JP4372707B2 - 熱処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、基板等の被加熱物を熱風によって熱処理する熱処理装置に関する。
従来より、下記特許文献1に開示されているような熱処理装置が液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)やプラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display)、有機ELディスプレイ等のようなフラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel display)の製作に使用されている。熱処理装置は、予めガラス板等の基板(被加熱物)に対して特定の溶液を塗布して加熱乾燥させたものを熱処理室内に収容し、熱処理室内に導入される所定の温度の熱風に晒して熱処理(焼成)する装置である。
特許第2971771号公報
従来技術の熱処理装置は、被加熱物を出し入れするための開口や隙間等があり、完全な密閉状態とはなっていないことが多い。そのため、熱処理に伴って基板上に塗布されていた特定の溶液等が気化して発生した生成ガスは、前記した開口や隙間の近傍で冷却されて固化し、いわゆる昇華物となる。昇華物は、粒子状やタール状になっており、熱処理装置内を汚染して被加熱物の品質を低下させてしまうばかりか、被加熱物の出し入れの際に熱処理装置の外部に漏出してしまうという問題があった。また、従来技術の熱処理装置では、昇華物が基板の出し入れを行うためのロボットアーム等の機器類に付着してしまい、これらの機器類の動作不良を引き起こしてしまうという問題もあった。
上記した問題に鑑み、上記特許文献1に開示されている熱処理装置では、熱処理装置内を熱処理装置の設置雰囲気圧力よりも若干低圧に維持させることにより熱処理装置内の空気や生成ガスが外部に漏出してしまうのを防止する構成とされている。かかる構成とした場合、熱処理装置から昇華物が外部に排出されるという問題に対しては一定の効果を発揮するが、被加熱物を出し入れするための開口や隙間から流入した空気の影響によって幾分の昇華物が発生し、前記した開口や隙間から流出する可能性があった。
そこで、本発明では、被加熱物の熱処理に伴って発生する生成ガスが冷却されて発生する昇華物の漏出を抑制可能な熱処理装置の提供を目的とする。
上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、気体を加熱する加熱手段と、当該加熱手段によって加熱された気体が導入され、被加熱物を収容可能な熱処理室と、当該熱処理室から流出した気体を加熱手段に戻す戻り流路と、前記熱処理室から出る気体よりも低温の気体の熱媒体が供給される熱媒体流路とを有し、前記加熱手段と熱処理室と戻り流路とを含む気体の循環系統が形成されたものであり、前記熱媒体流路の一部又は全部が前記循環系統内に配されており、前記熱媒体流路の中途に、循環系統内を流れる気体と熱媒体流路内を流れる熱媒体とが熱交換可能な熱交換手段が設けられており、前記熱媒体流路の下流側の端部が前記戻り流路内で開放されていることを特徴とする熱処理装置である。
また請求項2に記載の発明は、気体を加熱する加熱手段と、当該加熱手段によって加熱された気体が導入され、被加熱物を収容可能な熱処理室と、熱処理室に被加熱物を出し入れするための開口を有する換装部と、当該熱処理室から流出した気体を加熱手段に戻す戻り流路と、前記熱処理室から出る気体よりも低温の気体の熱媒体が供給される熱媒体流路とを有し、前記加熱手段と熱処理室と戻り流路とを含む気体の循環系統が形成されたものであり、前記熱媒体流路の一部又は全部が前記循環系統内に配されており、前記熱媒体流路の中途に、循環系統内を流れる気体と熱媒体流路内を流れる熱媒体とが熱交換可能な熱交換手段が設けられており、前記熱媒体流路の内部を流れる気体を換装部に隣接する位置から噴出可能であることを特徴とする熱処理装置である。
請求項3に記載の発明は、熱交換手段が、熱媒体流路の外周面の全周あるいは一部に被さるように装着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理装置である。
本発明の熱処理装置では、気体の循環系統内に熱媒体流路が配されており、この熱媒体流路に熱処理室から出る気体よりも低温の熱媒体が供給される構成とされている。さらに、本発明の熱処理装置は、循環系統内に配された熱媒体流路の中途に熱交換手段が設けられているため、熱交換手段が被加熱物が加熱されることにより発生する高温の生成ガスに晒される構成とされている。そのため、本発明の熱処理装置では、熱処理室内に配された被加熱物が加熱されることにより発生する生成ガスを、熱交換手段において熱媒体流路の内部を流れる低温の熱媒体との熱交換により冷却し、固化させて捕捉することができる。従って、本発明の熱処理装置によれば、生成ガスや、これが固化したもの(いわゆる昇華物)が熱処理装置の外部に漏出するのを確実に防止できる。
ここで、上記した熱処理装置では、熱処理室における被加熱物の熱処理(焼成)に伴って生成ガスが発生するため、生成ガスが漏出したり、昇華物が予期せぬ部分で発生するのを防止するためには、生成ガスが熱処理室よりも下流側の部位において捕捉されることが望ましい。
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項に記載の発明は、熱交換手段が、熱媒体流路の中途であって、前記熱処理室よりも循環系統内を流れる気体の流れ方向下流側の部位に装着されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱処理装置である。
かかる構成によれば、熱処理室において発生した生成ガスの大部分を、熱交換により冷却して固化させ、昇華物として捕捉することができる。よって、本発明によれば、熱処理装置から生成ガスや昇華物が漏出したり、昇華物が予期せぬ部分に付着するなどの不具合の発生を抑制することができる。
ここで、上記したような構成の熱処理装置の多くは、被加熱物を出し入れするための換装部を持ち、運転中に換装部を介して順次被加熱物を出し入れする構成とされている。そのため、換装部から被加熱物を出し入れ可能な構造の熱処理装置では、被加熱物の出し入れの際に換装部から外気が導入されるなどして低温になり、この付近で昇華物が発生するなどの不具合が起こる可能性がある。従って、前記したような構造の熱処理装置では、換装部よりも上流側において生成ガスを冷却して固化させ、捕捉しておくことが望ましい。
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項に記載の発明は、熱処理室に被加熱物を出し入れするための換装部を有し、熱交換手段が、熱媒体流路の中途であって、前記換装部よりも循環系統内を流れる気体の流れ方向上流側の部位に装着されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱処理装置である。
本発明の熱処理装置では、換装部よりも気体の流れ方向上流側の部位に熱交換手段が装着されているため、熱処理室から出た気体に含まれる生成ガスの多くは換装部に到達するまでに冷却されて固化し、熱交換手段によって捕捉される。従って、本発明によれば、換装部やこの近傍に到達する生成ガスの量を最小限に抑制でき、換装部近傍において生成ガスが固化して昇華物になるなどの不具合を解消することができる。
請求項に記載の発明は、熱交換手段が、熱媒体流路に対して装着されることにより、熱媒体流路の外側に向けて突出する熱交換片を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の熱処理装置である。
本発明の熱処理装置では、熱交換片が設けられているため、熱交換手段の熱交換面積が大きい。そのため、本発明によれば、熱交換手段において生成ガスを効率よく冷却でき、生成ガスやこれが固化した昇華物が熱処理装置の外部に漏出するのを抑制できる。
ここで、生成ガスを固化させて捕捉するためには、熱交換手段において熱交換に供する部分の面積を十分確保する必要がある。一方、上記したように、生成ガスが固化したいわゆる昇華物は、タール状になっていたり微粒化している。そのため、熱交換手段を清掃するのにも手間がかかる。そのため、熱交換手段は、熱交換に供する部分の面積を十分確保可能であり、清掃等のメンテナンスも容易な構成であることが望ましい。
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項に記載の発明は、熱交換片が、熱媒体流路の延伸方向に沿う方向に延伸していることを特徴とする請求項に記載の熱処理装置である。
また、同様の知見に基づいて提供される請求項に記載の発明は、複数の熱交換片が、熱媒体流路の周方向に間隔を開けて設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の熱処理装置である。
かかる構成によれば、熱交換手段において熱交換に供する部分の面積を十分確保しつつ、熱交換手段のメンテナンスが容易な熱処理装置を提供できる。
請求項に記載の発明は、熱交換手段が、熱媒体流路の外周面の全周あるいは一部に被さるように装着されるベース部と、当該ベース部に対して熱伝導可能に取り付けられた熱交換片とを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の熱処理装置である。
かかる構成によれば、熱媒体流路と熱交換手段との間における伝熱面積を大きくとることができ、生成ガスと熱媒体流路内を流れる熱媒体との熱交換効率を向上させることができる。従って、本発明によれば、被加熱物の加熱により発生する生成ガスを熱交換手段において効率よく固化させて捕捉することができ、生成ガスやこれが固化した昇華物が外部に漏出するのを確実に防止できる。
請求項10に記載の発明は、熱交換手段が、ベース部と熱交換片とからなる熱交換体を複数組み合わせて構成されるものであり、複数の熱交換体を一体化することにより熱媒体流路の外周の一部又は全部を包囲することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の熱処理装置である。
かかる構成によれば、熱媒体流路に対して熱交換手段を容易に脱着することができる。また、上記した構成によれば、例えば昇華物の付着量が多いもののように、清掃等のメンテナンスの必要な熱交換手段のみをメンテナンスすることができる。
ここで、上記したように、熱処理室に対して被加熱物を出し入れするための換装部を備えた熱処理装置では、被加熱物を出し入れする際に換装部から流入した外気等の影響により、昇華物が換装部近傍に付着するおそれがある。
前記した請求項2に記載の発明は、かかる知見に基づいて提供され発明であり、熱媒体流路を流れる熱媒体が気体であり、熱処理室に被加熱物を出し入れするための換装部を有し、前記熱媒体流路の内部を流れる熱媒体を換装部に隣接する位置から噴出可能であることを特徴とする。
本発明の熱処理装置は、熱媒体流路は循環系統内に配されており、さらにこの中途に熱交換手段が装着された構成とされている。そのため、熱媒体流路内を流れる熱媒体たる気体は、循環系統内に存在する気体との熱交換により加熱される。ここで、上記したように、本発明の熱処理装置では、このようにして熱交換加熱された熱媒体を換装部に隣接する位置において噴出可能な構成とされている。そのため、本発明の熱処理装置では、換装部において被加熱物を出し入れしても、換装部やこの近傍が冷却されるのを防止できる。従って、本発明の熱処理装置では、換装部やこの近傍において昇華物が発生しにくい。
請求項11に記載の発明は、熱処理室に被加熱物を出し入れするための換装部を有し、換装部が熱処理室に連通する開口を有し、熱媒体流路の内部を流れる熱媒体が噴出することにより気体流が形成され、当該気体流が前記開口の開口領域の一部又は全部を横断及び/又は縦断することを特徴とする請求項2乃至10のいずれかに記載の熱処理装置である。
かかる構成によれば、熱媒体流路から噴出された熱媒体の流れによって形成される気体流によって、換装部を介して熱処理室内の気体が流出したり、外気が熱処理室に流入するのを抑制できる。そのため、本発明の熱処理装置によれば、熱処理室内において発生した生成ガスが漏出したり、換装部近傍で冷却されて昇華物となるのを防止できる。
さらに、本発明の熱処理装置は、換装部から外気が流入しにくい構成であるため、被加熱物の出し入れに伴って熱処理室内の温度が不安定になるといったような不具合が発生しにくい。そのため、上記した熱処理装置によれば、熱処理室内の雰囲気温度を調整するエネルギーを最小限に抑制できる。
請求項12に記載の発明は、換装部を介して被加熱物を出し入れする際に被加熱物によって分割される領域X,Yを想定した場合に、熱媒体流路の内部を流れる熱媒体を前記領域X側および領域Y側の双方から領域X,Yの境界部分に向けて噴出することによって気体流を形成し、当該気体流により、気体流よりも熱処理室の内側の領域と当該領域よりも外側の領域とに分離可能であることを特徴とする請求項2乃至11のいずれかに記載の熱処理装置である。
本発明の熱処理装置では、熱媒体流路から気体を噴出することによって形成される気体流により熱処理室の内側の領域が外側の領域から分離される。そのため、本発明の熱処理装置では、熱処理室内における被加熱物の加熱に伴って発生する生成ガスや、この気体が冷却されることにより発生するいわゆる昇華物が熱処理室から漏出しない。
本発明の熱処理装置では、外気が熱処理室内に殆ど進入しないため、熱処理室内に存在する生成ガスが高温に維持される。そのため、本発明の熱処理装置では、生成ガスが冷却されることにより発生するいわゆる昇華物の発生量が少ない。また、本発明の熱処理装置では、気体流によって処理室の内外の領域が分離されているため、外気や塵等が熱処理室の内側に進入できない。そのため、本発明の熱処理装置では、熱処理装置内に外気等が流入することによる熱処理室内の温度変動や、塵等の進入に伴う熱処理室内の汚染が殆ど起こらない。
本発明の熱処理装置では、被加熱物によって分割される領域X,Yの両側から気体を噴出させて気体流を形成する構成とされているため、被加熱物を出し入れしても、被加熱物が通過する部分以外では気体流が横切られることなく維持される。従って、本発明の熱処理装置は、熱処理室に対する被加熱物の出し入れを行っても熱処理室に対する気体や昇華物の流出が起こらない。
請求項13に記載の発明は、熱媒体流路から噴出される気体の動圧が、熱処理室内を流れる気体の静圧以上であることを特徴とする請求項2乃至12のいずれかに記載の熱処理装置である。
かかる構成によれば、熱処理室の内外を確実に分離することができる。従って、本発明によれば、被加熱物の出し入れの際に外気が流入して昇華物が発生したり、熱処理室の内部雰囲気温度が低下するのを防止できる。また、上記した構成によれば、熱処理室内で発生した生成ガスや昇華物等が外部に漏出するのを防止できる。
請求項14に記載の発明は、換装部が熱処理室に連通する開口を有し、当該開口の周囲には、熱処理室内を流れる気体の流れを換装部側から遠ざかる方向に誘導する誘導手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の熱処理装置である。
かかる構成によれば、換装部の開口近傍の領域に熱処理室内において発生した生成ガスを含む気体が殆ど流れ込まず、熱処理室内において発生した生成ガスや昇華物が漏出しない熱処理装置を提供できる。
本発明によれば、被加熱物の熱処理に伴って発生する生成ガスが冷却されて発生する昇華物の漏出を最小限に抑制可能な熱処理装置を提供できる。
続いて、本発明の一実施形態である熱処理装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1において、1は本実施形態の熱処理装置である。熱処理装置1は、金属製で箱形の本体ケース2の下方に機器収容部3が設けられており、その上方に基板処理部5が設けられた構成となっている。機器収容部3は、基板処理部5に電力を供給する電源装置(図示せず)や基板処理部5の動作を制御する制御装置(図示せず)等を内蔵している。
基板処理部5は、図2や図3に示すように中心に熱処理室12を有し、その周りを空気調整部11によって取り囲んだ構成とされている。空気調整部11は、断熱材によって構成される周壁13a〜13dによって四方が包囲されている。空気調整部11は、空気を所定温度に加熱して熱処理室12内に吹き込むと共に、熱処理室12から排出された空気を上流側に循環させるためのものである。
さらに具体的に説明すると、空気調整部11は、図3に示すように熱風供給手段14、ダクト17および機器室18に大別される。熱風供給手段14は、空気等を加熱する加熱機能と、加熱された空気等を熱処理室12内に送り込む送風機能とを有する。また、熱風供給手段14は、熱処理室12との境界部分に空気等を浄化するためのフィルタ21を有する。ダクト17は、熱処理室12の周囲を包囲するように配された空気流路である。熱風供給手段14およびダクト17,17は、熱処理室12と組み合わさって一連の気体の循環系統Sを形成している。すなわち、循環系統Sは、熱風供給手段14から熱処理室12およびこの側方に設けられたダクト17,17を通過し、熱風供給手段14に戻る系統である。
熱処理室12は、熱風供給手段14との境界をなす上流壁20および仕切壁41,43によって取り囲まれた空間である。熱処理室12の略中央部には、図2や図3に示すように基板Wを載置するための載置棚70が配置されている。載置棚70は、従来公知の熱処理装置において採用されているものと同様に基板Wを載置するための段を多数有している。載置棚70は、図示しない昇降装置に接続されており、必要に応じて熱処理室12内で上下動できる。また、図1や図2に示すように、熱処理室12の正面側には換装部6が設けられている。換装部6は、ロボットアーム等の移載装置(図示せず)によって基板W(被加熱物)を出し入れするために設けられている。
さらに具体的に説明すると、熱処理室12の正面側に設けられた周壁13bには、図5に示すように上下方向に複数(本実施形態では4つ)の開口40が形成されている。また、周壁13bに対して平行に配されている仕切壁41には、周壁13bの開口40に対向する位置に開口50が設けられている。仕切壁41の裏面側、すなわち熱処理室12側には、遮蔽板44が固定されている。
遮蔽板44は、開口50の一部を遮蔽する板状の部材であり、換装部6と熱処理室12との境界部分に配されている。遮蔽板44は、図6に示すように開口40や開口50と同様に、熱処理室12の幅方向(図1において横方向)に長細い基板挿通孔44aと、基板挿通孔44aの下方に設けられた2つのハンド挿通孔44b,44bとが連なった挿通孔44cを有する。挿通孔44cは、熱処理室12と換装部6とを繋ぐ開口領域のうち最も熱処理室12側に存在する部分である。
基板挿通孔44aは、図6(b)に示すように熱処理室12に対して基板Wを出し入れするための開口部であり、基板Wの幅および厚みよりもやや大きめの開口である。また、ハンド挿通孔44b,44bは、基板Wの出し入れの際に基板Wを下方から支持するロボットハンド42を抜き差しするための開口である。基板挿通孔44aは、仕切壁41に設けられた開口50の開口領域を、ロボットハンド42によって基板Wを出し入れするのに必要最低限な大きさに絞り、熱処理室12側から生成ガス等が漏出するのを防止するために設けられている。遮蔽板44は、開口40および開口50の上下方向略中央位置に基板挿通孔44aが位置するように仕切壁41に対して固定されている。
図5に示すように、周壁13bと仕切壁41との間には、隔壁47a,47bが固定されている。隔壁47a,47bは、それぞれ周壁13bと仕切壁41とを橋渡すように固定されるものである。これにより、熱処理装置1の正面側には、開口40から開口50に繋がり、周壁13bと仕切壁41との間に形成されたダクト17から隔絶された換装部6が形成される。
周壁13bの開口40には、エアシリンダー8の作動に連動して動作するシャッター10が装着されている。シャッター10は、上下にスライドするものや、内側あるいは外側に向けて開くもの等から適宜選択される。
熱処理室12内には、図3や図4に示すように空気配管68が設けられている。空気配管68は、外部の空気供給源(図示せず)から圧送されてくる空気が流れる流路である。空気配管68は、熱処理室12およびダクト17内において引き回された後、空気の流れ方向下流側の端部がダクト17内に開放されている。さらに具体的には、空気配管68は、熱処理室12の背面側であって、熱処理室12内を流れる熱風の最下流側に相当する位置の底面から熱処理室12内に立ち上がり、4つの分岐配管68a〜68dに分岐されている。空気配管68の分岐配管68a〜68dは、それぞれ熱処理室12の最下流側の部位を横切り、熱処理室12の正面側に形成されたダクト17側に引き回されている。空気配管68は、下流端がダクト17内に存在し、ダクト17内に空気を放出可能な構成とされている。
空気配管68を流れる空気は、熱処理室12の外部から供給される空気であり、基板Wの熱処理に影響を与えない程度に清浄化されたものである。空気配管68を流れる空気は、熱処理装置1が設置されているクリーンルーム等の室温程度(約摂氏20程度 以下温度はいずれも摂氏温度)の温度である。そのため、空気配管68内を流れる空気の温度は、基板Wの焼成動作の実施温度(本実施形態では約230〜250度程度)よりも十分低温である。
図4に示すように、空気配管68は、分岐配管68a〜68dの中途に熱交換部材90が取り付けられた構造となっている。熱交換部材90は、図7や図8に示すように、2つの熱交換体91,91を一体化して使用されるものである。
熱交換体91は、図8に示すように断面形状が半円状のベース部92と、ベース部92の外周面92aから径方向外側に向けて放射状に突出した熱交換片93とが一体化された構成となっている。ベース部92は、内周面92b、すなわち熱交換片93の突出方向とは逆側の面の曲率が空気配管68の外周面と略合致するように湾曲している。本実施形態では、空気配管68が円筒形であるため、熱交換体91,91を組み合わせた際にベース部92,92が一体となり円筒形となるように成形されている。また、図9に示すように、ベース部92の内接円の半径rが空気配管68の外接円の半径Rと同一になるように成形されている。そのため、図7に示すように、熱交換体91,91を空気配管68の外側から被せて一体化すると、ベース部92,92が空気配管68の外周面にほぼ隙間無く密着する。
熱交換片93は、ベース部92と同様に、ステンレス鋼等のような熱伝導特性に優れた材質で作成された短冊状の板体である。熱交換片93は、図7〜図9に示すように、ベース部92の外周面92a側に溶接等の手法により伝熱可能なように取り付けられており、ベース部92の長手方向に向けてまっすぐに延伸している。本実施形態において、熱交換片93は、ベース部92の外周に4枚取り付けられている。
熱交換片93は、図9のように熱交換体91を断面視した場合に、ベース部92の周方向両端部からベース部92の径方向外側に向けて延出したもの(以下、必要に応じて熱交換片93a,93bと称す)と、ベース部92の周方向中間部に設けられたもの(以下、必要に応じて熱交換片93c,93dと称す)とがある。熱交換片93a〜93dは、いずれも熱交換を促進するための部材として機能するものである。熱交換片93a,93bには、それぞれネジ95を装着するためのネジ穴96が設けられている。熱交換部材90は、熱交換体91,91を被せ、熱交換片93a,93aあるいは熱交換片93b,93bにわたってネジ95を装着することにより、空気配管68に対して着脱可能なように固定される。
上記したように、空気配管68には、外部の空気供給源から空気を圧送する。空気配管68を介して外部から供給された直後の空気は、熱処理室12内の雰囲気温度よりも低温である。さらに具体的には、本実施形態の熱処理装置1は、基板Wの焼成動作中に熱処理室12内の雰囲気温度が約230度〜250度程度に調整される。一方、空気配管68を介して外部から圧送されてくる空気は、室温と同程度の温度である。
ここで、上記したように、空気配管68は、熱処理室12の底面から熱処理室12内に立ち上がる立ち上がり部分から、4つの分岐配管68a〜68dに分岐された構成とされている。そのため、分岐配管68a〜68dに分流する空気は、熱処理室12内に導入されたばかりの空気であり、熱処理室12の内部雰囲気温度よりも大幅に低温であるものと想定される。本実施形態の熱処理装置1では、基板Wの焼成動作中における熱処理室12の雰囲気温度が約230度〜250度とされるのに対して、分岐配管68a〜68dを流れる空気の温度が室温程度(約20度)である。そのため、分岐配管68a〜68dの内外において、約210度〜230度程度の温度差がある。
さらに、上記したように、各分岐配管68a〜68dの中途には、熱交換部材90が取り付けられている。分岐配管68a〜68dは、図3等に示すように、熱処理室12の下流側を横断するように配されている。そのため、熱処理室12を通過したばかりの熱風や、基板Wの熱処理(焼成)に伴って発生したばかりの高温の生成ガスが分岐配管68a〜68dに取り付けられた熱交換部材90の熱交換片93やベース部92に触れ、冷却される。これにより、熱処理室12において発生した生成ガスの大部分が、熱交換部材90の表面において固化し、タール状あるいは粒子状の昇華物となって付着する。すなわち、熱処理に伴って発生した生成ガスの大部分が、熱交換部材90によって昇華物の形態で捕捉される。
また、分岐配管68a〜68d内を流れ、生成ガスとの熱交換により加熱された空気は、ダクト17内に放出され、熱処理室12からダクト17内に流入した熱風等と共に熱風供給手段14側に送り込まれる。すなわち、熱処理室12を通過してきた熱風の温度は熱交換部材90における熱交換によりある程度低下するが、その分の熱エネルギーは清浄な空気に取り込まれて熱風供給手段14に供給され、熱処理に使用される。そのため、熱処理装置1では、熱交換部材90において熱交換を行っても、熱エネルギーの無駄が発生しない。
図2に示すように、熱処理室12の背面側には、メンテナンス時に使用する扉7が設けられている。仕切壁43は、扉7に相当する位置に固定されており、メンテナンス等を行う際に必要に応じて取り外し可能な構成とされている。そのため、扉7や仕切壁43を取り外すことにより、空気配管68の分岐配管68a〜68dに取り付けられた熱交換部材90を着脱することができ、ベース部92や熱交換片93の表面に付着した昇華物を取り除くことができる。
上記したように、熱処理装置1は、循環系統S内に空気配管68やこの分岐配管68a〜68dが配されている。また、空気配管68やこの分岐配管68a〜68dには、熱処理室12の雰囲気温度よりも低温の空気が供給される。さらに、熱処理装置1は、熱処理室12の下流側に隣接する位置を横切る分岐配管68a〜68dに熱交換部材90が取り付けられており、基板Wの熱処理に伴って発生した生成ガスを冷却して固化させ、熱交換片93等に付着させて捕捉することが可能な構成とされている。従って、熱処理装置1は、生成ガスや昇華物が漏出したり、昇華物が予期せぬ部分に付着するなどの不具合が殆ど起こらない。
また、熱処理装置1において、熱交換部材90は、基板Wを出し入れするための換装部6よりも循環系統S内を流れる気体の流れ方向上流側の部位に装着されている。そのため、熱処理室12において発生した生成ガスの大部分は、換装部6に到達するまでに熱交換部材90によって固化され、捕捉される。従って、熱処理装置1では、換装部6やこの近傍に到達する生成ガスの量が少なく、換装部6近傍の予期せぬ部分に昇華物が付着するといった不具合が起こりにくい。
上記したように、熱交換部材90は、空気配管68やこの分岐配管68a〜68dの外周面に取り付けられることにより、空気配管68等の径方向外側に向けて突出する熱交換片93を有している。そのため、熱交換部材90は、熱交換に供する部分の面積が大きく、生成ガスと空気配管68等の内部を流れる低温の空気とが効率よく熱交換できる。
上記実施形態の熱交換部材90を構成する熱交換体91は、ベース部92の延伸方向に伸びる熱交換片93を複数取り付けた構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく例えば図31に示す熱交換体130のように、ベース部92の外周に円弧状の熱交換片131を取り付け、熱交換片131をベース部92の延伸方向に並べて取り付けた構成のものであってもよい。
上記したように、熱交換体91において、熱交換片93は、それぞれ熱交換部材90の延伸方向に沿って延伸している。さらに、熱交換片93は、空気配管68等の周方向に所定の間隔を開けて設けられている。そのため、熱交換体91,91を組み合わせて構成される熱交換部材90は、例えば図31に示す熱交換体130のように円弧状の熱交換片131をベース部92の延伸方向に並べて取り付けた構成とした場合に比べて熱交換片93の清掃が容易である。
上記したように、熱交換部材90は、熱交換体91,91を組み合わせることによりベース部92,92が分岐配管68a〜68dの全周に被さる構成とされている。また、熱交換片93は、それぞれベース部92に対して熱伝導可能なように取り付けられている。そのため、熱交換部材90は、分岐配管68a〜68dとの伝熱面積が大きく、生成ガスと分岐配管68a〜68d内を流れる空気との熱交換効率が高い。また、熱交換部材90は、熱交換体91,91を組み合わせて構成されるため、分岐配管68a〜68dや空気配管68に対して容易に脱着することができる。
ここで、上記したように、熱処理装置1は、換装部6よりも循環系統S内を流れる気体(空気や生成ガス)の流れ方向上流側に熱交換部材90を設け生成ガスを固化して捕捉するものであるため、換装部6近傍を流れる気体中には生成ガスが殆ど含まれていない可能性が高い。しかし、熱処理装置1では、基板Wを出し入れする際に、シャッター10が開くと、周壁13bに設けられた開口40や遮蔽板44に設けられた挿通孔44c等によって構成される換装部6を介して熱処理室12が熱処理装置1の外部に直接連通した状態になる。そのため、熱処理装置1では、熱処理室12内に存在する生成ガスが換装部6を介して熱処理装置1の外部に漏出したり、換装部6を介して熱処理室12内に流入する外気等の影響により換装部6の近傍が昇華物で汚染されるなどしてしまう可能性がある。
そこで、換装部6から昇華物や生成ガスが漏出したり、換装部6が昇華物で汚染されるのを防止すべく、上記した熱処理装置1は、図10や図11に示すように、熱処理室12とダクト17とを仕切る仕切壁41に設けられた挿通孔44cの開口部分の側方に空気配管68の分岐配管68a〜68dの端部を配した構成としてもよい。かかる構成とすれば、図12(a)にハッチングで示すように、挿通孔44cの裏側、すなわち熱処理室12側の領域に挿通孔44cを横切る空気流(エアカーテンM)が形成され、これにより熱処理室12の内外が分断される。そのため、図12(b)に示すように熱処理室12に対する基板Wの出し入れを行うことによりエアカーテンMが遮られても、挿通孔44cのうち基板Wの表面(図12において上方側の面)よりも上方側の開口領域、および基板Wの裏面(図12において下方側の面)よりも下方側の開口領域は、エアカーテンMによって熱処理室12の内側と外側とが遮断された状態に維持される。従って、分岐配管68a〜68dの開口端を挿通孔44cの側方に配することにより、基板Wの出し入れを行っても熱処理室12内から生成ガスや昇華物が漏出するのを抑制できる。
さらに、上記したように、空気配管68内を流れる空気は、分岐配管68a〜68dに設けられた熱交換部材90において熱交換加熱される。また、空気配管68は、熱処理室12内において引き回されているため、熱交換部材90以外の部分を通過する間にも熱交換によって加熱される。そのため、分岐配管68a〜68dの端部から挿通孔44cの側方に吹き出される空気は、熱交換により加熱されている。よって、図10等に示すような構成とした場合は、基板Wの出し入れのために換装部6が開閉しても、挿通孔44c近傍がさほど低温にならない。従って、上記したように挿通孔44cに隣接する位置に空気配管68から空気を排出する構成とすれば、挿通孔44cをはじめとする換装部6において生成ガスが冷却されるのを防止できると共に、これに伴って発生した昇華物が換装部6に付着したり、換装部6から漏出するのを防止できる。
また、上記したようにエアカーテンMを形成する構成とすると、基板Wの出し入れの際に換装部6が開閉しても熱処理室12の内外における空気や生成ガス、昇華物等の出入りがないため、熱処理室12内の内部温度の変動が少ない。従って、エアカーテンMにより基板挿通孔44aを遮蔽する構成とすれば、熱処理室12の内部温度を安定化するのに要する消費エネルギーを最小限に抑制でき、基板Wの焼成不良等の不具合が起こりにくい。
上記したように、エアカーテンMを形成する場合は、基板Wの出し入れの際に基板WがエアカーテンMを形成する空気に晒されるが、この空気は、熱交換部材90における熱交換等により、空気配管68を流れる間に加熱され、熱処理室12の内部雰囲気と同程度の温度にされている。そのため、基板Wを熱処理室12に出し入れすることにより、基板Wに対して作用する熱的ストレスが小さい。
上記したように、遮蔽板44の裏面側(熱処理室12側)に幕状の空気流(エアカーテンM)を形成して熱処理室12の内外における空気やガスの交流を遮断するためには、分岐配管68a〜68dから噴出される空気流の流量が、熱処理室12内を流れる熱風や生成ガスの流速と同等、あるいは、それ以上であることが望ましい。また、分岐配管68a〜68dから噴出される空気の動圧は、熱処理室12内を流れる空気や生成ガスの静圧よりも高いことが望ましい。本実施形態では、熱処理室12内を約1.8×105 [リットル/分]程度の空気や生成ガスが流れるのに対して、分岐配管68a〜68dから約1.6×102 〜3.2×102 [リットル/分]程度の流量で清浄な空気が噴出される。また、分岐配管68a〜68dから噴出される空気の動圧は、熱処理室12内を流れる空気や生成ガスの静圧よりも高い。そのため、熱処理装置1では、エアカーテンMにより、熱処理室12内を流れる空気等が換装部6に流れ込むのを確実に阻止することができる。
図10〜図12に示す例では、分岐配管68a〜68dの開放端をそのまま挿通孔44cの開口領域に隣接する位置に配する例を例示した。かかる構成とする場合、分岐配管68a〜68dの開口領域に相当する部分における空気流の密度に比べ、これよりも外周側の部分は空気流の密度が低くなるものと想定される。そこで、かかる知見に基づき、図13に示すように分岐配管68a〜68dの下流端に空気噴出用の小孔85aを多数設けたエアノズル85を取り付けた構成としてもよい。かかる構成によれば、小孔85aから噴出する空気が挿通孔44cの開口領域の略全体を横断する。そのため、図13に示すような構成とすれば、図14にハッチングで示すように挿通孔44cの開口領域の略全領域を略均等にエアノズル85から噴出される空気流が横断する。従って、図13に示すように、分岐配管68a〜68dの開放端にエアノズル85を取り付けた構成とすれば、熱処理室12の内外をより一層確実にエアカーテンMによって分断でき、基板Wの出し入れに伴って生成ガスや昇華物が漏出したり、換装部6に昇華物が付着するのを防止できる。
図10〜図14に示す例では、挿通孔44cに対して、熱処理室12内を流れる熱風等の流れ方向下流側に分岐配管68a〜68dやエアノズル85が存在する例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば分岐配管68a〜68dの一部又は全部やエアノズル85が熱風等の流れ方向上流側に配された構成とされてもよい。
また、熱処理装置1は、分岐配管68a〜68dのように熱処理室12内を流れる熱風等の流れ方向下流側から上流側に向けて空気を噴出可能な流路に加えて、上流側から下流側に向けて空気を噴出可能な流路を形成し、双方の流路にエアノズル85を取り付けた構成としてもよい。熱処理室12内を流れる熱風等の流れ方向上流側から下流側に向けて空気を噴出するための流路は、例えば図15に示すように、分岐配管68a〜68dを中途でさらに分岐してもよく、分岐配管68a〜68dと同様の流路を別途挿通孔44cの上流側に別途配してもよい。かかる構成によれば、基板挿通孔44aの長手方向両端側から空気流を発生させることができ、エアカーテンMを形成する空気流の密度や流速を部位によらず均一化することができる。
ここで、従来技術の熱処理装置の多くは、図16に示す熱処理装置200のように、分岐配管68a〜68d等が設けられておらず、換装部6と熱処理室12とが連通した構造とされている。そのため、熱処理装置200の熱処理室12内において矢印Aで示すように気流が発生している状態で換装部6が開くと、図16に矢印Bで示すように熱処理室12内を流れる空気等の流れ方向上流側では外気が巻き込まれ、下流側では矢印Cで示すように熱処理室12内に存在する生成ガスや昇華物等を外部に排出するような気流が発生する可能性がある。よって、このような気流が発生することが想定される場合は、熱処理室12を流れる熱風の流れ方向上流側よりも下流側近辺に換装部6と熱処理室12とを遮断するエアカーテンを形成することが望ましい。従って、上記したように基板挿通孔44aの上流側および下流側に隣接する位置にエアノズル85,85を設ける場合は、下流側に配されるエアノズル85から噴出される空気流の圧力や空気量を上流側に配されたエアノズル85から噴出される空気流よりも大きく設定することにより、熱処理室12内を流れる空気等が外部に漏出するのを確実に防止できる。
図10〜図15に示す例では、挿通孔44cに対して熱処理室12内を流れる熱風等の流れ方向に隣接する位置、すなわち挿通孔44cの長手方向の端部に隣接する位置から熱風の流れ方向(挿通孔44cの長手方向)に沿う方向に分岐配管68a〜68dを介して供給される空気を噴出する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図17〜図20に示すように挿通孔44cの上下から上下方向に空気を噴出させてエアカーテンCを形成する構成とすることも可能である。
さらに具体的に説明すると、図17〜図20に示す例では、各分岐配管68a〜68dが分岐管69によって分岐され、挿通孔44cの上下に配されたエアノズル65,66に接続される。エアノズル65,66は、それぞれ遮蔽板44に設けられた基板挿通孔44aの長手方向に沿って延伸した配管に複数のエア噴出孔67を設けたものである。エア噴出孔67は、いずれも換装部6を介して出入りする基板W側を向くように配されている。
さらに具体的には、換装部6の上方側に配されているエアノズル65のエア噴出孔67は、下方に向けて空気を噴出可能なように形成されている。そのため、エアノズル65から空気が噴出されると、図19にハッチングで示すように、基板挿通孔44aの上方の領域Xから下方(仮想平面H側)に向かって空気が流れるエアカーテンC1が形成される。エアカーテンC1を構成する空気の一部は、仮想平面Hを越えて下方の領域まで到達する。
また、換装部6の下方側に配されているエアノズル66のエア噴出孔67は、上方に向けて空気を噴出可能なように形成されている。そのため、エアノズル66から空気が噴出されると、図19にハッチングで示すように基板挿通孔44aの下方の領域Yから上方(仮想平面H側)に向かって空気が流れるエアカーテンC2が形成される。エアカーテンC2を構成する空気は、一部が仮想平面Hを越えて上方の領域まで到達する。よって、エアカーテンCは、仮想平面H近傍においてエアカーテンC1とエアカーテンC2とが重複している。
上記したように、エアカーテンCは、挿通孔44cの上方に形成されるエアカーテンC1と、挿通孔44cの下方に形成されるエアカーテンC2とによって構成されている。また、図19に示すように、エアカーテンC1とエアカーテンC2との重複部分を仮想平面Hが通過する。そのため、換装部6を介して基板Wを出し入れする際に、遮蔽板44の基板挿通孔44aを基板Wが通過しても、基板Wの表面側(上方側の面よりも上方)および裏面側(下方側の面よりも下方)の双方にエアカーテンC1,C2が形成された状態を維持する。すなわち、エアノズル65,66から噴出される空気によって形成されるエアカーテンCは、基板Wの出し入れを行っても基板Wの通過部分以外では遮られない。そのため、図20に矢印で示すように基板Wから上方あるいは下方に離れた位置に熱処理室12内を流れる空気や生成ガスの流れが到達しても、これらの流れはエアカーテンC1,C2によって遮られ、外部に漏出しない。また同様に、熱処理室12の外部に存在する外気についても、エアカーテンC1,C2によって流れが遮られ、熱処理室12の内部に進入できない。
さらに、上記したような構成とすると、図20に矢印で示すように、基板WがエアカーテンCに差し掛かった際に、エアノズル65,66から基板Wに向けて噴出された空気流が基板Wの表面あるいは裏面側において跳ね返って渦流となる。そのため、熱処理装置1では、基板Wの表面および裏面の近傍は、エアノズル65,66から噴出された空気の密度が高く、熱処理室12内を流れる空気や生成ガスが流出したり、外気が熱処理室12側に進入する余地が殆どない。従って、熱処理装置1では、基板Wの出し入れを行っても熱処理室12内を流れる生成ガスを含む熱風が外部に漏出したり、外気が熱処理室12内に進入するといった不具合が発生しない。さらに、熱処理装置1では、換装部6を介して熱処理室12内に外気が流入することによって熱処理室12内の雰囲気温度が不安定になったり、熱処理室12内に存在する生成ガスの冷却に伴う昇華物の発生が起こりがたい。
また、エアノズル65,66から噴出される空気は、分岐配管68a〜68dに設けられた熱交換部材90において熱交換加熱されたものであり、ある程度の高温になっている。そのため、エアノズル65,66から空気が噴出されたり、基板Wを出し入れするために換装部6が開閉したりしても、挿通孔44c近傍はさほど低温にならない。従って、上記したような構成によれば、生成ガスや昇華物が換装部6から漏出するのを防止できると共に、挿通孔44c近傍において昇華物が発生するのを防止できる。
上記実施形態では、挿通孔44cの左右に隣接する位置に分岐配管68a〜68dの下流端やエアノズル85,85を配したり、挿通孔44cの上下に隣接する位置にエアノズル65,66を配した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図21に示すように、エアノズル65,66とエアノズル85,86とを組み合わせ、換装部6の挿通孔44cの四方から清浄な空気を噴射させてエアカーテンを形成する構成とされてもよい。
また、熱処理装置1は、エアノズル65,66,85,86のうちのいくつかを選択して組み合わせ、挿通孔44cの周囲に配した構成とされてもよい。さらに具体的には、熱処理装置1は、例えばエアノズル65,66,86を組み合わせて挿通孔44cの周囲に配した構成とされてもよい。かかる構成とすることによっても、熱処理室12と換装部6との間における空気や生成ガス、昇華物等の出入りを防止することができる。
熱処理装置1は、載置棚70の基板Wを載置するための段の位置にあわせて多数の換装部6を設け、それぞれの換装部6に対して分岐配管68a〜68dや、エアノズル65,66等を配した構成としてもよい。また、熱処理装置1は、基板Wを出し入れすべき位置にあわせて換装部6が上下動する構成としてもよい。かかる構成とした場合は、換装部6の上下動にあわせてエアノズル65,66が上下動する構成としたり、換装部6が上下動する範囲の上方側や下方側にエアノズル65,66を配した構成とすることが望ましい。
上記した熱処理装置1は、熱交換部材90において生成ガスを固化させて昇華物を回収する構成のものや、昇華物の回収に伴って加熱された空気を利用してエアカーテンMやエアカーテンCを形成し、昇華物の漏出を防止する構成のものであった。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。さらに具体的には、熱処理装置1は、例えば熱交換部材90において昇華物を回収すると共に、挿通孔44cに隣接する位置に図22および図23に示すように翼状で、熱処理室12内を流れる熱風や生成ガスの流れを案内する案内板101,102を取り付けた構成としてもよい。かかる構成によれば、案内板101,102によって図16に矢印Bや矢印Cで示すような気体の流出入を低減することができ、基板Wの出し入れの際に生成ガスや昇華物が漏出するといった不具合の発生を抑制できる。
また、上記実施形態において採用されている熱交換部材90は、2つの熱交換体91,91を空気配管68に対して被せた後、ネジ止めすることにより、空気配管68に対して密着するように装着されるものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図24および図25に示すように、熱交換体91,91同士をヒンジ97で繋いだ構成とし、図25(a),(b)に示すようにして挟み込んで装着してもよい。かかる構成とすれば、熱交換部材90を容易に装着することができる。
上記実施形態において、熱交換部材90は、ベース部92によって空気配管68の外面を全周にわたって包囲する構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図26に示すように空気配管68の外周に沿う形状で長尺のベース部98に対して熱交換片93を固定した熱交換部材99のようなものを、磁石等を用いて空気配管68に取り付けた構成としてもよい。かかる構成とした場合についても、熱交換部材99において生成ガスを冷却し、昇華物を十分捕捉することができる。また、図26に示すように、複数の熱交換部材99を空気配管68の外周に取り付ける構成とした場合は、熱交換部材99毎に着脱することができる。そのため、熱交換部材99を採用すれば、昇華物の付着量の多いものだけを取り外して清掃や交換を行えるため、熱処理装置1のメンテナンスがより一層簡略化される。
また、熱交換部材90は、熱交換体91,91を組み合わせることにより空気配管68や分岐配管68a〜68dの全周を包囲するものであったが、図26に示す熱交換部材99を採用する場合のように、空気配管68等の外周の一部においてベース部98によって包囲されない部分があってもよい。また逆に、ベース部98は、複数の熱交換部材99を空気配管68等の周方向に並べて取り付けることにより空気配管68等の外周全体にわたって包囲可能な大きさとされてもよい。
さらに、熱交換部材90は、熱交換体91,91をネジ止めして一体化することにより発生する締結力により空気配管68の外周にぴったりと面接触する構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図27(a)に示す熱交換部材120のように断面形状が略C字形の筒状体であり、径方向に弾性を有するものをベース部121にして熱交換片93を装着した構成であってもよい。さらに具体的には、熱交換部材120は、ベース部121の内径が空気配管68等の外径と略同一とされている。ベース部121は、図27(b)に矢印で示すように、ベース部121の開放端121a,121aを空気配管68や分岐配管68a〜68dの外周から押しつけると、ベース部121は、空気配管68等の外周面に沿うように押し広げられる。図27(c)のように、熱交換部材120が、ベース部121の内側に空気配管68や分岐配管68a〜68dが納まるまで押し込まれると、ベース部121は元の径に戻る。これにより、ベース部121が空気配管68等の外周の大部分を包囲し、ベース部121の内周面と空気配管68等の外周面とがぴったりと接触した状態になる。
上記した熱交換部材120は、空気配管68等にベース部121の開放端121aを押し当てて空気配管68の径方向に押し込んだり、空気配管68から離反する方向に引き抜くだけ空気配管68等に対して着脱することができる。そのため、熱交換部材120は、空気配管68等に対する着脱が容易であり、メンテナンス等を実施しやすい。
また、熱交換部材120は、ベース部121が径方向への弾性変形可能なものであるため、ベース部121と空気配管68等の密着性がよい。そのため、熱交換部材120は、ベース部121と空気配管68等との間における熱交換効率が高い。従って、熱交換部材120を採用した場合も、熱交換部材90等を採用した場合と同様に生成ガスを効率よく冷却して固化させることができる。
上記実施形態では、熱処理室12に対して熱風や生成ガスの流れ方向下流側に隣接する位置を横切る分岐配管68a〜68dに熱交換部材90を装着した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図28に示すように空気配管68の立ち上がり部分、換言すれば分岐配管68a〜68dよりも空気配管68内を流れる空気の流れ方向上流側に隣接する位置に熱交換部材90や熱交換部材99を装着した構成としてもよい。また、熱交換部材90は、図29に示すように分岐配管68a〜68dのうち、熱処理装置1の正面側(換装部6側)に取り回された部分に装着されてもよい。
さらに、上記実施形態では、空気配管68が熱処理室12の下流側の底面から熱処理室12内に立ち上がり分岐される構成とされていたが、例えば図30のように、空気配管68や分岐配管68a〜68dを熱処理装置1の背面側(扉7側)から正面側に取り回した構成とされていてもよい。かかる構成とする場合は、熱処理装置1の背面側にも熱交換部材90や熱交換部材99を装着することができる。なお、空気配管68やこの分岐配管68a〜68dを熱処理装置1の正面側や背面側に取り回す場合、これらの配管は、熱処理室12の内側に配されていても、熱処理室12の外側に設けられたダクト17内に配されていてもよい。
すなわち、熱処理装置1は、空気配管68や分岐配管68a〜68dを熱処理室12、熱風供給手段14およびダクト17によって構成される気体の循環流路内を熱処理室12において発生した生成ガスが循環する構成となっている。そのため、熱処理装置1は、空気配管68や分岐配管68a〜68dのうち、循環流路内に配された部分であればいかなる位置に熱交換部材90等が装着された構成であってもよい。
上記実施形態の熱交換部材90等は、いずれも空気配管68や分岐配管68a〜68dとの密着性が高いが、高温の気体に晒されるものであるため、熱膨張や歪み等の影響で空気配管68等との密着性が損なわれる可能性がある。そのため、かかる事態が想定される場合は、熱交換部材90等を空気配管68や分岐配管68a〜68dとの間に熱伝導性の高いグリス等を介在させることが望ましい。
上記した熱処理装置1は、換装部6と熱処理室12との境界部分にあたる基板挿通孔44aに隣接する位置に分岐配管68a〜68dの下流端や、エアノズル65,66等を配し、エアカーテンMやエアカーテンCを形成するものであった。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば換装部6を構成する空間のうち、ダクト17を横切る部分、すなわち隔壁47a,47bで囲まれた領域内に分岐配管68a〜68dの下流端から空気を噴出可能な構成とすることも可能である。かかる構成によれば、換装部6内に噴出された空気流によって換装部6やこの近傍をある程度の高温に維持し、換装部6において昇華物が発生するのを防止できる。さらに、換装部6内に噴射される空気の量や速度等が所定のレベルに達していれば、換装部6内に噴射された空気によって熱処理装置1の内外を遮断し、基板Wの出し入れに伴って生成ガスや昇華物が漏出するのを防止できる。
上記実施形態では、分岐配管68a〜68dに対してエアノズル65,66やエアノズル85,86を装着する例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、エアノズル65,66やエアノズル85,86を装着せず、分岐配管68a〜68dや空気配管68に直接エア噴出孔67を設けた構成としてもよい。
また、上記実施形態では、空気配管68を分岐配管68a〜68dに分岐したり、分岐配管68a〜68dを分岐管69によってさらに分岐する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、分岐配管68a〜68d等に相当する空気配管68を独立的に設けた構成であってもよい。
上記実施形態では、空気配管68内を空気が流れる構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、空気とは別の気体が流れるものであってもよい。また、上記したように、エアカーテンM等を形成しない構成とする場合は、空気配管68内を空気に変わって液体等が流れる構成であってもよい。
上記実施形態では、熱処理室12の上流側にフィルタ21を配した構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フィルタ21と同様に昇華物を補足可能なフィルタを熱交換部材90等を配した位置よりも熱風等の流れ方向下流側に設けた構成としてもよい。かかる構成とすることにより、熱交換部材90等によって補足された昇華物が剥がれ落ちるなどしても、予期せぬ部位から漏出するなどの不具合の発生を防止することができる。
本発明の一実施形態である熱処理装置を示す正面図である。 図1に示す熱処理装置の内部構造を示す破断斜視図である。 図1に示す熱処理装置の内部構造を示す平面図である。 図1に示す熱処理装置における空気配管および熱交換部材の配置の概略を示す概念図である。 図1に示す熱処理装置の正面側近傍を示す断面図である。 (a)は遮蔽板を示す正面図であり、(b)は遮蔽板の挿通孔を介した基板の出し入れの様子を模式的に示した斜視図である。 図1に示す熱処理装置において採用されている熱交換部材を空気配管の分岐配管に装着した状態を示す斜視図である。 図7の分解斜視図である。 図7に示す熱交換部材と分岐配管との関係を示す断面図である。 図1に示す熱処理装置の変形例における換装部近傍の構造を示す破断斜視図である。 図11に示す熱処理装置の変形例における換装部近傍の構造を熱処理室側から観察した状態示す破断斜視図である。 (a),(b)は、それぞれ図11に示す熱処理装置の変形例において基板を出し入れする前後における基板近傍における気流の状態を模式的に示す概念図である。 図1に示す熱処理装置の別の変形例における換装部近傍の構造を熱処理室側から観察した状態示す破断斜視図である。 (a),(b)は、それぞれ図13に示す熱処理装置の変形例において基板を出し入れする前後における基板近傍における気流の状態を模式的に示す概念図である。 図1に示す熱処理装置のさらに別の変形例における換装部近傍の構造を熱処理室側から観察した状態示す破断斜視図である。 熱処理装置において発生する気流を模式的に示した概念図である。 図1に示す熱処理装置における空気配管および熱交換部材の配置の変形例を示す概念図である。 図17に示す変形例における換装部近傍の構造を熱処理室側から観察した状態示す破断斜視図である。 図17に示す変形例における換装部近傍の構造および気流の状態を模式的に示す断面図である。 図17に示す変形例において基板を出し入れする際の基板近傍における気流の状態を模式的に示す概念図である。 図1に示す熱処理装置の換装部近傍の構造の別の変形例を熱処理室側から観察した状態示す破断斜視図である。 案内板を示す斜視図である。 図22に示す案内板を換装部近傍に設けた場合の構造を熱処理室側から観察した状態示す破断斜視図である。 図7に示す熱交換部材の変形例を示す斜視図である。 (a),(b)は、それぞれ図24に示す熱交換部材を空気配管に装着する際の装着の第一段階および第二段階を模式的に示す説明図である。 図7に示す熱交換部材の別の変形例である熱交換部材と空気配管との管径を示す斜視図である。 (a)は図7に示す熱交換部材のさらに別の変形例を示す断面図であり、(b),(c)はそれぞれ(a)に示す熱交換部材を空気配管に装着する際の装着の第一段階および第二段階を模式的に示す説明図である。 図1に示す熱処理装置における空気配管および熱交換部材の配置の変形例の概略を示す概念図である。 図1に示す熱処理装置における空気配管および熱交換部材の配置の別の変形例の概略を示す概念図である。 図1に示す熱処理装置における空気配管および熱交換部材の配置のさらに別の変形例の概略を示す概念図である。 図7に示す熱交換部材を構成する熱交換体の変形例を示す斜視図である。
1 熱処理装置
6 換装部
12 熱処理室
14 熱風供給手段
17 ダクト
40 開口
44 遮蔽板
44a 基板挿通孔
65,66,85,86 エアノズル
67 エア噴出孔
68 空気配管
68a,68b,68c,68d 分岐配管
90,99,120 熱交換部材
91,130 熱交換体
92,98,121 ベース部
93,131 熱交換片
101,102 案内板
X,Y 領域
W 基板(被加熱物)
H 仮想平面
S 循環系統

Claims (14)

  1. 気体を加熱する加熱手段と、当該加熱手段によって加熱された気体が導入され、被加熱物を収容可能な熱処理室と、当該熱処理室から流出した気体を加熱手段に戻す戻り流路と、前記熱処理室から出る気体よりも低温の気体の熱媒体が供給される熱媒体流路とを有し、前記加熱手段と熱処理室と戻り流路とを含む気体の循環系統が形成されたものであり、
    前記熱媒体流路の一部又は全部が前記循環系統内に配されており、
    前記熱媒体流路の中途に、循環系統内を流れる気体と熱媒体流路内を流れる熱媒体とが熱交換可能な熱交換手段が設けられており、
    前記熱媒体流路の下流側の端部が前記戻り流路内で開放されていることを特徴とする熱処理装置。
  2. 気体を加熱する加熱手段と、当該加熱手段によって加熱された気体が導入され、被加熱物を収容可能な熱処理室と、熱処理室に被加熱物を出し入れするための開口を有する換装部と、当該熱処理室から流出した気体を加熱手段に戻す戻り流路と、前記熱処理室から出る気体よりも低温の気体の熱媒体が供給される熱媒体流路とを有し、前記加熱手段と熱処理室と戻り流路とを含む気体の循環系統が形成されたものであり、
    前記熱媒体流路の一部又は全部が前記循環系統内に配されており、
    前記熱媒体流路の中途に、循環系統内を流れる気体と熱媒体流路内を流れる熱媒体とが熱交換可能な熱交換手段が設けられており、
    前記熱媒体流路の内部を流れる気体を換装部に隣接する位置から噴出可能であることを特徴とする熱処理装置。
  3. 熱交換手段が、熱媒体流路の外周面の全周あるいは一部に被さるように装着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理装置。
  4. 熱交換手段が、熱媒体流路の中途であって、前記熱処理室よりも循環系統内を流れる気体の流れ方向下流側の部位に装着されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱処理装置。
  5. 熱処理室に被加熱物を出し入れするための換装部を有し、
    熱交換手段が、熱媒体流路の中途であって、前記換装部よりも循環系統内を流れる気体の流れ方向上流側の部位に装着されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱処理装置。
  6. 熱交換手段が、熱媒体流路に対して装着されることにより、熱媒体流路の外側に向けて突出する熱交換片を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の熱処理装置。
  7. 熱交換片が、熱媒体流路の延伸方向に沿う方向に延伸していることを特徴とする請求項に記載の熱処理装置。
  8. 複数の熱交換片が、熱媒体流路の周方向に間隔を開けて設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の熱処理装置。
  9. 熱交換手段が、熱媒体流路の外周面の全周あるいは一部に被さるように装着されるベース部と、当該ベース部に対して熱伝導可能に取り付けられた熱交換片とを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の熱処理装置。
  10. 熱交換手段が、ベース部と熱交換片とからなる熱交換体を複数組み合わせて構成されるものであり、複数の熱交換体を一体化することにより熱媒体流路の外周の一部又は全部を包囲することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の熱処理装置。
  11. 熱処理室に被加熱物を出し入れするための換装部を有し、
    換装部が熱処理室に連通する開口を有し、
    熱媒体流路の内部を流れる熱媒体が噴出することにより気体流が形成され、
    当該気体流が前記開口の開口領域の一部又は全部を横断及び/又は縦断することを特徴とする請求項2乃至10のいずれかに記載の熱処理装置。
  12. 換装部を介して被加熱物を出し入れする際に被加熱物によって分割される領域X,Yを想定した場合に、
    熱媒体流路の内部を流れる熱媒体を前記領域X側および領域Y側の双方から領域X,Yの境界部分に向けて噴出することによって気体流を形成し、当該気体流により、気体流よりも熱処理室の内側の領域と当該領域よりも外側の領域とに分離可能であることを特徴とする請求項2乃至11のいずれかに記載の熱処理装置。
  13. 熱媒体流路から噴出される気体の動圧が、熱処理室内を流れる気体の静圧以上であることを特徴とする請求項2乃至12のいずれかに記載の熱処理装置。
  14. 換装部が熱処理室に連通する開口を有し、当該開口の周囲には、熱処理室内を流れる気体の流れを換装部側から遠ざかる方向に誘導する誘導手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の熱処理装置。
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