塗装したカラー板も含む)や、プラスチック薄板、FRP、塩化ビニル、ポリカーボネイト等の合成樹脂板、各種無機質板、セラミック板等を形成したもの、およびこれらを組み合わせたものである。ソーラーパネルCは、上部には雄型連結部1を、下部には雌型連結部2をそれぞれ形成する。また、この雄型連結部1と雌型連結部2間には、壁面に対して上方に傾斜した受光面3と、受光面3の下端を内方に延長した下面4とを形成し、雌型連結部2は下面4の内方端部に位置するものである。なお、雄型連結部1、雌型連結部2、受光面3及び下面4に囲まれた空間を通気空間6とし、通気空間6の側面はカバー材11で閉塞されている。
【0008】
雄型連結部1と雌型連結部2は、ソーラーパネルCの既存外壁Bへの取り付け部、およびソーラーパネルC同士の連結部となるものであり、その形状は任意であるが、図では落とし込み構造の連結部としたものを示している。この場合、下段のソーラーパネルCを固定具αで既存外壁Bに固定し、上段のソーラーパネルCの雌型連結部2を落とし込んで連結する工程を繰り返すことにより、改修壁Aを形成するものである。なお雄型連結部1は、固定具αを打ち込むことによって壁パネルAを既存外壁Bに取り付けるため、雄型連結部1を上方に延長した平面である固定面1aを有する。ソーラーパネルCの固定は、固定面1aの裏面側の任意箇所に配したスペーサ5を介して打ち込んで行うものであり、スペーサ5同士の間に形成した連通空間7の空間によって、上下の通気空間6を連通する。
【0009】
また、図2に示すように、ソーラーパネルCの受光面3の表面には、太陽電池12を一体に配している。太陽電池12は一般的に知られている単結晶型、多結晶型、アモルファス型等から任意に選択した太陽電池を枠体等に装着したものや、耐光性シートでラミネートしたものが扱いやすく好ましく、接着剤で積層一体化したり、透明板に装着部を形成して装着したり、両者を併用したりすることが可能である。また、受光面3の裏面には、コネクタ13、ケーブル14等が配されており、通気空間6内に格納されている。
【0010】
通気空間6は、雄型連結部1、雌型連結部2、受光面3及び下面4に囲まれた空間であり、両端はカバー材11で閉塞されている。各通気空間6は連通空間7によって連通するものであり、通気空間6内に外気を通気させることにより、太陽光で暖められた太陽電池Cを冷却することによる発電効率の向上を図ることができるのみならず、暖められた空気を建物内の居住空間に導くことで暖房として利用したり、屋根裏に導いて融雪に活用することなどが可能である。
【0011】
カバー材11は、通気空間6の両端を閉塞して横方向への空気の移動が生じないようにするもので、ここでは図4に示すように固定面1a、受光面3等の端部と連続して設け、折り曲げて形成する。カバー材11によって通気空間6内の空気の移動を上昇に限定することにより、暖められた空気の有効利用を促すものである。
【0012】
図5(a)、(b)は改修壁Aの部分端面図であり、図5(a)は図1におけるa−a部端面図、図5(b)はb−b部端面図である。ソーラーパネルC1 〜C3 の通気空間6は連通空間7によって連通し、矢印で示すように改修壁Aの下端から上端まで外気が上昇するものであり、太陽電池12の冷却や暖気の利用に有効である。また、パッキン材15をカバー材11の通気空間6側に接するように既存外壁B上に配し、ソーラーパネルCの端面側から空気の出入りが生じないようにし、暖気の利用の効率をさらに高めることができる。なお、図6に示すように、スペーサ5はパッキン材15の上から配し、固定面1a上から固定具αを打ち込むことによって、パッキン材15を押し潰しつつ固定する。従って、通気空間6の端部はスペーサ5、パッキン材15およびカバー材11によって塞がれることとなる。
【0013】
太陽電池12は、例えば図7のような構成のものを使用する。すなわち、複数の太陽電池ユニット12bを透明板12aの表面、もしくは裏面に一体に貼着し、またコネクタ13、ケーブル14との接続は、受光面3に任意の孔を設けることによって行う。透明板12aと受光面3との間に太陽電池ユニット12bを挟み込むことによって、太陽電池ユニット12bの耐久性、寿命を大幅に向上させることができる。
【0014】
図8(a)はスペーサ5の一例を示しており、任意の幅と、固定面1aとほぼ等しい高さを有するもので、スペーサ5の厚さ分の幅の連通空間7が確保される。図8(b)はパッキン材15を示すもので、高さ方向に長尺であり、既存外壁Bの表面に接着剤等を介して貼着される。図8(c)は、改修壁Aの貼り始めに用いるスタータDを示すものであり、21は雌型連結部2と係合する形状に形成した連結部、22はスペーサ、23は水切りである。
【0015】
以下に、本発明の改修壁Aを形成する工程を説明する。ここでは、カバー材11を省略した図面を用いるが、カバー材11は予め通気空間6の側面を閉塞するように予め折曲げてあるものと仮定する。まず、図9に示すようにパッキン材15をソーラーパネルの幅とほぼ同等の間隔をもって既存外壁B上に接着剤等を介して配する。次に、図10に示すように、スタータDを既存外壁Bの下端部に固定するが、この際、スペーサ22によってパッキン材15の下端部を押し潰しつつ固定具αを打ち込む。
【0016】
次に、図11に示すようにソーラーパネルC1 を、雌型連結部2とスタータDの連結部21を係合させるように配し、固定面1aにおいてスペーサ5を介してパッキン材15を押し潰しつつ固定具αを打ち込んで、図12のように固定する。
【0017】
次に、図12に示すように、ソーラーパネルC2 を、雌型連結部2とソーラーパネルC1 の雄型連結部1を係合させるように配し、固定面1aにおいてスペーサ5を介してパッキン材15を押し潰しつつ固定具αを打ち込んで固定する。以上のような工程を繰り返し、図13に示すような改修壁Aを形成するものである。
【0018】
以上説明したのは本発明の一実施例であり、以下のような構成を採ることもできる。すなわち、図14はソーラーパネルCとは分離した部材によってカバー材11を形成した例である。図14に示したカバー材11は、図15に示すように既存外壁B上に配したソーラーパネルCの通気空間を塞ぐように配することで、図16に示すような改修壁Aを形成するものである。ここで、カバー材11は接着剤や部材の弾性力等によってソーラーパネルCと一体化するものである。
【0019】
【発明の効果】
本発明の改修壁構造によれば、▲1▼外壁を改修することにより、太陽光、太陽熱を利用する機能を付加することができる。▲2▼通気空間内の外気の通気によってソーラーパネルを冷却し、太陽電池の発電効率の向上を図ることができる。▲3▼ソーラーパネルを冷却することにより受熱した空気を暖房、融雪等に活用できる。▲4▼太陽光、太陽熱の両者の利用を図った壁構造となる。▲5▼ソーラーパネルを同一平面に揃えることで、外観の良い仕上がりとなる。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る改修壁構造の一例を示す説明図である。
【図2】ソーラーパネルの説明図である。
【図3】ソーラーパネルの説明図である。
【図4】ソーラーパネルの説明図である。
【図5】改修壁構造の横断面図である。
【図6】ソーラーパネルの接続部の拡大図である。
【図7】ソーラーユニットの説明図である。
【図8】スペーサ、パッキン材、スタータの説明図である。
【図9】本発明の施工過程の説明図である。
【図10】本発明の施工過程の説明図である。
【図11】本発明の施工過程の説明図である。
【図12】本発明の施工過程の説明図である。
【図13】本発明の施工過程の説明図である。
【図14】本発明の壁構造のその他の例である。
【図15】本発明の壁構造のその他の例である。
【図16】本発明の壁構造のその他の例である。
【符号の説明】
α 固定具
A 改修壁
B 既存外壁
C ソーラーパネル
D スタータ
1 雄型連結部
1a 固定面
2 雌型連結部
3 受光面
4 下面
5 スペーサ
6 通気空間
7 連通空間
11 カバー材
12 太陽電池
12a 透明板
12b 太陽電池ユニット
13 コネクタ
14 ケーブル
15 パッキン材
21 連結部
22 スペーサ
23 水切り

Claims (1)

  1. 太陽電池を備え壁面に対して上方に傾斜した受光面と、受光面の上部に形成した雄型連結部と、受光面の下端から内方に延長した下面と、下面の内方端部に形成した雌型連結部とを有し、かつ受光面、下面、雄型連結部及び雌型連結部にて囲まれた空間を通気空間とするソーラーパネルを用いた改修壁構造であって、通気空間の側面はカバー材によって閉塞され、ソーラーパネルの固定は雄型連結部を上方に延長した固定面において固定面の裏面側の任意箇所に配したスペーサを介して打ち込むことで行うものであり、スペーサ同士の間の空間によって、上下の通気空間を連通することを特徴とする改修壁構造。
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